説明

目標物管理装置および目標物管理方法

【課題】目標物の誤検出を抑止するとともに、センサの数を抑えて目標物の数を効率よく管理する目標物管理装置および目標物管理方法を提供する。
【解決手段】監視対象範囲に対応する地図情報の2つ以上の座標により表される複数の経路と、経路が接続する点を表す分岐点とを関連付け、センサ各々が探知した1つ以上の目標物の座標を、複数の経路のいずれかに関連付ける分配部と、1回目の走査時に探知した分岐点に関連付けられている経路各々の目標物の数と、2回目の走査時に探知した経路各々の目標物の数とを用いて、経路各々の目標物の数の増減値を算出し、経路各々の目標物の数の増減値から分岐点ごとに、経路各々に関連付けられている目標物の数の増加数または減少数を求める増減算出部と、増加数または減少数を、前回更新部で求めた経路の目標物の数に加えて今回の該経路の目標物の数とする更新部と、を備える目標物管理装置である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、目標物を管理する目標物管理装置および目標物管理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、目標物の数を精度よく管理するためには、監視範囲を複数の領域に分割し、複数に分割された領域を、センサを用いてできるだけ多く監視し、領域ごとの目標物の数をできるだけ正確に把握する技術が知られている。目標物の数を精度よく管理するためには、分割された領域を監視するためのセンサの数を増やし、目標物を監視することが考えられる。ところが、複数に分割された領域の監視に、センサとして、例えば、ドップラレーダなどを用いた場合、林の揺らぎ、川の流れ、エアコンの室外機の影響などにより誤検出が生じることがある。また、高度の高い位置から撮影した画像を用いて目標物を検出する場合には、瓦礫や岩などを目標物と誤検出することがある。すなわち、上記誤検出をされた目標物がある場合、目標物の数を精度よく管理することができないことがある。
【0003】
関連する技術として、失探した目標物と、新たに探知された目標物を関連付け同一目標物であることを明確にし、目標物を継続して探知できる目標物探知装置が開示されている。この目標物探知装置によれば、レーダ装置ごとの覆域領域と、予め決められた領域から覆域領域を除いた領域を区分した覆域外領域とが隣接することを示す第1の情報、及び覆域外領域間の隣接を示す第2の情報を有する覆域情報を生成する設定部を備えている。また、目標物探知装置は管理部を備えている。管理部は、レーダ装置の覆域外へ移動した目標物を最後に探知した位置、最後に探知した日時を、該目標物の識別子に対応付けて失探情報を生成する。続いて、覆域情報に基づいて該目標物を最後に探知した覆域領域に隣接する覆域外領域を抽出し、抽出した覆域外領域の中から、該目標物を最後に探知した位置に最も近い覆域外領域に該失探情報を関連付ける。また、目標物探知装置は抽出部を備えている。抽出部は、レーダ装置が新たに目標物を探知したとき、新たに検知した目標物が存在する覆域領域に隣接する覆域外領域を覆域情報に基づいて抽出する。続いて、抽出した覆域外領域に関連付けられている失探情報に基づいて、新たに検出した目標物の位置へ移動可能な距離に存在する失探した目標物を抽出する。また、目標物探知装置の備える関連付け部は、該失探した目標物と新たな目標物を関連付けて記憶部に記録する。
【0004】
また、関連する技術として、目標位置を位置情報に関連付けられたデータベースに照合して検出目標を選別するレーダ追尾装置が開示されている。このレーダ追尾装置によれば、レーダエコーに基づき目標位置を含む目標信号を検出する信号検出部と、検出した目標信号を追尾対象の目標信号と追尾対象外の目標信号とに選別する追尾目標選別部を備えている。さらに、位置情報に関連付けられたデータからなる第1のデータベースと、追尾対象外の目標信号に含まれる目標位置を第1のデータベースに照合することで追尾候補の目標信号と追尾候補外の目標信号とに選別する追尾候補選別部を備えている。また、追尾候補の目標信号を追尾対象の目標信号に追加する追尾目標判定部と、追尾目標判定部から出力される追尾目標について追尾計算を行う追尾計算部を備えている。また、第1のデータベースが道路配置情報を含み、追尾候補選別部が、検出された目標位置に対応する第1のデータベース上の道路配置情報に基づき、その目標信号を追尾候補として選別する。その結果、道路情報を使用して追尾候補を絞り込み、追尾の確実性は向上させている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2011−112457号公報
【特許文献2】特許第3601427号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、目標物の誤検出を抑止するとともに、センサの数を抑えて目標物の数を効率よく管理する目標物管理装置および目標物管理方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
実施の態様のひとつである監視対象範囲を監視する1つ以上のセンサにより目標物を管理する目標物管理装置は、分配部、増減算出部、更新部を有する。
【0008】
分配部は、記憶部に記憶されている監視対象範囲に対応する地図情報の2つ以上の座標により表される複数の経路と、上記経路が接続する点を表す分岐点とを関連付け、上記センサ各々が走査するごとに探知した1つ以上の目標物の座標を、複数の経路のいずれかに関連付ける。
【0009】
増減算出部は、1回目の走査時に探知した前記分岐点に関連付けられている上記経路各々の上記目標物の数と、2回目の走査時に探知した上記経路各々の上記目標物の数とを用いて、上記経路各々の目標物の数の増減値を算出する。続いて、増減算出部は、上記経路各々の上記目標物の数の増減値から上記分岐点ごとに、上記経路各々に関連付けられている上記目標物の数の増加数または減少数を求める。
【0010】
更新部は、上記増加数または上記減少数を、前回更新部で求めた経路の目標物の数に加えて今回の該経路の目標物の数とする。
【発明の効果】
【0011】
実施の態様によれば、分岐点に係る経路ごとに目標物を監視することにより、目標物の誤検出を抑止するとともに、センサの数を抑えて目標物の数を効率よく管理できるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】目標物管理装置の一実施例を示す図である。
【図2】監視対象範囲の一実施例を示す図である。
【図3】目標物管理装置の処理部の一実施例を示す図である。
【図4】監視対象範囲に設定された経路とセンサの関係を示す図である。
【図5】目標物管理装置の動作の一実施例を示す図である。
【図6】経路情報と分岐点情報のデータ構造の一実施例を示す図である。
【図7】センサ情報、探知情報のデータ構造の一実施例を示す図である。
【図8】分配部の動作の一実施例を示すフロー図である。
【図9】分配情報のデータ構造の一実施例を示す図である。
【図10】増減算出部の動作の一実施例を示すフロー図である。
【図11】増減情報と増減総和情報のデータ構造の一実施例を示す図である。
【図12】センサA、Bの走査ごとに探知した目標物の数を示した表を示す図である。
【図13】更新部の動作の一実施例を示すフロー図である。
【図14】増減総和と更新情報のデータ構造の一実施例を示す図である。
【図15】実施形態2のセンサ装置と統合装置の一実施例を示す図である。
【図16】実施形態2のセンサと統合装置の処理部の概略の一実施例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下図面に基づいて、本発明の実施形態について詳細を説明する。
図1は、目標物管理装置の一実施例を示す図である。目標物管理装置1は、センサが探知した情報に基づいて目標物を管理する装置で、センサ部2、受信部3、通信インタフェース4、処理部5、記憶部6、入出力インタフェース7を備えている。目標物管理装置1は、例えば、図2に示される監視対象範囲200に所在する目標物を管理する。図2は、監視対象範囲の一実施例を示す図である。図2の監視対象範囲200には道Rdが存在する。
【0014】
センサは、目標物を探知するためのレーダ装置、暗視装置、測距装置、撮影装置などである。例えば、カメラ、ビデオカメラなどを含む。レーダ装置は自らの送信部から電波を照射し、目標物から反射されて戻ってくる電波を受信機で受信することにより、目標物の距離、方向、移動速度、種別などの情報を得る装置である。例えば、センサとしてドップラレーダ(Doppler radar)装置などを用いることが好ましい。また、陸上において、目標物は人、動物、一般車両、特殊車両、軍用車両など、海上においては人、旅客船(客船)、貨客船(貨客混載船)、貨物船、軍艦、巡視船、漁船、特殊船などを対象とし、さらに航空機(重航空機、軽航空機)などを対象としてもよい。また、地上の目標物を監視するセンサは、ドップラレーダ装置の他に、飛行機(無人飛行機などを含む)やヘリコプタによる空中から撮影した動画像や静止画像により目標物を探知してもよい。
【0015】
なお、図1のセンサ部2は、目標物管理装置1に設けられたセンサである。ただし、センサ部2は目標物管理装置1に設けなくてもよく、目標物管理装置1と別に図1に示すセンサのように設けてもよい。
【0016】
