説明

皮膚用薬の対象への投与方法

皮膚用薬を対象に投与する方法を提供する。主題の方法では皮膚用薬の局所製剤の有効量が宿主に局所投与される。局所投与された皮膚用薬の局所製剤はヒドロゲルパッチで遮蔽されるが、該ヒドロゲルパッチの特徴は薬学的な有効成分を有しないことである。皮膚用薬を対象に投与することによる、対象の病気を治療する方法がまた提供される。主題の発明を実施するため使用するキットもまた提供される。主題の方法および組成物は種々の異なる適用において用途を見出せる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は薬剤、特に局所用薬物製剤に関する。
【背景技術】
【0002】
皮膚の症状または皮膚疾患は毎日何百万人もの人々を悩ませている。これら皮膚症状には急性(たった2,3分間から2,3時間続く)または慢性的で人々を何日、何ヶ月、何年若しくは一生悩ます場合さえある。多くの異なる皮膚症状が存在し、真菌性、細菌性、ウィルス性、または非感染性の、アレルギー性要素を伴う若しくは伴わない炎症応答のような免疫性応答や、特発性のものがあり得る。従ってその症候は多様であり、軽度の痒み、発赤や膨れから重篤な膿疱や皮膚潰瘍まで広範に存在する;そして、ある種の例では障害性潰瘍化のような衰弱化徴候に至ることもある。原因やその症候にかかわらず、皮膚疾患は個々の人々の生活の質を実質的に損なうこととなり得る。
【0003】
局所用の皮膚用薬は種々の皮膚症状を治療しまたは軽減するために何年間も用いられている。しかしながら、これら多くの局所用皮膚薬は皮膚疾患の有効な治療のために特定用量を長期にわたり投与する必要がある。これら局所用皮膚薬の使用にあたって生じる問題の一つは、特定の疾患を有効に治療するために、通常よりも長い期間の適用が使用される薬物の有効性に必要な場合に、そのような長期間の適用が求められることである。このような長期間の治療は適用を受ける者にとって不便であり生活が大きく損なわれる。
【0004】
長期にわたって使用した場合に生じるおそれのある副作用若しくは潜在的な副作用により、特定の局所用皮膚薬が個人に使用される時間量は制限を受ける。副作用の発生は、用量、局所用皮膚薬のタイプ、治療期間等に依存するが、当然、より重篤な副作用が存在する。可逆的な副作用もあるが、そうでない副作用もあるのでこれら副作用を避けるよう注意しなければならない。ある皮膚疾患を治療するために用いられる局所用皮膚薬に共通な副作用としては、皮膚菲薄化や、局所灼熱、掻痒、炎症、乾燥肌、皮膚の発赤、ニキビ、皮膚線条、皮膚の血管拡張、タキフィラキシー、皮膚変色(色素沈着)、あざの容易化等が含まれる。
【0005】
例えば、乾癬は世界の人口の約2−3%、米国ではおよそ700万人の人々に影響を与えている。乾癬は慢性の炎症性、増殖性皮膚疾患であり、区別が明瞭な紅斑性、鱗状プラークにより特徴づけられる。乾癬は1または2の病巣からなり、または障害性の関節炎または剥離物を伴う広範な皮膚病である。乾癬の発症機序はよく分かっていないが、治療上いくつかの方法がある。例えば、乾癬に有効な試みとしてモノクローナル抗体が使用されるが、この方法は局所乾癬に対して全身性の乾癬治療のため基本的には使用される。大抵の患者は局所的な乾癬のみであるため、治療の主力は局所剤の使用に止まる。
【0006】
トリアムシノロンのような局所ステロイドが何年も乾癬治療に使用されてきた。局所ステロイドはしばしば乾癬治療に有効であるが、広範囲に使用すると上記のような不都合な副作用やHPA軸抑制のような全身作用または皮膚萎縮等に関連する。さらには、局所ステロイドの使用からタキフィラキシーの生ずる場合もある。実際の医療では、局所的な病巣は大抵コルチコステロイドの局所適用に応答するが、一方クロベタゾールのような最強の「第一級」局所ステロイドに対してさえ抵抗する病巣もある。非常に強力な第一級の局所ステロイドの使用はその強い副作用のため2週間のみの使用に限定される。
【0007】
従って、皮膚用薬の有効性および/または効力を増加させる要求、即ち、現在の長期にわたる治療期間を短縮し(効力の増加)、薬物の有効性を増加させる等の要求が依然として存在する。局所薬の有効性および/または効力を増大させるために種々の手順が開発されたが、いずれも限られた成功に止まっている。例えば、皮膚用薬の輸送効率を向上させる試みで、種々の局所製剤、例えば、クリーム、ローション、ゲル等が提供されている。しかしながら、これらの局所製剤は、皮膚用薬を皮膚表面に直接、局所的に投与することを可能にする一方で、完全に問題を解決はしていない;最適の製剤でさえ部分的にのみ改善されるに過ぎず、例えばしばしば抵抗的な皮膚病巣が残存し、および/または治療期間も十分には短縮されていない。
【0008】
製剤を適用したらすぐにこれら局所製剤をSaranwrap(登録商標)のようなプラスチック製ラップで覆い、皮膚用薬の効力を増強させる試みがなされたが、これは皮膚用薬の効力増強にかなり成功した。しかしながら、この方法は面倒で不快、不便であって、例えば、プラスチック製ラップを一定の場所特に肘や膝、皮膚等の場所に維持するのは難しい。プラスチック製ラップを適用場所に維持するため粘着テープが使用された。ところが、そのような粘着テープにアレルギーを起こす人が多くいた。さらには粘着テープの使用によりその部位が刺激を受けてテープやけどを起こす場合もある。テープにより生じた皮膚表面外傷部位においては、乾癬のようなある種の皮膚疾患が引き起こされる傾向もある。
【0009】
従って、皮膚用薬をその対象に局所投与するための新規な方法の開発には、引き続いて興味が持たれている。特に、費用効率が高く、使用が容易で、皮膚用薬をその対象に投与する際または効果の増強において効力と有効性の高い方法の開発には高い関心がある。
【0010】
関連文献
関係のある米国特許には、5,120,544号; 5,160,328号; 5,270,358号; 5,423,737号; 5,476,443号; 5,489,262号; 5,501,661号; 5,827,529号; 6,039,940号; 6,096,333号; 6,214,374号; 6,296,869号;6,348,212号; 6,455,065号が含まれる。その他の関連特許にはWO 02/078757号およびWO 02/078756号が含まれる。
【発明の開示】
【0011】
発明の要約
皮膚用薬をその対象に投与する方法が提供される。主題の方法では、皮膚用薬の局所製剤の有効量が宿主に局部投与される。その後皮膚用薬の局所投与用製剤はヒドロゲル製パッチで遮蔽される;ヒドロゲルパッチの特徴は、薬学的に活性な薬物を有しないことである。また、対象に皮膚用薬を投与することにより、その対象の病気を治療する方法が提供される。さらに、主題の方法を実施するために使用するキットが提供される。主題の方法および組成物は種々の異なる適用における使用を見出せる。
【0012】
発明の詳細な説明
皮膚用薬をその対象に投与する方法が提供される。主題の方法では、皮膚用薬の局所製剤の有効量が宿主に局部投与される。その後皮膚用薬の局所投与用製剤はヒドロゲル製パッチで遮蔽される;ヒドロゲルパッチの特徴は、薬学的に活性な薬物を有しないことである。また、対象に皮膚用薬を投与することにより、その対象の病気を治療する方法が提供される。さらに、主題の方法を実施するために使用するキットが提供される。主題の方法および組成物は種々の異なる適用における使用を見出せる。
【0013】
本発明を記載する前に、本発明は記載された特定の態様に限定されず、そのようなもので当然に変化すると理解されるべきである。また、本発明の範囲は添付された請求の範囲によってのみ制限され、ここで使用される術語は特定の態様を記述する目的のみを有し、制限的ではないことを理解すべきである。
【0014】
範囲の値が示される場合、その範囲の上限と下限の間にある値およびその他に記載された値または記載された範囲内にある値は、文脈が他に明示しない限り下限の10/1の単位まで、本発明に包含されると理解すべきである。より小さな範囲の上限と下限は独立してその小さな範囲に含まれる;そして、示された範囲内で具体的に除外される限度に従って、本発明に含まれる。記載された範囲が上限と下限の両方または一方を含む場合、これら限界の一方または両方を除外する範囲もまた本発明に含まれる。
【0015】
他に規定しない限り、ここで使用されるすべての技術的および科学的用語は、本発明の属する分野の当業者が通常理解するものと同じ意味を有する。ここで記載されたものと等価または類似の方法および物質を本発明の試験および実施に使用することもまた可能ではあるが、好ましい方法と物質を如何に記載する。方法および/または物質との関連で刊行物が引用された場合、その方法および/または物質を開示し記述するために、ここで記載するすべての出版物は参照のため援用する。
