説明

目標追尾装置

【課題】予め設けられた目標の運動に即した運動モデルの複数の追尾フィルタを並列に処理する多重運動モデル方式において、状況に応じて使用する追尾フィルタ数を変化させて高精度追尾を可能にする。
【解決手段】追尾フィルタから得られる目標の運動の状況を表す値に基づいて、当該値に対応する追尾フィルタを切り離すか、組み込むかを判断し、判断結果に基づいた制御信号を生成するファイル選択制御手段と、生成された制御信号に基づいて、対応する追尾フィルタの切り離しまたは組み込みを行うスイッチ手段とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、センサ等からの目標の位置情報に関する観測データに基づいて目標の位置や速度などの目標運動諸元を推定する目標追尾装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
航空機の旋回、ロケットのエンジン噴射や停止など、状況に応じて運動が変化するような目標を追尾する場合、その運動に即したモデルの追尾フィルタを用いることで、目標の動きを正しく予測でき、その結果、目標の真の位置、速度を高精度に推定できる。このような目標の運動には複数のパターンが存在する。そのため、それぞれの運動に即した運動モデルを与える追尾フィルタが用意される。そして、各運動モデルで表した運動が実際の目標の運動と一致している適合度(以下、モデル信頼度と呼ぶ)で、各追尾フィルタの出力である平滑値、平滑誤差共分散行列などを重み付け平均しながら、複数の追尾フィルタを並行に使用する多重運動モデル方式が提案されている(例えば特許文献1参照)。この方式では、目標が急に運動を変化させた場合、変化後の運動モデルの追尾フィルタのモデル信頼度が高くなり、その追尾フィルタの結果が主に使用され、追尾継続が可能となる。
【0003】
多重運動モデル方式の例として、複数の追尾フィルタを独立に使用し、各追尾フィルタで追尾した結果である平滑値をモデル信頼度で重み付け平均し、表示装置に出力する簡易的な方式や、IMM(Interactive Multiple Model)と呼ばれる方式などがある(例えば非特許文献1参照)。IMMでは、簡易的な方式に対し、さらに、各運動モデルで表した運動が実際の目標の運動と一致している適合度を用いて、各追尾フィルタによる航跡を混合し、それを各追尾フィルタでの予測処理に用いる。
【0004】
【特許文献1】特開2002−328162号公報
【非特許文献1】Samuel Blackman, Robert Popoli ‘Modern Tracking Systems’ published by Artech House, 1999, P221―232
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来の目標追尾装置は、以上のように目標が急に運動を変化させた場合でも追尾継続が可能にするものであるが、次のような問題がある。
従来の目標追尾装置では、予め目標の運動を想定し、それらの運動に即した各運動モデルの追尾フィルタを目標追尾装置に組み込み、常に固定された数の追尾フィルタを並行に使用している。この場合、センサ等からの目標位置観測情報の誤差が小さい場合は、目標の運動に即したモデルの追尾フィルタによる目標予測位置と目標位置観測情報とのマハラノビス距離が近くなり、その結果、目標の運動に即したモデルの追尾フィルタのモデル信頼度が高くなる。しかし、目標位置観測情報の誤差が大きい場合、目標の運動に即したモデルの追尾フィルタによる目標予測位置と目標位置観測情報とのマハラノビス距離が遠くなり、その結果、目標の運動に即したモデルの追尾フィルタのモデル信頼度が低くなる一方、実際の目標の運動にそぐわない運動モデルの追尾フィルタによる目標予測位置と目標位置観測情報とのマハラノビス距離が近い場合は、この追尾フィルタのモデル信頼度が一時的に高くなる可能性がある。その結果、目標の動きを正しく予測できなくなり、目標の位置、速度に対する推定精度に劣化が生じることがある。
また、実際の目標の運動と一致するかどうかに関わらず、固定された複数の追尾フィルタの全てを常に並行に使用するため、計算機に無駄な演算負荷がかかっていた。
【0006】
この発明は、上記問題点を解決するためになされたもので、予め設けられた目標の運動に即した運動モデルの複数の追尾フィルタを並列に処理する多重運動モデル方式において、状況に応じて使用する追尾フィルタ数を変化させて高精度追尾を可能にする目標追尾装置を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明に係る目標追尾装置は、目標観測装置のセンサで観測した目標の位置に関する目標位置観測情報から、予め想定した目標の運動に即した運動モデルを持つ複数の追尾フィルタを用いて目標の運動状況を表す平滑値、平滑誤差共分散行列をそれぞれ算出し、算出された平滑値、平滑誤差共分散および目標位置観測情報に基づいて、モデル信頼度算出手段により目標に対する追尾フィルタごとのモデル尤度を算出して各モデル尤度を正規化したモデル信頼度を算出し、追尾フィルタで算出された平滑値、平滑誤差共分散を、重み付け処理手段によりモデル尤度で重み付け平均して表示のための航跡を作成する目標追尾装置において、追尾フィルタから得られる目標の運動の状況を表す値に基づいて、当該値に対応する追尾フィルタを切り離すか、組み込むかを判断し、判断結果に基づいた制御信号を生成するファイル選択制御手段と、生成された制御信号に基づいて、対応する追尾フィルタの切り離しまたは組み込みを行うスイッチ手段とを備えたものである。
【発明の効果】
【0008】
この発明によれば、常に固定数の追尾フィルタを並行に使用するのではなく、目標の運動の状況に応じて使用する追尾フィルタ数を変化させることができる。
また、用いる追尾フィルタ数は変化するものの、目標の運動として可能性が高い追尾フィルタを中心に複数の追尾フィルタを並行に使用する方式を採用しているため、目標が急に運動を変化させた場合でも追尾継続が可能である。さらに、実際の目標の運動に全くそぐわない運動モデルの追尾フィルタを使用しないため、目標位置観測情報の誤差が大きい場合でも、実際の目標の運動にそぐわない運動モデルの追尾フィルタが原因で、一時的に目標の位置、速度の推定精度が劣化するようなことはなくなる。つまり、従来の目標追尾装置に比べて高精度な追尾が可能である。さらにまた、実際の目標の運動に全くそぐわない運動モデルの追尾フィルタを同時には使用していないため、従来の目標追尾装置に比べ演算負荷を軽くすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
実施の形態1.
