目地カバー装置
【課題】風や水の侵入を阻止するとともに、地震で左右の建物が揺れ動いても、地震が終わると元の状態へ戻り、補修が不要で、かつ構造が簡単な目地カバー装置を提供する。
【解決手段】低い方の建物の躯体3の上面に、反目地部側の上面が下部に位置する傾斜面となるように取付けられた水切カバー8と、低い方の建物の躯体3の上面よりの高い方の建物の躯体3Aの外壁面3aに取付けられた目地部2および水切カバー8を覆う目地カバー9と、該目地カバー9の先端部と水切カバー8との間より内部への水や風の侵入を阻止する第1の防水手段10と、防水シート12の目地部側端部寄りの部位に取付けられた水切カバー8に密着させる棒状の重り13、目地部側端部に取付けられた、防水シート12を常時目地部側へ付勢する重り35やコイルスプリングが使用された防水シート付勢機構14とからなる第2の防水手段15、とで目地カバー装置を構成する。
【解決手段】低い方の建物の躯体3の上面に、反目地部側の上面が下部に位置する傾斜面となるように取付けられた水切カバー8と、低い方の建物の躯体3の上面よりの高い方の建物の躯体3Aの外壁面3aに取付けられた目地部2および水切カバー8を覆う目地カバー9と、該目地カバー9の先端部と水切カバー8との間より内部への水や風の侵入を阻止する第1の防水手段10と、防水シート12の目地部側端部寄りの部位に取付けられた水切カバー8に密着させる棒状の重り13、目地部側端部に取付けられた、防水シート12を常時目地部側へ付勢する重り35やコイルスプリングが使用された防水シート付勢機構14とからなる第2の防水手段15、とで目地カバー装置を構成する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は目地部を介して設けられた上下部の躯体間を覆い、目地部内へ水や風が侵入するのを阻止する目地カバー装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の目地カバー装置は目地部を介して隣接する建物の低い方の建物の目地部側のパラペットの上面に所定間隔で固定された複数個の取付金具と、この複数個の取付金具に固定された外側部が上方に位置する傾斜面の上面を有するパラペットの上面を覆う水切カバーと、この水切カバーの上部に先端部が位置するように、前記高い方の建物の目地部側の壁面に所定間隔で上下方向に回動するように取付けられた複数個の目地カバー取付金具と、この複数個の目地カバー取付金具の先端部寄りの部位に形成された、地震等によって前記目地部の寸法が伸縮する方向に長い長孔と、前記複数個の目地カバー取付金具の長孔に挿入され、該目地カバー取付金具の前後左右方向の移動を吸収できるように支持する、前記水切カバーあるいは前記複数個の取付金具に取付けられた支持金具と、前記複数個の目地カバー取付金具に固定された前記目地部を覆う目地カバーと、この目地カバーの先端部と前記水切カバーの外側部との間を伸縮可能に覆うシートとで構成されている。
【0003】
このように構成された目地カバー装置は目地部内への風や水の侵入を阻止することができるが、大きな寸法の防水シートを用いるため、コスト高になるとともに、建物が地震で揺れ動くと大きな寸法の防水シートがパラペットの内側へ垂れ下がり、見苦しくなったり、水切プレート上へ防水シートを戻したりする補修作業が必要になるという欠点があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第3160559号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は以上のような従来の欠点に鑑み、目地部内への風や水が侵入するのを確実に阻止することができるとともに、地震で左右の建物が揺れ動いても、その揺れ動きが停止すると元の状態へ自動的に戻り、補修作業が不要で、かつ構造が簡単で、容易に設置することができる目地カバー装置を提供することを目的としている。
【0006】
本発明の前記ならびにそのほかの目的と新規な特徴は次の説明を添付図面と照らし合わせて読むと、より完全に明らかになるであろう。
