説明

目に見えるビーズを有する水性液体洗濯洗剤組成物

目で識別される複数個のビーズがその中に分散されている、外部が構造化された水性液体マトリックスの形態の水性液体洗濯洗剤組成物が開示される。そのようなビーズは、カチオン性高分子物質とアニオン性高分子物質との相互作用により形成される半透膜で囲まれている液体コアの形態であるように調製される。そのようなビーズは、本明細書の水性液体洗剤組成物中で安定しているが、組成物を介する、攪拌された希釈水性洗濯溶液への導入により実質的に崩壊する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水性の性質であり、外部が構造化された液体マトリックス中の目で識別されるビーズの懸濁液の形態である、液体洗濯洗剤製品に関する。
【背景技術】
【0002】
洗濯洗剤製品の商業マーケティングには、多くの場合、1つの特定の製品を同じ一般的な種類の他の市販製品と区別するのに役立つように、特有の製品審美性を用いることが関わっている。着色、例えば染色又は顔料着色、スペックル又はビーズなどの粒子が、そのような特殊性を作り出すために時々使用される。一般に、洗剤製品中で識別される粒子は、消費者に容易に見えるためには200ミクロンを超える大きさであるべきである(しかし特定の状況では、もっと小さい粒子も見える可能性がある)。
【0003】
洗剤製品におけるビーズなどの目で識別される粒子の存在は、製品が、以前に市販されていたか又は入手できたそのようなビーズのない製品から改造され、改良されていることのサインを、消費者に提供することができる。従って、そのようなサインは、改造された、新しい及び/又は追加の布地洗浄及び/又は布地処置成分が製品に添加されたか、或いは製品がその製品を使用する全体的な洗濯経験を変える成分を含有しているかということを示すのに役立つことができる。そのような新しい又は追加の成分は、実際に目に見えるビーズ自体に組み込まれてもよいし、又はその存在がビーズにより示される製品のバルクマトリックス中に単に組み込まれるだけでもよい。新しい及び/又は追加の洗剤組成物成分が目で識別されるビーズ中に組み込まれる場合、そのようなビーズは、そのような組み込まれた洗剤製品成分を、組成物の他の構成成分との相互作用又は組成物の他の構成成分による分解に対して安定化又は保護することを助ける、追加的な目的に役立つことができる。
【0004】
顆粒洗剤の場合には、製品中の目に見える粒子の懸濁は、かなりわかりやすい。これは、配合者が、バルク顆粒洗剤に密度及び粒径を適合できる、例えば染色又は顔料着色された目で識別される粒子を自由に選択することができるからである。そのような粒子は、顆粒マトリックス全体にわたって容易に分散され、目に見える粒子と他のマトリックス成分との間の破壊的な相互作用の可能性はほとんどない。
【0005】
しかし、液体洗剤の場合、特に水性液体洗濯洗剤に関して、粒子を安定して懸濁すること並びにそのような粒子を洗剤製品が製造、輸送、保存及び/又は使用されるときに問題にならないようにすることは、難題である。配合者は、水性液体洗剤マトリックスに相対的に不溶性であり、並びに工業規模の洗剤組成物の調製、輸送及び流通の厳しさに耐えるのに十分な強度がある、ビーズを使用しなければならない。しかも、これらの同じビーズはまた、洗濯洗浄溶液又は液(liquor)を形成するために洗剤製品が使用される場合、適切に溶解又は崩壊しなければならない。好適な溶解又は崩壊は、当然のことながら、ビーズ又はその残り(remants)が洗濯される布地上に目に見える残留物を残さない程度に洗浄溶液中で溶解又は崩壊しなければならないことを意味する。
【0006】
ビーズの好ましい懸濁には、また、洗剤製品の水性液体マトリックスの好適な配合を必要とする。ビーズを安定して懸濁するために、液体組成物は、理想的にはその液体部分が好適なレオロジー特性を有するように「構造化」されるべきである。従って、マトリックスレオロジーは、ビーズが長期間の保存の際に製品から沈澱しないほど十分に粘稠でなければならないが、製品を容易に注ぐことができないほど粘稠であってはならない。従って、従って、また、組成物に添加される「構造剤」物質は、不透明性、不安定性又は容認できない費用などの、いかなる審美的又は他の難点をも作り出すことなく、マトリックスに「ずり減粘」特性を付与するものであることが理想的である。
【0007】
最後に、洗剤組成物成分を担持及び保護する懸濁されたビーズの好ましい利用には、特定の種類のビード物質及び担持成分の選択を必要とする。ビーズがこの好ましい目的のために使用される場合、ビーズは、担持された物質をそのような担持される成分と不溶性である可能性がある組成物中のいかなる他の構成成分からも部分的に又は完全に分離させるように構成されなければならない。その上、ビーズはまた、布地を洗濯するために組成物が使用される場合、その担持される成分を洗浄溶液中に適切に放出することができなければならない。
【0008】
前述を考慮すると、目で識別されるビーズを組み込むことによって水性液体洗剤製品に望ましい審美的及び機能特性を適切に付与するために使用できる、物質、構成成分の組み合わせ及び手順を確認するための継続的な必要性が存在する。それ故に、審美的に改造された、目で識別されるビーズをその中に有する水性液体洗濯洗剤組成物を配合することが、本発明の主要な目的である。
【0009】
好ましい液体洗剤製品中に目で識別されるそのようなビーズを安定して懸濁することが、本発明の更なる目的である。
【0010】
濃縮水性液体洗剤製品に望ましい審美性を付与するが、布地上に目に見える残留物を残さないか、そうでなければそのような製品を使用する洗濯作業を妨げないビーズを提供することが、本発明の更なる目的である。
【0011】
1つ以上の活性洗濯洗剤組成物補助剤を担持し、保護し、洗浄溶液中に放出するために、その中に懸濁された目で識別されるビーズを利用する好ましい水性液体洗剤組成物を提供することが、本発明の更なる目的である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
ビーズ、及び本明細書のビード含有液体洗剤製品の配合に関する前述の目的を達成するためにそのようなビーズが添加された液体洗剤組成物の調製に好適である、方法と物質の選択された組み合わせが存在することが、今では判明している。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は、目で識別される複数個のビーズがその中に分散されている、外部が構造化された水性液体マトリックスの形態のヘビーデューティー液体洗剤組成物を提供する。そのような組成物は、A)5重量%〜50重量%の洗浄性界面活性剤;B)0.1重量%〜30重量%の選択された種類の洗濯洗浄補助剤;C)0.01重量%〜1重量%の特定の種類の有機外部構造剤;D)0.01重量%〜5重量%の特定の選択された種類の目で識別されるビーズ;及びE)30重量%〜75重量%の水を含む。
【0014】
必須の洗浄性界面活性剤は、アニオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤及びこれらの組み合わせから選択される。洗濯洗浄補助剤は、洗浄性酵素、蛍光増白剤、移染防止剤、泡抑制剤、洗浄性汚れ放出ポリマー、他の布地ケア有益剤、及びそのような洗濯洗浄補助剤の組み合わせから選択される。
【0015】
有機外部構造剤は、非高分子結晶性ヒドロキシ官能物質;組成物の水性液体マトリックスにずり減粘特性を付与する高分子構造剤;組成物の水性液体マトリックスに20秒−1で0.1〜2.5Pa.s(100〜2500cP)の注ぎ粘度、少なくとも1.5Pa.s(1500cP)である0.1Paの一定低応力での粘度、少なくとも2である一定応力粘度値と注ぎ粘度値との比率を付与する他の構造剤;及びそのような外部構造剤の組み合わせから選択される。結晶性ヒドロキシ官能物質は、その場でのマトリックス中の結晶化により組成物のマトリックスの全体にわたって糸状構造系を形成するものである。高分子構造剤は、ポリアクリレート類、高分子ゴム類、他の非ゴム多糖類、及びこれらの高分子物質の組み合わせから選択される。
【0016】
水性液体マトリックス中に分散されている目で識別されるビーズは、それぞれ、カチオン性又はアニオン性ポリマー成分を含有する液体コア溶液、及びカチオン性又はアニオン性ポリマービードコア成分と、逆の電荷に帯電したアニオン性又はカチオン性成分との相互作用により形成される半透膜を含む。それぞれのビードにおける半透膜は、ビーズが洗剤組成物の水性液体マトリックス中でその構造的一体性を維持するが、また、洗浄作業の際の洗剤組成物の水性希釈によるビーズへの浸透水透過性の結果として、ビーズが目に見える残留物を残さないで崩壊するように、ビードに浸透透過性の特性を付与することに役立つ。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
本明細書の水性液体洗剤組成物の必須及び任意成分、並びに組成物形態、調製及び使用は、以下のように詳細に記載される(全ての濃度及び比率は、特に指定のない限り重量に基づく。本明細書で引用される全ての文献は、関連部分が参考として本明細書に組み込まれる。いずれの文献の引用も、それが本発明に関する先行技術であることを承認するものとして考慮されるべきではない。)
【0018】
(洗浄性界面活性剤)
本明細書の液体洗剤組成物は、本質的に、5重量%〜50重量%、好ましくは8重量%〜40重量%、より好ましくは10重量%〜35重量%の特定の種類の洗浄性界面活性剤成分を含有する。そのような必須の洗浄性界面活性剤成分は、アニオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、又はこれら2つの種類の界面活性剤の組み合わせを含まなければならない。
【0019】
本明細書で有用な好適なアニオン性界面活性剤は、液体洗剤製品で典型的に使用されるいかなる種類の従来のアニオン性界面活性剤をも含むことができる。これらには、アルキルベンゼンスルホン酸及びそれらの塩、並びにアルコキシル化又は非アルコキシル化アルキルサルフェート物質が挙げられる。
【0020】
好ましいアニオン性界面活性剤は、C10〜16アルキルベンゼンスルホン酸、好ましくはC11〜14アルキルベンゼンスルホン酸のアルカリ金属塩である。好ましくは、アルキル基は直鎖であり、そのような直鎖アルキルベンゼンスルホネートは、「LAS」として既知である。アルキルベンゼンスルホネート、特にLASは、当該技術分野において周知である。そのような界面活性剤及びそれらの調製は、例えば、米国特許第2,220,099号及び同第2,477,383号で記載されている。特に好ましいものは、アルキル基の炭素原子の平均数が約11〜14の直鎖線状アルキルベンゼンスルホン酸ナトリウム及びカリウムである。C11〜C14、例えばC12LASナトリウムが特に好ましい。
