説明

監視装置、及び、プログラム

【課題】設置の際に誤って補助電源だけで起動することを防ぎ、バックアップ動作用一次電池の容量を無駄に消耗することのない監視装置を提供すること。
【解決手段】商用電源から電源を供給する主電源手段25と、停電時に一次電池から電源を供給する補助電源手段26と、主電源手段と補助電源手段の供給する電源を監視する制御手段27と、制御手段が監視する電源の状態を表示する表示手段22を備え、制御手段27が補助電源手段26の供給する電源で起動したことを検知した場合は、表示手段22が主電源手段25が動作していない旨を表示し、動作を停止する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、家庭用や業務用として設置され、火災や侵入等のセキュリティ情報を監視する監視装置、及び、プログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、これらの監視装置では、火災や侵入等のセキュリティ情報を検知すると、予め登録しておいた通報先に電話等で通報を行なったり、警報音で報知したりするものが考案されている。また、商用電源が停電した場合でもバックアップ動作ができるように、補助電源を備えたものも考案されている(例えば特許文献1参照)。
【0003】
従来これらの監視装置の補助電源としては、二次電池が多く使われてきたが、近年は停電の頻度が減少していることから、二次電池に比べ、充放電回路を省略することが可能で、また、安価に入手が可能な一次電池を使うものが提案されてきている。
【特許文献1】特開平07−093681号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、これら一次電池を補助電源とする従来の監視装置では、設置の際、主電源である商用電源を接続する前に、誤って補助電源で監視装置を動作させてしまう場合があり、バックアップ動作用一次電池の容量を、停電ではないのに消耗させてしまうという不具合があった。
【0005】
本発明は、前記従来の課題を解決するもので、誤って補助電源だけで起動することを防ぎ、一次電池の容量を知らずに無駄に消耗することのない監視装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記従来の課題を解決するために、本発明の監視装置、及び、プログラムは、起動時に主電源の状態を確認して、主電源が動作していない場合は、補助電源のみで起動されたと判断することにより、監視装置の動作を停止するよう構成した。これにより補助電源(バックアップ動作用一次電池)の容量を知らずに無駄に消耗することのない監視装置を提供することが可能となる。
【発明の効果】
【0007】
本発明の監視装置、及び、プログラムは、設置の際に誤って補助電源だけで起動することを防ぎ、バックアップ動作用一次電池の容量を知らずに無駄に消耗することのない監視装置を提供することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
第1の発明は、商用電源から電源を供給する主電源手段と、停電時に一次電池から電源を供給する補助電源手段と、前記主電源手段と前記補助電源手段の供給する電源を監視する制御手段とを備え、前記制御手段は前記補助電源手段の供給する電源では監視装置を起動しない構成とすることにより、バックアップ動作用一次電池の容量を知らずに無駄に消耗することのない監視装置を提供することが可能となる。
【0009】
第2の発明は、商用電源から電源を供給する主電源手段と、停電時に一次電池から電源を供給する補助電源手段と、主電源手段と補助電源手段の供給する電源を監視する制御手段と、制御手段が監視する電源の状態を表示する表示手段を備え、制御手段が補助電源手段の供給する電源で起動したことを検知した場合は、表示手段が主電源手段が動作していない旨を表示する構成とすることにより、ユーザーに主電源手段が動作していないことを知らしめ、注意を促すことができるので、バックアップ動作用一次電池の容量を知らずに無駄に消耗することのない監視装置を提供することが可能となる。
【0010】
第3の発明は、特に、第2の発明において、表示手段が主電源手段が動作していない旨を所定の時間表示した後、監視装置の動作を停止する構成とすることにより、ユーザーに主電源手段が動作していないことを知らしめた上で動作を停止するので、バックアップ動作用一次電池の容量を知らずに無駄に消耗することのない監視装置を提供することが可能となる。
