説明

皮膚洗浄剤組成物

【課題】泡立ちに優れ、洗浄乾燥後のさらさら感としっとり感とを両立させることができ、更にこれらの使用感を持続させることができる皮膚洗浄剤組成物の提供。
【解決手段】(A)2質量%〜30質量%の炭素数6〜26の高級脂肪酸塩と、(B)0.1質量%〜5質量%の乳酸及び乳酸塩の少なくともいずれかと、(C)0.1質量%〜5質量%の下記一般式(1)で表される構造を有する高分子化合物と、を含有する皮膚洗浄剤組成物。


ただし、前記一般式(1)において、n、m、及びzはモル比を表し、前記nは0〜35であり、前記mは20〜100であり、前記zは0〜80であり、前記n、前記m、及び前記zが下記式(I)を満たす。
n+m+z=100 ・・・式(I)

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、皮膚洗浄剤組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、皮膚洗浄剤組成物は、洗浄乾燥後にさらさらとした感触が得られることが好まれ、皮膚洗浄剤組成物の洗浄基材としては、高級脂肪酸塩が用いられている。
しかしながら、皮膚洗浄剤組成物に高級脂肪酸塩を配合すると、さらさらとした感触が得られる反面、しっとりとした感触はなく、洗浄乾燥後、皮膚が乾いた感触となることが問題であった。
そのため、洗浄乾燥後のさらさら感としっとり感とを両立できる皮膚洗浄剤組成物が強く求められている。
【0003】
洗浄乾燥後の乾いた感触を改善するため、高級脂肪酸塩に油分や高分子化合物を配合する試みがなされてきた。しかし、油分を併用した場合、しっとり感は付与できるものの、さらさら感は失われ、更に、泡立ちが低下するという問題があった(特許文献1参照)。高分子化合物を併用する場合もしっとり感は付与できるものの、さらさら感は失われるという問題があった(特許文献2参照)。
【0004】
また、洗浄乾燥後のしっとり感を実現する技術として洗浄基材に高級脂肪酸塩を用いずN−長鎖アシルアミノ酸及び/又はその塩を用い、更に乳酸亜鉛のような有機亜鉛塩を併用した洗浄剤組成物が開示されている(特許文献3参照)。
しかしながら、この洗浄剤組成物は、使用後のさらさら感が十分ではない点で問題であった。また、クリームのような皮膚表面に塗布する皮膚外用剤とは異なり、従来の皮膚洗浄剤組成物に共通して洗い流す使用方法であるため皮膚表面の成分濃度が低くなり、使用直後はさらさら感、あるいはしっとり感を感じても、これらの使用感が持続しないという問題があった。
【0005】
したがって、泡立ちに優れ、洗浄乾燥後のさらさら感としっとり感とを両立させることができ、更にこれらの使用感を持続させることができる皮膚洗浄剤組成物の提供が求められているのが現状である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特表平7−508752号公報
【特許文献2】特開2004−323517号公報
【特許文献3】国際公開第06/093311号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、従来における前記諸問題を解決し、以下の目的を達成することを課題とする。即ち、本発明は、泡立ちに優れ、洗浄乾燥後のさらさら感としっとり感とを両立させることができ、更にこれらの使用感を持続させることができる皮膚洗浄剤組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題を解決するため、本発明者らは鋭意検討した結果、以下のような知見を得た。即ち、本発明の皮膚洗浄剤組成物は、(A)2質量%〜30質量%の炭素数6〜26の高級脂肪酸塩と、(B)0.1質量%〜5質量%の乳酸及び乳酸塩の少なくともいずれかと、(C)0.1質量%〜5質量%の下記一般式(1)で表される構造を有する高分子化合物と、を含有することにより、泡立ちに優れ、洗浄乾燥後のさらさら感としっとり感とを両立させることができ、更にこれらの使用感を持続させることができることを知見し、本発明の完成に至った。
【0009】
本発明は、本発明者らによる前記知見に基づくものであり、前記課題を解決するための手段としては、以下の通りである。即ち、
<1> (A)2質量%〜30質量%の炭素数6〜26の高級脂肪酸塩と、(B)0.1質量%〜5質量%の乳酸及び乳酸塩の少なくともいずれかと、(C)0.1質量%〜5質量%の下記一般式(1)で表される構造を有する高分子化合物と、を含有することを特徴とする皮膚洗浄剤組成物である。
【化1】

