説明

盗難検出装置

【課題】物品の忘れ物検出および盗難検出のための装置を提供する。
【解決手段】複数のマスターキーと、それぞれのマスターキーに対応するひとつもしくは複数のサブキーから構成されるRFIDタグと、RFIDタグからキー情報を収集するRFIDタグ読取部と、読み取ったキー情報を分析して、マスターキーに対応するサブキーが無いケースを忘れ物と判断し、サブキーに対応するマスターキーが無いケースを盗難と判断するキー情報照合部と、忘れ物あるいは盗難を検出したときに、それを通報する忘れ物・盗難通報部とを備え、所有者が常に携行するとは限らない物品であっても、物品の携行忘れ(忘れ物)や物品の盗難を容易に発見することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、物品の忘れ物検出および盗難検出に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、携行する物品の置き忘れや盗難を防止するための技術として、携行する物品にRFID(Radio Frequency Identification)タグなどの無線機能を有するタグを取り付けて、物品を携行するユーザが所持しているRFIDタグ読み取り装置との間で交信をやり取りすることによって、物品の置き忘れや盗難を防止するシステムが開示されている。
【0003】
特許文献2には、本体装置と通信可能である複数の周辺装置に設けられたRFIDタグに格納されているキー情報と、ユーザのキー情報とを収集し、収集した各キー情報から合成キー情報を生成し、この合成キー情報を用いて周辺装置の制御を行うため、ユーザを含めたすべての周辺装置が揃わないとシステムの操作を行うことが出来ない盗難防止システムが提示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2007−328527号公報
【特許文献2】特開2008−282225号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
盗難防止あるいは忘れ物を防止したい対象物は、必ずしも常に携行する物のみが対象となるわけではない。たとえば通勤・通学等で使用する「自転車」を駅の駐輪場に預ける場合や、航空機を利用する旅行では、機内に持ち込めない「手荷物」は航空会社に一旦預け、目的地に到着した時点で受け取る場合があり、預けてから引き取るあるいは受け取るまでの間は、正当な持ち主が近くにいないのが一般的である。しかしながら特許文献1に記載された技術は、常に携行していることを前提にした物品を対象物としているため、「自転車」や「手荷物」のように、持ち主の手から一旦離れるのが前提となる物品に対しての適用ができないという問題がある。
また、特許文献2に記載された技術は、情報処理機器に関連した技術であり、物理的な「鍵」を破壊すれば使用できるような「自転車」や、物理的な「外装」を取り除けば中身の物品を取り出せてしまう「手荷物」へは適用できないという問題がある。
本発明の目的は、所有者が常に携行するとは限らない物品であっても、物品の携行忘れ(忘れ物)や物品の盗難を容易に発見する装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の忘れ物検出方法および盗難検出方法は、複数のマスターキーと、それぞれのマスターキーに対応するひとつもしくは複数のサブキーから構成されるRFIDタグと、RFIDタグからキー情報を収集するRFIDタグ読取部と、読み取ったキー情報を分析して、マスターキーに対応するサブキーが無いケースを忘れ物と判断し、サブキーに対応するマスターキーが無いケースを盗難と判断するキー情報照合部と、忘れ物あるいは盗難を検出したときに、それを通報する忘れ物・盗難通報部とを備える。
【発明の効果】
【0007】
本発明の盗難検出装置によれば、所有者が常に携行するとは限らない物品であっても、物品の携行忘れ(忘れ物)や物品の盗難を容易に発見することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の盗難検出装置について、その全体構成を示す概略図である。
【図2】本発明の盗難検出装置の構成要素である、RFIDタグ201の構成を概略的に示す構成図である。
【図3】図1に示すRFIDタグ読取結果テーブル104の構成を示すテーブル構成図である。
【図4】図1に示すマスターキー情報テーブル106の構成を示すテーブル構成図である。