【0021】
別の好ましい種類のアニオン性界面活性剤は、エトキシル化アルキルサルフェート界面活性剤を含む。アルキルエーテルサルフェート又はアルキルポリエトキシレートサルフェートとしても既知であるそのような物質は、以下の式に対応するものである:
R’−O−(CO)−SO
式中、R’はC〜C20アルキル基であり、nは約1〜20であり、Mは塩生成カチオンである。好ましくは、R’はC10〜C18アルキルであり、nは約1〜15であり、Mは、ナトリウム、カリウム、アンモニウム、アルキルアンモニウム、又はアルカノールアンモニウムである。最も好ましくは、R’はC12〜C16であり、nは約1〜6であり、Mはナトリウムである。
【0022】
アルキルエーテルサルフェートは、一般に、種々のR’鎖長及び種々のエトキシル化度を含む混合物の形態で使用される。このような混合物は、しばしば必然的にいくらかの非エトキシル化アルキルサルフェート物質、すなわちn=0である上記のエトキシル化アルキルサルフェートの式の界面活性剤も含有する。非エトキシル化アルキルサルフェート類は、また、本発明の組成物に別個に添加され、存在する可能性がある任意のアニオン性界面活性剤成分として又はその中で使用されてもよい。
【0023】
好ましい非アルコキシル化(unalkoyxylated)、例えば非エトキシル化アルキルエーテルサルフェート界面活性剤は、高級C〜C20脂肪族アルコールの硫酸化により製造されるものである。従来の第一級アルキルサルフェート界面活性剤は、以下の一般式を有する:
ROSO
式中、Rは、典型的には直鎖C〜C20ヒドロカルビル基であり、これは直鎖又は分枝鎖であってもよく、Mは水溶性化カチオンである。好ましくは、RはC10〜C15アルキルであり、Mはアルカリ金属である。最も好ましくは、RはC12〜C14であり、Mはナトリウムである。
【0024】
本明細書で有用な好適な非イオン性界面活性剤は、液体洗剤製品で典型的に使用される従来の種類のいかなる非イオン性界面活性剤をも含むことができる。これらには、アルコキシル化脂肪族アルコール類、エチレンオキシド(EO)−プロピレンオキシド(PO)ブロックポリマー類、及びアミンオキシド界面活性剤が挙げられる。本明細書の液体洗剤製品に用いるのに好適なものは、通常液体である非イオン性界面活性剤である。
【0025】
本明細書に用いるのに好ましい非イオン性界面活性剤には、アルコールアルコキシラート非イオン性界面活性剤が挙げられる。アルコールアルコキシラート類は、以下の一般式に対応する物質である:
(C2mO)OH
式中、RはC〜C16アルキル基であり、mは2〜4であり、nは約2〜12の範囲である。好ましくは、Rは、第一級又は第二級でもよいアルキル基であり、約9〜15個の炭素原子、より好ましくは約10〜14個の炭素原子を含有する。これもやはり好ましくは、アルコキシル化脂肪族アルコール類は、1分子当たり約2〜12個のエチレンオキシド部分、より好ましくは1分子当たり約3〜10個のエチレンオキシド部分を含有するエトキシル化物質である。
【0026】
本明細書の液体洗剤組成物に有用なアルコキシル化脂肪アルコール物質は、多くの場合、約3〜17の範囲の親水性−親油性バランス(HLB)を有する。より好ましくは、この物質のHLBは、約6〜15、最も好ましくは約8〜15の範囲である。アルコキシル化脂肪族アルコール非イオン性界面活性剤は、シェル・ケミカル社(Shell Chemical Company)により商標名ネオドール(Neodol)及びドバノール(Dobanol)で市販されている。
【0027】
液体であり、本発明の組成物に利用されてよい別の種類の非イオン性界面活性剤は、エチレンオキシド(EO)−プロピレンオキシド(PO)ブロックポリマー類を含む。この種類の物質は、周知の非イオン性界面活性剤であり、商標名プルロニック(Pluronic)で市販されている。これらの物質は、エチレンオキシド部分のブロックを、ポリプロピレングリコール鎖の末端部に付加して、得られるブロックポリマーの界面活性の特性を調整することにより形成される。この種類のEO−POブロックポリマー非イオン性物質は、デビッドソン(Davidsohn)及びミルウィドスキー(Milwidsky);合成洗剤(Synthetic Detergents)、第7版;ロングマン・サイエンティフィック・アンド・テクニカル(Longman Scientific and Technical)(1987年)、34頁〜36頁及び189頁〜191頁並びに米国特許第2,674,619号及び同第2,677,700号でより詳細に記載されている。
【0028】
本明細書で有用な更に別の好適な種類の非イオン性界面活性剤は、アミンオキシド界面活性剤を含む。アミンオキシド類は、しばしば当該技術分野において「半極性」非イオン性物質と呼ばれる物質である。アミンオキシド類は、式R(EO)(PO)(BO)N(O)(CHR’).qHOを有する。この式において、Rは、飽和又は不飽和、直鎖又は分枝鎖であることができる相対的に長鎖のヒドロカルビル部分であり、8〜20個、好ましくは10〜16個の炭素原子を含有することができ、より好ましくはC12〜C16第一級アルキルである。R’は、好ましくは水素、メチル及び−CHOHから選択される短鎖部分である。x+y+zが0と異なる場合、EOはエチレンオキシ、POはプロピレンオキシ、BOはブチレンオキシである。アミンオキシド界面活性剤は、C12〜14アルキルジメチルアミンオキシドにより示される。
【0029】
本明細書の液体洗剤組成物において、必須の洗浄性界面活性剤成分は、アニオン性と非イオン性の界面活性剤物質との組み合わせを含むことができる。この場合は、アニオン性と非イオン性との重量比は、典型的には100:1〜1:100、より典型的には20:1〜1:20の範囲である。
【0030】
本明細書の組成物で使用される洗浄性界面活性剤物質は、本明細書以降で定義され詳細に記載されている必須の「外部」構造剤成分によりもたらされるマトリックスレオロジー調節の寄与に加えて、水性液体マトリックスに「内部」構造効果をもたらす可能性がある。しかし、本明細書で使用される界面活性剤は、「内部」構造効果をもたらすことはなく、その中で及びそれ自体が本発明の水性液体組成物の液体マトリックスの望ましいレオロジー特性を達成するのに十分である。
【0031】
(洗濯洗浄補助剤)
本明細書の液体洗剤組成物は、また、本質的に0.1重量%〜30重量%、好ましくは0.5重量%〜20重量%、より好ましくは1重量%〜10重量%の1つ以上の特定の種類の洗濯洗浄補助剤を含有する。そのような本質的に存在する洗剤洗浄補助剤は、洗浄性酵素、蛍光増白剤、移染防止剤、泡抑制剤、洗浄性汚れ放出ポリマー、他の布地ケア有益剤、及びこれらの種類の補助剤の組み合わせから選択されることができる。これらの物質の全ては、洗濯洗剤製品で従来利用される種類のものである。しかし、これらは、本発明の組成物を介することにより、水性洗浄溶液及び/又はその中で洗濯されている布地に特に有効に送達されることができる。
【0032】
(洗浄性酵素)
本明細書の組成物の洗濯洗浄補助剤成分は、クリーニング性能及び/又は布地ケア効果をもたらす1つ以上の洗浄性酵素を含んでもよい。好適な酵素の例には、ヘミセルラーゼ、ペルオキシダーゼ、プロテアーゼ、セルラーゼ、キシラナーゼ、リパーゼ、ホスホリパーゼ、エステラーゼ、クチナーゼ、ペクチナーゼ、ケラタナーゼ、レダクターゼ、オキシダーゼ、フェノールオキシダーゼ、リポキシゲナーゼ、リグニナーゼ、プルラナーゼ、タンナーゼ、マンナナーゼ?、ペントサナーゼ(pentosanase)、マラナーゼ(malanase)、β−グルカナーゼ、アラビノシダーゼ(arabinosidase)、ヒアルロニダーゼ、コンドロイチナーゼ、ラッカーゼ、及び既知のアミラーゼ、又はこれらの組み合わせが挙げられるが、それらに限定されない。好ましい酵素の組み合わせは、アミラーゼと共に、プロテアーゼ、リパーゼ、クチナーゼ及び/又はセルラーゼのような従来の洗浄性酵素の反応混液(cocktail)を含む。洗浄性酵素は、米国特許第6,579,839号でより詳細に記載される。
【0033】
使用される場合、酵素は、通常、組成物1g当たりの重量で10mgまで、より典型的には約0.01mg〜約5mgの活性酵素を提供するのに十分な濃度で本明細書の液体洗濯洗剤組成物に組み込まれる。別の言い方をすると、本明細書の水性液体洗剤組成物は、典型的には、0.001重量%〜5重量%、好ましくは0.01重量%〜1重量%の市販の酵素調製物を含むことができる。例えばプロテアーゼ酵素は、通常、洗剤組成物1g当たり0.005〜0.1のアンソン単位(AU)の活性をもたらすのに十分な濃度でそのような市販の調製物に存在する。
【0034】
(蛍光増白剤)
本明細書の組成物の洗濯洗浄補助剤成分は、布地処置効果をもたらす1つ以上の蛍光増白剤を含んでもよい。蛍光ホワイティング(whiting)剤(FWA)としても既知であるそのような物質は、一般に、洗濯される布地又は衣類上に付着して、処置される基質の光学的又は色度特性を変える。
【0035】
好ましい蛍光増白剤は、性質としてアニオン性である。多くのものは、スチルベン誘導体である。そのような物質の例には、二ナトリウム4,4’−ビス−(2−ジエタノールアミノ−4−アニリノ−s−トリアジン−6−イルアミノ)スチルベン−2:2’ジスルホネート、二ナトリウム4,−4’−ビス−(2−モルホリノ−4−アニリノ−s−トリアジン−6−イルアミノ−スチルベン−2:2’−ジスルホネート、二ナトリウム4,4’−ビス−(2,4−ジアニリノ−s−トリアジン−6−イルアミノ)スチルベン−2;2’−ジスルホネート、一ナトリウム4’,4”−ビス−(2,4−ジアニリノ−s−トリアジン−6イルアミノ)スチルベン−2−スルホネート、二ナトリウム4,4’−ビス−(2−アニリノ−4−(N−メチル−N−2−ヒドロキシエチルアミノ)−s−トリアジン−6−イルアミノ)スチルベン−2,2’−ジスルホネート、二ナトリウム4,4’−ビス−(4−フェニル−2,1,3−トリアゾール−2−イル)−スチルベン−2,2’ジスルホネート、二ナトリウム4,4’ビス(2−アニリノ−4−(1−メチル−2−ヒドロキシエチルアミノ)−s−トリアジン−6−イルアミノ)スチルベン−2,2’ジスルホネート、ナトリウム2(スチルビル−4”−(ナフト−1’,2’:4,5)−1,2,3−トリアゾール−2”−スルホネート及び4,4’−ビス(2−スルホスチリル)ビフェニルが挙げられる。
