説明

皮膚状態評価装置及び皮膚状態評価プログラム並びに同プログラムを記憶したコンピュータ読み取り可能な記憶媒体

【課題】真皮の情報を用いて従来よりも適切に皮膚の状態を評価する。
【解決手段】表皮層と真皮層とを有してなる皮膚の状態を評価する皮膚状態評価装置1に、真皮層の水分量及びイオン濃度のいずれか一方又は双方を少なくとも測定して当該一方又は双方に関する情報を取得する測定手段と、測定手段により得られた前記情報に基づいて皮膚の状態を評価する評価手段とを設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、皮膚状態評価装置及び皮膚状態評価プログラム並びに同プログラムを記憶したコンピュータ読み取り可能な記憶媒体に関し、特に、皮膚の真皮(真皮層)の情報(例えば、水分量情報、イオン濃度情報など)を用いて皮膚の状態を評価するのに用いて好適な技術に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、化粧水、保水クリーム等の基礎化粧品は、ファンデーション、チーク、アイシャドウ等のメークアップ用化粧品によって発汗や呼吸を阻害された皮膚に、水分を補ったり代謝を促したりすることにより、皮膚の健康状態を改善することを目的としている。
したがって、基礎化粧品を使用する際には、皮膚の状態を適切に評価し、その皮膚の状態に応じた基礎化粧品を用いることが好ましい。また、同様のことは、基礎化粧品の使用以外にも、肌の手入れ(ケア)に関する手段すべてについて言える。そこで、皮膚の状態の評価及び肌の手入れの手段を選択するため、従来、例えば特許文献1に記載のような技術が提案されていた。
【0003】
【特許文献1】特開2005−181226号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、皮膚は、表皮(表皮層)と真皮(真皮層)とから構成されている。このうち、真皮は、皮膚表面を覆う表皮の10倍の厚みを有し、表皮への栄養の供給を行なう皮膚の本体である。詳しくは、真皮は毛細血管を有し表皮の基となる基底膜を栄養する。また、真皮は、発汗のための水分を多く蓄えていて、表皮への水分補給も担っている。したがって、メラニン沈着(シミ、ソバカス等)などの基底膜の問題は、表皮ではなく、基底膜自体もしくは基底膜を栄養する真皮へも働きかけなければ、効果的な改善につながらない。
【0005】
しかしながら、真皮の情報を用いて皮膚の状態を評価したり肌の手入れの手段を選定したりする技術は、これまで開発されていなかった。例えば、従来は、表皮の水分量及び皮脂量並びに基底膜におけるメラニン沈着の情報を用いた技術はあったものの、真皮の情報を用いた技術は無かった。
本発明は、上記の課題に鑑みて創案されたもので、真皮の情報を用いて、従来よりも適切に皮膚の状態を評価することができ、ひいては、従来よりも適切に、肌を手入れする手段(例えば、基礎化粧品、食品、薬品の種類など)の選定可能な情報を提供できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の皮膚状態評価装置は、表皮層と真皮層とを有してなる皮膚の状態を評価する皮膚状態評価装置であって、上記真皮層の水分量及びイオン濃度のいずれか一方又は双方を少なくとも測定して当該一方又は双方に関する情報を取得する測定手段と、該測定手段により得られた前記情報に基づいて、上記皮膚の状態を評価する評価手段とを備えたことを特徴とする。
【0007】
このとき、該測定手段が、上記真皮層の水分量情報を検出する真皮水分量情報検出部と、上記真皮層のイオン濃度情報を検出する真皮イオン濃度情報検出部とを備えるとともに、該評価手段が、上記皮膚の状態の評価に用いる水分量基準情報を記憶した水分量基準情報記憶部と、上記皮膚の状態の評価に用いるイオン濃度基準情報を記憶したイオン濃度基準情報記憶部と、該真皮水分量情報検出手段が検出した水分量情報と該水分量基準情報記憶部における水分量基準情報とを比較する水分量情報比較部と、該真皮イオン濃度情報検出部が検出したイオン濃度情報と該イオン濃度基準情報記憶部におけるイオン濃度基準情報とを比較するイオン濃度情報比較部と、該水分量情報比較部での比較結果及び該イオン濃度情報比較部での比較結果の組み合わせに基づいて、上記皮膚の状態を評価する皮膚状態評価部とを備えて構成されることが好ましい。
【0008】
また、該測定手段が、上記表皮層の皮脂量情報を検出する表皮皮脂量情報検出部をさらに備えるとともに、該評価手段が、上記皮膚の状態の評価に用いる皮脂量基準情報を記憶した皮脂量基準情報記憶部と、該表皮皮脂量情報検出部が検出した皮脂量情報と該皮脂量基準情報記憶部における皮脂量基準情報とを比較する皮脂量情報比較部とをさらに備え、かつ、該皮膚状態評価部が、該水分量情報比較部での比較結果と、該イオン濃度情報比較部での比較結果と、該皮脂量情報比較部での比較結果との組み合わせに基づいて、上記皮膚の状態を評価すべく構成されることが好ましい。
【0009】
さらに、本発明の皮膚状態評価装置は、上記皮膚をケアするための手段に関するケア情報を記憶するケア情報記憶部と、該評価手段による評価結果に応じたケア情報を該ケア情報記憶部から取得して提示する提示手段とをさらに備えることが好ましい。
【0010】
また、該ケア情報記憶部が、該ケア情報として化粧品、食品及び薬品の少なくともいずれかに関する情報を記憶していることが好ましい。
【0011】
本発明の皮膚状態評価プログラムは、表皮層と真皮層とを有してなる皮膚の状態を評価する、コンピュータのための皮膚状態評価プログラムであって、上記真皮層の水分量及びイオン濃度のいずれか一方又は双方を少なくとも測定して当該一方又は双方に関する情報を取得する測定手段、及び、該測定手段により得られた前記情報に基づいて、上記皮膚の状態を評価する評価手段として機能させることを特徴とする。
【0012】
また、本発明のコンピュータ読み取り可能な記憶媒体は、本発明の皮膚状態評価プログラムを記憶した記憶媒体である。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、真皮の情報を用いて、従来よりも適切に皮膚の状態を評価できる。
また、本発明によれば、真皮の情報を用いて、従来よりも適切に肌を手入れする手段の選定可能な情報を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態について説明するが、本発明は以下の実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、任意に変更して実施することができる。
【0015】
[I.第1実施形態]
図1は、本発明の第1実施形態としての美容用装置1の構成を模式的に表わすブロック図である。図1に示すように、この美容用装置(皮膚状態評価装置)1は、計測装置10と、データ処理装置20と、出力装置30とを備えている。
【0016】
[I−1.計測装置]
計測装置10は、真皮(真皮層)及び表皮(表皮層)の情報を測定(検出)するために、対象人物の皮膚にステップ電圧を印加し、そのときの応答電流を計測する装置である。ここでは、真皮の情報として、真皮の水分量及びイオン濃度を測定し、また、表皮の情報として、表皮の皮脂量を測定しているものとする。ただし、本明細書において、水分量、イオン濃度、皮脂量を測定するとは、水分量、イオン濃度、皮脂量の値自体を測定することのみを意味するものではなく、水分量、イオン濃度、皮脂量に関する情報を測定することをも含む広義の意味である。本実施形態では、後述するように、真皮の水分量の情報(水分量情報)としてステップ電圧印加後の初期電流量を測定し、真皮のイオン濃度の情報(イオン濃度情報)としてステップ電圧印加後の電流初期変化率を初期電流量の自乗で除した値(時定数)を測定し、表皮層の皮脂量の情報(皮脂量情報)としてステップ電圧印加後の定常電流量を測定しているものとする。
【0017】
[I−1−1.真皮及び表皮の情報の測定メカニズム]
まず、真皮及び表皮の情報として、真皮の水分量情報及びイオン濃度情報、並びに、表皮の皮脂量情報を測定する仕組みについて説明する。
生体の皮膚に一対の電極を装着し、その電極からステップ電圧{図2(a)参照}を印加すると生体の皮膚に応答電流が流れるが、その応答電流は、図2(b)に示すように、ステップ電圧を印加し続けるにしたがって次第に小さくなる。なお、図2(b)は電流量を対数で表わす対数グラフである。
【0018】
この応答電流の波形を詳しく調べると、応答電流が次の3つの成分に代表されることが分かる。即ち、応答電流を代表する3つの成分とは、第1に、ステップ電圧を印加した直後は電流量が大きく、ステップ電圧を印加し続けるとその電流量が急減に小さくなる電流成分(以下適宜、早い電流成分という)Ifであり、第2に、ステップ電圧を印加した直後の電流量は早い電流成分よりも小さく、ステップ電圧を印加し続けるとその電流量が最も緩やかに低下する電流成分(以下適宜、遅い電流成分という)Idであり、第3に、ステップ電圧を印加し続けても一定の電流量を保つ電流成分(以下適宜、定常電流成分という)Icである。
【0019】
これらの3つの電流成分に鑑みると、生体の皮膚に一対の電極を装着しステップ電圧を印加した場合、応答電流が流れる電極間の皮膚は、例えば図3に示すような等価回路で表わすことができる。即ち、図3の等価回路では、早い電流成分Ifは、抵抗120Rとコンデンサ120Cとで構成される第1の電流路120を流れる電流として表わされ、遅い電流成分Idは、抵抗121Rとコンデンサ121Cとで構成される第2の電流路121を流れる電流で表わされ、定常電流Icは、抵抗122Rで構成される第3の電流路122を流れる電流で表わされる。また、この等価回路は、第1,2,3の各電流路120,121,122が並列となるよう構成され、第1,2,3の電流路120,121,122が合流したあとに各電流成分If,Id,Icは抵抗123Rを通過するよう構成されている。さらに、抵抗120Rの抵抗値Rf及び抵抗121Rの抵抗値Rdは、抵抗値Rf<抵抗値Rdを満たす。なお、コンデンサ120Cの電気容量はCfで表わし、コンデンサ121Cの電気容量はCdで表わし、抵抗122Rの抵抗値はRcで表わし、抵抗123Rの抵抗値はR0で表わすものとする。
【0020】
上記の等価回路における抵抗値Rf,Rd,Rc,R0及び電気容量Cf,Cdは、それぞれ電極が装着された生体の皮膚の状態を表わす情報を含んだ電気的特性値であると考えられる。以下、図を用いてその内容を説明する。
図4は生体の皮膚に一対の電極を装着した場合を説明する図、図5は図4のV部を拡大して示す模式的な斜視図である。図4に示すように、生体の皮膚は表皮100と、血液が流れている真皮101との二重構造になっており、表皮100と真皮101とは基底膜102によって分離されている。皮膚の表面、即ち表皮100の表面に一対の電極(ここでは、円柱形状の電極を用いて説明する)110A,110Bを装着し、電極110A,110B間にステップ電圧を印加すると、電流はプラス電極110Aから皮膚を通ってマイナス電極110Bに流れる。この際に流れる早い電流成分Ifの電流量は、電極110Aの皮膚接触部の外周長に略比例し、また、遅い電流成分Idの電流量が、電極110Aの皮膚接触部の面積に略比例する。なお、電極110A,110Bの大きさが異なっている場合、早い電流成分If及び遅い電流成分Idそれぞれの電流量は、両電極の大きさに十分な差があれば、一般的に小さい方の電極(ここでは、電極110Aの方が小さいものとして説明する)の皮膚接触部の外周長及び面積それぞれにより決まる。
