説明

監視方法および監視装置

【課題】利用者の行動パターンに応じた適切な警報の出力を可能とする。
【解決手段】センサーの出力に基づいて、監視対象が異常状態にあることを示すイベント信号を出力し、イベント信号に応じて、異常状態を判定するためのスコアを、該スコアの変化度合を制御するための係数に基づいて更新し、スコアに応じた警報を出力し、警報に対する利用者の応答を検出し、利用者の応答の検出結果に基づいて、係数を調整する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、監視方法および監視装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、ホームICT(Information and Communications Technology)などの分野が注目され、家庭内にも各種センサーなどが設置されるようになってきている。これによって、在宅時に限らず、外出時においても、生活空間のコントロールやモニタリングを行うことができる、スマートホームと呼ばれる環境が構築されつつある。
【0003】
また、核家族化の進行に伴い、独居老人などの問題が増加している。例えば、異常発見が遅れることにより孤独死に至るなど、社会的な問題につながることも起きている。この対策として、自動または遠隔地からの監視により異常状態を検出して通報する、見守りサービス等の監視システムが開発されている。これらのシステムは、独居老人に限らず、介護施設や子育て家庭、留守宅管理など、広範な適用が可能である。 例えば、特許文献1には、在宅における独居老人等の安否を監視し、異常検出時に緊急通報する安否確認システムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001−236583号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、特許文献1に開示されているシステムでは、センサーごとに、正常/異常を判定するための閾値が設定されており、センサーの検出値と閾値との比較結果に応じて、正常/異常の判定が行われる。ところが、行動パターンは利用者によって異なるため、ある利用者にとっては適切な閾値であっても、別の利用者にとっては、正常であるにもかかわらず頻繁に警報が出力される等、不適切な閾値となることが考えられる。そこで、センサーごとの閾値を利用者ごとに調整することも考えられるが、専門知識のない利用者が、自分自身の行動パターンを分析して閾値を調整することは難しい。
【0006】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、利用者の行動パターンに応じた適切な警報の出力を可能とすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一側面に係る監視方法によれば、センサーの出力に基づいて、監視対象が異常状態にあることを示すイベント信号を出力し、イベント信号に応じて、異常状態を判定するためのスコアを、該スコアの変化度合を制御するための係数に基づいて更新し、スコアに応じた警報を出力し、警報に対する利用者の応答を検出し、利用者の応答の検出結果に基づいて、係数を調整する。
【0008】
なお、本発明において、「部」とは、単に物理的手段を意味するものではなく、その「部」が有する機能をソフトウェアによって実現する場合も含む。また、1つの「部」や装置が有する機能が2つ以上の物理的手段や装置により実現されても、2つ以上の「部」や装置の機能が1つの物理的手段や装置により実現されても良い。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、利用者の行動パターンに応じた適切な警報の出力が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の一実施形態である見守りシステムの全体構成を示す図である。
【図2】監視装置の構成の一例を示す図である。
【図3】係数記憶部に格納されるデータの一例を示す図である。
【図4】スコアDBに格納されるデータの一例を示す図である。
【図5】監視装置における処理の一例を示すフローチャートである。
【図6】監視装置における処理の他の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照して本発明の一実施形態について説明する。
【0012】
図1は、本発明の一実施形態である見守りシステムの全体構成を示す図である。見守りシステムは、監視対象である家庭内の異常を検出し、異常が検出された際には警報を出力するものであり、監視装置10、センサー12、及び警報装置14を含んで構成されている。
