説明

皮膚脱毛組成物の刺激を低減するための方法及びキット

体毛を除去する方法及びキットが提供される。この方法は、体毛を除去すべき皮膚の領域に親油性材料を含む前処理組成物を塗布する段階を含む。その後、前処理した領域にケラチン分解剤を含む脱毛組成物を体毛と化学反応して拭取り除去できる有効な量で塗布する。また、親油性材料を含む皮膚前処理組成物とこれを皮膚に送達する輸送器とから形成された皮膚前処理製品を含むキットが提供される。キットは更に、除去すべき体毛を弱めるように体毛と化学反応性のケラチン分解剤を含む脱毛組成物を有している脱毛製品を含む。脱毛組成物は輸送器から送達される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は脱毛、特に敏感な皮膚の脱毛にしばしば伴う刺激及び他の形態の皮膚損傷を低減するための方法及びキットに関する。
【背景技術】
【0002】
脱毛剤は、活性物質による化学反応を介して体毛を除去する化粧組成物である。これらの物質は主としてジスルフィド結合を切断する。これによって体毛が弱められ、その後の脱毛組成物の掻取り及び拭取りによって皮膚表面の体毛が完全に切断されて除去される。
【0003】
最も普及した市販の物質はチオグリコレート、典型的には高pHで配合されたチオグリコレートである。効果を発揮するためには一般に4分を上回る長い皮膚滞留期間が必要である。これらの化学反応条件は比較的刺激性である。処置によって有意な刺激及び炎症応答が発生することがあり、特に敏感な皮膚の持ち主はその体験があろう。
【0004】
業界では化学的刺激物が原因の刺激を軽減する努力が続けられてきた。例えば、米国特許第6,139,850号(Hahnら)は、水溶性のストロンチウム塩を刺激防止剤として使用している。米国特許第5,756,107号(Hahnら)は、水溶性のリチウムまたはカリウムの塩のような別のアルカリ金属カチオンが同じ目的に有効であることを確認した。
【0005】
いくつかの特許は、接触時間をできるだけ短縮することによって刺激を低減する脱毛配合物を記載している。例えば、英国特許第1,329,029号(Colgate−Palmolive)は、チオグリコール酸と塩基とを別々にパッケージした自己加熱性脱毛剤を記載している。それらを合せたときに発生する熱が脱毛反応を加速する。従って接触時間が短縮される。
【0006】
国際特許WO02/43682 A1(Kovacsら)は、体毛を柔軟にする、皮膚を鎮静に保つ、においが離散し易い、などの利点をもつ剃毛及び脱毛用の製品を開示している。これらの利点は、グリース油、精油、抗酸化添加剤及び好ましくは香料エッセンスから成る均質化製品によって実現される。
【0007】
米国特許第6,306,380 B1号(Desmotsら)には別の方法が開示されている。連続水相と油相とをもつ化粧用脱毛組成物が記載されている。ケラチン分解性物質の配分は水相及び油相の双方に自然に分布するように処方されている。連続水相中のケラチン分解性物質が消耗したときには油相中の残りのケラチン分解性物質が調節的放出で使用できるようになっており、このため刺激性が低減されている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上記方法で完全な成功を収めたものはない。敏感な皮膚に対しても機能的に有効でかつ十分に穏やかな脱毛を達成するためには更に改良が必要である。
【課題を解決するための手段】
【0009】
第一の目的によれば、本発明は、
(i)体毛を除去すべき皮膚の領域に親油性材料を含む皮膚前処理組成物を塗布する段階と、および
(ii)前処理した皮膚の領域にケラチン分解剤を含む脱毛組成物を体毛と化学反応して体毛を拭取り除去するために有効な量で塗布する段階と、
を含む脱毛方法を提供する。
【0010】
更に、
(a)(i)親油性材料を含む皮膚前処理組成物と、および
(ii)皮膚前処理組成物を皮膚の領域に送達する輸送器と、
を含む皮膚前処理製品と、
(b)(i)ケラチン分解剤を体毛と化学反応して体毛を除去するために有効な量で含む脱毛剤組成物と、および
(ii)前処理組成物の送達後に脱毛組成物を皮膚の領域に送達する輸送器と、
