説明

相乗的配合剤

【課題】本発明は、特にイヌ、ネコ、及びウマにおいて、疼痛及び/又は炎症の治療のための方法、医薬組成物、及び使用を提供する。
【解決手段】特にイヌ、ネコ、及びウマにおける疼痛及び/又は炎症の獣医治療のために、非ステロイド系抗炎症性薬剤、特にカルプロフェンを、アルファ-2-デルタ・リガンド、例えばガバペンチン又はプレガバリンなどと相乗的に組み合わせることによる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、非ステロイド系抗炎症薬(NSAIDs)とアルファ-2-デルタ・リガンドの配合剤に関する。特に、カルプロフェンとアルファ-2-デルタ・リガンド、例えばガバペンチン又はプレガバリンに関する。とりわけ、本発明は、相乗効果を示すNSAIDとアルファ-2-デルタ・リガンドの配合剤に関し、そして哺乳動物、特にイヌ、ネコ、及びウマにおける疼痛及び/又は炎症の獣医学的治療のためのかかる配合剤の使用に関する。
【背景技術】
【0002】
イヌ、ネコ、及びウマにおけるNSAIDsの使用は、人におけるNSAIDsの使用に比べて制限されてきた。結果として、これらの動物におけるNSAIDsの使用に関する安全性及び効力の問題について、獣医薬における経験及び知識が少ない。獣医薬では、例えば、もっとも一般的なNSAIDsの適応症は、変形性関節疾患(DJD)及び骨関節炎であり、これらはイヌ、ネコ、及びウマにおいて、種々の疾患の発達から、並びに関節に対する外傷から生じる事が多い。慢性疼痛及び炎症の治療に加えて、NSAIDsは、イヌ、ネコ、及びウマにおける術後急性疼痛の治療にも有用である。
【0003】
NSAIDsは、イヌ用に(カルプロフェン、ケトプロフェン、メロキシカム、フェニルブタゾン、エトドラク);ネコ用に(カルプロフェン、ケトプロフェン、ディピロン);及びウマ用に(カルプロフェン、ケトプロフェン、フルニキシン)、多くの国で認可されてきた。しかしながら、疾患の性質及び重篤度に左右されて、患者はNSAIDsでは効果が無いか、又は効果が無くなってしまうということが報告されている。カルプロフェン(6-クロロ-α-メチル-9H-カルバゾール-2-酢酸)は、獣医薬用に承認されたNSAIDである。カルプロフェンは、US3,896,145に開示され、そしてリマダイル(登録商標)として広く市販されている。カルプロフェンは、以下の構造式:
【化1】

を有する。
【0004】
in vitro、ex vivo、及びin vivo計測によれば、カルプロフェンはイヌにおいてCOX-2を阻害することが知られている(WO98/50033, AJVR, 1998, 59, 11, 1441)が、他の報告により代替の作用メカニズムが示唆されている。無痛症、炎症及び熱の治療のため、特に骨関節炎に付随する疼痛及び炎症の軽減のため、及び軟組織及び整形外科手術に付随する術後疼痛の制御のために、イヌにおいて使用される。これは、イヌ及びヒトの治療用に広く使用された(Irish Venterinary Journal, 1999, 52, 11, 606, Veterinary Record, 2002, 150, 684, JAVMA, 1997, 210, 10, 1493, Vet Comp Orthop Traumatol, 1997, 10, 122)。カルプロフェンは、幾つかの国において、術後疼痛の制御のために、猫において使用することを認可されている。カルプロフェンは、ウマについて研究されてきており、そして筋骨格筋疼痛及び術後の治療のために、ウマに使用することが認可されている。
【0005】
カルプロフェン、特に(S)-エナンチオマーのカルプロフェン、及び関連する化合物は、イヌにおいてCOX-1アイソザイムに比べてCOX-2アイソザイムに対して驚くほどかつ予期できないほどの高い選択性を有する事が知られている。WO98/50033(129倍の選択性)、American Journal Veterinary Research, 2002, 63,1, 91(16.8倍の選択性)、American Journal of Veterinary Research, 2001,62, 11, 1755(6.5倍の選択性)、American Journal of Veterinary Research, 2000, 61, 7, 802(1.75倍の選択性)。ネコにおけるCOX-1アイソザイムに比較したCOX-2アイソザイムの選択性は、5.5培であると報告され、そしてウマにおいては1.6倍であると報告された(American Journal of Veterinary Research, 2001, 62, 11, 1755.)。COX-2アイソザイムが炎症の重要なメディエーターである一方、NSAIDsと相互作用を有さないか又はNSAIDsの作用について解明された関係を有さない多くの他の重要な炎症メディエーターが存在する。かかるメディエーターは、白血球のいくつかのクラス;細胞接着分子;C5a、PAF、及びロイコトリエンB4などの可溶性メディエーター;IL−1及びTNFなどのサイトカイン;GMCSF及びTGFベータなどの成長因子;ヒスタミン、ブラジキニン及び5HTなどのヒスタミンを含む。式(III)の化合物が、COX-2の固有の阻害剤であることが示された一方で、式(III)の化合物が、その抗炎症活性を発揮する特定の作用メカニズムにとらわれるという意図はない。
【0006】
アルファ-2-デルタ・リガンドは、ブタ脳膜から3H-ガバペンチンを選択的に置換し、それにより電位依存性カルシウム・チャネルのアルファ-2-デルタ(α2δ)と高い親和性で相互作用することを示す化合物として定義される。アルファ-2-デルタ・リガンドは、3H-ガバペンチンを置換しないが、3H-ガバペンチンを置換する化合物に構造的に類似する化合物、並びに3H-ガバペンチンとは異なる部位でアルファ-2-デルタ・サブユニットに結合することを予期されるか、又はヒト脳アルファ-2-デルタ又はイヌ、ネコ、及びウマなどのコンパニオン・アニマルのアルファ-2-デルタに結合するが、ブタ・アルファ-2-デルタに結合することが予期されない化合物を含む。かかる化合物はまた、GABAアナログとして知られることもある。
【0007】
アルファ-2-デルタ・リガンドは、ヒトにおいて多くの適応症について記載され、例えばてんかん、神経障害性疼痛、不安症、及び線維筋痛を含む。最も良く知られているアルファ-2-デルタ・リガンドであるガバペンチン(ニューロンチン(登録商標))、1-(アミノメチル)-シクロへキシル酢酸、はUS4024175を含むパテント・ファミリーの特許文献中に初めて記載された。ガバペンチンは、疼痛治療用に研究され(British Journal of Pharmacology, 2000, 131, 2, 282, Anaesthesia, 2002, 57, 451, Brain Research, 1998, 810, 93, British Journal of Pharmacology, 1997, 121, 1513, Clin J Pain, 2001, 17, 4, 284, Rev Neurol(Paris), 1997, 153, 1S, 39)、そしててんかん及び神経障害性疼痛の治療用に認可された。
【0008】
US2002068718は、骨関節炎、関節滲出液、関節炎症、及び疼痛の治療又は予防のためのヒアルロン酸又はその塩を含む経口組成物であって、ガバペンチンなどの治療薬剤を場合により含む組成物を開示する。当該組成物は、軟骨保護又は修復薬であることを意図される。
【0009】
第二のアルファ-2-デルタ・リガンドであるプレガバリン、(S)-(+)-4-アミノ-3-(2-メチルプロピル)ブタン酸、(リリカ(登録商標))は、欧州特許出願公開第EP641330に、てんかんの治療に有用な抗けいれん治療薬として記載された。プレガバリンは、疼痛治療用にEP0934061にも記載されている。プレガバリンはまた、ヒトにおいて不安症の治療における使用について記載された。
【0010】
アルファ-2-デルタ・リガンドは、獣医学の種における使用について承認されていない。小動物におけるガバペンチンの抗てんかん効果を調査するために、幾つかの研究が行われた(Clinical techniques in small animal practice, 1998, 13, 3, 185; Veterinary Clinics of North America. Small animal practice, 1998, 28, 2, 411, Veterinary Clinics of North America. Small animal practice, 200, 30, 1, 183)。
【0011】
疼痛におけるアルファ-2-デルタ・リガンドであるガバペンチンと、NSAIDであるイブプロフェンの配合剤の効果は、調査され、そして当該効果は、一緒にデリバリーされた場合に相加的であった(Anaesthesiology, 1999, 91, 1006)。痛覚過敏のげっ歯類モデルにおいて、ナプロキセンとガバペンチン又はナプロキセンとプレガバリンの共投与が、(WO 99/12537, WO 2000053225, Anaesthesiology, 2002, 97, 5, 1263)に開示された。
【0012】
ある研究は、痙攣活性の防御のために、抗てんかん薬とNSAIDsの共投与を行った(Pharmacological Research, 1997, 37, 5, 375, Polish Journal of Pharmacology, 1998, 50, 1, 94)。
【0013】
ネコ、イヌ、及びウマにおける疼痛及び/又は炎症の治療であって、改良され、さらに安全である治療に対する満たされていない必要性が残っている。
【発明の開示】
【0014】
発明の要約
一の態様によると、本発明は、ネコ、イヌ、及びウマから選ばれる動物における疼痛及び/又は炎症の治療、予防、又は苦痛緩和処置用の医薬の製造における、以下の式(I):
【化2】

[式中、 R1は、水素又は(C1-C4)アルキルであり;nは、4〜6の整数である]
で表されるアルファ-2-デルタ・リガンド、又は医薬として許容されるその塩又は溶媒和物、或いは以下の式(II):
【化3】

[式中、R11は、直鎖又は分枝鎖(C1−C6)アルキル、フェニル、又は(C3-C6)シクロアルキルであり;R12は、水素又はメチルであり;そしてR13は水素、メチル、又はカルボキシルである]
で表されるアルファ-2-デルタ・リガンド、又はその個々のジアステレオマー又はエナンチオマー異性体、又はその医薬として許容される塩又は溶媒和物を、以下の式(III):
【化4】