【0016】
本明細書および添付の請求の範囲において使用される、単数形の"a"、"an"、および"the"は、文脈が明らかに示さない限り、複数の指示物をも包含することに注意しなければならない。
ここで議論する刊行物は、本出願の出願日前のものを開示するためにのみ提供する。先行発明の理由により、本発明がそれら刊行物に先行する資格がないことを認めると解釈すべきでない。更には提供した刊行日は実際の刊行日と異なるかも知れないので、独立して確認する必要があり得る。
【0017】
この開示を読んで当業者には明らかなように、記載され図解された個々の態様はそれぞれ別個の要素および特徴を有しており、これらは容易に分離されまたその他の任意の態様における特徴と組み合わせることが可能であるが、これらは本発明の精神および範囲から逸脱しない。
ここで示された図は必ずしも縮図ではなく、明確化のためある要素および特徴を強調したものもある。
上記要約のとおり、本発明は皮膚用薬を宿主に投与する方法および組成物を提供する。主題の発明のさらなる記述においては、その方法と組成物を更に詳しく説明し、続いて当該方法と組成物を使用する代表的な適用例を概説する。
【0018】
方法および組成物
主題の発明に従うと、皮膚用薬の局所製剤がその対象に投与されヒドロゲルパッチがその皮膚用薬を遮蔽するために使用される。主題のヒドロゲルパッチ組成物の特徴は薬学的に活性な成分を含まないことであり、以下に詳細に説明するように「ブランク」のヒドロゲルパッチである。主題の発明を実施するには、皮膚用薬の局所製剤を対象の適用部位に局所的に投与する。局所的に投与するとすぐに、ブランクのヒドロゲルパッチ組成物を用いて皮膚用薬の局所製剤を遮蔽する。遮蔽された局所製剤は、その有効量の皮膚用薬を対象に投与するため十分な時間そこで維持される。
【0019】
主題の発明に従うと、皮膚用薬をその対象に投与するための改良された手順が提供される。ここで「改良」とは、皮膚を通じた薬物の輸送が、発明の主題の遮蔽なしに皮膚用薬を局所投与した場合、即ち、対照と比較して改良されていることを意味する。例えば、皮膚用薬の効力および/または有効性が本発明に従って増加しまたは増強され、例えば次の一つ以上によって測定される;対照と比較して、治療された皮膚病巣の形態上の改善、掻痒感の改善、治療時間の改善等である。改善の程度は特定の皮膚用薬、治療される症状等に依存する。ある態様では改善の程度は少なくとも約2倍、例えば、少なくとも5-、10-、15-、20-、25-、50-、75-倍またはより多くである。
【0020】
主題の方法により任意の適切な皮膚用薬を投与することができる。典型的には、該皮膚用薬は抗炎症および/または抗増殖性および/または免疫調節剤的な性質を有する。ここで記述される皮膚用薬は限定的であると、いかなる点においても考えるべきではない;ここで参照されなかった他の多くの皮膚用薬は未だ発見されていないものも含めて、主題の発明の実施に利用され得る。
【0021】
上記で述べたように、特定の疾患を治療するために適用される皮膚用薬は局所製剤中に存在する。「局所製剤」とは、皮膚の表面に適用し皮膚を通じて吸収され得る製剤中に皮膚用薬が存在することを意味する。そのような皮膚用薬のための局所製剤には一般に、クリーム、ローション、軟膏、ゲル、溶液、泡、粉末等の形態がある。皮膚用薬の濃度は特定の薬剤、特定の病気、宿主、投与部位等に依存する。
【0022】
種々の範疇の皮膚用薬が主題の発明に従って使用される。そのように、治療される特定皮膚疾患に対して望ましい治療効果を有する任意の皮膚用薬を使用することができる。ある態様においては、皮膚の表面に適用される皮膚用薬の局所製剤はステロイドである。主題の発明に従って、主題の発明に従う任意の種類のステロイドを使用することができる。即ち、第一級ステロイド(非常に強力なステロイド)、第二級ステロイド(強力なステロイド)、第三級ステロイド(比較的強力なステロイド)、第四級ステロイド(比較的温和なステロイド)等を、それらが局所投与の形態である限り主題の発明とともに使用できる。皮膚に影響する疾患の治療の分野では種々のステロイドが知られており、限定はされないが、トリアムシノロン、トリアムシノロンアセトニド、クロベタソール、プロピオン酸クロベタソール、酪酸クロベタゾン、デソニド、アルクロメタゾン、フルランドレノリド、デソキシメタゾン、ベタメタゾン、ロテプレドノール、フルオロメトロン、ジフルプレドネート、モメタゾンフロエート、ジフロラゾンジアセテート、吉草酸ジフルコルトロン、フルオシノニド、アムシノニド、ハルシノニド、フルオシノロンアセトニド、ピバリン酸フルメタゾン、コルチコステロイド、例えばヒドロコルチゾン、ヒドロキシトリアムシノロン、α-メチルデキサメタゾン、リン酸デキサメタゾン、ベクロメタゾンジプロピオネート、吉草酸クロベタゾール、デソニド、デソキシメタゾン、酢酸デソキシコルチコステロン、デキサメタゾン、ジクロリゾン、ジフロラゾンジアセテート、
【0023】
吉草酸ジフルコルトロン、フルアドレノロン、フルクロロロンアセトニド、フルドロコルチゾン、ピバリン酸フルメタゾン、フルオシノロンアセトニド、フルオシノニド、フルコルチゾン酪酸エステル、フルオコルトロン、酢酸フルプレドニデン(フルプレドニリデン)、フルランドレノロン、ハルシノニド、酢酸ヒドロコルチゾン、酪酸ヒドロコルチゾン、メチルプレドニゾロン、トリアムシノロンアセトニド、コルチゾン、コルトドキソン、フルセトニド、フルドロコルチゾン、ジフルオロゾンジアセテート、フルラドレノロン、フルドロコルチゾン、ジフルロゾンジアセテート、フルラドレノロンアセトニド、メドリゾン、アムシナフェル、アムシナフィド、ベタメタゾン、クロロプレドニゾン、酢酸クロロプレドニゾン、クロコルテロン、クレシノロン、ジクロリゾン、ジフルルプレドネート、フルクロロニド、フルニゾリド、フルオロメタロン、フルペロロン、フルプレドニゾロン、吉草酸ヒドロコルチゾン、ヒドロコルチゾンシクロペンチルプロピオネート、ヒドロコルタメート、メプレドニゾン、パラメタゾン、プレドニゾロン、プレドニゾン、ベクロメタゾンジプロピオネート、トリアムシノロン等が含まれる。上記皮膚用薬のひとつ以上の混合物または組み合わせも使用され得る。
【0024】
しかしながら、主題の発明はステロイド含有皮膚用薬に限定されない。従って、ある態様においては皮膚表面に適用される皮膚用薬はステロイドではない。例えば、皮膚用薬はムピロシン(例えば、バクトロバン:登録商標)のような抗菌剤、局所用アシクロビル(例えば、ゾビラクス:登録商標)等のような抗ウィルス剤、ニスタチン、ミコナゾール、アムホテリシン、エコナゾール等のような抗真菌剤、ベンゾイルパーオキシド、ビタミンA誘導体、ビタミンD誘導体、ビタミンE誘導体等のような抗ニキビ剤でもよい。その他の非ステロイド系薬物が当業者に知られており、限定はされないが、カルシポトリオール(例えば、ドボネクス:登録商標)、ピメクロリムス(例えば、エリデル:登録商標)、タクロリムス(例えば、プロトピック:登録商標)、タザロテン(例えば、タゾラック:登録商標)、コールタール、アントラリン(例えば、ソリアテック:商標)、サリチル酸、コロイド硫黄等の硫黄製品等が含まれる。上記皮膚用薬の一つ以上の混合物または組み合わせ、例えば、コールタール、サリチル酸およびコロイド硫黄(例えば、MG217:商標)を使用することができる。ある態様では、一つ以上の被ステロイド薬の混合物または組み合わせが一つ以上のステロイド薬と共に使用される。
【0025】
発明の主題に従うと、いったん適切な皮膚用薬の局所製剤が選択されると、該局所製剤の有効量または最大量が皮膚表面に適用される。当業者にとって明らかなように、有効量または最大量は、使用される特定の皮膚用薬や、治療される特定の病気の症状等に依存する。局所製剤は都合の良い任意の局部に適用され得る。局部とは、限定はされないが、脚、顔面、首、胴体等が含まれる。適用は都合のよい任意の方法で達成され、少なくとも一部は、局所製剤の形態、即ち、該局所製剤がクリーム、ローション、軟膏、ゲル、溶液、泡、粉末等として存在するか、または該製剤の容器等で決定される。例えば、該局所製剤を皮膚表面に吹き付けたり、ローラーで伸ばしたりできるし、対象の患者が該局所製剤を綿棒や指等で適用してもよい。局所製剤を適用する手順は当業者によく知られており主題の方法に従って用いられる。
【0026】