ただし、前記一般式(1)において、n、m、及びzはモル比を表し、前記nは0〜35であり、前記mは20〜100であり、前記zは0〜80であり、前記n、前記m、及び前記zが下記式(I)を満たす。
n+m+z=100 ・・・式(I)
<2> (C)一般式(1)で表される構造を有する高分子化合物において、m及びnが下記式(II)を満たす前記<1>に記載の皮膚洗浄剤組成物である。
m−n=20〜80 ・・・式(II)
<3> (C)一般式(1)で表される構造を有する高分子化合物におけるzが1〜80である前記<1>から<2>のいずれかに記載の皮膚洗浄剤組成物である。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、従来における前記諸問題を解決し、前記目的を達成することができ、泡立ちに優れ、洗浄乾燥後のさらさら感としっとり感とを両立させることができ、更にこれらの使用感を持続させることができる皮膚洗浄剤組成物を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0011】
(皮膚洗浄剤組成物)
本発明の皮膚洗浄剤組成物は、(A)高級脂肪酸塩と、(B)乳酸及び乳酸塩の少なくともいずれかと、(C)特定の高分子化合物と、を少なくとも含有し、必要に応じて、更にその他の成分を含有する。
【0012】
<(A)高級脂肪酸塩>
前記皮膚洗浄剤組成物に前記高級脂肪酸塩(以下、「(A)成分」と称することがある。)を配合すると、洗浄力、起泡性を向上させることができる。
前記(A)成分は、炭素数6〜26の高級脂肪酸塩である。前記炭素数6〜26の高級脂肪酸塩としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、下記一般式(2)で表される高級脂肪酸塩が好ましい。
COOM ・・・一般式(2)
ただし、前記一般式(2)において、Rは、炭素数5〜25の直鎖、分岐鎖、又は不飽和の炭化水素基を表し、前記炭化水素基の水素原子の一部が水酸基で置換されていてもよい。
前記一般式(2)において、Mは、カリウム、ナトリウム、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール、及びジイソプロパノールアミンのいずれかを表す。
【0013】
前記(A)成分の具体例としては、カプロン酸塩、ヘプタン酸塩、カプリル酸塩、ペラルゴン酸塩、カプリン酸塩、ウンデカン酸塩、ラウリン酸塩、カプロレイン酸塩、ウンデシレン酸塩、ラウロレイン酸塩、2−エチルブタン酸塩、イソペンタン酸塩、2−エチルペンタン酸塩、2−エチルヘキサン酸塩、イソノナン酸塩、3,5,5−トリメチルヘキサン酸塩、トリデカン酸塩、テトラメチルノナン酸塩、ミリスチン酸塩、ペンタデカン酸塩、パルミチン酸塩、ステアリン酸塩、アラキン酸塩、ベヘン酸塩、リグノセリン酸塩、セロチン酸塩、ミリストレイン酸塩、パルミトレイン酸塩、オレイン酸塩、エライジン酸塩、ゴンドイン酸塩、エルカ酸塩、セラコレイン酸塩、リノール酸塩、リノエライジン酸塩、リノレン酸塩、アラキドン酸塩、2−ヘキシルデカン酸塩、イソステアリン酸塩、12−ヒドロキシステアリン酸塩、ラウリン酸塩、ミリスチン酸塩、パルミチン酸塩、カプリン酸塩、ヤシ油脂肪酸塩、又はこれらの混合物などが挙げられる。
これらの中でも、前記(A)成分は、泡立ちの持続性が向上する点で、ラウリン酸カリウム、ラウリン酸トリエタノールアミン、ミリスチン酸カリウム、ミリスチン酸トリエタノールアミン、パルミチン酸カリウム、パルミチン酸トリエタノールアミン、テアリン酸カリウム、イソステアリン酸カリウム、オレイン酸カリウム、ヤシ油脂肪酸カリウムが好ましく、ラウリン酸カリウム、ラウリン酸トリエタノールアミン、パルミチン酸トリエタノールアミン、ミリスチン酸カリウム、ミリスチン酸トリエタノールアミン、パルミチン酸カリウムがより好ましい。
【0014】
前記(A)成分の入手方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、合成する方法、市販品を用いる方法などが挙げられる。
【0015】
前記(A)成分の含有量としては、2質量%〜30質量%であるが、起泡性及び洗浄乾燥後のしっとり感及びその持続性が向上する点で、4質量%〜20質量%が好ましく、10質量%〜20質量%が特に好ましい。前記(A)成分の含有量が、2質量%未満であると、起泡性やさらさら感の持続性が低下することがあり、30質量%を超えると、洗浄乾燥後のしっとり感及びその持続性やさらさら感の持続性が悪くなることがある。
【0016】
<(B)乳酸及び/又は乳酸塩>
前記皮膚洗浄剤組成物に前記乳酸及び乳酸塩の少なくともいずれか(以下、「(B)成分」と称することがある。)を配合すると、洗浄乾燥後の肌のしっとり感及びさらさら感や、これらの使用感の持続性を向上させることができる。
前記乳酸塩としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、乳酸ナトリウム、乳酸カリウム、乳酸カルシウムなどが挙げられる。
【0017】
前記(B)成分の含有量としては、0.1質量%〜5質量%であるが、0.5質量%〜4質量%が好ましい。前記(B)成分の含有量が、0.1質量%未満であると、洗浄乾燥直後のしっとり感及びさらさら感や、これらの使用感の持続性が悪くなることがあり、5質量%を超えると多いときしみが強くなり、洗浄乾燥直後のさらさら感及びしっとり感や、これらの使用感の持続性が悪くなることがある。
【0018】
前記(B)成分の入手方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、合成する方法、市販品を用いる方法などが挙げられる。
【0019】
<(C)高分子化合物>
前記皮膚洗浄剤組成物に前記高分子化合物(以下、「(C)成分」と称することがある。)を配合すると、洗浄乾燥後の肌のしっとり感及びさらさら感や、これらの使用感の持続性が(B)成分のみの場合に比べて更に向上する。
前記(C)成分は、下記一般式(1)で表される構造を有する高分子化合物である。
【化2】