[式中、
2は以下の:
【化5】

{基中、
Aは水酸基、(C1-C4)アルコキシ、アミノ、ヒドロキシアミノ、モノ-(C1-C2)アルキルアミノ、ジ-(C1-C2)アルキルアミノであり;
X及びYは、独立してH又は(C1-C2)アルキルであり;
mは、1又は2である}
であり、
6は、ハロゲン、(C1-C3)アルキル、トリフルオロメチル、又はニトロであり;
9は、H、(C1-C2)アルキル、フェニル又はフェニル(C1-C2)アルキル{基中、フェニル、又はフェニル(C1-C2)アルキルにおけるフェニル基は、フルオロ又はクロロにより場合により一置換される}、-C(=O)R{基中、Rは、(C1-C2)アルキル又はフェニルであり、当該R基は場合によりフルオロ又はクロロにより一置換される}、-C(=O)OR7{基中、R7は、(C1-C2)アルキルである}である]
で表される非ステロイド系抗炎症性化合物又はその医薬として許容される塩又は溶媒和物と組み合わせた使用を提供する。
【0015】
別の態様によると、本発明は、ネコ、イヌ、及びウマから選ばれる哺乳動物において、疼痛及び/又は炎症の治療、予防、又は苦痛緩和方法であって、当該哺乳動物に、以下の式(I):
【化6】

[式中、R1は、水素又は(C1-C4)アルキルであり、nは4〜6の整数である]
で表されるアルファ-2-デルタ・リガンド、又はその医薬として許容される塩若しくは溶媒和物、或いは以下の式(II):
【化7】

[式中、R11は、直鎖又は分枝鎖(C1-C6)アルキル、フェニル、又は(C3-C6)シクロアルキルであり;R12は、水素又はメチルであり;そしてR13は、水素、メチル、又はカルボキシルである]
で表されるアルファ-2-デルタ・リガンド、又はその個々のジアステレオマー又はエナンチオマー異性体;又はその医薬として許容される塩又は溶媒和物の有効量を、以下の式(III):
【化8】

[式中、
2は、以下の:
【化9】

{基中、Aは水酸基、(C1-C4)アルコキシ、アミノ、ヒドロキシアミノ、モノ-(C1-C2)アルキルアミノ、ジ-(C1-C2)アルキルアミノであり;
X及びYは、独立してH又は(C1-C2)アルキルであり;
mは1又は2である}であり;
6は、ハロゲン、(C1-C3)アルキル、トリフルオロメチル、又はニトロであり;
9はH、(C1-C2)アルキル、フェニル又はフェニル(C1-C2)アルキル{基中、フェニル又はフェニル(C1-C2)アルキル中のフェニル基は、場合によりフルオロ又はクロロにより一置換される}、-C=(O)R{基中、Rは(C1-C2)アルキル又はフェニルであり、ここで当該R基は場合によりフルオロ又はクロロにより一置換される)、-C(=O)OR7{基中、R7は、(C1-C2)アルキルである}である]
で表される非ステロイド系抗炎症性化合物、又はその医薬として許容される塩又は溶媒和物と組み合わせて投与することを含む、前記方法を提供する。
【0016】
別の態様におると、本発明は、以下の式(I):
【化10】

[式中、R1は、水素又は(C1-C4)アルキルであり、nは4〜6の整数である]
で表されるアルファ-2-デルタ・リガンド、又はその医薬として許容される塩若しくは溶媒和物、或いは以下の式(II):
【化11】

[式中、R11は、直鎖又は分枝鎖(C1-C6)アルキル、フェニル、又は(C3-C6)シクロアルキルであり;R12は、水素又はメチルであり;そしてR13は、水素、メチル、又はカルボキシルである]
で表されるアルファ-2-デルタ・リガンド、又はその個々のジアステレオマー又はエナンチオマー異性体、又はその医薬として許容される塩又は溶媒和物;並びに
以下の式(III):
【化12】

[式中、
2は、以下の:
【化13】

{基中、Aは水酸基、(C1-C4)アルコキシ、アミノ、ヒドロキシアミノ、モノ-(C1-C2)アルキルアミノ、ジ-(C1-C2)アルキルアミノであり;
X及びYは、独立してH又は(C1-C2)アルキルであり;
mは1又は2である}であり;
6は、ハロゲン、(C1-C3)アルキル、トリフルオロメチル、又はニトロであり;
9は、H、(C1-C2)アルキル、フェニル又はフェニル(C1-C2)アルキル{基中、フェニル、又はフェニル(C1-C2)アルキル中のフェニル基は、場合によりフルオロ又はクロロにより一置換される}、-C=(O)R{基中、Rは(C1-C2)アルキル又はフェニルであり、ここで当該R基は場合によりフルオロ又はクロロにより一置換される}、-C(=O)OR7{基中、R7は、(C1-C2)アルキルである}である]
で表される非ステロイド系抗炎症性化合物、又は医薬として許容されるそれらの塩又は溶媒和物を、医薬として許容される賦形剤又は担体と一緒に含む、医薬組成物を提供する。
【0017】
式(I)又は式(II)で表される化合物と、式(III)で表される化合物の配合剤は、相乗的でありうる。
本発明の一の実施態様では、式(I)の化合物は、ガバペンチンである。
【0018】
本発明の一の実施態様では、式(II)において、R12及びR13は水素であり、そしてR11は-(CH2)0-2-iC49である。
本発明の別の実施態様では、式(II)の化合物は、プレガバリンである。
本発明の一の実施態様では、式(III)の化合物は、カルプロフェンである。
本発明の一の実施態様では、配合剤は、ガバペンチン及びカルプロフェンを含む。当該組合せは、相乗的でありうる。
本発明の別の実施態様では、配合剤は、プレガバリン及びカルプロフェンを含む。当該組合せは、相乗的でありうる。
【0019】
本発明の一の実施態様では、当該治療は、イヌのための治療である。別の実施態様では、当該治療はネコのための治療である。更なる実施態様において、治療は、ウマのための治療である。
【0020】
本発明の一の実施態様では、式(I)又は式(II)のアルファ-2-デルタ・リガンド対式(III)の非ステロイド系抗炎症性化合物の比率は、100:1〜1:1である。
本発明の別の実施態様では、式(I)又は式(II)のアルファ-2-デルタ・リガンド対式(III)の非ステロイド系抗炎症性化合物の比率は、50:1〜5:1である。
本発明の代わりの実施態様では、式(I)又は式(II)のアルファ-2-デルタ・リガンド対式(III)の非ステロイド系抗炎症性化合物の比率は、9:1である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
本発明は、以下の式(I):
【化14】

[式中、 R1は、水素又は(C1-C4)アルキルであり;nは、4〜6の整数である]
で表されるアルファ-2-デルタ・リガンド、又は医薬として許容されるその塩又は溶媒和物、或いは以下の式(II):
【化15】

[式中、R11は、直鎖又は分枝鎖(C1−C6)アルキル、フェニル、又は(C3-C6)シクロアルキルであり;R12は、水素又はメチルであり;そしてR13は水素、メチル、又はカルボキシルである]
で表されるアルファ-2-デルタ・リガンド、又はその個々のジアステレオマー又はエナンチオマー異性体、又はその医薬として許容される塩又は溶媒和物;並びに
以下の式(III):
【化16】

