説明

相乗的抗寄生虫組成物とスクリーニング方法

寄生虫感染を治療するための組成物並びに寄生虫感染を持つ患者を治療するために該組成物を使用する方法が提供される。寄生虫感染の治療に使用される組成物を選択する方法も更に提供される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
ここに開示される主題事項は、寄生虫感染を治療する方法と寄生虫感染を治療するために有用な組成物に関する。それはまた寄生虫感染を治療するために有用な薬剤及び組成物を開発するためのスクリーニングシステム及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
植物、ヒト、及び他の動物の寄生虫感染は世界的規模の問題となっている。例えば、6億5千万を越える人々が胃腸管寄生虫の危険に曝されており、約2億人が実際に感染している。粗末な衛生条件;低い宿主抵抗性;人口の爆発的増加;並びに媒介物及び感染保有宿主の不十分な管理を含む様々な条件が寄生虫感染の発生と蔓延の原因となっている。
【0003】
このような寄生虫感染は多くの医療及び社会問題を提示する。例えば、寄生虫感染は子供の発育、学業成績、性と生殖に関する健康、並びに社会経済の発展を蝕むことがある。実際、ある種の寄生虫感染は罹患させ、死亡を引き起こしうる。寄生虫感染が持ちうる深刻な衝撃にもかかわらず、利用できる治療選択肢は比較的少ない。
【0004】
利用できる治療法は限られ、ある種の寄生虫感染の治療法は存在していない。1960年代には、ニクロサミド (ヨメサンとしても知られている)をある種の蠕虫感染症の治療に使用できることが同定された;しかしながら、ニクロサミドはある種の欠点を有している。例えば、多くの場合、単回投与のニクロサミドは治癒効果をもたらさず、該化合物は粘膜絨毛内に深く埋まっている擬嚢尾虫に接近するのが困難なため、むしろ再燃が続く。而して、満足できる結果にはおよそ7日間のニクロサミドでの長い治療が必要となる。Davis, Drug treatment of intestinal helminthiasis, 世界保健機構(WHO), Geneva, 1973を参照のこと。
【0005】
蠕虫感染を治療するのに使用されている他の薬剤はプラジカンテル(2-(シクロヘキシルカルボニル)-l,2,3,6,7,11b-ヘキサヒドロ-4H-ピラジノ(2,l-a)イソキノリン-4-オン;ビルトリシドとしても知られている)である。Pearson 及びGurrant, Praziquantel: a major advance in anthelminthic therapy. Annals of Internal Medicine, 99:195-198, 1983を参照のこと。プラジカンテルは単回投与で投与できる;しかしながら、プラジカンテルを使用する治療方策は、プラジカンテルに対する耐性の発生の可能性のため、危険である。従って、寄生虫感染の治療に効果的である害のない組成物に対する必要性が当該分野で尚存在している。
【発明の概要】
【0006】
ここに開示される主題事項は、この明細書に提供される情報を検討後に当業者には明らかになるように、上述の必要性の幾らか又は全てを満たすものである。
【0007】
この概要は、ここに開示された主題事項の幾つかの実施態様を記載し、多くの場合、これらの実施態様の変形例及び置換例を列挙する。この概要は数多くの様々な実施態様の単なる例である。与えられた実施態様の一又は複数の代表的な特徴の開示も同様に例示的である。このような実施態様は、典型的には記載した特徴を伴って又は伴わないで存在しうる;同様に、その特徴は、この概要に列挙されているか否かにかかわらず、ここに開示された主題事項の他の実施態様に適用できる。過度の繰り返しを避けるために、この概要はかかる特徴の全ての可能な組合せを列挙し又は示唆するものではない。
【0008】
ここに開示される主題事項は、寄生虫感染を治療する組成物及び方法、及び寄生虫感染を治療するのに有用な組成物をスクリーニングし及び選択する方法を含む。
【0009】
幾つかの実施態様では、寄生虫感染は、内部寄生虫、外部寄生虫、ヒト寄生虫、動物寄生虫、又は農業寄生虫として分類される寄生虫によって引き起こされる。
【0010】
幾つかの実施態様では、患者における寄生虫感染を治療するための組成物は、trans−アネトール、パラ−シメン、リナロール、α−ピネン、及びチモールから選択される二種以上の化合物を含む。
【0011】
幾つかの実施態様では、組成物は、パラ−シメン、リナロール、α−ピネン、及びチモールから選択される二種以上の化合物を含む。幾つかの実施態様では、組成物は、パラ−シメン、リナロール、α−ピネン、及びチモールから選択される三種以上の化合物を含む。幾つかの実施態様では、組成物は、パラ−シメン、リナロール、α−ピネン、及びチモールを含む。幾つかの実施態様では、組成物は大豆油を更に含む。
【0012】
幾つかの実施態様では、組成物は、25−35重量%のパラ−シメン、1−10重量%のリナロール、1−10重量%のα−ピネン、35−45重量%のチモール、及び20−30重量%の大豆油を含む。幾つかの実施態様では、組成物は、28.39重量%のパラ−シメン、6.6重量%のリナロール、3.8重量%のα−ピネン、37.2重量%のチモール、及び24重量%の大豆油を含む。
【0013】
幾つかの実施態様では、組成物は、25−35容積%のパラ−シメン、1−10容積%のリナロール、1−10容積%のα−ピネン、35−45容積%のチモール 及び20−30容積%の大豆油を含む。幾つかの実施態様では、組成物は、30容積%のパラ−シメン、7容積%のリナロール、4容積%のα−ピネン、35容積%のチモール、及び24容積%の大豆油を含む。
【0014】
幾つかの実施態様では、組成物は、trans−アネトール、パラ−シメン、リナロール、α−ピネン、及びチモールから選択される三種以上の化合物を含む。幾つかの実施態様では、組成物は、trans−アネトール、パラ−シメン、リナロール、α−ピネン、及びチモールから選択される四以上の化合物を含む。幾つかの実施態様では、組成物は、trans−アネトール、パラ−シメン、リナロール、α−ピネン、及びチモールを含む。
【0015】
幾つかの実施態様では、組成物は、15−25重量%のtrans−アネトール、30−40重量%のパラ−シメン、1−10重量%のリナロール、1−10重量%のα−ピネン、及び35−45重量%のチモールを含む。幾つかの実施態様では、組成物は、18.2重量%のtrans−アネトール、34.4重量%のパラ−シメン、4.7重量%のリナロール、1.9重量%のα−ピネン、及び40.8重量%のチモールを含む。
【0016】
幾つかの実施態様では、組成物は、10−20容積%のtrans−アネトール、30−40容積%のパラ−シメン、1−10容積%のリナロール、1−10容積%のα−ピネン、及び35−45容積%のチモールを含む。幾つかの実施態様では、組成物は、17容積%のtrans−アネトール、37容積%のパラ−シメン、5容積%のリナロール、2容積%のα−ピネン、及び39容積%のチモールを含む。
【0017】
幾つかの実施態様では、組成物は、15−25重量%のtrans−アネトール、1−10重量%のパラ−シメン、35−45重量%のリナロール、1−10重量%のα−ピネン、及び30−40重量%のチモールを含む。幾つかの実施態様では、組成物は、18.2重量%のtrans−アネトール、1.9重量%のパラ−シメン、40.8重量%のリナロール、4.7重量%のα−ピネン、及び34.4重量%のチモールを含む。
【0018】
幾つかの実施態様では、組成物は、15−25容積%のtrans−アネトール、1−10容積%のパラ−シメン、35−45容積%のリナロール、1−10容積%のα−ピネン、及び30−40容積%のチモールを含む。幾つかの実施態様では、組成物は、17容積%のtrans−アネトール、2容積%のパラ−シメン、39容積%のリナロール、5容積%のα−ピネン、及び37容積%のチモールを含む。
【0019】
幾つかの実施態様では、組成物の化合物は共に相乗的抗寄生虫効果を証明する。幾つかの実施態様では、組成物の実際のパーセント効果は組成物の予想されたパーセント効果より大きい。幾つかの実施態様では、組成物の成分に対する相乗係数は5, 10, 25, 50, 75、又は100より大きい。
【0020】
幾つかの実施態様では、寄生虫感染は原虫寄生虫による。幾つかの実施態様では、寄生虫は、腸管プロトゾア、組織プロトゾア、及び血液プロトゾアから選択される。幾つかの実施態様では、寄生虫は、Entamoeba hystolytica、Giardia lamblia、Cryptosporidium muris、Cryptosporidium parvum、Trypanosomatida gambiense、Trypanosomatida rhodesiense、Trypanosomatida crusi、Leishmania mexicana、Leishmania braziliensis、Leishmania tropica、Leishmania donovani、Toxoplasma gondii、Plasmodium vivax、Plasmodium ovale、Plasmodium malariae、Plasmodium falciparum、Trichomonas vaginalis、及びHistomonas meleagridisから選択される。
【0021】
幾つかの実施態様では、寄生虫感染は蠕虫寄生虫による。幾つかの実施態様では、寄生虫は線虫から選択される。幾つかの実施態様では、寄生虫は、Adenophoreaから選択される。幾つかの実施態様では、寄生虫は、Secementeaから選択される。幾つかの実施態様では、寄生虫は、Trichuris trichiura、Ascaris lumbricoides、Enterobius vermicularis、Ancylostoma duodenale、Necator americanus、Strongyloides stercoralis、Wuchereria bancrofti、Dracunculus medinensisから選択される。幾つかの実施態様では、寄生虫は、吸虫(trematodes)から選択される。幾つかの実施態様では、寄生虫は、血液吸虫(flukes)、肝臓吸虫、腸管吸虫、及び肺吸虫から選択される。幾つかの実施態様では、寄生虫は、Schistosoma mansoni、Schistosoma haematobium、Schistosoma japonicum、Fasciola hepatica、Fasciola gigantica、Heterophyes heterophyes、Paragonimus westermani、及びOpishorchis sinensisから選択される。
【0022】
幾つかの実施態様では、寄生虫は条虫(cestodes)から選択される。幾つかの実施態様では、寄生虫は、Taenia solium、Taenia saginata、Hymenolepis nana、Echinococcus granulosus、及びDiplyidium caninumから選択される。
【0023】
幾つかの実施態様では、組成物は製剤で提供される。製剤は、組成物と担体、例えば食物製品を含みうる。幾つかの実施態様では、製剤は外部シェル物質でカプセル化又はマイクロカプセル化された組成物を含む。
【0024】
ここに開示される主題事項は、患者における寄生虫感染を治療する方法を含む。幾つかの実施態様では、該方法はここに記載の有効量の組成物を患者に投与することを含む。
【0025】
ここに開示される主題事項は、寄生虫感染の治療に使用される組成物を選択する方法を含む。幾つかの実施態様では、該方法は、チラミン受容体を発現する細胞を提供し;試験化合物を該細胞に接触させ;化合物の受容体結合親和性を測定し;(i)細胞内cAMPレベル、及び(ii)細胞内Ca2+レベルから選択される少なくとも一のパラメータを測定し;上記パラメータの少なくとも一を変更可能であり、チラミン受容体に対して高受容体結合親和性を有する組成物に対して第一化合物を同定し;上記パラメータの少なくとも一を変更可能であり、チラミン受容体に対して低受容体結合親和性を有する組成物に対して第二化合物を同定し; 及び第一及び第二化合物を含む組成物を選択することを含む。幾つかの実施態様では、選択された組成物は、単独で使用される場合、化合物の何れかの抗寄生虫効果を越える抗寄生虫効果を実証する。
【0026】
本開示の一実施態様は、表Eに列挙された混合物からの二種以上の化合物の相乗的組合せを含有する抗寄生虫組成物を提供する。
【0027】
本開示の一実施態様は、表Eに列挙された混合物からの三種以上の化合物の相乗的組合せを含有する抗寄生虫組成物を提供する。
【0028】
本開示の一実施態様は、表Eに列挙された混合物からの四種以上の化合物の相乗的組合せを含有する抗寄生虫組成物を提供する。
【0029】
本開示の一実施態様は、表Eに列挙された混合物からの全化合物の相乗的組合せを含有する抗寄生虫組成物を提供する。抗寄生虫組成物を提供する。
【0030】
本開示の一実施態様は、各化合物の量が表Eの量に倍数1を乗じて得られる範囲内である抗寄生虫組成物を提供する。
【0031】
本開示の一実施態様は、各化合物の量が表Eの量に倍数2を乗じて得られる範囲内である抗寄生虫組成物を提供する。抗寄生虫組成物を提供する。
【0032】
本開示の一実施態様は、各化合物の量が表Eの量に倍数3を乗じて得られる範囲内である抗寄生虫組成物を提供する。抗寄生虫組成物を提供する。
【0033】
本開示の一実施態様は、各化合物の量が表Eの量に倍数4を乗じて得られる範囲内である抗寄生虫組成物を提供する。
【0034】
本開示の一実施態様は、各化合物が表Eに記載の量で存在する抗寄生虫組成物を提供する。
【0035】
本開示の一実施態様は、組成物の成分に対する相乗係数が5、10、25、50、75、又は100より大である抗寄生虫組成物を提供する。
【0036】
本開示の一実施態様は、組成物が原虫寄生虫、蠕虫寄生虫、ダニ亜綱の害虫、シラミ、ノミ、又はハエからなる群から選択される寄生虫に対して相乗効果を示す抗寄生虫組成物を提供する。
【0037】
本開示の一実施態様は、組成物が、キャノーラ、ネコ、イヌ、ヤギ、ウマ、ヒト、トウモロコシ、マウス、雄ウシ、ブタ、家禽類、ウサギ、イネ、ヒツジ、大豆、タバコ、及び小麦からなる群から選択される宿主を有する寄生虫に対して相乗効果を示す抗寄生虫組成物を提供する。
【0038】
本開示の一実施態様は、界面活性剤及び固定油からなる群から選択される成分を更に含有する上記抗寄生虫組成物の何れかを提供する。
【0039】
本開示の一実施態様は、表B、B1、C、D、又はEの何れかに列挙された二種以上の化合物の相乗的組合せを含有する抗寄生虫組成物を提供する。
【0040】
本開示の一実施態様は、上記抗寄生虫組成物の何れかの組成物及び担体を含有する製剤を提供する。
【0041】
本開示の一実施態様は、担体が食物製品である上記製剤を提供する。
【0042】
本開示の一実施態様は、寄生虫病又は外寄生の治療又は予防のための医薬として上記抗寄生虫組成物の何れかを提供する。
【0043】
本開示の一実施態様は、寄生虫病又は外寄生の治療又は予防のための抗寄生虫剤としての上記抗寄生虫組成物の何れかに関する。
【0044】
本開示の一実施態様は、患者の寄生虫感染を治療する方法であって、上記抗寄生虫組成物の何れかの有効量を患者に投与することを含む方法に関する。
【0045】
本開示の一実施態様は、寄生虫感染が、内部寄生虫、 外部寄生虫、ヒト寄生虫、動物寄生虫、又は農業寄生虫からなる群から選択される分類の寄生虫によって引き起こされる上記方法に関する。
【0046】
本開示の一実施態様は、寄生虫感染の治療に使用される組成物を選択する方法であって、チラミン受容体及び嗅覚カスケードの受容体からなる群から選択される受容体を発現する細胞を提供し;試験化合物を該細胞に接触させ;化合物の受容体結合親和性を測定し;(i)細胞内cAMPレベル;及び(ii)細胞内Ca2+レベルから選択される少なくとも一のパラメータを測定し;上記パラメータの少なくとも一を変更可能であり、受容体に対して高受容体結合親和性を有する組成物のために第一化合物を同定し;及び上記パラメータの少なくとも一を変更可能であり、受容体に対して低受容体結合親和性を有する組成物のために第二化合物を同定し; 及び第一及び第二化合物を含む組成物を選択することを含む方法に関する。
【0047】
本開示の一実施態様は、寄生虫感染の治療に使用される組成物を選択する方法であって、表Fに列挙された受容体からなる群から選択される受容体を発現する細胞を提供し;試験化合物を該細胞に接触させ;化合物の受容体結合親和性を測定し;(i)細胞内cAMPレベル;及び(ii)細胞内Ca2+レベルから選択される少なくとも一のパラメータを測定し;上記パラメータの少なくとも一を変更可能であり、受容体に対して高受容体結合親和性を有する組成物のために第一化合物を同定し;及び上記パラメータの少なくとも一を変更可能であり、受容体に対して低受容体結合親和性を有する組成物のために第二化合物を同定し; 及び第一及び第二化合物を含む組成物を選択することを含む方法に関する。
【0048】
本開示の一実施態様は、寄生虫感染の治療に使用される組成物を選択する方法であって、表Gに列挙された分子標的からなる群から選択される分子標的を含む細胞を提供し;試験化合物を該細胞に接触させ;分子標的に対する化合物の結合親和性を測定し;(i)細胞内cAMPレベル;及び(ii)細胞内Ca2+レベルから選択される少なくとも一のパラメータを測定し;上記パラメータの少なくとも一を変更可能であり、分子標的に対して高結合親和性を有する組成物のために第一化合物を同定し;上記パラメータの少なくとも一を変更可能であり、分子標的に対して低結合親和性を有する組成物のために第二化合物を同定し;及び第一及び第二化合物を含む組成物を選択することを含む方法に関する。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】図1は、H. nanaに感染し、ここに開示された化合物で治療された動物の治癒率を証明する棒グラフである。
【図2】図2は、ここに開示された様々な濃度の化合物を用いたインビトロでのS. mansoniの効果的な死滅を証明する一連の線グラフである。LT100 = 処置した蠕虫に100%の死亡率を誘発するのに必要な致死時間, ppm = 1 L (容積)中のmg (重量)。例えば100 ppmは、1L (容積)生理食塩水中の100 mg (重量)に等しい。
【図3】図3は、ここに開示された100ppm濃度の化合物を単独で又は他のものとの併用で用いたインビトロでのS. mansoni の効果的な死滅を証明する棒グラフである。LT100 = 処置した蠕虫に100%の死亡率を誘発するのに必要な致死時間。
【図4】図4は、ここに開示された様々な濃度の化合物を用いたインビトロでのH. meleagridisの効果的な死滅を証明する一連の線グラフである。
【図5】図5は、ここに開示された様々な濃度の化合物を用いたインビトロでのH. meleagridisの効果的な死滅を証明する一連の線グラフである。
【図6】T. spiralis 及びA. lumbricoidesで実施された試験に関する実施例を示す写真及びグラフを示す。
【図7】T. spiralis 及びA. lumbricoidesで実施された試験に関する実施例を示す写真及びグラフを示す。
【図8】T. spiralis 及びA. lumbricoidesで実施された試験に関する実施例を示す写真及びグラフを示す。
【図9】T. spiralis 及びA. lumbricoidesで実施された試験に関する実施例を示す写真及びグラフを示す。
【図10】T. spiralis 及びA. lumbricoidesで実施された試験に関する実施例を示す写真及びグラフを示す。
【図11】T. spiralis 及びA. lumbricoidesで実施された試験に関する実施例を示す写真及びグラフを示す。
【図12】T. spiralis 及びA. lumbricoidesで実施された試験に関する実施例を示す写真及びグラフを示す。
【図13】T. spiralis 及びA. lumbricoidesで実施された試験に関する実施例を示す写真及びグラフを示す。
【図14】T. spiralis 及びA. lumbricoidesで実施された試験に関する実施例を示す写真及びグラフを示す。
【発明を実施するための形態】
【0050】
ここに開示された主題事項の一又は複数の実施態様の詳細を本明細書に記載する。ここに記載される実施態様に対する変形例及び他の実施態様はここに提供される情報の検討後に当業者には明らかになるであろう。ここに提供される情報、特に記載された例示的実施態様の特定の詳細は、主として理解を明確にするために提供されるもので、それから不必要な限定がなされるものではない。矛盾が生じる場合、定義を含む本明細書が優先する。
【0051】
ここに開示される主題事項は、寄生虫感染を治療するための組成物及び方法、並びに寄生虫感染を治療するのに有用な組成物を選択する方法を含む。
【0052】
ここで使用される場合、「寄生虫感染」なる用語は、例えばa原虫寄生虫又はa helminthic寄生虫を含むendoparasiteによる宿主の成功裏の侵入のような寄生虫による植物又は動物の感染を意味する。
【0053】
ここで使用される場合、「寄生虫」なる用語は、寄生虫、例えば限定しないが、腸内原生動物、組織原生動物、及び血液内原虫を含む原生動物を含む。腸内原生動物の例は、限定されるものではないが、Entamoeba hystolytica、Giardia lamblia、Cryptosporidium muris、及びCryptosporidium parvumを含む。組織原生動物の例は、限定されるものではないが、Trypanosomatida gambiense、Trypanosomatida rhodesiense、Trypanosomatida crusi、Leishmania mexicana、Leishmania braziliensis、Leishmania tropica、Leishmania donovani、Toxoplasma gondii、及びTrichomonas vaginalisを含む。血液内原虫の例は、限定されるものではないが、Plasmodium vivax、Plasmodium ovale、Plasmodium malariae、及びPlasmodium falciparumを含む。Histomonas meleagridisは寄生原虫の他の例である。
【0054】
ここで使用される場合、「寄生虫」なる用語は、限定しないが、線形動物(回虫)及び扁形動物(platyhelminthes)(扁形動物flat worms)を含む蠕虫類又は寄生虫(parasitic worms)を更に含む。線形動物の例は、限定されるものではないが、双器綱の動物及び植物線形動物、例えば腸管線虫Trichuris trichiura (鞭虫)及び植物線形動物Trichodorus obtusus (stubby-root 線虫);secementea綱の腸管線虫、例えばAscaris lumbricoides、Enterobius vermicularis (蟯虫)、Ancylostoma duodenale (鉤虫)、Necator americanus (鉤虫)、及びStrongyloides stercoralis;及びsecementea綱の組織線虫、例えば Wuchereria bancrofti (バンクロフト糸状虫)及びDracunculus medinensis (ギニア虫)を含む。扁形動物の例は、限定されるものではないが、Trematodes (吸虫類)、例えば住血吸虫、例えばSchistosoma mansoni (腸住血吸虫症)、Schistosoma haematobium、及びSchistosoma japonicum;肝吸虫、例えばFasciola hepatica、及びFasciola gigantica;腸内吸虫、例えばHeterophyes heterophyes;及び肺吸虫、例えば Paragonimus westermaniを含む。扁形動物の例は、限定されるものではないが、更にCestodes (サナダムシ)、例えばTaenia solium、Taenia saginata、Hymenolepis nana、及びEchinococcus granulosusを含む。
【0055】
更に、「寄生虫」なる用語は、限定されるものではないが、次の表に列挙した生物及び生物綱を更に含む:





