図1はこの発明の実施の形態1乃至実施の形態3に共通な目標追尾装置の機能構成を示すブロック図である。この実施の形態1を含み各実施の形態では、便宜上、追尾フィルタ数を最大3つとした場合のIMMの例で説明するが、この発明は、追尾フィルタ数に制限はなく、また、複数の追尾フィルタを使用する多重運動モデル方式全般に適用可能なものである。
図1において、目標追尾装置100に対して目標観測装置200と表示装置300が接続されている。目標観測装置200は、センサで観測した目標の位置に関する目標位置観測情報を生成して出力する手段である。表示装置300は、目標追尾装置100で得られる目標の追尾結果である航跡を画面上に表示する手段である。
目標追尾装置100は、追尾フィルタ110,120,130、スイッチ手段141,142,143、モデル信頼度算出部170、フィルタ選択部180および重み付け部190を備えている。
【0010】
追尾フィルタ110,120,130は、それぞれ多重運動モデル方式に使われているフィルタであり、予め想定した目標の運動に即した運動モデルの追尾フィルタである。目標が、例えば民間航空機の場合、目標の運動として、直進、左旋回、右旋回の3種類を想定すると、追尾フィルタ110は直進の運動を表し、追尾フィルタ120は左旋回の運動を表し、追尾フィルタ130は右旋回の運動を表すものとなる。追尾フィルタ110,120,130は、いずれも同様な機能構成を持っているので、以下、追尾フィルタ110を主体にして説明する。
【0011】
追尾フィルタ110は、遅延処理部111、混合処理部113、航跡予測部114、航跡更新処理115およびスイッチ手段116,117から構成されている。
航跡更新部115は、目標観測装置200から入力される目標位置観測情報と航跡予測部114から与えられる予測値、予測誤差共分散行列に基づいて目標の運動状況を表す平滑値、平滑誤差共分散行列を算出する手段である。遅延処理部111は、航跡更新部141で算出された平滑値、平滑誤差共分散を、前回航跡が更新された時間から今回航跡を更新する時間まで遅延させる手段である。混合処理部113は、遅延処理部111の遅延処理で遅延させた時間で、目標の運動が別の運動に遷移する確率を考慮して、後述するモデル信頼度算出処理部170で算出されたモデル信頼度から事前モデル信頼度を算出すると共に、後述する航跡更新部115,125,135で算出された平滑値、平滑誤差共分散行列を事前モデル信頼度で重み付け平均して混合値、混合誤差共分散行列を算出する手段である。航跡予測部114は、混合処理部113で算出した追尾フィルタ110の混合値、混合誤差共分散行列に基づいて、予測値、予測誤差共分散行列を算出する手段である。スイッチ手段116,117は、後述のフィルタ選択制御部180からの制御信号により開または閉に制御される手段で、スイッチ手段116は、閉のときに遅延処理部111から平滑値、平滑誤差共分散行列を混合処理部113,123,133に与える。一方、スイッチ手段117は、閉のときに目標観測装置200からの目標位置観測情報を航跡更新部115に与える。
【0012】
モデル信頼度算出処理部170は、目標位置観測情報、追尾フィルタ110,120,130で得られた目標の運動状況を表す平滑値、平滑誤差共分散に基づいて、各追尾フィルタごとのモデル尤度を算出し、各モデル尤度を正規化してモデル信頼度を算出する手段である。フィルタ選択制御部180は、3つの追尾フィルタ110,120,130について、モデル信頼度算出処理部170で算出された各モデル信頼度に基づいてこの目標追尾装置100対して切り離すか、組み込むかを判断し、その判断結果に基づいた制御信号を生成する手段である。スイッチ手段141は、フィルタ選択制御部180からの制御信号により開または閉に制御され、閉のときに追尾フィルタ110から目標位置観測情報、予測値、予測誤差共分散ならびに事前モデル信頼度をモデル信頼度算出処理部170に与える手段である。重み付け処理部190は、各追尾フィルタで算出した平滑値、平滑誤差共分散をモデル信頼度で重み付け平均して、表示のための航跡を作成する手段である。
ここで、上記図1の構成において、フィルタ選択制御部180、スイッチ手段116,126,136,117,127,137,141〜143を除いた各部は従来から用いられている手段である。
【0013】
次に、主に追尾フィルタ110を中心として動作を説明する。
