目地部材及びその製造方法
【課題】高度な技量を有しない作業者であっても、取扱いが容易で、仕上がりのバラツキも小さく、好適な作業環境の下、さほどのコストアップを生じることなく、屈曲縁部によって形成される目地を好適に隠蔽可能な目地部材を提供する。
【解決手段】浴槽1の表面と浴室の壁2の表面とに当接して目地を隠蔽する頭部13と、頭部13の裏面から下方に延出する脚部14とを備えている。浴槽1の縁部が深さ方向において屈曲する屈曲縁部1aである場合、屈曲縁部1aに対応する位置には脚部14を長手方向において部分的に除去した切欠き14d、14eが形成されているとともに、脚部14の残りには頭部13を屈曲縁部1aに沿う形状に固定する固定材12が固定されている。
【解決手段】浴槽1の表面と浴室の壁2の表面とに当接して目地を隠蔽する頭部13と、頭部13の裏面から下方に延出する脚部14とを備えている。浴槽1の縁部が深さ方向において屈曲する屈曲縁部1aである場合、屈曲縁部1aに対応する位置には脚部14を長手方向において部分的に除去した切欠き14d、14eが形成されているとともに、脚部14の残りには頭部13を屈曲縁部1aに沿う形状に固定する固定材12が固定されている。
【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、二つの構造物が隣り合って配置される場合において、各構造物の両縁部によって形成される目地に装着される長尺状の目地部材と、その製造方法とに関する。本発明に係る目地部材は、浴室の壁と浴槽との間、洗面所の壁と洗面台との間、台所の壁とシンクとの間等の目地を隠蔽するために用いて好適である。
【0002】
【従来の技術】
例えば浴室の壁と浴槽とのように、第1構造物と第2構造物とが隣り合って配置される場合、第1構造物の縁部と第2構造物の縁部とによって形成される目地を隠蔽するものとして、一般的にはシーラントが用いられている。このシーラントは、ペースト状のシリコーン樹脂等からなり、大気中で硬化する性質を有している。このため、このシーラントを目地に対して厚みをもって塗布すれば、時間の経過とともにシーラントが硬化し、目地を隠蔽することができる。
【0003】
しかし、上記シーラントを用いる場合、シーラントを手作業で目地に塗布しなければならないことから、仕上がりの出来、不出来が作業者の技量に依存し、仕上がりのバラツキが大きくなりやすい。特に、第1構造物の縁部及び/又は第2構造物の縁部が目地の深さ方向において屈曲している屈曲縁部である場合には、その作業の難易度が高くなり、シーラントの目地に対する塗布量が多すぎて見栄えが悪くなったり、逆に塗布量が少なすぎて目地が隠蔽されない部分が生じたりするおそれがあった。また、シーラントに揮発性の溶剤が含まれている場合には、その作業を行う際、溶剤が揮発して作業環境を悪化させるおそれもある。特に浴室等のように、狭くて密閉されやすい場所においてその作業を行なう場合には、その危険性が高く、シーラントの硬化が完了するまでの時間も長くなる。
【0004】
このため、特開平8−187198号公報、特開平7−82910号公報又は特開平7−76940号公報に記載された目地部材を採用することも考えられる。これらの目地部材は、目地に装着される長尺状のものであり、頭部と、目地への装着時に頭部の裏面から目地の深さ方向に延出する脚部とを備えている。これらの目地部材は、頭部と脚部とを備えた長尺状のものとして一体成形され得る。これらの目地部材を用いる場合、必要な長さの目地部材を予め用意し、その脚部を目地内に挿入する。これにより、脚部が目地内に保持され、頭部が第1構造物の表面及び第2構造物の表面に当接して目地を隠蔽することができる。こうして、これらの目地部材によれば、高度な技量を有しない作業者であっても容易に目地を隠蔽することができる。また、これらの目地部材は、押出成形機等により頭部の断面形状が規定されていることから、作業者の技量によって頭部の厚みが厚すぎたり薄すぎたりすることがなく、仕上がりのバラツキもなくなる。さらに、これらの目地部材は、予め工場生産されていることから、施工作業時に揮発性の溶剤を使用する必要がなく、作業環境を悪化させることもない。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、上記従来の目地部材は、押出一体成形等による単に直線状の長尺状体に過ぎないことから、そのままでは屈曲縁部によって形成される目地を好適に隠蔽することは困難である。かといって、目地部材を屈曲縁部に沿う形状に予め成形することは、多くの形状の屈曲縁部が存在し得ることから、現実的でなく、コストの高騰化を招来してしまう。
【0006】
このため、目地部材として長尺状のものを用意し、この目地部材の屈曲縁部に対応する位置において、脚部を長手方向において部分的に除去した切欠きを形成することも考えられる。こうすれば、脚部の残りが切欠きによって互いに近づいたり、遠ざかったりすることが可能になるため、屈曲縁部によって形成される目地内に脚部を挿入しながら頭部を湾曲することができ、目地を好適に隠蔽することができると考えられる。
【0007】
しかしながら、こうして脚部に単に切欠きを形成しただけの目地部材では、頭部の弾性力によって元の長尺状に復元してしまいやすい。このため、屈曲縁部によって形成される目地内に保持した脚部が目地内から外れ、良好な仕上がりが損なわれるおそれがある。また、切欠き部分は脚部が除去されているために強度が低く、施工作業時や運搬時などに応力が集中したり、切欠き部分の端が屈曲縁部などに引っ掛かったりして、目地部材が破損されるおそれがある。
【0008】
本発明は、上記従来の実情に鑑みてなされたものであり、高度な技量を有しない作業者であっても、取扱いが容易で、仕上がりのバラツキも小さく、好適な作業環境の下、さほどのコストアップを生じることなく、屈曲縁部によって形成される目地を好適に隠蔽可能な目地部材を提供することを解決すべき課題としている。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明の目地部材は、第1構造物と第2構造物とが隣り合って配置される場合、該第1構造物の縁部と該第2構造物の縁部とによって形成される目地に装着される長尺状のものであって、該第1構造物の表面及び該第2構造物の表面と当接して該目地を隠蔽する頭部と、該目地への装着時に該頭部の裏面から該目地の深さ方向に延出し、該目地内に保持される脚部とを備えた目地部材において、
【0010】
前記第1構造物の縁部及び/又は前記第2構造物の縁部が前記深さ方向において屈曲する屈曲縁部である場合に、該屈曲縁部に対応する位置には該脚部を長手方向において部分的に除去した切欠きが形成されているとともに、該脚部の残りには該頭部を該屈曲縁部に沿う形状に固定する固定材が固定されていることを特徴とする。
【0011】
本発明の目地部材では、屈曲縁部に対応する位置に脚部を長手方向において部分的に除去した切欠きが形成されている。このため、脚部の残りが切欠きによって互いに近づいたり、遠ざかったりすることが可能になり、頭部を湾曲させることが可能となる。また、この目地部材では、脚部の残りに固定材が固定されているため、頭部が屈曲縁部に沿う形状に固定され、湾曲した頭部が弾性力によって元の長尺状(直線状)に復元することはない。また、切欠きによって低下した屈曲部の強度が固定材によって補強されている。
【0012】
このため、この目地部材によれば、屈曲縁部によって形成される目地内に保持した脚部が目地内から外れることがなく、高度な技量を有しない作業者であっても取扱いが容易かつ良好な仕上がりの下で目地を隠蔽することができる。また、この目地部材は、押出成形機等により頭部の断面形状が規定されていることから、作業者の技量によって頭部の厚みが厚すぎたり薄すぎたりすることがなく、仕上がりのバラツキも小さくなる。さらに、この目地部材は、予め工場生産され得ることから、施工作業時に揮発性の溶剤を使用する必要がなく、作業環境を悪化させることもない。
【0013】
したがって、この目地部材によれば、高度な技量を有しない作業者であっても、取扱いが容易で、仕上がりのバラツキも小さく、好適な作業環境の下、さほどのコストアップを生じることなく、屈曲縁部によって形成される目地を好適に隠蔽することができる。
【0014】
固定材の形状は限定されないが、板状をなしていることが好ましい。目地は通常幅が狭いため、固定材が板状であれば、そのような目地に本発明の目地部材を装着した場合であっても固定材が邪魔になることはなく、目地を隠蔽することができる。
【0015】
