説明

盗撮検出装置

【課題】 受信した電波から映像信号を検出することで盗撮行為の有無を判定する盗撮検出装置において、装置が正常に動作しているか否かを確認して信頼性を確保する。
【解決手段】 盗撮機から送信される映像信号を検出する盗撮検出装置であって、電波を受信する受信部と、受信した電波を変換して映像信号を検出する検出部と、前記検出部が検出した映像信号の映像を出力する出力部と、外部から試験信号が入力されると所定の映像信号を所定周波数の電波に変換して送信する試験映像送信部と、を備えたことを特徴とする盗撮検出装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、CD/ATMコーナーやトイレ、更衣室などに設置された無線式の盗撮機を発見するための盗撮検出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、CD/ATMコーナーやトイレなどでの盗撮行為が社会問題となっている。盗撮行為の手口としては、電波送信機が内蔵された盗撮カメラを盗撮場所にしかけておき、盗撮場所付近で盗撮者が所持する電波受信機にて盗撮カメラの映像を受信する方法が多く用いられている。このような手口で用いられる盗撮カメラは、マッチ箱程度のサイズにまで小型化されており、目視のみによって発見するのは困難である。
【0003】
そこで、このような問題を解決するために、特許文献1に記載されている盗撮検知装置が知られている。特許文献1には、盗撮カメラから送信される電波信号を検出して、この電波信号に含まれた映像を警備室のモニターに表示し、警備員が映像を確認して、実際に盗撮が行われているか否か、及び盗撮カメラの設置位置などを判別することが記載されている。
【特許文献1】特開2002−142235号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
盗撮行為は日常的に行われるものではないために、盗撮検知装置は、いつ盗撮行為が発生しても確実にこれを検知できるよう、常に信頼性を確保しておく必要がある。
しかしながら、上述した従来の盗撮検知装置では、装置の信頼性を確認することが困難という問題がある。
【0005】
すなわち、盗撮検知装置は、盗撮行為による電波信号を検出して出力するものであり、電波信号が検出されない場合には、盗撮行為自体が行われていないのか、又は、盗撮者からの妨害行為や機器の故障などにより盗撮検知装置が正常に動作していないのかを判別することができない。
このため、従来の盗撮検知装置において装置が正常に動作しているか否かを確認するためには、その都度保守員を現場に派遣して装置の点検を行う必要があり、人手や時間がかかるという問題があった。
【0006】
そこで、本発明は、盗撮検出装置が正常に動作しているか否かを確認でき、信頼性を確保することができる盗撮検出装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために本発明による盗撮検出装置は、盗撮機から送信される映像信号を検出する盗撮検出装置であって、電波を受信する受信部と、受信した電波を変換して映像信号を検出する検出部と、前記検出部が検出した映像信号の映像を出力する出力部と、外部から試験信号が入力されると所定の映像信号を所定周波数の電波に変換して送信する試験映像送信部と、を備えたことを特徴としている。
【0008】
かかる構成の盗撮検出装置は、試験信号の入力をうけると映像信号を電波にのせて無線出力する。つまり、試験信号の入力をうけて、映像信号送信部を擬似的に映像送信機として作動させる。この結果、受信部にて当該電波が受信されるとともに検出部にて映像信号が検出され、出力部より所定の映像が出力されるので、盗撮検出装置が正常に作動しているか否かを容易に確認することが可能となる。
【0009】
また、本発明による盗撮検出装置の態様は、筐体内を撮影するカメラの映像、或いは予め記憶した映像を、所定周波数の電波にのせて無線送出する。
【0010】
さらに、本発明による盗撮検出装置の態様は、操作手段からの入力、或いは監視センタからの信号受信により試験信号が入力される。
【0011】
