説明

皮膚外用剤

【課題】 皮膚外用剤において、タンパク質分解酵素を安定に配合させて、長期保存が可能でかつ美白効果の高い皮膚外用剤を提供する。
【解決手段】 スブチリシンまたはスブチリシン架橋体と、水溶性高分子と、アルコキシサリチル酸またはその塩とを配合する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、皮膚外用剤に関するものであり、より詳細には、タンパク質分解酵素を安定に含む、美白効果に優れた皮膚外用剤に関するものである。
【背景技術】
【0002】
皮膚のしみ、そばかすなどの色素沈着は、ホルモンの異常や紫外線の刺激がきっかけとなって、表皮色素細胞内でのメラニン産生が亢進し、メラニンが表皮に過剰に沈着するため生じる。そこで、しみ、そばかすを防ぐために、例えばL−アスコルビン酸またはその誘導体、グルタチオン、ハイドロキノン配糖体、トラネキサム酸、アルコキシサリチル酸およびその塩のような、メラニンの生成を抑制する物質を配合した美白化粧料が用いられているが、メラニン生成を抑制するだけでは、古いメラニンの入った角質細胞の蓄積によるくすみを改善することはできなかった。そこで、古いメラニンを含む角質細胞を除去するために、タンパク質分解酵素を配合した化粧料が提案されている。例えば、特許文献1には、アスコルビン酸誘導体と、タンパク質分解酵素とを配合した化粧料が記載されている。しかしながら、タンパク質分解酵素は、水を配合した系では非常に不安定であり、急速に分解または失活して、使用時に十分な効果を発揮することはできなかった。
【0003】
タンパク質分解酵素は、タンパク質系の汚れや古い角質細胞等の皮膚細胞を除去して、肌のくすみやキメの粗さを改善したり、皮膚疾患を処置するために、洗顔料や皮膚洗浄用組成物のような各種洗浄料において従来から用いられているが、その水性媒体中での不安定性のため、主に水を配合しない粉末剤にその剤形が限られていた。
【0004】
水性媒体中でのタンパク質分解酵素の安定性を高める方法として、例えば、界面活性剤および洗剤用酵素を含む液体洗浄組成物に、洗剤ビルダーとしてトリエタノールアミンと食塩との組合せ、ならびに溶剤としてエタノールまたは多価アルコールを配合する方法(特許文献2)、不溶性担体にセリンプロテアーゼを固定化する方法(特許文献3)、さらには特定の高分子共重合体と組合せて配合する方法(特許文献4)等が知られている。
【0005】
しかしながら、これらの方法は、いずれも酵素の安定化にある程度の効果を示したが、長期間の保存が可能で、かつ高い美白効果を有する皮膚外用剤を提供することはできなかった。
【特許文献1】特開2002−284665号公報
【特許文献2】特開平4−54720号公報
【特許文献3】特開平8−38175号公報
【特許文献4】特開平11−246894号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上記のような事情に鑑み、皮膚外用剤において、タンパク質分解酵素を安定に配合させて、長期間に亘り安定に保存でき、かつ高い美白効果を有する皮膚外用剤を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者は、タンパク質分解酵素としてのスブチリシンまたはスブチリシン架橋体(以下スブチリシン等とも称する)を、水溶性高分子と共に配合することによって、水性媒体中でも長期間に亘りその酵素活性が安定に保持され、かつスブチリシン等を配合した皮膚外用剤が非常に高い角質剥離効果を有すること、さらには、美白薬剤としてのアルコキシサリチル酸またはその塩を、スブチリシン等と共に配合することによって、アルコキシサリチル酸またはその塩を単独で用いた場合よりも、相乗的に優れた高い美白効果をもたらすことができることを見出し、本願発明を完成するに至った。