固定材の縁部は頭部の裏面に当接していることが好ましい。こうであれば、頭部を確実に屈曲縁部に沿う形状とすることができ、屈曲縁部によって形成される目地を確実に隠蔽することができる。この場合において、頭部の裏面には固定材の周縁部が嵌合する嵌合溝が形成されていることがさらに好ましい。こうであれば、固定材の周縁部を頭部の嵌合溝に嵌合させることにより、頭部をより確実に屈曲縁部に沿う形状とすることができ、屈曲縁部によって形成される目地をより確実に隠蔽することができる。
【0016】
固定材の周縁部の一部分は屈曲縁部に対応する形状に形成され、固定材の周縁部の他の一部分は形状の異なる他の屈曲縁部に対応する形状に形成されていることが好ましい。こうであれば、形状の異なる屈曲縁部に対応した少なくとも二つの目地部材に対し、単一形状の固定材を共用することが可能となる。このため、部品点数を削減でき、ひいては製造コストの低廉化を図ることができる。
【0017】
固定材の材料は必ずしも限定されないが、固定材が脚部を形成する材料と相溶性のある材料からなり、固定材と脚部とが熱溶着されていることが好ましい。固定材が脚部を形成する材料と相溶性のある材料であれば、固定材と脚部とを熱溶着することが容易となり、その接着強度も大きなものとなる。このため、脚部と固定材とを固定する手段として、接着剤や止め具等が必要でなくなり、製造コストの低廉化を図ることができる。ここで、相溶性のある材料としては、固定材と脚部とをともにポリプロピレン(PP)としたり、ともにポリ塩化ビニル(PVC)としたりすることができる。なお、固定材は透明又は半透明のものを採用することが好ましい。こうであれば、固定材を脚部に固定する場合、目視によりその固定位置を確認することができるため、固定材の位置決めを正確かつ容易に行うことができる。
【0018】
脚部は、第1構造物の縁部及び/又は第2構造物の縁部に係止可能な係止部を有することが好ましい。こうであれば、目地部材を目地内に装着する際、係止部が第1構造物の縁部及び/又は第2構造物の縁部に係止されることとなり、目地部材を好適に目地に装着することができる。
【0019】
係止部は、横断面において、目地幅よりも厚い部分を有し、そこから先端に向かって徐々に薄くなる凸部をもつことが好ましい。こうであれば、脚部を目地内に挿入して係止部を第1構造物の縁部及び/又は第2構造物の縁部に係止させる際、脚部はその凸部から円滑に挿入され、さらに凸部を越えた段階で、挿入の抵抗が突然減少し、手ごたえの変化あるいは嵌合音が発生することとなる。このため、施工作業者は脚部が係止されたことを目視で確認することなく容易に知覚することができ、目地部材の目地への装着を確実にすることができる。また、こうして、凸部を越えれば、再び脚部を引き上げることに抵抗を生じるため、脚部が目地から抜け難くなる。このため、脚部を第1構造物の縁部及び/又は第2構造物の縁部に確実に係止することができる。
【0020】
凸部は頭部とともに第1構造物の縁部と嵌合可能な凹部を形成し、脚部における凹部の裏面側には、第2構造物との干渉によって弾性変形して脚部を第1構造物側に付勢するリップが第2構造物側に突出していることが好ましい。こうであれば、脚部を目地内に挿入する際、リップが弾性変形してその挿入の邪魔にならず、凹部に第1構造物の縁部が嵌合すれば、頭部が第1構造物の表面と好適に当接する。また、リップが第2構造物との干渉によって復元方向に弾性変形して脚部を第1構造物側に付勢する。このため、目地部材が容易に目地に装着されるとともに、目地内に挿入された脚部が抜け難く、脚部の第1構造物への係止がさらに確実なものとなる。また、リップは第2構造物側に突出しているため、リップによって第2構造物と脚部との間のシール性が向上する。
【0021】
この場合において、凹部内には、第1構造物の縁部との干渉によって弾性変形してその縁部と凹部の表面とに密着するクッションが設けられていることがさらに好ましい。こうであれば、クッションによって第1構造物の縁部と脚部の凹部との間のシール性が向上する。クッションとしては、ポリエチレン(PE)、エチレン−プロピレン−ジエン共重合体(EPDM)、ポリウレタン(PU)等からなる弾性体、それらからなる発泡体、それらからなるペースト状のシーリング剤等を採用することができる。
【0022】
頭部は弾性変形可能な材料からなり、脚部は剛性のある材料からなることが好ましい。頭部が弾性変形可能な材料であれば、頭部が第1構造物の表面及び第2構造物の表面に密着しやすいため、隙間が形成されることがなく、目地を良好に隠蔽することができ、さらには頭部と第1構造物及び第2構造物との間のシール性が向上することとなる。また、脚部が剛性のある材料であれば、脚部を目地内に容易に挿入することができる。弾性変形可能な材料としては、オレフィン系エラストマー(TPO)やスチレン系エラストマー等の熱可塑性エラストマー(TPE)、軟質ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリエチレン(PE)、エチレン−プロピレン−ジエン共重合体(EPDM)、ポリウレタン(PU)等を採用することができる。剛性のある材料としては、PP、硬質PVC等を採用することができる。
【0023】
脚部における凹部の裏面側にリップが突出している場合、頭部は弾性変形可能な材料からなり、脚部は剛性のある材料からなり、リップは頭部と同一の弾性変形可能な材料からなることがさらに好ましい。これにより脚部が目地内に好適に保持され、頭部が目地を隙間なく隠蔽しやすい。また、頭部とリップとが同一の弾性変形可能な材料からなれば、目地部材を構成する材料の種類が少なくなり、例えばこの目地部材を押出成形機等によって製造する場合、成形機の構造を簡素化することができ、ひいては製造コストを低廉化できる。ここで、脚部は頭部及びリップと相溶性のある材料からなることが好ましい。こうであれば、頭部やリップを成形と同時に脚部と一体化することができる。相溶性のある材の組み合わせとしては、脚部をPPとし、頭部及びリップをTPO又はTPEとしたり、脚部を硬質PVCとし、頭部及びリップを軟質PVCとしたりすることができる。
【0024】
凹部内にクッションが設けられている場合、頭部は弾性変形可能な材料からなり、脚部は剛性のある材料からなり、クッションは頭部と同一の材料からなることが好ましい。これにより脚部が目地内に好適に保持され、頭部が目地を隙間なく隠蔽しやすい。また、頭部とクッションとが同一の弾性変形可能な材料からなれば、目地部材を構成する材料の種類が少なくなり、製造コストを低廉化することができる。ここで、脚部は頭部及びクッションと相溶性のある材料からなることが好ましい。こうであれば、頭部やクッションを脚部と一体にしやすい。相溶性のある材料の組み合わせとしては、脚部をPPとし、頭部及びクッションをTPO又はTPEとしたり、脚部を硬質PVCとし、頭部及びクッションを軟質PVCとしたりすることができる。
【0025】
本発明の目地部材の製造方法は、第1構造物と第2構造物とが隣り合って配置される場合、該第1構造物の縁部と該第2構造物の縁部とによって形成される目地に装着される長尺状のものであって、該第1構造物の表面及び該第2構造物の表面と当接して該目地を隠蔽する頭部と、該目地への装着時に該頭部の裏面から該頭部と一体をなして該目地の深さ方向に延出し、該目地内に保持される脚部とを備えた目地部材の製造方法において、
【0026】
前記頭部と前記脚部とを備えた長尺状の本体を一体成形する成形工程と、
【0027】
前記第1構造物の縁部及び/又は前記第2構造物の縁部が前記深さ方向において屈曲する屈曲縁部である場合に、該屈曲縁部に対応する位置に該脚部を長手方向において部分的に除去した切欠きを形成する切欠き形成工程と、
【0028】
該頭部を該屈曲縁部の形状に沿って該深さ方向に屈曲し、該脚部の該屈曲縁部に対応する位置に屈曲部を形成する曲げ工程と、
【0029】
該脚部の該屈曲部に固定材を固定し、該頭部を該屈曲縁部に沿う形状に固定する固定工程とを備えたことを特徴とする。
【0030】
本発明の製造方法では、成形工程によって、頭部と脚部とを備えた長尺状の本体を一体成形する。一体成形の方法としては、例えば互いに相溶性を有する頭部用の材料と脚部用の材料とを同時に押出成形機によって成形することができる。これにより、頭部と脚部とを別々に成形した後、これらを一体化するといった工程は不要となり、本体を簡易に製造することができる。そして、第1構造物の縁部及び/又は第2構造物の縁部が深さ方向において屈曲する屈曲縁部である場合、切欠き形成工程によって、屈曲縁部に対応する位置に脚部を長手方向において部分的に除去した切欠きを形成する。そして、曲げ工程によって、頭部を屈曲縁部の形状に沿って深さ方向に屈曲し、脚部の屈曲縁部に対応する位置に屈曲部を形成する。この後、固定工程において、屈曲部に固定材を固定し、頭部を屈曲縁部に沿う形状に固定する。こうして、本発明の目地部材が得られる。