また、本発明の好ましい態様は、試験信号が入力された後、所定時間が経過しても検出部にて映像信号が検出されない場合に、機器の異常と判定する。ここで、盗撮検出装置が正常に動作している場合には、試験信号の入力により、試験映像送信部から映像信号が電波として出力され、そして、受信部にて当該電波が受信されるとともに検出部にて映像信号が検出される。他方、試験信号が入力された後、所定時間を以っても検出部にて映像信号が検出されない場合には、盗撮検出装置に何らかの異常が発生している可能性がある。本態様によれば、このような機器に生じた異常を検出することが可能となる。
【発明の効果】
【0012】
本発明に係る盗撮検出装置によれば、盗撮検出装置が正常に動作しているか否かを確認することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して具体的に説明する。
図1は、本発明の盗撮検出装置を用いた盗撮検出システムを示す構成図である。
盗撮検出システムは、盗撮監視領域4に設置される盗撮検出装置1と、遠隔の監視センタ2とを通信網3を介して接続して構成される。本実施形態では、盗撮監視領域4として金融機関のCD/ATMコーナーを例に説明する。なお、盗撮監視領域4はこれに限られず、盗撮されるおそれのある状況に応じて、トイレや更衣室、また住居内などが盗撮監視領域となる。
【0014】
ここで、盗撮行為に用いられる盗撮カメラ5は、所定周波数の搬送波をCCD素子で撮影した映像信号により変調して、電波信号として送信する。送信周波数は、UHF域の周波数、特に1.2GHz〜2GHzの周波数を用いるものが広く知られている。盗撮者は、所持する受像機で盗撮カメラ5が送信している電波信号を受信し、受信した電波信号を復号して盗撮映像を見ているのである。
【0015】
盗撮検出装置1は、受信アンテナにより受信する周波数を順次切り換えながら盗撮カメラ5からの映像信号を探索する。そして、受信した電波信号から映像信号を検出すると、盗撮カメラ5の映像である可能性があると判定する。そして、受信した映像信号の映像を含む通報信号を監視センタ2に送信する。
【0016】
また、盗撮検出装置1は、操作部の操作により、又は、監視センタ2から受信する制御信号により筐体内に設置されたカメラを作動させ、撮像した映像を所定周波数の電波信号として無線送出する。この結果、筐体内を撮像した映像による電波信号は、受信アンテナにて受信され、筐体内を撮像した映像が監視センタ2に送信される。また、筐体内を撮像した映像による電波信号が受信できない場合、盗撮検出装置1は機器の異常と判別して機器異常を示す通報信号を監視センタ2に送信する。
【0017】
監視センタ2は、警備会社が運営するサーバシステムを備えた施設であり、盗撮検出装置1と通信する通信部21と、各種情報を表示するディスプレイ22とを有して、ディスプレイ22を見ながら監視員が盗撮監視領域4を監視している。また、監視センタ2は、盗撮監視領域4となる施設の情報、盗撮監視領域4の管理者の情報、盗撮監視領域4に設置された盗撮検出装置1の情報など、すなわち、盗撮監視領域4となる施設の名称、住所、電話番号、監視領域管理者の氏名、管理者の住所、管理者の電話番号、盗撮検出装置1の管理番号、過去の対処履歴などを記憶管理するデータベースを具備している。
【0018】
監視センタ2では、盗撮検出装置1から受信した通報信号に基づいて対処すべき盗撮監視領域4の情報、及び受信した映像がディスプレイ22に表示される。そして、監視員は表示された盗撮監視領域4の情報と映像を見て、当該映像が盗撮された映像であるか否かを判別する。
【0019】
ここで、監視センタ2の監視員は、盗撮検出装置1から受信する映像を盗撮監視領域4の情報と見比べ、盗撮監視領域4に関係する映像(即ち盗撮された映像)か否かの確認を行う。具体的には、監視員は、盗撮監視領域4となる施設の情報である盗撮監視領域4の見取り図や設置状況を示す図、CCTVなどにより盗撮監視領域4を撮影した映像などを参照し、受信した映像と見比べ、盗撮監視領域4に関係する映像か否かを判断する。なお、このとき、盗撮検出装置1が受信した電波信号から映像信号を検出した時刻における盗撮監視領域4でのTV放送の内容などを参照すれば、盗撮検出装置1がTV放送波を検出してしまった場合であっても誤判断することがない。