ただし、前記一般式(1)において、n、m、及びzはモル比を表し、前記nは0〜35であり、前記mは20〜100であり、前記zは0〜80であり、前記n、前記m、及び前記zが下記式(I)を満たす。
n+m+z=100 ・・・式(I)
【0020】
前記(C)成分は、洗浄乾燥後のさらさら感及びしっとり感が向上する点で、前記m及び前記nが下記式(II)を満たすことが好ましい。以下、下記式(II)を満たす値を「カチオン価度」と称することがある。前記カチオン価度が、20未満又は80を超えると、洗浄乾燥後のさらさら感の持続性及びしっとり感の持続性が悪くなることがある。
m−n=20〜80 ・・・式(II)
【0021】
前記(C)成分は、前記zが1〜80であることが更に好ましく、30〜80であることが特に好ましい。zが0であると、洗浄乾燥後のさらさら感の持続性及びしっとり感の持続性が悪くなることがある。
【0022】
前記(C)成分の前記n、前記m、及び前記zのモル比は、例えば、NMRにより、重水(DO)中300MHzにて、JNM−LA300(日本電子株式会社製)で決定することができる。
【0023】
前記(C)成分の重量平均分子量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、10,000〜10,000,000がさらさら感及びしっとり感が向上する点で好ましい。
前記重量平均分子量は、例えば、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法により、下記条件にて測定することができる。
[測定条件]
溶媒:0.25M酢酸+0.05M食塩(pH=3.5)
標準品:ポリエチレングリコール
測定器:LC−2010HT(株式会社島津製作所製)
【0024】
前記(C)成分の入手方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、合成する方法、市販品を用いる方法などが挙げられる。
【0025】
前記(C)成分を合成する方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、下記単量体Aで表されるアクリル酸(AA)、下記単量体Bで表される塩化ジメチルジアリルアンモニウム(DADMAC)、及び下記単量体Cで表されるアクリルアミド(AM)から選択される単量体を用いて、従来公知の方法により適宜合成する方法などが挙げられる。
【化3】

【化4】

【化5】

【0026】
前記(C)成分の市販品としては、例えば、前記一般式(1)における、n、m、及びzで表されるモル比が、n:m:z=0:100:0である、MERQUAT 100、MERQUAT 106;n:m:z=0:30:70である、MERQUAT 550、MERQUAT 550PR、MERQUAT S、MERQUAT 2200、MERQUAT 740;n:m:z=35:65:0である、MERQUAT 280、MERQUAT 280SD;n:m:z=5:95:0である、MERQUAT 290;n:m:z=34:31:35である、MERQUAT PLUS 3330;n:m:z=22.5:26.5:51である、MERQUAT PLUS 3331;n:m:z=31:29:40であるMERQUAT 3940(以上、ナルコ社製)などが挙げられる。
これらの中でも、MERQUAT 550、MERQUAT 2200、MERQUAT 740、MERQUAT 280、MERQUAT 106、MERQUAT 295、MERQUAT PLUS 3331が好ましく、MERQUAT 550、MERQUAT 2200、MERQUAT 740が特に好ましい。
【0027】
前記(C)成分の含有量としては、0.1質量%〜5質量%であるが、0.3質量%〜1質量%が好ましい。前記(C)成分の含有量が、0.1質量%未満であると、洗浄乾燥後のしっとり感及びさらさら感や、これらの使用感の持続性が低下することがあり、5質量%を超えると、べたつきが発生して洗浄乾燥後のしっとり感及びさらさら感や、これらの使用感の持続性が低下することがある。
【0028】
−(A)成分、(B)成分、及び(C)成分の含有比率−
前記(A)成分、前記(B)成分、及び前記(C)成分の含有比率としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、前記(A)成分と前記(B)成分との質量比((A)成分/(B)成分)が1〜40が好ましく、前記(A)成分と前記(C)成分との質量比((A)成分/(C)成分)が8〜70が好ましく、前記(B)成分と前記(C)成分との質量比((B)成分/(C)成分)が0.5〜10が好ましい。
前記(A)成分と前記(B)成分との質量比((A)成分/(B)成分)、又は前記(A)成分と前記(C)成分との質量比((A)成分/(C)成分)が、前記好ましい範囲を満たさない場合、洗浄乾燥後のさらさら感及びしっとり感や、これらの使用感の持続性が悪くなることがある。
また、前記全ての含有比率を満たすことが、起泡性が向上し、さらさら感及びしっとり感、や、これらの使用感の持続性が向上する点で特に好ましい。
【0029】
<その他の成分>
本発明の前記皮膚洗浄剤組成物には、本発明の効果を妨げない範囲で、適宜選択したその他成分を配合することができる。
前記その他成分としては、特に制限はなく、皮膚洗浄剤組成物に通常用いられているものの中から適宜選択することができ、例えば、水、油分、シリコーン類、低級又は高級アルコール等のアルコール類、多価アルコール類、ラノリン誘導体、蛋白誘導体、アクリル樹脂分散液、ビタミン等の薬剤、殺菌剤、防腐剤、水酸化カリウム、クエン酸、塩酸等のpH調整剤、酸化防止剤、金属封鎖剤、紫外線吸収剤、動植物抽出物又はその誘導体、エデト酸等のキレート剤、色素、香料、顔料、無機粉体、粘土鉱物、ナイロン、ポリエチレン等の水不溶性高分子化合物粉体などが挙げられる。
前記その他の成分の含有量としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができる。
【0030】
