説明

皮膚外用剤

【課題】 水溶性エチレン性不飽和モノマーを水に溶解した水相を分散相とし、有機溶媒あるいは油分を分散媒とする組成物において、分散相中で水溶性エチレン性不飽和モノマーをラジカル重合することにより製造したミクロゲルからなる増粘剤を配合した皮膚外用剤の使用感や皮膚刺激性を改善する。
【解決手段】水溶性エチレン性不飽和モノマーを分散相に溶解し分散相中にてラジカル重合して得られるミクロゲルからなる増粘剤と、下記一般式(1)で示される化合物からなる組成物。 一般式(1) RO−[(AO)m(EO)n]−R (AOは炭素数3〜4のオキシアルキレン基、EOはオキシエチレン基、m及びnはそれぞれ、1≦m≦70、1≦n≦70である。)

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、皮膚外用剤、特に水溶性エチレン性不飽和モノマー含む水相を分散相とする逆相乳化重合により製造したミクロゲルからなる水溶性増粘剤を配合した皮膚外用剤の使用感触、皮膚刺激性等の改善に関する。
【背景技術】
【0002】
水溶性増粘剤は、医薬品や化粧品などの広汎な分野で使用されているが、高く安定した増粘効果を有し、pHやエタノールなどのアルコール等の影響も受けにくく、使用性にも優れる水溶性増粘剤はほとんどない。
そのような中、特許文献1には、水溶性エチレン性不飽和モノマーを水に溶解した水相を分散相とし、有機溶媒あるいは油分を分散媒とする組成物を調製し、分散相中で水溶性エチレン性不飽和モノマーをラジカル重合することにより製造したミクロゲルが、水溶性増粘剤として上記のような優れた特性を備えることが記載されている。
【0003】
すなわち、このミクロゲルは、分散媒中に微細に分散された水相中でラジカル重合後に、簡単な沈殿生成工程を経て粉末状態で分離することができ、得られた高分子を粉砕する必要がない。また、水、アルコール、あるいは水/アルコール混合液に容易に分散して速やかに膨潤して高い増粘効果を発揮し、透明な外観のゲルを得ることができる。また、従来増粘もしくはゲル化が困難であった酸性製剤に対しても増粘効果を発揮することができる。また、化粧料に配合した際には、従来の増粘剤で問題とされていた化粧料使用時のぬるつきや乾き際のべたつきが改善され、使用感にも非常に優れる。
【0004】
このように、上記ミクロゲルは水溶性増粘剤として非常に優れた特性を有するものであるが、その使用感についてはさらなる改善の余地があった。例えば、上記ミクロゲルを増粘剤として用いた皮膚外用剤において、その増粘性を損なうことなく、塗布時に肌や毛髪によりすばやくなじむようにすることが望まれた。
また、敏感なユーザーの場合には、エタノールや酸性pHによる皮膚刺激が懸念される場合がある。上記ミクロゲルからなる増粘剤ではこのようなエタノールや酸性pHによる皮膚刺激を低減する効果はなく、その増粘性を損なうことなくエタノールや酸性pHによる皮膚刺激を低減することが望まれた。
【特許文献1】特開2004−43785号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上記背景技術に鑑みなされたものであり、その目的は、水溶性エチレン性不飽和モノマーを水に溶解した水相を分散相とし、有機溶媒あるいは油分を分散媒とする組成物において、分散相中で水溶性エチレン性不飽和モノマーをラジカル重合することにより製造したミクロゲルからなる増粘剤を配合した皮膚外用剤において、その使用感や皮膚刺激性を改善することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために本発明者らが鋭意検討を行った結果、前記ミクロゲルからなる増粘剤とともに特定のアルキレンオキシド誘導体を皮膚外用剤に配合すると、増粘あるいはゲル化された製剤がわずかな力でもさっとくずれて液状になり、肌や毛髪にすばやくなじんで、非常にみずみずしい使用感となることが判明した。このアルキレンオキシド誘導体はミクロゲルの増粘性を損なわず、エタノール系や酸性製剤においても優れた増粘効果が発揮される。また、この皮膚外用剤を塗布後は、べたつきがなくしっとりとした使用感が得られる。さらに、特定のアルキレンオキシド誘導体を併用することにより、エタノールなどの低級アルコールや酸性pHによる皮膚刺激も低減されることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0007】
すなわち、本発明にかかる皮膚外用剤は、有機溶媒若しくは油分を分散媒とし水を分散相とする組成物において、水溶性エチレン性不飽和モノマーを分散相に溶解し分散相中にてラジカル重合して得られるミクロゲルからなる増粘剤と、
下記一般式(1)で示されるアルキレンオキシド誘導体と、
を含有することを特徴とする。
(化6)
一般式(1)
O−[(AO)m(EO)n]−R
(AOは炭素数3〜4のオキシアルキレン基、EOはオキシエチレン基、m及びnはそれぞれ前記オキシアルキレン基、オキシエチレン基の平均付加モル数で、1≦m≦70、1≦n≦70である。炭素数3〜4のオキシアルキレン基とオキシエチレン基の合計に対するオキシエチレン基の割合が、20〜80質量%である。炭素数3〜4のオキシアルキレン基とオキシエチレン基はブロック状に付加していてもランダム状に付加していてもよい。R及びRは同一もしくは異なっていてもよい炭素数1〜4の炭化水素基又は水素原子であり、R及びRの炭化水素基数に対する水素原子数の割合が0.15以下である。)。
【0008】
本発明の皮膚外用剤において、前記水溶性エチレン性不飽和モノマーが、一般式(2)に示されるジアルキルアクリルアミドと、イオン性アクリルアミド誘導体とであることが好適である。
(化7)

(RはHまたはメチル基、R及びRはそれぞれ独立にメチル基、エチル基、プロピル基、またはイソプロピル基を表わす。)
【0009】
また、本発明の皮膚外用剤において、前記イオン性アクリルアミド誘導体が、一般式(3)に示されるアニオン性アクリルアミド誘導体であることが好適である。
(化8)

(R及びRはそれぞれ独立にH又はメチル基、Rは炭素原子数1〜6の直鎖若しくは分岐のアルキレン基、Xは金属イオン若しくはNHを表わす。)
【0010】
また、本発明の皮膚外用剤において、前記イオン性アクリルアミド誘導体が、一般式(4)に示されるカチオン性アクリルアミド誘導体であることが好適である。
(化9)

(RはHまたはメチル基、RはHまたは炭素原子数1〜6の直鎖若しくは分岐のアルキル基、Rは炭素原子数1〜6の直鎖若しくは分岐のアルキレン基、R10、R11及びR12はそれぞれメチル基またはエチル基、Yはハロゲンイオンを表わす。)
【0011】
また、前記何れかに記載の皮膚外用剤において、前記水溶性エチレン性不飽和モノマーが、さらに一般式(5)に示される架橋性モノマーを含むことが好適である。
(化10)

