説明

監視装置

【課題】電気機器個々の稼動状態を精度良く監視できるようにする。
【解決手段】本実施形態の監視装置は、記憶手段と、検知手段と、生成手段と、送信手段とを有する。記憶手段は、自装置を介して電源に接続される電気機器の種類を所定の管理装置で識別させる識別情報を記憶する。検知手段は、前記電気機器の消費電力値、前記消費電力値に対応する電流値または電圧値のいずれかを検知する。生成手段は、前記検知手段で検知された検知値と、前記電気機器固有に設定される閾値とに基づいて、前記電気機器の利用状況を前記管理装置に通知する監視情報を生成する。送信手段は、前記生成手段で生成された監視情報と、前記識別情報とを対応付けて前記管理装置に送信する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、監視装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、遠隔地に居る者の映像をディスプレイに表示させながら、遠隔地に居る者と通話するテレビ電話システムが知られている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、従来のテレビ電話システムでは、相手先が特別な応答操作をしなければ相手先の映像をディスプレイに表示させて確認することができないものであり、遠隔地に居る者(例えば、一人暮らしの高齢者)の生活または安否を見守る技術としては不十分であるなどの課題がある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本実施形態の監視装置は、記憶手段と、検知手段と、生成手段と、送信手段とを有する。記憶手段は、自装置を介して電源に接続される電気機器の種類を所定の管理装置で識別させる識別情報を記憶する。検知手段は、前記電気機器の消費電力値、前記消費電力値に対応する電流値または電圧値のいずれかを検知する。生成手段は、前記検知手段で検知された検知値と、前記電気機器固有に設定される閾値とに基づいて、前記電気機器の利用状況を前記管理装置に通知する監視情報を生成する。送信手段は、前記生成手段で生成された監視情報と、前記識別情報とを対応付けて前記管理装置に送信する。
【図面の簡単な説明】
【0005】
【図1】図1は、監視システムの概略構成を示す図である。
【図2】図2は、電気機器識別テーブルの一構成例を示す模式図である。
【図3】図3は、監視装置の概略的な外観構成を示す斜視図である。
【図4】図4は、監視装置のハードウェア構成を示すブロック図である。
【図5】図5は、監視装置の処理手順を示すフローチャートである。
【図6】図6は、電気機器の消費電力の一例を示す消費電力表である。
【図7】図7は、監視装置の処理手順を示すフローチャートである。
【図8】図8は、図7に示す処理手順の変形例を示すフローチャートである。
【図9】図9は、他の実施形態の監視装置の概略的な外観構成を示す斜視図である。
【図10】図10は、他の実施形態の監視装置のハードウェア構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0006】
以下、実施形態について添付図面を参照して説明する。
【0007】
なお、本実施形態の監視装置は、概略的には、監視者が、遠隔地に居る被監視者(例えば、一人暮らしをしている身内(特に、高齢者))の生活や安否を見守るための監視システムで利用される装置である。
【0008】
図1は、本実施形態に係る監視装置1を適用した監視システム100の概略構成を示す図である。
【0009】
図1に示すように、この監視システム100では、被監視者の居所に設けられている商用または自家発電などによる各電源のコンセントC1、C2(図1の例では、2つであり、以下、両者を区別しない場合には、単に「電源コンセントC」という。)に、本実施形態の各監視装置1A、1B(図1の例では、2つであり、以下、両者を区別しない場合には、単に「監視装置1」という。)が接続されている。
【0010】
また、各監視装置1A、1Bには、被監視者の居所に設置されている家電製品である各電気機器E1、E2(図1の例では、電子レンジと、掃除機の2つであり、以下、両者を区別しない場合には、単に「電気機器E」という。)がそれぞれプラグP1、P2(図1の例では、2つであり、以下、両者を区別しない場合には、単に「プラグP」という。)を介して接続されている。
【0011】