目標追尾装置100において、まず電源が投入されると、フィルタ選択制御部180からの制御信号により、各追尾フィルタの中のスイッチ手段116,126,136,117,127,137、外側のスイッチ手段141〜143は閉じられる。これにより、設けられている追尾フィルタ110,120,130の全てが追尾動作行うように目標追尾装置100に組み込まれた状態におかれる。目標観測装置200において、センサが目標を観測すると、その目標の位置に関する目標位置観測情報を取得し、目標追尾装置100の追尾フィルタ110,120,130に出力する。追尾フィルタ110,120,130において、入力された目標位置観測情報はスイッチ手段117,127,137を介して航跡更新部115,125,135に与えられる。追尾フィルタ110について見た場合、航跡更新部115では、入力された目標位置観測情報と、航跡予測部114から与えられる予測値、予測誤差共分散行列に基づいて目標の運動状況を表す平滑値、平滑誤差共分散行列を算出し、モデル信頼度算出処理部170へ出力する。モデル信頼度算出処理部170には他追尾フィルタ120,130からもそれぞれによる目標の運動状況を表す情報が入力されている。モデル信頼度算出処理部170では、上述の目標位置観測情報、予測値、予測誤差共分散に基づいて、各運動モデルで表した運動が実際の目標の運動と一致している度合いを表すモデル尤度を追尾フィルタごとに算出し、各モデル尤度を正規化したモデル信頼度を算出する。モデル尤度は、予測値と目標位置観測情報とのマハラノビス距離が近いほど高くなり、その結果、モデル信頼度が高くなる。
【0014】
モデル信頼度算出処理部170で算出された追尾フィルタごとのモデル信頼度はフィルタ選択制御部180に与えられる。フィルタ選択制御部180では、各モデル信頼度を閾値と比較することにより、3つの追尾フィルタ110,120,130のうちで、モデル信頼度が閾値より低い値を持つ追尾フィルタを切り離す判定を行う。そして、判定結果に応じて生成した制御信号に基づいて、スイッチ手段116,126,136,117,127,137,141〜143のうちで対応するものを開に切り替える。ここでは、例えば追尾フィルタ110以外のフィルタが切り離されるものとすると、スイッチ手段126,136,127,137,142,143が開かれることになる。今、追尾フィルタ110は組み込まれた状態にあるので、重み付け処理部190では、航跡更新部141で算出された平滑値、平滑誤差共分散を、モデル信頼度算出処理部170で算出された追尾フィルタ110のモデル尤度で重み付け平均して表示のための航跡を作成し、表示装置300に出力する。
【0015】
また、追尾フィルタ110,120,130のそれぞれにおいて、各スイッチ手段が閉じられている状態において、それらの追尾フィルタ内では次のような処理が行われる。例えば追尾フィルタ110で見ると、航跡更新部141で算出された平滑値、平滑誤差共分散が遅延処理部111に与えられる。遅延処理部111では、今回の平滑値、平滑誤差共分散を、今回航跡が更新された時間から次回航跡を更新する時間まで遅延する。遅延された今回の平滑値、平滑誤差共分散はスイッチ手段116を介して混合処理部113に与えられる。混合処理部113には、スイッチ手段126,136が閉じられている場合には追尾フィルタ120,130の遅延処理部121,131からも対応する平滑値、平滑誤差共分散行列が与えられる。混合処理部113では、遅延処理部111で得られる遅延時間に基づいて、目標の運動が別の運動に遷移する確率を考慮して、追尾フィルタ110としてモデル信頼度算出処理部170で算出されたモデル信頼度から事前モデル信頼度を算出する。また、混合処理部113では、航跡更新部115,125,135で算出された平滑値、平滑誤差共分散行列を事前モデル信頼度で重み付け平均して混合値、混合誤差共分散行列を算出する。次に、航跡予測部114では、混合処理部112で算出された混合値、混合誤差共分散行列に基づいて、予測値、予測誤差共分散行列を算出し、次回の航跡更新時に航跡更新部115で平滑値、平滑誤差共分散行列を算出するために用いる値とする。
【0016】
モデル信頼度算出部170で算出された各追尾フィルタのモデル信頼度のうちで、今度は、例えば追尾フィルタ120に関する値だけが高かったとした場合には、フィルタ選択制御部180は追尾フィルタ120に関連するスイッチ手段126,127,142を閉状態にして追尾フィルタ120を組み込み、残りの追尾フィルタ110,130に関連するスイッチを開に切り替えて追尾フィルタ110,130を切り離すことになる。この場合、重み付け処理部190では、航跡更新部125で算出された平滑値、平滑誤差共分散を、モデル信頼度算出処理部170で算出された追尾フィルタ120のモデル尤度で重み付け平均して表示のための航跡を作成することになる。すなわち、目標の運動として可能性が生じた場合は、スイッチ手段を閉じて、今まで使用していなかった追尾フィルタを目標追尾装置に組み込んで使用できるようにする。