ただし、図面はもっぱら解説のためのものであって、本発明の技術的範囲を限定するものではない。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明は目地部を介して設けられた高さの異なる左右の建物の躯体の内の低い方の建物の躯体の目地部側の上面に、反目地部側の上面が下部に位置する傾斜面となるように取付けられた水切カバーと、前記左右の建物の躯体の内の低い方の建物の躯体の上面より上部位置の高い方の建物の躯体の外壁面に取付けられた前記目地部および前記水切カバーを覆う目地カバーと、この目地カバーの先端部に取付けられた、該目地カバーの先端部と前記水切カバーとの間より内部への水や風の侵入を阻止する第1の防水手段と、前記目地カバーの先端部の内側部位に一端部が取付けられ、他端部が前記水切カバーに密着し、かつ目地部側端部に位置する防水シート、この防水シートの目地部側端部寄りの部位に取付けられた該防水シートを前記水切カバーに密着させる棒状の重り、前記防水シートの目地部側端部に取付けられた、該防水シートを常時目地部側へ付勢する重りやコイルスプリングが使用された防水シート付勢機構とからなる第2の防水手段とで目地カバー装置を構成している。
【発明の効果】
【0008】
以上の説明から明らかなように、本発明にあっては次に列挙する効果が得られる。
(1)請求項1により、第1の防水手段と第2の防水手段とで、高さの異なる左右の建物の躯体間の目地部内に水や風が侵入するのを確実に防止することができる。
(2)前記(1)により、第1の防水手段と第2の防水手段とで、地震で左右の建物が異なる方向に揺れ動いても、その揺れ動きを吸収し、停止すると元の状態へ自動的に戻すことができる。
したがって、見苦しくなったり、補修作業が不要で、維持コストの低減を図ることができる。
(3)前記(1)により、第2の防水手段の防水シートを棒状の重りで水切カバーに密着させるので、確実に水や風の目地部への侵入を阻止することができる。
(4)前記(1)により、第2の防水手段の防水シートを棒状の重りで水切カバーに密着させるとともに、重りが取付けられた部位の防水シートを目地部方向に常時付勢する防水シート付勢機構で付勢しているので、地震で目地部が狭くなり防水シートに遊びが生じても、その揺れ動きが停止すると、また元の状態に戻るため、第1の防水手段より低い方の建物内へ突出したりする不具合を確実に防止することができる。
(5)請求項2、3も前記(1)〜(4)と同様な効果が得られるとともに、
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明を実施するための第1の形態の使用状態の平面図。
【図2】図1の2−2線に沿う断面図。
【図3】本発明を実施するための第1の形態の正面図。
【図4】図1の4−4線に沿う断面図。
【図5】本発明を実施するための第1の形態の水切カバーの説明図。
【図6】本発明を実施するための第1の形態の目地部が広くなった場合の動作説明図。
【図7】本発明を実施するための第1の形態の目地部が狭くなった場合の動作説明図。
【図8】本発明を実施するための第2の形態の平面図。
【図9】図8の9−9線に沿う断面図。
【図10】図8の10−10線に沿う断面図。
【図11】本発明を実施するための第3の形態の平面図。
【図12】図11の12−12線に沿う断面図。
【図13】図11の13−13線に沿う断面図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面に示す本発明を実施するための形態により、本発明を詳細に説明する。
【0011】
図1ないし図7に示す本発明を実施するための第1の形態において、1は目地部2を介して設けられた高さの異なる建物の躯体3、3Aの低い方の建物の躯体3の上部と高い方の建物の躯体3Aの外壁面3aとの間の目地部を覆う本発明の目地カバー装置で、この目地カバー装置1は前記低い方の建物の躯体3の目地部側のパラペット4の上面に、反目地部側の上面が下部に位置する傾斜面5となるように取付金具6、7で取付けられた水切カバー8と、前記左右の建物の躯体3、3Aの内の低い方の建物の躯体3の上面より上部位置の高い方の建物の躯体3Aの外壁面3aに固定状態で取付けられた、前記目地部2および前記水切カバー8を覆う目地カバー9と、この目地カバー9の先端部に取付けられた該目地カバー9の先端部と前記水切カバー8との間より内部へ水や風の侵入を阻止する第1の防水手段10と、前記目地カバー9の先端部の内側部位に一端部が取付具11で密封状態に取付けられ、他端部が前記水切カバー8に密着し、かつ目地部側端部に位置するゴムシートや合成樹脂材シート等の防水シート12、この防水シート12の目地部側端部寄りの部位に取付けられた、該防水シート12を前記水切カバー8に密着させる棒状の重り13、前記防水シート12の目地部側端部に取付けられた、該防水シート12を常時目地部側へ付勢する防水シート付勢機構14とからなる第2の防水手段15とで構成されている。