【0008】
本発明の皮膚外用剤は、スブチリシンまたはスブチリシン架橋体と、水溶性高分子と、アルコキシサリチル酸またはその塩とを含有することを特徴とする。
【0009】
本発明の皮膚外用剤で用いられる水溶性高分子は、キサンタンガム、カルボキシメチルセルロースおよびカルボキシビニルポリマーよりなる群から選択される1種または2種以上であることが好ましい。それらの水溶性高分子をスブチリシン等と共に配合することによって、スブチリシン等を特に顕著に安定化させることができる。
【発明の効果】
【0010】
本発明の皮膚外用剤は、スブチリシンまたはスブチリシン架橋体と、水溶性高分子とを含有するため、水性媒体中でもスブチリシン等の活性が非常に安定に保持されて、長期保存が可能であり、かつ非常に高いくすみ改善効果をもたらすことができる。
【0011】
さらに、本発明の皮膚外用剤は、アルコキシサリチル酸またはその塩を、スブチリシン等と共に含有するため、相乗的に高められた非常に高い美白効果をもたらすことができる。
【0012】
従って、従来は、酵素活性の失活が原因でタンパク質分解酵素を配合できなかった任意の剤形において、長期間に亘り安定に保存できる、高い美白効果を有する皮膚外用剤を提供することが可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
本明細書において、スブチリシンは、バシラス属の細菌によって産生されるセリンプロテアーゼであり、例えば、バシラス・アミロリケファシエンス(Bacillus amyloliquefaciens)からのスブチリシン BPN'、バシラス・リシェニフォルミス(Bacillus licheniformis)からのスブチリシン カールスバーグ(Carlsberg)、バシラスDYからのスブチリシン DY、バシラス・アミロサッカリチクス(Bacillus amylosachariticus)からのスブチリシン アミロサッカリチクスなどを含む。
【0014】
また、本明細書において、スブチリシン架橋体は、スブチリシンを架橋して、高分子化したものを意味する。スブチリシンの酵素活性が損なわれない限り、その架橋の方法は特に限定されず、例えば、グルタルアルデヒドでスブチリシンを架橋したものが挙げられる。
【0015】
本発明の皮膚外用剤において、上記のスブチリシンまたはスブチリシン架橋体を1種単独で配合しても、あるいは2種以上を組み合わせて配合してもよい。スブチリシンとスブチリシン架橋体とを組合せて配合してもよい。
【0016】
本発明の皮膚外用剤中のスブチリシンおよび/またはスブチリシン架橋体の配合量は、皮膚外用剤の態様や、用いる酵素の活性等によって適宜決められ、特に限定はされないが、好ましくは、皮膚外用剤の全質量に対して、0.01〜10質量%であり、より好ましくは0.05〜5質量%である。
【0017】
本発明において用いられる水溶性高分子として、特に限定はされないが、アラビアガム、トラガガントガム、ガラクタン、グアガム、カラキーナン、ペクチン、クインスシード(マルメロ)抽出物、褐藻粉末等の植物系高分子、キサンタンガム、デキストラン、プルラン等の微生物系高分子、メチルセルロース、ニトロセルロース、エチルセルロース、メチルヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、セルロース硫酸塩、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロース、結晶セルロース、セルロース末等のセルロース類、ポリビニルアルコール、ポリビニルメチルエーテル、ポリビニルピロリドン、カルボキシビニルポリマー等のビニル系高分子、ポリアクリル酸およびその塩、ポリアクリルイミド等のアクリル系高分子等が挙げられる。これらの中で特に、キサンタンガム、カルボキシメチルセルロース、またはカルボキシビニルポリマーを用いた場合に、スブチリシン等をより顕著に安定化させることができ、さらに、カルボキシビニルポリマーが最も好ましい。