【0036】
増白剤は、チバ・ガイギー(Ciba-Geigy)により商標チノパール(Tinopal)(商標)及びブライトナー(Brightener)No.(#)(商標)で市販されている。これらは欧州特許出願EP−A−753567及び米国特許第5,174,927号でより詳細に記載されている。
【0037】
使用される場合、蛍光増白剤は、本明細書の液体洗濯洗剤組成物に0.01重量%〜1重量%、好ましくは0.05重量%〜0.5重量%の範囲の濃度で通常組み込まれる。
【0038】
(移染防止剤)
本明細書の組成物の洗濯洗浄補助剤成分は、着色布地の望ましい洗濯を可能にする1つ以上の移染防止剤を含んでもよい。好適な高分子移染防止剤には、ポリビニルピロリドンポリマー類、ポリアミンN−オキシドポリマー類、N−ビニルピロリドンとN−ビニルイミダゾールとのコポリマー類、ポリビニルオキサゾリドン類及びポリビニルイミダゾール類又はこれらの混合物が挙げられるが、それらに限定されない。好適な移染防止剤は、米国特許第5,783,548号、同第5,604,194号及び同第5,466,802号でより詳細に記載されている。
【0039】
使用される場合、移染防止剤は、本明細書の液体洗濯洗剤組成物に0.0001重量%から、より好ましくは0.01重量%から、最も好ましくは0.03重量%から10重量%まで、より好ましくは2重量%まで、最も好ましくは1重量%までの範囲の濃度で通常組み込まれる。
【0040】
(泡抑制剤)
本明細書の組成物の洗濯洗浄補助剤成分は、自動洗濯機での布地の洗濯に使用される場合、本明細書の組成物の過剰な泡立ちを最小限にする泡抑制剤として作用する、1つ以上の物質を含んでもよい。多くの場合、泡抑制剤系は、シリコーン類又はシリカ−シリコーンの組み合わせに基づく。本明細書に用いるのに好適な泡抑制剤の例は、米国特許第5,707,950号及び同第5,728,671号で開示されている。好ましい泡抑制剤は、シリカが配合されているポリジメチルシロキサンである。
【0041】
使用される場合、泡抑制剤は、本明細書の液体洗濯洗剤組成物に0.001重量%〜2重量%の範囲の濃度で通常組み込まれる。より好ましくは、泡抑制剤は、本明細書の組成物の0.01重量%〜1重量%含むことができる。
【0042】
(洗浄性汚れ放出ポリマー)
本明細書の組成物の洗濯洗浄補助剤成分は布地処置効果をもたらす1つ以上の洗浄性汚れ放出ポリマーを含んでもよい。本発明に有用な高分子汚れ放出剤には、テレフタレートとポリエチレンオキシドとの又はポリプロピレンオキシドとのコポリマーブロックなどが挙げられる。
【0043】
好ましい汚れ放出剤は、テレフタレートとポリエチレンオキシドとのブロックを有するコポリマーである。より詳細には、これらのポリマー類は、エチレン及び/又はプロピレンテレフタレート並びにポリエチレンオキシドテレフタレートの反復単位により、エチレンテレフタレート単位とポリエチレンオキシドテレフタレート単位のモル比が約25:75〜約35:65で構成されている。このポリエチレンオキシドテレフタレートは、約300〜約2000の分子量を有するポリエチレンオキシドブロックを含有する。この高分子汚れ放出剤の分子量は、約5,000〜約55,000の範囲である。
【0044】
好適な汚れ放出ポリマー類は、米国特許第5,574,179号、同第4,956,447号、同第4,861,512号、及び同第4,702,857号でより詳細に記載される。使用される場合、汚れ放出ポリマー類は、本明細書の液体洗濯洗剤組成物に組成物の0.01重量%〜10重量%、より好ましくは0.1重量%〜5重量%の範囲の濃度で通常組み込まれる。
【0045】
(他の布地ケア有益剤)
以上で記載された蛍光増白剤及び汚れ放出ポリマー類に加えて、本明細書の組成物の洗濯洗浄補助剤成分は、また、洗濯される布地上に付着することができ、そこで1つ以上の種類の布地ケア又は処置効果をもたらす追加的な布地ケア又は有益剤を含んでもよい。そのような効果には、例えば、布地の柔軟性、静電気防止効果、アイロン掛けをしやくする効果、耐摩耗効果、毛玉防止効果、色の保護、しわの除去又はしわに対する改善された抵抗性、布地直接香料又は香り効果、悪臭防護効果などを挙げることができる。
【0046】
そのような効果をもたらすのに好適であり、洗濯される布地上に付着することができる多種多様な物質が、当該技術分野において既知である。そのような物質には、例えば、粘土類;デンプン類;ポリアミン類;アミノシリコーン類及び第四級窒素含有カチオン性シリコーン類などの非官能化及び官能化シリコーン類;セルロース性ポリマー類などを挙げることができる。この種類の物質は、次の文献の1つ以上でより詳細に記載されている:米国特許第6,525,013号;米国特許第4,178,254号;PCT国際公開特許WO02/40627;PCT国際公開特許WO02/18528;PCT国際公開特許WO00/71897;PCT国際公開特許WO00/71806;PCT国際公開特許WO98/39401及びPCT国際公開特許WO98/29528。
【0047】
使用される場合、そのような追加の布地ケア有益剤ポリマー類は、付着される物質の性質及びそれらがもたらすべき効果に応じて、本明細書の液体洗濯洗剤組成物に0.05重量%〜20重量%の範囲の濃度で通常組み込まれることができる。より詳細には、そのような布地ケア有益剤は、組成物の0.1重量%〜10重量%含むことができる。
【0048】
(有機外部構造剤)
本明細書の液体洗濯洗剤組成物の別の必須成分は、有機外部構造剤である。そのような構造剤を本明細書の組成物に添加する総合的な目的は、製品の厚さ(thickness)、製品の注入力(pourability)、製品の光学的特性、及び/又はビードの懸濁性能の観点から、適切に機能的であり、外観が美しい液体組成物に到達することである。従って、構造剤は、一般に液体製品の適切なレオロジー特性を確立し、それを、容認できない光学的特性又は好ましくない相分離のようないかなる望ましくない特質をも製品に付与することなく行うことに役立つ。一般に、有機外部構造剤は、本明細書の組成物の0.01重量%〜1重量%、好ましくは0.015重量%〜0.75重量%、より好ましくは0.02重量%〜0.5重量%含む。
【0049】
本明細書の組成物の構造剤成分は、「外部」構造剤として特徴付けられる。本発明の目的において、「外部」構造剤は、その主要な機能として液体マトリックスのレオロジー変化をもたらす機能を有する物質である。従って、一般に外部構造剤は、その中で及びそれ自体、有意な布地洗浄若しくは布地ケア効果を全くもたらさない、又は有意な成分可溶化効果を全くもたらさない。従って、外部構造剤は「内部」構造剤とは異なり、これは、マトリックスレオロジーを変化させることができるが、幾つかの更なる主要な目的のために液体製品に組み込まれている。従って、例えば内部構造剤はアニオン性界面活性剤であり、これは、液体洗剤のレオロジー特性を変えるために役立つことができるが、主に洗浄成分として作用するように製品に添加されている。
【0050】
本発明の組成物の外部構造剤は、特定のレオロジー特性を有する組成物のための水性液体マトリックスを提供するために使用される。これらの特性のうち主要なものは、マトリックスが「ずり減粘」でなければならないということである。ずり減粘流体は、剪断力が流体に加わると低減する粘度を有するものである。従って、液体洗剤製品の静止時、すなわち保存の間又は輸送の間に、組成物の液体マトリックスは、相対的に高い粘度を有するべきである。しかし、容器から組成物を注ぐ又は絞り出すような行為において、剪断力が組成物に加わると、マトリックスの粘度は、流体製品の分配が容易且つ直ちに達成されるほどまで低減するべきである。
【0051】
本明細書の組成物の静止時の粘度は、理想的には幾つかの目的を達成するのに十分なほど高い。これらの目的の主なものは、静止時の組成物が、本明細書の発明の別の必須成分である目に見えるビーズを適切に懸濁するために十分に粘稠であるべきであるということである。相対的に高い静止時の粘度の第2の効果は、薄くて弱い水っぽいものではなく、濃くて強い効果的な製品の外観を組成物に与える審美的なものである。最後に、液体マトリックスの必須のレオロジー特性は、組成物中に懸濁されるビーズの可視度を不都合なほどに損なうことがない、すなわち懸濁されたビーズがわかりにくいほどマトリックスを不透明にすることがない外部構造剤を介して提供されるべきである。
【0052】
マトリックスの他の全ての成分と組み合わされる本明細書の外部構造剤により提供される液体マトリックスの理想的なレオロジー特性は、注ぎ粘度、特定の一定低応力下での粘度、及びこれら2つの粘度値の比率を特定することにより定量化できる。両方の粘度パラメータは、500ミクロンの隙間を有する40mmのステンレススチール平行プレートをもつカリムド(Carrimed)CLS100粘度計を使用して本明細書の組成物に対して測定することができる。全ての粘度測定は、20℃で行われる。そのような測定は、ビーズのない水性液体洗剤マトリックスで行われる。
【0053】
本明細書の組成物の液体マトリックスの注ぎ粘度は、20秒−1の剪断速度で測定されるべきである。好適な構造剤は、一般に0.1〜2.5Pa.s(100〜2500cP)、より好ましくは0.1〜1.5Pa.s(100〜1500cP)の範囲の注ぎ粘度を有する液体洗剤マトリックスを提供するものである。
【0054】
本明細書の組成物の水性液体マトリックスは、選択された一定低応力値で測定される特定の粘度特性も通常有する。本発明の目的のために選択される一定低応力値は、0.1Paである。この値は、本明細書の組成物に使用される種類の典型的なビーズにより液体洗剤マトリックスに加えられる応力を表す。
【0055】
0.1Paの一定低応力下の水性液体マトリックスの粘度は、やはり20℃で実施される、5分間隔のクリープ実験を同じカリムド(Carrimed)粘度計を使用して測定することができる。5分間隔のレオロジー測定は、マトリックスのレオロジーが、終了した任意の高剪断力事象から完全に回復し、粘度計への試料の装填と試験の実施との間にゼロ剪断速度で10分間静止した後で行われる。最後の3分間のデータが直線に適合するために使用され、この線の傾きから粘度が計算される。この手順を使用すると、0.1Paの一定低応力で測定されたマトリックスの粘度は、一般に少なくとも1.5Pa.s(1,500cP)、好ましくは少なくとも10Pa.s(10,000cP)、最も好ましくは更に少なくとも50Pa.s(50,000cP)である。最後に、本発明の目的に好適なずり減粘特性を示すために、本明細書の組成物の水性液体マトリックスは、少なくとも2である、上記で測定された0.1Paの一定低応力粘度値と、同様に上記で測定された注ぎ粘度値との比率を通常有するべきである。より好ましくは、この一定低応力粘度と注ぎ粘度との比率は少なくとも10である。最も好ましくは、この粘度比率はこれらの値のどちらよりもかなり高く、少なくとも100である。
