説明

相変化インク組成物

【課題】コンポジットブラック及びその他の色(例えば、緑)のための新規な着色剤組成物、特に相変化インクに用いるのに適する着色剤組成物を提供する。
【解決手段】内部塩組成物を提供する塩基性染料構成材および酸性染料構成材を有する、相変化インク担体および着色剤組成物を含む相変化インク組成物であって、塩基性染料構成材、酸性染料構成材の少なくとも1つ、または塩基性染料構成材および酸性染料構成材の両方が、ワックス部分を含む相変化インク組成物である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、特定の着色剤配合物を含有するホットメルトインクまたは相変化インクを対象とする。本開示の一実施形態は、塩基性染料構成材、酸性染料構成材の少なくとも1つ、または塩基性染料構成材および酸性染料構成材の両方が、ワックス部分を含む内部塩組成物を提供する塩基性染料構成材および酸性染料構成材を有する相変化インク担体および着色剤組成物を対象とする。
【背景技術】
【0002】
一般に、相変化インク(しばしば「ホットメルトインク」と呼ばれる)は、周囲温度では固相状態であるが、インクジェット印刷装置の高温の運転温度においては液体状態で存在する。ジェット運転温度において液状インクの液滴は、印刷装置から噴射され、このインクの液滴が直接、または中間の加熱された転移ベルトもしくは転移ドラムを経て記録用の被印刷物の表面と接触すると、それらは急速に固化して固化したインク滴の所定のパターンを形成する。
【0003】
カラー印刷用の相変化インクは、一般的には相変化インクと相溶性のある着色剤と組み合わされる相変化インク担体組成物を含む。一連の着色された相変化インクは、インク担体組成物を相溶性のある減法混色の原色の着色剤(subtractive primary colorans)と組み合わせることにより形成することができる。減法混色の原色の相変化インクは、インクが以下の4色に限定されることはないが、4つの構成材の染料、すなわち、シアン、マゼンタ、イエロー、またはブラックを含むことができる。このような減法混色の原色のインクは、1種類の染料または染料混合物を用いて形成可能である。着色剤は、顔料も含むことができる。
【0004】
相変化インクは、輸送や長期保存などの間、室温で固相のままであるため、インクジェットプリンタにとって好ましい。さらに、液体インクジェットインクで発生する場合がある、インクの蒸発によるノズル詰まりの問題がほとんど無いため、インクジェット印刷の信頼性を向上させる。また、インク液滴が最終的な記録の被印刷物上に直接適用される相変化インクジェットプリンタでは、被印刷物に接すると液滴がすぐに固化するため、印刷媒体に沿ってインクが移動せず、ドット品質が改善される。
【0005】
【特許文献1】米国特許第3,653,932号明細書
【特許文献2】米国特許第4,390,369号明細書
【特許文献3】米国特許第4,484,948号明細書
【特許文献4】米国特許第4,684,956号明細書
【特許文献5】米国特許第4,851,045号明細書
【特許文献6】米国特許第4,889,560号明細書
【特許文献7】米国特許第5,006,170号明細書
【特許文献8】米国特許第5,151,120号明細書
【特許文献9】米国特許第5,372,852号明細書
【特許文献10】米国特許第5,496,879号明細書
【特許文献11】欧州特許第0187352号明細書
【特許文献12】欧州特許第0206286号明細書
【特許文献13】独国特許出願公開第4205636号明細書
【特許文献14】独国特許出願公開第4205713号明細書
【特許文献15】国際公開第94/04619号パンフレット
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
コンポジットブラック及びその他の色(例えば、緑)のための新規な着色剤組成物、特に相変化インクに用いるのに適する着色剤組成物が求められている。また、熱安定性に優れるコンポジットブラック及びその他の色(例えば、緑)のための新規な着色剤組成物が求められている。また、高温にさらされたときに望ましくない変色を低減することができるコンポジットブラック及びその他の色(例えば、緑)のための新規な着色剤組成物が求められている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、内部塩組成物を提供する塩基性染料構成材および酸性染料構成材を有する、相変化インク担体および着色剤組成物を含む相変化インク組成物であって、前記塩基性染料構成材、前記酸性染料構成材の少なくとも1つ、または前記塩基性染料構成材および前記酸性染料構成材の両方が、ワックス部分を含む相変化インク組成物である。
【0008】
また、前記相変化インク組成物において、前記塩基性染料構成材が以下の式の化合物を含み、
【化1】


[式中、R、R、R、およびRは、それぞれ他とは無関係に、(i)水素原子、(ii)アルキル基、(iii)アリール基、(iv)アリールアルキル基、または(v)アルキルアリール基であり、式中、R、R、R、およびRは、それぞれ他とは無関係に、(i)水素原子、(ii)アルキル基、(iii)アリール基、(iv)アリールアルキル基、または(v)アルキルアリール基であり、ここでRとRは一緒になって環を形成することができ、ここでRとRは一緒になって環を形成することができ、ここでRとRは一緒になって環を形成することができ、ここでR、R、R、R、R、およびRは、それぞれ一緒になって中心構造のフェニル環となることができ、ここでRおよびRは、それぞれ場合によってRおよびRの1つまたは両方と一緒になって環を形成することができ、ここでRおよびRは、それぞれ場合によってRおよびRの1つまたは両方と一緒になって環を形成することができ;式中、各R、R10、およびR11は、他とは無関係に、場合によって含まれており、含まれている場合に、R、R10、およびR11のそれぞれは、他とは無関係に、(i)ヒドロキシ基、(ii)ハロゲン原子、(iii)アミン基、(iv)イミン基、(v)アンモニウム基、(vi)シアノ基、(vii)ピリジン基、(viii)ピリジニウム基、(ix)エーテル基、(x)アルデヒド基、(xi)ケトン基、(xii)エステル基、(xiii)アミド基、(xiv)カルボニル基、(xv)チオカルボニル基、(xvi)スルホキシド基、(xvii)ニトリル基、(xviii)メルカプト基、(xix)ニトロ基、(xx)ニトロソ基、(xxi)スルホン基、(xxii)アシル基、(xxiii)酸無水物基、(xxiv)アジド基、(xxv)アゾ基、(xxvi)シアナート基、(xxvii)イソシアナート基、(xxviii)チオシアナート基、(xxix)イソチオシアナート基、(xxx)ウレタン基、(xxxi)尿素基、あるいはこれらの混合物または組合せであり、ここで2個以上の置換基は一緒になって環を形成することができ、ここでR、R10、およびR11は、それぞれ前記中心構造のフェニル環に結合していることができる]
前記酸性染料構成材が、塩基性染料−酸性染料内部塩組成物を提供する前記塩基性染料構成材に対する対イオンを提供するアニオンを含むことが好ましい。
【0009】
また、前記相変化インク組成物において、前記内部塩組成物が以下の構造を有することが好ましい。
【化2】

【0010】
また、前記相変化インク組成物において、前記内部塩組成物が以下の構造を有することが好ましい。
【化3】

【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本開示は、内部塩組成物を提供する塩基性染料構成材および酸性染料構成材を有する着色剤組成物を含む相変化インクであって、前記塩基性染料構成材、前記酸性染料構成材の少なくとも1つ、または前記塩基性染料構成材および前記酸性染料構成材の両方がワックス部分を含む組成物を対象とする。本明細書で使用される用語のワックス部分とは、ホットメルトまたは相変化インクビヒクル(当該ビヒクルはワックスを一般的には含む)に可溶性であるように、アルキル部分に十分な炭素原子を有していることを意味する。例えば、複数の実施形態において、ここでのワックス部分は、約4から約150個の炭素原子を有するアルキル基である。例えば、複数の実施形態において、ここでのワックス部分は、約4、5、6、7、8、9、10、12、16、もしくは18個の炭素原子、または約30から約150個の炭素原子を有するアルキル基、約4、5、6、7、8、9、10、12、16、もしくは18個の炭素原子、または約30から約150個の炭素原子を有するアルキルアリール基、あるいは約4、5、6、7、8、9、10、12、16、もしくは18個の炭素原子、または約30から約150個の炭素原子を有するアリールアルキル基である。複数の実施形態において、ここでのワックス部分は、約6から約20個の炭素原子または約6から約12個の炭素原子を有するアリール部分である。複数の実施形態において、ワックス部分中のアルキル炭素原子対アリール炭素原子の比率は、約10倍から約1倍または約2倍から約1倍である。
【0012】
組成物に適する塩基性染料は、例えば、以下のものには限定はされないが、とりわけ、ベーシックグリーン1、4、および5;ベーシックオレンジ2、14、21;ベーシックレッド1、2、5、9および29;ベーシックバイオレット1、2、3、4、10;ベーシックイエロー1および2の類似体を含むカラーインデックスに掲げられている任意の塩基性染料、それらの混合物または組合せなどから選択することができ、ここで塩基性染料構成材、酸性染料構成材の少なくとも1つ、または塩基性染料構成材および酸性染料構成材の両方は、ワックス部分を含む。
【0013】
組成物に適切な酸性染料は、例えば、これらに限定されないが、とりわけ、アシッドブラック1、2、24、26、29、50、52、58、58:1、60、63、63:1、65、76、77、92、94、107、127、131、131:1、132、132:1、139、164、170、170:1172、187、188、189、194、214、215、218、222、および224;アシッドブルー1、7、9、15、22、25、27、29、40、41、45、61:1、62、72、74、80、83、90、92、93、104、113、118、120、127、127:1、129、140、145、147、158、170、171、172、182、185、193、204、205、209、221、225、229、232、239、247、258、260、264、277、278、279、280、284、288、290、296、298、312、317、321、324、330、335、および455;アシッドブラウン14、19、28、44:1、45、45:1、50、58、96、97、98、103、106、107、108、110、112、113、114、116、126、127、147、160、161、163m、165、188、189、191、216、226、227、235、237、239、248、282、283、289、298、304、311、330、341、342、343、345、348、349、355、357、358、359、360、362、384、396、および397;アシッドグリーン1、3、5、9、12、16、20、25、27、28、35、40、41、70、104、108、112、113、および116;アシッドオレンジ1、3、6、7、8、10、12、24、33、47、51、52、60、61、62、63、64、67、69、74、80、86、116、120、127、135、142、144、154、156、161、162、および168;アシッドレッド1、2、4、8、14、17、18、26、27、29、33、37、42、44、50、51、52、57、64、66、73、80、85、87、88、89、90、91、92、94、97、99、103、111、114、115、118、119、127、128、131、137、138、143、145、150、151、167、174、182、183、186、194、211、213、217、226、249、251、252、257、259、260、263、264、266、274、289、299、310、308、315、316、336、337、359、360、361、362、364、384、395、396、399、404、410、414、415、426、439、および735;アシッドバイオレット1、3、7、9、11、12、17、19、34、43、47、48、49、54、66、76、90、102、102:1、109、121、および126;アシッドイエロー1、3、5、7、9、11、17、19、23、25、29、34、36、40、42、44、49、54、61、65、67、73、76、79、99、104、114、116、121、127、128、129、135、137、151、152、158:1、159、159:1、169、174、184、198、199、200、204、218、219、219:1220、221、230、232、235、239、および241ならびに99を含むカラーインデックスに掲げられている任意の酸性染料、これらの混合物および組合せから選択することができ、ここで塩基性染料構成材、酸性染料構成材の少なくとも1つ、または塩基性染料構成材および酸性染料構成材の両方は、ワックス部分を含む。
【0014】
本開示は、塩基性染料構成材が式
【化4】


