説明

皮革様シート状物用基材およびその製造方法

【課題】本発明は、有機溶剤を含有しないポリウレタン水分散液を用いて、マイグレーションを抑制せずとも、外観、風合い、物性に優れた皮革様シート状物を得るための基材およびその製造方法を提供する。
【解決手段】単繊維繊度0.001dtex以上0.5dtex以下の極細繊維が絡合してなる不織布に、軟化点が70℃以上150℃以下である自己乳化型ポリウレタンを含有する人工皮革様基材において、不織布を構成する極細繊維の単繊維同士が絡合しており、シート厚み方向に対して表面から1/3の深さまでに存在するポリウレタン重量の合計が、基材全体に存在するポリウレタン重量の合計の70重量%以上100重量%以下であることを特徴とする皮革様シート状物用基材である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリウレタン水分散液を用いた、外観、風合い、物性に優れた皮革様シート状物を製造するための皮革様シート状物用基材およびその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
主として極細繊維とポリウレタンからなる皮革様シート状物は天然皮革にない優れた特徴を有しており、種々の用途に広く利用されている。とりわけポリエステル系極細繊維を用いた皮革様シート状物は耐光性に優れるため、衣料や椅子張り、自動車内装材用途等にその使用が年々広がってきた。
【0003】
かかる皮革様シート状物を製造するにあたっては、不織布にポリウレタンの有機溶剤溶液を含浸せしめた後、該繊維シート状物をポリウレタンの非溶媒である水または有機溶剤水溶液中に浸漬してポリウレタンを湿式凝固せしめる方法が一般的に採用されている。かかる有機溶剤としてはN,N’−ジメチルホルムアミド等の水混和性有機溶剤が用いられる。しかし、有機溶剤は人体や環境への有害性が高いことから、皮革様シート状物の製造に際しては、有機溶剤を使用しない手法が強く求められている。
【0004】
具体的な解決手段として例えば、従来の有機溶剤タイプのポリウレタンに代えて水中にポリウレタンを分散させたポリウレタン水分散液を用いる方法が検討されている。
【0005】
しかし、かかる方法ではポリウレタン水分散液をシートに含浸した後、乾燥する際に水の蒸発にともなってポリウレタンが表面に移行する、いわゆるマイグレーション現象が発生するため、シート表面にポリウレタンが局在化し、品位、風合いが低下して実用に耐えうる皮革様シート状物を得ることは困難であった。
【0006】
柔軟な風合いを得るためにマイグレーション現象を防止する手段が検討されている。
【0007】
例えば、特許文献1では、ポリウレタン水分散液に無機塩類を添加することで感熱ゲル化性を付与している。感熱ゲル化性によって乾燥時にポリウレタンがシート表面に移行する前にゲル化させて、マイグレーションを抑制し、風合い柔軟化を行っている。しかしながら、この方法ではポリウレタン液の安定性に不安があるため、生産性に課題がある。
【0008】
特許文献2ではポリウレタンエマルジョン含浸後に赤外線プレートヒーターを用いて乾燥することで、シート全体に熱を均一にかけてマイグレーションを抑制しようとしている。しかしながら、この方法では乾燥段階に特殊な設備が必要なため、汎用的ではない。
特許文献3では、感熱ゲル化性を持ったポリウレタンエマルジョンを含浸し、熱水浴で凝固後、熱風乾燥機で乾燥する方法が記載されているが、この方法では熱水中へのポリウレタンエマルジョンの溶出は抑えきれず、実質的なポリウレタン含有量の低下による物性低下や、それを補う為にポリウレタン含有量を増加させることでのコストアップが問題となる。
【0009】
すなわち、これまで有機溶剤を用いないポリウレタン水分散液を用いて、外観、風合い、物性に優れた皮革様シート状物を得る方法は得られていないのが現状である。
【特許文献1】特開平6−316877号公報
【特許文献2】特開昭59−42110号公報
【特許文献3】特開2000−96457号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、かかる従来技術の背景に鑑み、有機溶剤を含有しないポリウレタン水分散液を用いて、マイグレーションを抑制せずとも、外観、風合い、物性に優れた皮革様シート状物を得るための皮革様シート状物用基材およびその製造方法を提供せんとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