そして、各電気機器E1、E2は、各監視装置1A、1Bを介して各電源コンセントC1、C2にそれぞれ接続されるようになっており、各監視装置1A、1Bの電力分配部101(図4参照)を介して各電源コンセントC1、C2からそれぞれ電力の供給を受けるようになっている。
【0012】
また、各監視装置1A、1Bは、無線LAN(Local Area Network)などの通信手段により、被監視者の居所に設置されている中継装置Rと通信可能に接続されている。そして、中継装置Rが、インターネットや電話回線などのネットワークNを介して監視者の管理下にある所定の管理装置Hと通信可能に接続されている。
【0013】
即ち、概略的には、本実施形態の監視システム100では、各監視装置1が、自己に接続される電気機器Eの消費電力を監視して、自装置に固有に割り振られた識別情報(以下、単に「ID」という。)、即ち、各監視装置1に接続される電気機器Eの種類を管理装置Hに識別させるためのIDと、それに関連付けされた電気機器Eの被監視者による利用状況を管理装置Hに認識させるための情報(例えば、電気機器Eの利用開始や利用終了を通知する情報や、電気機器Eをいつ、どれ位の間使用したのかを示す利用時間の情報など)(以下、単に「監視情報」という。)とを、無線LANなどの通信手段により中継装置Rに送信する。そして、中継装置Rが、各監視装置1から受信した情報(IDおよび監視情報)をネットワークNを介して管理装置Hに送信する。
【0014】
そして、管理装置Hが、受信した情報(IDおよび監視情報)と、図2に示す電気機器識別テーブルTに登録されている登録情報とから、電気機器Eの利用状況(例えば、いずれの電気機器Eの利用開始や利用終了、どの電気機器Eがいつ、どれ位の間使用されたのかなど)を認識し、その認識結果と、行動レポジトリデータベースDに登録されている被監視者の日常の生活における行動パターンとを照らし合わせるとともに、時計の時刻情報などから、被監視者の行動を分析し、被監視者の生活や安否を監視者に報知する。
【0015】
なお、図2に示す電気機器識別テーブルTは、監視装置1、即ち、監視装置1に接続される電気機器Eを識別するためのID(例えば、「001」など)と、それに対応付けられた電気機器Eの種類(例えば、「電子レンジ」など)を示す情報とを対応付けて登録しているテーブルである。
【0016】
即ち、管理装置Hは、例えば、ID「001」と、それに関連付けられた監視情報(例えば、AM7:00に電気機器Eが稼働開始したことを示す情報や、AM7:00に1分間使用したことを示す情報)とを受信した場合、「001」で電気機器識別テーブルTを検索し、「001」に対応付けられた電気機器Eの種類を示す情報(電子レンジ)から、電気機器Eの種類を「電子レンジ」と特定し、電子レンジがAM7:00に使用されたことを認識するという認識結果(1)を得る。
【0017】
また、図1に示す行動レポジトリデータベースDには、被監視者の日常の生活における行動パターンとして、例えば、「AM7:00に牛乳を電子レンジで1分間温める行動を取る」ことを示す行動パターン(1)や、「AM7:30に掃除機を30分間使用する行動を取る」ことを示す行動パターン(2)などが登録される。
【0018】
即ち、管理装置Hでは、例えば、前記した認識結果(1)を得た場合に、行動レポジトリデータベースDに登録されている行動パターン(1)とを照らし合わせるとともに、その時の時計の時刻情報などから、被監視者が日常の行動パターンをしていて、安全であることを監視者に報知する。また、管理装置Hでは、例えば、所定時刻(AM7:00過ぎの一定時間の間など)になっても前記した認識結果(1)を得られなかった場合には、被監視者が日常の行動をしていないと認識し、被監視者が安全でない状態(倒れているなど)またはその可能性があることを監視者に報知する。
【0019】
なお、管理装置Hでは、中継装置Rから情報を受信した時刻を、受信した情報に対応付けて管理することも可能である。
【0020】
また、管理装置Hとしては、被監視者(一人暮らしの高齢者)の身内またはその身内から依頼された者である監視者の管理下にある情報処理装置であれば良く、例えば、据置型または携帯型のパーソナルコンピュータや、携帯型の情報処理端末や、携帯電話機などを利用することが可能である。
【0021】
図3は、本実施形態に係る監視装置1の概略的な外観構成を示す斜視図である。
【0022】
図3に示すように、この監視装置1は、一般的に良く知られているソケットのような形状をした本体ハウジング10を有している。
【0023】