【0056】
本発明の組成物は寄生虫感染を治療するために使用できる。幾つかの実施態様では、組成物は、一般に安全と見なされる化合物(GRAS化合物)を含みうる。幾つかの実施態様では、組成物は、植物由来の化合物、例えば植物精油又は植物精油のモノテルペノイドを含みうる。幾つかの実施態様では、組成物は二種以上の化合物を含む。幾つかの実施態様では、組成物は次の油の何れか、又はその混合物を含みうる:


【0057】
他の実施態様では、方法を、上述の精油以外の特定の小分子の抗寄生虫効果を評価し又はスクリーニングするために使用することができる。これらの小分子は、例えば次の小分子等の何れか、又はこれらの群又は類似物の異なった群を含む任意の他の小分子を含みうる。次の表では、太字の標記は、特定の特徴を共有する小分子に対する一般名を示す一方、太字の一般名に続く太字ではない名称は、太字の名称によって記載された属名内の個々の小分子を示している。




【0058】
幾つかの実施態様では、組成物は次の化合物から選択される二種以上の化合物を含む:

【0059】
ライラックフラワーオイルを含む組成物の幾つかの実施態様では、次の化合物の一又は複数にライラックフラワーオイルを置換することができる:テトラヒドロリナロール;エチルリナロール;ヘリオトロピン;ヘジオン;ハーコリンD;及びクエン酸トリエチル。
【0060】
ブラックシードオイルを含む組成物の幾つかの実施態様では、次の化合物の一又は複数にブラックシードオイルを置換することができる:α−ツジェン:α−ピネン;β−ピネン;p−シメン;リモネン;及びtert−ブチル−p−ベンゾキノン。
【0061】
タイムオイルを含む組成物の幾つかの実施態様では、次の化合物の一又は複数にタイムオイルを置換することができる:チモール、α−ツジョン;α−ピネン、カンフェン、β−ピネン、p−シメン、α−テルピネン、リナロール、ボルネオール、及びβ−カリオフィレン。チモールを含む組成物の幾つかの実施態様では、タイムオイルに置換することができる。タイムオイルを含む組成物の幾つかの実施態様では、特定のタイプのタイムオイルを含めることが望ましい場合がある。この点で、タイムオイル (ホワイト)がタイムオイル(レッド)より好ましいが、これは後者が患者又は宿主にネガティブな副作用を生じせしめることが見出されているためである。
【0062】
組成物の実施態様を調製するために使用される化合物は、例えば、次の供給源から得ることができる:Millennium Chemicals社(Jacksonville, FL), Ungerer社(Lincoln Park, NJ), SAFC (Milwaukee, WI), IFF社(Hazlet, NJ); Sigma Chemical社(St. Louis, MO); 及びThe Lebermuth Company社(Southbend, IN)。
【0063】
組成物の幾つかの実施態様では、化合物の天然に生じる形態又は合成の形態を含むことが望ましい場合がある。例えば、ある実施態様では、ミレニアム・ケミカルズ社から例えば得ることができる合成ライム油であるライム油であるライムオイル410を含めることが望ましい場合がある。ある例示的な組成物においては、米国食品化学物質規格(FCC)を満たす旨が示されている化合物、例えばゲラニオール・ファインFCC又はテトラヒドロリナロールFCCを含めることが望ましい場合があり、この化合物は例えばミレニアム・ケミカルズ社から得ることができる。
【0064】
組成物の幾つかの実施態様では、特定の純度を有する化合物を含めることが望ましい場合がある。組成物の幾つかの実施態様では、それぞれ少なくとも約80%、81%、82%、83%、84%、85%、86%、87%、88%、89%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、又は99%の純度を有する化合物を含めることが望ましい場合がある。例えば、α−ピネンを含む組成物の幾つかの実施態様では、少なくとも約98%の純度であるα−ピネンを選択することができる。他の例では、リナロールを含む組成物の実施態様では、少なくとも約97−99%純度(例えば、リナロールクール)であるリナロールが選択されうる。
【0065】
組成物の幾つかの実施態様では、それぞれ約60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、又は95%の純度を有する化合物を含めることが望ましい場合がある。例えば、ゲラニオールを含む組成物の幾つかの実施態様では、少なくとも約60%、85%又は95%の純度である ゲラニオールを含めることが望ましい場合がある。幾つかの実施態様では、特定のタイプのゲラニオールを含めることが望ましい場合がある。例えば、幾つかの実施態様では、組成物はゲラニオール60、ゲラニオール85、又はゲラニオール95を含みうる。ゲラニオールがゲラニオール60、ゲラニオール85、又はゲラニオール95として得られる場合、その油の40パーセント、15パーセント、又は5パーセントはネロールでありうる。ネロールはモノテルペン(C1018O)であり、バラ香油、橙花油及びラベンダー油から抽出することができる。
【0066】
幾つかの実施態様では、組成物は、次の化合物から選択される二種以上の化合物を含む:リナロール、チモール、α−ピネン、パラ−シメン、及びtrans−アネトール。幾つかの実施態様では、組成物は、次の化合物から選択される三種以上の化合物を含む:リナロール、チモール、α−ピネン、パラ−シメン、及びtrans−アネトール。幾つかの実施態様では、組成物は、次の化合物から選択される四種以上の化合物を含む:リナロール、チモール、α−ピネン、パラ−シメン、及びtrans−アネトール。幾つかの実施態様では、組成物は、リナロール、チモール、α−ピネン、パラ−シメン、及びtrans−アネトールを含む。幾つかの実施態様では、少なくとも約98%の純度のα−ピネンが使用されることが好ましい。幾つかの実施態様では、リナロールクールであるリナロールが使用されるのが好ましい。幾つかの実施態様では、組成物は大豆油を更に含みうる。
【0067】
幾つかの実施態様では、組成物は、次の化合物から選択される二種以上の化合物を含む:リナロール、チモール、α−ピネン、及びパラ−シメン。幾つかの実施態様では、組成物は、次の化合物から選択される三種以上の化合物を含む:リナロール、チモール、α−ピネン、及びパラ−シメン。幾つかの実施態様では、組成物は、リナロール、チモール、α−ピネン、及びパラ−シメンを含む。幾つかの実施態様では、少なくとも約98%の純度のα−ピネンが使用されることが好ましい。幾つかの実施態様では、リナロールクールであるリナロールが使用されるのが好ましい。幾つかの実施態様では、組成物は大豆油を更に含みうる。
【0068】
幾つかの実施態様では、各化合物は、組成物の重量(wt/wt%)又は容積(vol/vol%)で、約1%から約99%を構成しうる。例えば、組成物は、約1%のα−ピネン及び約99%のチモールを含みうる。ここで使用される場合、化合物の重量又は容積による%量は、化合物の相対量を意味するものとして理解されなければならない。而して、例えば、7%のリナロール、35%のチモール、4%のα−ピネン、30%のパラ−シメン、及び24%の大豆油(vol/vol %)を含む組成物は、それぞれ(容積で)、7対35対4対30対24の比のリナロール、チモール、α−ピネン、パラ−シメン、及び大豆油を含むと言うことができる。而して、一の化合物が組成物から除去され、又は更なる化合物もしくは他の成分が組成物に加えられる場合、残りの化合物は同じ相対量で提供されうることが意図される。例えば、もし大豆油が例示的組成物から除去されると、得られる組成物はそれぞれ(容積で)7対35対4対40のリナロール、チモール、α‐ピネン、パラ-シメンを含むであろう。この結果として生じる組成物は、9.21%のリナロール、46.05%のチモール、5.26%のα‐ピネン、及び39.48%のパラ-シメン(vol/vol%)を含む。他の例では、サフラワー油が元の組成物に加えられて40%(vol/vol)のサフラワー油を含む最終組成物が得られるならば、得られる組成物は4.2%のリナロール、21%のチモール、2.4%のα‐ピネン、18%のパラ-シメン、14.4%の大豆油、及び40%のサフラワー油(vol/vol%)を含むであろう。
【0069】
幾つかの実施態様では、組成物は、約1−5%、約5−10%、約10−15%、約15−20%、約20−25%、約25−30%、約30−35%、約35−40%、約40−45%、約45−50%、約50−60%、約60−75%、又は約75−99%のリナロールを容積で測定して(vol/vol%)含む。幾つかの実施態様では、組成物は、約4.5−5.5%のリナロールを容積で測定して含む。幾つかの実施態様では、組成物は、約5%のリナロールを容積で測定して含む。幾つかの実施態様では、組成物は、約6.5−7.5%のリナロールを容積で測定して含む。幾つかの実施態様では、組成物は、約7%のリナロールを容積で測定して含む。幾つかの実施態様では、組成物は、約38−40%のリナロールを容積で測定して含む。幾つかの実施態様では、組成物は、約39%のリナロールを容積で測定して含む。
【0070】
幾つかの実施態様では、組成物は、約l−5%、約5−10%、約10−15%、約15−20%、約20−25%、約25−30%、約30−35%、約35−40%、約40−45%、約45−50%、約50−60%、約60−75%、又は約75−99%のリナロールを重量(wt/wt%)で測定して含む。幾つかの実施態様では、組成物は、約4.2−5.2%のリナロールを重量で測定して含む。幾つかの実施態様では、組成物は、約4.7%のリナロールを重量で測定して含む。幾つかの実施態様では、組成物は、約6.1−7.1%のリナロールを重量で測定して含む。幾つかの実施態様では、組成物は、約6.6%のリナロールを重量で測定して含む。幾つかの実施態様では、組成物は、約40.3−41.3%のリナロールを重量で測定して含む。幾つかの実施態様では、組成物は、約40.8%のリナロールを重量で測定して含む。
【0071】
幾つかの実施態様では、組成物は、約1−5%、約5−10%、約10−15%、約15−20%、約20−25%、約25−30%、約30−35%、約35−40%、約40−45%、約45−50%、約50−60%、約60−75%、又は約75−99%のチモールを容積(vol/vol%)で測定して含む。幾つかの実施態様では、組成物は、約38−40%のチモールを容積で測定して含む。幾つかの実施態様では、組成物は、約39%のチモールを容積で測定して含む。幾つかの実施態様では、組成物は、約36−38%のチモールを容積で測定して含む。幾つかの実施態様では、組成物は、約37%のチモールを容積で測定して含む。幾つかの実施態様では、組成物は、約34−36%のチモールを容積で測定して含む。幾つかの実施態様では、組成物は、約35%のチモールを容積で測定して含む。
【0072】
幾つかの実施態様では、組成物は、約1−5%、約5−10%、約10−15%、約15−20%、約20−25%、約25−30%、約30−35%、約35−40%、約40−45%、約45−50%、約50−60%、約60−75%、又は約75−99%のチモールを重量(wt/wt%)で測定して含む。幾つかの実施態様では、組成物は、約40.3−41.3%のチモールを重量で測定して含む。幾つかの実施態様では、組成物は、約40.8%のチモールを重量で測定して含む。幾つかの実施態様では、組成物は、約33.9−34.9%のチモールを重量で測定して含む。幾つかの実施態様では、組成物は、約34.4%のチモールを重量で測定して含む。幾つかの実施態様では、組成物は、約36.7−37.7%のチモールを重量で測定して含む。幾つかの実施態様では、組成物は、約37.2%のチモールを重量で測定して含む。
【0073】
幾つかの実施態様では、組成物は、約1−5%、約5−10%、約10−15%、約15−20%、約20−25%、約25−30%、約30−35%、約35−40%、約40−45%、約45−50%、約50−60%、約60−75%、又は約75−99%のα−ピネンを容積で測定して(vol/vol%)含む。幾つかの実施態様では、組成物は、約1.5−2.5%のα−ピネンを容積で測定して含む。幾つかの実施態様では、組成物は、約2%のα−ピネンを容積で測定して含む。幾つかの実施態様では、組成物は、約4.5−5.5%のα−ピネンを容積で測定して含む。幾つかの実施態様では、組成物は、約5%のα−ピネンを容積で測定して含む。幾つかの実施態様では、組成物は、約3.5−4.5%のα−ピネンを容積で測定して含む。幾つかの実施態様では、組成物は、約4%のα−ピネンを容積で測定して含む。
【0074】
幾つかの実施態様では、組成物は、約1−5%、約5−10%、約10−15%、約15−20%、約20−25%、約25−30%、約30−35%、約35−40%、約40−45%、約45−50%、約50−60%、約60−75%、又は約75−99%のα−ピネンを重量(wt/wt%)で測定して含む。幾つかの実施態様では、組成物は、約1.4−2.4%のα−ピネンを重量で測定して含む。幾つかの実施態様では、組成物は、約1.9%のα−ピネンを重量で測定して含む。幾つかの実施態様では、組成物は、約4.2−5.2%のα−ピネンを重量で測定して含む。幾つかの実施態様では、組成物は、約4.7%のα−ピネンを重量で測定して含む。幾つかの実施態様では、組成物は、約3.3−4.3%のα−ピネンを重量で測定して含む。幾つかの実施態様では、組成物は、約3.8%のα−ピネンを重量で測定して含む。
【0075】
幾つかの実施態様では、組成物は、約1−5%、約5−10%、約10−15%、約15−20%、約20−25%、約25−30%、約30−35%、約35−40%、約40−45%、約45−50%、約50−60%、約60−75%、又は約75−99%のパラ−シメンを容積で測定して(vol/vol%)含む。幾つかの実施態様では、組成物は、約36.5−37.5%のパラ−シメンを容積で測定して含む。幾つかの実施態様では、組成物は、約37%のパラ−シメンを容積で測定して含む。幾つかの実施態様では、組成物は、約29.5−30.5%のパラ−シメンを容積で測定して含む。幾つかの実施態様では、組成物は、約30%のパラ−シメンを容積で測定して含む。幾つかの実施態様では、組成物は、約1.5−2.5%のパラ−シメンを容積で測定して含む。幾つかの実施態様では、組成物は、約2%のパラ−シメンを容積で測定して含む。
【0076】
幾つかの実施態様では、組成物は、約1−5%、約5−10%、約10−15%、約15−20%、約20−25%、約25−30%、約30−35%、約35−40%、約40−45%、約45−50%、約50−60%、約60−75%、又は約75−99%のパラ−シメンを重量(wt/wt%)で測定して含む。幾つかの実施態様では、組成物は、約33.9−34.9%o パラ−シメンを重量で測定して含む。幾つかの実施態様では、組成物は、約34.4%のパラ−シメンを重量で測定して含む。幾つかの実施態様では、組成物は、約1.4−2.4%のパラ−シメンを重量で測定して含む。幾つかの実施態様では、組成物は、約1.9%のパラ−シメンを重量で測定して含む。幾つかの実施態様では、組成物は、約27.9−28.9%のパラ−シメンを重量で測定して含む。幾つかの実施態様では、組成物は、約28.4%のパラ−シメンを重量で測定して含む。
【0077】
幾つかの実施態様では、組成物は、約1−5%、約5−10%、約10−15%、約15−20%、約20−25%、約25−30%、約30−35%、約35−40%、約40−45%、約45−50%、約50−60%、約60−75%、又は約75−99%のtrans−アネトールを容積で測定して(vol/vol%)含む。幾つかの実施態様では、組成物は、約16.5−17.5%のtrans−アネトールを容積で測定して含む。幾つかの実施態様では、組成物は、約17%のtrans−アネトールを容積で測定して含む。
【0078】
幾つかの実施態様では、組成物は、約1−5%、約5−10%、約10−15%、約15−20%、約20−25%、約25−30%、約30−35%、約35−40%、約40−45%、約45−50%、約50−60%、約60−75%、又は約75−99%のtrans−アネトールを重量(wt/wt%)で測定して含む。幾つかの実施態様では、組成物は、約17.7−18.7%のtrans−アネトールを重量で測定して含む。幾つかの実施態様では、組成物は、約18.2%のtrans−アネトールを重量で測定して含む。
【0079】
幾つかの実施態様では、組成物は次の化合物を次の相対量で含み、ここで、化合物の相対量は、%wt/wtで表して、15−25%のtrans−アネトール、30−40%のパラ−シメン、1−10%のリナロール、1−10%のα−ピネン、及び35−45%のチモールである。幾つかの実施態様では、組成物は次の化合物を次の相対量で含み、ここで、化合物の相対量は、%wt/wtで表して、18.2%のtrans−アネトール、34.4%のパラ−シメン、4.7%のリナロール、1.9%のα−ピネン、及び40.8%のチモールである。
【0080】
幾つかの実施態様では、組成物は次の化合物を次の相対量で含み、ここで、化合物の相対量は、%vol/volで表して、10−20%のtrans−アネトール、30−40%のパラ−シメン、1−10%のリナロール、1−10%のα−ピネン、及び35−45%のチモールである。幾つかの実施態様では、組成物は次の化合物を次の相対量で含み、ここで、化合物の相対量は、%vol/volで表して、17%のtrans−アネトール、37%のパラ−シメン、5%のリナロール、2%のα−ピネン、及び39%のチモールである。
【0081】
幾つかの実施態様では、組成物は次の化合物を次の相対量で含み、ここで、化合物の相対量は、%wt/wtで表して、15−25%のtrans−アネトール、1−10%のパラ−シメン、35−45%のリナロール、1−10%のα−ピネン、及び30−40%のチモールである。幾つかの実施態様では、組成物は次の化合物を次の相対量で含み、ここで、化合物の相対量は、%wt/wtで表して、18.2%のtrans−アネトール、1.9%のパラ−シメン、40.8%のリナロール、4.7%のα−ピネン、及び34.4%のチモールである。
【0082】
幾つかの実施態様では、組成物は次の化合物を次の相対量で含み、ここで、化合物の相対量は、%vol/volで表して、15−25%のtrans−アネトール、1−10%のパラ−シメン、35−45%のリナロール、1−10%のα−ピネン、及び30−40%のチモールである。幾つかの実施態様では、組成物は次の化合物を次の相対量で含み、ここで、化合物の相対量は、%vol/volで表して、17%のtrans−アネトール、2%のパラ−シメン、39%のリナロール、5%のα−ピネン、及び37%のチモールである。
【0083】
幾つかの実施態様では、組成物は次の化合物を次の相対量で含み、ここで、化合物の相対量は、%wt/wtで表して、25−35%のパラ−シメン、1−10%のリナロール、1−10%のα−ピネン、20−30%の大豆油、及び35−45%のチモールである。幾つかの実施態様では、組成物は次の化合物を次の相対量で含み、ここで、化合物の相対量は、%wt/wtで表して、28.39%のパラ−シメン、6.6%のリナロール、3.8%のα−ピネン、24%の大豆油、及び37.2%のチモールである。
【0084】
幾つかの実施態様では、組成物は次の化合物を次の相対量で含み、ここで、化合物の相対量は、%vol/volで表して、25−35%のパラ−シメン、1−10%のリナロール、1−10%のα−ピネン、20−30%の大豆油、及び35−45%のチモールである。幾つかの実施態様では、組成物は次の化合物を次の相対量で含み、ここで、化合物の相対量は、%vol/volで表して、30%のパラ−シメン、7%のリナロール、4%のα−ピネン、24%の大豆油、及び35%のチモールである。
【0085】
幾つかの実施態様では、組成物は、例えば、表Dからの次の化合物の何れか、又は表Eに「混合物」として列挙される組成物の何れかの活性成分等を含みうる。
【0086】






