の化合物を含む着色剤組成物を含む相変化インクを対象とする。
【0015】
ここで、式中、R、R、R、R、R、R、R、およびRは、それぞれ他とは無関係に、(i)水素原子、(ii)炭素原子の数は以下の範囲の外であってもよいが、少なくとも約1個の炭素原子の実施形態における、少なくとも約6個の炭素原子のさらに別の実施形態における、および少なくとも約18個の炭素原子のさらに別の実施形態における、ならびに約55個以下の炭素原子の一実施形態におけるアルキル基(直鎖、分枝、飽和、不飽和、環状、置換、および非置換アルキル基を含み、そのアルキル基にヘテロ原子、例えば酸素、窒素、硫黄、ケイ素、ホウ素、リンなどが存在していてもいなくてもよい)、(iii)炭素原子の数は以下の範囲の外であってもよいが、少なくとも約6個の炭素原子の実施形態における、約26個以下の炭素原子の一実施形態におけるアリール基(非置換および置換アリール基を含み、そのアリール基にヘテロ原子、例えば酸素、窒素、硫黄、ケイ素、リンなどが存在していてもいなくてもよい)、(iv)炭素原子の数は以下の範囲の外であってもよいが、少なくとも約7個の炭素原子の一実施形態における、および約55個以下の炭素原子の一実施形態における、ベンジルまたはその他のアリールアルキル基(アリールアルキル基のアルキル部分が、直鎖、分枝、飽和、不飽和、および/または環状であることができ、そのアリールアルキル基のアルキル部分およびアリール部分のどちらかまたは両方に、ヘテロ原子、例えば酸素、窒素、硫黄、ケイ素、リンなどが存在していてもいなくてもよい飽和および不飽和アリールアルキル基を含む)、あるいは(v)炭素原子の数は以下の範囲の外であってもよいが、少なくとも約7個の炭素原子の一実施形態における、および約55個以下の炭素原子の一実施形態におけるRとRが一緒になって環を形成することができ、RとRが一緒になって環を形成することができ、RとRが一緒になって環を形成することができ、R、R、R、R、RおよびRがそれぞれ一緒になって中心構造のフェニル環になるトリル基またはその他のアルキルアリール基(アルキルアリール基のアルキル部分は、直鎖、分枝、飽和、不飽和、および/または環状であることができ、そのアルキルアリール基のアルキル部分およびアリール部分のどちらかまたは両方に、ヘテロ原子、例えば酸素、窒素、硫黄、ケイ素、リンなどが存在していてもいなくてもよい飽和および不飽和アルキルアリール基を含む)であり;ここでRおよびRは、それぞれ場合によってRおよびRの1つまたは両方と一緒になって環を形成することができ、ここでRおよびRは、それぞれ場合によってRおよびRの1つまたは両方と一緒になって環を形成することができる。
【0016】
また、式中、各R、R10、およびR11は、他とは無関係に、場合によって含まれており、含まれている場合、R、R10、およびR11のそれぞれは、他とは無関係に、(i)炭素原子の数は以下の範囲の外であってもよいが、少なくとも約1個の炭素原子の一実施形態における、および約50個以下の炭素原子の一実施形態におけるアルキル基(直鎖、分枝、飽和、不飽和、環状、置換、および非置換アルキル基を含み、そのアルキル基にヘテロ原子、例えば酸素、窒素、硫黄、ケイ素、リンなどが存在していてもいなくてもよい)、(ii)炭素原子の数は以下の範囲の外であってもよいが、少なくとも約6個の炭素原子の一実施形態における、および約55個以下の炭素原子の一実施形態におけるアリール基(非置換および置換アリール基を含み、そのアリール基にヘテロ原子、例えば酸素、窒素、硫黄、ケイ素、リンなどが存在していてもいなくてもよい)、(iii)炭素原子の数は以下の範囲の外であってもよいが、少なくとも約7個の炭素原子の一実施形態における、および約55個以下の炭素原子の一実施形態におけるベンジルまたはその他のアリールアルキル基(アリールアルキル基のアルキル部分は、直鎖、分枝、飽和、不飽和、および/または環状であることができ、そのアリールアルキル基のアルキル部分およびアリール部分のどちらかまたは両方に、ヘテロ原子、例えば酸素、窒素、硫黄、ケイ素、リンなどが存在していてもいなくてもよい飽和および不飽和アリールアルキル基を含む)、(iv)炭素原子の数は以下の範囲の外であってもよいが、少なくとも約7個の炭素原子の一実施形態における、および約55個以下の炭素原子の一実施形態におけるトリル基またはその他のアルキルアリール基(アルキルアリール基のアルキル部分は、直鎖、分枝、飽和、不飽和、および/または環状であることができ、そのアルキルアリール基のアルキル部分およびアリール部分のどちらかまたは両方に、ヘテロ原子、例えば酸素、窒素、硫黄、ケイ素、リンなどが存在していてもいなくてもよい飽和および不飽和アルキルアリール基を含む)、(v)ハロゲン原子、例えばフッ素、塩素、臭素、ヨウ素など、(vi)エステル基、(vii)アミド基、(viii)スルホン基、(ix)アミン基もしくはアンモニウム基、(x)ニトリル基、(xi)ニトロ基、(xii)ヒドロキシ基、(xiii)シアノ基、(xiv)ピリジンもしくはピリジニウム基、(xv)エーテル基、(xvi)アルデヒド基、(xvii)ケトン基、(xviii)カルボニル基、(xix)チオカルボニル基、(xx)スルフィド基、(xxi)スルホキシド基、(xxii)メルカプト基、(xxiii)ニトロソ基、(xxiv)アシル基、(xxv)酸無水物基、(xxvi)アジド基、(xxvii)アゾ基、(xxviii)シアナート基、(xxix)イソシアナート基、(xxx)チオシアナート基、(xxxi)イソチオシアナート基、(xxxii)ウレタン基、または(xxxiii)尿素基であり、ここでR、R10およびR11は、それぞれ中心構造のフェニル環に結合していることができる。
【0017】
また、式中、a、bおよびcは、それぞれ他とは無関係に、0、1、2、または3の整数である。一実施形態において、a、bおよびcは、それぞれ0である。
【0018】
ここで、酸性染料構成材が、塩基性染料−酸性染料内部塩組成物を提供する前記塩基性染料構成材に対する対イオンを提供するアニオン(すなわち、このアニオンは、酸性染料の対イオンである)を含む。
【0019】
本開示の着色剤は、任意の望ましいまたは効果的な手段によって調製することができる。
【0020】
任意の望ましい塩基性染料をここでの実施形態に対して選択することができる。例えば、塩基性染料としては、以下のものには限定されないが、例えば、とりわけ、ベーシックグリーン1、4、および5;ベーシックオレンジ2、14、21;ベーシックレッド1、2、5、9および29;ベーシックバイオレット1、2、3、4、10;ベーシックイエロー1および2などの類似体を含むカラーインデックスに掲げられている任意の塩基性染料を挙げることができる。
【0021】
任意の望ましい酸性染料を、ここでの複数の実施形態に対して選択することができる。例えば、酸性染料は、以下のものに限定はされないが、とりわけ、アシッドブラック1、2、24、および48;アシッドブルー1、7、9、25、29、40、45、74、80、83、90、92、113、120、129、147;アシッドグリーン1、3、5、25、27、および50;アシッドオレンジ6、7、8、10、12、51、52、63、および74;アシッドレッド1、4、8、14、17、18、26、27、29、37、44、50、51、52、66、73、87、88、91、92、94、97、103、114、150、151、および183;アシッドバイオレット79、17、および19;アシッドイエロー1、3、9、11、17、23、25、29、34、36、42、54、73、76、および99などを含むカラーインデックスに掲げられている任意の酸性染料を含むことができる。
【0022】
本開示のインクのための着色剤配合物は、任意の望ましいまたは有効な手順により調製することができる。
【0023】
複数の実施形態において、合成は、縮合段階を経る塩基性染料構成材のロイコ形の合成、そのロイコ形の塩基性染料の酸化、カルビノール構造の塩基性染料の形成、酸含有染料構成材、例えばカルボン酸含有メチン染料の形成、および塩基性染料−酸性染料内部塩組成物の形成を含み得る。
【0024】
塩基性染料構成材のロイコ形は、アルデヒドをここでの着色剤を特徴付けるものとして選択された所望の側基を有するアニリンと、そのまままたは場合によっては溶媒の存在下で加熱し、その後、酸、例えば濃HSOを加えてさらに加熱する縮合反応によって合成することができる。
【0025】
アルデヒド構成材およびアニリン構成材は、その相対量は以下の範囲の外でもあり得るが、一実施形態においては2モルのアニリン構成材毎に少なくとも約1モルのアルデヒド構成材、および一実施形態においては2モルのアニリン構成材毎に約1.9モル以下のアルデヒド構成材、の任意の所望されるまたは効果的な相対量で存在する。
【0026】
