説明

監視装置

【課題】 センサの交換および追加を容易に行える監視装置を提供することである。
【解決手段】 監視場所の異常を検知するセンサ21(22)から異常信号が入力されると監視場所の異常を認識する監視装置であって、異常信号は、センサ21(22)が平常時に出力する電圧信号に対して所定の高電圧となる電圧信号もしくは所定の低電圧となる電圧信号のいずれかに設定および変更可能とされることで課題解決を図る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、家屋等の監視装置に関し、特に、家屋等のセキュリティに適する監視装置の改良に関する。
【背景技術】
【0002】
監視装置、特に、家屋等のセキュリティ、すなわち、防犯や火災等に適する監視装置にあっては、たとえば、異常を検出するセンサと、センサが出力する異常信号を受けて監視カメラを作動させて画像を取り込む制御装置と、制御装置が取り込んだ画像が通信回線を介して伝達される監視制御サーバとを備えたものが知られている。
【0003】
この監視装置では、上記したように異常信号をトリガとして監視カメラを作動させて監視場所を撮影し、ユーザが撮影された画像を確認することができるようにしている(たとえば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2002−15390号公報(図1)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記したような監視装置にあっては、監視場所の多種の異常状況を把握できるほうがよいので、センサを監視場所への侵入者を検知する赤外線センサ以外にも、窓の開閉状況を検知するスイッチ類や、侵入者によって床に負荷される荷重を検知する荷重センサ、火災を検知する温度センサ、ガスもれを検知するガスセンサ等を備えるほうがユーザにとって好ましいことになる。
【0005】
しかし、赤外線センサは、焦電効果や熱起電力効果を利用した熱型センサの場合、赤外線の照射を受けると異常信号として照射を受けていないときの基準電圧より高い電圧を出力するが、温度センサであれば温度上昇によって素子の電気抵抗が増加するものもあれば減少するものもあり、異常信号として平常時の基準電圧より高い電圧を出力するものもあれば低い電圧を出力するものがあり、さらに、ガスセンサは、半導体型のものであれば、ガス漏れ検知時には素子の電気抵抗が減少するために平常時の基準電圧より高い電圧を異常信号をとして出力する。
【0006】
このように、センサが異常を検出したときに平常時に出力していた基準電圧より高い電圧を出力するか低い電圧を出力するかは、センス原理によってもまちまちである。
【0007】
したがって、センサから異常信号の入力を受ける監視装置にあっては、あらかじめ監視装置に備えられたセンサが出力する電圧信号が異常信号であるか否かの判断は行えるが、センサを別種や別形式のものに交換すると異常信号を認識できなくなる可能性があり、監視機能を有効とするには、指定された種類、形式のセンサを使用しなくてはならず、また、他の種類のセンサを監視装置に追加することができなかった。
【0008】
そこで、本発明は、上記不具合を改善するために創案されたものであって、その目的とするところは、センサの交換および追加を容易に行える監視装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の監視装置は、監視場所の異常を検知するセンサから異常信号が入力されると監視場所の異常を認識する監視装置において、異常信号は、センサが平常時に出力する電圧信号に対して所定の高電圧となる電圧信号もしくは低電圧となる所定の電圧信号のいずれかに設定および変更可能とされたことで、課題解決を図るものである。
【0010】
また、本発明の監視装置は、監視場所の異常を検知する個々のセンサから異常信号が入力されると監視場所の異常を認識する監視装置において、異常信号は、各センサが平常時に出力する電圧信号に対して所定の高電圧となる電圧信号もしくは低電圧となる所定の電圧信号のいずれかにセンサ毎に設定および変更可能とされたことで、課題解決を図るものである。
【発明の効果】
【0011】