そして、本体ハウジング10の一端面(図3では、上端面)10aには、電気機器EのプラグP(即ち、一対の電源用の栓刃p1、p2(図4参照))が挿し込まれる一対の電源用の刃受け部11A、11Bが設けられている。また、本体ハウジング10の一端面(図3では、下端面)10bには、電源コンセントC(即ち、一対の刃受け部(c1、c2またはc3、c4)(図4参照))に挿し込まれる一対の電源用の栓刃12A、12Bが設けられている。
【0024】
また、本体ハウジング10の一側面10cには、中継装置Rに所定の情報(前記したIDおよび監視情報)を送信するための通信窓13が設けられている。
【0025】
更に、本体ハウジング10の一側面10dには、電気機器Eの被監視者による利用状況を検出するための閾値の設定を指示するための押下スイッチタイプの閾値設定指示部14が設けられている。
【0026】
図4は、監視装置1の本体ハウジング10内のハードウェア構成を示すブロック図である。
【0027】
図4に示すように、監視装置1は、電力分配部101と、制御部102と、電力検知部103と、情報送信部104と、ID記憶部105と、閾値記憶部106とを備えている。
【0028】
ここで、電力分配部101は、電源コンセントC(図4の例では、電源コンセントC1)から電源用の栓刃12A、12Bを介して供給される電力を、監視装置1の各負荷部(102〜106)と、監視装置1に接続される電気機器E(図4の例では、電気機器E1)に分配するための電源HUB機能を有する装置である。
【0029】
制御部102は、この監視装置1全体を制御するためのものであり、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)などで構成される。
【0030】
そして、この制御部102は、CPUがROMに格納される制御プログラムをRAMに展開して実行することにより、バスBを介して接続される各種構成要素(103〜106)の動作を制御し、後述の図5および図7に示す処理手順を実行する機能を実現する。
【0031】
電力検知部103は、監視装置1に接続される電気機器Eの消費電力値を検知するものである。
【0032】
情報送信部104は、無線LAN機能などを用いて、通信窓13を介して中継装置Rに所定の情報(前記したIDおよび監視情報)を送信するものである。
【0033】
ID記憶部105は、前記したID、即ち、監視装置1に固有に割り振られ、監視装置1に接続される電気機器Eの種類を管理装置Hに認識させるためのID(識別情報)を記憶するための記憶手段であり、例えば、不揮発性メモリなどで構成される。
【0034】
なお、本実施形態の監視装置1は、どの電気機器Eが接続されるのかが事前に決定されており、その結果、その電気機器Eに対応したIDが予めID記憶部105に記憶されているようになっているが、これとは別に、ID記憶部105に記憶されるID(電気機器毎に固有のID)を設定するID設定手段を更に設けるようにすることも可能である。
【0035】
閾値記憶部106は、前記した閾値、即ち、電気機器Eの被監視者による利用状況(具体的には、電気機器Eの待機時以外の通常の稼動状態)を検出するための閾値を記憶するための記憶手段であり、例えば、不揮発性メモリなどで構成される。
【0036】
なお、図4の例では、ID記憶部105と閾値記憶部106とを個別に備える形態を示しているが、それらを一つの不揮発性メモリで構成することも可能である。
【0037】
次に、前記説明した構成を有する監視装置1における各種処理動作について図5〜図7を用いて説明する。
【0038】
図5は、閾値を設定する場合の監視装置1の処理手順を示すフローチャートである。
【0039】
なお、図5に示す処理を開始する前の準備段階として、まず、被監視者や監視者などの操作者により、監視装置1が電源コンセントCに接続される。
【0040】
そして、図5に示すように、まず、前記操作者により、閾値設定指示部14のスイッチが選択押下(長押しなど)されると、閾値設定指示部14から制御部102に対して閾値の設定を指示する信号が入力される(ステップS101)。
【0041】
すると、制御部102のCPUが、待機電力設定モードに状態遷移する。即ち、制御部102のCPUが、監視装置1に接続される電気機器Eの待機電力を検知するモードに遷移する。そして、この状態で、前記操作者により、監視装置1に電気機器EのプラグPが接続されると、制御部102のCPUが、電力検知部103を用いて、監視装置1に接続された電気機器Eの待機電力を検知する(ステップS102)。
【0042】