【0021】
このことから、図5に示すようにステップ電圧を印加した直後に、早い電流成分Ifは電極110Aの側壁外周面と交差(直交)するように皮膚の横方向(皮膚面と略平行な方向)に流れ、また、遅い電流成分Idは電極110Aの接触面と交差(直交)するように皮膚の縦方向(皮膚面と略垂直な方向)に流れると考えられる。また、どちらの成分も、導電率の高い真皮101を流れ、導電率が低く電荷を溜めやすい基底膜102に帯電すると考えられる。さらに、それぞれの成分を担う電荷キャリア(電解質など)の状態(数量など)によって、それぞれの電気抵抗や電気容量が決定されると考えられる。したがって、上記の等価回路において早い電流成分Ifが流れる電流路120を構成する抵抗120Rの抵抗値Rf及びコンデンサ120Cの電気容量Cfは、それぞれ真皮101内を横方向に自由に移動できる電荷キャリアの状態を表わす情報を含む電気的特性値であると考えられる。
【0022】
また、同様に上記の等価回路において遅い電流成分Idが流れる電流路121を構成する抵抗121Rの抵抗値Rd及びコンデンサ121Cの電気容量Cdは、それぞれ真皮101内、若しくは、真皮101から基底膜102を抜けて縦方向に移動する電荷キャリアの状態を示す情報を含む電気的特性値であると考えられる。さらに、定常電流Icが流れる電流路122を構成する抵抗122Rの抵抗値Rcは、基底膜102にほとんど電荷を溜めない微小の漏れ電流の抵抗であると考えられる。これらの要素が電極110A直下、若しくは、電極110Aの極近傍の電気的特性を表わすのに対して、抵抗123Rの抵抗値R0は、両電極110A,110B間の真皮101全体の抵抗値である。また、これらの電流成分If,Id,Icの電流量、抵抗値Rf,Rd,Rc,R0、電気容量Cf,Cdのすべて若しくは一部から算出される各種のパラメータは、それぞれ生体の皮膚の状態を表わす情報を含み、生体の皮膚の状態を表わす電気的特性値となりうるものと考えられる。
【0023】
以上のように、上記の等価回路を流れる電流成分If,Id,Icの電流量、抵抗値Rf,Rd,Rc,R0、電気容量Cf,Cd、及び、それらから導き出されるパラメータが分かれば、皮膚の情報、即ち、真皮101及び表皮100の情報を把握することが可能になる。
【0024】
例えば、パルス電圧印加後の初期電流量は、真皮の水分量(以下適宜、「真皮水分量」という)を表わす情報(即ち、真皮の水分量情報)として用いることができる。これは、早い電流成分Ifの大きさが、真皮の水分量との関連が強いと推察されるためである。即ち、図3〜5を用いて説明すると、早い電流成分Ifに対応する抵抗120Rは、局所(電極110A近傍)の真皮101の水分(細胞外液)に含まれる比較的移動しやすい電解質の電気抵抗であり、水分量との関連が強いと推察されるからである。また、同様の理由で、例えば抵抗値Rfなども、真皮の水分量情報として用いることが可能である。
本実施形態では、ステップ電圧印加直後の初期電流量を真皮の水分量情報として用いるものとする。具体的には、上記初期電流量が大きければ真皮水分量が多く、上記初期電流量が小さければ真皮水分量が少ないものとしている。
【0025】
また、例えば、パルス電圧印加後に変化する電流量の変化率(以下適宜、「電流変化率」という)の初期量(以下適宜、「電流初期変化率」という)を初期電流量の自乗で除した値(時定数)は、真皮のイオン濃度(以下適宜、「真皮イオン濃度」という)を表わす情報(即ち、真皮のイオン濃度情報)として用いることができる。これは、一般にRC回路にステップ電圧を印加したとき流れる電流において、電流初期変化率を初期電流量の自乗で除した数値は、時定数と呼ばれる抵抗値と電気容量の積、すなわち、導電体の形状によらず、導電体の物性、つまり質により決定される物理量と等しいからである。真皮層の水分の物性、つまり質は、各種イオンの濃度により決まる。すなわち、図3〜5を用いて説明すると、早い電流成分Ifに対応する抵抗120Rとコンデンサ120Cとの積は、比較的移動しやすい真皮101のイオン濃度と関連が強いと推察されるからである。また、同様の理由で、例えば抵抗値Rfや電気容量Cfの積も、真皮のイオン濃度情報として用いることが可能である。
本実施形態では、ごく短い電圧印加で正確に情報を得るため、電流初期変化率と初期電流量とを用いて時定数を算出し、この時定数を真皮のイオン濃度情報として用いる。即ち、ステップ電圧印加後の電流初期変化率を初期電流量の自乗で除した値(時定数)を、真皮のイオン濃度情報として用いるものとする。具体的には、上記時定数が大きければ真皮のイオン濃度が多く、上記時定数が小さければ真皮のイオン濃度が少ないものとしている。
【0026】
さらに、例えば、定常電流量は、表皮の皮脂量(以下適宜、「表皮皮脂量」という)を表わす情報(即ち、表皮の皮脂量情報)として用いることができる。これは、定常成分Icの大きさが、皮脂分泌量との関連が強いと推測されるためである。即ち、図3〜5を用いて説明すると、定常成分Icに対応する抵抗122Rは、局所(電極110A近傍)の表皮に含まれる皮脂との関連が強いと推測されるからである。
また、同様の理由で、例えば抵抗値Rcなども、表皮の皮脂量情報として用いることができる。これらは、定常電流量(基底膜の漏れ電流)が表皮皮脂量によって変化することを利用している。この知識は、一般に交感神経の緊張を推測する方法、つまり、交感神経=皮脂分泌反射(GSR)として広く知られている。
本実施形態では、定常電流量を表皮層の皮脂量情報として用いている。具体的には、上記定常電流量が大きければ表皮の皮脂量が多く、上記定常電流量が小さければ表皮の皮脂量も少ないものとしている。
【0027】
[I−1−2.計測装置の構成]
計測装置10は、生体の皮膚にステップ電圧を印加する機能と、そのときの応答電流を計測する機能とを有する部分である。図1に示すように、この計測装置10は、一対の電極11A,11B(前記の電極110A,110Bに相当する)、ステップ電圧発生装置(電圧印加手段)12、電流計13、データサンプリング回路(サンプリング手段)14、及び、クロック発生回路15から構成されている。
【0028】
電極11A,11Bは、生体の皮膚にステップ電圧を印加するための手段であり、図示しないトリガスイッチを入れることによってステップ電圧発生装置12から電極11A,11B間にステップ電圧が印加されるようになっている。なお、ステップ電圧発生装置12が発生する電圧は、通常は3V程度に設定される。
【0029】
電流計13は、ステップ電圧の印加によって電極11A,11B間に流れる電流量を測定するものである。したがって、電極11A,11B間に流れる電流量は、電流計13により常時計測されるようになっている。
【0030】
さらに、電流計13により計測される電流量は、データサンプリング回路14により所定のタイミングでA/D変換されてデジタル信号として取り込まれるようになっている。また、このデータサンプリング回路14によるサンプリングタイミングは、クロック発生回路15から出力されるクロック信号によって制御されるようになっている。したがって、この電流計13、サンプリング回路14、及びクロック発生回路15が、応答電流検出部16を構成する。
【0031】
クロック発生回路15は、ステップ電圧発生装置12によるステップ電圧の印加に同期して微小時間を空けてサンプリング命令パルス信号を発生する回路である。したがって、ステップ電圧の印加をしたときには、第1のサンプリング命令パルス信号(第1命令信号)、第2のサンプリング命令パルス信号(第2命令信号)が、微小時間を空けて発生するようになっている。
【0032】
データサンプリング回路14は、サンプリングパルス信号に同期して電流計13から電流量Iを取り込み、取り込んだ電流量Iをデータ処理装置20の電流量計測部40及び電流変化量計測部50(図1参照。後述する。)に送るようになっている。そして、電流量Iは、次に説明するデータ処理装置20において処理されるようになっている。
【0033】
[I−2.データ処理装置]
データ処理装置20には、計測装置10により得られた電流量Iが図示しない入力インタフェース(入力手段)を介して入力されるようになっている。そして、データ処理装置20は、入力された電流量Iについて適宜の処理を行ない、対象人物の肌のうち、計測装置10が計測した所定の部位の皮膚の状態の評価、及び、その状態に応じた肌の手入れ(ケア)の手段の選定(即ち、ケア情報の提示)を行なうよう構成されている。
【0034】
そのため、図1に示すように、データ処理装置20は、電流量計測部40、電流変化量計測部50、皮膚情報特定部(皮膚情報検出部)60、皮膚情報比較部70、主処理部80、及び、記憶装置90を備えている。
ところで、ここで肌のケアの手段(ケア手段)とは、肌をケアするための手段を広義に指す。ケア手段の例を挙げると、肌のケアの手法、肌の手入れに用いる化粧品、食品、薬品などが挙げられる。したがって、本実施形態では、後述する提示手段は、ケア手段に関する情報(ケア情報)として、上記の肌をケアするための手段に関する広範な情報を提示できるようになっている。
【0035】
[I−2−1.電流量計測部40]
電流量計測部40は、ステップ電圧の印加後に流れる応答電流の電流量を計測する手段である。電流量計測部40では、各命令信号に同期して取り込まれた電流量Iを読み出して、皮膚情報特定部60に送るようになっている。
【0036】
[I−2−2.電流変化量計測部50]
電流変化量計測部50は応答電流の所定時間あたりの変化量を計測する手段である。電流変化量計測部50では、ある命令信号に同期して取り込まれた電流量(例えば、図6の電流量I1)と、その次の命令信号に同期して取り込まれた電流量(例えば、図6の電流量I2)との偏差(例えば、図6ではI1−I2)を算出し、その偏差を電流変化量として皮膚情報特定部60に送るようになっている。
【0037】
[I−2−3.皮膚情報特定部60]
皮膚情報特定部(皮膚情報検出部)60は、計測装置10によって計測した皮膚に関する情報を特定(検出)する手段である。図1に示すように、皮膚情報特定部60は、真皮水分量情報特定部(真皮水分量情報検出部)として機能する初期電流量特定部(初期電流量検出部)61と、真皮イオン濃度情報特定部(真皮イオン濃度情報検出部)として機能する時定数特定部(時定数検出部)62と、表皮皮脂量情報特定部(表皮皮脂量情報検出部)として機能する定常電流量特定部(定常電流量検出部)63とを備えている。
【0038】
初期電流量特定部61は、初期電流量を、皮膚の真皮の水分量情報として検出する手段である。初期電流量特定部61は、電流量計測部40から送られてくる電流量を受け取り、そして、第1命令信号に同期して取り込まれた電流量I1を読み出して、この電流量I1を初期電流量として検出するようになっている(図6参照)。さらに、検出された初期電流量は、真皮の水分量情報として皮膚情報比較部70に送られるようになっている。
【0039】
また、時定数特定部62は、電流初期変化率を初期電流量の自乗で除した値(時定数)を、皮膚の真皮のイオン濃度情報として検出する手段である。時定数特定部62は、電流量計測部40から送られてくる電流量を受け取り、第1命令信号に同期して取り込まれた電流量I1を読み出して、この電流量I1を初期電流量として得る。また、時定数特定部62は、電流変化量計測部50から送られてくる電流の変化量を受け取り、第1命令信号に同期して取り込まれた電流量I1と第2命令信号に同期して取り込まれた電流量I2との偏差(即ち、最初の電流変化量di(0))を読み出す(図6参照)。そして、この電流変化量di(0)を用い、下記の式(1)を計算することにより、電流初期変化率を得て、得られた電流初期変化率を初期電流量の自乗で除すことにより時定数を検出するようになっている。