【0020】
そして、監視員は、盗撮された映像と判断すれば、盗撮監視領域4の管理者に対する確認処理や、盗撮監視領域4への警備員の対処指示などの必要な措置をとる。他方、盗撮された映像でないと判断すれば、サーバシステムの端末を操作して通信部21を介し盗撮検出装置1に停止信号を送信して、映像の送信を停止させる。また監視員は、ディスプレイ22に表示される映像が筐体内を撮像した映像であれば、盗撮検出装置1が正常に電波を受信できる状態にあると判断する。
【0021】
<盗撮検出装置>
次に、図1を用いて盗撮検出装置1について説明する。図1に、盗撮検出装置1の構成を示すブロック図を示している。
盗撮検出装置1は、操作部18と、無線送信カメラ10と、電波を受信する受信アンテナ11と、検出部12と、映像処理部14と、通信部15と、各部に電源を供給する電源部16と、各部を制御する制御部17から概略構成される。
制御部17は、CPU、メモリ等により実現され、メモリに記憶されている各種プログラムにしたがって盗撮検出装置1の各部を制御する。また、制御部17は、判定部171と計時部172とを含んで構成される。
【0022】
操作部18は、スイッチ機構にて構成され、盗撮検出装置1の設置時などに利用者により操作される。操作部18は、利用者の操作により制御部17に試験信号を出力する。制御部17は、試験信号の入力があると無線送信カメラ10を作動させる。
【0023】
無線送信カメラ10は、カメラ101と試験映像送信部102とを含んでなり、カメラ101で撮影した映像を試験映像送信部102から無線送出する。この無線送信カメラ10は、制御部17に試験信号が入力されると所定の試験時間T2(例えば300秒)だけ作動する。カメラ101は、筐体1A内に設置された標識1Bを視野内におさめるように、盗撮検出装置1の筐体1A内に固定設置されている。カメラ101が作動している間は図示しない照明手段により視野内が照明される。標識1Bは、背景色を白として星型図形が黒くプリントされた板体である。なお、この例に限らず、標識にはエッジが強くコントラストの高い図形がプリントされていればよい。そして、カメラ101は、標識1Bを撮影して得られた映像信号を試験映像として試験映像送信部102に出力する。試験映像送信部102は、所定周波数の搬送波(例えば1.3GHz)をカメラ101から入力される映像信号により電波信号に変調して送信アンテナ100から無線送信する。
【0024】
検出部12は、チューナ121と、IF検波部122とを含んでなり、受信アンテナ11で受信した電波の入力を受け、受信した電波を変換して映像信号を検出する。制御部17は、1.2GHz〜2GHzの周波数範囲を所定帯域幅(例えば、5MHz間隔)にて順次指定してチューニング信号を出力することにより、チューナ121に電波信号をオートサーチさせる。そして、チューナ121によるオートサーチが2GHzまで終了すると、再度1.2GHzからサーチさせて、1.2GHz〜2GHzの周波数範囲を繰り返しサーチさせる。チューナ121には、受信アンテナ11で受信した電波が入力される。チューナ121は、制御部17からのチューニング信号に従って指定の周波数の電波を選択し、中間周波数信号に変換してIF検波部122に出力する。IF検波部122は、中間周波数信号の入力を受けると、この中間周波数信号を増幅し、検波して映像信号が検出されると制御部17に出力する。
なお、チューナ121によりオートサーチする周波数範囲は上述の1.2GHz〜2GHzに限定されるものではなく、検出対象とする盗撮機の送信周波数に応じて適宜設定すればよい。
【0025】
制御部17において判定部171は、盗撮電波の有無、及び盗撮検出装置1の機器の異常を判定する手段として機能する。判定部171は、IF検波部122から映像信号が出力されるとカウンタに1加算する。カウンタは、検出部12にて繰り返し実行されるオートサーチにおける映像信号の検出回数を計数する手段である。
判定部171は、最初に映像信号が検出されたとき(即ち、カウンタが「0」から「1」になると)、計時部172による判定時間T1(例えば180秒)の計時を開始する。そして、判定時間T1以内にカウンタの値が所定値(例えば3)以上になると盗撮電波の検出と判定する。他方、カウンタが所定値になる前に判定時間T1が経過するとカウンタは0にリセットされる。かかる処理の具体的な説明は後述する。