【0018】
本発明の皮膚外用剤において、上記の水溶性高分子を1種単独で配合しても、あるいは2種以上を組合せて配合してもよい。
【0019】
本発明の皮膚外用剤中における水溶性高分子の配合量は、皮膚外用剤の態様等によって適宜決められ、特に限定はされないが、好ましくは、皮膚外用剤の全質量に対して、0.01〜5.0質量%であり、より好ましくは0.1〜1.0質量%である。
【0020】
本発明の皮膚外用剤で用いられるアルコキシサリチル酸としては、3−メトキシサリチル酸、4−メトキシサリチル酸、5−メトキシサリチル酸などが挙げられ、また、その塩としては、例えば、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、トリエタノールアミンなどの各塩が例示される。
【0021】
本発明の皮膚外用剤において、上記のアルコキシサリチル酸またはその塩を1種単独で配合しても、あるいは2種以上を組合せて配合してもよい。アルコキシサリチル酸とその塩とを組合せて配合してもよい。
【0022】
本発明の皮膚外用剤中の上記のアルコキシサリチル酸および/またはその塩の配合量は、皮膚外用剤の態様等によって適宜決められ、特に限定はされないが、好ましくは、皮膚外用剤の全質量に対して、0.01〜20質量%であり、より好ましくは0.1〜10質量%である。
【0023】
本明細書において、「皮膚外用剤」は、外皮に適用するものであれば特に限定されず、化粧料、医薬品、医薬部外品等を含む。また、その剤型も、水溶液系、可溶化系、乳化系、油液系、ゲル系、ペースト系、軟膏系、粉末系、エアゾール系、水−油2層系、水−油−粉末3層など、任意の剤型を含む。また、シート状基剤に担持されたものも含む。特に、水配合製剤において、本発明の効果が顕著である。
【0024】
またその使用形態も任意であり、例えば化粧水、乳液、クリーム、パック等のスキンケア化粧料、ファンデーション等のメーキャップ化粧料、芳香化粧料、浴用剤、洗浄料等に用いることができるが、これら例示に限定されるものでないことはもちろんである。
【0025】
本発明の皮膚外用剤は、上記した必須構成成分の他に、通常化粧品や医薬品等の皮膚外用剤に用いられる他の任意の成分を必要に応じて適宜配合し、目的とする剤形に応じて常法により製造することが出来る。例えば、上記必須配合成分と、下記成分の1種または2種以上とを配合して本発明の皮膚外用剤を調製できる。
【0026】
紫外線吸収剤としては、例えば、パラアミノ安息香酸(以下 PABAと略す)、PABAモノグリセリンエステル、N,N-ジプロポキシPABAエチルエステル、N,N-ジエトキシPABAエチルエステル、N,N-ジメチルPABAエチルエステル、N,N-ジメチルPABAブチルエステル、N,N-ジメチルPABAメチルエステル等の安息香酸系紫外線吸収剤、ホモメンチル-N- アセチルアントラニレート等のアントラニル酸系紫外線吸収剤、アミルサリシレート、メンチルサリシレート、ホモメンチルサリシレート、オクチルサリシレート、フェニルサリシレート、ベンジルサリシレート、p-イソプロパノールフェニルサリシレート等のサリチル酸系紫外線吸収剤、オクチルシンナメート、エチル-4-イソプロピルシンナメート、メチル-2,5- ジイソプロピルシンナメート、エチル-2,4-ジイソプロピルシンナメート、メチル-2,4-ジイソプロピルシンナメート、プロピル-p-メトキシシンナメート、イソプロピル-p-メトキシシンナメート、イソアミル-p-メトキシシンナメート、オクチル-p-メトキシシンナメート(2- エチルヘキシル-p-メトキシシンナメート)、2-エトキシエチル-p-メトキシシンナメート、シクロヘキシル-p- メトキシシンナメート、エチル-α-シアノ−β-フェニルシンナメート、2-エチルヘキシル-α-シアノ-β-フェニルシンナメート、グリセリルモノ-2-エチルヘキサノイル-ジパラメトキシシンナメート、トリメトキシ桂皮酸メチルビス(トリメチルシロキサン)シリルイソペンチル等の桂皮酸系紫外線吸収剤、3-(4'-メチルベンジリデン)-d,1-カンファー、3-ベンジリデン-d,1-カンファー、ウロカニン酸、ウロカニン酸エチルエステル、2-フェニル-5-メチルベンゾキサゾール、2,2'-ヒドロキシ-5-メチルフェニルベンゾトリアゾール、2-(2'-ヒドロキシ-5'-t-オクチルフェニル) ベンゾトリアゾール、2-(2'-ヒドロキシ-5'-メチルフェニルベンゾトリアゾール、ジベンザラジン、ジアニソイルメタン、4-メトキシ-4'-t-ブチルジベンゾイルメタン、5-(3,3-ジメチル-2-ノルボルニリデン)-3-ペンタン-2-オン、ジモルホリノピリダジノン等が挙げられ、任意の1種または2種以上を用いることができる。
【0027】
紫外線散乱剤としては、酸化チタン、微粒子酸化チタン、酸化亜鉛、微粒子酸化亜鉛、酸化鉄、微粒子酸化鉄、酸化セリウムなどの粉末が挙げられる。
【0028】
これら紫外線散乱剤は、通常、針状、紡錘状、球状、粒状の粉末が使用される。また、粒子径が0.1μm以下の微粒子粉末が好ましい。
【0029】
メチルハイドロジェンポリシロキサンやシランカップリング剤などのシリコーン処理;金属石鹸処理;パーフルオロアルキルリン酸ジエタノールアミン塩やパーフルオロアルキルシラン等のフッ素処理、デキストリン脂肪酸エステル処理等により、疎水化処理した紫外線散乱剤も好ましい。
【0030】
液体油脂としては、例えば、アボガド油、ツバキ油、タートル油、マカデミアナッツ油、トウモロコシ油、ミンク油、オリーブ油、ナタネ油、卵黄油、ゴマ油、パーシック油、小麦胚芽油、サザンカ油、ヒマシ油、アマニ油、サフラワー油、綿実油、エノ油、大豆油、落花生油、茶実油、カヤ油、コメヌカ油、シナギリ油、日本キリ油、ホホバ油、胚芽油、トリグリセリン等が挙げられる。
【0031】
固体油脂としては、例えば、カカオ脂、ヤシ油、馬脂、硬化ヤシ油、パーム油、牛脂、羊脂、硬化牛脂、パーム核油、豚脂、牛骨脂、モクロウ核油、硬化油、牛脚脂、モクロウ、硬化ヒマシ油等が挙げられる。
【0032】
ロウ類としては、例えば、ミツロウ、カンデリラロウ、綿ロウ、カルナウバロウ、ベイベリーロウ、イボタロウ、鯨ロウ、モンタンロウ、ヌカロウ、ラノリン、カポックロウ、酢酸ラノリン、液状ラノリン、サトウキビロウ、ラノリン脂肪酸イソプロピル、ラウリン酸ヘキシル、還元ラノリン、ジョジョバロウ、硬質ラノリン、セラックロウ、POEラノリンアルコールエーテル、POEラノリンアルコールアセテート、POEコレステロールエーテル、ラノリン脂肪酸ポリエチレングリコール、POE水素添加ラノリンアルコールエーテル等が挙げられる。
【0033】
炭化水素油としては、例えば、流動パラフィン、オゾケライト、スクワラン、プリスタン、パラフィン、セレシン、スクワレン、ワセリン、マイクロクリスタリンワックス、ポリエチレンワックス、フィッシャートロプッシュワックス等が挙げられる。
【0034】
高級脂肪酸としては、例えば、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘニン酸、オレイン酸、ウンデシレン酸、トール酸、リノール酸、リノレイン酸、エイコサペンタエン酸(EPA)、ドコサヘキサエン酸(DHA)等が挙げられる。
【0035】