【0087】
更に、上記の表E中の各混合物に対して列挙された特定量の成分に加えて、次の4種の倍数を各特定量に乗じることによって得られうる量の範囲もまた考えられる:倍数1(±200%);倍数2(±100%);倍数3(±40%);及び倍数4(±10%)。得られる範囲は、0%未満又は100%を越える値を含むことは勿論ない。
【0088】
幾つかの実施態様では、上記の表B、B1、C、D、又はEの何れかに列挙された少なくとも二種の化合物の相乗的組合せを含む組成物が特に考慮される。
【0089】
驚いたことに、所定の相対的な量である種の化合物を混合することによって、得られる組成物は、組成物の何れの成分の抗寄生虫効果をも越える抗寄生虫効果を実証する。ここで使用される場合、「組成物の成分」は組成物中に含まれる化合物又は化合物のサブセットであり、例えば完全な組成物から少なくとも一の化合物を除いたものである。ここで使用される場合、「抗寄生虫効果」は、寄生虫感染を治療するための組成物の効能に関する何れかの測定可能なパラメータを意味する。効果は、設定時点に対する生存率、死滅、予防、又は他の有用で定量可能なパラメータに関するパラメータであり得、又はそれは所望の結果を達成するための時間、例えば設定用量で100%の死滅を達成するための時間でありうる。この点に関して、第一の効果と第二の効果を比較した場合、第一の効果が、それが第二の効果を越えるならば、より大きな寄生虫感染治療効果を示しうる。例えば、測定される効果が100%の死滅を達成する時間である場合は、より短い時間が長い時間を越える抗寄生虫効果である。他の例では、測定される効果が標的寄生虫の死滅%である場合、より大きな死滅%は、より小さい死滅%を越える抗寄生虫効果である。測定することができる効果には、限定するものではないが、インビボ又はインビトロで標的寄生虫の所定の割合を死滅させる時間;インビボ又はインビトロでの標的寄生虫の生存割合又は死滅割合;標的寄生虫の卵の生存割合;標的寄生虫による外寄生が治癒される宿主集団の割合;標的寄生虫による感染に対して保護されている宿主集団の割合(予防効果);例えばカルシウム、サイクリックAMP等のような標的寄生物中の細胞メッセージ又は細胞シグナルの撹乱;及び標的寄生虫における分子標的の活性又は下流の効果の減少が含まれる。
【0090】
特定の組成物又は組成物の成分の抗寄生虫効果を評価するための例示的なインビボ法は、宿主動物を使用して実施することができる。宿主動物が標的寄生虫に感染させられる。興味ある組成物又は成分が宿主動物に投与される。興味ある組成物又は成分の投与は、試験される標的寄生虫に応じて、宿主動物の感染前及び/又は感染後の様々な時間に開始されうる。宿主動物中において寄生虫によって生産される卵が定量される。例えば、動物から集められた便試料中の卵を定量することができる。興味ある組成物又は成分を受け入れた宿主動物中において寄生虫によって生産される卵の定量化を、興味のある他の組成物又は成分を受け入れた宿主動物、又はコントロールとなる宿主動物、例えば未感染のコントロール、又は未処置のコントロールにおける寄生虫によって生産される卵の定量化と比較することができる。
【0091】
特定の組成物又は組成物の成分の抗寄生虫効果を評価するための例示的なインビトロ法は、試験プレートで提供される標的寄生虫を使用して実施することができる。興味ある組成物又は成分が標的寄生虫に接触させられ、効果、例えば、標的寄生虫の生存率に対する興味ある組成物又は成分の効果が観察される。標的寄生虫に対する治療の効果を、標的寄生虫、例えば興味のある他の組成物又は成分で治療された標的寄生虫、又はコントロールとなる標的寄生虫、例えば未感染のコントロール、又は未処置のコントロールとなる標的寄生虫についての他の治療の効果と比較することができる。
【0092】
当業者には明らかであり、又は常套的な実験のみを使用して当業者によって特定の場合での使用のために決定されうる他の方法を使用して、特定の組成物又は成分の抗寄生虫効果を評価することができる。抗寄生虫効果の評価に関する更なる情報はこの明細書に記載の実施例に見出すことができる。
【0093】
幾つかの実施態様では、ある化合物を混合すると相乗的抗寄生虫効果が達成され、該相乗効果は、ある化合物をある相対量又は比で混合される場合に亢進されうる。換言すれば、少なくとも一の化学物質と、化合物のある種の組合せを含む組成物は、単独で採られる各々の化合物と比較すると、寄生虫感染の治療に亢進した能力を有しうる。
【0094】
ここで使用される場合、「相乗性」及び「相乗効果」は、組成物の成分、例えば一の活性化合物単独の効果と比較した場合、又は完全な組合せの効果から少なくとも一の成分をマイナスしたものと比較した場合に、少なくとも二の化合物の組成物における、測定可能な効果、例えば抗寄生虫効果のあらゆる実質的な亢進を意味するということができる。相乗効果は、化合物の混合物の特定の特徴であり、例えば単に成分の任意のランダムな組合せの相加効果にのみ起因するであろう亢進のバックグラウンドレベルを越えている。
【0095】
幾つかの実施態様では、測定可能な効果の実質的な亢進は、相乗係数として表現されうる。相乗係数は、組成物の測定された効果と比較組成物の測定された効果の比較の表現である。比較組成物は組成物の成分であり得る。幾つかの実施態様では、相乗係数は、完全な混合物と比較組成物の濃度差に対して調整されうる。
【0096】
相乗係数は次のようにして計算することができる。活性比(R)は、次のように、組成物の%効果(A)を比較組成物の%効果(X)で除することによって計算できる:
R=A/X 式1
【0097】
濃度調節因子(F)は、次のように、組成物中の比較組成物の濃度(C)、つまり、%(wt/wt)又は%(vol/vol)に基づいて計算できる:
F=100/C 式2
【0098】
相乗係数(S)は、次のように、活性比(A)と濃度調節因子(F)を乗することによって計算できる:
S=(R)(F) 式3
【0099】
従って、相乗係数(S)はまた次のようにして、計算によって求めることができる:
S=[(A/X)(100)]/C 式4
【0100】
式4において、Aは混合物の効果%として表され、Xは比較組成物(X)の効果%として表され、Cは混合物中における比較組成物の濃度%(wt/wt)又は%(vol/vol)として表される。
【0101】
幾つかの実施態様では、約1.1、1.2、1.3、1.4又は1.5の相乗係数が実質的であり、商業的に望ましい。他の実施態様では、相乗効係数は、限定しないが約1.8、2.0、2.5、3.0、3.5、4.0及び4.5を含む約1.6から約5でありうる。他の実施態様では、相乗係数は、限定しないが約10、15、20、25、30、35、40及び45を含む約5から50でありうる。他の実施態様では、相乗係数は、限定しないが約50、75、100、125、150、200、250、300、350、400及び450を含む約50から約500又はそれ以上でありうる。500を越える相乗係数もまた本発明の実施態様内であると考えられる。
【0102】
広い範囲の相乗効果がここに記載した様々な実施態様において見出すことができるので、相乗係数は与えられた数「よりも大きい」と記載され得、よって下限及び上限値を有する範囲の境界内にあることに必ずしも限定されないことが明示的に留意される。同様に、本発明の幾つかの実施態様では、ある低い相乗係数又は範囲の下端が明示的に排除される。従って、幾つかの実施態様では、相乗効果は、かかる実施態様に対する相乗効果の下限を構成する与えられた数「よりも大きい」ものとして表すことができる。例えば、幾つかの実施態様では、相乗係数は25以上である;かかる実施態様で、25より低い全ての相乗係数は、たとえ実質的であっても、明示的に除外される。
【0103】
幾つかの実施態様では、組成物と関係している相乗性又は相乗効果は、出典明示によりここに援用されるColby, S. R., “Calculating Synergistic and Antagonistic Responses of Herbicide Combinations,”Weeds 1967 15:1, pp.20-22に記載されたものと同様な計算を使用して決定することができる。この点に関して、次の式を、2つの化合物、化合物X及び化合物Yを含む組成物のパーセント効果(E)を表すために使用することができる:
E=X+Y−(X*Y/100) 式5
【0104】
式5において、Xは組成物中の化合物Xの測定された実際のパーセント効果であり、Yは組成物中の化合物Yの測定された実際のパーセント効果である。組成物の予想されるパーセント効果(E)はついで組成物の測定された実際のパーセント効果(A)と比較される。測定される実際のパーセント効果(A)は式によって計算される予想されるパーセント効果(E)と異なる場合には、その差は化合物の相互作用のためである。よって、組成物はA>Eである場合、相乗効果(化合物の正の相互作用)を有する。更に、A<Eの場合、負の相互作用(拮抗作用)がある。
【0105】
式5は、組成物中の任意の数の化合物を表すように拡張することができる;しかしながら、3つの化合物、化合物X、化合物Y、及び化合物Zを含む組成物に対する次の式によって例証されるように、拡張されると更に複雑になる:
E=X+Y+Z−((XY+XZ+YZ)/100)(X*Y*Z/10000) 式6
【0106】
任意の数の化合物を有する組成物に適応する使いやすい式は、式5及び6を変更することによって提供されうる。式のかかる変更を以下に記載する。式5及び6を使用する場合、未処理のコントロール値(組成物又は化合物で処理なし)は100%に設定され、例えば測定される効果が死滅した標的寄生虫の量であるならば、コントロール値は標的寄生虫の100%生存に設定される。この点、化合物Aでの処理が標的寄生虫の80%死滅を生じるならば、化合物Aでの処理は20%生存、又はコントロール値の20%となると言うことができる。パーセント効果として表される値とコントロールのパーセントとして表される値の間の関係は次式に記載され、ここで、E’は組成物の予想されたコントロールのパーセントであり、Xは組成物の個々の化合物(化合物X)の測定された実際のパーセント効果であり、X’は組成物の個々の化合物のコントロールのパーセントであり、A’は組成物のコントロールの実際の測定されたパーセントである。
E=100−E’ 式7
=100=X’ 式8
A=100−A’ 式9
【0107】
式5及び6のパーセント効果値にコントロールのパーセント値を置き換え、化合物の任意の数(n)に適応できるように変更することによって、組成物のコントロールの予想パーセント(E’)を計算するための次の式が提供される:

【0108】
式10によれば、組成物に対するコントロールの予想されるパーセント(E’)は、組成物の各化合物に対するコントロール値の測定された実際のパーセントを100n−1によって除することによって計算される。組成物に対するコントロールの予想されるパーセント(E’)は、ついで組成物のコントロールの測定された実際のパーセント(A’)と比較される。測定されるコントロールの実際のパーセント(A’)が、式10によって計算されるコントロールの予想されるパーセント(E’)と異なる場合、その差は化合物の相互作用による。よって、組成物はA’<E’の場合、相乗効果(化合物の正の相互作用)を有する。更に、A’>E’の場合、負の相互作用(拮抗作用)がある。
【0109】
ある比又は相対量で二以上の化合物を含む組成物は、組成物の成分の抗寄生虫効果に対して化合物の特定の組成物の抗寄生虫効果を比較することによって相乗効果について試験することができる。相乗性決定に関する更なる情報は本明細書に記載した実施例に見出すことができる。
【0110】
ここに開示された主題事項の組成物は、食物製品を含む担体に対して製剤化され、該担体によって送達されうることが考えられる。 例えば、添加剤が、香味又は色を向上又は変更し、保存期間を増大させ、栄養価を向上させ、一般に所望の効果をつくり出すために、クッキー、パン、ケーキ等の焼いた食品に添加される。同様に、ここに開示された主題事項の組成物は、担体として食品生成物を用いて製剤化され得、その所望の効果をつくり出すために消化によって送達されうる。勿論、限定しないが、飲料、朝食用シリアル、及び粉末飲料混合物を含む無数のタイプの食物を、組成物を送達させるために使用することができる。
【0111】
更に、ここに開示された組成物は、懸濁液、溶液又は油性又は水性担体中のエマルジョンのような形態を取り得、懸濁剤、安定剤及び/又は分散剤のような処方用薬剤を含みうる。経口投与の場合、組成物は、薬学的に許容可能な賦形剤、例えば結合剤(例えば、アルファ化トウモロコシ澱粉、ポリビニルピロリドン又はヒドロキシプロピルメチルセルロース);フィラー(例えば、ラクトース、微結晶性セルロース又はリン酸水素カルシウム);潤滑剤(例えば、ステアリン酸マグネシウム、タルク又はシリカ);崩壊剤(例えば、ジャガイモ澱粉又はグリコール酸ナトリウムスターチ);又は湿潤剤(例えば、ラウリル硫酸ナトリウム)を用いて一般的な技術によって調製される例えば、錠剤又はカプセル剤の形態を取ることができる。錠剤は当該分野で知られている方法によって被覆することができる。例えば、ここに開示された組成物は、それが大腸に達するまで組成物を保護する腸溶又は遅延放出コーティングを有するようにして製剤化することができる。
【0112】
経口投与のための液体調製物は、例えば溶液、シロップ又は懸濁液の形態を取りうる。かかる液体調製物は、薬学的に許容可能な添加剤、例えば懸濁剤(例えば、ソルビトールシロップ、セルロース誘導体又は水素化食用脂肪); 乳化剤(例えばレシチン又はアカシア);非水性ビヒクル(例えば、アーモンド油、油性エステル、エチルアルコール又は分画植物油); 及び保存料(例えば、メチル又はプロピル−p−ヒドロキシベンゾエート又はソルビン酸)を用いて一般的な技術によって調製することができる。経口投与のための液体調製物はまた例えば「ゲルカプセル」のように遅延放出用に製剤化することもできる。
【0113】
ある実施態様では、組成物はカプセル化又はマイクロカプセル化形態で提供されうる。マイクロカプセル化は、組成物の放出を制御するため又は組成物を保護するために、組成物の小粒子をシェル材料で被覆又はカプセル化する方法である。例示的なシェル材料は、タンパク質、多糖類、澱粉、ロウ、天然及び合成ポリマー、並びに樹脂を含む。マイクロカプセル化は化学的に又は物理的になされうる。例えば、組成物をカプセル化する物理的方法は、噴霧乾燥、噴霧冷却、パンコーティング、又は共押出しを含みうる。カプセル化の化学的方法は、コアセルベーション、相分離、溶媒抽出、又は溶媒蒸発を含みうる。
【0114】
一例として、液体コアの共押出しでは、液体コア及びシェル物質を同心オリフィスを通してポンプ移送し、コア物質を中央オリフィスに流し、シェル物質を外環に流す。コア流体の液滴がシェル流体の層によって包み込まれると封入された化合物液滴が形成される。ついで、シェルが適当な手段;例えば、ポリマーの場合には化学的架橋によって、脂肪又はロウの場合は冷却によって、又は溶媒蒸発によって、硬化させられる。食物製品に処方されそれを介して送達される組成物を提供するための方法及びシステムについての更なる情報は、その各々が出典明示によりここに援用される米国特許第5418010号、同第5407609、同第4211668号、同第3971852号、及び同第3943063号に見出すことができる。
【0115】
ここに開示された主題事項の組成物は、寄生虫感染の治療に使用することができる。ここに開示される主題事項は、ここに記載の組成物の有効量を投与することを含む、患者における寄生虫感染を治療する方法を含む。
【0116】
ここで使用される場合、「宿主」及び「患者」なる用語は相互に交換可能に使用され、寄生虫に感染しうる植物又は動物を意味する。動物は脊椎動物でありうる。脊椎動物は温血動物でありうる。温血脊椎動物は哺乳動物でありうる。哺乳動物はヒトでありうる。ヒトは成人又は子供でありうる。ここで使用される場合、「宿主」及び「患者」なる用語はヒト及び動物宿主及び患者を含む。よって、ここに開示された主題事項に従って動物治療用用途が提供される。而して、ここに開示された主題事項は、ヒトのような哺乳動物、並びに絶滅の危機に瀕した重要な哺乳動物、例えばアムールトラ又はユキヒョウ;経済的に重要な動物、例えばヒトによる消費のために牧場で飼育される動物;及び/又はヒトにとって重要な社会的動物、例えばペットとして飼われている動物又は動物園の動物の治療を提供する。そのような動物の例には、限定されないが、肉食動物、例えばネコ及びイヌ;ブタ、例えば豚、雄豚、及びイノシシ;反芻動物及び/又は有蹄動物、例えばウシ、雄ウシ、ヒツジ、キリン、シカ、ヤギ、バイソン、及びラクダ;及びウマが含まれる。また提供されるものは、絶滅の危機に瀕した鳥類及び/又は動物園で飼われている鳥類、並びに家禽、ヒトにとって経済的にまた重要であるため、より詳細には家畜化された家禽、つまり家禽(poultry)、例えばシチメンチョウ、ニワトリ、アヒル、ガチョウ、ホロホロチョウ等の鳥類の治療である。よって、また提供されるものは、限定しないが、家畜化されたブタ、反芻動物、有蹄動物、ウマ(競走馬を含む)、家禽等を含む家畜の治療である。
【0117】
ここで使用される場合、「治療する」、「治療している」及び「治療」なる用語は、感染に対する保護を付与すること;感染を防止すること;感染を軽減すること;感染の症状及び/又は後遺症の重篤度を低減させること;感染を除去すること;及び/又は感染の再発を予防することを意味する。ここで使用される場合、「治療する」、「治療している」及び「治療」なる用語は、また寄生虫感染の防止;軽減;重篤度の減少、除去、及び/又は寄生虫感染によって引き起こされる疾患及び/又は症状に関連した再発を予防することを意味する。
【0118】
ここで使用される場合、「有効量」なる用語は寄生虫感染に対して治療をもたらすのに十分な投薬量を意味する。必要とされる正確な量は、例えば標的寄生虫、受けている治療、患者の年齢及び一般的症状、使用されている特定の製剤、投与の態様等に応じて変動しうる。而して、有効量は特定の状況に基づいて変動し、適切な有効量は常套的な実験のみを使用して当業者によって特定の例において決定することができる。
【0119】
ここに開示される主題事項は、寄生虫感染を治療するのに有用な組成物をスクリーニングする方法を含む。幾つかの実施態様では、スクリーニング方法は、寄生虫感染を治療するための組成物の成分として同定される可能な化合物の範囲を狭くするのに有用である。
【0120】
幾つかの実施態様では、寄生虫感染を治療するのに使用される組成物を選択する方法は、次のものを含む。チラミン受容体を発現する細胞が提供され、試験化合物と接触される。化合物の受容体結合親和性が測定される。次のパラメータから選択される少なくとも一のパラメータが測定される:細胞内cAMPレベル、及び細胞内Ca2+レベル。パラメータの少なくとも一を変更することができ、チラミン受容体に対して高受容体結合親和性を有する組成物に対する第一化合物が同定され;パラメータの少なくとも一を変更することができ、チラミン受容体に対して低受容体結合親和性を有する組成物に対する第二化合物が同定される。第一及び第二化合物を含む組成物が選択される。幾つかの実施態様では、第一及び第二化合物を含み、単独で使用される場合の化合物の何れかの抗寄生虫効果を越える抗寄生虫効果を示す組成物が選択される。
【0121】
方法に使用される細胞は、チラミン受容体(TyrR)が形質移入され得、これを発現しうる任意の細胞でありうる。細胞の例には、限定されないが、昆虫細胞、例えばショウジョウバエシュナイダー細胞、ショウジョウバエシュナイダー2細胞(S2細胞)、及びヨウトガ細胞(例えば、Sf9又はSf21);又は哺乳動物細胞、例えばヒト胚性腎臓細胞(HEK−293細胞)、アフリカミドリザル腎臓線維芽細胞(COS−7細胞)、HeLa細胞、及びヒトケラチノサイト細胞(HaCaT細胞)が含まれる。受容体を発現する細胞の調製に関する更なる情報は、出典明示によりその全体がここに援用される米国特許出願第10/832022号;同第11/086615号;及び同第11/365426号に見出すことができる。
【0122】
チラミン受容体(TyrR)は、完全長TyrR、TyrRの機能的断片、又はTyrRの機能的変異体でありうる。TyrRの機能的断片は、参照ポリペプチド、つまり、完全長TyrRと比較してアミノ酸残基が欠失されているが、残りのアミノ酸配列がチラミンに対する参照ポリペプチドの結合親和性を保持しているTyrRである。TyrRの機能的変異体は、アミノ酸挿入、アミノ酸欠失、又は保存的アミノ酸置換を含み、チラミンに対する参照ポリペプチドの結合親和性を保持しているTyrRである。「保存的アミノ酸置換」はアミノ酸残基の機能的に類似した残基との置換である。保存的置換の例は、一つの非極性(疎水性)残基、例えばイソロイシン、バリン、ロイシン又はメチオニンの他のものへの置換;例えばアルギニンとリジン、グルタミンとアスパラギン、グリシンとセリンのような、一つの極性(親水性)残基の他のものへの置換;例えばリジン、アルギニン又はヒスチジンのような一つの塩基性残基の他のものへの置換;又は一つの酸性残基、例えばアスパラギン酸又はグルタミン酸の他のものへの置換を含む。保存的アミノ酸置換はまた、得られるものがチラミンに対する参照ポリペプチドの結合親和性を保持する限り、残基を化学的に誘導体化された残基と置換することを含む。TyrRsの例は、限定しないが、TyrRs、例えばキイロショウジョウバエTyrR(GENBANK(登録商標)受託番号(GAN)CAA38565)、Locusta migratoria TyrR(GAN:Q25321)、他の無脊椎動物のTyrRs、及び線虫のTyrR、例えばAscarisを含む。
【0123】
幾つかの実施態様では、他の受容体、例えばGタンパク質共役型受容体(GPCRs)は、チラミン又は他のリガンドに対して天然の親和性を有しているかどうかにかかわらず、寄生虫感染を治療するのに有用な組成物のスクリーニング方法に用いることができる。使用され得る受容体の例には、限定しないが、Anopheles gambiae (GAN: EAA07468)、Heliothis virescens (GAN: Q25188)、Mamestra brassicae (GAN: AAK14402)、Tribolium castaneum (GAN: XP_970290)、Aedes aegypti (GAN: EAT41524)、Boophilus microplus (GAN: CAA09335);Schistosoma mansoni (GAN: AAF73286);及びSchistosoma mansoni (GAN: AAW21822)が含まれる。
【0124】
幾つかの実施態様では、核内ホルモン受容体スーパーファミリーの受容体は、寄生虫感染を治療するのに有用な組成物をスクリーニングする方法に用いることができる。使用することができる受容体の例には、限定しないが、例えばDAF−2 及びDAF−12のような、核内受容体のDAFファミリーに類似している寄生虫又は無脊椎動物からの受容体が含まれる。他の実施態様では、ショウジョウバエ又は他の無脊椎動物由来の核内受容体タンパク質、例えば、サブファミリー1の核内受容体、例えばE78、E75、DHR3、EcR、及びDHR96;サブファミリー2の核内受容体、例えばUSP、DHR78、HNF4、SVP、TLL、DSF、DHR51、又はDHR83;サブファミリー3 の核内受容体、例えばERR、サブファミリー4の核内受容体、例えばDHR38;サブファミリー5の核内受容体、例えばFTZ−F1又はDHR39;又はサブファミリー6の核内受容体、例えばDHR4を用いることができる。他の実施態様では、ある種のヒト核内受容体に類似している無脊椎動物又は寄生虫核内受容体、例えば、サブファミリー1の核内受容体、例えばPPAR、RAR、TR、REV−ERB、ROR、FXR、LXR、VDR、SXR、又はCAR;サブファミリー2の核内受容体、例えばRXR、TR2/TR4、HNF4、COUP−TF、TLX、又はPNR;サブファミリー3の核内受容体、例えばERR、ER、又はMR/PR/AR/GR;サブファミリー4の核内受容体、例えばNURRI/NGFIB;サブファミリー5の核内受容体、例えばLRH/SFl;又はサブファミリー6の核内受容体、例えばGCNFを用いることができる。他の実施態様では、例えばla、25(OH)2−ビタミンD3、17p−エストラジオール、テストステロン、プロゲステロン、コルチゾール、アルドステロン、all−transレチノイン酸、3,5,3’−L−トリヨードチロニン、cc−エクジソン、又はブラシノライドのような天然に生じるホルモンをその天然リガンドとして有する無脊椎動物又は寄生虫核内受容体タンパク質をとりわけ用いることができる。
【0125】
他の実施態様では、例えば以下の表Fに列挙された受容体のような、ある種のヒト核内受容体に類似の無脊椎動物又は寄生虫核内受容体タンパク質を用いることができる。表中、a, b 及びgはそれぞれギリシア文字α、β 及びγに対応する。