【0026】
そして、制御部17は、判定部171にて盗撮電波検出と判定されると、次の周波数を指定するチューニング信号によるオートサーチを所定時間(例えば10秒間)停止させ、検出部12に現在指定している周波数の電波信号を継続的に受信させる。そして、制御部17は、検出部12から入力された映像信号を映像処理部14に出力する。
【0027】
また、判定部171は、制御部17に試験信号が入力されると、カウンタをリセットして計時部172による試験時間T2(例えば300秒)の計時を開始する。そして、カウンタが上述の所定値になる前に試験時間T2が経過すると、機器異常と判定する。
また、試験時間T2が経過する前にカウンタが上述の所定値になると、上述したように盗撮電波の検出と判定する。
【0028】
なお、盗撮カメラ5や試験映像送信部102などの電波信号の送信源が盗撮検出装置1の近傍にある場合においては、これら送信源からの送信電波の受信強度が相対的に高くなり、送信源からの送信周波数の周辺帯域でもノイズ的に電波信号が検出されることがある。この場合には、検出部12のサーチにおいて複数の周波数帯域にわたり連続して同じ映像信号が複数回検出されることとなる。そこで、判定部171は、検出部12によるサーチにおいて映像信号が検出され、カウンタを加算すると、以後所定時間(例えば1秒)の間はカウンタの加算を行わないよう制御している。
【0029】
映像処理部14は、圧縮部141と映像出力部142とを含んで構成される。
圧縮部141は、検出部にて検出され制御部17から入力された映像信号を、所定のサンプリング密度にてデジタル映像に変換する。そして、デジタル化された映像データを所定のコーデックで圧縮して映像出力部142に出力する。
映像出力部142は、圧縮部141から入力される映像データを制御部17に出力する。また、圧縮部141からの入力がないときは、予め設定されたブルーバック映像を制御部17に出力している。
【0030】
通信部15は、本発明の出力部として機能し、通信網3を介して監視センタ2と通信を行う。
制御部17は、通信部15を介して監視センタ2から試験信号を受信すると、無線送信カメラ10を作動させる。また、制御部17は、判定部171にて盗撮電波検出と判定されると、映像出力部142から入力されている映像データと所定の通報データとを含む通報信号を通信部15より監視センタ2に送信する。さらに、制御部17は、判定部171にて機器異常と判定されると、機器異常を示す通報データを含む通報信号を通信部15より監視センタ2に送信する。
【0031】
また、制御部17は、通信部15を介して監視センタ2から映像要求信号を受信すると、映像出力部142から入力されている映像データを監視センタ2に送信する。すなわち、判定部171にて盗撮電波の検出が判定されているときは、検出部12にて検出された映像を監視センタ2に送信し、盗撮電波と判定されていないときはブルーバック映像が送信される。この処理は、例えば監視センタ2から盗撮検出装置1にアクセスして、試験信号を送信した後の盗撮検出装置1の動作を点検する場合などに行われる。
【0032】
<動作の説明>
次に、上述した盗撮検出装置1の動作について説明する。
図2および図3は、制御部17による盗撮判定処理を示すフローチャートである。
盗難検出装置1が盗難監視領域4に設置され、電源ONされると、まず、制御部17は、判定部171のカウンタを0にリセットし(ステップST1)、受信周波数を指定したチューニング信号をチューナ121に出力する(ステップST2)。受信周波数は、1.2GHz〜2GHzの周波数範囲において、1.2GHzから5MHz間隔で指定される。
【0033】
検出部12は、制御部17からのチューニング信号で指定された周波数を選択して受信電波を中間周波数信号に変換、増幅して、映像検波する(ステップST3)。ここで、検出部12により映像信号が検出されると(ステップST4−Yes)、直前回の映像信号検出から所定時間が経過しているか否かが判定される(ステップST5)。所定時間経過していれば(ステップST5−Yes)、ステップST6に進みカウンタに1加算する。