受信部3は、センサ部2または目標物管理装置1と別に設けたセンサ各々からセンサに関する情報と、各センサが探知した目標物に関する情報を受信し、受信した情報各々を処理部5に転送する。センサに関する情報は、例えば、センサを識別する情報、センサの設置位置、センサの測定方向などのデータである。探知した目標物の情報は、探知した目標物を識別する情報、目標物を探知した日時、目標物の位置(座標)、種別(例えば、人、車両など)などの情報である。
【0017】
通信インタフェース4(通信I/F4)は送信部と受信部を備えている。送信部は、例えば無線送信部、有線送信部を備え、受信部は無線受信部、有線受信部を備えている。無線送信部、無線受信部は、無線Local Area Network(LAN)、携帯電話、Personal Handyphone System(PHS)などの無線通信機である。また、有線送信部、有線受信部は、公衆回線やLANを介してパーソナルコンピュータなどと通信ができる。
【0018】
処理部5は、図3に示すように経路設定部31、分岐点設定部32、予想設定部33、分配部34、増減算出部35、更新部36を備えている。処理部5は、Central Processing Unit(CPU)やプログラマブルなデバイス(Field Programmable Gate Array(FPGA)、Programmable Logic Device(PLD)など)を用いてもよい。
【0019】
図3は、目標物管理装置の処理部の一実施例を示す図である。
図1の例で受信部3を介してセンサと接続する場合は、実施形態2で説明するが、処理部5のうち、後述する分配部34、増減算出部35は接続先のセンサ側で保持しても良い。例えば、目標物管理装置1とセンサとの通信は無線を用いることが考えられるため、回線負荷を軽減する必要がある。そこで、走査ごとに探知した情報を受信するのではなく、センサ側で経路ごとの目標物の数の増減を算出してから、探知した情報を目標物管理装置1に送信することで回線負荷を軽減する。
【0020】
経路設定部31は、目標物が移動可能な範囲(例えば、道など)を経路として設定する。例えば、記憶部6に記憶されている後述する地図情報を参照し、道を示す情報を取得し、後述する経路情報を生成して記憶部6に記憶する。図2の例であれば、地図情報から道Rdに関する情報を取得する。そして、進入端DS1、DS2、到達端DE1、DE2、DE3、分岐点D1、D2、D3を検出し、進入端または到達端または分岐点の座標を用いて、経路R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7を構成する始点、終点、構成点の座標を決定する。進入端または到達端は、監視対象範囲200の端辺各々に接する道Rd上の座標とし、分岐点は道が分岐する座標とすることが考えられる。または、利用者が地図を見て進入端と到達端と分岐点と構成点を決めてもよい。構成点は、経路が曲がっている場合などに経路の形状を決めるために用いる。例えば、経路R1の構成点はK11、K12、K13、K14などであり、経路R2の構成点はK21、K22、K23、K24などである。地図情報は、例えば、カーナビゲーションシステムで使用する地図情報などを用いることが考えられる。経路情報は、経路各々について経路を識別する情報と、地図上の経路を表す複数の座標とを関連付けて記憶する情報である。
【0021】
分岐点設定部32は、分岐点各々に対し、分岐点と分岐点に接する経路を関連付ける設定をする。例えば、記憶部6に記憶されている後述する地図情報を参照し、地図情報から道Rdに関する情報を取得する。その後、分岐点D1、D2、D3に接続されている経路を、分岐点各々に関連付けて、後述する分岐点情報を生成して記憶部6に記憶する。
【0022】
または、分岐点設定部32は、上記経路情報を参照して、分岐点D1、D2、D3に接続されている経路を、分岐点各々に関連付けて、後述する分岐点情報を生成して記憶部6に記憶してもよい。
【0023】
予想設定部33は、監視を行う範囲に進入が予想される目標物の数を設定する。例えば、監視対象範囲200に進入すると考えられる目標物の数を、事前に求めて設定する。事前に求めた目標物の数とは、例えば、他の監視対象範囲で求められた目標物が、監視対象範囲200に進入すると考えられる場合、他の監視対象範囲で求められた目標物の数を設定する。
【0024】
分配部34は、センサ部2または他の目標物管理装置1と通信可能な1つ以上のセンサがそれぞれ走査した結果である探知情報を取得し、探知情報に含まれる検出した目標物に対応する座標を求める。図4は、監視対象範囲に設定された経路とセンサの関係を示す図である。図4の例では、センサAが分岐点D1を監視し、センサBが分岐点D2、D3を監視している。
【0025】
続いて、分配部34は経路上の座標と目標物に対応する座標とを比較し、経路上の座標と目標物に対応する座標の距離が最も近い経路に目標物を分配する。距離は、例えば、点と直線とを用いて距離を求めることが考えられる。例えば、目標物の座標を点とし、経路を構成する2つの構成点がなす線を直線し、その点と直線との最短となる距離を求める。
【0026】
なお、同じ距離である場合、今回の探知情報に含まれる現在の目標物の座標と前回の探知情報に含まれる前回の目標物の座標を用いて、目標物の移動方向を求め、目標物の移動方向と近い向きの経路に該目標物を分配する。例えば、目標物の移動ベクトルと経路のベクトルが近いものに分配する。
【0027】
また、距離とベクトルは、例えば距離が一定値以下の経路を抽出し、その中で最もベクトルの一致する経路に目標物を分配する。
【0028】
増減算出部35は、センサ部2または他の目標物管理装置1と通信可能な1つ以上のセンサがそれぞれ走査するごとに、分岐点各々について該分岐点に接続される経路各々に分配された目標物の数の増減を求める。増減算出部35は、分岐点各々に関連付けられている経路各々の目標物の数の増減を用いて、分岐点における目標物の数の増加合計値と減少合計値を求める。続いて、増加合計値と減少合計値、分岐点に関連付けられている経路各々の増加数または減少数を求める。
【0029】
更新部36は、増減算出部35で求めた目標物の数の増減を用いて、経路各々に対応する目標物の数を更新する。更新部36は、増減算出部35で求めた増加数または減少数を、前回の求めた経路の目標物の数に加えて今回の該経路の目標物の数を求める。
【0030】
記憶部6は、プログラム、テーブル、データなどが記録されている。例えば、後述する経路情報、分岐点情報、センサ情報、探知情報、分配情報、増減情報、増減総和情報、更新情報などが記録されている。また、記憶部6は、例えばRead Only Memory(ROM)、Random Access Memory(RAM)などのメモリやハードディスクなどである。また、記憶部6はパラメータ値、変数値などのデータを記録してもよいし、ワークエリアとして用いることもできる。また、記憶部6には処理部5により演算される結果が記録される。
【0031】
入出力インタフェース7(入出力I/F7)は、入出力装置8が接続され、利用者が入力した情報を受信し、バス11を介して処理部5に送信する。また、処理部5からの命令に従ってディスプレイの画面上に操作情報などを表示する。
【0032】
入出力装置8は入力部と出力部を有している。入出力装置8の入力部は、目標物管理装置1の各種設定を入力する。例えば、監視対象範囲、進入端、到達端、分岐点、経路、経路の始点と終点などを設定する際に用いる。また、入出力装置8の出力部がディスプレイであれば、入力部としてディスプレイに設けられたタッチパネルなどが考えられる。また、キーボード、マウスなどが考えられる。なお、ディスプレイは、例えば、液晶ディスプレイ、Cathode Ray Tube(CRT)などが考えられる。出力部であり、例えば、ディスプレイ、プリンタなどである。出力部は、処理部5の演算結果を表示する。
【0033】
記録媒体読取装置9は、処理部5の制御にしたがって記録媒体10に対するデータのリード/ライトを制御する。そして、記録媒体10に記録媒体読取装置9の制御で書き込まれたデータを記憶させたり、記録媒体10に記憶されたデータを読み取らせたりする。また、着脱可能な記録媒体10は、コンピュータで読み取り可能な記録媒体として、磁気記録装置、光ディスク、光磁気記録媒体、半導体メモリなどがある。磁気記録装置には、ハードディスク装置(HDD)などがある。光ディスクには、Digital Versatile Disc (DVD)、DVD−RAM、Compact Disc Read Only Memory (CD−ROM)、CD−R(Recordable)/RW(ReWritable)などがある。光磁気記録媒体には、Magneto-Optical disk (MO)などがある。
【0034】
このようなハードウェア構成を有するコンピュータを用いることによって、上記説明した各種処理機能(図5、8、10、13のフロー図参照)が実現される。その場合システムが有すべき機能の処理内容を記述したプログラムが提供される。そのプログラムをコンピュータで実行することにより、上記処理機能がコンピュータ上で実現される。処理内容を記述したプログラムは、コンピュータで読み取り可能な記録媒体10に記録しておくことができる。
【0035】