前記多価アルコールとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、2価〜6価のものが好ましく、エチレングリコール、ジエチレングリコール、ポリエチレングリコール200(医薬部外品原料規格2006相当品)、ポリエチレングリコール300(医薬部外品原料規格2006相当品)、ポリエチレングリコール400(医薬部外品原料規格2006相当品)、ポリエチレングリコール600(医薬部外品原料規格2006相当品)、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、イソペンチルジオール、ペンチレングリコール、1,2−ヘキサンジオール、ヘキシレングリコール、グリセリン、ジグリセリン、ソルビトール、キシリトール、マンニトールなどが挙げられる。これらは、1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
なお、ここで前記ポリエチレングリコールとは、化粧品原料基準第二版注解、医薬部外品原料規格2006、日本薬局方医薬品規格2002、第15改定日本薬局方に定められたものに相当する。
これらの中でも、前記多価アルコールは、低温安定性改善の目的で、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、グリセリンが好ましい。
【0031】
<pH>
前記皮膚洗浄剤組成物のpHとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、使用時の泡量及びその持続性、並びに洗浄力を向上させる点で、9.5〜11.0が好ましく、低温安定性の点と皮膚刺激性のなさから9.8〜10.6がより好ましい。前記pHが、9.5未満であると、低温安定性が悪くなることがあり、11.0を超えると、皮膚刺激性が生じる場合がある。
【0032】
<製造方法>
前記皮膚洗浄剤組成物の製造方法としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、前記(A)成分、前記(B)成分、及び前記(C)成分、必要に応じて更に前記その他の成分を混合して得ることができる。前記その他の成分における水は、前記皮膚洗浄剤組成物の全体が100質量%となるように残部として配合することが好ましい。
【0033】
前記皮膚洗浄剤組成物は装置を用いて調製してもよい。前記装置としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、剪断力があり、全体を混合することができる攪拌羽根を備えた攪拌装置などが挙げられる。
前記攪拌羽根としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、プロペラ、タービン、ディスパーなどが挙げられる。
【0034】
<容器>
前記皮膚洗浄剤組成物を収容する容器としては、特に制限はなく、剤型などに応じて適宜選択することができ、例えば、スクイズ容器、ポンプ容器、フォーマー容器などが挙げられる。
【0035】
前記フォーマー容器としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、ノンガス型の泡吐出容器などが挙げられる。
前記ノンガス型の泡吐出容器としては、前記皮膚洗浄剤組成物と空気とを多孔質膜体を通過させて発泡状態で吐出できるものであれば特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、ボトル胴部を手で圧搾することによって泡を吐出できるスクイズフォーマー容器、ノズル部を押し下げることによって泡を吐出できるポンプフォーマー容器などが挙げられる。
このようなフォーマー容器としては、例えば、大和製罐株式会社製、株式会社吉野工業所製の容器などを使用することができる。
【0036】
前記ノンガス型の泡吐出容器は、通常、泡を形成するための多孔質膜体を有し、前記皮膚洗浄剤組成物が該多孔質膜体を空気と通過することにより泡が形成されるものである。
前記多孔質膜体の材質としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、ナイロン、ポリエステル、ポリオレフィン等のプラスチック材料が好ましい。