を含む脱毛製品と、ならびに
(c)体毛の除去を要する皮膚の領域に皮膚前処理製品を塗布し次いで前処理製品で被覆された領域に脱毛製品を塗布すべきという指示と、
を含む皮膚の領域から体毛を除去するためのキットが提供される。
【0011】
指示は通常は、キットのパッケージ、前処理製品及び脱毛製品の一方または双方に記入された形態であるか、あるいは、独立の使用説明書がキットのパッケージに挿入されている。
【0012】
化学的脱毛に付随する刺激が脱毛効率の低下を伴うことなく軽減または除去できることがここに知見された。親油性材料による脱毛領域の前処理が皮膚の発赤/紅斑を有意に防御する。親油性材料が下層として存在するにもかかわらずケラチン分解活性物質による化学反応は妨害されない。活性物質の滞留時間を延長することなく所望の体毛除去が達成される。
【0013】
本発明の親油性材料は好ましくは炭化水素、天然または合成のエステル及びシリコーンのような油を含むが、これらの材料に限定はされない。炭化水素の好適例は、鉱油、イソパラフィン、石油ゼリー(ペトロラタム)、重合オレフィン(例えば、ポリブテン、ポリデセン、イソヘキサデセン)、及び、それらの組合せである。
【0014】
天然エステルの代表例は、ヒマワリ種油、綿実油、セイヨウアブラナ油、ベニバナ油、オリーブ油、ルリヂサ油、ルリヂサ種油、ダイズ油及びそれらの組合せのような植物油である。
【0015】
適当な合成エステルとしては、炭素原子数10−20の脂肪酸のアルケニルエステル(例えば、メチルミリステート、メチルステアレート、オレイルステアレート、ブチルオレエート、イソプロピルミリステート、イソプロピルパルミテート及びそれらの組合せ);ステロールエステル(例えば、コレステロール脂肪酸エステル)、エーテル−エステル(例えば、エトキシル化脂肪アルコールの脂肪エステル)、ワックスエステル(例えば、蜜蝋、鯨蝋及びカンデリラ蝋)及びそれらの混合物がある。
【0016】
シリコーン油は揮発性品種と不揮発性品種とに分類される。本文中で使用した“揮発性”という用語は、周囲温度で測定可能な蒸気圧を有している材料を意味する。揮発性シリコーン油は好ましくは、約3−約9個、好ましくは約4−約5個のケイ素原子を含有している環状または線状のポリジメチルシロキサンから選択される。
【0017】
線状揮発性シリコーン材料は一般的に25℃で約5センチストークス未満の粘度を有しているが、環状材料は典型的には約10センチストークス未満の粘度を有している。
【0018】
皮膚緩和材料として有用な不揮発性シリコーン油としては、ポリアルキルシロキサン、ポリアルキルアリールシロキサン及びポリエーテルシロキサンコポリマー(例えば、ジメチコーンコポリオール)がある。本発明に有用な本質的に不揮発性のポリアルキルシロキサンとしては、例えば、25℃で約5−約100,000センチストークスの粘度をもつポリジメチルシロキサンがある。本発明の組成物に有用な好ましい不揮発性皮膚緩和剤としては、25℃で約10−約400センチストークスの粘度を有しているポリジメチルシロキサンがある。
【0019】
親油性材料は皮膚前処理組成物の1−100重量%の範囲の量、好ましくは約30−約98重量%、より好ましくは皮膚前処理組成物の約60−約90重量%の範囲の量でよい。
【0020】
ケラチン分解剤は通常は、ケラチン中に見出されるジスルフィド結合を還元し得る材料である。このような物質の非限定的代表例は、チオグリコール酸カリウム、ジチオエリトリトール、チオグリセロール、チオグリコール、チオキサンチン、チオサリチル酸、N−アセチル−L−システイン、リポ酸、重硫化ナトリウム、硫化二リチウム、硫化二ナトリウム、硫化二カリウム、硫化マグネシウム、硫化カルシウム、硫化ストロンチウム、硫化バリウム、硫化二アンモニウム、ジヒドロリポ酸ナトリウム、6,8−ジチオオクタノエート、6,8−ジチオオクタン酸ナトリウム、ナトリウムメルカプタンもしくはカリウムメルカプタンのような硫化水素塩、チオグリコール酸、2−メルカプトプロピオン酸、3−メルカプトプロピオン酸、チオリンゴ酸、チオグリコール酸アンモニウム、グリセリルモノチオグリコレート、モノエタノールアミンチオグリコレート、ジチオジグリコール酸二アンモニウム、チオ乳酸アンモニウム、モノエタノールアミンチオラクテート、チオグリコールアミド、ホモシステイン、システイン、グルタチオン、ジチオトレイトール、ジヒドロリポ酸、1,3−ジチオプロパノール、グリセリルモノチオグリコレート、チオグリコールヒドラジド、ケラチナーゼ、硫酸ヒドラジン、二硫酸ヒドラジン、トリイソシアナート、グアニジンチオグリコレート、チオグリコール酸カルシウム及び/またはシステアミンである。