【0031】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の目地部材及びその製造方法を具体化した実施形態1〜3を図面を参照しつつ説明する。
【0032】
(実施形態1)
図1及び図2に示すように、実施形態1の目地部材10は、第1構造物としての浴槽1と、第2構造物としての浴室の壁2とによって形成される幅l1(図12参照)の目地に装着されるものである。浴槽1を正面に見た場合の右側の壁2の縁部と浴槽1の手前側の角の縁部とは目地の深さ方向において屈曲する屈曲縁部1aとされている。
【0033】
この目地部材10は、図3に示すように、本体11と、本体11に熱溶着された固定材12とからなる。
【0034】
本体11は、図4に示すように、横断面が略T字形状とされた長尺状のものであり、TPOからなる幅l2の頭部13と、頭部13の裏面側で頭部13と一体をなして延出し、PPからなる脚部14と、脚部14の一面側から脚部14と一体をなして頭部13に向かって斜めに突出するTPOからなるリップ15とからなる。ここで、頭部13は目地を隠蔽する必要があるため、l2>l1とされている。
【0035】
頭部13を上方に位置させた場合、頭部13は上面が下方へ僅かに傾斜した丸みのある略鈍角三角形の横断面形状をなしている。頭部13の下面と脚部14とは直角になっている。脚部14の下端には、横断面において、リップ15とは反対側の他面側に突出する目地幅よりも厚い部分を有し、そこから先端に向かって徐々に薄くなる凸部14aが形成されている。ここで、凸部14aの最も厚い部分の幅をl3とすると、l3>l1とされている。凸部14aは頭部13とともに浴槽13の縁部と嵌合可能な凹部14bを形成している。凹部14bにおける頭部13の下面と凸部14aの上端との距離は、浴槽1(図2参照)の縁部の厚みより僅かに長くされている。また、脚部14には凹部14bとは反対側にリップ5とほぼ同じ長さの幅をもつ収納溝14cが形成されており、収納溝14cの凸部14a側からリップ15が突出している。また、リップ5を含めた脚部14の最大幅l4は、l4>l1とされている。
【0036】
図3に示す固定材12は板状のPPからなる。この固定材12の周縁部は、対角線方向に第1曲線部12aと第2曲線部12bとを有している。第1曲線部12aは緩やかに屈曲する鈍角によって端が結ばれた複数の短い直線によって形成されている。第2曲線部12bは円弧によって形成されている。
【0037】
この目地部材10は、以下の各工程を経て製造される。
【0038】
<成形工程>
本体11の横断面形状とほぼ同じ形状の開口を有する図示しないダイを用意する。このダイには熱溶融されたTPOとPPとが供給されるようになっている。そして、ダイにTPO及びPPを供給し、本体11を押出成形する。こうして、図5に示すように、頭部13と脚部14とリップ15とからなる長尺状の本体11を簡易に一体成形する。この際、TPOとPPとは相溶性を有するため、頭部13及び脚部14並びにリップ15及び脚部14が熱溶着し、大きな結合強度で一体化する。こうして得られた本体11は、例えば浴槽1の縁部及び/又は壁2の縁部が屈曲縁部1aでない場合の目地部材10、20としてそのまま採用され得る形状である。
【0039】
<切欠き形成工程>
屈曲縁部1a用の目地部材10を製造するため、プレス機等により、図6に示すように、本体11に例えば切欠き14d、14eを形成する。これらの切欠き14d、14eは、屈曲縁部1aに対応する位置において、脚部14を長手方向において部分的に除去したものである。なお、プレス型によって切欠き14d、14eを形成する場合には、同一形状の切欠き14d、14eを高い精度で形成することができるため、少品種の目地部材10を大量に生産する場合に好適である。一方、レーザ加工機を用いて切欠き14d、14eを形成する場合には、プレス型が不要となるため、少量多品種の目地部材10の製造コストを低廉化することができる。
【0040】
<曲げ工程>
図7に示すように、頭部13を例えば屈曲縁部1aの形状に対応した溝を有する型に嵌め込む等の方法により屈曲し、脚部14の屈曲縁部1aに対応する位置に屈曲部14fを形成する。この際、切欠き14d、14eがあることによって脚部14の残りが互いに近づくことができるため、切欠き14d、14e部分に残った頭部13を湾曲させることが可能となっている。
【0041】
<固定工程>
また、透明なPPからなる薄板をプレス機によって打ち抜く等して、固定材12を用意する。そして、固定材12の第1曲線部12aを屈曲部14fの裏面に当接させ、例えばハンダゴテ等の熱した図示しない治具により脚部14及びリップ15と固定材12とを所定の間隔で熱溶着する。図3中、符号16を付した複数の部分が熱溶着した部分である。ここで、固定材12と脚部14とがともにPPであり、リップ15もPPとの相溶性に優れたTPOであるため、熱溶着が容易であり、その接着強度も大きなものとなる。また、固定材12が透明であるため、固定材12を脚部14に固定する際、固定材12の位置決めを正確かつ容易に行うことができる。こうして、屈曲部14fに固定材12を固定し、頭部13を屈曲縁部1aに沿う形状に固定する。これにより、図3に示す目地部材10が得られる。ここで、固定方法は熱溶着に限らず、ステープラによって固定したり、接着剤によって固定したりすることも可能である。また、<曲げ工程>において固定材12の第1曲線部12aに沿って頭部13を変形させて屈曲部14fを成形することもできる。この場合、曲げ加工のための型等の治具が不要となり、特に少量の目地部材10の生産には好適である。
【0042】
また、他の異なる形状の屈曲縁部用の目地部材20を製造するためには、<切欠き形成工程>として、図8に示すように、本体11に例えば切欠き14gを形成する。そして、図9R>9に示すように、<曲げ工程>として、頭部13をその屈曲縁部の形状に沿って深さ方向に屈曲し、脚部14の屈曲縁部に対応する位置に屈曲部14hを形成する。この後、<固定工程>として、固定材12の第2曲線部12bを屈曲部14hの裏面に当接し、脚部14及びリップ15と固定材12とを所定の間隔で熱溶着する。
【0043】
得られた目地部材10、20は、図1に示す浴槽1の縁部と浴室の壁2とによって形成された目地に対し、以下のように施工される。すなわち、図10に示すように、施工作業者は目地部材10、20の脚部14及び固定材12を目地内に挿入する。この際、脚部14が剛性のあるPPからなるため、挿入力のロスが少なく、脚部14を目地内に容易に挿入することができる。そして、脚部14の凸部14aはその横断面における厚さが下方に向かって徐々に薄くなるように形成されているため、それほどの抵抗感なく円滑に挿入され、さらに凸部14aが浴槽1の厚みを越えた段階で挿入の抵抗が突然減少する。このため、手ごたえが変化し、係止部14a、14bが浴槽1の縁部1aに勢いよく当たることにより嵌合音(クリック音)が生じる。また、凸部14aが浴槽1の厚みを越えれば、凸部14aが目地幅よりも厚い部分を有するため、再び脚部14を引き上げることに抵抗を生じ、脚部14が目地から抜け難くなる。
【0044】
また、脚部14を目地内に挿入する際、リップ15が弾性変形して収納溝14c(図4参照)に収納される。このため、リップ15はその挿入の邪魔にならない。これにより、凸部14aと頭部13とで形成される凹部14bが浴槽1の縁部に嵌合する。この際、リップ15は頭部13が浴槽1の表面と好適に当接する。また、リップ15が壁2との干渉によって復元方向に弾性変形し、脚部14を浴槽1側に付勢する。
【0045】
こうして、目地部材10、20が容易に目地に装着されるとともに、目地内に挿入された脚部14が抜け難く、脚部14の浴槽1への係止がさらに確実なものとなっている。また、頭部13が弾性変形可能なTPOからなるため、頭部13が浴槽1の表面及び壁2の表面に密着しやすく、隙間が生じ難い。このため、目地の隠蔽が確実となり、さらに頭部13と浴槽1及び壁2との間のシール性が向上している。また、リップ15が壁2側に突出しているため、リップ15によって壁2と脚部14との間のシール性が向上する。
【0046】
特に、浴槽1の屈曲縁部1aと浴室の壁2とによって形成された目地に対しては、屈曲縁部1a用の目地部材10を用いる。この目地部材10は、図11及び図12に示すように、脚部14の屈曲部14fに固定材12が熱溶着されているため、頭部13が屈曲縁部1aに沿う形状に固定され、湾曲した頭部13が弾性力によって元の長尺状(直線状)に復元することはない。