プログラムを流通させる場合には、例えば、そのプログラムが記録されたDVD、CD−ROMなどの記録媒体10が販売される。また、プログラムをサーバコンピュータの記憶装置に格納しておき、ネットワークを介して、サーバコンピュータから他のコンピュータにそのプログラムを転送することもできる。
【0036】
プログラムを実行するコンピュータは、例えば、記録媒体10に記録されたプログラムもしくはサーバコンピュータから転送されたプログラムを、自己の記憶部6に格納する。そして、コンピュータは、自己の記憶部6からプログラムを読み取り、プログラムに従った処理を実行する。なお、コンピュータは、記録媒体10から直接プログラムを読み取り、そのプログラムに従った処理を実行することもできる。また、コンピュータは、サーバコンピュータからプログラムが転送されるごとに、逐次、受け取ったプログラムに従った処理を実行することもできる。
【0037】
目標物管理装置の動作について説明する。
図5は、目標物管理装置の動作の一実施例を示す図である。図5のステップS1では、経路設定部31が地図情報の移動可能な経路(例えば、道など)に関する情報を参照して経路上の座標を取得し、取得した座標を用いて経路情報を生成し、記憶部6に記憶する。図2に示す監視対象範囲の場合、図6に示す経路情報601のように生成される。図6は、経路情報と分岐点情報のデータ構造の一実施例を示す図である。経路情報601は、「経路ID」「座標」に記憶する情報を有する。「経路ID」には、経路を識別する情報が記憶され、本例では、識別する情報として「R1」「R2」「R3」・・・「R7」が記憶されている。「座標」には、経路各々に対応する経路上の座標を示す情報が記憶されている。座標は、例えば、緯度、経度などが考えられる。経路R1の場合、監視対象範囲200の端辺に接する進入端DS1の座標「(xs1,ys1)」を始点とし、最初に分岐する座標「(xe1,ye1)」を終点(分岐点D1)とする。次に、経路R1は曲がった道であるので、2点だけでは経路を表すことができないため、「構成点1」「構成点2」「構成点3」「構成点4」・・・・に経路R1に対応する座標を記憶する。本例では、「構成点1」「構成点2」「構成点3」「構成点4」・・・・に、それぞれ「(xc11,yc11)」「(xc12,yc12)」「(xc13,yc13)」「(xc14,yc14)」・・・・を記憶している。
【0038】
経路R2の場合、監視対象範囲200の端辺に接する進入端DS2の座標「(xs2,ys2)」を始点とし、最初に分岐する座標「(xe2,ye2)」を終点(分岐点D2)とする。次に、経路R2は曲がった道であるので、2点だけでは経路を表すことができないため、「構成点1」「構成点2」「構成点3」「構成点4」・・・・に経路R2に対応する座標を記憶する。本例では、「構成点1」「構成点2」「構成点3」「構成点4」・・・・に、それぞれ「(xc21,yc21)」「(xc22,yc22)」「(xc23,yc23)」「(xc24,yc24)」・・・・を記憶している。
【0039】
経路R3〜R7の場合は略直線の道のため、本例では「構成点1」「構成点2」「構成点3」「構成点4」・・・・には座標が記憶されていない。すなわち、経路R3〜R7は直線に近いため始点と終点の座標を記憶することで、始点と終点を結ぶ線分上の座標は決められる。経路R3の始点と終点は、始点の座標(分岐点D1)が「(xe1,ye1)」で、終点の座標(分岐点D2)が「(xe2,ye2)」である。経路R4の始点と終点は、始点の座標(分岐点D1)が「(xe1,ye1)」で、終点の座標(到達端DE1)が「(xe4,ye4)」である。経路R5の始点と終点は、始点の座標(分岐点D2)が「(xe2,ye2)」で、終点の座標(分岐点D3)が「(xe5,ye5)」である。経路R6の始点と終点は、始点の座標(分岐点D3)が「(xe5,ye5)」で、終点の座標(到達端DE2)が「(xe6,ye6)」である。経路R7の始点と終点は、始点の座標(分岐点D3)が「(xe5,ye5)」で、終点の座標(到達端DE3)が「(xe7,ye7)」である。
【0040】
なお、本例では経路が直線の場合は始点と終点の座標を示したが、始点と終点の間の座標を「構成点1」「構成点2」「構成点3」「構成点4」・・・・に記憶してもよい。
【0041】
また、利用者が入出力装置8を用いて経路情報を作成してもよい。
ステップS2では、分岐点設定部32が地図情報または経路情報を参照し、分岐点の設定をする。例えば、図2に示す監視対象範囲200の端辺に囲まれる範囲の分岐点を選択して、選択した分岐点に接する経路を抽出して図6に示す分岐点情報602のように生成される。図6の分岐点情報602は、「分岐点ID」「経路」「センサID」に記憶する情報を有する。「分岐点ID」には、分岐点を識別する情報が記憶され、本例では分岐点を識別する情報として「D1」「D2」「D3」が記憶されている。例えば、経路情報601の経路各々の始点と終点の座標を参照し、同じ座標が3つ以上存在する場合にその座標を分岐点と判定することが考えられる。経路情報601の例であれば、「(xe1,ye1)」「(xe2,ye2)」「(xe5,ye5)」が分岐点となる。分岐点情報602の場合、「(xe1,ye1)」が分岐点「D1」に対応し、「(xe2,ye2)」が分岐点「D2」に対応し、「(xe5,ye5)」が分岐点「D3」に対応する。
【0042】
「経路」には、分岐点に接続されている経路が記憶されている。本例では、分岐点「D1」に経路「R1」「R3」「R4」が関連付けられ、分岐点「D2」に経路「R2」「R3」「R5」が関連付けられ、分岐点「D3」に経路「R5」「R6」「R7」が関連付けられている。例えば、経路情報601の経路各々の始点と終点の座標を参照し、分岐点である「(xe1,ye1)」「(xe2,ye2)」「(xe5,ye5)」に関連付けられている経路を選択し、対応する経路を関連付けて記憶する。また、分岐点情報602の「(xe1,ye1)」に対応する分岐点「D1」、「(xe2,ye2)」に対応する分岐点「D2」、「(xe5,ye5)」に対応する分岐点「D3」に、対応する経路を関連付けて記憶する。
【0043】
「センサID」には、分岐点を含む領域を監視するセンサに対応する識別情報が記憶されている。本例では、センサを示す情報として「A」「B」が記憶されている。図4のセンサA、センサBに対応する。また、利用者が入出力装置8を用いて分岐点情報を作成してもよい。
【0044】
ステップS3では、予想設定部33が監視対象範囲に進入すると考えられる目標物の数を記憶部6に記憶し、設定する。設定する目標物の数は、例えば、他の監視対象範囲で求められた目標物が、監視対象範囲200に進入すると考えられる場合、他の監視対象範囲で求められた目標物の数を設定する。利用者が入出力装置8を用いて設定する目標物の数を入力することが考えられる。
【0045】
ステップS4では、受信部3がセンサ部2または他の目標物管理装置1と通信可能な1つ以上のセンサからセンサに関する情報と探知した目標物に関する情報を受信し、処理部5に転送する。その後、記憶部6に情報各々を記憶する。ステップS4では、センサ部2または他の目標物管理装置1と通信可能な1つ以上のセンサがそれぞれ走査を行うごとに探知した目標物に関する情報を受信する。
【0046】
センサ部2または他の目標物管理装置1と通信可能な1つ以上のセンサの走査は、前回の走査を行った後、所定の時間待機してから次の走査を行う。ここで、所定の時間(待機時間)は、経路の長さ、目標物の探知した結果により想定される速度、センサ部2またはセンサの覆域領域各々を走査する速度などを用いて目標物が他の経路に移動しない範囲を求めて、設定することが考えられる。
【0047】
図7は、センサ情報、探知情報のデータ構造の一実施例を示す図である。図7のセンサ情報701は、「センサID」「設置位置」「測定方向」などに記憶する情報を有する。「センサID」には、センサを識別する情報が記憶されている。本例では、センサを識別する情報「A」「B」が記憶されている。「設置位置」には、センサを識別する情報に関連付けられて、センサの設置されている座標が記憶されている。本例では、図4に示したセンサAとセンサBが設置されている座標「(xa1,ya1)」「(xb1,yb1)」が記憶されている。「測定方向」には、センサを識別する情報に関連付けられて、センサの覆域領域の方向を示す方位などが記憶されている。本例では、図4に示したセンサAとセンサBの覆域領域F1、F2の方向を示す「houiA」「houiB」が記憶されている。なお、利用者が入出力装置8を用いてセンサ情報を入力してもよい。
【0048】
図7の探知情報702は探知した目標物の情報を有し、「目標物ID」「探知日時」「現在位置」「種別」などの情報を有する。「目標物ID」には、探知した目標物を識別する情報が記憶されている。本例では、目標物を識別する情報として「T1」「T2」「T3」「T4」・・・「T12」・・・・が記憶されている。図4の例であれば、目標物は黒丸で示されているT1、T2、T3である。「探知日時」には、目標物を探知した日時が記憶されている。本例では、探知した日時として「time1」「time2」「time3」「time4」・・・「time12」・・・・が記憶されている。「現在位置」には、目標物の現在位置(座標)が記憶されている。本例では、目標物の現在位置を示す座標として「pos1」「pos2」「pos3」「pos4」・・・「pos12」・・・・が記憶されている。「種別」には、目標物の種別が記憶されている。本例では、種別を示す情報として「type1」「type2」「type3」「type4」・・・「type12」・・・・が記憶されている。