高級アルコールとしては、例えば、直鎖アルコール(例えば、ラウリルアルコール、セチルアルコール、ステアリルアルコール、ベヘニルアルコール、ミリスチルアルコール、オレイルアルコール、セトステアリルアルコール等);分枝鎖アルコール(例えば、モノステアリルグリセリンエーテル(バチルアルコール)、2-デシルテトラデシノール、ラノリンアルコール、コレステロール、フィトステロール、ヘキシルドデカノール、オクチルドデカノール等)等が挙げられる。
【0036】
合成エステル油としては、ミリスチン酸イソプロピル、オクタン酸セチル、ミリスチン酸オクチルドデシル、パルミチン酸イソプロピル、ステアリン酸ブチル、ラウリン酸ヘキシル、ミリスチン酸ミリスチル、オレイン酸デシル、ジメチルオクタン酸ヘキシルデシル、乳酸セチル、乳酸ミリスチル、酢酸ラノリン、ステアリン酸イソセチル、イソステアリン酸イソセチル、12-ヒドロキシステアリン酸コレステリル、ジ-2-エチルヘキサン酸エチレングリコール、ジペンタエリスリトール脂肪酸エステル、モノイソステアリン酸N-アルキルグリコール、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール、リンゴ酸ジイソステアリル、ジ-2-ヘプチルウンデカン酸グリセリン、トリ-2-エチルヘキサン酸トリメチロールプロパン、トリイソステアリン酸トリメチロールプロパン、テトラ-2-エチルヘキサン酸ペンタエリスリトール、トリ-2-エチルヘキサン酸グリセリン、トリオクタン酸グリセリン、トリイソパルミチン酸グリセリン、トリイソステアリン酸トリメチロールプロパン、セチル2-エチルヘキサノエート、2-エチルヘキシルパルミテート、トリミリスチン酸グリセリン、トリ-2-ヘプチルウンデカン酸グリセライド、ヒマシ油脂肪酸メチルエステル、オレイン酸オレイル、アセトグリセライド、パルミチン酸2-ヘプチルウンデシル、アジピン酸ジイソブチル、N-ラウロイル-L-グルタミン酸-2-オクチルドデシルエステル、アジピン酸ジ-2-ヘプチルウンデシル、エチルラウレート、セバシン酸ジ−2-エチルヘキシル、ミリスチン酸2-ヘキシルデシル、パルミチン酸2-ヘキシルデシル、アジピン酸2-ヘキシルデシル、コハク酸2-エチルヘキシル、クエン酸トリエチル、ポリオキシエチレン・ポリオキシプロピレンランダム重合体メチル エーテル 等が挙げられる。
【0037】
シリコーン油としては、例えば、鎖状ポリシロキサン(例えば、ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、ジフェニルポリシロキサン等);環状ポリシロキサン(例えば、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン等)、3次元網目構造を形成しているシリコーン樹脂、シリコーンゴム、各種変性ポリシロキサン(アミノ変性ポリシロキサン、ポリエーテル変性ポリシロキサン、アルキル変性ポリシロキサン、フッ素変性ポリシロキサン等)等が挙げられる。
【0038】
その他には、例えば、ポリエチレングリコール,グリセリン、1,3-ブチレングリコール,エリスリトール,ソルビトール,キシリトール,マルチトール等の保湿剤;エタノール等の低級アルコール;ブチルヒドロキシトルエン,トコフェロール,フィチン等の酸化防止剤;安息香酸,サリチル酸,ソルビン酸,パラオキシ安息香酸アルキルエステル,ヘキサクロロフェン等の抗菌剤;アシルサルコシン酸(例えばラウロイルサルコシンナトリウム)、グルタチオン、クエン酸,リンゴ酸,酒石酸,乳酸等の有機酸;ビタミンA及びその誘導体、ビタミンB6塩酸塩,ビタミンB6トリパルミテート,ビタミンB6ジオクタノエート,ビタミンB2及びその誘導体,ビタミンB12,ビタミンB15及びその誘導体等のビタミンB類、アスコルビン酸,アスコルビン酸硫酸エステル(塩),アスコルビン酸リン酸エステル(塩),アスコルビン酸ジパルミテート等のビタミンC類、α−トコフェロール,β−トコフェロール,δ−トコフェロール,ビタミンEアセテート等のビタミンE類、ビタミンD類、ビタミンH、パントテン酸、パンテチン等のビタミン類;ニコチン酸アミド、ニコチン酸ベンジル、γ−オリザノール、アラントイン、グリチルリチン酸(塩)、グリチルレチン酸及びその誘導体、ヒノキチオール、ビサボロール、ユーカルプトーン、チモール、イノシトール、サイコサポニン、ニンジンサポニン、ヘチマサポニン、ムクロジサポニン等のサポニン類、パントテニルエチルエーテル、エチニルエストラジオール、セファランチン、プラセンタエキス等の各種薬剤、ギシギシ、クララ、コウホネ、オレンジ、セージ、ノコギリソウ、ゼニアオイ、センブリ、タイム、トウキ、トウヒ、バーチ、スギナ、ヘチマ、マロニエ、ユキノシタ、アルニカ、ユリ、ヨモギ、シャクヤク、アロエ、クチナシ、サワラ、セイヨウサンザシエキス、セイヨウオトギリソウエキス、アイリス・インエキス、アセンヤクエキス、イチョウ葉エキス、イブキジャコウエキス、ウイキョウエキス、ウーロン茶エキス、ウオーターリリーエキス、エイジツエキス、エンメイソウエキス、オウゴンエキス、オウバクエキス、オドリコソウエキス、カンゾウエキス、クチナシエキス、紅茶エキス、セイカリュウエキス、トルメンチラエキス、バラエキス、ヘチマエキス、ペパーミントエキス、ローズマリーエキス、ローヤルゼリーエキス等の植物の抽出物、色素、モノラウリン酸ソルビタン、モノパルミチン酸ソルビタン、セスキオレイン酸ソルビタン、トリオレイン酸ソルビタン、モノラウリン酸ポリオキシエチレンソルビタン、モノステアリン酸ポリオキセチレンソルビタン、ポリエチレングリコールモノオレート、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリグリコールジエーテル、ラウロイルジエタノールアマイド、脂肪酸イソプロパノールアマイド、マルチトールヒドロキシ脂肪酸エーテル、アルキル化多糖、アルキルグルコシド、シュガーエステル等の非イオン性活性剤、ステアリルトリメチルアンモニウムクロライド、塩化ベンザルコニウム、ラウリルアミンオキサイド等のカチオン性界面活性剤、パルミチン酸ナトリウム、ラウリン酸ナトリウム、ラウリル酸ナトリウム、ラウリル硫酸カリウム、アルキル硫酸トリエタノールアミンエーテル、ロート油、リニアドデシルベンゼン硫酸、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油マレイン酸、アシルメチルタウリン等のアニオン性界面活性剤、両性界面活性剤、中和剤、δ−トコフェロール、ブチルヒドロキシトルエン等の酸化防止剤、フェノキシエタノール、パラベン等の防腐剤が挙げられる。
【0039】
さらに、本発明の皮膚外用剤は、アルコキシサリチル酸またはその塩の他に、美白効果を有する他の任意の成分を含んでいてもよい。例えば、そのような成分として、ハイドロキノン配糖体、トラネキサム酸またはその誘導体、レゾルシン、4−n−ブチルレゾルシノールなどのアルキルレゾルシノール、およびこれらの塩のようなレゾルシンおよびその誘導体、グルタチオン、コウジ酸、エラグ酸、さらには美白効果を有する生薬等が挙げられる。
【0040】
ハイドロキノン配糖体としては、例えばハイドロキノンα−D−グルコース、ハイドロキノンβ−D−グルコース(「アルブチン」ともいう)、ハイドロキノンα−L−グルコース、ハイドロキノンβ−L−グルコース、ハイドロキノンα−D−ガラクトース、ハイドロキノンβ−D−ガラクトース、ハイドロキノンα−L−ガラクトース、ハイドロキノンβ−L−ガラクトース等の六炭糖配糖体;ハイドロキノンα−D−リボース、ハイドロキノンβ−D−リボース、ハイドロキノンα−L−リボース、ハイドロキノンβ−L−リボース、ハイドロキノンα−D−アラビノース、ハイドロキノンβ−D−アラビノース、ハイドロキノンα−L−アラビノース、ハイドロキノンβ−L−アラビノース等の五炭糖配糖体;ハイドロキノンα−D−グルコサミン、ハイドロキノンβ−D−グルコサミン、ハイドロキノンα−L−グルコサミン、ハイドロキノンβ−L−グルコサミン、ハイドロキノンα−D−ガラクトサミン、ハイドロキノンβ−D−ガラクトサミン、ハイドロキノンα−L−ガラクトサミン、ハイドロキノンβ−L−ガラクトサミン等のアミノ糖配糖体;ハイドロキノンα−D−グルクロン酸、ハイドロキノンβ−D−グルクロン酸、ハイドロキノンα−L−グルクロン酸、ハイドロキノンβ−L−グルクロン酸、ハイドロキノンα−D−ガラクツロン酸、ハイドロキノンβ−D−ガラクツロン酸、ハイドロキノンα−L−ガラクツロン酸、ハイドロキノンβ−L−ガラクツロン酸等のウロン酸炭糖配糖体など、さらには、それらのアセチル化物等のエステル体、メチル化物等のエーテル体などの誘導体が挙げられる。
【0041】
また、トラネキサム酸またはその誘導体としては、例えば、トラネキサム酸、トラネキサム酸の二量体〔例えば、塩酸トランス−4−(トランス−アミノメチルシクロヘキサンカルボニル)アミノメチルシクロヘキサンカルボン酸、等〕、トラネキサム酸とハイドロキノンのエステル体〔例えば、トランス−4−アミノメチルシクロへキサンカルボン酸4’−ヒドロキシフェニルエステル、等〕、トラネキサム酸とゲンチシン酸のエステル体〔例えば、2−(トランス−4−アミノメチルシクロヘキシルカルボニルオキシ)−5−ヒドロキシ安息香酸およびその塩、等〕、トラネキサム酸のアミド体〔例えば、トランス−4−アミノメチルシクロヘキサンカルボン酸メチルアミドおよびその塩、トランス−4−(p−メトキシベンゾイル)アミノメチルシクロヘキサンカルボン酸およびその塩、トランス−4−グアニジノメチルシクロヘキサンカルボン酸およびその塩、等〕などが挙げられる。
【実施例】
【0042】
以下、実施例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に限定されるものではない。
【0043】
スブチリシンまたはスブチリシン架橋体の酵素活性に対する水溶性高分子の効果の検討
表1に示す配合組成で各試料を調製した。配合量は全て試料全量に対する質量%で表す:
【表1】

【0044】
スブチリシンとしてProtease type VIII(Subtilisin Carlsberg)(Sigma社製)、スブチリシン架橋体としてスブチリシン架橋体液(COLETICA社製)を用いた。
【0045】
各試料を調製した直後、ならびに各試料を50℃の恒温槽で1ヶ月保管した後、以下のように酵素活性を測定した。
【0046】
<酵素活性の測定>
0.046M Tris−HCl緩衝液(pH8.0)2.6mlと、0.01M TAME(N−p−トシル−アルギニンメチルエステル)(T4626 Sigma社製)溶液0.3mlとを試験管に入れ攪拌して、酵素反応用の基質を含む反応溶液を調製した。調製直後または1ヶ月保管後の各試料(試験例1から4または比較例1から5)0.1mlを反応溶液に加え、攪拌後、直ちに分光光度計(反応速度測定対応型)により、波長247nmで吸光度を経時的に測定した。経時的な吸光度の変化から、タンパク質分解酵素(プロテアーゼ)活性(dA247/分)を求めた。酵素残存率は以下の式より求めた:
【数1】

【0047】
表1から明らかであるように、水溶性高分子をスブチリシンまたはスブチリシン架橋体と共に配合することによって、スブチリシン等の酵素活性が非常に安定に保持された。
【0048】
美白効果の検討
表2に示す配合組成で、スブチリシンまたはスブチリシン架橋体と、水溶性高分子としてのカルボキシビニルポリマーと、アルコキシサリチル酸である4−メトキシサリチル酸とを含む本発明の外用剤(実施例1および2)、ならびに比較試料(比較例1から3)を調製した。配合量は全て試料全量に対する質量%で表す:
