説明

皮膚外用剤

【課題】マンノシルエリスリトールリピッドを用い、塗布時の感触が良好で、透明性を有し、安定な水性の皮膚外用剤を提供する。
【解決手段】次の成分(A)及び(B)を含有することを特徴とする皮膚外用剤。
(A)HLBが10以上のポリオキシエチレン硬化ヒマシ油
(B)マンノシルエリスリトールリピッド 0.01〜4質量%

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、安定性及び使用感触に優れた水性の皮膚外用剤に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、新規バイオサーファクタントの1種としてマンノシルエリスリトールリピッドが開発され、抗炎症作用、抗アレルギー作用、抗菌作用など種々の生理作用を有することが報告されている(特許文献1、2参照)。
しかしながら、マンノシルエリスリトールリピッドのみでは水への分散性が低く、化粧水のような低粘度の水性の皮膚外用剤を形成しづらいため、クリーム又は乳液の形態といった製剤上の制限があった。また、マンノシルエリスリトールリピッドはエタノールへの溶解性があることから、エタノールを多量に用いた製剤(育毛・養毛剤)が開発されている(特許文献3参照)が、エタノールの刺激性から、皮膚外用剤としては利用しにくいという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−68015号公報
【特許文献2】特開昭57−145896号公報
【特許文献3】特開2003−261424号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従って、本発明の課題は、マンノシルエリスリトールリピッドを用いた皮膚外用剤において、エタノールの含有量を抑えながら、塗布時の感触が良好でかつ安定な水性の皮膚外用剤を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
そこで本発明者は、マンノシルエリスリトールリピッドに種々の界面活性剤を組み合わせて検討した結果、全く意外にも、マンノシルエリスリトールリピッドとHLBが10以上のポリオキシエチレン硬化ヒマシ油を併用した場合に、エタノールの含有量を抑えながら安定な水性製剤が得られ、かつ、その水性製剤は塗布時の感触に優れ、皮膚外用剤として有用であることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0006】
すなわち、本発明は、次の成分(A)及び(B)を含有することを特徴とする皮膚外用剤を提供するものである。
(A)HLBが10以上のポリオキシエチレン硬化ヒマシ油
(B)マンノシルエリスリトールリピッド 0.01〜4質量%
【発明の効果】
【0007】
本発明の皮膚外用剤は、使用感(さっぱり感、保湿感)に優れた水性外用剤であり、化粧品、医薬品などに好適に用いることができる。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明の皮膚外用剤は、バイオサーファクタントの1種である(B)マンノシルエリスリトールリピッド0.01〜4質量%に加えて、(A)HLBが10以上のポリオキシエチレン硬化ヒマシ油を含有する、安定な水性の皮膚外用剤である。
【0009】
本発明の皮膚外用剤に用いる(A)ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油としては、皮膚外用剤の安定性の点から、HLBが10以上であり、好ましくはHLBが10〜18、より好ましくはHLBが10〜17である。
【0010】
HLBが10以上のポリオキシエチレン硬化ヒマシ油としては、付加ポリオキシエチレンのモル数が20〜200モルのものを好ましく用いることができる。具体的には、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油(20E.O.)(HLB=10.5)、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油(40E.O.)(HLB=12.5)、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油(60E.O.)(HLB=14)、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油(100E.O.)(HLB=16.5)が挙げられる。
【0011】
本発明の皮膚外用剤中の成分(A)の含有量は、皮膚外用剤の安定性、刺激性の点から、0.01〜5質量%が好ましく、0.05〜2質量%がより好ましく、0.1〜1質量%が特に好ましい。
【0012】
本発明に用いられる(B)マンノシルエリスリトールリピッド(以下、MELともいう)は、酵母が作る天然系の界面活性剤であり、マンノースの1位にエリストリトールが置換し、2位及び3位にアシル基が置換し、4位及び6位にはアセチル基が置換していてもよい構造を有する化合物である。
【0013】
MELは、マンノースの4位及び6位のアセチル基の有無からMEL−A、MEL−B、MEL−C及びMEL−Dの4種類が知られている。式(I)にMEL−Aの構造を示す。式(I)中、R1及びR2は炭化水素基を示す。すなわち、MEL−Aは、式(I)中、マンノースの2位、3位に炭素数5〜19のアシル基を有し、マンノースの4位、6位にアセチル基を有する化合物である。なお、MEL−Bは式(I)においてマンノースの4位のアセチル基(CH3CO)がHであり、MEL−Cは式(I)においてマンノースの6位のアセチル基(CH3CO)がHであり、MEL−Dは式(I)においてマンノースの4位及び6位のアセチル基(CH3CO)がいずれもHである。
【0014】
【化1】