【0012】
なお、当然ながら目地カバー9の両端部にはカバープレート16や壁用目地装置17が設置されている。
【0013】
このカバープレート16や壁用目地装置17は目地部2内に水や風が入り込まない構造のものであれば、どんな構造のものであってもよい。
【0014】
前記水切カバー8は図5に示すように、板状の水切カバー本体18と、この水切カバー本体18の目地部側の端部より上方へ突出するように形成された支持板19と、前記水切カバー本体18の反目地部側の端部より下方へ突出する下部板20、この下部板20の下端部より前記パラペット4の内壁4aとシール剤21で密閉できるように取付けられるシール剤収納凹部22が形成された底部板23とからなる水切部24とからなり、上面の高さが異なり、前記水切カバー本体18が傾斜面5で、パラペット4の上面に取付けられるハット形鋼形状の取付金具6、7を用いて取付けられている。
【0015】
前記目地カバー9は前記高い方の建物の躯体3Aの外壁面3aに所定間隔で後端部がアンカーボルト25等で固定された先端部が前記水切カバー8の水切部24上に位置する上面が、先端部側が下方に位置する傾斜面26に形成された複数個の支持金具27と、この複数個の支持金具27を覆うように、該複数個の支持金具27に複数本のビス28等で固定されるとともに、前記高い方の建物の躯体3Aの外壁面3aに形成されたシール剤21で覆われる取付凹部29内で複数本のアンカーボルト25等で固定される目地カバー本体30とで構成されている。
【0016】
前記第1の防水手段10は前記目地カバー9の目地カバー本体30の先端部の垂直板31の下端部に上端部が密封状態となるように取付具11で取付けられ、下端部が前記水切カバー8の水切部24の下部板20に弾性状態で密着する弾性を有するゴムあるいは合成樹脂材製の防水シート32で構成されている。
【0017】
前記第2の防水手段15の防水シート付勢機構14は前記水切カバー8の支持板19の上部より上方へ突出するように所定間隔で取付けられた複数個のローラー33と、この複数個のローラー33を通過するように前記防水シート12の目地部側端部あるいは前記重り13に取付けられた複数個のワイヤー34と、この複数個のワイヤー34の下端部にそれぞれ取付けられた、前記防水シート12あるいは重り13を常時目地部方向に付勢する複数個の重り35と、前記複数個のワイヤー34をガイドできるように前記低い方の建物の目地部側躯体3に取付けられた複数個のガイド部材36とで構成されている。
【0018】
上記構成の目地カバー装置1は、通常時には図1、図2に示すように、第1の防水手段10は目地カバー本体30に密封状態で取付けられた防水シート32が水切カバー8の水切部24に弾性状態で密着して、目地部2内へ水や風が侵入するのを阻止するとともに、この部分より水や風が侵入したとしても、第2の防水手段15の重り13で水切カバー8に押し圧されている防水シート12で、その侵入を阻止する。
【0019】
また、第2の防水手段15の防水シート12は防水シート付勢機構14で目地部2側へ付勢され、かつ該目地部側に防水シート12に取付けられた重り13が位置するため、該重り13部分で完全に水や風の侵入を阻止する。
【0020】
地震で左右の建物の躯体3、3Aが揺れ動き、目地部2が広くなると、図6に示すように第1の防水手段10の防水シート32が撓んで水切カバー8上をスライド移動して密封状態を保つとともに、第2の防水手段15の防水シート12は目地カバー本体18の垂直板31によって目地方向に押されるため、たたまれて収納された状態となって、その揺れ動きを吸収する。
【0021】
地震で左右の建物の躯体3、3Aが揺れ動き、目地部2が狭くなると、図7に示すように第1の防水手段10の防水シート32が水切カバー8の水切部24と離れるように移動し、第1の防水手段10は機能しなくなるが、第2の防水手段15の防水シート12が防水シート付勢機構14の付勢力に抗して外方へ引き出されるが、重り13が水切カバー8上をスライド移動して水切カバー8との密着状態を保つので、目地部2への水や風の侵入を阻止することができる。
【0022】
なお、揺れ動きが停止すると、防水シート付勢機構14によって重り13が目地部2側、すなわち目地部側の防水シート12が目地部側へ移動し、元の状態へ自動的に戻る。