[式中、
2は以下の:
【化17】

{基中、
Aは水酸基、(C1-C4)アルコキシ、アミノ、ヒドロキシアミノ、モノ-(C1-C2)アルキルアミノ、ジ-(C1-C2)アルキルアミノであり;
X及びYは、独立してH又は(C1-C2)アルキルであり;
mは、1又は2である}
であり、
6は、ハロゲン、(C1-C3)アルキル、トリフルオロメチル、又はニトロであり;
9は、H、(C1-C2)アルキル、フェニル又はフェニル(C1-C2)アルキル{基中、フェニル、又はフェニル(C1-C2)アルキルにおけるフェニル基は、フルオロ又はクロロにより場合により一置換される}、-C(=O)R{基中、Rは、(C1-C2)アルキル又はフェニルであり、当該R基は場合によりフルオロ又はクロロにより一置換される}、-C(=O)OR7{基中、R7は、(C1-C2)アルキルである}である]
で表される非ステロイド系抗炎症性化合物又はその医薬として許容される塩又は溶媒和物
を含む配合剤に関する。
【0022】
本発明はまた、アルファ-2-デルタ・リガンド、例えば本明細書中に定義される式(I)又は式(II)の化合物と、本明細書中に定義される式(III)の非ステロイド系抗炎症性化合物との配合剤を、医薬として許容される賦形剤又は担体と含む、医薬組成物に関する。
【0023】
アルファ-2-デルタ・リガンドと非ステロイド系抗炎症性化合物との配合剤は、相乗的でありうる。
【0024】
本発明は、哺乳動物において、特にイヌ、ネコ、及びウマにおいて疼痛及び/又は炎症の治療、予防、又は苦痛緩和処置のための、アルファ-2-デルタ・リガンド、例えば本明細書中で定義される式(I)又は式(II)の化合物及び本明細書中で定義される式(III)の非ステロイド系抗炎症性化合物の使用に関する。
【0025】
こうして、本発明は、ネコ、イヌ、及びウマから選ばれる哺乳動物において、疼痛及び/又は炎症の治療、予防、又は苦痛緩和処置用の医薬の製造における、アルファ-2-デルタ・リガンド、例えば本明細書中に定義される式(I)又は式(II)の化合物、及び本明細書中に定義される式(III)の非ステロイド系抗炎症性化合物の使用にも関する。
【0026】
本発明は、ネコ、イヌ、及びウマから選ばれる哺乳動物において、疼痛及び/又は炎症を治療、予防、又は苦痛緩和処置するための方法であって、当該哺乳動物に、有効量のアルファ-2-デルタ・リガンド、例えば本明細書中に定義される式(I)又は式(II)の化合物、及び本明細書中に定義される式(III)の非ステロイド系抗炎症性化合物を投与することを含む、前記方法にも関する。
【0027】
アルファ-2-デルタ・リガンド、例えば式(I)又は式(II)の化合物と、非ステロイド系抗炎症性化合物との配合剤は、相乗的でありうる。こうして、本発明によると、アルファ-2-デルタ・リガンド、例えば式(I)又は式(II)の化合物と、式(III)の非ステロイド系抗炎症性化合物との併用療法は、特にイヌ、ネコ、及びウマにおいて疼痛及び/又は炎症の獣医治療において予想外の改善をもたらす。
【0028】
同時に、連続して、又は別々に投与されるとき、式(I)又は式(II)のアルファ-2-デルタ・リガンド、及び式(III)非ステロイド系抗炎症性化合物は、疼痛及び/又は炎症を制御するのに相乗的な様式で相互作用する。
【0029】
この予想外の相乗効果は、別々に投与された場合の配合剤の個々の構成要素に比べて、高い臨床効力、又は各化合物の必要とされる投与量の低下を提供し、当該化合物及び治療の臨床効果を維持又は高める一方で、副作用の低下をもたらす。同時に、連続して、又は別々に投与されるとき、患者は、疼痛及び/又は炎症の頻度及び重篤度の改善された低下を経験することもある。さらに、患者は、式(I)又は式(II)のアルファ-2-デルタ・リガンドのいずれかのみ、又は式(III)の非ステロイド系抗炎症性化合物のみから得られる作用の持続時間に比べてより長い作用持続時間からの利益を享受しうる。
【0030】
別の実施態様では、式(III)の非ステロイド系抗炎症性化合物において、Aは水酸基であり、X及びYは各々独立してH及びメチルから選ばれ;mは1又は2であり;R6はハロゲンであり;そしてR9はH又は(C1-C2)アルキルである。
【0031】
別の実施態様では、式(III)の非ステロイド系抗炎症性化合物は、(R)及び(S)エナンチオマーとして存在する。一の実施態様では、当該配合剤は、(R)及び(S)エナンチオマーの混合物を含む。別の実施態様では、当該配合剤は、(S)エナンチオマーを含むが、(R)エナンチオマーを含まない。
【0032】
さらなる実施態様では、式(III)の非ステロイド系抗炎症性化合物は、カルプロフェンである。別の実施態様では、式(III)の非ステロイド系抗炎症性化合物は(S)-カルプロフェンである。
【0033】
本発明に従って使用するための適したアルファ-2-デルタ・リガンドの例は、US4024175に一般的又は特異的に開示される化合物、特にガバペンチン、EP541330、特にプレガバリン、US5,563,175、WO97/33858、WO97/33859、WO99/31057、WO99/31074、WO97/29101、WO02/085839、特に[(1R,5R,6S)-6-(アミノメチル)-ビシクロ[3.2.0]ヘプタ-6-イル]酢酸、WO99/21824、特に(3S,4S)-(1-アミノメチル-3,4-ジメチル-シクロペンチル)-酢酸、WO01/90052、WO01/28978、特に(1α,3α,5α)(3-アミノ-メチル-ビシクロ[3.2.0]ヘプタ-3-イル)-酢酸、EP0641330、WO98/17627、WO00/76958、特に(3S,5R)-3-アミノメチル-5-メチル-オクタン酸、WO03/082807、特に(3S,5R)-3-アミノ-5-メチル-オクタン酸、(3S,5R)-3-アミノ-5-メチル-ノナン酸、及び(3S,5R)-3-アミノ-5-メチル-オクタン酸、及び医薬として許容されるその塩及び溶媒和物である。
【0034】
一の実施態様では、式(II)の化合物において、R12及びR13が水素であり、そしてR11が-(CH2)0-2-iC49である。別の実施態様では、アルファ-2-デルタ・リガンドは、プレガバリンである。
別の実施態様では、アルファ-2-デルタ・リガンドはガバペンチンである。
【0035】
一の実施態様では、当該組成物は、カルプロフェン、特に(S)-カルプロフェン、及びガバペンチンを含む別の実施態様では、当該組成物は、カルプロフェン、特に(S)-カルプロフェン、及びプレガバリンを含む。
【0036】
本発明に記載される配合剤は、ネコ、イヌ、又はウマへの投与に適した単一投与形態として製造されうる。
【0037】
一の実施態様では、投与は1日1回、2回、又は3回である。別の実施態様では、投与は、1日2回又は3回である。さらなる実施態様では、投与は1日2回である。別の実施態様では投与は1日1回である。或いは、投与は週に1回、2回、又は3回であってもよい。別の実施態様では、投与は、週に2回、又は3回であってもよい。さらなる実施態様では、投与は週に2回であってもよい。別の実施態様では、投与は週に1回であってもよい。
【0038】
本発明の別の実施態様では、獣医投与に適した相乗的配合剤であって、本明細書中に定義された式(I)又は式(II)のアルファ-2-デルタ・リガンド及び式(III)の抗炎症性薬剤、又は医薬として許容されるその塩又は溶媒和物を、重量で1:50〜50:1、1:50〜20:1、1:50〜10:1、1:50〜1:1、1:20〜50:1、1:20〜20:1、1:20〜10:1、1:20〜1:1、1:10〜50:1、1:10〜20:1、1:10〜10:1、1:10〜1:1、1:1〜50:1、1:1〜20:1、及び1:1〜10:1から選ばれるw/w配合範囲、より適切には重量で1:20〜20:1、さらにより適切には重量で1:20〜1:1の配合範囲で提供される。
【0039】
一の実施態様では、式(I)又は式(II)の化合物を、式(III)の化合物と組み合わせて投与するための適切な用量比は、それぞれ9:1の比である。
【0040】
本発明の方法及び組成物で利用されるカルプロフェンを含む式(III)の化合物は、以前に開示され、そして有機化学の当業者によく知られている合成方法に従って製造されうる。例えば、カルプロフェンを含む式(III)の化合物であって、本発明の方法及び組成物において利用される化合物の製造のための合成方法は、米国特許第3,896,145号に詳細に記載されている。
【0041】
式(III)の化合物における「R2」置換基の定義において、「X」及び「Y」が異なる場合、キラル(不斉)炭素原子が存在することになる。不斉炭素原子における立体化学は、(R)又は(S)でありうる。(R)-及び(S)-エナンチオマーの50:50混合体が存在する場合、(R)-及び(S)-エナンチオマーのラセミ体が得られる。本明細書中に開示される本発明は、式(III)の化合物の全てのエナンチオマー、ジアステレオマー、及びエピマー形態、並びにそれらの混合物を含む。
【0042】
不斉炭素を有する式(III)の化合物のカルプロフェン化学種の(S)エナンチオマーは、関節軟骨変性の初期として同定される哺乳動物対象の関節軟骨又は軟骨下骨の変性又は破壊を治療又は予防する際の最大レベルの活性を有するエナンチオマーである。この関節軟骨変性は、最終的にその関与する関節の全てにおいて、軟骨又は軟骨下骨の損傷又は欠失をもたらす。従って、本発明の一の実施態様では、式(III)の化合物は、(S)-カルプロフェンである。
【0043】
本発明の一の特に好ましい実施態様は、本発明の方法及び配合剤おいて式(III)の化合物として、カルプロフェンの(S)-エナンチオマー、(S)-6-クロロ-α-メチル-9H-カルバゾール-2-酢酸を使用することである。しかしながら、他の実施態様は、同様に本発明の範囲内であると考えられる。例えば、(R)-及び(S)-エナンチオマーの非ラセミ性の混合物が、使用されてもよく、そしてその場合、(S)-エナンチオマーは、配合剤中の式(III)の化合物の総量に対して、少なくとも85%、好ましくは少なくとも90%、より好ましくは少なくとも95%、及びもっとも好ましくは少なくとも99%の量で存在してもよい。(R)-及び(S)-エナンチオマーは、分子量、密度などの点で同一であるので、上記割合の根拠を必ずしも述べる必要はない。言い換えれば、上記割合は、重量、体積、化学当量などによる割合であってもよい。(R)-エナンチオマーの上記量を含む理由は、単純に、残っている微量の(R)-エナンチオマーの全てをラセミ混合物から完全に取り除く必要はないという実用性のためである。そうする理由は、全体としての有益な生物学的性質に関する。非ラセミ混合物において、(+)(S)エナンチオマーは、もっとも多い構成要素であろう。なぜなら、(+)(S)エナンチオマーは、(-)(R)エナンチオマーより有意に強力であるからである。これに相応して、少量の(-)(R)エナンチオマー、つまり、15%未満、10%未満、5%未満、及び1%未満のそれぞれが、本発明の配合剤中に含まれてもよい。