【0056】
水又は他の水性液体と組み合わされるとずり減粘流体を形成する物質は、一般に当該技術分野において既知である。そのような物質は、以上で記載されたレオロジー特性を有する水性液体マトリックスを形成するために使用できるものであれば、本明細書の組成物における使用のために選択できる。
【0057】
本発明の組成物に特に有用である1種の構造剤は、その場でマトリックス中に結晶化されると、液体マトリックスの全体にわたって糸状構造系を形成することができる非高分子(従来のアルコキシル化を除く)結晶性ヒドロキシ官能物質を含む。そのような物質は、一般に、結晶性ヒドロキシル含有脂肪酸、脂肪酸エステル又は脂肪蝋として特徴付けできる。そのような物質は、以下の式を有するものから一般に選択される:
I)
【化1】

式中、
【化2】

は、R又はHであり;
は、R又はHであり;
は、独立して、少なくとも1つのヒドロキシル基を含むC10〜C22アルキル又はアルケニルである;
II)
【化3】

式中、
【化4】

は、上記i)と同義であり;
Mは、Na、K、Mg++若しくはAl3+、又はHである;及び
III)Z−(CH(OH))a−Z’
式中、aは2〜4、好ましくは2であり;Z及びZ’は疎水基、特にC〜C20アルキル若しくはシクロアルキル、C〜C24アルカリール若しくはアラルキル、C〜C20アリール又はこれらの混合物から選択される。任意に、Zはエーテル又はエステルと同様に、1個以上の非極性酸素原子を含有することができる。
【0058】
式Iの種類の物質が好ましい。これらは、以下の式でより具体的に定義される:
【化5】

式中、
(x+a)は11〜17からであり;
(y+b)は11〜17からであり;及び
(z+c)は11〜17からである。
【0059】
好ましくは、この式においてx=y=z=10及び/又はa=b=c=5である。
【0060】
好ましい結晶性ヒドロキシル含有構造剤の具体的な例には、ヒマシ油及びその誘導体が挙げられる。特に好ましいものは、硬化ヒマシ油及び水素添加キャスター蝋などの硬化ヒマシ油誘導体である。市販のヒマシ油系結晶性ヒドロキシル含有構造剤には、レオックス社(Rheox,Inc.)(現在のエレメンティス(Elementis))製のチキシン(THIXCIN)(登録商標)が挙げられる。
【0061】
結晶性ヒドロキシル含有構造剤としての使用に好適である代替的な市販物質は、以上の式IIIのものである。この種類の構造剤の例は、1,4−ジ−O−ベンジル−D−トレイトールのR,R及びS,S形態、並びに光学的に活性であるか又は活性ではない任意の混合物である。
【0062】
以上で記載されたこれらの結晶性ヒドロキシル含有構造剤の全ては、本明細書の組成物の水性液体マトリックス中に又はそのような水性液体マトリックスを形成するのに使用されるプレミックス中にその場で結晶化されるときに、糸状構造系を形成することにより機能すると考えられている。そのような結晶化は、これらの物質の水性混合物を構造剤の融点を超える温度に加熱し、続いて液体を攪拌下に維持しながら混合物を室温に冷却することによりもたらされる。
【0063】
特定の条件下では、結晶性ヒドロキシル含有構造剤は、冷却すると、水性液体マトリックス中に糸状構造系を形成する。この糸状系は、繊維性又は絡まった糸状の網状組織を含むことができる。「ロゼッタ」形態の非繊維性粒子も形成される可能性がある。この網状組織の粒子は、1.5:1〜200:1、より好ましくは10:1〜200:1の縦横比を有することができる。そのような繊維及び非繊維性粒子は、1ミクロン〜100ミクロン、より好ましくは5ミクロン〜15ミクロンの範囲の小さい寸法を有することができる。
【0064】
これらの結晶性ヒドロキシル含有物質は、本明細書の洗剤組成物にずり減粘レオロジーを提供するのに、特に好ましい構造剤である。これらは、組成物が望ましくないほど不透明性になりビーズの可視度が制限されることがないほどの低い濃度で、この目的に有効に使用できる。これらの物質及びこれらが形成する網状組織は、また、本明細書の組成物を液−液又は固−液(当然ながらビーズ及び構造系粒子を除いて)相分離に対して安定化するのに役立つ。従って、これらの使用は、配合者が、そうでなければ望ましくない相分離を最小限にするためにより高い濃度で使用しなければならなくなる可能性がある、比較的高価な非水性溶媒又は相安定剤の使用を少なくすることを可能にする。これらの好ましい結晶性ヒドロキシル含有構造剤、及びそれらの水性ずり減粘マトリックスへの組み込みは、米国特許第6,080,708号及びPCT国際公開特許WO02/40627でより詳細に記載されている。
【0065】
以上で記載された非高分子結晶性ヒドロキシル含有構造剤のほかに、他の種類の有機外部構造剤が本明細書の液体洗剤組成物に利用されてもよい。また、水性液体マトリックスにずり減粘特性を提供する高分子物質が使用されてもよい。
【0066】
好適な高分子構造剤には、ポリアクリレート、多糖類又は多糖類誘導体の種類のものが挙げられる。多糖類誘導体は、典型的には高分子ゴム物質を含む構造剤として使用される。そのようなゴム類には、ペクチン、アルギネート、アラビノガラクタン(アラビアゴム)、カラギーナン、ジェランガム、キサンタンガム及びグアーガムが挙げられる。
【0067】
高分子構造剤が本明細書で使用される場合、この種類の好ましい物質はジェランガムである。ジェランガムは、シュードモナセロディア(Pseudomonaselodea)ATCC31461の発酵によって調製されるヘテロ多糖である。ジェランガムは、商標ケルコゲル(KELCOGEL)でCPケルコ(Kelco)U.S.社により市販されている。ジェランガムを調製する方法は、米国特許第4,326,052号、同第4,326,053号、同第4,377,636号及び同第4,385,123号で記載されている。
【0068】
当然ながら、先の具体的に記載した物質のほかに、他の任意の構造剤を、そのような他の構造剤物質が以上で説明した選択されたレオロジー特性を有する組成物を作り出す限り、本明細書の水性液体洗剤組成物に使用することができる。ここでもまた、組成物の得られた液体マトリックスが以上で特定された注ぎ粘度、一定応力粘度及び粘度比率値を有する限り、種々の構造剤及び構造剤の種類の組み合わせもまた使用されてもよい。
【0069】
(目で識別されるビーズ)
別の必須成分として、本明細書の液体洗剤組成物は、0.01重量%〜5重量%、好ましくは0.05重量%〜4重量%、より好ましくは0.1重量%〜3重量%の目で識別される複数個の特定の種類のビーズを含有する。本発明の目的において、用語「目で識別される」は、通常及び従来の意味を有し、それは、本明細書の洗剤組成物中のビーズが組成物を調べる観察者に容易にはっきりと見えて、認識できなければならないということである。
【0070】
当然のことながら、ビーズの可視性は、ビーズの大きさ、並びにビーズ及びそれらが分散された液体組成物の多様な光学的特性を含む多数の相関関係にある要因により決定される。不透明又は半透明のビーズと組み合わされた透明又は半透明の液体マトリックスは、一般に、ビーズを、0.2mm以上の小さい寸法を有する場合に目に見えるようにするが、もっと小さいビーズも特定の状況下では目に見える可能性がある。透明液体マトリックス中の透明なビーズでさえも、ビーズと液体の屈折特性が十分に異なる場合に目で識別される可能性がある。更に、いくぶん不透明な液体マトリックスに分散されたビーズでさえも、これらが十分に大きく、マトリックスと色が異なる場合に目で識別される可能性がある。
【0071】
本発明の洗剤組成物で使用されるビーズは、商業的に調製された液体洗剤製品に導入され、その中で加工されるのに耐えるために十分に強度があり、十分に安定していなければならない。ビーズは、また、長期間の保存及び輸送のために、液体洗剤組成物中で物理的及び化学的に安定していなければならない。しかし、従来の洗濯作業のプロセス中に希釈水性洗浄溶液を形成するためにビード含有液体洗剤製品が使用される場合、これらの同じビーズ及びそれらの内容物は、ビーズ又はそれからの目に見える残留物がそのような希釈水性洗浄溶液中で洗濯される布地上に付着されない方法で及び程度に、溶解又は崩壊することができなければならない。
【0072】
特定の種類のビーズは、本発明特有の外部が構造化された液体洗剤製品に組み込まれるために特に好適であることが判明している。これは、そのような製品において、本明細書で記載されるビーズは、使用前の洗剤組成物中での安定性という観点から特に良好に機能するが、それにもかかわらずそのような製品から形成される洗浄溶液中では適切に不安定であるからである。この選択された種類のビードは、イオン帯電した高分子物質及びその周りを囲む半透膜を含む液体コアの形態のものを含む。この膜は、コア中のイオン帯電したポリマーと、逆の電荷に帯電した別の高分子物質との相互作用により形成されることができるものである。
【0073】
本明細書で有用なビーズの液体コアは、また、イオン帯電した高分子物質を含有することに加えて、水、溶媒、及び性質的にイオン性であってもなくてもよい洗濯補助剤のような多種多様な他の物質を含んでもよい。本発明の水性液体洗剤マトリックス中で使用される場合、半透膜は、平衡が実質的に達成されるまで、浸透効果により液体ビードコアと水性液体洗剤組成物マトリックスとの間で水又は溶媒の移動を可能にする。これは、洗剤組成物マトリックス中のビーズの物理的安定性に寄与する。理論に束縛されることなく、ビード含有洗剤組成物が、例えば洗濯作業中に新鮮な水と組み合わされて洗浄溶液を形成する場合、得られる洗浄溶液とビードコアとの間で得られるイオン強度の勾配がコア内に水を引き込むと考えられている。これは次にビード膜に高い圧力をかけ、その結果、膜は崩壊する。この機構は、使用中のビーズの崩壊及びビードが担持している可能性がある任意の洗濯補助剤を含むビードコア物質の洗浄溶液中への放出に寄与する。ビーズのこの崩壊は一般に洗浄水の温度と無関係である。実際、ビーズは、例えば低温洗浄状態を含む家庭での通常の洗濯作業中に生じる全ての範囲の温度で崩壊する。
【0074】