本発明の監視装置によれば、センサが平常時に出力する電圧信号に対して所定の高電圧あるいは低電圧となる電圧信号を異常信号として認識するように設定および変更可能であるから、センサの種類、形式によらずセンサが異常検知したときに異常信号を認識することができ、センサを別種や別形式のものに交換するができ、監視装置の汎用性および実用性が向上され、また、また、他の種類のセンサを監視装置に追加することも可能となるのである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、図に示した実施の形態に基づき、本発明を説明する。図1は、一実施の形態における監視装置のシステム構成を示す図である。図2は、一実施の形態の監視装置における異常信号の認識を設定および変更する処理手順のフローチャートである。図3は、一実施の形態の監視装置における制御信号の出力可否を変更する処理手順のフローチャートである。図4は、一実施の形態における監視装置の異常信号入力時の作動を示すフローチャートである。
【0013】
図1に示すように、一実施の形態における監視装置は、家屋等に設置される監視カメラ1と、異常を検出するセンサを接続する複数の入力端子40,41,42,43と、センサの異常信号を受け取ると監視カメラ1を作動させて画像を取得する制御部3と、制御部3からインターネット等の通信手段4を介して画像情報を含む情報が伝達されるサーバ5とを備えて構成されている。
【0014】
なお、通信手段4は、情報通信が可能であればよいので、インターネットに限らず、有線、無線や携帯電話通信網等とされてもよい。
【0015】
以下、詳細に説明すると、監視カメラ1は、CCD(電荷結合素子、図示せず)とレンズ(図示せず)を備えており、CCDカメラとして構成され、家屋等の監視場所を撮影可能な箇所に設置され、また、上記入力端子のうち2つの入力端子40,41は、各々赤外線センサ21と、温度センサ22とに接続されている。
【0016】
そして、赤外線センサ21は、監視場所への侵入者の発する赤外線の有無をセンシングすることが可能な箇所に設置されるとともに、温度センサ22は、監視場所の温度を検出できる箇所に設置されている。
【0017】
この赤外線センサ21は、この場合、焦電効果型のセンサであって、監視場所への侵入者の発する赤外線の有無をセンシングし、平常時には低電圧の電圧信号を出力し異常時には高電圧の電圧信号を出力する。また、温度センサ22は、たとえば、温度上昇で電気抵抗が増大するサーミスタであって、平常時より温度上昇時には低電圧の電圧信号を出力する。
【0018】
この実施の形態における監視装置では、侵入者の監視場所への侵入に対しては赤外線センサ21によって異常を検知し、監視場所の温度異常に対しては温度センサ22によって温度異常を検知することになる。
【0019】
制御部3は、この実施の形態では4つの入力端子40,41,42,43と監視カメラ1が出力するアナログの画像信号をデジタル信号に変換するA/D変換機31と、入力端子40,41,42,43を介して入力されるアナログ電圧信号をデジタル信号に変換するA/D変換器32と、変換された画像信号を取り込んで画像情報を圧縮する圧縮回路34と、監視装置における制御手順を処理する主制御部35と、上記制御手順が格納されるフラッシュロム(Flash Rom)および演算処理部35が制御手順を処理する際に生成される情報を記憶するラム(Romdom access Memory)とを備えて構成される記憶装置36と、主制御部35からの指令を受けて複数の端子である出力端子37a,37b,37c,37dに制御信号を出力可能な出力制御部38と、通信手段4との情報授受を可能とする通信インターフェース39とを備えて構成されている。
【0020】
なお、監視カメラ1は、上記主制御部35に接続され、主制御部35からの指令によってズーム、パンニングおよび撮影を行うことが可能なようになっている。
【0021】
また、制御部3における出力端子37a,37b,37c,37dの一つは、監視カメラ1の撮影範囲を照射する照明装置6に接続され、また、他の出力端子37a,37b,37c,37dの一つは、警報音を発生可能な警報装置7に接続されている。
【0022】
この場合、上記出力制御部38は、制御信号としての電圧をそれぞれ照明装置6および警報装置7に出力端子37a,37b,37c,37dを介して出力できるようになっており、照明装置6を点灯および消灯できるとともに、警報装置7に警報音の発生と消滅させることができるようになっている。
【0023】
そして、この制御部3は、基本的には、赤外線センサ21や温度センサ22からの電圧信号が異常信号であると判断すると、監視カメラ1を作動させて監視場所を撮影し、この監視場所の画像を圧縮回路34で圧縮するとともに、圧縮された画像情報を自己の認識IDとともに、通信インターフェース39から通信手段4を介してサーバ5に向けて送信するようになっている。
【0024】
また、制御部3が出力制御部38を介して各出力端子37a,37b,37c,37dに出力する制御信号の出力可否の選択が可能であって、具体的には、通信手段4を介して携帯端末あるいは端末(以下、端末等という)10から制御部3に入力される指令によって、この出力可否の設定が可能なようになっている。
【0025】
したがって、たとえば、赤外線センサ21が侵入者の監視場所への侵入に対し、これを異常として検出し、電圧信号が上記入力端子40に入力され、この電圧信号が異常信号であると制御部3が判断すると、監視カメラ1の監視場所の撮影とともに照明装置6あるいは警報装置7あるいはその両方を作動させることができ、または、その両方ともを作動させないようにすることも可能である。
【0026】
なお、照明装置6の点灯を監視カメラ1の作動に先んじて行うように設定しておけば、赤外線センサ21が監視場所に侵入者があることを検知し監視カメラ1が監視場所を撮影したときに、異常発生時間が夜であっても、侵入者の特定を行うことができることになる。
【0027】
また、警報装置7に警報を発生させるようにしておけば、侵入者へタイムリーな警告を与えることができ、窃盗を未然に防止し得ることになる。
【0028】
すなわち、異常信号に対する監視装置の作動を監視カメラ1の撮影のみならず、監視装置に接続される照明装置6や警報装置7に連動させることができる。
【0029】
さらに、この監視装置にあっては、センサ手段2の異常種別に対応して、個々に異常信号を出力することができるが、この制御部3は、異常種別に対応した異常信号に対応して制御信号の出力可否をユーザが選択することができるようになっている。
【0030】
したがって、たとえば、赤外線センサ21の異常信号に対しては、照明装置6を点灯させるが、温度センサ22の異常信号に対しては警報装置7に警報音を発生させるようにすることも可能である。
【0031】
このように、この監視装置にあっては、制御信号の出力可否の選択が可能となっているので、監視装置のユーザが自己の好みにあった動作をさせることが可能であり、ユーザに設定の自由度を与えることが可能であるから、自由度の高いセキュリティシステムを実現できるのである。
【0032】
他方、サーバ5は、通信手段4との情報授受を可能とする通信インターフェース51と、制御部3から伝達される認識IDに基づいてユーザデータベース52を参照してユーザおよび監視場所を特定する特定部53と、電子メールを作成するメール作成部54と、制御部3から伝達される情報を処理する情報処理部55と、画像情報が格納される画像データベース56とを備えて構成されている。
【0033】
このサーバ5にあっては、制御部3から認識IDと画像情報とを受け取ると、特定部53が認識IDをもとにユーザデータベース52を参照してユーザおよび監視場所を特定し、情報処理部55は、画像情報を画像データベース56に記憶させ、メール作成部54は、ユーザデータベース52にあらかじめ登録されているユーザの端末等10のメールアドレスを宛先とするとともに、異常が発生した内容のメールを作成し、画像情報を添付して、上記メールアドレスに向けて電子メールを送信する。
【0034】
なお、メール作成部54は、ユーザが電子メールを受け取る端末等10に合致するように画像情報のフォーマットを変換可能であるとともに、通信インターフェース51は、上記ユーザが電子メールを受け取る端末等10に合致するように通信プロトコルを適宜変換することが可能なようになっている。
【0035】
また、サーバ5がメールを送信する場合に、電話サービスサーバを一旦介してもよい。
【0036】
また、ユーザは、監視装置に端末等10から通信手段4を介して直接アクセスして、監視カメラ1、照明装置6および警報装置7を遠隔操作できるようになっている。
【0037】