電流初期変化率=di(0)/dt ・・・(1)
なお、式(1)において、dtは、電流量I1と電流量I2のサンプリング間隔であり、クロック発生回路15によるクロック周期に等しい。
【0040】
また、電流初期変化率は、
【数1】

て定義される値であるが、ここでは、上記式(1)により近似を行なっている。
検出された時定数は、真皮のイオン濃度情報として皮膚情報比較部70に送られるようになっている。
【0041】
さらに、定常電流特定部63は、定常電流量を、皮膚の表皮の皮脂量情報として検出する手段である。定常電流特定部63は、電流量計測部40から送られてくる電流量を受け取る。そして、電圧印加開始から一定時間が経過した後、複数のサンプル(複数の時点における電流量)から平均値を算出し、定常電流量として検出するようになっている。また、検出された定常電流量は、表皮層の皮脂量情報として皮膚情報比較部70に送られるようになっている。
【0042】
なお、上述した計測装置10、電流量計測部40、電流変化量計測部50及び皮膚情報特定部60は、上記真皮層の水分量及びイオン濃度のいずれか一方又は双方を少なくとも測定して当該一方又は双方に関する情報を取得する測定手段として機能する。
【0043】
[I−2−4.皮膚情報比較部]
皮膚情報比較部70は、計測装置10によって計測した皮膚の状態を判定するため、皮膚の評価に用いる基準情報と、皮膚の状態を表わす皮膚情報(真皮の水分量情報及びイオン濃度情報、並びに表皮の皮脂量情報)とを比較する手段である。本実施形態では、皮膚情報比較部70は、水分量情報比較部71と、イオン濃度情報比較部72と、皮脂量情報比較部73とを備えている。
【0044】
また、本実施形態において、皮膚情報比較部70が行なう比較は、真皮の水分量及びイオン濃度並びに表皮の皮脂量が、基準範囲内に収まるかどうかを確認するためのものである。したがって、ここで行なわれる比較に基準として使用される基準情報は、真皮の水分量及びイオン濃度並びに表皮の皮脂量が上記の基準範囲内に収まるかどうかを確認できる基準情報となっている。具体的には、基準情報として、真皮の水分量に関する水分量基準情報、真皮のイオン濃度に関するイオン濃度基準情報、並びに、表皮の皮脂量の基準範囲に関する皮脂量基準情報を用いるようになっているものとする。
【0045】
なお、上記の水分量基準情報、イオン濃度基準情報及び皮脂量基準情報は、それぞれ、記憶装置90の水分量基準情報記憶部91、イオン濃度基準情報記憶部92及び皮脂量基準情報記憶部93に記憶され、適宜、記憶装置90から読み込まれて比較に用いられるようになっている。
【0046】
水分量情報比較部71は、初期電流量特定部61が検出した初期電流量を真皮の水分量情報として用い、この水分量情報と水分量基準情報と比較する手段である。また、上記の比較に用いる水分量基準情報としては、真皮の水分量の基準範囲の上限値に対応した基準情報(以下適宜、「水分量基準範囲上限値」という)と、真皮の水分量の基準範囲の下限値に対応した基準情報(以下適宜、「水分量基準範囲下限値」という)とを採用しているものとする。
【0047】
イオン濃度情報比較部72は、時定数特定部62が検出した時定数を真皮のイオン濃度情報として用い、このイオン濃度情報とイオン濃度基準情報と比較する手段である。また、上記の比較に用いるイオン濃度基準情報としては、真皮のイオン濃度の基準範囲の上限値に対応した基準情報(以下適宜、「イオン基準範囲上限値」という)と、真皮のイオン濃度の基準範囲の下限値に対応した基準情報(以下適宜、「イオン基準範囲下限値」という)とを採用しているものとする。
【0048】
皮脂量情報比較部73は、定常電流量特定部63が検出した定常電流量を表皮の皮脂量情報として用い、この皮脂量情報と皮脂量基準情報とを比較する手段である。また、上記の比較に用いる皮脂量基準情報としては、表皮の皮脂量の基準範囲の上限値に対応した基準情報(以下適宜、「皮脂量基準範囲上限値」という)と、表皮の皮脂量の基準範囲の下限値に対応した基準情報(以下適宜、「皮脂量基準範囲下限値」という)とを採用しているものとする。
【0049】
なお、上記の基準範囲は、例えば、所定数の健常者から予め得た平均値を用いて、「平均値±標準偏差」で表わされる範囲を採用することができる。
そして、皮膚情報比較部70は、皮膚情報特定部60から真皮の水分量情報及びイオン濃度情報、並びに表皮の皮脂量情報が送られてくると、以下の要領にしたがって比較を行なうようになっている。
【0050】
図7〜図9は、皮膚情報比較部70で行なわれる比較処理の要領を示すフロー図である。図7に示すように、まず、ステップS1において、水分量情報比較部71が真皮の水分量情報と水分量基準範囲上限値とを比較して、真皮水分量が基準範囲よりも大きいか否かの判定を行なう。水分量情報が水分量基準範囲上限値よりも大きければ真皮水分量が基準範囲より大きいと判定して処理はYESルートをとってステップS11に進み、水分量情報が水分量基準範囲上限値以下であればNOルートをとって図8に示すステップS2へ進む。
【0051】
ステップS11では、イオン濃度情報比較部72が真皮のイオン濃度情報とイオン濃度基準範囲上限値とを比較して、真皮イオン濃度が基準範囲よりも大きいか否かの判定を行なう。イオン濃度情報がイオン濃度基準範囲上限値よりも大きければ真皮イオン濃度が基準範囲より大きいと判定して処理はYESルートをとってステップS111に進み、イオン濃度情報がイオン濃度基準範囲上限値以下であればNOルートをとってステップS12へ進む。
【0052】
ステップS111では、皮脂量情報比較部73が表皮の皮脂量情報と皮脂量基準範囲上限値とを比較して、表皮皮脂量が基準範囲よりも大きいか否かの判定を行なう。皮脂量情報が皮脂量基準範囲上限値よりも大きければ表皮皮脂量が基準範囲より大きいと判定して処理はYESルートをとってステップSS1に進み、皮脂量情報が皮脂量基準範囲上限値以下であればNOルートをとってステップS112へ進む。
【0053】
ステップSS1に処理が移行したということは、対象となる皮膚では真皮水分量、真皮イオン濃度及び表皮皮脂量がいずれも基準範囲よりも大きいと判定されたことになる。そこで、ステップSS1では、皮膚情報比較部70は、主処理部80に対して、後述する所定の処理1を行なうように処理情報を送る。
【0054】
ステップS112では、皮脂量情報比較部73が表皮の皮脂量情報と皮脂量基準範囲下限値とを比較して、表皮皮脂量が基準範囲内に収まるか否かの判定を行なう。皮脂量情報が皮脂量基準範囲下限値以上であれば表皮皮脂量が基準範囲内に収まると判定して処理はYESルートをとってステップSS2に進み、皮脂量情報が皮脂量基準範囲下限値よりも小さければ表皮皮脂量が基準範囲よりも小さいと判定してNOルートをとってステップSS3へ進む。
【0055】
ステップSS2に処理が移行したということは、対象となる皮膚では真皮水分量及び真皮イオン濃度がいずれも基準範囲よりも大きく、表皮皮脂量が基準範囲内に収まると判定されたことになる。そこで、ステップSS2では、皮膚情報比較部70は、主処理部80に対して、後述する所定の処理2を行なうように処理情報を送る。
【0056】
また、ステップSS3に処理が移行したということは、対象となる皮膚では真皮水分量及び真皮イオン濃度がいずれも基準範囲よりも大きく、表皮皮脂量が基準範囲よりも小さいと判定されたことになる。そこで、ステップSS3では、皮膚情報比較部70は、主処理部80に対して、後述する所定の処理3を行なうように処理情報を送る。
【0057】
さらに、ステップS12では、イオン濃度情報比較部72が真皮のイオン濃度情報とイオン濃度基準範囲下限値とを比較して、真皮イオン濃度が基準範囲内に収まるか否かの判定を行なう。イオン濃度情報がイオン濃度基準範囲下限値以上であれば真皮イオン濃度が基準範囲内に収まると判定して処理はYESルートをとってステップS121に進み、イオン濃度情報がイオン濃度基準範囲下限値より小さければ真皮イオン濃度が基準範囲よりも小さいと判定して処理はNOルートをとってステップS131へ進む。
【0058】
ステップS121では、皮脂量情報比較部73が表皮の皮脂量情報と皮脂量基準範囲上限値とを比較して、表皮皮脂量が基準範囲よりも大きいか否かの判定を行なう。皮脂量情報が皮脂量基準範囲上限値よりも大きければ表皮皮脂量が基準範囲より大きいと判定して処理はYESルートをとってステップSS4に進み、皮脂量情報が皮脂量基準範囲上限値以下であればNOルートをとってステップS122へ進む。
【0059】
ステップSS4に処理が移行したということは、対象となる皮膚では真皮水分量及び表皮皮脂量がいずれも基準範囲よりも大きく、真皮イオン濃度は基準範囲内に収まると判定されたことになる。そこで、ステップSS4では、皮膚情報比較部70は、主処理部80に対して、後述する所定の処理4を行なうように処理情報を送る。
【0060】
ステップS122では、皮脂量情報比較部73が表皮の皮脂量情報と皮脂量基準範囲下限値とを比較して、表皮皮脂量が基準範囲内に収まるか否かの判定を行なう。皮脂量情報が皮脂量基準範囲下限値以上であれば表皮皮脂量が基準範囲内に収まると判定して処理はYESルートをとってステップSS5に進み、皮脂量情報が皮脂量基準範囲下限値よりも小さければ表皮皮脂量が基準範囲よりも小さいと判定してNOルートをとってステップSS6へ進む。
【0061】
ステップSS5に処理が移行したということは、対象となる皮膚では真皮水分量が基準範囲よりも大きく、真皮イオン濃度及び表皮皮脂量はいずれも基準範囲内に収まると判定されたことになる。そこで、ステップSS5では、皮膚情報比較部70は、主処理部80に対して、後述する所定の処理5を行なうように処理情報を送る。
【0062】
また、ステップSS6に処理が移行したということは、対象となる皮膚では真皮水分量が基準範囲よりも大きく、真皮イオン濃度が基準範囲内に収まり、表皮皮脂量が基準範囲よりも小さいと判定されたことになる。そこで、ステップSS6では、皮膚情報比較部70は、主処理部80に対して、後述する所定の処理6を行なうように処理情報を送る。
【0063】
さらに、ステップS131では、皮脂量情報比較部73が表皮の皮脂量情報と皮脂量基準範囲上限値とを比較して、表皮皮脂量が基準範囲よりも大きいか否かの判定を行なう。皮脂量情報が皮脂量基準範囲上限値よりも大きければ表皮皮脂量が基準範囲より大きいと判定して処理はYESルートをとってステップSS7に進み、皮脂量情報が皮脂量基準範囲上限値以下であればNOルートをとってステップS132へ進む。
【0064】
ステップSS7に処理が移行したということは、対象となる皮膚では真皮水分量及び表皮皮脂量がいずれも基準範囲よりも大きく、真皮イオン濃度は基準範囲よりも小さいと判定されたことになる。そこで、ステップSS7では、皮膚情報比較部70は、主処理部80に対して、後述する所定の処理7を行なうように処理情報を送る。
【0065】
ステップS132では、皮脂量情報比較部73が表皮の皮脂量情報と皮脂量基準範囲下限値とを比較して、表皮皮脂量が基準範囲内に収まるか否かの判定を行なう。皮脂量情報が皮脂量基準範囲下限値以上であれば表皮皮脂量が基準範囲内に収まると判定して処理はYESルートをとってステップSS8に進み、皮脂量情報が皮脂量基準範囲下限値よりも小さければ表皮皮脂量が基準範囲よりも小さいと判定してNOルートをとってステップSS9へ進む。
【0066】
ステップSS8に処理が移行したということは、対象となる皮膚では真皮水分量が基準範囲よりも大きく、真皮イオン濃度は基準範囲よりも小さく、表皮皮脂量は基準範囲内に収まると判定されたことになる。そこで、ステップSS8では、皮膚情報比較部70は、主処理部80に対して、後述する所定の処理8を行なうように処理情報を送る。
【0067】
また、ステップSS9に処理が移行したということは、対象となる皮膚では真皮水分量が基準範囲よりも大きく、真皮イオン濃度及び表皮皮脂量がいずれも基準範囲よりも小さいと判定されたことになる。そこで、ステップSS9では、皮膚情報比較部70は、主処理部80に対して、後述する所定の処理9を行なうように処理情報を送る。
【0068】
さらに、図8に示すように、ステップS2では、水分量情報比較部71が真皮の水分量情報と水分量基準範囲下限値とを比較して、真皮水分量が基準範囲内に収まるか否かの判定を行なう。水分量情報が水分量基準範囲下限値以上であれば真皮水分量が基準範囲内に収まると判定して処理はYESルートをとってステップS21に進み、水分量情報が水分量基準範囲下限値より小さければNOルートをとって図9に示すステップS31へ進む。
【0069】
ステップS21では、イオン濃度情報比較部72が真皮のイオン濃度情報とイオン濃度基準範囲上限値とを比較して、真皮イオン濃度が基準範囲よりも大きいか否かの判定を行なう。イオン濃度情報がイオン濃度基準範囲上限値よりも大きければ真皮イオン濃度が基準範囲より大きいと判定して処理はYESルートをとってステップS211に進み、イオン濃度情報がイオン濃度基準範囲上限値以下であればNOルートをとってステップS22へ進む。
【0070】
ステップS211では、皮脂量情報比較部73が表皮の皮脂量情報と皮脂量基準範囲上限値とを比較して、表皮皮脂量が基準範囲よりも大きいか否かの判定を行なう。皮脂量情報が皮脂量基準範囲上限値よりも大きければ表皮皮脂量が基準範囲より大きいと判定して処理はYESルートをとってステップSS10に進み、皮脂量情報が皮脂量基準範囲上限値以下であればNOルートをとってステップS212へ進む。
【0071】
ステップSS10に処理が移行したということは、対象となる皮膚では真皮水分量が基準範囲内であり、真皮イオン濃度及び表皮皮脂量がいずれも基準範囲よりも大きいと判定されたことになる。そこで、ステップSS10では、皮膚情報比較部70は、主処理部80に対して、後述する所定の処理10を行なうように処理情報を送る。
【0072】
ステップS212では、皮脂量情報比較部73が表皮の皮脂量情報と皮脂量基準範囲下限値とを比較して、表皮皮脂量が基準範囲内に収まるか否かの判定を行なう。皮脂量情報が皮脂量基準範囲下限値以上であれば表皮皮脂量が基準範囲内に収まると判定して処理はYESルートをとってステップSS11に進み、皮脂量情報が皮脂量基準範囲下限値よりも小さければ表皮皮脂量が基準範囲よりも小さいと判定してNOルートをとってステップSS12へ進む。
【0073】
ステップSS11に処理が移行したということは、対象となる皮膚では真皮水分量及び表皮皮脂量が基準範囲内に収まり、真皮イオン濃度が基準範囲よりも大きいと判定されたことになる。そこで、ステップSS11では、皮膚情報比較部70は、主処理部80に対して、後述する所定の処理11を行なうように処理情報を送る。
【0074】
また、ステップSS12に処理が移行したということは、対象となる皮膚では真皮水分量が基準範囲内に収まり、真皮イオン濃度が基準範囲よりも大きく、表皮皮脂量が基準範囲よりも小さいと判定されたことになる。そこで、ステップSS12では、皮膚情報比較部70は、主処理部80に対して、後述する所定の処理12を行なうように処理情報を送る。
【0075】
さらに、ステップS22では、イオン濃度情報比較部72が真皮のイオン濃度情報とイオン濃度基準範囲下限値とを比較して、真皮イオン濃度が基準範囲内に収まるか否かの判定を行なう。イオン濃度情報がイオン濃度基準範囲下限値以上であれば真皮イオン濃度が基準範囲内に収まると判定して処理はYESルートをとってステップS221に進み、イオン濃度情報がイオン濃度基準範囲下限値より小さければ真皮イオン濃度が基準範囲よりも小さいと判定してNOルートをとってステップS231へ進む。
【0076】
ステップS221では、皮脂量情報比較部73が表皮の皮脂量情報と皮脂量基準範囲上限値とを比較して、表皮皮脂量が基準範囲よりも大きいか否かの判定を行なう。皮脂量情報が皮脂量基準範囲上限値よりも大きければ表皮皮脂量が基準範囲より大きいと判定して処理はYESルートをとってステップSS13に進み、皮脂量情報が皮脂量基準範囲上限値以下であればNOルートをとってステップS222へ進む。
【0077】
ステップSS13に処理が移行したということは、対象となる皮膚では真皮水分量及び真皮イオン濃度がいずれも基準範囲内に収まり、表皮皮脂量が基準範囲よりも大きいと判定されたことになる。そこで、ステップSS13では、皮膚情報比較部70は、主処理部80に対して、後述する所定の処理13を行なうように処理情報を送る。
【0078】
ステップS222では、皮脂量情報比較部73が表皮の皮脂量情報と皮脂量基準範囲下限値とを比較して、表皮皮脂量が基準範囲内に収まるか否かの判定を行なう。皮脂量情報が皮脂量基準範囲下限値以上であれば表皮皮脂量が基準範囲内に収まると判定して処理はYESルートをとってステップSS14に進み、皮脂量情報が皮脂量基準範囲下限値よりも小さければ表皮皮脂量が基準範囲よりも小さいと判定してNOルートをとってステップSS15へ進む。
【0079】
ステップSS14に処理が移行したということは、対象となる皮膚では真皮水分量、真皮イオン濃度及び表皮皮脂量はいずれも基準範囲内に収まると判定されたことになる。そこで、ステップSS14では、皮膚情報比較部70は、主処理部80に対して、後述する所定の処理14を行なうように処理情報を送る。
【0080】
また、ステップSS15に処理が移行したということは、対象となる皮膚では真皮水分量及び真皮イオン濃度がいずれも基準範囲内に収まり、表皮皮脂量が基準範囲よりも小さいと判定されたことになる。そこで、ステップSS15では、皮膚情報比較部70は、主処理部80に対して、後述する所定の処理15を行なうように処理情報を送る。
【0081】
さらに、ステップS231では、皮脂量情報比較部73が表皮の皮脂量情報と皮脂量基準範囲上限値とを比較して、表皮皮脂量が基準範囲よりも大きいか否かの判定を行なう。皮脂量情報が皮脂量基準範囲上限値よりも大きければ表皮皮脂量が基準範囲より大きいと判定して処理はYESルートをとってステップSS16に進み、皮脂量情報が皮脂量基準範囲上限値以下であればNOルートをとってステップS232へ進む。
【0082】
ステップSS16に処理が移行したということは、対象となる皮膚では真皮水分量は基準範囲内に収まり、真皮イオン濃度は基準範囲よりも小さく、表皮皮脂量は基準範囲よりも大きいと判定されたことになる。そこで、ステップSS16では、皮膚情報比較部70は、主処理部80に対して、後述する所定の処理16を行なうように処理情報を送る。
【0083】
ステップS232では、皮脂量情報比較部73が表皮の皮脂量情報と皮脂量基準範囲下限値とを比較して、表皮皮脂量が基準範囲内に収まるか否かの判定を行なう。皮脂量情報が皮脂量基準範囲下限値以上であれば表皮皮脂量が基準範囲内に収まると判定して処理はYESルートをとってステップSS17に進み、皮脂量情報が皮脂量基準範囲下限値よりも小さければ表皮皮脂量が基準範囲よりも小さいと判定してNOルートをとってステップSS18へ進む。
【0084】
ステップSS17に処理が移行したということは、対象となる皮膚では真皮水分量及び表皮皮脂量が基準範囲内に収まり、真皮イオン濃度が基準範囲よりも小さいと判定されたことになる。そこで、ステップSS17では、皮膚情報比較部70は、主処理部80に対して、後述する所定の処理17を行なうように処理情報を送る。
【0085】
また、ステップSS18に処理が移行したということは、対象となる皮膚では真皮水分量が基準範囲内に収まり、真皮イオン濃度及び表皮皮脂量がいずれも基準範囲よりも小さいと判定されたことになる。そこで、ステップSS18では、皮膚情報比較部70は、主処理部80に対して、後述する所定の処理18を行なうように処理情報を送る。
【0086】
さらに、図9に示すように、ステップS31では、イオン濃度情報比較部72が真皮のイオン濃度情報とイオン濃度基準範囲上限値とを比較して、真皮イオン濃度が基準範囲よりも大きいか否かの判定を行なう。イオン濃度情報がイオン濃度基準範囲上限値よりも大きければ真皮イオン濃度が基準範囲より大きいと判定して処理はYESルートをとってステップS311に進み、イオン濃度情報がイオン濃度基準範囲上限値以下であればNOルートをとってステップS32へ進む。
【0087】
ステップS311では、皮脂量情報比較部73が表皮の皮脂量情報と皮脂量基準範囲上限値とを比較して、表皮皮脂量が基準範囲よりも大きいか否かの判定を行なう。皮脂量情報が皮脂量基準範囲上限値よりも大きければ表皮皮脂量が基準範囲より大きいと判定して処理はYESルートをとってステップSS19に進み、皮脂量情報が皮脂量基準範囲上限値以下であればNOルートをとってステップS312へ進む。
【0088】
ステップSS19に処理が移行したということは、対象となる皮膚では真皮水分量が基準範囲よりも小さく、真皮イオン濃度及び表皮皮脂量がいずれも基準範囲よりも大きいと判定されたことになる。そこで、ステップSS19では、皮膚情報比較部70は、主処理部80に対して、後述する所定の処理19を行なうように処理情報を送る。
【0089】
ステップS312では、皮脂量情報比較部73が表皮の皮脂量情報と皮脂量基準範囲下限値とを比較して、表皮皮脂量が基準範囲内に収まるか否かの判定を行なう。皮脂量情報が皮脂量基準範囲下限値以上であれば表皮皮脂量が基準範囲内に収まると判定して処理はYESルートをとってステップSS20に進み、皮脂量情報が皮脂量基準範囲下限値よりも小さければ表皮皮脂量が基準範囲よりも小さいと判定してNOルートをとってステップSS21へ進む。
【0090】
ステップSS20に処理が移行したということは、対象となる皮膚では真皮水分量が基準範囲よりも小さく、真皮イオン濃度が基準範囲よりも大きく、表皮皮脂量が基準範囲内に収まると判定されたことになる。そこで、ステップSS20では、皮膚情報比較部70は、主処理部80に対して、後述する所定の処理20を行なうように処理情報を送る。
【0091】
また、ステップSS21に処理が移行したということは、対象となる皮膚では真皮水分量及び表皮皮脂量が基準範囲よりも小さく、真皮イオン濃度が基準範囲よりも大きいと判定されたことになる。そこで、ステップSS21では、皮膚情報比較部70は、主処理部80に対して、後述する所定の処理21を行なうように処理情報を送る。
【0092】
さらに、ステップS32では、イオン濃度情報比較部72が真皮のイオン濃度情報とイオン濃度基準範囲下限値とを比較して、真皮イオン濃度が基準範囲内に収まるか否かの判定を行なう。イオン濃度情報がイオン濃度基準範囲下限値以上であれば真皮イオン濃度が基準範囲内に収まると判定して処理はYESルートをとってステップS321に進み、イオン濃度情報がイオン濃度基準範囲下限値より小さければ真皮イオン濃度が基準範囲よりも小さいと判定してNOルートをとってステップS331へ進む。