【0013】
監視装置10は、家庭内の様々な機器に取り付けられたセンサー12の出力に基づいて、監視対象の異常を検出する装置である。ここで、監視対象とは、例えば、家庭内の環境や、居住者等である。監視装置10は、例えば、携帯電話等の携帯端末であり、利用者は、監視装置10を用いて、異常の確認や異常に対する応答を行うことができる。なお、監視装置10は、携帯端末ではなく、家庭内に設置される据え置き型の装置であってもよい。
【0014】
センサー(S)12は、エアコンや照明器具、調理器具等、家庭内の様々な機器に取り付けらており、機器の操作や動体の検出、温度の変化等に応じた検出信号を出力する。なお、センサー12から出力される検出信号には、センサー12を識別するためのセンサーIDと、センサー12での検出結果を示す検出データとが含まれている。
【0015】
警報装置14は、監視装置10において検出された異常のレベルに応じた警報を出力する装置であり、例えば、各部屋に設置される。また、警報装置14は、外部に対して警報を出力する機能を備えていてもよい。例えば、警報装置14は、事前に登録されている登録通報先に対して警報を出力したり、警察・救急・消防等の緊急通報先に対して警報を出力したりすることも可能である。なお、通報先に対する警報の出力は、例えば、電話回線やインターネット等を介して行うことができる。
【0016】
このような見守りシステムにおける基本的な監視動作の一例について説明する。例えば、監視装置10は、センサー12からの出力に基づいて異常を検出すると、警報を出力する。ここで、監視装置10が携帯端末であることとすると、まず、監視装置10自身において警報が出力される。利用者は、監視装置10において警報を確認すると警報に対する応答を行う。応答が行われると、監視装置10で出力されている警報が停止される。一方、利用者からの応答が無い場合、監視装置10は、例えば、各部屋の警報装置14に対して警報を出力するように制御信号を出力する。さらに、各部屋の警報装置14からの警報出力に対しても応答が無い場合、監視装置10は、例えば、登録通報先や緊急通報先に対して警報を出力するように警報装置14を制御することができる。また、監視装置10が例えば携帯電話である場合、監視装置10自身が登録通報先や緊急通報先に対して警報を出力することも可能である。なお、警報に対する応答は、監視装置10における操作に限らず、例えば、警報装置14に備えられている応答ボタン等を用いて行われることとしてもよい。また、応答時には、応答者の識別が行われることとしてもよい。応答者の識別は、例えば、RF−ID(Radio Frequency Identification)等の個人識別用のタグを用いることとしてもよいし、応答用のGUIを用いて、応答者を識別する情報が入力されることとしてもよい。
【0017】
次に、監視装置10の構成について説明する。図2は、監視装置10の構成の一例を示す図である。監視装置10は、イベント検出部20、係数記憶部22、スコア更新部24、スコアデータベース(DB)26、累積スコア判定部28、警報出力部30、応答検出部32、及び係数調整部34を含んで構成される。
【0018】
イベント検出部20は、センサー12からの検出信号に基づいて、異常につながり得るイベントを検出し、センサー12のセンサーIDを含むイベント信号を出力する。例えば、イベント検出部20は、各センサー12からの検出信号の間隔をタイマーで監視することによりイベントを検出することができる。例えば、イベント検出部20は、センサー12からの検出信号に基づいて、エアコンが所定時間以上操作されていないことを検出すると、イベント信号を出力することができる。この場合、例えば、居住者が屋内で倒れているためにエアコンが操作されていないことが想定される。また、例えば、イベント検出部20は、センサー12からの検出信号に基づいて、居住者の外出中に不審者の侵入を検出すると、イベント信号を出力することができる。なお、センサーからのイベント信号の受信は、無線通信により直接行われることとしてもよいし、インターネット等のネットワークを介して行われることとしてもよい。また、イベントの検出は、監視装置10ではなくセンサー12において行われてもよい。監視装置10には、利用者の操作またはセンサー12からの検出信号によって、在宅中や外出中等、居住者の状態が記憶されていることとしてもよい。
【0019】