なお、上記例では、1度に観測されれる目標の運動を1種類とした場合における追尾フィルタの組み込みについて説明してきたが、実際には目標の運動は複数種類複合する場合も存在する。そのような場合には、対応する数の追尾フィルタ(例えば110,120)を組み込み、それ以外の関係しない追尾フィルタ(例えば130)は切り離すように動作することになる。
【0017】
以上のようにこの実施の形態1によれば、多重運動モデル方式において、フィルタ選択制御部180によって、モデル信頼度算出部170で算出されるモデル信頼度に基づいてスイッチ手段を制御して、観測された目標の運動と関係がないと推定して追尾フィルタについては、目標追尾装置100から切り離し使用しないようにし、また、目標の運動と関係があると推定されるようになった場合には、今まで切り離しておいた対応する追尾フィルタを目標追尾装置に組み込んで使用するように制御している。したがって、固定された数の追尾フィルタを常に並行に使用するのではなく、目標の運動の状況に応じて、用いる追尾フィルタ数を変化させることができる。また、用いる追尾フィルタ数は変化するものの、目標の運動として可能性が高い追尾フィルタを中心に複数の追尾フィルタを並行に使用する方式を採用しているため、目標が急に運動を変化させた場合でも追尾継続が可能である。さらに、実際の目標の運動に全くそぐわない運動モデルの追尾フィルタを使用しないため、目標位置観測情報の誤差が大きい場合でも、実際の目標の運動にそぐわない運動モデルの追尾フィルタが原因で、一時的に目標の位置、速度の推定精度が劣化するようなことはなくなる。つまり、従来の目標追尾装置に比べて高精度な追尾が可能である。さらにまた、同時に実際の目標の運動に全くそぐわない運動モデルの追尾フィルタは使用していないため、従来の目標追尾装置に比べ演算負荷を軽くすることができる。
【0018】
実施の形態2.
この実施の形態2は図1と同様の構成を持っているが、この実施の形態2の場合のフィルタ選択制御部180が、モデル信頼度算出部170から得られるモデル尤度に基づいてフィルタ選択の判断を行うことを特徴としている。実施の形態1で説明したように、モデル信頼度算出部170では、各追尾フィルタごとのモデル尤度を算出して、各モデル尤度を正規化してモデル信頼度を算出している。したがって、フィルタ選択の判断にモデル信頼度の代わりに、目標の運動の状況を表すモデル尤度を用いてもよい。例えば、ある追尾フィルタのモデル尤度が予め設定した閾値を恒常的に下回る場合、当該追尾フィルタを目標追尾装置から切り離す。また、すべての追尾フィルタのモデル尤度が低い場合、新たな追尾フィルタを目標追尾装置に組み込むようにする。
以上のように、この実施の形態2によれば、モデル尤度に応じて、フィルタ選択処理を行うようにしたので、より正しく追尾フィルタの要否を判断することができる。
【0019】
実施の形態3.
実施の形態3は図1と同様の構成を持っているが、この実施の形態3の場合のフィルタ選択制御部180は、追尾フィルタによる目標の運動の状況を表す、各追尾フィルタの平滑値または表示用に重み付け平均した航跡に基づいてフィルタ選択の判断を行うことを特徴としている。各追尾フィルタは目標の運動の状況を表す平滑値を算出し出力している。したがって、フィルタ選択の判断に、各追尾フィルタからの平滑値を用いてもよい。また、重み付け処理部190では、航跡更新部125で算出された平滑値、平滑誤差共分散を、モデル信頼度算出処理部170で算出された追尾フィルタ120のモデル尤度で重み付けて表示のための航跡を作成しているが、この重み付け平均した航跡も目標の運動の状況を表している。したがって、フィルタ選択制御部180におけるフィルタ選択の判断に、重み付け平均した航跡を用いてもよい。例えば、平滑値または航跡の速度ベクトルの方向や大きさが大きく変化した場合、目標の運動が変化したことが予測される。また、加速度を推定している追尾フィルタを有している場合、加速度が大きく変化した場合も、目標の運動が変化したことが予測される。そこで、フィルタ選択制御部180では、平滑値または航跡の結果から、フィルタ選択の判断を行うことで、対応する追尾フィルタの組み込みを行うことができる。
以上のように、この実施の形態3によれば、フィルタ選択制御部180が追尾フィルタの平滑値または表示用に重み付け平均した航跡に応じて、フィルタ選択処理を行うようにしたので、より正しく追尾フィルタの要否を判断することができる。
【0020】
実施の形態4.