(R13およびR17はそれぞれHまたはメチル基、R14およびR16はそれぞれ−O−または−NH−で示される基、R15は炭素原子数1〜6の直鎖もしくは分岐のアルキレン基または−(CHCHO)n−[但し、n=4〜100]を表す。)
【0012】
また、前記何れかに記載の皮膚外用剤において、低級アルコールを30質量%以上含むことが好適である。
また、前記何れかに記載の皮膚外用剤において、pHが5以下であることが好適である。
また、前記何れかに記載の皮膚外用剤において、前記アルキレンオキシド誘導体の配合量が0.1〜15質量%であることが好適である。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、特定のミクロゲルからなる増粘剤と、前記一般式(1)で示されるアルキレンオキシド誘導体とを皮膚外用剤に配合することにより、乳液やジェルなどの増粘した基剤がわずかな力でさっとくずれて液状になり、肌や毛髪にすばやくなじみ、非常にみずみずしい使用感触が得られる。また、塗布後はべたつき感がなくしっとりした使用感触であり、エタノール高配合あるいは酸性pHの製剤においては、皮膚刺激性の低い皮膚外用剤とすることができる。本発明で用いるミクロゲルからなる増粘剤は、有機溶媒若しくは油分を分散媒とし水を分散相とする組成物において、前記一般式(2)のジアルキルアクリルアミドと、前記一般式(3)または(4)のイオン性アクリルアミド誘導体と、必要に応じて前記一般式(5)の架橋性モノマーとを分散相に溶解し、これらを分散相中にてラジカル重合して得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明の好適な実施形態について詳述する。
[ミクロゲルからなる増粘剤]
ミクロゲルからなる増粘剤とは、有機溶媒若しくは油分を分散媒とし水を分散相とする組成物において、水溶性エチレン性不飽和モノマーを分散相に溶解し、分散相中にてラジカル重合して得られる合成高分子のミクロゲルからなる増粘剤である。
すなわち、一般に逆相乳化重合法と称される重合法により製造される高分子ミクロゲルを増粘剤の用途に使用するものであり、例えば特開平2001−114641号公報に開示されているような均一重合系により得られる合成高分子からなる増粘剤とは、その重合方法及び力学物性が異なる。
【0015】
ミクロゲルとは逆相マイクロエマルション重合法で製造された合成高分子電解質の微粒子である。本発明のミクロゲルからなる増粘剤は、水、エタノールあるいは水―エタノール混合溶液中で膨潤し、外観上肉眼的に均一な高粘度溶液を提供できる。
【0016】
本発明の増粘剤を製造する方法、すなわち増粘剤として使用されるミクロゲルの重合系は、従来の増粘剤である合成高分子を製造する均一重合系とは異なるものである。
特開平2001−114641号公報に開示されている均一重合系による合成高分子は本発明に用いるミクロゲルではなく、合成高分子を重合後、化粧料に配合するためには粉末状態に粉砕しなければならない。また、合成高分子のゲルが目立ち、外観上問題を生じる場合がある。
一方、本発明に用いるミクロゲルは不均一重合系で重合される。得られる合成高分子は微細な高分子ゲル、すなわちミクロゲルとなり、化粧料に配合する際に新たに粉砕して粉末状態にする必要がなく、優れた増粘効果と優れた使用感を発揮し、さらに化粧料の外観上も好ましい。
【0017】
また、高分子の逆相乳化重合法に関しては、特許第1911623号公報にアクリル酸を用いた水膨潤性ポリマーを逆相重合により製造し、これを増粘剤として応用する技術の記載があるが、これは現在汎用されているカルボキシビニルポリマーの欠点を改良する本発明に用いるミクロゲルとは異なるものである。
また、特開平9−12613号公報には、水吸収性樹脂のミクロゲル粒子をおむつあるいは生理用品に適するように一定以上の大きさに製造することが開示されているが、これは化粧料増粘剤に応用できる技術ではなく、本発明に用いるミクロゲルとは全く異なるものである。
【0018】
本発明の増粘剤は逆相乳化重合法において製造される。すなわち、有機溶媒若しくは油分を分散媒とし水を分散相とする組成物において、水溶性エチレン性不飽和モノマーを分散相に溶解し分散相中にてラジカル重合して製造される。重合されたミクロゲルは洗浄、乾燥されるが、粉砕する必要はない。
特に適宜選択された親水疎水バランス(HLB)に調節された界面活性剤を使用することにより、逆相乳化重合における重合系が一相マイクロエマルションあるいは微細W/Oエマルションを形成する条件下において、ミクロゲルからなる増粘剤が製造されることが好ましい。
【0019】
一相マイクロエマルションとは熱力学的に安定に油相と水相が共存している状態で油・水間の界面張力は極小になっている状態である。また、微細W/Oエマルションは熱力学的には不安定であるが速度論的に安定に油と水が微細なW/Oエマルションとして存在している状態である。一般的に微細W/Oエマルションの内水相の粒子径は数10〜100nm程度である。これらの状態は系の組成と温度のみで決定され、機械的な攪拌条件などには左右されない。
【0020】
重合系を構成する組成物は、水とは混合しない有機溶媒若しくは油分からなる分散媒(外相を構成する)、水からなる分散相(内相を構成する)とからなる。
好ましい有機溶媒としては、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、デカン、ウンデカンなどのアルカン類;シクロペンタン、シクロヘキサン、シクロヘプタン、シクロオクタンなどのシクロアルカン類;ベンゼン、トルエン、キシレン、デカリン、ナフタレンなどの芳香族および環状炭化水素が挙げられる。好ましい油分としてはパラフィン油などの非極性油分が挙げられる。
【0021】
水溶性エチレン性不飽和モノマーは、分散相である水に溶解し次いで分散媒である有機溶媒あるいは油分と混合され、所望の温度に加熱した後、重合開始剤を水相に添加し重合を行う。
一般的に不均一重合法では重合中の攪拌条件により製造される高分子の物性が異なることが知られている。その理由は乳化系が熱力学的に安定な状態ではない為に攪拌条件による乳化粒子の形状、サイズに変化が生じる為である。
本発明においては、熱力学的に安定な一相マイクロエマルション領域あるいは準安定的である一相領域の近傍に存在する微細W/Oエマルション領域で重合を行うことでこれらの問題を回避できる。具体的には、通常の熱重合あるいはレドックス重合用の重合開始剤の最適重合温度近傍に上記一相マイクロエマルションあるいは微細W/Oエマルション領域が出現するように重合系の組成(有機溶媒の種類、界面活性剤のHLB)を調節することで微細な水相(水滴)内で高分子を重合することで増粘効果が高いミクロゲルを得ることが可能になった。
【0022】
相図による例を図1に示す。図1は、有機溶媒にヘキサンを使用した場合の、ヘキサン(Oで示す)/界面活性剤/水溶性エチレンモノマー水溶液(Wで示す)の3成分系の相図である。図中に示したA領域が一相マイクロエマルション領域〜微細W/Oエマルション領域であり、この領域で重合を行うことにより、好ましいミクロゲルの重合が可能である。
これに対して、従来の懸濁重合による高分子の増粘剤(例えば、特開平2001−1146641公報記載の方法)では重合時の水滴の粒子径コントロールが困難であり、良質なミクロゲルを得ることは困難である。
【0023】
水溶性エチレン性不飽和モノマーは、非イオン性モノマーとイオン性モノマー(アニオン性モノマー若しくはカチオン性モノマー)とを併用することが好ましい。
非イオン性モノマーは上記一般式(2)に示すジアルキルアクリルアミドが好ましい。
イオン性モノマーは、上記一般式(3)に示すアニオン性アクリルアミド誘導体または上記一般式(4)に示すカチオン性アクリルアミド誘導体が好ましい。
特に好ましいジアルキルアクリルアミドは、ジメチルアクリルアミド、ジエチルアクリルアミドである。
特に好ましいアニオン性アクリルアミド誘導体は、2-アクリルアミド2-メチルプロパンスルホン酸およびその塩である。
特に好ましいカチオン性アクリルアミド誘導体はN,N-ジメチルアミノプロピルアクリルアミドメチルクロライドである。
【0024】
非イオン性モノマーとイオン性モノマーとの重合系におけるモノマー組成比(重合系の仕込み比)は、目的とするミクロゲルのモノマー構成比に応じて適宜任意に決定される。ミクロゲルのモノマー構成比と重合系への仕込み比はほぼ同一となる。非イオン性モノマーとイオン性モノマーの重合系の仕込み比(モル比)は、通常、非イオン性モノマー:イオン性モノマー=0.5:9.5〜9.5:0.5、好ましくは1:9〜9:1、さらに好ましくは7:3〜9:1の範囲で共重合に供される。最適比率は、非イオン性モノマー:イオン性モノマー=8:2である。
上記の水溶性エチレン性不飽和モノマーを任意に選択して本発明の増粘剤が重合される。特に好ましい増粘剤は、水溶性エチレン性不飽和モノマーにジメチルアクリルアミドと2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸を用い、これらのモノマーから共重合される2元共重合体のミクロゲルである。この場合に、架橋モノマーは必要がなく、自己架橋により優れた増粘効果と使用感が発揮される増粘剤が得られる。なお、架橋モノマーを用いることもでき、その場合には上記一般式(5)で示される架橋モノマーが好ましく、特にメチレンビスアクリルアミドが好ましい。
【0025】
水溶性エチレン性不飽和モノマーを分散相に溶解して、本発明に好ましいミクロゲルを重合するためには、最適な外相油分あるいは有機溶媒と、界面活性剤とをそれぞれを選択することが必要である。非イオン界面活性剤の親水性疎水性バランス(HLB)を重合系の組成において相図を作成することにより、熱ラジカル重合に適する温度において曇点を示すように調製することで、通常の熱ラジカル重合温度において一相マイクロエマルションあるいは微細W/Oエマルションを形成する状態を作り、増粘剤として好ましいレオロジー特性を持つミクロゲルが得られる。
【0026】
好ましい界面活性剤は、ポリオキシエチレンセチルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンヘキシルデシルエーテル、ポリオキシエチレンイソステアリルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルドデシルエーテル、ポリオキシエチレンベヘニルエーテル、ポリオキシエチレンコレステリルエーテル、ポリオキシエチレン硬化ひまし油、ソルビタン脂肪酸エステル、モノ脂肪酸グリセリン、トリ脂肪酸グリセリン、ポリグリセリン脂肪酸エステル、イソステアリン酸ポリオキシエチレングリセリン、トリイソステアリン酸ポリオキシエチレングリセリン、モノステアリン酸ポリオキシエチレングリセリン、ジステアリン酸ポリオキシエチレングリセリル、トリステアリン酸ポリオキシエチレングリセリルなどが挙げられる。
これらの非イオン界面活性剤を適宜組み合わせて所望のHLBに調整して重合系に添加することが出来る。
【0027】
また驚くべきことに、ジアルキルアクリルアミドとアクリルアミド系イオン性モノマーを共重合したミクロゲルにおいては、自発的な架橋反応が進行し、特に第三成分として多官能性架橋モノマーを共重合しなくても、化学的に自己架橋されたミクロゲルが得られ、本発明に特に好ましい増粘剤となる。
【0028】
第三成分の多官能性架橋モノマーは特段必要ではないが、これを添加し共重合しても本発明に使用されるミクロゲルは合成可能である。多官能性架橋モノマーは、上記一般式(5)に示されるモノマーが好ましく、一般式(5)で示される架橋モノマーの一種類あるいは二種類以上を使用して架橋することが出来る。これらの架橋性モノマーはジアルキルアクリルアミドとイオン性アクリルアミド誘導体との重合系において効率よく架橋構造を取り得ることが必須である。
【0029】
好ましい架橋性モノマーとしては、例えば、エチレングリコールジアクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、ポリオキシエチレンジアクリレート、ポリオキシエチレンジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、N,N’-メチレンビスアクリルアミド、N,N’-エチレンビスアクリルアミド、イソシアヌル酸トリアリル、ペンタエリスリトールジメタクリレート等が挙げられ、この中から選ばれた一種または二種以上を用いることが出来る。本発明においては、特に、N,N’-メチレンビスアクリルアミドが好ましく使用される。
【0030】
本発明の増粘剤である共重合体中の2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸単位とジアルキルアクリルアミド単位の含有量のモル比は、通常、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸単位:ジアルキルアクリルアミド単位=0.5:9.5〜9.5:0.5、好ましくは1:9〜9:1であり、さらに好ましくは=3:7〜1:9である。最適比は2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸単位:ジアルキルアクリルアミド単位=2:8である。本発明の増粘剤の粘性は強解離基であるスルホニル基に基づく静電反発による分子鎖の伸展およびジアルキルアクリルアミドの自発架橋反応あるいは架橋性単量体による架橋構造に起因しているが、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸単位またはその塩の含有量が、ジアルキルアクリルアミド単位に対して5モル%未満では十分に分子鎖の伸展が起こらないため十分な粘度が得られないことがある。
【0031】
架橋性モノマーの使用量は、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸またはその塩とジアルキルアクリルアミドの全モル数に対し0.0001〜2.0モル%の範囲で添加されることが好ましい。0.0001モル%未満で調製された増粘剤は架橋の効果が見られない場合がある。また、2モル%を超えて調製された場合、架橋密度が高すぎてミクロゲルが充分に膨潤出来ないために充分な増粘効果を発揮しない場合がある。
【0032】
本発明に用いるミクロゲルの分子量は重量平均分子量10万〜500万(PEG換算:GPCによる測定)程度であり、増粘剤として求められる粘度により調節される。
【0033】
上記の重合法によって得られるミクロゲルは、下記(1)〜(3)のすべてのレオロジー的性質を有する。このミクロゲルからなる増粘剤は上記の重合法による製造方法により得られ、増粘剤として好ましく使用される。
(1)ミクロゲルの0.5%(質量百分率)の水分散液の見かけ粘度が、ずり速度1.0s-1において10000mPa・s以上である。
(2)ミクロゲルの0.5%(質量百分率)のエタノール分散液の見かけ粘度が、ずり速度1.0 s-1において5000mPa・s以上である。
(3)ミクロゲルの0.5%(質量百分率)の水分散液若しくはエタノール分散液のおける動的弾性率が、歪み1%以下、周波数0.01〜10Hzの範囲でG'>G"である。
なお、ミクロゲルの水若しくはエタノール分散液の見かけ粘度とは、コーンプレート型レオメータ(Paar Rhysica製 MCR-300)を用い、測定温度25℃、ずり速度1s-1における粘度である。
また、動的弾性率は、同上の測定装置を用いて測定温度25℃、歪み1%以下で周波数範囲0.1〜10Hzで測定した貯蔵弾性率(G')および損失弾性率(G")の値を意味する。
【0034】
本発明に用いるミクロゲルは重合後簡単な沈殿精製工程を経て粉末状態で分離することが可能である。粉末状に分離されたミクロゲルは、水あるいはエタノールまたは水/エタノールの混合溶剤に容易に分散して速やかに膨潤し増粘剤として機能する。
また、ミクロゲルに共重合されるイオン性モノマーを、強酸性のモノマー(例えばスルホン酸残基を含むモノマー)を選択することで、従来のカルボキシビニルポリマーでは増粘が不可能であった酸性製剤の増粘も可能である。
さらに、本発明に用いるミクロゲルは、従来、増粘若しくはゲル化が困難とされたアルコールの増粘若しくはゲル化も可能である。本発明の増粘剤は増粘若しくはゲル化の用途に使用され、化粧料等に増粘剤として配合すると、優れた増粘効果を発揮し、さらに従来の増粘剤の問題とされていた、化粧料使用時のぬるつき及び乾き際のべたつきが大幅に改善され、極めて優れた使用感を持つ化粧料の製造が可能になる。
【0035】
本発明の皮膚外用剤においては、上記ミクロゲルを増粘剤として化粧料基剤に配合して製造される。増粘剤の配合量は目的とする化粧料に応じて適宜決定され限定されないが、使用性の点から、好ましい配合量は0.05質量%〜2.5質量%、さらに好ましくは0.1〜1.5質量%である。少なすぎると本発明の効果が得られないことがある。一方、過剰に配合しても増量に見合った効果の著しい向上は認められず、2.5質量%程度でも十分である。
また、本発明の皮膚外用剤には低級アルコールを配合でき、具体的にはエタノール、プロパノール、イソプロパノール、t−ブチルアルコール等が挙げられ、特にエタノールが好ましい。低級アルコールの配合量は目的とする皮膚外用剤に応じて決定されるが、刺激緩和効果が顕著に認められる点から、好ましい配合量は30質量%以上である。少なすぎると効果が十分に得られないことがある。
【0036】
[アルキレンオキシド誘導体]
前記一般式(1)に示すアルキレンオキシド誘導体は、上記ミクロゲルからなる増粘剤の増粘性に影響を及ぼすことなく、その使用感を改善する。すなわち、増粘した基剤が塗布時のシェアによってさっと液状化して速やかになじみ、まるで水を塗布したかのようなみずみずしい使用感が得られる。ミクロゲルのみでは、べたつきやぬるつきがないなど従来の増粘剤に比べて非常に優れた使用感はあるものの、上記のような速やかななじみ感やみずみずしい使用感といった点は不十分である。
また、アルキレンオキシド誘導体は、エタノールなどの低級アルコールを高配合した場合(例えば、30質量%以上、さらには50質量%以上)及び/またはpH5以下の場合において、これらに起因するヒリつき感などの皮膚刺激を低減する効果も有する。
【0037】
前記一般式(1)のアルキレンオキシド誘導体において、AOは炭素数3〜4のオキシアルキレン基であり、具体的には、オキシプロピレン基、オキシブチレン基、オキシイソブチレン基、オキシトリメチレン基、オキシテトラメチレン基などが挙げられる。好ましくは、オキシプロピレン基、オキシブチレン基が挙げられる。EOはオキシエチレン基である。mは炭素数3〜4のオキシアルキレン基の平均付加モル数であり、1≦m≦70、好ましくは2≦m≦50である。nはオキシエチレン基の平均付加モル数であり、1≦n≦70、好ましくは5≦n≦55である。炭素数3〜4のオキシアルキレン基又はオキシエチレン基が0であると本発明の効果が十分に発揮されず、70を越えるとべたつき感を生じる傾向がある。
【0038】
また、炭素数3〜4のオキシアルキレン基とオキシエチレン基の合計に対するオキシエチレン基の割合は、20〜80質量%であることが好ましい。オキシエチレン基の割合が20重量%未満であると本願の効果が十分に発揮されず、80質量%より大きいとべたつき感を生じる傾向にある。エチレンオキシド及び炭素数3〜4のアルキレンオキシドの付加する順序は特に指定はない。またオキシエチレン基と炭素数3〜4のオキシアルキレン基はブロック状に付加していてもランダム状に付加していてもよい。好ましくはランダム状に付加されているものが挙げられる。
【0039】
及びRは炭素数1〜4の炭化水素基もしくは水素原子で、炭化水素基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基などのアルキル基が挙げられる。好ましくはメチル基、エチル基である。炭素数5以上の炭化水素基では本発明の効果が低下する傾向がある。R,Rは、同一であっても異なっていても良い。
【0040】
及びRはそれぞれ1種のみを用いても、炭素数1〜4の炭化水素基と水素原子とが混在しても、炭素数1〜4の炭化水素基が混在しても良い。但し、R及びRの炭化水素基のうち、炭化水素基と水素原子の存在割合は、炭化水素基の数(X)に対する水素原子の数(Y)の割合Y/Xが0.15以下、好ましくは0.06以下である。Y/Xの割合が0.15を越えると、本発明の効果が低下する傾向がある。
【0041】
本発明のアルキレンオキシド誘導体は公知の方法で製造することができる。例えば、水酸基を有している化合物にエチレンオキシド及び炭素数3〜4のアルキレンオキシドを付加重合した後、ハロゲン化アルキルをアルカリ触媒の存在下でエーテル反応させることによって得られる。
【0042】