【0023】
[発明を実施するための異なる形態]
次に、図8ないし図13に示す本発明を実施するための異なる形態につき説明する。なお、これらの本発明を実施するための異なる形態の説明に当って、前記本発明を実施するための第1の形態と同一構成部分には同一符号を付して重複する説明を省略する。
【0024】
図8ないし図10に示す本発明を実施するための第2の形態において、前記本発明を実施するための第1の形態と主に異なる点は、重り13あるいは防水シート12を常時目地部2方向へ付勢できるようにコイルスプリング37を介装したワイヤー34を低い方の建物の目地部側躯体3に固定した固定ピン38に取付けた防水シート付勢機構14Aを使用した第2の防水手段15Aを用いた点で、このような防水シート付勢機構14Aを使用した第2の防水手段15Aを用いた目地カバー装置1Aにしても、前記本発明を実施するための第1の形態と同様な作用効果が得られる。
【0025】
図11ないし図13に示す本発明を実施するための第3の形態において、前記本発明を実施するための第1の形態と主に異なる点は、ワイヤー34を巻き取る巻き取り装置39を低い方の建物の目地部側躯体3に取付けた防水シート付勢機構14Bを使用した第2の防水手段15Bを用いた点で、このような防水シート付勢機構14Bを使用した第2の防止手段15Bを用いて構成した目地カバー装置1Bにしても、前記本発明を実施するための第1の形態と同様な作用効果が得られる。
【0026】
なお、前記各実施の形態で使用した棒状の重り13に水切カバー8に吸着される磁性材料を用いて形成したものや、全面あるいは所定間隔で、かつ外周部が平坦となるように磁石板を固定したものを用いてもよい。
【0027】
また、第2の防水手段15の防水シート付勢機構14Bの巻き取り装置39は水切カバー8の支持板19あるいは支持板19近傍部位の低い方の建物の目地部側躯体3に取付けてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0028】
本発明は高さの異なる左右の建物間の上部目地部を覆う目地カバー装置を製造する産業で利用される。
【符号の説明】
【0029】
1、1A、1B:目地カバー装置、
2:目地部、 3:低い方の建物の躯体、
3A:高い方の建物の躯体、 3a:外壁面、
4:パラペット、 5:傾斜面、
6、7:取付金具、 8:水切カバー、
9:目地カバー、 10:第1の防水手段、
11:取付具、 12:防水シート、
13:重り、
14、14A、14B:防水シート付勢機構、
15、15A、15B:第2の防水手段、
16:カバープレート、 17:壁用目地装置、
18:水切カバー本体、 19:支持板、
20:下部板、 21:シール剤、
22:シール剤収納凹部、 23:底部材、
24:水切部、 25:アンカーボルト、
26:傾斜面、 27:支持金具、
28:ビス、 29:取付凹部、
30:目地カバー本体、 31:垂直板、
32:防止シート、 33:ローラー、
34:ワイヤー、 35:重り、
36:ガイド部材、 37:コイルスプリング、
38:固定ピン、 39:巻き取り装置。
【技術分野】
【0001】
本発明は目地部を介して設けられた上下部の躯体間を覆い、目地部内へ水や風が侵入するのを阻止する目地カバー装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の目地カバー装置は目地部を介して隣接する建物の低い方の建物の目地部側のパラペットの上面に所定間隔で固定された複数個の取付金具と、この複数個の取付金具に固定された外側部が上方に位置する傾斜面の上面を有するパラペットの上面を覆う水切カバーと、この水切カバーの上部に先端部が位置するように、前記高い方の建物の目地部側の壁面に所定間隔で上下方向に回動するように取付けられた複数個の目地カバー取付金具と、この複数個の目地カバー取付金具の先端部寄りの部位に形成された、地震等によって前記目地部の寸法が伸縮する方向に長い長孔と、前記複数個の目地カバー取付金具の長孔に挿入され、該目地カバー取付金具の前後左右方向の移動を吸収できるように支持する、前記水切カバーあるいは前記複数個の取付金具に取付けられた支持金具と、前記複数個の目地カバー取付金具に固定された前記目地部を覆う目地カバーと、この目地カバーの先端部と前記水切カバーの外側部との間を伸縮可能に覆うシートとで構成されている。