【図5】図1に示すキー情報照合部105で動作する、マスターキー抽出処理501の動作を示すフローチャートである。
【図6】図1に示すキー情報照合部105で動作する、サブキー抽出処理601の動作を示すフローチャートである。
【図7】図1に示すキー情報照合部105で動作する、忘れ物検出処理701の動作を示すフローチャートである。
【図8】図1に示すキー情報照合部105で動作する、盗難検出処理801の動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、添付図面を参照しつつ、本発明の盗難検出装置の実施形態を詳細に説明する。
【0010】
図1から図8までは、本発明の実施形態を例示する図であり、これらの図において、同一の符号を付した部分は同一物を表わし、基本的な構成及び動作は同様であるものとする。
【0011】
図1は、本発明の実施形態にかかる盗難検出装置について、その全体構成を示す概略図である。
【0012】
図1において、本実施形態の盗難検出装置は、忘れ物・盗難検出装置101とRFIDタグ201から構成される。忘れ物・盗難検出装置101を制御する装置制御部102と、忘れ物・盗難検出装置周辺のRFIDタグ201の情報を読み取るRFIDタグ読取部103と、読み取った複数のRFIDタグの各種情報を格納するRFIDタグ読取結果テーブル104と、読み取った複数のRFIDタグのキー情報を照合するキー情報照合部105と、読み取った複数のRFIDタグからマスターキーとそれに対応するサブキーの情報を格納するマスターキー情報テーブル106と、忘れ物あるいは盗難を検出したときに動作する忘れ物・盗難通報部107とから構成される。
【0013】
図2は、図1の盗難検出装置の構成要素であるRFIDタグ201の構成を示す図である。RFIDタグ201は、キー番号202、キー種別203、サブキー個数204から構成される。キー種別203は、マスターキーと複数個のサブキーから構成され、図2の実施例では、サブキーとして第1サブキーと第2サブキーの2個から構成される実施例を示している。また、サブキー個数204は、マスターキーに対するサブキーの個数が情報として格納されるエリアである。
【0014】
図1の実施形態では、マスターキー番号「A」と、それに対応するサブキー2個、およびマスターキー番号「B」とそれに対応するサブキー2個のうち、RFID108(マスターキーA)とRFID110(マスターキー番号「A」の第2サブキー)とRFID112(マスターキー番号「B」の第1サブキー)とRFID113(マスターキー番号「B」の第2サブキー)が忘れ物・盗難検出装置101の周辺に存在し、RFIDタグ読取部103からの読み取りが可能な状態を具体例として示している。また、RFID109(マスターキー番号「A」の第1サブキー)とRFID111(マスターキーB)が忘れ物・盗難検出装置101の周辺に存在しない、つまりRFIDタグ読取部103からの読み取りができない状態を具体例として図示したものである。
【0015】
図3は、図1の忘れ物・盗難検出装置101の構成要素であるRFIDタグ読取結果テーブル104の構成を示すテーブル構成図であり、キー番号202、キー種別203、サブキー個数204を格納するエリアと、RFID読取結果をもとに、後述するマスターキー抽出処理501あるいはサブキー抽出処理601で何らかの処理を実施したか否かを記憶する処理済表示301とから構成される。忘れ物・盗難検出装置101の周辺に存在するRFIDタグは、定期的にRFIDタグ読取部103による読み取りが実施され、読取結果がRFIDタグ読取結果テーブル104に格納され、キー情報照合部105に制御がわたる。図1の具体的実施例で示すケースでは、図3のRFIDタグ読取結果テーブル104には、マスターキーA(302)と、マスターキーAの第2サブキー(303)と、マスターキーBの第1サブキー(304)とマスターキーBの第2サブキー(305)の4つのキーが読取結果として格納されている例を示している。
【0016】
図4は、図1の忘れ物・盗難検出装置101の構成要素であるマスターキー情報テーブル106の構成を示すテーブル構成図であり、キー番号202、キー種別203、サブキー個数204から構成される。
【0017】