本発明のアルキレンオキシド誘導体としては、具体的にはPOE(9)POP(2)ジメチルエーテル、POE(14)POP(7)ジメチルエーテル、POE(10)POP(10)ジメチルエーテル、POE(6)POP(14)ジメチルエーテル、POE(15)POP(5)ジメチルエーテル、POE(25)POP(25)ジメチルエーテル、POE(7)POP(12)ジメチルエーテル、POE(22)POP(40)ジメチルエーテル、POE(35)POP(40)ジメチルエーテル、POE(50)POP(40)ジメチルエーテル、POE(55)POP(30)ジメチルエーテル、POE(30)POP(34)ジメチルエーテル、POE(25)POP(30)ジメチルエーテル、POE(27)POP(14)ジメチルエーテル、POE(55)POP(28)ジメチルエーテル、POE(36)POP(41)ジメチルエーテル、POE(7)POP(12)ジメチルエーテル、POE(17)POP(4)ジメチルエーテル、POE(9)POB(2)ジメチルエーテル、POE(14)POB(7)ジメチルエーテル、POE(10)POP(10)ジエチルエーテル、POE(10)POP(10)ジプロピルエーテル、POE(10)POP(10)ジブチルエーテル等が挙げられる。
なお、上記POE、POP、POBは、それぞれポリオキシエチレン、ポリオキシプロピレン、ポリオキシブチレンの略である。
【0043】
アルキレンオキシド誘導体の配合量は特に限定されないが、好ましくは皮膚外用剤全量中0.1〜15質量%、更に好ましくは1.0〜10質量%である。0.1質量%未満では本発明の効果が十分に発揮されないことがある。一方、過剰に配合しても増量に見合った効果の著しい向上は認められず、15質量%程度で十分である。
【0044】
なお、一般式(1)のアルキレンオキシド誘導体は公知であり、例えば、特開2004−83541号公報には、該アルキレンオキシド誘導体が保湿効果、肌荒れ改善効果、べたつき改善効果、経皮吸収促進効果を有することが記載されている。また、特開2003−231625号公報、特開2004−168899号公報、特開2003−231625号公報などには、香料組成物、洗浄剤組成物、清涼剤配合組成物などにおいて、アルキレンオキシド誘導体が皮膚刺激を低減することが記載されている。
しかし、特定の増粘剤で増粘した基剤について、増粘性に影響することなく塗布時の速やかななじみ感・みずみずしい使用感を付与し得ることは記載されていない。また、酸性製剤における皮膚刺激低減についても記載されていない。
【0045】
[皮膚外用剤]
本発明の皮膚外用剤は、上記必須成分を皮膚外用基剤に配合することにより調製される。調製方法は特に制限されないが、通常は、本発明の増粘剤は水及び/またはエタノールに膨潤させて水及び/またはエタノール性基剤を製造し、これを皮膚外用剤の調製に用いればよい。アルキレンオキシド誘導体は、通常水及び/またはエタノール性基剤に添加すればよいが、それは増粘剤の添加前後何れでもよい。
【0046】
本発明の皮膚外用剤には上記した必須構成成分の他に、通常化粧品や医薬部外品、医薬品等の皮膚外用剤に用いられる他の成分、例えば、粉末成分、液体油脂、固体油脂、ロウ、炭化水素、高級脂肪酸、高級アルコール、エステル、シリコーン、アニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、両性界面活性剤、非イオン界面活性剤、保湿剤、水溶性高分子、増粘剤、皮膜剤、紫外線吸収剤、金属イオン封鎖剤、低級アルコール、多価アルコール、糖、アミノ酸、有機アミン、高分子エマルジョン、pH調整剤、皮膚栄養剤、ビタミン、酸化防止剤、酸化防止助剤、香料、水等を必要に応じて適宜配合し、目的とする剤形に応じて常法により製造することができる。以下に具体的な配合可能成分を列挙するが、上記必須配合成分と、下記成分の任意の一種又は二種以上とを配合して本発明の皮膚外用剤を調製できる。
【0047】
粉末成分としては、例えば、無機粉末(例えば、タルク、カオリン、雲母、絹雲母(セリサイト)、白雲母、金雲母、合成雲母、紅雲母、黒雲母、パーミキュライト、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、ケイ酸アルミニウム、ケイ酸バリウム、ケイ酸カルシウム、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸ストロンチウム、タングステン酸金属塩、マグネシウム、シリカ、ゼオライト、硫酸バリウム、焼成硫酸カルシウム(焼セッコウ)、リン酸カルシウム、弗素アパタイト、ヒドロキシアパタイト、セラミックパウダー、金属石鹸(例えば、ミリスチン酸亜鉛、パルミチン酸カルシウム、ステアリン酸アルミニウム)、窒化ホウ素等);有機粉末(例えば、ポリアミド樹脂粉末(ナイロン粉末)、ポリエチレン粉末、ポリメタクリル酸メチル粉末、ポリスチレン粉末、スチレンとアクリル酸の共重合体樹脂粉末、ベンゾグアナミン樹脂粉末、ポリ四弗化エチレン粉末、セルロース粉末等);無機白色顔料(例えば、二酸化チタン、酸化亜鉛等);無機赤色系顔料(例えば、酸化鉄(ベンガラ)、チタン酸鉄等);無機褐色系顔料(例えば、γ−酸化鉄等);無機黄色系顔料(例えば、黄酸化鉄、黄土等);無機黒色系顔料(例えば、黒酸化鉄、低次酸化チタン等);無機紫色系顔料(例えば、マンゴバイオレット、コバルトバイオレット等);無機緑色系顔料(例えば、酸化クロム、水酸化クロム、チタン酸コバルト等);無機青色系顔料(例えば、群青、紺青等);パール顔料(例えば、酸化チタンコーテッドマイカ、酸化チタンコーテッドオキシ塩化ビスマス、酸化チタンコーテッドタルク、着色酸化チタンコーテッドマイカ、オキシ塩化ビスマス、魚鱗箔等);金属粉末顔料(例えば、アルミニウムパウダー、カッパーパウダー等);ジルコニウム、バリウム又はアルミニウムレーキ等の有機顔料(例えば赤色201号、赤色202号、赤色204号、赤色205号、赤色220号、赤色226号、赤色228号、赤色405号、橙色203号、橙色204号、黄色205号、黄色401号、及び青色404号などの有機顔料、赤色3号、赤色104号、赤色106号、赤色227号、赤色230号、赤色401号、赤色505号、橙色205号、黄色4号、黄色5号、黄色202号、黄色203号、緑色3号及び青色1号等);天然色素(例えば、クロロフィル、β−カロチン等)等が挙げられる。
【0048】
液体油脂としては、例えば、アボガド油、ツバキ油、タートル油、マカデミアナッツ油、トウモロコシ油、ミンク油、オリーブ油、ナタネ油、卵黄油、ゴマ油、パーシック油、小麦胚芽油、サザンカ油、ヒマシ油、アマニ油、サフラワー油、綿実油、エノ油、大豆油、落花生油、茶実油、カヤ油、コメヌカ油、シナギリ油、日本キリ油、ホホバ油、胚芽油、トリグリセリン等が挙げられる。
【0049】
固体油脂としては、例えば、カカオ脂、ヤシ油、馬脂、硬化ヤシ油、パーム油、牛脂、羊脂、硬化牛脂、パーム核油、豚脂、牛骨脂、モクロウ核油、硬化油、牛脚脂、モクロウ、硬化ヒマシ油等が挙げられる。
【0050】
ロウ類としては、例えば、ミツロウ、カンデリラロウ、綿ロウ、カルナウバロウ、ベイベリーロウ、イボタロウ、鯨ロウ、モンタンロウ、ヌカロウ、ラノリン、カポックロウ、酢酸ラノリン、液状ラノリン、サトウキビロウ、ラノリン脂肪酸イソプロピル、ラウリン酸ヘキシル、還元ラノリン、ジョジョバロウ、硬質ラノリン、セラックロウ、POEラノリンアルコールエーテル、POEラノリンアルコールアセテート、POEコレステロールエーテル、ラノリン脂肪酸ポリエチレングリコール、POE水素添加ラノリンアルコールエーテル等が挙げられる。
【0051】
炭化水素油としては、例えば、流動パラフィン、オゾケライト、スクワラン、プリスタン、パラフィン、セレシン、スクワレン、ワセリン、マイクロクリスタリンワックス等が挙げられる。
【0052】
高級脂肪酸としては、例えば、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸、オレイン酸、ウンデシレン酸、トール酸、イソステアリン酸、リノール酸、リノレイン酸、エイコサペンタエン酸(EPA)、ドコサヘキサエン酸(DHA)等が挙げられる。
【0053】
高級アルコールとしては、例えば、直鎖アルコール(例えば、ラウリルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、ミリスチルアルコール、オレイルアルコール、セトステアリルアルコール等);分枝鎖アルコール(例えば、モノステアリルグリセリンエーテル(バチルアルコール)、2-デシルテトラデシノール、ラノリンアルコール、コレステロール、フィトステロール、ヘキシルドデカノール、イソステアリルアルコール、オクチルドデカノール等)等が挙げられる。
【0054】
合成エステル油としては、ミリスチン酸イソプロピル、オクタン酸セチル、ミリスチン酸オクチルドデシル、パルミチン酸イソプロピル、ステアリン酸ブチル、ラウリン酸ヘキシル、ミリスチン酸ミリスチル、オレイン酸デシル、ジメチルオクタン酸ヘキシルデシル、乳酸セチル、乳酸ミリスチル、酢酸ラノリン、ステアリン酸イソセチル、イソステアリン酸イソセチル、 12-ヒドロキシステアリン酸コレステリル、ジ-2-エチルヘキサン酸エチレングリコール、ジペンタエリスリトール脂肪酸エステル、モノイソステアリン酸N-アルキルグリコール、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール、リンゴ酸ジイソステアリル、ジ-2-ヘプチルウンデカン酸グリセリン、トリ-2-エチルヘキサン酸トリメチロールプロパン、トリイソステアリン酸トリメチロールプロパン、テトラ-2-エチルヘキサン酸ペンタエリスリトール、トリ-2-エチルヘキサン酸グリセリン、トリオクタン酸グリセリン、トリイソパルミチン酸グリセリン、トリイソステアリン酸トリメチロールプロパン、セチル2-エチルヘキサノエート、2-エチルヘキシルパルミテート、トリミリスチン酸グリセリン、トリ-2-ヘプチルウンデカン酸グリセライド、ヒマシ油脂肪酸メチルエステル、オレイン酸オレイル、アセトグリセライド、パルミチン酸2-ヘプチルウンデシル、アジピン酸ジイソブチル、N-ラウロイル-L-グルタミン酸-2-オクチルドデシルエステル、アジピン酸ジ-2-ヘプチルウンデシル、エチルラウレート、セバシン酸ジ−2-エチルヘキシル、ミリスチン酸2-ヘキシルデシル、パルミチン酸2-ヘキシルデシル、アジピン酸2-ヘキシルデシル、セバシン酸ジイソプロピル、コハク酸2-エチルヘキシル、クエン酸トリエチル等が挙げられる。
【0055】
シリコーン油としては、例えば、鎖状ポリシロキサン(例えば、ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、ジフェニルポリシロキサン等);環状ポリシロキサン(例えば、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン等)、3次元網目構造を形成しているシリコーン樹脂、シリコーンゴム、各種変性ポリシロキサン(アミノ変性ポリシロキサン、ポリエーテル変性ポリシロキサン、アルキル変性ポリシロキサン、フッ素変性ポリシロキサン等)等が挙げられる。
【0056】
アニオン界面活性剤としては、例えば、脂肪酸セッケン(例えば、ラウリン酸ナトリウム、パルミチン酸ナトリウム等);高級アルキル硫酸エステル塩(例えば、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸カリウム等);アルキルエーテル硫酸エステル塩(例えば、POE-ラウリル硫酸トリエタノールアミン、POE-ラウリル硫酸ナトリウム等);N-アシルサルコシン酸(例えば、ラウロイルサルコシンナトリウム等);高級脂肪酸アミドスルホン酸塩(例えば、N-ミリストイル-N-メチルタウリンナトリウム、ヤシ油脂肪酸メチルタウリッドナトリウム、ラウリルメチルタウリッドナトリウム等);リン酸エステル塩(POE-オレイルエーテルリン酸ナトリウム、POE-ステアリルエーテルリン酸等);スルホコハク酸塩(例えば、ジ-2-エチルヘキシルスルホコハク酸ナトリウム、モノラウロイルモノエタノールアミドポリオキシエチレンスルホコハク酸ナトリウム、ラウリルポリプロピレングリコールスルホコハク酸ナトリウム等);アルキルベンゼンスルホン酸塩(例えば、リニアドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、リニアドデシルベンゼンスルホン酸トリエタノールアミン、リニアドデシルベンゼンスルホン酸等);高級脂肪酸エステル硫酸エステル塩(例えば、硬化ヤシ油脂肪酸グリセリン硫酸ナトリウム等);N-アシルグルタミン酸塩(例えば、N-ラウロイルグルタミン酸モノナトリウム、N-ステアロイルグルタミン酸ジナトリウム、N-ミリストイル-L-グルタミン酸モノナトリウム等);硫酸化油(例えば、ロート油等);POE-アルキルエーテルカルボン酸;POE-アルキルアリルエーテルカルボン酸塩;α-オレフィンスルホン酸塩;高級脂肪酸エステルスルホン酸塩;二級アルコール硫酸エステル塩;高級脂肪酸アルキロールアミド硫酸エステル塩;ラウロイルモノエタノールアミドコハク酸ナトリウム;N-パルミトイルアスパラギン酸ジトリエタノールアミン;カゼインナトリウム等が挙げられる。
【0057】
カチオン界面活性剤としては、例えば、アルキルトリメチルアンモニウム塩(例えば、塩化ステアリルトリメチルアンモニウム、塩化ラウリルトリメチルアンモニウム等);アルキルピリジニウム塩(例えば、塩化セチルピリジニウム等);塩化ジステアリルジメチルアンモニウムジアルキルジメチルアンモニウム塩;塩化ポリ(N,N'-ジメチル-3,5-メチレンピペリジニウム);アルキル四級アンモニウム塩;アルキルジメチルベンジルアンモニウム塩;アルキルイソキノリニウム塩;ジアルキルモリホニウム塩;POE-アルキルアミン;アルキルアミン塩;ポリアミン脂肪酸誘導体;アミルアルコール脂肪酸誘導体;塩化ベンザルコニウム;塩化ベンゼトニウム等が挙げられる。
【0058】
両性界面活性剤としては、例えば、イミダゾリン系両性界面活性剤(例えば、2-ウンデシル-N,N,N-(ヒドロキシエチルカルボキシメチル)-2-イミダゾリンナトリウム、2-ココイル-2-イミダゾリニウムヒドロキサイド-1-カルボキシエチロキシ2ナトリウム塩等);ベタイン系界面活性剤(例えば、2-ヘプタデシル-N-カルボキシメチル-N-ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン、ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン、アルキルベタイン、アミドベタイン、スルホベタイン等)等が挙げられる。
【0059】
親油性非イオン界面活性剤としては、例えば、ソルビタン脂肪酸エステル類(例えば、ソルビタンモノオレエート、ソルビタンモノイソステアレート、ソルビタンモノラウレート、ソルビタンモノパルミテート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタンセスキオレエート、ソルビタントリオレエート、ペンタ-2-エチルヘキシル酸ジグリセロールソルビタン、テトラ-2-エチルヘキシル酸ジグリセロールソルビタン等);グリセリンポリグリセリン脂肪酸類(例えば、モノ綿実油脂肪酸グリセリン、モノエルカ酸グリセリン、セスキオレイン酸グリセリン、モノステアリン酸グリセリン、α,α'-オレイン酸ピログルタミン酸グリセリン、モノステアリン酸グリセリンリンゴ酸等);プロピレングリコール脂肪酸エステル類(例えば、モノステアリン酸プロピレングリコール等);硬化ヒマシ油誘導体;グリセリンアルキルエーテル等が挙げられる。
【0060】
親水性非イオン界面活性剤としては、例えば、POE-ソルビタン脂肪酸エステル類(例えば、POE-ソルビタンモノオレエート、POE-ソルビタンモノステアレート、POE-ソルビタンモノオレエート、POE-ソルビタンテトラオレエート等);POEソルビット脂肪酸エステル類(例えば、POE-ソルビットモノラウレート、POE-ソルビットモノオレエート、POE-ソルビットペンタオレエート、POE-ソルビットモノステアレート等);POE-グリセリン脂肪酸エステル類(例えば、POE-グリセリンモノステアレート、POE-グリセリンモノイソステアレート、POE-グリセリントリイソステアレート等のPOE-モノオレエート等);POE-脂肪酸エステル類(例えば、POE-ジステアレート、POE-モノジオレエート、ジステアリン酸エチレングリコール等);POE-アルキルエーテル類(例えば、POE-ラウリルエーテル、POE-オレイルエーテル、POE-ステアリルエーテル、POE-ベヘニルエーテル、POE-2-オクチルドデシルエーテル、POE-コレスタノールエーテル等);プルロニック型類(例えば、プルロニック等);POE・POP-アルキルエーテル類(例えば、POE・POP-セチルエーテル、POE・POP-2-デシルテトラデシルエーテル、POE・POP-モノブチルエーテル、POE・POP-水添ラノリン、POE・POP-グリセリンエーテル等);テトラ POE・テトラPOP-エチレンジアミン縮合物類(例えば、テトロニック等);POE-ヒマシ油硬化ヒマシ油誘導体(例えば、POE-ヒマシ油、POE-硬化ヒマシ油、POE-硬化ヒマシ油モノイソステアレート、POE-硬化ヒマシ油トリイソステアレート、POE-硬化ヒマシ油モノピログルタミン酸モノイソステアリン酸ジエステル、POE-硬化ヒマシ油マレイン酸等);POE-ミツロウ・ラノリン誘導体(例えば、POE-ソルビットミツロウ等);アルカノールアミド(例えば、ヤシ油脂肪酸ジエタノールアミド、ラウリン酸モノエタノールアミド、脂肪酸イソプロパノールアミド等);POE-プロピレングリコール脂肪酸エステル;POE-アルキルアミン;POE-脂肪酸アミド;ショ糖脂肪酸エステル;アルキルエトキシジメチルアミンオキシド;トリオレイルリン酸等が挙げられる。
【0061】
保湿剤としては、具体的にはポリエチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、1,3-ブチレングリコール、キシリトール、ソルビトール、マルチトール、コンドロイチン硫酸、ヒアルロン酸、ムコイチン硫酸、カロニン酸、アテロコラーゲン、コレステリル-12-ヒドロキシステアレート、乳酸ナトリウム、胆汁酸塩、dl-ピロリドンカルボン酸塩、短鎖可溶性コラーゲン、ジグリセリン(EO)PO付加物、イザヨイバラ抽出物、セイヨウノコギリソウ抽出物、メリロート抽出物等が挙げられる。
【0062】
天然の水溶性高分子としては、例えば、植物系高分子(例えば、アラビアガム、トラガカントガム、ガラクタン、グアガム、キャロブガム、カラヤガム、カラギーナン、ペクチン、カンテン、クインスシード(マルメロ)、アルゲコロイド(カッソウエキス)、デンプン(コメ、トウモロコシ、バレイショ、コムギ)、グリチルリチン酸);微生物系高分子(例えば、キサンタンガム、デキストラン、サクシノグルカン、ブルラン等);動物系高分子(例えば、コラーゲン、カゼイン、アルブミン、ゼラチン等)等が挙げられる。
【0063】
半合成の水溶性高分子としては、例えば、デンプン系高分子(例えば、カルボキシメチルデンプン、メチルヒドロキシプロピルデンプン等);セルロース系高分子(メチルセルロース、エチルセルロース、メチルヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、セルロース硫酸ナトリウム、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、結晶セルロース、セルロース末等);アルギン酸系高分子(例えば、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸プロピレングリコールエステル等)等が挙げられる。
【0064】
合成の水溶性高分子としては、例えば、ビニル系高分子(例えば、ポリビニルアルコール、ポリビニルメチルエーテル、ポリビニルピロリドン、カルボキシビニルポリマー等);ポリオキシエチレン系高分子(例えば、ポリエチレングリコール20,000、40,000、60,000のポリオキシエチレンポリオキシプロピレン共重合体等);アクリル系高分子(例えば、ポリアクリル酸ナトリウム、ポリエチルアクリレート、ポリアクリルアミド等);ポリエチレンイミン;カチオンポリマー等が挙げられる。
【0065】