続いて、制御部102のCPUが、ステップS102で検知された待機電力に基づいて、電気機器Eの被監視者による利用状況を検出するための閾値として設定し、閾値記憶部106に保持させる(ステップS103)。具体的には、ステップS103の処理では、検知された待機電力の値、または、その待機電力の値より所定数W(例えば、0.5W、1W、2Wなど)高めの電力値を、閾値として設定する。
【0043】
ここで、図6の消費電力表T1を用いて、図5の処理手順の具体的な処理の一例について説明する。
【0044】
なお、図6は、種々の電気機器(家電製品)Eの消費電力(待機時の消費電力(以下、単に「待機電力」という。)、および、待機時以外の通常動作を行う稼動時の消費電力(以下、単に「稼動電力」という。))の一例を示す消費電力表T1である。
【0045】
例えば、監視装置1に接続される電気機器が、図6に示す消費電力特性を有する「電子レンジ」E1である場合の閾値の設定について説明する。
【0046】
この場合、ステップS102において、待機電力の値として「1W」が検知される。すると、ステップS103において、待機電力の値「1W」、または、それより所定数W高めの電力値(例えば、2Wなど)を、閾値として設定し、閾値記憶部106に保持させる。
【0047】
図7は、監視装置1に接続された電気機器Eの待機時以外の稼動状態を管理装置Hに認識させるためのIDおよび監視情報を送信する場合の監視装置1の処理手順を示すフローチャートである。
【0048】
なお、図7に示す処理が開始される前の準備段階として、前記操作者により、監視装置1が電源コンセントCに接続され、前記操作者により監視装置1に電気機器Eが接続される。
【0049】
そして、図7に示すように、まず、監視装置1では、ステップS201およびステップS202において、制御部102のCPUが、電力検知部103を用いて、監視装置1に接続される電気機器Eの消費電力値が、図5の処理手順で設定された閾値を上回ったか否かを監視している。なお、この図7の処理においては、処理速度の向上のために、閾値記憶部106に保持された閾値をRAM上に展開させておき、制御部102のCPUが、RAM上に展開されている閾値を使用するようにしても良い。
【0050】
そして、ステップS201およびステップS202の監視の結果、制御部102のCPUが、監視装置1に接続される電気機器Eの消費電力が閾値を上回ったと判定した場合(ステップS202:Yes)、続いて、制御部102のCPUが、情報送信部104を用いて、監視装置1に接続される電気機器Eの被監視者による利用開始を通知する監視情報(例えば、待機状態から通常の稼動状態に遷移した旨や、待機電力を消費しない電気機器が電力消費を開始した旨などを示す情報)を生成し、その生成した監視情報と、ID記憶部105に記憶されているIDとを関連付けたものを中継装置Rに送信する(ステップS203)。すると、中継装置Rが受信した情報(被監視者による利用開始を示す監視情報およびID)をネットワークNを介して管理装置Hに送信する。
【0051】
続いて、監視装置1では、ステップS204およびステップS205において、制御部102のCPUが、電力検知部103を用いて、監視装置1に接続される電気機器Eの消費電力が閾値を下回ったか否かを監視している。
【0052】
そして、ステップS204およびステップS205の監視の結果、制御部102のCPUが、監視装置1に接続される電気機器Eの消費電力が閾値を下回ったと判定した場合(ステップS205:Yes)、続いて、制御部102のCPUが、情報送信部104を用いて、監視装置1に接続される電気機器Eの被監視者による利用終了を通知する監視情報(例えば、通常の稼動状態から待機状態に遷移した旨や、待機電力を消費しない電気機器Eが電力を消費する通常の稼動状態から待機電力を消費しない状態に遷移した旨などを示す情報)を生成し、その生成した監視情報と、ID記憶部105に記憶されているIDとを関連付けたものを中継装置Rに送信する(ステップS206)。すると、中継装置Rが受信した情報(稼動終了を通知するための監視情報およびID)をネットワークNを介して管理装置Hに送信する。その後、監視装置1は、ステップS201に戻って以下同様の処理を繰り返す。
【0053】
なお、ステップS203およびステップS206の処理において、監視装置1から中継装置Rに送信する監視情報に、不図示の時計部により得られた時刻情報を付加するようにしても良いものとする。
【0054】
ここで、図7の処理手順の具体的な処理の一例について説明する。
【0055】