図5は、図1の忘れ物・盗難検出装置101の、キー情報照合部105で実施されるマスターキー抽出処理の動作を示すフローチャートである。キー情報照合部105では、まず図5のマスターキー抽出処理501を実施する。マスターキー抽出処理501は、RFIDタグ読取結果テーブル104からテーブル先頭のRFIDタグ読取結果を抽出し(ステップ502)、マスターキーか否かを判定する(ステップ503)。ステップ503の判定でマスターキーと判定されると、マスターキー情報テーブル106にマスターキー情報をセーブ(401)し(ステップ504)、RFIDタグ読取結果テーブル104の処理済表示301に”1(処理済)”を設定(302)する(ステップ505)。ステップ506でRFIDタグ読取結果テーブル104の最終データか判定し、次のデータ有りの場合、RFIDタグ読取結果テーブル104から、次のRFIDタグ読取結果を抽出し(ステップ507)、ステップ503以降の処理を繰り返す。ステップ503のマスターキーか否かの判定で、サブキーと判定されると、ステップ506でRFIDタグ読取結果テーブル104の最終データか判定し、最終データの場合、マスターキー抽出処理501を終了する(ステップ508)。図1の具体的実施例では、RFIDタグ読取結果テーブル104に格納されているマスターキーは「A」のみであり、マスターキー抽出処理501の処理結果として、マスターキー情報テーブル106には、キー番号A・キー種別マスターキー・サブキー個数2というRFID読取結果401が格納される。
【0018】
次にキー情報照合部105では、図6のサブキー抽出処理601を実施する。サブキー抽出処理601は、マスターキー情報テーブル106から、抽出されたマスターキー情報を取得し(ステップ602)、RFIDタグ読取結果テーブル104から、テーブル先頭のRFIDタグ読取結果を抽出し(ステップ603)、サブキーか否かの判定を行う(ステップ604)。ステップ604でサブキーと判定されると、キー番号がステップ602で抽出したマスターキー番号と一致するか判定し(ステップ605)、一致する場合、マスターキー情報テーブル106にサブキー情報をセーブ(402)し(ステップ606)、RFIDタグ読取結果テーブル104の処理済表示301に”1(処理済)”を設定(303)し(ステップ607)、RFIDタグ読取結果テーブル104の最終データか判定する(ステップ608)。ステップ608で次のデータ有りと判定されると、RFIDタグ読取結果テーブル104から、次のキー番号202を抽出し(ステップ609)、ステップ604以降の処理を繰り返す。ステップ604のサブキーか否かの判定でマスターキーと判定された場合、およびステップ605のマスターキー番号が一致するか否かの判定で不一致と判定された場合は、次のキーの処理を行うため、ステップ608を実施する。ステップ608で最終データと判定されると、サブキー抽出処理601を終了する(ステップ610)。図1の具体的実施例で、図6のサブキー抽出処理601が終了した段階では、マスターキーBが周辺に存在しないため、図3のRFID読取結果テーブル104には、マスターキーBの第1サブキー304と、マスターキーBの第2サブキー305の処理済表示301には、処理済表示が設定されないままの状態となる。
【0019】
次にキー情報照合部105では、図7の忘れ物検出処理701を実施する。忘れ物検出処理701は、マスターキー情報テーブル106から、サブキー個数を抽出し(ステップ702)、マスターキー情報テーブル106に登録されたサブキーの個数をカウントし(ステップ703)、サブキーの個数が一致するか判定する(ステップ704)。ステップ704の判定で、サブキーの個数が不一致の場合は忘れ物・盗難通報部107から、「忘れ物」があることを通報し(ステップ705)、忘れ物検出処理701を終了する(ステップ706)。ステップ703の判定でサブキーの個数が一致する場合、忘れ物検出処理701を終了する(ステップ706)。図1の具体的実施例では、RFIDタグ読取結果テーブル104に格納されているマスターキーAのサブキーは第2サブキー303のみであり、忘れ物検出処理701の処理結果として、マスターキー情報テーブル106には、キー番号A・キー種別第2サブキーというRFID読取結果402が格納されており、マスターキーAの第1サブキーが無いこと、つまり「忘れ物」があることが忘れ物・盗難通報部107から通報される(ステップ704,705)。ただし、図7の忘れ物検出処理701は、監視対象物品によって、実施するか実施しないかが変わってくる。たとえば、持ち主の手から一旦離れるのが前提となる、「駐輪場」に「自転車」を預けるケースに本発明を適用する場合には、自転車を預けて駐輪場から出る時および駐輪場に自転車を取りに入る時は、マスターキーしかない状態であり、このようなケースでは忘れ物検出処理701は実施しない。これに対し、たとえば自宅から外出する時の携帯必須物品のチェックに本発明を適用するケースでは、忘れ物検出処理701を実施する。