当該局所製剤が適用される表面上の面積は特定の病気の症状、用いられる特定の皮膚用薬、および適用部位等に依存する。局所製剤により覆われる表面の面積は投与薬物の望ましい量を与えるために十分な広さでなければならず、例えば多くの態様では1から約1000cm若しくはそれ以上、ある態様では10から300cm、例えば20から200cm、また例えば130cmから150cmである。ある態様では表面の面積は対象の全体を覆うために十分である。従って、表面の面積は約1000cmから約5000cm若しくはそれ以上であり、ある態様では局所製剤が適用される表面は縦横約1mずつである。主題の方法を実施するにあたり、局所製剤は与えられた期間中単回または複数回適用され、投与計画は日、週、二週、月、等毎である。例えば、ある局所製剤は一日2回またはより多い回数投与される。
【0027】
主題の発明の特徴は、皮膚表面、即ち投与部位に皮膚用薬の局所製剤を投与後、局所的に投与された皮膚用薬の局所製剤をヒドロゲルパッチ組成物で遮蔽することである。ここでヒドロゲルは水分を吸収してゲル状態を保つことのできる水性組成物と広く定義される。ヒドロゲルは、オランダのConvatec, Woerdenから入手できるデュオダーム(登録商標)の商標名を有するようなヒドロコロイドではないと理解すべきである。一般に、ヒドロコロイドは皮膚からの体液または浸出液、例えば傷口からの水その他の浸出液の吸収または除去を促進するのに役立つが、主題のヒドロゲルパッチは皮膚への投与または輸送を促進する。その上、主題のヒドロゲルパッチ組成物はヒドロコロイドに比して含水率が高いので、主題のヒドロゲルパッチ組成物はヒドロコロイドよりも皮膚に対する耐性があり、例えば主題のヒドロゲルパッチ組成物はヒドロコロイドに比して長期間皮膚と接触して止まることができる。
【0028】
ある種の態様においては、主題のヒドロゲルパッチ組成物は、対象の皮膚疾患の治療のために皮膚用薬を局所投与することなく用いてもよい。換言すると、主題の発明によるヒドロゲルパッチ組成物を皮膚病の治療のために皮膚表面上においてもよいが、この場合主題のヒドロゲルパッチ組成物で覆われた皮膚表面上に対して、皮膚用薬の局所製剤を直ちには適用しない。
【0029】
本発明のヒドロゲルパッチ組成物の特徴の利点は本質的に粘着性、即ち、それ自体接着性があって、皮膚表面上の固定された位置に止めることができる点である。これらは、ある個人には上記のアレルギーや外傷性の応答を引き起こすことがある、例えば粘着テープ等のような補助的な接着剤が不要である。主題のヒドロゲルパッチ組成物は、本質的に皮膚表面に対して粘着性を有する一方、皮膚から容易に剥離できる程度に適当に粘着性であるという利点がある。これに対して、ヒドロコロイドは本質的には粘着性でない、即ちそれ自身は粘着性でなく、皮膚表面に貼り付けたままにするためには追加的または補助的な粘着剤を必要とする。こうして、主題のヒドロゲルパッチ組成物は粘着剤不要であり、ヒドロコロイドの局所パッチ剤が粘着要素、例えば粘着テープカバーを含むのとは対照的である。
【0030】
主題のヒドロゲルパッチ組成物の態様を図1に例示する。これにはヒドロゲルパッチ組成物4、およびそのヒドロゲルパッチ組成物を載せた任意の支持体6が含まれ、図1において包括的に要素2という。この特定の態様ではヒドロゲルパッチ組成物は長方形であるが、本発明をこの形状に限定する意図はなく、円形、正方形、三角形等または複雑な若しくは不規則な形状等、その他の形状も可能である。
主題の方法で使用される主題のヒドロゲルパッチ組成物の特徴は、上記のとおり、主題のヒドロゲルパッチ組成物が薬学的に活性な薬物を含まず、またはむしろそれを欠くということである。こうして、主題の発明のヒドロゲルパッチ組成物はブランクのヒドロゲルパッチ組成物として正しく特徴付けされる。この点において、主題の方法で使用される薬学的に活性な任意の薬物は主題のヒドロゲルパッチ組成物から分離された成分である。
【0031】
一般に、主題のヒドロゲルパッチ組成物は水溶性の高分子量物質、例えば、水溶性ポリマーゲル、水および水分保持剤より作られる。関心のある水溶性の高分子量物質には、水溶性ポリマーが包含され、関心のあるポリマーとしては、限定はされないが、ゼラチン、デンプン、寒天、マンナン、アルギン酸、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸エステル、デキストリン、メチルセルロース、メチルセルロースナトリウム、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、セルロースガム、カルボキシビニルポリマー、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、アラビアゴム、アカシア、トラガカントガム、カラヤガム、デンプンアクリル酸エステルコポリマーまたはその他のデンプンアクリル酸ナトリウムグラフトコポリマー等が含まれる。これらの金属塩や有機または無機の架橋薬によりこれらを架橋した生成物もまた関心がある。
【0032】
具体的には、主題のヒドロゲルパッチ組成物には通常架橋剤が含まれ、その架橋剤を例示すると、限定はされないが、乾燥水酸化アルミニウムゲル、酢酸ジヒドロキシアルミニウム、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム(マグネシウムアルミノメタシリケート)、水酸化アルミニウム、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム(マグネシウムメタシリケートアルミネート)、合成ケイ酸アルミニウム、水酸化カルシウム、硫酸アルミニウムアンモニウム、塩化カルシウム等がある。これら水溶性ポリマーを用いて、ヒドロゲルパッチ組成物で使用される他の出発物質の性質または特性をもたらすことができるが、実際には単独でまたは二つ以上を組み合わせて用いることができる。粘着ゲルベースに存在する水溶性高分子量物質の量は一般に約0.5〜約20%(w/w)、通常は約2〜15%(w/w)であり、存在する架橋薬の量は一般に約0.01〜約2%(w/w)、通常は約0.02〜約1.5%、さらに通常は約0.03〜約1%(w/w)である。
【0033】
水成分として好都合な任意の水を使用できるが、関心のあるのは蒸留水またはイオン交換水であり、主題の発明の多くの態様ではこれが好ましい。ヒドロゲルパッチ組成物中に存在する水の量はそのヒドロゲルパッチ組成物に望ましい性質を与えるのに十分である。使用される特定の高分子量物質に依存して水の量は変化するが、一般に、ヒドロゲルパッチ組成物中の水の量は少なくとも約25重量%、より通常には少なくとも約30重量%である。例えば、一般には水の量は約25%〜約90%、通常は約20%〜約80%であり、ある態様においては、水の量は約30%〜約50%である。
【0034】
主題のヒドロゲルパッチ組成物における水保持剤または維持剤は、そのヒドロゲルパッチ組成物ベース中に含まれる水の蒸発を少なくとも減少させ、ヒドロゲルパッチ組成物ベースの含水量を少なくとも実質的に一定に維持させることができれば任意の薬物でよい。一定でなくとも、そのヒドロゲルパッチ組成物を貯蔵しおよび使用する間、一定のレベルに維持できればよい。主題の組成物では一つ以上の水保持剤を使用することができ、粘着ゲルベース中に存在する水保持剤の量は一般には約1〜約40重量%、通常約3〜約30重量%である。適切な水保持剤または維持剤の例としては、特に限定はされないが、1またはそれ以上のタイプの多価、多水酸基、糖、またはアルコールで例えばグリセリン、ソルビトール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、1,3-ブチレングリコール、およびエチレングリコール等が含まれる。
【0035】
既に述べた成分に加えて、通常の局所水溶性パッチ剤に使用される種々の添加物もまた、必要に応じて適切に加えることができる。これには、カオリン、ベントナイト、二酸化チタンのような無機物質;パラベンのような保存剤、アニオン性、カチオン性および非イオン性界面活性剤;塩化アルミニウム、乾燥水酸化アルミニウムゲル、アミノ酢酸ジヒドロアルミニウムのような金属アルミニウム架橋剤;ホホバ油、ヒマシ油のような油;EDTAのようなキレート剤;リンゴ酸、酒石酸、ジイソプロパノールアミンのようなpH調節剤;エタノールのようなアルコール;ヒアルロン酸、アロエ抽出物、尿素のような保湿剤;およびその他の香料、着色剤が含まれる。