【0011】
第4の発明は、特に、第2の発明において、表示手段が主電源手段が動作していない旨を表示するとともに、補助電源手段の供給する電源で監視装置の動作を継続する構成とすることにより、ユーザーに主電源手段が動作していないことを知らしめた上で動作を継続するので、バックアップ動作用一次電池の容量を知らずに無駄に消耗することのない監視装置を提供することが可能となる。
【0012】
第5の発明は、特に、第2の発明において、表示手段が主電源手段が動作していない旨を表示するとともに、補助電源手段の供給する電源で監視装置の動作を継続するか、動作を停止するかをユーザーが選択可能である構成とすることにより、ユーザーに主電源手段が動作していないことを知らしめた上で、ユーザーが動作の継続、または、停止を選択できるため、バックアップ動作用一次電池の容量を知らずに無駄に消耗することのない監視装置を提供することが可能となる。
【0013】
第6の発明は、特に、第1の発明において、監視の対象が、ガスや電気等のエネルギーの使用量情報、家電機器や設備機器等の稼動状態情報、火災や侵入等のセキュリティ情報の少なくとも1種類以上の情報である構成としている。この構成により、使用量情報や稼動状態情報、セキュリティ情報を監視する監視装置を提供することが可能となる。
【0014】
第7の発明は、第1〜第6のいずれか1つの発明における監視装置の手段の少なくとも一部としてコンピュータを機能させるためのプログラムである。これにより、電気・情報機器、コンピュータ、サーバー等のハードリソースを協働させて、監視装置の少なくとも一部を容易に実現することができる。また、記憶媒体に記憶したり、通信回線を用いてプログラムを配信したりすることでプログラムの配布やインストール作業が簡単にできる。
【0015】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、この実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
【0016】
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1における監視装置、及び、監視装置を利用した監視システムの構成を示すブロック図である。図1では監視対象として、家屋に不法に侵入する侵入者を監視する場合を例に挙げ説明する。
【0017】
図1において、10は監視システムであり、監視装置20とセンサ端末30A〜30Xから構成されている。
【0018】
センサ端末30A〜30Xは、侵入者を検知するため、玄関扉や窓等に設置される開閉センサや、人体の発する赤外線を検知する人感センサ等のセンサを内蔵しており、侵入者を検知すると検知信号31A〜31Xを送信する。
【0019】
監視装置20において、21はセンサ端末30A〜30Xと通信することで情報を監視する情報監視手段であり、図1の場合、検知信号31A〜31Xを受信することで侵入者の有無を監視する。
【0020】
22は表示手段であり、センサ端末の状態や監視装置の動作状態を表示する。23は操作手段であり、ユーザーからの警戒設定操作と警戒解除操作やセンサ端末30A〜30Xの登録操作などを受け付ける。警戒設定操作により、監視装置20は通報動作が有効な警戒モードに移行する。また、警戒解除操作により、監視装置20は通報動作が無効な警戒解除モードに移行する。
【0021】
24は通報手段であり、警戒モードで情報監視手段21が検知信号31A〜31Xを受信した場合に侵入者がいると判断し、通信回線80を用いて予め登録された外部の通報先90A〜90Xに通報する。外部への通報以外に警報音や画面表示等の通報動作をなっても良い。
【0022】
25は主電源手段であり、商用電源から監視装置20に必要な電源を生成する。26は補助電源手段であり、商用電源が停電した際にも監視装置20が動作を継続できるようバックアップ用一次電池から監視装置20に必要な電源を生成する。27は制御手段であり、主電源手段25と補助電源手段26の動作を監視し、監視装置20の動作を制御する。監視装置20の各構成要素は相互に通信可能となるよう通信バス200に接続されている。
【0023】
次に、本発明の実施の形態1における監視装置の状態遷移について説明する。