【0021】
チオグリコレート、特に、チオグリコール酸のナトリウム、カリウム及びカルシウムの塩およびこれらの塩の混合物が最も好ましい。
【0022】
ケラチン分解剤の量は脱毛組成物の約0.5−約15重量%、好ましくは約1−約10重量%、最適には約2−約8重量%の範囲でよい。
【0023】
場合によっては脱毛組成物が、ケラチン分解反応を加速させる促進剤を含有し得る。代表的な促進剤は、尿素、チオ尿素、ジメチルイソソルビド(DMI)、エトキシジグリコール(Transcutol)またはメチルプロピルジオール(MPジオール)である。尿素またはメチルプロピルジオールが好ましい。これらの加速剤は脱毛組成物の約0.5−約25重量%、好ましくは約1−約12重量%、最適には約5−約10重量%の範囲の量で存在し得る。
【0024】
脱毛組成物がpH調整剤を含むのが特に好ましい。pH調整剤の量及び種類は、pHを5よりも大きい値、好ましくは7よりも大きい値、より好ましくは約8−約13の範囲、最適には約11.5−約12.5の範囲、特に約12に維持するように選択する必要がある。
【0025】
pH調整剤の例は、アルカリ金属及びアルカリ土類金属の水酸化物(水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム及び水酸化カルシウム)、アルカリシリケート(例えば、メタ−またはトリシリケート)、L−アルギニン、ポリエチレンイミン及びそれらの組合せである。pH調整剤の量は脱毛組成物の約0.1−約5重量%、好ましくは約0.5−約3重量%の範囲でよい。
【0026】
増粘剤/粘度上昇剤も約0.1−約10重量%、好ましくは約0.3−約3重量%の量で脱毛組成物に存在し得る。代表的な増粘剤は、キサンタンガム、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ヒドロキシアルキルセルロース及びアルキルセルロース(特にヒドロキシプロピルセルロース)、ポリアクリルアミド(例えば、Sepigel 305(登録商標)に見出される)、スクレロチウムガム、Veegum(登録商標)として販売されているマグネシウムアルミニウムシリケート、カルボマー(例えば、Carbopol(登録商標)980)、及び、Dry Flo(登録商標)のようなアルミニウムオクテニルデンプンである。
【0027】
界面活性剤も本発明の脱毛組成物に使用し得る。これらはカチオン性、アニオン性、非イオン性または両性の種類のものでよい。適当な非イオン性界面活性剤は、アルコキシル化脂肪アルコール、アルコキシル化脂肪酸及びアルコキシル化ソルビタンエステルを包含する。これらはまたアルキルポリグリコシド及びグルコンアミドも包含し得る。適当なアニオン性界面活性剤は、アルキルスルフェート、アルキルエーテルスルフェート、アシルイセチオネート、ラクチレート、サルコシネート、タウレート及びそれらの組合せを包含する。適当な両性界面活性剤は、ココアミドプロピルベタイン及びジメチルアルキルアミンオキシドを包含する。
【0028】
好ましい界面活性剤は一般には非イオン性であり、セテアリールホスフェート、セテアリールアルコール、ミリスチルアルコール、セテアリールグルコシド、セテアリールアルコールエトキシレート及びそれらの組合せを包含する。界面活性剤の量は、脱毛組成物の約0.1−約10重量%、好ましくは約1−約5重量%の範囲内の任意の値でよい。
【0029】