すなわち、本発明の皮革様シート状物用基材は、「単繊維繊度0.001dtex以上0.5dtex以下の極細繊維が絡合してなる不織布に、軟化点が70℃以上150℃以下である自己乳化型ポリウレタンを含有する皮革様シート状物用基材であって、不織布を構成する極細繊維の単繊維同士が絡合しており、基材厚み方向に対して表面から1/3の深さまでに存在するポリウレタン重量の合計が、シート全体に存在するポリウレタン重量の合計の70重量%以上100重量%以下であることを特徴とする皮革様シート状物用基材」である。
【0012】
また、本発明の皮革様シート状物用基材は、「前記の皮革様シート状物用基材を製造する方法であって、単繊維繊度0.001dtex以上0.5dtex以下の極細繊維を高圧水流によって絡合させた不織布に、軟化点が70℃以上150℃以下である自己乳化型ポリウレタンを含浸し、乾燥することを特徴とする皮革様シート状物用基材の製造方法」である。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、有機溶剤を含有しないポリウレタン水分散液を用いて、マイグレーションを抑制せずとも、外観、風合い、物性に優れた皮革様シート状物を得るための皮革様シート状物用基材およびその製造方法を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
本発明の皮革様シート状物用基材は、平均単繊維繊度が0.001dtex以上0.5dtex以下の極細繊維の単繊維同士が絡合してなる不織布と、弾性樹脂バインダーとして、その内部空間に存在する軟化点が70℃以上150℃以下である自己乳化型ポリウレタンとからなる。
本発明の皮革様シート状物用基材を構成する不織布を構成する極細繊維としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリトリメチレンテレフタレート、ポリ乳酸などのポリエステル、6−ナイロン、66−ナイロンなどのポリアミド、アクリルなどの各種合成繊維を用いることができる。中でも、強度、寸法安定性、耐光性の観点からポリエステル繊維を用いることが好ましい。
【0015】
また、不織布は異なる素材の極細繊維が混合されて構成されていてもよく、また不織布の内部に、強度を向上させるなどの目的で、織物や編物を挿入しても良い。
【0016】
不織布を構成する極細繊維の平均単繊維繊度としては、シートの柔軟性や立毛品位の観点から0.001dtex以上0.5dtex以下であることが重要である。好ましくは0.3dtex以下、より好ましくは0.2dtex以下である。一方、染色後の発色性やサンドペーパーなどによる研削など起毛処理時の繊維の分散性、さばけ易さの観点からは、0.005dtex以上であることが好ましく、より好ましくは0.01dtex以上である。
【0017】
なお、不織布を構成する極細繊維の平均単繊維繊度は、皮革様シート状物用基材(もしくは不織布)表面の走査型電子顕微鏡(SEM)写真を倍率2000倍で撮影し、円形または円形に近い楕円形の繊維をランダムに100本選び、繊維径を測定して素材ポリマーの比重から繊度に換算し、さらに平均値を計算することで算出される。
【0018】
不織布を構成する極細繊維の繊度の均一性に関しては、繊維束内の繊度CVが10%以下であることが好ましい。ここで繊度CVとは、繊維束を構成する繊維の繊度標準偏差を束内平均繊度で割った値を百分率(%)表示したものであり、値が小さいほど均一であることを示すものである。繊度CVを10%以下とすることで、本発明の皮革様シート状物用基材を染色して得られる皮革様シート状物表面の立毛の外観が優美で、また染色も均質で良好なものとすることができる。
【0019】
極細繊維の断面形状としては、丸断面でよいが、楕円、扁平、三角などの多角形、扇形、十字型などの異形断面のものを採用してもよい。なお、異形断面の場合の繊度CVは異形断面の外周円を元に算出する。
【0020】
本発明の皮革様シート状物用基材を構成する不織布は、短繊維不織布、長繊維不織布のいずれでもよいが、風合いや品位を重視する場合には、短繊維不織布が好ましい。同様に風合いや品位を重視する場合は、短繊維の繊維長は絡合による耐摩耗性を考慮して、25mm以上90mm以下であることが好ましい。
【0021】
本発明の皮革様シート状物用基材を構成する不織布は、極細繊維の単繊維同士が絡合しているものでなくてはならない。極細繊維の単繊維同士が絡合していることで、不織布の緻密感が向上し、シート状物としての品位が向上し、さらに耐摩耗性や引張強力等の物性が格段に向上する。なお、極細繊維同士が絡合しているかは走査型電子顕微鏡(SEM)観察により確認することができる。
【0022】
本発明においては、このような不織布に、弾性樹脂バインダーとして軟化点が70℃以上150℃以下である自己乳化型ポリウレタンを含浸して、当該自己乳化型ポリウレタンが当該不織布の内部空間に存在する構成としたものである。
