直動アクチュエータ
【課題】レールの長手方向に沿って上下の案内面間の距離が変動するのを緩和し、スライダの走行を滑らかにすることが可能な直動アクチュエータの構造を提供する。
【解決手段】直動アクチュエータ100はレール120とスライダ110と上ローラ114a、114bと下ローラ115a、115bとを備える。レール120は内側案内面121、122、123、124を有する。スライダ110はレール120に沿って移動することができる。レール120の本体はアルミニウムを主成分として含むアルミニウム含有材から形成されている。上ローラと下ローラの外周面は金属材から形成されている。レール120の内側案内面には、表面部がアルミニウム含有材よりも硬い材質から形成された板121a、122a、123a、124aが固着されている。板の外表面は上ローラと下ローラのそれぞれの外周面に向かって凸になるように曲面状に形成されている。
【解決手段】直動アクチュエータ100はレール120とスライダ110と上ローラ114a、114bと下ローラ115a、115bとを備える。レール120は内側案内面121、122、123、124を有する。スライダ110はレール120に沿って移動することができる。レール120の本体はアルミニウムを主成分として含むアルミニウム含有材から形成されている。上ローラと下ローラの外周面は金属材から形成されている。レール120の内側案内面には、表面部がアルミニウム含有材よりも硬い材質から形成された板121a、122a、123a、124aが固着されている。板の外表面は上ローラと下ローラのそれぞれの外周面に向かって凸になるように曲面状に形成されている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、直動アクチュエータに関し、特に、物流システム、ファクトリオートメーション、自動シャッタ等の各種産業機械に適用することが可能な直動アクチュエータに関するものである。
【背景技術】
【0002】
この種の従来の直動アクチュエータは、たとえば特開2005−42887号公報(特許文献1)に記載されている。従来の直動アクチュエータは、可動部材としてのスライダと、スライダが直線的に往復移動するための案内部材としてのレールと、スライダを往復移動させるための伝動手段としての歯付ベルトと、歯付ベルトを移動させるためのプーリと、プーリを回転させるためのギアモータとを備えている。スライダには上下ローラが取り付けられており、上下ローラがレールの内側に形成された上下の案内面に接触するように構成されている。
【0003】
このように構成された直動アクチュエータにおいて、スライダの上下の案内面を有するレールは、アルミニウム製の押し出し材から形成される。このため、押し出し材のねじれ等に起因して、レールの長手方向に沿って、上下の案内面間の距離、すなわち、スライダの上下の走行面間の距離が均一ではなく、変動するので、スライダの走行が滑らかに行われないという問題があった。
【0004】
また、上下ローラの外周面に軟質のゴム等の被覆層が固着されている場合がある。この場合、その被覆層が摩擦によって減耗しやすいので、レールの長手方向に沿って上下方向にガタが生じるという問題があった。
【0005】
さらに、プーリの直径が小さすぎると、プーリによる歯付ベルトの屈曲半径が小さくなるので、ベルトが破損する場合もあった。
【特許文献1】特開2005−42887号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
そこで、この発明の一つの目的は、レールの長手方向に沿って上下の案内面間の距離が変動するのを緩和し、スライダの走行を滑らかにすることが可能な直動アクチュエータの構造を提供することである。
【0007】
また、この発明のもう一つの目的は、上下ローラの外周面の摩耗を防止するとともに、レールの長手方向に沿って上下の案内面間の距離が変動するのを緩和し、スライダの走行を滑らかにすることが可能な直動アクチュエータの構造を提供することである。
【0008】
さらに、この発明の別の目的は、ベルトの寿命を高めるとともに、レールの長手方向に沿って上下の案内面間の距離が変動するのを緩和し、スライダの走行を滑らかにすることが可能な直動アクチュエータの構造を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この発明の一つの局面に従った直動アクチュエータは、案内部材と、可動部材と、第1と第2の回転部材とを備える。案内部材は、互いに対向する第1と第2の案内面を有する。可動部材は、案内部材に沿って移動することができるように配置され、第1と第2の部分を含む。第1の回転部材は、案内部材の第1の案内面に接触可能な外周面を有し、可動部材の第1の部分に取り付けられている。第2の回転部材は、案内部材の第2の案内面に接触可能な外周面を有し、可動部材の第2の部分に取り付けられている。案内部材の本体はアルミニウムを主成分として含むアルミニウム含有材から形成されている。第1と第2の回転部材の外周面は金属材から形成されている。案内部材の第1と第2の案内面には、表面部がアルミニウム含有材よりも硬い材質から形成された板が固着されている。板の外表面は第1の回転部材および第2の回転部材のそれぞれの外周面に向かって凸になるように曲面状に形成されている。
【0010】
この発明の一つの局面に従った直動アクチュエータにおいて、第1の案内面に接触する第1の回転部材の外周面と第2の案内面に接触する第2の回転部材の外周面との間の距離が案内部材の第1と第2の案内面の間の距離に比べて大きくなるように可動部材を構成する。この場合、可動部材と案内部材を組み合わせて直動アクチュエータを構成すると、第1の案内面に接触する第1の回転部材の外周面と第2の案内面に接触する第2の回転部材の外周面とによって案内部材の第1と第2の案内面の間の距離が広げられるので案内部材に弾性変形が生じる。この案内部材の弾性変形によって、第1の回転部材の外周面と第1の案内面との間、第2の回転部材の外周面と第2の案内面との間に弾性力で予め圧力が与えられた状態で、第1の回転部材の外周面と第1の案内面との接触状態と、第2の回転部材の外周面と第2の案内面との接触状態を保つことができる。いいかえれば、弾性力によって予め圧力が与えられている状態を保持することができるように案内部材の第1と第2の案内面の間の距離を広げることができる。これにより、案内部材において第1と第2の案内面との間の間隔にばらつきがあり、または、第1と第2の回転部材の外径寸法にばらつきがあり、それによって案内部材と回転部材との間の隙間によってガタが発生し、上下方向または左右方向に積載物の位置がずれるという現象を生じることが予期されたとしても、案内部材の弾性変形によって回転部材の外周面と案内部材の案内面との間には予め圧力が与えられているので、その位置ずれの発生原因を解消することが期待される。
【0011】
しかしながら、案内部材の本体はアルミニウムを主成分として含むアルミニウム含有材から形成されているので、案内部材の長手方向に沿って第1と第2の案内面との間の間隔にばらつきがある。これによって案内部材と回転部材との間の隙間によってガタが発生し、可動部材上の積載物の位置が上下方向または左右方向にずれるという現象を生じることが予期される。
【0012】
これに対して、この発明の一つの局面に従った直動アクチュエータにおいては、第1と第2の回転部材の外周面は金属材から形成され、案内部材の第1と第2の案内面には、表面部がアルミニウム含有材よりも硬い材質から形成された板が固着されている。この板の外表面は第1の回転部材および第2の回転部材のそれぞれの外周面に向かって凸になるように曲面状に形成されている。このように構成されているので、案内部材の第1と第2の案内面間の距離がレールの長手方向に沿って変動するのを緩和することができ、案内部材の第1と第2の案内面間の距離を均一にすることができる。これにより、可動部材の走行を円滑にすることができるとともに、可動部材上の積載物の位置が上下方向または左右方向にずれる原因を解消することができる。
【0013】
また、板の外表面が第1の回転部材および第2の回転部材のそれぞれの外周面に向かって凸になるように曲面状に形成されているので、案内部材の第1および第2の案内面と第1および第2の回転部材の外周面とが接触する面積を減らすことができる。これにより、案内部材の第1および第2の案内面に対する第1および第2の回転部材の走行抵抗を低くすることができ、走行時の騒音を小さくすることができる。
【0014】
この発明のもう一つの局面に従った直動アクチュエータは、案内部材と、可動部材と、第1と第2の回転部材と、間隔調整部材とを備える。案内部材は、互いに対向する第1と第2の案内面を有する。可動部材は、案内部材に沿って移動することができるように配置され、スリット部を有し、このスリット部によって分割された第1と第2の部分を含む。第1の回転部材は、案内部材の第1の案内面に接触可能な外周面を有し、可動部材の第1の部分に取り付けられている。第2の回転部材は、案内部材の第2の案内面に接触可能な外周面を有し、可動部材の第2の部分に取り付けられている。間隔調整部材は、スリット部の間隔を変更するための部材である。案内部材の本体はアルミニウムを主成分として含むアルミニウム含有材から形成されている。第1と第2の回転部材の外周面は金属材から形成されている。案内部材の第1と第2の案内面には、表面部がアルミニウム含有材よりも硬い材質から形成された板が固着されている。板の外表面は第1の回転部材および第2の回転部材のそれぞれの外周面に向かって凸になるように曲面状に形成されている。
【0015】
この発明のもう一つの局面に従った直動アクチュエータにおいては、間隔調整部材によりスリット部の間隔を変更する、すなわち、広げる、または、狭めることによって可動部材の第1と第2の部分の間の距離を広げる、または、狭めることができる。これにより、可動部材の第1の部分に取り付けられた第1の回転部材と、可動部材の第2の部分に取り付けられた第2の回転部材との間の距離を広げる、または、狭めることができる。第1の回転部材の外周面は案内部材の第1の案内面に接触可能であり、第2の回転部材の外周面は案内部材の第2の案内面に接触可能であるので、間隔調整部材を用いて第1と第2の回転部材の間の距離を広げる、または、狭めることによって、第1の回転部材の外周面と第1の案内面との間の隙間、第2の回転部材の外周面と第2の案内面との間の隙間をなくするように調整することができる。したがって、案内部材と回転部材との間の隙間によるガタの発生を抑制することができる。その結果、上下方向または左右方向に積載物の位置がずれるという現象が生じても、間隔調整部材によって可動部材の位置ずれを解消することが期待される。
【0016】
しかしながら、案内部材の本体はアルミニウムを主成分として含むアルミニウム含有材から形成されているので、案内部材の長手方向に沿って第1と第2の案内面との間の間隔にばらつきがある。これによって案内部材と回転部材との間の隙間によってガタが発生し、可動部材上の積載物の位置が上下方向または左右方向にずれるという現象を生じることが予期される。
【0017】
これに対して、この発明のもう一つの局面に従った直動アクチュエータにおいては、第1と第2の回転部材の外周面は金属材から形成され、案内部材の第1と第2の案内面には、表面部がアルミニウム含有材よりも硬い材質から形成された板が固着されている。この板の外表面は第1の回転部材および第2の回転部材のそれぞれの外周面に向かって凸になるように曲面状に形成されている。このように構成されているので、案内部材の第1と第2の案内面間の距離がレールの長手方向に沿って変動するのを緩和することができ、案内部材の第1と第2の案内面間の距離を均一にすることができる。これにより、可動部材の走行を円滑にすることができるとともに、可動部材上の積載物の位置が上下方向または左右方向にずれる原因を解消することができる。
【0018】
また、板の外表面が第1の回転部材および第2の回転部材のそれぞれの外周面に向かって凸になるように曲面状に形成されているので、案内部材の第1および第2の案内面と第1および第2の回転部材の外周面とが接触する面積を減らすことができる。これにより、案内部材の第1および第2の案内面に対する第1および第2の回転部材の走行抵抗を低くすることができ、走行時の騒音を小さくすることができる。
【0019】
この発明の直動アクチュエータにおいて、好ましくは、板は、案内部材の第1と第2の案内面の上に板よりも軟質なシートを介在させて固着されている。
【0020】
このように構成することによって、第1および第2の回転部材の走行時の騒音をより小さくすることができる。
【0021】
また、この発明の直動アクチュエータにおいて、好ましくは、可動部材の内部には、油溜まり部と、油を油溜まり部から第1と第2の回転部材の外周面に導く油通路部とが形成されている。
【0022】
このように構成されているので、可動部材が移動する際に油を油溜まり部から油通路部を通じて第1と第2の回転部材の外周面に供給することができる。これにより、金属材から形成された第1と第2の回転部材の外周面の摩耗を防止することができる。
【0023】