【0034】
即ち、上述したように、盗撮カメラ5や試験映像送信部102など電波信号の送信源が盗撮検出装置1の近傍にある場合においては、受信アンテナ11によるこれら送信源からの受信電波の強度が相対的に高くなり、送信源からの送信周波数の周辺帯域でもノイズ的に電波信号が検出されることがある。この場合には、検出部12のサーチにおいて複数の周波数帯域にわたり、複数回連続して同じ映像信号が検出されることとなる。そこで、本例では、ステップST5にて、検出部12によるサーチにおける直前回の映像信号検出からの経過時間を判別して、直前回の映像信号検出から所定時間経過している場合にのみカウンタの値をインクリメントするよう制御している。なお、ここで、所定時間とは、連続する周波数帯域で検出された映像信号をカウンタで計数しないようにするための時間であり、本例では1秒として設定される。
これにより、複数帯域にわたる同じ映像信号の電波を、連続的に検出して検知回数を計数することを防止して、誤判定を抑制することを可能としている。
【0035】
ステップST6において判定部がカウンタに1を加算されると、盗撮判定するための最初の映像信号検出か否か、即ちカウンタの値が1であるかどうかが判定され(ステップST7)、カウンタ値が1であれば(ステップST7−Yes)、計時部により判定時間T1の計時が開始される(ステップST8)。本例において、判定時間T1は180秒としている。
【0036】
ステップST8で判定時間T1の計時が開始されると、制御部17は処理をステップST2に戻し、次の受信周波数を指定してチューニング信号を出力する。即ち、制御部17は、チューニング信号により1.2GHz〜2GHzの周波数範囲を順次指定することで、検出部12にこれら周波数範囲をオートサーチさせて、盗撮カメラ5からの電波を探索する。
【0037】
ここで、ステップST4において、検出部12により映像信号が検出されなければ(ステップST4−No)、判定時間T1の計時中であるか否かが判定される(ステップST9)。判定時間T1(180秒)の計時中であれば(ステップST9−Yes)、制御部17は処理をステップST2に戻し、次の受信周波数を指定してチューニング信号を出力する。他方、判定時間T1(180秒)の計時中でなければ、即ち判定時間T1の計時が開始されていない又は既に判定時間T1の計時が終了していれば(ステップST9−No)、ステップST1に処理を戻してカウンタを0にリセットし、ステップST2にて次の受信周波数を指定してチューニング信号を出力する。
【0038】
このように、制御部17は、1.2GHz〜2GHzの周波数範囲において受信周波数を順次指定してチューニング信号を出力し、検出部12によるオートサーチを行う。そして、オートサーチが2GHzまで終了すると、再度1.2Hzからサーチさせて、1.2GHz〜2GHzの周波数範囲を繰り返しサーチさせる。
【0039】
他方、ステップST4において、検出部12により映像信号が検出され(ステップST4−Yes)、直前回の映像信号検出から所定時間(1秒)が経過しており(ステップST5−Yes)、カウンタに1加算された結果(ステップST6)、カウンタの値が1を超えた場合(ステップST7−No)、カウンタの値が所定値以上か否かが判定される(ステップST10)。この所定値は、判定時間T1内での映像信号の検出回数を判別する値であり、本例では3と設定している。
【0040】
そして、カウンタの値が所定値未満であれば(ステップST10−No)、判定時間T1(180秒)の計時中であるか否かを判定する(ステップST9)。
他方、繰り返しのオートサーチにより映像信号が繰り返し検出されて、カウンタの値が所定値以上になると(ステップST10−Yes)、判定部171は、盗撮電波が存在すると判定して盗撮フラグをONする(ステップST11)。そして、判定時間T1の計時を終了する。
このように、1.2GHz〜2GHzの周波数範囲を繰り返しオートサーチして判定時間T1以内における映像信号の複数回検出を盗撮判定の条件とすることにより、瞬時的なノイズとして受信された映像信号による誤判定を抑制することを可能としている。