【0023】
本発明の製造に使用するポリウレタン水分散液は水中に分散してエマルジョンとしてあるポリウレタン水分散液であり、さらに界面活性剤等の乳化剤を含有しない自己乳化型のポリウレタン水分散液である。界面活性剤等の乳化剤を含有する強制乳化型のポリウレタン水分散液を用いた場合、得られた皮革様シート状物用基材の表面は乳化剤に起因するベトツキ等が発生するため、洗浄工程が必要となり、加工工程が増加してコストアップに繋がる。
【0024】
自己乳化型ポリウレタンとしては水に分散している水分散液であれば特に限定されないが、ポリカーボネート系の自己乳化型ポリウレタン水分散液が好ましい。
本発明に使用するポリウレタン水分散液は自己乳化型ポリウレタン水分散液であるが、自己乳化型ポリウレタン水分散液とは、界面活性剤等の乳化剤を用いなくても安定に水分散しているポリウレタン水分散液のことであり、自己乳化型ポリウレタン分子構造内に親水性の、いわゆる内部乳化剤を有する。
なお、自己乳化型ポリウレタンは、通常、水に分散した状態で取り扱われ、メーカーからもこの状態で入手できるが、これは一旦乾燥すると再度水に分散させることが不可能となるためである。
内部乳化剤は、4級アミン塩等のカチオン系、ポリエチレングリコール等のノニオン系、スルホン酸塩、カルボン酸塩等のアニオン系のいずれでもよいが、カチオン系内部乳化剤は、黄変等の耐光性に劣るため、ノニオン系、またはアニオン系であることが好ましい。
本発明に使用する自己乳化型ポリウレタンは、内部乳化剤以外にポリオール、ポリイソシアネート、鎖伸長剤を適宜反応させた構造を有するものを用いることができる。
【0025】
ここで、ポリオールとしては、ポリカーボネート系ジオール、ポリエステル系ジオール、ポリエーテル系ジオール、シリコーン系ジオールや、これらを組み合わせた共重合体を用いてもよい。中でも、耐久性の観点から、ポリカーボネート系ジオールを用いることが好ましい。
【0026】
ポリカーボネート系ジオールは、アルキレングリコールと炭酸エステルのエステル交換反応、あるいはホスゲンまたはクロル蟻酸エステルとアルキレングリコールとの反応などによって製造することができる。アルキレングリコールとしては、エチレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10デカンジオール、などの直鎖アルキレングリコールや、ネオペンチルグリコール、3−メチル−1,5ペンタンジオール、2,4−ジエチル−1,5ペンタンジオール、2−メチル−1,8−オクタンジオールなどの分岐アルキレングリコールなどが挙げられる。それぞれ単独のアルキレングリコールから得られるポリカーボネートジオールでも、2種類以上のアルキレングリコールから得られる共重合ポリカーボネートジオールのいずれでも良い。
また、ポリイソシアネートとしては、ヘキサメチレンジイソシアネート、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、イソフォロンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート等の脂肪族系、ジフェニルメタンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート等の芳香族系が挙げられ、またこれらを組み合わせて用いてもよい。中でも、耐光性の観点から、ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート等の脂肪族系が好ましい。
また、鎖伸長剤としては、エチレンジアミン、メチレンビスアニリン等のアミン系、エチレングリコール等のジオール系、さらにはポリイソシアネートと水を反応させて得られるポリアミンを用いることができる。
【0027】
本発明において、自己乳化型ポリウレタンは単独で用いても複数種を併用してもよく、また、他のポリマー等を併用してもよい。
【0028】
他のポリマーとしては、例えば、アクリル系やシリコーン系等の水分散性や水溶性のポリマーが挙げられる。
さらに、本発明に使用するポリウレタン水分散液は、カーボンブラック等の顔料、染料、防カビ剤、酸化防止剤や紫外線吸収剤などの耐光剤、難燃剤、浸透剤や滑剤、シリカや酸化チタン等のアンチブロッキング剤、帯電防止剤等の界面活性剤、シリコーン等の消泡剤、セルロース等の充填剤、凝固調整剤等を含有していてもよい。