例えば、監視装置1に接続される電気機器Eが、図6に示す消費電力特性(待機電力「1W」など)を有する電子レンジE1であり、ID記憶部105に記憶されているIDが「001」で、図5の処理手順で閾値として「2W」が設定され、閾値記憶部106に閾値「2W」が保持されている場合に、被監視者が「電子レンジ」E1を使用した場合について説明する。
【0056】
この場合、ステップS201およびステップS202の監視において、監視装置1に接続される電子レンジE1の消費電力が、閾値記憶部106に保持される閾値「2W」を上回った場合、即ち、被監視者により電子レンジE1の操作部(不図示)の「温め」ボタン、「稼動時間」ボタン、「スタート」ボタンなどが押下されて電子レンジE1が通常時の稼働電力「1260W」(図6参照)で稼動開始した場合(ステップS202:Yes)、ステップS203において、制御部102のCPUが、情報送信部104を用いて、監視装置1に接続される電子レンジE1の稼動開始(即ち、被監視者による利用開始)を通知する監視情報と、ID記憶部105に記憶されているID「001」とを関連付けたものを中継装置Rに送信する。すると、中継装置Rが受信した情報(稼動開始を通知する監視情報およびID「001」)をネットワークNを介して管理装置Hに送信する。
【0057】
また、ステップS204およびステップS205の監視において、監視装置1に接続される電子レンジE1の消費電力が、閾値記憶部106に保持される閾値「2W」を下回った場合、即ち、電子レンジE1の稼働が終了した場合(ステップS205:Yes)、ステップS206において、制御部102のCPUが、情報送信部104を用いて、監視装置1に接続される電子レンジE1の稼動終了(即ち、被監視者による利用終了)を通知する監視情報と、ID記憶部105に記憶されているID「001」とを関連付けたものを中継装置Rに送信する。すると、中継装置Rが受信した情報(稼動終了を通知する監視情報およびID「001」)をネットワークNを介して管理装置Hに送信する。
【0058】
図8は、図7に示す処理手順の変形例を示すフローチャートである。
【0059】
概略的に言うと、図8の処理手順と図7の処理手順の相違点は、図7の処理手順が、電力検知部103により検知される消費電力値と閾値との比較による両者の大小関係から、監視装置1に接続される電気機器Eの被監視者による利用開始(稼動開始)と被監視者による利用終了(稼働終了)を通知する構成を採用しているのに対し、図8の処理手順が、電力検知部103により検知される消費電力値と閾値との比較による両者の大小関係から、監視装置1に接続される電気機器Eの被監視者による利用時間(通常動作による稼動時間)を算出して、その利用時間を通知する構成を採用している点である。
【0060】
なお、図8において、ステップS301およびステップS302と、ステップS304およびステップS305は、図7の処理手順のステップS201およびステップS202と、ステップS204およびステップS205と略同様である。
【0061】
即ち、図8の処理手順においては、ステップS301およびステップS302の監視の結果、制御部102のCPUが、監視装置1に接続される電気機器Eの消費電力値が閾値を上回ったと判定した場合(ステップS302:Yes)、続いて、制御部102のCPUは、不図示の時計部を用いて、監視装置1に接続される電気機器Eの稼動開始からの時間を計測する(ステップS303)。
【0062】
その後、ステップS304およびステップS305の監視の結果、制御部102のCPUが、監視装置1に接続される電気機器Eの消費電力値が閾値を下回ったと判定した場合(ステップS305:Yes)、続いて、制御部102のCPUは、前記計測を終了し、情報送信部104を用いて、計測した時間、即ち、電気機器Eの稼動時間とID記憶部105に記憶されているIDとを関連付けて中継装置Rに送信する(ステップS306)。その後、監視装置1は、ステップS301に戻って以下同様の処理を繰り返す。
【0063】
次に、他の実施形態について図9および図10を用いて説明する。
【0064】
即ち、前記してきた監視装置1(1A、1B)では、図3などに示すように、一つの監視装置1(1A、1B)にそれぞれ一つの電気機器E(E1、E2)が接続される形態について説明したが、これ以外にも、図9および図10に示すように、複数の電気機器E(図9および図10の例では、2つ)を接続することが可能な監視装置1Cとすることも可能である。
【0065】
図9に示す監視装置1Cと、図3に示す監視装置1A、1Bとの外観構成上で相違する大きな点は、電気機器EのプラグPを接続するための一対の刃受け部11C、11Dが追加され、本体ハウジング10の形状が異なる点である。