係数記憶部22は、異常状態を判定するためのスコアをイベント信号に応じて算出する際のスコア係数をセンサーIDと対応づけて記憶する。なお、スコア係数とは、スコアの変化度合いを制御するためのものである。図3は、係数記憶部22に格納されるデータの一例を示す図である。図3に示す例では、センサーID「0001」、「0002」に対して、スコア係数「1」、「1.5」が紐付けられている。つまり、センサーID「0001」のセンサー12からのイベント信号に対しては、スコア係数「1」を用いてスコアの算出が行われ、センサーID「0002」のセンサー12からのイベント信号に対しては、スコア係数「1.5」を用いてスコアの算出が行われる。
【0020】
スコア更新部24は、センサー12からのイベント信号に応じたスコアをスコア係数を用いて算出する。そして、スコア更新部24は、スコアDB26に記憶されているセンサー12ごとの累積スコアに、算出されたスコアを加算する。例えば、スコア更新部24は、1回のイベントに対する基本スコアにスコア係数を乗じた値を当該イベントに対するスコアとして算出することができる。
【0021】
スコアDB26は、スコア更新部24によって算出されたスコアを累積した累積スコアを記憶する。図4は、スコアDB26に格納されるデータの一例を示す図である。図4に示すように、スコアDB26には、センサーID、累積スコア(現在)、及び累積スコア(過去)の項目が設けられている。そして、図4に示す例では、センサーID「0001」のセンサー12の累積スコア(現在)には「10」が設定され、累積スコア(過去)には「20」が設定されている。例えば、1回のイベントに対する基本スコアを「10」、センサーID「0001」のセンサー12に対するスコア係数を「1」とする。このとき、センサーID「0001」のセンサー12の検出信号に基づいてイベントが検出されると、当該イベントによるスコアは「10」となる。さらにもう1回同じイベントが検出されると、当該イベントによるスコアは「10」となり、累積スコア(現在)は「20」となる。累積スコア(現在)には、警報に対する応答によるクリアが行われるまでスコアが累積される。警報に対する応答が行われると、累積スコア(現在)の値が累積スコア(過去)にセットされるとともに、累積スコア(現在)の値は例えば「0」にリセットされる。なお、スコアDB26には、累積スコアではなく、算出されたスコアごとに1つのレコードが格納されることとしてもよい。なお、累積スコア(過去)には、1世代前の情報だけではなく、数世代前までの情報を格納することができる。
【0022】
累積スコア判定部28は、スコアDB26に格納されている累積スコア(現在)が、警報を出力する基準となる閾値に到達しているかどうかを判定する。なお、閾値は、警報レベルに応じて段階的に設けられている。例えば、本人通報、屋内通報、登録通報先への通報、緊急通報先への通報に対する閾値として、順に、「20」、「50」、「70」、「100」が設定されていることとすることができる。つまり、累積スコア判定部28は、累積スコア(現在)と段階的に設定された閾値との比較結果を出力する。
【0023】
警報出力部30は、累積スコア判定部28での判定結果に基づいて、累積スコア(現在)に応じた警報を出力する。例えば、段階的な閾値として、前述したように「20」、「50」、「70」、「100」が設定されている場合において、累積スコア(現在)が「20」以上であれば、警報出力部30は、本人通報、すなわち、監視装置10を所持している利用者に対する警報の出力を行う。なお、本人通報は、例えば、監視装置10からの警報音の出力や、監視装置10のバイブレーション動作等により行うことができる。また、例えば、累積スコア(現在)が「50」以上であれば、警報出力部30は、屋内通報、すなわち、各部屋に設置されている警報装置14からの警報出力を行う。なお、警報出力部30による警報装置14の制御は、例えば無線通信により行うことができる。同様に、例えば、累積スコア(現在)が「70」以上であれば登録通報先への通報が行われ、累積スコア(現在)が「100」以上であれば登録通報先への通報が行われる。また、警報出力部30は、出力した警報に関する情報を警報履歴として記憶しておくこととしてもよい。
【0024】
応答検出部32は、警報に対する応答を検出する。例えば、本人通報の場合であれば、監視装置10において入力される応答が検出される。また、屋内通報の場合、監視装置10または警報装置14において入力される応答が検出される。また、登録通報先や緊急通報先への通報の場合であれば、通報先において入力される応答が検出されることとしてもよい。そして、応答検出部32は、警報に対する応答を検出すると、警報出力部30に対して警報の出力停止を指示し、スコアDB26に格納されている累積スコア(現在)をクリアする。さらに、応答検出部32は、イベント検出部20におけるタイマーのリセット等により、イベント検出処理をリセットする。また、応答検出部32は、応答の検出結果を係数調整部34に出力する。