また、自己乳化型ポリウレタンの軟化点は、70℃以上150℃以下でなくてはならない。ポリウレタンの軟化点は、ポリオール、イソシアネートの組み合わせや架橋剤等を調整することにより制御することができるので、ポリウレタンを製造するにあたってポリオール、イソシアネートの組み合わせや架橋剤等を調整して軟化点を70℃以上150℃以下の範囲とすればよい。軟化点がこの範囲であることで、染色工程で適度な自己乳化型ポリウレタンの脱落が起き、柔軟でありながら、充実感のある立毛長調皮革様シート状物が得られる。また、自己乳化型ポリウレタンの適度な脱落によって極細繊維の単繊維同士を絡合させる工程において発現するスジを消失させる効果も期待できる。
軟化点が70℃未満である自己乳化型ポリウレタンを含浸した立毛長調皮革様シート状物は、染色工程で自己乳化型ポリウレタンの脱落が著しく、強力の低下や充実感の不足による風合いの悪化が起こる。一方、軟化点が150℃を越える自己乳化型ポリウレタンを含浸した立毛長調皮革様シート状物は、染色工程で自己乳化型ポリウレタンの脱落が殆ど起こらず、風合いは硬くなる。さらに、染色工程前と表面状態が殆ど変わらないため、極細繊維の単繊維同士を絡合させる工程において発現するスジを消失させることはできない。
【0029】

なお、軟化点は次の方法で測定したものをいう。すなわち、自己乳化型ポリウレタン水分散液を50℃で乾燥して得られた厚さ100μmのフィルムを1cm×5cm(幅×長さ)にカットし、乾燥機内に吊す。フィルム下部に10gのおもりを取り付けた状態で5℃/minで加熱し、おもりの位置がスタート位置から3cm下がった時の温度を軟化点とする。
【0030】
本発明の皮革様シート状物用基材においては、基材全重量に対する自己乳化型ポリウレタンの含有量は10重量%以上50重量%以下であることが好ましい。より好ましくは15重量%以上35重量%以下である。10重量%以上とすることで、シート強度を得て、かつ繊維の脱落を防ぐことができ、50重量%以下とすることで、風合いが硬くなるのを防ぎ、目的とする良好な立毛品位を得ることができる。より好ましくは15重量%以上40重量%以下である。
また、自己乳化型ポリウレタンの皮革様シート状物用基材内部における形態としては、基材厚み方向に対して、表面から1/3の深さまで(以下、表層1/3と表現することがある)に存在する自己乳化型ポリウレタン重量の合計が、基材全体に存在する自己乳化型ポリウレタン重量の合計の70重量%以上100重量%以下でなければならない。70重量%未満である基材は、染色後に表面付近の自己乳化型ポリウレタン量が少なすぎ、繊維を保持できないため、耐摩耗性が悪化傾向になる。好ましくは75重量%以上であり、より好ましくは80重量%以上である。
【0031】
なお、自己乳化型ポリウレタン重量は、皮革様シート状物用基材を厚み方向に同じ厚みで3枚にスライスし、トリクレン等の有機溶剤で自己乳化型ポリウレタンを抽出し、その重量差から算出できる。
【0032】
次に、本発明の皮革様シート状物用基材の製造方法について説明する。
【0033】
不織布を構成する極細繊維を得る手段としては特に限定はないが、極細繊維発生型繊維を用いることが好ましい。極細繊維発生型繊維をあらかじめ絡合した後に繊維の極細化を行うことによって、極細繊維が絡合してなる不織布を得ることができる。
【0034】
極細繊維発生型繊維としては、溶剤溶解性の異なる2成分の熱可塑性樹脂を海成分・島成分とし、海成分を溶剤などを用いて溶解除去することによって島成分を極細繊維とする海島型複合繊維や、2成分の熱可塑性樹脂を繊維断面を放射状または多層状に交互に配置し、各成分を剥離分割することによって極細繊維に割繊する剥離型複合繊維などを採用することができる。中でも、海島型複合繊維は、海成分を除去することによって島成分間、すなわち繊維束内部の極細繊維間に適度な空隙を付与することができるので、基材の柔軟性や風合いの観点からも好ましい。
【0035】
海島型複合繊維には、海島型複合用口金を用い、海・島の2成分を相互配列して紡糸する高分子相互配列体方式と、海・島の2成分を混合して紡糸する混合紡糸方式などを用いることができるが、均一な繊度の極細繊維が得られる点で高分子配列体方式による海島型複合繊維がより好ましい。
【0036】
海島型複合繊維の海成分としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ナトリウムスルホイソフタル酸やポリエチレングリコールなどを共重合した共重合ポリエステル、ポリ乳酸などを用いることができる。
【0037】
海成分を溶解する溶剤としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレンの場合は、トルエンやトリクロロエチレンなどの有機溶剤、共重合ポリエステル、ポリ乳酸の場合は、水酸化ナトリウムなどのアルカリ水溶液を用いることができ、溶剤中に海島型複合繊維を浸漬し、窄液を行うことによって除去することができる。
【0038】