【0126】
かかる核内受容体がスクリーニングプラットフォームに用いられる場合、受容体の既知の下流効果を、受容体に対する薬剤又は薬剤混合物の効果の指標として使用することができる。 例えば、活性化された受容体の既知の標的から転写されたRNAのレベルを評価することができ、又は既知の調節カスケードの下流効果を評価することができる。
【0127】
興味ある他の分子標的は表Gに列挙されたものを含む:













【0128】
リガンド結合に応答して、GPCRsは、例えばCa2+又はcAMPのレベルの変化のような 細胞内応答をトリガーしうる。セコンドメッセンジャー依存性プロテインキナーゼ及びGタンパク質共役型受容体キナーゼ(GRKs)双方によるリン酸化へ応答したGタンパク質の非共役は、GPCR脱感作を生じる。GRK媒介受容体リン酸化はβ−アレスチンの結合を促進し、これが、ヘテロ三量体 Gタンパク質からの非共役受容体に加えて、クラスリン被覆小胞中における内部移行に対して多くのGPCRsを標的化する。Β−アレスチンタンパク質は、受容体脱感作 及び内部移行の双方に寄与することによってGPCR応答性の調節に二重の役割を果たしている。
【0129】
脱感作後、GPCRsは再び感作されうる。エンドソームに対するGPCR隔離は、GRKリン酸化受容体が脱リン酸化され再感作される機序であると考えられる。GPCR輸送分子としてのβ−アレスチンの同定は、β−アレスチンがGPCR再感作の決定因子でありうることを示唆している。しかしながら、例えば、GRK、N−エチルマレイミド感受性因子(NSF)、クラスリンアダプタータンパク質(AP−2タンパク質)、プロテインホスファターゼ、クラスリン、ダイナミン等を含む他の細胞成分がまた脱感作及び再感作(D/R)プロセスにおいて重要な役割を担っている。これらの分子に加えて、他の分子、例えば、エンドソーム、リソソーム等もまたD/Rプロセスに影響する。D/Rサイクルのこれらの様々な成分は、細胞外刺激に対するGPCR「利用能」を破壊又は変更し、よって標的生物に対するその細胞外刺激の効果を減弱し又は強化する機会を提供する。例えば再感作プロセス等による阻害によって達成される減弱化は、GPCRシグナル伝達プロセスに対する細胞外刺激(例えば、UV暴露、毒素等)の効果を制限しうる。例えば、脱感作プロセスの阻害等により達成される シグナルカスケードの強化は、GPCRシグナル伝達プロセスに対する細胞外刺激(例えば、医薬、殺虫剤等)の効果を増加させうる。
【0130】
本開示に係る実施態様は、GPCRの作用によってトリガーされる様々なシグナルカスケードを変更又は破壊することによって、寄生虫GPCR D/Rを破壊し又は変更する方法を含みうる。ある実施態様は、例えば、精油等を含む、小分子の適用など、様々な形で寄生虫GPCR D/Rを破壊し又は変更することができる。これらの小分子は、例えば次のものの何れか等を含みうる:


【0131】
あるいは、小分子は、上述の非精油小分子クラスの何れかのメンバーを含みうる。
【0132】
本開示に係る実施態様は、間接的な寄生虫GPCR脱感作阻害活性について組成物をスクリーニングする方法を含みうる。本開示に係るある実施態様では、試験組成物が間接的な寄生虫GPCR脱感作阻害活性を有していることの現れは、試験組成物が異なったGPCRsに対して寄生虫GPCR脱感作阻害活性を有しているときには明らかな場合がある。ある実施態様では、試験組成物が間接的な寄生虫GPCR脱感作阻害活性を有していることの現れは、寄生虫GPCR周期が受容体自体に結合する組成物がないのに阻害されるときに明らかな場合がある。本開示に係るある実施態様では、脱感作の現れは、例えば、細胞膜から細胞の内部へとそして細胞膜へ戻る等の細胞のGPCR再循環の減少のような、細胞外刺激への応答の減少を含みうる。そのような減少した応答は、受容体脱リン酸化及び再循環の低下を生じ得、よって細胞表面上に存在する感作受容体分子が少なくなる。他の現れは、生物中のCa2+カスケード又はcAMPレベルのGPRC調節活性化の期間の変更でありうる。
【0133】
本開示に係る実施態様は、間接的な寄生虫GPCR再感作阻害活性について組成物をスクリーニングする方法を含みうる。本開示に係るある実施態様では、試験組成物が間接的な寄生虫GPCR再感作阻害活性を有していることの現れは、試験組成物が異なったGPCRsに対して寄生虫GPCR再感作阻害活性を有しているときに明らかである場合がある。ある実施態様では、試験組成物が間接的な寄生虫GPCR再感作阻害活性を有していることの現れは、寄生虫GPCR周期が受容体自体に結合する組成物がないのに阻害されるときに明らかな場合がある。本開示に係るある実施態様では、再感作の現れは、例えば、細胞膜から細胞の内部へとそして細胞膜へ戻る等の細胞のGPCR再循環の減少のような、細胞外刺激への応答の減少を含みうる。受容体が脱リン酸化を受けるためにエンドソームコンパートメントへの分離を必要としない場合、GPCR循環のそのような減少の結果、細胞表面上により多くの感作受容体分子が存在するようになる。他の現れは、Ca+又はcAMPの正常又は静的レベルへの回復でありうる。
【0134】
本開示に係る実施態様は、非特異的寄生虫GPCR脱感作阻害活性について組成物をスクリーニングする方法を含みうる。該方法は、二種以上の異なった寄生虫GPCRsに対しての寄生虫GPCR脱感作阻害活性について、試験組成物をスクリーニングすることを含みうる。本開示に係るある実施態様では、試験組成物が非受容体特異的寄生虫GPCR脱感作阻害活性を有していることの現れは、試験組成物が二以上の異なったGPCRsの各々について寄生虫GPCR脱感作阻害活性を有しているときに明らかである場合がある。本開示に係るある実施態様では、脱感作阻害活性の現れは、例えば、細胞膜から細胞の内部へとそして細胞膜へ戻る等の細胞のGPCR再循環の減少のような、細胞外刺激への応答の減少を含みうる。他の現れは、生物中のCa2+カスケード又はcAMPレベルのGPRC調節活性化の期間の変更でありうる。
【0135】
本開示に係る実施態様は、非特異的寄生虫GPCR再感作阻害活性について組成物をスクリーニングする方法を含みうる。該方法は、二種以上の異なった寄生虫GPCRsに対しての寄生虫GPCR再感作阻害活性について、試験組成物をスクリーニングすることを含みうる。本開示に係るある実施態様では、試験組成物が非受容体特異的寄生虫GPCR再感作阻害活性を有していることの現れは、試験組成物が二以上の異なった寄生虫GPCRsの各々について寄生虫GPCR再感作阻害活性を有しているときに明らかである場合がある。本開示に係るある実施態様では、再感作阻害の現れは、例えば、細胞膜から細胞の内部へとそして細胞膜へ戻る等の細胞のGPCR再循環の減少のような、細胞外刺激への応答の減少を含みうる。他の現れは、生物中のCa2+カスケード又はcAMPレベルのGPRC調節活性化の期間の変更でありうる。
【0136】
本開示に係る一実施態様では、間接的な寄生虫GPCR脱感作阻害活性について試験組成物をスクリーニングするために一つの細胞を使用することができる。かかる実施態様では、細胞が互いに異なるものである二種以上の寄生虫GPCRsを発現しうるので、試験組成物が異なった寄生虫GPCRsの各々について寄生虫GPCR脱感作阻害活性を有する現れがあるかどうかを決定する検出方法を使用することができる。
【0137】
本開示に係る幾つかの実施態様では、複数ウェル形式を使用して間接的な寄生虫GPCR脱感作阻害活性について試験組成物をスクリーニングすることができる。幾つかの実施態様では、プレートの各ウェルは、寄生虫GPCRを含む少なくとも一つの細胞を含み得、アッセイは寄生虫GPCRを活性化させ、よって細胞内Ca2+レベルに影響を及ぼすことが知られている量で化合物を各ウェルに添加することを含みうる。幾つかの実施態様では、少なくとも一種の試験化合物を各ウェルにまた加えることができる。幾つかの実施態様では、Ca2+レベルは、少なくとも一種の試験化合物の添加後の様々な時点で試験することができる。ある実施態様では、細胞内Ca2+レベルを試験するために用いられる時点は、Ca2+レベルの増加が少なくとも一種の試験化合物の不存在下で見られうる時点を越えうる。幾つかの実施態様では、本開示に係る方法は、GPCRsへのアゴニスト効果を延ばす化合物を同定することができる。本開示に係る幾つかの実施態様では、cAMPレベルを評価して、GPCR応答に対する少なくとも一種の試験化合物の効果を計測することができる。
【0138】
本開示に係る幾つかの実施態様では、複数ウェル形式を使用して間接的なGPCR脱感作阻害活性について試験組成物をスクリーニングすることができる。幾つかの実施態様では、プレートの各ウェルは、GPCRを含む少なくとも一つの細胞を含み得、アッセイはそのGPCRを活性化させ、よって細胞内Ca+レベルに影響を及ぼすのに必要なものより少ない量で化合物を各ウェルに添加することを含みうる。幾つかの実施態様では、少なくとも一種の試験化合物を各ウェルに添加することができる。幾つかの実施態様では、Ca+レベルは、少なくとも一種の試験化合物の添加後の様々な時点で試験することができる。ある実施態様では、細胞内Ca+レベルを試験するために用いられる時点は、Caレベルの増加が少なくとも一種の試験化合物の不存在下で見られ得ない時点を越えうる。ある実施態様では、細胞内Caレベルを試験するために用いられる時点は、Ca2+レベルの増加がアゴニスト化合物のGPCR活性化用量の存在下で見ることができる時点を越えて延びうる。幾つかの実施態様では、本開示に係る方法は、GPCRsに対するアゴニスト効果を亢進する化合物を同定することができる。本開示に係る幾つかの実施態様では、cAMPレベルを評価して、GPCR応答に対する少なくとも一種の試験化合物の効果を計測することができる。
【0139】
ここに開示される受容体の幾つかは、GENBANK受託番号で相互参照される。GENBANKRデータベースで相互参照される配列は、出典明示により明示的に等価であるとして援用され、GENBANK(登録商標)又は他の公的なデータベース中に存在する均等で関連した配列として出典明示により明示的に援用される。また出典明示によりここに援用されるものは、ここに開示された配列に関係するGENBANK(登録商標)データベース中に存在する全ての注釈である。
【0140】
ここで使用される場合、「受容体結合親和性」なる用語は、組成物又は成分、例えば化合物と、受容体結合部位の間の相互作用を意味する。組成物又は成分、例えば化合物と、受容体結合部位の間の相互作用は、特異的又は非特異的なものとして同定することができる。幾つかの実施態様では、組成物又は成分とTyrR結合部位の間の相互作用の特異性は次のようにして決定することができる。野生型ハエ(キイロショウジョウバエ)及び変異体ハエが提供され、ここで変異体ハエはTyrRを欠く。野生型及び変異体ハエが興味ある組成物又は成分に暴露される。暴露が野生型ハエにネガティブに影響を及ぼすが(例えば、ノックダウン、死)、変異体ハエにはネガティブに影響しないならば、興味ある組成物又は成分での治療はTyrRに対して特異的であると言うことができる野生型ハエ及び変異体ハエにネガティブに影響を及ぼすならば、興味ある組成物又は成分での治療は。暴露がTyrRに対して非特異的であると言うことができる。
【0141】
「高受容体結合親和性」は、組成物又は成分と受容体結合部位の間の特異的相互作用でありうる。幾つかの実施態様では、高受容体結合親和性は、平衡解離定数(K)が約l00nM、75nM、50nM、25nM、20nM、l0nM、5nM、又は2nM未満である場合に見出される。幾つかの実施態様では、高受容体結合親和性は、平衡阻害剤解離定数(K)が、チラミンと競合する場合、約l00μM、75μM、50μM、25μM、20μM、l0μM、5μM、又は2μM未満である場合に見出される。幾つかの実施態様では、高受容体結合親和性は、チラミン結合が 50%阻害される有効濃度(EC50)が約500μM、400μM、300μM、l00μM、50μM、25μM、又はl0μM未満である場合に見出される。
【0142】
「低受容体結合親和性」は、組成物又は成分と受容体結合部位の間の非特異的相互作用でありうる。幾つかの実施態様では、低受容体結合親和性は、平衡解離定数(K)が約l00nM、125nM、150nM、175nM、200nM、225nM、又は250nMより大きい場合に見出される。幾つかの実施態様では、低受容体結合親和性は、平衡阻害剤解離定数(K)が、チラミンと競合する場合、約l00μM、125μM、150μM、175μM、200μM、225μM、又は250μMより大きい場合に見出される。幾つかの実施態様では、低受容体結合親和性は、チラミン結合が 50%阻害される有効濃度(EC50)が約500μM、625μM、750μM、875μM、1000μM、1125μM、又は1250μMより大きい場合に見出される。
【0143】
別の記載がない限り、ここで使用される全ての技術的及び科学的用語は、ここに開示された主題事項が属する分野の当業者によって一般的に理解されるものと同じ意味を有している。ここに記載されたものと同様又は等価な任意の方法及び材料をここに開示された主題事項の実施又は試験において使用することができるが、代表的な方法及び材料を以下に記載する。
【0144】
長期にわたる特許法慣例に従い、「a」、「an」、及び「the」なる用語は、特許請求の範囲を含み、本出願で使用される場合は、「一又は複数」を意味する。よって、例えば、「a cell(細胞)」という標記は、複数のそのような細胞を含む等々である。
【0145】
特段の記載がない限り、明細書及び特許請求の範囲に使用されている成分の量、性質、例えば反応条件等を表す全ての数値は全ての場合に「約」なる用語によって修飾されているものと理解されなければならない。従って、反対のことを示していない限り、明細書及び特許請求の範囲に記載の数値パラメータは、ここに開示された主題事項によって得ることが求められている所望の性質に応じて変化しうる近似値である。ここで使用される場合、ある値又は質量、重量、時間、容積、濃度、又はパーセントに言及する場合の「約」なる用語は、ある実施態様では、特定された量から±20%、ある実施態様では、±10%、ある実施態様では、±5%、ある実施態様では、±1%、ある実施態様では、±0.5%、及びある実施態様では、±0.1%の変動を、開示された方法を実施するのに変動が適切である場合は、包含することを意味する。
【0146】
ここに開示される主題事項は次の特定の非限定的な実施例によって更に例証される。次の実施例は、ここに開示された主題事項に関連した発展と実験の過程における様々な時点で集められたデータを代表するデータの編集を含みうる。次の実施例は、予言的実施例を含む。
【実施例】
【0147】
実施例1−3
ヒトに一般的に感染する寄生虫の例はHymenolepsis nanaであり、これは腸管寄生虫である。H. nana はヒト腸管から除去するのが困難な蠕虫である。John Rim, Treatment of Hymenolepis nana infection. Post-Graduate Doctor Journal. Middle East Edition, 5:330-334, 1985を参照のこと。H. nanaは世界中に見出され、感染はどの年齢のヒトでも起こりうる;しかしながら、ヒト便への暴露の可能性が増加するため、小さい子供が、 H. nana 感染に伴う疾患である収縮膜様条虫症にかかるリスクが最も高い。
【0148】
H. nanaは約7日の特徴的ライフサイクルを有している。宿主が感染したとき、 H. nanaの卵が小腸の回腸に入り、H. nanaの運動性幼生である六鉤幼虫に孵化し、これが小腸の絨毛の固有層を貫通する。約3ないし4日以内に、幼虫は成虫前の擬嚢尾虫に成熟し、ついでこれが腸管内腔に入り、小腸の絨毛の粘膜に付着する。多くの感染は無症状であり、感染した個人が医療処置を受け治癒されることが妨げられる。感染の症状のある形態は、易刺激性、下痢、腹痛、浅い眠り、肛門のそう痒、鼻のそう痒、行動障害及び発作によって特徴付けられる。
【0149】
本実施例においては、H. nanaが、寄生虫感染を治療するためにここに開示された組成物のインビトロ及びインビボ効果を研究するために使用する寄生虫例として選択される。 実験室で飼育したスイスアルビノマウスを宿主動物として使用する。未感染の雄及び雌を使用する。妊娠している雌は他のマウスから分離する。新たに生まれた同腹仔はその感染を避けるように維持される。母マウスは直接の生理食塩水糞便スメアにより毎週2回検査され、陰性試料は、寄生虫学的に感染したものを排除するために硫酸亜鉛遠心分離浮選及び生理食塩水沈降技術によって再検査する。出典明示により全体をここに援用するMelvin 及びBrooke, Laboratory procedures for the diagnosis of intestinal parasites. DHEW Publications No.(CDC) 76-828, Public Health Services, 1975を参照のこと。
【0150】
同腹仔を離乳させた後、マウスを毎週2回調べ、未感染の同腹仔を実施例で使用する。マウスは入念な衛生的条件下で飼育し、一日にミルクを、別の日に小麦を与える。食餌と水は自由に入手できる。
【0151】
産卵期分節から裂いた細片のないH. nanaの卵を感染に使用する。その全体を出典明示によりここに援用するIto, In vitro oncospheral agglutination given by immune sera from mice infected 及びrabbits injected with eggs of Hymenolepis nana. Parasito, 71: 465, 1975を参照のこと。接種前に、卵の殻を取り除き、各マウスに既知の数の卵を接種して、感染サイクルを維持する。その全体を出典明示によりここに援用するBernetzen 及びVoge, In vitro hatching of oncosphere of Hymenolepidid cestodes. J. Parasitol., 5:235, 1965を参照のこと。
【0152】
各試験薬剤の最大耐用量(MTD)を、インビボ研究の開始前に決定する。蠕虫のいない5週齢のマウス(25−30グラム)を実験に使用する。各マウスに150の卵を接種する。ついで、それらを、各群が15匹のマウスを含む群に細分割する。これらの群の各々を特定して、H. nanaの成虫の蠕虫に対する潜在的な治療用薬剤としての一つの試験薬剤の効能を試験する。15匹のマウスからなるコントロール群にまた同じ数の卵を感染させるが、試験薬剤は施さない。感染をモニターし、便からの基礎の卵数を各マウス(実験及びコントロール群)に対して決定する。
【0153】
実施例1
次の組成物をインビボでのH. nanaに対する抗寄生虫効果についてそれぞれ試験した:Rx1−ブラックシードクミンオイル;Rx2−ライラックフラワーオイル;Rx3−タイムオイル(ホワイト);Rx4−カルバクロール;Rx5−ゲラニオール;Rx6−シネオール;及びRx7−ウィンターグリーンオイル;Rx8−ライラックフラワーオイル−V3;Rx9−trans−アネトール;Rx10−p−シメン;Rx11−チモール。
【0154】
実験群中の各マウスに便中の卵の検出後、400mg/kg体重の特定の試験化合物(Rx)を連続する5日間、毎日経口的に接種した。同時に、コントロール群の各マウスに400mg/kg体重の懸濁材料のみ、つまり大豆油を連続する5日間、毎日経口的に接種した。治療期間中と最後の投薬処置から更に2日の間、全てのマウス(実験及びコントロール)の卵数を毎日定量した。最後の投薬処置から3日目に治癒率を決定した。治癒の基準は、(1)卵の減少率の決定;及び(2)蠕虫の成虫の不存在によって評価した。評価したマウスは断頭によって殺し、蠕虫の成虫を検出するために小腸を切除した。
【0155】
表1及び図1において、治癒率は試験化合物での治療後には約30%から約70%の範囲であった。感染した動物は、評価の時点で蠕虫及び卵が完全に存在していない場合に治癒されていると決定された。様々な組成物は、Rx2(治癒率:71.4%)、Rx5(治癒率:66.6%)、及びRx7(治癒率:60%)を含み、有意な治癒率を示した。