【0066】
また、監視装置1Cと、監視装置1A、1Bの本体ハウジング10内部のハードウェア構成の相違点は、電力分配部と、電力検知部、ID記憶部および閾値記憶部の構成である。
【0067】
即ち、監視装置1A、1Bの電力分配部101が、監視装置1A、1Bの負荷部と、監視装置1A、1Bに接続される一つの電気機器E1に電源コンセントCから供給される電力を分配するのに対し、監視装置1Cの電力分配部101Aが、監視装置1Cの負荷部と、監視装置1Cに接続される二つの電気機器E1、E2のそれぞれに電源コンセントCから供給される電力を分配する点が相違している。
【0068】
また、監視装置1A、1Bの電力検知部103が、監視装置1A、1Bに接続される一つの電気機器E1の消費電力値を検知するのに対し、監視装置1Cの電力検知部103Aが、監視装置1Cに接続される二つの電気機器E1、E2のそれぞれの消費電力値を検知する第1電力検知部103aおよび第2電力検知部103bを有している点が相違している。
【0069】
また、監視装置1A、1BのID記憶部105が、監視装置1A、1Bに接続される一つの電気機器E1の種類を管理装置Hに認識させるためのIDを一つのみ記憶しているのに対し、監視装置1CのID記憶部105Aが、監視装置1Cに接続される二つの電気機器E1、E2それぞれの種類を管理装置Hに認識させるためのIDをそれぞれ記憶する第1ID記憶部(第1ID記憶エリア)105aと第2ID記憶部(第2ID記憶エリア)105bとを有している点が相違している。
【0070】
また、監視装置1A、1Bの閾値記憶部106が、監視装置1A、1Bに接続される一つの電気機器E1の被監視者による使用状況(稼動状態)を検出するための閾値を一つのみ記憶しているのに対し、監視装置1Cの閾値記憶部106Aが、監視装置1Cに接続される二つの電気機器E1、E2それぞれの被監視者による使用状況(稼動状態)を検出するための閾値をそれぞれ記憶する第1閾値記憶部(第1閾値記憶エリア)106aと第2閾値記憶部(第2閾値記憶エリア)106bとを有している点が相違している。
【0071】
なお、監視装置1Cでは、制御部102のCPUで、第1電力検知部103a、第1ID記憶部105aおよび第1閾値記憶部106aがセットで利用され、第2電力検知部103b、第2ID記憶部105bおよび第2閾値記憶部106bがセットで利用されるようになっている。
【0072】
具体的には、例えば、前記操作者により閾値設定指示部14が選択押下された場合に、第1電力検知部103aで検知された待機電力値に基づく閾値(第1の閾値)が第1閾値記憶部106aに記憶され、他方、第2電力検知部103bで検知された待機電力値に基づく閾値(第2の閾値)が第2閾値記憶部106bに記憶されるようになっている。また、第1ID記憶部105aに記憶されるIDが、電気機器E1の種類を管理装置Hに識別させるためのID(第1のID)を記憶しており、他方、第2ID記憶部105bに記憶されるIDが、電気機器E2の種類を管理装置Hに識別させるためのID(第2のID)を記憶している。
【0073】
そして、図9および図10に示した監視装置1Cにおける処理手順としては、監視装置1A、1Bが、図5、図7および図8において一つの電気機器Eに対して行っていた処理を、複数の電器機器Eの数分だけ実行するような処理手順となる。
【0074】
なお、図9および図10では、2つの電気機器Eを接続可能な形態の監視装置1Cについて説明したが、これに限定されず、3つ以上の電気機器Eを接続可能にした監視装置1Cとすることも可能である。
【0075】
即ち、以上説明した実施形態によれば、安価且つ簡単な構成により、電気機器個々の稼動状態を精度良く監視することが可能である。
【0076】
具体的には、電気機器の使用状況を把握する機能部が一体的に搭載された従来の電気機器(家電製品)では、既存の電気機器の使用状況を把握することができず、前記した機能部を搭載した専用の電気機器を新たに買い換える必要があるため、監視システムを導入するためのコストが高くなるなどの不都合があった。
【0077】
これに対して、本実施形態の監視装置1では、電源コンセントCと電気機器(家電製品)EのプラグPとの間に接続され、自装置に接続される電気機器Eの使用状況を認識できるように構成したため、前記した専用の電気機器を新たに買い換えるものに比べて、監視システムを導入するためのコストを低く抑えることができる。
【0078】