得られた極細繊維発生型繊維に、好ましくは捲縮加工施し、所定長にカットして不織布の原綿を得る。捲縮加工やカット加工は公知の方法を用いることができる。得られた原綿を、クロスラッパー等によりウエブとし、次に、繊維を絡合して不織布とする。
【0039】
繊維を絡合させ不織布を得る方法としては、ウォータージェットパンチにより絡合させる方法が好ましい。または、極細繊維発生型繊維同士をニードルパンチにより絡合させ、繊維の極細化を行った後にウォータージェットパンチにて極細繊維の単繊維同士を絡合させる方法を用いる。
【0040】
自己乳化型ポリウレタン水分散液を前記極細繊維の単繊維同士が絡合してなる不織布に付与するにあたっては、不織布に当該ポリウレタン水分散液を含浸、または付与し乾熱凝固する方法、不織布に当該ポリウレタン水分散液を含浸後、湿熱凝固して、加熱乾燥する方法、およびその組み合わせがあるが、特に限定することはない。ポリウレタンを表層1/3に集中させない、すなわち、マイグレーションを抑制するためには、特許文献2のように感熱ゲル化性のあるポリウレタンを用いたり、特許文献3のように赤外線ヒーター等で乾燥したりすることが必要となるが、本発明においては特にそのような操作をする必要はない。公知の方法によってポリウレタンを付与すれば、表層1/3にポリウレタンの大半が存在するものを得ることができる。
【0041】
なお、乾燥温度は低すぎると乾燥時間が長時間となり、高すぎると自己乳化型ポリウレタンの熱劣化の原因となる可能性があることから、80℃以上150℃以下が好ましい。より好ましくは90℃以上140℃以下である。
【0042】
自己乳化型ポリウレタン水分散液を付与するにあたっては、必要に応じてカーボンブラック等の顔料、染料、防カビ剤、酸化防止剤や紫外線吸収剤などの耐光剤、難燃剤、浸透剤や滑剤、シリカや酸化チタン等のアンチブロッキング剤、帯電防止剤等の界面活性剤、シリコーン等の消泡剤、セルロース等の充填剤、凝固調整剤等を添加して用いることができる。
【0043】
本発明の皮革様シート状物用基材は、少なくとも片面に極細繊維の立毛を有している立毛調の皮革様シート状物用基材としてもよい。
皮革様シート状物用基材表面に立毛を形成するための起毛処理は、サンドペーパーやロールサンダーなどを用いて、研削する方法などにより施すことができる。起毛処理の前にシリコーンエマルジョンなどの滑剤を付与してもよい。
また、起毛処理の前に帯電防止剤を付与することは、研削によって皮革様シート状物用基材から発生した研削粉がサンドペーパー上に堆積しにくくなる傾向にあり好ましい。
また、皮革様シート状物用基材は、起毛処理を行う前に、シート厚み方向に半裁、ないしは数枚に分割されて得られるものでもよい。
本発明の皮革様シート状物用基材は、染色を行うことで、所望の色に染色された皮革様シート状物を得るものである。染色方法は、皮革様シート状物用基材を染色すると同時に揉み効果を与えて基材を柔軟化し、かつ自己乳化型ポリウレタンを適度に脱落させることができることから、液流染色機を用いることが好ましい。液流染色機は、公知の液流染色機を使用することができる。
【0044】
液流染色機による染色により、皮革様シート状物用基材から自己乳化型ポリウレタンを1〜5重量%脱落せしめることは好ましい様態の1つである。これにより、皮革様シート状物表面の立毛のさばけが改善されると同時に風合いも柔軟化する。脱落量が1重量%未満であるとかかる改善効果は小さく、5重量%を越えると染色機内が汚れてシートに欠点を生じたり、物性が低下したりするので好ましくない。脱落量を左右する要因としては、染色機内での基材の走行速度、染色機のノズル径、染色温度、染色時間等が挙げられる。上記脱落量を制御するためには、皮革様シート状物用基材の特性に応じて適正化する必要がある。例えば、自己乳化型ポリウレタンの付量が比較的少ない場合はマイルドな条件、例えば、基材の走行速度を遅くしたり、染色機のノズル径を大きくしたり、染色温度を低くしたり、染色時間を短くする必要があり、逆に自己乳化型ポリウレタンの付量が多い基材の場合はそれぞれの条件を逆の方向に変更する必要がある。
【0045】
染色温度は高すぎると自己乳化型ポリウレタンが劣化する場合があり、逆に低すぎると繊維への染着が不十分となるため、繊維の種類により変更するのがよく、一般に80℃以上150℃以下が好ましく、110℃以上130℃以下がより好ましい。
染料は特に限定はなく不織布を構成する極細繊維にあわせて選択すればよいが、例えばポリエステル系極細繊維であれば分散染料、ポリアミド系極細繊維であれば酸性染料や含金染料といった染料を用いることができる。
【0046】
分散染料で染色した場合は、染色後に還元洗浄を行ってもよい。
【0047】