【0024】
図2は、本発明の実施の形態1における監視装置の状態遷移図である。
【0025】
図2において、Sは監視装置の状態(STATUSの略)をEは発生したイベント(EVENTの略)を示す。また、ここでは、監視装置には誤って電源を切ることがないよう、電源スイッチを設けていないものとして説明する。
【0026】
図2において、監視装置が停止状態(S1)から商用電源を接続、あるいは、バックアップ用一次電池が装着されることで電源が投入されると(E1)、監視装置は起動状態(S2)に移行する。起動状態(S2)では、制御手段27が主電源手段25の供給する電源で起動したのか、或いは、補助電源手段26の供給する電源で起動したのか判断し、補助電源手段26の供給する電源で起動したと判断した場合は(E2)、停止状態(S1)に移行する。
【0027】
また、起動状態(S2)において、制御手段27が主電源手段25の供給する電源で起動したと判断した場合は(E3)、動作状態に移行する。制御手段27は、主電源手段25の供給する電源の有無に基づきこれらの判断を行なうことができる。
【0028】
監視装置20は動作状態(S3)で、制御手段27が主電源手段25の供給する電源の有無から停電を検出すると(E4)、補助電源手段26の供給する電源で動作する停電動作状態(S4)に移行する。停電動作状態(S4)で、制御手段27が主電源手段25の供給する電源の有無から停電の復旧を検出すると(E5)、監視装置は主電源手段25の供給する電源で動作する動作状態(S3)に移行する。
【0029】
停電動作状態(S4)で動作中に継続動作できないほど電池26が消耗すると(E6)、監視装置は停止状態(S1)に移行する。
【0030】
監視装置20が動作状態(S3)にある場合に、ユーザーがバックアップ電池26を監視装置20に装着した場合、停電に対応可能な動作状態になる。また、ユーザーが監視装置20を商用電源に接続する前にバックアップ電池26を装着し放置した場合には、監視装置20は停止状態(S1)に戻るため、無駄な電池の消耗を防ぐことができる。そして、次に商用電源に接続することで、起動後停電に対応可能な動作状態に移行することができる。
【0031】
次に本発明の実施の形態1における起動時の動作フローついて図3を参照して説明する。ここでは、監視装置には誤って電源を切ることがないよう、電源切スイッチを設けていないものとして説明する。
【0032】
ユーザーが、監視装置20を商用電源に接続する、または、一次電池を装着し、監視装置の電源を投入すると(ステップ301)、監視装置20は起動を始める。次に、制御手段27が主電源手段25の供給する電源の有無に基づき商用電源接続の有無を判断し(ステップ302)、主電源手段25の供給する電源で起動し商用電源が接続されていると判断した場合は動作状態へ移行する(ステップ303)。
【0033】
また、補助電源手段26の供給する電源で起動し商用電源に接続されていないと判断した場合は、表示手段22で主電源手段25が動作していない旨を表示するとともに、このまま補助電源手段26の供給する電源、すなわち、バックアップ用一次電池で動作を継続するかどうかを表示し(ステップ304)、ユーザーに判断を求める(ステップ305)。ユーザーが操作手段23を用いて、起動することを選択した場合は監視装置20は動作状態に移行する(ステップ306)。また、ユーザーが停止することを選択した場合、或いは、所定の時間内に選択操作が行なわれない場合は、監視装置20は停止状態に移行する(ステップ307)。
【0034】
なお、制御手段27が補助電源手段26の供給する電源で監視装置20を起動したことを検知した場合は、表示手段22が主電源手段25が動作していない旨を表示するだけでもよいし、表示手段22が主電源手段25が動作していない旨を所定の時間表示した後、監視装置20の動作を停止してもよいし、表示手段22が主電源手段25が動作していない旨を表示するとともに、補助電源手段26の供給する電源で監視装置20の動作を継続してもよい。
【0035】
以上、監視装置とセンサ端末が通信により接続された例で説明したが、監視装置とセンサ端末を一つの筐体に構成した場合でも、無駄にバックアップ動作用の一次電池を消耗することのない監視装置を実現することが可能である。
【0036】