【0156】
陽性感染マウスの切開処置後に次のことが示された:蠕虫は無傷で、生存しており、活発であった;蠕虫の頭節(頭)は無傷であり、動いている額嘴及び収縮している吸盤を持つその解剖学的特徴を維持していた;分節化(新しい分節をつくる)の領域と考えられる首は無傷であった;及び横分体(蠕虫の体)は無傷であり、3群の分節(未熟分節又は未熟生殖器を含む分節、成熟分節又は成熟生殖器を含む分節、及び産卵期分節又は成熟卵が満たされた子宮を含む分節)を有するその解剖学的特徴を維持していた。連続した5日間、Rx2(71%)、Rx5(67%)、及びRx7(60%)で治療されたマウスでは蠕虫がいないか死んでいた。
これらの実験は、インビボでのTrichuris trichiuraに対するここに開示された組成物の治療効果を研究するためにもまた実施することができる。.
【0157】
実施例2
ここに開示された抗寄生虫特性を有する組成物を製造するために化合物を組み合わせる。試験した組成物を表2に記載する。表のセル内の「X」は、特定の化合物が特定の試験組成物に含まれることを示している。例えば、「S1」と表示した欄には、チモールの行にXがある。而して、組成物「S1]はチモールを含む。組成物S1は更にカルバクロール、trans−アネトール、及びp−シメンを含む。

実験群中の各マウスに、400mg/kg体重の特定の試験組成物を連続する5日間、毎日経口的に接種する。同時に、コントロール群の各マウスに400mg/kg体重の懸濁材料のみ、つまり大豆油を連続する5日間、毎日経口的に接種する。治療期間中と最後の投薬処置から更に2日の間、全てのマウス(実験及びコントロール)の卵数を毎日定量する。最後の投薬処置から3日目に治癒率を決定する。治癒の基準は、(1)卵の減少率の決定;及び(2)蠕虫の成虫の不存在によって評価する。評価したマウスは断頭によって殺し、蠕虫の成虫を検出するために小腸を切除する。
【0158】
治癒率は、組成物S1〜S16での治療後に約25%から80%である。感染した動物は、評価の時点で蠕虫及び卵が完全に存在していない場合に治癒されていると決定される。約60%又はそれ以上の治癒率を有する組成物で複数の連続した日の間、治療したマウスには蠕虫はいないか死んでいる。
これらの実験は、インビボでのTrichuris trichiuraに対するここに開示された組成物の治療効果を研究するためにもまた実施することができる。.
【0159】
実施例3
次の化合物及び混合組成物をそれぞれ H. nanaに対してインビボで抗寄生虫効果について試験した:(l)p−シメン;(2)チモール;(3)α−ピネン;(4)リナロール;(5)大豆油(コントロール);及び(6)30%のp−シメン、35%のチモール、4%のα−ピネン、7%のリナロール、及び24%の大豆油の混合物(パーセントは重量基準である)。
【0160】
群中の各マウスに、100mg/kg体重の特定の化合物又は混合組成物を連続する5日間、毎日経口的に接種した。治療期間中と最後の投薬処置から更に2日の間、各マウス(実験及びコントロール)の卵数を毎日定量した。最後の投薬処置から3日目に治癒率を決定した。治癒の基準は、(1)卵の減少率の決定;及び(2)蠕虫の成虫の不存在によって評価した。評価したマウスは断頭によって殺し、蠕虫の成虫を検出するために小腸を切除した。
【0161】
表3において、治癒率は、大豆油(コントロール)に対する0%から、30%のp−シメン、35%のチモール、4%のα−ピネン、7%のリナロール、及び24%の大豆油を含む混合組成物に対して100%の範囲であった。治癒率は、試験した化合物での治療後に便中に卵がなくその腸に蠕虫が見いだせない感染動物の数を表す。

【0162】
上のデータによって示されているように、混合組成物は、混合物の成分である個々の化合物と比較して、相乗効果を有している。相乗係数は、各個々の化合物、つまり比較組成物に対して混合物について計算することができる。このような相乗係数は表4にまとめる。

【0163】
例えば、混合物の効果が100%の治癒率であるので、p−シメンに対する活性比は7.52である一方、p−シメン単独の効果は13.3%[(1.00)/(0.133)=7.52]である。混合物は30%のp−シメンを含んでいるので、p−シメンに対する濃度調節係数は、単独で試験される100%のp−シメンと比較して3.33である[(1.00)/(0.300)=3.33]。p−シメン(Sシメン)に対する混合物の相乗係数は、よって25.1[((1.00)/(0.133))/(0.300)=25.1]である。表4を更に参照すると、混合物に対する相乗係数は次の通りである:Sシメン=25.1;Sチモール =8.57;Sα−ピネン=100;及びSリナロール=61.3。
【0164】
実施例4−6
キュウリ条虫又は産卵孔1対の条虫とも呼ばれるD. caninumは、イヌ、ネコ、及びペット所有者、特に子供を含むノミに罹患した生物に感染する円葉目条虫類である。成虫の蠕虫は約18インチ長である。卵(又は「卵クラスター」又は「卵球」)は宿主の便に通過し、ノミによって摂取され、 これがついで条虫幼虫が部分的に発生した後に他の哺乳動物によって摂取される。D. caninumを広めうるノミの例はCtenocephalides canis 及びCtenocephalides felisを含む。
【0165】
本実施例においては、D. caninumが、寄生虫感染を治療するためにここに開示された組成物のインビトロ及びインビボ効果を研究するために使用する寄生虫例として選択される。実験室で飼育したスイスアルビノマウスを宿主動物として使用する。未感染の雄及び雌を使用する。妊娠している雌は他のマウスから分離する。新たに生まれた同腹仔はその感染を避けるように維持される。母マウスは直接の生理食塩水糞便スメアにより毎週2回検査され、陰性試料は、寄生虫学的に感染したものを排除するために硫酸亜鉛遠心分離浮選及び生理食塩水沈降技術によって再検査する。
【0166】
同腹仔を離乳させた後、マウスを毎週2回調べ、未感染の同腹仔を実施例で使用する。マウスは入念な衛生的条件下で飼育し、一日にミルクを、別の日に小麦を与える。食餌と水は自由に入手できる。
【0167】
産卵期分節から裂いた細片のないD. caninumの卵を感染に使用する。接種前に、卵の殻を取り除き、各マウスに既知の数の卵を接種して、感染サイクルを維持する。
【0168】
各試験薬剤の最大耐用量(MTD)を、インビボ研究の開始前に決定する。蠕虫のいない5週齢のマウス(25−30グラム)を実験に使用する。各マウスに150の卵を接種する。ついで、それらを、各群が15匹のマウスを含む群に細分割する。これらの群の各々を特定して、D. caninumの成虫の蠕虫に対する潜在的な治療用薬剤としての一つの試験薬剤の効能を試験する。15匹のマウスからなるコントロール群にまた同じ数の卵を感染させるが、試験薬剤は施さない。感染をモニターし、便からの基礎の卵数を各マウス(実験及びコントロール群)に対して決定する。
【0169】
実施例4
次の組成物をそれぞれD. caninumに対してインビボで抗寄生虫効果について試験した:Rx1−ブラックシードクミンオイル;Rx2−ライラックフラワーオイル;Rx3−タイムオイル(ホワイト);Rx4−カルバクロール;Rx5−ゲラニオール;Rx6−シネオール;及びRx7−ウィンターグリーンオイル;Rx8−ライラックフラワーオイル−V3;Rx9−trans−アネトール;Rx10−p−シメン;Rx11−チモール。
【0170】
実験群中の各マウスに、便中の卵の検出後24時間で始めて400mg/kg体重の特定の試験組成物を連続する5日間、毎日経口的に接種する。同時に、コントロール群の各マウスに400mg/kg体重の懸濁材料のみ、つまり大豆油を連続する5日間、毎日経口的に接種する。治療期間中と最後の投薬処置から更に2日の間、全てのマウス(実験及びコントロール)の卵数を毎日定量する。最後の投薬処置から3日目に治癒率を決定する。治癒の基準は、(1)卵の減少率の決定;及び(2)蠕虫の成虫の不存在によって評価する。評価したマウスは断頭によって殺し、蠕虫の成虫を検出するために小腸を切除する。
【0171】
感染した動物は、評価の時点で蠕虫及び卵が完全に存在していない場合に治癒されていると決定される。
【0172】
陽性感染マウスの切開処置後に次のことが示される:蠕虫は無傷で、生存しており、活発である;蠕虫の頭節(頭)は無傷であり、動いている額嘴及び収縮している吸盤を持つその解剖学的特徴を維持している;分節化(新しい分節をつくる)の領域と考えられる首は無傷である;及び横分体(蠕虫の体)は無傷であり、3群の分節(未熟分節又は未熟生殖器を含む分節、成熟分節又は成熟生殖器を含む分節、及び産卵期分節又は成熟卵が満たされた子宮を含む分節)を有するその解剖学的特徴を維持している。
【0173】
実施例5
ここに開示された抗寄生虫特性を有する組成物を製造するために化合物を組み合わせる。試験する組成物を表5に記載する。表のセル内の「X」は、特定の化合物が特定の試験組成物に含まれることを示している。例えば、「S1」と表示した欄には、チモールの行にXがある。而して、組成物「S1]はチモールを含む。組成物S1は更にカルバクロール、trans−アネトール、及びp−シメンを含む。