紫外線吸収剤としては、例えば、安息香酸系紫外線吸収剤(例えば、パラアミノ安息香酸(以下、PABAと略す)、PABAモノグリセリンエステル、N,N-ジプロポキシPABAエチルエステル、N,N-ジエトキシPABAエチルエステル、N,N-ジメチルPABAエチルエステル、N,N-ジメチルPABAブチルエステル、N,N-ジメチルPABAエチルエステル等);アントラニル酸系紫外線吸収剤(例えば、ホモメンチル-N- アセチルアントラニレート等);サリチル酸系紫外線吸収剤(例えば、アミルサリシレート、メンチルサリシレート、ホモメンチルサリシレート、オクチルサリシレート、フェニルサリシレート、ベンジルサリシレート、p-イソプロパノールフェニルサリシレート等);桂皮酸系紫外線吸収剤(例えば、オクチルシンナメート、エチル-4-イソプロピルシンナメート、メチル-2,5-ジイソプロピルシンナメート、エチル-2,4-ジイソプロピルシンナメート、メチル-2,4-ジイソプロピルシンナメート、プロピル-p-メトキシシンナメート、イソプロピル-p-メトキシシンナメート、イソアミル-p-メトキシシンナメート、オクチル-p-メトキシシンナメート(2-エチルヘキシル-p-メトキシシンナメート) 、2-エトキシエチル-p-メトキシシンナメート、シクロヘキシル-p-メトキシシンナメート、エチル-α-シアノ-β-フェニルシンナメート、2-エチルヘキシル-α-シアノ-β-フェニルシンナメート、グリセリルモノ-2-エチルヘキサノイル-ジパラメトキシシンナメート等);ベンゾフェノン系紫外線吸収剤(例えば、2,4-ジヒドロキシベンゾフェノン、2,2'- ジヒドロキシ-4- メトキシベンゾフェノン、2,2'-ジヒドロキシ-4,4'-ジメトキシベンゾフェノン、2,2',4,4'-テトラヒドロキシベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4- メトキシベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4- メトキシ-4'-メチルベンゾフェノン、2-ヒドロキシ-4- メトキシベンゾフェノン-5-スルホン酸塩、4-フェニルベンゾフェノン、2-エチルヘキシル-4'-フェニル-ベンゾフェノン-2-カルボキシレート、2-ヒドロキシ-4-n-オクトキシベンゾフェノン、4-ヒドロキシ-3-カルボキシベンゾフェノン等);3-(4'-メチルベンジリデン)-d,l-カンファー、3-ベンジリデン-d,l-カンファー;2-フェニル-5-メチルベンゾキサゾール;2,2'-ヒドロキシ-5-メチルフェニルベンゾトリアゾール;2-(2'-ヒドロキシ-5'-t-オクチルフェニル) ベンゾトリアゾール;2-(2'-ヒドロキシ-5'-メチルフェニルベンゾトリアゾール;ジベンザラジン;ジアニソイルメタン;4-メトキシ-4'-t-ブチルジベンゾイルメタン;5-(3,3-ジメチル-2-ノルボルニリデン)-3-ペンタン-2-オン等が挙げられる。
【0066】
金属イオン封鎖剤としては、例えば、1-ヒドロキシエタン-1,1-ジフォスホン酸、1-ヒドロキシエタン-1,1- ジフォスホン酸四ナトリウム塩、エデト酸二ナトリウム、エデト酸三ナトリウム、エデト酸四ナトリウム、クエン酸ナトリウム、ポリリン酸ナトリウム、メタリン酸ナトリウム、グルコン酸、リン酸、クエン酸、アスコルビン酸、コハク酸、エデト酸、エチレンジアミンヒドロキシエチル三酢酸3ナトリウム等が挙げられる。
【0067】
低級アルコールとしては、例えば、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、イソブチルアルコール、t-ブチルアルコール等が挙げられる。好ましくはエタノールである。
【0068】
多価アルコールとしては、例えば、2価のアルコール(例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、トリメチレングリコール、1,2-ブチレングリコール、1,3-ブチレングリコール、テトラメチレングリコール、2,3-ブチレングリコール、ペンタメチレングリコール、2-ブテン-1,4-ジオール、ヘキシレングリコール、オクチレングリコール等);3価のアルコール(例えば、グリセリン、トリメチロールプロパン等);4価アルコール(例えば、1,2,6-ヘキサントリオール等のペンタエリスリトール等);5価アルコール(例えば、キシリトール等);6価アルコール(例えば、ソルビトール、マンニトール等);多価アルコール重合体(例えば、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、テトラエチレングリコール、ジグリセリン、ポリエチレングリコール、トリグリセリン、テトラグリセリン、ポリグリセリン等);2価のアルコールアルキルエーテル類(例えば、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル、エチレングリコールモノヘキシルエーテル、エチレングリコールモノ2-メチルヘキシルエーテル、エチレングリコールイソアミルエーテル、エチレングリコールベンジルエーテル、エチレングリコールイソプロピルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールジブチルエーテル等);2価アルコールアルキルエーテル類(例えば、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールブチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールイソプロピルエーテル、ジプロピレングリコールメチルエーテル、ジプロピレングリコールエチルエーテル、ジプロピレングリコールブチルエーテル等);2価アルコールエーテルエステル(例えば、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノフェニルエーテルアセテート、エチレングリコールジアジベート、エチレングリコールジサクシネート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノプロピルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノフェニルエーテルアセテート等);グリセリンモノアルキルエーテル(例えば、キシルアルコール、セラキルアルコール、バチルアルコール等);糖アルコール(例えば、ソルビトール、マルチトール、マルトトリオース、マンニトール、ショ糖、エリトリトール、グルコース、フルクトース、デンプン分解糖、マルトース、キシリトース、デンプン分解糖還元アルコール等);グリソリッド;テトラハイドロフルフリルアルコール;POE-テトラハイドロフルフリルアルコール;POP-ブチルエーテル;POP・POE-ブチルエーテル;トリポリオキシプロピレングリセリンエーテル;POP-グリセリンエーテル;POP-グリセリンエーテルリン酸;POP・POE-ペンタンエリスリトールエーテル、ポリグリセリン等が挙げられる。
【0069】
単糖としては、例えば、三炭糖(例えば、D-グリセリルアルデヒド、ジヒドロキシアセトン等);四炭糖(例えば、D-エリトロース、D-エリトルロース、D-トレオース、エリスリトール等);五炭糖(例えば、L-アラビノース、D-キシロース、L-リキソース、D-アラビノース、D-リボース、D-リブロース、D-キシルロース、L-キシルロース等);六炭糖(例えば、D-グルコース、D-タロース、D-ブシコース、D-ガラクトース、D-フルクトース、L-ガラクトース、L-マンノース、D-タガトース等);七炭糖(例えば、アルドヘプトース、ヘプロース等);八炭糖(例えば、オクツロース等);デオキシ糖(例えば、2-デオキシ-D-リボース、6-デオキシ-L-ガラクトース、6-デオキシ-L-マンノース等);アミノ糖(例えば、D-グルコサミン、D-ガラクトサミン、シアル酸、アミノウロン酸、ムラミン酸等);ウロン酸(例えば、D-グルクロン酸、D-マンヌロン酸、L-グルロン酸、D-ガラクツロン酸、L-イズロン酸等)等が挙げられる。
【0070】
オリゴ糖としては、例えば、ショ糖、グンチアノース、ウンベリフェロース、ラクトース、プランテオース、イソリクノース類、α,α-トレハロース、ラフィノース、リクノース類、ウンビリシン、スタキオースベルバスコース類等が挙げられる。
【0071】
多糖としては、例えば、セルロース、クインスシード、コンドロイチン硫酸、デンプン、ガラクタン、デルマタン硫酸、グリコーゲン、アラビアガム、ヘパラン硫酸、ヒアルロン酸、トラガントガム、ケラタン硫酸、コンドロイチン、キサンタンガム、ムコイチン硫酸、グアガム、デキストラン、ケラト硫酸、ローカストビーンガム、サクシノグルカン、カロニン酸等が挙げられる。
【0072】
アミノ酸としては、例えば、中性アミノ酸(例えば、スレオニン、システイン等);塩基性アミノ酸(例えば、ヒドロキシリジン等)等が挙げられる。また、アミノ酸誘導体として、例えば、アシルサルコシンナトリウム(ラウロイルサルコシンナトリウム) 、アシルグルタミン酸塩、アシルβ-アラニンナトリウム、グルタチオン、ピロリドンカルボン酸等が挙げられる。
【0073】
有機アミンとしては、例えば、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、モルホリン、トリイソプロパノールアミン、2-アミノ-2-メチル−1,3-プロパンジオール、2-アミノ-2-メチル-1-プロパノール等が挙げられる。高分子エマルジョンとしては、例えば、アクリル樹脂エマルジョン、ポリアクリル酸エチルエマルジョン、アクリルレジン液、ポリアクリルアルキルエステルエマルジョン、ポリ酢酸ビニル樹脂エマルジョン、天然ゴムラテックス等が挙げられる。
【0074】
pH調整剤としては、例えば、乳酸−乳酸ナトリウム、クエン酸−クエン酸ナトリウム、コハク酸−コハク酸ナトリウム等の緩衝剤等が挙げられる。
ビタミン類としては、例えば、ビタミンA、B、B、B、C、E及びその誘導体、パントテン酸及びその誘導体、ビオチン等が挙げられる。
【0075】
酸化防止剤としては、例えば、トコフェロール類、ジブチルヒドロキシトルエン、ブチルヒドロキシアニソール、没食子酸エステル類等が挙げられる。
酸化防止助剤としては、例えば、リン酸、クエン酸、アスコルビン酸、マレイン酸、マロン酸、コハク酸、フマル酸、ケファリン、ヘキサメタフォスフェイト、フィチン酸、エチレンジアミン四酢酸等が挙げられる。
【0076】
その他の配合可能成分としては、例えば、防腐剤(エチルパラベン、ブチルパラベン等);消炎剤(例えば、グリチルリチン酸誘導体、グリチルレチン酸誘導体、サリチル酸誘導体、ヒノキチオール、酸化亜鉛、アラントイン等);美白剤(例えば、胎盤抽出物、ユキノシタ抽出物、アルブチン等);各種抽出物(例えば、オウバク、オウレン、シコン、シャクヤク、センブリ、バーチ、セージ、ビワ、ニンジン、アロエ、ゼニアオイ、アイリス、ブドウ、ヨクイニン、ヘチマ、ユリ、サフラン、センキュウ、ショウキュウ、オトギリソウ、オノニス、ニンニク、トウガラシ、チンピ、トウキ、海藻等)、賦活剤(例えば、ローヤルゼリー、感光素、コレステロール誘導体等);血行促進剤(例えば、ノニル酸ワレニルアミド、ニコチン酸ベンジルエステル、ニコチン酸β−ブトキシエチルエステル、カプサイシン、ジンゲロン、カンタリスチンキ、イクタモール、タンニン酸、α−ボルネオール、ニコチン酸トコフェロール、イノシトールヘキサニコチネート、シクランデレート、シンナリジン、トラゾリン、アセチルコリン、ベラパミル、セファランチン、γ−オリザノール等);抗脂漏剤(例えば、硫黄、チアントール等);抗炎症剤(例えば、トラネキサム酸、チオタウリン、ヒポタウリン等)等が挙げられる。
【0077】
本発明の皮膚外用剤の剤型は任意であり、溶液系、可溶化系、乳化系、粉末分散系、水-油二層系、水-油-粉末三層系、ジェル、ミスト、スプレー、ムース、ロールオン等どのような剤型でも構わない。不織布等のシートに含浸あるいは塗布した製剤なども可能である。また、本発明の化粧料の製品形態も任意であり、化粧水、乳液、クリーム、パック、リップクリーム等のフェーシャル化粧料;ファンデーション、口紅、アイシャドー等のメーキャップ化粧料;ボディー化粧料;芳香化粧料;メーク落とし、ボディーシャンプーなどの皮膚洗浄料;ヘアリキッド、ヘアトニック、ヘアコンディショナー、シャンプー、リンス、育毛料、染毛料等の頭髪化粧料;軟膏等が挙げられる。
特に、酸性染毛料やブリーチ剤、セルフタンニング、あるいはビタミンC誘導体を有効成分とする化粧料など、通常pHが5以下であるような皮膚外用剤や、エタノールを30質量%以上(さらには50質量%以上)と高配合した皮膚外用剤などは、本発明によって優れた増粘効果と使用感が付与でき、さらにpHやエタノールに起因する皮膚刺激性を緩和することができるという点で、好ましい製剤である。
【0078】
以下、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、以下の実施例において配合量は特に指定のない限り、質量%で示す。
また、本発明に用いた評価方法は次の通りである。増粘剤の比較対照としては、汎用の増粘剤であるカルボキシビニルポリマー(シンタレンL:3V sigma 製)を使用した。
【0079】
「ゲル形成能」
各製剤を調製後、ゲルの形成状態を観察した。評価基準は以下の通りである。
○・・・ゲル形成している
×・・・ゲル形成していない
【0080】
「外観の透明性」
各製剤を調製後、製剤の透明感について観察した。評価基準は以下の通りである。
◎・・・透明である
○・・・ほぼ透明である
×・・・白濁している
【0081】
「皮膚刺激性(ヒリつき感のなさ)」
専門パネラー10名により実使用試験を実施し、塗布後のヒリつき感のなさを評価した。評価基準は以下の通りである。
◎…専門パネラー8名以上が、塗布後ヒリつき感がないと認めた。
○…専門パネラー6名以上8名未満が、塗布後ヒリつき感がないと認めた。
△…専門パネラー3名以上6名未満が、塗布後ヒリつき感がないと認めた。
×…専門パネラー3名未満が、塗布後ヒリつき感がないと認めた。
【0082】
「ゲルのくずれやすさ・なじみ感」
専門パネラー10名により実使用試験を実施し、塗布中のゲルのくずれやすさ・なじみ感を評価した。評価基準は以下の通りである。
◎・・・専門パネラー8名以上が、塗布中ゲルがさっとくずれて速やかになじみ、みずみずしい使用感であると認めた。
○・・・専門パネラー6名以上8名未満が、塗布中ゲルがさっとくずれて速やかになじみ、みずみずしい使用感であると認めた。
△・・・専門パネラー3名以上6名未満が、塗布中ゲルがさっとくずれて速やかになじみ、みずみずしい使用感であると認めた。
×・・・専門パネラー3名未満が、塗布中ゲルがさっとくずれて速やかになじみ、みずみずしい使用感であると認めた。
【0083】
「しっとり感」
専門パネラー10名により実使用試験を実施し、塗布後のしっとり感を評価した。評価基準は以下の通りである。
◎…専門パネラー8名以上が、塗布後しっとり感があると認めた。
○…専門パネラー6名以上8名未満が、塗布後しっとり感があると認めた。
△…専門パネラー3名以上6名未満が、塗布後しっとり感があると認めた。
×…専門パネラー3名未満が、塗布後しっとり感があると認めた。
【0084】
「べたつき感のなさ」
専門パネラー10名により実使用試験を実施し、塗布後のべたつき感のなさを評価した。評価基準は以下の通りである。
◎…専門パネラー8名以上が、塗布後べたつき感がないと認めた。
○…専門パネラー6名以上8名未満が、塗布後べたつき感がないと認めた。
△…専門パネラー3名以上6名未満が、塗布後べたつき感がないと認めた。
×…専門パネラー3名未満が、塗布後べたつき感がないと認めた。
【実施例1】
【0085】
[ミクロゲルの合成]
合成例1 ポリ(ジメチルアクリルアミド-co-2-アクリルアミド2-メチルプロパンスルホン酸-co-メチレンビスアクリルアミド)]の合成
ジメチルアクリルアミド(興人製)を35gと2-アクリルアミド2-メチルプロパンスルホン酸(Sigma製)17.5gおよびメチレンビスアクリルアミド70mgを260gのイオン交換水に溶解し水酸化ナトリウムでpH=7.0に調節する。還流装置を備えた1000ml三つ口フラスコに、n-ヘキサン260gとポリオキシエチレン(3)オレイルエーテル(エマレックス503、日本エマルション製)8.7gおよびポリオキシエチレン(6)オレイルエーテル(エマレックス506、日本エマルション製)17.6gを入れ混合溶解しN2置換する。この三つ口フラスコにモノマー水溶液を添加してN2雰囲気下で攪拌しながらオイルバスで65℃〜70℃に加熱する。系の温度が65℃〜70℃に達したところで系が半透明なマイクロエマルション状態になっていることを確認した後、過硫酸アンモニウム2gを重合系に添加し重合を開始する。重合系を65〜70℃に3時間攪拌しながら維持することでミクロゲルが生成する。重合終了後ミクロゲル懸濁液にアセトンを加えてミクロゲルを沈殿させ、引き続きアセトンで3回洗浄し、残存モノマーおよび界面活性剤を除去する。沈殿物は濾過後減圧乾燥し、白色粉末状のミクロゲル乾燥物を得る。
【0086】
合成例2 ミクロゲル[ポリ(ジメチルアクリルアミド-co- N,N-ジメチルアミノプロピルアクリルアミドメチルクロライド-co-メチレンビスアクリルアミド)]の合成
ジメチルアクリルアミド(興人製)を35gとN,N-ジメチルアミノプロピルアクリルアミドメチルクロライド(興人製)17.5gおよびメチレンビスアクリルアミド70mgを260gのイオン交換水に溶解する。還流装置を備えた1000ml三つ口フラスコに、n-ヘキサン260gとポリオキシエチレン(3)オレイルエーテル(エマレックス503、日本エマルション製)8.7gおよびポリオキシエチレン(6)オレイルエーテル(エマレックス506、日本エマルション製)17.6gを入れ混合溶解しN2置換する。この三つ口フラスコにモノマー水溶液を添加してN2雰囲気下で攪拌しながらオイルバスで65℃〜70℃に加熱する。系の温度が65℃〜70℃に達したところで系が半透明なマイクロエマルション状態になっていることを確認した後、過硫酸アンモニウム2gを重合系に添加し重合を開始する。重合系を65〜70℃に3時間攪拌しながら維持することでミクロゲルが生成する。重合終了後ミクロゲル懸濁液にアセトンを加えてミクロゲルを沈殿させ、引き続きアセトンで3回洗浄し、残存モノマーおよび界面活性剤を除去する。沈殿物は濾過後減圧乾燥し、白色粉末状のミクロゲル乾燥物を得る。
【実施例2】
【0087】
[アルキレンオキシド誘導体の合成]
次に、本発明に係るアルキレンオキシド誘導体の合成方法について示す。本発明に試験で用いたアルキレンオキシド誘導体は以下の合成例に準じて合成したものである。なお、以下の合成例において、EOはオキシエチレン基、POはオキシプロピレン基、[(EO)/(PO)]はランダム状結合を表す。
【0088】
合成例3 ポリオキシエチレン(10モル)ポリオキシプロピレン(10モル)ジメチルエーテル(ブロックポリマー)の合成
CHO(EO)(PO)10(EO)CH
プロピレングリコール76gと触媒として水酸化カリウム3.1gをオートクレーブ中に仕込み、オートクレーブ中の空気を乾燥窒素で置換した後、攪拌しながら140℃で触媒を完全に溶解した。次に滴下装置によりプロピレンオキシド522gを滴下させ、2時間攪拌した。ひきつづき滴下装置によりエチレンオキシド440gを滴下させ、2時間攪拌した。次に、水酸化カリウム224gを仕込み、系内を乾燥窒素で置換した後、塩化メチル188gを温度80〜130℃で圧入し5時間反応させた。その後オートクレーブより反応組成物を取り出し、塩酸で中和してpH6〜7とし、含有する水分を除去するため減圧−0.095MPa(50mmHg)、100℃で1時間処理した。更に処理後生成した塩を除去するため濾過を行い、化合物13のアルキレンオキシド誘導体を得た。塩化メチルを反応させる前にサンプリングし、精製したものの水酸基価が110、得られた化合物13の水酸基価が0.3、末端メチル基数に対する水素原子数の割合は0.003であり、ほぼ完全に水素原子がメチル基に変換されている。
【0089】
合成例4 ポリオキシエチレン(10モル)ポリオキシプロピレン(10モル)ジメチルエーテル(ランダムポリマー)の合成
CHO[(EO)10/(PO)10]CH
プロピレングリコール76gと触媒として水酸化カリウム3.1gをオートクレーブ中に仕込み、オートクレーブ中の空気を乾燥窒素で置換した後、攪拌しながら140℃で触媒を完全に溶解した。次に滴下装置によりエチレンオキシド440gとプロピレンオキシド522gの混合物を滴下させ、2時間攪拌した。次に、水酸化カリウム224gを仕込み、系内を乾燥窒素で置換した後、塩化メチル188gを温度80〜130℃で圧入し5時間反応させた。その後オートクレーブより反応組成物を取り出し、塩酸で中和してpH6〜7とし、含有する水分を除去するため減圧−0.095MPa(50mmHg)、100℃で1時間処理した。更に処理後生成した塩を除去するため濾過を行い、化合物2のアルキレンオキシド誘導体を得た。塩化メチルを反応させる前にサンプリングし、精製したものの水酸基価が107、得られた化合物2の水酸基価が0.4、末端メチル基数に対する水素原子数の割合は0.004であり、ほぼ完全に水素原子がメチル基に変換されている。
【実施例3】
【0090】
[皮膚外用剤への配合]
上記のようにして得られたミクロゲル粉末ならびにアルキレンオキシド誘導体を用い、皮膚外用剤に配合した際の効果について検討した。
【表1】