【0093】
ステップS321では、皮脂量情報比較部73が表皮の皮脂量情報と皮脂量基準範囲上限値とを比較して、表皮皮脂量が基準範囲よりも大きいか否かの判定を行なう。皮脂量情報が皮脂量基準範囲上限値よりも大きければ表皮皮脂量が基準範囲より大きいと判定して処理はYESルートをとってステップSS22に進み、皮脂量情報が皮脂量基準範囲上限値以下であればNOルートをとってステップS322へ進む。
【0094】
ステップSS22に処理が移行したということは、対象となる皮膚では真皮水分量が基準範囲よりも小さく、真皮イオン濃度が基準範囲内に収まり、表皮皮脂量が基準範囲よりも大きいと判定されたことになる。そこで、ステップSS22では、皮膚情報比較部70は、主処理部80に対して、後述する所定の処理22を行なうように処理情報を送る。
【0095】
ステップS322では、皮脂量情報比較部73が表皮の皮脂量情報と皮脂量基準範囲下限値とを比較して、表皮皮脂量が基準範囲内に収まるか否かの判定を行なう。皮脂量情報が皮脂量基準範囲下限値以上であれば表皮皮脂量が基準範囲内に収まると判定して処理はYESルートをとってステップSS23に進み、皮脂量情報が皮脂量基準範囲下限値よりも小さければ表皮皮脂量が基準範囲よりも小さいと判定してNOルートをとってステップSS24へ進む。
【0096】
ステップSS23に処理が移行したということは、対象となる皮膚では真皮水分量が基準範囲よりも小さく、真皮イオン濃度及び表皮皮脂量はいずれも基準範囲内に収まると判定されたことになる。そこで、ステップSS23では、皮膚情報比較部70は、主処理部80に対して、後述する所定の処理23を行なうように処理情報を送る。
【0097】
また、ステップSS24に処理が移行したということは、対象となる皮膚では真皮水分量及び表皮皮脂量が基準範囲よりも小さく、真皮イオン濃度が基準範囲内に収まると判定されたことになる。そこで、ステップSS24では、皮膚情報比較部70は、主処理部80に対して、後述する所定の処理24を行なうように処理情報を送る。
【0098】
さらに、ステップS331では、皮脂量情報比較部73が表皮の皮脂量情報と皮脂量基準範囲上限値とを比較して、表皮皮脂量が基準範囲よりも大きいか否かの判定を行なう。皮脂量情報が皮脂量基準範囲上限値よりも大きければ表皮皮脂量が基準範囲より大きいと判定して処理はYESルートをとってステップSS25に進み、皮脂量情報が皮脂量基準範囲上限値以下であればNOルートをとってステップS332へ進む。
【0099】
ステップSS25に処理が移行したということは、対象となる皮膚では真皮水分量及び真皮イオン濃度が基準範囲よりも小さく、表皮皮脂量は基準範囲よりも大きいと判定されたことになる。そこで、ステップSS25では、皮膚情報比較部70は、主処理部80に対して、後述する所定の処理25を行なうように処理情報を送る。
【0100】
ステップS332では、皮脂量情報比較部73が表皮の皮脂量情報と皮脂量基準範囲下限値とを比較して、表皮皮脂量が基準範囲内に収まるか否かの判定を行なう。皮脂量情報が皮脂量基準範囲下限値以上であれば表皮皮脂量が基準範囲内に収まると判定して処理はYESルートをとってステップSS26に進み、皮脂量情報が皮脂量基準範囲下限値よりも小さければ表皮皮脂量が基準範囲よりも小さいと判定してNOルートをとってステップSS27へ進む。
【0101】
ステップSS26に処理が移行したということは、対象となる皮膚では真皮水分量及び真皮イオン濃度が基準範囲よりも小さく、表皮皮脂量が基準範囲内に収まると判定されたことになる。そこで、ステップSS26では、皮膚情報比較部70は、主処理部80に対して、後述する所定の処理26を行なうように処理情報を送る。
【0102】
また、ステップSS27に処理が移行したということは、対象となる皮膚では真皮水分量、真皮イオン濃度及び表皮皮脂量がいずれも基準範囲よりも小さいと判定されたことになる。そこで、ステップSS27では、皮膚情報比較部70は、主処理部80に対して、後述する所定の処理27を行なうように処理情報を送る。
【0103】
[I−2−5.主処理部]
主処理部80は、皮膚情報比較部70での比較結果に基づいて、具体的な処理を行なう手段である。皮膚情報比較部70での比較結果は対象となる皮膚の状態を反映したものであるため、主処理部80では、皮膚の状態に応じた適切な処理を行なうことができるようになっている。即ち、本実施形態では、図1に示すように、主処理部80は、皮膚状態評価部81と手入手段選定部(ケア情報選定部)82とを備えている。
【0104】
皮膚状態評価部81は、皮膚情報比較部70での比較結果(即ち、水分量情報比較部71、イオン濃度情報比較部72及び皮脂量情報比較部73での比較結果の組み合わせ)に基づいて、皮膚の状態を評価する手段である。本実施形態では、皮膚状態評価部81は、皮膚情報比較部70から送られた処理情報にしたがって、処理情報内で指定された評価内容を記憶装置90から読み取ることにより、皮膚の状態の評価を行なうようになっている。また、読み取った評価内容は、出力装置30に送るようになっている。
【0105】
手入手段選定部82は、皮膚情報比較部70での比較結果に基づいて、皮膚の状態に応じた適切な肌の手入れのための手段(ケア手段)に関するケア情報を選定する手段である。なお、ケア情報は、図1に示すケア情報記憶部95に記憶されている。本実施形態では、手入手段選定部82は、皮膚情報比較部70から送られた処理情報にしたがって、処理情報内で指定されたケア情報を、記憶装置90から読み取ることにより取得するようになっている。これにより、手入手段選定部82は、皮膚の状態に応じて肌の手入れの手段を選定し、その手段に関するケア情報を提示することができるようになっている。また、選定したケア情報は、出力装置30に送られるようになっている。したがって、手入手段選定部82は、評価手段による評価結果に応じたケア情報を、ケア情報記憶部95から取得して提示する提示手段として機能する。
【0106】
以下、各処理について具体的に説明する。
前述したごとく、主処理部80が皮膚情報比較部70から処理1を行なうための処理情報を受け取ると、皮膚状態評価部81は、皮膚について「真皮の代謝が活発で、真皮・表皮共に老廃物がたまりやすい」との評価内容を記憶装置90から読み取る。また、手入手段選択部82は、「皮脂を落とす洗顔と、発汗促進と、汗を洗い流す洗顔と、表皮保湿(ウォーターベース)とを行なう肌の手入れを勧める」とのケア情報を記憶装置90から読み取るようになっている。そして、これらの情報は、出力装置30に送られるようになっている。
【0107】
主処理部80が皮膚情報比較部70から処理2を行なうための処理情報を受け取ると、皮膚状態評価部81は、皮膚について「真皮の代謝が活発で、真皮に老廃物が溜まりやすい」との評価内容を記憶装置90から読み取る。また、手入手段選択部82は、「通常洗顔と、発汗促進と、汗を洗い流す洗顔と、表面保湿(ウォーターベース)とを行なう肌の手入れを勧める」とのケア情報を記憶装置90から読み取るようになっている。そして、これらの情報は、出力装置30に送られるようになっている。
【0108】
主処理部80が皮膚情報比較部70から処理3を行なうための処理情報を受け取ると、皮膚状態評価部81は、皮膚について「真皮の代謝が活発で、真皮に老廃物が溜まりやすいが、表皮は乾燥している」との評価内容を記憶装置90から読み取る。また、手入手段選択部82は、「通常洗顔と、発汗促進と、汗を洗い流す洗顔と、表皮保湿(オイルベース)とを行なう肌の手入れを勧める」とのケア情報を記憶装置90から読み取るようになっている。そして、これらの情報は、出力装置30に送られるようになっている。
【0109】
主処理部80が皮膚情報比較部70から処理4を行なうための処理情報を受け取ると、皮膚状態評価部81は、皮膚について「真皮の代謝が活発で、真皮に老廃物が溜まりやすい」との評価内容を記憶装置90から読み取る。また、手入手段選択部82は、「皮脂を落とす洗顔と、表面保湿(ウォーターベース)の、最も基本的な構成の肌の手入れを勧める」とのケア情報を記憶装置90から読み取るようになっている。そして、これらの情報は、出力装置30に送られるようになっている。
【0110】
主処理部80が皮膚情報比較部70から処理5を行なうための処理情報を受け取ると、皮膚状態評価部81は、皮膚について「真皮の代謝が活発」との評価内容を記憶装置90から読み取る。また、手入手段選択部82は、「通常洗顔と、表皮保湿(ウォーターベース)の、最も基本的な構成の肌の手入れを勧める」とのケア情報を記憶装置90から読み取るようになっている。そして、これらの情報は、出力装置30に送られるようになっている。
【0111】
主処理部80が皮膚情報比較部70から処理6を行なうための処理情報を受け取ると、皮膚状態評価部81は、皮膚について「真皮の代謝が活発だが、表皮は乾燥している」との評価内容を記憶装置90から読み取る。また、手入手段選択部82は、「通常洗顔と、表皮保湿(オイルベース)の、最も基本的な構成の肌の手入れを勧める」とのケア情報を記憶装置90から読み取るようになっている。そして、これらの情報は、出力装置30に送られるようになっている。
【0112】
主処理部80が皮膚情報比較部70から処理7を行なうための処理情報を受け取ると、皮膚状態評価部81は、皮膚について「真皮の水分は多いが栄養不足で、表皮に老廃物が溜まりやすい」との評価内容を記憶装置90から読み取る。また、手入手段選択部82は、「皮脂を落とす洗顔と、栄養付加及び表面保湿(ウォーターベース)の、最も基本的な構成の肌の手入れを勧める」とのケア情報を記憶装置90から読み取るようになっている。そして、これらの情報は、出力装置30に送られるようになっている。
【0113】
主処理部80が皮膚情報比較部70から処理8を行なうための処理情報を受け取ると、皮膚状態評価部81は、皮膚について「真皮の水分は多いが栄養不足」との評価内容を記憶装置90から読み取る。また、手入手段選択部82は、「通常洗顔と、栄養付加及び表皮保湿(ウォーターベース)の、もっとも基本的な構成の肌の手入れを勧める」とのケア情報を記憶装置90から読み取るようになっている。そして、これらの情報は、出力装置30に送られるようになっている。
【0114】
主処理部80が皮膚情報比較部70から処理9を行なうための処理情報を受け取ると、皮膚状態評価部81は、皮膚について「真皮の水分は多いが栄養不足で、表皮が乾燥しやすい」との評価内容を記憶装置90から読み取る。また、手入手段選択部82は、「通常洗顔と、栄養付加及び表面保湿(オイルベース)の、もっとも基本的な構成の肌の手入れを勧める」とのケア情報を記憶装置90から読み取るようになっている。そして、これらの情報は、出力装置30に送られるようになっている。
【0115】
主処理部80が皮膚情報比較部70から処理10を行なうための処理情報を受け取ると、皮膚状態評価部81は、皮膚について「真皮、表皮共に老廃物が溜まりやすい」との評価内容を記憶装置90から読み取る。また、手入手段選択部82は、「皮脂を落とす洗顔と、発汗促進と、汗を洗い流す洗顔と、真皮・表皮保湿(ウォーターベース)とを行なう肌の手入れを勧める」とのケア情報を記憶装置90から読み取るようになっている。そして、これらの情報は、出力装置30に送られるようになっている。
【0116】