【0174】
実験群中の各マウスに、400mg/kg体重の特定の試験組成物を連続する5日間、毎日経口的に接種する。同時に、コントロール群の各マウスに400mg/kg体重の懸濁材料のみ、つまり大豆油を連続する5日間、毎日経口的に接種する。治療期間中と最後の投薬処置から更に2日の間、全てのマウス(実験及びコントロール)の卵数を毎日定量する。最後の投薬処置から3日目に治癒率を決定する。治癒の基準は、(1)卵の減少率の決定;及び(2)蠕虫の成虫の不存在によって評価する。評価したマウスは断頭によって殺し、蠕虫の成虫を検出するために小腸を切除する。
【0175】
治癒率は、組成物S1〜S16での治療後に約25%から80%である。感染した動物は、評価の時点で蠕虫及び卵が完全に存在していない場合に治癒されていると決定される。約60%又はそれ以上の治癒率を有する組成物で複数の連続した日の間、治療したマウスには蠕虫はいないか死んでいる。
【0176】
実施例6
次の化合物及び混合組成物をそれぞれD. caninumに対してインビボで抗寄生虫効果について試験した:(1)p−シメン;(2)チモール;(3)α−ピネン;(4)リナロール;(5)大豆油(コントロール);及び(6)30%のp−シメン、35%のチモール、4%のα−ピネン、7%のリナロール、及び24%の大豆油の混合物(パーセントは重量基準である)。
【0177】
群中の各マウスに、100mg/kg体重の特定の化合物又は混合組成物を連続する5日間、毎日経口的に接種する。治療期間中と最後の投薬処置から更に2日の間、各マウス(実験及びコントロール)の卵数を毎日定量する。最後の投薬処置から3日目に治癒率を決定する。治癒の基準は、(1)卵の減少率の決定;及び(2)蠕虫の成虫の不存在によって評価する。評価したマウスは断頭によって殺し、蠕虫の成虫を検出するために小腸を切除する。
【0178】
実施例7
本実施例では、Schistosoma mansoniが寄生虫感染を治療するためのここに開示された組成物、例えば上述の組成物Rx1−Rx11及びS1−S16のインビボでの効果を研究するために例示的寄生虫として選択される。S. mansoni感染に対する試験組成物の効能の評価は、蠕虫負荷、蠕虫の性比、蠕虫の分布、雌蠕虫の繁殖力、及び肝臓及び腸内での卵堆積に関する。
【0179】
Theodore Bilharz Research Institute, Cairoから得ることができる8週齢、18−22gm体重の雌スイスアルビノマウスがS. mansoni セルカリア(100セルカリア/マウス)によって経皮的に感染される。各群は15匹のマウスからなる。
【0180】
各試験組成物に対して、3通りの濃度を試験する。各濃度に対して、9群のマウスを研究する。S. mansoni感染マウスの一群は、現在の標準的な抗住血吸虫薬であるプラジカンテル(PZQ)を受ける。3群の未感染マウスは試験薬剤群と同じスケジュールと濃度で試験化合物を受ける。未感染及び未治療マウスの1群と如何なる処置も受けないS. mansoni感染マウスの1群はコントロールとして維持される。
【0181】
試験組成物の各々から3通りの異なった濃度がLD50の推定後に決定される。薬剤投与のスケジュールは次の通りである:(1)感染後(PI)4日目;(2)PI一週間;及びPI数週間。プラジカンテル(Distocide)を600mg/Kg体重で、PI数週間に投与する。全ての薬剤は胃管を使用して経口的に投与される。
【0182】
寄生虫学的研究では、糞便卵カウントがなされる第5週PIから出発して毎週2回全ての感染群に対してなされる。
【0183】
マウスはPI9週間で犠牲にする。住血吸虫蠕虫の回収のために門脈系の灌流がなされる。蠕虫の全数、性別、成熟及び分布が決定される。空腸からの2つと回腸からの2つの4つの部分が各マウスから取られ、PBSで洗浄され、開けられ二つのスライド間に押しつけられ、成熟化の段階の検出に対して顕微鏡的に検査される。0.3グラムの肝臓及び腸が4%の水酸化カリウムで一晩消化され、S. mansoni 卵子がカウントされる。
【0184】
実施例8
本実施例では、Opisthorchis sinensisが寄生虫感染を治療するためのここに開示された組成物、例えば上述の組成物Rx1−Rx11及びS1−S16のインビボでの効果を研究するために例示的寄生虫として選択される。O. sinensis感染に対する試験組成物の効能の評価は、蠕虫負荷、蠕虫の性比、蠕虫の分布、雌蠕虫の繁殖力、及び肝臓及び腸内での卵堆積に関する。
【0185】
Theodore Bilharz Research Institute, Cairoから得ることができる8週齢、18−22gm体重の雌スイスアルビノマウスがS. mansoni セルカリア (100 セルカリア/マウス)によって経皮的に感染される。各群は15匹のマウスからなる。
【0186】
各試験組成物に対して、3通りの濃度を試験する。各濃度に対して、9群のマウスを研究する。O. sinensis感染マウスの一群は、現在の標準的な薬剤を受ける。3群の未感染マウスは試験薬剤群と同じスケジュールと濃度で試験化合物を受ける。未感染及び未治療マウスの1群と如何なる処置も受けないO. sinensis 感染マウスの1群はコントロールとして維持される。
【0187】
試験組成物の各々から3通りの異なった濃度がLD50の推定後に決定される。薬剤投与のスケジュールは次の通りである:(1)感染後(PI)4日目;(2)PI一週間;及びPI数週間。プラジカンテル(Distocide)を600mg/Kg体重で、PI数週間に投与する。全ての薬剤は胃管を使用して経口的に投与される。
【0188】
寄生虫学的研究では、糞便卵カウントがなされる第5週PIから出発して毎週2回全ての感染群に対してなされる。
【0189】
マウスはPI9週間で犠牲にする。蠕虫の回収のために門脈系の灌流がなされる。蠕虫の全数、性別、成熟化及び分布が決定される。空腸からの2つと回腸からの2つの4つの部分が各マウスから取られ、PBSで洗浄され、開けられ二つのスライド間に押しつけられ、成熟化の段階の検出に対して顕微鏡的に検査される。0.3グラムの肝臓及び腸が4%の 水酸化カリウムで一晩消化され、O. sinensis 卵子がカウントされる。
【0190】
実施例9
3群のマウスを各試験化合物又は化合物の混合物組成物で処置する。群1及び2では、治療は感染からそれぞれ4日及び7日後に開始する。群3では、治療は感染後7週間で開始する。コントロール群では、600mg/kgのプラジカンテルが感染から7週間後にマウスに注射される。試験薬剤の効果は、蠕虫負荷;性比;蠕虫の分布、雌蠕虫の繁殖力、及び肝臓及び腸内での卵堆積に基づいて決定する。
【0191】
実施例10
成虫の雄及び雌のS. mansoniを感染マウスから集め、100mlの生理食塩水に移し、 様々な濃度でのRx1−Rx10(実施例1に開示)又はプラジカンテルで処置し、5%CO中、37℃でインキュベートした。多くの場合、成虫の雄及び雌をカップルとして集めた。蠕虫の生存率を二核顕微鏡で検査した。コントロールを平行して処理した。実験は全ての蠕虫が処置試料で死ぬか又はコントロールに最初の死が見出されるときに終了させた。
【0192】
化合物の各々は異なった濃度で個々に試験し、これらの実験からのデータは図2にまとめる。ついで、各化合物をそれ自体100ppmの最終濃度で試験し、ついで化合物を組み合わせたとき組成物を1:1の比で組み合わせ、又は3つの化合物を組合せ各組合せたとき1:1:1の比で組合せ、各組み合わせた組成物を100ppmの最終濃度で試験した。これらの実験からのデータは図3に示す。図では、Rx1からRx9は実施例1に記載した意味を有する。
【0193】
実施例11
本実施例は、ここに開示された化合物及び化合物の混合組成物を使用して、ニワトリ及びシチメンチョウの黒色面疱病を引き起こす原虫寄生虫であるHistomonas meleagridisの治療を試験するインビトロ研究を提供する。
【0194】
H. meleagridisはインビトロで培養され、1mlのDwyer培地を含むネジキャップ付きガラスバイアルでの使用のために調製され、20000細胞で播種される。試験化合物及び/又は組成物を適切な濃度に希釈し、所望の用量を0.1mlをチューブに投与する。各処置は二組の培養物で反復する。培養物を2日間インキュベートする。
【0195】
H. meleagridisの細胞数/mlは標準的な血球計 (Neubauer)を使用して計数することができ、実際の細胞数/mlが報告される。
【0196】
各化合物及び/又は組成物は1、0.1、0.01、0.001及び0.0001%で試験される。コントロールは未治療及び溶媒(エタノール)を用いて含まれる。実験データは図4及び5にまとめる。
【0197】
実施例12
本実施例は、ここに開示された化合物及び化合物の混合組成物、例えば上述の組成物Rx1−Rx11及びS1−S16を使用して、Cryptosporidium parvumの治療を試験するインビトロ研究を提供する。Cryptosporidiosisは、ヒト及び動物に重要な寄生虫感染である。該生物は、ヒト胃腸管、胆管及び気道の上皮細胞に影響を及ぼしうる。家禽類、魚類、爬虫類、小哺乳動物(齧歯類、イヌ、及びネコ)及び大きな哺乳動物(ウシ及びヒツジを含む)を含む45を越える異なった種の動物はC. parvumに感染するようになりうる。この生物のリザーバーはヒト、ウシ、シカ及び多くの他の動物種を含む。
【0198】
感染は糞便−経口であり、汚染した食物及び水、動物からヒト及びヒトからヒトを含む。寄生虫は腸管内皮細胞及び増殖物(multiplies)に感染する。オーシストが糞便中に流され、非常に劣悪な環境条件下で生存しうる。オーシストは殺菌剤に非常に耐性がある。人々は一又は複数回、自身で回再感染しうる。
【0199】
C. parvumはインビトロで培養され、1mlのDwyer培地を含むネジキャップ付きガラスバイアルでの使用のために調製され、20000細胞で播種される。試験化合物及び/又は組成物を適切な濃度に希釈し、所望の用量を0.1mlをチューブに投与する。各処置は二組の培養物で反復する。培養物を2日間インキュベートする。
【0200】
C. parvumの細胞数/mlは標準的な血球計 (Neubauer)を使用して計数することができ、実際の細胞数/mlが報告される。各化合物及び/又は組成物は1、0.1、0.01、0.001及び0.0001%で試験される。コントロールは未治療及び溶媒を用いて含まれる。
【0201】
実施例13
Trichinellosis (以前は「trichinosis」と呼ばれている)はTrichinella属の寄生線虫によって引き起こされる人畜共通感染症である。最もありふれた種はTrichinella spiralisであるが、他の種、例えば Trichinella trichurisもまた感染性である。これは、飼育ブタ及び野生ブタを含む豚肉が食餌の重要な構成成分であるときはいつでも、世界中に分布する深刻な食物媒介寄生虫人畜共通感染症である(Frierson, 1989)。該感染は特に世界的発生を有しており、一千万の人々が世界中で感染しており(Jean Dupouy, 2000)、過去10年で、感染の発生の増加が飼育ブタ及び野生生物において報告され、その結果、ヒトでも増加している(Murrell及びPozio, 2000)。
【0202】
感染性の被嚢幼虫を含む豚肉を食べるとき感染が生じる。また、同じグラインダーでの挽いた牛肉と豚肉又は同じグラインダーでの混合豚肉、又は牛肉ソーセージとの豚肉の混合のような他の肉製品との豚肉の不注意な又は故意での混合は感染を生じる場合がある(Kejenie 及びBero, 1992)。幼虫は小腸の粘膜の下に潜伏し、そこで成虫蠕虫に成熟する。7日以内に、雌蠕虫は、骨格横紋筋に移動して被嚢される他の世代の幼虫を放出する。幼虫はしばしば心筋にまで達するが、そこでは被嚢されない。幼虫は、臨床的に発熱、筋肉痛、眼窩周囲浮腫及び好酸球増加症として発現される激しいアレルギー及び炎症反応を生じる。初期の腸管感染はしばしば吐き気、下痢及び及び腹部痙攣を誘発するが、これらは滅多に重篤ではない。しかしながら、続く合併症、例えば 心筋炎、肺炎及び髄膜脳炎は致死的な場合がある。
【0203】
trichinellosisからの脂肪は希である。例えば、過去25年で欧州連合で報告された>6500の感染のうち、僅か5名の死亡が記録されているのみであり、その全ては血栓塞栓症により、Ancelle等 1988により報告されているように、>65歳の人々に記録されている。Jean Dupouy, 2000によって報告されているように、10030の症例のうち20の致死率が、International Commission on Trichinellosis (1995年1月−1997年6月)によって実施された世界的規模の調査で報告されている。
【0204】
確認され又は疑われた感染の各例は幼虫の連続した生産を防止するために治療されなければならない。医療治療は、駆虫剤(メベンタゾール又はアルベンダゾール)及び糖質コルチコステロイドを含む。メベンダゾールは通常5mg/kgの毎日の用量で投与されるが、より高い用量(20−25mg/kg/日まで)が幾つかの国では推奨される。アルベンダゾールは、二つの用量で投与される800mg/日(15mg/kg/日)で使用される。これらの薬剤は10−15日服用される。メベンタゾール又はアルベンダゾールの使用は、妊娠期間中は禁忌であり、<2歳の子供には推奨されない。最も一般的に使用されるステロイドはプレドニゾロンであり、これは疾患の一般的症状を緩和しうる。それは30−60mg/日の用量で10−15日間投与される(Jean Dupouy等, 2002)。
【0205】
Trichuris trichiuraは世界的規模の感染のありふれた線虫である。それは糞便/経口感染を有しているので、不衛生な診療で熱帯気候下で最も高い有病率が生じる。T. trichiuraは組織を通って移動せず、好酸球増加症を生じない。それは宿主中で6年間(平均3年間)生存し得、その頭を腸管粘膜中に埋め込まれて大腸中で生存するが、実質的に細胞応答はない。T. trichiuraの診断は糞便中に卵を見つけることでなされる。T. trichiuraの感染はしばしば無症状である。しかしながら、栄養不良の子供での重い感染では、T. trichiuraは慢性的な血性下痢の後に直腸脱を生じうる。
【0206】
ここに開示された化合物及び化合物の混合組成物、例えば上述の組成物Rx1−Rx11及びS1−S16を、次のプロトコルを使用してインビトロでの抗寄生虫活性について試験する。10の群(8つの異なった濃度の組成物及び2つのコントロール)を試験することができる。試験は、ウェル当たり1−4匹の蠕虫を含む滅菌された6ウェルプレートで実施される。各ウェルは、汚染生物の異常増殖を防止するために10Xの抗生物質/抗真菌薬(ペニシリン/ストレプトマイシン/アンホテリシンB)溶液を含む3mLのRPMI1640を含む。蠕虫運動性は、全ての初期の時点、並びに治療後24時間、つまり試験化合物なしに洗浄し培地に配した後に観察される。
【0207】
示されているように、8つの濃度と2つのコントロールが試験される。これらの試験に示されたコントロールは界面活性剤コントロールと培地コントロールである。プロトコルは、試験時に培地に加えられる試験化合物の最終濃度の5−10Xを利用する。
【0208】
ひとたび試験が開始されると、運動性を治療後15、30、60、120、240、及び360分にチェックする。最後の時点後、蠕虫を処理培地から取り除き、すすぎ、未処理の培地に配する。最後の運動性チェックは治療後24時間で実施する。運動性であることが観察されなかった蠕虫は、応答性の欠如を確認するために滅菌された(オートクレーブ処理された)木製アプリケータスティックで突かれる。化合物及び化合物の混合組成物の有効濃度を決定する。
【0209】
実施例14
ヒト蟯虫Enterobius vermicularisはヒトの遍在する寄生虫であり、2億以上の人々が毎年感染していると推定される。それは西ヨーロッパ及び北アメリカの温暖な地域でより一般的であり、特に子供において一般的である。合衆国及びカナダの白人の子供の試料は30%から80%の感染の発生率を示し、欧州でも同様のレベルであり、これらの地域が寄生虫の生息場所であるが、世界中に見出すことができる。例えば、南米の一部では、子供での発生率は60%と高い場合がある。興味深いことに、白人以外はこの線虫での感染に比較的耐性があるようである。種として、E. vermicularisは完全にヒトに限られ、他の動物は関連するがヒトには非感染性の別の種を有しているが、その毛がヒト種からの卵で汚染されうる。
【0210】
成虫寄生虫は主に盲腸中で生存する。雄と雌が交尾し、雌の子宮部が卵で満たされる。最終的に雌が死に、その体が崩壊して残りの卵を放出する。これらの卵は、透明で30μmで−55と測定されるが、ついで4から6日で感染段階(LI幼虫を含む)まで成熟する。宿主の感染は典型的にはこれらの卵の消化後であり、卵は十二指腸で孵化する。
【0211】
ここに開示された化合物及び化合物の混合組成物、例えば上述の組成物Rx1−Rx11及びS1−S16を、次のプロトコルを使用してインビトロでのE. vermicularis に対する抗寄生虫活性について試験することができる。10の群(8つの異なった濃度の組成物及び2つのコントロール)を試験することができる。試験は、ウェル当たり1−4匹の蠕虫を含む滅菌された6ウェルプレートで実施される。各ウェルは、汚染生物の異常増殖を防止するために10Xの抗生物質/抗真菌薬(ペニシリン/ストレプトマイシン/アンホテリシンB)溶液を含む3mLのRPMI1640を含む。蠕虫運動性は、全ての初期の時点、並びに治療後24時間、つまり試験化合物なしに洗浄し培地に配した後に観察される。
【0212】
示されているように、8つの濃度と2つのコントロールが試験される。これらの試験に示されたコントロールは界面活性剤コントロールと培地コントロールである。プロトコルは、試験時に培地に加えられる試験化合物の最終濃度の5−10Xを利用する。
【0213】
ひとたび試験が開始されると、運動性を治療後15、30、60、120、240、及び360分にチェックする。最後の時点後、蠕虫を処理培地から取り除き、すすぎ、未処理の培地に配する。最後の運動性チェックは治療後24時間で実施する。運動性であることが観察されなかった蠕虫は、応答性の欠如を確認するために滅菌された(オートクレーブ処理された)木製アプリケータスティックで突かれる。化合物及び化合物の混合組成物の有効濃度を決定する。
【0214】
実施例15
ここに開示された化合物及び化合物の混合組成物、例えば上述の組成物Rx1−Rx11及びS1−S16を、次のプロトコルを使用してインビトロ抗寄生虫活性について試験する。10の群(8種の異なった濃度の組成物と2種のコントロール)を試験することができる。試験は、1フラスコ当たり1−2の蠕虫を含む無菌の150cmのフラスコで実施する。各フラスコは、汚染生物の異常増殖を防止するために10Xの抗生物質/抗真菌薬(ペニシリン/ストレプトマイシン/アンホテリシンB)溶液を含む200mLのRPMI1640を含む。蠕虫運動性は、全ての初期の時点、並びに治療後24時間、つまり試験化合物なしに洗浄し培地に配した後に観察される。
【0215】
示されるように、8通りの濃度と2通りのコントロールを試験する。これらの試験に示されたコントロールは界面活性剤コントロールと培地コントロールである。プロトコルは、試験時に培地に加えられる試験化合物の最終濃度の5−10Xを利用する。
【0216】
ひとたび試験が開始されると、運動性を治療後15、30、60、120、240、及び360分にチェックする。最後の時点後、蠕虫を処理培地から取り除き、すすぎ、未処理の培地に配した。最後の運動性チェックは治療後14時間で実施する。運動性であることが観察されなかった蠕虫は、応答性の欠如を確認するために滅菌された(オートクレーブ処理された)木製アプリケータスティックで突かれる。化合物及び化合物の混合組成物の有効濃度を決定する。
【0217】
実施例16
試験を実施して、インビトロ条件下でTrichinella spiralisの幼虫に対する試験薬剤の用量反応を決定した。
薬剤A及びBと指定された2種の試験薬剤をこの実施例において使用した。薬剤Aは7%のリナロールクール、35%のチモール、4%のa−ピネン、30%のp−シメン、及び24%の大豆油から構成された。薬剤Bは、1.2%の界面活性剤の市販のSugar Ester OWA-1570を添加した薬剤Aからなる。原液(A又はB)を通常の滅菌生理食塩水溶液によって希釈して5通りの濃度にした:100ppm、50ppm、25ppm、10ppm及び1ppm。各濃縮物を使用前に15分間、ボルテックスで撹拌した。
【0218】
感染性幼虫は、種として新鮮に屠殺されたブタから取られた横隔膜からの筋肉試料から得た。これらはトリヒナ鏡(それぞれが20×5cmのサイズで各側に一つの孔を有する6mm厚の2枚のガラススライドからなり、各孔にはネジ釘が設けられ、下方のスライドの上面にダイヤモンドペンシルによって連続番号を有する28の分割体にマーキングがなされ、検査官が一回の設定で28の試料を検査することができる)によって顕微鏡検査に適した薄層に圧縮し、食肉解体場においてTrichinoscopeによってTrichinellosisを検査した。感染した屠殺体は義務的に廃棄した。感染した筋肉試料をとり、アイスボックスに保ち、実験室に移した。筋肉試料を筋肉繊維に平行に小片に切断した(オートグレイン)。無作為に選択した筋肉試料をとって2つのスライド間に配し、顕微鏡の低倍率対物レンズ下 (X10)で検査される薄層が得られるまで押し付け、消化技術を行う前に感染を再確認するためにTrichinella spiralisの被嚢された幼虫を検出する(図6を参照)。感染性のない幼虫は、Schad等, 1987による消化技術によって得た。この方法は、10グラムの筋肉に対して、100mlの蒸留水中の1グラムのペプシン及び1mlの濃HCLからなる。筋肉を、磁気攪拌機を使用して連続的に撹拌しながら37Cで1時間消化させた。遠心分離のための200メッシュ/cmシーブのゲージの2層を通して内容物を濾過した。上清を捨て、沈殿物を通常の生理食塩水で3回洗浄し、沈殿を繰り返して清澄な幼虫を獲た。
【0219】
この実施例では、感染性幼虫は、ヒト感染の自然な態様をシミュレートするように、幼虫に対する試験薬剤の効果を試験するために新鮮に屠殺されたブタから該方法によって得られた。しかしながら、研究室で感染させた実験動物から得られた幼虫もまた用いることができる。
【0220】
Ismail, 1979に従って、5匹の遊離の活性な感染性幼虫をペトリ皿(50×9mm)に配し、異なった濃度:100ppm、50ppm、25ppm、10ppm及び1ppmの試験薬剤(A又はB)を(幼虫を被覆するために)十分な量で感染性幼虫に加え、その活動性及び生命力(生命力試験)を注意深く検査した。この方法は、試験物質を生存幼虫に加えその動きが停止したとき、幼虫を針で刺激し更なる動きを観察したことを報告した。動きが起こらなかったとき、幼虫を、熱い水(38−40C)を含む他のペトリ皿に移した。突然の動きの発生は、試験した薬剤が幼虫に対して弛緩効果を有していることを示している。回復の徴候がなかったときは、これは試験した薬剤の死滅効果の徴候である。試験薬剤を幼虫に加えてから、ペトリ皿の全ての幼虫(5匹の幼虫)の動きがなくなるまでの期間を計算した。
【0221】
各濃度に対する実験を、各一通りが5匹の幼虫で5通り(つまり各濃度に対して全体で25匹の幼虫)繰り返した。
【0222】
その異なった濃度(100ppm、50ppm、25ppm、10ppm及び1ppm)の試験薬剤(A又はB)の両群に対して次のものを観察した:ひとたび試験薬剤が幼虫に接触したとき、図7及び8の写真に示したように、幼虫は、主に前方及び後方端のその体全体の激しい萎縮と、続いて弛緩を示した。これらの強い萎縮は動きが観察されなくなるまでゆっくりと減弱した。試験された幼虫が針で刺激されたとき、それらは反応、つまり動きを示さなかった。また、幼虫を、熱い水を含む他のペトリ皿に移したとき、それらはまた動きを示さなかった。この観察は、用いられたその異なった濃度での何れかの試験薬剤(A又はB)では回復の徴候はなかったことを示していた。
【0223】
この観察は、Ismail (1979)に従ってインビトロ条件下でTrichinella spiralisの幼虫に対して、濃度にかかわらず、両組成物(A及びB)の死滅効果を証明したが、それらは試験した幼虫の死滅までの平均時間に従って互いに異なる。
【0224】
次の表及び図9に示されたグラフは、試験薬剤(A又はB)及びその異なった濃度毎のT. spiralis 幼虫に対する死滅までの平均時間を示している。