【0049】
ステップS5では、分配部34が探知した目標物を分岐点ごとに経路に関連付け、記憶部6に記憶する。分配部34の動作について説明する。
【0050】
図8は、分配部の動作の一実施例を示すフロー図である。ステップS801では、分配部34が探知情報から未処理の目標物の現在位置(座標)を取得する。例えば、図7に示す探知情報702から目標物の現在位置(座標)を取得する場合、一行目の「現在位置」に記憶されている座標「pos1」から順に「pos2」「pos3」・・・と選択していくことが考えられる。ただし、選択する順番は限定されるものではない。
【0051】
ステップS802では、分配部34が選択した現在位置(座標)と経路情報の座標とを比較し、最も近い座標を選択する。例えば、図6の経路情報601と分岐点情報602を用いて取得した現在位置(座標)に最も近い経路上の座標を検出する場合、分岐点情報602を参照してセンサAが監視している分岐点D1に接する経路R1、R3、R4を抽出する。続いて、経路情報601の経路R1、R3、R4に関連する始点、終点、構成点1〜4・・・・の座標各々と、取得した現在位置(座標)を比較する。始点、終点、構成点1〜4・・・・の座標のうち取得した現在位置(座標)に最も近い距離にある経路を選択する。同じ距離の座標が複数ある場合、今回の探知情報に含まれる現在の目標物の座標と前回の探知情報に含まれる前回の目標物の座標を用いて目標物の移動方向(方向ベクトル)を求め、目標物の移動方向と経路の方向が最も近い方向の経路に該目標物を分配する。
【0052】
ステップS803では、分配部34が選択した目標物の現在位置(座標)に最も近い距離にある座標が属する経路と、該目標物とを関連付ける。例えば、図9に示す分配情報901、902、903、904に示すように目標物を識別する目標物IDと経路IDと分岐点IDを関連付けて記憶する。図9は、分配情報のデータ構造の一実施例を示す図である。図9の分配情報901、902、903、904は、「走査カウント」「目標物ID」「経路ID」「分岐点ID」に記憶される情報を有している。「走査カウント」にはセンサが走査した回数が記憶されている。本例では、分配情報901はセンサAが前回走査をしたことを示し、分配情報902はセンサBが前回走査をしたことを示し、分配情報903はセンサAが今回走査をしたことを示し、分配情報904はセンサBが今回走査をしたことを示す情報である。本例では、前回の走査は「1」で、今回の走査は「0」で示されている。「目標物ID」には、分配情報901、902、903、904の例では、目標物IDといて「T1」「T2」「T3」・・・「T12」・・・・が記憶されている。「経路ID」には、分配情報901、902、903、904の例では、経路IDとして「R1」「R2」「R3」「R4」「R5」「R6」「R7」などが記憶されている。「分岐点ID」には、本例では、分岐点IDといて「D1」「D2」などが記憶されている。
【0053】
ステップS804では、分配部34が全ての目標物を選択したか否かを判定し、全ての判定を終了していればこの処理を終了(Yes)し、終了していなければステップS801(No)に移行する。例えば、図7に示す探知情報702を用いた場合、「目標物ID」の探知された全ての目標物(T1〜T12・・・・)に対して処理をしたか否かを判定する。
【0054】
ステップS6では、分配部34がステップS4で取得したセンサ情報を参照し、既に受信しているセンサからの情報があるか否かを判定し、既に受信している場合(走査カウントに「1」が記憶されている場合)にはステップS8(Yes)移行する。受信していない場合にはステップS7(No)に移行する。例えば、今回のセンサAの走査により取得したセンサ情報または探知情報を用いて生成した分配情報903の場合、既に前回生成した分配情報901があるためステップS7に移行する。
【0055】
ステップS7では、分配部34が今回の分配情報の「走査カウント」に「1」を代入する。例えば分配情報903の場合、分配情報903の「走査カウント」に「1」を代入する。その後ステップS4に移行する。
【0056】
ステップS8では、増減算出部35が分岐点各々に対応する経路各々の目標物の数の増減を求める。増減算出部35の動作について説明する。
【0057】
図10は、増減算出部の動作の一実施例を示すフロー図である。ステップS1001では、増減算出部35が増減情報の未処理の分岐点を選択する。
【0058】
図11は、増減情報と増減総和情報のデータ構造の一実施例を示す図である。増減情報は、分配情報を参照してセンサ部2または他のセンサ各々が監視する分岐点と、該分岐点に関連付けられている経路に関して集計し、集計した経路各々に関連付けて該経路各々における目標物の増減を記憶した情報である。図11の増減情報1101、1102は、図9に示した分配情報901などを用いて生成される情報である。増減情報1101、1102は、「センサID」「分岐点ID」「経路ID」「2回目走査目標物の数」「1回目走査目標物の数」「目標物の数の増減」に記憶する情報を有する。「センサID」にはセンサを識別する情報が記憶されている。「分岐点ID」には分岐点を識別する情報が記憶されている。「経路ID」には経路を識別する情報が記憶されている。「2回目走査目標物の数」には、2回目の走査によりセンサ部2または外部のセンサ各々が探知した目標物の数が分岐点ごとの経路各々に関連付けて記憶されている。「1回目走査目標物の数」には、1回目の走査によりセンサ部2または外部のセンサ各々が探知した目標物の数が分岐点ごとの経路各々に関連付けて記憶されている。
【0059】
「目標物の数の増減」には1回目の走査により取得した目標物の数と2回目の走査により取得した目標物の数との間で増減した数が記憶されている。なお、増減した数については後述する式1、式2を用いて求める。
【0060】
増減情報1101の場合(図12、14の3回目)、センサAが監視する分岐点D1に接続する経路R1、R3、R4について、「2回目走査目標物の数」には経路「R1」に関連付けられて「2」、経路「R3」に関連付けられて「3」、経路「R4」に関連付けられて「2」が記憶されている。「1回目走査目標物の数」には経路「R1」に関連付けられて「4」、経路「R3」に関連付けられて「2」、経路「R4」に関連付けられて「1」が記憶されている。「目標物の数の増減」には経路「R1」に関連付けられて「−2」、経路「R3」に関連付けられて「1」、経路「R4」に関連付けられて「1」が記憶されている。「目標物の数の増減」には、経路「R1」に関連付けられて「−2」、経路「R3」に関連付けられて「1」、経路「R4」に関連付けられて「1」が記憶されている。
【0061】
増減情報1102の場合(図12または図14の2回目)、センサBが監視する分岐点D2、D3に接続する経路R2、R3、R5、R6、R7について、「2回目走査目標物の数」には分岐点D2の経路「R2」に関連付けられて「3」が記憶されている。また、経路「R3」に関連付けられて「1」、経路「R5」に関連付けられて「1」が記憶されている。分岐点D3の経路「R5」に関連付けられて「1」、経路「R6」に関連付けられて「0」、経路「R7」に関連付けられて「0」が記憶されている。「1回目走査目標物の数」には分岐点D2の経路「R2」に関連付けられて「5」、経路「R3」に関連付けられて「0」、経路「R5」に関連付けられて「0」が記憶されている。分岐点D3の経路「R5」に関連付けられて「0」、経路「R6」に関連付けられて「0」、経路「R7」に関連付けられて「0」が記憶されている。「目標物の数の増減」には、分岐点D2の経路「R2」に関連付けられて「−2」、経路「R3」に関連付けられて「1」、経路「R5」に関連付けられて「1」が記憶されている。分岐点D3の経路「R5」に関連付けられて「0」、経路「R6」に関連付けられて「0」、経路「R7」に関連付けられて「0」が記憶されている。分岐点D3においては、増加しかしていないので経路「R5」に関連付けられる値は「0」となる。
【0062】
またステップS1001では、例えば、増減算出部35が増減情報1101の未処理の分岐点として分岐点D1を選択する。また、分岐点D1について経路各々の目標物の増減を求めると、続いてステップS1001(ステップS1009から移行したステップS1001)では、次の分岐点として増減情報1102の分岐点D2を選択する。
【0063】
ステップS1002では、増減算出部35が目標物の増加数の合計(増加合計値)を求め、記憶部6に記憶する。例えば、増減情報1101の場合、経路R1は前回から−2減少し、経路R3は前回から1増加し、経路R4は前回から1増加しているので、目標物の増加数の合計の値(増加合計値)は2となる。
【0064】
ステップS1003では、増減算出部35が目標物の減少数の合計(減少合計値)を求め、記憶部6に記憶する。例えば、増減情報1101の場合、経路R1は前回から−2減少し、経路R3は前回から1増加し、経路R4は前回から1増加しているので、目標物の減少数の合計の値(減少合計値)は−2となる。
【0065】