図2はこの発明の実施の形態4による目標追尾装置の機能構成を示すブロック図である。図において、上記図1と同一もしくは相当部分には同一符号を付し、原則としてその説明は省略する。この実施の形態4では、図1の構成に対して、外部情報源400を新たに設け、フィルタ選択制御部180に代わって、異なる動作をするフィルタ選択制御部181を備えている。
外部情報源400は、目標観測装置200以外に設けられ、同じ目標の航跡、モデル尤度またはモデル信頼度等の目標の運動の推定に活用可能な外部情報を出力する手段である。この場合の外部情報は、例えば別のセンサで算出した情報や想定された航路情報などである。フィルタ選択制御部181は、上記各実施の形態で説明した目標の運動の状況を表す値に加えて、外部情報も含めて総合的に追尾フィルタの切り離し、組み込みの判断を行う手段である。
【0021】
動作について説明すると、フィルタ選択制御部181において、実施の形態1の場合と同様に、モデル信頼度算出部170で算出された各モデル信頼度に基づいて追尾フィルタを切り離したり、組み込んだりするための判定を行うが、その際、外部情報源400から与えられる同じ目標の航跡、モデル尤度またはモデル信頼度などの外部情報を含めて総合的に判断し、その判断結果に対応する制御信号を生成しスイッチ手段を切り替える。同種異種に関わらず目標観測装置200とは異なる別のセンサが存在する場合、その別のセンサによる航跡、モデル尤度、モデル信頼度等をフィルタ選択基準に用いることができる。また、想定された航路が旋回している場合など、航路に合わせたフィルタ選択ができる。
以上のように、この実施の形態4によれば、実施の形態1のフィルタ選択制御部180の動作において、外部情報も勘案して、総合的にフィルタ選択処理を行うフィルタ選択制御部181を設けたことで、より正しく追尾フィルタの要否を判断することができる。
【0022】
実施の形態5.
上記各実施の形態において、目標の運動として可能性が生じた場合は、使用していない追尾フィルタを目標追尾装置に組み込んで使用できるようにすることについて説明した。そのような場合、新たに組み込まれた追尾フィルタにおいて目標位置観測情報を基に追尾を開始すると、その組み込まれた追尾フィルタにおいて算出される平滑値、平滑誤差共分散行列が安定するまでに航跡を複数回更新する必要がある。一般に、平滑値、平滑誤差共分散行列が安定するまでは、追尾精度が良くないという問題がある。そこで、この実施の形態5では、この問題に対処する構成を提案する。
【0023】
図3はこの発明の実施の形態5による目標追尾装置の機能構成を示すブロック図である。図において、上記図1と同一もしくは相当部分には同一符号を付し、原則としてその説明は省略する。この実施の形態5では、図1の構成に対して、初期値算出部160を新たに設けた構成となっている。
初期値算出部160は、追尾フィルタが新たに組み込まれた場合に、既に組み込まれて動作が安定している他追尾フィルタの平滑値、平滑誤差共分散行列、または重み付け処理部190で表示用に重み付けされた航跡の諸元に基づいて、新たに組み込まれた追尾フィルタの平滑値、平滑誤差共分散行列の初期値として算出する手段である。
【0024】
次に動作について説明する。
図3において、説明の便宜上、目標追尾装置100に追尾フィルタ110と追尾フィルタ120が既に組み込まれており、次に新たに追尾フィルタ130が組み込まれようとしている状態を表している。このような状態において、追尾フィルタ130が新たに組み込まれた場合、初期値算出部160では、モデル信頼度算出部170から得られる、既に組み込まれて動作が安定している他追尾フィルタ110,120の平滑値、平滑誤差共分散行列基づいて、新たに組み込まれた追尾フィルタ130の平滑値、平滑誤差共分散行列の初期値を生成し、追尾フィルタ130の航跡更新部135に与える。航跡更新部135では、この初期値を、追尾フィルタ130の組み込み時の平滑値、平滑誤差共分散行列とする。この平滑値、平滑誤差共分散行列と他の追尾フィルタの平滑値、平滑誤差共分散行列を用いて、混合処理部113で混合処理、航跡予測部114で予測処理を行う。そして、目標観測装置200において、センサが観測した目標位置観測情報を用いて、航跡更新部135で平滑処理を行う。このことにより、追尾フィルタ130の平滑値を早期に安定化させることができる。この場合の追尾フィルタ130の初期値としては、モデル信頼度が最も高い追尾フィルタの平滑値、平滑誤差共分散行列を用いるとよい。
【0025】
なお、この例では、初期値算出部160は、初期値を生成するために既に安定している他追尾フィルタ110,120の平滑値、平滑誤差共分散行列を用いたが、代わりに、重み付け処理部190で表示用に重み付けされた航跡の諸元を用いて初期値を算出するようにしてもよい。その場合、既に安定した他追尾フィルタの平滑値、平滑誤差共分散行列をモデル信頼度で重み付け平均した平滑値、平滑誤差共分散行列が初期値となる。
また、上記図3の例では、新たに組み込まれる追尾フィルタが1つ(追尾フィルタ130)に限った場合で説明したが、1つであっても他の追尾フィルタのいずれかが、状況に応じて新たに組み込まれる場合があり、あるいは複数の追尾フィルタ(例えば追尾フィルタ120,130)が新たに同時に組み込まれる場合もあるわけである。このような場合に対応するためには、初期値算出部を追尾フィルタごとに設けるか、1つの初期値算出部の入力、出力をフィルタ選択制御部180の制御信号で切り替えようにしておけばよい。
【0026】
以上のように、この実施の形態5によれば、目標追尾装置100に、それまで不使用状態にあった追尾フィルタを新たに組み込む場合に、初期値算出処理部160により、既に動作が安定している他追尾フィルタの平滑値と平滑誤差共分散行列、または表示用に重み付けされた航跡の諸元に基づいて算出した平滑値、平滑誤差共分散行列を初期値として用いて、新たに組み込まれた追尾フィルタが動作するようにしたので、当該新たに組み込む追尾フィルタを早期に安定化させることができ、その結果、高精度追尾が可能となる。
【0027】
実施の形態6.