【0047】
このため、この目地部材10によれば、屈曲縁部1aによって形成される目地内に保持した脚部14が目地内から外れることがなく、高度な技量を有しない作業者であっても容易かつ良好な仕上がりの下で目地を隙間なく隠蔽することができる。また、この目地部材10は、押出成形機により頭部13の断面形状が一定に規定されていることから、作業者の技量によって頭部13の厚みが厚すぎたり薄すぎたりすることがなく、仕上がりのバラツキも小さくなる。さらに、この目地部材10は、予め工場生産されていることから、施工作業時に揮発性の溶剤を使用する必要がなく、作業環境を悪化させることもない。また、シーリング剤による施工において必要とされる硬化完了までの養生時間も必要ない。
【0048】
したがって、この目地部材10によれば、高度な技量を有しない作業者であっても、取扱いが容易で、仕上がりのバラツキも小さく、好適な作業環境の下、さほどのコストアップを生じることなく、屈曲縁部1aによって形成される目地を短時間で好適に隠蔽することができる。
【0049】
他の屈曲縁部によって形成された目地に対しては、他の屈曲縁部用の目地部材20を用いる。この目地部材20には、固定部材10に使用したものと同一の形状の固定材12を共用できることから、部品点数を削減でき、ひいては製造コストの低廉化を図ることができる。
【0050】
なお、実施形態1の変形例として、図13に示すように、凹部14b内にTPOからなる長手方向に複数条で延びるクッション17を設けることもできる。こうであれば、クッション17によって浴槽1の縁部と脚部14の凹部14bとの間のシール性が向上する。
【0051】
(実施形態2)
図14及び図15に示すように、実施形態2の目地部材30では、頭部18の裏面に固定材12の周縁部を嵌合可能な嵌合溝18aが形成されている。他の構成は実施形態1の目地部材10、20と同様であり、同一の構成については同一の符号を付して詳細な説明を省略する。
【0052】
この目地部材30では、固定材12の第1曲線部12aを頭部18の嵌合溝18aに嵌合させることにより、固定材12の位置決めが正確となり、ずれを防止することができる。このため、頭部18をより確実に屈曲縁部1aに沿う形状とすることができ、屈曲縁部1aによって形成される目地をより確実に隠蔽することができる。他の作用効果は実施形態1の目地部材と同様である。
【0053】
(実施形態3)
図16に示すように、実施形態3の目地部材40では、一つの切欠き14iにより脚部14の残りが遠ざかる(切欠き14iが広がる)ように屈曲部14jが形成されており、屈曲部14jには略L字形状の固定材19が熱溶着されている。その他の構成は実施形態1の目地部材10、20と同様であり、同一の構成については同一の符号を付して詳細な説明を省略する。
【0054】
この目地部材40によれば、脚部14の屈曲部14jが頭部13を凹状に湾曲するように形成されているため、深さ方向に窪んだ目地の隙間を隠蔽することができる。他の作用効果は実施形態1の目地部材と同様である。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施形態1の目地部材を使用する浴室等の斜視図である。
【図2】図1の拡大図である。
【図3】実施形態1の目地部材の平面図である。
【図4】実施形態1の目地部材に係り、図5のD−D矢視に相当する本体の断面図である。
【図5】実施形態1の目地部材に係る本体の平面図である。
【図6】実施形態1の目地部材に係る本体の切欠き形成後の平面図である。
【図7】実施形態1の目地部材の製造方法における曲げ工程及び固定工程を示す平面図である。
【図8】実施形態1の他の本体の平面図である。
【図9】実施形態1の他の目地部材の平面図である。
【図10】実施形態1の目地部材の使用状態を示す図2のA−A矢視断面図である。
【図11】実施形態1の目地部材の使用状態を示す図2のB−B矢視断面図である。
【図12】実施形態1の目地部材の使用状態を示す図2のC−C矢視断面図である。
【図13】実施形態1の目地部材の変形例に係る本体の断面図である。
【図14】実施形態2の目地部材の固定工程における断面図である。
【図15】実施形態2の目地部材の断面図である。
【図16】実施形態3の目地部材の平面図である。
【符号の説明】
1…第1構造物(浴槽)
2…第2構造物(壁)
1a…屈曲縁部
13、18…頭部
14…脚部
14d、14e、14g、14i…切欠き
12、19…固定材
18a…嵌合溝
14a、14b…係止部(14a…凸部、14b…凹部)
15…リップ
16…クッション
14f、14h、14j…屈曲部
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、二つの構造物が隣り合って配置される場合において、各構造物の両縁部によって形成される目地に装着される長尺状の目地部材と、その製造方法とに関する。本発明に係る目地部材は、浴室の壁と浴槽との間、洗面所の壁と洗面台との間、台所の壁とシンクとの間等の目地を隠蔽するために用いて好適である。
【0002】
【従来の技術】
例えば浴室の壁と浴槽とのように、第1構造物と第2構造物とが隣り合って配置される場合、第1構造物の縁部と第2構造物の縁部とによって形成される目地を隠蔽するものとして、一般的にはシーラントが用いられている。このシーラントは、ペースト状のシリコーン樹脂等からなり、大気中で硬化する性質を有している。このため、このシーラントを目地に対して厚みをもって塗布すれば、時間の経過とともにシーラントが硬化し、目地を隠蔽することができる。
【0003】
しかし、上記シーラントを用いる場合、シーラントを手作業で目地に塗布しなければならないことから、仕上がりの出来、不出来が作業者の技量に依存し、仕上がりのバラツキが大きくなりやすい。特に、第1構造物の縁部及び/又は第2構造物の縁部が目地の深さ方向において屈曲している屈曲縁部である場合には、その作業の難易度が高くなり、シーラントの目地に対する塗布量が多すぎて見栄えが悪くなったり、逆に塗布量が少なすぎて目地が隠蔽されない部分が生じたりするおそれがあった。また、シーラントに揮発性の溶剤が含まれている場合には、その作業を行う際、溶剤が揮発して作業環境を悪化させるおそれもある。特に浴室等のように、狭くて密閉されやすい場所においてその作業を行なう場合には、その危険性が高く、シーラントの硬化が完了するまでの時間も長くなる。
【0004】
このため、特開平8−187198号公報、特開平7−82910号公報又は特開平7−76940号公報に記載された目地部材を採用することも考えられる。これらの目地部材は、目地に装着される長尺状のものであり、頭部と、目地への装着時に頭部の裏面から目地の深さ方向に延出する脚部とを備えている。これらの目地部材は、頭部と脚部とを備えた長尺状のものとして一体成形され得る。これらの目地部材を用いる場合、必要な長さの目地部材を予め用意し、その脚部を目地内に挿入する。これにより、脚部が目地内に保持され、頭部が第1構造物の表面及び第2構造物の表面に当接して目地を隠蔽することができる。こうして、これらの目地部材によれば、高度な技量を有しない作業者であっても容易に目地を隠蔽することができる。また、これらの目地部材は、押出成形機等により頭部の断面形状が規定されていることから、作業者の技量によって頭部の厚みが厚すぎたり薄すぎたりすることがなく、仕上がりのバラツキもなくなる。さらに、これらの目地部材は、予め工場生産されていることから、施工作業時に揮発性の溶剤を使用する必要がなく、作業環境を悪化させることもない。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、上記従来の目地部材は、押出一体成形等による単に直線状の長尺状体に過ぎないことから、そのままでは屈曲縁部によって形成される目地を好適に隠蔽することは困難である。かといって、目地部材を屈曲縁部に沿う形状に予め成形することは、多くの形状の屈曲縁部が存在し得ることから、現実的でなく、コストの高騰化を招来してしまう。
【0006】
このため、目地部材として長尺状のものを用意し、この目地部材の屈曲縁部に対応する位置において、脚部を長手方向において部分的に除去した切欠きを形成することも考えられる。こうすれば、脚部の残りが切欠きによって互いに近づいたり、遠ざかったりすることが可能になるため、屈曲縁部によって形成される目地内に脚部を挿入しながら頭部を湾曲することができ、目地を好適に隠蔽することができると考えられる。
【0007】