また、本実施形態によれば、閾値設定指示部14を設け、待機電力で動作する待機時の電気機器Eを、被監視者により利用されている利用状態(通常の稼動状態)と誤認識しないような閾値を設定するように構成したため、電気機器Eが被監視者により利用されている利用状態(稼動状態)を精度良く認識することが可能となる。
【0079】
また、本実施形態によれば、一つの監視装置1で、複数の電気機器(家電製品)Eの使用状況を個別に認識して、それぞれの使用状況を示す情報を所定の管理装置Hに正確に通知することができる。
【0080】
また、図7に示す構成によれば、管理装置H側では、リアルタイムに被監視者の電気機器Eの使用状況を把握することができる。
【0081】
また、図8に示す構成によれば、管理装置H側では、電気機器Eの稼動時間、即ち、被監視者による使用時間の算出処理を省略することができる。
【0082】
以上、例示的な実施形態に基づいて説明したが、本実施形態は、前記した実施形態により限定されるものではない。
【0083】
例えば、前記した実施形態では、電力検知部103を備え、監視装置1に接続される電気機器Eの消費電力値を利用して、閾値を設定し、電気機器Eの利用状況を判断する構成について説明したが、これに限定されず、電力検知部103の替わりに、消費電力値に対応する電流値、即ち、電源(コンセントC)から電気機器Eに供給される電流値を検知する電流検知手段としての電流検知部や、消費電力値に対応する電圧値、即ち、電気機器Eが通常の稼動時における電圧値を検知する電圧検知手段としての電圧検知部などを備え、それら各検知部で検知される検知値に基づいて閾値を設定して、電気機器Eの利用状況を判断するような構成とすることも可能である。
【0084】
また、前記した実施形態では、電力検知部103において検知された電気機器Eの待機時における待機電力値に基づいて、閾値を設定する形態について説明したが、これに限定されず、電力検知部103で検知した電気機器Eの通常の稼動時における稼動電力に基づいて、閾値を設定する形態とすることも可能である。
【0085】
また、前記した実施形態では、閾値設定指示部14を設け、この閾値設定指示部14が押下された場合に制御部102のCPUが、その時、監視装置1に接続されている電気機器Eの待機電力を検知して閾値を設定する形態について説明したが、これに限定されず、閾値設定指示部14を設けずに、予め監視装置1がどの電気機器Eに接続されるのかが分かっているような場合には、その電気機器Eの待機電力(その他、電流値または電圧値など)またはその待機電力(その他、電流値または電圧値など)より数W高い電力値(その他、電流値または電圧値など)を閾値として予め格納しておくような形態とすることも可能である。
【0086】
また、前記した実施形態における図7の処理手順の変形例として、ステップS203の処理のように、電気機器Eの稼動開始を通知した場合、ステップS204およびステップS205の監視において、電気機器Eの消費電力が閾値を下回ったと判定する(ステップS205:Yes)まで、一定時間間隔で電気機器Eの稼動中を通知する情報を送信するように構成することも可能である。
【0087】
また、前記した実施形態では、監視装置1は、情報送信部104が、無線LANを用いて、中継装置Rに情報を送信する形態について説明したが、これ以外の通信手段で中継装置Rに情報を送信するようにしても良い。具体的には、PLC(Power Line Communication)や、Bluetooth(登録商標)や、有線LANなどのその他の通信技術を用いて情報を送信するように構成することも可能である。
【0088】
また、前記した実施形態では、IDを記憶するID記憶部105を有する形態の監視装置1の場合について説明したが、これに限定されず、データを記録するICチップと無線アンテナからなるICタグでIDを管理する形態としても良い。なお、その場合には、ICタグを読み取る読取部を設ける。
【0089】
また、前記した実施形態では、監視装置1と管理装置Hとの間に中継装置Rを介在する形態について説明したが、これに限定されず、中継装置Rを省略して、監視装置1から管理装置Hに直接情報を送信することが可能な形態とすることも可能である。
【0090】
また、前記した実施形態では、監視装置1(1A、1B、1C)は、自装置に接続される電気機器Eと同じ電源から電力の供給を受ける形態について説明したが、これ以外にも、例えば、自装置に接続される電気機器Eに電力を供給する電源とは異なる他の電源から電力の供給を受けるように構成することも可能である。
【0091】