【表2】

【0049】
スブチリシンとしてProtease type VIII(Subtilisin Carlsberg)(Sigma社製)、スブチリシン架橋体としてスブチリシン架橋体液(COLETICA社製)を用いた。以下のように、美白効果(シミ・ソバカスの状態、および肌のくすみの改善)について各試料を評価した。
【0050】
<評価方法>
シミ、ソバカス、および肌のくすみに悩む女性パネル10名に、本発明の外用剤(実施例1および2)と比較品(比較例1から3)のそれぞれの試料を、顔面に2ヵ月間連用させ、連用後の肌状態(シミ・ソバカスの状態、および肌のくすみ)について以下の基準で評価した。
【0051】
<シミ・ソバカスの状態の評価基準>
◎:シミ・ソバカスが改善されたと答えたパネルが、10名中8名以上
○:シミ・ソバカスが改善されたと答えたパネルが、10名中6〜7名
△:シミ・ソバカスが改善されたと答えたパネルが、10名中3〜5名
×:シミ・ソバカスが改善されたと答えたパネルが、10名中2名以下
【0052】
<肌のくすみの評価基準>
◎:肌のくすみが改善されたと答えたパネルが、10名中8名以上
○:肌のくすみが改善されたと答えたパネルが、10名中6〜7名
△:肌のくすみが改善されたと答えたパネルが、10名中3〜5名
×:肌のくすみが改善されたと答えたパネルが、10名中2名以下
【0053】
表2から明らかであるように、スブチリシンまたはスブチリシン架橋体と、水溶性高分子と、4−メトキシサリチル酸とを含む本発明の外用剤(実施例1および2)は、シミ・ソバカスの状態および肌のくすみの両方を非常に顕著に改善することができた。一方、スブチリシン等を含まない比較例1および2では、肌のくすみをほとんど改善することができず、また4−メトキシサリチル酸を含まない比較例3では、シミ・ソバカスの状態をほとんど改善できなかった。
【0054】
以下に、本発明の皮膚外用剤の他の処方例を実施例として示す。配合量は全て外用剤全量に対する質量%で表す。
【0055】
実施例3:パック化粧料
配合成分 配合量(質量%)
スブチリシン架橋体 0.5
カルボキシビニルポリマー 0.15
エタノール 5.0
ダイナマイトグリセリン 3.0
アルブチン 3.0
4−メトキシサリチル酸 2.0
クエン酸 0.01
クエン酸ナトリウム 0.09
エデト酸3ナトリウム 0.1
イオン交換水 残余
【0056】
実施例4:拭き取り用化粧水
配合成分 配合量(質量%)
スブチリシン架橋体 0.5
キサンタンガム 0.5
エタノール 5.0
1,3−ブチレングリコール 1.0
トラネキサム酸 3.0
4−メトキシサリチル酸 3.0
クエン酸 0.01
クエン酸ナトリウム 0.09
エデト酸3ナトリウム 0.1
イオン交換水 残余
【0057】
上記の実施例3および4の皮膚外用剤は、非常に高い美白効果を有していた。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
スブチリシンまたはスブチリシン架橋体と、水溶性高分子と、アルコキシサリチル酸またはその塩とを含有する皮膚外用剤。
【請求項2】
前記水溶性高分子が、キサンタンガム、カルボキシメチルセルロースおよびカルボキシビニルポリマーよりなる群から選択される1種または2種以上であることを特徴とする請求項1記載の皮膚外用剤。

【公開番号】特開2006−8630(P2006−8630A)
【公開日】平成18年1月12日(2006.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−190736(P2004−190736)
【出願日】平成16年6月29日(2004.6.29)
【出願人】(000001959)株式会社資生堂 (1,748)
【Fターム(参考)】