ヒドロゲルパッチ組成物のpHは一般に生理的に許容可能な範囲であり、通常3.0〜8.0、特に4.0〜7.0の範囲である。
【0036】
ある態様においては、ヒドロゲルパッチ組成物には支持体または裏当てが存在する。支持体は一般には人体の動きにあわせて適合可能な柔軟な物質から作られていて、例えば、不織布、織布、スパンデックス、フランネル、またはこれらとポリエチレンフィルム、ポリエチレングリコールテレフタレートフィルム、塩化ポリビニルフィルム、エチレン酢酸ビニルコポリマーフィルム、ポリウレタンフィルム等との積層体である。支持体は多孔性または非多孔性であるが、通常は非多孔性であってヒドロゲル組成物、使用される皮膚用薬および液体、例えば、投与部位からにじみ出るすべての液体が浸透することはない。このような裏当て材の不浸透性がヒドロゲルパッチ組成物の効力を増加させる。
【0037】
例えば、使用した皮膚用薬の不浸透性は該皮膚用薬が皮膚に浸透するのを増加または増強させるのに役立つ。「柔軟である」とは、支持体が実質的に壊れたり、裂けたり、引き裂かれたりすることなく曲がったり折りたたまれたりできることをいう。一般には、支持体の長さと幅の寸法は、関係するヒドロゲルパッチ組成物の長さと幅の寸法とまさしく整合する場合を含めて実質上相応したものである。支持層は一般には約10μm〜約1000μmの範囲の厚さであるが、ある態様においては10μmより小さく、および/または1000μmより大きくてもよい。
【0038】
ヒドロゲルパッチ組成物および任意の支持層に加えて、該ヒドロゲルパッチ層を環境から保護するため、主題のパッチはヒドロゲルパッチ組成物の表面上で裏当て材の反対側に剥離フィルム(示されていない)をまた有していてもよい。該剥離フィルムは任意の都合のよい物質であってよく、代表的な剥離フィルムとしてはPETやPP等のポリエステルフィルムが含まれる。
【0039】
任意の好都合なヒドロゲルパッチ組成物を主題の発明の使用のために適応させ使用することができる。主題の発明の使用のために適応させ得る代表的なヒドロゲルパッチ組成物は、限定はされないが、PCT国際公報WO 02/078757号、WO 02/078756号、および米国特許5,120,544号、5,160,328号、5,270,358号、5,423,737号、5,476,443号、5,489,262号、5,501,661号、5,827,529号、6,039,940号、6,096,333号、6,214,374号、6,296,869号、6,348,212号、6,455,065号に記載されている;これらの開示は本発明に援用する。
【0040】
ヒドロゲルパッチ組成物は好都合な任意の手順を用いて製造される。主題のパッチを製造するための好都合な手順としては、既に述べた成分を均一に混合してヒドロゲルパッチ組成物ペーストをつくり、そのペーストを支持体に塗りつけ、得られた生成物を特定のサイズにカットして所望のヒドロゲルパッチ組成物を得ることが含まれる。パッチの形状は様々で、代表的な形状としては、正方形、長方形、楕円形、円形、三角形等である。パッチのサイズも様々で、多くの態様ではサイズは約1〜約1000cmまたはそれより大、例えばある態様では約10〜約300cm、例えば約20〜約200cm、また例えば約130cm〜約150cmの範囲である。ある態様では表面の面積はその対象全体を覆うのに十分なサイズである。従って、表面面積は約1000cm〜5000cmまたはそれ以上であり、ある態様では主題のヒドロゲルパッチ組成物の寸法は縦横約1mずつである。製造のより詳細な記述は、米国特許5,827,529号を参照でき、その開示は本願に援用する。上記の製造手順は単に代表例であることに注意すべきである。上記のように主題のヒドロゲルパッチ組成物を製造することのできる好都合な任意の手順を用いることができる。
【0041】
従って、局所に適用された局所製剤をヒドロゲルパッチ組成物で遮蔽するため、最初にヒドロゲルパッチ組成物が存在する包装からそのヒドロゲルパッチ組成物を取り出し、保護層が存在する場合にはそれを該パッチから除去し、ヒドロゲルパッチ組成物をむき出しにする。それから、局所に適用された局所製剤の上からそのヒドロゲルパッチ組成物で覆って局所適用された製剤を遮蔽する。上記の通り、ヒドロゲルパッチ組成物はそれ自身粘着性があり、即ち、本質的に粘着性であって局所に適用された局所製剤を覆う位置に固定することができる。つまり、追加的な粘着剤または他の手段を用いて製剤を覆う場所に固定する必要がなく、皮膚表面に可逆的に結合させることができる。上記の通り、ある態様では、主題のヒドロゲルパッチ組成物は局所に適用された局所製剤がない皮膚表面上にも直接に適用される。
【0042】
局所に適用された局所製剤は、皮膚を通じて皮膚用薬の治療量または有効量を患者に輸送するのに十分な期間、ヒドロゲルパッチ組成物により遮蔽される。局所製剤が適用部位に維持される特定の時間は種々の因子、例えば、限定はされないが、病気の性質、用いられた皮膚用薬および対象、例えば、その皮膚用薬に対する感度、に依存し、一般には、少なくとも約30秒間で、ある態様ではその時間は約2,3時間から約2,3日またはそれ以上、例えば1日またはそれ以上、例えば、約1週間またはそれ以上の範囲である。多くの態様では、薬物の所望量を輸送するのに要する時間は比較的短く、一般には1時間または2時間若しくはそれ以上、例えば、1時間から12時間、例えば、1時間から5-6時間である。ある態様では、薬物の所望量を輸送するのに要する時間は比較的長く、一般には少なくとも4-5時間から約10時間または約24時間若しくはそれ以上、例えば1週間若しくはそれ以上である。通常、時間は少なくとも約2,3時間から約1週間、および通常少なくとも約2,3時間から約2,3日であり、ここで約2,3日は約7日間と同等若しくはそれ以下である。
【0043】
ある態様では、時間は約1週間くらい、若しくはそれ以上である。これらの時間は治療の全期間、即ち、特定の皮膚域を主題の方法で治療する全期間、または特定の適用部位における最初の治療および/または続く治療期間であり、主題の方法に従う追加的な治療が特定適用部位における最初の治療に続いて、例えば、その直後若しくはしばらくの時間経過後に行われてもよい。継続的な治療には、先の適用と同じ皮膚用薬の局所製剤の有効量、先の適用と同じ皮膚用薬の異なる用量の有効量、異なる局所剤(例えば、軟膏の代わりにクリーム等)中に含まれる同じ皮膚用薬の有効量を適用することが含まれ、また先の適用とは異なる皮膚用薬の
有効量を適用することも包含される。
【0044】
従って、ある態様では最初の適用の後直ちにまたは十分な期間が経過してから主題の方法が1回またはそれ以上繰り返され、追加的な皮膚用薬(先の使用と同一でも異なっていても良い)を投与部位に適用し、先に用いた同じヒドロゲルパッチまたは異なるヒドロゲルパッチで遮蔽する。ヒドロゲルパッチ組成物を置き換える時間、例えば、一日の経過中で約1回から約2回置き換え、ある態様では主題のヒドロゲルパッチは一日2回以上置き換えられる。ある態様では、例えば乾癬の場合、ヒドロゲルパッチ組成物および局所製剤の追加的適用は一日2回置き換えられる。
【0045】
十分な時間が経過すると、ヒドロゲルパッチ組成物をその適用部位から除去する。ヒドロゲル組成物の性質は適用部位から容易にかつ外傷を与えることなく除去することを可能とし、その部位から該ヒドロゲルパッチを単にはがすのみでよい。はがすとき、ヒドロゲルパッチ組成物は無傷であって、即ち、その部位に断片を残すこともない。
【0046】
図2A〜2Cは主題の方法に従い、皮膚用薬の局所製剤を適用部位に投与する態様を段階的に例示したものである。図2Aに示すように適用部位10のある皮膚表面は、治療が必要な皮膚症状のような病気を有するヒト宿主の肘当たりに存在する。主題の発明に従って、皮膚用薬の局所製剤12の有効量が、図2Bに示すように適用部位に局所投与される。この特定の例では局所製剤は適用部位全体を覆っているが、必ずそうする必要はない。
【0047】
図2Cに示すように、局所製剤12を投与部位10に投与するとすぐ、ヒドロゲルパッチ組成物24で遮蔽して、遮蔽された皮膚用薬の局所製剤を形成する。この特定の例では、ヒドロゲルパッチ組成物24は支持体または裏当て材26に付随していて、ヒドロゲルパッチ組成物24と支持体26を含むヒドロゲルパッチデバイス22が提供される。遮蔽された皮膚用薬の局所製剤は宿主の症状を治療するために十分な時間維持される。
【0048】