しかしながら、こうして脚部に単に切欠きを形成しただけの目地部材では、頭部の弾性力によって元の長尺状に復元してしまいやすい。このため、屈曲縁部によって形成される目地内に保持した脚部が目地内から外れ、良好な仕上がりが損なわれるおそれがある。また、切欠き部分は脚部が除去されているために強度が低く、施工作業時や運搬時などに応力が集中したり、切欠き部分の端が屈曲縁部などに引っ掛かったりして、目地部材が破損されるおそれがある。
【0008】
本発明は、上記従来の実情に鑑みてなされたものであり、高度な技量を有しない作業者であっても、取扱いが容易で、仕上がりのバラツキも小さく、好適な作業環境の下、さほどのコストアップを生じることなく、屈曲縁部によって形成される目地を好適に隠蔽可能な目地部材を提供することを解決すべき課題としている。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明の目地部材は、第1構造物と第2構造物とが隣り合って配置される場合、該第1構造物の縁部と該第2構造物の縁部とによって形成される目地に装着される長尺状のものであって、該第1構造物の表面及び該第2構造物の表面と当接して該目地を隠蔽する頭部と、該目地への装着時に該頭部の裏面から該目地の深さ方向に延出し、該目地内に保持される脚部とを備えた目地部材において、
【0010】
前記第1構造物の縁部及び/又は前記第2構造物の縁部が前記深さ方向において屈曲する屈曲縁部である場合に、該屈曲縁部に対応する位置には該脚部を長手方向において部分的に除去した切欠きが形成されているとともに、該脚部の残りには該頭部を該屈曲縁部に沿う形状に固定する固定材が固定されていることを特徴とする。
【0011】
本発明の目地部材では、屈曲縁部に対応する位置に脚部を長手方向において部分的に除去した切欠きが形成されている。このため、脚部の残りが切欠きによって互いに近づいたり、遠ざかったりすることが可能になり、頭部を湾曲させることが可能となる。また、この目地部材では、脚部の残りに固定材が固定されているため、頭部が屈曲縁部に沿う形状に固定され、湾曲した頭部が弾性力によって元の長尺状(直線状)に復元することはない。また、切欠きによって低下した屈曲部の強度が固定材によって補強されている。
【0012】
このため、この目地部材によれば、屈曲縁部によって形成される目地内に保持した脚部が目地内から外れることがなく、高度な技量を有しない作業者であっても取扱いが容易かつ良好な仕上がりの下で目地を隠蔽することができる。また、この目地部材は、押出成形機等により頭部の断面形状が規定されていることから、作業者の技量によって頭部の厚みが厚すぎたり薄すぎたりすることがなく、仕上がりのバラツキも小さくなる。さらに、この目地部材は、予め工場生産され得ることから、施工作業時に揮発性の溶剤を使用する必要がなく、作業環境を悪化させることもない。
【0013】
したがって、この目地部材によれば、高度な技量を有しない作業者であっても、取扱いが容易で、仕上がりのバラツキも小さく、好適な作業環境の下、さほどのコストアップを生じることなく、屈曲縁部によって形成される目地を好適に隠蔽することができる。
【0014】
固定材の形状は限定されないが、板状をなしていることが好ましい。目地は通常幅が狭いため、固定材が板状であれば、そのような目地に本発明の目地部材を装着した場合であっても固定材が邪魔になることはなく、目地を隠蔽することができる。
【0015】
固定材の縁部は頭部の裏面に当接していることが好ましい。こうであれば、頭部を確実に屈曲縁部に沿う形状とすることができ、屈曲縁部によって形成される目地を確実に隠蔽することができる。この場合において、頭部の裏面には固定材の周縁部が嵌合する嵌合溝が形成されていることがさらに好ましい。こうであれば、固定材の周縁部を頭部の嵌合溝に嵌合させることにより、頭部をより確実に屈曲縁部に沿う形状とすることができ、屈曲縁部によって形成される目地をより確実に隠蔽することができる。
【0016】
固定材の周縁部の一部分は屈曲縁部に対応する形状に形成され、固定材の周縁部の他の一部分は形状の異なる他の屈曲縁部に対応する形状に形成されていることが好ましい。こうであれば、形状の異なる屈曲縁部に対応した少なくとも二つの目地部材に対し、単一形状の固定材を共用することが可能となる。このため、部品点数を削減でき、ひいては製造コストの低廉化を図ることができる。
【0017】
固定材の材料は必ずしも限定されないが、固定材が脚部を形成する材料と相溶性のある材料からなり、固定材と脚部とが熱溶着されていることが好ましい。固定材が脚部を形成する材料と相溶性のある材料であれば、固定材と脚部とを熱溶着することが容易となり、その接着強度も大きなものとなる。このため、脚部と固定材とを固定する手段として、接着剤や止め具等が必要でなくなり、製造コストの低廉化を図ることができる。ここで、相溶性のある材料としては、固定材と脚部とをともにポリプロピレン(PP)としたり、ともにポリ塩化ビニル(PVC)としたりすることができる。なお、固定材は透明又は半透明のものを採用することが好ましい。こうであれば、固定材を脚部に固定する場合、目視によりその固定位置を確認することができるため、固定材の位置決めを正確かつ容易に行うことができる。
【0018】
脚部は、第1構造物の縁部及び/又は第2構造物の縁部に係止可能な係止部を有することが好ましい。こうであれば、目地部材を目地内に装着する際、係止部が第1構造物の縁部及び/又は第2構造物の縁部に係止されることとなり、目地部材を好適に目地に装着することができる。
【0019】
係止部は、横断面において、目地幅よりも厚い部分を有し、そこから先端に向かって徐々に薄くなる凸部をもつことが好ましい。こうであれば、脚部を目地内に挿入して係止部を第1構造物の縁部及び/又は第2構造物の縁部に係止させる際、脚部はその凸部から円滑に挿入され、さらに凸部を越えた段階で、挿入の抵抗が突然減少し、手ごたえの変化あるいは嵌合音が発生することとなる。このため、施工作業者は脚部が係止されたことを目視で確認することなく容易に知覚することができ、目地部材の目地への装着を確実にすることができる。また、こうして、凸部を越えれば、再び脚部を引き上げることに抵抗を生じるため、脚部が目地から抜け難くなる。このため、脚部を第1構造物の縁部及び/又は第2構造物の縁部に確実に係止することができる。
【0020】
凸部は頭部とともに第1構造物の縁部と嵌合可能な凹部を形成し、脚部における凹部の裏面側には、第2構造物との干渉によって弾性変形して脚部を第1構造物側に付勢するリップが第2構造物側に突出していることが好ましい。こうであれば、脚部を目地内に挿入する際、リップが弾性変形してその挿入の邪魔にならず、凹部に第1構造物の縁部が嵌合すれば、頭部が第1構造物の表面と好適に当接する。また、リップが第2構造物との干渉によって復元方向に弾性変形して脚部を第1構造物側に付勢する。このため、目地部材が容易に目地に装着されるとともに、目地内に挿入された脚部が抜け難く、脚部の第1構造物への係止がさらに確実なものとなる。また、リップは第2構造物側に突出しているため、リップによって第2構造物と脚部との間のシール性が向上する。
【0021】
この場合において、凹部内には、第1構造物の縁部との干渉によって弾性変形してその縁部と凹部の表面とに密着するクッションが設けられていることがさらに好ましい。こうであれば、クッションによって第1構造物の縁部と脚部の凹部との間のシール性が向上する。クッションとしては、ポリエチレン(PE)、エチレン−プロピレン−ジエン共重合体(EPDM)、ポリウレタン(PU)等からなる弾性体、それらからなる発泡体、それらからなるペースト状のシーリング剤等を採用することができる。
【0022】
頭部は弾性変形可能な材料からなり、脚部は剛性のある材料からなることが好ましい。頭部が弾性変形可能な材料であれば、頭部が第1構造物の表面及び第2構造物の表面に密着しやすいため、隙間が形成されることがなく、目地を良好に隠蔽することができ、さらには頭部と第1構造物及び第2構造物との間のシール性が向上することとなる。また、脚部が剛性のある材料であれば、脚部を目地内に容易に挿入することができる。弾性変形可能な材料としては、オレフィン系エラストマー(TPO)やスチレン系エラストマー等の熱可塑性エラストマー(TPE)、軟質ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリエチレン(PE)、エチレン−プロピレン−ジエン共重合体(EPDM)、ポリウレタン(PU)等を採用することができる。剛性のある材料としては、PP、硬質PVC等を採用することができる。
【0023】