また、染色の均一性や再現性をアップする目的で染色時に染色助剤を使用することは好ましい。さらにシリコーン等の柔軟剤、帯電防止剤等の仕上げ剤処理を施してもよく、仕上げ処理は染色後でも、染色と同浴でもよい。
【0048】
本発明の皮革様シート状物用基材を染色して得られた皮革様シート状物は、家具、椅子、壁材や、自動車、電車、航空機などの車輛室内における座席、天井、内装などの表皮材として非常に優美な外観を有する内装材、シャツ、ジャケット、靴、鞄などの衣料用資材として好適に用いることができる。
【実施例】
【0049】
以下、実施例を用いて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明は以下の実施例のみに限定されるものではない。
[評価方法]
(1)平均単繊維繊度
不織布、または皮革様シート状物用基材表面の走査型電子顕微鏡(SEM)写真を倍率2000倍で撮影し、円形または円形に近い楕円形の繊維をランダムに100本選び、繊維径を測定して繊維の素材ポリマーの比重から繊度に換算し、さらに100本の平均値を計算することで算出した。
【0050】
(2)繊度CV
不織布、または皮革様シート状物用基材の内部の断面を走査型電子顕微鏡(SEM)にて倍率2000倍で観察し、その写真から、束状繊維の1つの束内を構成する極細繊維の繊維径を測定し、繊維径から各単繊維の繊度に換算して、繊維束を構成する繊維の繊度標準偏差を束内平均繊度で割った値を百分率(%)で表した。5つの束状繊維について、同様の測定を行い、平均値を繊度CVとした。
【0051】
(3)単繊維同士の絡合の確認
不織布、または皮革様シート状物用基材の表面を走査型電子顕微鏡(SEM)にて倍率300倍にて観察し、単繊維同士の絡合を確認した。
【0052】
(4)外観品位
皮革様シート状物用基材を染色して得られた皮革様シート状物の表面品位は目視と官能評価にて下記のように評価した。本発明の良好なレベルは「○」以上とした。 ◎ :立毛長・繊維の分散状態共に非常に良好である。
○ :立毛長・繊維の分散状態共に良好である。
× :立毛長は良好であるが、繊維の分散が不良である。
×× :立毛長が短く不良である。
×××:立毛がほとんど無く著しい不良である。
【0053】
(5)剛軟度
皮革様シート状物用基材を染色して得られた皮革様シート状物の剛軟度は、JIS P8125:2000に準じて行った。本発明の良好なレベルは0.30mN/m以下とした。
【0054】
(6)自己乳化型ポリウレタンの軟化点
自己乳化型ポリウレタン水分散液を50℃で乾燥して得られる、厚さ100μmのフィルムを1cm×5cm(幅×長さ)にカットし、乾燥機内に吊した。フィルム下部に10gのおもりを取り付けた状態で5℃/minで加熱し、おもりの位置がスタート位置から3cm下がった時の温度を軟化点とした。
【0055】
(7)自己乳化型ポリウレタン含有量分布
5cm×5cm(幅×長さ)の皮革様シート状物用基材を厚み方向に同じ厚みで3枚にスライスし、トリクロロエチレン等の有機溶剤でポリウレタンを抽出し、その重量差から各基材の自己乳化型ポリウレタン含有量を算出する。3枚スライスした3枚の内、表層部分のシートと、3枚のスライスシート全体の自己乳化型ポリウレタン含有量を比較することで、基材全体の自己乳化型ポリウレタン重量に対する表層1/3に存在する自己乳化型ポリウレタン重量の割合を算出した。
【0056】
(8)ピリング評価
皮革様シート状物用基材を染色して得られた皮革様シート状物のピリング評価は、マーチンデール摩耗試験機として、James H.Heal&Co.製のModel 406を、標準摩擦布として同社のABRASTIVE CLOTH SM25を用い、12kPa相当の荷重をかけ、摩耗回数20,000回の条件で摩擦させた後の試料の外観を目視で観察し、評価した。評価基準は試料の外観が摩擦前と全く変化が無かったものを5級、毛玉が多数発生したものを1級とし、その間を0.5級ずつ区切った。また、本発明における合格レベルは4級以上とした。
【0057】
[ポリウレタン種]
実施例、比較例で用いた自己乳化型ポリウレタン水分散液は下記の通りである。なお、ポリウレタン水分散液の濃度はいずれも10重量%として用いた。
【0058】
(1)自己乳化型ポリウレタン水分散液I
A.ポリウレタン組成
ポリイソシアネート:ヘキサメチレンジイソシアネート
ポリオール :ポリ(3−メチルペンタンカーボネート)
内部乳化剤 :ジメチロールプロピオン酸トリエチルアミン塩
鎖伸長剤 :水(イソシアネートと水の反応により得られるジアミン)
内部架橋剤 :なし
B.軟化点:120℃
(2)自己乳化型ポリウレタン水分散液II
A.ポリイソシアネート:ヘキサメチレンジイソシアネート
ポリオール :ポリテトラメチレングリコール
内部乳化剤 :ジメチロールプロピオン酸トリエチルアミン塩