【0003】
このように構成された目地カバー装置は目地部内への風や水の侵入を阻止することができるが、大きな寸法の防水シートを用いるため、コスト高になるとともに、建物が地震で揺れ動くと大きな寸法の防水シートがパラペットの内側へ垂れ下がり、見苦しくなったり、水切プレート上へ防水シートを戻したりする補修作業が必要になるという欠点があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第3160559号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は以上のような従来の欠点に鑑み、目地部内への風や水が侵入するのを確実に阻止することができるとともに、地震で左右の建物が揺れ動いても、その揺れ動きが停止すると元の状態へ自動的に戻り、補修作業が不要で、かつ構造が簡単で、容易に設置することができる目地カバー装置を提供することを目的としている。
【0006】
本発明の前記ならびにそのほかの目的と新規な特徴は次の説明を添付図面と照らし合わせて読むと、より完全に明らかになるであろう。
ただし、図面はもっぱら解説のためのものであって、本発明の技術的範囲を限定するものではない。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明は目地部を介して設けられた高さの異なる左右の建物の躯体の内の低い方の建物の躯体の目地部側の上面に、反目地部側の上面が下部に位置する傾斜面となるように取付けられた水切カバーと、前記左右の建物の躯体の内の低い方の建物の躯体の上面より上部位置の高い方の建物の躯体の外壁面に取付けられた前記目地部および前記水切カバーを覆う目地カバーと、この目地カバーの先端部に取付けられた、該目地カバーの先端部と前記水切カバーとの間より内部への水や風の侵入を阻止する第1の防水手段と、前記目地カバーの先端部の内側部位に一端部が取付けられ、他端部が前記水切カバーに密着し、かつ目地部側端部に位置する防水シート、この防水シートの目地部側端部寄りの部位に取付けられた該防水シートを前記水切カバーに密着させる棒状の重り、前記防水シートの目地部側端部に取付けられた、該防水シートを常時目地部側へ付勢する重りやコイルスプリングが使用された防水シート付勢機構とからなる第2の防水手段とで目地カバー装置を構成している。
【発明の効果】
【0008】
以上の説明から明らかなように、本発明にあっては次に列挙する効果が得られる。
(1)請求項1により、第1の防水手段と第2の防水手段とで、高さの異なる左右の建物の躯体間の目地部内に水や風が侵入するのを確実に防止することができる。
(2)前記(1)により、第1の防水手段と第2の防水手段とで、地震で左右の建物が異なる方向に揺れ動いても、その揺れ動きを吸収し、停止すると元の状態へ自動的に戻すことができる。
したがって、見苦しくなったり、補修作業が不要で、維持コストの低減を図ることができる。
(3)前記(1)により、第2の防水手段の防水シートを棒状の重りで水切カバーに密着させるので、確実に水や風の目地部への侵入を阻止することができる。
(4)前記(1)により、第2の防水手段の防水シートを棒状の重りで水切カバーに密着させるとともに、重りが取付けられた部位の防水シートを目地部方向に常時付勢する防水シート付勢機構で付勢しているので、地震で目地部が狭くなり防水シートに遊びが生じても、その揺れ動きが停止すると、また元の状態に戻るため、第1の防水手段より低い方の建物内へ突出したりする不具合を確実に防止することができる。
(5)請求項2、3も前記(1)〜(4)と同様な効果が得られるとともに、
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明を実施するための第1の形態の使用状態の平面図。
【図2】図1の2−2線に沿う断面図。
【図3】本発明を実施するための第1の形態の正面図。
【図4】図1の4−4線に沿う断面図。
【図5】本発明を実施するための第1の形態の水切カバーの説明図。
【図6】本発明を実施するための第1の形態の目地部が広くなった場合の動作説明図。
【図7】本発明を実施するための第1の形態の目地部が狭くなった場合の動作説明図。
【図8】本発明を実施するための第2の形態の平面図。
【図9】図8の9−9線に沿う断面図。
【図10】図8の10−10線に沿う断面図。
【図11】本発明を実施するための第3の形態の平面図。