具体的には、ユーザが端末等10から指令を制御部3に遠隔操作指令を与えることによって、監視カメラ1で監視場所の撮影、監視カメラ1のパンニング、ズームさらには制御部3に制御信号を出力させることによって照明装置6の点消灯、警報装置7に警報音を発生あるいは警報音の消滅をさせることができる。
【0038】
さて、この監視装置では、センサ手段2から入力端子40,41,42,43に入力される個々の電圧信号が異常信号であることを制御部3で認識すると、所定の監視動作を行うのであるが、制御部3で認識する各異常信号を、センサ手段2が平常時に出力する電圧信号に対して所定の高電圧となる電圧信号もしくは所定の低電圧となる電圧信号のいずれかに設定および変更することが可能となっている。
【0039】
この設定は、具体的には、図2に示した処理手順によって行われ、この処理手順は制御部3の記憶装置36に格納されており、ユーザの端末等10から通信手段4を介して制御部3にアクセスがあると、割り込み処理として実行され、ステップ80で、制御部3は、認識IDおよびパスワードの入力を求める。
【0040】
そして、ユーザが端末等10から認識IDおよびパスワードが送信されると、ステップ81に移行して、制御部3は、記憶装置36に格納されている認識IDおよびパスワードを参照し、入力された認識IDおよびパスワードと合致するか否かを判断する。
【0041】
この判断の結果、認識IDおよびパスワードが合致する場合にはステップ82に移行し、そうでない場合には処理を終了し、再度のアクセスがない限り処理が再開されることはない。
【0042】
なお、上記例では認識IDを入力させているが、これに換えてユーザに固有のユーザIDを与えている場合には、ユーザIDとパスワードとの合致で判断するようにしてもよい。
【0043】
ステップ82では、ユーザは、監視装置のコントロールと出力設定のいずれかを選択する。具体的には、ユーザの端末等10の表示装置に「コントロール」、「出力設定」および「入力設定」との文字列と各文字列の前に選択ボタンを表示させ、ユーザに選択ボタンを利用して上記選択を促す。
【0044】
そして、ユーザが監視装置のコントロールを選択するときには、上記した遠隔操作処理に移行し、出力設定を選択するときには、後述する出力設定処理に移行し、入力設定を選択するときにはステップ83に移行する。
【0045】
ステップ83では、異常信号が入力される入力端子の選択が行われる。この実施の形態においては、赤外線センサ21あるいは温度センサ22が接続された入力端子40,41が選択されることになる。具体的には、入力端子が4つあるので、ユーザの端末等10の表示装置に「入力1」、「入力2」、「入力3」および「入力4」との文字列と各文字列の前に選択ボタンを表示させ、ユーザに選択ボタンを利用して上記選択を促す。
【0046】
なお、「入力1」という文字列に「赤外線センサ」という文字列を関連付けることができる場合には、「入力1」の文字列の代わりに、「赤外線センサ」を表示させてもよい。また、「入力2」についても同様に「温度センサ」を表示させてもよい。
【0047】
そして、ステップ84では、ユーザによる選択されたセンサに関連する入力設定が行われる。この実施の形態では、入力端子40,41,42,43が4つあるので、入力端子40,41,42,43毎に、個々の入力端子に接続されるセンサが平常時に出力する電圧信号より所定の高い電圧の電圧信号を制御部3に異常信号と認識させる場合は、「high」を、逆に、平常時の電圧信号より所定の低い電圧の電圧信号を異常信号と認識させる場合は、「low」を、ユーザに選択させるように、端末等10の表示装置に「high」および「low」を表示させてユーザの選択を促し、ユーザの選択が終了すると、制御部3はその設定情報を記憶装置36に格納する。
【0048】
なお、設定情報は、たとえば、入力端子40,41,42,43が4つあるので、異常信号設定値I(N=1,2,3,4)として、赤外線センサ21の異常信号に関連する設定情報であれば、異常信号設定値Iの値が設定され、温度センサ22の異常信号に関連する設定情報であれば、異常信号設定値Iの値が設定されて、それぞれ記憶装置36のフラッシュロムに格納される。
【0049】
また、異常信号設定値I(N=1,2,3,4)の値は、highを意味する1かlowを意味する0に設定される。