【0020】
次にキー情報照合部105では、図8の盗難検出処理801を実施する。盗難検出処理801は、RFIDタグ読取結果テーブル104から、テーブル先頭の処理済表示301を抽出し(ステップ802)、処理済か判定する(ステップ803)。ステップ803の判定処理で未処理と判定されると、忘れ物・盗難通報部107から、「盗難」があることを通報し(ステップ806)、RFIDタグ読取結果テーブル104の最終データか判定する(ステップ804)。次のキーが有る場合は、RFIDタグ読取結果テーブル104から、次のキーの処理済表示301を抽出し(ステップ805)、ステップ803以降の処理を繰り返す。ステップ804の判定処理で、次のキーが無い場合は、盗難検出処理801を終了する(ステップ807)。図1の具体的実施例では、マスターキーBが無いため、マスターキーBの第1サブキーとマスターキーBの第2サブキーとが盗難品であることが検出・通知される。忘れ物・盗難通報部107からの通報は、忘れ物・盗難検出装置101にスピーカーを設けて、そのスピーカーからの通報する方法でも良いし、盗難の場合には警察に通報する方法でも良い。
【0021】
マスターキーとサブキーから構成されるRFIDタグ201を発行する際、キーを使用するユーザの情報(たとえば、氏名、連絡先、対象とする物品の特徴)を収集し、それをサーバで管理してもよい。また、複数の忘れ物・盗難検出装置101をインターネットあるいは通信回線で接続し、それを集中的にサーバで管理する構成をとってもよい。たとえば、自転車の盗難防止に本発明を適用する場合、複数の駐輪場の出入り口だけに忘れ物・盗難検出装置101を設置するのではなく、駐輪場周辺あるいは駐輪場から遠く離れた、駐輪場とは無関係の場所に複数台設置することで、マスターキーをもたない盗難の可能性の高い自転車を検出することができるようになる。
【産業上の利用可能性】
【0022】
本発明の忘れ物検出方法、盗難検出方法、および忘れ物・盗難検出装置は、所有者が常に携行するとは限らない物品の盗難を容易に発見することができるため、公共の場所に預けることの多い、自転車・バイク・自動車といった乗り物の駐輪場・駐車場での監視、さらには駐輪場・駐車場以外での監視を実現できる。
【符号の説明】
【0023】
101 忘れ物・盗難検出装置
103 RFIDタグ読取部
104 RFIDタグ読取結果テーブル
105 キー情報照合部
106 マスターキー情報テーブル
107 忘れ物・盗難通報部
201 RFIDタグ
501 マスターキー抽出処理
601 忘れ物検出処理
701 盗難検出処理

【特許請求の範囲】
【請求項1】
忘れ物・盗難検出装置と、RFIDタグとからなる盗難検出装置であって、
前記RFIDタグは、
複数のマスターキーと、それぞれのマスターキーに対応するひとつもしくは複数のサブキーから構成され、
前記忘れ物・盗難検出装置は、
前記RFIDタグからキー情報を収集するRFIDタグ読取部と、
該RFIDタグ読取部が読み取ったキー情報を分析して、マスターキーに対応するサブキーが無いケースを忘れ物と判断し、サブキーに対応するマスターキーが無いケースを盗難と判断するキー情報照合部と、
該キー情報照合部が、忘れ物あるいは盗難を検出したときに、その検出の旨を通報する忘れ物・盗難通報部と
を備えることを特徴とする盗難検出装置。
【請求項2】
請求項1記載の盗難検出装置であって、
前記RFIDタグは、
キーを識別するためのキー番号と、マスターキーかサブキーかを識別するキー種別とマスターキーに割り当てられたサブキーの個数とから構成される
ことを特徴とする盗難検出装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−238037(P2011−238037A)
【公開日】平成23年11月24日(2011.11.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−109104(P2010−109104)
【出願日】平成22年5月11日(2010.5.11)
【出願人】(000233055)株式会社日立ソリューションズ (1,610)
【Fターム(参考)】