【0041】
制御部17は、盗撮電波の存在が判定されると、計時部172により映像送出時間T3の計時を開始する(ステップST12)。ここで、映像送出時間T3は、次の周波数を指定したオートサーチを一時的に停止して現周波数による映像信号を継続的に受信し、監視センタ2に映像を通報する時間であって、本例では10秒に設定される。
【0042】
そして、制御部17は、検出部12より入力される映像信号を映像処理部14に出力する。映像処理部14は、入力される映像信号をデジタル映像に変換し、圧縮処理を実行する(ステップST13)。映像処理部14より得られる映像データは、通信部15により通報信号として順次監視センタ2に送信される(ステップST14)。
これにより、盗撮監視領域4で検出された映像信号は監視センタ2に送信される。監視センタ2では、監視員がこの映像を参照して、盗撮映像であるか否か、即ち盗撮監視領域4における盗撮行為の有無、及び、盗撮カメラ5が盗撮監視領域4のどの辺りに設置されているのかを判定する。
【0043】
ここで、計時部172による計時が映像送出時間T3(10秒)を経過していれば(ステップST15−Yes)、通信部15による映像データの送信を停止するとともに盗撮フラグをOFFし(ステップST17)、ステップST1に処理を戻し、カウンタを0にリセットして、検出部12によるオートサーチを再開させる。
【0044】
他方、ステップST15で計時部172による計時が映像送出時間T3(10秒)に達していなければ(ステップST15−No)、監視センタ2から停止信号を受信したか否かを判定する(ステップST16)。監視センタ2から停止信号を受信していなければ(ステップST16―No)、引き続き、検出部12にて受信、出力される映像信号を圧縮して映像データを監視センタ2に送出する。
【0045】
他方、監視センタ2から停止信号を受信すると(ステップST16−Yes)、通信部15による映像データの送信を停止するとともに盗撮フラグをOFFし(ステップST17)、ステップST1に処理を戻し、カウンタを0にリセットして、検出部12によるオートサーチを再開させる。
【0046】
以上説明したように、本実施形態の盗撮検出装置によれば、盗撮カメラ5から送信された可能性のある映像を、繰り返しのオートサーチにて複数回検出したことに基づいて、盗撮行為の存在を判定することができ、瞬時的なノイズとして受信された映像信号による誤判定を抑制することができる。
【0047】
次に、図4を用いて、試験映像を用いて機器の異常を判定する処理について説明する。図4は、制御部17による機器異常点検処理を示すフローチャートである。図4の処理は、図2,3に示した盗撮判定処理と並列的に実行される。
【0048】
まず、制御部17は、操作部18または監視センタ2から試験信号が入力されたかどうかを判定する(ステップST51)。そして、試験信号が入力されると(ステップST51−Yes)、判定部171のカウンタを0にリセットして(ステップST52)、計時部172により試験時間T2の計時を開始する(ステップST53)。ここで、試験時間T2は、試験用の映像を送出して盗撮検出装置1を点検する時間であって、本例では300秒と設定している。
【0049】
そして、制御部17は、無線送信カメラ10を作動させる(ステップST54)。無線送信カメラ10が作動を開始すると、カメラ101は、盗撮検出装置1の筐体1A内部の標識1Bを撮像して得られる映像信号を試験映像の映像信号として試験映像送信部102に出力する。試験映像送信部102は、所定周波数の搬送波(例えば1.3GHz)をカメラ101から入力される映像信号により電波信号に変調して送信アンテナ100から無線送信する。即ち、無線送信カメラ10は、試験信号の入力により撮影した映像を無線送出する擬似的な盗撮カメラとして作動する。
【0050】
次に、制御部17は、試験時間T2(300秒)が経過したか否かを判定する(ステップST55)。試験時間T2(300秒)が経過していなければ(ステップST55−No)、ステップST56にて、並列的に実行される盗撮判定処理において盗撮判定がなされたか否かを判別する。この処理は、上述した図2、図3に係る盗撮判定処理において盗撮判定された(盗撮フラグがON)か否かを判別するものであり、無線送信カメラ10から送出される試験映像が検出部12にて検出されたか否かを判別することを意味している。