【0050】
そして、この実施の形態の場合、制御部3による各入力端子40,41,42,43から入力される電圧信号が異常信号であることの認識は、上述した異常信号設定値Iに基づいて、決定されることになる。
【0051】
続いて、ステップ85では、入力設定を終了するかをユーザに促すために、ユーザの端末等10の表示装置に「設定終了」、「設定を継続する」との文字列と各文字列の前に選択ボタンを表示させ、ユーザに選択ボタンを利用して上記選択を促す。
【0052】
そして、ユーザが設定終了を選択するときには、この設定処置を終了し、設定を継続することをユーザが望む場合には、ステップ83に移行する。
【0053】
上記設定が終了すると、制御部3は、再起動処理を行う。再起動時には、OS(オペレーティングシステム)に続いて監視装置プログラムが実行されるが、このとき、上記ステップ84で記憶装置36のフラッシュロムに格納された異常信号設定値Iが一度だけ読み込まれ、上記監視装置プログラムの実行に当たっては、上記読み込まれた異常信号設定値Iは、その後の監視装置プログラム上の処理中、常に有効な値とされる。
【0054】
したがって、この再起動処理が行われない限りは、ステップ84で設定される出力設定値は、有効とはならず、再起動処理が行われて初めて、出力設定によって変更される出力設定値は有効となる。
【0055】
また、制御部3は、この再起動処理を行うときに、サーバ5に識別IDとともに再起動処理を行った旨および上記出力設定値の情報を再起動情報として送信する。
【0056】
この送信を受けたサーバ5では、まず、特定部53が識別IDに基づいてユーザデータベース52を参照してユーザおよび監視場所を特定し、続いて、メール作成部54がユーザデータベースに登録されたメールアドレス宛に、監視装置が再起動した旨とステップ84で設定した異常信号設定値Iの内容をテキストとして電子メールを作成し、ユーザの端末等10に送信する。
【0057】
したがって、ユーザは、監視装置における出力設定を変更した場合には、必ず、監視装置が再起動したことを確認できるとともに、自己が変更した異常信号設定値Iを再度確認することができる。
【0058】
なお、上記したところでは、センサ手段2が平常時に出力する電圧信号に対して所定の高電圧あるいは低電圧となる電圧信号を異常信号として認識するように設定および変更することとしているが、所定の高電圧および所定の低電圧の値を設定および変更することができるようにしてもよい。
【0059】
そして、この監視装置にあっては、上記したように、センサ手段2が平常時に出力する電圧信号に対して所定の高電圧あるいは低電圧となる電圧信号を異常信号として認識するように設定および変更可能であるから、センサの種類、形式によらずセンサが異常検知したときに異常信号を認識することができ、センサを別種や別形式のものに交換するができ、監視装置の汎用性および実用性が向上され、また、また、他の種類のセンサを監視装置に追加することも可能となるのである。
【0060】
つづいて、ステップ82でユーザが「出力設定」を選択した場合には、図3に示した処理手順によって制御部3の出力端子37a,37b,37c,37dへの制御信号出力可否の設定が行われる。
【0061】
ステップ90では、異常信号を出力するセンサの選択が行われる。この実施の形態においては、具体的には、赤外線センサ21あるいは温度センサ22が選択されることになる。この実施の形態では入力端子が4つあるので、ユーザの端末等10の表示装置に「入力1」、「入力2」、「入力3」および「入力4」との文字列と各文字列の前に選択ボタンを表示させ、ユーザに選択ボタンを利用して上記選択を促す。
【0062】
なお、「入力1」という文字列に「赤外線センサ」という文字列を関連付けることができる場合には、「入力1」の文字列の代わりに、「赤外線センサ」を表示させてもよい。また、「入力2」についても同様に「温度センサ」を表示させてもよい。
【0063】
そして、ステップ91では、ユーザによる選択されたセンサに関連する出力設定が行われる。この実施の形態では、出力端子37a,37b,37c,37dが4つあるので、出力端子37a,37b,37c,37d毎にon、offの選択が行われ、ユーザの選択が終了すると、制御部3はその設定情報を記憶装置36に格納する。