さらに、この発明の直動アクチュエータの好ましい形態は、歯付ベルトと、駆動プーリと、従動プーリと、中間ローラとを備える。歯付ベルトは、可動部材を往復移動させるために可動部材に取付けられている。駆動プーリは、歯付ベルトを移動させるために一方側に配置されている。従動プーリは、歯付ベルトを移動させるために他方側に配置され、駆動プーリよりも直径が大きい。中間ローラは、駆動プーリの側に配置され、歯付ベルトの移動レベルを従動プーリに合わせて揃えるためのものである。
【0024】
このように駆動プーリの直径よりも相対的に大きな直径の従動プーリを用いることによって歯付ベルトの屈曲半径が大きくなるので、歯付ベルトの寿命を高めることができる。
【0025】
また、歯付ベルトの移動レベルを従動プーリに合わせて揃えるために、相対的に小さな直径の駆動プーリの側に中間ローラを配置することによって、駆動プーリから従動プーリに帰還する歯付ベルトが可動部材に接触しないように構成することができる。これにより、歯付ベルトの摩耗を防止することができる。
【0026】
さらにまた、この発明の直動アクチュエータの好ましい形態では、従動プーリは、複数の軸受部材と、複数の軸受部材の外輪に固着され、外周面に凹部を有する環状部材とから構成される。
【0027】
このように従動プーリをギアのない形態にすることによって、製造コストを削減することができる。
【0028】
さらに、この発明の直動アクチュエータの好ましい形態では、案内部材の第1と第2の案内面は可動部材が移動する方向に沿って形成された傾斜面を有する。第1の回転部材は案内部材の第1の案内面の傾斜面に接触可能に配置され、第2の回転部材は案内部材の第2の案内面の傾斜面に接触可能に配置されているのが好ましい。
【0029】
この場合、第1または第2の案内面の傾斜面に接触可能な第1または第2の回転部材の外周面があらゆる方向の荷重を支えるように構成することができる。したがって、荷重がどの方向から加わっても案内部材と回転部材との間の隙間をなくすることにより可動部材の位置ずれの発生を防止することができる。
【0030】
また、この場合、案内部材の横断面において、一組の第1の回転部材は略逆ハの字状に傾斜して配置され、一組の第2の回転部材は略ハの字状に傾斜して配置され、一組の第1の回転部材の外周面が接触する一組の第1の案内面は略ハの字状になるように傾斜した面を有し、一組の第2の回転部材の外周面が接触する一組の第2の案内面は略逆ハの字状になるように傾斜した面を有するのが好ましい。
【発明の効果】
【0031】
以上のように、この発明によれば、案内部材の第1と第2の案内面間の距離がレールの長手方向に沿って変動するのを緩和することができ、案内部材の第1と第2の案内面間の距離を均一にすることができるので、可動部材の走行を円滑にすることができるとともに、可動部材上の積載物の位置が上下方向または左右方向にずれる原因を解消することができる。また、案内部材の第1および第2の案内面に対する第1および第2の回転部材の走行抵抗を低くすることができ、走行時の騒音を小さくすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0032】
この発明の一つの実施の形態を図1〜図3に基づいて説明する。
【0033】
図1は本発明の一つの実施の形態に従った直動アクチュエータを部分的に破断して示す側面図、図2は図1のII−II線に沿った横断面図、図3は図2における下ローラとレールの内側案内面との接触部を拡大して示す部分拡大断面図である。図1は、図2のI−I線に沿った部分断面を示す。
【0034】
図1に示すように、直動アクチュエータ100は、可動部材としてのスライダ110と、スライダ110が直線的に往復移動するための案内部材としてのレール120と、スライダ110を往復移動させるための伝動手段としての歯付ベルト130と、歯付ベルト130を移動させるために一方側に配置された駆動プーリ140と他方側に配置された従動プーリ150と、駆動プーリ140を回転させるためのギヤモータ160とを備えている。従動プーリ150は、駆動プーリ140よりも直径が大きい。中間ローラ141は、駆動プーリ140の側に配置され、歯付ベルト130の移動レベルを従動プーリ150に合わせて揃えるためのものである。図示していないが、スライダ110の上には移動積載物が取り付けられる。レール120の一方端側には蓋170が設けられており、他方端側には蓋180が設けられている。プーリ150の軸151には軸先端部152を貫通するねじ穴が設けられている。蓋180に取り付けられた張力調整ボルト181が、そのねじ穴に螺合している。張力調整ボルト181を回動させることによってプーリ150の軸151を移動させて歯付ベルト130の張力を調整することができる。このような構成は、プーリ150の軸151の両端部に設けられている。
【0035】
図1と図2に示すように、スライダ110は下部スライダ111と上部スライダ112とを備えている。駆動プーリ140と従動プーリ150の上側を通過する歯付ベルト130は下部スライダ111と上部スライダ112との間に介在し、固定ボルト119aと119bとによってスライダ110に固着されている。駆動プーリ140と中間ローラ141と従動プーリ150の下側を通過する歯付ベルト130は、下部スライダ111とレール120の内側面との間を通過するように配置されている。このようにして歯付ベルト130の移動に伴ってスライダ110が往復移動できるように構成されている。
【0036】
レール120は下部スライダ111を収容するように配置されている。下部スライダ111は、スリット部113によって第1部分111aと第2部分111bに分割されている。第1部分111aは略台形状の横断面を有し、その台形状の横断面は、上辺と下辺がほぼ平行で上辺が下辺よりも長い。第2部分111bは略台形状の横断面を有し、その台形状の横断面は、上辺と下辺がほぼ平行で下辺が上辺よりも長い。下部スライダ111の第1部分111aには第1の回転部材として、一方側には1個の上ローラ114aが取り付けられ、他方側には1個の上ローラ114bが取り付けられている。上ローラ114aは、第1部分111aにねじ込まれた支持ボルト116aの周りを回転自在になるように配置されている。上ローラ114bは、第1部分111aにねじ込まれた支持ボルト116bの周りを回転自在になるように配置されている。下部スライダ111の第2部分111bには第2の回転部材として、一方側には2個の下ローラ115aが間隔をあけて配置されて取り付けられ、他方側には2個の下ローラ115bが間隔をあけて配置されて取り付けられている。下ローラ115aは、第2部分111bにねじ込まれた支持ボルト117aの周りを回転自在になるように配置されている。下ローラ115bは、第2部分111bにねじ込まれた支持ボルト117bの周りを回転自在になるように配置されている。
【0037】
支持ボルト116a、116bの軸または上ローラ114a、114bの軸は、下部スライダ111から離れてその外方に向かうにつれてより下方に位置するように水平軸に比べて傾斜している。支持ボルト117a、117bの軸または下ローラ115a、115bの軸は、下部スライダ111から離れてその外方に向かうにつれてより上方に位置するように水平軸に比べて傾斜している。
【0038】
この実施の形態では、上ローラ114aと114b、下ローラ115aと115bは外輪と内輪とそれらの間に配置されたボールとを備えたボールベアリングで構成されているが、種々の軸受部材を適用することができる。また、回転部材としての上ローラと下ローラは軸受部材に限定されず、少なくとも下部スライダ111を移動させることができるように回転自在に取り付けられる部材であればよい。上ローラ114aと114b、下ローラ115aと115bは、金属で形成された外周面を有する。
【0039】
案内部材の第1の案内面としてのレール120の内側案内面121に上ローラ114aの外周面が接触することができるように配置され、内側案内面122に上ローラ114bの外周面が接触することができるように配置されている。案内部材の第2の案内面としてのレール120の内側案内面123に下ローラ115aの外周面が接触することができるように配置され、内側案内面124に下ローラ115bの外周面が接触することができるように配置されている。このようにして、スライダ110は上ローラ114aと114b、下ローラ115aと115bの回転によってレール120に案内されて円滑に直線往復移動できるようになっている。
【0040】
案内部材としてのレール120の本体はアルミニウムを主成分として含むアルミニウム含有材、具体的にはアルミニウム合金の押し出し材から形成されている。上ローラ114aと114b、下ローラ115aと115bの外周面はアルミニウムよりも硬質の金属材から形成されている。図2と図3に示すように、レール120の内側案内面121、122、123、124には、表面部がアルミニウム含有材よりも硬い材質から形成された板121a、122a、123a、124a、たとえば、表面部が硬質なステンレス鋼、ばね鋼等から形成された金属板が固着されている。レール120の内側案内面121、122、123、124は、レール120の内側空間に向かって凸になるように曲面状、たとえば円弧状に形成されているので、板121a、122a、123a、124aが内側案内面121、122、123、124に沿って変形し、板121a、122a、123a、124aの外表面は、上ローラ114aと114b、下ローラ115aと115bのそれぞれの外周面に向かって凸になるように曲面状、たとえば円弧状に形成されている。図3に示すように板124a(121a、122a、123a)は、レール120の本体に形成された押さえ部127a、127bと内側案内面124(121、122、123)との間に挟まれて三点で支持されるように固着されている。なお、板124a(121a、122a、123a)は、その外表面を曲面状に予め変形させた状態、たとえば円弧状に予め曲げた状態で、レール120の本体に形成された押さえ部127a、127bと内側案内面124(121、122、123)との間に挟まれて固着されてもよい。
【0041】
この実施の形態では、内側案内面121または122は、上ローラ114a、114bの軸の傾斜にほぼ整合するように傾斜した面を有し、下部スライダ111に近づくにつれてより上方に延びる傾斜面である。内側案内面123または124は、下ローラ115a、115bの軸の傾斜にほぼ整合するように傾斜した面を有し、下部スライダ121に近づくにつれてより下方に延びる傾斜面である。レール120の横断面において上ローラ114aと114bは略逆ハの字状に傾斜して配置され、下ローラ115aと115bは略ハの字状に傾斜して配置される。レール120の横断面において、上ローラ114aと114bの外周面が接触する内側案内面121と122は略ハの字状になるように傾斜した面を有し、下ローラ115aと115bの外周面が接触する内側案内面123と124は略逆ハの字状になるように傾斜した面を有する。レール120の両側部には、凹部125と126が設けられ、肉厚の薄い部分が形成されている。
【0042】
図1と図2に示すように、スリット部113の間隔を広げるための間隔調整部材として押しボルト118が設けられている。押しボルト118が下部スライダ111の第1部分111aからスリット部113を通じて第2部分111bに延びるように配置されている。押しボルト118の一方端は第1部分111aに形成された雌ねじに螺合し、他方端は第2部分111bに接触している。押しボルト118の他方端が接触する下部スライダ111の第2部分111bの箇所には、凹部が形成され、この凹部にウレタン樹脂層118dが埋め込まれて充填されている。これにより、押しボルト118からの圧力の衝撃を緩和することができる。
【0043】
押しボルト118を回動させて第2部分111bに向かって下方に移動させることによって、押しボルト118の他方端が第2部分111bの表面を押してスリット部113の間隔を広げることができ、下部スライダ111の第1部分111aと第2部分111bとの間の距離を広げることができる。これにより、下部スライダ111の第1部分111aに取り付けられた上ローラ114aと第2部分111bに取り付けられた下ローラ115aとの間の距離、下部スライダ111の第1部分111aに取り付けられた上ローラ114bと第2部分111bに取り付けられた下ローラ115bとの間の距離を広げることができる。
【0044】
上ローラ114aと114bの外周面はレール120の内側案内面121と122にそれぞれ接触することができ、下ローラ115aと115bの外周面はレール120の内側案内面123と124にそれぞれ接触することができる。このため、押しボルト118を用いて上ローラ114aと下ローラ115aとの間の距離、上ローラ114bと下ローラ115bとの間の距離を広げることによって、上ローラ114a、114bの外周面とレール120の内側案内面121、122との間の隙間、下ローラ115a、115bの外周面とレール120の内側案内面123、124との間の隙間をなくするように調整することができる。したがって、レール120と上ローラ114a、114b、下ローラ115a、115bとの間の隙間によるガタの発生を抑制することができる。スライダ110の上に取り付けられる移動積載物の位置が上下方向または左右方向にずれるという現象が生じても、押しボルト118によってスライダ110の位置ずれを容易に解消することが期待される。