必要に応じて、反応は溶媒なしでそのまま行うことができる。さらに、必要に応じて、その反応は、随意的溶媒の存在下で行うことができる。適当な溶媒の例としては、テトラメチレンスルホン(スルホラン)、N−メチルピロリドン、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、オクタノールなど、ならびのそれらの混合物が挙げられる。存在する場合、随意的溶媒は、その相対量は、以下の範囲の外でもあり得るが、一実施形態においては0.1モルのアルデヒド構成材毎に少なくとも約1リットル、および別の一実施形態においては2モルのアルデヒド構成材毎に約1リットル以下の任意の所望量または有効量で存在する。
【0027】
アルデヒド構成材、アニリン構成材、および随意的溶媒の混合物は、次に任意の有効温度まで、その温度は以下の範囲の外でもあり得るが、一実施形態においては少なくとも約62℃、および一実施形態においては約280℃以下で加熱する。
【0028】
アルデヒド構成材、アニリン構成材、および随意的溶媒の混合物は、次に任意の有効な時間帯、その時間は以下の範囲の外でもあり得るが、一実施形態においては少なくとも約5分、および一実施形態においては約4日以内の間加熱する。
【0029】
生成物を次に、例えばNaOH溶液で中和し、例えば真空濾過により収集する。その粗生成物は、次に必要に応じて、例えば水で洗浄することにより精製することができる。
【0030】
ロイコ形の塩基性染料構成材は、次に、例えばそのロイコ形の塩基性染料構成材を適当な酸化剤と組合せ、そのままか、場合によっては、溶媒の存在下で、そのロイコ形の染料の十分に成熟した形までの完全な酸化を確保するのに十分な時間帯および温度で加熱することによって酸化させることができる。
【0031】
任意の適当な酸化剤をここでの実施形態においては選択することができる。例えば、酸化剤は、以下のものに限定はされないが、クロルアニル、ベンゾキノン、DDQ(2,3−ジクロロ−5,6−ジシアノ−1,4−ベンゾキノン)、およびその他の塩素化キノン類、MnO、PbO/HCl、ならびにそれらの混合物および組合せからなる群から選択することができる。
【0032】
その酸化剤は、任意の適当な量、例えば、その相対量は以下の範囲の外であってもよいが、複数の実施形態において、0.9モルのロイコ形の塩基性染料構成材毎に約1モルの酸化剤、および、一実施形態においては1モルのロイコ形の塩基性染料構成材毎に約2モル以下の酸化剤、別の実施形態においては1モルのロイコ形の塩基性染料構成材毎に約1.75モル以下の酸化剤を選択することができる。
【0033】
必要に応じてその反応は溶媒の非存在下でそのまま行うことができる。さらに、必要に応じてその反応は随意的溶媒の存在下で行うことができる。適当な溶媒の例としては、以下のものに限定はされないが、水、メタノール、イソプロパノール、エチルアルコール、テトラメチレンスルホン(スルホラン)、N−メチルピロリドン、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、オクタノールなど、ならびにそれらの混合物が挙げられる。存在する場合、その任意選択の溶媒は、任意の望ましいまたは効果的な量で、その相対量は以下の範囲の外であってもよいが、一実施形態においては0.1モルのロイコ形の塩基性染料構成材毎に約1リットルの溶媒、および一実施形態においては2モルのロイコ形の塩基性染料構成材毎に約1リットル以下の溶媒を存在させる。
【0034】
塩基性染料構成材を十分に酸化させた後、例えば酸化された形の塩基性染料と水酸基含有塩基とをカルビノール構造の塩基性染料を獲得するのに適合するように加熱および撹拌しながら混合することによってカルビノール構造の塩基性染料を調製することができる。
【0035】
任意の適当な水酸基含有塩基を本件の実施形態においては選択することができる。例えば、その水酸基含有塩基は、以下のものに限定はされないが、金属水酸化物、例えば水酸化カリウム、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カルシウム、水酸化マグネシウム、および水酸化バリウム、ならびにそれらの混合物および組合せからなる群から選択することができる。
【0036】
酸化された形の塩基性染料構成材および水酸基含有塩基は、任意の望ましいまたは効果的な相対量で、その相対量は以下の範囲の外であってもよいが、一実施形態においては約1モルの水酸基含有塩基毎に約1モルの酸化された形の塩基性染料、別の実施形態においては約1モルの水酸基含有塩基毎に約0.5モルの酸化された形の塩基性染料、別の実施形態においては約1モルの水酸基含有塩基毎に約0.75モルの酸化された形の塩基性染料を存在させる。
【0037】
酸化された形の塩基性染料および水酸基含有塩基の混合物は、その時間は以下の範囲の外であってもよいが、一実施形態においては少なくとも約5分、および一実施形態においては4日以下の任意の効果的な時間にわたって加熱する。
【0038】
その生成物は、次に中和し、例えば真空濾過により収集する。必要に応じて、その粗生成物は、次に例えば水で洗浄することにより精製することができる。
【0039】
酸含有染料は、任意の適当な方法によって調製され、例えば、カルボン酸含有黄色メタン染料は、例えば、エトキシル化p−ホルミルアニリン、シアノ酢酸、例えば酢酸アンモニウム等の触媒を、例えばエタノール等の溶媒中で混合し、適当な時間、例えば約4時間にわたって還流させることにより調製される。次にその溶媒を除去すると液体のメタン染料が残る。
【0040】
カルビノール構造の塩基性染料および酸含有染料は、任意の望ましいまたは効果的な相対量で、その相対量は以下の範囲の外であってもよいが、一実施形態においては各染料の約等モル量で溶媒と共に混合し、すべての溶媒が煮沸して取り除かれるまで撹拌しながら加熱する。
【0041】
適当な溶媒の例としては、以下のものに限定はされないが、エタノール、水、メタノール、イソプロパノール、ブタノール、テトラメチレンスルホン(スルホラン)、N−メチルピロリドン、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、オクタノールなど、ならびにそれらの混合物が挙げられる。存在する場合、その溶媒は、任意の望ましいまたは効果的な量で存在し、最終生成物から水分を除去する必要性のためにさらなる溶媒を加えることができる。例えば、その相対量は以下の範囲の外であってもよいが、一実施形態においては、その溶媒は、約1グラムの反応物/生成物当り約99グラムの溶媒、さらに別の実施形態においては、約25グラムの反応物/生成物当り約75グラムの溶媒、およびさらに別の実施形態においては、約75グラムの反応物/生成物当り約25グラムの溶媒の量で存在することができる。
【0042】
カルビノール構造の塩基性染料、酸性染料、および溶媒の混合物は、任意の有効温度まで、その温度は以下の温度から外れることもできるが、一実施形態においては少なくとも約62℃、および一実施形態においては約280℃以下まで加熱する。さらなる溶媒を加え、カルビノール−酸の相互作用によって生ずる水の除去を確保するために必要な加熱工程を繰り返す。
【0043】
本開示の相変化インクは、相変化担体系または組成物を含有する。相変化担体組成物は一般に、直接印刷方式で、あるいは間接またはオフセット印刷転写装置で使用するよう設計される。
【0044】
直接印刷方式では、一実施形態における相変化担体組成物は、相変化インクが、(1)記録用被印刷体に直接印刷した後、周囲温度まで冷やした場合に、最終的な記録用被印刷体(紙、透明材料など)上に均一な厚さの薄膜として適用され、(2)十分な可撓性と延性を備え、被印刷体に印刷した画像を曲げても割れず、(3)高い明度、彩度、透明度、および熱安定性を備えることを可能にする、1つ以上の材料を含んでいる。
【0045】
オフセット印刷転写または間接印刷方式では、一実施形態における相変化担体組成物は、直接印刷方式のインクに望ましい特性だけでなく、さらに、例えば米国特許第5,389,958号に記載のシステムなどでの使用に望ましい特定の流動性と機械的性質も示すものである。
【0046】
望ましいまたは効果的な任意の担体組成物が使用可能である。適当なインク担体材料の例としては、モノアミド類、テトラアミド類、それらの混合物などの脂肪族アミド類が挙げられる。適当な脂肪族アミドインク担体材料の具体例としては、ステアリルステアロアミド、ダイマ酸とエチレンジアミンとステアリン酸との反応生成物であるダイマ酸ベースのテトラアミド、ダイマ酸とエチレンジアミンと少なくとも約36個の炭素原子を有するカルボン酸との反応生成物であるダイマ酸ベースのテトラアミドなど、ならびにそれらの混合物が挙げられる。脂肪族アミドインク担体が、ダイマ酸とエチレンジアミンと少なくとも約36個の炭素原子を含むカルボン酸との反応生成物であるダイマ酸ベースのテトラアミドである場合、カルボン酸は次の一般式で示されるものである。
【0047】
【化5】