【0091】
上記表1は、アルコール(エタノール)を高配合する透明水系のボディージェルである。
ミクロゲルとアルキレンオキシド誘導体とを併用した場合(試料1〜4)には、透明な外観を有するジェルが形成でき、しかも、ミクロゲルのみの場合(試料c)に比べ、塗布時にわずかな力でゲルがさっとくずれて液状化し、速やかに肌になじんで非常にみずみずしい感触であった。また、エタノールによる皮膚刺激性(ヒリつき感)も低減した。さらに、塗布後はべたつきがなくしっとりとした感触が得られた。
一方、ミクロゲルの代わりに汎用のカルボキシビニルポリマーを用いた場合(比較例a)には、エタノール高配合のため増粘することができず、ゲルを形成することができなかった。
【0092】
【表2】

【0093】
表2は、pH5以下の酸性染毛料である。なお、染料の配合により、外観は透明ではないため透明感の評価は行っていない。
ミクロゲルとアルキレンオキシド誘導体とを併用した場合(試料5〜6)では、ゲル形成能に優れているために使用時の液だれがなく、またミクロゲルのみの場合(試料f)に比べて、毛髪への塗布時にわずかな力でもゲルがさっとくずれて液状になり、毛髪へ速やかに均一になじんで塗布が非常にしやすく、みずみずしい感触であった。また、酸性pHによる皮膚刺激性(ヒリつき感)も低減した。
一方、ミクロゲルの代わりに汎用のカルボキシビニルポリマーを用いた場合(試料d)には、酸性条件のためのため増粘することができず、ゲルを形成することができなかった。
【0094】
【表3】