主処理部80が皮膚情報比較部70から処理11を行なうための処理情報を受け取ると、皮膚状態評価部81は、皮膚について「真皮に老廃物が溜まりやすい」との評価内容を記憶装置90から読み取る。また、手入手段選択部82は、「通常洗顔と、発汗促進と、汗を洗い流す洗顔と、真皮・表皮保湿(ウォーターベース)とを行なう肌の手入れを勧める」とのケア情報を記憶装置90から読み取るようになっている。そして、これらの情報は、出力装置30に送られるようになっている。
【0117】
主処理部80が皮膚情報比較部70から処理12を行なうための処理情報を受け取ると、皮膚状態評価部81は、皮膚について「真皮に老廃物が溜まりやすいが、表皮は乾燥しやすい」との評価内容を記憶装置90から読み取る。また、手入手段選択部82は、「通常洗顔と、発汗促進と、汗を洗い流す洗顔と、真皮・表皮保湿(オイルベース)とを行なう肌の手入れを勧める」とのケア情報を記憶装置90から読み取るようになっている。そして、これらの情報は、出力装置30に送られるようになっている。
【0118】
主処理部80が皮膚情報比較部70から処理13を行なうための処理情報を受け取ると、皮膚状態評価部81は、皮膚について「表皮に老廃物が溜まりやすい」との評価内容を記憶装置90から読み取る。また、手入手段選択部82は、「皮脂を落とす洗顔と、表皮保湿と(ウォーターベース)とを行なう肌の手入れを勧める」とのケア情報を記憶装置90から読み取るようになっている。そして、これらの情報は、出力装置30に送られるようになっている。
【0119】
主処理部80が皮膚情報比較部70から処理14を行なうための処理情報を受け取ると、皮膚状態評価部81は、皮膚について「通常の肌である」との評価内容を記憶装置90から読み取る。また、手入手段選択部82は、「通常洗顔と、表面保湿(ウォーターベース)とを行なう肌の手入れを勧める」とのケア情報を記憶装置90から読み取るようになっている。そして、これらの情報は、出力装置30に送られるようになっている。
【0120】
主処理部80が皮膚情報比較部70から処理15を行なうための処理情報を受け取ると、皮膚状態評価部81は、皮膚について「表皮が乾燥しやすい」との評価内容を記憶装置90から読み取る。また、手入手段選択部82は、「通常洗顔と、表皮保湿(オイルベース)とを行なう肌の手入れを勧める」とのケア情報を記憶装置90から読み取るようになっている。そして、これらの情報は、出力装置30に送られるようになっている。
【0121】
主処理部80が皮膚情報比較部70から処理16を行なうための処理情報を受け取ると、皮膚状態評価部81は、皮膚について「真皮が栄養不足で、表皮に老廃物が溜まりやすい」との評価内容を記憶装置90から読み取る。また、手入手段選択部82は、「皮脂を落とす洗顔と、栄養付加及び表面保湿(ウォーターベース)とを行なう肌の手入れを勧める」とのケア情報を記憶装置90から読み取るようになっている。そして、これらの情報は、出力装置30に送られるようになっている。
【0122】
主処理部80が皮膚情報比較部70から処理17を行なうための処理情報を受け取ると、皮膚状態評価部81は、皮膚について「真皮が栄養不足」との評価内容を記憶装置90から読み取る。また、手入手段選択部82は、「通常洗顔と、栄養付加及び表皮保湿(ウォーターベース)とを行なう肌の手入れを勧める」とのケア情報を記憶装置90から読み取るようになっている。そして、これらの情報は、出力装置30に送られるようになっている。
【0123】
主処理部80が皮膚情報比較部70から処理18を行なうための処理情報を受け取ると、皮膚状態評価部81は、皮膚について「真皮が栄養不足で、表皮が乾燥しやすい」との評価内容を記憶装置90から読み取る。また、手入手段選択部82は、「通常洗顔と、栄養付加及び表皮保湿(オイルベース)とを行なう肌の手入れを勧める」とのケア情報を記憶装置90から読み取るようになっている。そして、これらの情報は、出力装置30に送られるようになっている。
【0124】
主処理部80が皮膚情報比較部70から処理19を行なうための処理情報を受け取ると、皮膚状態評価部81は、皮膚について「真皮の代謝が悪く、真皮・表皮共に老廃物が溜まりやすい」との評価内容を記憶装置90から読み取る。また、手入手段選択部82は、「皮脂を落とす洗顔と、発汗促進と、汗を洗い流す洗顔と、真皮の血行促進と、真皮・表皮保湿(ウォーターベース)とを行なう肌の手入れを勧める」とのケア情報を記憶装置90から読み取るようになっている。そして、これらの情報は、出力装置30に送られるようになっている。
【0125】
主処理部80が皮膚情報比較部70から処理20を行なうための処理情報を受け取ると、皮膚状態評価部81は、皮膚について「真皮の代謝が悪く、真皮に老廃物が溜まりやすい」との評価内容を記憶装置90から読み取る。また、手入手段選択部82は、「通常洗顔と、発汗促進と、汗を洗い流す洗顔と、真皮の血行促進と、真皮・表皮保湿(ウォーターベース)とを行なう肌の手入れを勧める」とのケア情報を記憶装置90から読み取るようになっている。そして、これらの情報は、出力装置30に送られるようになっている。
【0126】
主処理部80が皮膚情報比較部70から処理21を行なうための処理情報を受け取ると、皮膚状態評価部81は、皮膚について「真皮の代謝が悪く、真皮に老廃物が溜まりやすいが、表皮は乾燥しやすい」との評価内容を記憶装置90から読み取る。また、手入手段選択部82は、「通常洗顔と、発汗促進と、汗を洗い流す洗顔と、真皮の血行促進と、真皮・表皮保湿(オイルベース)とを行なう肌の手入れを勧める」とのケア情報を記憶装置90から読み取るようになっている。そして、これらの情報は、出力装置30に送られるようになっている。
【0127】
主処理部80が皮膚情報比較部70から処理22を行なうための処理情報を受け取ると、皮膚状態評価部81は、皮膚について「真皮の代謝が悪く、表皮に老廃物が溜まりやすい」との評価内容を記憶装置90から読み取る。また、手入手段選択部82は、「皮脂を落とす洗顔と、真皮の血行促進と、表皮保湿(ウォーターベース)とを行なう肌の手入れを勧める」とのケア情報を記憶装置90から読み取るようになっている。そして、これらの情報は、出力装置30に送られるようになっている。
【0128】
主処理部80が皮膚情報比較部70から処理23を行なうための処理情報を受け取ると、皮膚状態評価部81は、皮膚について「真皮の代謝が悪い」との評価内容を記憶装置90から読み取る。また、手入手段選択部82は、「通常洗顔と、真皮の血行促進と、表皮保湿(ウォーターベース)とを行なう肌の手入れを勧める」とのケア情報を記憶装置90から読み取るようになっている。そして、これらの情報は、出力装置30に送られるようになっている。
【0129】
主処理部80が皮膚情報比較部70から処理24を行なうための処理情報を受け取ると、皮膚状態評価部81は、皮膚について「真皮の代謝が悪く、表皮が乾燥しやすい」との評価内容を記憶装置90から読み取る。また、手入手段選択部82は、「通常洗顔と、真皮の血行促進と、表皮保湿(オイルベース)とを行なう肌の手入れを勧める」とのケア情報を記憶装置90から読み取るようになっている。そして、これらの情報は、出力装置30に送られるようになっている。
【0130】
主処理部80が皮膚情報比較部70から処理25を行なうための処理情報を受け取ると、皮膚状態評価部81は、皮膚について「真皮の代謝が悪く栄養不足で、表皮に老廃物が溜まりやすい」との評価内容を記憶装置90から読み取る。また、手入手段選択部82は、「皮脂を落とす洗顔と、真皮の血行促進と、栄養付加及び表皮保湿(ウォーターベース)とを行なう肌の手入れを勧める」とのケア情報を記憶装置90から読み取るようになっている。そして、これらの情報は、出力装置30に送られるようになっている。
【0131】
主処理部80が皮膚情報比較部70から処理26を行なうための処理情報を受け取ると、皮膚状態評価部81は、皮膚について「真皮の代謝が悪く栄養不足」との評価内容を記憶装置90から読み取る。また、手入手段選択部82は、「通常洗顔と、真皮の血行促進と、栄養付加及び表皮保湿(ウォーターベース)とを行なう肌の手入れを勧める」とのケア情報を記憶装置90から読み取るようになっている。そして、これらの情報は、出力装置30に送られるようになっている。
【0132】
主処理部80が皮膚情報比較部70から処理27を行なうための処理情報を受け取ると、皮膚状態評価部81は、皮膚について「真皮の代謝が悪く栄養不足で、表皮が乾燥しやすい」との評価内容を記憶装置90から読み取る。また、手入手段選択部82は、「通常洗顔と、真皮の血行促進と、栄養付加及び表皮保湿(オイルベース)とを行なう肌の手入れを勧める」とのケア情報を記憶装置90から読み取るようになっている。そして、これらの情報は、出力装置30に送られるようになっている。
【0133】
[I−2−6.記憶部]
記憶装置90は、美容用装置1の各処理に要する情報を記憶する手段である。また、記憶装置90は、水分量基準情報記憶部91、イオン濃度基準情報記憶部92、皮脂量基準情報記憶部93、皮膚状態情報記憶部94及びケア情報記憶部95を備えている。
【0134】
水分量基準情報記憶部91、イオン濃度基準情報記憶部92及び皮脂量基準情報記憶部93は、上記のように、皮質情報比較部70での比較に用いられる基準情報を記憶する手段である。
【0135】
また、皮膚状態情報記憶部94には、皮膚の状態に応じた皮膚の評価内容の情報が記憶されている。そして、皮膚状態情報記憶部94に記憶された皮膚の評価内容の情報は、皮膚状態評価部81が、皮膚情報比較部70から送られてくる処理情報に応じて読み取るようになっている。
【0136】
また、ケア情報記憶部95には、皮膚の状態に応じたケア情報が記憶されている。そして、ケア情報記憶部95に記憶されたケア情報は、手入手段選定部82が、皮膚情報比較部70から送られてくる処理情報に応じて読み取るようになっている。
【0137】
本実施形態では、記憶装置90には、図10〜図12に示すように、皮脂量情報比較部70から送られる処理情報(処理1〜27)に対応した評価内容の情報及びケア情報がテーブルとして記憶されているものとする。したがって、皮膚状態評価部81及び手入手段選定部82は、このテーブルに記憶された情報を読み取るようになっているものとする。
また、上述した皮膚情報比較部70、主処理部80(特に皮膚状態評価部81)及び記憶装置90は、測定手段により得られた情報に基づいて皮膚の状態を評価する評価手段として機能する。
【0138】
なお、記憶装置90内の水分量基準情報記憶部91、イオン濃度基準情報記憶部92、皮脂量基準情報記憶部93、皮膚状態情報記憶部94及びケア情報記憶部95の具体的構成は任意であり、例えば、それぞれ専用の記憶装置を設けるようにしてもよく、一つの記憶装置の記憶領域を分けて使用することにより構成してもよく、さらに、それらの一部を専用の記憶装置により構成し、残りを一つの記憶装置の記憶領域を分けて使用することにより構成してもよい。
【0139】
[I−3.出力装置]
出力装置30は、主処理部80から送られてくる皮膚の評価内容、及び、選定された肌の手入れに関するケア情報を出力する手段である。印刷装置等を用いてもよいが、ここでは、ディスプレイ等の表示装置を用いているものとする。また、出力装置30では、音声を用いて出力するようにしてもかまわない。
【0140】
[I−4.使用要領]
本実施形態の美容用装置1は上記のように構成されている。したがって、使用時には、使用対象とする人物の所望の箇所に電極11A,11Bを当て、ステップ電圧発生装置12から電極11A,11B間にステップ電圧を印加させる。