【0044】
本明細書中のいたるところで配合剤の式(III)の化合物について記載される投与量の範囲は、キラル化合物が含まれる場合、50:50のエナンチオマーのラセミ混合物に関して記載されている。これは、主に便宜のためである。式(III)の化合物が、50:50混合物とは異なるエナンチオマーの混合物を含む場合、又は式(III)の化合物が、実質的に100%の(+)(S)又は(-)(R)エナンチオマーのみを含む場合、当業者は、かなり直接的な方法で、つまり単純に上記用量に、エナンチオマーの50:50混合物に基づいて記載された投与量中の実際の量に対する、使用されるエナンチオマーの量の比を反映する係数を掛ける事により、必要とされる実際の投与量を計算することができる。従って、50:50ラセミ混合物について4mg/kg/日である場合、実質的に100%の(+)(S)エナンチオマーは、上記量の半分、つまり2mg/kg/日で使用される。
【0045】
式(I)及び式(II)のアルファ-2-デルタ・リガンドは、以前に開示された方法を使用して、例えばUS4,024,175及びEP641330に記載される方法を使用して製造することができる。式(I)又は式(II)のある化合物は、1以上の不斉中心を有し、そして各中心は、(R)又は(S)立体配置で存在しうる。本発明は、式(I)及び(II)の化合物の全てのエナンチオマー、ジアステレオマー、及びエピマー形態、並びにその混合物を含む。
【0046】
本発明の配合剤中の化合物は、溶媒和していない形態並びに溶媒和形態で存在し、例えば水和形態を含む。一般に、水和物を含む溶媒和形態は、同位体置換(例えば、DO、d6-アセトン、d6-DMSO)を含むことがあり、溶媒和されていない形態と同等であり、そして本発明の範囲内に包含される。
【0047】
ジアステレオ異性体又はシス及びトランス異性体の分離は、慣用の技術により、例えば本発明の化合物又はその適切な塩又は誘導体の化合物の立体異性混合物を分別結晶、クロマトグラフィー、又はHPLCすることにより達成されてもよい。
【0048】
本発明の配合剤中の多くの化合物は、アミノ酸である。アミノ酸は、両性であるので、薬理学的に適合する塩は、適切な無毒性の無機酸若しくは有機酸又は無機塩基若しくは有機塩基の塩でありうる。適切な酸添加塩は、酢酸塩、アスバラギン酸塩、安息香酸塩、ベシル酸塩、炭酸水素塩/炭酸塩、硫酸水素塩、カンシル酸塩、クエン酸塩、エジシル酸塩、エシレート、フマル酸塩、グルセプテート、グルコン酸塩、グルクロン酸塩、ヒベンズ酸塩、塩酸塩/塩化物、臭化水素酸塩/臭化物塩、ヨウ化水素酸塩/ヨウ化物、リン酸水素塩、イセチオン酸塩、D−及びL−乳酸塩、リンゴ酸塩、マレイン酸塩、マロン酸塩、メシレート、メチル硫酸塩、2-ナプシル酸塩、ニコチン酸塩、硝酸塩、オロチン酸塩、パルモエート(palmoate)、リン酸塩、サッカラート、ステアリン酸塩、コハク酸塩、硫酸塩、D−及びL−酒石酸塩、及びトシル酸塩である。適切な塩基塩は、非毒性の塩を形成する塩基から形成され、そして例えば、ナトリウム、カリウム、アルミニウム、カルシウム、マグネシウム、亜鉛、コリン、ジオラミン、オラミン、アルギニン、グリシン、トロメタミン、ベンザチン、リジン、メグルミン、及びジエチルアミンの塩である。四級アンモニウムイオンとの塩は、例えば、テトラメチル-アンモニウムイオンで製造できる。本発明の化合物は、双性イオンであってもよい。
【0049】
本発明のアミノ酸化合物の適切な塩は、塩酸塩である。適切な塩に関する総説については、Stahl及びWermuth、Handbook of Pharmaceutical Salts: Properties, Selection, and Use, Wiley-VCH, Weinheim, Germany(2002)を参照のこと。
【0050】
包接化合物、薬剤-ホスト包含複合体(drug-host inclusion complex)も本発明の範囲内である。薬剤-ホスト包含複合体では、前述の溶媒和物とは対照的に、当該薬剤とホストは、非化学量論的な量で存在する。係る複合体については、HaleblianによるJ Pharm Sci, 64(8), 1269-1288(1975年8月)を参照のこと。
【0051】
本発明の配合剤中の化合物について以下の記載の全ては、その塩及び溶媒和物、並びに本発明及びその塩の包接化合物を含む。
【0052】
配合剤に含まれる化合物の多形も本発明の範囲内に含まれる。
【0053】
本発明の上記化合物のプロドラッグは、本発明の範囲内に含まれる。化学修飾された薬剤つまりプロドラッグは、親化合物に対して異なる薬物動態プロファイルを有し、粘膜上皮を通した吸収を容易にし、塩形成及び/又は溶解度を良くし、(例えば、血漿半減期の増加についての)全身安定性を改善する。これらの化学修飾は、
(1) エステラーゼ又はリパーゼにより分解され得るエステル又はアミド誘導体。エステル誘導体では、当該エステルは、既知の方法により薬剤分子のカルボン酸部分から誘導される。アミド誘導体では、アミドは、薬剤分子のカルボン酸部分又はアミン部分から、既知の方法により誘導されうる。
(2) 特異的又は非特異的プロテイナーゼにより認識され得るペプチド。ペプチドは、薬剤分子のアミン又はカルボン酸部分と、既知の方法によりアミド結合形成を介して薬剤分子に結合され得る。
(3) プロドラッグ形態又は修飾プロドラッグ形態の膜選別を介して、作用部位で蓄積する誘導体
(4) (1)〜(3)の組合せのいずれか
でありうる。
【0054】
アミノアシル-グリコール酸エステル及びアミノアシル-乳酸エステルは、アミノ酸のプロドラッグとして知られている(Wermuth C.G., Chemistry and Industry, 1980:433-435)。アミノ酸のカルボニル基は、既知の方法によりエステル化することができる。プロドラッグ及びソフト・ドラッグは、当該技術分野に知られている(Palomino E., Drugs of the Future, 1990; 15(4):361-368)。
【0055】
本発明に記載される配合剤は、1以上の他の薬理的に活性な薬剤を伴って投与されてもよい。適切な任意の化合物は、グルコサミン、コンドロイチン、ヒアルロン酸、ステロイド類、オピオイド類、テトラサイクリン、IL−1放出阻害剤、及びジアセルヘイン(Diacerhein)を含む。
【0056】
本発明の活性生物は、他の治療活性成分と配合されてもよい。当該成分は、当該分野における当業者に容易に明らかであり、そして本発明の治療剤が投与される状況により通常決定されよう。例えば、関節が、微生物、例えば細菌、菌類、原生動物、ウイルスなどに同時に酷く感染している場合、本発明の活性成分は、1以上の抗生物質、抗菌剤、抗原生動物剤、抗ウイルス剤、又は同等の治療薬と合わせて投与されよう。本発明の活性成分は、他のNSAIDsと配合して、並びに他の炎症メディエーターの阻害剤と配合して投与されてもよい。かかる阻害剤の更なるクラス及びその例は、例えばH1受容体アンタゴニスト;キニン−B1及びB2-受容体アンタゴニスト;プロスタグランジン阻害薬例えば、PGD−、PGF−PGI2−、及びPGE−受容体アンタゴニスト;トロンボキサン−(TXA2−)阻害薬;5−及び12−リポキシゲナーゼ阻害薬;ロイコトリエンLTC4−、LTD4/LTE4−、及びLTB4−阻害薬;PAF−受容体アンタゴニスト;種々の親水性基を伴うアウロチオ基の形態の金;免疫抑制剤、例えば、シクロスポリン、アザチオプリン、及びメトトレキセート;抗炎症性糖質コルチコイド、例えば、デキサメサゾン;広域性駆虫性抗生物質、例えば、アベルメクチン及びミルベマイシン;ペニシラミン;ヒドロキシクロロキン;抗−痛風薬剤、例えば、コルヒチン、キサンチン酸化酵素阻害薬、例えばアロプリノール、及び尿酸排泄性薬剤、例えば、プロベネシド、スルフィンピラゾン、及びベンズブロマロンを含む。
【0057】
広域性駆虫性抗生物質である治療薬のクラス、例えば、アベルメクチン及びミルベマイシン、は共投与の特に良好な候補であり、そして特に式(I)と式(III)、又は式(II)と式(III)の化合物を用いた併用療法の他のタイプである。なぜなら、これらの内部寄生虫薬及び外部寄生虫薬は、慢性の基準に基づき、重篤な寄生性侵入の治療のために、哺乳動物、特にネコ及びイヌに投与される。これらの中でもっとも重要なものの一つは、犬糸状虫であり、これは、かなりダメージが高く、しばしば致命的となるネコ及びイヌの寄生虫病である。アベルメクチンは、5環16員のラクトンのクラスであり、構造についてミルベマイシンに関連し、そしてストレプトマイシス・アベルミチリス(Streptomyces avermitilis)の培養から単離される。具体的な薬剤は、アベルメクチンA1 a/b'、アベルメクチンA2a/b'、アベルメクチンB1a/b'、及びアベルメクチンB2a/b"を含む。アベルメクチンは、US 4310159においてより詳細に記載され、当該文献はその全てを本明細書中に援用される。ミルベマイシンは、殺虫作用及び殺ダニ作用を有する新規のマクロライド系抗生物質のファミリーであり、そしてストレプトマイシス・ヒグロスコピクス(Streptomyces Hygroscopicus)の培養物から単離される。ミルベマイシンは、US 3950360に詳細に記載され、当該文献は、その全てを本明細書中に援用される。広域性抗寄生虫抗生物質の範囲内に含まれる化合物の別のファミリーは、化学構造及び生物学的活性において、アベルメクチン及びミルベマイシンと関連する。
【0058】
いくつかのマクロライドは、WO 94/15944及びEP0677054に詳細に記載される。