【0015】
〔R1及びR2は同一又は異なって、水素原子又は炭素数1〜18の直鎖又は分枝を有するアルキル基、あるいは、炭素数2〜18の直鎖又は分枝を有するアルケニル基もしくはアルカジエニル基もしくはアルカトリエニル基を示す。nは6〜10の整数、mは6〜10の整数を各々示す。〕
【0016】
式(I)に対応させれば、MELはマンノースの2位、3位に炭素数1〜19の飽和又は不飽和の直鎖又は分枝を有するアシル基を有し、マンノースの4位、6位がアセチル基である化合物である(マンノースの4位、6位のアセチル基のどちらか一方、あるいは両方が水酸基になっていてもよい。)。なお、2位と3位のアシル基の合計の炭素数は好ましくは10〜38、より好ましくは14〜30である。
1、R2の好ましい基としては、CH3(CH26、CH3(CH28、CH3(CH210などのC7〜C11のアルキル基;C714、C918、C1122などのC7〜C11のアルケニル基;C712、C916、C1120などのC7〜C11のアルカジエニル基;C710、C914、C1118などのC7〜C11のアルカトリエニル基が挙げられる。
【0017】
これらのMELは、市販品を使用することができ、例えばサーフメローBBG(東洋紡績社製;MEL−B50質量%含有)を使用することができる。
【0018】
本発明の皮膚外用剤中の成分(B)の含有量は、0.01〜4質量%であり、0.05〜2質量%がより好ましく、0.1〜0.8質量%が特に好ましい。マンノシルエリスリトールリピッドは植物油、植物蛋白などを発酵して生産されるため、高価であるばかりでなく、原料臭を生ずる場合がある。当該範囲内であれば、安定な皮膚外用剤が得られ、使用性が良好で、原料臭もわずかであるため、好ましい。
【0019】
本発明の皮膚外用剤中の成分(B)の含有量は、0.01〜4質量%であり、0.05〜2質量%がより好ましく、0.1〜0.8質量%が特に好ましい。マンノシルエリスリトールリピッドは植物油、植物蛋白などを発酵して生産されるため、高価であるばかりでなく、原料臭を生ずる場合がある。当該範囲内であれば、安定な皮膚外用剤が得られ、使用性が良好で、原料臭もわずかであるため、好ましい。
【0020】
本発明の皮膚外用剤中の成分(A)と成分(B)との含有比率〔(A)/(B)〕は、製剤の外観特性、さっぱり感の点から、好ましくは、0.1〜4であり、より好ましくは0.1〜2.4であり、特に好ましくは0.2〜0.6である。
【0021】
本発明の皮膚外用剤の粘度(B型粘度計)は、25℃において10000mPa・s以下が好ましく、更に好ましくは4500mPa・s以下であり、より好ましくは1000mPa・s以下である。粘度がこの範囲であると、伸びが良く、さっぱり感等の感触が良好であるため、化粧水(ローション)、水性エッセンス、パック等の製剤として利用しやすい。
【0022】
本発明の皮膚外用剤は、水性であるのが好ましく、実質的に油剤を含有しない化粧料であって、好ましくは皮膚外用剤中の油剤の含有量が3質量%以下であり、より好ましくは1質量%以下、さらに好ましくは0.1質量%である。当該範囲であれば、安定性に優れ、界面活性剤によるべたつきがなく、さっぱりとした使用感となる。
ここで、油剤は、油脂(トリグリセリド)、エステル油、炭化水素、炭素数8以上の高級アルコール、シリコーン油、フッ素油等の油分へ溶解しやすい成分の総体である。
【0023】
本発明では、さらに(C)エタノールを含有することが好ましいが、本発明の皮膚外用剤中のエタノール含有量は、皮膚刺激性の点から、15質量%以下が好ましく、0.1〜15質量%がより好ましく、1〜15質量%が特に好ましい。エタノールの含有量が上記範囲内であっても、本発明の皮膚外用剤は優れた外観特性と安定性を維持することができる。
【0024】
本発明の皮膚外用剤には上記の成分の他に、水;タール系色素、酸化鉄などの着色顔料;パラベン、フェノキシエタノールなどの防腐剤;オリーブスクワラン、米スクワラン、サメスクワランなどのスクワラン;ジメチルポリシロキサン、環状シリコーン等のシリコーン油;パラフィン、流動パラフィン、ワセリン、オレフィンオリゴマー、スクワラン等の炭化水素類;ホホバ油、オリーブ油、マカデミアナッツ油、メドフォーム油、ヒマシ油、紅花油、ヒマワリ油、アボカド油、キャノーラ油、キョウニン油、米胚芽油、米糠油などの植物油;トリアセチルヒドロキシステアリン酸グリセリル、トリアセチルリシノール酸グリセリル、トリイソパルミチン酸グリセリド、トリイソステアリン酸グリセリル、トリウンデカン酸グリセリル、トリヒドロキシステアリン酸グリセリル、トリオレイン酸グリセリル、トリ(カプリル・カプリン・イソステアリン・アジピン酸)グリセリル、トリ(カプリル・カプリン酸)グリセリル、トリ(カプリル・カプリン・ミリスチン・ステアリン酸)グリセリル、トリ(カプリル・カプリン・ラウリン酸)グリセリル、トリ(カプリル・カプリン・リノール酸)グリセリル、トリカプリン酸グリセリル、トリ牛脂脂肪酸グリセリル、トリ(牛脂脂肪酸・ミンク油脂肪酸・タラ肝油脂肪酸)グリセリル、トリミリスチン酸グリセリド、トリステアリン酸グリセリル、トリパルミチン酸グリセリル、トリ2−ヘプチルウンデカン酸グリセリル、トリベヘン酸グリセリル、トリミリスチン酸グリセリル、トリ(ミンク油脂肪酸・パルミチン酸)グリセリル、トリヤシ油脂肪酸グリセリル、トリラウリン酸グリセリル、トリラノリン脂肪酸グリセリル、トリ(リシノレイン・カプロン・カプリル・カプリン酸)グリセリル、2−エチルヘキサン酸グリセリル、トリリノール酸グリセリル等の合成グリセリドなどのトリグリセリド;ミツロウ、モクロウ、カルナバロウ等のロウ類;ミリスチン酸オクチルドデシル、パルミチン酸セチル、イソステアリン酸イソステアリル、ミリスチン酸イソプロピル等のエステル油;セタノール、ベヘニルアルコール、イソステアリルアルコール、ホホバアルコール、オレイルアルコール、ステアリルアルコール、長鎖分岐脂肪族アルコール等の高級アルコール類;コレステロール、フィトステロール、分岐脂肪酸コレステロールエステル、マカデミアナッツ脂肪酸フィトステリルエステル等のステロール類及びその誘導体;硬化油等の加工油類;ステアリン酸、ミリスチン酸、イソ型長鎖脂肪酸、アンテイソ型長鎖脂肪酸などの高級脂肪酸;ジカプリルエーテル等のエーテル;リモネン、水素添加ビサボロール等のテルペン類等、セチル硫酸ナトリウム、N−ステアロイル−L−グルタミン酸塩などの陰イオン界面活性剤;多価アルコール脂肪酸エステル(ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油は除く)、変性シリコーン、蔗糖エステルなどの非イオン界面活性剤;テトラアルキルアンモニウム塩などの陽イオン界面活性剤;ベタイン型、スルホベタイン型、スルホアミノ酸型などの両性界面活性剤;レシチン、リゾフォスファチジルコリン、セラミド、セレブロシドなどの天然系界面活性剤;酸化チタン、酸化亜鉛などの顔料;ジブチルヒドロキシトルエンなどの抗酸化剤;塩化ナトリウム、塩化マグネシウム、硫酸ナトリウム、硝酸カリウム等の無機塩類;クエン酸ナトリウム、酢酸カリウム、琥珀酸ナトリウム、アスパラギン酸ナトリウム、乳酸ナトリウム、カルニチン塩、ガンマアミノ酪酸、リポ酸等の有機酸塩類;塩酸エタノールアミン、硝酸アンモニウム、塩酸アルギニン等の塩類、エデト酸等のキレート剤;水酸化カリウム、ジイソプロパノールアミン、トリエタノールアミン等の中和剤;ヒアルロン酸、コラーゲン等の生体高分子;胎盤抽出物;ヒドロキシメトキシベンゾフェノンスルフォン酸塩等の紫外線吸収剤;レチノール、レチノールアセテート、レチノールパルミテートなどのビタミンA及びその誘導体;αトコフェロール、γトコフェロール、δトコフェロール、ニコチン酸トコフェロール、酢酸トコフェロールなどのビタミンE及びその誘導体;パルミチン酸アスコルビル、ステアリン酸アスコルビル、テトライソステアリン酸アスコルビルなどの油溶性ビタミンC誘導体;キサンタンガム、ベータグルカン、オーツ麦、白きくらげ等から抽出される多糖類、カラギーナンやアルギン酸、寒天などのような海藻より抽出されるもの、カルボキシビニルポリマー、ペクチン、アルキル変性カルボキシビニルポリマーなどの水溶性高分子;ジプロピレングリコール、1,3ブチレングリコール、グリセリン、プロピレングリコール、ソルビトール、マルビトール、ジグリセリン、ラフィノース、ヘキシレングリコールなどの多価アルコール等が挙げられるがこれに限定されるものではない。なお、本発明皮膚外用剤中の水の含有量はさっぱり感、経時安定性、外観及び粘度の点から50質量%以上が好ましく、60〜99.98質量%がより好ましく、70〜99.8質量%がさらに好ましい。
【0025】