【0048】
式中、Rは、直鎖、分枝、飽和、不飽和、および環状アルキル基を含むアルキル基であり、炭素原子の数は以下の範囲の外であってもよいが、一実施形態における前記アルキル基は、少なくとも約36個の炭素原子を有しており、別の実施形態における前記アルキル基は、約200個以下の炭素原子を有する。
【0049】
相変化インク担体材料としては、さらに、イソシアナートから誘導した樹脂およびワックス類、例えばウレタン−イソシアナート誘導体材料、尿素−イソシアナート誘導体材料、ウレタン/尿素−イソシアナート誘導体材料、およびそれらの混合物なども適当である。
【0050】
脂肪族アミド材料とイソシアナート誘導体材料との混合物も本開示のインクのためのインク担体組成物として使用できる。
【0051】
本開示のための適当な相変化インク担体材料としてはさらに、パラフィン類、マイクロクリスタリンワックス類、ポリエチレンワックス類、エステルワックス類、アミドワックス類、脂肪酸類、脂肪族アルコール類、脂肪族アミド類、およびその他のワックス状材料、スルホンアミド材料、さまざまな天然材料(例えば、トール油ロジン類およびロジンエステル類など)から製造した樹脂状材料、および多くの合成樹脂、オリゴマ類、ポリマ類、および共重合体類、例えば、エチレン/酢酸ビニル共重合体、エチレン/アクリル酸共重合体、エチレン/酢酸ビニル/アクリル酸共重合体、アクリル酸とポリアミド類との共重合体など、イオノマ類、等、ならびにそれらの混合物が挙げられる。1つまたは複数のこれらの材料を、脂肪族アミド材料および/またはイソシアナート誘導体材料と混合して使用しても良い。
【0052】
特定の一実施形態において、相変化インク担体は、(a)インク中に、その量は以下の範囲の外でも良いが、一実施形態においてはインクの少なくとも約25重量パーセント、一実施形態においては、インクの約60重量パーセント以下の量で存在するポリエチレンワックスと;(b)インク中に、その量は以下の範囲の外でも良いが、一実施形態においてはインクの少なくとも約8重量パーセント、一実施形態においては、インクの約32重量パーセント以下の量で存在するステアリルステアロアミドワックスと;(c)インク中に、その量は以下の範囲の外でも良いが、一実施形態においてはインクの少なくとも約10重量パーセント、一実施形態においては、インクの約32重量パーセント以下の量で存在するダイマ酸とエチレンジアミンと36個超の炭素原子を含み、末端カルボン酸基を持つ長鎖炭化水素との反応生成物であるダイマ酸ベースのテトラアミドと、(d)インク中に、その量は以下の範囲の外でも良いが、一実施形態においてはインクの少なくとも約6重量パーセント、一実施形態においてはインクの約16重量パーセント以下の量で存在する2当量のヒドロアビエチルアルコールと1当量のイソホロンジイソシアナートとの反応から誘導されたウレタン樹脂と、(e)インク中に、その量は以下の範囲の外でも良いが、一実施形態においてはインクの少なくとも約2重量パーセント、一実施形態においては、インクの約13重量パーセント以下の量で存在する3当量のステアリルイソシアナートとグリセロールベースのプロポキシル化アルコールとの付加生成物であるウレタン樹脂と、(f)インク中に、その量は以下の範囲の外でも良いが、一実施形態においてはインクの少なくとも約0.01重量パーセント、一実施形態においては、インクの約1重量パーセント以下、別の実施形態においては、インクの約0.5重量パーセント以下の量で存在する酸化防止剤とを含む。
【0053】
インク担体は、任意の望ましいまたは効果的な量で、本開示の相変化インク中に、その量は以下の範囲の外でも良いが、一実施形態においてはインクの少なくとも約0.1重量パーセント、一実施形態においては、インクの約99重量パーセント以下の量で存在する。
【0054】
着色剤組成物は、所望の色または色相を得るための任意の望ましいまたは効果的な量で、インク中に、その量は以下の範囲の外でも良いが、一実施形態においてはインクの少なくとも約0.1重量パーセント、一実施形態においては、インクの約20重量パーセント以下の量で存在する。この着色剤は、インク中における唯一の着色剤であっても、あるいは他の着色剤、例えば染料、顔料、それらの混合物などとの組合せで存在しても良い。
【0055】
特定の実施形態において、本開示のインクは、着色剤上のカルボン酸および/またはスルホン酸および/またはカルボキシレートおよび/またはスルホネート基のKaのそれより大きいKa値を有する酸をさらに含有する。適当な酸の具体例としては、パラトルエンスルホン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸などのアルキルベンゼンスルホン酸を含む有機スルホン酸、p−トルエンスルホン酸、塩酸、トリフルオロ酢酸、メチルスルホン酸、トリフルオロメチルスルホン酸、臭化水素酸など、ならびにそれらの混合物が挙げられる。この酸は、任意の望ましいまたは効果的な量で、その酸の量は以下の範囲の外であっても良いが、一実施形態においては着色剤の量の少なくとも約2重量パーセント、一実施形態においては着色剤の量の約100重量パーセント以下で存在する。
【0056】
本開示のインクは、また、場合によって酸化防止剤を含むことができる。インク組成物のこの随意的な酸化防止剤は、画像の酸化を防ぎ、またインク製造工程の加熱部分でのインク構成材の酸化を防ぐ。適当な酸化防止剤の具体例としては、NAUGUARD(登録商標)524、NAUGUARD(登録商標)76、およびNAUGUARD(登録商標)512、IRGANOX(登録商標)1010などが挙げられる。存在する場合、その随意的な酸化防止剤は、その量は以下の範囲の外であってもよいが、任意の望ましいまたは効果的な量であって、一実施形態においてはインクの少なくとも約0.01重量パーセント、一実施形態においてはインクの約20重量パーセント以下でインク中に存在する。
【0057】
本開示のインクは、また、場合によって粘度調整剤を含むことができる。適当な粘度調整剤の例としては、脂肪族ケトン類、例えばステアロンなどが挙げられる。存在する場合、その随意的な粘度調整剤は、その量は以下の範囲の外であってもよいが、任意の望ましいまたは効果的な量であって、一実施形態においてはインクの少なくとも約0.1重量パーセント、一実施形態においてはインクの約99重量パーセント以下でインク中に存在する。
【0058】
インクへのその他の随意的な添加剤としては、その量は以下の範囲の外であってもよいが、一実施形態においてはインクの少なくとも約0.01重量パーセント、一実施形態においてはインクの約98重量パーセント以下の量での透明剤;その量は以下の範囲の外であってもよいが、一実施形態においてはインクの少なくとも約0.1重量パーセント、一実施形態においてはインクの約98重量パーセント以下の量での粘着性付与剤;その量は以下の範囲の外であってもよいが、一実施形態においてはインクの少なくとも約0.1重量パーセント、一実施形態においてはインクの約98重量パーセント以下の量での接着剤;その量は以下の範囲の外であってもよいが、一実施形態においてはインクの少なくとも約0.1重量パーセント、一実施形態においてはインクの約50重量パーセント以下の量での可塑剤類、例えば、フタレートエステル可塑剤類、ジオクチルフタレート、ジウンデシルフタレート、アルキルベンジルフタレート、トリフェニルホスフェート、トリブトキシエチルホスフェート、ジシクロヘキシルフタレート、トリオクチルトリメリテートなどが挙げられる。
【0059】
一実施形態における本開示のインク組成物は、約50℃以上の融点を持ち、一実施形態においては約160℃以下の融点を持つが、その融点はこれらの範囲の外でもあり得る。
【0060】
本開示のインク組成物は一般に、噴射温度(一実施形態においては約75℃以上、一実施形態においては約180℃以下であるが、噴射温度はこれらの範囲の外でもあり得る)、例えば約140℃において、一実施形態においては、約30センチポアズ以下、一実施形態において、約1センチポアズ以上、または約2センチポアズ以上の溶融体粘度を有するが、溶融体粘度はこれらの範囲の外でもあり得る。
【0061】
本開示のインク組成物は、任意の望ましいまたは適当な方法によって調製することができる。例えば、インク成分を共に混合し、続いて、温度は以下の範囲の外でも良いが、一実施形態においては少なくとも約100℃、一実施形態においては約140℃以下の温度に加熱し、均質なインク組成物が得られるまで撹拌し、続いてインクを周囲温度(一般的には約20から約25℃)まで冷却する。本開示のインクは周囲温度では固体である。特定の実施形態において、製造工程の間に、溶融状態のインクを型に流し込んで冷やし、固化させてインクスティックとする。
【0062】
本開示のインクは、直接印刷インクジェット法の装置に、また間接(オフセット)印刷インクジェット用途に採用することができる。本開示の別の実施形態は、本開示のインクをインクジェット印刷装置に組み込む工程と、インクを溶融する工程と、記録用被印刷体上に溶融インクの液滴を画像の形に射出する工程とを含む方法を対象とする。本開示のさらに別の実施形態は、本開示のインクをインクジェット印刷装置に組み込む工程と、インクを溶融する工程と、中間転写部材上にインクの液滴を画像の形に射出する工程と、画像形のインクを中間転写部材から最終的な記録用被印刷体へ転写する工程とを含む方法を対象とする。特定の実施形態においては、中間転写部材は最終記録用シートより高く、印刷装置内の溶融インクより低い温度に加熱する。特定の一実施形態においては、印刷装置は圧電印刷法を採用し、インク液滴が圧電振動素子の振動によって画像の形に射出されるようにする。本開示のインクは、また、他のホットメルト印刷法、例えば、ホットメルト音響インクジェット印刷、ホットメルトサーマルインクジェット印刷、ホットメルト連続流または偏向インクジェット印刷などでも使用できる。本開示の相変化インクはさらに、ホットメルトインクジェット印刷法以外の印刷法にも使用できる。
【0063】
適当であればどのような被印刷体または記録用シートも使用可能であり、例えば、普通紙、DP紙、罫線付きノート紙、ボンド紙、シリカコート紙など、また、透明材料、織物、繊維製品、プラスチックス、ポリマフィルム、金属などの無機被印刷体および木材等が挙げられる。
【実施例】
【0064】
(実施例1)
<パートA:ロイコ形の染料の合成>