関節軟骨変性の初期段階は、高齢のコンパニオン・アニマルによく見られるので、式(I)及び(III)の化合物又は式(II)及び(III)の化合物は、高齢のコンパニオン・アニマルに多く見られる疾患状態、症候群、及び徴候の治療を期待された治療剤と組み合わせて投与されてもよい。かかる治療剤及び使用されて治療される症状は、例えば記憶喪失及び記憶障害に作用する認知治療薬;及び運動障害/抗パーキンソン薬、例えばセレギリン、クロミプラミンを含む。かかる治療薬の別の大クラスは、高血圧症、アンギナを含む心筋虚血、うっ血性心不全、及び心筋梗塞を和らげるための抗-高血圧薬及び他の心臓血管薬、例えば利尿剤、血管拡張薬、例えば、ヒドララジン、α-アドレナリン受容体アンタゴニスト、例えばプロプラノロール、アンジオテンシン-II変換酵素阻害薬(ACE阻害薬)、例えば僧帽弁閉鎖不全を患う高齢のコンパニオン・アニマルを治療するために使用されるエナラプリル又はベナゼプリル、単独のエナラプリル、及び中性エンドペプチダーゼ阻害剤と組み合わせたエナラプリル、アンジオテンシンII受容体アンタゴニスト、例えばロサルタン、レニン阻害剤、カルシウムチャネル・ブロッカー、例えばニフェジピン、ディフィンゲン(diffingen)、オランロジピン(oranlodipine)、交感神経遮断薬、例えばメチルドパ、α2-アドレナリン作用薬、例えばクロニジン、α-アドレナリン受容体アンタゴニスト、例えばプラゾシン、及びHMG-CoA還元酵素阻害薬(抗コレステロール血症薬)、例えばロバスタチンを含む。
【0059】
かかる治療薬の他のクラスは、種々の癌の治療用の抗悪性腫瘍薬、特に、有糸分裂阻害剤、例えばビンブラスチン及びビンクリスチンなどのビンカアルカロイド、腎不全を治療するための治療薬、コンパニオン・アニマルにおいて過剰体重問題を治療するための抗肥満薬;通常コンパニオン・アニマルを苦しめる内部及び外部寄生虫の両方を治療するための抗寄生虫薬;並びにコンパニオン・アニマルにおいて様々なタイプのかゆみを治療するためのかゆみ止めを含む。
【0060】
本発明の式(I)と式(III)、又は式(II)と式(III)の化合物と組み合わせて使用することができる薬剤の他のタイプは、成長ホルモン分泌促進物質;強い鎮痛剤;局所及び全身麻酔薬;及びH2-受容体アンタゴニスト、及び他の胃保護薬を含む。治療薬の上記組合せの幾つかは、コンパニオン・アニマルにおける種々の急性疾患、例えば、変形性関節疾患と同時に起こる細菌感染を治療するために、もっとも頻繁に使用されることが、当業者に認識されよう。しかしながら、ネコ、イヌ、及びウマなどのコンパニオン・アニマルにおいて、慢性疾患を治療する際に、当業者の一部において関心が高くない場合も、同じであろう。
【0061】
本目的に使用される治療計画に従うと、式(I)と式(III)の化合物又は式(II)と式(III)の化合物が、高脂血症などの慢性疾患を治療するための通常の計画に基づいて使用されるほかの薬剤と組み合わせて投与されよう。組合せ投与は、多くの異なる形態を想定し、そして本発明の範囲内になるということが予想される。例えば、式(III)の化合物は、所望の配合剤を形成する1以上のほかの治療薬と剤形されて、慣用の投与形態、例えば配合剤を形成する薬剤の全てを含む経口錠剤などになる。製剤を製造する際に、異なる放出時間を有する当該薬剤の放出制御形態を作成することにより、当業者は、異なる薬剤についての種々の半減期を調整することができ、その結果比較的均一の投薬が達成される。投与形態として使用される薬用飼料は、製剤技術に知られている原則に従って製造することができ、ここでは、配合剤において使用される薬物は、単に飼料組成と混合して存在した。本発明により共投与が意図され、該共投与では、薬剤の配合が、配合剤中に与えられる薬剤を同時投与することにより達成される。かかる共投与は、異なる投与形態及び投与経路によるものであってもよい。本発明はさらに、異なっているが、通常かつ連続的投与スケジュールに従ってかかる配合剤を使用することを意図し、それにより、配合剤を作り上げる個々の薬剤が、同時に当該コンパニオン・アニマルに投与されるものではないにもかかわらず、含まれる薬剤の所望の血漿レベルが、治療されたコンパニオン・アニマルにおいて維持される。かかる全ての配合剤を発明し、そして投与することは、当業者の範囲内である。
【0062】
こうして、本発明は、疼痛及び/又は炎症の治療、予防又は苦痛緩和処置において、同時に、別々に、又は連続して使用するための、1以上の追加の治療薬、例えば上記のうちの一つを含む配合製品にも関する。
【0063】
本発明に記載される配合剤は、疼痛、特に炎症性疼痛の一般的な治療に有用である。
【0064】
外科手術後疼痛、関節痛、骨関節炎、変形性関節疾患、腰痛、関節炎疼痛、CNS外傷、又は神経障害性疼痛を患う患者は、類似の徴候を有するが、根底となるメカニズムは異なっており、そして多様である。その結果、疼痛は、異なる病態生理学のため、多くの異なるタイプに分けることができ、これらは、侵害受容性疼痛、炎症性疼痛、神経変性疼痛などを含む。疼痛は、複数の病因を有し、そうして疼痛タイプの複雑な組合せが存在し、そして異なる疼痛タイプの寄与が、時間とともに代わることもあるということに留意すべきである。
【0065】
炎症過程は、組織損傷又は外来物質の存在に応じて活性化される複雑な一連の生物化学及び細胞の事象であり、当該炎症過程は、腫れ及び疼痛をもたらす(Levine 及びTaiwoTextbook of Pain, 45-56)。関節炎疼痛は、炎症疼痛の患者数の大部分を占める。骨関節炎及び変形性関節疾患は、イヌ、ネコ、及びウマにおける最も一般的な臨床問題であり、多くが治療を受けている。現在の治療は、NSAIDs、ステロイド、栄養補助食品、及びグリコサミノグリカンを含む。リウマチ様疾患が、ネコ及びイヌにおいて発症しうる。リウマチ様関節炎の正確な病因は知られていないが、現在の仮説により、遺伝的及び微生物による要因が重要であることが示唆されている(Grennan &Jayson 1994 Textbook of Pain 397-407)。関節炎は、肉体機能に重大な影響を与え、そしてその後の生活における障害の主要な原因であることが知られている。
【0066】
獣医用途では、本発明に記載される配合剤は、通常の獣医慣習に従って適切に許容される製剤として投与される。獣医師は、特定の動物に最も適した投与計画及び投与経路を決定するであろう。
【0067】
本発明の配合剤は、単独で投与することができるが、1又は両方の要素は、一般的に、所定の投与経路及び標準医薬慣例に関して選択された適切な医薬賦形剤(単数又は複数)、希釈剤(単数又は複数)、又は担体(単数又は複数)と混合されて投与されるであろう。適切である場合、補助剤も加えることができる。補助剤は、防腐剤、抗酸化剤、香味剤、又は着色剤である。本発明の化合物は、即放性、遅延性、調節性、持続性、パルス型、又は徐放性のタイプであってもよい。
【0068】
医薬用途を予定された本発明の化合物は、結晶又は非晶質物質として投与されてもよい。それらは、沈殿、結晶化、凍結乾燥、又はスプレー乾燥、又は蒸発乾燥等の方法により、例えば、固体プラグ、粉末又はフィルムとして得られてもよい。電磁波又はラジオ周波数乾燥が、本発明の目的のために使用されてもよい。
【0069】
一般的に、本発明の化合物は、1以上の医薬として許容される賦形剤と組み合わせた製剤として投与されよう。「賦形剤」という用語は、本発明の化合物以外の成分のいずれかを記載するために使用される。賦形剤の選択は、投与の特定の方法、可溶性及び安定性についての賦形剤の効果、並びに投与形態の性質などの因子にかなりの程度左右されるであろう。
【0070】
本発明の化合物のデリバリーに適した医薬組成物、及びその製法は、当業者に容易に明らかとなるであろう。かかる組成物及びその製法は、例えば「Remington's Pharmaceutical Sciences」、第19版(Mack Publishing Company, 1995)に見出すことができる。
【0071】
当該化合物が投与される方法は、カプセル、カチェット、カプレット・ボーラス、錠剤、咀嚼錠、粉末、ロゼンジ、チューズ、マルチ及びナノ粒子、ゲル、固溶液、フィルム、スプレー、又は液体製剤による経口投与を含む。液体形態は、懸濁液、溶液、シロップ、ドレンチ、及びエリクシル剤を含む。かかる製剤は、ソフト又はハードカプセル中の注入剤として使用されてもよく、そして典型的には、担体、例えば水、エタノール、ポリエチレン・グリコール、プロピレン・グリコール、メチルセルロース、又は適切なオイル、及び1以上の乳濁剤及び/又は懸濁剤を含む。液体製剤はまた、固体、例えば小袋包装からの固体を再構成することにより製造してもよい。経口ドレンチは、通常活性成分を適切な媒質に溶解又は懸濁することにより製造される。
【0072】
その代わりに、化合物は、飼料とともに投与され、そしてこの目的では、濃縮飼料添加物又はプレミックスは、当該通常の動物飼料と混合して製造される。
【0073】
コンパニオン・アニマルに経口投与するために適している特別なタイプの他の医薬組成物が使用されてもよく、そして非限定的にかかる物質を、治療されるコンパニオン・アニマルの舌の裏にデリバリーする経口ペーストとして、コンパニオン・アニマルの飼料中に含めることを通してデリバリーされる顆粒形態として、並びに治療されるコンパニオン・アニマルが咀嚼する間に活性成分が消費される咀嚼形態として、又は消費されない咀嚼剤の本体から浸出することにより活性成分をデリバリーする咀嚼形態として含んでもよい。当該技術分野において知られていることであるが、かかる経口組成物の製剤は、投与形態を咀嚼する度合いについてのコンパニオン・アニマルの行動、並びに得られる投与レベルを考慮に入れる必要がある。
【0074】
こうして、経口投与に有用である組成物は、活性成分を、きれいに分配された希釈剤及び/又は崩壊剤及び/又は結合剤、及び/又は潤滑剤などと混合することにより製造してもよい。他の可能性のある成分は、抗酸化剤、着色剤、香味剤、保存剤、及び矯味矯臭剤を含む。
【0075】