【0025】
係数調整部34は、応答の検出結果に基づいてスコア係数を調整する。例えば、係数調整部34は、スコアDB26を参照し、二回連続して本人通報に対して応答が行われたセンサーについて、そのセンサーのスコア係数を「1」から「0.8」に引き下げることができる。つまり、スコア係数の変更前の状態では、利用者にとっては、このセンサーの出力に基づくイベント検出が過敏であると考えられる。そのため、スコア係数が引き下げられることにより、警報が出力されにくくなるようにスコア係数が調整される。具体例として、例えば、本人通報の閾値が「20」、イベント検出ごとの基本スコアが「10」であるとする。ここで、スコア係数が「1」であれば、イベントが2回検出されるとスコアが「20」に到達して本人通報が行われる。一方、スコア係数が「0.8」であれば、イベントが2回検出されてもスコアが「16」であるため本人通報は行われず、イベントが3回検出されるとスコアが「24」となって本人通報が行われる。
【0026】
また、例えば、係数調整部34は、警報に対する応答が無い場合、すなわち無応答である場合に、警報が出力されやすくなるように係数を調整することができる。例えば、係数調整部34は、スコアの累積中において、各警報に対する応答が無い場合に、スコア係数を引き上げていくことができる。具体的には、例えば、スコア係数の初期値を「1」とすると、係数調整部34は、本人通報に対する応答が無いとスコア係数を「1.5」に変更し、さらに、屋内通報に対する応答が無いとスコア係数を「2」に変更することができる。この例の場合、本人通報に対する応答が無い時点で累積スコアは「20」となっており、この後、スコア係数が「1.5」となるため、以後、イベント検出ごとに「15」ずつスコアが加算される。そのため、通算4回目のイベント検出で、累積スコアが「20+15+15=50」となり、屋内通報レベルに到達する。この屋内通報に対しても応答が無ければスコア係数が「2」となり、以後、イベント検出ごとに「20」ずつスコアが加算される。そのため、通算5回目のイベント検出で、累積スコアが「50+20=70」となり、登録通報先への通報レベルに到達する。
【0027】
なお、係数調整部34は、警報出力や応答検出とは連動せずに、所定のタイミングでスコア係数を調整することもできる。例えば、係数調整部34は、スコアDB26を参照し、過去に出力された警報の回数や警報に対する応答の回数等に基づいて、スコア係数を調整することができる。
【0028】
図5は、監視装置10における処理の一例を示すフローチャートである。まず、イベント検出部20は、センサー12からの検出信号に基づいてイベントを検出し、イベント信号を出力する(S501)。
【0029】
イベント信号が出力されると、スコア更新部24は、当該イベント信号に設定されているセンサーIDに対応するスコア係数を係数記憶部22から取得し(S502)、当該イベントに対するスコアを算出する(S503)。そして、スコア更新部24は、スコアDB26に格納されている、当該センサーIDに対応する累積スコア(現在)に、算出されたスコアを加算する(S504)。
【0030】
累積スコア判定部28は、累積スコア(現在)が段階的に設定された各閾値以上であるかどうか判定する(S505)。累積スコア(現在)が最低レベルの閾値未満である場合(S505:NO)、警報処理が行われることなく処理は終了する。一方、累積スコア(現在)が何れかの閾値以上である場合(S505:YES)、警報出力部30は、累積スコア(現在)に応じた警報出力を行う(S506)。
【0031】
応答検出部32は、警報出力に対する応答有無を検出する(S507)。応答が検出されると(S507:YES)、応答検出部32は、警報出力部30による警報出力を停止するとともに(S508)、累積スコア(現在)をクリアする(S509)。
【0032】
そして、係数調整部34は、応答検出部32での検出結果に基づいて、当該センサーIDに対応するスコア係数を調整する(S510)。
【0033】
図6は、監視装置10における処理の他の一例を示すフローチャートである。図6の処理では、スコアの累積方法が図5の処理と異なっている。具体的には、図5の処理では、センサー12ごとにスコアが累積されることとしたが、図6の処理では、複数のセンサー12のスコアがまとめて累積されることとなっている。
【0034】
例えば、2つのセンサー12として、センサーA、センサーBがある場合を想定する。この場合、センサーA、センサーBのそれぞれに対して、図5と同様にイベントの検出及びスコアの算出処理が行われる(S601〜S603)。