また、前記した監視装置1で実行されるプログラムは、ROMなどの記憶部に予め組み込むようにして提供する以外にも、インストール可能な形式または実行可能な形式のファイルでコンピュータで読み取り可能な記憶媒体に記録して提供したり、インターネットなどのネットワーク経由で提供または配布したりすることも可能である。
【0092】
その他、前記した実施形態における監視装置の外観構成、閾値設定指示部や電力分配部などを含むハードウェア構成および処理手順、閾値設定指示部の構成、テーブルの内容などは、単なる一例として記載したものであり、本実施形態は、これらにより限定されない。
【符号の説明】
【0093】
100 監視システム
1、1A、1B、1C 監視装置(自装置)
C、C1、C2 電源コンセント
E、E1、E2 電気機器
P、P1、P2 プラグ
R 中継装置
N ネットワーク
H 管理装置
D 行動レポジトリデータベース
T 電気機器識別テーブル
10 本体ハウジング
11A、11B、11C、11D 刃受け部(接続手段)
12A、12B 栓刃
13 通信窓
14 閾値設定指示部(指示手段)
101、101A 電力分配部
102 制御部(生成手段、設定手段、認識手段、算出手段)
103、103A 電力検知部(検知手段)
103a 第1電力検知部
103b 第2電力検知部
104 情報送信部(送信手段)
105、105A ID記憶部(記憶手段)
105a 第1ID記憶部
105b 第2ID記憶部
106 閾値記憶部(閾値記憶手段)
106a 第1閾値記憶部
106b 第2閾値記憶部
B バス
【先行技術文献】
【特許文献】
【0094】
【特許文献1】特開2006−229806号公報
【特許文献2】特開2010−218077号公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
自装置を介して電源に接続される電気機器の種類を所定の管理装置で識別させる識別情報を記憶する記憶手段と、
前記電気機器の消費電力値、前記消費電力値に対応する電流値または電圧値のいずれかを検知する検知手段と、
前記検知手段で検知された検知値と、前記電気機器固有に設定される閾値とに基づいて、前記電気機器の利用状況を前記管理装置に通知する監視情報を生成する生成手段と、
前記生成手段で生成された監視情報と、前記識別情報とを対応付けて送信する送信手段と、
を有する監視装置。
【請求項2】
前記閾値の設定を指示する指示手段と、
前記指示手段の指示があった場合に、所定の検知手段により検知された前記検知値に基づいて、前記電気機器の利用状況を検出するための前記閾値を設定する設定手段と、
を更に有する、請求項1に記載の監視装置。
【請求項3】
前記記憶手段は、自装置に接続される複数の電気機器それぞれの種類を前記管理装置でそれぞれ識別させる、複数の識別情報を記憶し、
前記検知手段は、自装置を介して電源に接続される複数の電気機器それぞれの前記消費電力、または、前記電流値、または、前記電圧値を検知し、
前記生成手段は、前記検知手段で検知された各電気機器の前記検知値と、各電気機器に対応して予め設定されている前記閾値との比較により、各電気機器の利用状況を前記管理装置に通知する監視情報を生成する、請求項1または2に記載の監視装置。
【請求項4】
前記検知手段により検知される前記検知値と、前記閾値との比較による両者の大小関係から、前記電気機器の利用開始および利用終了を認識する認識手段、
を更に有し、
前記生成手段は、前記認識手段で認識された利用開始および利用終了を示す前記監視情報を生成する、請求項1〜3のいずれか一項に記載の監視装置。
【請求項5】
前記検知手段により検知される検知値と、前記閾値との比較による両者の大小関係から、前記電気機器の利用時間を算出する算出手段、
を更に有し、
前記生成手段は、前記算出手段で算出された前記利用時間を示す前記監視情報を生成する、請求項1〜3のいずれか一項に記載の監視装置。
【請求項6】
電源から供給される電力を、自装置と当該自装置に接続される電気機器とに分配する電力分配手段、
を更に有する、請求項1〜5のいずれか一項に記載の監視装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate


【公開番号】特開2012−181649(P2012−181649A)
【公開日】平成24年9月20日(2012.9.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−43782(P2011−43782)
【出願日】平成23年3月1日(2011.3.1)
【出願人】(000003562)東芝テック株式会社 (5,631)
【Fターム(参考)】