多価アルコール型の保湿剤も本発明の脱毛組成物に含有させ得る。典型的な多価アルコールは、グリセロール、ポリアルキレングリコールであり、より好ましくはアルキレンポリオール及びそれらの誘導体、例えば、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリエチレングリコール及びそれらの誘導体、ソルビトール、ヒドロキシプロピルソルビトール、イソプレングリコール、ヘキシレングリコール、1,3−ブチレングリコール、1,2,6−ヘキサントリオール、エトキシル化グリセロール、プロポキシル化グリセロール及びそれらの混合物である。保湿剤の量は、脱毛組成物の約0.5−約30重量%、好ましくは約1−約15重量%の範囲でよい。
【0030】
色素及び着香料も本発明の脱毛組成物または皮膚前処理組成物に含有させ得る。これらの物質の各々はそれぞれの組成物の重量に対して約0.05−約5重量%、好ましくは約0.1−約3重量%の範囲でよい。
【0031】
脱毛組成物は一般にはエマルジョンである。これらは水中油型または油中水型であろう。水の量は脱毛組成物の約20−約98重量%、好ましくは約50−約90重量%、最適には約75−約85重量%の範囲でよい。エマルジョン中に存在する油は、鉱油、イソパラフィン、石油ゼリー、シリコーンまたはそれらの組合せでよい。油の量は脱毛組成物の約2−約60重量%、好ましくは約10−約40重量%、最適には約15−約25重量%の範囲であろう。
【0032】
脱毛組成物及び皮膚前処理組成物は輸送器によって送達されるであろう。本発明では“輸送器”という用語を、水不溶性の剛性または柔性のプラスチックまたは繊維質の機械的デバイスであると考えている。輸送器として使用される代表的なデバイスは、瓶、エアロゾルまたは機械的スプレーポンプデバイス、ロールオンボールディスペンサー、押出型スティックディスペンサー(発汗抑制スティックと同様)、及び、可撓性の水不溶性織布または不織布である。輸送器が可撓性の織布または不織布であるとき、これらは手袋または単層もしくは多層のクロスの形態でよい。布は凹凸のある生地でも凹凸のない生地でもよい。布には開孔を設けてもよく設けなくもてよい。拭取りクロスの片面が脱毛組成物を含有し、他面が皮膚前処理組成物を含有してもよい。
【0033】
輸送器は、単一デバイスまたは多区画デバイスでよい。輸送器が単一デバイスであるとき、好ましくは輸送器がチューブであり、脱毛組成物及び皮膚前処理組成物の各々が互いから分離している。代表的な形態は脱毛組成物及び皮膚前処理組成物の各々が半粘性材料である。組成物は互いに隣接して配列され単一チューブパッケージから別々の2つの縞として押出される。この技術の代表例は米国特許第4,211,341号(Weyn)である。該特許の記載内容は参照によって本発明に含まれるものとする。
【0034】
脱毛組成物及び皮膚前処理組成物のそれぞれの輸送器が二区画ディスペンサーの形状でもよい。代表例は米国特許第5,740,947号(Flaigら)に示されているようなデュアルポンプである。該特許の記載内容は参照によって本発明に含まれるものとする。また、各区画の輸送器が米国特許第5,914,116号(Suresら)に開示されているような積層可能な瓶の形態でもよい。該特許の記載内容は参照によって本発明に含まれるものとする。
【0035】
それぞれの組成物の輸送器パッケージが互いに異なっていてもよい。例えば、ロールオンディスペンサーと瓶との組合せ、布とロールオンディスペンサーとの組合せ、布と瓶との組合せ、スプレーノズルポンプと瓶との組合せ、布とスプレーノズルポンプとの組合せ、手袋と瓶との組合せ、手袋とスプレーノズルポンプディスペンサーとの組合せまたはそれらの併用でもよい。
【0036】
本発明のキットが上記のパッケージ形態の組合せから成り、それぞれのパッケージの各々がそれぞれの組成物の1つを収容していてもよい。
【0037】
脱毛組成物及び皮膚前処理組成物はそれぞれの輸送器から等量または不等量で脱毛を要する皮膚に塗布され得る。それぞれの組成物の塗布量の重量比は、約100:1−約1:100、好ましくは約20:1−約1:20であり、最適には約2;1−約1:2であろう。
【0038】
通常は、最初に前処理組成物を塗布しその後に脱毛組成物を塗布すべきという指示がキットに添付されている。双方の塗布間の時間に関する指示を与えることもできる。特定組成物次第で、2つの異なる組成物の塗布間に待機時間が全く不要なこともあり、30分という長さになることもある。
【0039】
(実施例)
処理実施例及び比較実施例を除いて、または、異なる指示が明記されている場合を除いて、材料の量を指定する本明細書中のすべての数値が“約”という用語で修飾されることを理解されたい。
【0040】
“含む”という用語は、その後に記述されたいかなる要素にも限定されない。むしろ多かれ少なかれ機能的に重要な明記されない要素を含意する。言い換えると、列挙した段階、要素または選択肢が網羅的である必要はない。“包含している”または“有している”という用語が使用されているとき、これらの用語は常に上記に定義した“含む”と等価の意味を有している。
【0041】
以下の実施例は本発明の実施態様をより十分に説明する。本文中及び特許請求の範囲に記載されたすべての部、パーセンテージ及び割合は、異なる指示がなければ重量基準の値である。
【実施例1】
【0042】
8名のパネリストが市販の脱毛組成物を単独使用した場合及び鉱油の前処理組成物と併用した場合について評価した。各パネリストは片脚ずつに前処理を伴う塗布及び前処理なしの塗布を行った。
【0043】
各パネリストは、片方の脚の脱毛対象領域に鉱油を塗り拡げ、5分間放置した。その後、前処理領域の上及び他方の脚の前処理なしの領域に脱毛組成物を塗り拡げた。10分後、双方の領域を温水ですすぎ、脱毛組成物及び鉱油が存在する場合には鉱油も共に洗い流し、切断した体毛を除去した。
【0044】
試験に使用した脱毛組成物は以下の表Iに示す配合物である。
【0045】
【表1】

【0046】
試験の結果を以下の表IIに示す。これらの結果は、前処理を伴う方式と前処理なしの方式とで有効性が本質的に同じであることを示す。しかしながら、前処理を伴う方式のほうが、刺激が少ない、脚の感触が滑らかになる、脚がしっとりする、などの点で実質的に好感され、塗布プロセスも改善されていた。
【0047】
【表2】

【実施例2】
【0048】
理論的には、前処理層によって対象皮膚から脱毛組成物を分離するとケラチン分解剤の効果が阻害される筈である。しかしながら、実施例1に報告した消費者パネルは、前処理の有無に伴う体毛除去効果の違いを全く示さなかった。
【0049】
有効性を更に評価するために、実地試験の形態の試験を行った。この実地試験の目的は、鉱油による前処理が標準脱毛組成物の有効性に与える効果を調べることであった。試験のために16名のパネリストを選択した。
【0050】
各パネリストは両脚の下肢の外側にそれぞれ2つの5×5部位をマークした。製品塗布の前に基底値の測定を行った(Charmviewビデオ顕微鏡)。4つの試験部位の2つは製品塗布の5分前に0.04mlの鉱油で処理した。次に試験部位の各々に1.0gの脱毛製品を塗布し、10分間露出した。次に試験部位の各々を濡れた紙タオルで清拭した。除去の30分後に読取りを行った。
【0051】
この実地試験にも表Iと同一の配合組成をもつ市販製品を使用した。前処理組成物としては鉱油を使用した。
【0052】
5段階採点法を使用して紅斑の目視評価を行った。採点段階は0(なし)―4(重症)の範囲である。更に、Chramviewビデオ顕微鏡を使用して前腕及び両脚の発赤を測定し、画像を解析して体毛の除去パーセントを決定した。解析はOptimas Image Analysisソフトウェアで行った。各ROI(“Region of Interest(該当領域)”)の内部で体毛繊維の密度基準点を測定し、この基準点で画素毎に長さを測定した。次に体毛繊維の平均和を決定し、処理後に比較して体毛の除去パーセントを決定した。
【0053】
前処理なしで塗布した場合、体毛の平均長さの短縮パーセントは88%であった。前処理を伴う塗布では体毛の平均長さの短縮パーセントは77%であった。これらの平均長さの違いは、対象体毛が最初に鉱油で遮蔽され脱毛組成物の適正な浸透が期待されていなかったことを考慮に入れると比較的小さかった。
【実施例3】
【0054】
この実施例は、本発明で考察している皮膚前処理組成物の輸送器となる手袋の使用を示す。ラテックスゴム手袋に鉱油を塗布してプラスチックポーチにシールする。
【0055】
使用準備が整うと、使用者はポーチを開いて油塗布面を外側にして手袋をはめる。次に油を脱毛予定の脚の領域及び他の身体部分に塗り拡げる。5分間の猶予をおいて、ロールオンボールディスペンサーに入っている脱毛組成物を鉱油で前処理した皮膚に塗布する。10分後、前処理組成物及び脱毛組成物を紙タオルで拭取る。体毛の除去が首尾よく行われる。この脱毛組成物を以下の表IIIに示す。
【0056】
【表3】

【実施例4】
【0057】
この実施例は、米国特許第5,740,947号(Flaigら)に示されているようなデュアルノズル型非同時デリバリーポンプから成る輸送器を主体とするキットを示す。一方の室に100%ヒマワリ種油から成る前処理組成物が収容されている。他方の室に以下の表IVに示す配合組成を有している脱毛組成物が収容されている。
【0058】
【表4】

【0059】
このキットにはポリプロピレン製の不織高ロフト布が含まれている。植物油をポンプから布に送り出す。次に、脱毛を要する身体部分をこの布で拭ってヒマワリ種油を塗布する。1分間待った後、表IVの脱毛組成物をポンプの他方の室から第二の不織布に送り出す。次に、ヒマワリ種油で前処理した領域にこの組成物を塗布する。20分後、第三の不織布で拭うことによって双方の組成物を除去すると不要な体毛が除去される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(i)体毛を除去すべき皮膚の領域に親油性材料を含む皮膚前処理組成物を塗布する段階と、および
(ii)前処理した皮膚の領域にケラチン分解剤を含む脱毛組成物を体毛と化学反応して除去できる有効な量で塗布する段階と、
を含む脱毛方法。
【請求項2】
親油性材料が、炭化水素、天然または合成のエステル、シリコーン及びそれらの混合物から選択される請求項1に記載の方法。
【請求項3】
親油性材料が鉱油である請求項2に記載の方法。
【請求項4】
ケラチン分解剤がチオグリコール酸塩である請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
皮膚前処理組成物を脱毛組成物塗布の少なくとも1分前に塗布する請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
皮膚前処理組成物を脱毛組成物塗布の少なくとも5分前に塗布する請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
(a)(i)親油性材料を含む皮膚前処理組成物と、および
(ii)皮膚前処理組成物を皮膚の領域に送達する輸送器と、
を含む皮膚前処理製品と、
(b)(i)ケラチン分解剤を体毛と化学反応して拭取り除去できる有効な量で含む脱毛剤組成物と、および
(ii)前処理組成物の送達後に脱毛組成物を皮膚の領域に送達する輸送器と、
を含む脱毛製品と、ならびに
(c)体毛の除去を要する皮膚の領域に前処理製品を塗布し次いで前処理製品で被覆された領域に脱毛製品を塗布すべきという指示と、
を含む皮膚の領域から体毛を除去するためのキット。
【請求項8】
皮膚前処理組成物を送達する輸送器が布である請求項7に記載の方法。
【請求項9】
布が手袋である請求項8に記載のキット。
【請求項10】
脱毛組成物及び皮膚前処理組成物がそれぞれの輸送器から100:1−1:100の重量比で送達される請求項7から9のいずれか一項に記載のキット。

【公表番号】特表2006−525246(P2006−525246A)
【公表日】平成18年11月9日(2006.11.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−505073(P2006−505073)
【出願日】平成16年4月7日(2004.4.7)
【国際出願番号】PCT/EP2004/003781
【国際公開番号】WO2004/096164
【国際公開日】平成16年11月11日(2004.11.11)
【出願人】(590003065)ユニリーバー・ナームローゼ・ベンノートシヤープ (494)
【Fターム(参考)】