前記多孔質膜体のメッシュとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、100メッシュ以上が好ましく、100メッシュ〜400メッシュがより好ましく、200メッシュ〜350メッシュが特に好ましい。
前記多孔質膜体の枚数としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、泡性能を向上させる観点から2枚〜4枚が好ましい。
より具体的には、特開平7−315463号公報、特開平8−230961号公報、及び特開2005−193972号公報に記載されたフォーマー容器を好適に使用することができる。
【0037】
<剤型>
前記皮膚洗浄剤組成物の剤型としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、液体、固形、ゲル状などが挙げられる。
【0038】
本発明における液体とは、25℃における粘度が、1mPa・s〜20,000mPa・sをいう。前記粘度は、BM型粘度計(株式会社東京計器製)を用いて、試料温度25℃にて、以下の条件で測定することができる。
粘度が、1mPa・s以上20mPa・s以下の場合は、BLアダプタ、回転数30rpm、1分間後の粘度を測定する。
粘度が、20mPa・sを超え40mPa・s以下の場合は、ローターNo.2、回転数30rpm、1分間後の粘度を測定する。
粘度が、40mPa・sを超え4,000mPa・s以下の場合は、ローターNo.3、回転数30rpm、1分間後の粘度を測定する。
粘度が、4,000mPa・sを超え20,000mPa・s以下の場合は、ローターNo.4、回転数30rpm、1分間後の粘度を測定する。
【0039】
前記皮膚洗浄剤組成物をフォーマー容器に収容する場合は、例えば、ノズル部を押し下げることによって泡を吐出できるポンプフォーマー容器と、該ポンプフォーマー容器の多孔質膜体として200メッシュのものを2枚使用する際において、前記皮膚洗浄剤組成物の粘度は、使用する温度条件下で、15mPa・s以下が好ましく、1mPa・s以上10mPa・s以下がより好ましい。
【0040】
<用途>
本発明の皮膚洗浄剤組成物は、泡立ちに優れ、洗浄乾燥後のさらさら感としっとり感との両立を実現し、更にこれらの使用感が持続するため、洗顔料、ハンドソープ、ボディソープ、ボディシャンプー、クレンジングフォーム、メイク落としなどに好適に利用することができる。
【実施例】
【0041】
以下に本発明の実施例及び比較例を挙げて本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に何ら限定されるものではない。なお、下記実施例及び比較例において、特に明記しない限り、「%」は質量%を表し、比率は質量比を表し、表中の各成分の配合量は純分換算した量を表す。
【0042】
(実施例1〜25、比較例1〜6)
下記表1〜5に示す(A)成分と精製水とを、パドル式攪拌機(BL1200、新東科学株式会社製)を用いて70℃で均一に混合した。攪拌を続けながら、(B)成分を添加し、均一溶解させた。次いで、(C)成分を添加して溶解後、撹拌しながら25℃まで冷却した。続いてpHメーター(HM−30V、東亜ディーケーケー株式会社製)を用いてpHを測定し、水酸化カリウム(48%溶液)及び塩酸を用いて目標のpHとし、表1〜5に示す組成の、実施例1〜25及び比較例1〜6の皮膚洗浄剤組成物を調製した。
実施例1〜25及び比較例1〜6の皮膚洗浄剤組成物は、全て25℃で液体であった。得られた皮膚洗浄剤組成物について、下記に示す方法で、起泡性、さらさら感、しっとり感、及びこれらの使用感の持続性の評価を行った。結果を表1〜5に併せて示す。
【0043】
(比較例7〜9)
実施例1において、(C)成分に代えて、表5に示す(C)成分の比較成分を用いたこと以外は、実施例1と同様の方法で比較例7〜9の皮膚洗浄剤組成物を調製した。
比較例7〜9の皮膚洗浄剤組成物は、全て25℃で液体であった。得られた皮膚洗浄剤組成物について、下記に示す方法で、起泡性、さらさら感、しっとり感、及びこれらの使用感の持続性の評価を行った。結果を表5に併せて示す。