【図12】図11の12−12線に沿う断面図。
【図13】図11の13−13線に沿う断面図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面に示す本発明を実施するための形態により、本発明を詳細に説明する。
【0011】
図1ないし図7に示す本発明を実施するための第1の形態において、1は目地部2を介して設けられた高さの異なる建物の躯体3、3Aの低い方の建物の躯体3の上部と高い方の建物の躯体3Aの外壁面3aとの間の目地部を覆う本発明の目地カバー装置で、この目地カバー装置1は前記低い方の建物の躯体3の目地部側のパラペット4の上面に、反目地部側の上面が下部に位置する傾斜面5となるように取付金具6、7で取付けられた水切カバー8と、前記左右の建物の躯体3、3Aの内の低い方の建物の躯体3の上面より上部位置の高い方の建物の躯体3Aの外壁面3aに固定状態で取付けられた、前記目地部2および前記水切カバー8を覆う目地カバー9と、この目地カバー9の先端部に取付けられた該目地カバー9の先端部と前記水切カバー8との間より内部へ水や風の侵入を阻止する第1の防水手段10と、前記目地カバー9の先端部の内側部位に一端部が取付具11で密封状態に取付けられ、他端部が前記水切カバー8に密着し、かつ目地部側端部に位置するゴムシートや合成樹脂材シート等の防水シート12、この防水シート12の目地部側端部寄りの部位に取付けられた、該防水シート12を前記水切カバー8に密着させる棒状の重り13、前記防水シート12の目地部側端部に取付けられた、該防水シート12を常時目地部側へ付勢する防水シート付勢機構14とからなる第2の防水手段15とで構成されている。
【0012】
なお、当然ながら目地カバー9の両端部にはカバープレート16や壁用目地装置17が設置されている。
【0013】
このカバープレート16や壁用目地装置17は目地部2内に水や風が入り込まない構造のものであれば、どんな構造のものであってもよい。
【0014】
前記水切カバー8は図5に示すように、板状の水切カバー本体18と、この水切カバー本体18の目地部側の端部より上方へ突出するように形成された支持板19と、前記水切カバー本体18の反目地部側の端部より下方へ突出する下部板20、この下部板20の下端部より前記パラペット4の内壁4aとシール剤21で密閉できるように取付けられるシール剤収納凹部22が形成された底部板23とからなる水切部24とからなり、上面の高さが異なり、前記水切カバー本体18が傾斜面5で、パラペット4の上面に取付けられるハット形鋼形状の取付金具6、7を用いて取付けられている。
【0015】
前記目地カバー9は前記高い方の建物の躯体3Aの外壁面3aに所定間隔で後端部がアンカーボルト25等で固定された先端部が前記水切カバー8の水切部24上に位置する上面が、先端部側が下方に位置する傾斜面26に形成された複数個の支持金具27と、この複数個の支持金具27を覆うように、該複数個の支持金具27に複数本のビス28等で固定されるとともに、前記高い方の建物の躯体3Aの外壁面3aに形成されたシール剤21で覆われる取付凹部29内で複数本のアンカーボルト25等で固定される目地カバー本体30とで構成されている。
【0016】
前記第1の防水手段10は前記目地カバー9の目地カバー本体30の先端部の垂直板31の下端部に上端部が密封状態となるように取付具11で取付けられ、下端部が前記水切カバー8の水切部24の下部板20に弾性状態で密着する弾性を有するゴムあるいは合成樹脂材製の防水シート32で構成されている。
【0017】
前記第2の防水手段15の防水シート付勢機構14は前記水切カバー8の支持板19の上部より上方へ突出するように所定間隔で取付けられた複数個のローラー33と、この複数個のローラー33を通過するように前記防水シート12の目地部側端部あるいは前記重り13に取付けられた複数個のワイヤー34と、この複数個のワイヤー34の下端部にそれぞれ取付けられた、前記防水シート12あるいは重り13を常時目地部方向に付勢する複数個の重り35と、前記複数個のワイヤー34をガイドできるように前記低い方の建物の目地部側躯体3に取付けられた複数個のガイド部材36とで構成されている。
【0018】
上記構成の目地カバー装置1は、通常時には図1、図2に示すように、第1の防水手段10は目地カバー本体30に密封状態で取付けられた防水シート32が水切カバー8の水切部24に弾性状態で密着して、目地部2内へ水や風が侵入するのを阻止するとともに、この部分より水や風が侵入したとしても、第2の防水手段15の重り13で水切カバー8に押し圧されている防水シート12で、その侵入を阻止する。