【0064】
なお、設定情報は、たとえば、出力端子37a,37b,37c,37dが4つあるので、出力設定値FXN(X=1,2,3,4、N=1,2,3,4)として、赤外線センサ21の異常信号に関連する設定情報であれば、出力設定値F1N(N=1,2,3,4)の値が設定され、温度センサ22の異常信号に関連する設定情報であれば、出力設定値F2N(N=1,2,3,4)の値が設定されて、それぞれ記憶装置36のフラッシュロムに格納される。
【0065】
また、出力設定値FXN(X=1,2,3,4、N=1,2,3,4)の値は、onを意味する1かoffを意味する0に設定される。
【0066】
そして、この実施の形態の場合、各出力端子37a,37b,37c,37dへの制御信号の出力の可否は、上述した出力設定値FXNに基づいて、決定されることになる。
【0067】
続いて、ステップ92では、出力設定を終了するかをユーザに促すために、ユーザの端末等10の表示装置に「設定終了」、「設定を継続する」との文字列と各文字列の前に選択ボタンを表示させ、ユーザに選択ボタンを利用して上記選択を促す。
【0068】
そして、ユーザが設定終了を選択するときには、この設定処置を終了し、設定を継続することをユーザが望む場合には、ステップ90に移行する。
【0069】
上記設定が終了すると、制御部3は、入力設定処理の終了時と同様に再起動処理を行う。再起動時には、OS(オペレーティングシステム)に続いて監視装置プログラムが実行されるが、このとき、上記ステップ94で記憶装置36のフラッシュロムに格納された出力設定値FXNが一度だけ読み込まれ、上記監視装置プログラムの実行に当たっては、上記読み込まれた出力設定値FXNは、その後の監視装置プログラム上の処理中、常に有効な値とされる。
【0070】
したがって、この再起動処理が行われない限りは、ステップ91で設定される出力設定値は、有効とはならず、再起動処理が行われて初めて、出力設定によって変更される出力設定値は有効となる。
【0071】
また、制御部3は、この再起動処理を行うときに、サーバ5に識別IDとともに再起動処理を行った旨および上記出力設定値の情報を再起動情報として送信する。
【0072】
この送信を受けたサーバ5では、まず、特定部53が識別IDに基づいてユーザデータベース52を参照してユーザおよび監視場所を特定し、続いて、メール作成部54がユーザデータベースに登録されたメールアドレス宛に、監視装置が再起動した旨と出力設定値の内容をテキストとして電子メールを作成し、ユーザの端末等10に送信する。
【0073】
したがって、ユーザは、監視装置における出力設定を変更した場合には、必ず、監視装置が再起動したことを確認できるとともに、自己が変更した出力設定値を再度確認することができる。
【0074】
そして、上記電子メールをユーザが受け取らない場合には、監視装置が再起動処理を行っていないことになるので、変更した異常信号設定値や出力設置値が有効になっていないことを確認することができ、ユーザは、設定変更に失敗したことを確認することができ、これにより、設定変更ミスに気づかずに監視装置を運用してしまう危険がない。
【0075】
さらに、ユーザが監視装置の設定変更を行っていないのに、異常信号設定値や出力設定値が変更された場合には、上記電子メールを受け取ることで、第三者が勝手に異常信号設定値や出力設定値を変更したか、何らかの理由、たとえば、電源が一度offされたこと等により監視装置が再起動したことをユーザが知ることができ、異常信号設定値や出力設定値情報の確認により同設定値の勝手な変更や、異常信号設定値や出力設定値に異常がない場合には監視装置の異常を直ちに認識することができ、ユーザは、これらの異常事態に直ちに対処することができる。
【0076】
すなわち、この監視装置にあっては、作動についての設定自由度が高められているだけでなく、ユーザが異常事態に直ちに対処することができるので安全度を高めることができるのである。
【0077】
なお、再起動処理時に再起動した情報のみを送信するようにしてもよいが、この場合には監視装置自体の異常か出力設定値の変更があったかを直ちに把握することはできないが、ユーザにいち早く異常を知らせて監視装置にアクセスする機会を与えることができ、ユーザは、遠隔操作で監視場所を目で確認することができるので、防犯性能が向上する。