【0095】
表3は、エタノールを高配合したヘアジェルである。
ミクロゲルとアルキレンオキシド誘導体とを併用した場合(試料7〜10)では、ゲル形成能に優れ、透明な外観のヘアジェルが得られた。そして、ミクロゲルのみの場合(試料i)に比べ、塗布時にはわずかな力でもゲルがさっとくずれて液状になり、毛髪へ速やかに均一になじんで塗布が非常にしやすく、みずみずしい感触であった。また、エタノールによる皮膚刺激性(ヒリつき感)も低減していた。さらに、使用後はべたつきがなく、しっとりとした感触が得られた。
一方、ミクロゲルの代わりにカルボキシビニルポリマーを用いた場合(試料g)には、エタノールを高配合しているため増粘することができず、ゲルを形成することができなかった。
【0096】
【表4】

【0097】
表4は、エタノールを高配合するアフターシェーブローションである。
ミクロゲルとアルキレンオキシド誘導体とを併用した場合(試料10〜13)では、ゲル形成能に優れ、透明な外観を有していた。そして、ミクロゲルのみの場合(試料i)に比べて、肌への塗布時にゲルがさっとくずれてすばやくなじみ、非常にみずみずしい感触であった。また、エタノールによる皮膚刺激性(ヒリつき感)も低減していた。さらに、塗布後はべたつきがなく、しっとりとした感触が得られた。
一方、ミクロゲルの代わりにカルボキシビニルポリマーを用いた場合(試料j)には、エタノール高配合のため増粘することができず、ゲルを形成することができなかった。
【0098】
【表5】