【0225】
該表は、試験薬剤Aでの死滅までの総平均時間が試験薬剤B(132.42+53.55分)の場合よりも有意に長い(144.76+41.35分)ことを示している。濃度に関して、死滅までの平均時間は濃度の増加と共に有意に増加したが、試験薬剤Bでの81.79+12.78分と比較して試験薬剤Aでの平均162.52+10.58分を示した濃度50ppmを除いて、各濃度の試験薬剤間に有意差はなかった。
【0226】
次に、試験した幼虫の感染性を、50ppm濃度の試験薬剤Bを用いて試験した。この薬剤及び濃度は、同じ濃度の試験剤Aの場合(162.52+10.58分)と比較して、濃度50ppmでの試験薬剤Bが、約50%(81.79+12.78分)のT. spiralis幼虫に対する死滅までの平均時間の有意な減少を示したので、選択された。
【0227】
15匹の実験室で飼育した6週齢のスイスアルビノマウスを用いて研究を実施した。それらを入念な衛生条件下に維持し、一日にミルクを、別の日に小麦を与える。食餌と水は自由に入手できる。全ての動物は、実験前の1週間の間、これらの条件に順化させられた。
【0228】
Trichinella spiralisの被嚢された幼虫を含む感染が証明された筋肉試料(主に隔膜から)をAlexandria の食肉解体場で新鮮に屠殺されたブタから取られ、直ぐに実験室に移した。感染性のない幼虫はSchad等, 1987による消化技術によって得た。幼虫を、回復の徴候が得られなくなるまで試験薬剤Bで治療した。
【0229】
150匹の処置した幼虫に0日目(感染日)にマウス当たり(15匹のマウス)経口的に接種した。感染後7日目(成虫段階)に、5匹のマウスを断頭し、その小腸を通常な生理食塩水で洗浄し、開け、掻き取った。内容物を2層のゲージで濾過し、遠心分離した。上清を捨て、沈殿物をT. spiralisの成虫蠕虫について検査した。
【0230】
感染後45日(筋肉中の被嚢された幼虫段階)に、残りの10匹のマウスを断頭し、筋肉試料を隔膜及び他の骨格筋から取り、顕微鏡の低倍率対物レンズ下 (X10)で検査し、感染を再確認するためにT. spiralisの被嚢された幼虫を検出した。
【0231】
感染後7日目に、成虫蠕虫は検出されなかった。また、T. spiralis の被嚢された幼虫が感染後45日目に筋肉内に検出された。これは50ppmの濃度での試験薬剤Bの死滅効果を証明する。よって、50ppmの濃度の試験薬剤BはT. spiralis幼虫に致命的な効果を有しており、それらを非生存、非感染性にする。
【0232】
まとめると、濃度にかかわらず、双方の試験薬剤A及びBは、インビトロ条件下でTrichinella spiralisの幼虫に対して死滅効果を示したが、これらは試験した幼虫の死滅までの平均時間が互いに異なった。試験薬剤Aでの死滅までの総括平均時間は、試験薬剤Bでの場合よりも有意に長い。濃度に関しては、死滅までの平均時間は濃度の増加と共に有意に減少したが、各濃度では、50ppmの試験薬剤Bが同じ濃度の試験薬剤Aのものの約50%までT. spiralis幼虫に対する死滅までの平均時間を減少させたことを除いて、各濃度の試験薬剤間の減少割合に有意差はなかった。よって、50ppmの試験薬剤BはT. spiralis幼虫に対して致命的な効果を有しており、インビボ試験下でそれらを非生存、非感染性にすることが証明された。
【0233】
実施例17
14億を超える人々が双線綱の線虫であるAscaris lumbricoidesに感染していると推定される。この感染人口は世界の人口の25パーセントを占める(Seltzer, 1999)。回虫症は全ての年齢で生じるが、2から10歳の子供で最も一般的であり、15歳の年齢を超えると有病率は減少する。感染は家族にクラスター化する傾向にあり、蠕虫負荷は家庭中の人々の数に相関する(Haswell等, 1989)。有病率は、最適以下の衛生環境が土壌及び水の汚染増加を生じる地域でまた最も大きい。回虫症の人々の大半はアジア(73パーセント)、アフリカ(12パーセント)及び南アメリカ(8パーセント)に住んでおり、ある集団は95パーセントと高い感染率を有している(Sarinas 及びChitkara, 1997)。合衆国では、Jones, 1983によって報告されているように、感染の有病率は、1900年代初めに現代の衛生及び廃水処理の導入後に劇的に減少した。
【0234】
子供は、ヒトの糞便で汚染された土壌で遊びながらAscarisの卵を摂取するリスクがあるので、特に脆弱である。ゴミ及び汚染された果物と野菜は地域の全員に危険をもたらす。ひとたび摂取されると、卵は小腸で孵化し、運動性幼虫が粘膜血管に侵入する。それらは最初に肝臓に運ばれた後、肺に運ばれ、そこで、飲み込まれる前に気管支樹を上がる。最終的にそれらは小腸に再び入り、そこで2ヶ月の期間をかけて成虫蠕虫に成熟する。成虫蠕虫は1−2年生存しうる。
【0235】
この幼虫の移動はしばしば一過性の過敏症及び炎症反応を誘発し、間質性肺炎、気管支喘息及び蕁麻疹を生じる。ついで、約1年生存する成虫蠕虫による胃腸管のコロニー形成が、食欲不振、腹痛、並びに不快及び他の胃腸管症状を生じさせうる。時々、蠕虫の全て又は一部が嘔吐され又は便中に入る。蠕虫による小腸の閉塞又は不十分な治療後に希に生じる胆管、虫垂、膵管又は上気道中へのその移動は、手術による介入を必要とする生命に危険を及ぼす危機をつくり出す場合がある。
【0236】
Ascaris suum (Goeze, 1782)又はブタAscarisは若干の差はあるがA. lumbricoidesと形態学的に同一である。交尾針は、A. lumbricoidesにおけるよりもA. suumにおいて先端が鋭くより薄い。A.suumにおける遺伝的優位な期間はA. lumbricoidesにおけるよりも短い(Galvin, 1968)。
【0237】
Ascaris suumは一般的にブタの 蛔蠕虫と呼ばれ、その好みの部位は小腸である。それは世界的な基準でブタの最も大きく最もありふれた線虫である。Boes等, 1998は、ブタにおけるA. suum感染に対して観察された有病率及び強さ並びに分布は、風土病地域の A. lumbricoidesに対して報告されたものに匹敵し、ブタにおけるA. suum への素因の証拠があり、推定された相関係数はヒトにおいて見出されたものと同様であることを報告した。彼らは、ブタにおけるA. suum感染はヒト集団におけるA. lumbricoidesの集団ダイナミックスを研究するための好適なモデルであると結論付けた。
【0238】
寄生虫A. suumのライフサイクルはA. lumbricoidesのものと類似している。成虫蠕虫は小腸で生じる大きな蠕虫(雄15−25cm;雌20−40cm)である。 それらは腸内容物を吸い、食物について宿主と競合する。卵は環境的に耐性がある。雌蠕虫は非常に多産で、一日当たり50万から100万の卵を生産し、これらはブタの外で長い年月(20年まで)生存する。それらは乾燥及び凍結に耐性があるが、日光はそれらを数週間で殺す。卵は18から22日後に感染性になる。摂取された卵は胃及び腸上部で孵化し、幼虫は肝臓と、ついで肺に移動する。約10日後に、幼虫は食道に移動し、飲み込まれ、腸に戻り、そこで、2回の脱皮後、15から18cm長の成虫蠕虫に発育する。A. suumでの感染は、主として若いブタにかかる。症状は、生育不良、外皮不良及び腸炎による下痢を含む(図10の写真を参照)。幼虫の移入は肝炎及び肺炎の発症を生じる。他の余り一般的でない続発症には胆管閉塞が含まれる。
【0239】
感染はブタに限定されず、またBorgsteede 等, 1992によって報告されているようにウシにも感染しうる。ミルク収量における突然の減少、呼吸速度の増加及び時折の咳を生じる感染は、ブタがまた該牧場で飼育されている牧場の乳牛に観察され、ウシが食う牧草にブタのスラリーが肥料として与えられていた。数頭の牛の実験室での調査は、好酸球増加症及びAscaris suumに対する抗体の高ELISA力価を示した。臨床的症状は、動物の治療後に消えた。
【0240】
ヒト感染はまた養豚場への暴露、又は野菜園でのブタ肥料の使用の結果として生じる。顕著な好酸球増加症を伴うブタAscaris lumbricoides suumでの感染の発生は日本の九州地方南部から報告されている(Maruyama等, 1997)。
【0241】
ヒトにおけるA. suumの感染の臨床的な症状はA. lumbricoidesと同様であり、高負荷は深刻な病気を引き起こす。Phills等(1972)によって記載されているように、A. suumの卵を知らないで飲み込んだカナダ、モントリオールの4名の男子学生が、重篤な肺炎、高い好酸球増加症及び喘息で入院した。該感染はまた発育失敗、生長阻害、太鼓腹及び下痢を生じうる(Merle 及びNicole (2000))。
【0242】
化学療法は罹患率の制御及び感染の減少の方策の基礎である。個々のヒトの感染は、単一用量のピランテル又はレバミゾールによって根絶される。ピペラジンもまた有効であるが、耐性が少なくなる。最も良く使用される薬剤は広い範囲の駆虫薬、例えばベンズイミダゾール、メベンタゾール、アルベンダゾール及びフルベンダゾールでそれぞれ効果的である。
【0243】
この実施例では、Ascaris lumbricoides suum の成虫蠕虫に対する2種の試験薬剤の用量応答がインビトロ条件下で決定された。
【0244】
薬剤A及びBと命名された2種の試験薬剤がこの実施例において使用された。薬剤Aは7%のリナロールクール、35%のチモール、4%のa−ピネン、30%のp−シメン、及び24%大豆油から構成された。薬剤Bは、1.2%の界面活性剤の市販のSugar Ester OWA-1570を添加した薬剤Aからなる。原液(A又はB)を通常の滅菌生理食塩水溶液によって希釈して5通りの濃度にした:100ppm、50ppm、25ppm、10ppm及び1ppm。各濃縮物を使用前に15分間、ボルテックスで撹拌した。
【0245】
A. suumの成虫蠕虫は、食肉解体場においてヒトでの消費又は使用に適合しないで廃棄された屠殺ブタの腸管から得た。 ブタの腸を取り、開け、その内容物をA. suumの成虫蠕虫の存在について検査した(図10の写真を参照)。成虫蠕虫を通常の生理食塩水で2回洗浄し、十分な量の生理食塩水と共に容器に保持し、直ぐに実験室に移した(図11及び12の写真を参照)。
【0246】
A. suumの双方の性の5匹の生存成虫蠕虫を適切な皿に配し、異なった濃度:1ppm、10ppm、25ppm、50ppm及び100ppmを持つ試験薬剤(A又はB)を十分な量(成虫蠕虫を被覆するために))生存している成虫蠕虫に加え、Is mail, 1979に従ってその活動性及び生命力(生命力試験)について注意深く検査した。この方法は、生存蠕虫に試験物質を添加し、その移動が止まったときに、更なる動きを観察するために蠕虫を針で刺激したことを報告した。動きが生じなかったとき、蠕虫を、熱い水(38−400C)を含む別の皿に移した。突然の動きの発生は、試験した薬剤が蠕虫に対して弛緩効果を有していることを示している。回復の徴候がなかった場合、これは試験薬剤の死滅効果の徴候を示している。試験薬剤の蠕虫への添加から皿中の全ての蠕虫(5匹の蠕虫)の動きがなくなるまでの期間を計算した。
【0247】
各濃度に対する実験は5組繰り返し、それぞれ5匹の成虫蠕虫を含めた(つまり、各濃度に対して合計25匹の両性の成虫蠕虫)。濃度にかかわらず、次のことが両群の試験薬剤(A又はB)に対して観察した:ひとたび試験薬剤が成虫蠕虫に接触すると、蠕虫はその体全体が激しい萎縮を示し(図13の上の写真を参照)、ついで弛緩を示した(図13の下の写真を参照)。これらの強い萎縮は、動きが観察されなくなるまで、ゆっくり減弱した。試験した蠕虫が針で刺激されたとき、それらは反応、つまり動きを示さなかった。蠕虫が熱い水を含む他の皿に移されたとき、それらは強い萎縮の動きを示した。これは、Ismail (1979)に従い、双方の試験薬剤(A又はB)がインビトロ条件下で濃度にかかわらず、弛緩効果を有することを示した。それらはこの効果を示す平均時間においてのみ互いに異なる。
【0248】
成虫蠕虫によって引き起こされる損傷はそのサイズに大きく関連しているように見えることに留意することには価値がある。大きな筋肉の成虫蠕虫は腸管壁には付着しないが、一定の動きによってその位置を維持する。それらは時折腸外部位に押しやられるか又は多くの数で存在している場合にはもつれた塊を形成し、Markell等, 1999によって報告されるように腸を閉塞する。この事実を使用して、もし試験薬剤が与えられ、ついで適切な下剤が与えられた場合に、腸管から蠕虫を排出させるための試験薬剤A又はBの弛緩効果の重要性を説明することができる。
【0249】
次の表及び図14に示すグラフは、異なった薬剤濃度でのAscaris suumの成虫蠕虫に対して試験薬剤(A又はB)が弛緩効果を生じさせるための平均時間を示している。

【0250】
該表は、試験薬剤BでのA. suumの成虫蠕虫に対して弛緩効果を示す総括平均時間が 試験薬剤Aでのもの(9.02+1.35時間)よりも有意に長い(21.20+0.73時間)ことを示している。
【0251】
濃度に関しては、この効果を示す平均時間は、各濃度の試験薬剤間に有意差を保って、濃度を増加させることによって、有意に減少した。手段間の複数の比較は、試験薬剤Aでは、各濃度が先の濃度よりも弛緩をもたらすのに短い時間であったが、試験薬剤Bでは、25ppmの後は有意な変化は得られなかったことを示している。試験薬剤Aの増加用量が弛緩効果をもたらす時間を1ppmでの10.07時間から100ppmでの6.47時間までに有意に減少させたことを示した試験薬剤及び濃度の有意な相互作用効果が明らかにされた。他方、試験薬剤Bの増加用量は弛緩効果を示す時間の減少を1ppmでの22.02時間から100ppmでの20.74時間までの最小のものにした。
【0252】
まとめると、濃度にかかわらず、双方の試験薬剤(A及びB)は、インビトロ条件下でAscaris lumbricoides suumの成虫蠕虫に対して弛緩効果を示したが、この効果を示す平均時間が互いに異なる。試験薬剤BでのA. suumの成虫蠕虫に対する弛緩効果を示す総括平均時間は、試験薬剤Aでの場合よりも有意に長い。試験薬剤Aの増加用量が弛緩効果をもたらす時間を1ppmでの10.07時間から100ppmでの6.47時間までに有意に減少させたことを示した試験薬剤及び濃度の有意な相互作用効果が明らかにされた。他方、試験薬剤Bの増加用量は弛緩効果を生じさせるのに必要とされる時間の減少を1ppmでの22.02時間から100ppmでの20.74時間までの最小のものにした。この結果は、A. suumの成虫蠕虫に弛緩効果を約6時間の短い時間で生じさせる点で、100ppmでの試験薬剤Aがより強力であることを示している。
【0253】
実施例18
実施例16及び17の結果は、試験薬剤A及びBが線虫寄生虫に対して異なった作用態様を有していたことを示している。双方の薬剤は、インビトロ条件下でTrichinella spiralisの幼虫に致死的な効果を有しており、試験薬剤Bはその効果を示すのに試験薬剤Aより短い平均時間を示し、双方はインビボ試験下で幼虫を非生存で非感染にした。両方の薬剤は、インビトロ条件下でAscaris lumbricoides suumの成虫蠕虫に対して弛緩効果を有しており、試験薬剤Aはその効果を示すのに試験薬剤Bよりも短い平均時間を示す。
【0254】
これらの結果に基づいて、Trichinella spiralisの治療について異なった濃度での試験薬剤Bの効果を、実験的に感染させたマウスにおいて評価する。Theodore Bilharz Research Institute, Cairoから得ることができる8週齢、18−22gm体重の雌スイスアルビノマウスがT. spiralis幼虫(100幼虫/マウス)によって感染される。各群は15匹のマウスからなる。
【0255】
各試験組成物に対して、3通りの濃度を試験する。各濃度に対して、9群のマウスを研究する。T. spiralis感染マウスの1群は現在の標準的な治療薬剤を受ける。未感染のマウスの3つの群は試験化合物を試験薬剤群と同じスケジュールと濃度で受ける。如何なる処置も受けない未感染及び未治療マウスの1群とT. spiralis感染マウスの1群はコントロールとして維持される。
【0256】
試験組成物の各々から3通りの異なった濃度がLD50の推定後に決定される。薬剤投与のスケジュールは次の通りである:(1)感染後(PI)4日目;(2)PI一週間;及びPI数週間。全ての薬剤は胃管を使用して経口的に投与される。
【0257】
寄生虫学的研究では、糞便卵カウントがPI第5週から出発して毎週2回全ての感染群に対してなされる。
【0258】
マウスはPI9週間で犠牲にする。蠕虫の回収のために門脈系の灌流がなされる。蠕虫の全数、性別、成熟化及び分布が決定される。空腸からの2つと回腸からの2つの4つの部分が各マウスから取られ、PBSで洗浄され、開けられ二つのスライド間に押しつけられ、成熟化の段階の検出に対して顕微鏡的に検査される。0.3グラムの腸が4%の水酸化カリウムで一晩消化され、T. spiralis幼虫がカウントされる。
【0259】
Ascaris lumbricoides suumの成虫蠕虫に対する試験薬剤A又はBの弛緩効果のため、それらは、Ascaris感染患者を治療し、適切な下剤を与えた後、感染した宿主の腸管から蠕虫を排出させるのに有用であろう。
【0260】
実施例19
7%(vol/vol)リナロール;35%(vol/vol)チモール;4%(vol/vol)α−ピネン;30%(vol/vol)p−シメン;及び24%(vol/vol)大豆油を含む例示的試験組成物が使用される。試験用量は、1mg/kg体重(BW)、10mg/kgBW、20mg/kgBW、及び100mg/kgBWである。
【0261】
実験に使用された治癒判定基準は、(1)最小80%の感染マウスにおいてH. nana の100%死滅を生じるための暴露時間と効果的用量レベルである(例えば、治癒=腸管中に0 の生存蠕虫及び便中に0の生存卵)。H. nanaの短いライフサイクルは速やかな予防のための試験を容易にしうる。H. nanaは、卵の感染から成熟化及び産卵まで約14日のライフサイクルを有している。
【0262】
幾つかの投与プロトコルを実施して感染に対する例示的組成物の効能を試験する。第一のプロトコルでは、ある経口投与量が、感染の3日前とマウスが犠牲にされるまで毎日、ゲルカプセルによって5群のマウスに投与される。第二のプロトコルでは、ある経口投与量が、感染の3週間前とマウスが犠牲にされるまで毎日、ゲルカプセルによって5群のマウスに投与される。第三のプロトコルでは、ある経口投与量が、感染の3週間前に開始して毎日、ゲルカプセルによって5群のマウスに投与され、感染後マウスが犠牲にされるまで治療が中止される。異なったmg/kgBWの例示的試験組成物を使用した3通りのプロトコルからのデータを表8−12にまとめる。
【0263】