【0044】
(比較例10〜15)
実施例1において、(B)成分に代えて、表6に示す(B)成分の比較成分を用いたこと以外は、実施例1と同様の方法で比較例10〜15の皮膚洗浄剤組成物を調製した。
比較例10〜15の皮膚洗浄剤組成物は、全て25℃で液体であった。得られた皮膚洗浄剤組成物について、下記に示す方法で、起泡性、さらさら感、しっとり感、及びこれらの使用感の持続性の評価を行った。結果を表6に併せて示す。
【0045】
(比較例16)
実施例1において、(A)成分に代えて、表6に示す(A)成分の比較成分を用いたこと以外は、実施例1と同様の方法で比較例16の皮膚洗浄剤組成物を調製した。
比較例16の皮膚洗浄剤組成物は、全て25℃で液体であった。得られた皮膚洗浄剤組成物について、下記に示す方法で、起泡性、さらさら感、しっとり感、及びこれらの使用感の持続性の評価を行った。結果を表6に併せて示す。
【0046】
<評価方法>
皮膚洗浄剤組成物の専門パネリスト10名が、実施例1〜25及び比較例1〜16の皮膚洗浄剤組成物を使用して各皮膚洗浄剤組成物について、下記に示す方法で、起泡性、さらさら感、しっとり感、及びこれらの使用感の持続性を評価した。
【0047】
−起泡性の評価−
水で濡らした手のひらに各皮膚洗浄剤組成物を1gとり、10秒間両手をこすり合わせた後、下記評点に基づいて泡量の多さを判定し、10名の平均点により下記評価基準に基づき起泡性の評価とした。
[評点]
5点:非常に泡が多い
4点:かなり泡が多い
3点:やや泡が多い
2点:泡が少ない
1点:非常に泡が少ない
[評価基準]
◎ : 4.5点以上〜5点
◎〜〇: 4.0点以上〜4.5点未満
○ : 3.0点以上〜4.0点未満
△ : 2.0点以上〜3.0点未満
× : 2.0点未満
【0048】
−さらさら感及びその持続性の評価−
水で濡らした手のひらに各皮膚洗浄剤組成物を1gとり、10秒間両手をこすり合わせた後、手指を覆う泡や各皮膚洗浄剤組成物を流水ですすぎ流し、水を拭き取ってから1分間、両手を20℃〜25℃の条件に静置した後に、下記評点に基づいてさらさら感を判定し、10名の平均点により下記評価基準に基づきさらさら感の評価とした。
続けて、水を拭き取ってから10分間、20℃〜25℃の条件に静置した後に下記評点に基づいてさらさら感を判定し、10名の平均点により下記評価基準に基づきさらさら感の持続性の評価とした。
[評点]
5点: 非常にさらさらしている
4点: さらさらしている
3点: ややさらさらしている
2点: さらさらしていない(ややべたつきや、やや抵抗を感じる)
1点: 全くさらさらしていない(べたつきや、抵抗を感じる)
[評価基準]
◎ : 4.5点以上〜5点
◎〜〇: 4.0点以上〜4.5点未満
○ : 3.0点以上〜4.0点未満
△ : 2.0点以上〜3.0点未満
× : 2.0点未満
【0049】
−しっとり感及びその持続性の評価−
水で濡らした手のひらに各皮膚洗浄剤組成物を1gとり、10秒間両手をこすり合わせた後、手指を覆う泡や各皮膚洗浄剤組成物を流水ですすぎ流し、水を拭き取ってから1分間、20℃〜25℃の条件に静置した後に、下記評点に基づいてしっとり感を判定し、10名の平均点により下記評価基準に基づきしっとり感の評価とした。
続けて、水を拭き取ってから10分間、20℃〜25℃の条件に静置した後に下記評点に基づいてしっとり感を判定し、10名の平均点により下記評価基準に基づきしっとり感の持続性の評価とした。
[評点]
5点: 非常にしっとりしている
4点: しっとりしている
3点: ややしっとりしている
2点: しっとりしていない(やや乾いた感じがする)
1点: 全くしっとりしていない(乾いた感じがする)
[評価基準]
◎ : 4.5点以上〜5点
◎〜〇: 4.0点以上〜4.5点未満
○ : 3.0点以上〜4.0点未満
△ : 2.0点以上〜3.0点未満
× : 2.0点未満
【0050】
【表1】