また、一次電池を停電時のバックアップ電源として使用する機器に本発明を適用すれば、本発明の監視装置と同様に、無駄に一次電池を消耗することのない機器を構成することが可能である。
【0037】
また、本実施の形態ではセンサ端末からのセキュリティ情報で説明したが、ガスや電気等のエネルギーの使用量情報、家電機器や設備機器等の稼動状態情報であってもよい。
【0038】
なお、本実施の形態で説明した手段は、CPU(またはマイコン)、RAM、ROM、記憶・記録装置、I/Oなどを備えた電気・情報機器、コンピュータ、サーバー等のハードリソースを協働させるプログラムの形態で実施してもよい。プログラムの形態であれば、磁気メディアや光メディアなどの記録媒体に記録したりインターネットなどの通信回線を用いて配信することで新しい機能の配布・更新やそのインストール作業が簡単にできる。
【産業上の利用可能性】
【0039】
以上のように、本発明の監視装置、及び、プログラムは、設置の際に誤って補助電源だけで起動することを防ぎ、バックアップ動作用一次電池の容量を無駄に消耗することのない監視装置を提供することができるので、家庭用、或いは、業務用の監視装置などに適用することができる。また本発明は監視装置に限らず、主電源手段と補助電源手段とを備えた装置であれば利用できる。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】本発明の実施の形態1における監視装置、及び、監視装置を利用した監視システムの構成を示すブロック図
【図2】本発明の実施の形態1における監視装置の状態遷移図
【図3】本発明の実施の形態1における監視装置の起動時の動作フローを示す図
【符号の説明】
【0041】
10 監視システム
20 監視装置
21 情報監視手段
22 表示手段
23 操作手段
24 通報手段
25 主電源手段
26 補助電源手段
27 制御手段
30A〜30X センサ端末
80 通信回線
90A〜90X 通報先

【特許請求の範囲】
【請求項1】
商用電源から電源を供給する主電源手段と、停電時に一次電池から電源を供給する補助電源手段と、前記主電源手段と前記補助電源手段の供給する電源を監視する制御手段とを備え、前記制御手段は前記補助電源手段の供給する電源では監視装置を起動しないことを特徴とする監視装置。
【請求項2】
商用電源から電源を供給する主電源手段と、停電時に一次電池から電源を供給する補助電源手段と、前記主電源手段と前記補助電源手段の供給する電源を監視する制御手段と、前記制御手段が監視する電源の状態を表示する表示手段を備え、前記制御手段が前記補助電源手段の供給する電源で監視装置を起動したことを検知した場合は、前記表示手段が前記主電源手段が動作していない旨を表示することを特徴とする監視装置。
【請求項3】
前記表示手段が前記主電源手段が動作していない旨を所定の時間表示した後、監視装置の動作を停止することを特徴とする請求項2に記載の監視装置。
【請求項4】
前記表示手段が前記主電源手段が動作していない旨を表示するとともに、前記補助電源手段の供給する電源で監視装置の動作を継続することを特徴とする請求項2に記載の監視装置。
【請求項5】
前記表示手段が前記主電源手段が動作していない旨を表示するとともに、前記補助電源手段の供給する電源で監視装置の動作を継続するか、動作を停止するかをユーザーが選択可能であることを特徴とする請求項2に記載の監視装置。
【請求項6】
監視の対象が、ガスや電気等のエネルギーの使用量情報、家電機器や設備機器等の稼動状態情報、火災や侵入等のセキュリティ情報の少なくとも1種類以上の情報である請求項1〜5のいずれか1項に記載の監視端末。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか1項に記載の監視装置の手段の少なくとも一部としてコンピュータを機能させるためのプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2006−197683(P2006−197683A)
【公開日】平成18年7月27日(2006.7.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−4789(P2005−4789)
【出願日】平成17年1月12日(2005.1.12)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】