本発明で利用される種類の洗剤組成物ビーズは、一般に、必須のイオン帯電した高分子物質を含有する液滴又は粒子を形成し、その後そのような液滴又は粒子を、逆の電荷に帯電した必須のイオン性高分子物質が入った液体「硬化浴」と接触させることによって調製できる。この液滴/粒子と硬化浴との接触は、相互作用、例えば2つの種類の高分子物質の反応を起こし、これは次にそれぞれの液滴又は粒子の周りに結果的に得られた浸透性膜を形成する。この一般的な種類でありこの一般的な方法により調製されたビーズは、しばしば「マイクロカプセル」と呼ばれる。この種のマイクロカプセル、並びにそれらの調製及び使用は、PCT国際公開特許出願WO01/01927及び同WO02/055649でより詳細に開示される。本明細書に用いるのに特に好ましいビーズは、その調製と共に、プロクター・アンド・ギャンブル社(The Procter & Gamble Company)の同時に出願された同一所有者の特許出願で詳細に記載されているマイクロカプセルであり、これらは、欧州特許出願EP______(P&G案件CM−2771F)及び欧州特許出願EP______(P&G案件CM−2772F)である。
【0075】
本明細書のビーズのコアと膜との両方を形成するために使用されるイオン帯電した高分子物質は、カチオン電荷又はアニオン電荷のいずれかに帯電してもよい。そのような物質は、また、「高分子電解質」とも呼ばれる。カチオン性及びアニオン性高分子電解質は、互いに反応して、ビーズの半透膜として機能する錯体を形成できなければならない。そのような高分子電解質物質は、天然ポリマー類又は合成ポリマー類のいずれかであることができる。(本発明の目的において、用語「ポリマー類」はオリゴマー類を含む。)
【0076】
ビーズのコアはアニオン性高分子電解質を含んでもよく、一方、このコアと反応してビード封入膜を形成する硬化浴、例えば硬化溶液は、カチオン性高分子電解質を含有してもよい。あるいは反対に、コアがカチオン性高分子電解質を含み、硬化浴にアニオン性高分子電解質が入っていてもよい。好ましくは、コア中にはアニオン性高分子電解質がある。
【0077】
好適なアニオン性天然高分子電解質は、アニオン性ゴム類から選択されてよい。好適なアニオン性ゴム類には、アルギネート、カラギーナン、ジェランガム、カルボキシルメチルセルロース、キサンタンガム及びこれらの混合物が挙げられる。好適なアニオン性合成高分子電解質は、ポリアクリレート類及びポリメタクリレート類、ポリビニルサルフェート類、ポリスチレンスルホネート類、ポリホスフェート類並びにこれらの混合物から成る群から選択できる。
【0078】
好適なカチオン性天然高分子電解質は、キトサン、四級化キトサンなどのキトサン誘導体、アミノアルキル化及び四級化セルロース、並びにポリ−L−リシン並びにこれらの混合物から成る群から選択できる。適切なカチオン性合成高分子電解質は、ポリ−(N,N,N−トリアルキルアンモニウムアルキル)アクリレート類、ポリ−(N−アルキルピリジニウム)塩類、ポリエチレンイミン類、脂肪族イオネン類(ionenes)、ポリ−(ジアリルジアルキルアンモニウム)塩類及びこれらの混合物から成る群から選択されることができ、ここでアルキルは、好ましくは炭素原子1〜約4個の短鎖、好ましくはメチルである。
【0079】
ビーズのコア物質として本明細書に用いるのに好ましいものは、アルギン酸ナトリウムの溶液である。そのような溶液の液滴は、好ましくはポリ−(ジアリルジメチルアンモニウム)クロリド、キトサンポリマー(約10〜1,000kDa、好ましくは約50〜500kDaの分子量を有する)、キトサンオリゴマー(約300〜約9,000Da、好ましくは約500〜約5,000Daの分子量を有する)又はこれらのキトサンポリマーとオリゴマーとの混合物を含む硬化浴と接触する。コア溶液と硬化浴とのこれらの組み合わせは、得られるビーズの短い反応時間及び低い透過性のために好ましく、特に好ましいものは、アルギン酸ナトリウムとポリ−(ジアリルジメチルアンモニウム)クロリドとの組み合わせである。
【0080】
一般に、硬化浴の容積は、ビード形成液滴の容積よりも少なくとも10倍、好ましくは少なくとも100倍、より好ましくは少なくとも1,000倍大きい。従って、硬化浴中の高分子電解質の量は、一般に、ビードコア液体中の高分子電解質の量よりもかなり多い。従って、硬化浴中の高分子電解質の濃度は、それほど重要ではない。一般に、硬化浴中の高分子電解質の濃度は、硬化浴の0.5重量%〜5重量%、より好ましくは0.8重量%〜2重量%の範囲であることができる。
【0081】
好ましくは、硬化浴のpHは、硬化浴高分子電解質が溶解するpHにより決定される。硬化浴中の液滴の滞留時間は、ビード膜の所望の厚さに従って調整できる。一般に、硬化浴中の膜形成反応は、攪拌条件下に保たれた硬化浴で行われる。
【0082】
好ましくは、ビーズの硬化浴は、キトサンポリマーとキトサンオリゴマーの、好ましくは約5:1〜約1:1、より好ましくは約3:1〜約1:3の重量比の混合物を含む。そのような組み合わせは、良好な強度且つ非常に低い膜透過性のビード膜を提供する。
【0083】
ビードコア液体中の高分子電解質と硬化浴中の高分子電解質との相互作用により形成されるビード膜は、ビードの浸透吸収挙動を制御するものである。一般に、そのような膜は、コア及びコアが保持する全ての物質を完全に封入する錯体である。どこで膜が終わってビード「コア」が始まるかを判断することは困難であり得るが、この膜錯体は、当該技術分野において既知の浸透性膜に典型的な厚さを通常有する。少なくともそのような厚さは分子のものであることができる。
【0084】
膜透過性は、ビーズを保持する液体洗剤の水性マトリックスとビーズのコアとの間で水又は溶媒の移動を可能にするようなものである。しかし膜は、ビードコア中で保持されることができる多くの活性物質の浸出を妨げる。ビーズが水性液体洗剤マトリックス中よりもかなり低い濃度のイオン種を有する水性媒体に接触するとき、例えばビーズが水性洗浄溶液に導入されるとき、液からの水は、ビードが接触する水性洗浄条件下で崩壊するまで、膜を通してビードコア内まで運ばれる。
【0085】
ビーズを形成するのに使用されるコア液体は、好ましくは、25℃及び1秒−1の剪断速度で測定されるとき、0.5〜1000Pa.sの範囲の粘度、より好ましくは5〜800Pa.sの粘度を有する。コア液体の1重量%〜15重量%、より好ましくは2重量%〜10重量%、最も好ましくは3重量%〜8重量%の範囲の高分子電解質の濃度は、一般に必須の粘度のコア液体を提供する。
【0086】
ビーズを形成するのに使用されるコア液体は、必要な高分子電解質及び水に加えて、多種多様な追加の物質を含有してもよい。ビード形成に有用なそのような追加の物質には、密度調節剤;イオン強度調節剤;本明細書の洗濯洗剤組成物に本質的に含まれる種類の洗濯補助剤;本明細書の洗剤組成物に所望により含まれる洗剤組成物補助剤;膜透過性調整剤;並びにビードコア液体の全ての構成成分を均質の流体に溶解、乳化又は分散するのに好適な溶媒、分散剤及び乳化剤が挙げられる。
【0087】
好ましくは、本発明で使用されるビーズのコアは、得られるビーズの密度を25℃で少なくとも約10%、より好ましくは少なくとも約15%低減させるような濃度で密度調節剤を含む。密度調節剤は、予め定められた密度のビーズを形成するのを助け、次にそれは本明細書の洗剤組成物の構造化された水性液体マトリックス中に適切に懸濁されることができる。そのような密度の低減は、2つの類似のビーズ、所定の濃度の密度調節剤を含有する液体から作られた第1のものと、密度調節剤が同量の水に置き換えられた液体から作られた第2のものとを比較することにより、評価される。
【0088】
密度調節剤は、好ましくは約1000Kg/m未満、より好ましくは約990Kg/m未満、及び約700Kg/m超過、最も好ましくは約800Kg/m超過の密度を有する物質である。好適な密度調節剤には、疎水性物質及び約3,000超過、好ましくは約6,000超過、より好ましくは約10,000超過の分子量を有する物質が挙げられる。好ましくは、密度調節剤は、水に不溶性であるが、分散剤の助けを用いるか、用いないかのいずれかで分散され得る。活性洗剤補助剤物質は、上記の要件を満たす場合には密度調節剤の役割を果たすことができる。
【0089】
本明細書のビードコア液体での使用に好ましい密度調節剤には、シリコーンオイル類、トウモロコシ油、ヒマワリ油、菜種油又は容易に入手可能で比較的低価格のその他の植物油、ペトロラタム類、及びリモネンのような低密度疎水性溶媒が挙げられる。これらは、以下でビード密度として説明される範囲内の密度を有するビーズを提供するのに十分な量で頻繁に使用される。典型的には、そのような密度調節剤濃度は、コア液体の5重量%〜50重量%、より好ましくは10重量%〜30重量%の範囲である。
【0090】
ビードコア液体は、また、多様な種類の必須及び/又は任意の洗剤組成物活性物質を含んでもよい。そのような物質には、疎水性のもの、例えば香油、シリコーン流体、HLBが10未満の界面活性剤などが挙げられる。本発明の目的において、物質は、基数10に対するログ又は「ClogP」(英国特許第2,311,296号を参照すること)で表されるオクタノール水分配係数が1超過の場合に「疎水性」である。
【0091】
ビードコア液体は、また、酵素などの高分子量(12,000超過)の親水性物質を含んでもよい。そのような物質はビードコア溶液に含まれることができ、最終的に膜封入ビーズ中で保持され、保護される。そのような物質は、ビード膜を容易に通過しないので、ビーズが水性洗浄溶液中で崩壊するまでビードコア中に保持される。
【0092】
ビードコア溶液は、また、膜透過性調整剤を含有してもよい。これらは、これらの液滴/粒子が硬化浴と接触するとき、ビードコア液体の周りに最終的に形成される膜の透過性を低減させるのに役立つ物質である。そのような透過性調整剤が、好ましくはコア液体の0.05重量%〜5重量%の範囲の濃度でビードコア液体に含まれる場合、10,200の低さ、更に3,000の低さの分子量を有する親水性洗剤組成物活性物質がビードコア内に組み込まれ、保持され得る。
【0093】
ビードコア液体に含まれることができる有用な膜透過性調整剤の1つの種類は、1nm〜10,000nm、より好ましくは50nm〜5,000nmの範囲の粒径を有するナノ微粒子又はマイクロ微粒子物質を含む。ナノ微粒子又はマイクロ微粒子膜透過性調整剤には、最終的に得られるビーズを着色するか又はその光学的特性を変える顔料として役立つこともできるTiOのような物質を挙げることができる。他の好適な種類のナノ微粒子又はマイクロ微粒子膜透過性調整剤には、特定された大きさの範囲のポリアクリレート又は他の高分子物質の粒子が挙げられる。