脚部における凹部の裏面側にリップが突出している場合、頭部は弾性変形可能な材料からなり、脚部は剛性のある材料からなり、リップは頭部と同一の弾性変形可能な材料からなることがさらに好ましい。これにより脚部が目地内に好適に保持され、頭部が目地を隙間なく隠蔽しやすい。また、頭部とリップとが同一の弾性変形可能な材料からなれば、目地部材を構成する材料の種類が少なくなり、例えばこの目地部材を押出成形機等によって製造する場合、成形機の構造を簡素化することができ、ひいては製造コストを低廉化できる。ここで、脚部は頭部及びリップと相溶性のある材料からなることが好ましい。こうであれば、頭部やリップを成形と同時に脚部と一体化することができる。相溶性のある材の組み合わせとしては、脚部をPPとし、頭部及びリップをTPO又はTPEとしたり、脚部を硬質PVCとし、頭部及びリップを軟質PVCとしたりすることができる。
【0024】
凹部内にクッションが設けられている場合、頭部は弾性変形可能な材料からなり、脚部は剛性のある材料からなり、クッションは頭部と同一の材料からなることが好ましい。これにより脚部が目地内に好適に保持され、頭部が目地を隙間なく隠蔽しやすい。また、頭部とクッションとが同一の弾性変形可能な材料からなれば、目地部材を構成する材料の種類が少なくなり、製造コストを低廉化することができる。ここで、脚部は頭部及びクッションと相溶性のある材料からなることが好ましい。こうであれば、頭部やクッションを脚部と一体にしやすい。相溶性のある材料の組み合わせとしては、脚部をPPとし、頭部及びクッションをTPO又はTPEとしたり、脚部を硬質PVCとし、頭部及びクッションを軟質PVCとしたりすることができる。
【0025】
本発明の目地部材の製造方法は、第1構造物と第2構造物とが隣り合って配置される場合、該第1構造物の縁部と該第2構造物の縁部とによって形成される目地に装着される長尺状のものであって、該第1構造物の表面及び該第2構造物の表面と当接して該目地を隠蔽する頭部と、該目地への装着時に該頭部の裏面から該頭部と一体をなして該目地の深さ方向に延出し、該目地内に保持される脚部とを備えた目地部材の製造方法において、
【0026】
前記頭部と前記脚部とを備えた長尺状の本体を一体成形する成形工程と、
【0027】
前記第1構造物の縁部及び/又は前記第2構造物の縁部が前記深さ方向において屈曲する屈曲縁部である場合に、該屈曲縁部に対応する位置に該脚部を長手方向において部分的に除去した切欠きを形成する切欠き形成工程と、
【0028】
該頭部を該屈曲縁部の形状に沿って該深さ方向に屈曲し、該脚部の該屈曲縁部に対応する位置に屈曲部を形成する曲げ工程と、
【0029】
該脚部の該屈曲部に固定材を固定し、該頭部を該屈曲縁部に沿う形状に固定する固定工程とを備えたことを特徴とする。
【0030】
本発明の製造方法では、成形工程によって、頭部と脚部とを備えた長尺状の本体を一体成形する。一体成形の方法としては、例えば互いに相溶性を有する頭部用の材料と脚部用の材料とを同時に押出成形機によって成形することができる。これにより、頭部と脚部とを別々に成形した後、これらを一体化するといった工程は不要となり、本体を簡易に製造することができる。そして、第1構造物の縁部及び/又は第2構造物の縁部が深さ方向において屈曲する屈曲縁部である場合、切欠き形成工程によって、屈曲縁部に対応する位置に脚部を長手方向において部分的に除去した切欠きを形成する。そして、曲げ工程によって、頭部を屈曲縁部の形状に沿って深さ方向に屈曲し、脚部の屈曲縁部に対応する位置に屈曲部を形成する。この後、固定工程において、屈曲部に固定材を固定し、頭部を屈曲縁部に沿う形状に固定する。こうして、本発明の目地部材が得られる。
【0031】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の目地部材及びその製造方法を具体化した実施形態1〜3を図面を参照しつつ説明する。
【0032】
(実施形態1)
図1及び図2に示すように、実施形態1の目地部材10は、第1構造物としての浴槽1と、第2構造物としての浴室の壁2とによって形成される幅l1(図12参照)の目地に装着されるものである。浴槽1を正面に見た場合の右側の壁2の縁部と浴槽1の手前側の角の縁部とは目地の深さ方向において屈曲する屈曲縁部1aとされている。
【0033】
この目地部材10は、図3に示すように、本体11と、本体11に熱溶着された固定材12とからなる。
【0034】
本体11は、図4に示すように、横断面が略T字形状とされた長尺状のものであり、TPOからなる幅l2の頭部13と、頭部13の裏面側で頭部13と一体をなして延出し、PPからなる脚部14と、脚部14の一面側から脚部14と一体をなして頭部13に向かって斜めに突出するTPOからなるリップ15とからなる。ここで、頭部13は目地を隠蔽する必要があるため、l2>l1とされている。
【0035】
頭部13を上方に位置させた場合、頭部13は上面が下方へ僅かに傾斜した丸みのある略鈍角三角形の横断面形状をなしている。頭部13の下面と脚部14とは直角になっている。脚部14の下端には、横断面において、リップ15とは反対側の他面側に突出する目地幅よりも厚い部分を有し、そこから先端に向かって徐々に薄くなる凸部14aが形成されている。ここで、凸部14aの最も厚い部分の幅をl3とすると、l3>l1とされている。凸部14aは頭部13とともに浴槽13の縁部と嵌合可能な凹部14bを形成している。凹部14bにおける頭部13の下面と凸部14aの上端との距離は、浴槽1(図2参照)の縁部の厚みより僅かに長くされている。また、脚部14には凹部14bとは反対側にリップ5とほぼ同じ長さの幅をもつ収納溝14cが形成されており、収納溝14cの凸部14a側からリップ15が突出している。また、リップ5を含めた脚部14の最大幅l4は、l4>l1とされている。
【0036】
図3に示す固定材12は板状のPPからなる。この固定材12の周縁部は、対角線方向に第1曲線部12aと第2曲線部12bとを有している。第1曲線部12aは緩やかに屈曲する鈍角によって端が結ばれた複数の短い直線によって形成されている。第2曲線部12bは円弧によって形成されている。
【0037】
この目地部材10は、以下の各工程を経て製造される。
【0038】
<成形工程>
本体11の横断面形状とほぼ同じ形状の開口を有する図示しないダイを用意する。このダイには熱溶融されたTPOとPPとが供給されるようになっている。そして、ダイにTPO及びPPを供給し、本体11を押出成形する。こうして、図5に示すように、頭部13と脚部14とリップ15とからなる長尺状の本体11を簡易に一体成形する。この際、TPOとPPとは相溶性を有するため、頭部13及び脚部14並びにリップ15及び脚部14が熱溶着し、大きな結合強度で一体化する。こうして得られた本体11は、例えば浴槽1の縁部及び/又は壁2の縁部が屈曲縁部1aでない場合の目地部材10、20としてそのまま採用され得る形状である。
【0039】
<切欠き形成工程>
屈曲縁部1a用の目地部材10を製造するため、プレス機等により、図6に示すように、本体11に例えば切欠き14d、14eを形成する。これらの切欠き14d、14eは、屈曲縁部1aに対応する位置において、脚部14を長手方向において部分的に除去したものである。なお、プレス型によって切欠き14d、14eを形成する場合には、同一形状の切欠き14d、14eを高い精度で形成することができるため、少品種の目地部材10を大量に生産する場合に好適である。一方、レーザ加工機を用いて切欠き14d、14eを形成する場合には、プレス型が不要となるため、少量多品種の目地部材10の製造コストを低廉化することができる。
【0040】
<曲げ工程>
図7に示すように、頭部13を例えば屈曲縁部1aの形状に対応した溝を有する型に嵌め込む等の方法により屈曲し、脚部14の屈曲縁部1aに対応する位置に屈曲部14fを形成する。この際、切欠き14d、14eがあることによって脚部14の残りが互いに近づくことができるため、切欠き14d、14e部分に残った頭部13を湾曲させることが可能となっている。
【0041】
<固定工程>
また、透明なPPからなる薄板をプレス機によって打ち抜く等して、固定材12を用意する。そして、固定材12の第1曲線部12aを屈曲部14fの裏面に当接させ、例えばハンダゴテ等の熱した図示しない治具により脚部14及びリップ15と固定材12とを所定の間隔で熱溶着する。図3中、符号16を付した複数の部分が熱溶着した部分である。ここで、固定材12と脚部14とがともにPPであり、リップ15もPPとの相溶性に優れたTPOであるため、熱溶着が容易であり、その接着強度も大きなものとなる。また、固定材12が透明であるため、固定材12を脚部14に固定する際、固定材12の位置決めを正確かつ容易に行うことができる。こうして、屈曲部14fに固定材12を固定し、頭部13を屈曲縁部1aに沿う形状に固定する。これにより、図3に示す目地部材10が得られる。ここで、固定方法は熱溶着に限らず、ステープラによって固定したり、接着剤によって固定したりすることも可能である。また、<曲げ工程>において固定材12の第1曲線部12aに沿って頭部13を変形させて屈曲部14fを成形することもできる。この場合、曲げ加工のための型等の治具が不要となり、特に少量の目地部材10の生産には好適である。
【0042】
また、他の異なる形状の屈曲縁部用の目地部材20を製造するためには、<切欠き形成工程>として、図8に示すように、本体11に例えば切欠き14gを形成する。そして、図9R>9に示すように、<曲げ工程>として、頭部13をその屈曲縁部の形状に沿って深さ方向に屈曲し、脚部14の屈曲縁部に対応する位置に屈曲部14hを形成する。この後、<固定工程>として、固定材12の第2曲線部12bを屈曲部14hの裏面に当接し、脚部14及びリップ15と固定材12とを所定の間隔で熱溶着する。
【0043】
得られた目地部材10、20は、図1に示す浴槽1の縁部と浴室の壁2とによって形成された目地に対し、以下のように施工される。すなわち、図10に示すように、施工作業者は目地部材10、20の脚部14及び固定材12を目地内に挿入する。この際、脚部14が剛性のあるPPからなるため、挿入力のロスが少なく、脚部14を目地内に容易に挿入することができる。そして、脚部14の凸部14aはその横断面における厚さが下方に向かって徐々に薄くなるように形成されているため、それほどの抵抗感なく円滑に挿入され、さらに凸部14aが浴槽1の厚みを越えた段階で挿入の抵抗が突然減少する。このため、手ごたえが変化し、係止部14a、14bが浴槽1の縁部1aに勢いよく当たることにより嵌合音(クリック音)が生じる。また、凸部14aが浴槽1の厚みを越えれば、凸部14aが目地幅よりも厚い部分を有するため、再び脚部14を引き上げることに抵抗を生じ、脚部14が目地から抜け難くなる。
【0044】
また、脚部14を目地内に挿入する際、リップ15が弾性変形して収納溝14c(図4参照)に収納される。このため、リップ15はその挿入の邪魔にならない。これにより、凸部14aと頭部13とで形成される凹部14bが浴槽1の縁部に嵌合する。この際、リップ15は頭部13が浴槽1の表面と好適に当接する。また、リップ15が壁2との干渉によって復元方向に弾性変形し、脚部14を浴槽1側に付勢する。
【0045】
こうして、目地部材10、20が容易に目地に装着されるとともに、目地内に挿入された脚部14が抜け難く、脚部14の浴槽1への係止がさらに確実なものとなっている。また、頭部13が弾性変形可能なTPOからなるため、頭部13が浴槽1の表面及び壁2の表面に密着しやすく、隙間が生じ難い。このため、目地の隠蔽が確実となり、さらに頭部13と浴槽1及び壁2との間のシール性が向上している。また、リップ15が壁2側に突出しているため、リップ15によって壁2と脚部14との間のシール性が向上する。
【0046】
特に、浴槽1の屈曲縁部1aと浴室の壁2とによって形成された目地に対しては、屈曲縁部1a用の目地部材10を用いる。この目地部材10は、図11及び図12に示すように、脚部14の屈曲部14fに固定材12が熱溶着されているため、頭部13が屈曲縁部1aに沿う形状に固定され、湾曲した頭部13が弾性力によって元の長尺状(直線状)に復元することはない。
【0047】
このため、この目地部材10によれば、屈曲縁部1aによって形成される目地内に保持した脚部14が目地内から外れることがなく、高度な技量を有しない作業者であっても容易かつ良好な仕上がりの下で目地を隙間なく隠蔽することができる。また、この目地部材10は、押出成形機により頭部13の断面形状が一定に規定されていることから、作業者の技量によって頭部13の厚みが厚すぎたり薄すぎたりすることがなく、仕上がりのバラツキも小さくなる。さらに、この目地部材10は、予め工場生産されていることから、施工作業時に揮発性の溶剤を使用する必要がなく、作業環境を悪化させることもない。また、シーリング剤による施工において必要とされる硬化完了までの養生時間も必要ない。
【0048】
したがって、この目地部材10によれば、高度な技量を有しない作業者であっても、取扱いが容易で、仕上がりのバラツキも小さく、好適な作業環境の下、さほどのコストアップを生じることなく、屈曲縁部1aによって形成される目地を短時間で好適に隠蔽することができる。
【0049】
他の屈曲縁部によって形成された目地に対しては、他の屈曲縁部用の目地部材20を用いる。この目地部材20には、固定部材10に使用したものと同一の形状の固定材12を共用できることから、部品点数を削減でき、ひいては製造コストの低廉化を図ることができる。
【0050】
なお、実施形態1の変形例として、図13に示すように、凹部14b内にTPOからなる長手方向に複数条で延びるクッション17を設けることもできる。こうであれば、クッション17によって浴槽1の縁部と脚部14の凹部14bとの間のシール性が向上する。
【0051】
(実施形態2)
図14及び図15に示すように、実施形態2の目地部材30では、頭部18の裏面に固定材12の周縁部を嵌合可能な嵌合溝18aが形成されている。他の構成は実施形態1の目地部材10、20と同様であり、同一の構成については同一の符号を付して詳細な説明を省略する。
【0052】
この目地部材30では、固定材12の第1曲線部12aを頭部18の嵌合溝18aに嵌合させることにより、固定材12の位置決めが正確となり、ずれを防止することができる。このため、頭部18をより確実に屈曲縁部1aに沿う形状とすることができ、屈曲縁部1aによって形成される目地をより確実に隠蔽することができる。他の作用効果は実施形態1の目地部材と同様である。
【0053】
(実施形態3)
図16に示すように、実施形態3の目地部材40では、一つの切欠き14iにより脚部14の残りが遠ざかる(切欠き14iが広がる)ように屈曲部14jが形成されており、屈曲部14jには略L字形状の固定材19が熱溶着されている。その他の構成は実施形態1の目地部材10、20と同様であり、同一の構成については同一の符号を付して詳細な説明を省略する。
【0054】
この目地部材40によれば、脚部14の屈曲部14jが頭部13を凹状に湾曲するように形成されているため、深さ方向に窪んだ目地の隙間を隠蔽することができる。他の作用効果は実施形態1の目地部材と同様である。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施形態1の目地部材を使用する浴室等の斜視図である。
【図2】図1の拡大図である。
【図3】実施形態1の目地部材の平面図である。
【図4】実施形態1の目地部材に係り、図5のD−D矢視に相当する本体の断面図である。
【図5】実施形態1の目地部材に係る本体の平面図である。
【図6】実施形態1の目地部材に係る本体の切欠き形成後の平面図である。
【図7】実施形態1の目地部材の製造方法における曲げ工程及び固定工程を示す平面図である。
【図8】実施形態1の他の本体の平面図である。
【図9】実施形態1の他の目地部材の平面図である。
【図10】実施形態1の目地部材の使用状態を示す図2のA−A矢視断面図である。
【図11】実施形態1の目地部材の使用状態を示す図2のB−B矢視断面図である。
【図12】実施形態1の目地部材の使用状態を示す図2のC−C矢視断面図である。
【図13】実施形態1の目地部材の変形例に係る本体の断面図である。
【図14】実施形態2の目地部材の固定工程における断面図である。
【図15】実施形態2の目地部材の断面図である。
【図16】実施形態3の目地部材の平面図である。
【符号の説明】
1…第1構造物(浴槽)
2…第2構造物(壁)
1a…屈曲縁部
13、18…頭部
14…脚部
14d、14e、14g、14i…切欠き
12、19…固定材
18a…嵌合溝
14a、14b…係止部(14a…凸部、14b…凹部)
15…リップ
16…クッション
14f、14h、14j…屈曲部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1構造物と第2構造物とが隣り合って配置される場合、該第1構造物の縁部と該第2構造物の縁部とによって形成される目地に装着される長尺状のものであって、該第1構造物の表面及び該第2構造物の表面と当接して該目地を隠蔽する頭部と、該目地への装着時に該頭部の裏面から該目地の深さ方向に延出し、該目地内に保持される脚部とを備えた目地部材において、