【0051】
そして、盗撮判定されていれば(ステップST56−Yes)、通報信号の送出が終了するまで待機する(ステップST57−No)。この処理は、上述した図2、図3に係る盗撮判定処理において、盗撮判定にかかる通報が終了した(盗撮フラグがONからOFFに変化)か否かを判別するものであり、無線送信カメラ10から送出され検出部12にて検出された試験映像が監視センタ2に送信されたか否かを判別することを意味している。
このとき、図2、図3に示す盗撮判定処理において、監視センタ2には、無線送信カメラ10から送信され検出部12にて検出された試験映像(標識1Bを撮影した映像)が送信されることとなる。監視センタ2では、監視員がこの映像を参照して、試験映像であるか否か、即ち盗撮検出装置1が正常に動作しているか否かを判定する。
【0052】
そして、盗撮判定にかかる通報処理が終了したと判定されると(ステップST57−Yes)、判定部171は、無線送信カメラ10から送出される試験映像が検出部12にて検出されており盗撮検出装置1が正常に動作していると判定して、無線送信カメラ10の作動を停止し(ステップST58)、試験時間T2の計時を終了してステップST51に処理を戻す。
【0053】
他方、盗撮判定されていなければ(ステップST56−No)、ステップST55に処理を戻し、試験時間T2(300秒)の経過を確認する。
ステップST55にて試験時間T2が経過したと判定されると(ステップST55−Yes)、制御部17は無線送信カメラ10の作動を停止し(ステップST59)、判定部171は、盗撮検出装置1が正常に動作していない、即ち機器異常の状態と判定する(ステップST60)。そして、制御部17は、通信部15より機器異常信号を監視センタ2に送信する(ステップST61)。
これにより、試験信号の入力に基づき、盗撮検出装置1の筐体1A内部を撮像した映像を擬似的に盗撮カメラの映像とみなして送信し、この送信した電波を自ら検出することで盗撮検出装置1を試験することが可能となる。
【0054】
以上説明した図2から図4に係る制御部17の処理を図5のタイムチャートを用いて説明する。図5(a)は、試験時間T2内に盗撮判定がなされず機器異常と判定された場合の例を示し、図5(b)は、試験時間T2内に試験映像が検出されて盗撮判定された場合の例(正常動作の場合の例)を示している。
【0055】
図5(a)に示すように、試験信号の入力があると試験時間T2の計時が開始されるとともに、無線送信カメラ10による試験映像の送信が開始される。そして、検出部12によるオートサーチにより映像信号が検出されるとカウンタが1加算され判定時間T1の計時が開始される。カウンタが所定値(3)まで達することなく判定時間T1(180秒)が経過すると、カウンタの値は0にリセットされる。そして、盗撮判定がなされないままに試験時間T2(300秒)が経過すると、無線送信カメラ10の作動が停止されて機器異常の判定がなされる。このとき、盗撮検出装置1から、監視センタ2に対して、機器異常信号が送信される。監視センタ2では、盗撮検出装置1が異常であることを確認して、警備員の対処指示など必要な措置をとる。
【0056】
他方、図5(b)に示すように、試験信号の入力により試験映像が送信された後、判定時間T1(180秒)内に検出部12によるオートサーチにより映像信号が繰り返し検出され、カウンタが所定値(3)に達すると、盗撮判定がなされて通報信号が送信される。そして、通報信号の送信が終了すると、試験時間T2の計時と試験映像の送信が停止され、機器異常の判定は行われない。このとき、盗撮検出装置1から、監視センタ2に対して、無線送信カメラ10から送信され検出部12にて検出された試験映像(標識1Bを撮影した映像)が送信されることとなる。監視センタ2では、監視員がこの映像を参照して、試験映像であるか否か、即ち盗撮検出装置1が正常に動作しているか否かを判定する。
【0057】