【0078】
また、この実施の形態においては、再起動時にはサーバ5に電子メールを作成させてユーザの端末等10に電子メールを送信するようにしているが、これにかえて、ユーザの携帯端末が携帯電話である場合には、直接的に制御部3から該携帯電話に電話してユーザに音声によって再起動処理をした旨を伝達するようにしてもよい。
【0079】
ちなみに、本実施の形態においては、異常信号設定値の設定および変更、出力設定値の設定および変更や、遠隔操作にあたって、ユーザの端末等10から直接制御部3にアクセスするようにしているが、これをサーバ5にアクセスするようにして、サーバ5の図示しない記憶装置に上記した出力変更や遠隔操作の処理を実行する為のプログラムを格納しておき、制御部3には、出力設定値の変更および遠隔操作に必要となる最低限の情報を送信するようにしておいてもよく、また、制御部3に直接にキーボード等の情報入力装置を接続して情報入力することが可能な場合には、この情報入力装置から直接制御部3にアクセスして上記設定および変更、監視カメラ等の操作を行えるようにしてもよい。
【0080】
このように構成された監視装置の動作について、図4に示したフローチャートに即して説明する。
【0081】
ステップ100では、監視装置は、センサ手段2からの異常信号が入力されているか否かを判断し、異常信号の入力がある場合には、ステップ101へ移行し、異常信号の入力がない場合、繰り返し異常信号が入力されるまで繰り返し入力の有無を判断し続ける。
【0082】
この異常信号の入力があったか否かの判断は、入力端子40,41,42,43毎に入力された電圧信号が上記した異常信号設定値Iで設定される判断基準に合致しているか否かによって判断されることになる。
【0083】
なお、このステップ100での判断は、センサ手段2の赤外線センサ21あるいは温度センサ22あるいはその両方が異常信号を出力する場合には、異常信号ありと判断する。また、他の入力端子42,43にセンサを追加する場合には、これも同様に異常信号の入力があれば、異常信号ありと判断されることになる。
【0084】
つづいて、ステップ101では、制御部3は、各出力端子37a,37b,37c,37dへの制御信号を出力するための出力フラグZ(N=1,2,3,4)を生成する。
【0085】
出力フラグZは、それぞれ1つの出力端子37a,37b,37c,37dに制御信号を出力すべきか否かを示す値であって、この実施の形態においては、出力フラグZは出力端子37aに対応し、以下、出力フラグZは出力端子37bに、出力フラグZは出力端子37cに、出力フラグZは出力端子37dに、それぞれ対応している。
【0086】
この出力フラグZの生成にあたり、赤外線センサ21のみが異常信号を出力している場合には、出力フラグZ=F1Nとし、温度センサ22のみが異常信号を出力している場合には、出力フラグZ=F2Nとし、赤外線センサ21および温度センサ22の両方が異常信号を出力している場合には、出力フラグZの値はF1NとF2Nの論理和の値とされる。
【0087】
つづいて、ステップ102では、出力フラグZのうち、値が1である場合には対応する出力端子37a,37b,37c,37dに制御信号を出力する。
【0088】
さらに、ステップ103では、制御部3は監視カメラ1を駆動して監視場所を撮影し、この画像情報を圧縮回路34で圧縮し、一旦記憶装置に格納する。
【0089】
そして、ステップ104では、制御部3は、上記圧縮された画像情報を識別IDとともに通信インターフェース39から送信する。
【0090】
つづいて、ステップ105に移行し、制御部3は、任意に設定される時間が経過すると、制御信号の出力を停止して、この処理を終了する。
【0091】
この監視装置では、上記したステップ100からステップ105までの処理を繰り返し行い、常に監視場所の異常を検出し、監視場所を監視し続ける。
【0092】
監視場所における処理は以上の通りであるが、他方、サーバ5は、ステップ104で制御部3からの情報を受信すると、特定部53でユーザの特定を行い、メール作成部54がユーザの端末等10宛に、異常を検知した旨のテキストおよび画像情報を送信する。なお、この電子メールのテキスト中に、異常発生時間の情報を入れておくとしてもよい。
【0093】