【0035】
スコア更新部24は、スコアDB26に格納されている1つの累積スコア(現在)に、センサーごとに算出されたスコアを加算する(S604)。そして、この累積スコア(現在)に基づいて、図5と同様に警報出力及び係数調整処理が行われる(S605〜S610)。
【0036】
このように、複数のセンサーからの出力に応じて算出されるスコアをまとめて累計することにより、複数の異常が発生している場合に、より早期に重度の警報を出力することができる。例えば、本人通報、屋内通報、登録通報先への通報、緊急通報先への通報に対する閾値として、順に、「20」、「50」、「70」、「100」が設定されており、基本スコアが「10」、各センサーに対するスコア係数が「1」である場合を想定する。ここで、センサーA、センサーBの出力によって同時にイベントが検出されると、1回のイベント検出により累積スコアが「20」となり、本人通知が行われる。同様に、複数のセンサーの出力によって同時にイベントが検出されると、センサーごとの累積スコアで判定を行っている場合と比較して、より短い時間で通報レベルが上昇していくこととなる。
【0037】
以上、本実施形態について説明した。本実施形態では、異常有無の判断基準が不明である場合に、あえて軽微な異常検出によって警報を出力することにより、異常有無の判断を行うためのスコアの変化度合いを調整することができる。例えば、警報に対する応答によって異常が起きていないことが確認されると、異常が検出されにくくなるようにスコア係数を調整することができる。つまり、軽度とは言え、あまりに頻繁に警報が出力されると利用者にとっては煩わしいため、必要以上に警報が出力されないように利用者の行動パターンや好みを学習することができる。また、警報に対する応答がない場合には、異常が検出されやすくなるようにスコア係数を調整することができる。
【0038】
なお、本実施形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更/改良され得るととともに、本発明にはその等価物も含まれる。
【0039】
例えば、本実施形態では、累積スコアが増加するように更新されることとしたが、累積スコアが減少するように更新されることとしてもよい。例えば、累積スコアの初期値を「100」とし、イベントの検出ごとに、スコア係数に応じて算出されるスコアを減じていくこととしてもよい。この場合、累積スコアがある閾値以下になると、累積スコアに応じた警報が出力されることとなる。
【0040】
また、例えば、複数のセンサーに対する1つの累積スコアに基づいて異常有無を判定する場合であっても、スコアDB26には、センサーごとに累積スコアが格納されることとしてもよい。この場合、センサーごとの累積スコアを合算した値によって異常有無の判定を行うことができる。
【0041】
本実施形態の一部又は全部は、以下の付記のようにも記載されうるが、以下には限られない。
(付記1)センサーの出力に基づいて、監視対象が異常状態にあることを示すイベント信号を出力し、前記イベント信号に応じて、異常状態を判定するためのスコアを、該スコアの変化度合を制御するための係数に基づいて更新し、前記スコアに応じた警報を出力し、前記警報に対する利用者の応答を検出し、前記利用者の応答の検出結果に基づいて、前記係数を調整する、監視方法。
(付記2)付記1に記載の監視方法であって、前記応答の頻度に基づいて、前記係数を調整する、監視方法。
(付記3)付記1または2に記載の監視方法であって、少なくとも1回の前記応答に基づいて、前記警報が出力されにくくなるように前記係数を調整する、監視方法。
(付記4)付記1または2に記載の監視方法であって、少なくとも1回の前記警報に対する無応答に基づいて、前記警報が出力されやすくなるように前記係数を調整する、監視方法。
(付記5)付記4に記載の監視方法であって、前記警報に対する無応答が継続する間、前記イベント信号が出力されるたびに、前記警報が出力されやすくなるように前記係数を調整する、監視方法。
(付記6)付記1〜5の何れか一項に記載の監視方法であって、複数のセンサーの各々の出力に基づいて、センサーごとに前記イベント信号を出力し、各センサーからの前記イベント信号に応じて前記スコアを更新する、監視方法。
(付記7)付記6に記載の監視方法であって、センサーごとの前記係数を前記係数記憶部に記憶し、各センサーからの前記イベント信号に応じて、センサーごとの前記係数に応じた変化度合で前記スコアを更新する、監視方法。