十分な時間の経過後、適用部位からヒドロゲルパッチデバイス22を除去する。ある態様では、適用部位からヒドロゲルパッチデバイス22を除去したある時点で上記の方法を一回以上二回、三回、四回等と繰り返し、局所製剤12の有効量が適用部位10に適用され、ヒドロゲルパッチ組成物が十分な時間遮蔽される。別の態様では、別の局所製剤を適用することなく、ヒドロゲルパッチ組成物が別のヒドロゲルパッチ組成物で置き換えられる。
【0049】
キット
上記の通り、少なくとも一つ以上のヒドロゲルパッチ組成物と皮膚用薬の局所製剤を含むキットがまた提供される。主題のキットに含まれるヒドロゲルパッチ組成物は支持体または裏当て材、例えば、上記のような非多孔性支持体の上にあってもよい。主題のキットのある態様では一つより多い主題のヒドロゲルパッチ組成物が提供される。そのような一つより多いヒドロゲルパッチ組成物がある態様では、多くのヒドロゲルパッチ組成物が一つの包装で一緒に封をされていてもよい。しかしながら、一般にはキット中の各ヒドロゲルパッチ組成物は個々に包装されていて、ひとつのヒドロゲルパッチ組成物がその包装から取り出されて使用されてもその他のヒドロゲルパッチ組成物はいずれも無傷で破られない。
【0050】
上記のとおり、主題のキットはまた皮膚用薬の局所製剤を含む。キットで提供される製剤の投与量は単回または複数回の適用にも十分な量である。従って、主題のキットのある態様では皮膚用薬の局所製剤の単回投与量がキット内に存在する。例えば、あるキットは単一のヒドロゲルパッチ組成物および皮膚用薬の局所製剤の単回投与量を含むことができる。図3は主題のキット30(正面図)の態様を例示し、これは単一のヒドロゲルパッチ組成物34と単回投与量の皮膚用薬の局所製剤40を含む。
【0051】
別のある態様では皮膚用薬の局所製剤の複数回投与量がキット中に存在してもよい。例えば、あるキットは複数のヒドロゲルパッチ組成物および複数回投与量の皮膚用薬の局所製剤を含むことができる。皮膚用薬の局所製剤の複数回投与量を含む態様では、それらは単一の容器、例えば、単一のチューブ、ビン、バイアル等に入れてもよいが、一回以上の投与量を個別に包装し一つより多い容器に入った皮膚用薬の局所製剤を含むキットがあってもよい。図4は、複数のヒドロゲルパッチ組成物44a−44eと複数回投与量の皮膚用薬の局所製剤44を含む主題のキット420(正面図)の態様を例示する。キット42は五つのヒドロゲルパッチ組成物を示すが、それより多いまたは少ないヒドロゲルパッチ組成物をキット中に含んでいてもよいと解される。
【0052】
上記のとおり、ある態様では、一つより多い皮膚用薬の局所製剤がキット中に適用される。図5は複数のヒドロゲルパッチ組成物54a−54eと複数の皮膚用薬の局所製剤容器56a−56eを含む主題のキット50の態様を例示する。ここで、各容器は皮膚用薬の局所製剤の一回の投与量または複数回の投与量を含むことができる。キット50は5個のヒドロゲルパッチ組成物と5個の皮膚用薬局所製剤の容器を含むが、より多い/または少ないヒドロゲルパッチ組成物および/またはより多い/または少ない皮膚用薬局所製剤の容器をキット中に含んでもよい。
【0053】
主題のキットの多くの態様では、ヒドロゲルパッチ組成物と皮膚用薬の局所製剤はキット格納要素に包装され一つの扱いやすい単位を構成するが、そのキット格納要素、例えば箱や類似の構造物は、気密性であってもなくてもよく、使用までパッチ組成物と皮膚用薬の局所製剤を保存できればよい。
【0054】
主題のキットはまた一般に、皮膚用薬を宿主に輸送するためヒドロゲルパッチ組成物を使用してその皮膚用薬の局所製剤を遮蔽する方法の指示を含む。その指示は一般には適切な記録媒体または物質に記録される。例えば、紙やプラスチック等の物質上にその指示が印刷される。こうして、包装の挿入物として、キットやその構成物容器のラベル中に(即ち、包装または予備包装と関連して)その指示が存在する。別の態様では適切なコンピュータ読み取り可能な格納媒体、例えば、CD-ROMやディスケット上に電子格納データファイルとしてその指示が存在する。さらに別の態様ではキットには実際の指示書は存在しないが、指示を遠隔情報源から入手する手段、例えば、インターネット経由、が提供される。この態様の例としてはウェブアドレスの記載されたキットがあり、そこから指示を読んだりおよび/またはダウンロードできる。その指示と同様、指示を入手する手段も適切な物質上に記載される。
【0055】
有用性
主題の方法は、対象への皮膚用薬の局所投与が望まれる任意の適用で用途が見出せる。一般にはそのような対象は「哺乳類」であり、この語は哺乳類に属する有機体を記述する場合に広く使用されて、肉食動物目(例えば、イヌ、ネコ)、げっ歯目(例えば、マウス、モルモット、ラット)、霊長類(例えば、ヒト、チンパンジー、モンキー)が含まれる。多くの態様では対象はヒトである。
【0056】
多くの態様で、主題の発明は病気の症状の治療に用途を見出す。治療とは、宿主を悩ます病的な状態に関連する症状の改善を少なくとも意味し、改善の語は広い意味で使用され、治療される病気の症状、例えば皮膚炎等に関連するパラメータ、例えば症状の程度の減少を少なくともいう。こうして、治療とはまた、病的な状態、少なくともそれに関連する症状が完全に阻止され、例えば発症が妨げられ、または停止され、例えば終了されて宿主が病的な状態、または少なくとも病的な状態を特徴付ける症状により苦しむことがもはやない状態を含む。こうして治療とは病的な症状の治癒と管理とを含む。
【0057】
従って、主題の方法は、その病気症状が局所皮膚用薬で治療され得る、または局所皮膚用薬による治療が考えられる限り、広範な病気または病的症状を治療するために使用することができる。上記注意書きのとおり、主題の発明のある態様では皮膚用薬は使用されない。主題の方法は、皮膚に影響を与え、皮膚症状若しくは皮膚科症状として正しく特徴付けられる病気に特に適している。ここで使用するように、「皮膚症状」およびその類似の語は治療を要する任意の皮膚の状態をいう場合に広く使用され、皮膚の炎症を含まないもの、例えば白斑も包含される。これらの皮膚疾患は細菌感染、ウィルス感染、真菌感染、自己免疫応答、アレルギー応答、特発性等の結果であり、慢性若しくは急性で数分間から一生涯続くものがある。こうして、主題の方法は皮膚に起因しまたは皮膚に局在する病気や、体の他の部分に起因し、および/または皮膚に局在しない病気のいずれも含む。換言すると、皮膚に影響する病気は体の他の器官または全身に起因するものでもよいが、皮膚に影響する症状または徴候があるものである。
【0058】
主題の発明に従って治療される病気は、限定はされないが、乾癬、湿疹、白斑、アトピー性皮膚炎、接触性皮膚炎、貨幣状皮膚炎、一般的剥奪性皮膚炎、うっ滞性皮膚炎、口囲皮膚炎、限局性強皮症、掌蹠膿疱症、魚鱗癬、角皮症、イボ、汗孔角化症、ヘーリー−ヘーリー(Hailey-Hailey)症、毛孔性紅色粃糠疹、黒色表皮症、酒さ、エリテマトーデス、慢性単純性苔癬(神経皮膚炎)、脱毛症、脂漏症、光線角化症、コーンズ(corns)、掻痒症、日焼け、蕁麻疹、局部掻爬皮膚炎、ブドウ球菌症状、丹毒、毛嚢炎、カルブンケル、フルンケル、エリトラスマ(erythrasma)、カンジダ症、皮膚糸状菌感染症、疥癬、シラミ、多毛症、および扁平苔癬が含まれる。
【実施例】
【0059】
以下の実施例は当業者に対してどのように本発明を使用し実施するかを完全に記述し開示するため提供するもので、発明者が考える発明の範囲を限定する意図はない。使用される数字(例えば、量や温度等)は正確となるよう努力したがいくらかの実験誤差や逸脱があり得る。特に示さない限り、割合は重量比、分子量は平均分子量、温度は摂氏、圧は大気圧またはほぼ大気圧である。
【0060】
実施例
それぞれの例において、紅斑、硬結、および落屑を0−4のスケールで等級化した。各例で報告されたスコアは以下の基準に従ったスコアの総計(全スコア)である(例えば、紅斑3+硬結2+落屑4=全スコア9)。
【0061】
【表1】

【0062】
【表2】

【0063】
【表3】

【0064】
A.実施例1:
乾癬治療のためのトリアムシノロン0.1%の投与(ヒドロゲルパッチ組成物による遮蔽ありまたはなし)
手順
ヒト宿主の対称的な二つの乾癬部位に、一日二回、二週間の期間、トリアムシノロン0.1%軟膏を局所投与した。主題のヒドロゲルパッチ組成物(ブランク)を用いて一方の部位に投与されたトリアムシノロン0.1%軟膏を遮蔽し、もう一方のトリアムシノロン0.1%軟膏は遮蔽しなかった。ヒドロゲルパッチはトリアムシノロン0.1%軟膏を投与するごとに交換した。治療を二週間継続し、四週間後に最終評価を行った。
【0065】
結果
【表4】

結論