本発明の皮膚外用剤には植物、海藻又は菌体の抽出物を用いることができ、例えばアーティチョーク、アイ、アルニカ、アロエ、アルテア、アシタバ、アセロラ、アンズ、アーモンド、アマチャ、アケビ、アニス、アボカド、インチンコウ、イラクサ、イチゴ、ウイキョウ、ウコン、ウチワサボテン、ウーロン茶、ウスベニアオイ、エイジツ、エチナシ、エンバク、エンメイソウ、エーデルワイス、オランダカラシ、オウバク、オウゴン、オウレン、オオバナサルスベリ、オトギリソウ、オレンジ、オクラ、オリーブ葉、カシス、カノコソウ、柿、火棘、カミツレ、カムカム、カロット、カワラヨモギ、カラスムギ、甘草、キュウカンバー、キョウニン、キウイ、キナ、キラヤ、キズタ、ギャバ茶、木苺、クララ、クマザサ、クワ、クルミ、グレープフルーツ、ゲンノショウコ、ゲンチアナ、ゲツトウ、コヒラタムブツ、ゴボウ、コンフリー、小麦胚芽、サクラ、サボンソウ、サルビア、サンザシ、サイシン、サイタイ、サンシシ、シモツケソウ、ジュウヤク、シチヘンゲ、ショウブ、ショウガ、シコン、シソ、シラカバ、シャクヤク、ジオウ、シーカーサー、シモン、スギナ、スターフルーツ、ゼニアオイ、センキュウ、セイヨウサンザシ、セイヨウキズタ、セイヨウナシ、セイヨウシロヤナギ、セージ、センブリ、ダイズ、ダイダイ、タイム、タチバナ、タチジャコウソウ、タマリンド、茶、チョウジ、チンピ、椿、ドクダミ、トウキ、トウニン、トウヒ、トマト、トウキセンカ、藤茶、トルメンチラ、トウモロコシ、ニーム、ニガハッカ、ニワトコ、ニンニク、ニンジン、ノバラ、パプアメース、ハイビスカス、パセリ、バナナ、バラ、ハトムギ、ハウチワマメ、ピーカンナッツ、ヒノキ、ヒソップ、ヒマラヤンラズベリー、ヒメフウロ、ビャクダン、ビルベリー、ビワ、プルーン、ブドウ、フサザキスイセン、フサフジウツギ、フトモモ、ペパーミント、ベニバナ、ヘチマ、ヘラオオバコ、ホワイトジェネピ、ホウノキ、菩提樹、ボタンボウフウ、ボタン、ホップ、ホホバ、マルメロ、マイカイカ、マロニエ、マツ、ミカン、ムクロジ、メリッサ、メマツヨイグサ、モモ、モミジ、ヤグルマソウ、ユキノシタ、ユーカリ、ユリ、柚、ヨクイニン、ヨモギ、ラン、ライム、ラベンダーレタス、リンゴ、リュウキュウヨモギ、ルイボス、レンゲソウ、レモン、レモンバーム、ローズヒップ、ローズマリー、緑藻、紅藻、褐藻、ブクリョウ、シイタケ、クリタケ、サルノコシカケ、シロキクラゲ、レイシ、冬虫夏草、酵母、乳酸菌、根粒菌の全草、葉、茎、根、果実、種子、花、子実体、菌体から水、あるいはグリセリン、プロピレングリコール、エタノール、ブチレングリコール等の有機溶媒、或いはその混液、もしくはオリーブ油、マカデミアナッツ油などの油剤等で抽出された抽出物である。葉緑素も植物抽出物に該当する。また生乳、果汁、合成培地、半合成培地を用いた乳酸菌、酵母の培養液を菌体の除去の有無に関わらず用いることができる。
【0026】
本発明の皮膚外用剤は、化粧品、医薬部外品、医薬品用途として用いることができ、皮膚に塗布したときの感触、例えば伸びが良く、さっぱり感等の感触が良好であるため、皮膚化粧料として好適に利用することができる。皮膚化粧料としては、例えば、保湿用、抗老化用、美白用の化粧水(ローション)、水性エッセンス、パック等の皮膚化粧料として好適に適用することができる。
【0027】
本発明の皮膚外用剤の剤形は任意であり、液状、ゲル状、スプレー状、ムース状等のものとして調製されうる。
【実施例】
【0028】
以下、実施例及び比較例に基づいて本発明を詳細に説明するが、これらに限定されるものではない。まず、実施例及び比較例で用いた経時安定性、官能試験について下記に説明する。
【0029】
〔経時安定性試験〕
試料調製後、透明ガラス瓶に常温で1月間保存し、外観を目視にて観察し、沈殿、分離、析出等の異常が見られない場合に「○」、異常が見られた場合を「×」として評価を行った。
〔外観評価試験〕
前記経時安定性評価時に、厚さ3cmの透明ガラス瓶を通して後ろの文字を認識できるかにより、透明度を観察し、透明清澄(8ポイントの文字をはっきりと認識できる)の場合を「◎」、透明白濁(12ポイントの文字を認識できる)の場合を「○」、白濁(12ポイントの文字を認識できない)の場合を「△」として評価を行った。尚、前記経時安定性にて、異常が見られた場合には評価を行わなかった。
〔官能試験〕
成人女性20名の評価パネラーに試料を使用してもらい、使用後に塗布後のさっぱり感、保湿感に関し、良いと答えた人数で評価した。また、原料臭の有無に関し、原料臭を特に感じないと答えた人数で評価した。
【0030】
なお、得られた実施例1〜12のジェル状美容液の25℃における粘度(B型粘度計(芝浦システム、デジタルビスメトロン粘度計VDA2)、ローターNo.1、回転数12rpm、30秒で測定)は、約100mPa・s以下であった。
【0031】
実施例1〜12、比較例1〜12
表1、2に記載の組成で化粧水を調製し、前記の経時安定性試験、外観試験、官能試験を実施した。
【0032】
【表1】