このように、以上説明した実施形態によれば、受信した電波から映像信号を検出することで盗撮行為の有無を判定する盗撮検出装置において、操作部又は監視センタからの試験信号の入力に基づき、試験映像を無線送信し、検出部にてこの試験映像が検出できるか否かを監視することで、盗撮検出装置の動作試験を行うことが可能となる。
【0058】
なお、以上説明した実施形態では、監視センタで映像を表示、確認する構成となっていたが、盗撮検出装置に液晶モニタなどの表示部を備え、映像処理部にて処理された映像を、表示部に表示出力する構成としてもよく、この場合には表示部が本発明の出力部として機能する。また、映像処理部にて処理された映像を、盗撮検出装置から警備員が所持する携帯端末に出力する構成としてもよい。これにより、盗撮監視領域に常駐する警備員が表示部や端末に表示される映像をみて、監視センタからの対処指示を待つことなく、盗撮監視領域となる現地にて盗撮行為に対処したり、機器異常の有無を点検することが可能となる。
【0059】
また、以上説明した実施形態では、無線送信カメラにて試験用の映像を撮影して送信する例について説明したが、これに限られるものではない。即ち、予め撮影もしくは作成された映像を記憶しておき、この映像を試験映像として送信してもよい。この場合、本例においてカメラと試験映像送信部とで構成されている無線送信カメラ部分が、記憶部と試験映像送信部とで構成され、制御部の試験信号により、記憶部からの映像が試験映像送信部に入力され、この映像が無線送出されるよう構成する。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】本発明の盗撮検出装置を用いた盗撮検出システムを示す概略図
【図2】本発明の盗撮検出装置の盗撮判定処理を示すフローチャート
【図3】本発明の盗撮検出装置の盗撮判定処理を示すフローチャート
【図4】本発明の盗撮検出装置の機器異常点検処理を示すフローチャート
【図5】本発明の盗撮検出装置の機器異常点検処理にかかるタイムチャートを示す図
【符号の説明】
【0061】
1 盗撮検出装置
1A 筐体
1B 標識
2 監視センタ
3 通信網
4 盗撮監視領域
5 盗撮カメラ
10 無線送信カメラ
101 カメラ
102 試験映像送信部
11 受信アンテナ
12 検出部
14 映像処理部
15 通信部
16 電源部
17 制御部
171 判定部
172 計時部
21 監視センタの通信部
22 ディスプレイ



【特許請求の範囲】
【請求項1】
盗撮機から送信される映像信号を検出する盗撮検出装置であって、
電波を受信する受信部と、
受信した電波を変換して映像信号を検出する検出部と、
前記検出部が検出した映像信号の映像を出力する出力部と、
外部から試験信号が入力されると所定の映像信号を所定周波数の電波に変換して送信する試験映像送信部と、
を備えたことを特徴とする盗撮検出装置。

【請求項2】
更に、前記盗撮検出装置の筐体内を撮像するよう該筐体内に設置されるカメラを備え、
前記試験映像送信部は、前記カメラが出力する映像信号を前記所定周波数の電波に変換して送信する請求項1記載の盗撮検出装置。

【請求項3】
更に、予め映像信号を記憶した記憶部を備え、
前記試験映像送信部は、前記記憶部に記憶された映像信号を前記所定周波数の電波に変換して送信する請求項1記載の盗撮検出装置。

【請求項4】
更に、監視センタと接続され該監視センタから前記試験信号を受信する通信部を備え、
前記出力部は、前記検出部が検出した映像信号の映像を前記監視センタに送信する請求項1から3の何れかに記載の盗撮検出装置。

【請求項5】
更に、前記試験信号の入力から所定時間を経過しても前記検出部が映像信号を検出しない場合に機器の異常と判定する判定部を備えた請求項1から4の何れかに記載の盗撮検出装置。





【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2008−27251(P2008−27251A)
【公開日】平成20年2月7日(2008.2.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−200102(P2006−200102)
【出願日】平成18年7月21日(2006.7.21)
【出願人】(000108085)セコム株式会社 (596)
【Fターム(参考)】