四週間後、トリアムシノロン0.1%軟膏を遮蔽した部位は遮蔽しなかった部位に比して、結果が改善された。
【0066】
B.実施例2;
乾癬治療のためのクロベタゾール0.05%の投与(ヒドロゲルパッチ組成物による遮蔽ありまたはなし)
手順
ヒト宿主の対称的な二つの乾癬部位に、一日二回、二週間の期間、クロベスタゾール0.05%軟膏を局所投与した。主題のヒドロゲルパッチ組成物(ブランク)を用いて一方の部位に投与されたクロベスタゾール0.05%軟膏を遮蔽し、もう一方のクロベスタゾール0.05%軟膏は遮蔽しなかった。ヒドロゲルパッチはクロベスタゾール0.05%を投与するごとに交換した。治療を二週間継続し、四週間後に最終評価を行った。
【0067】
結果
【表5】

結論
四週間後、クロベスタゾール0.05%軟膏を遮蔽した部位は遮蔽しなかった部位に比して、結果が改善された。
【0068】
C.実施例3
ヒドロゲルパッチ組成物による乾癬の治療(皮膚用薬の局所製剤の局所投与なし)
手順
ヒト宿主の乾癬部位に、一日二回、二週間の期間、主題のヒドロゲルパッチ組成物(ブランク)を局所適用した。宿主の対称的な感染部位には適用せず対照とした。治療を二週間継続し、四週間後に最終評価を行った。
【0069】
結果
【表6】

結論
四週間後、主題のヒドロゲルパッチ組成物(ブランク)適用部位は対照の部位に比して、結果が改善された。
【0070】
上記の結果および議論から、主題の方法が宿主に皮膚用薬を投与する改善方法を提供することが明白である。上記発明は、皮膚を通じる薬物輸送を改善し患者によい治療結果をもたらす他、費用対効果、使用の容易さ、宿主への皮膚用薬輸送の有効で効果的な方法を含む多くの利点を提供する。こうして主題の発明は当該分野に多大な貢献をする。
【0071】
この明細書で引用した特許および刊行物はすべて、個々の刊行物または特許を具体的かつ個別に示したのと同様に参考のため援用する。刊行物の引用はすべて出願日前のものを開示するためであり、本発明が先行発明としてそれらの発明に先行する資格のないことを認めるものではない。
【0072】
上記の発明は理解を明確にするために図および実施例を用いて詳細に説明したが、本発明の教唆に照らして、請求の範囲および精神から逸脱することなくある種の変更または修飾をなし得ることは当業者にとって明らかである。
【図面の簡単な説明】
【0073】
【図1】主題の方法に従う、ヒドロゲルパッチ組成物の使用手段の態様を例示する。
【図2A】主題の発明に従い皮膚用薬の局所製剤を宿主に投与する工程を図示する。
【図2B】主題の発明に従い皮膚用薬の局所製剤を宿主に投与する工程を図示する。
【図2C】主題の発明に従い皮膚用薬の局所製剤を宿主に投与する工程を図示する。
【図3】単一のヒドロゲルパッチ組成物および皮膚用薬の局所製剤の単回投与量を含む、主題のキットの態様を例示する。
【図4】複数のヒドロゲルパッチ組成物および皮膚用薬の局所製剤の多回投与量を入れた単一の容器を含む、主題のキットの態様を例示する。
【図5】複数のヒドロゲルパッチ組成物および皮膚用薬の局所製剤を入れた複数の容器を含む、主題のキットの態様を例示する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
皮膚用薬を宿主に投与する方法であって、
(a)該皮膚用薬の局所製剤の有効量をその宿主に局所的に適用し
(b)局所的に適用された該皮膚用薬の局所製剤をヒドロゲルパッチ組成物で遮蔽して該皮膚用薬をその宿主に投与することを含み;そして該ヒドロゲルパッチ組成物が
(i)水溶性高分子ゲル
(ii)水
(iii)水保持剤;および
(iv)架橋剤を含んでなる、方法。
【請求項2】
該ヒドロゲルパッチ組成物が薬学的に活性な薬物を含まない、請求項1の方法。
【請求項3】
少なくとも約25%(w/w)の量の水が含まれる、請求項1の方法。
【請求項4】
該水溶性高分子ゲルが、ゼラチン、デンプン、寒天、マンナン、アルギン酸、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸エステル、デキストリン、メチルセルロース、メチルセルロースナトリウム、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、セルロースガム、カルボキシビニルポリマー、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、アラビアゴム、アカシア、トラガカントガム、カラヤガム、デンプンアクリル酸エステルコポリマーおよびデンプンアクリル酸ナトリウムグラフトコポリマーの少なくとも一つを含む、請求項1の方法。
【請求項5】
該皮膚用薬がステロイドである、請求項1の方法。
【請求項6】
該ステロイドが、トリアムシノロン、トリアムシノロンアセトニド、クロベタソール、プロピオン酸クロベタソール、酪酸クロベタゾン、デソニド、アルクロメタゾン、フルランドレノリド、デソキシメタゾン、ベタメタゾン、ロテプレドノール、フルオロメトロン、ジフルプレドネート、モメタゾンフロエート、ジフロラゾンジアセテート、吉草酸ジフルコルトロン、フルオシノニド、アムシノニド、ハルシノニド、フルオシノロンアセトニド、ピバリン酸フルメタゾン、コルチコステロイド、例えばヒドロコルチゾン、ヒドロキシトリアムシノロン、α-メチルデキサメタゾン、リン酸デキサメタゾン、ベクロメタゾンジプロピオネート、吉草酸クロベタゾール、デソニド、デソキシメタゾン、酢酸デソキシコルチコステロン、デキサメタゾン、ジクロリゾン、ジフロラゾンジアセテート、吉草酸ジフロコルトロン、フルアドレノロン、フルクロロロンアセトニド、フルドロコルチゾン、ピバリン酸フルメタゾン、フルオシノロンアセトニド、フルオシノニド、フルコルチゾン酪酸エステル、フルオコルトロン、酢酸フルプレドニデン(フルプレドニリデン)、フルランドレノロン、ハルシノニド、酢酸ヒドロコルチゾン、酪酸ヒドロコルチゾン、メチルプレドニゾロン、トリアムシノロンアセトニド、コルチゾン、コルトドキソン、フルセトニド、フルドロコルチゾン、ジフルオロゾンジアセテート、フルラドレノロン、フルドロコルチゾン、ジフルロゾンジアセテート、フルラドレノロンアセトニド、メドリゾン、アムシナフェル、アムシナフィド、ベタメタゾン、クロロプレドニゾン、酢酸クロロプレドニゾン、クロコルテロン、クレシノロン、ジクロリゾン、ジフルルプレドネート、フルクロロニド、フルニゾリド、フルオロメタロン、フルペロロン、フルプレドニゾロン、吉草酸ヒドロコルチゾン、ヒドロコルチゾンシクロペンチルプロピオネート、ヒドロコルタメート、メプレドニゾン、パラメタゾン、プレドニゾロン、プレドニゾン、ベクロメタゾンジプロピオネート、トリアムシノロン、およびこれらの混合物から選択される、請求項5の方法。
【請求項7】
該皮膚用薬が非ステロイドである、請求項1の方法。
【請求項8】
該非ステロイドがムピロシン、アシクロビル、ニスタチン、ミコナゾール、アムホテリシン、エコナゾール、過酸化ベンゾイル、ビタミンA誘導体、ビタミンD誘導体、ビタミンE誘導体、カルシポトリオール、ピメクロリムス、タクロリムス、タザロテン、コールタール、アントラリン、サリチル酸、硫黄およびこれらの混合物よりなる群から選択される、請求項7の方法。
【請求項9】
該局所製剤が腕、脚、顔面、首および胴体の少なくとも一つに適用される、請求項1の方法。
【請求項10】
該局所製剤が約1cmから約5000cmの範囲の面積に適用される、請求項1の方法。
【請求項11】
該局所製剤が約30秒間から約1週間の範囲の期間、該ヒドロゲルパッチ組成物により遮蔽される、請求項1の方法。
【請求項12】
該ヒドロゲルパッチ組成物が支持体上に存在する、請求項1の方法。
【請求項13】
該支持体が非多孔性である、請求項12の方法。
【請求項14】
該局所製剤が皮膚症状の治療のために投与される、請求項1の方法。
【請求項15】
該皮膚症状が、乾癬、湿疹、白斑、アトピー性皮膚炎、接触性皮膚炎、貨幣状皮膚炎、一般的剥奪性皮膚炎、うっ滞性皮膚炎、口囲皮膚炎、限局性強皮症、掌蹠膿疱症、魚鱗癬、角皮症、イボ、汗孔角化症、ヘーリー−ヘーリー(Hailey-Hailey)症、毛孔性紅色粃糠疹、黒色表皮症、酒さ、エリテマトーデス、慢性単純性苔癬(神経皮膚炎)、脱毛症、脂漏症、光線角化症、コーンズ(corns)、掻痒症、日焼け、蕁麻疹、局部掻爬皮膚炎、ブドウ球菌症状、丹毒、毛嚢炎、カルブンケル、フルンケル、エリトラスマ(erythrasma)、カンジダ症、皮膚糸状菌感染症、疥癬、シラミ、多毛症、および扁平苔癬からなる群より選択される請求項14の方法。
【請求項16】