【0019】
また、第2の防水手段15の防水シート12は防水シート付勢機構14で目地部2側へ付勢され、かつ該目地部側に防水シート12に取付けられた重り13が位置するため、該重り13部分で完全に水や風の侵入を阻止する。
【0020】
地震で左右の建物の躯体3、3Aが揺れ動き、目地部2が広くなると、図6に示すように第1の防水手段10の防水シート32が撓んで水切カバー8上をスライド移動して密封状態を保つとともに、第2の防水手段15の防水シート12は目地カバー本体18の垂直板31によって目地方向に押されるため、たたまれて収納された状態となって、その揺れ動きを吸収する。
【0021】
地震で左右の建物の躯体3、3Aが揺れ動き、目地部2が狭くなると、図7に示すように第1の防水手段10の防水シート32が水切カバー8の水切部24と離れるように移動し、第1の防水手段10は機能しなくなるが、第2の防水手段15の防水シート12が防水シート付勢機構14の付勢力に抗して外方へ引き出されるが、重り13が水切カバー8上をスライド移動して水切カバー8との密着状態を保つので、目地部2への水や風の侵入を阻止することができる。
【0022】
なお、揺れ動きが停止すると、防水シート付勢機構14によって重り13が目地部2側、すなわち目地部側の防水シート12が目地部側へ移動し、元の状態へ自動的に戻る。
【0023】
[発明を実施するための異なる形態]
次に、図8ないし図13に示す本発明を実施するための異なる形態につき説明する。なお、これらの本発明を実施するための異なる形態の説明に当って、前記本発明を実施するための第1の形態と同一構成部分には同一符号を付して重複する説明を省略する。
【0024】
図8ないし図10に示す本発明を実施するための第2の形態において、前記本発明を実施するための第1の形態と主に異なる点は、重り13あるいは防水シート12を常時目地部2方向へ付勢できるようにコイルスプリング37を介装したワイヤー34を低い方の建物の目地部側躯体3に固定した固定ピン38に取付けた防水シート付勢機構14Aを使用した第2の防水手段15Aを用いた点で、このような防水シート付勢機構14Aを使用した第2の防水手段15Aを用いた目地カバー装置1Aにしても、前記本発明を実施するための第1の形態と同様な作用効果が得られる。
【0025】
図11ないし図13に示す本発明を実施するための第3の形態において、前記本発明を実施するための第1の形態と主に異なる点は、ワイヤー34を巻き取る巻き取り装置39を低い方の建物の目地部側躯体3に取付けた防水シート付勢機構14Bを使用した第2の防水手段15Bを用いた点で、このような防水シート付勢機構14Bを使用した第2の防止手段15Bを用いて構成した目地カバー装置1Bにしても、前記本発明を実施するための第1の形態と同様な作用効果が得られる。
【0026】
なお、前記各実施の形態で使用した棒状の重り13に水切カバー8に吸着される磁性材料を用いて形成したものや、全面あるいは所定間隔で、かつ外周部が平坦となるように磁石板を固定したものを用いてもよい。
【0027】
また、第2の防水手段15の防水シート付勢機構14Bの巻き取り装置39は水切カバー8の支持板19あるいは支持板19近傍部位の低い方の建物の目地部側躯体3に取付けてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0028】
本発明は高さの異なる左右の建物間の上部目地部を覆う目地カバー装置を製造する産業で利用される。
【符号の説明】
【0029】
1、1A、1B:目地カバー装置、
2:目地部、 3:低い方の建物の躯体、
3A:高い方の建物の躯体、 3a:外壁面、
4:パラペット、 5:傾斜面、
6、7:取付金具、 8:水切カバー、
9:目地カバー、 10:第1の防水手段、
11:取付具、 12:防水シート、
13:重り、
14、14A、14B:防水シート付勢機構、
15、15A、15B:第2の防水手段、
16:カバープレート、 17:壁用目地装置、
18:水切カバー本体、 19:支持板、
20:下部板、 21:シール剤、
22:シール剤収納凹部、 23:底部材、
24:水切部、 25:アンカーボルト、
26:傾斜面、 27:支持金具、
28:ビス、 29:取付凹部、