上記実施の形態5における冒頭説明で述べたように、新たに追尾フィルタを組み込んだ場合には、その追尾フィルタが初期段階では安定していないため、追尾精度が悪くなるという問題がある。この実施の形態6では、この問題を実施の形態5と異なる方法で解決することを提案する。
図4はこの発明の実施の形態6乃至実施の形態8に共通な目標追尾装置の機能構成を示すブロック図である。図において、上記図1と同一もしくは相当部分には同一符号を付し、原則としてその説明は省略する。この実施の形態6では、図1の構成に対して、スイッチ手段116,126,136の代わりに、スイッチ手段118,128,138が設けられている。また、フィルタ選択制御部180の代わりに、フィルタ選択制御部182が設けられている。さらに、スイッチ手段117,127,137が廃止され、目標観測装置200の出力が各航跡更新部115,125,135に直接与えられるように構成されている。
フィルタ選択制御部182は、3つの追尾フィルタ110,120,130について、モデル信頼度算出処理部170で算出されたモデル信頼度に基づいてこの目標追尾装置100に対して切り離すか、組み込むかを判断すると共に、組み込むと判断した場合にはスイッチ手段を制御して、対応する追尾フィルタを、その動作が安定したタイミングで目標追尾装置100に組み込む手段である。
【0028】
次に動作について説明する。
フィルタ選択制御部182では、モデル信頼度算出処理部170で算出された各モデル信頼度に基づいてどの追尾フィルタを目標追尾装置100から切り離すのか、またはいずれかの追尾フィルタが目標追尾装置100に組み込まれていない場合に、その追尾フィルタを組み込むのかの判断を行う。この動作は、実施の形態1のフィルタ選択制御部180と同じであるが、この実施の形態6のフィルタ選択制御部182では、さらに次のような動作を行う。フィルタ選択制御部182は、例えば今まで組み込まれていた追尾フィルタ110を目標追尾装置100から切り離すと判断した場合には即トリガ(制御信号)を出し、スイッチ手段118をa側に閉じ、スイッチ手段141を開とする。これにより、追尾フィルタ110は、混合処理を行わなくなると共に、目標追尾装置100から切り離されたことにより平滑値、平滑誤差共分散行列、ならびに、予測値、予測誤差共分散行列をモデル信頼度算出部170以降に出力しなくなる。したがって、切り離された追尾フィルタ110は、単独で航跡更新の動作を行うことになり、その動作に応じた平滑値、平滑誤差共分散の生成を行い安定した状態となる。次に、フィルタ選択制御部182は、上記のように切り離されていた追尾フィルタ110を目標追尾装置100に組み込むと判断した場合には、当該追尾フィルタ110が安定したタイミングでトリガ(制御信号)を出し、スイッチ手段118をb側に閉じると共に、スイッチ手段141を閉じる。したがって、追尾フィルタ110が目標追尾装置100に組み込まれた時には、追尾フィルタ110からは安定した状態の平滑値、平滑誤差共分散がモデル信頼度算出部170以降に出力されことになる。なお、追尾フィルタ120,130の切り離し、組み込みの場合の動作も同様に行われる。
【0029】
以上のように、この実施の形態6によれば、目標追尾装置100から切り離された追尾フィルタが、切り離されているものの単独で航跡更新動作を行うようにし、その切り離された追尾フィルタを目標追尾装置100に組み込む場合には、その動作が安定したタイミングで組み込むように制御するようにしたので、その結果、高精度追尾が可能となる。
【0030】
実施の形態7.