経口投与形態では、用量に応じて、薬剤は、1wt%〜80wt%の投与形態、より一般的に5wt%〜60wt%の投与形態に作られてもよい。崩壊剤の例は、グリコール酸ナトリウム・スターチ、カルボキシメチル・セルロース・ナトリウム、カルボキシメチルセルロース・カルシウム、クロスカルメロース・ナトリウム、クロスポビドン、ポリビニルピロリドン、メチルセルロース、微結晶セルロース、低級アルキル置換ヒドロキシプロピル・セルロース、スターチ、アルファ化スターチ、及びアルギン酸ナトリウムを含む。一般的に、崩壊剤は1wt%〜25wt%、好ましくは5wt%〜20wt%の投与形態を含むであろう。
【0076】
結合剤は、錠剤製剤に粘着性質を与えるために一般的に使用される。適切な結合剤は、微結晶セルロース、ゼラチン、糖、ポリエチレン・グリコール、天然及び合成ガム、ポリビニルピロリドン、アルファ化スターチ、ヒドロキシプロピル・セルロース、及びヒドロキシプロピル・メチルセルロースを含む。希釈剤の例は、ラクトース(一水和物、スプレー乾燥一水和物、無水物など)、マンニトール、ザイリトール(xylitol)、デキストロース、スクロース、ソルビトール、微結晶セルロース、スターチ、及び第二リン酸カルシウム二水和物を含む。
【0077】
経口製剤は、場合により界面活性剤、例えばラウリル硫酸ナトリウム及びポリソルベート80、及び流動促進剤、例えば二酸化ケイ素及びタルクを含んでもよい。存在する場合、界面活性剤は、錠剤の0.2wt%〜5wt%を構成し、そして流動促進剤は、錠剤の0.2wt%〜1wt%を構成する。
【0078】
潤滑剤は、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリルフマル酸ナトリウム、及びステアリン酸マグネシウムとラウリル硫酸ナトリウムとの混合物を含む。潤滑剤は、一般的に錠剤の0.25wt%〜10wt%、好ましくは0.5wt%〜3wt%を構成する。
【0079】
代表的な錠剤は、80%以下の薬剤を含み、約10wt%〜約90wt%の結合剤、約0wt%〜約85wt%希釈剤、約2wt%〜約10wt%の崩壊剤、及び約0.25wt%〜約10wt%潤滑剤を含む。
【0080】
錠剤製剤は、H. Lieberman 及びL.Lachman, Marcel Dekkerによる「Pharmaceutical Dosage Forms:Tablets,第一巻」N.Y., N.Y., 1980(ISBN(0-8247-6918)に記載されている。
【0081】
化合物は、皮膚又は粘膜に局所的に投与されてもよく、当該投与は、経皮膚、経表皮、表皮下、又は経皮的である。この目的のための典型的な製剤は、プア-オン(pour-on)、スポット-オン(spot-on)、ディップ、スプレー、ムース、シャンプー、粉末製剤、ヒドロゲル、ローション、溶液、クリーム、軟膏、粉剤、包帯剤、泡、フィルム、皮膚パッチ、ウエハー、植込み錠、デポー、スポンジ、ファイバー、バンテージ、マイクロエマルジョン、リポソームが使用されてもよい。典型的な担体は、アルコール、水、ミネラルオイル、流動パラフィン、白色ワセリン、グリセリン、ポリエチレン・グリコール、及びプロピレン・グリコールを含む。浸透促進剤が含められ、Finnin及びMorganによる例えばJ Pharm Sci, 88(10), 955-958(October 1999)を参照のこと。プア-オン又はスポット-オン製剤は、活性成分を、ブチル・ディゴール(butyl digol)、流動パラフィン、又は非揮発性エステル中に活性成分を溶解し、場合によりプロパノール-2-オールなどの揮発性成分を加えることにより製造されてもよい。代わりに、プア-オン、スポット-オンスプレー製剤は、カプセル封入することにより製造することができ、動物の表面上に活性成分の残留物を残す。注射可能な製剤は、滅菌溶液の形態で製造されてもよく、他の物質、例えば溶液を血液と等張にするために十分な塩又はグルコースを含んでもよい。許容される液体担体は、野菜油、例えばごま油、トリアセチンなどのグリセリド、安息香酸ベンジル、ミリスチン酸イソプロピル、及びプロピレン・グリコールの脂肪酸誘導体などのエステル、並びにピロリジン-2-オン及びグリセロール・フォーマル(glycerol formal)などの有機溶媒を含む。製剤は、最終製剤が重量で0.01%〜10%の活性成分を含むように活性成分を液体担体中に溶解又は懸濁することにより調製される。
【0082】
代わりに、化合物は、非経口的に、注射により血流中、筋肉、又は内臓に直接注射することにより投与できる。非経口投与のための適切な方法は、静脈内、動脈内、腹腔膜内、くも膜下、脳室内、尿道内、胸骨内、頭蓋内、筋肉内、及び皮下投与を含む。非経口投与のために適した装置は、針(マイクロ針)注射器、無針注射器、及び輸液技術を含む。非経口製剤は、典型的に塩、炭水化物、及び緩衝剤(好ましくは、3〜9のpH)を含むが、幾つかの適応では、それらは、滅菌非水溶液として又は、滅菌、パイロジェン・フリー水などの適切な溶媒と合わせて使用される粉末乾燥形態としてより適切に剤形されてもよい。滅菌条件下における非経口製剤の製法、例えば凍結乾燥によるものは、当業者に周知の標準医薬技術を使用して容易に達成することができる。非経口溶液の調製において使用される式(I)、(II)、又は(III)の化合物の溶解性は、適切な製剤技術を使用することにより、例えば溶解促進剤を取り込むことにより増加されてもよい。
【0083】
本発明の配合剤中の化合物の塩形態は、妥当で良好な水溶性を必要とする。本配合剤中の化合物の形態であって、必要な水溶性を有する形態を得ることが不可能である場合、乳濁液を製造することは当業者の技術の範囲内である。乳濁液は、第一液体の小球(不連続又は内部相)を、第一液体と混和できる第二液体(連続又は外部相)を通して分散したものである。これら二つの液体は、医薬として許容される乳濁剤を使用することにより、乳濁状態で維持される。こうして、本発明の配合剤中の化合物が水に不溶性のオイルである場合、当該化合物は、不連続相である乳濁液の中の状態で投与することができる。また、当該化合物が水に不溶性であるが、水と混和する溶媒中に溶解できる場合、乳濁液が使用できる。式(III)の化合物は、通常、油中水乳濁液と呼ばれるものの不連続又は内部層として使用される一方、逆の乳濁液であって、通常水中油乳濁液と呼ばれる乳濁液の不連続又は内部層として使用されうる。この場合、式(III)の化合物は、水溶性であり、そして単純な水溶液として投与することができる。
【0084】
しかしながら、逆乳濁液は、血液などの水性媒質中に注射又は輸液される際に反転し、そして水溶液を使用して得ることができる効果よりも早くそして十分な当該化合物の水性媒質への分散を提供する。逆乳濁液は、当業者に周知の適切な、医薬として許容される乳濁剤を使用することにより製造される。本発明の配合剤中の化合物が、限られた水溶性しか有さない場合、適切な、医薬として許容される懸濁剤を使用して調製される懸濁液中のコロイド様または微粒子形態中の懸濁固体として投与されてもよい。当該化合物を含む懸濁固体は、徐放性、持続性、及び/又は制御放出組成物として剤形されてもよい。
【0085】
本発明の配合剤を固体としてデリバリーするためにさらに有利であるか、又はさらに必要とされるであろう多くの状況が存在する。固体の全身投与は、当該化合物を含む適切な固体形態の医薬組成物を点滴注入することにより行われる。当該化合物の点滴注入は、固体埋め込み組成物を、適切な体組織又は腔に植え込むことを必要とすることもある。植込みは、生物適合性及び生体内分解性の物質の混合物であって、本発明の配合剤の粒子が懸濁されるか、又はおそらく、本配合剤の液体混合物の球又は単離セルがとらわれる混合物を含んでもよい。望ましくは、マトリックスが壊れ、そして体により完全に吸収されるであろう。マトリックスの組成物はまた、好ましくは、30時間、さらには数ヶ月程にわたり、本発明の配合剤の制御、持続、及び/又は徐放性の放出を提供するように選ばれる。
【0086】
かかる製剤は、標準の獣医慣行に従った慣用の方法で製造されうる。
【0087】
これらの製剤は、試験される宿主動物の種、感染の重篤度及び感染のタイプ、並びに宿主の体重に左右されて、その中に含まれる活性化合物の重量に関して変化するであろう。非経口投与、局所投与及び経口投与では、活性成分の典型的な用量範囲は、動物の体重1kgあたり0.1〜100mgである。好ましい範囲は、0.5〜50mg/kgである。イヌに投与するための適切な用量は、20mg/kgの式(I)又は(II)のアルファ-2-デルタ・リガンド、例えばガバペンチン又はプレガバリンと2.2mg/kgの式(III)の化合物、例えばカルプロフェンである。一の実施態様では、配合剤は、適切に14日間毎日二回投与されてもよい。
【0088】
製剤は、即放性及び/又は改変制御放出であってもよい。制御放出製剤は、徐放性放出、持続放出、標的放出、又はプログラム放出を含む改変放出製剤を含む。本発明の目的の適切な改変放出製剤は、米国特許第6,106,864号に記載されている。他の適した放出技術、例えば高エネルギー分散並びに浸透圧及び被膜粒子などのほかの適切な放出技術の詳細は、Vermaら、Pharmaceutical Tehnology, On-line, 25(2), 1-14(2001)に見出されよう。制御放出を達成するための咀嚼ガムの使用は、WO00/35298に記載されている。或いは、本発明の化合物は、植込みデポーを固体、半固体、又はチキソトロープ液体として剤形して、活性化合物の改変放出を提供した。係る製剤の例は、薬剤被膜ステント及びPGLAマイクロスフィアを含む。
【0089】
別の方法として、当該化合物が飼料と投与され、そしてこの目的で、濃縮された飼料添加物又はプレミックスは、通常の動物飼料と混ぜるように調製されてもよい。全身投与は、粉末、つまり、阻害剤を含む粒子組成物の吸入(inhalation or insufflation)により達成することができる。例えば、粉末形態内の阻害剤は、エアロゾル化粒子製剤用の慣用装置を使用して、肺の中に吸入されてもよい。微粒子製剤としての阻害剤は、吸入、つまり吹き込みにより投与されてもよいし、又はそうでなければ、単純な粉末ふりかけ又は粒子製剤をエアロゾル化するための慣用の装置を使用して、適切な体組織又は腔中に分散されてもよい。
【0090】
本発明の配合剤の要素は、シクロデキストリンと組み合わせて使用されてもよい。
【0091】