【0141】
図13は、電極11A,11Bを当てる候補となる箇所を説明する図である。なお、図13において、電極11A,11Bを当てる候補となる箇所は黒塗りの円で示してある。図13に示すように、通常は、人物の顔面に電極11A,11Bを当てて応答電流の計測を行なう。この際、特に前頭部や鼻中央部にかけての脂分が多い箇所(いわゆる「Tゾーン」)や、頬や口の周辺では異なった計測結果が出ることが多いため、それぞれに対して基準情報を予め記憶装置90に記憶させておくことが好ましい。
【0142】
ステップ電圧を印加すると、電極11A,11Bの間に応答電流が流れる。この応答電流は、電流計13によってその電流量Iを測定され、測定された電流量Iは、サンプリング回路14により所定のサンプリング周期(クロック発生回路15のクロック発生周期)でデータ処理装置20に送られる。
【0143】
データ処理措置20では、送られてきた電流量Iを電流量計測部40及び電流変化量計測部50が受け取る。そして、電流量計測部40が電流量Iから応答電流の電流量Iを皮膚情報特定部60に送るとともに、電流変化量計測部50が応答電流の所定時間(各サンプリング周期)あたりの変化量を計測して皮膚情報特定部60に送る。
【0144】
皮膚情報特定部60では、初期電流量特定部61が、真皮の水分量情報として初期電流量を検出し、これを皮膚情報比較部70に送る。また、時定数特定部62が、真皮のイオン濃度情報として初期電流変化率を初期電流量の自乗で除した値(時定数)を検出し、これを皮膚情報比較部70に送る。さらに、定常電流量特定部63が、表皮の皮脂量情報として定常電流量を検出し、これを皮膚情報比較部70に送る。
【0145】
皮膚情報比較部70では、真皮の水分量情報及びイオン濃度情報並びに表皮の皮脂量情報が送られてくると、図7〜図9のフロー図で説明したようにして皮膚情報と基準情報とを比較し、皮膚の状態を判定する。具体的には、真皮の水分量情報と水分基準範囲上限値及び水分基準範囲下限値とをそれぞれ比較し、真皮の水分量が基準範囲内にあるか、基準範囲よりも多いか、少ないかを判定する。また、真皮のイオン濃度情報とイオン基準範囲上限値及びイオン基準範囲下限値とをそれぞれ比較し、真皮のイオン濃度が基準範囲内にあるか、基準範囲よりも多いか、少ないかを判定する。さらに、表皮の皮脂量情報と皮脂量基準範囲上限値及び皮脂量基準範囲下限値とをそれぞれ比較し、表皮の皮脂量が基準範囲内にあるか、基準範囲よりも多いか、少ないかを判定する。
【0146】
比較の結果、皮膚の状態が判定される。そして、皮膚の状態に応じた所定の処理が選択され、皮膚情報比較部70は、その所定の処理を主処理部80に行なわせるための処理情報を主処理部80に送る。なお、ここでは、処理情報には、主処理部80の皮膚状態評価部81及び手入手段選択部82が、記憶装置90に記憶された皮膚状態情報及びケア情報のうち、どれを読み取るべきかを指示する内容が含まれているものとする。
【0147】
主処理部80では、皮膚情報比較部70から送られてきた処理情報にしたがって、皮膚状態評価部81が皮膚状態情報記憶部94に記憶された皮膚状態情報を読み取って皮膚の状態を評価するとともに、手入手段選定部82がケア情報記憶部95に記憶されたケア情報を読み取って皮膚の状態に応じた手入れ手段を選定する。
読み取った情報(評価内容及びケア情報)は、出力装置30に送られ(提示され)、出力装置30がその情報を出力する。そして、出力された情報により、対象となった人物の肌の、計測した部位の皮膚の状態と、それに適した手入れ手段とを把握することができるのである。
【0148】
以上のように、本実施形態の美容用装置1によれば、従来は把握が困難であった真皮の情報を用いて、従来よりも適切に肌の皮膚の状態を評価することができる。また、従来よりも適切な肌の手入れの手段を選定することが可能となる。
さらに、美容用装置1によれば、真皮の情報に加え、表皮の皮脂量の情報にも基づいて皮膚の状態の評価及び手入れ手段の選定を行なうことができるため、より適切な評価及び選定が可能となる。
【0149】
なお、上記実施形態で取得した真皮の水分量情報は、おもに真皮の末梢循環の良否や発汗量の推測に用いることができる情報である。また、真皮のイオン濃度情報は、おもに皮膚の栄養の多寡や老廃物の多寡に用いることができる情報である。さらに、表皮の皮脂量情報は、表皮の状態の推測に用いることができる情報である。したがって、これらを利用し、上記実施形態で出力させた以外の皮膚の評価やケア情報を出力させるようにしてもよい。
【0150】
[II.第2実施形態]
図14は、本発明の第2実施形態としての美容用装置1’の構成を模式的に表わすブロック図である。図14に示すように、本実施形態の美容用装置1’は、皮膚情報特特定部60で検出された皮膚情報(即ち、真皮の水分量情報及びイオン濃度情報、並びに、表皮の皮脂量情報)が出力装置30に送られるようになっていて、出力装置30に、これらの皮膚情報を表示する皮膚情報出力部31が設けられているほかは、特に断らない限り、第1実施形態で説明した美容用装置1と同様に構成されている。
【0151】
出力装置30が備える皮膚情報出力部31は、皮膚情報特定部60から送られてくる皮膚情報を出力する手段である。単に当該皮膚情報を数値として表わしてもよいが、グラフ化して出力するようにすれば視覚によって直感的に皮膚情報を認識できるようになるため、好ましい。
【0152】
例えば、図15に示すようにレーダーチャートにして表示してもよい。この場合、皮膚の状態を形状パターンとして認識することができるようになる。
また、例えば、図16に示すように折れ線グラフにして表示してもよい。この場合、心理学分野の交流分析と同様に、N型、逆N型など、性質を形状パターンとして認識することができるようになる。
さらに、例えば、図17に示すように棒グラフにして表示してもよい。棒グラフは、量の比較に適している。また、水分量とイオン濃度を上下に並べて描くことで、皮膚の代謝の良否と老廃物の堆積とを比較することができ、直感的に分かりやすい表示を実現することができる。なお、ここでは横向きに表したが、棒グラフはもちろん縦向きに表してもよい。
【0153】
また、例えば、図18に示すようにバブルチャートにして表示することも可能である。
なお、皮膚情報を出力する場合、特定した皮膚情報をそのまま表示するようにしてもよいが、通常は、何らかの標準値(例えば、所定数の健常者から予め得た平均値など)により規格化を行ない、その規格化したものを表示する。
【0154】
本実施形態の美容用装置1’は上記のように構成されている。したがって、美容用装置1’は、第1実施形態の美容用装置1と同様の要領で、皮膚の状態を評価するとともに、皮膚の状態に応じた手入れ手段を選定し、その情報を出力装置30により出力する。これにより、第1実施形態と同様に、従来は把握が困難であった真皮の情報を用いて、従来よりも適切に皮膚の状態を評価することができる。また、従来よりも適切に手入れ手段を提示することが可能となる。
【0155】
さらに、本実施形態では、出力装置30は、皮膚情報出力部31により皮膚情報(即ち、真皮の水分量情報及びイオン濃度情報、並びに、表皮の皮脂量情報)を標準化してグラフとして表示しているものとする。これにより、本実施形態の美容用装置1’を用いれば、皮膚の状態を定量的に且つ容易に認識することが可能となり、より適切に、皮膚状態の認識及び手入れ手段の選定を行なうことができるようになる。
【0156】
[III.第3実施形態]
図19は、本発明の第3実施形態としての美容用システムの構成を示すブロック図である。本実施形態の美容用システム200は、サーバ201と複数の計測端末202とを電話回線網やインターネット等の通信ネットワーク203を介して接続することによって構成されている。
【0157】
この美容用システム200では、サーバ201が第1,第2実施形態にかかるデータ解析装置20に相当しており、サーバ201に設けられたデータベース204が第1,第2実施形態の記憶装置90に相当している。サーバ201のデータ解析装置20としての機能は、第1,第2実施形態で述べたものと同機能である。また、計測端末202が第1,第2実施形態にかかる計測装置10に相当している。これらの計測端末70の計測装置10としての機能及びデータ処理装置20としての機能も、特に断らない限り、第1,第2実施形態で述べたものと同機能である。
【0158】
計測端末202での計測により得られた測定データ(皮膚情報)は、通信ネットワーク203を介してサーバ201に送信され、サーバ201においてデータ解析が行われて、皮膚の評価と手入れ手段の選定とが行なわれる。この結果は、サーバ201から通信ネットワーク203を介して計測元の計測端末202に送信され、出力装置205に出力される。なお、美容用システム200を、皮膚の評価及び手入れ手段の選定の結果が計測元以外の出力装置205に表示されるように構成して、遠隔にて皮膚の評価及び手入れ手段の選定診断を行なえるようにしてもよい。
【0159】
このような構成により、本実施形態の美容用システム200によれば、複数の計測端末202においてサーバ201のデータベース204のデータを共用することができる。このようなデータの更新を行なう場合、第1,第2実施形態の美容用装置1,1’では、美容用装置1,1’が複数在る場合には美容用装置1,1’毎に記憶装置90内の情報を更新する必要があるが、本実施形態によればサーバ201のデータベース204のデータのみ更新すれば足りる。したがって、データの更新のための手間が省けるとともに、各計測端末202において常に最新のデータを用いた診断を行うことができるという利点がある。
【0160】
[IV.その他]
以上、本発明の第1〜第3実施形態について説明したが、本発明は上記の実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において任意に変形して実施することができる。
例えば、上記の実施形態では、真皮水分量、真皮イオン濃度、表皮皮脂量などの皮膚の状態を、基準範囲、基準範囲よりも少ない範囲、並びに、基準範囲よりも多い範囲の3つの範囲に分けて比較により判定を行なうようにしたが、この範囲分けはさらに多くの範囲に分けて判定するようにしてもよい。例えば、真皮水分量、真皮イオン濃度又は表皮皮脂量のそれぞれについて、4つ以上の範囲に分けて比較し、判定するようにしてもよい。
【0161】
また、例えば、逆に基準範囲を設定せず、ある基準値を基準値として、真皮水分量、真皮イオン濃度又は表皮皮脂量のそれぞれについて、その基準値よりも多い範囲と少ない範囲との2つの範囲のいずれに属するかのみで比較を行ない、皮膚の判定や手入れ手段の選定などを行なうようにしてもよい。具体例を挙げると、基準値として健常者群を測定した平均値を採用し、その基準値よりも真皮水分量、真皮イオン濃度又は表皮皮脂量が多い場合を過剰、その基準値よりも真皮水分量、真皮イオン濃度又は表皮皮脂量が少ない場合を不足として、図20(a),(b)に示すような評価内容の情報及びケア情報の中から、皮膚状態の評価及び手入れ手段の選定を行なうようにしてもよい。なお、図20(a),(b)において、各欄の上段部分が皮膚状態の評価の内容であり、下段部分が手入れ手段の情報を表す。
【0162】