この実施の形態7は図4と同様の構成を持っているが、この実施の形態7の場合のフィルタ選択制御部182は、フィルタ選択に関するタイミング制御処理において、切り離されていた追尾フィルタを組み込むタイミングの判断基準として、当該追尾フィルタの平滑誤差共分散行列を用いることを特徴としている。
例えば組み込まれていない追尾フィルタ110において、航跡更新部115で算出される平滑誤差共分散行列が小さいとした場合、追尾が安定しており高精度追尾されている可能性が高いと考えることができる。そのため、フィルタ選択制御部182では、その小さい平滑誤差共分散行列に基づいて当該追尾フィルタ110を目標追尾装置100に組み込むことを決定し、実施の形態6と同様な追尾フィルタを組み込むタイミングでスイッチ手段141の制御を行う。
以上のように、この実施の形態7によれば、組み込まれていない追尾フィルタの平滑誤差共分散行列に基づいて、その追尾フィルタの組み込みのタイミングを決定し制御を行うようにしたので、より正しく追尾フィルタの要否を判断することができる。
【0031】
実施の形態8.
この実施の形態8は、図4と同様の構成を持っているが、この実施の形態2の場合のフィルタ選択制御部182は、フィルタ選択に関するタイミング制御処理において、切り離されていた追尾フィルタを組み込むタイミングの判断基準として、当該追尾フィルタのモデル尤度を用いることを特徴としている。
例えば組み込まれていない追尾フィルタ110に関するモデル尤度が、予め設定した閾値を恒常的に上回る場合、または既に組み込まれている追尾フィルタのモデル尤度より高い場合、フィルタ選択制御部182は、当該追尾フィルタ110を目標追尾装置100に組み込むと判断し、実施の形態6と同様な追尾フィルタを組み込むタイミングでスイッチ手段141の制御を行う。ただし、この場合には、モデル信頼度算出部170とは別に、組み込まれていない追尾フィルタが単独で算出している予測値、予測誤差共分散行列からそのモデル尤度を算出する手段を設けておく必要がある。
以上のように、この実施の形態8によれば、モデル信頼度算出部170とは別に、組み込まれていない追尾フィルタが単独でモデル尤度を算出する手段において算出される、組み込まれていない追尾フィルタに関するモデル尤度に基づいて、その追尾フィルタの組み込みのタイミング制御を行うようにしたので、より正しく追尾フィルタの要否を判断することができる。
【0032】
実施の形態9.
図5はこの発明の実施の形態9による目標追尾装置の機能構成を示すブロック図である。図において、上記図1と同一もしくは相当部分には同一符号を付し、原則としてその説明は省略する。この実施の形態9では、図1の構成に対して、
モデル信頼度再算出部164を新たに設けている。
モデル信頼度再算出部164は、モデル信頼度算出部170が出力するモデル信頼度として、追尾フィルタの組み込み時に当該追尾フィルタに対する予め設定されたモデル信頼度を与えると共に、組み込み後において当該追尾フィルタに係る平滑値または表示用の航跡に基づいて目標の運動に対応する運動モデルを推定し、推定された運動モデルに対応する追尾フィルタのモデル信頼度を高めに算出してモデル信頼度算出部170に与える手段である。
【0033】
図5において、例えば追尾フィルタ110を組み込んだ場合、モデル信頼度再算出部164は予め設定されたパラメータ値を追尾フィルタ110のモデル信頼度としてモデル信頼度算出部170に与える。
また、組み込み後において、追尾フィルタ110が対象としている目標の動きについて、モデル信頼度算出部170は、フィルタ選択制御部180から得られる平滑値または重み付け処理部190で得られる表示用の航跡を入手する。次に、モデル信頼度算出部170は、入手したデータが表す目標の運動態様から可能性が高いと思われる運動モデルを推定し、推定された運動モデルに対応する追尾フィルタのモデル信頼度を高めに算出しモデル信頼度算出部170に与える。モデル信頼度算出部170では、この高めのモデル信頼度を後段に出力する。このことにより、目標が、例えばロケットなどのように高度で運動が切り替わることが想定されている場合、追尾フィルタのモデル信頼度を意図的に高めに与え、組み込んだ追尾フィルタの追尾に即応することが可能になる。
【0034】
以上のように、この実施の形態9によれば、モデル信頼度再算出部164を設けたことにより、モデル信頼度算出部170が出力するモデル信頼度として、追尾フィルタの組み込み時に当該追尾フィルタに対する予め設定されたモデル信頼度を与えると共に、組み込み後において当該追尾フィルタに係る平滑値または表示用の航跡に基づいて目標の運動に対応する運動モデルを推定し、推定された運動モデルに対応する追尾フィルタのモデル信頼度を高めに算出して与えるようにしたので、追尾フィルタを組み込んだ場合、追尾フィルタのモデル信頼度を適応的に再構成できるため、状況に応じた追尾を行うことができ、高精度追尾が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】この発明の実施の形態1乃至実施の形態3による目標追尾装置の機能構成を示すブロック図である。