(付記8)センサーの出力に基づいて、監視対象が異常状態にあることを示すイベント信号を出力するイベント検出部と、異常状態を判定するためのスコアを記憶するスコア記憶部と、前記スコアの変化度合いを制御するための係数を記憶する係数記憶部と、前記イベント信号に応じて、前記係数に応じた変化度合いで前記スコアを更新するスコア更新部と、前記スコアに応じた警報を出力する警報出力部と、前記警報に対する利用者の応答を検出する応答検出部と、前記応答検出部での検出結果に基づいて、前記係数を調整する係数調整部と、を備える監視装置。
(付記9)コンピュータに、センサーの出力に基づいて、監視対象が異常状態にあることを示すイベント信号を出力する機能と、前記イベント信号に応じて、異常状態を判定するためのスコアを、該スコアの変化度合を制御するための係数に基づいて更新する機能と、前記スコアに応じた警報を出力する機能と、前記警報に対する利用者の応答を検出する機能と、前記利用者の応答の検出結果に基づいて、前記係数を調整する機能と、を実現させるためのプログラム。
【符号の説明】
【0042】
10 監視装置
12 センサー
14 警報装置
20 イベント検出部
22 係数記憶部
24 スコア更新部
26 スコアデータベース(DB)
28 累積スコア判定部
30 警報出力部
32 応答検出部
34 係数調整部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
センサーの出力に基づいて、監視対象が異常状態にあることを示すイベント信号を出力し、
前記イベント信号に応じて、異常状態を判定するためのスコアを、該スコアの変化度合を制御するための係数に基づいて更新し、
前記スコアに応じた警報を出力し、
前記警報に対する利用者の応答を検出し、
前記利用者の応答の検出結果に基づいて、前記係数を調整する、
監視方法。
【請求項2】
請求項1に記載の監視方法であって、
前記応答の頻度に基づいて、前記係数を調整する、
監視方法。
【請求項3】
請求項1または2に記載の監視方法であって、
少なくとも1回の前記応答に基づいて、前記警報が出力されにくくなるように前記係数を調整する、
監視方法。
【請求項4】
請求項1または2に記載の監視方法であって、
少なくとも1回の前記警報に対する無応答に基づいて、前記警報が出力されやすくなるように前記係数を調整する、
監視方法。
【請求項5】
請求項4に記載の監視方法であって、
前記警報に対する無応答が継続する間、前記イベント信号が出力されるたびに、前記警報が出力されやすくなるように前記係数を調整する、
監視方法。
【請求項6】
請求項1〜5の何れか一項に記載の監視方法であって、
複数のセンサーの各々の出力に基づいて、センサーごとに前記イベント信号を出力し、
各センサーからの前記イベント信号に応じて前記スコアを更新する、
監視方法。
【請求項7】
請求項6に記載の監視方法であって、
センサーごとの前記係数を前記係数記憶部に記憶し、
各センサーからの前記イベント信号に応じて、センサーごとの前記係数に応じた変化度合で前記スコアを更新する、
監視方法。
【請求項8】
センサーの出力に基づいて、監視対象が異常状態にあることを示すイベント信号を出力するイベント検出部と、
異常状態を判定するためのスコアを記憶するスコア記憶部と、
前記スコアの変化度合いを制御するための係数を記憶する係数記憶部と、
前記イベント信号に応じて、前記係数に応じた変化度合いで前記スコアを更新するスコア更新部と、
前記スコアに応じた警報を出力する警報出力部と、
前記警報に対する利用者の応答を検出する応答検出部と、
前記応答検出部での検出結果に基づいて、前記係数を調整する係数調整部と、
を備える監視装置。
【請求項9】
コンピュータに、
センサーの出力に基づいて、監視対象が異常状態にあることを示すイベント信号を出力する機能と、
前記イベント信号に応じて、異常状態を判定するためのスコアを、該スコアの変化度合を制御するための係数に基づいて更新する機能と、
前記スコアに応じた警報を出力する機能と、
前記警報に対する利用者の応答を検出する機能と、
前記利用者の応答の検出結果に基づいて、前記係数を調整する機能と、
を実現させるためのプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−146138(P2012−146138A)
【公開日】平成24年8月2日(2012.8.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−4200(P2011−4200)
【出願日】平成23年1月12日(2011.1.12)
【出願人】(000004237)日本電気株式会社 (19,353)
【Fターム(参考)】