さらに、例えば、真皮水分量、真皮イオン濃度及び表皮皮脂量以外の皮膚情報を用いてもよい。例えば、真皮水分量、真皮イオン濃度及び表皮皮脂量に加えて、表皮の水分量(表皮水分量)をも皮膚情報のひとつとして測定し、判定に用いるようにしてもよい。また、その場合、第2実施形態で説明したような皮膚情報出力部により、表皮水分量も含めて皮膚情報を図21〜図23に示すようなグラフとして出力することもできる。
また、上記実施形態で採用した初期電流量、時定数、定常電流地以外の指標(電気的特性値など)を、皮膚情報として用いてもよい。
【0163】
さらに、上記実施形態では肌の手入れ手段として手入れの方法を選定するようにしたが、このほか、肌の手入れに用いる具体的な化粧品(特に基礎化粧品)、食品及び薬品の少なくともいずれかの名称を、ケア情報として挙げるようにしてもよい。また、特に上記第3実施形態のような美容用システムを用いて遠隔での皮膚の評価や手入れ手段の選定などを行なう場合には、これに上記の化粧品、食品及び薬品の少なくともいずれかを受注するシステムを組み合わせて実施するようにしてもよい。なお、化粧品、食品及び薬品以外のものの名称等を、ケア情報としてあげるようにしてもよい。
【0164】
また、上記の実施形態の美容用装置1,1’は電気回路を組み合わせた専用装置として構成してもよいが、計測装置10としての機能のみを備えた計測専用の検出端末を用い、データ処理装置20は汎用のコンピュータを用いるようにしてもよい。この場合、データ処理装置20を構成する各要素40,50,60,61,62,63,70,71,72,73,80,81,82の機能は、適宜、専用のプログラム{皮膚状態評価プログラム}をコンピュータ(例えば、CPUやMPUなど)に読み込み実行することで実現することができる。例えば、皮膚情報比較部70や主処理部80の機能は、図7〜図9により前述したフローを規定するプログラムをコンピュータが読み込んで実行することで実現できる。
また、上記のプログラムを読み込んだ、コンピュータ読み取り可能な記憶媒体も、本発明の範囲に含まれる。
【0165】
さらに、上記実施形態では顔面の肌を対象としたが、顔面以外の部位の肌を対象として上記の美容用装置1,1’を使用するようにしてもよい。
また、使用の際、例えば顔のTゾーンとほかの部位とを比較する(個人内比較)ことで、より詳しく的確な皮膚状態の評価及び肌の手入れ手段の選定を行なうことも可能である。
【0166】
また、真皮の水分量情報とイオン濃度情報とのいずれか一方だけを用いて、皮膚の状態の評価や、ケア情報の提示を行なうようにしてもよい。即ち、測定手段が、真皮層の水分量情報を検出する真皮水分量情報検出部、及び、真皮層のイオン濃度情報を検出する真皮イオン濃度情報検出部の一方を備えるとともに、該評価手段が、皮膚の状態の評価に用いる水分量基準情報を記憶した水分量基準情報記憶部、及び、皮膚の状態の評価に用いるイオン濃度基準情報を記憶したイオン濃度基準情報記憶部の一方と、真皮水分量情報検出手段が検出した水分量情報と該水分量基準情報記憶部における水分量基準情報とを比較する水分量情報比較部、及び、真皮イオン濃度情報検出部が検出したイオン濃度情報とイオン濃度基準情報記憶部におけるイオン濃度基準情報とを比較するイオン濃度情報比較部の一方と、水分量情報比較部での比較結果及びイオン濃度情報比較部での比較結果の一方に基づいて、皮膚の状態を評価する皮膚状態評価部とを備えるように、皮膚状態評価装置を構成してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0167】
本発明は、美容に関する分野に用いることができ、特に、基礎化粧品の提案など、肌の状態を改善して美容を促進する分野において特に好適である。
【図面の簡単な説明】
【0168】
【図1】本発明の第1実施形態としての美容用装置の構成を模式的に表わすブロック図である。
【図2】生体の皮膚に、一対の電極からステップ電圧を印加した場合に生体の皮膚に流れる応答電流の波形を説明するための図であり、(a)は印加した電圧を示す図、(b)は応答電流を示す図である。
【図3】生体の皮膚を等価回路に置き換えた図である。
【図4】一対の電極を装着した際の生体の皮膚について説明するための図である。
【図5】応答電流の流れを説明するために、図4のV部近傍を拡大して示す模式的な斜視図である。
【図6】本発明の第1実施形態としての美容用装置における情報の計測方法を説明するための図である。
【図7】本発明の第1実施形態について説明するもので、皮膚情報比較部で行なわれる比較処理の要領を示すフロー図である。
【図8】本発明の第1実施形態について説明するもので、皮膚情報比較部で行なわれる比較処理の要領を示すフロー図である。
【図9】本発明の第1実施形態について説明するもので、皮膚情報比較部で行なわれる比較処理の要領を示すフロー図である。
【図10】本発明の第1実施形態について説明するもので、処理情報に対応して記憶装置90に記憶された評価内容の情報及びケア情報のテーブルの一例を示す図である。
【図11】本発明の第1実施形態について説明するもので、処理情報に対応して記憶装置90に記憶された評価内容の情報及びケア情報のテーブルの一例を示す図である。
【図12】本発明の第1実施形態について説明するもので、処理情報に対応して記憶装置90に記憶された評価内容の情報及びケア情報のテーブルの一例を示す図である。
【図13】本発明の第1実施形態について説明するもので、電極を当てる候補となる箇所を説明する図である
【図14】本発明の第2実施形態としての美容用装置の構成を模式的に表わすブロック図である。
【図15】本発明の第2実施形態について説明するもので、出力装置において皮膚情報を出力する際の態様の一例を示す図である。
【図16】本発明の第2実施形態について説明するもので、出力装置において皮膚情報を出力する際の態様の一例を示す図である。
【図17】本発明の第2実施形態について説明するもので、出力装置において皮膚情報を出力する際の態様の一例を示す図である。
【図18】本発明の第2実施形態について説明するもので、出力装置において皮膚情報を出力する際の態様の一例を示す図である。
【図19】本発明の第3実施形態としての美容用システムの構成を示すブロック図である。
【図20】本発明の変形例について説明するもので、(a)、(b)はいずれも、評価内容の情報及びケア情報のテーブルの一例を示す図である。
【図21】本発明の変形例について説明するもので、出力装置において皮膚情報を出力する際の態様の一例を示す図である。
【図22】本発明の変形例について説明するもので、出力装置において皮膚情報を出力する際の態様の一例を示す図である。
【図23】本発明の変形例について説明するもので、出力装置において皮膚情報を出力する際の態様の一例を示す図である。
【符号の説明】
【0169】
1,1’ 美容用装置
10 計測装置
11A,11B 電極
12 ステップ電圧発生装置
13 電流計
14 サンプリング回路
15 クロック発生回路
16 応答電流検出部
20 データ処理装置
30 出力装置
31 皮膚情報出力部
40 電流量計測部
50 電流変化量計測部
60 皮膚情報特定部
61 初期電流量特定部
62 時定数特定部
63 定常電流量特定部
70 皮膚情報比較部
71 水分量情報比較部
72 イオン濃度情報比較部
73 皮脂量情報比較部
80 主処理部
81 皮膚状態評価部
82 手入手段選定部
90 記憶装置
91 水分量基準情報記憶部
92 イオン濃度基準情報記憶部
93 皮脂量基準情報記憶部
94 皮脂状態情報記憶部
95 ケア情報記憶部
110A,110B 電極
100 表皮
101 真皮
102 基底膜
120,121,122 電流路
120R,121R,122R,123R 抵抗
120C,121C コンデンサ
200 美容用システム
201 サーバ
202 計測端末
203 通信ネットワーク
204 データベース
205 出力装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表皮層と真皮層とを有してなる皮膚の状態を評価する皮膚状態評価装置であって、
上記真皮層の水分量及びイオン濃度のいずれか一方又は双方を少なくとも測定して当該一方又は双方に関する情報を取得する測定手段と、
該測定手段により得られた前記情報に基づいて、上記皮膚の状態を評価する評価手段とを備えた
ことを特徴とする、皮膚状態評価装置。
【請求項2】
該測定手段が、
上記真皮層の水分量情報を検出する真皮水分量情報検出部と、
上記真皮層のイオン濃度情報を検出する真皮イオン濃度情報検出部とを備えるとともに、
該評価手段が、
上記皮膚の状態の評価に用いる水分量基準情報を記憶した水分量基準情報記憶部と、
上記皮膚の状態の評価に用いるイオン濃度基準情報を記憶したイオン濃度基準情報記憶部と、
該真皮水分量情報検出手段が検出した水分量情報と該水分量基準情報記憶部における水分量基準情報とを比較する水分量情報比較部と、
該真皮イオン濃度情報検出部が検出したイオン濃度情報と該イオン濃度基準情報記憶部におけるイオン濃度基準情報とを比較するイオン濃度情報比較部と、
該水分量情報比較部での比較結果及び該イオン濃度情報比較部での比較結果の組み合わせに基づいて、上記皮膚の状態を評価する皮膚状態評価部とを備えて構成された
ことを特徴とする、請求項1記載の皮膚状態評価装置。
【請求項3】
該測定手段が、
上記表皮層の皮脂量情報を検出する表皮皮脂量情報検出部をさらに備えるとともに、
該評価手段が、
上記皮膚の状態の評価に用いる皮脂量基準情報を記憶した皮脂量基準情報記憶部と、
該表皮皮脂量情報検出部が検出した皮脂量情報と該皮脂量基準情報記憶部における皮脂量基準情報とを比較する皮脂量情報比較部とをさらに備え、かつ、
該皮膚状態評価部が、該水分量情報比較部での比較結果と、該イオン濃度情報比較部での比較結果と、該皮脂量情報比較部での比較結果との組み合わせに基づいて、上記皮膚の状態を評価すべく構成された
ことを特徴とする、請求項2記載の皮膚状態評価装置。
【請求項4】
上記皮膚をケアするための手段に関するケア情報を記憶するケア情報記憶部と、
該評価手段による評価結果に応じたケア情報を該ケア情報記憶部から取得して提示する提示手段とをさらに備えた
ことを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載の皮膚状態評価装置。
【請求項5】
該ケア情報記憶部が、
該ケア情報として化粧品、食品及び薬品の少なくともいずれかに関する情報を記憶している
ことを特徴とする、請求項4記載の皮膚状態評価装置。
【請求項6】
表皮層と真皮層とを有してなる皮膚の状態を評価する、コンピュータのための皮膚状態評価プログラムであって、
上記真皮層の水分量及びイオン濃度のいずれか一方又は双方を少なくとも測定して当該一方又は双方に関する情報を取得する測定手段、及び、
該測定手段により得られた前記情報に基づいて、上記皮膚の状態を評価する評価手段として機能させる
ことを特徴とする、皮膚状態評価プログラム。
【請求項7】
請求項6記載の皮膚状態評価プログラムを記憶した、コンピュータ読み取り可能な記憶媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【公開番号】特開2007−97625(P2007−97625A)
【公開日】平成19年4月19日(2007.4.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−287812(P2005−287812)
【出願日】平成17年9月30日(2005.9.30)
【出願人】(502145357)有限会社アミカ (1)
【Fターム(参考)】