30:目地カバー本体、 31:垂直板、
32:防止シート、 33:ローラー、
34:ワイヤー、 35:重り、
36:ガイド部材、 37:コイルスプリング、
38:固定ピン、 39:巻き取り装置。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
目地部を介して設けられた高さの異なる左右の建物の躯体の内の低い方の建物の躯体の目地部側の上面に、反目地部側の上面が下部に位置する傾斜面となるように取付けられた水切カバーと、前記左右の建物の躯体の内の低い方の建物の躯体の上面より上部位置の高い方の建物の躯体の外壁面に取付けられた前記目地部および前記水切カバーを覆う目地カバーと、この目地カバーの先端部に取付けられた、該目地カバーの先端部と前記水切カバーとの間より内部への水や風の侵入を阻止する第1の防水手段と、前記目地カバーの先端部の内側部位に一端部が取付けられ、他端部が前記水切カバーに密着し、かつ目地部側端部に位置する防水シート、この防水シートの目地部側端部寄りの部位に取付けられた該防水シートを前記水切カバーに密着させる棒状の重り、前記防水シートの目地部側端部に取付けられた、該防水シートを常時目地部側へ付勢する重りやコイルスプリングが使用された防水シート付勢機構とからなる第2の防水手段とからなることを特徴とする目地カバー装置。
【請求項2】
第1の防水手段は弾性を有するゴムあるいは合成樹脂材で形成された防水シートあるいは弾性を有するマグネットシートであることを特徴とする請求項1記載の目地カバー装置。
【請求項3】
第2の防水手段の防水カバーはゴムあるいは合成樹脂材で形成されたものが使用され、防水シート付勢機構は防水シートに所定間隔で取付けられた複数個のワイヤーにそれぞれ取付けられたスプリングで構成されたものであることを特徴とする請求項1記載の目地カバー装置。
【請求項1】
目地部を介して設けられた高さの異なる左右の建物の躯体の内の低い方の建物の躯体の目地部側の上面に、反目地部側の上面が下部に位置する傾斜面となるように取付けられた水切カバーと、前記左右の建物の躯体の内の低い方の建物の躯体の上面より上部位置の高い方の建物の躯体の外壁面に取付けられた前記目地部および前記水切カバーを覆う目地カバーと、この目地カバーの先端部に取付けられた、該目地カバーの先端部と前記水切カバーとの間より内部への水や風の侵入を阻止する第1の防水手段と、前記目地カバーの先端部の内側部位に一端部が取付けられ、他端部が前記水切カバーに密着し、かつ目地部側端部に位置する防水シート、この防水シートの目地部側端部寄りの部位に取付けられた該防水シートを前記水切カバーに密着させる棒状の重り、前記防水シートの目地部側端部に取付けられた、該防水シートを常時目地部側へ付勢する重りやコイルスプリングが使用された防水シート付勢機構とからなる第2の防水手段とからなることを特徴とする目地カバー装置。
【請求項2】
第1の防水手段は弾性を有するゴムあるいは合成樹脂材で形成された防水シートあるいは弾性を有するマグネットシートであることを特徴とする請求項1記載の目地カバー装置。
【請求項3】
第2の防水手段の防水カバーはゴムあるいは合成樹脂材で形成されたものが使用され、防水シート付勢機構は防水シートに所定間隔で取付けられた複数個のワイヤーにそれぞれ取付けられたスプリングで構成されたものであることを特徴とする請求項1記載の目地カバー装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2012−162850(P2012−162850A)
【公開日】平成24年8月30日(2012.8.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−21669(P2011−21669)
【出願日】平成23年2月3日(2011.2.3)
【出願人】(000110365)ドーエイ外装有限会社 (152)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年8月30日(2012.8.30)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年2月3日(2011.2.3)
【出願人】(000110365)ドーエイ外装有限会社 (152)
【Fターム(参考)】
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