【0264】
実施例20
7%(vol/vol)リナロール;35%(vol/vol)チモール;4%(vol/vol)α−ピネン;30%(vol/vol)p−シメン;及び24%(vol/vol)大豆油を含有する例示的試験組成物を使用する。
【0265】
それぞれ約20匹のマウスを含む(例えば5試験群×1試験群当たり20匹のマウス=100匹のマウス)試験マウス群が感染と治療のために用意される。動物を選択し、検査して、それらが蠕虫を持っていないことを確認する。次の試験群が、感染させられて次の治療を受けるものと指定される:
群1: 大豆油担体のみ;
群2: 1mg/kg体重(BW)の組成物;
群3: 10mg/kgBWの組成物;
群4: 20mg/kgBWの組成物;及び
群5: 100mg/kgBWの組成物。
【0266】
感染していない更なるコントロール群が提供され、例示的組成物が投与されうる。感染に指定された試験マウス群が例えばH. nanaに感染させられる。マウス1匹当たり約150個の生存卵が、寄生虫の感染性段階への試験動物暴露が実際の環境への暴露を予想できるようにマウスを感染させるのに有用であることが決定されている。
【0267】
ある経口投与量が、卵排出が観察された後2日にゲルカプセルによって試験マウス群に投与される。経口投与量がマウスが犠牲にされるまで毎日投与される。例示的組成物の投薬量の半減期を、予防的及び治療的レジメンを具体的に指導するために哺乳動物血液中において決定することができる。
【0268】
実施例21
例示的組成物の耐性研究を実施する。7%(vol/vol)リナロール;35%(vol/vol)チモール;4%(vol/vol)α−ピネン;30%(vol/vol)p−シメン;及び24%(vol/vol)大豆油を含む例示的試験組成物が使用される。
【0269】
それぞれ約20匹のマウスを含む(例えば5試験群×1試験群当たり20匹のマウス=100匹のマウス)試験マウス群が用意される。動物を選択し、検査して、それらが蠕虫を持っていないことを確認する。次の試験群が、感染させられて次の治療を受けるものと指定される:
群1: 大豆油担体のみ;
群2: 1mg/kg体重(BW)の組成物;
群3: 10mg/kgBWの組成物;
群4: 20mg/kgBWの組成物;及び
群5: 100mg/kgBWの組成物。
【0270】
感染していない更なるコントロール群が提供され、例示的組成物が投与されうる。
【0271】
感染に指定された試験マウス群が例えばH. nanaに感染させられる。マウス1匹当たり約150個の生存卵が、寄生虫の感染性段階への試験動物暴露が実際の環境への暴露を予想できるようにマウスを感染させるのに有用であることが決定されている。初期感染に使用された卵からの標的DNAを、コントロール配列として使用するために、例示的組成物での治療前に配列決定される。
【0272】
ある経口投与量が、卵排出が観察された後2日にゲルカプセルによって試験マウス群に投与される。経口投与量がマウスが犠牲にされるまで毎日投与される。生存卵がカウントされ集められる。集めた生存卵を使用して、先に感染しなかった試験動物群を再感染させ、これをついで上記のような例示的組成物で治療する。該工程を、全体で3回、生存卵をカウントし集めるまで繰り返す。生存卵の三番目のカウントと収集後に、生存卵の標的DNAを配列決定する。
【0273】
寄生虫は3回の生殖周期を通過したと仮定される。コントロールの非暴露DNA配列を、例示的治療組成物への連続した三回の暴露を含む第三の周期後に卵から得られる標的DNA配列と比較することができる。耐性を、暴露された標的DNA配列対コントロール標的DNA配列における変化が一又は複数のアミノ酸変化を生じないことを考えることによって決定する。
【0274】
実施例22
例示的組成物の安全性研究を実施する。安全性研究は、急性毒性試験(範囲測定)、インビトロ遺伝毒性学研究、及び亜慢性齧歯類毒性研究(90日)を優良試験所規範(GLP)下で実施する。
【0275】
動物を、毎日用量の試験される治療用組成物に暴露する。例えば、7%(vol/vol)リナロール;35%(vol/vol)チモール;4%(vol/vol)α−ピネン;30%(vol/vol)p−シメン;及び24%(vol/vol)大豆油を含む例示的試験組成物を使用することができる。
群1: 大豆油担体のみ;
群2: 0.07g/kg体重(BW)・日;
群3: 0.7g/kgBW・日;及び
群4: 7g/kgBW・日。
【0276】
あらゆる適切な観察及び臨床試験 (病理組織診断を含む)を実施して治療に関連した効果を評価する。 安全性基準(表10を参照)は予防的効果プロトコルを使用して有効用量の100Xとされる。例えば、有効用量が10mg/kgであるならば、安全性試験用量は1g/kgである。
【0277】

例示的組成物の相対的な嗜好性がまた試験される。化合物の相乗的組合せは好ましい嗜好性を有する化合物が優先するように設計されうる。
【0278】
実施例23
チラミン受容体(TyrR)をコードする受容体遺伝子を ワモンゴキブリ、ショウジョウバエ、蚊、及び他の生物から単離した。本主題事項は、寄生虫感染を治療するのに有用な化合物をスクリーニングするために細胞中に発現されたTyrRタンパク質を利用する方法を提供する。
【0279】
本実施例では、TyrRをコードする遺伝子を、昆虫の受容体を模倣する培養中のモデル細胞中に導入した。スクリーニング方法は、寄生虫感染を治療する試験化合物の効果を定量的に決定するための[Ca2+]i及び[cAMP]i測定アッセイと組合せて培養細胞を使用する。該スクリーニング方法により、非常に効果的な抗寄生虫組成物を生産する化合物の同定が可能になる。
【0280】
アッセイ工程は次の通りである。チラミン受容体を発現する細胞を試験化合物に接触させ、試験化合物の受容体結合親和性を測定する。使用されうる細胞には、例えば、HEK293細胞、COS細胞、ショウジョウバエシュナイダー又はS2細胞、SF9、SF21、T.ni細胞等が含まれる。細胞内のcAMP及び/又はCa+レベルがまたモニターされ、試験化合物を細胞に接触させることから生じるあらゆる変化が、試験された化合物についてチェックされる。試験化合物が、チラミン受容体に対して高い受容体結合親和性並びに細胞内のcAMP及び/又はCa2+レベルに変化をもたらす能力を示すならば強力な治療用化合物として同定される。試験化合物は、それがチラミン受容体に対して低い受容体結合親和性並びに細胞内のcAMP及び/又はCaレベルに変化をもたらす能力を示すならば強力な治療用化合物としてまた同定される。同定された複数の化合物を含む寄生虫製剤の処理に使用される組成物をついで選択することができる。特に、組成物は、チラミン受容体に対して高い受容体結合親和性並びに細胞内のcAMP及び/又はCa2+レベルに変化をもたらす能力を有するとして同定された少なくとも一の化合物と、チラミン受容体に対して低い受容体結合親和性並びに細胞内のcAMP及び/又はCa2+レベルに変化をもたらす能力を有するとして同定された少なくとも一の更なる化合物を含有しうる。
【0281】
表14は、本スクリーニング法で試験された化合物及びチラミン受容体に結合し、細胞内Ca2+に影響を及ぼし、細胞内cAMPに影響を及ぼす各化合物の決定された能力を列挙する。ついで、これらの結果を利用して、所望の特性を有する試験化合物の二種以上を含む組成物を選択することができる。例えば、p−シメンは低いチラミン受容体結合親和性を示し、リナロールは高いチラミン受容体結合親和性を示し、両化合物はcAMP及び/又はCa2+レベルに変化をもたらすので、p−シメン 及びリナロールを選択して、スクリーニング法判定基準に従って寄生虫感染治療用組成物に含めることができる。同様に、p−シメンは低いチラミン受容体結合親和性を示し、チモールは高いチラミン受容体結合親和性を示し、両化合物はcAMP及び/又はCa2+レベルに変化をもたらすので、p−シメン 及びチモールを選択して、スクリーニング法判定基準に従って寄生虫感染治療用組成物に含めることができる。更に、二種を越える化合物を含む寄生虫感染治療用組成物、例えばα−ピネン、p−シメン、リナロール、チモール、及び大豆油を含む組成物を処方することができる。単独で使用されるときの何れかの化合物の抗寄生虫効果を越える抗寄生虫効果を示す組成物を処方することが好ましい場合がある。
【0282】

【0283】
実施例24
HEK293細胞に、リポフェクタミン (Invitrogen)を使用するpcDNA3.1/V5−HisAベクターを形質移入した。ベクターは、C. elegansチラミン受容体の完全長コンストラクトを含む。形質移入の48時間後、0.5mg/mlのG418(Invitrogen)を含む培養培地で細胞を選択する。第一回のG418選択を生存する細胞に単一クローン選択のために限界希釈を更に施す。クローンを選択した後、細胞ストックをアッセイ目的に対して増殖させる。
【0284】
細胞を蒔いてから24時間後に、増殖培地を、無血清培地(つまり、10mMのHEPES(N−2−ヒドロキシエチルピペラジン−N’−2−エタンスルホン酸)で緩衝化させたイーグル最小必須培地(EMEM))と置き換える。
【0285】
リナロールをアッセイのための受容体活性化剤として使用し、各プレートの各ウェルに加える。受容体活性化とその結果としての細胞内Ca2+レベルの増加を確実にするために十分なリナロールを加える。
【0286】
様々な濃度の精油試験化合物を、4つのプレート(複製当たり4つのプレートを用いる)の各々のウェルに加える。アッセイは室温で実施する。
【0287】
試験化合物の添加後、30秒、60秒、90秒、120秒、180秒、240秒、300秒、及び600秒の時点で、アッセイを終了し、細胞を分析して、細胞内Ca2+レベルを決定する。
【0288】
実施例25
リポフェクタミン (Invitrogen)を使用してHEK293細胞にpcDNA3.1/V5−HisAベクターを形質移入する。ベクターは、C. elegansチラミン受容体の完全長コンストラクトを含む。形質移入の48時間後、0.5mg/mlのG418(Invitrogen)を含む培養培地で細胞を選択する。第一回のG418選択を生存する細胞に単一クローン選択のために限界希釈を更に施す。クローンを選択した後、細胞ストックをアッセイ目的に対して増殖させる。
【0289】
細胞を蒔いてから24時間後に、増殖培地を、無血清培地(つまり、10mMのHEPES(N−2−ヒドロキシエチルピペラジン−N’−2−エタンスルホン酸)で緩衝化させたイーグル最小必須培地(EMEM))と置き換える。
【0290】
リナロールをアッセイのための受容体活性化剤として使用し、各プレートの各ウェルに加える。加えられるリナロールの量は、受容体活性化とその結果としての細胞内Ca2+レベルの増加を確実にするために必要とされるものより少ない。
【0291】
様々な濃度の精油試験化合物を、4つのプレート(複製当たり4つのプレートを用いる)の各々のウェルに加える。アッセイは室温で実施する。
【0292】
試験化合物の添加後、30秒、60秒、90秒、120秒、180秒、240秒、300秒、及び600秒の時点で、アッセイを終了し、細胞を分析して、細胞内Ca2+レベルを決定する。
【0293】
実施例26
リポフェクタミン (Invitrogen)を使用してHEK293細胞にpcDNA3.1/V5−HisAベクターを形質移入する。ベクターは、C. elegansチラミン受容体の完全長コンストラクト並びにアレスチン-GFPコンジュゲートを含む。一過性形質移入には、形質移入の48時間後に細胞を集める。安定な形質移入では、形質移入の48時間後に、0.5mg/mlのG418(Invitrogen)を含む培養培地で細胞を選択する。第一回のG418選択を生存する細胞に単一クローン選択のために限界希釈を更に施す。クローンを選択した後、細胞ストックをアッセイ目的に対して増殖させる。
【0294】
細胞を蒔いてから24時間後に、増殖培地を、無血清培地(つまり、10mMのHEPES(N−2−ヒドロキシエチルピペラジン−N’−2−エタンスルホン酸)で緩衝化させたイーグル最小必須培地(EMEM))と置き換える。複製当たり、2つのプレートを室温及びCO2雰囲気下で10分間、インキュベートし、2つのプレートを37℃及び5%COで10分間、インキュベートする。
【0295】
各試験化合物を、100%のジメチルスルホキシド(DMSO)を使用して溶媒和させる。各プレートの別個のウェルにおいて試験するために各化合物の複数の溶液を様々な濃度で調製する。溶液を超音波処理して溶解度を増加させる。
【0296】
15種の化合物の様々な濃度の溶液の各々を4つのプレート(複製当たり4つのプレートを用いる)の各々のウェルに加える。複製当たり、2つのプレートを室温及びCO雰囲気下で30分間、インキュベートする。複製当たり他の2つのプレートを37℃及び5%COで30分間、インキュベートする。
【0297】
ついで、アゴニストを各ウェルに加える。試験される各化合物に対して、100nMのイソプロテレノール(0.4%重量/容積のアスコルビン酸)を37Cプレートの一つ及びRTプレートの一つに加える。
【0298】
細胞を固定するために1uMのDRAQ5 DNAプローブを含む1%パラホルムアルデヒドを使用してアッセイを終了させる。Amersham Biosciences粒度分析GRNOアルゴリズムを使用して各ウェル中の細胞に対して、アレスチン−GFPコンジュゲートの局在化を定量するためにライン走査型共焦点画像解析システムを使用して細胞を分析する。このアルゴリズムは細胞の核を見出し、ついでアレスチン−GFP局在化の蛍光スポットがサイズ及び蛍光強度に基づいて同定される特定の距離、拡張する。獲得された画像中の細胞当たりの同定されたグレインの蛍光強度の平均をプレート上の各ウェルについて決定する。
【0299】
コントロールウェルを、異なったプレート上の細胞に対する蛍光スポットの基底レベルを決定し、並びに異なったプレート上の細胞に対する蛍光スポットの最大に刺激されたレベルを決定するために各プレートに使用する。コントロールウェル中の細胞に上述の方法を施すが、試験化合物又はアゴニストはウェルに加えない。「アゴニスト」コントロールウェル中の細胞に、アゴニストの添加を含むが試験化合物はウェルに添加されない妖術の方法を施す。
【0300】
本開示の実施態様に係る製剤は、ヒトと動物の双方に致命的な感染を伝達するスナバエ、蚊及び虫のような他の咬む節足動物媒介物に対する忌避剤としてまた有用である。実験的宿主、例えばマウス(虫に対して)、イヌ(スナバエに対して)及びヒト(蚊)は、当該分野でよく知られている。そのような宿主動物は本開示の製剤で治療され、節足動物媒介物の宿主を餌とする能力が評価される。製剤の適切な投薬量は当該分野でよく知られている上述のもののような方法によって直ぐに決定される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表Eに列挙された混合物からの二種以上の化合物の相乗的組合せを含有する抗寄生虫組成物。
【請求項2】
表Eに列挙された混合物からの三種以上の化合物の相乗的組合せを含有する抗寄生虫組成物。
【請求項3】
表Eに列挙された混合物からの四種以上の化合物の相乗的組合せを含有する抗寄生虫組成物。
【請求項4】
表Eに列挙された混合物からの全化合物の相乗的組合せを含有する抗寄生虫組成物。
【請求項5】
各化合物の量が表Eの量に倍数1を乗じて得られる範囲内である請求項1から4の何れか一項に記載の組成物。
【請求項6】
各化合物の量が表Eの量に倍数2を乗じて得られる範囲内である請求項1から4の何れか一項に記載の組成物。
【請求項7】
各化合物の量が表Eの量に倍数3を乗じて得られる範囲内である請求項1から4の何れか一項に記載の組成物。
【請求項8】
各化合物の量が表Eの量に倍数4を乗じて得られる範囲内である請求項1から4の何れか一項に記載の組成物。
【請求項9】
各化合物が表Eに記載の量で存在する請求項1から4の何れか一項に記載の組成物。
【請求項10】
組成物の成分に対する相乗係数が、5、10、25、50、75、又は100より大である請求項1から4の何れか一項に記載の組成物。
【請求項11】
組成物が、原虫寄生虫、蠕虫寄生虫、ダニ亜綱の害虫、シラミ、ノミ、又はハエからなる群から選択される寄生虫に相乗効果を示す請求項1から4の何れか一項に記載の組成物。
【請求項12】
組成物が、キャノーラ、ネコ、イヌ、ヤギ、ウマ、ヒト、トウモロコシ、マウス、雄ウシ、ブタ、家禽類、ウサギ、イネ、ヒツジ、大豆、タバコ、及び小麦からなる群から選択される宿主を持つ寄生虫に相乗効果を示す請求項1から4の何れか一項に記載の組成物。
【請求項13】
界面活性剤及び固定油からなる群から選択される成分を更に含有する請求項1から4の何れか一項に記載の組成物。
【請求項13】
表B、B1、C、D、又はEの何れかに列挙された二種以上の化合物の相乗的組合せを含有する抗寄生虫組成物。
【請求項14】
請求項1から4又は13の何れか一項に記載の組成物と担体を含有する製剤。
【請求項15】
担体が食物製品である請求項14に記載の製剤。
【請求項16】
寄生虫病又は外寄生の治療又は予防のための医薬としての、請求項1から4又は13の何れか一項に記載の組成物。
【請求項17】
寄生虫病又は外寄生の治療又は予防のための抗寄生虫剤としての、請求項1から4又は13の何れか一項に記載の化合物の使用。
【請求項16】
患者における寄生虫感染の治療方法におちえ、請求項1から4又は13の何れか一項に記載の組成物の有効量を患者に投与することを含む方法。
【請求項17】
内部寄生虫、 外部寄生虫、ヒト寄生虫、動物寄生虫、又は農業寄生虫からなる群から選択される分類の寄生虫によって引き起こされる請求項16に記載の方法。
【請求項18】
寄生虫感染の治療に使用される組成物を選択する方法において、
チラミン受容体及び嗅覚カスケードの受容体からなる群から選択される受容体を発現する細胞を提供し;
試験化合物を該細胞に接触させ;
化合物の受容体結合親和性を測定し;
(i)細胞内cAMPレベル;及び
(ii)細胞内Ca2+レベル
から選択される少なくとも一のパラメータを測定し;
上記パラメータの少なくとも一を変更可能であり、受容体に対して高受容体結合親和性を有する組成物のために第一化合物を同定し;及び
上記パラメータの少なくとも一を変更可能であり、受容体に対して低受容体結合親和性を有する組成物のために第二化合物を同定し;及び
第一及び第二化合物を含む組成物を選択する
ことを含む方法。
【請求項19】
寄生虫感染の治療に使用される組成物を選択する方法において、
表Fに列挙された受容体からなる群から選択される受容体を発現する細胞を提供し;
試験化合物を該細胞に接触させ;
化合物の受容体結合親和性を測定し;
(i)細胞内cAMPレベル;及び
(ii)細胞内Ca2+レベル
から選択される少なくとも一のパラメータを測定し;
上記パラメータの少なくとも一を変更可能であり、受容体に対して高受容体結合親和性を有する組成物のために第一化合物を同定し;及び
上記パラメータの少なくとも一を変更可能であり、受容体に対して低受容体結合親和性を有する組成物のために第二化合物を同定し;及び
第一及び第二化合物を含む組成物を選択する
ことを含む方法。
【請求項20】
寄生虫感染の治療に使用される組成物を選択する方法において、
表Gに列挙された分子標的からなる群から選択される分子標的を含む細胞を提供し;
試験化合物を該細胞に接触させ;
分子標的に対する化合物の結合親和性を測定し;
(i)細胞内cAMPレベル;及び
(ii)細胞内Ca2+レベル
から選択される少なくとも一のパラメータを測定し;
上記パラメータの少なくとも一を変更可能であり、分子標的に対して高結合親和性を有する組成物のために第一化合物を同定し;及び
上記パラメータの少なくとも一を変更可能であり、分子標的に対して低結合親和性を有する組成物のために第二化合物を同定し;及び
第一及び第二化合物を含む組成物を選択する
ことを含む方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公表番号】特表2011−507969(P2011−507969A)
【公表日】平成23年3月10日(2011.3.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−540903(P2010−540903)
【出願日】平成20年12月24日(2008.12.24)
【国際出願番号】PCT/US2008/088342
【国際公開番号】WO2009/086471
【国際公開日】平成21年7月9日(2009.7.9)
【出願人】(509018568)タイラテック, インク. (6)
【Fターム(参考)】