【0094】
ビードコア液体は、また、特にコア溶液の他の構成成分が疎水性物質であるか又は不溶性のナノ粒子若しくはマイクロ粒子である場合、懸濁又は乳化プロセスを促進するために分散剤又は乳化剤を含むこともできる。ビードコア液体での使用に好ましい分散剤には、ポリマー類、特にポリビニルアルコールが挙げられる。ビードコア液体での使用に好ましい乳化剤は、界面活性剤を含む。分散剤及び/又は乳化剤は、通常低濃度で使用され、本明細書に用いるのに好適な濃度は、ビードコア液体の約0.1〜約5重量%、好ましくは約0.2〜約3重量%である。
【0095】
ビード形成を完成するために硬化溶液又は硬化浴に添加される、ビードコア液体の液滴又は粒子は、好ましくはそのような液体を、凝集性の、好ましくは層流の流体流を形成する1つ以上のノズル又はオリフィスに通過させることにより形成される。次にこの流体流は、間隔をおいて、好ましくは一定の間隔をおいて、流体流の長さに沿って流れの中に機械的に剪断力を通すことにより、別個の液滴/粒子に「カット」されることができる。剪断力は、ナイフ若しくは回転ワイヤなどの機械的な要素によりもたらされることができるか、又は水若しくはエアジェットなどのカッティング流体の剪断作用によりもたらされることができる。
【0096】
その中でビードコア液体が形成される流体流、好ましくは層流の流体流は、1つ以上のオリフィスを通るそのような液体の単純な重力流れの結果として生じることができる。しかし、より好ましくはビードコア液体は、オリフィス又はノズルの一方の側にあるバルク流体に圧力を加えることにより1つ以上のオリフィス又はノズルから押し出される。従って、そのような圧力の印加は、制御され相対的に定型の大きさ及び形状の液滴又は粒子により容易に「カット」できる、層流の流体流の「噴流」を形成するために使用されることができる。そのような流体流は、当然のことながら、流体が流れるノズル又はオリフィスの形状及び大きさに応じて、並びに使用される押出圧力及びコア液体のレオロジーに更に応じていかなる幾何学的形状のものでもあることができる。
【0097】
最も慣例的には、流体噴流は一般に円筒形であり、そのような流体噴流のカッティングは、カッティング後直ちに円筒形部分の形態の液滴又は粒子を形成する。これらの円筒形部分が、これらが滴下される硬化浴に向かって落下するに従って、一般にこれらは表面張力効果によりこれら自体を実質的に球状液滴に形成する。
【0098】
流体噴流を形成及びカッティングするのに好適な装置は当該技術分野において既知であり、本明細書の洗剤組成物で使用されるビーズを形成するのに適している。そのような装置の1つは、ジェニアラボ(GeniaLab)から入手可能であり、商標名ジェットカッター(Jet Cutter)(登録商標)で販売されている。ジェットカッター技術を使用してビーズを形成する方法及び装置は、DE4424998及びPCT国際公開特許WO00/48722により詳細に記載されている。
【0099】
ジェットカッター(Jet Cutter)(登録商標)装置を使用する好ましい実施形態において、第1の溶液の流体噴流は、0.2mm〜8mm、より好ましくは0.5mm〜4mmの直径を有するノズルに、0.5g/s〜約20g/s、より好ましくは1g/s〜6g/sの押出量を使用して溶液を通すことにより形成される。流体噴流は好ましくは機械的な手段によりカッティングされ、特に好ましいものは、10μm〜1,000μm、より好ましくは50μm〜500μmの直径、及び500rpm〜10,000rpm、より好ましくは1,000rpm〜6,000rpmのカッティング速度を有する回転カッティングワイヤである。
【0100】
このビード形成方法は、好ましくは周囲温度で実施され、これは、香料及び酵素などの感熱コア液体物質を扱う場合に有利である。しかし、非感熱物質がビーズ内に封入される場合、本方法のコア液体は、硬化浴中の錯化反応の反応速度を速めるために加熱されることができる。
【0101】
本明細書で有用であり、以上の方法で調製できるビーズは、好ましくは、これらを本明細書の液体洗濯洗剤組成物で特に有用にする多数の特徴的なパラメータを有する。そのようなパラメータを以下にまとめることができる:(種々のビード及びビード製造パラメータの値を決定するのに有用な方法、手順及び装置も以降に記載され、まとめられている。)
【0102】
(ビードの大きさ/形状)
本発明で有用なビーズは、好ましくは実質的に球状の形状である。これらは一般に0.2〜8mm、好ましくは0.3mm〜3mm、より好ましくは0.5〜4mmの範囲の直径(又は非球状ビードと同じ質量の球体の直径である有効直径)を有する。これらの範囲は、ビーズを肉眼で見ることができるという観点から、また製造の容易さから好ましい。
【0103】
(ビード密度)
本明細書で有用なビーズは、25℃で好ましくは900〜1,300Kg/m、より好ましくは950〜1,200Kg/m、最も好ましくは980〜1,100Kg/mの密度を有する。以上で示されたように、ビード密度は、洗剤組成物の水性液体マトリックスのレオロジーと共に、ビーズが液体洗剤組成物中に安定して懸濁する能力に関して相互に関係している。本明細書の組成物の好ましい実施形態において、水性液体マトリックスの密度とビーズの密度との差は、25℃で10%未満、より好ましくは5%未満、更により好ましくは3%未満である。これは液体洗剤組成物中のビーズの懸濁安定性に寄与し、そうでなければ安定したビード懸濁のために必要となり得るよりも少ない外部構造剤の使用を可能にする。
【0104】
好ましくはビーズは、液体洗剤組成物が25℃で4週間安定であるように懸濁される。安定性は、透明なボトルに入れられた透明な液体に着色ビーズを懸濁させることによって、直接観察するか又は画像解析により評価することができる。新たに作られた洗剤組成物は、4週間の静的保存の後で、10重量%未満、好ましくは5重量%未満、より好ましくは1重量%未満のビーズがボトルの底に沈澱している場合、安定であると見なされる。
【0105】
(ビード破裂強度)
本明細書の液体洗剤に用いるのに好適なビーズは、洗剤マトリックス成分と物理的及び化学的に相溶性があるべきであるが、使用の際に洗濯される布地及び衣類に残留物を残さずに崩壊するべきである。従って、洗剤組成物の水性液体マトリックス中では、ビーズは好ましくは破裂する前に20mN〜20,000mN、より好ましくは50mN〜15,000mN、最も好ましくは100mN〜10,000mNの力に耐えることができる。この強度は、これらを、液体洗剤製造プロセスを含む工業的処理に適したものにする。これらは、また、大きく破損することなくポンプ送り及び混合作業で耐えることができ、輸送中も安定である。同時に、本明細書のビーズは、攪拌された洗浄溶液などの希釈水性媒体中の浸透性挙動により使用中に容易に崩壊する。
【0106】
(ビード及びビード製造試験手順)
ビード調製で使用されるビードコア液体の粘度は、フィジカ(Physica)USD200制御応力カップ及びボブレオメーター(Z3〜25mm)を使用して測定することができる。剪断速度曲線は、25℃で生成される。0.1s−1〜100s−1の剪断速度で、10秒間の持続時間で30測定ポイントが取られる。この実験曲線から1秒−1での粘度が推定できる。
【0107】
本明細書で使用されるビーズの大きさ及び形状は、光学顕微鏡(ライカ(Leica)MZ8)及び画像解析システム(ライカ(Leica)Q500MC、クイプス(Quips)、英国)を使用して特徴付けることができる。分析を行う前に、ビーズは、0.9%塩化ナトリウム溶液から取り出され、顕微鏡試料台の上に置かれる。測定の間、ビーズは0.9%塩化ナトリウム溶液を使用して湿潤が保持される。画像を処理する前に、全てのビーズが単一の存在として検知されていることを調べて保証するべきである。等価円直径は、粒子の断面積に相当する断面積をもつ円の直径である。
【0108】
本明細書のビーズの密度は、21℃及び25psi(1706g/cm)で、ヘリウム・ピコノメーター(Helium Pycnometer)(マイクロメリティクス(Micromeritics)AccuPyc1330)を使用して測定することができる。次にビードは、0.9%塩化ナトリウム保存溶液から取り出され、測定が行われる前に過剰な液体を除くためにティッシュペーパーで軽くたたかれる。ビーズが耐えることができる破裂前の力は、ダイナミック・メカニカル・アナライザー(Dynamic Mechanical Analyzer)(パーキン・エルマー(Perkin Elmer)DMA7e)を使用して測定することができる。単一のビードが保存液(0.9%NaCl)から分離され、分析器の平行試料プレート上に置かれる。ビードは、一滴の0.9%塩化ナトリウム溶液で覆われる。破裂点の力を確立するため、ビード圧縮の間に20mN/分で増大する力を印加する、静止ひずみスキャンが実施される。負荷力及び圧搾ビードの変位が自動的に記録される。破裂点は、静止力スキャン曲線の第1の肩、特に肩の横方向の上側及び下側部分に最適であるように構築された2個の接線の交点に対応する。
【0109】
(水)
本発明の水性液体洗濯洗剤組成物は、当然のことながら、その構造化された水性液体マトリックスを形成するために有意な量の水を含有する。水は、一般に、本明細書の組成物の30重量%〜75重量%、好ましくは35重量%〜72重量%、より好ましくは40重量%〜70重量%含む。
【0110】
(他の光学的組成物成分)
以上で記載された本質的に存在する洗濯補助剤に加えて、本明細書の水性液体洗濯洗剤は、所望により多種多様な追加の補助的な洗剤組成物/洗浄補助剤を含有することができる。そのように所望により利用される洗剤組成物補助剤は、本明細書の組成物の水性液体マトリックス中に溶解又は懸濁してもよい。あるいは、以上で示されたように、そのような任意の物質は、また、本明細書で使用される目に見えるビーズのコアに組み込まれてもよい。好ましくは、そのようなビードに組み込まれた物質は、洗濯作業中に洗浄溶液中でビーズが崩壊するまでビーズから放出されないように、ビーズ内に完全に封入されている。
【0111】
そのように所望により添加された補助的な補助剤は、洗剤組成物で従来使用されているものを含む。これらには、安定剤、補助的な洗浄性界面活性剤、洗浄性ビルダー類、溶媒、香料、着色剤及びそのような補助的な洗浄成分の組み合わせが挙げられる。
【0112】
安定剤は、本明細書の液体組成物又はその1つ以上の構成成分(例えば、酵素)の化学的及び/又は物理的一体性を維持することに役立つ。そのような安定剤の例には、NaOH、アリールスルホネート類、ホウ酸などが挙げられる。