鎖伸長剤 :水(イソシアネートと水の反応により得られるジアミン)
内部架橋剤 :なし
B.軟化点:85℃
(3)自己乳化型ポリウレタン水分散液III
A.ポリイソシアネート:ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート
ポリオール :ポリ(3−メチルペンタンカーボネート)
内部乳化剤 :ジメチロールプロピオン酸トリエチルアミン塩
鎖伸長剤 :水(イソシアネートと水の反応により得られるジアミン)
内部架橋剤 :なし
B.軟化点:140℃
(4)自己乳化型ポリウレタン水分散液IV
A.ポリイソシアネート:ヘキサメチレンジイソシアネート
ポリオール :ポリ(3−メチルペンタンカーボネート)
内部乳化剤 :ジメチロールプロピオン酸トリエチルアミン塩
鎖伸長剤 :水(イソシアネートと水の反応により得られるジアミン)
内部架橋剤 :シラノール基を有するジアミン化合物
B.軟化点:180℃
(5)自己乳化型ポリウレタン水分散液V
A.ポリイソシアネート:ヘキサメチレンジイソシアネート
ポリオール :ポリ(2−メチルテトラメチレングリコール)
内部乳化剤 :ジメチロールプロピオン酸トリエチルアミン塩
鎖伸長剤 :水(イソシアネートと水の反応により得られるジアミン)
内部架橋剤 :なし
B.軟化点:60℃
(6)自己乳化型ポリウレタン水分散液VI
A.ポリウレタン組成
ポリイソシアネート:ヘキサメチレンジイソシアネート
ポリオール :ポリ(3−メチルペンタンカーボネート)
内部乳化剤 :ジメチロールプロピオン酸トリエチルアミン塩
鎖伸長剤 :水(イソシアネートと水の反応により得られるジアミン)
内部架橋剤 :なし
添加物 :硫酸ナトリウム(NaSO
B.軟化点:115℃
[実施例1]
海成分としてポリスチレン、島成分としてポリエチレンテレフタレートを用い、島数16島の海島型複合用口金を用いて、海成分55重量%、島成分45重量%の複合比率にて海島型複合繊維を紡糸した後、延伸、捲縮加工、51mmにカットして不織布の原綿を得た。得られた原綿を、クロスラッパーを用いてウエブとし、ニードルパンチ処理により不織布とした。
【0059】
この海島型複合繊維からなる不織布を、鹸化度87%のポリビニルアルコール10%水溶液に含浸した後、乾燥した。その後、トリクロロエチレン中で海成分であるポリスチレンを抽出除去し、乾燥を行って、平均単繊維繊度0.1dtexの極細繊維からなる繊維束が絡合した不織布を得た。
【0060】
繊度CVは7.4%であった。
【0061】
この不織布にウォータージェットパンチ処理を行い、ポリビニルアルコールを除去しながら、絡合を行った。
【0062】
こうして得た不織布の表面を走査型電子顕微鏡(SEM)にて観察し、単繊維同士が絡合していることを確認した。
【0063】
この不織布を、自己乳化型ポリウレタン水分散液Iに浸漬し、絞りロールにて自己乳化型ポリウレタン水分散液の付着量を調整した後、乾燥し、自己乳化型ポリウレタン含有量が不織布重量に対して20重量%のシート状物を得た。
【0064】
得られたシート状物の片面を180メッシュのエンドレスサンドペーパーを用いた研削によって起毛処理を行い、本発明の皮革様シート状物用基材を得た。得られた皮革様シート状物用基材の表層1/3に存在する自己乳化型ポリウレタン重量は、基材全体の自己乳化型ポリウレタン重量に対し、93重量%であった。
【0065】
また、得られた皮革様シート状物用基材を分散染料を用い、液流染色機にて125℃、45分間染色を施して得られた皮革様シート状物の外観品位・柔軟性は良好であり、ピリング評価は良好であった。
【0066】
[実施例2]
軟化点が85℃の自己乳化型ポリウレタン水分散液IIを用いた以外は、実施例1と同様の処理を行い、単繊維同士が絡合した本発明の皮革様シート状物用基材を得た。得られた皮革様シート状物用基材の表層1/3に存在する自己乳化型ポリウレタン重量は、基材全体の自己乳化型ポリウレタン重量に対し、82重量%であった。
また、得られた皮革様シート状物用基材を実施例1と同様に染色を施して得られた皮革様シート状物の外観品位は良好であり、柔軟性は非常に良好であった。また、ピリング評価は良好であった。
【0067】
[実施例3]
島成分にナイロン6を用いたことと、自己乳化型ポリウレタン水分散液IIIを用いた以外は実施例1と同様の処理を行い、単繊維同士が絡合した本発明の皮革様シート状物用基材を得た。平均単繊維繊度は0.1dtex、繊度CVは7.8%であった。この皮革様シート状物用基材の表層1/3に存在する自己乳化型ポリウレタン重量は、基材全体の自己乳化型ポリウレタン重量に対し、90重量%であった。
【0068】