【0051】
【表2】

【0052】
【表3】

【0053】
【表4】

【0054】
【表5】

【0055】
【表6】

【0056】
(実施例26)
下記に示す(A)成分と精製水とを、パドル式攪拌機(BL1200、新東科学株式会社製)を用いて70℃で均一に混合した。攪拌を続けながら、(B)成分を添加し、均一溶解させた。次いで、(C)成分及びその他の成分を添加して溶解後、撹拌しながら25℃まで冷却した。続いてpHメーター(HM−30V、東亜ディーケーケー株式会社製)を用いてpHを測定し、水酸化カリウム(48%溶液)及び塩酸を用いて目標のpHとし、実施例26の皮膚洗浄剤組成物を調製した。
ラウリン酸カリウム((A)成分) 7.6質量%
ミリスチン酸カリウム((A)成分) 7.6質量%
パルミチン酸カリウム((A)成分) 3.8質量%
グリセリン 6質量%
乳酸((B)成分) 3質量%
高分子化合物4((C)成分) 0.5質量%
モノエタノールアミン 0.5質量%
ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン 3質量%
(商品名:アモーゲンS−H、30%品、第一工業製薬株式会社製)
ポリオキシエチレンステアリルエーテル(E.O.11) 1質量%
(商品名:EMALEX 1611、日本エマルジョン株式会社製)
エタノール 3質量%
アクリル酸アルキル共重合体エマルジョン 1質量%
(商品名:レアール MS−200、25%品、ライオン株式会社製)
スチレン重合体エマルジョン 0.5質量%
(商品名:サイビノールRPX−196PE−3、35%品、サイデン化学株式会社製)
エデト酸 0.2質量%
ビタミンE 0.1質量%
(商品名:dl−αトコフェロール、DSMニュートリションジャパン株式会社製)
カミツレエキス 0.001質量%
(商品名:カミツレリキッド、一丸ファルコス株式会社製)
ポリエチレン末 0.3質量%
(商品名:フロービーズCL−8007、住友精化株式会社製)
イソプロピルメチルフェノール 0.2質量%
(商品名:イソプロピルメチルフェノール(大阪化成株式会社製)
青色403号 0.0001質量%
(商品名:青色403号、癸巳化成株式会社製)
香料 0.5質量%
水酸化カリウム(48%溶液) 適量
塩酸 適量
精製水 残部
合計 100質量%
【0057】
(実施例27)
実施例26において、下記の組成の変えたこと以外は、実施例26と同様の方法で実施例27の皮膚洗浄剤組成物を調製した。
ラウリン酸カリウム((A)成分) 8質量%
ミリスチン酸カリウム((A)成分) 2質量%
乳酸((B)成分) 3質量%
高分子化合物4((C)成分) 0.5質量%
プロピレングリコール 6質量%
エデト酸 0.2質量%
モノエタノールアミン 0.5質量%
イソプロピルメチルフェノール 0.2質量%
(商品名:イソプロピルメチルフェノール(大阪化成株式会社製)
水酸化カリウム(48%溶液) 適量
香料 0.5質量%
塩酸 適量
精製水 残部
合計 100質量%
実施例27の皮膚洗浄剤組成物を、特開2005−193972号公報に記載のポンプフォーマー容器に充填した。なお、メッシュは、200メッシュであり、これを2枚使用した。
【0058】
実施例1〜27及び比較例1〜16で用いた原料を下記表7に示す。また、(C)成分のモル比及び重量平均分子量を下記表8に示す。
【0059】
【表7】

なお、(A)成分の比較成分における括弧内の数字は、酸化エチレンの平均付加モル数を表し、(C)成分の比較成分におけるCの数値は炭素数を表す。
【0060】
【表8】

【産業上の利用可能性】
【0061】
本発明の皮膚洗浄剤組成物は、泡立ちに優れ、洗浄乾燥後のさらさら感としっとり感とを両立させることができ、更にこれらの使用感を持続させることができるため、洗顔料、ハンドソープ、ボディソープ、ボディシャンプー、クレンジングフォーム、メイク落としなどに好適に利用することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)2質量%〜30質量%の炭素数6〜26の高級脂肪酸塩と、(B)0.1質量%〜5質量%の乳酸及び乳酸塩の少なくともいずれかと、(C)0.1質量%〜5質量%の下記一般式(1)で表される構造を有する高分子化合物と、を含有することを特徴とする皮膚洗浄剤組成物。
【化1】

ただし、前記一般式(1)において、n、m、及びzはモル比を表し、前記nは0〜35であり、前記mは20〜100であり、前記zは0〜80であり、前記n、前記m、及び前記zが下記式(I)を満たす。
n+m+z=100 ・・・式(I)
【請求項2】
(C)一般式(1)で表される構造を有する高分子化合物において、m及びnが下記式(II)を満たす請求項1に記載の皮膚洗浄剤組成物。
m−n=20〜80 ・・・式(II)
【請求項3】
(C)一般式(1)で表される構造を有する高分子化合物におけるzが1〜80である請求項1から2のいずれかに記載の皮膚洗浄剤組成物。

【公開番号】特開2012−153627(P2012−153627A)
【公開日】平成24年8月16日(2012.8.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−12337(P2011−12337)
【出願日】平成23年1月24日(2011.1.24)
【出願人】(000006769)ライオン株式会社 (1,816)
【Fターム(参考)】