また、制御出力の停止については、ユーザが端末等10から遠隔操作指令を制御部3に送ることで停止することができるようにしておいてもよい。
【0094】
このように、センサ手段2が平常時に出力する電圧信号に対して所定の高電圧あるいは低電圧となる電圧信号を異常信号として認識するように設定および変更可能であるから、ユーザに設定の自由度を与えることが可能であるから、自由度の高いセキュリティシステムを実現できるのである。
【0095】
そして、たとえば、この監視装置にあっては、異常信号に対する監視装置の作動を監視カメラ1の撮影のみならず、監視装置に接続される照明装置6や警報装置7に連動させることができ、または、その両方ともを作動させないようにすることも可能であり、異常発生時間が夜であっても、侵入者の特定を行うことができるようになり、侵入者へタイムリーな警告を与えることができ、窃盗を未然に防止し得ることになる。
【0096】
なお、出力端子の形状や制御信号については任意に設定されるが、たとえば、出力端子の形状とコンセントと同形状としておき、制御信号を交流100V電圧としておくと、特に防犯用や災害用に用いられる機器のみならず、ラジオ、テレビジョン、洗濯機等々の家庭用生活機器を作動させることもでき、そうすることによって無人の監視場所に侵入した侵入者に生活音を知覚させることができ、窃盗を未然に防止することも可能である。
【0097】
また、本実施の形態においては、センサ手段2は、赤外線センサ21と温度センサ22とを備えているが、他のセンサで監視場所の異常を検知してもよいし、また、上記二つのセンサに加えて窓の開閉をセンシングするセンサやガス漏れや煙を検知するセンサを増やしてもよく、さらに、制御信号を出力する端子を増減させることも可能である。
【0098】
なお、上記した制御処理手順、入力および出力設定処理手順は、一例であるので、監視装置の仕様等によって最適となるようにこれを変更することが可能である。
【0099】
以上で、本発明の実施の形態についての説明を終えるが、本発明の範囲は図示されまたは説明された詳細そのものには限定されないことは勿論である。
【図面の簡単な説明】
【0100】
【図1】一実施の形態における監視装置のシステム構成を示す図である。
【図2】一実施の形態の監視装置における異常信号の認識を設定および変更する処理手順のフローチャートである。
【図3】一実施の形態の監視装置における制御信号の出力可否を変更する処理手順のフローチャートである。
【図4】一実施の形態における監視装置の異常信号入力時の作動を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0101】
1 監視カメラ
2 センサ手段
21 赤外線センサ
22 温度センサ
3 制御部
31,32a,32b,32c,32d A/D変換器
34 圧縮回路
35 主制御部
36 記憶装置
37a,37b,37c,37d 端子たる出力端子
38 出力制御部
39 通信インターフェース
4 通信手段
5 サーバ
6 照明装置
7 警報装置
40,41,42,43 入力端子

【特許請求の範囲】
【請求項1】
監視場所の異常を検知するセンサから異常信号が入力されると監視場所の異常を認識する監視装置において、異常信号は、センサが平常時に出力する電圧信号に対して所定の高電圧となる電圧信号もしくは所定の低電圧となる電圧信号のいずれかに設定および変更可能とされたことを特徴とする監視装置。
【請求項2】
監視場所の異常を検知する個々のセンサから異常信号が入力されると監視場所の異常を認識する監視装置において、異常信号は、各センサが平常時に出力する電圧信号に対して所定の高電圧となる電圧信号もしくは低電圧となる所定の電圧信号のいずれかにセンサ毎に設定および変更可能とされたことを特徴とする監視装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2006−302054(P2006−302054A)
【公開日】平成18年11月2日(2006.11.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−124426(P2005−124426)
【出願日】平成17年4月22日(2005.4.22)
【出願人】(000000929)カヤバ工業株式会社 (2,151)
【Fターム(参考)】