さらに、図12の表1201、1202を用いて説明をする。図12は、センサA、Bの走査ごとに探知した目標物の数を示した表を示す図である。表1201はセンサAが監視する分岐点D1における、1セットにおける1回目と2回目の走査ごと(本例では5セット(計10回の走査))の経路R1、R3、R4における目標物の数を示した表である。表1202はセンサBが監視する分岐点D2、D3における、1セットにおける1回目と2回目の走査ごと(本例では4セット(計8回の走査))の経路R2、R3、R5、R6、R7における目標物の数を示した表である。
【0066】
表1201のセット回数2回目に注目すると、まず、経路R1、R3、R4各々についての目標物の増減を求める。
【0067】
経路R1:2回目の目標物の数4−1回目の目標物の数7=−3
経路R3:2回目の目標物の数2−1回目の目標物の数0 =2
経路R4:2回目の目標物の数1−1回目の目標物の数0 =1
【0068】
次に、経路R3の増加した値2と増加した経路R4の増加した値1とを合計して増加合計値3を求める。経路R1の減少した値−3を減少合計値とする。
【0069】
なお、ステップS1002とステップS1003の順番はどちらが先であってもよい。
ステップS1004では、増減算出部35が|減少合計値|>|増加合計値|であるか否かを判定し、|減少合計値|>|増加合計値|である場合にはステップS1005(Yes)に移行する。|減少合計値|>|増加合計値|でない場合にはステップS1006(No)に移行する。
【0070】
図12の表1201のセット回数2回目に注目して説明する。セット回数2回目において、増加合計値は3であり減少合計値は−3であるので|−3|>|3|となり、ステップS1006(No)に移行する。
【0071】
図12の表1201のセット回数3回目に注目して説明する。セット回数3回目において、増加合計値は2であり減少合計値は−2であるので|−2|>|2|となり、ステップS1006(No)に移行する。
【0072】
図12の表1202のセット回数2回目に注目して説明する。セット回数2回目において、分岐点D2において増加合計値は2であり減少合計値は−2であるので|−2|>|2|となり、ステップS1006(No)に移行する。また、分岐点D3においては増加合計値は1であり減少合計値は0であるので0>|1|となり、ステップS1006(No)に移行する。
【0073】
ステップS1005では、増減算出部35が増加合計値を経路間の目標物の増減数として記憶する。ステップS1006では、増減算出部35が減少合計値の絶対値を経路間の目標物の増減数として記憶する。
【0074】
図12の表1201のセット回数2回目に注目して説明する。セット回数2回目において、増加合計値は3であり減少合計値は−3であるので、ステップS1006において減少合計値−3の絶対値を経路間の目標物の増減数3とする。
【0075】
図12の表1201のセット回数3回目に注目して説明する。セット回数3回目において、増加合計値は2であり減少合計値は−2であるので、ステップS1006において減少合計値−2の絶対値を経路間の目標物の増減数2とする。
【0076】
図12の表1202のセット回数3回目に注目して説明する。分岐点D2においてセット回数3回目では、増加合計値は4であり減少合計値は−1であるので、ステップS1006において減少合計値1を経路間の目標物の増減数とする。分岐点D3においてセット回数2回目では、増加合計値は1であり減少合計値は1であるので、ステップ1006において減少合計値−1の絶対値を経路間の目標物の増減数とする。
【0077】
ステップS1007では、増減算出部35が目標物の数が増加した経路各々の目標物の増加数を、式1を用いて求め、増減情報の「目標物の数の増減」に記憶する。
【0078】
inc=X×(Y/Z) (式1)
inc :経路の目標物の増加数(「目標物の数の増減」)
X :経路間の目標物の増減数
Y :経路の目標物の増加数
Z :増加合計値
【0079】
ステップS1008では、増減算出部35が目標物の数が減少した経路各々の目標物の減少数を、式2を用いて求め、増減情報の「目標物の数の増減」に記憶する。
【0080】
dnc=X×(Y/Z) (式2)
dnc :経路の目標物の減少数(「目標物の数の増減」)
X :経路間の目標物の増減数
Y :経路の目標物の減少数
Z :減少合計値
【0081】
ステップS1007とステップS1008について説明する。
図12の表1201のセット回数2回目に注目して説明する。セット回数2回目において、増加合計値は3であり減少合計値は−3であるので、減少した経路R1の目標物の減少数と、増加した経路R3、R4各々の目標物の数の増加は、式3に示すようになる。
【0082】
経路R1:dec=3×(−3/3) (式3)
=−3
経路R3:inc=3×(2/3)
=2
経路R4:inc=3×(1/3)
=1
【0083】
上記分岐点D1において、経路R1の目標物の数が7から4に減少し、経路R3の目標物の数が0から2に増加し、経路R4の目標物の数が0から1に増加している。すなわち、経路R1の目標物が、経路R3、R4にそれぞれ移動したと考えられる。従って、分岐点D1における経路各々の目標物の数の増減が明確に決めることができるため、経路R1、R3、R4の増減の値をそれぞれ−3、2、1にする。
【0084】
図12の表1201のセット回数3回目に注目して説明する。セット回数3回目において、増加合計値は2であり減少合計値は2であるので、減少した経路R1の目標物の減少数と増加した経路R3、R4各々の目標物の数の増加は、式4に示すようになる。
【0085】
経路R1:dec=2×(−2/2) (式4)
=−2
経路R3:inc=2×(1/2)
=1
経路R4:inc=2×(1/2)
=1
【0086】
上記分岐点D1において経路R1の目標物の数が2から0に減少し、経路R3の目標物の数が0から1に増加し、経路R4の目標物の数が0から1に増加している。すなわち、経路R1の目標物が、経路R3、R4にそれぞれ移動したと考えられる。従って、分岐点D1における経路各々の目標物の数の増減が明確に決めることができるため、経路R1、R3、R4の数の増減の値を−2、1、1にする。
【0087】
図12の表1202のセット回数3回目に注目して説明する。セット回数3回目において、分岐点D2において減少した経路R5の目標物の減少数と増加した経路R2、R3各々の目標物の増加数は、式5に示すようになる。
【0088】
経路R2:inc=1×(3/4) (式5)
=0.75
経路R3:inc=1×(1/4)
=0.25
経路R5:dec=1×(−1/1)
=−1
【0089】
上記分岐点D2において経路R2の目標物の数が3から6に増加し、経路R3の目標物の数が1から2に増加し、経路R5の目標物の数が0から1に増加している。増加合計値と減少合計値が一致するので目標物の数の増減は明確に決めることができる。
【0090】
また、図12の表1202の分岐点D3のセット回数3回目において、減少した経路R5の目標物の減少数と増加した経路R6の目標物の増加数は、式6に示すようになる。
【0091】
経路R5:dec=1×(−1/1) (式6)
=−1
経路R6:inc=1×(1/1)
=1
経路R7:0
【0092】
上記分岐点D3において経路R5の目標物の数が0から1に増加し、経路R6の目標物の数が1から0に減少している。すなわち、経路R5の目標物が、経路R6に移動したと考えられる。従って、分岐点D3における経路各々の目標物の数の増減が明確に決めることができるため、経路R5、R6の数の増減の値を−1、1にする。
【0093】
なお、分岐点に接する経路各々の目標物がすべて増加するような場合はないと想定されるため、誤検出として増減数の値incをすべて0にする。また、分岐点に接する経路各々の目標物の数が前回より今回のほうがすべて減少するような場合はないと想定されるため、誤検出として経路各々において目標物の数がすべて減少するような場合は増減数の値decをすべて0にする。
【0094】
ステップS1009では、増減算出部35がすべての分岐点を選択したか否かを判定し、すべての分岐点についてステップS1001〜S1008に対応する処理を行っている場合はステップS1010(Yes)に移行する。処理を行っていない場合はステップS1001(Yes)に移行する。図11の増減情報1102の場合には分岐点D1〜D3について処理を行っていればステップS1001(Yes)に移行する。
【0095】
ステップS1010では、増減算出部35が経路各々の目標物の数の増減(図11の目標物の数の増減)の総和(=式7の経路の増減数)を求める。例えば、図11の増減総和情報1103は、「経路ID」「増減数」に記憶される情報を有している。図12または図14のセンサBのセット回数の2回目に対応する。「経路ID」には経路を識別する情報が記憶され、本例では、増減情報1101、1102に示されている「経路ID」に対応する「R1」「R2」「R3」「R4」・・・「R7」が記憶されている。
【0096】
「増減数」には経路各々の目標物の数の増減の総和が記憶されている。本例では、「増減数」の経路R3に対応する箇所に「−2」が記憶され、経路R4に対応する箇所に「1」が記憶され、経路R5に対応する箇所に「1」が記憶される。経路R6に対応する箇所に「0」が記憶され、経路R7に対応する箇所に「0」が記憶される。
【0097】