該架橋剤が、乾燥水酸化アルミニウムゲル、酢酸ジヒドロキシアルミニウム、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム(マグネシウムアルミノメタシリケート)、水酸化アルミニウム、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム(マグネシウムメタシリケートアルミネート)、合成ケイ酸アルミニウム、水酸化カルシウム、硫酸アルミニウムアンモニウム、および塩化カルシウムからなる群より選択される、請求項1の方法。
【請求項17】
宿主に皮膚用薬を投与してその宿主の病気を治療する方法であって、
(a)該皮膚用薬の局所製剤の有効量をその宿主に局所的に適用し;
(b)局所的に適用された該皮膚用薬の局所製剤をヒドロゲルパッチ組成物で遮蔽して、遮蔽された局所投与製剤を製造することを含み、そして該ヒドロゲルパッチ組成物が
(i)水溶性高分子ゲル
(ii)水
(iii)水保持剤;および
(iv)架橋剤を含んでなり;
(c)その遮蔽された局所投与製剤を当該宿主の病気の治療に十分な時間維持することを含む、方法。
【請求項18】
該ヒドロゲルパッチ組成物が薬学的に活性な薬物を含まない、請求項17の方法。
【請求項19】
少なくとも約25%(w/w)の量の水が含まれる、請求項17の方法。
【請求項20】
該水溶性高分子ゲルが、ゼラチン、デンプン、寒天、マンナン、アルギン酸、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸エステル、デキストリン、メチルセルロース、メチルセルロースナトリウム、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、セルロースガム、カルボキシビニルポリマー、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、アラビアゴム、アカシア、トラガカントガム、カラヤガム、デンプンアクリル酸エステルコポリマーおよびデンプンアクリル酸ナトリウムグラフトコポリマーの少なくとも一つを含む、請求項17の方法。
【請求項21】
該皮膚用薬がステロイドである、請求項17の方法。
【請求項22】
該ステロイドが、トリアムシノロン、トリアムシノロンアセトニド、クロベタソール、プロピオン酸クロベタソール、酪酸クロベタゾン、デソニド、アルクロメタゾン、フルランドレノリド、デソキシメタゾン、ベタメタゾン、ロテプレドノール、フルオロメトロン、ジフルプレドネート、モメタゾンフロエート、ジフロラゾンジアセテート、吉草酸ジフルコルトロン、フルオシノニド、アムシノニド、ハルシノニド、フルオシノロンアセトニド、ピバリン酸フルメタゾン、コルチコステロイド、例えばヒドロコルチゾン、ヒドロキシトリアムシノロン、α-メチルデキサメタゾン、リン酸デキサメタゾン、ベクロメタゾンジプロピオネート、吉草酸クロベタゾール、デソニド、デソキシメタゾン、酢酸デソキシコルチコステロン、デキサメタゾン、ジクロリゾン、ジフロラゾンジアセテート、吉草酸ジフロコルトロン、フルアドレノロン、フルクロロロンアセトニド、フルドロコルチゾン、ピバリン酸フルメタゾン、フルオシノロンアセトニド、フルオシノニド、フルコルチゾン酪酸エステル、フルオコルトロン、酢酸フルプレドニデン(フルプレドニリデン)、フルランドレノロン、ハルシノニド、酢酸ヒドロコルチゾン、酪酸ヒドロコルチゾン、メチルプレドニゾロン、トリアムシノロンアセトニド、コルチゾン、コルトドキソン、フルセトニド、フルドロコルチゾン、ジフルオロゾンジアセテート、フルラドレノロン、フルドロコルチゾン、ジフルロゾンジアセテート、フルラドレノロンアセトニド、メドリゾン、アムシナフェル、アムシナフィド、ベタメタゾン、クロロプレドニゾン、酢酸クロロプレドニゾン、クロコルテロン、クレシノロン、ジクロリゾン、ジフルルプレドネート、フルクロロニド、フルニゾリド、フルオロメタロン、フルペロロン、フルプレドニゾロン、吉草酸ヒドロコルチゾン、ヒドロコルチゾンシクロペンチルプロピオネート、ヒドロコルタメート、メプレドニゾン、パラメタゾン、プレドニゾロン、プレドニゾン、ベクロメタゾンジプロピオネート、トリアムシノロン、およびこれらの混合物から選択される、請求項21の方法。
【請求項23】
該皮膚用薬が非ステロイドである、請求項17の方法。
【請求項24】
該非ステロイドがムピロシン、アシクロビル、ニスタチン、ミコナゾール、アムホテリシン、エコナゾール、過酸化ベンゾイル、ビタミンA誘導体、ビタミンD誘導体、ビタミンE誘導体、カルシポトリオール、ピメクロリムス、タクロリムス、タザロテン、コールタール、アントラリン、サリチル酸、硫黄およびこれらの混合物よりなる群から選択される、請求項23の方法。
【請求項25】
該局所製剤が腕、脚、顔面、首および胴体の少なくとも一つに適用される、請求項17の方法。
【請求項26】
該局所製剤が約1cmから約5000cmの範囲の面積に適用される、請求項17の方法。
【請求項27】
該局所製剤が約30秒間から約1週間の範囲の期間、該ヒドロゲルパッチ組成物により遮蔽される、請求項17の方法。
【請求項28】
該ヒドロゲルパッチ組成物が支持体上に存在する、請求項17の方法。
【請求項29】
該支持体が非多孔性である、請求項28の方法。
【請求項30】
該局所製剤が皮膚症状の治療のために投与される、請求項17の方法。
【請求項31】
該皮膚症状が、乾癬、湿疹、白斑、アトピー性皮膚炎、接触性皮膚炎、貨幣状皮膚炎、一般的剥奪性皮膚炎、うっ滞性皮膚炎、口囲皮膚炎、限局性強皮症、掌蹠膿疱症、魚鱗癬、角皮症、イボ、汗孔角化症、ヘーリー−ヘーリー(Hailey-Hailey)症、毛孔性紅色粃糠疹、黒色表皮症、酒さ、エリテマトーデス、慢性単純性苔癬(神経皮膚炎)、脱毛症、脂漏症、光線角化症、コーンズ(corns)、掻痒症、日焼け、蕁麻疹、局部掻爬皮膚炎、ブドウ球菌症状、丹毒、毛嚢炎、カルブンケル、フルンケル、エリトラスマ(erythrasma)、カンジダ症、皮膚糸状菌感染症、疥癬、シラミ、多毛症、および扁平苔癬からなる群より選択される請求項30の方法。
【請求項32】
該架橋剤が、乾燥水酸化アルミニウムゲル、酢酸ジヒドロキシアルミニウム、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム(マグネシウムアルミノメタシリケート)、水酸化アルミニウム、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム(マグネシウムメタシリケートアルミネート)、合成ケイ酸アルミニウム、水酸化カルシウム、硫酸アルミニウムアンモニウム、および塩化カルシウムからなる群より選択される、請求項17の方法。
【請求項33】
皮膚用薬の局所投与された製剤を使用することなく、宿主の皮膚症状を治療する方法であって、
(a) 乾癬、湿疹、白斑、アトピー性皮膚炎、接触性皮膚炎、貨幣状皮膚炎、一般的剥奪性皮膚炎、うっ滞性皮膚炎、口囲皮膚炎、限局性強皮症、掌蹠膿疱症、魚鱗癬、角皮症、イボ、汗孔角化症、ヘーリー−ヘーリー(Hailey-Hailey)症、毛孔性紅色粃糠疹、黒色表皮症、酒さ、エリテマトーデス、慢性単純性苔癬(神経皮膚炎)、脱毛症、脂漏症、光線角化症、コーンズ(corns)、掻痒症、日焼け、蕁麻疹、局部掻爬皮膚炎、ブドウ球菌症状、丹毒、毛嚢炎、カルブンケル、フルンケル、エリトラスマ(erythrasma)、カンジダ症、皮膚糸状菌感染症、疥癬、シラミ、多毛症、および扁平苔癬からなる群より選択される皮膚症状の治療を受ける皮膚にヒドロゲルパッチ組成物を適用し;
(b)そのヒドロゲルパッチ組成物を当該宿主の病気の治療に十分な時間当該皮膚表面上に維持することを含む、方法。
【請求項34】
当該ヒドロゲルパッチ組成物が、
(i)水溶性高分子ゲル
(ii)水
(iii)水保持剤;および
(iv)架橋剤を含んでなる、請求項33の方法。
【請求項35】
(a)少なくとも一つのヒドロゲルパッチ組成物;および
(b)その少なくとも一つのヒドロゲルパッチ組成物とともに使用する皮膚用薬の局所製剤を含んでなるキット。
【請求項36】
当該ヒドロゲルパッチ組成物が、
(i)水溶性高分子ゲル
(ii)水
(iii)水保持剤;および
(iv)架橋剤を含んでなる、請求項35のキット。
【請求項37】
当該皮膚用薬の局所製剤が複数投与量、およびヒドロゲルパッチ組成物が複数投与量含まれる、請求項36のキット。
【請求項38】
当該皮膚用薬の局所製剤および単回投与量の当該ヒドロゲルパッチ組成物が含まれる、請求項36のキット。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