【0045】
この実施の形態の場合、レール120の内側案内面121、122、123、124が傾斜し、それに応じて上ローラ114a、114b、下ローラ115a、115bの軸を傾斜させてそれぞれの外周面をレールの内側案内面に接触させることができるので、あらゆる方向の荷重を支えるように構成することができる。したがって、スライダ110の上に取り付けられる移動積載物によって荷重がどの方向から加えられても、押しボルト118を用いてレール120と上ローラ114a、114b、下ローラ115a、115bとの間の隙間をなくすることにより、スライダ110の位置ずれの発生を防止することが期待される。
【0046】
また、この実施の形態において、押しボルト118によりスリット部113の間隔を広げると、下部スライダ111の弾性変形によって上ローラ114a、114bの外周面とレール120の内側案内面121、122との間、下ローラ115a、115bの外周面とレール120の内側案内面123、124との間に予め圧力が与えられる。このように予め圧力が与えられた状態で上ローラ114a、114bの外周面とレール120の内側案内面121、122との接触状態と、下ローラ115a、115bの外周面とレール120の内側案内面123、124との接触状態を保つことが期待される。
【0047】
さらに、この実施の形態の場合、凹部125と126によりレール120の両側部に肉厚の薄い部分が形成されているので、上述したように内側案内面121、122、123、124に圧力が加えられたとき、レール120は上記の薄い部分で弾性力によって容易に撓むことができる。凹部125と126は、ナット等の他の構成要素部分を収容する空間として利用することもできる。
【0048】
しかしながら、通常、レール120の本体は、アルミニウムを主成分として含むアルミニウム含有材、たとえばアルミニウム合金等の押し出し材で製造される。このため、レール120の長手方向に沿って、内側案内面121と123との間の間隔、内側案内面122と124との間の間隔が変動し、これらの間隔にばらつきがある。これによってレール120と上ローラ114a、114b、下ローラ115a、115bとの間の隙間によってガタが発生し、スライダ110上の積載物の位置が上下方向または左右方向にずれるという現象を生じることが予期される。
【0049】
これに対して、この発明の直動アクチュエータ100においては、上ローラ114a、114b、下ローラ115a、115bの外周面は金属材から形成され、レール120の内側案内面121、122、123、124には、アルミニウム含有材よりも硬い材質から形成された板121a、122a、123a、124aが固着されている。この板121a、122a、123a、124aの外表面は上ローラ114a、114b、下ローラ115a、115bの外周面のそれぞれの外周面に向かって凸になるように曲面状に形成されている。このように構成されているので、レール120の内側案内面121と123との間の距離、内側案内面122と124との間の距離がレール120の長手方向に沿って変動するのを緩和することができ、レール120の内側案内面121と123との間の距離、内側案内面122と124との間の距離を均一にすることができる。これにより、スライダ110の走行を円滑にすることができるとともに、スライダ110上の積載物の位置が上下方向または左右方向にずれる原因を解消することができる。
【0050】
また、板121a、122a、123a、124aの外表面が上ローラ114a、114b、下ローラ115a、115bのそれぞれの外周面に向かって凸になるように曲面状に形成されているので、レール120の内側案内面121、122、123、124と上ローラ114a、114b、下ローラ115a、115bの外周面とが接触する面積を減らすことができる。これにより、レール120の内側案内面121、122、123、124に対する上ローラ114a、114b、下ローラ115a、115bの走行抵抗を低くすることができ、走行時の騒音を小さくすることができる。
【0051】
図4は、本発明のもう一つの実施の形態に従った直動アクチュエータにおいて下ローラとレールの内側案内面との接触部を拡大して示す部分拡大断面図である。
【0052】
図4に示すように、板124a(121a、122a、123a)は、レール120の内側案内面124(121、122、123)の上に板よりも軟質なシートとして、樹脂シート、ゴムシート等の軟質シート124bを介在させて固着されている。このように構成することによって、上ローラ114a、114b、下ローラ115a、115bの走行時の騒音をより小さくすることができる。
【0053】
なお、板124a(121a、122a、123a)の表面部を硬質な金属から形成し、板124aの表面にモリブデン等の潤滑処理を施してもよい。また、板124a(121a、122a、123a)の表面部を硬質な金属から形成し、板に微細な穴を形成し、あるいは板を多孔質の金属から形成し、下部の軟質シート124bを含油樹脂から形成することにより、下部の軟質シートから潤滑油が板の穴に染み出るようにしてもよい。
【0054】
さらに、この発明の直動アクチュエータ100の好ましい形態では、図1に示すように、駆動プーリ140は、歯付ベルト130を移動させるために一方側に配置されている。従動プーリ150は、歯付ベルト130を移動させるために他方側に配置され、駆動プーリ140よりも直径が大きい。中間ローラ141は、駆動プーリ140の側に配置され、歯付ベルト130の移動レベルを従動プーリ150に合わせて揃えるためのものである。
【0055】
このように駆動プーリ140の直径をよりも相対的に大きな直径の従動プーリ150を用いることによって歯付ベルト130の屈曲半径が大きくなるので、歯付ベルト130の寿命を高めることができる。
【0056】
また、歯付ベルト130の移動レベルを従動プーリ150に合わせて揃えるために、相対的に小さな直径の駆動プーリ140の側に中間ローラ141を配置することによって、駆動プーリ140から従動プーリに帰還する歯付ベルトがスライダ110の下面、すなわち、下部スライダ111の第2部分111bの下面に接触しないように構成することができる。これにより、歯付ベルト130の摩耗を防止することができる。
【0057】
図5は、この発明の一つの実施の形態としての直動アクチュエータに用いられる従動プーリの構成を示す断面図である。
【0058】
図5に示すように、この発明の直動アクチュエータ100の好ましい形態では、従動プーリ150は、複数の軸受部材として、たとえば2つのボールベアリング152a、152bと、2つのボールベアリング152a、152bの外輪に圧入されて固着され、外周面に凹部を有する環状部材として断面が凹形状のリング153とから構成される。歯付ベルト130はリング153の凹形状の外周面に沿って移動する。
【0059】
このように従動プーリ150をギアのない形態にすることによって、製造コストを削減することができる。
【0060】
図6は、本発明のもう一つの実施の形態に従った直動アクチュエータを部分的に破断して示す側面図である。
【0061】
図6に示すように、駆動プーリ140の下に、歯付ベルト130を支持するように支持ローラ142を設けてもよい。その他の構成は、図1に示す構成と同様である。このように支持ローラ142を設けることによって、歯付ベルト130の歯飛びを防止することができる。
【0062】
図7は本発明のさらにもう一つの実施の形態に従った直動アクチュエータにおいて図1のII−II線に沿った断面で下部スライダのみを示す横断面図、図8は本発明のさらにもう一つの実施の形態に従った直動アクチュエータにおいて下部スライダのみを示す側面図である。
【0063】
図7と図8に示すように、スライダ110において、下部スライダ111が左部分111cと右部分111dとの左右に分割されるようにスリット部113a、113bが形成されている。右部分111dには雌ネジ部111eが形成されている。スリット部113bの間隔を広げるための左右方向の間隔調整部材として、六角穴付の押しボルト118aと、押しボルト118aの先端面に接触して押圧される圧縮ばね部材118bとが雌ネジ部111eに挿入されて設けられている。押しボルト118aの先端部が圧縮ばね部材118bのばねの復帰力で押圧されることによって、左部分111cと右部分111dとの間の距離を広げる方向に付勢された状態で、下部スライダ111の左部分111cと右部分111dとが配置されている。このようにして、下ローラ115a、115b間の距離が上ローラ114a、114b間の距離に比べて変動し難くなるように構成することができる。このため、上ローラ114a、114bの外周面とレール120の内側案内面121、122との間の隙間、下ローラ115a、115bの外周面とレール120の内側案内面123、124との間の隙間をなくするように、すなわち、レール120と上ローラ114a、114b、下ローラ115a、115bとの間の隙間によるガタの発生を抑制するための調整作業を容易に行うことができるようになる。
【0064】
図9は本発明のさらに別の実施の形態に従った直動アクチュエータにおいて図1のII−II線に沿った断面で下部スライダのみを示す横断面図、図10は本発明のさらに別の実施の形態に従った直動アクチュエータにおいて下部スライダのみを示す側面図である。
【0065】
図9と図10に示すように、可動部材としてのスライダ110の内部、すなわち、下部スライダ111の内部には、たとえばフェルト片に潤滑油を含ませた油溜まり部113cと、潤滑油を油溜まり部113cから上ローラ114a、114b、下ローラ115a、115bのそれぞれの外周面に導くために油溜まり部113cから引き出されたフェルト片に潤滑油を含ませた油通路部113dとが形成されている。油通路部113dのそれぞれの表面に到達するように雌ねじ部111fが形成されている。雌ねじ部111fに六角穴付のボルト118cを挿入してボルトの先端で油通路部113dのフェルト片の一部を絞るように押圧することによって、油通路部113dから外に少量の潤滑油が出るようにする。油通路部113dから出た少量の潤滑油が上ローラ114a、114b、下ローラ115a、115bのそれぞれの外周面に供給される。
【0066】
このように構成されているので、スライダ110が移動する際に潤滑油を油溜まり部113cから油通路部113dを通じて上ローラ114a、114b、下ローラ115a、115bのそれぞれの外周面に供給することができる。これにより、金属材から形成された上ローラ114a、114b、下ローラ115a、115bの外周面の摩耗を防止することができる。
【0067】
この発明の直動アクチュエータ100の好ましい形態では、レール120の内側案内面121、122、123、124はスライダ110が移動する方向に沿って形成された傾斜面を有する。上ローラ114a、114b、下ローラ115a、115bのそれぞれの外周面は、内側案内面121、122、123、124のそれぞれの傾斜面に接触可能に配置されている。
【0068】
このようにすることにより、内側案内面121、122、123、124の傾斜面に接触可能な上ローラ114a、114b、下ローラ115a、115bの外周面があらゆる方向の荷重を支えるように構成することができる。したがって、荷重がどの方向から加わってもレール120と上ローラ114a、114b、下ローラ115a、115bとの間の隙間をなくすることによりスライダ110の位置ずれの発生を防止することができる。
【0069】
なお、上記の実施の形態では、図2に示すように、内側案内面121、122、123、124を傾斜面で構成し、これらの傾斜面に応じて上ローラ114a、114b、下ローラ115a、115bを傾斜させて配置しているが、内側案内面121、122、123、124を水平面で形成し、上ローラ114a、114b、下ローラ115a、115bを水平に配置しても、本発明の上述の作用効果を達成することができる。
【0070】
また、上記の実施の形態では、図1に示すように、上下ローラをベルトの走行方向に沿って互い違いにずらして配置することによって、レール120を形成する押し出し材の長手方向のうねりに起因してレール120の内側案内面121、122と内側案内面123、124との間の上下の走行面間の距離が変動するという影響を受け難くすることができる。上記の実施の形態では三組のローラを用いているが、四組のローラを用いて上下ローラを構成してもよい。また、上下ローラをベルトの走行方向に沿って互い違いにずらさないで、上下ローラの組をベルトの走行方向に沿って同じ位置に配置してもよい。
【0071】
なお、上記の実施の形態では、可動部材としての下部スライダにスリット部を形成し、スリット部の間隔を広げるための間隔調整部材としての押しボルトを設けたが、スリット部を形成せず、押しボルトを設けなくてもよい。
【0072】
この場合、内側案内面121に接触する位置にある上ローラ114aの外周面と内側案内面123に接触する位置にある下ローラ115aの外周面との間の距離が内側案内面121と123の間の距離に比べて大きくなるように、また、内側案内面122に接触する位置にある上ローラ114bの外周面と内側案内面124に接触する位置にある下ローラ115bの外周面との間の距離が内側案内面122と124の間の距離に比べて大きくなるように下部スライダ111を構成する。そして、スライダ110とレール120とを組み合わせて直動アクチュエータ100を構成すると、内側案内面121、122に接触する上ローラ114a、114bの外周面と内側案内面123、124に接触する下ローラ115a、115bの外周面とによって内側案内面121、122と内側案内面123,124の間の距離が広げられるので、レール120に弾性変形が生じる。このレール120の弾性変形によって、上ローラ114a、114bの外周面とレール120の内側案内面121、122との間、下ローラ115a、115bの外周面とレール120の内側案内面123、124との間に予め圧力が与えられる。このように予め圧力が与えられた状態で上ローラ114a、114bの外周面とレール120の内側案内面121、122との接触状態と、下ローラ115a、115bの外周面とレール120の内側案内面123、124との接触状態を保つことができる。いいかえれば、弾性力によって予め圧力が与えられている状態を保持することができるように内側案内面121、122と内側案内面123、124の間の距離を広げることができる。
【0073】
これにより、レール120において内側案内面121と123の間の距離、内側案内面122と124の間の距離にばらつきがあり、または、上ローラ114a、114b、下ローラ115a、115bの外径寸法にばらつきがあり、それによってレール120と上ローラ114a、114b、下ローラ115a、115bとの間の隙間によってガタが発生し、上下方向または左右方向に積載物の位置がずれるという現象を生じることが予期されたとしても、レール120の弾性変形によって上ローラ114a、114bの外周面とレール120の内側案内面121、122との間、下ローラ115a、115bの外周面とレール120の内側案内面123、124との間には予め圧力が与えられているので、その位置ずれの発生原因を容易に解消することが期待される。
【0074】
しかしながら、この場合でも、通常、レール120の本体は、アルミニウムを主成分として含むアルミニウム含有材、たとえばアルミニウム合金等の押し出し材で製造される。ので、レール120の長手方向に沿って、内側案内面121と123との間の間隔、内側案内面122と124との間の間隔が変動し、これらの間隔にばらつきがある。これによってレール120と上ローラ114a、114b、下ローラ115a、115bとの間の隙間によってガタが発生し、スライダ110上の積載物の位置が上下方向または左右方向にずれるという現象を生じることが予期される。
【0075】
これに対して、この発明の直動アクチュエータ100においては、上ローラ114a、114b、下ローラ115a、115bの外周面は金属材から形成され、レール120の内側案内面121、122、123、124には、表面部がアルミニウム含有材よりも硬い材質から形成された板121a、122a、123a、124aが固着されている。この板121a、122a、123a、124aの外表面は上ローラ114a、114b、下ローラ115a、115bの外周面のそれぞれの外周面に向かって凸になるように曲面状に形成されている。このように構成されているので、レール120の内側案内面121と123との間の距離、内側案内面122と124との間の距離がレール120の長手方向に沿って変動するのを緩和することができ、レール120の内側案内面121と123との間の距離、内側案内面122と124との間の距離を均一にすることができる。これにより、スライダ110の走行を円滑にすることができるとともに、スライダ110上の積載物の位置が上下方向または左右方向にずれる原因を解消することができる。
【0076】
また、板121a、122a、123a、124aの外表面が上ローラ114a、114b、下ローラ115a、115bのそれぞれの外周面に向かって凸になるように曲面状に形成されているので、レール120の内側案内面121、122、123、124と上ローラ114a、114b、下ローラ115a、115bの外周面とが接触する面積を減らすことができる。これにより、レール120の内側案内面121、122、123、124に対する上ローラ114a、114b、下ローラ115a、115bの走行抵抗を低くすることができ、走行時の騒音を小さくすることができる。
【0077】
なお、上記の実施の形態では、案内面を上下方向に対向させ、回転部材として上下ローラを用いて可動部材としてのスライダの直線往復移動を案内しているが、案内面を左右方向に対向させ、回転部材として左右ローラを用いて可動部材としてのスライダの直線往復移動を案内しても、本発明の上述した作用効果を達成することができる。
【0078】
また、上記の実施の形態では、スリット部の間隔を広げるための間隔調整部材を備え、スリット部の間隔を広げる方向に弾性の張力が働くように間隔調整部材を形成し配置した直動アクチュエータの例を説明した。しかし、これとは逆に、スリット部の間隔を狭めるための間隔調整部材を備え、スリット部の間隔を狭める方向に弾性の圧縮力が働くように間隔調整部材を形成し配置して直動アクチュエータを構成しても、本発明の上述した作用効果を達成することができる。この場合、たとえば、第1と第2の回転部材として上ローラと下ローラの間で対向するそれぞれの外周面に、案内部材としてのレールの第1と第2の案内面が上ローラと下ローラの間に介在して接触するように直動アクチュエータを構成すればよい。
【0079】
図11は、本発明のさらにまた別の実施の形態に従った直動アクチュエータを部分的に破断して示す側面図である。
【0080】
図1に示す実施の形態では従動プーリ150の直径を駆動プーリ140の直径よりも大きくしたが、図11に示すように駆動プーリ140と従動プーリ150の直径を同じにしてもよい。このようにしても、本発明の上述した作用効果を達成することができる。
【0081】
また、図11に示すように、下部スライダ111は、二つのスリット部113eと113fによって第1部分111aと第2部分111bに分割されている。スリット部113e、113fのそれぞれの間隔を広げるための間隔調整部材として二つの押しボルト118が下部スライダ111の両端部側で上ローラ114の外側に設けられている。下部スライダ111の第2部分111bの厚みは第1部分111aの厚みに比べて薄く形成されている。これにより、押しボルト118を回動させて第2部分111bに向かって下方に移動させることにより、押しボルト118の他方端が第2部分111bの表面を押して、薄い第2部分111bのみを弾性変形させて、スリット部113e、113fの間隔を広げることができる。このようにしても、本発明の上述した作用効果を達成することができる。なお、上記の構成は、図1〜図10に示された本発明の種々の実施の形態のいずれの直動アクチュエータにも適用することができる。
【0082】
以上に開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考慮されるべきである。本発明の範囲は、以上の実施の形態ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての修正や変形を含むものである。
【図面の簡単な説明】
【0083】
【図1】図1は本発明の一つの実施の形態に従った直動アクチュエータを部分的に破断して示す側面図である。
【図2】本発明の一つの実施の形態に従った直動アクチュエータを図1のII−II線に沿った断面で示す横断面図である。
【図3】図2における下ローラとレールの内側案内面との接触部を拡大して示す部分拡大断面図である。
【図4】本発明のもう一つの実施の形態に従った直動アクチュエータにおいて下ローラとレールの内側案内面との接触部を拡大して示す部分拡大断面図である。
【図5】この発明の一つの実施の形態としての直動アクチュエータに用いられる従動プーリの構成を示す断面図である。
【図6】本発明のもう一つの実施の形態に従った直動アクチュエータを部分的に破断して示す側面図である。
【図7】本発明のさらにもう一つの実施の形態に従った直動アクチュエータにおいて図1のII−II線に沿った断面で下部スライダのみを示す横断面図である。
【図8】本発明のさらにもう一つの実施の形態に従った直動アクチュエータにおいて下部スライダのみを示す側面図である。
【図9】本発明のさらに別の実施の形態に従った直動アクチュエータにおいて図1のII−II線に沿った断面で下部スライダのみを示す横断面図である。
【図10】本発明のさらに別の実施の形態に従った直動アクチュエータにおいて下部スライダのみを示す側面図である。
【図11】本発明のさらにまた別の実施の形態に従った直動アクチュエータを部分的に破断して示す側面図である。
【符号の説明】
【0084】
100:直動アクチュエータ、110:スライダ、111:下部スライダ、111a:第1部分、111b:第2部分、113,113a,113b:スリット部、114,114a,114b:上ローラ、115,115a,115b:下ローラ、118,118a:押しボルト、120:レール、121,122,123,124:内側案内面、121a,122a,123a,124a:板、124b:軟質シート、130:歯付ベルト、140:駆動プーリ、141:中間ローラ、150:従動プーリ、152a,152b:ボールベアリング、153:リング。
【技術分野】
【0001】
この発明は、直動アクチュエータに関し、特に、物流システム、ファクトリオートメーション、自動シャッタ等の各種産業機械に適用することが可能な直動アクチュエータに関するものである。
【背景技術】
【0002】
この種の従来の直動アクチュエータは、たとえば特開2005−42887号公報(特許文献1)に記載されている。従来の直動アクチュエータは、可動部材としてのスライダと、スライダが直線的に往復移動するための案内部材としてのレールと、スライダを往復移動させるための伝動手段としての歯付ベルトと、歯付ベルトを移動させるためのプーリと、プーリを回転させるためのギアモータとを備えている。スライダには上下ローラが取り付けられており、上下ローラがレールの内側に形成された上下の案内面に接触するように構成されている。
【0003】
このように構成された直動アクチュエータにおいて、スライダの上下の案内面を有するレールは、アルミニウム製の押し出し材から形成される。このため、押し出し材のねじれ等に起因して、レールの長手方向に沿って、上下の案内面間の距離、すなわち、スライダの上下の走行面間の距離が均一ではなく、変動するので、スライダの走行が滑らかに行われないという問題があった。
【0004】
また、上下ローラの外周面に軟質のゴム等の被覆層が固着されている場合がある。この場合、その被覆層が摩擦によって減耗しやすいので、レールの長手方向に沿って上下方向にガタが生じるという問題があった。
【0005】
さらに、プーリの直径が小さすぎると、プーリによる歯付ベルトの屈曲半径が小さくなるので、ベルトが破損する場合もあった。
【特許文献1】特開2005−42887号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
そこで、この発明の一つの目的は、レールの長手方向に沿って上下の案内面間の距離が変動するのを緩和し、スライダの走行を滑らかにすることが可能な直動アクチュエータの構造を提供することである。
【0007】
また、この発明のもう一つの目的は、上下ローラの外周面の摩耗を防止するとともに、レールの長手方向に沿って上下の案内面間の距離が変動するのを緩和し、スライダの走行を滑らかにすることが可能な直動アクチュエータの構造を提供することである。
【0008】
さらに、この発明の別の目的は、ベルトの寿命を高めるとともに、レールの長手方向に沿って上下の案内面間の距離が変動するのを緩和し、スライダの走行を滑らかにすることが可能な直動アクチュエータの構造を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この発明の一つの局面に従った直動アクチュエータは、案内部材と、可動部材と、第1と第2の回転部材とを備える。案内部材は、互いに対向する第1と第2の案内面を有する。可動部材は、案内部材に沿って移動することができるように配置され、第1と第2の部分を含む。第1の回転部材は、案内部材の第1の案内面に接触可能な外周面を有し、可動部材の第1の部分に取り付けられている。第2の回転部材は、案内部材の第2の案内面に接触可能な外周面を有し、可動部材の第2の部分に取り付けられている。案内部材の本体はアルミニウムを主成分として含むアルミニウム含有材から形成されている。第1と第2の回転部材の外周面は金属材から形成されている。案内部材の第1と第2の案内面には、表面部がアルミニウム含有材よりも硬い材質から形成された板が固着されている。板の外表面は第1の回転部材および第2の回転部材のそれぞれの外周面に向かって凸になるように曲面状に形成されている。
【0010】
この発明の一つの局面に従った直動アクチュエータにおいて、第1の案内面に接触する第1の回転部材の外周面と第2の案内面に接触する第2の回転部材の外周面との間の距離が案内部材の第1と第2の案内面の間の距離に比べて大きくなるように可動部材を構成する。この場合、可動部材と案内部材を組み合わせて直動アクチュエータを構成すると、第1の案内面に接触する第1の回転部材の外周面と第2の案内面に接触する第2の回転部材の外周面とによって案内部材の第1と第2の案内面の間の距離が広げられるので案内部材に弾性変形が生じる。この案内部材の弾性変形によって、第1の回転部材の外周面と第1の案内面との間、第2の回転部材の外周面と第2の案内面との間に弾性力で予め圧力が与えられた状態で、第1の回転部材の外周面と第1の案内面との接触状態と、第2の回転部材の外周面と第2の案内面との接触状態を保つことができる。いいかえれば、弾性力によって予め圧力が与えられている状態を保持することができるように案内部材の第1と第2の案内面の間の距離を広げることができる。これにより、案内部材において第1と第2の案内面との間の間隔にばらつきがあり、または、第1と第2の回転部材の外径寸法にばらつきがあり、それによって案内部材と回転部材との間の隙間によってガタが発生し、上下方向または左右方向に積載物の位置がずれるという現象を生じることが予期されたとしても、案内部材の弾性変形によって回転部材の外周面と案内部材の案内面との間には予め圧力が与えられているので、その位置ずれの発生原因を解消することが期待される。
【0011】
しかしながら、案内部材の本体はアルミニウムを主成分として含むアルミニウム含有材から形成されているので、案内部材の長手方向に沿って第1と第2の案内面との間の間隔にばらつきがある。これによって案内部材と回転部材との間の隙間によってガタが発生し、可動部材上の積載物の位置が上下方向または左右方向にずれるという現象を生じることが予期される。
【0012】
これに対して、この発明の一つの局面に従った直動アクチュエータにおいては、第1と第2の回転部材の外周面は金属材から形成され、案内部材の第1と第2の案内面には、表面部がアルミニウム含有材よりも硬い材質から形成された板が固着されている。この板の外表面は第1の回転部材および第2の回転部材のそれぞれの外周面に向かって凸になるように曲面状に形成されている。このように構成されているので、案内部材の第1と第2の案内面間の距離がレールの長手方向に沿って変動するのを緩和することができ、案内部材の第1と第2の案内面間の距離を均一にすることができる。これにより、可動部材の走行を円滑にすることができるとともに、可動部材上の積載物の位置が上下方向または左右方向にずれる原因を解消することができる。
【0013】
また、板の外表面が第1の回転部材および第2の回転部材のそれぞれの外周面に向かって凸になるように曲面状に形成されているので、案内部材の第1および第2の案内面と第1および第2の回転部材の外周面とが接触する面積を減らすことができる。これにより、案内部材の第1および第2の案内面に対する第1および第2の回転部材の走行抵抗を低くすることができ、走行時の騒音を小さくすることができる。
【0014】
この発明のもう一つの局面に従った直動アクチュエータは、案内部材と、可動部材と、第1と第2の回転部材と、間隔調整部材とを備える。案内部材は、互いに対向する第1と第2の案内面を有する。可動部材は、案内部材に沿って移動することができるように配置され、スリット部を有し、このスリット部によって分割された第1と第2の部分を含む。第1の回転部材は、案内部材の第1の案内面に接触可能な外周面を有し、可動部材の第1の部分に取り付けられている。第2の回転部材は、案内部材の第2の案内面に接触可能な外周面を有し、可動部材の第2の部分に取り付けられている。間隔調整部材は、スリット部の間隔を変更するための部材である。案内部材の本体はアルミニウムを主成分として含むアルミニウム含有材から形成されている。第1と第2の回転部材の外周面は金属材から形成されている。案内部材の第1と第2の案内面には、表面部がアルミニウム含有材よりも硬い材質から形成された板が固着されている。板の外表面は第1の回転部材および第2の回転部材のそれぞれの外周面に向かって凸になるように曲面状に形成されている。
【0015】
この発明のもう一つの局面に従った直動アクチュエータにおいては、間隔調整部材によりスリット部の間隔を変更する、すなわち、広げる、または、狭めることによって可動部材の第1と第2の部分の間の距離を広げる、または、狭めることができる。これにより、可動部材の第1の部分に取り付けられた第1の回転部材と、可動部材の第2の部分に取り付けられた第2の回転部材との間の距離を広げる、または、狭めることができる。第1の回転部材の外周面は案内部材の第1の案内面に接触可能であり、第2の回転部材の外周面は案内部材の第2の案内面に接触可能であるので、間隔調整部材を用いて第1と第2の回転部材の間の距離を広げる、または、狭めることによって、第1の回転部材の外周面と第1の案内面との間の隙間、第2の回転部材の外周面と第2の案内面との間の隙間をなくするように調整することができる。したがって、案内部材と回転部材との間の隙間によるガタの発生を抑制することができる。その結果、上下方向または左右方向に積載物の位置がずれるという現象が生じても、間隔調整部材によって可動部材の位置ずれを解消することが期待される。
【0016】
しかしながら、案内部材の本体はアルミニウムを主成分として含むアルミニウム含有材から形成されているので、案内部材の長手方向に沿って第1と第2の案内面との間の間隔にばらつきがある。これによって案内部材と回転部材との間の隙間によってガタが発生し、可動部材上の積載物の位置が上下方向または左右方向にずれるという現象を生じることが予期される。
【0017】
これに対して、この発明のもう一つの局面に従った直動アクチュエータにおいては、第1と第2の回転部材の外周面は金属材から形成され、案内部材の第1と第2の案内面には、表面部がアルミニウム含有材よりも硬い材質から形成された板が固着されている。この板の外表面は第1の回転部材および第2の回転部材のそれぞれの外周面に向かって凸になるように曲面状に形成されている。このように構成されているので、案内部材の第1と第2の案内面間の距離がレールの長手方向に沿って変動するのを緩和することができ、案内部材の第1と第2の案内面間の距離を均一にすることができる。これにより、可動部材の走行を円滑にすることができるとともに、可動部材上の積載物の位置が上下方向または左右方向にずれる原因を解消することができる。
【0018】
また、板の外表面が第1の回転部材および第2の回転部材のそれぞれの外周面に向かって凸になるように曲面状に形成されているので、案内部材の第1および第2の案内面と第1および第2の回転部材の外周面とが接触する面積を減らすことができる。これにより、案内部材の第1および第2の案内面に対する第1および第2の回転部材の走行抵抗を低くすることができ、走行時の騒音を小さくすることができる。
【0019】
この発明の直動アクチュエータにおいて、好ましくは、板は、案内部材の第1と第2の案内面の上に板よりも軟質なシートを介在させて固着されている。
【0020】
このように構成することによって、第1および第2の回転部材の走行時の騒音をより小さくすることができる。
【0021】
また、この発明の直動アクチュエータにおいて、好ましくは、可動部材の内部には、油溜まり部と、油を油溜まり部から第1と第2の回転部材の外周面に導く油通路部とが形成されている。
【0022】
このように構成されているので、可動部材が移動する際に油を油溜まり部から油通路部を通じて第1と第2の回転部材の外周面に供給することができる。これにより、金属材から形成された第1と第2の回転部材の外周面の摩耗を防止することができる。
【0023】
さらに、この発明の直動アクチュエータの好ましい形態は、歯付ベルトと、駆動プーリと、従動プーリと、中間ローラとを備える。歯付ベルトは、可動部材を往復移動させるために可動部材に取付けられている。駆動プーリは、歯付ベルトを移動させるために一方側に配置されている。従動プーリは、歯付ベルトを移動させるために他方側に配置され、駆動プーリよりも直径が大きい。中間ローラは、駆動プーリの側に配置され、歯付ベルトの移動レベルを従動プーリに合わせて揃えるためのものである。
【0024】
このように駆動プーリの直径よりも相対的に大きな直径の従動プーリを用いることによって歯付ベルトの屈曲半径が大きくなるので、歯付ベルトの寿命を高めることができる。
【0025】
また、歯付ベルトの移動レベルを従動プーリに合わせて揃えるために、相対的に小さな直径の駆動プーリの側に中間ローラを配置することによって、駆動プーリから従動プーリに帰還する歯付ベルトが可動部材に接触しないように構成することができる。これにより、歯付ベルトの摩耗を防止することができる。
【0026】
さらにまた、この発明の直動アクチュエータの好ましい形態では、従動プーリは、複数の軸受部材と、複数の軸受部材の外輪に固着され、外周面に凹部を有する環状部材とから構成される。
【0027】
このように従動プーリをギアのない形態にすることによって、製造コストを削減することができる。
【0028】
さらに、この発明の直動アクチュエータの好ましい形態では、案内部材の第1と第2の案内面は可動部材が移動する方向に沿って形成された傾斜面を有する。第1の回転部材は案内部材の第1の案内面の傾斜面に接触可能に配置され、第2の回転部材は案内部材の第2の案内面の傾斜面に接触可能に配置されているのが好ましい。
【0029】
この場合、第1または第2の案内面の傾斜面に接触可能な第1または第2の回転部材の外周面があらゆる方向の荷重を支えるように構成することができる。したがって、荷重がどの方向から加わっても案内部材と回転部材との間の隙間をなくすることにより可動部材の位置ずれの発生を防止することができる。
【0030】
また、この場合、案内部材の横断面において、一組の第1の回転部材は略逆ハの字状に傾斜して配置され、一組の第2の回転部材は略ハの字状に傾斜して配置され、一組の第1の回転部材の外周面が接触する一組の第1の案内面は略ハの字状になるように傾斜した面を有し、一組の第2の回転部材の外周面が接触する一組の第2の案内面は略逆ハの字状になるように傾斜した面を有するのが好ましい。
【発明の効果】
【0031】
以上のように、この発明によれば、案内部材の第1と第2の案内面間の距離がレールの長手方向に沿って変動するのを緩和することができ、案内部材の第1と第2の案内面間の距離を均一にすることができるので、可動部材の走行を円滑にすることができるとともに、可動部材上の積載物の位置が上下方向または左右方向にずれる原因を解消することができる。また、案内部材の第1および第2の案内面に対する第1および第2の回転部材の走行抵抗を低くすることができ、走行時の騒音を小さくすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0032】
この発明の一つの実施の形態を図1〜図3に基づいて説明する。
【0033】
図1は本発明の一つの実施の形態に従った直動アクチュエータを部分的に破断して示す側面図、図2は図1のII−II線に沿った横断面図、図3は図2における下ローラとレールの内側案内面との接触部を拡大して示す部分拡大断面図である。図1は、図2のI−I線に沿った部分断面を示す。
【0034】
図1に示すように、直動アクチュエータ100は、可動部材としてのスライダ110と、スライダ110が直線的に往復移動するための案内部材としてのレール120と、スライダ110を往復移動させるための伝動手段としての歯付ベルト130と、歯付ベルト130を移動させるために一方側に配置された駆動プーリ140と他方側に配置された従動プーリ150と、駆動プーリ140を回転させるためのギヤモータ160とを備えている。従動プーリ150は、駆動プーリ140よりも直径が大きい。中間ローラ141は、駆動プーリ140の側に配置され、歯付ベルト130の移動レベルを従動プーリ150に合わせて揃えるためのものである。図示していないが、スライダ110の上には移動積載物が取り付けられる。レール120の一方端側には蓋170が設けられており、他方端側には蓋180が設けられている。プーリ150の軸151には軸先端部152を貫通するねじ穴が設けられている。蓋180に取り付けられた張力調整ボルト181が、そのねじ穴に螺合している。張力調整ボルト181を回動させることによってプーリ150の軸151を移動させて歯付ベルト130の張力を調整することができる。このような構成は、プーリ150の軸151の両端部に設けられている。
【0035】
図1と図2に示すように、スライダ110は下部スライダ111と上部スライダ112とを備えている。駆動プーリ140と従動プーリ150の上側を通過する歯付ベルト130は下部スライダ111と上部スライダ112との間に介在し、固定ボルト119aと119bとによってスライダ110に固着されている。駆動プーリ140と中間ローラ141と従動プーリ150の下側を通過する歯付ベルト130は、下部スライダ111とレール120の内側面との間を通過するように配置されている。このようにして歯付ベルト130の移動に伴ってスライダ110が往復移動できるように構成されている。
【0036】
レール120は下部スライダ111を収容するように配置されている。下部スライダ111は、スリット部113によって第1部分111aと第2部分111bに分割されている。第1部分111aは略台形状の横断面を有し、その台形状の横断面は、上辺と下辺がほぼ平行で上辺が下辺よりも長い。第2部分111bは略台形状の横断面を有し、その台形状の横断面は、上辺と下辺がほぼ平行で下辺が上辺よりも長い。下部スライダ111の第1部分111aには第1の回転部材として、一方側には1個の上ローラ114aが取り付けられ、他方側には1個の上ローラ114bが取り付けられている。上ローラ114aは、第1部分111aにねじ込まれた支持ボルト116aの周りを回転自在になるように配置されている。上ローラ114bは、第1部分111aにねじ込まれた支持ボルト116bの周りを回転自在になるように配置されている。下部スライダ111の第2部分111bには第2の回転部材として、一方側には2個の下ローラ115aが間隔をあけて配置されて取り付けられ、他方側には2個の下ローラ115bが間隔をあけて配置されて取り付けられている。下ローラ115aは、第2部分111bにねじ込まれた支持ボルト117aの周りを回転自在になるように配置されている。下ローラ115bは、第2部分111bにねじ込まれた支持ボルト117bの周りを回転自在になるように配置されている。
【0037】
支持ボルト116a、116bの軸または上ローラ114a、114bの軸は、下部スライダ111から離れてその外方に向かうにつれてより下方に位置するように水平軸に比べて傾斜している。支持ボルト117a、117bの軸または下ローラ115a、115bの軸は、下部スライダ111から離れてその外方に向かうにつれてより上方に位置するように水平軸に比べて傾斜している。
【0038】
この実施の形態では、上ローラ114aと114b、下ローラ115aと115bは外輪と内輪とそれらの間に配置されたボールとを備えたボールベアリングで構成されているが、種々の軸受部材を適用することができる。また、回転部材としての上ローラと下ローラは軸受部材に限定されず、少なくとも下部スライダ111を移動させることができるように回転自在に取り付けられる部材であればよい。上ローラ114aと114b、下ローラ115aと115bは、金属で形成された外周面を有する。
【0039】
案内部材の第1の案内面としてのレール120の内側案内面121に上ローラ114aの外周面が接触することができるように配置され、内側案内面122に上ローラ114bの外周面が接触することができるように配置されている。案内部材の第2の案内面としてのレール120の内側案内面123に下ローラ115aの外周面が接触することができるように配置され、内側案内面124に下ローラ115bの外周面が接触することができるように配置されている。このようにして、スライダ110は上ローラ114aと114b、下ローラ115aと115bの回転によってレール120に案内されて円滑に直線往復移動できるようになっている。
【0040】
案内部材としてのレール120の本体はアルミニウムを主成分として含むアルミニウム含有材、具体的にはアルミニウム合金の押し出し材から形成されている。上ローラ114aと114b、下ローラ115aと115bの外周面はアルミニウムよりも硬質の金属材から形成されている。図2と図3に示すように、レール120の内側案内面121、122、123、124には、表面部がアルミニウム含有材よりも硬い材質から形成された板121a、122a、123a、124a、たとえば、表面部が硬質なステンレス鋼、ばね鋼等から形成された金属板が固着されている。レール120の内側案内面121、122、123、124は、レール120の内側空間に向かって凸になるように曲面状、たとえば円弧状に形成されているので、板121a、122a、123a、124aが内側案内面121、122、123、124に沿って変形し、板121a、122a、123a、124aの外表面は、上ローラ114aと114b、下ローラ115aと115bのそれぞれの外周面に向かって凸になるように曲面状、たとえば円弧状に形成されている。図3に示すように板124a(121a、122a、123a)は、レール120の本体に形成された押さえ部127a、127bと内側案内面124(121、122、123)との間に挟まれて三点で支持されるように固着されている。なお、板124a(121a、122a、123a)は、その外表面を曲面状に予め変形させた状態、たとえば円弧状に予め曲げた状態で、レール120の本体に形成された押さえ部127a、127bと内側案内面124(121、122、123)との間に挟まれて固着されてもよい。
【0041】
この実施の形態では、内側案内面121または122は、上ローラ114a、114bの軸の傾斜にほぼ整合するように傾斜した面を有し、下部スライダ111に近づくにつれてより上方に延びる傾斜面である。内側案内面123または124は、下ローラ115a、115bの軸の傾斜にほぼ整合するように傾斜した面を有し、下部スライダ121に近づくにつれてより下方に延びる傾斜面である。レール120の横断面において上ローラ114aと114bは略逆ハの字状に傾斜して配置され、下ローラ115aと115bは略ハの字状に傾斜して配置される。レール120の横断面において、上ローラ114aと114bの外周面が接触する内側案内面121と122は略ハの字状になるように傾斜した面を有し、下ローラ115aと115bの外周面が接触する内側案内面123と124は略逆ハの字状になるように傾斜した面を有する。レール120の両側部には、凹部125と126が設けられ、肉厚の薄い部分が形成されている。
【0042】
図1と図2に示すように、スリット部113の間隔を広げるための間隔調整部材として押しボルト118が設けられている。押しボルト118が下部スライダ111の第1部分111aからスリット部113を通じて第2部分111bに延びるように配置されている。押しボルト118の一方端は第1部分111aに形成された雌ねじに螺合し、他方端は第2部分111bに接触している。押しボルト118の他方端が接触する下部スライダ111の第2部分111bの箇所には、凹部が形成され、この凹部にウレタン樹脂層118dが埋め込まれて充填されている。これにより、押しボルト118からの圧力の衝撃を緩和することができる。
【0043】
押しボルト118を回動させて第2部分111bに向かって下方に移動させることによって、押しボルト118の他方端が第2部分111bの表面を押してスリット部113の間隔を広げることができ、下部スライダ111の第1部分111aと第2部分111bとの間の距離を広げることができる。これにより、下部スライダ111の第1部分111aに取り付けられた上ローラ114aと第2部分111bに取り付けられた下ローラ115aとの間の距離、下部スライダ111の第1部分111aに取り付けられた上ローラ114bと第2部分111bに取り付けられた下ローラ115bとの間の距離を広げることができる。
【0044】
上ローラ114aと114bの外周面はレール120の内側案内面121と122にそれぞれ接触することができ、下ローラ115aと115bの外周面はレール120の内側案内面123と124にそれぞれ接触することができる。このため、押しボルト118を用いて上ローラ114aと下ローラ115aとの間の距離、上ローラ114bと下ローラ115bとの間の距離を広げることによって、上ローラ114a、114bの外周面とレール120の内側案内面121、122との間の隙間、下ローラ115a、115bの外周面とレール120の内側案内面123、124との間の隙間をなくするように調整することができる。したがって、レール120と上ローラ114a、114b、下ローラ115a、115bとの間の隙間によるガタの発生を抑制することができる。スライダ110の上に取り付けられる移動積載物の位置が上下方向または左右方向にずれるという現象が生じても、押しボルト118によってスライダ110の位置ずれを容易に解消することが期待される。
【0045】
この実施の形態の場合、レール120の内側案内面121、122、123、124が傾斜し、それに応じて上ローラ114a、114b、下ローラ115a、115bの軸を傾斜させてそれぞれの外周面をレールの内側案内面に接触させることができるので、あらゆる方向の荷重を支えるように構成することができる。したがって、スライダ110の上に取り付けられる移動積載物によって荷重がどの方向から加えられても、押しボルト118を用いてレール120と上ローラ114a、114b、下ローラ115a、115bとの間の隙間をなくすることにより、スライダ110の位置ずれの発生を防止することが期待される。
【0046】
また、この実施の形態において、押しボルト118によりスリット部113の間隔を広げると、下部スライダ111の弾性変形によって上ローラ114a、114bの外周面とレール120の内側案内面121、122との間、下ローラ115a、115bの外周面とレール120の内側案内面123、124との間に予め圧力が与えられる。このように予め圧力が与えられた状態で上ローラ114a、114bの外周面とレール120の内側案内面121、122との接触状態と、下ローラ115a、115bの外周面とレール120の内側案内面123、124との接触状態を保つことが期待される。
【0047】
さらに、この実施の形態の場合、凹部125と126によりレール120の両側部に肉厚の薄い部分が形成されているので、上述したように内側案内面121、122、123、124に圧力が加えられたとき、レール120は上記の薄い部分で弾性力によって容易に撓むことができる。凹部125と126は、ナット等の他の構成要素部分を収容する空間として利用することもできる。
【0048】
しかしながら、通常、レール120の本体は、アルミニウムを主成分として含むアルミニウム含有材、たとえばアルミニウム合金等の押し出し材で製造される。このため、レール120の長手方向に沿って、内側案内面121と123との間の間隔、内側案内面122と124との間の間隔が変動し、これらの間隔にばらつきがある。これによってレール120と上ローラ114a、114b、下ローラ115a、115bとの間の隙間によってガタが発生し、スライダ110上の積載物の位置が上下方向または左右方向にずれるという現象を生じることが予期される。
【0049】
これに対して、この発明の直動アクチュエータ100においては、上ローラ114a、114b、下ローラ115a、115bの外周面は金属材から形成され、レール120の内側案内面121、122、123、124には、アルミニウム含有材よりも硬い材質から形成された板121a、122a、123a、124aが固着されている。この板121a、122a、123a、124aの外表面は上ローラ114a、114b、下ローラ115a、115bの外周面のそれぞれの外周面に向かって凸になるように曲面状に形成されている。このように構成されているので、レール120の内側案内面121と123との間の距離、内側案内面122と124との間の距離がレール120の長手方向に沿って変動するのを緩和することができ、レール120の内側案内面121と123との間の距離、内側案内面122と124との間の距離を均一にすることができる。これにより、スライダ110の走行を円滑にすることができるとともに、スライダ110上の積載物の位置が上下方向または左右方向にずれる原因を解消することができる。
【0050】
また、板121a、122a、123a、124aの外表面が上ローラ114a、114b、下ローラ115a、115bのそれぞれの外周面に向かって凸になるように曲面状に形成されているので、レール120の内側案内面121、122、123、124と上ローラ114a、114b、下ローラ115a、115bの外周面とが接触する面積を減らすことができる。これにより、レール120の内側案内面121、122、123、124に対する上ローラ114a、114b、下ローラ115a、115bの走行抵抗を低くすることができ、走行時の騒音を小さくすることができる。
【0051】
図4は、本発明のもう一つの実施の形態に従った直動アクチュエータにおいて下ローラとレールの内側案内面との接触部を拡大して示す部分拡大断面図である。
【0052】
図4に示すように、板124a(121a、122a、123a)は、レール120の内側案内面124(121、122、123)の上に板よりも軟質なシートとして、樹脂シート、ゴムシート等の軟質シート124bを介在させて固着されている。このように構成することによって、上ローラ114a、114b、下ローラ115a、115bの走行時の騒音をより小さくすることができる。
【0053】
なお、板124a(121a、122a、123a)の表面部を硬質な金属から形成し、板124aの表面にモリブデン等の潤滑処理を施してもよい。また、板124a(121a、122a、123a)の表面部を硬質な金属から形成し、板に微細な穴を形成し、あるいは板を多孔質の金属から形成し、下部の軟質シート124bを含油樹脂から形成することにより、下部の軟質シートから潤滑油が板の穴に染み出るようにしてもよい。
【0054】
さらに、この発明の直動アクチュエータ100の好ましい形態では、図1に示すように、駆動プーリ140は、歯付ベルト130を移動させるために一方側に配置されている。従動プーリ150は、歯付ベルト130を移動させるために他方側に配置され、駆動プーリ140よりも直径が大きい。中間ローラ141は、駆動プーリ140の側に配置され、歯付ベルト130の移動レベルを従動プーリ150に合わせて揃えるためのものである。
【0055】
このように駆動プーリ140の直径をよりも相対的に大きな直径の従動プーリ150を用いることによって歯付ベルト130の屈曲半径が大きくなるので、歯付ベルト130の寿命を高めることができる。
【0056】
また、歯付ベルト130の移動レベルを従動プーリ150に合わせて揃えるために、相対的に小さな直径の駆動プーリ140の側に中間ローラ141を配置することによって、駆動プーリ140から従動プーリに帰還する歯付ベルトがスライダ110の下面、すなわち、下部スライダ111の第2部分111bの下面に接触しないように構成することができる。これにより、歯付ベルト130の摩耗を防止することができる。
【0057】
図5は、この発明の一つの実施の形態としての直動アクチュエータに用いられる従動プーリの構成を示す断面図である。
【0058】
図5に示すように、この発明の直動アクチュエータ100の好ましい形態では、従動プーリ150は、複数の軸受部材として、たとえば2つのボールベアリング152a、152bと、2つのボールベアリング152a、152bの外輪に圧入されて固着され、外周面に凹部を有する環状部材として断面が凹形状のリング153とから構成される。歯付ベルト130はリング153の凹形状の外周面に沿って移動する。
【0059】
このように従動プーリ150をギアのない形態にすることによって、製造コストを削減することができる。
【0060】
図6は、本発明のもう一つの実施の形態に従った直動アクチュエータを部分的に破断して示す側面図である。
【0061】
図6に示すように、駆動プーリ140の下に、歯付ベルト130を支持するように支持ローラ142を設けてもよい。その他の構成は、図1に示す構成と同様である。このように支持ローラ142を設けることによって、歯付ベルト130の歯飛びを防止することができる。
【0062】
図7は本発明のさらにもう一つの実施の形態に従った直動アクチュエータにおいて図1のII−II線に沿った断面で下部スライダのみを示す横断面図、図8は本発明のさらにもう一つの実施の形態に従った直動アクチュエータにおいて下部スライダのみを示す側面図である。
【0063】
図7と図8に示すように、スライダ110において、下部スライダ111が左部分111cと右部分111dとの左右に分割されるようにスリット部113a、113bが形成されている。右部分111dには雌ネジ部111eが形成されている。スリット部113bの間隔を広げるための左右方向の間隔調整部材として、六角穴付の押しボルト118aと、押しボルト118aの先端面に接触して押圧される圧縮ばね部材118bとが雌ネジ部111eに挿入されて設けられている。押しボルト118aの先端部が圧縮ばね部材118bのばねの復帰力で押圧されることによって、左部分111cと右部分111dとの間の距離を広げる方向に付勢された状態で、下部スライダ111の左部分111cと右部分111dとが配置されている。このようにして、下ローラ115a、115b間の距離が上ローラ114a、114b間の距離に比べて変動し難くなるように構成することができる。このため、上ローラ114a、114bの外周面とレール120の内側案内面121、122との間の隙間、下ローラ115a、115bの外周面とレール120の内側案内面123、124との間の隙間をなくするように、すなわち、レール120と上ローラ114a、114b、下ローラ115a、115bとの間の隙間によるガタの発生を抑制するための調整作業を容易に行うことができるようになる。
【0064】
図9は本発明のさらに別の実施の形態に従った直動アクチュエータにおいて図1のII−II線に沿った断面で下部スライダのみを示す横断面図、図10は本発明のさらに別の実施の形態に従った直動アクチュエータにおいて下部スライダのみを示す側面図である。
【0065】
図9と図10に示すように、可動部材としてのスライダ110の内部、すなわち、下部スライダ111の内部には、たとえばフェルト片に潤滑油を含ませた油溜まり部113cと、潤滑油を油溜まり部113cから上ローラ114a、114b、下ローラ115a、115bのそれぞれの外周面に導くために油溜まり部113cから引き出されたフェルト片に潤滑油を含ませた油通路部113dとが形成されている。油通路部113dのそれぞれの表面に到達するように雌ねじ部111fが形成されている。雌ねじ部111fに六角穴付のボルト118cを挿入してボルトの先端で油通路部113dのフェルト片の一部を絞るように押圧することによって、油通路部113dから外に少量の潤滑油が出るようにする。油通路部113dから出た少量の潤滑油が上ローラ114a、114b、下ローラ115a、115bのそれぞれの外周面に供給される。
【0066】
このように構成されているので、スライダ110が移動する際に潤滑油を油溜まり部113cから油通路部113dを通じて上ローラ114a、114b、下ローラ115a、115bのそれぞれの外周面に供給することができる。これにより、金属材から形成された上ローラ114a、114b、下ローラ115a、115bの外周面の摩耗を防止することができる。
【0067】
この発明の直動アクチュエータ100の好ましい形態では、レール120の内側案内面121、122、123、124はスライダ110が移動する方向に沿って形成された傾斜面を有する。上ローラ114a、114b、下ローラ115a、115bのそれぞれの外周面は、内側案内面121、122、123、124のそれぞれの傾斜面に接触可能に配置されている。
【0068】
このようにすることにより、内側案内面121、122、123、124の傾斜面に接触可能な上ローラ114a、114b、下ローラ115a、115bの外周面があらゆる方向の荷重を支えるように構成することができる。したがって、荷重がどの方向から加わってもレール120と上ローラ114a、114b、下ローラ115a、115bとの間の隙間をなくすることによりスライダ110の位置ずれの発生を防止することができる。
【0069】
なお、上記の実施の形態では、図2に示すように、内側案内面121、122、123、124を傾斜面で構成し、これらの傾斜面に応じて上ローラ114a、114b、下ローラ115a、115bを傾斜させて配置しているが、内側案内面121、122、123、124を水平面で形成し、上ローラ114a、114b、下ローラ115a、115bを水平に配置しても、本発明の上述の作用効果を達成することができる。
【0070】
また、上記の実施の形態では、図1に示すように、上下ローラをベルトの走行方向に沿って互い違いにずらして配置することによって、レール120を形成する押し出し材の長手方向のうねりに起因してレール120の内側案内面121、122と内側案内面123、124との間の上下の走行面間の距離が変動するという影響を受け難くすることができる。上記の実施の形態では三組のローラを用いているが、四組のローラを用いて上下ローラを構成してもよい。また、上下ローラをベルトの走行方向に沿って互い違いにずらさないで、上下ローラの組をベルトの走行方向に沿って同じ位置に配置してもよい。
【0071】
なお、上記の実施の形態では、可動部材としての下部スライダにスリット部を形成し、スリット部の間隔を広げるための間隔調整部材としての押しボルトを設けたが、スリット部を形成せず、押しボルトを設けなくてもよい。
【0072】
この場合、内側案内面121に接触する位置にある上ローラ114aの外周面と内側案内面123に接触する位置にある下ローラ115aの外周面との間の距離が内側案内面121と123の間の距離に比べて大きくなるように、また、内側案内面122に接触する位置にある上ローラ114bの外周面と内側案内面124に接触する位置にある下ローラ115bの外周面との間の距離が内側案内面122と124の間の距離に比べて大きくなるように下部スライダ111を構成する。そして、スライダ110とレール120とを組み合わせて直動アクチュエータ100を構成すると、内側案内面121、122に接触する上ローラ114a、114bの外周面と内側案内面123、124に接触する下ローラ115a、115bの外周面とによって内側案内面121、122と内側案内面123,124の間の距離が広げられるので、レール120に弾性変形が生じる。このレール120の弾性変形によって、上ローラ114a、114bの外周面とレール120の内側案内面121、122との間、下ローラ115a、115bの外周面とレール120の内側案内面123、124との間に予め圧力が与えられる。このように予め圧力が与えられた状態で上ローラ114a、114bの外周面とレール120の内側案内面121、122との接触状態と、下ローラ115a、115bの外周面とレール120の内側案内面123、124との接触状態を保つことができる。いいかえれば、弾性力によって予め圧力が与えられている状態を保持することができるように内側案内面121、122と内側案内面123、124の間の距離を広げることができる。
【0073】
これにより、レール120において内側案内面121と123の間の距離、内側案内面122と124の間の距離にばらつきがあり、または、上ローラ114a、114b、下ローラ115a、115bの外径寸法にばらつきがあり、それによってレール120と上ローラ114a、114b、下ローラ115a、115bとの間の隙間によってガタが発生し、上下方向または左右方向に積載物の位置がずれるという現象を生じることが予期されたとしても、レール120の弾性変形によって上ローラ114a、114bの外周面とレール120の内側案内面121、122との間、下ローラ115a、115bの外周面とレール120の内側案内面123、124との間には予め圧力が与えられているので、その位置ずれの発生原因を容易に解消することが期待される。
【0074】
しかしながら、この場合でも、通常、レール120の本体は、アルミニウムを主成分として含むアルミニウム含有材、たとえばアルミニウム合金等の押し出し材で製造される。ので、レール120の長手方向に沿って、内側案内面121と123との間の間隔、内側案内面122と124との間の間隔が変動し、これらの間隔にばらつきがある。これによってレール120と上ローラ114a、114b、下ローラ115a、115bとの間の隙間によってガタが発生し、スライダ110上の積載物の位置が上下方向または左右方向にずれるという現象を生じることが予期される。
【0075】
これに対して、この発明の直動アクチュエータ100においては、上ローラ114a、114b、下ローラ115a、115bの外周面は金属材から形成され、レール120の内側案内面121、122、123、124には、表面部がアルミニウム含有材よりも硬い材質から形成された板121a、122a、123a、124aが固着されている。この板121a、122a、123a、124aの外表面は上ローラ114a、114b、下ローラ115a、115bの外周面のそれぞれの外周面に向かって凸になるように曲面状に形成されている。このように構成されているので、レール120の内側案内面121と123との間の距離、内側案内面122と124との間の距離がレール120の長手方向に沿って変動するのを緩和することができ、レール120の内側案内面121と123との間の距離、内側案内面122と124との間の距離を均一にすることができる。これにより、スライダ110の走行を円滑にすることができるとともに、スライダ110上の積載物の位置が上下方向または左右方向にずれる原因を解消することができる。
【0076】
また、板121a、122a、123a、124aの外表面が上ローラ114a、114b、下ローラ115a、115bのそれぞれの外周面に向かって凸になるように曲面状に形成されているので、レール120の内側案内面121、122、123、124と上ローラ114a、114b、下ローラ115a、115bの外周面とが接触する面積を減らすことができる。これにより、レール120の内側案内面121、122、123、124に対する上ローラ114a、114b、下ローラ115a、115bの走行抵抗を低くすることができ、走行時の騒音を小さくすることができる。
【0077】
なお、上記の実施の形態では、案内面を上下方向に対向させ、回転部材として上下ローラを用いて可動部材としてのスライダの直線往復移動を案内しているが、案内面を左右方向に対向させ、回転部材として左右ローラを用いて可動部材としてのスライダの直線往復移動を案内しても、本発明の上述した作用効果を達成することができる。
【0078】
また、上記の実施の形態では、スリット部の間隔を広げるための間隔調整部材を備え、スリット部の間隔を広げる方向に弾性の張力が働くように間隔調整部材を形成し配置した直動アクチュエータの例を説明した。しかし、これとは逆に、スリット部の間隔を狭めるための間隔調整部材を備え、スリット部の間隔を狭める方向に弾性の圧縮力が働くように間隔調整部材を形成し配置して直動アクチュエータを構成しても、本発明の上述した作用効果を達成することができる。この場合、たとえば、第1と第2の回転部材として上ローラと下ローラの間で対向するそれぞれの外周面に、案内部材としてのレールの第1と第2の案内面が上ローラと下ローラの間に介在して接触するように直動アクチュエータを構成すればよい。
【0079】
図11は、本発明のさらにまた別の実施の形態に従った直動アクチュエータを部分的に破断して示す側面図である。
【0080】
図1に示す実施の形態では従動プーリ150の直径を駆動プーリ140の直径よりも大きくしたが、図11に示すように駆動プーリ140と従動プーリ150の直径を同じにしてもよい。このようにしても、本発明の上述した作用効果を達成することができる。
【0081】
また、図11に示すように、下部スライダ111は、二つのスリット部113eと113fによって第1部分111aと第2部分111bに分割されている。スリット部113e、113fのそれぞれの間隔を広げるための間隔調整部材として二つの押しボルト118が下部スライダ111の両端部側で上ローラ114の外側に設けられている。下部スライダ111の第2部分111bの厚みは第1部分111aの厚みに比べて薄く形成されている。これにより、押しボルト118を回動させて第2部分111bに向かって下方に移動させることにより、押しボルト118の他方端が第2部分111bの表面を押して、薄い第2部分111bのみを弾性変形させて、スリット部113e、113fの間隔を広げることができる。このようにしても、本発明の上述した作用効果を達成することができる。なお、上記の構成は、図1〜図10に示された本発明の種々の実施の形態のいずれの直動アクチュエータにも適用することができる。
【0082】
以上に開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考慮されるべきである。本発明の範囲は、以上の実施の形態ではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての修正や変形を含むものである。
【図面の簡単な説明】
【0083】
【図1】図1は本発明の一つの実施の形態に従った直動アクチュエータを部分的に破断して示す側面図である。
【図2】本発明の一つの実施の形態に従った直動アクチュエータを図1のII−II線に沿った断面で示す横断面図である。
【図3】図2における下ローラとレールの内側案内面との接触部を拡大して示す部分拡大断面図である。
【図4】本発明のもう一つの実施の形態に従った直動アクチュエータにおいて下ローラとレールの内側案内面との接触部を拡大して示す部分拡大断面図である。
【図5】この発明の一つの実施の形態としての直動アクチュエータに用いられる従動プーリの構成を示す断面図である。
【図6】本発明のもう一つの実施の形態に従った直動アクチュエータを部分的に破断して示す側面図である。
【図7】本発明のさらにもう一つの実施の形態に従った直動アクチュエータにおいて図1のII−II線に沿った断面で下部スライダのみを示す横断面図である。
【図8】本発明のさらにもう一つの実施の形態に従った直動アクチュエータにおいて下部スライダのみを示す側面図である。
【図9】本発明のさらに別の実施の形態に従った直動アクチュエータにおいて図1のII−II線に沿った断面で下部スライダのみを示す横断面図である。
【図10】本発明のさらに別の実施の形態に従った直動アクチュエータにおいて下部スライダのみを示す側面図である。
【図11】本発明のさらにまた別の実施の形態に従った直動アクチュエータを部分的に破断して示す側面図である。
【符号の説明】
【0084】
100:直動アクチュエータ、110:スライダ、111:下部スライダ、111a:第1部分、111b:第2部分、113,113a,113b:スリット部、114,114a,114b:上ローラ、115,115a,115b:下ローラ、118,118a:押しボルト、120:レール、121,122,123,124:内側案内面、121a,122a,123a,124a:板、124b:軟質シート、130:歯付ベルト、140:駆動プーリ、141:中間ローラ、150:従動プーリ、152a,152b:ボールベアリング、153:リング。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに対向する第1と第2の案内面を有する案内部材と、
前記案内部材に沿って移動することができるように配置され、第1と第2の部分を含む可動部材と、
前記案内部材の第1の案内面に接触可能な外周面を有し、前記可動部材の第1の部分に取り付けられた第1の回転部材と、
前記案内部材の第2の案内面に接触可能な外周面を有し、前記可動部材の第2の部分に取り付けられた第2の回転部材とを備え、
前記案内部材の本体はアルミニウムを主成分として含むアルミニウム含有材から形成され、前記第1と第2の回転部材の外周面は金属材から形成され、前記案内部材の第1と第2の案内面には、表面部が前記アルミニウム含有材よりも硬い材質から形成された板が固着されており、前記板の外表面は前記第1の回転部材および前記第2の回転部材のそれぞれの外周面に向かって凸になるように曲面状に形成されている、直動アクチュエータ。
【請求項2】
互いに対向する第1と第2の案内面を有する案内部材と、
前記案内部材に沿って移動することができるように配置され、スリット部を有し、このスリット部によって分割された第1と第2の部分を含む可動部材と、
前記案内部材の第1の案内面に接触可能な外周面を有し、前記可動部材の第1の部分に取り付けられた第1の回転部材と、
前記案内部材の第2の案内面に接触可能な外周面を有し、前記可動部材の第2の部分に取り付けられた第2の回転部材と、
前記スリット部の間隔を変更するための間隔調整部材とを備え、
前記案内部材の本体はアルミニウムを主成分として含むアルミニウム含有材から形成され、前記第1と第2の回転部材の外周面は金属材から形成され、前記案内部材の第1と第2の案内面には、表面部が前記アルミニウム含有材よりも硬い材質から形成された板が固着されており、前記板の外表面は、前記第1の回転部材および前記第2の回転部材のそれぞれの外周面に向かって凸になるように曲面状に形成されている、直動アクチュエータ。
【請求項3】
前記板は、前記案内部材の第1と第2の案内面の上に前記板よりも軟質なシートを介在させて固着されている、請求項1または請求項2に記載の直動アクチュエータ。
【請求項4】
前記可動部材の内部には、油溜まり部と、油を前記油溜まり部から前記第1と第2の回転部材の外周面に導く油通路部とが形成されている、請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載の直動アクチュエータ。
【請求項5】
前記可動部材を往復移動させるために前記可動部材に取付けられた歯付ベルトと、
前記歯付ベルトを移動させるために一方側に配置された駆動プーリと、
前記歯付ベルトを移動させるために他方側に配置され、前記駆動プーリよりも直径が大きい従動プーリと、
前記駆動プーリの側に配置され、前記歯付ベルトの移動レベルを前記従動プーリに合わせて揃えるための中間ローラとをさらに備える、請求項1から請求項4までのいずれかに記載の直動アクチュエータ。
【請求項6】
前記従動プーリは、複数の軸受部材と、複数の前記軸受部材の外輪に固着され、外周面に凹部を有する環状部材とから構成される、請求項5に記載の直動アクチュエータ。
【請求項7】
前記案内部材の第1と第2の案内面は前記可動部材が移動する方向に沿って形成された傾斜面を有し、前記第1の回転部材は前記案内部材の第1の案内面の傾斜面に接触可能に配置され、前記第2の回転部材は前記案内部材の第2の案内面の傾斜面に接触可能に配置されている、請求項1から請求項6までのいずれか1項に記載の直動アクチュエータ。
【請求項8】
前記案内部材の横断面において、一組の前記第1の回転部材は略逆ハの字状に傾斜して配置され、一組の前記第2の回転部材は略ハの字状に傾斜して配置され、一組の前記第1の回転部材の外周面が接触する一組の前記第1の案内面は略ハの字状になるように傾斜した面を有し、一組の前記第2の回転部材の外周面が接触する一組の前記第2の案内面は略逆ハの字状になるように傾斜した面を有する、請求項7に記載の直動アクチュエータ。
【請求項1】
互いに対向する第1と第2の案内面を有する案内部材と、
前記案内部材に沿って移動することができるように配置され、第1と第2の部分を含む可動部材と、
前記案内部材の第1の案内面に接触可能な外周面を有し、前記可動部材の第1の部分に取り付けられた第1の回転部材と、
前記案内部材の第2の案内面に接触可能な外周面を有し、前記可動部材の第2の部分に取り付けられた第2の回転部材とを備え、
前記案内部材の本体はアルミニウムを主成分として含むアルミニウム含有材から形成され、前記第1と第2の回転部材の外周面は金属材から形成され、前記案内部材の第1と第2の案内面には、表面部が前記アルミニウム含有材よりも硬い材質から形成された板が固着されており、前記板の外表面は前記第1の回転部材および前記第2の回転部材のそれぞれの外周面に向かって凸になるように曲面状に形成されている、直動アクチュエータ。
【請求項2】
互いに対向する第1と第2の案内面を有する案内部材と、
前記案内部材に沿って移動することができるように配置され、スリット部を有し、このスリット部によって分割された第1と第2の部分を含む可動部材と、
前記案内部材の第1の案内面に接触可能な外周面を有し、前記可動部材の第1の部分に取り付けられた第1の回転部材と、
前記案内部材の第2の案内面に接触可能な外周面を有し、前記可動部材の第2の部分に取り付けられた第2の回転部材と、
前記スリット部の間隔を変更するための間隔調整部材とを備え、
前記案内部材の本体はアルミニウムを主成分として含むアルミニウム含有材から形成され、前記第1と第2の回転部材の外周面は金属材から形成され、前記案内部材の第1と第2の案内面には、表面部が前記アルミニウム含有材よりも硬い材質から形成された板が固着されており、前記板の外表面は、前記第1の回転部材および前記第2の回転部材のそれぞれの外周面に向かって凸になるように曲面状に形成されている、直動アクチュエータ。
【請求項3】
前記板は、前記案内部材の第1と第2の案内面の上に前記板よりも軟質なシートを介在させて固着されている、請求項1または請求項2に記載の直動アクチュエータ。
【請求項4】
前記可動部材の内部には、油溜まり部と、油を前記油溜まり部から前記第1と第2の回転部材の外周面に導く油通路部とが形成されている、請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載の直動アクチュエータ。
【請求項5】
前記可動部材を往復移動させるために前記可動部材に取付けられた歯付ベルトと、
前記歯付ベルトを移動させるために一方側に配置された駆動プーリと、
前記歯付ベルトを移動させるために他方側に配置され、前記駆動プーリよりも直径が大きい従動プーリと、
前記駆動プーリの側に配置され、前記歯付ベルトの移動レベルを前記従動プーリに合わせて揃えるための中間ローラとをさらに備える、請求項1から請求項4までのいずれかに記載の直動アクチュエータ。
【請求項6】
前記従動プーリは、複数の軸受部材と、複数の前記軸受部材の外輪に固着され、外周面に凹部を有する環状部材とから構成される、請求項5に記載の直動アクチュエータ。
【請求項7】
前記案内部材の第1と第2の案内面は前記可動部材が移動する方向に沿って形成された傾斜面を有し、前記第1の回転部材は前記案内部材の第1の案内面の傾斜面に接触可能に配置され、前記第2の回転部材は前記案内部材の第2の案内面の傾斜面に接触可能に配置されている、請求項1から請求項6までのいずれか1項に記載の直動アクチュエータ。
【請求項8】
前記案内部材の横断面において、一組の前記第1の回転部材は略逆ハの字状に傾斜して配置され、一組の前記第2の回転部材は略ハの字状に傾斜して配置され、一組の前記第1の回転部材の外周面が接触する一組の前記第1の案内面は略ハの字状になるように傾斜した面を有し、一組の前記第2の回転部材の外周面が接触する一組の前記第2の案内面は略逆ハの字状になるように傾斜した面を有する、請求項7に記載の直動アクチュエータ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2008−240747(P2008−240747A)
【公開日】平成20年10月9日(2008.10.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−77943(P2007−77943)
【出願日】平成19年3月23日(2007.3.23)
【出願人】(000100838)アイセル株式会社 (62)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年10月9日(2008.10.9)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年3月23日(2007.3.23)
【出願人】(000100838)アイセル株式会社 (62)
【Fターム(参考)】
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