図14の表1401を用いて説明をする。図14は、増減総和と更新情報のデータ構造の一実施例を示す図である。図14の表1401は増減総和を示す表である。図14のセンサBのセット回数の2回目に注目すると、前述した増減情報1102の「目標物の数の増減」に示されている式1または式2を用いて求めた経路R2、R3、R5、R6、R7に対応する値が求められる。続いて、経路各々の求めた値を用いて経路各々の目標物の数の増減の総和を求めると、経路R2の総和は−2、経路R3の総和は1、経路R5の総和は1(=1(分岐点D2)+0(分岐点D3))、経路R6の総和は0、経路R7の総和は0となる。よって、図14のセンサBのセット回数の2回目に示すように経路R2の総和は「−2」、経路R3の総和は「1」、経路R5の総和は「1」、経路R6の総和は「0」、経路R7の総和は「0」となる。
【0098】
図5のステップS9では、分配部34が今回の分配情報を前回の分配情報に上書きすることが考えられる。例えば図9の分配情報903を、分配情報901に上書きする。
【0099】
図5のステップS10では、更新部36が経路ごとの目標物の数を更新する。更新部36の動作について説明する。
【0100】
図13は、更新部の動作の一実施例を示すフロー図である。ステップS1301では、更新部36が増減算出部35からデータを取得する。例えば、図11の増減総和情報1103などのデータを取得する。
【0101】
ステップS1302では、更新部36が進入端を有さない経路について目標物の数を確定する。すなわち、経路R3、R4、R5、R6、R7について目標物の数を確定する。目標物の数の確定は前回の目標物の数に目標物の増減数を加算する。式7を参照。
【0102】
今回の経路の目標物の数=前回の経路の目標物の数+今回の経路の増減数 (式7)
【0103】
図14の更新情報1402は、「経路ID」「目標物の数」「合計」に記憶される情報を有している。「経路ID」には、経路を識別する情報が記憶され、本例では、経路を示す「R3」「R4」「R5」・・・「R7」が記憶されている。
【0104】
「目標物の数」には、経路各々の式7により求められた今回の目標物の数が記憶されている。図14の更新情報1402ではセンサAのセット回数5回目とセンサBのセット回数4回目よって求められた経路各々の目標物の数が、時系列に示されている。本例では、センサAのセット回数5回目とセンサBのセット回数4回目の結果がすべて示されているが、最新の目標物の数だけを記憶してもよい。その場合、センサAのセット回数5回目により求められた経路各々の目標物の数だけを記憶する。本例では、「R3」「R4」「R5」・・・「R7」各々に対応する目標物の数が記憶されている。
【0105】
図14のセンサBのセット回数の2回目に注目すると、前回の経路R3の目標物の数が「3」で、今回の経路の増減数が「1」であるので、更新情報1402の目標物の数は「4」になる。また、前回の経路R5の目標物の数が「0」で、今回の経路の増減数が「1」であるので、更新情報1402の目標物の数は「1」になる。他の経路の目標物の数は増減していないので前回の目標物の数のままである。
【0106】
図14のセンサBのセット回数の3回目に注目すると、前回の経路R3の目標物の数が「5」で、今回の経路の増減数が「0.75」であるので、更新情報1402の目標物の数は「5.75」になる。また、前回の経路R4の目標物の数が「3」で、今回の経路の増減数が「0.25」であるので、更新情報1402の目標物の数は「3.25」になる。また、前回の経路R5の目標物の数が「1」で、今回の経路の増減数が「−2」であるので、更新情報1402の目標物の数は「−1」が正しいが、目標物の数はマイナスにならないため、「0」とする。また、前回の経路R6の目標物の数が「0」で、今回の経路の増減数が「1」であるので、更新情報1402の目標物の数は「1」になる。他の経路の目標物の数は増減していないので前回の目標物の数のままである。
【0107】
「合計」は、今回の経路すべての目標物の数の合計が記憶されている。本例では、センサA、Bのセット回数ごとに合計「0」「3」「3」「5」「7」「9」「10」「12」「12」が記憶されている。
【0108】
ステップS1303では、更新部36が予想設定部33を用いて設定した目標物の数setと、経路各々の目標物の増減数の合計sumと、を用いて判定値を求める。式8を参照。
【0109】
判定値=(set)−(今回のsum) (式8)
【0110】
例えば、目標物の数setとして「20」が入力されている場合、1回目と2回目の走査において求められた経路各々の目標物の増減数の合計sumを、「20」から差し引いて、判定値を求める。Setは監視対象範囲に進入が予測される目標物の数を利用者が事前に入力するなどして設定する。
【0111】
ステップS1304では、更新部36が判定値<0であるか否かを判定し、判定値<0である場合にはステップS1305に移行し、判定値≧0である場合にはステップS1301に移行する。
【0112】
ステップS1305では更新部36がアラームを表示する。本例では、目標物の進入が予想した目標物の数を上回る場合にアラームを表示する。例えば、音声または入出力装置8の出力画面に、「目標物の進入が予想した目標物の数を上回りました」などと表示することが考えられる。
【0113】
実施形態1によれば、全経路の目標物の数を、分岐点に係る経路ごとに監視できるため、センサの数を抑えて監視対象範囲の目標物の数を効率よく管理するができる。
【0114】
また、センサとしてドップラレーダなどを用いた場合でも、分岐点に係る経路ごとに監視できるため、経路上にない林の揺らぎ、川の流れ、エアコンの室外機などの影響による目標物の誤検出を抑止することができる。また、高度の高い位置から撮影した画像を用いて目標物を検出する場合には、経路上にない瓦礫や岩などによる目標物の誤検出を抑止することができる。
【0115】
実施形態2について説明する。
図15は、実施形態2のセンサ装置と統合装置の一実施例を示す図である。図16は、実施形態2のセンサと統合装置の処理部の概略の一実施例を示す図である。
【0116】
実施形態2では、センサ装置1500と統合装置1510との通信は無線を用いることが考えられるため、回線負荷を軽減する必要がある。そこで、走査ごとに探知情報を受信するのではなく、センサ装置1500で経路ごとの目標物の数の増減を算出してから、探知情報を統合装置1510に送信することで回線負荷を軽減する。
【0117】
図15のセンサ装置1500は、処理部1501、記憶部1502、記録媒体読取装置1503、入出力インタフェース1504(入出力I/F)、通信インタフェース1505(通信I/F)、センサ部1509などを備えている。また、上記各構成部はバス1506によってそれぞれ接続されている。
【0118】
センサ部1509は、センサ装置1500に設けられたセンサである。センサ部1509は、目標物を探知するためのレーダ装置、暗視装置、測距装置、撮影装置などである。例えば、カメラ、ビデオカメラなどを含む。レーダ装置は自らの送信部から電波を照射し、目標物から反射されて戻ってくる電波を受信機で受信することにより、目標物の距離、方向、移動速度、種別などの情報を得る装置である。例えば、センサ部1509としてドップラレーダ(Doppler radar)装置などを用いることが好ましい。また、陸上において、目標物は人、動物、一般車両、特殊車両、軍用車両など、海上においては人、旅客船(客船)、貨客船(貨客混載船)、貨物船、軍艦、巡視船、漁船、特殊船などを対象とし、さらに航空機(重航空機、軽航空機)などを対象としてもよい。また、地上の目標物を監視するセンサは、ドップラレーダ装置の他に、飛行機(無人飛行機などを含む)やヘリコプタによる空中から撮影した動画像や静止画像により目標物を探知してもよい。
【0119】
処理部1501は、実施形態1で説明した分配部34、増減算出部35が実行する各処理を実行する。また、処理部1501はセンサの走査を制御する。処理部1501は、前回の走査を行った後、所定の時間待機してから次の走査を行う。ここで、所定の時間(待機時間)は、経路の長さ、目標物の探知した結果により想定される速度、センサ部1509を走査する速度などを用いて目標物が他の経路に移動しない範囲を求めて、設定することが考えられる。
【0120】
記憶部1502(ROM、RAM、ハードディスクドライブなど)には、処理部1501が実行するプログラムやデータが記録されている。また、ワークエリアなどとして使用される。例えば、経路情報、分岐点情報、センサ情報、探知情報、分配情報、増減情報、増減総和情報、更新情報などが記録されている。
【0121】
記録媒体読取装置1503は、処理部1501の制御にしたがって記録媒体1507に対するデータのリード/ライトを制御する。そして、記録媒体1507に記録媒体読取装置1503の制御で書き込まれたデータを記憶させたり、記録媒体1507に記憶されたデータを読み取らせたりする。また、着脱可能な記録媒体1507は、コンピュータで読み取り可能な記録媒体として、磁気記録装置、光ディスク、光磁気記録媒体、半導体メモリなどがある。磁気記録装置には、ハードディスク装置(HDD)などがある。光ディスクには、Digital Versatile Disc (DVD)、DVD−RAM、Compact Disc Read Only Memory (CD−ROM)、CD−R(Recordable)/RW(ReWritable)などがある。光磁気記録媒体には、Magneto-Optical disk (MO)などがある。