実行者、例えば獣医師は、好ましい投与経路、並びに対応する投与形態及び量を決定することを必要とするだけではなく、投与計画、つまり投与頻度を決定しなければならない。一般論として、1日1回(q.d.)の投与、及び1日2回(b.i.d)の投与から選ばれることが多く、そして前者は、より迅速で深遠な治療を提供し、一方後者は、深遠ではないがより持続性の治療を提供する。しかしながら、この総括は、関与する関節軟骨又は軟骨下骨変性又は破壊、関与する特定治療薬及びその薬理動態、並びに関与する具体的患者(コンパニオン・アニマル)などの重要な変数を考慮するものではない。市場において認可された製品では、この情報の多くは、かかる認可を得るために行われた臨床試験の結果によりすでに提供されている。他の場合、かかる情報は、当業者の知識及び技術の範囲を考慮して本発明内に含まれる教示及びガイドラインに従って、直接得ることができる。得られた結果は、同じアッセイにおける認可製品の対応する評価から得たデーターと相関しうる。
【0092】
本発明の代わりの態様として、本明細書中に定義されるように式(III)の化合物と組み合わせた式(I)又は(II)の化合物又はこの好ましい特徴の配合剤、及び適切な賦形剤、希釈剤、又は担体を含む医薬組成物が提供される。この配合剤は、相乗的であり得る。適切には、当該組成物は、哺乳動物、特にイヌ、ネコ、及びウマから選ばれる動物の疼痛及び/又は炎症の治療において使用するために適している。
【0093】
医薬製剤の要素は、好ましくは単位投与形態である。かかる形態では、当該製剤は、活性成分の適切な量を含む単位投与量に分割される。単位投与形態は、パッケージ製剤であってもよく、当該パッケージは、製剤の個別の量を含むパッケージ、例えばパッケージされた錠剤、カプセル、及びバイアル又はアンプル中の粉末を含む。単位投与形態は、飼料中、飲物中、又はそのロゼンジ中のカプセル、錠剤、カチェット、カプレット、咀嚼剤であってもよく、又はパッケージされた形態中における適切な数の上記のいずれかであってもよい。単位投与製剤における活性成分の量は、特定の適用及び活性成分の効力に従って変えられるか、又は調節されてもよい。一般的に、治療は、当該化合物の最適投与量より少ない用量で開始される。その後、用量はその状況下で最適効果が得られるまで、少しずつ増加される。便宜上、所望される場合、1日あたりの総用量は分割され、そして一日の間で分けて投与されてもよい。或いは、治療効果を達成する開始用量は、個々の患者において最小の治療用量が確立されるまで、減量されてもよい。
【0094】
本発明に記載される配合剤は、キットの形態であってもよい。その結果、本発明のさらなる態様として、ネコ、イヌ、又はウマにおいて疼痛及び/又は炎症の治療、予防、又は苦痛緩和処置のためのキットであって、以下の:
a) 式(I)又は式(II)のアルファ-2-リガンド、及び
b) 式(III)の非ステロイド系抗炎症性化合物
ここで、a)及びb)の各々は、有効量で存在し、
場合により、1以上の医薬として許容される担体、賦形剤、又は希釈剤を含み、そして
a)及びb)は、同じ製剤又は同時、連続、又は分離投与に適する分離製剤中に存在していてもよく、並びに
c) a)及びb)を含むパッケージング
を含むキットが提供される。
【実施例】
【0095】
生物学的実施例及びデーター
式(III)の化合物のin vitro及びex vivoCOX活性は、WO98/50033及び当業者に周知である他の参考文献に記載されるアッセイを使用して決定される。
【0096】
アルファ-2-デルタ活性の評価
本発明のアルファ-2-デルタ・リガンドの生物学的活性は、[3H]ガバペンチン及びブタ脳組織から得たα2δサブユニットを使用する放射性リガンド結合アッセイで計測することができる(Gee N.S., Brown J.P., Dissanayake V.U.K., Offord J., Thurlow R., Woodruff G.N., J. Biol. Chem., 1996; 271:5879-5776)。結果は、α2δ結合アフィニティーのμM又はnMで表現される。
【0097】
文献に引用される鎮痛性化合物の効果を示す多くのげっ歯類モデルが存在する。これらのモデルは、侵害受容性疼痛、炎症性疼痛、又は神経障害性疼痛などの異なる疼痛タイプ、並びに痛覚過敏及び異痛症を代表するものと考えられる。しかしながら、イヌ、ネコ、及びウマの疾患において、骨関節炎又は術後のように、疼痛タイプの複雑な組合せが存在し、そして個々の疼痛タイプの寄与は時間とともに変化する。
【0098】
1以上の構成要素間の相乗的相互作用を決定するとき、当該効果についての最適範囲及び当該効果についての各構成要素の絶対投与範囲は、治療を必要とする患者に異なる量で構成要素を投与することにより明確に計測され得る。
【0099】
ラットデータ
実施例1
当該実験の狙いは、ラットにおいてカルプロフェンと組み合わせて投与されるガバペンチンの抗侵害受容性及び抗炎症性効果を特徴付けることである。当該実施例において、ガバペンチン、カルプロフェン、及びガバペンチンとカルプロフェンの組合せは、標準ラット・カラギーナン足跡温熱性痛覚過敏アッセイで評価された。当該アッセイは、海藻の抽出物(カラギーナン)を利用する。カラギーナンは、試験動物の足跡に注射されると、無菌性の炎症を引き起こし、それにより疼痛閾値を低下させる。鎮痛性を有する抗てんかん薬は、疼痛閾値を通常にまで上昇させ、それにより、未処理の対照動物に比較して、長い時間、外から与えられる疼痛源に耐えることを可能にする。
【0100】
図1に示されるようにガバペンチン及びカルプロフェンを単独で与える(ガバペンチン:投与後120分、カルプロフェン:投与後120分)。各データーポイントは、平均及び平均の標準誤差を表す。各薬剤についてのデーターは、直線に対して最小二乗線形回帰により近似した。10:1の投与比についての理論上の投与-相加線を、(Tallarida, 1992)に記載されるように決定した(点線)。10:1の投与比(ガバペンチン-カルプロフェン混合物10:1)について実験的に測定し、そして理論上の投与-相加線の左方向へのシフトが見られた。こうして、同時に与えられる2の処理の組合せについて相乗効果が測定された。
【0101】
要約すると、当該データーは、ガバペンチン(10-100mg/kgSC)及びカルプロフェン(1-10mg/kgSC)が、ラット・カラギーナン足蹠モデル(ハーグレーブス試験)において抗痛覚過敏作用を引き起こしたといことを示した。固定比(10mgガバペンチン/1mgカルプロフェン、つまり10:1の比)における組合せは、抗痛覚過敏作用であり、そして著しい相乗効果(相乗作用)を与えた。例えば、10:1の比では、カルプロフェン(1mg/kg)+ガバペンチン(10mg/kg)の投与は、それぞれの化合物単独にくらべて凡そ10%以下の効果を引き起こし、組み合わせて投与すると約65%の著しい抗痛覚過敏効果をもたらした。
【0102】
当該データーは、ガバペンチンとカルプロフェンの配合剤が、急性及び慢性疼痛を和らげるその能力において相乗的であることを立証した。当該データーはまた、ガバペンチン+カルプロフェンの最も好ましい組合せが、好ましくは50:1〜1:50、より好ましくは20:1〜1:20の固定比の配合であることを立証した。
【0103】
方法
動物
雄CD1ラット(175−225g、チャールズ・リバー)を使用した。ラットを少なくとも5日間、飼料及び水を自由に取らせて環境順応させた。ラットに薬剤又は薬剤の組合せを1回与えた。全ての薬剤を注射により皮下投与した。
【0104】
実験デザイン
用量-効果曲線を、第一に、(1)ガバペンチン自身に、そして(2)カルプロフェン自身について測定した。各薬剤のED50値を、効果を最大にする時間として測定した。これらの値の測定後、カルプロフェンと固定用量比で投与されたガバペンチンについて投与曲線を作成し;当該薬剤を、そのピーク効果が同時に生じるように投与した。
【0105】
痛覚抑制の計測
カラギーナン誘導性温熱性痛覚過敏:ガラス製の床を25℃に維持した試験チャンバー内で、ラットを環境順応させた。一時間後、高輝度光線を、ガラス越しに各後ろ足の腹側表面上に焦点を合わせ、そして光線から足を反射引き込みする時間を、0.1秒の位まで計測した。この時間を足引き込み時間(PWL)と名付けた。20分間おいて、各足についてPWLの計測を2回行い、そして二回目の計測を、基準応答時間として記録した。基準PWLの決定後、100μlの20mg/mlカラギーナンを、一の後ろ足の裏面に注射し、そして動物を試験チャンバーに戻した。2時間後、温熱性痛覚過敏が最大になりそして安定した時、媒体、ガバペンチン、カルプロフェン、又はガバペンチン及びカルプロフェンを強制施用により投与した。同側及び反対側の後ろ足についての応答時間を、次に60、120、及び180分後に再測定した。さらなる分析についてのデーターを、皮下投与後60分で取った。
【0106】
統計分析
データーを平均±SEMで表した。繰返し計測についての分散を、2-way分析を使用して、薬剤の効果を媒体の効果と比較した。ガバペンチン及びNSAIDについての用量-効果線を、個々のデーターを用いて作成し、最小事情線形回帰分析を用いて近似して、ED50値を決定した。類似の分析を、総投与量を使用して配合剤中の薬剤について行った。平行用量効果線が、ガバペンチンとカルプロフェンについて得られたので、配合剤についての実験的に得られる用量-効果の位置を、理論上の用量-相加線の位置と比較した。理論上の用量-相加曲線の左側又は右側へのシフトは、当該薬剤が、それぞれ相乗的(相乗作用)又は拮抗的(拮抗作用)に相互作用したということを示す。
【図面の簡単な説明】
【0107】
【図1】図1は、カラギーナンを投与し、そしてカラギーナン誘導性の温熱性痛覚過敏のラットに、総用量11mg/kgを使用して、1:10の固定用量比のカルプロフェン:ガバペンチン(1重量/kgのカルプロフェン:10重量/kgのガバペンチン)を投与した後における、前足引き込み時間(秒)についての効果を示す。カルプロフェン:ガバペンチンの1:10固定用量比について予想された相加線について比較をした。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ネコ、イヌ、及びウマから選ばれる哺乳動物において、疼痛及び/又は炎症の治療、予防、又は苦痛緩和処置用の医薬の製造における以下の式(I):
【化1】