【化6】


の2,6−ジエチルアニリンの約30.8グラム、

【化7】


の2,6−ジクロロベンズアルデヒドの17.5グラム、
および脱イオン水の50グラムを、テフロン(登録商標)被覆した磁石、凝縮器、およびオイルバスを備えた150ミリリットルの1つ口丸底フラスコに加えた。その内容物を混合し、濃HSOの21.6グラムをその混合した内容物に加えた。フラスコを100℃のオイルバスに入れ、そのまま撹拌して加熱した。約24時間の加熱後、その粗生成物を500ミリリットルの氷水を含有する1リットルのビーカ中に注ぎ、約30分間撹拌し、そのまま一晩静置した。その生成物の混合物を次に約30ミリリットルの40%NaOHで中和し、真空濾過により収集した。その黄褐色の固体を約500ミリリットルの水で洗浄し、約500ミリリットルの水中で再スラリ化し、洗浄および再スラリ化のこの工程を繰り返した。濾過した固体を次に乾燥させた。生成したロイコ(無色)形の塩基性染料は、式
【化8】


のものと考えられる。
【0065】
(実施例1)
<パートB:ロイコ形の塩基性染料の酸化>
実施例1のパートAで集めた固体を、テフロン(登録商標)被覆した磁石、凝縮器、およびオイルバスを備えた500ミリリットルの1つ口丸底フラスコに加えた。250ミリリットルのエチルアルコールおよび25グラムのクロルアニル(酸化剤)を加え、そのフラスコを撹拌しながら70℃のオイルバスに入れた。直ちに青色が現れ始め、時間と共に深まった。式
【化9】


のものであると考えられる十分に展開された形へのこの染料のロイコ形の完全な酸化を確実にするためにそのフラスコを約2時間加熱した。
【0066】
(実施例1)
<パートC:カルビノール構造の塩基性染料の形成>
実施例1のパートBで要点を述べたように反応混合物が十分に酸化された後、約25ミリリットルの40%NaOHを、加熱され/撹拌されている青色染料に加えた。その青色は、直ちに消えてカルビノール構造の染料の形成を示した。加熱と撹拌をさらに約5分間続けた。その粗生成物を、250ミリリットルの水および5グラムの40%NaOHを含有する1000ミリリットルのビーカに注ぎ、そのまま一晩静置した。そのカルビノール構造の染料は、式
【化10】


のものであると考えられる。
【0067】
(実施例1)
<パートD:カルボン酸含有メチン黄色染料の形成>

【化11】


のエトキシル化p−ホルミルアニリンの50グラムを、
テフロン(登録商標)被覆した磁石およびオイルバスを有する凝縮器を備えた250ミリリットルの1つ口丸底フラスコに、式
【化12】


のシアノ酢酸の7.6グラム、スパチュラの先端程の酢酸アンモニウム(触媒として)、および200ミリリットルのエタノールと共に加えた。その反応混合物を約4時間還流させ、蒸留によってエタノールを除去し、式
【化13】


のものと考えられる粘稠な液体の黄色メタン染料を残した。
【0068】
(実施例1)
<パートE:グリーン塩基性染料/酸性染料内部塩の形成>
実施例1のパートDからのカルボキシル化黄色メタン染料の約30グラム、実施例1のパートCからのカルビノール構造のテトラエチル形の染料の約29グラム、および約300ミリリットルのエタノールを、テフロン(登録商標)被覆した磁石、凝縮器、およびオイルバスを備えた500ミリリットルのビーカに加えた。その混合物を、100℃のオイルバス中ですべてのエタノールが蒸発除去されるまで撹拌して加熱し、その時点で、約300ミリリットルの追加のエタノールを加え、蒸発除去させた。カルビノール/酸の相互作用によって生ずる水を除去して塩基性染料/酸性染料内部塩を残すことを確実にするためにこの工程をさらに2回繰り返した。冷却したときの最終生成物は、式
【化14】


のものと考えられるグリーンのワックス状染料であった。
【0069】
(実施例2)
<パートA:ロイコ形の塩基性染料の合成>

【化15】


のN,N−ジエチルアミノアニリンの約29.8グラム、

【化16】


の4−ジエチルアミノベンズアルデヒドの約17.7グラム、
および100グラムの脱イオン水を、テフロン(登録商標)被覆した磁石、凝縮器、およびオイルバスを備えた150ミリリットルの1つ口丸底フラスコに加えた。その内容物を混合し、21.6グラムの濃HSOを加えた。フラスコを100℃のオイルバスに入れ、そのまま撹拌して加熱した。約24時間の加熱後、その粗生成物を500ミリリットルの氷水を含有する1リットルのビーカ中に注ぎ、約30分間撹拌し、そのまま一晩静置した。その生成物の混合物を次に40%NaOH(約30ミリリットル)で中和し、真空濾過により収集した。その黄褐色の固体を約500ミリリットルの水で洗浄し、約500ミリリットルの水中で再スラリ化し、濾過し、この工程を繰り返した。濾過した固体を次いで乾燥させた。生成したロイコ(無色)形の塩基性染料は、式
【化17】


のものと考えられる。
【0070】
(実施例2)
<パートB:ロイコ形の塩基性染料の酸化>
実施例2のパートAで集めた固体、150ミリリットルのエチルアルコールおよび25グラムのクロルアニル(酸化剤)を、テフロン(登録商標)被覆した磁石、凝縮器、およびオイルバスを備えた150ミリリットルの1つ口丸底フラスコに加えた。そのフラスコを撹拌しながら70℃のオイルバスに入れた。青色が直ちに現れ始め、時間と共に深まった。式
【化18】