【0033】
【表2】

【0034】
(1)調製法
各成分を室温にて均一に混合攪拌する。
【0035】
(2)特性
実施例及び比較例の製造直後の官能試験結果を表1、2に合わせて示す。
表1、2に示すように、本発明の実施例1〜12の化粧水は、透明性を有し、経時安定性に優れたものであった。また、さっぱり感、保湿感が良好であり、使用感の優れたものであった。一方、比較例1〜12では全て、沈殿が生じてしまっており、官能評価を実施しなかった。
【0036】
また、実施例1において、エタノール含有量を30質量%に変更した化粧水では、全てのパネラーで皮膚刺激感があると回答したのに対し、実施例1の化粧水では皮膚刺激感があると回答したパネラーはいなかった。
【0037】
以下に、本発明の皮膚外用剤の処方例を示す。
【0038】
処方例1及び2(化粧水)
表3に記載の成分を常温にて均一に混合攪拌し、化粧水を調製した。
【0039】
【表3】

【0040】
処方例3及び4(化粧水)
表4に記載の成分を常温にて均一に混合攪拌し、化粧水を調製した。
【0041】
【表4】

【0042】
処方例5及び6(化粧水)
表5に記載の成分を常温にて均一に混合攪拌し、化粧水を調製した。
【0043】
【表5】

【0044】
処方例7及び8(化粧水)
表6に記載の成分を常温にて均一に混合攪拌し、化粧水を調製した。
【0045】
【表6】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
次の成分(A)及び(B)を含有することを特徴とする皮膚外用剤。
(A)HLBが10以上のポリオキシエチレン硬化ヒマシ油
(B)マンノシルエリスリトールリピッド 0.01〜4質量%
【請求項2】
成分(A)が、HLB10〜18のポリオキシエチレン硬化ヒマシ油である請求項1に記載の皮膚外用剤。
【請求項3】
成分(A)と成分(B)の含有比率〔(A)/(B)〕が、0.1〜4である請求項1又は2に記載の皮膚外用剤。
【請求項4】
さらに、(C)エタノールを15質量%以下で含有する請求項1〜3のいずれか1項に記載の皮膚外用剤。
【請求項5】
油剤を実質的に含まないものである請求項1〜4のいずれか1項に記載の皮膚外用剤。
【請求項6】
25℃における粘度が、10000mPa・s以下である請求項1〜5のいずれか1項に記載の皮膚外用剤。

【公開番号】特開2012−140388(P2012−140388A)
【公開日】平成24年7月26日(2012.7.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−1095(P2011−1095)
【出願日】平成23年1月6日(2011.1.6)
【出願人】(000000918)花王株式会社 (8,290)
【Fターム(参考)】