【0122】
入出力インタフェース1504には、入出力装置1508(例えば、タッチパネルなど)が接続され、ユーザが入力した情報を受信し、バス1506を介して処理部1501に送信する。また、処理部1501からの命令に従ってディスプレイの画面上に操作情報などを表示する。
【0123】
通信インタフェース1505は、必要に応じ、他のコンピュータとの間のLAN接続やインターネット接続や無線接続を行うためのインタフェースである。また、他の装置に接続され、外部装置からのデータの入出力を制御する。
【0124】
このようなハードウェア構成を有するセンサ装置1500を用いることによって、各種処理機能(図5に示すステップS4〜S9の処理など)が実現される。その場合システムが有すべき機能の処理内容を記述したプログラムが提供される。そのプログラムをコンピュータで実行することにより、上記処理機能がコンピュータ上で実現される。処理内容を記述したプログラムは、コンピュータで読み取り可能な記録媒体1507に記録しておくことができる。
【0125】
図15の統合装置1510は、処理部1511、記憶部1512、記録媒体読取装置1513、入出力インタフェース1514(入出力I/F)、通信インタフェース1515(通信I/F)、センサ部1519などを備えている。また、上記各構成部はバス1516によってそれぞれ接続されている。
【0126】
処理部1511は、実施形態1で説明した経路設定部31、分岐点設定部32、予想設定部33、更新部36などが実行する処理を実行する。
【0127】
記憶部1512(ROM、RAM、ハードディスクドライブなど)には、処理部1511が実行するプログラムやデータが記録されている。また、ワークエリアなどとして使用される。例えば、経路情報、分岐点情報、センサ情報、増減情報、増減総和情報、更新情報などが記録されている。
【0128】
記録媒体読取装置1513は、処理部1511の制御にしたがって記録媒体1517に対するデータのリード/ライトを制御する。そして、記録媒体1517に記録媒体読取装置1513の制御で書き込まれたデータを記憶させたり、記録媒体1517に記憶されたデータを読み取らせたりする。また、着脱可能な記録媒体1517は、コンピュータで読み取り可能な記録媒体として、磁気記録装置、光ディスク、光磁気記録媒体、半導体メモリなどがある。磁気記録装置には、ハードディスク装置(HDD)などがある。光ディスクには、Digital Versatile Disc (DVD)、DVD−RAM、Compact Disc Read Only Memory (CD−ROM)、CD−R(Recordable)/RW(ReWritable)などがある。光磁気記録媒体には、Magneto-Optical disk (MO)などがある。
【0129】
入出力インタフェース1514には、入出力装置1518(例えば、タッチパネルなど)が接続され、ユーザが入力した情報を受信し、バス1516を介して処理部1511に送信する。また、処理部1511からの命令に従ってディスプレイの画面上に操作情報などを表示する。
【0130】
通信インタフェース1515は、必要に応じ、他のコンピュータとの間のLAN接続やインターネット接続や無線接続を行うためのインタフェースである。また、他の装置に接続され、外部装置からのデータの入出力を制御する。
【0131】
このようなハードウェア構成を有する統合装置1510を用いることによって、各種処理機能(図5に示すステップS1〜S3、S10の処理など)が実現される。その場合システムが有すべき機能の処理内容を記述したプログラムが提供される。そのプログラムをコンピュータで実行することにより、上記処理機能がコンピュータ上で実現される。処理内容を記述したプログラムは、コンピュータで読み取り可能な記録媒体1517に記録しておくことができる。
【0132】
なお、上記センサ装置1500と統合装置1510で用いるプログラムを流通させる場合には、例えば、そのプログラムが記録されたDVD、CD−ROMなどの記録媒体1507または記録媒体1517が販売される。また、プログラムをサーバコンピュータの記憶装置に格納しておき、ネットワークを介して、サーバコンピュータから他のコンピュータにそのプログラムを転送することもできる。
【0133】
プログラムを実行するコンピュータは、例えば、記録媒体1507または記録媒体1517に記録されたプログラムもしくはサーバコンピュータから転送されたプログラムを、自己の記憶部1502または記憶部1512に格納する。そして、コンピュータは、自己の記憶部1502または記憶部1512からプログラムを読み取り、プログラムに従った処理を実行する。なお、コンピュータは、記録媒体1507または記録媒体1517から直接プログラムを読み取り、そのプログラムに従った処理を実行することもできる。また、コンピュータは、サーバコンピュータからプログラムが転送されるごとに、逐次、受け取ったプログラムに従った処理を実行することもできる。
【0134】
図16のセンサ装置1500について説明する。
センサ装置1500の処理部1501は、分配部34、増減算出部35を有している。分配部34と増減算出部35は、実施形態1の分配部34と増減算出部35と同じである。ただし、処理部1501は増減算出部35を用いて求めたセンサ装置1500ごとの増減情報と増減総和情報を、通信インタフェース1505を介して統合装置1510に送信する。また、統合装置1510を用いて設定した経路情報、分岐点情報を、通信インタフェース1505を介して統合装置1510から受信する。
【0135】
図16の統合装置1510について説明する。
統合装置1510の処理部1511は、経路設定部31、分岐点設定部32、予想設定部33、更新部36を有している。経路設定部31と分岐点設定部32と予想設定部33は、実施形態1の経路設定部31と分岐点設定部32と予想設定部33と同じである。更新部36は、センサ装置1500各々の増減情報と増減総和情報を、通信インタフェース1515を介して受信する。また、経路情報、分岐点情報を、通信インタフェース1515を介してセンサ装置1500に送信する。
【0136】
実施形態2によれば、全経路の目標物の数を、分岐点に係る経路ごとに監視できるため、センサの数を抑えて監視対象範囲の目標物の数を効率よく管理するができる。
【0137】
また、センサとしてドップラレーダなどを用いた場合でも、分岐点に係る経路ごとに監視できるため、経路上にない林の揺らぎ、川の流れ、エアコンの室外機などの影響による目標物の誤検出を抑止することができる。また、高度の高い位置から撮影した画像を用いて目標物を検出する場合には、経路上にない瓦礫や岩などによる目標物の誤検出を抑止することができる。
【0138】
また、本発明は、上記実施の形態に限定されるものでなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々の改良、変更が可能である。なお、各実施形態は処理に矛盾の無い限りにおいて、互いに組み合わせても構わない。
【0139】
以上実施形態1、2を含む実施形態に関し、更に以下の付記を開示する。
(付記1)
監視対象範囲を監視する1つ以上のセンサにより目標物を管理する目標物管理装置であって、
記憶部に記憶されている監視対象範囲に対応する地図情報の2つ以上の座標により表される複数の経路と、前記経路が接続する点を表す分岐点とを関連付け、前記センサ各々が走査するごとに探知した1つ以上の目標物の座標を、複数の経路のいずれかに関連付ける分配部と、
1回目の走査時に探知した前記分岐点に関連付けられている前記経路各々の前記目標物の数と、2回目の走査時に探知した前記経路各々の前記目標物の数とを用いて、前記経路各々の目標物の数の増減値を算出し、前記経路各々の前記目標物の数の増減値から前記分岐点ごとに、前記経路各々に関連付けられている前記目標物の数の増加数または減少数を求める増減算出部と、
前記増加数または前記減少数を、前回更新部で求めた経路の目標物の数に加えて今回の該経路の目標物の数とする更新部と、
を備えることを特徴とする目標物管理装置。
(付記2)
前記増減算出部は、
前記分岐点に接している前記経路の前記目標物の数の増加合計値と減少合計値を求め、分岐点に接している経路すべての前記増加合計値と前記減少合計値の少ない方の合計値を経路間の増減数として確定し、確定した経路間の増減数を、経路各々の増加数、減少数に応じて配分することで、前記経路各々の前記目標物の数の前記増加数または前記減少数を求めることを特徴とする付記1に記載の目標物管理装置。
(付記3)
前記更新部は、
前記監視対象範囲に進入すると想定される目標物の数と、前記更新部で求めた前記今回の経路各々の目標物の数の総和とを比較し、前記総和が前記監視対象範囲に進入すると想定される目標物の数を越えているとき、出力部にアラームを出力する、
ことを特徴とする付記1または2に記載の目標物管理装置。
(付記4)
前記増減算出部は、
前記目標物と2つの経路との距離が同じ場合、前記経路各々の方向と前記目標物の移動方向とを比較し、前記方向が近い経路を選択することを特徴とする付記1または2に記載の目標物管理装置。
(付記5)
監視対象範囲を監視する1つ以上のセンサにより目標物を管理する目標物管理方法であって、
記憶部に記憶されている監視対象範囲に対応する地図情報の2つ以上の座標により表される複数の経路と、前記経路が接続する点を表す分岐点とを関連付け、前記センサ各々が走査するごとに探知した1つ以上の目標物の座標を、複数の経路のいずれかに関連付け、