【0113】
補助的な洗浄性界面活性剤には、本質的に存在するアニオン性及び/又は非イオン性界面活性剤以外のものを挙げることができる。そのような補助的な界面活性剤は、カチオン性、両性及び/又は双極性の種類のものであることができる。
【0114】
洗浄性ビルダー類は、本明細書の組成物のクリーニング性能の向上に役立ち、金属イオンを封鎖する(sequestering)、キレート化する又は沈澱する種類のいずれかを挙げることができる。そのようなビルダー類の例には、C12〜18脂肪酸及び石鹸、並びにアルカリ金属クエン酸塩が挙げられる。
【0115】
安定剤のような溶媒は、本明細書の液体組成物の望ましくない又は好ましくない相分離を防ぐことに役立つことができる。好適な溶媒には、C1〜4アルカノール、C4〜8アルキレングリコール、並びにC1〜18エステル及びエーテルなどの非水性液体が挙げられる。
【0116】
香料は、液体洗剤製品自体の審美性を向上させることができる。香料は、また、本明細書の洗剤組成物を使用して洗濯される布地に、望ましい匂い特性及び/又は悪臭制御を付与することができる。
【0117】
着色剤は、また、液体洗剤組成物に望ましい審美的特性を付与することに役立ち、染料、顔料、乳白剤などを含むことができる。染料は水性液体マトリックスに可溶性であってもよく、ウルトラマリンブルー(Ultramarine Blue)染料、アシッド80ブルー(Acid 80 Blue)染料、レッドHPリクイティント(Red HP Liquitint)、ブルーリクイティント(Blue Liquitint)などを挙げることができる。二酸化チタンなどの顔料は不溶性であってもよく、水性液体マトリックスに懸濁されてもよい。更に、ビーズに色又は不透明度を付与するために、顔料が水性液体マトリックス中のビーズに組み込まれてもよい。
【0118】
多種多様な任意の洗剤組成物又は洗浄補助剤が本明細書の組成物に使用されてもよいが、組成物は、組成物内のビーズを封入する浸透性膜と相互作用する、浸透性膜を軟化する、又は浸透性膜を破壊する物質を含有するべきではない。例えば、アルカノールアミン類などの低分子量アミノ官能物質は、好ましくは、本明細書の組成物に存在しないか、又は少なくとも組成物中のいかなる酸性成分をも中和する働きをする量を超えて使用されない。
【0119】
本明細書の組成物に存在する場合、多様な任意の洗浄補助剤は、組成物又は洗濯作業に所望の寄与をもたらすように従来から使用されている濃度で利用されるべきである。多くの場合、そのような任意の洗浄補助剤の総量は、本明細書の組成物の0.1重量%〜40重量%、より好ましくは1重量%〜30重量%の範囲であることができる。
【0120】
(組成物の調製)
本明細書の水性液体洗剤組成物は、一般に、本明細書の組成物の水性液体マトリックスを含むために最終的に使用される水の一部に有機外部構造剤が分散されているプレミックスを、最初に形成することにより調製できる。このプレミックスは、構造化された水性液体を含むようにして形成される。
【0121】
次に、プレミックスが攪拌されている間、この構造化されたプレミックスに、水及び使用されるべきあらゆる任意の洗剤組成物補助剤と共に、界面活性剤及び必須の洗剤補助剤物質が添加される。プレミックスへのこれらの物質の都合のよいいかなる添加順序、又は更に言えばこれらの組成物成分の同時添加も、実施することができる。構造化されたプレミックスと残りの組成物成分との得られる組み合わせが、水性液体マトリックスを形成し、必須の目で識別されるビーズがそれに添加される。
【0122】
結晶性ヒドロキシル含有構造剤が利用される特に好ましい実施形態において、構造剤を活性化するために以下の工程が使用できる:
1)プレミックスが、好ましくはプレミックスの約0.1重量%〜約5重量%の量の結晶性ヒドロキシル安定剤を、プレミックスの少なくとも20重量%を構成する水、組成物に使用される1つ以上の界面活性剤、及び所望により洗剤組成物に含まれる塩類と組み合わせることにより形成される。
2)工程1)で形成されるプレミックスが、結晶性ヒドロキシル含有構造剤の融点を超えて加熱される。
3)工程2)で形成される加熱されたプレミックスが、混合物を攪拌しながら、糸状構造系がこの混合物内に形成されるように周囲温度に冷却される。
4)目で識別されるビーズの部分を形成するものを除いた残りの洗剤組成物成分が、水の残部と共に、任意の順序で別個に混合されて、別個の混合物を形成する。
5)工程3の構造化されたプレミックス及び工程4の別個の混合物が、次に攪拌下で合わされて、構造化された水性液体マトリックスを形成し、それに目で識別されるビーズが組み込まれる。
【0123】
以上で詳細に記載されたように調製された目で識別されるビーズは、次に、上記のように調製された構造化された水性液体マトリックスと組み合わされ、同時にビーズをその中に分散されるようにマトリックスを攪拌下に維持する。ビーズは、それらが形成された硬化溶液浴から回収された乾燥ビーズとして添加できる。あるいは、例えば、約0.9重量%の溶解されたNaClを含有する水性塩溶液中に保持されたビーズのスラリーとして、構造化された水性液体マトリックスに添加できる。ビーズのスラリーは、それ自体、本明細書で記載された種類の外部構造剤により構造化されてもよい。
【0124】
(組成物の使用)
以上で記載されたように調製された本発明の組成物は、布地の洗濯に使用される水性洗浄溶液を形成するために使用できる。一般に、そのような水性洗濯溶液を形成するため、好ましくは従来の布地洗濯自動洗濯機の水にそのような組成物の有効量が添加される。そのように形成された水性洗浄溶液は、次に、好ましくは攪拌下で、それにより洗濯される布地と接触する。
【0125】
水に添加されて水性洗濯溶液を形成する本明細書の液体洗剤組成物の有効量は、水性洗浄溶液中に約500〜7,000ppmの組成物を形成するのに十分な量を含むことができる。より好ましくは、約800〜3,000ppmの本明細書の洗剤組成物が水性洗浄液中にもたらされる。
【0126】
以下の実施例は、本発明のビード含有水性液体洗剤組成物の調製を説明する。
【0127】
(実施例I)
(構造化された液体洗剤マトリックスの調製)
構造化された液体洗剤マトリックスは、従来のヘビーデューティー液体(HDL)洗剤組成物成分の水性プレミックスと、構造剤プレミックスとを組み合わせることにより調製される。これら2つのプレミックスはそれぞれ以下のように調製される:
HDL成分プレミックスは、HDL成分と水とを、適切な攪拌下、適切な容器の中で組み合わせることにより調製される。得られるプレミックスは、表Iで示される組成を有する。
【表1】

ナトリウムジエチレントリアミンペンタ(メチルホスホネート)
後からの構造剤プレミックス及びビーズの添加を可能にするため
【0128】
構造剤プレミックスは、硬化ヒマシ油及び表IIに示される他の構造剤プレミックス成分を水と特定の条件下で組み合わせることにより調製される。具体的には、硬化ヒマシ油を除く表IIの構成成分が組み合わされ、得られる混合物が90℃に加熱される。次に硬化ヒマシ油が添加され、混合物は、全ての硬化ヒマシ油が乳化するまで攪拌下で維持される。完全な乳化の後、混合物は70℃にフラッシュ冷却され、全ての硬化ヒマシ油が再結晶するまでこの温度で放置される。この時点で、構造剤プレミックスは、ゆっくりと周囲温度に冷まされる。得られる構造剤プレミックスは、表IIに示される組成を有する。
【表2】

【0129】
次の工程では、表IIの構造剤プレミックス2.5部が、ゆっくりとした攪拌下で表IのHDL成分プレミックス96.5部にゆっくりと添加される。得られる組成物は、本発明のHDL製品の水性液体マトリックスである。このマトリックスは以下のレオロジー特性を有する:
注ぎ粘度=0.17Pa.s(170cP)
0.1Paの一定低応力での粘度=687Pa.s(687,000cP)
注ぎ粘度と一定応力での粘度との比率=4,041。
【0130】
(実施例II)
(構造化された水性液体マトリックスに添加するためのビーズの調製)
本発明の水性液体洗濯洗剤組成物に組み込まれるビーズは、以下の手順を使用して調製される:
ポリビニルアルコール(PVA)(モウィオール(Mowiol)3−83、クラリアント(Clariant)製)約160gが、脱イオン水14,406g中に分散され、60℃で溶解される。褐藻類からのアルギン酸ナトリウム(フルカ(Fluka)製、製品コード71238)約760gがPVA溶液に添加され、混合される。ポリジメチルシロキサン(PDMS)(ダウ・コーニング(Dow Corning)200流体100,000cSt(0.1m/s)、ダウ・コーニング(Dow Corning)製)約4,600gがアルギネート/PVA混合物と混合されて、高粘度(25℃剪断速度1s−1で70Pa.s)溶液を形成する。これは形成されるビーズのコア溶液である。
【0131】
次の工程では、このコア溶液は、ジェットカッター(JetCutter)粒子生成機(ジェニアラボ(GeniaLab)製)を使用して液滴に形成される。これを達成するために、上記の溶液は、1.0mmのノズルを通して4.87g/sの流出量でジェットカッター中に押し出され、200ミクロン厚のワイヤを24本含む回転カッティング器具をカッティング速度3150rpmで使用してカッティングされ、直径1000〜1500ミクロンの球状液滴を、ジェットカッターの機械的カッティング装置を使用して形成する。これらの液滴は、HClでpH2.5にした1%キトサン溶液(キトクリア(Chitoclear)、プリメックス(Primex)製)10リットルが入った攪拌硬化浴に落下される。
【0132】
硬化浴中で15分間の硬化時間の後、ビーズに硬化した液滴は濾過によりキトサン溶液から分離され、脱イオン水で素早く洗浄され、0.9NaCl溶液中に保存される。そのように調製されるビーズの密度は1,038Kg/mである。ビーズは、約800ミクロンの平均粒径を有する。
【0133】
(実施例III)
(ビード含有水性液体洗剤組成物の調製)
実施例IIの手順に従って形成されるビーズは、実施例Iに従って調製される構造化された水性液体洗剤組成物マトリックスと組み合わされる。これは、構造化された液体マトリックスが穏やかな攪拌下で維持されている間にそれにビーズをゆっくりと加えることにより達成される。形成される組成物の1重量%を構成するのに十分なビーズが添加される。得られるヘビーデューティー液体洗濯洗剤製品は、表IIIに示される組成物を有する。
【表3】

【0134】