【0099】
表5は、エタノールを高配合するヘアトニックである。
ミクロゲルとアルキレンオキシド誘導体とを併用した場合(試料13〜16)では、ゲル形成能に優れ、透明な外観を有していた。そして、ミクロゲルのみの場合(試料o)に比べて、塗布時にゲルがさっとくずれて速やかになじみ、非常にみずみずしい感触であった。また、エタノールによる皮膚刺激性(ヒリつき感)も低減していた。さらに、使用後はべたつきがなく、しっとりとした感触が得られた。
一方、ミクロゲルの代わりに汎用のカルボキシビニルポリマーを用いた場合(試料m)では、エタノール高配合のため増粘することができず、ゲルを形成することができなかった。
【0100】
【表6】

【0101】
表6は、透明ジェル型のセルフタンニング(pH5以下)である。「染色度合い」については、使用後の肌の観察して◎:非常に良い、○:良い、△:やや悪い、×:悪い、で評価した。
ミクロゲルとアルキレンオキシド誘導体とを併用した場合(試料17〜18)は、ゲル形成能に優れ、透明な外観を有していた。そして、ミクロゲルのみの場合(試料r)に比べて、塗布時にゲルがさっとくずれて肌にすみやかになじみ、非常にみずみずしい使用感であった。また、酸性pHによる皮膚刺激性(ヒリつき感)も低減していた。さらに、塗布後はべたつきがなく、しっとりとした使用感で、染色度合いも非常に良好であった。
一方、ミクロゲルの代わりにカルボキシビニルポリマーを用いた場合(試料p)には、酸性条件であるため増粘することができず、ゲルを形成することができなかった。また、染色度合いにも劣るものであった。
【0102】
【表7】