1回目の走査時に探知した前記分岐点に関連付けられている前記経路各々の前記目標物の数と、2回目の走査時に探知した前記経路各々の前記目標物の数とを用いて、前記経路各々の目標物の数の増減値を算出し、
前記経路各々の前記目標物の数の増減値から前記分岐点ごとに、前記経路各々に関連付けられている前記目標物の数の増加数または減少数を求め、
前記増加数または前記減少数を、前回更新部で求めた経路の目標物の数に加えて今回の該経路の目標物の数とする、
処理をコンピュータが実行することを特徴とする目標物管理方法。
(付記6)
前記分岐点に接している前記経路各々の前記目標物の数の増加合計値と減少合計値を求め、
分岐点に接している経路すべての前記増加合計値と前記減少合計値の少ない方の合計値を経路間の増減数として確定し、
確定した経路間の増減数を、経路の増加数、減少数に応じて配分することで、前記経路各々の前記目標物の数の前記増加数または前記減少数を求める、
処理を前記コンピュータが実行することを特徴とする付記5に記載の目標物管理方法。
(付記7)
前記監視対象範囲に進入すると想定される目標物の数と、前記更新部で求めた前記今回の経路各々の目標物の数の総和とを比較し、前記総和が前記監視対象範囲に進入すると想定される目標物の数を越えているとき、出力部にアラームを出力する、
処理を前記コンピュータが実行することを特徴とする付記4または5に記載の目標物管理方法。
(付記8)
前記目標物と2つの経路との距離が同じ場合、前記経路各々の方向と前記目標物の移動方向とを比較し、前記方向が近い経路を選択する、
処理を前記コンピュータが実行することを特徴とする付記4または5に記載の目標物管理方法。
(付記9)
監視対象範囲を監視する1つ以上の前記センサ装置は、
記憶部に記憶されている監視対象範囲に対応する地図情報の2つ以上の座標により表される複数の経路と、前記経路が接続する点を表す分岐点とを関連付け、前記センサ各々が走査するごとに探知した1つ以上の目標物の座標を、複数の経路のいずれかに関連付ける分配部と、
1回目の走査時に探知した前記分岐点に関連付けられている前記経路各々の前記目標物の数と、2回目の走査時に探知した前記経路各々の前記目標物の数とを用いて、前記経路各々の目標物の数の増減値を算出し、前記経路各々の前記目標物の数の増減値から前記分岐点ごとに、前記経路各々に関連付けられている前記目標物の数の増加数または減少数を求める増減算出部と、
を備え、
統合装置は、
前記増加数または前記減少数を、前回更新部で求めた経路の目標物の数に加えて今回の該経路の目標物の数を求める更新部を備え、
を備えることを特徴とする目標物管理システム。
(付記10)
前記増減算出部は、
前記分岐点に接している前記経路の前記目標物の数の増加合計値と減少合計値を求め、分岐点に接している経路すべての前記増加合計値と前記減少合計値の少ない方の合計値を経路間の増減数として確定し、確定した経路間の増減数を、経路各々の増加数、減少数に応じて配分することで、前記経路各々の前記目標物の数の前記増加数または前記減少数を求めることを特徴とする付記9に記載の目標物管理システム。
(付記11)
前記更新部は、
前記監視対象範囲に進入すると想定される目標物の数と、前記更新部で求めた前記今回の経路各々の目標物の数の総和とを比較し、前記総和が前記監視対象範囲に進入すると想定される目標物の数を越えているとき、出力部にアラームを出力する、
ことを特徴とする付記9または10に記載の目標物管理システム。
(付記12)
前記増減算出部は、
前記目標物と2つの経路との距離が同じ場合、前記経路各々の方向と前記目標物の移動方向とを比較し、前記方向が近い経路を選択することを特徴とする付記9または10に記載の目標物管理システム。
【符号の説明】
【0140】
1 目標物管理装置
2 センサ部
3 受信部
4 通信インタフェース
5 処理部
6 記憶部
7 入出力インタフェース
8 入出力装置
9 記録媒体読取装置
10 記録媒体
11 バス
A センサ
B センサ
31 経路設定部
32 分岐点設定部
33 予想設定部
34 分配部
35 増減算出部
36 更新部
200 監視対象範囲
601 経路情報
602 分岐点情報
701 センサ情報
702 探知情報
901、902、903、904 分配情報
1101、1102増減情報
1103 増減総和情報
1401 更新情報
1500 センサ装置
1501 処理部
1502 記憶部
1503 記録媒体読取装置
1504 入出力インタフェース
1505 通信インタフェース
1506 バス
1507 記録媒体
1508 入出力装置
1509 センサ部
1510 統合装置
1511 処理部
1512 記憶部
1513 記録媒体読取装置
1514 入出力インタフェース
1515 通信インタフェース
1516 バス
1517 記録媒体
1518 入出力装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
監視対象範囲を監視する1つ以上のセンサにより目標物を管理する目標物管理装置であって、
記憶部に記憶されている監視対象範囲に対応する地図情報の2つ以上の座標により表される複数の経路と、前記経路が接続する点を表す分岐点とを関連付け、前記センサ各々が走査するごとに探知した1つ以上の目標物の座標を、複数の経路のいずれかに関連付ける分配部と、
1回目の走査時に探知した前記分岐点に関連付けられている前記経路各々の前記目標物の数と、2回目の走査時に探知した前記経路各々の前記目標物の数とを用いて、前記経路各々の目標物の数の増減値を算出し、前記経路各々の前記目標物の数の増減値から前記分岐点ごとに、前記経路各々に関連付けられている前記目標物の数の増加数または減少数を求める増減算出部と、
前記増加数または前記減少数を、前回更新部で求めた経路の目標物の数に加えて今回の該経路の目標物の数とする更新部と、
を備えることを特徴とする目標物管理装置。
【請求項2】
前記増減算出部は、
前記分岐点に接している前記経路の前記目標物の数の増加合計値と減少合計値を求め、分岐点に接している経路すべての前記増加合計値と前記減少合計値の少ない方の合計値を経路間の増減数として確定し、確定した経路間の増減数を、経路各々の増加数、減少数に応じて配分することで、前記経路各々の前記目標物の数の前記増加数または前記減少数を求めることを特徴とする請求項1に記載の目標物管理装置。
【請求項3】
前記更新部は、
前記監視対象範囲に進入すると想定される目標物の数と、前記更新部で求めた前記今回の経路各々の目標物の数の総和とを比較し、前記総和が前記監視対象範囲に進入すると想定される目標物の数を越えているとき、出力部にアラームを出力する、
ことを特徴とする請求項1または2に記載の目標物管理装置。
【請求項4】
前記分配部は、
前記目標物と2つの経路との距離が同じ場合、前記経路各々の方向と前記目標物の移動方向とを比較し、前記方向が近い経路を選択することを特徴とする請求項1または2に記載の目標物管理装置。
【請求項5】
監視対象範囲を監視する1つ以上のセンサにより目標物を管理する目標物管理方法であって、
記憶部に記憶されている監視対象範囲に対応する地図情報の2つ以上の座標により表される複数の経路と、前記経路が接続する点を表す分岐点とを関連付け、前記センサ各々が走査するごとに探知した1つ以上の目標物の座標を、複数の経路のいずれかに関連付け、
1回目の走査時に探知した前記分岐点に関連付けられている前記経路各々の前記目標物の数と、2回目の走査時に探知した前記経路各々の前記目標物の数とを用いて、前記経路各々の目標物の数の増減値を算出し、
前記経路各々の前記目標物の数の増減値から前記分岐点ごとに、前記経路各々に関連付けられている前記目標物の数の増加数または減少数を求め、
前記増加数または前記減少数を、前回更新部で求めた経路の目標物の数に加えて今回の該経路の目標物の数とする、
処理をコンピュータが実行することを特徴とする目標物管理方法。
【請求項6】
前記分岐点に接している前記経路の前記目標物の数の増加合計値と減少合計値を求め、
分岐点に接している経路すべての前記増加合計値と前記減少合計値の少ない方の合計値を経路間の増減数として確定し、
確定した経路間の増減数を、経路各々の増加数、減少数に応じて配分することで、前記経路各々の前記目標物の数の前記増加数または前記減少数を求める、
処理を前記コンピュータが実行することを特徴とする請求項5に記載の目標物管理方法。
【請求項7】
前記監視対象範囲に進入すると想定される目標物の数と、前記更新部で求めた前記今回の経路各々の目標物の数の総和とを比較し、前記総和が前記監視対象範囲に進入すると想定される目標物の数を越えているとき、出力部にアラームを出力する、
処理を前記コンピュータが実行することを特徴とする請求項5または6に記載の目標物管理方法。
【請求項8】
前記目標物と2つの経路との距離が同じ場合、前記経路各々の方向と前記目標物の移動方向とを比較し、前記方向が近い経路を選択する、
処理を前記コンピュータが実行することを特徴とする請求項5または6に記載の目標物管理方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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