表IIIのヘビーデューティー液体洗濯洗剤組成物は、全体を通して実質的に均一に分散されている、目で識別されるビーズを有する水性液体マトリックスの形態である。製品は物理的及び化学的に安定している。その中のビーズは、製品の長期間の輸送及び保存にわたって実質的に沈降しない。
【0135】
この液体洗剤製品は、その容器から自動洗濯機のドラムへ容易に分配されることができ、その際、約1500ppmの洗剤組成物を含有する水性洗浄溶液が形成される。布地、更には濃色布地もがそのような水性洗浄溶液を使用して従来の方法で洗浄されるとき、またその後そのような布地がすすがれ乾燥されるとき、洗剤製品のビーズからの目に見える残留物が洗濯された布地上に残らない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
目で識別される複数個のビーズがその中に分散されている、外部が構造化された水性液体マトリックスの形態のヘビーデューティー液体洗剤組成物であって:
A)前記組成物の5重量%〜50重量%の、アニオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤及びこれらの組み合わせから選択される洗浄性界面活性剤;
B)0.1重量%〜30重量%の、洗浄性酵素、蛍光増白剤、移染防止剤、泡抑制剤、洗浄性汚れ放出ポリマー、他の布地ケア有益剤及び洗濯洗浄補助剤の組み合わせから選択される洗濯洗浄補助剤;
C)以下から成る群から選択される、0.01重量%〜1重量%の有機外部構造剤:
i)その場での結晶化により前記組成物の水性液体マトリックスの全体にわたって糸状構造系を形成する、非高分子結晶性ヒドロキシ官能物質;
ii)ポリアクリレート類、高分子ゴム類、他の非ゴム多糖類、及びこれらの組み合わせから選択される高分子構造剤であって、前記組成物の水性液体マトリックスにずり減粘特性を付与する高分子構造剤;
iii)前記液体組成物の水性液体マトリックスに、20秒−1で0.1Pa.s〜25Pa.s(100cP〜2500cP)の注ぎ粘度、少なくとも1.5Pa.s(1500cP)である0.1Paの一定低応力での粘度及び少なくとも2である前記一定低応力粘度と前記注ぎ粘度との比率を付与する他の構造剤;並びに
iv)前記外部構造剤の種類の組み合わせ;
D)0.01重量%〜5重量%の目で識別されるビーズであり、前記ビーズのそれぞれが、カチオン性又はアニオン性ポリマー成分、及び前記カチオン性又はアニオン性ポリマー成分と、逆の電荷に帯電したアニオン性又はカチオン性高分子物質との相互作用により形成される半透膜を含み、前記ビーズが前記組成物の水性液体マトリックス中でその構造的一体性を維持するが、洗浄作業中の前記組成物の水性希釈による浸透水透過性の結果として、目に見える残留物を残さないで崩壊するように、前記膜が前記ビーズに浸透透過性の特性を付与することに役立つビーズ;並びに
E)30重量%〜75重量%の水
を含む、組成物。
【請求項2】
0.1重量%〜40重量%の、安定剤、補助的な洗浄性界面活性剤及びビルダー類、溶媒、香料、染料又はそのような補助的な洗浄成分の組み合わせから選択される補助的な洗剤組成物補助剤を追加的に含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記ビーズが、ビーズ密度、マトリックスレオロジー又はその両方の調整により前記水性液体マトリックス中に安定して懸濁されてなる、請求項1又は2に記載の組成物。
【請求項4】
前記洗濯洗浄補助剤又は前記補助的な洗剤組成物補助剤のうちの少なくとも1つが、前記ビーズ中に組み込まれ、前記半透膜で完全にコーティングされてなる、請求項1〜3のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項5】
前記ビーズが、前記アニオン性高分子物質をカチオン性高分子物質と反応させて形成される半透膜で囲まれているアニオン性高分子物質から形成される、請求項1〜4のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項6】
前記ビーズが、前記カチオン性高分子物質をアニオン性高分子物質と反応させて形成される半透膜で囲まれているカチオン性高分子物質から形成される、請求項1〜4のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項7】
前記アニオン性又はカチオン性ビードポリマー成分のうちの1つを含有するビードコア液体から形成される流体噴流の機械的又は空気補助カッティングにより液滴を形成すること、続いて逆の電荷に帯電した高分子物質が入った硬化浴で硬化することを含む方法により前記ビーズが調製される、請求項1〜6のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項8】
前記ビーズが、0.2〜8mm、好ましくは0.3〜3mmの範囲の平均直径を有する、請求項1〜7のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項9】
前記ビーズが、20mN〜20,000mN、好ましくは50mN〜15,000mNの平均破裂強度を有する、請求項1〜8のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項10】
前記ビーズのアニオン性ポリマー成分がアルギネートを含み、前記ビーズのカチオン性ポリマー成分がキトサン又はキトサン誘導体を含む、請求項1〜9のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項11】
前記カチオン性ポリマーが、ポリ−(N,N,N−トリアルキルアンモニウムアルキル)アクリレート類、ポリ−(N−アルキルピリジニウム)塩類、ポリエチレンイミン類、脂肪族イオネン類、ポリ−(ジアリルジアルキルアンモニウム)塩類及びこれらの混合物から選択される合成物質を含み、アルキルが好ましくは炭素原子1〜4個の短鎖、より好ましくはメチルである、請求項10に記載の組成物。
【請求項12】
C(i)の外部構造剤成分が、以下の式の化合物の1つ以上を含み:
i)ROCHCH(OR)CHOR若しくは
ii)RC(O)−OM;又は
iii)これらの混合物;
これらの式中、
は、−C(O)Rであり;
は、R又はHであり;
は、R又はHであり;
は独立して、少なくとも1つヒドロキシルを含むC10〜22アルキル又はアルケニルであり;
は、−C(O)−Rであり;及び
Mは、Na、K、Mg++、Al3+、又はH
である、請求項1〜11のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項13】
前記組成物が、以下の式の外部構造剤のその場での結晶化により構造化され:
【化1】

式中、
(x+a)は、11〜17であり、(y+b)は、11〜17であり、
(z+c)は、11〜17
である、請求項12に記載の組成物。
【請求項14】
C(ii)の外部構造剤成分が、ジェランガム、グアーガム、キサンタンガム、アラビアゴム及びこれらの組み合わせから選択される、請求項1〜12のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項15】
前記外部構造剤が、結晶性硬化ヒマシ油又は結晶性硬化ヒマシ油誘導体から選択される、請求項1〜12のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項16】
a)8重量%〜40重量%の前記洗浄性界面活性剤成分;
b)0.5重量%〜20重量%の前記洗濯洗浄補助剤成分;
c)0.05重量%〜0.75重量%の前記外部構造剤;
d)0.05重量%〜4重量%の前記ビーズ;
e)35重量%〜72重量%の水;並びに
f)1重量%〜30重量%の、安定剤、補助的な洗浄性界面活性剤及びビルダー類、溶媒、香料、染料又はそのような補助的な洗浄の組み合わせから選択される補助的な洗浄補助剤
を含む、請求項1〜14のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項17】
いかなる低分子量ビード軟化アミノ官能化合物をも実質的に含まない、請求項1〜16のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項18】
前記ビーズが、ナノ微粒子又はマイクロ微粒子膜透過性調整剤を含有する、請求項1〜17のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項19】
前記膜透過性調整剤が着色剤でもある、請求項18に記載の組成物。
【請求項20】
目で識別される複数個のビーズがその中に懸濁されている、外部が構造化された水性液体マトリックスの形態のヘビーデューティー液体洗剤組成物であって、
A)10重量%〜35重量%の、C10〜16直鎖アルキルベンゼンスルホネート、1〜20モルのエチレンオキシドを含有するC8〜20アルキルポリエトキシレートサルフェート、1〜16モルのエチレンオキシドを含有するC8〜16アルコールポリエトキシレート、及び前記界面活性剤の組み合わせから選択される洗浄性界面活性剤;
B)1重量%〜10重量%の、洗浄性酵素、蛍光増白剤、シリコーン系布地ケア剤、及び前記洗浄補助剤の組み合わせから選択される洗濯洗浄補助剤;
C)0.02重量%〜0.5重量%の、前記水性液体マトリックス用の外部構造剤であり、結晶性硬化ヒマシ油又はヒマシ油誘導体を含む構造剤;
D)0.1重量%〜3重量%の、0.5〜4mmの範囲の平均直径を有する目で識別されるビーズであって、前記ビーズのそれぞれが、コアからのアルギネートを、キトサンを含む硬化溶液と接触させることにより形成される半透膜で封入されたアルギネートコアを含むビーズ;
E)40重量%〜70重量%の水;並びに
F)1重量%〜30重量%の、安定剤、ビルダー類、溶媒、香料、染料又はそのような補助的な洗浄成分の組み合わせから選択される補助的な洗剤組成物補助剤
を含む、組成物。

【公表番号】特表2007−500268(P2007−500268A)
【公表日】平成19年1月11日(2007.1.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−521927(P2006−521927)
【出願日】平成16年7月22日(2004.7.22)
【国際出願番号】PCT/US2004/023604
【国際公開番号】WO2005/012475
【国際公開日】平成17年2月10日(2005.2.10)
【出願人】(590005058)ザ プロクター アンド ギャンブル カンパニー (2,280)
【Fターム(参考)】