[式中、
1は、水素又は(C1-C4)アルキルであり;nは、4〜6の整数である]
で表されるアルファ-2-デルタ・リガンド、又は医薬として許容されるその塩又は溶媒和物、或いは以下の式(II):
【化2】

[式中、R11は、直鎖又は分枝鎖(C1−C6)アルキル、フェニル、又は(C3-C6)シクロアルキルであり;R12は、水素又はメチルであり;そしてR13は水素、メチル、又はカルボキシルである]
で表されるアルファ-2-デルタ・リガンド、又はその個々のジアステレオマー又はエナンチオマー異性体、又はその医薬として許容される塩又は溶媒和物;並びに
以下の式(III):
【化3】

[式中、
2は以下の:
【化4】

{基中、
Aは水酸基、(C1-C4)アルコキシ、アミノ、ヒドロキシアミノ、モノ-(C1-C2)アルキルアミノ、ジ-(C1-C2)アルキルアミノであり;
X及びYは、独立してH又は(C1-C2)アルキルであり;
mは、1又は2である}
であり、
6は、ハロゲン、(C1-C3)アルキル、トリフルオロメチル、又はニトロであり;
9は、H、(C1-C2)アルキル、フェニル又はフェニル(C1-C2)アルキル{基中、フェニル、又はフェニル(C1-C2)アルキルにおけるフェニル基は、フルオロ又はクロロにより場合により一置換される}、-C(=O)R{基中、Rは、(C1-C2)アルキル又はフェニルであり、当該R基は場合によりフルオロ又はクロロにより一置換される}、-C(=O)OR7{基中、R7は、(C1-C2)アルキルである}である]
で表される非ステロイド系抗炎症性化合物又はその医薬として許容される塩又は溶媒和物
の使用。
【請求項2】
式(III)の化合物が、カルプロフェンである、請求項1に記載の使用。
【請求項3】
式(I)の化合物が、ガバペンチンである、請求項1又は2に記載の使用。
【請求項4】
式(II)において、R12及びR13が水素であり、そしてR11が-(CH2)0-2-iC49である、請求項1又は2に記載の使用。
【請求項5】
式(II)の化合物が、プレガバリンである、請求項4に記載の化合物。
【請求項6】
前記治療がイヌ用である、請求項1〜5のいずれか1項に記載の使用。
【請求項7】
ネコ、イヌ、及びウマから選ばれる哺乳動物における疼痛及び/又は炎症の治療、予防、又は苦痛緩和処置のための方法であって、当該哺乳動物に、有効量の式(I):
【化5】

[式中、
1は、水素又は(C1-C4)アルキルであり;nは、4〜6の整数である]
で表されるアルファ-2-デルタ・リガンド、又は医薬として許容されるその塩又は溶媒和物、或いは以下の式(II):
【化6】

[式中、R11は、直鎖又は分枝鎖(C1−C6)アルキル、フェニル、又は(C3-C6)シクロアルキルであり;R12は、水素又はメチルであり;そしてR13は水素、メチル、又はカルボキシルである]
で表されるアルファ-2-デルタ・リガンド、又はその個々のジアステレオマー又はエナンチオマー異性体、又はその医薬として許容される塩又は溶媒和物、並びに
以下の式(III):
【化7】

[式中、
2は以下の:
【化8】

{基中、
Aは水酸基、(C1-C4)アルコキシ、アミノ、ヒドロキシアミノ、モノ-(C1-C2)アルキルアミノ、ジ-(C1-C2)アルキルアミノであり;
X及びYは、独立してH又は(C1-C2)アルキルであり;
mは、1又は2である}
であり、
6は、ハロゲン、(C1-C3)アルキル、トリフルオロメチル、又はニトロであり;
9は、H、(C1-C2)アルキル、フェニル又はフェニル(C1-C2)アルキル{基中、フェニル、又はフェニル(C1-C2)アルキルにおけるフェニル基は、フルオロ又はクロロにより場合により一置換される}、-C(=O)R{基中、Rは、(C1-C2)アルキル又はフェニルであり、当該R基は場合によりフルオロ又はクロロにより一置換される}、-C(=O)OR7{基中、R7は、(C1-C2)アルキルである}である]
で表される非ステロイド系抗炎症性化合物又はその医薬として許容される塩又は溶媒和物
を投与することを含む、前記方法。
【請求項8】
式(III)の化合物がカルプロフェンである、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
式(I)の化合物がガバペンチンである、請求項7又は8に記載の方法。
【請求項10】
式(II)において、R12及びR13が水素であり、そしてR11が-(CH2)0-2-iC49である、請求項7又は8に記載の方法。
【請求項11】
式(II)の化合物が、プレガバリンである、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記治療がイヌ用である、請求項7〜11のいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
以下の式(I):
【化9】

[式中、
1は、水素又は(C1-C4)アルキルであり;nは、4〜6の整数である]
で表されるアルファ-2-デルタ・リガンド、又は医薬として許容されるその塩又は溶媒和物、或いは以下の式(II):
【化10】

[式中、R11は、直鎖又は分枝鎖(C1−C6)アルキル、フェニル、又は(C3-C6)シクロアルキルであり;R12は、水素又はメチルであり;そしてR13は水素、メチル、又はカルボキシルである]
で表されるアルファ-2-デルタ・リガンド、又はその個々のジアステレオマー又はエナンチオマー異性体、又はその医薬として許容される塩又は溶媒和物、並びに
以下の式(III):
【化11】

[式中、
2は以下の:
【化12】

{基中、
Aは水酸基、(C1-C4)アルコキシ、アミノ、ヒドロキシアミノ、モノ-(C1-C2)アルキルアミノ、ジ-(C1-C2)アルキルアミノであり;
X及びYは、独立してH又は(C1-C2)アルキルであり;
mは、1又は2である}
であり、
6は、ハロゲン、(C1-C3)アルキル、トリフルオロメチル、又はニトロであり;
9は、H、(C1-C2)アルキル、フェニル又はフェニル(C1-C2)アルキル{基中、フェニル、又はフェニル(C1-C2)アルキルにおけるフェニル基は、フルオロ又はクロロにより場合により一置換される}、-C(=O)R{基中、Rは、(C1-C2)アルキル又はフェニルであり、当該R基は場合によりフルオロ又はクロロにより一置換される}、-C(=O)OR7{基中、R7は、(C1-C2)アルキルである}である]
で表される非ステロイド系抗炎症性化合物又はその医薬として許容される塩又は溶媒和物を、医薬として許容される賦形剤又は担体と共に含む、医薬組成物。
【請求項14】
式(I)又は式(II)のアルファ-2-デルタ・リガンド:式(III)の非ステロイド系抗炎症性化合物の比が、100:1〜1:1である、請求項13に記載の医薬組成物。
【請求項15】
式(I)又は式(II)のアルファ-2-デルタ・リガンド:式(III)の非ステロイド系抗炎症性化合物の比が、50:1〜5:1である、請求項14に記載の医薬組成物。
【請求項16】
式(I)又は式(II)のアルファ-2-デルタ・リガンド:式(III)の非ステロイド系抗炎症性化合物の比が、9:1である、請求項15に記載の医薬組成物。
【請求項17】
式(III)の化合物がカルプロフェンである、請求項13〜16のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項18】
式(I)の化合物がガバペンチンである、請求項13〜17のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項19】
式(II)において、R12及びR13が水素であり、そしてR11が-(CH2)0-2-iC49である、請求項13〜17に記載の医薬組成物。
【請求項20】
式(II)の化合物が、プレガバリンである、請求項19に記載の医薬組成物。
【請求項21】
ガバペンチン及びカルプロフェンを含む、請求項13〜17のいずれか1項に記載の医薬組成物。
【請求項22】
プレガバリン及びカルプロフェンを含む、請求項13〜17のいずれか1項に記載の医薬組成物。

【図1】
image rotate


【公開番号】特開2006−328067(P2006−328067A)
【公開日】平成18年12月7日(2006.12.7)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2006−140433(P2006−140433)
【出願日】平成18年5月19日(2006.5.19)
【出願人】(597014501)ファイザー・リミテッド (107)
【氏名又は名称原語表記】Pfizer Limited
【住所又は居所原語表記】Ramsgate Road, Sandwich, Kent, England
【Fターム(参考)】