のものであると考えられる十分に展開された形へのこのロイコ形の染料の完全な酸化を確実にするためにそのフラスコを約2時間加熱した。
【0071】
(実施例2)
<パートC:カルビノール構造の塩基性染料の形成>
実施例2のパートBで要点を述べたように反応混合物が十分に酸化された後、40%NaOHによりpHをアルカリ性にした。青色は、直ちに消えてカルビノール構造の染料の形成を示した。加熱および撹拌をさらに約5分間続けた。その粗生成物を、150ミリリットルの水および2.5グラムの40%NaOHを含有する1000ミリリットルのビーカに注ぎ、そのまま一晩静置した。その固体を濾過によって集め、密封容器に入れた(約22.4グラムのカルビノール紫色染料が得られた)。そのカルビノール構造の染料は、式
【化19】


のものであると考えられる。
【0072】
(実施例2)
<パートD:モノヒドロキシルホルミルアニリンのステアリルウレタン誘導体化>

【化20】


のモノ−ヒドロキシルアルコキシル化p−ホルミルアニリン(米国特許第7,034,185号(その開示の全体を参照により本明細書に援用する)参照)の40グラム、

CH(CH17−NCO
のステアリルイソシアナートの21.4グラム、
および2滴のジブチルスズジラウレート触媒を、テフロン(登録商標)被覆した磁石および120℃のオイルバスを備えた250ミリリットルのビーカに加え、撹拌しながら反応が完了したことを赤外分光法の読みが示すまで加熱した。その内容物を次に冷却し、軟らかい糊状ワックスの稠度まで固化させた。生成したステアリルウレタン誘導体化p−ホルミルアニリンアルコキシレートは、式
【化21】


のものであると考えられる。
【0073】
(実施例2)
<パートE:カルボン酸含有メチン黄色染料の形成>
7.0グラムのシアノ酢酸および約80ミリリットルのエタノールを、実施例2のパートDからのステアリルウレタン誘導体化p−ホルミルアニリンアルコキシレートを含有する250ミリリットルのビーカに加え、そのビーカを、時計皿を備えた100℃のオイルバスにセットした。その内容物を、エタノールのレベルを必要なときはさらに追加することにより全体の反応を通して維持して約3時間から約4時間加熱し、撹拌した。4時間後、その反応物を、500ミリリットルの脱イオン水を含有する1リットルのビーカに注ぎ、そのまま一晩撹拌した。翌日、その生成物はペースト状ワックスのような稠度を形成し、水−エタノール溶液をデカントした。500ミリリットルの水を加え、100℃のオイルバス中で1時間撹拌しながら加熱し、冷却し、水をデカントした。得られたステアリルウレタン誘導体化アルコキシレートカルボキシレート化黄色メタン染料は、式
【化22】


のものであると考えられる。
【0074】
(実施例2)
<パートF:塩基性染料/酸性染料内部塩の形成>
実施例2のパートCからのカルビノール構造紫色染料の22.4グラムおよび約300ミリリットルのエタノールを、テフロン(登録商標)を被覆した磁石を備えた250ミリリットルのビーカ中の、実施例2のパートDからのステアリルウレタン誘導体化アルコキシレートカルボキシレート化黄色メタン染料に加えた。その混合物を、100℃のオイルバス中ですべてのエタノールが蒸発除去されるまで撹拌して加熱し、その時点で、300ミリリットルの追加のエタノールを加え、蒸発除去させた。式
【化23】


のものと考えられる塩基性染料/酸性染料内部塩を残すことを確実にするために、カルビノール/酸の相互作用によって生ずる水を除去し、これをさらに2回繰り返した。
【0075】
冷却したときの最終生成物は、青味がかった灰色を有するワックス状染料であった。
【0076】
(実施例3)
<パートA:モノヒドロキシトリフェニルメタンポリオキシアルキレントリフェニルメタン紫色着色剤の調製>
電磁撹拌機を備えた100ミリリットルの1つ口丸底フラスコに、米国特許第7,094,812号の実施例IIにおいて調製したパラ−ホルミル化POE(3.5)POP(6.5)N−エチルアニリン付加物の20.0グラム(約0.029モル)、N,N−ジエチルアニリンの8.85グラム、尿素の0.6グラム、および濃HSO1.5グラムを加えた。そのフラスコを100℃のオイルバス中にセットし、撹拌を開始し、その混合物をそのまま3時間加熱/撹拌した。3時間後、3.1グラムのベンゾキノンおよび2.0グラムの水をその反応混合物中に加え、撹拌/加熱を2時間継続し、その時点でフラスコを加熱から切り離し、紫色の液体生成物を室温まで冷却した。この時点の生成物は、式
【化24】


と一致する粘稠な紫色の液体であった。
【0077】
(実施例3)
<パートB:モノヒドロキシトリフェニルメタンのステアリルウレタン誘導体化>
実施例3のパートAからの純粋なモノヒドロキシルアルコキシル化物(これは、100グラムのジクロロメタンに溶解し、分液ロートにセットし、50グラムの脱イオン水で2回洗浄し、続いてジクロロメタンを蒸留して所望の生成物を残すことにより精製する)の10グラム、式
CH−(CH17−NCO
のステアリルイソシアナートの2.8グラム、
および1滴のジブチルスズジラウレート触媒を、テフロン(登録商標)被覆した磁石および120℃のオイルバスを備えた100ミリリットルのビーカに加え、反応が完了したことを赤外分光法の読みが示すまで撹拌しながら加熱する。その内容物を次に冷却し、軟らかいペースト状ワックスのような稠度となるまで固化させる。生成したステアリルウレタン誘導体化トリフェニルメタンは、式
【化25】


のものであると考えられる。
【0078】
(実施例3)
<パートC:カルビノール構造の塩基性染料の形成>
実施例3のパートBのウレタントリフェニルメタンを含有するテフロン(登録商標)を被覆した磁石を備えた250ミリリットルのビーカに、50ミリリットルのエチルアルコールを加え、生成物が溶解するまで撹拌する。そのpHを40%のNaOHによりアルカリ性にする。紫色がすぐに消えてカルビノール構造の染料の形成を示唆する。加熱と撹拌をさらに5分間続ける。その粗生成物を150ミリリットルの水および2.5グラムの40%NaOHを含有する1000ミリリットルのビーカに注ぎ、一晩静置したままにする。その固体を濾過によって集め、密封容器中に入れる。そのカルビノール構造の染料は式
【化26】


のものであると考えられる。
【0079】
(実施例3)
<パートD:塩基性染料/酸性染料内部塩の形成>
アシッドオレンジ8の遊離酸の1.26グラムおよび50ミリリットルのエタノールを、テフロン(登録商標)を被覆した磁石を備えた150ミリリットルのビーカ中の、実施例3のパートCからのステアリルウレタン誘導体化トリフェニルメタン紫色染料の5.0グラムに加える。その混合物を100℃のオイルバス中でエタノールのすべてが蒸発して除去されるまで撹拌および加熱をし、その時点で約50ミリリットルの追加のエタノールを加え、蒸発除去させる。式
【化27】