【図2】この発明の実施の形態4による目標追尾装置の機能構成を示すブロック図である。
【図3】この発明の実施の形態5による目標追尾装置の機能構成を示すブロック図である。
【図4】この発明の実施の形態6乃至実施の形態8による目標追尾装置の機能構成を示すブロック図である。
【図5】この発明の実施の形態9による目標追尾装置の機能構成を示すブロック図である。
【符号の説明】
【0036】
100 目標追尾装置、110,120,130 追尾フィルタ、111,121,131 遅延処理部、113,123,133 混合処理部、114,124,134 航跡予測部、115,125,135 航跡更新部、116,117,118,126,127,128,136,137,138,141,142,143 スイッチ手段、160 初期値算出部、164 モデル信頼度再算出部、170 モデル信頼度算出部、180,181,182 フィルタ選択制御部、190 重み付け処理部、200 目標観測装置、300 表示装置、400 外部情報源。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
目標観測装置のセンサで観測した目標の位置に関する目標位置観測情報から、予め想定した目標の運動に即した運動モデルを持つ複数の追尾フィルタを用いて目標の運動状況を表す平滑値、平滑誤差共分散行列をそれぞれ算出し、算出された平滑値、平滑誤差共分散および目標位置観測情報に基づいて、モデル信頼度算出手段により目標に対する追尾フィルタごとのモデル尤度を算出して各モデル尤度を正規化したモデル信頼度を算出し、前記追尾フィルタで算出された平滑値、平滑誤差共分散を、重み付け処理手段によりモデル尤度で重み付け平均して表示のための航跡を作成する目標追尾装置において、
追尾フィルタから得られる目標の運動の状況を表す値に基づいて、当該値に対応する追尾フィルタを切り離すか、組み込むかを判断し、判断結果に基づいた制御信号を生成するファイル選択制御手段と、
生成された制御信号に基づいて、対応する追尾フィルタの切り離しまたは組み込みを行うスイッチ手段とを備えたことを特徴とする目標追尾装置。
【請求項2】
ファイル選択制御手段は、目標の運動の状況を表す値として、モデル信頼度算出手段で算出されるモデル信頼度またはモデル尤度を用いて、追尾フィルタの切り離し、組み込みの判断を行うことを特徴とする請求項1記載の目標追尾装置。
【請求項3】
ファイル選択制御手段は、目標の運動の状況を表す値として、追尾フィルタの平滑値または重み付け処理手段で作成した表示用に重み付けた航跡を用いて、追尾フィルタの切り離し、組み込みの判断を行うことを特徴とする請求項1記載の目標追尾装置。
【請求項4】
ファイル選択制御手段は、目標観測装置以外の外部情報源から同じ目標の航跡、モデル尤度またはモデル信頼度等の目標の運動の推定に活用可能な外部情報を入力し、目標の運動の状況を表す値に加えて、前記外部情報を含めて追尾フィルタの切り離し、組み込みの判断を行うことを特徴とする請求項1から請求項3のうちのいずれか1項記載の目標追尾装置。
【請求項5】
追尾フィルタが新たに組み込まれた場合に、既に組み込まれて動作が安定している他追尾フィルタの平滑値と平滑誤差共分散行列または重み付け処理部で表示用に重み付けされた航跡の諸元に基づいて、新たに組み込まれた追尾フィルタの平滑値、平滑誤差共分散行列の初期値を算出する初期値算出部を備え、
モデル信頼度算出手段は、当該算出された初期値に基づいて前記新たに組み込まれた追尾フィルタに対応するモデル信頼度を算出することを特徴とする請求項1から請求項4のうちのいずれか1項記載の目標追尾装置。
【請求項6】
追尾フィルタは、切り離された場合には単独で航跡更新の動作を行って平滑値、平滑誤差共分散行列を算出しており、
フィルタ選択制御手段は、前記切り離された追尾フィルタを組み込むと判断した場合にはスイッチ手段を制御して当該追尾フィルタを、その動作が安定したタイミングで組み込むことを特徴とする請求項1から請求項4のうちのいずれか1項記載の目標追尾装置。
【請求項7】
フィルタ選択制御手段は、切り離された追尾フィルタを組み込むタイミングを、当該切り離された追尾フィルタの平滑誤差共分散行列に基づいて決定することを特徴とする請求項6記載の目標追尾装置。
【請求項8】
フィルタ選択制御手段は、切り離された追尾フィルタを組み込むタイミングを、当該切り離された追尾フィルタの平滑値、平滑誤差共分散から算出したモデル尤度に基づいて決定することを特徴とする請求項6記載の目標追尾装置。
【請求項9】
モデル信頼度算出手段が出力するモデル信頼度として、追尾フィルタの組み込み時に当該追尾フィルタに対する予め設定されたモデル信頼度を与えると共に、組み込み後において当該追尾フィルタに係る平滑値または表示用の航跡に基づいて目標の運動に対応する運動モデルを推定し、推定された運動モデルに対応する当該追尾フィルタのモデル信頼度を高めに算出して与えるモデル信頼度再算出手段を備えたことを特徴とする請求項1から請求項8のうちのいずれか1項記載の目標追尾装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate