説明

直動案内ユニット

【課題】 本発明は,焼結樹脂から形成され一側に芯金を取り付けた潤滑プレートをケースに収容することにより,潤滑プレートの変形を抑制し且つ軌道レールの軌道溝に精度よく摺接した直動案内ユニットを提供する。
【解決手段】 軌道レール102に対して摺動するスライダ101のエンドキャップ106には,一側に高剛性を有する芯金を取り付けた潤滑プレートをケースに収容して構成した給油装置150が取付けボルトによって取り付けられている。焼結樹脂から成形される潤滑プレート部分から成る潤滑プレートの変形は,芯金とケースとによって防止され,軌道レール102の軌道溝104に対する摺接が高い精度で維持される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は,軌道レールと前記軌道レールに対して相対摺動可能なスライダとから成り,摺動部分に潤滑剤を供給する給油装置を備えた直動案内ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
近年,メカトロ技術の発展がめざましく,各種ロボット,半導体製造装置,検査装置,切削・研削機械等の各技術分野において,各機械や装置の往復動作が求められる部分には,高精度,高速化,小型化等の要求を満たすために直動案内ユニットが組み込まれている。直動案内ユニットにおいては,高精度や高速化等の性能向上に加えてメンテナンスフリーが重視されるようになっており,摺動部分に対しては,長期に渡って自己潤滑できることが要求されている。
【0003】
本出願人の提案による直動案内ユニットは,図17〜図19に示すように,一対の長手方向側面3に軌道溝4を形成した軌道レール2と,軌道レール2上を跨架して摺動可能に装着されたスライダ1とから構成されている。図17は従来の直動案内ユニットを一部を破断して示す斜視図,図18は図17に示す直動案内ユニットの正面図,図19は図17に示す直動案内ユニットに用いられる給油装置の潤滑プレートの正面図である。軌道レール2は,一対の長手方向側面3が軌道溝4の領域で凹んだI型断面形状を有している。スライダ1は,軌道レール2に対して相対摺動可能なケーシング5,及びケーシング5の摺動方向,即ち,長手方向両端にそれぞれ取り付けられたエンドキャップ6を備えている(例えば,特許文献1参照)。
【0004】
ケーシング5には,各軌道溝4に対向する位置に軌道溝9が形成されており,対向する軌道溝4,9間には,転走する多数の転動体7が配置されている。ケーシング5から転動体7が脱落するのを防止するため,保持バンド18が多数の転動体7を囲むようにケーシング5に取り付けられている。ケーシング5及びエンドキャップ6と軌道レール2の長手方向側面3との間の隙間をシールするため,エンドキャップ6及びケーシング5の下面に下面シール8が取り付けられている。軌道レール2の軌道溝4とケーシング5の軌道溝9とによって形成される負荷軌道路を走行する転動体7は,エンドキャップ6内に形成された方向転換路(図示せず)に導かれ,更にケーシング5の軌道溝9と平行に形成されたリターン通路孔12に移動するので,多数の転動体7は軌道溝4,9間の負荷軌道路と,方向転換路及びリターン通路孔12から成る無負荷軌道路とから構成される無限循環路内を循環可能である。スライダ1は,軌道溝4,9間の負荷軌道路を転動体7が転走することにより,軌道レール2上を摺動自在に相対運動ができる。
【0005】
軌道レール2上には,相対摺動する潤滑プレート40と潤滑プレート40を支持する支持体21とから成る給油装置15が,エンドキャップ6の端面16に配置されている。給油装置15は,ケーシング5の端面形状に合わせた略コ字状の形状を有する均一な厚みの板状体であり,コ字状の開口側を軌道レール2に跨がせて設けられる。エンドシール17は,給油装置15の端面に配置され且つ軌道レール2上を相対摺動するように設けられる。支持体21は,上部28,上部の左右両端から垂下する一対の側部29,及び一対の側部29の下端から互いに向かって延びる下部30から構成されており,全体として門形の枠体の形状を有している。給油装置15を軌道レール2に装着した状態では,上部28は軌道レール2の上面14と平行に延び,側部29は軌道レール2の長手方向側面3に平行に垂下し,下部30は,上部28と平行に且つ軌道レール2の長手方向側面3に向かって延びている。支持体21は,軌道レール2に対向する区域を除いて潤滑プレート40の周囲を取り囲んで支持している。潤滑プレート40のスライダ1の摺動方向に面する端面,即ち,エンドキャップ6及びエンドシール17と面する端面は,支持体21によって覆われていない。従って,スライダ1に組み付けられる前の個々の状態では外部に露出しており,スライダ1に組み付けられた状態でエンドキャップ6及びエンドシール17に覆われることになる。支持体21は,潤滑プレート40の外周面を被覆して多孔質構造の多孔を閉鎖している。支持体21は,潤滑プレート40に対する防塵,破損の防止,潤滑油の漏れを防止している。
【0006】
支持体21は,金属,合成樹脂,又は合成ゴム等で作製される。支持体21は,給油装置15を軌道レール2或いはスライダ1に装着する場合に,弾性変形又は復元可能な塑性変形をして給油装置15の取扱いを容易にする素材で構成されている。潤滑プレート40を支持体21に装着する場合,又は直動案内ユニットにおいてケーシング5,エンドキャップ6及びエンドシール17を軌道レール2上に置いたままの状態で給油装置15を組付け又は分解をする場合には,支持体21は,破損はしないが容易に塑性変形又は弾性変形をすることによって,潤滑プレート40が簡単に装着され,或いは給油装置15として軌道レール2へ簡単に装着される。
【0007】
この直動案内ユニットにおいて,給油装置15をスライダ1の長手方向両端にそれぞれ取り付けられたエンドキャップ6の端面に押し当てた状態でケーシング5に取り付けるために,給油装置15の支持体21には,四隅において補強部22が形成されており,各補強部22には取付けボルト25が挿通する取付孔24が形成されている。支持体21の取付孔24に対応して,支持体21を両側から挟み込むエンドキャップ6とエンドシール17とにも,それぞれ,取付けボルト25が挿通する取付孔26,27が形成されている。エンドキャップ6の取付孔26,支持体21の取付孔24,及びエンドシール17の取付孔27をこの順で挿通する取付けボルト25を,スライダ1のケーシング5のボルト穴に螺入することにより,エンドキャップ6,支持体21及びエンドシール17がスライダ1に取り付けられ,支持体21は,エンドキャップ6とエンドシール17との間に挟持された状態で保持される。支持体21が合成樹脂や合成ゴムで製作されている場合,支持体21がボルトの締付け力によって変形しないように,取付孔24内にカラー23を配置し,取付けボルト25をカラー23に挿通して,カラー23に取付けボルト25の締付け力の一部を負担させることができる。
【0008】
潤滑プレート40は,図19に示すように,軌道レール2の左右両側に二分割され且つ軌道レール2の各軌道溝4に個別に摺接可能な潤滑プレート部分41,41から構成されている。各潤滑プレート部分41は,支持体21に組み立てた状態では,支持体21の中央部分33によって分離された状態で配置されている。給油装置15は,軌道レール2に対して個々に組み立てた潤滑プレート部分41を支持体21で覆った状態でケーシング5に固定して組み付けられる。支持体21は,潤滑プレート部分41を囲むことで安定したものに構成できると共に,上記のような防塵,破損の防止,及び潤滑油の漏れの防止というカバーの機能も果たす。各潤滑プレート部分41は,潤滑すべき軌道溝4への潤滑に必要なボリュームのものを用意すればよいので,潤滑プレート40の小型化が図られる。
【0009】
潤滑プレート部分41,41は,軌道レール2の両側に対称形に配置されるので,同じ形に量産された潤滑プレート部分41,41が,線A−Aに対して一方を他方に対して反転した状態で,やはり対称形に形成され支持体21に組み付けられる。潤滑プレート部分41の成形型は,同じものを用いるので,給油装置15の製造コストが低減される。支持体21の上部28は軌道レール2の上面14に向かって延びる中央部分33を備えており,各潤滑プレート部分41は,中央部分33を有する上部28,側部29,及び下部30によって囲まれることによって互いに分離した状態で支持体21に保持される。二分割された潤滑プレート部分41は,支持体21の上記各部で支持されているので,上記各部の存在しない部分が軌道レール2の軌道溝4に対向して開放されている。
【0010】
給油装置15において,支持体21の上部28及び側部29には,それぞれ窓孔31,窓孔32が形成されている。支持体21に窓孔31,32を形成することによって,支持体21の製作に用いる素材の材料が節約され,且つ外部から支持体21に遮られることなく潤滑プレート40にアクセス,即ち,例えば,窓孔31,32を通しての潤滑プレート40の状態の確認と,窓孔31,32を通しての潤滑プレート40への潤滑油の供給が可能になる。各潤滑プレート部分41の凸部42,43は,窓孔31,32に,それぞれ,約半分程度の深さにまで係合している。凸部42,43を支持体21の窓孔31,32に係合させるには,支持体21を若干広がるように,又は潤滑プレート部分41を圧縮するように弾性変形させる。凸部42,43を窓孔31,32に嵌合させることにより,潤滑プレート部分41は,支持体21により確実に支持され,スライダ1への着脱時に潤滑プレート部分41が支持体21から脱落することがない。
【0011】
潤滑プレート40は,多孔質構造を有する焼結樹脂部材と前記焼結樹脂部材の前記多孔質構造の多孔部に含浸された潤滑油から構成されている。また,潤滑プレート40を構成する焼結樹脂部材は,合成樹脂の微粒子を加圧加熱成形して製作されている。潤滑プレート40は,その内周面が少なくとも軌道レール2の軌道溝4に摺接するように内方に突出した摺動凸部44を備えており,焼結樹脂部材に含浸された潤滑剤(又は潤滑油)を軌道溝4に常に供給する。潤滑プレート40の素材である成形品は,例えば,金属との接合が良好である超高分子量ポリエチレン樹脂の微粒子,例えば,細粒径が30μmで,粗粒径が250〜300μmの粉末を,所定の成形型に充填し,加圧加熱成形して作製したオープンポアから成る多孔質の焼結樹脂部材で作製されている。潤滑プレート40の多孔質の焼結樹脂部材の空間率は,例えば,40〜50%である。
【0012】
潤滑プレート40は,上記の多孔質の焼結樹脂部材を,潤滑油であるタービン油に浸漬し,潤滑油を多孔部に含浸させたものである。例えば,潤滑プレート40を30分間浸漬することによって,潤滑油の含有率を41wt%,潤滑油の含有量を2cc程度に調整することができる。潤滑油の含有率は,スライダ1の使用条件等に対応して調整することができる。潤滑プレート40を構成する焼結樹脂部材は,高精度に簡単に成形することができ,例えば,±0.025程度の加工精度を確保でき,精密機械に組み込まれる直動案内ユニットとしては極めて最適な部品として提供できる。
【0013】
上記のような給油装置を備えた直動案内ユニットであれば,軌道レールの軌道溝への潤滑は,外部からの付勢力で潤滑プレートを軌道溝に押し付けることなく,潤滑プレートから潤滑剤を供給して行われ,潤滑プレートと軌道溝との摺動抵抗が軽減されると共に,潤滑プレートの軌道レールとの摺動に起因した潤滑プレートの摩耗が抑制される。
【特許文献1】特開平11−93952号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
ところで,上記のような給油装置を備えた直動案内ユニットにおいて,潤滑プレートを構成する一対の潤滑プレート部分は支持体に対して上部及び側部において窓孔に凸部で嵌合しており,また,潤滑プレート部分の前後面に当接する場合であっても,支持体に一体的に形成した端板部が潤滑プレート部分の一方の前後面にのみ当接しているのみであるので,潤滑プレートの支持体に対する支持が必ずしも充分でないことがある。そこで,潤滑プレートを前後の両面から保持することで,スライダが軌道レールに対して摺動するときの潤滑プレートと軌道溝との摺動抵抗をより一層軽減し,潤滑プレートの摺動を一層スムーズに且つ安定させ,摺動に起因する潤滑プレートの摩耗を一層抑制する点で解決すべき課題がある。
【0015】
この発明の目的は,上記課題を解決することであり,支持体に対して潤滑プレートを前後の両面から保持し,スライダの軌道レールに対する摺動抵抗を一層軽減して,直動案内ユニットのスライダを軌道レールに対して軽快にスライドさせることを可能とし,摺動に起因する潤滑プレートの摩耗と目詰まりとを一層抑制することを可能にする直動案内ユニットを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0016】
この発明は,長手方向に軌道溝が形成された軌道レールと前記軌道レールに対して相対摺動可能なスライダとから成り,前記スライダは,前記軌道レールの前記軌道溝に対向した軌道溝とリターン通路孔とが形成されたケーシング,前記軌道溝間に形成される負荷軌道路を転走する転動体,前記ケーシングの両端面にそれぞれ固定され且つ前記負荷軌道路と前記リターン通路孔とを接続して前記転動体が循環する無限循環路を形成する方向転換路が形成されたエンドキャップ,前記軌道レールに形成された前記軌道溝を潤滑するため前記エンドキャップの端面に取り付けられた給油装置,及び前記給油装置の端面に取り付けられたエンドシールを具備しており,前記軌道レールは長手方向両内側面に前記軌道溝が形成されており,前記スライダは前記軌道レール内に嵌合した状態で前記軌道レールに対して相対摺動自在に配設されており,前記給油装置は,潤滑剤が含浸された多孔質構造を有する焼結樹脂部材から構成された潤滑プレート,前記潤滑プレートを補強するため前記潤滑プレートの一側に取り付けられた芯金,及び前記潤滑プレートの他側と前記潤滑プレートの周面とを覆うと共に前記芯金と協働して前記潤滑プレートを収容するケースを有していることから成る直動案内ユニットに関する。
【0017】
この直動案内ユニットによれば,焼結樹脂部材から構成された潤滑プレートは,一側に取り付けられた芯金によって補強され,且つ芯金と協働して他側から装着されるケースによって包囲された状態でケースに収容されているので,潤滑プレートは,芯金とケースとによって前後両面から保持され,外力によって変形を生じようとするのが防止される。潤滑剤含有部材としての潤滑プレートは,軌道レールの軌道溝に強く圧接されたり軌道溝から離れることがなく,軌道溝と実質的に接触状態に維持され,軌道溝に的確に潤滑剤を供給する。また,スライダが軌道レールに対して摺動するときに,潤滑プレートの軌道溝に対する摺動がスムーズに且つ安定され,潤滑プレートと軌道溝との摺動抵抗が軽減し,摺動に起因する潤滑プレートの摩耗が抑制される。
【0018】
前記潤滑プレートは,前記ケース内に収容されて前記潤滑剤を貯留する潤滑プレート本体と,前記潤滑プレート本体と一体的に形成され且つ前記軌道レールに形成されている前記軌道溝に摺接して前記潤滑プレート本体に貯留された前記潤滑剤を前記軌道溝に供給する摺接部分から成り,前記ケースには前記摺接部分が前記潤滑プレート本体から突出するための開口が形成されている。潤滑プレートの確実な保持のために潤滑プレートはケースに収容されるが,軌道レールに形成されている軌道溝に摺接させるために,潤滑プレート本体から突出して形成されている摺接部分をケースに形成された開口から突出させている。
【0019】
前記給油装置は前記エンドシール及び前記エンドキャップと共に取付けボルトによって前記エンドシールと前記エンドキャップとの間に挟み込まれた状態で前記ケーシングに取り付けられており,前記取付けボルトによる締付け荷重は前記潤滑プレートを介することなく前記芯金と前記ケースとの間で直接的に伝達される。エンドキャップ,給油装置及びエンドシールは,取付けボルトによって一緒に締め付けられるが,取付けボルトによる締付け荷重は芯金とケースとの間で直接的に伝達されるので,潤滑プレートには取付けボルトの締め付け力に起因して変形が生じることがない。
【0020】
前記ケースには,前記取付けボルトが挿通される位置に対応して前記芯金に当接して前記締付け荷重を伝達する挿通ボスが形成されている。取付けボルトによる締付け荷重は,殆ど,ケースにおいては取付けボルトの近傍周囲に設けられている挿通ボスを介して伝達されるので,締付け荷重による潤滑プレートの変形が効率的に防止される。
【0021】
前記芯金は,前記芯金の一部を折り曲げて形成された又は前記芯金に打ち立てられた突刺し爪が前記潤滑プレートに突き刺されることによって,前記潤滑プレートに取り付けられている。
【0022】
前記潤滑プレートは左右一対に分割された潤滑プレート部分から構成されている。また,前記潤滑プレートを構成する前記焼結樹脂部材は,超高分子量の合成樹脂微粒子を所定の金型に充填して加熱成形することにより形成されている。
【発明の効果】
【0023】
この発明による直動案内ユニットによれば,焼結樹脂部材が例えば,±0.025程度の高精度に簡単に成形されること,及び潤滑プレートには一側で芯金が取り付けられ且つ他側からケースが装着されることにより,潤滑プレートが芯金とケースとで安定して且つ変形が抑制された状態で収容されるので,潤滑プレートの変形が芯金とケースとによって防止され,潤滑プレートと軌道溝との隙間が精度良く維持される。従って,軌道レールに対するスライダの摺動抵抗を低減でき,スライダを軌道レールに対して軽快にスライドさせることができると共に,潤滑剤は潤滑プレートから軌道溝に常にスムーズに供給され,軌道溝には良好な潤滑状態が確保され,更に,摩耗等の発生が防止され,潤滑プレートの摺接部の目詰まりを防止することができる。潤滑プレートは,既に切削機械等に組み込まれている従来の直動案内ユニットに対しても,スライダの端面に簡単に取り付けることができるので,既存の機械における直動案内ユニットの自己潤滑性能を向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下,図面を参照して,この発明による直動案内ユニットの基本的な実施例を説明する。以下の図面において,図17〜図19に示した従来の直動案内ユニットと同一の構造及び機能を有する部品及び部位には同一の符号が用いられているので,これらの部品及び部位についての再度の説明を省略する。
【0025】
図1〜図8に示された直動案内ユニットU1は,比較的負荷が小さい小型の直動案内ユニットである。直動案内ユニットU1の摺動内部の構造は,図17に一部を破断して示す従来の直動案内ユニットの構造と同様であるので,再度の説明を省略する。直動案内ユニットU1において,エンドキャップ6とエンドシール17との間に挟まれて取付けボルト25によって締め付けられた状態に配設される給油装置50は,図1に示すように,軌道レール2の各側に対応して配置された一対の潤滑プレート51と,潤滑プレート51のエンドキャップ6側の面に配置される芯金52と,潤滑プレート51をエンドシール17側から収容するケース53とを備えている。図1に一部を分解して示すスライダ1は,図2に示すように組み立てられて,軌道レール2に摺動可能に装着される。給油装置15は,ケーシング5の端面形状に合わせた略コ字状の形状を有する均一な厚みの板状体であり,コ字状の開口側を軌道レール2に跨がせて設けられる。
【0026】
潤滑プレート51は,図1に示す斜視図から理解されるように,左右両側に二分割され,軌道レール2の長手方向側面3に形成された各軌道溝4に個別に摺接する潤滑プレート部分51a,51bを有している。潤滑プレート部分51a,51bは,潤滑すべき軌道溝4への潤滑に必要なボリュームのものを用意すればよいので,潤滑プレート51の小型化を図ることができる。潤滑プレート部分51a,51bは,図19に示す潤滑プレート部分41と同様に,同じ形に量産されたものが反転した状態で芯金52に取り付けられ,且つケース53に収容される。この場合,芯金52及びケース53も,左右中心線に対して対称形に形成される。潤滑プレート部分51a,51bの成形型は同じものを用いるので,給油装置50の製造コストが低減される。
【0027】
図3に示した正面図及び図4に示す側面図から理解されるように,潤滑プレート部分51aは,幅狭の連結部分56を介して接続された潤滑プレート本体54,55,潤滑プレート本体54から上方に伸びる伸長部分57を有しており,潤滑プレート本体54,連結部分56及び伸長部分57で囲まれて,取付けボルト25が挿通される挿通用凹部58が形成されている。潤滑プレート本体54からは,軌道レール2の軌道溝4に潤滑油を供給する弧状の摺接面を備えた凸状の摺接部59が形成されている。潤滑プレート本体54,55に保持されている潤滑油は,摺接部59から軌道溝4に供給される。各潤滑プレート部分51a,51bを構成する焼結樹脂材は,潤滑プレート部分41と同様,超高分子量のポリエチレン樹脂等の合成樹脂の微粒子を所定の金型に充填して加熱成形することにより多孔質構造に焼結され,その多孔質構造の多孔部に潤滑油が含浸されたものである。
【0028】
潤滑プレート51の加工精度を高精度にすることができることを利用して,潤滑プレート51は,軌道レール2の軌道溝4に対して,零を含む微量(即ち,実質的に零)の間隙,又は若干の締め代の間隙として若干の予圧がかけられた状態で嵌合するように製作することができる。このようにして製作された潤滑プレート部分51a,51bは,軌道レール2の軌道溝4に対して常に実質的に接触している状態となり,潤滑プレート部分51a,51bに含有された潤滑剤は,絶え間なく軌道溝4に給油される。したがって,直動案内ユニットU1の潤滑については,メンテナンスフリーとすることができる。また,超高分子量のポリエチレン樹脂の微粒子を焼結して成形した樹脂部材は,摺接を繰り返しても極度に摩耗することがないという特性を有しているので,潤滑プレート部分51a,51bには摩耗粉による目詰まりが生じない。潤滑プレート部分51a,51bに含浸させた潤滑剤が消費されても,その都度,新たに潤滑剤を補給して潤滑プレート部分51a,51bに含浸させることにより,給油装置50を長期に渡って使用することができる。
【0029】
図5及び図6に示すように,給油装置50の芯金52は一対の潤滑プレート部分51a,51bに共通の一枚の金属板60から形成されている。金属板60には,グリースニップル等の給油手段をスライダ1に接続するための中央孔61と,中央孔61の両側において給油装置50をスライダ1に取り付けるための取付けボルト25が挿通する一対の挿通孔62とが形成されている。
【0030】
芯金52を構成する金属板60の,各潤滑プレート部分51a,51bの潤滑プレート本体54,55に対応した一部は,先端を尖らせた突起部として又はやじり状にして残され,潤滑プレート部分51a,51bが固着される側に折り曲げて突刺し爪64,65として立てられている。潤滑プレート部分51a,51bを構成する焼結樹脂部材に突刺し爪64,65を突き刺すことは容易であり,突刺し爪64,65を焼結樹脂部材に突き刺した状態で潤滑剤を含浸させること,又は突き刺す前に焼結樹脂部材に潤滑剤を含浸させることにより,潤滑プレート部分51a,51bを容易に芯金52に固着させることができる。潤滑プレート部分51a,51bは,剛性の高い芯金52に固着されているので,変形を生じさせるような大きな外力が加わったときに,芯金52は,各潤滑プレート部分51a,51bの変形を抑制して軌道溝4に対する摺接面の精度を維持する。その結果,各潤滑プレート部分51a,51bが過度に軌道溝4に押し付けられることもなく,且つ軌道溝4から大きく離れることもないので,軌道溝4との摺動抵抗が大きくなることもなく且つ軌道溝4に対して充分な潤滑油を供給し続けることができる。
【0031】
潤滑プレート部分51a,51bは,また,図7及び図8に示されているケース53に収容される。ケース53は,金属,合成樹脂,又は合成ゴム等で作製され,スライダ1のケーシング5と同様,軌道レール2を跨ぎ,両側に袖部を有する形状に形成されている。ケース53は各潤滑プレート部分51の前面側を覆う前面壁70を有しており,前面壁70には,芯金52に形成されている中央孔61と両挿通孔62とに対応して中央孔71と両挿通孔72とが形成されている。
【0032】
ケース53には,前面壁70と一体的に,潤滑プレート部分51a,51bの上面,側面及び底面をそれぞれ覆う上壁部分74,側壁部分75及び底壁部分76が連続的に繋がった外側壁部が形成されている。ケース53には,また,前面壁70と一体的に,各潤滑プレート部分51a,51bの潤滑プレート本体55に対応した内底壁部分77,及び各底壁部分76から離間した位置に前面壁70から途中まで伸びる押さえ壁部分78からなる内側壁部が形成されている。底壁部分76と押さえ壁部分78との間には,潤滑プレート部分51a,51bの凸状の摺接部59が突出する開口78aが形成されている。ケース53には,更に,前面壁70と一体的に,中央孔71及び両挿通孔72にそれぞれ対応した挿通ボス79a及び79bが形成されている。挿通ボス79a及び79bは,グリースニップルや取付けボルト25を挿通して締め付けたときに,芯金52に当接して締付け荷重を伝達する。潤滑プレート部分51a,51bの潤滑プレート本体54,55は,それぞれ,外側壁部,内側壁部及び孔周壁部によって囲まれた収容部80,81に互いに分離した状態で収容され,潤滑プレート部分51a,51bの各摺接部59が,開口78aから突出し,軌道溝4に接触する状態に配置される。
【0033】
取付けボルト25は,エンドシール17からケース53に形成された孔72,潤滑プレート部分51に形成されている凹部58,及び芯金52に形成された挿通孔62に順次挿通された後,エンドキャップ6の挿通孔26を通してケーシング5の取付け孔に螺入される。取付けボルト25による締付け力は,ケース53の特に挿通ボス79bを介して芯金52,更にエンドキャップ6に伝達され,潤滑プレート部分51a,51bには実質的に作用しない。その結果,潤滑プレート部分51a,51bは,特に軌道溝4との摺接する摺接部59において取付けボルト25による締付けに起因する変形を生じることがなく,軌道溝4とスムーズに摺接する。
【0034】
給油装置50は,両潤滑プレート部分51a,51bから成る潤滑プレート51を軌道レール2に対して個々に組み立て,潤滑プレート51を芯金52に取り付け,更に潤滑プレート51をケース53で覆うことによって軌道レール2に対してケーシング5に固定して組み付けることができる。ケース53は,潤滑プレート51を囲むことによって,潤滑プレート51を安定して配置させることができると共に,潤滑プレート51に塵埃が付着するのを防止し,潤滑プレート51の破損の防止,及び潤滑プレート51からの潤滑油の漏れを防止する。ケース53を両潤滑プレート部分51a,51bに共通した1個の部品に形成することにより,潤滑プレート51の取扱いが容易になる。
【0035】
次に,図9〜図16を参照して,この発明による直動案内ユニットの実施例を説明する。
【0036】
図9〜図16に示すこの発明による直動案内ユニットU2は,図1〜図8に示す直動案内ユニットU1と比較して,軌道レール102が断面U字状であり,長手方向内側側面103に軌道溝104が形成されており,大きな負荷に対して適用可能な大型の直動案内ユニットである。軌道レール102は,内部にスライダ101がスライド可能な断面U字状のスライド溝110が形成されており,取付け孔113に挿通される固定ボルトによりベースに固定される。スライダ101は,ケーシング105を有しており,ケーシング105の摺動方向両端面には,エンドキャップ106,給油装置150,及びエンドシール117が,この順に取り付けられている。この実施例においては,給油装置150の構造が変更されていること以外の基本的な摺動機構については,先に実施例と実質的に同じ構造を有しているので,ここでは再度の説明を省略する。
【0037】
潤滑プレート151は,図10に示す斜視図から理解されるように,左右両側に二分割され,軌道レール102の長手方向側面103に形成された各軌道溝104に個別に摺接する潤滑プレート部分151a,151bを有している。潤滑プレート部分151a,151bは,図19に示す潤滑プレート部分41と同様に,同じ成形型によって量産されたものを反転した状態で芯金152に取り付けられる。この実施例においても,潤滑プレート151は,芯金152と反対側からケース153に収容される。この場合,芯金152及びケース153も,左右中心線に対して対称形に形成される。
【0038】
図11に示した正面図及び図12に示す側面図から理解されるように,潤滑プレート部分151aは,潤滑プレート本体154,潤滑プレート本体154から上部において取付けボルト125が挿通される挿通用凹部158が形成されている。潤滑プレート本体154からは,軌道レール102の軌道溝104に潤滑油を供給する弧状の摺接面を備えた凸状の摺接部159が形成されている。潤滑プレート本体154に保持されている潤滑油は,摺接部159から軌道溝104に供給される。各潤滑プレート部分151a,151bを構成する焼結樹脂材の材料及び成形方法は,潤滑プレート部分51a,51bの場合と同様である。潤滑プレート151の軌道レール102の軌道溝104に対する嵌合・接触状態,軌道溝104への潤滑剤の供給,摩耗粉による目詰まりの防止等の潤滑プレート151の機能についても,潤滑プレート51と同様である。
【0039】
給油装置150の芯金152は,図13及び図14に示すように,一対の潤滑プレート部分151a,151bに対して共通の一枚の金属板160から形成されている。金属板160には,グリースニップル等の給油手段をスライダ101に接続するための中央孔161と,中央孔161の両側において給油装置150をスライダ101に取り付けるための取付けボルト125が挿通する三つの挿通孔162とが形成されている。芯金152の左右両側には,摺接部159を補強するため,摺接部159の摺接面で定まる輪郭内に納まる凸部163が形成されている。
【0040】
芯金152を構成する金属板160の,各潤滑プレート部分151a,151bの潤滑プレート本体154に対応した一部は,先端を尖らせた突起部として又はやじり状にして残され,潤滑プレート部分151a,151bが固着される側に折り曲げて突刺し爪164,165として立てられている。潤滑プレート部分151a,151bを構成する焼結樹脂部材に突刺し爪164,165を突き刺すことにより,潤滑プレート部分151a,151bを容易に芯金152に固着させることができる。芯金152による各潤滑プレート部分151a,151bの変形抑制,軌道溝104に対する摺接面の精度維持,軌道溝104に対する摺動抵抗減少,軌道溝104に対する潤滑油の供給等の各機能についても,給油装置50の場合と同様である。
【0041】
潤滑プレート151は,図15及び図16に示されているケース153に収容される。ケース153は,金属,合成樹脂,又は合成ゴム等で作製され,スライダ101のケーシング105と同様,軌道レール102の断面U字状のスライド溝110内に収容される形状に形成されている。ケース153は各潤滑プレート部分151a,151bの前面側を覆う前面壁170を有しており,前面壁170には,芯金152に形成されている中央孔161と各挿通孔162とに対応してグリースニップルに対応した中央孔171と取付けボルト125が挿通する3つの挿通孔172とが形成されている。
【0042】
ケース153には,前面壁170と一体的に,潤滑プレート部分151a,151bの上面,側面及び底面をそれぞれ覆う上壁部分174,上壁部分174から折り曲げ状に延びる側壁部分175a,底壁部分177,及び底壁部分177から屈曲した状態に延びる側壁部分175bから成る外側壁部が形成されている。ケース153には,また,前面壁170と一体的に,両潤滑プレート部分151a,151bの潤滑プレート本体154,154の内側部に対応し且つ中央孔171の周囲を囲む内側壁部分178からなる内側壁部が形成されている。内側壁部分178は,中央孔171を囲む挿通ボス179aと中央下部に形成される挿通孔172を囲む挿通ボス179bなっている。両側壁部分175a,175b間には,潤滑プレート部分151a,151bの摺接部159が突出する開口176が形成されている。ケース153には,更に,前面壁170と一体的に,左右の挿通孔172,172にそれぞれ対応した挿通ボス179bが形成されている。挿通ボス179a,179bは,グリースニップルや取付けボルト125を挿通して締め付けたときに,芯金152に当接して締付け荷重を伝達する。潤滑プレート部分151a,151bの各潤滑プレート本体154は,それぞれ,外側壁部,内側壁部及び挿通ボス179a,179bによって囲まれた収容部180a,180bに互いに分離した状態で収容され,潤滑プレート部分151a,151bの各摺接部159が,開口176から突出し,軌道溝104に接触する状態に配置される。
【0043】
取付けボルト125は,エンドシール117からケース153に形成された孔172,潤滑プレート部分151に形成されている凹部158,芯金152に形成された挿通孔162,及びエンドキャップ106に順次挿通された後,ケーシング105に螺入される。取付けボルト125による締付け力は,ケース153の特に挿通ボス179bを介して芯金152,更にエンドキャップ106に伝達され,潤滑プレート部分151a,151bには実質的に作用しない。その結果,潤滑プレート部分151a,151bは,特に軌道溝104との摺接する摺接部159において取付けボルト125による締付けに起因する変形を生じることがなく,軌道溝104とスムーズに摺接する。
【0044】
給油装置150の組立て,ケーシング105への組付けは,給油装置50と同様である。また,潤滑プレート151の安定配置,塵埃付着防止,破損防止,潤滑油漏れの防止,及び取扱い容易性についてのケース153の機能についても,ケース53の場合と同様である。潤滑プレート51,151については,各種の変更が可能である。即ち,多孔質の目を,樹脂粉末の粒度の異なるものを用いるか,又は焼結温度を調整することによって,軌道レール2,102の軌道溝4,104に対して摺接する摺接部59,159において潤滑油を吸引し易く潤滑油の流れを促進する密部分とし,その他の部分を粗部分としてもよい。また,潤滑プレート51,151に潤滑油を補給する潤滑油収容室をケースに設けて,潤滑油の補給期間を延長することができる。更に,潤滑プレート51,151を,軌道レール2,102の左右両側の潤滑プレート部分に分割せずに一つのプレートから構成することもできる。
【産業上の利用可能性】
【0045】
この直動案内ユニットは,各種ロボット,半導体製造装置,検査装置,切削・研削機械等の各種の技術分野において,各機械や装置の往復動作が求められる部分には,高精度,高速化,小型化等の要求を満たすために組み込まれて適用される。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】この発明による直動案内ユニットに用いられるスライダの一例を一部を分解して示す斜視図である。
【図2】図1に示すスライダを軌道レールと組み合わせて構成した直動案内ユニットの組立状態を示す斜視図である。
【図3】図1に示した潤滑プレートの一方の潤滑プレート部分の正面図である。
【図4】図3に示す潤滑プレート部分の側面図である。
【図5】図1に示した給油装置の芯金の正面図である。
【図6】図5に示す芯金の側面図である。
【図7】図1に示す潤滑プレートを収容するケースの背面図である。
【図8】図7に示すケースの矢視A−Aで見た断面図である。
【図9】この発明による直動案内ユニットの別の実施例の一部を破断して示す斜視図である。
【図10】図9に示す直動案内ユニットに用いられる給油装置の潤滑プレートの分解斜視図である。
【図11】図9に示す潤滑プレートの一方の潤滑プレート部分を示す正面図である。
【図12】図11に示す潤滑プレート部分の側面図である。
【図13】図9に示す給油装置の芯金を示す正面図である。
【図14】図13に示す芯金の側面図である。
【図15】図9に示す給油装置のケースを示す背面図である。
【図16】図15に示すケースの側面図である。
【図17】従来の直動案内ユニットを一部を破断して示す斜視図である。
【図18】図17に示す直動案内ユニットの正面図である。
【図19】図17に示す直動案内ユニットに用いられる給油装置の潤滑プレートの正面図である。
【符号の説明】
【0047】
1,101 スライダ
2,102 軌道レール
3,103 長手方向側面
4,104,9,109 軌道溝
5,105 ケーシング
6,106 エンドキャップ
7,107 転動体
12 リターン通路孔
17,117 エンドシール
25,125 取付けボルト
50,150 給油装置
51,151 潤滑プレート
51a,51b,151a,151b 潤滑プレート部分
52,152 芯金
53,153 ケース
54,55,154 潤滑プレート本体
59,159 摺接部
78a,176 開口
79a,79b,179a,179b 挿通ボス
64,65,164,165 突刺し爪

【特許請求の範囲】
【請求項1】
長手方向に軌道溝が形成された軌道レールと前記軌道レールに対して相対摺動可能なスライダとから成り,
前記スライダは,前記軌道レールの前記軌道溝に対向した軌道溝とリターン通路孔とが形成されたケーシング,前記軌道溝間に形成される負荷軌道路を転走する転動体,前記ケーシングの両端面にそれぞれ固定され且つ前記負荷軌道路と前記リターン通路孔とを接続して前記転動体が循環する無限循環路を形成する方向転換路が形成されたエンドキャップ,前記軌道レールに形成された前記軌道溝を潤滑するため前記エンドキャップの端面に取り付けられた給油装置,及び前記給油装置の端面に取り付けられたエンドシールを具備しており,
前記軌道レールは長手方向両内側面に前記軌道溝が形成されており,前記スライダは前記軌道レール内に嵌合した状態で前記軌道レールに対して相対摺動自在に配設されており,前記給油装置は,潤滑剤が含浸された多孔質構造を有する焼結樹脂部材から構成された潤滑プレート,前記潤滑プレートを補強するため前記潤滑プレートの一側に取り付けられた芯金,及び前記潤滑プレートの他側と前記潤滑プレートの周面とを覆うと共に前記芯金と協働して前記潤滑プレートを収容するケースを有していることから成る直動案内ユニット。
【請求項2】
前記潤滑プレートは,前記ケース内に収容されて前記潤滑剤を貯留する潤滑プレート本体と,前記潤滑プレート本体と一体的に形成され且つ前記軌道レールに形成されている前記軌道溝に摺接して前記潤滑プレート本体に貯留された前記潤滑剤を前記軌道溝に供給する摺接部から成り,前記ケースには前記摺接部が前記潤滑プレート本体から突出するための開口が形成されていることから成る請求項1に記載の直動案内ユニット。
【請求項3】
前記給油装置は前記エンドシール及び前記エンドキャップと共に取付けボルトによって前記エンドシールと前記エンドキャップとの間に挟み込まれた状態で前記ケーシングに取り付けられており,前記取付けボルトによる締付け荷重は前記潤滑プレートを介することなく前記芯金と前記ケースとの間で直接的に伝達されることから成る請求項1又は2に記載の直動案内ユニット。
【請求項4】
前記ケースには,前記取付けボルトが挿通される位置に対応して前記芯金に当接して前記締付け荷重を伝達する挿通ボスが形成されていることから成る請求項3に記載の直動案内ユニット。
【請求項5】
前記芯金は,前記芯金の一部を折り曲げて形成された又は前記芯金に打ち立てられた突刺し爪が前記潤滑プレートに突き刺されることによって,前記潤滑プレートに取り付けられることから成る請求項1〜4のいずれか1項に記載の直動案内ユニット。
【請求項6】
前記潤滑プレートは左右一対に分割された潤滑プレート部分から構成されていることから成る請求項1〜5のいずれか1項に記載の直動案内ユニット。
【請求項7】
前記潤滑プレートを構成する前記焼結樹脂部材は,超高分子量の合成樹脂微粒子を所定の金型に充填して加熱成形することにより形成されていることから成る請求項1〜6のいずれか1項に記載の直動案内ユニット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【公開番号】特開2009−85435(P2009−85435A)
【公開日】平成21年4月23日(2009.4.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−318053(P2008−318053)
【出願日】平成20年12月15日(2008.12.15)
【分割の表示】特願平11−373043の分割
【原出願日】平成11年12月28日(1999.12.28)
【出願人】(000229335)日本トムソン株式会社 (96)
【Fターム(参考)】