また、得られた皮革様シート状物用基材を実施例1と同様に染色を施して得られた皮革様シート状物の外観品位・柔軟性は良好であり、また、ピリング評価は良好であった。
【0069】
[比較例1]
自己乳化型ポリウレタン水分散液IVを用いた以外は、実施例1と同様の処理を行い、比較用の皮革様シート状物用基材を得た。この皮革様シート状物用基材の表層1/3に存在する自己乳化型ポリウレタン重量は、基材全体の自己乳化型ポリウレタン重量に対し、91重量%であった。
【0070】
また、得られた皮革様シート状物用基材を実施例1と同様に染色を施して得られたシート状物のピリング評価は良好だったが、外観は不良であり、柔軟性は非常に硬かった。
【0071】
[比較例2]
自己乳化型ポリウレタン水分散液Vを用いた以外は、実施例1と同様の処理を行い、比較用の皮革様シート状物用基材を得た。この皮革様シート状物用基材の表層1/3に存在する自己乳化型ポリウレタン重量は、基材全体の自己乳化型ポリウレタン重量に対し、85重量%であった。
【0072】
また、得られた皮革様シート状物用基材を実施例1と同様に染色を施して得られたシート状物の柔軟性は非常に柔軟であったが、外観は不良で、ピリング評価も悪い結果であった。
【0073】
[比較例3]
ウォータージェットパンチ処理を行わず、熱水によりポリビニルアルコールを除去した以外は、実施例1と同様の処理を行い、比較用の皮革様シート状物用基材を得た。この皮革様シート状物用基材の表層1/3に存在する自己乳化型ポリウレタン重量は、シート状物全体の自己乳化型ポリウレタン重量に対し、89重量%であった。
【0074】
また、得られた皮革様シート状物用基材を実施例1と同様に染色を施して得られたシート状物の柔軟性は非常に柔軟であったが、外観が不良で、ピリング評価も悪い結果であった。得られた皮革様シート状物用基材を顕微鏡で繊維同士の絡合を確認したところ、繊維束同士は絡合していたものの、単繊維レベルでは絡合しおらず、それが外観、ピリング評価の悪い原因と考えられる。
【0075】
[比較例4]
感熱ゲル化性付与のため、硫酸ナトリウム(NaSO)を添加した自己乳化型ポリウレタン水分散液VIを用いた以外は実施例1と同様の処理を行い、比較用の皮革様シート状物用基材を得た。この皮革様シート状物用基材の表層1/3に存在する自己乳化型ポリウレタン重量は、基材全体の自己乳化型ポリウレタン重量に対し、67重量%であった。
【0076】
また、得られた立毛調人工皮革様基材を実施例1と同様に染色を施して得られたシート状物の外観品位・柔軟性は良好であったが、ピリング評価は悪い結果であった。
【0077】
【表1】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
平均単繊維繊度が0.001dtex以上0.5dtex以下の極細繊維が絡合してなる不織布に、軟化点が70℃以上150℃以下である自己乳化型ポリウレタンを含有する皮革様シート状物用基材であって、不織布を構成する極細繊維の単繊維同士が絡合しており、基材厚み方向に対して表面から1/3の深さまでに存在するポリウレタン重量の合計が、基材全体に存在するポリウレタン重量の合計の70重量%以上100重量%以下であることを特徴とする皮革様シート状物用基材。
【請求項2】
不織布を構成する極細繊維の繊維長が25mm以上90mm以下であることを特徴とする請求項1に記載の皮革様シート状物用基材。
【請求項3】
自己乳化型ポリウレタンがポリカーボネート系ポリウレタンであることを特徴とする請求項1に記載の皮革様シート状物用基材。
【請求項4】
不織布を構成する極細繊維がポリエステル繊維であることを特徴とする請求項1または2に記載の皮革様シート状物用基材。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれかに記載の皮革様シート状物用基材を染色して得られることを特徴とする皮革様シート状物。
【請求項6】
請求項1〜4のいずれかに記載の皮革様シート状物用基材を製造する方法であって、平均単繊維繊度0.001dtex以上0.5dtex以下の極細繊維を高圧水流によって絡合させた不織布に、軟化点が70℃以上150℃以下である自己乳化型ポリウレタンを含浸し、乾燥することを特徴とする皮革様シート状物用基材の製造方法。

【公開番号】特開2007−119936(P2007−119936A)
【公開日】平成19年5月17日(2007.5.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−310905(P2005−310905)
【出願日】平成17年10月26日(2005.10.26)
【出願人】(000003159)東レ株式会社 (7,677)
【Fターム(参考)】