のものと考えられる塩基性染料/酸性染料内部塩を残すことを確実にするために、カルビノール/酸の相互作用によって生ずる水を除去し、これをさらに2回繰り返す。
【0080】
(実施例3)
<パートE:塩基性染料/酸性染料内部塩の形成>
アシッドオレンジ74の遊離酸の1.73グラムおよび50ミリリットルのエタノールを、テフロン(登録商標)を被覆した磁石を備えた150ミリリットルのビーカ中の、5.0グラムの実施例3のパートCからのステアリルウレタン誘導体化トリフェニルメタン紫色染料に加える。その混合物を100℃のオイルバス中でエタノールのすべてが蒸発して除去されるまで撹拌および加熱をし、その時点で約50ミリリットルの追加のエタノールを加え、蒸発除去させる。式
【化28】


のものと考えられる塩基性染料/酸性染料内部塩を残すことを確実にするために、カルビノール/酸の相互作用によって生ずる水を除去し、これをさらに2回繰り返す。
【0081】
(実施例4)
以下の成分を融解、混合、および濾過することによりインクベースを調製した。
式CH(CH50CHのポリエチレンワックスの43.59重量部;
ステアリルステアラミドワックスの19.08重量部;
1当量のC−36ダイマ酸と、2当量のエチレンジアミンおよび米国特許第6,174,937号の実施例1に記載されているようにして調製された末端カルボン酸基を有する長鎖炭化水素であるUNICID(登録商標)700との反応から得られたテトラ−アミド樹脂の18.94重量部;
米国特許第5,782,966号の実施例1に記載されているようにして調製された2当量のABITOL(登録商標)Eヒドロアビエチルアルコールと1当量のイソホロンジイソシアナートとの反応から得られたウレタン樹脂の11.71重量部;
米国特許第6,309,453号の実施例4に記載されているようにして調製された3当量のステアリルイソシアナートのグリセロール系アルコールとの付加物であるウレタン樹脂の6.48重量部;
酸化防止剤であるNAUGUARD(登録商標)445の0.20重量部。
【0082】
その後、上に掲げた百分率の上に掲げたインク担体構成材600グラムを、1リットルのビーカに加え、オーブン中135℃で溶融するまで加熱した。続いて、そのビーカを135℃に設定されている加熱マントルに挿入し、ビーカの内容物を45分間撹拌した。得られたインクを、次にワットマン(Whatman)#3と0.2ミクロンNAEフィルタの組合せを通して濾過し、Mottのフィルタアッセンブリにセットした。濾過は、1重量パーセントのスイス国Fluka Chemikaから入手した濾過助剤(FILTER−AID)を加えることにより支援し、6時間後に完了するまで135℃の温度で進めた。そのインクベースを約31グラムの無色のインクベースを含んでいる型の中に注ぎ冷却させた。
【0083】
(実施例5)
実施例4からの約30グラムのインクベースを、電磁撹拌棒を備えた100ミリリットルのビーカに入れ、続いて135℃のオイルバス中に溶融するまで置いた。約2.0グラムの実施例1のパートEの染料製品を次に加え、約3時間撹拌した。そのマゼンタ着色剤を次にアルミニウムの型に注いだ。
【0084】
(実施例6)
実施例4からの約30グラムのインクベースを、電磁撹拌棒を備えた100ミリリットルのビーカに入れ、続いて135℃のオイルバス中に溶融するまで置いた。約2.0グラムの実施例2のパートFの染料製品を次に加え、約3時間撹拌した。そのマゼンタ着色剤を次にアルミニウムの型に注いだ。
【0085】
(実施例7)
実施例5および6で調製したインクの印刷した試料を、K−プリンティングプルーファー(Printing Proofer)(RK Print Coat Instrument Ltd.製、Litlington,Royston,Heris,SG8 0OZ,イギリス)を用いて、ハンマーミルレーザープリント(HAMMERMILL LASERPRINT)(登録商標)紙上に生じさせた。この方法においては、試験したインクは、150℃にセットした印刷版上で溶融させた。紙を取付けたロールバーを次に溶融したインクをその表面に含む版上で回転させた。紙の上のインクを冷却すると、矩形ブロックの3つの別々の画像が生じた(3つの異なる強度の、紙上のインク被覆)。最も強く着色したブロックは、紙上に溶着したインクのほとんどを含み、したがって、カラー値測定結果を得るために使用した。印刷した試料を視覚的に評価した。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部塩組成物を提供する塩基性染料構成材および酸性染料構成材を有する、相変化インク担体および着色剤組成物を含む相変化インク組成物であって、前記塩基性染料構成材、前記酸性染料構成材の少なくとも1つ、または前記塩基性染料構成材および前記酸性染料構成材の両方が、ワックス部分を含むことを特徴とする相変化インク組成物。
【請求項2】
請求項1に記載の相変化インク組成物であって、前記塩基性染料構成材が以下の式の化合物を含み、
【化1】


[式中、R、R、R、およびRは、それぞれ他とは無関係に、(i)水素原子、(ii)アルキル基、(iii)アリール基、(iv)アリールアルキル基、または(v)アルキルアリール基であり、式中、R、R、R、およびRは、それぞれ他とは無関係に、(i)水素原子、(ii)アルキル基、(iii)アリール基、(iv)アリールアルキル基、または(v)アルキルアリール基であり、ここでRとRは一緒になって環を形成することができ、ここでRとRは一緒になって環を形成することができ、ここでRとRは一緒になって環を形成することができ、ここでR、R、R、R、R、およびRは、それぞれ一緒になって中心構造のフェニル環となることができ、ここでRおよびRは、それぞれ場合によってRおよびRの1つまたは両方と一緒になって環を形成することができ、ここでRおよびRは、それぞれ場合によってRおよびRの1つまたは両方と一緒になって環を形成することができ;式中、各R、R10、およびR11は、他とは無関係に、場合によって含まれており、含まれている場合に、R、R10、およびR11のそれぞれは、他とは無関係に、(i)ヒドロキシ基、(ii)ハロゲン原子、(iii)アミン基、(iv)イミン基、(v)アンモニウム基、(vi)シアノ基、(vii)ピリジン基、(viii)ピリジニウム基、(ix)エーテル基、(x)アルデヒド基、(xi)ケトン基、(xii)エステル基、(xiii)アミド基、(xiv)カルボニル基、(xv)チオカルボニル基、(xvi)スルホキシド基、(xvii)ニトリル基、(xviii)メルカプト基、(xix)ニトロ基、(xx)ニトロソ基、(xxi)スルホン基、(xxii)アシル基、(xxiii)酸無水物基、(xxiv)アジド基、(xxv)アゾ基、(xxvi)シアナート基、(xxvii)イソシアナート基、(xxviii)チオシアナート基、(xxix)イソチオシアナート基、(xxx)ウレタン基、(xxxi)尿素基、あるいはこれらの混合物または組合せであり、ここで2個以上の置換基は一緒になって環を形成することができ、ここでR、R10、およびR11は、それぞれ前記中心構造のフェニル環に結合していることができる]
前記酸性染料構成材が、塩基性染料−酸性染料内部塩組成物を提供する前記塩基性染料構成材に対する対イオンを提供するアニオンを含むことを特徴とする相変化インク組成物。
【請求項3】
請求項1に記載の相変化インク組成物であって、前記内部塩組成物が以下の構造を有することを特徴とする相変化インク組成物。
【化2】

【請求項4】
請求項1に記載の相変化インク組成物であって、前記内部塩組成物が以下の構造を有することを特徴とする相変化インク組成物。
【化3】


【公開番号】特開2008−189924(P2008−189924A)
【公開日】平成20年8月21日(2008.8.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−19011(P2008−19011)
【出願日】平成20年1月30日(2008.1.30)
【出願人】(596170170)ゼロックス コーポレイション (1,961)
【氏名又は名称原語表記】XEROX CORPORATION
【Fターム(参考)】