前記第1構造物の縁部及び/又は前記第2構造物の縁部が前記深さ方向において屈曲する屈曲縁部である場合に、該屈曲縁部に対応する位置には該脚部を長手方向において部分的に除去した切欠きが形成されているとともに、該脚部の残りには該頭部を該屈曲縁部に沿う形状に固定する固定材が固定されていることを特徴とする目地部材。
【請求項2】
固定材は板状をなしていることを特徴とする請求項1記載の目地部材。
【請求項3】
固定材の縁部は頭部の裏面に当接していることを特徴とする請求項1又は2記載の目地部材。
【請求項4】
頭部の裏面には固定材の周縁部を嵌合する嵌合溝が形成されていることを特徴とする請求項3記載の目地部材。
【請求項5】
固定材の周縁部の一部分は屈曲縁部に対応する形状に形成され、該固定材の周縁部の他の一部分は形状の異なる他の屈曲縁部に対応する形状に形成されていることを特徴とする請求項2乃至4のいずれか1項記載の目地部材。
【請求項6】
固定材は、脚部を形成する材料と相溶性のある材料からなり、該固定材と該脚部とが熱溶着されていることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項記載の目地部材。
【請求項7】
脚部は、第1構造物の縁部及び/又は第2構造物の縁部に係止可能な係止部を有することを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項記載の目地部材。
【請求項8】
係止部は、横断面において、目地幅よりも厚い部分を有し、そこから先端に向かって徐々に薄くなる凸部をもつことを特徴とする請求項7記載の目地部材。
【請求項9】
凸部は頭部とともに第1構造物の縁部と嵌合可能な凹部を形成し、該脚部における該凹部の裏面側には、第2構造物との干渉によって弾性変形して該脚部を該第1構造物側に付勢するリップが該第2構造物側に突出していることを特徴とする請求項7又は8記載の目地部材。
【請求項10】
凹部内には、第1構造物の縁部との干渉によって弾性変形して該縁部と凹部の表面とに密着するクッションが設けられていることを特徴とする請求項9記載の目地部材。
【請求項11】
頭部は弾性変形可能な材料からなり、脚部は剛性のある材料からなることを特徴とする請求項1乃至10のいずれか1項記載の目地部材。
【請求項12】
頭部は弾性変形可能な材料からなり、脚部は剛性のある材料からなり、リップは頭部と同一の材料からなることを特徴とする請求項9記載の目地部材。
【請求項13】
頭部は弾性変形可能な材料からなり、脚部は剛性のある材料からなり、クッションは頭部と同一の材料からなることを特徴とする請求項10記載の目地部材。
【請求項14】
第1構造物と第2構造物とが隣り合って配置される場合、該第1構造物の縁部と該第2構造物の縁部とによって形成される目地に装着される長尺状のものであって、該第1構造物の表面及び該第2構造物の表面と当接して該目地を隠蔽する頭部と、該目地への装着時に該頭部の裏面から該頭部と一体をなして該目地の深さ方向に延出し、該目地内に保持される脚部とを備えた目地部材の製造方法において、
前記頭部と前記脚部とを備えた長尺状の本体を一体成形する成形工程と、
前記第1構造物の縁部及び/又は前記第2構造物の縁部が前記深さ方向において屈曲する屈曲縁部である場合に、該屈曲縁部に対応する位置に該脚部を長手方向において部分的に除去した切欠きを形成する切欠き形成工程と、
該頭部を該屈曲縁部の形状に沿って該深さ方向に屈曲し、該脚部の該屈曲縁部に対応する位置に屈曲部を形成する曲げ工程と、
該脚部の該屈曲部に固定材を固定し、該頭部を該屈曲縁部に沿う形状に固定する固定工程とを備えたことを特徴とする目地部材の製造方法。
【請求項1】
第1構造物と第2構造物とが隣り合って配置される場合、該第1構造物の縁部と該第2構造物の縁部とによって形成される目地に装着される長尺状のものであって、該第1構造物の表面及び該第2構造物の表面と当接して該目地を隠蔽する頭部と、該目地への装着時に該頭部の裏面から該目地の深さ方向に延出し、該目地内に保持される脚部とを備えた目地部材において、
前記第1構造物の縁部及び/又は前記第2構造物の縁部が前記深さ方向において屈曲する屈曲縁部である場合に、該屈曲縁部に対応する位置には該脚部を長手方向において部分的に除去した切欠きが形成されているとともに、該脚部の残りには該頭部を該屈曲縁部に沿う形状に固定する固定材が固定されていることを特徴とする目地部材。
【請求項2】
固定材は板状をなしていることを特徴とする請求項1記載の目地部材。
【請求項3】
固定材の縁部は頭部の裏面に当接していることを特徴とする請求項1又は2記載の目地部材。
【請求項4】
頭部の裏面には固定材の周縁部を嵌合する嵌合溝が形成されていることを特徴とする請求項3記載の目地部材。
【請求項5】
固定材の周縁部の一部分は屈曲縁部に対応する形状に形成され、該固定材の周縁部の他の一部分は形状の異なる他の屈曲縁部に対応する形状に形成されていることを特徴とする請求項2乃至4のいずれか1項記載の目地部材。
【請求項6】
固定材は、脚部を形成する材料と相溶性のある材料からなり、該固定材と該脚部とが熱溶着されていることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項記載の目地部材。
【請求項7】
脚部は、第1構造物の縁部及び/又は第2構造物の縁部に係止可能な係止部を有することを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項記載の目地部材。
【請求項8】
係止部は、横断面において、目地幅よりも厚い部分を有し、そこから先端に向かって徐々に薄くなる凸部をもつことを特徴とする請求項7記載の目地部材。
【請求項9】
凸部は頭部とともに第1構造物の縁部と嵌合可能な凹部を形成し、該脚部における該凹部の裏面側には、第2構造物との干渉によって弾性変形して該脚部を該第1構造物側に付勢するリップが該第2構造物側に突出していることを特徴とする請求項7又は8記載の目地部材。
【請求項10】
凹部内には、第1構造物の縁部との干渉によって弾性変形して該縁部と凹部の表面とに密着するクッションが設けられていることを特徴とする請求項9記載の目地部材。
【請求項11】
頭部は弾性変形可能な材料からなり、脚部は剛性のある材料からなることを特徴とする請求項1乃至10のいずれか1項記載の目地部材。
【請求項12】
頭部は弾性変形可能な材料からなり、脚部は剛性のある材料からなり、リップは頭部と同一の材料からなることを特徴とする請求項9記載の目地部材。
【請求項13】
頭部は弾性変形可能な材料からなり、脚部は剛性のある材料からなり、クッションは頭部と同一の材料からなることを特徴とする請求項10記載の目地部材。
【請求項14】
第1構造物と第2構造物とが隣り合って配置される場合、該第1構造物の縁部と該第2構造物の縁部とによって形成される目地に装着される長尺状のものであって、該第1構造物の表面及び該第2構造物の表面と当接して該目地を隠蔽する頭部と、該目地への装着時に該頭部の裏面から該頭部と一体をなして該目地の深さ方向に延出し、該目地内に保持される脚部とを備えた目地部材の製造方法において、
前記頭部と前記脚部とを備えた長尺状の本体を一体成形する成形工程と、
前記第1構造物の縁部及び/又は前記第2構造物の縁部が前記深さ方向において屈曲する屈曲縁部である場合に、該屈曲縁部に対応する位置に該脚部を長手方向において部分的に除去した切欠きを形成する切欠き形成工程と、
該頭部を該屈曲縁部の形状に沿って該深さ方向に屈曲し、該脚部の該屈曲縁部に対応する位置に屈曲部を形成する曲げ工程と、
該脚部の該屈曲部に固定材を固定し、該頭部を該屈曲縁部に沿う形状に固定する固定工程とを備えたことを特徴とする目地部材の製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【公開番号】特開2004−19228(P2004−19228A)
【公開日】平成16年1月22日(2004.1.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2002−175107(P2002−175107)
【出願日】平成14年6月14日(2002.6.14)
【出願人】(000219705)東海興業株式会社 (147)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成16年1月22日(2004.1.22)
【国際特許分類】
【出願日】平成14年6月14日(2002.6.14)
【出願人】(000219705)東海興業株式会社 (147)
【Fターム(参考)】
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