【0103】
表7は、O/W型のセルフタンニング(pH5以下)である。
ミクロゲルとアルキレンオキシド誘導体とを併用した場合(試料19〜20)では、水相のゲル形成能に優れていた。本セルフタンニングは乳化型であるため透明性は評価していないが、均一な外観を有し、粘度安定性も高かった。また、ミクロゲルのみの場合(試料u)に比べ、肌への塗布時には速やかになじみ、非常にみずみずしい使用感であった。また、酸性pHによる皮膚刺激性(ヒリつき感)も低減していた。さらに、塗布後はべたつきがなく、しっとりとした使用感で、染色度合いも非常に良好であった。
一方、ミクロゲルの代わりにカルボキシビニルポリマーを用いた場合(試料s)では、酸性条件であるため増粘することができず、ゲルを形成することができなかったために、乳化安定性に問題があった。また、染色度合いにも劣るものであった。
【0104】
【表8】

【0105】
表8は、ジェル状フレグランスである。
ミクロゲルとアルキレンオキシド誘導体とを併用した場合(試料21〜24)では、ゲル形成能に優れ、透明な外観を有していた。また、ミクロゲルのみの場合(試料x)の場合に比べて、塗布時にゲルがさっとくずれて肌に速やかになじみ、非常にみずみずしい使用感であった。また、エタノールによる皮膚刺激性(ヒリつき感)も低減していた。さらに、塗布後はべたつきがなくしっとりとした使用感であった。
一方、ミクロゲルの代わりにカルボキシビニルポリマーを用いた場合(試料v)では、エタノール高配合のため増粘することができず、ゲルを形成することができなかった。
【0106】
【表9】

【0107】
表9は、デオドラントローションである。
ミクロゲルとアルキレンオキシド誘導体とを併用した場合(試料25、26)では、ゲル形成能に優れ、透明な外観を有していた。そして、ミクロゲルのみの場合(試料aa)に比べて、塗布時にゲルがさっとくずれて肌に速やかになじみ、非常にみずみずしい使用感であった。また、エタノールによる皮膚刺激性(ヒリつき感)も低減していた。さらに、塗布後はべたつきがなく、しっとりとした使用感であった。
一方、ミクロゲルの代わりにカルボキシビニルポリマーを用いた場合(試料y)では、エタノール高配合のため増粘することができず、ゲルを形成することができなかった。
【0108】
【表10】

【0109】
表10は、ジェル状消毒剤である。
ミクロゲルとアルキレンオキシド誘導体とを併用した場合(試料27、28)では、ゲル形成能に優れ、透明な外観を有していた。そして、ミクロゲルのみの場合(試料ad)と比べて、塗布時にゲルがさっとくずれて肌に速やかになじみ、非常にみずみずしい感触であった。また、エタノールによる皮膚刺激性(ヒリつき感)も低減していた。さらに、塗布後はべたつきがなく、しっとりとした使用感であった。
一方、ミクロゲルの代わりにカルボキシビニルポリマーを用いた場合(試料ab)では、エタノール高配合のため増粘することができず、ゲルを形成することができなかった。
【実施例4】
【0110】
以上のように、ミクロゲルからなる増粘剤と、アルキレンオキシド誘導体との併用により、優れた効果が発揮される。そこで、さらにアルキレンオキシド誘導体の構造について検討を行った。なお、以下の表11〜14では何れも前記表1試料2のボディージェルの組成を用いている。
【0111】
[R,R
【表11】

【0112】
表11は、R、Rの異なるアルキレンオキシド誘導体(RO−[(EO)10/(PO)10]−R)を用いた結果である。
表11からわかるように、R,Rの両者の炭素数が1〜4の場合(化合物2〜4)には、いずれも優れた皮膚刺激性低減効果、使用感触が得られた。
これに対し、R,Rがの少なくとも一方が水素であった場合(化合物1、7)、及びRが12であった場合(化合物6)には、何れの評価も好ましくないものとなった。一方、R,Rの炭素数の和が7であり、化合物4よりも少ない場合でも、RがC6となる(化合物5)と使用感触が落ちる傾向にあった。
以上のことから、本発明に係るアルキレンオキシド誘導体においては、R,Rともに炭素数が1〜4の炭化水素基であることが必要である。
【0113】
なお、実際の製造にあたってはR,Rのすべてが炭化水素基により置換されるとは限らないため、その未置換(H)の化合物の許容存在割合について同様に検討を行った。なお、未置換の割合は、炭化水素基の数(X)に対する水素原子の数(Y)の割合Y/Xで表わす。なお、下記表12中、1:2=5:95は、化合物1と化合物2を5:95の割合で混合し、所定のY/Xに調整したことを意味する。
【0114】
【表12】

【0115】
前記表12より明らかなように、R,Rについて未反応のものが存在しても、その量が少なければ(Y/X=0.053)大きな影響はないが、Y/Xが0.202になると明らかに各評価が落ちる。更に本発明者等の詳細な検討の結果、Y/Xは0.15以下であることが必要であることが明らかとなった。
【0116】
[オキシアルキレン基、オキシエチレン基]
【表13】

*化合物13:
(化11)

【0117】
表13は、EO、POのモル数の異なるアルキレンオキシド誘導体(R=R=CH)を用いた結果である。また、表13において、化合物2’はブロックポリマー(合成例3)、化合物2はランダムポリマー(合成例4)、化合物8〜12は何れもランダムポリマーである。
表13より明らかなように、オキシアルキレン基及びオキシエチレン基の両者の存在が本発明の効果に不可欠である。なお、化合物13では効果が低いことから、アルキレンオキシド誘導体による効果は単に親水性、疎水性の調整効果ではないものとも考えられる。本発明者等の更に詳細な検討によりオキシアルキレン基及びオキシエチレン基の合計に対するオキシエチレン基の好適な割合は20〜80質量%であることが明らかとなった。
更に、本発明者等は同一アルキレン基数、オキシエチレン基数のブロックポリマー、ランダムポリマーの比較を行ったところ、ブロックポリマーであってもランダムポリマーであっても本発明の効果を奏することができるが、ランダムポリマーの方がより優れた使用感を得ることができた。
【0118】
[皮膚外用剤への配合量]
さらに、アルキレンオキシド誘導体の皮膚外用剤への配合量について、検討を行った。アルキレンオキシド誘導体としては前記化合物9を用い、配合量を変化させてボディージェルを調製した。増減はイオン交換水で調整した。結果を表14に示す。
【0119】
【表14】

【0120】
表14のように、本発明に係るアルキレンオキシド誘導体の添加効果は、0.1質量%程度から認められるが、特に顕著に認められるのは1.0質量%以上である。アルキレンオキシド誘導体の増量に伴ってその効果も向上するが、15質量%付近で過剰に配合しても効果の著しい向上は認められなくなってくるので、アルキレンオキシド誘導体の配合量としては15質量%以下、さらには10質量%以下が好適である。
以上、RおよびR、Y/X、EOおよびAO、さらには配合量等による影響について説明したが、これらの傾向は表1〜10記載の何れの皮膚外用剤についても同様であった。
【図面の簡単な説明】
【0121】
【図1】ヘキサン(Oで示す)/界面活性剤/水溶性エチレンモノマー水溶液(Wで示す)の3成分系相図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
有機溶媒若しくは油分を分散媒とし水を分散相とする組成物において、水溶性エチレン性不飽和モノマーを分散相に溶解し分散相中にてラジカル重合して得られるミクロゲルからなる増粘剤と、
下記一般式(1)で示されるアルキレンオキシド誘導体と、
を含有することを特徴とする皮膚外用剤。
(化1)
一般式(1)
O−[(AO)m(EO)n]−R
(式中、は炭素数3〜4のオキシアルキレン基、EOはオキシエチレン基、m及びnはそれぞれ前記オキシアルキレン基、オキシエチレン基の平均付加モル数で、1≦m≦70、1≦n≦70である。炭素数3〜4のオキシアルキレン基とオキシエチレン基の合計に対するオキシエチレン基の割合が、20〜80質量%である。炭素数3〜4のオキシアルキレン基とオキシエチレン基はブロック状に付加していてもランダム状に付加していてもよい。R及びRは同一もしくは異なっていてもよい炭素数1〜4の炭化水素基又は水素原子であり、R及びRの炭化水素基数に対する水素原子数の割合が0.15以下である。)
【請求項2】
請求項1記載の皮膚外用剤において、前記水溶性エチレン性不飽和モノマーが、一般式(2)に示されるジアルキルアクリルアミドと、イオン性アクリルアミド誘導体とであることを特徴とする皮膚外用剤。
(化2)

(RはHまたはメチル基、R及びRはそれぞれ独立にメチル基、エチル基、プロピル基、またはイソプロピル基を表わす。)
【請求項3】
請求項2記載の皮膚外用剤において、前記イオン性アクリルアミド誘導体が、一般式(3)に示されるアニオン性アクリルアミド誘導体であることを特徴とする皮膚外用剤。
(化3)

(R及びRはそれぞれ独立にH又はメチル基、Rは炭素原子数1〜6の直鎖若しくは分岐のアルキレン基、Xは金属イオン若しくはNHを表わす。)
【請求項4】
請求項2記載の皮膚外用剤において、前記イオン性アクリルアミド誘導体が、一般式(4)に示されるカチオン性アクリルアミド誘導体であることを特徴とする皮膚外用剤。
(化4)

(RはHまたはメチル基、RはHまたは炭素原子数1〜6の直鎖若しくは分岐のアルキル基、Rは炭素原子数1〜6の直鎖若しくは分岐のアルキレン基、R10、R11及びR12はそれぞれメチル基またはエチル基、Yはハロゲンイオンを表わす。)
【請求項5】
請求項2〜4の何れかに記載の皮膚外用剤において、前記水溶性エチレン性不飽和モノマーが、さらに一般式(5)に示される架橋性モノマーを含むことを特徴とする皮膚外用剤。
(化5)

(R13およびR17はそれぞれHまたはメチル基、R14およびR16はそれぞれ−O−または−NH−で示される基、R15は炭素原子数1〜6の直鎖もしくは分岐のアルキレン基または−(CHCHO)n−[但し、n=4〜100]を表す。)
【請求項6】
請求項1〜5の何れかに記載の皮膚外用剤において、低級アルコールを30質量%以上含むことを特徴とする皮膚外用剤。
【請求項7】
請求項1〜5の何れかに記載の皮膚外用剤において、pHが5以下であることを特徴とする皮膚外用剤。
【請求項8】
請求項1〜7の何れかに記載の皮膚外用剤において、前記アルキレンオキシド誘導体の配合量が0.1〜15質量%であることを特徴とする皮膚外用剤。


【図1】
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【公開番号】特開2006−257005(P2006−257005A)
【公開日】平成18年9月28日(2006.9.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−75426(P2005−75426)
【出願日】平成17年3月16日(2005.3.16)
【出願人】(000001959)株式会社資生堂 (1,748)
【Fターム(参考)】