皮膚用薬の宿主への投与において、
(a)該皮膚用薬の局所製剤の有効量をその宿主に局所的に適用し
(b)局所的に適用された該皮膚用薬の局所製剤をヒドロゲルパッチ組成物で遮蔽して該皮膚用薬をその宿主に投与することが包含され;そして該ヒドロゲルパッチ組成物が
(i)水溶性高分子ゲル
(ii)水
(iii)水保持剤;および
(iv)架橋剤を含んでなる、皮膚用薬。
【請求項2】
該ヒドロゲルパッチ組成物が薬学的に活性な薬物を含まない、請求項1の皮膚用薬。
【請求項3】
少なくとも約25%(w/w)の量の水が含まれる、請求項1の皮膚用薬。
【請求項4】
該水溶性高分子ゲルが、ゼラチン、デンプン、寒天、マンナン、アルギン酸、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸エステル、デキストリン、メチルセルロース、メチルセルロースナトリウム、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、セルロースガム、カルボキシビニルポリマー、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、アラビアゴム、アカシア、トラガカントガム、カラヤガム、デンプンアクリル酸エステルコポリマーおよびデンプンアクリル酸ナトリウムグラフトコポリマーの少なくとも一つを含む、請求項1の皮膚用薬。
【請求項5】
該皮膚用薬がステロイドである、請求項1の皮膚用薬。
【請求項6】
該ステロイドが、トリアムシノロン、トリアムシノロンアセトニド、クロベタソール、プロピオン酸クロベタソール、酪酸クロベタゾン、デソニド、アルクロメタゾン、フルランドレノリド、デソキシメタゾン、ベタメタゾン、ロテプレドノール、フルオロメトロン、ジフルプレドネート、モメタゾンフロエート、ジフロラゾンジアセテート、吉草酸ジフルコルトロン、フルオシノニド、アムシノニド、ハルシノニド、フルオシノロンアセトニド、ピバリン酸フルメタゾン、コルチコステロイド、例えばヒドロコルチゾン、ヒドロキシトリアムシノロン、α-メチルデキサメタゾン、リン酸デキサメタゾン、ベクロメタゾンジプロピオネート、吉草酸クロベタゾール、デソニド、デソキシメタゾン、酢酸デソキシコルチコステロン、デキサメタゾン、ジクロリゾン、ジフロラゾンジアセテート、吉草酸ジフロコルトロン、フルアドレノロン、フルクロロロンアセトニド、フルドロコルチゾン、ピバリン酸フルメタゾン、フルオシノロンアセトニド、フルオシノニド、フルコルチゾン酪酸エステル、フルオコルトロン、酢酸フルプレドニデン(フルプレドニリデン)、フルランドレノロン、ハルシノニド、酢酸ヒドロコルチゾン、酪酸ヒドロコルチゾン、メチルプレドニゾロン、トリアムシノロンアセトニド、コルチゾン、コルトドキソン、フルセトニド、フルドロコルチゾン、ジフルオロゾンジアセテート、フルラドレノロン、フルドロコルチゾン、ジフルロゾンジアセテート、フルラドレノロンアセトニド、メドリゾン、アムシナフェル、アムシナフィド、ベタメタゾン、クロロプレドニゾン、酢酸クロロプレドニゾン、クロコルテロン、クレシノロン、ジクロリゾン、ジフルルプレドネート、フルクロロニド、フルニゾリド、フルオロメタロン、フルペロロン、フルプレドニゾロン、吉草酸ヒドロコルチゾン、ヒドロコルチゾンシクロペンチルプロピオネート、ヒドロコルタメート、メプレドニゾン、パラメタゾン、プレドニゾロン、プレドニゾン、ベクロメタゾンジプロピオネート、トリアムシノロン、およびこれらの混合物から選択される、請求項5の皮膚用薬。
【請求項7】
該皮膚用薬が非ステロイドである、請求項1の皮膚用薬。
【請求項8】
該非ステロイドがムピロシン、アシクロビル、ニスタチン、ミコナゾール、アムホテリシン、エコナゾール、過酸化ベンゾイル、ビタミンA誘導体、ビタミンD誘導体、ビタミンE誘導体、カルシポトリオール、ピメクロリムス、タクロリムス、タザロテン、コールタール、アントラリン、サリチル酸、硫黄およびこれらの混合物よりなる群から選択される、請求項7の皮膚用薬。
【請求項9】
該局所製剤が腕、脚、顔面、首および胴体の少なくとも一つに適用される、請求項1の皮膚用薬。
【請求項10】
該局所製剤が約1cmから約5000cmの範囲の面積に適用される、請求項1の皮膚用薬。
【請求項11】
該局所製剤が約30秒間から約1週間の範囲の期間、該ヒドロゲルパッチ組成物により遮蔽される、請求項1の皮膚用薬。
【請求項12】
該ヒドロゲルパッチ組成物が支持体上に存在する、請求項1の皮膚用薬。
【請求項13】
該支持体が非多孔性である、請求項12の皮膚用薬。
【請求項14】
該局所製剤が皮膚症状の治療のために投与される、請求項1の皮膚用薬。
【請求項15】
該皮膚症状が、乾癬、湿疹、白斑、アトピー性皮膚炎、接触性皮膚炎、貨幣状皮膚炎、一般的剥奪性皮膚炎、うっ滞性皮膚炎、口囲皮膚炎、限局性強皮症、掌蹠膿疱症、魚鱗癬、角皮症、イボ、汗孔角化症、ヘーリー−ヘーリー(Hailey-Hailey)症、毛孔性紅色粃糠疹、黒色表皮症、酒さ、エリテマトーデス、慢性単純性苔癬(神経皮膚炎)、脱毛症、脂漏症、光線角化症、コーンズ(corns)、掻痒症、日焼け、蕁麻疹、局部掻爬皮膚炎、ブドウ球菌症状、丹毒、毛嚢炎、カルブンケル、フルンケル、エリトラスマ(erythrasma)、カンジダ症、皮膚糸状菌感染症、疥癬、シラミ、多毛症、および扁平苔癬からなる群より選択される請求項14の皮膚用薬。
【請求項16】
該架橋剤が、乾燥水酸化アルミニウムゲル、酢酸ジヒドロキシアルミニウム、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム(マグネシウムアルミノメタシリケート)、水酸化アルミニウム、メタケイ酸アルミン酸マグネシウム(マグネシウムメタシリケートアルミネート)、合成ケイ酸アルミニウム、水酸化カルシウム、硫酸アルミニウムアンモニウム、および塩化カルシウムからなる群より選択される、請求項1の皮膚用薬。
【請求項17】
局所投与用の皮膚用薬を使用することなく、宿主の皮膚症状を治療するためのヒドロゲルパッチ組成物であって;
(a) 該皮膚症状が乾癬、湿疹、白斑、アトピー性皮膚炎、接触性皮膚炎、貨幣状皮膚炎、一般的剥奪性皮膚炎、うっ滞性皮膚炎、口囲皮膚炎、限局性強皮症、掌蹠膿疱症、魚鱗癬、角皮症、イボ、汗孔角化症、ヘーリー−ヘーリー(Hailey-Hailey)症、毛孔性紅色粃糠疹、黒色表皮症、酒さ、エリテマトーデス、慢性単純性苔癬(神経皮膚炎)、脱毛症、脂漏症、光線角化症、コーンズ(corns)、掻痒症、日焼け、蕁麻疹、局部掻爬皮膚炎、ブドウ球菌症状、丹毒、毛嚢炎、カルブンケル、フルンケル、エリトラスマ(erythrasma)、カンジダ症、皮膚糸状菌感染症、疥癬、シラミ、多毛症、および扁平苔癬からなる群より選択され;
(b)該組成物が当該宿主の病気の治療に十分な時間当該皮膚表面上に維持される、ヒドロゲルパッチ組成物。
【請求項18】
(i)水溶性高分子ゲル
(ii)水
(iii)水保持剤;および
(iv)架橋剤を含んでなる、請求項17のヒドロゲルパッチ組成物。
【請求項19】
(a)少なくとも一つのヒドロゲルパッチ組成物;および
(b)その少なくとも一つのヒドロゲルパッチ組成物とともに使用する皮膚用薬の局所製剤を含んでなるキット。
【請求項20】
当該ヒドロゲルパッチ組成物が、
(i)水溶性高分子ゲル
(ii)水
(iii)水保持剤;および
(iv)架橋剤を含んでなる、請求項19のキット。
【請求項21】
当該皮膚用薬の局所製剤が複数投与量、およびヒドロゲルパッチ組成物が複数投与量含まれる、請求項20のキット。
【請求項22】
当該皮膚用薬の局所製剤および単回投与量の当該ヒドロゲルパッチ組成物が含まれる、請求項20のキット。

【図1】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2006−517224(P2006−517224A)
【公表日】平成18年7月20日(2006.7.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−502835(P2006−502835)
【出願日】平成16年1月14日(2004.1.14)
【国際出願番号】PCT/US2004/000997
【国際公開番号】WO2004/071469
【国際公開日】平成16年8月26日(2004.8.26)
【出願人】(502346286)テイコク ファーマ ユーエスエー インコーポレーテッド (26)
【Fターム(参考)】