説明

真空アーク溶解時のグロー放電防止方法

【課題】電気炉のみで製造した消耗電極を用いる場合であっても、VAR法により凝固組織が全域にわたって良好な鋼塊を製造することができる真空アーク溶解時のグロー放電防止方法を提供する。
【解決手段】VAR法により消耗電極を溶解して鋼塊を製造するに際し、Cを0.1〜0.5質量%、およびAlを0.01〜0.02質量%含有する炭素鋼または低合金鋼の消耗電極を電気炉のみで製造し、消耗電極中の酸素含有率Oa[質量%]、および消耗電極中のCと酸素による炭酸ガス生成反応における平衡酸素濃度O0[質量%]が下記(1)式を満足する条件で真空アーク溶解を行う。
a−O0≦0.0019[質量%] ・・・(1)

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、真空アーク溶解法(以下、「VAR法」という)により凝固組織が全域にわたって良好な鋼塊を安価に製造するために、真空アーク溶解時にグロー放電の発生を防止する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
VAR法は再溶解凝固法の一つである。VAR法では、真空容器(チャンバー)内において、消耗電極の先端と鋳型(水冷銅モールド)内の溶湯プールとの間にアーク放電を発生させ、そのアークを熱源にして消耗電極を溶解する。溶解した消耗電極は、溶滴となって鋳型内に落下し、順次凝固して鋼塊となる。その際、溶湯は鋳型内で比較的浅いプールを保ちながら積層凝固するため、偏析の少ない良好な凝固組織が得られる。また、溶解が高真空下で行われるため、窒素や水素などに対して脱ガス効果も期待できる。こうした品質に関する優位性から、航空機や原子炉などに用いられる鋼材の製造にはVAR法が多く活用される。
【0003】
ところで、VAR法による溶解の操業中、消耗電極と溶湯プールとの間にグロー放電が発生することがある。グロー放電が発生した場合、アークが減少し、溶解に要する熱源が減少することから、一定の状態で進行していた消耗電極の溶解速度および溶湯プールの深さが不安定になる。これにより、溶湯の凝固速度が変動し、鋼塊内部に異常な凝固組織が生成する。このため、真空アーク溶解時のグロー放電は、鋼塊の凝固組織に悪影響を及ぼす非常に有害な現象である。
【0004】
また、VAR法による溶解を要求される鋼種の消耗電極は、一般に、真空高周波誘導炉(VIM)または電気炉で溶製して製造される。消耗電極をVIMで製造する場合には、原料として高純度で高価な合金鉄を使用しなければならないので、使用原料が特に制限されない電気炉で製造する方が溶製コストを低減できる点で都合がよい。
【0005】
しかし、従来は、VAR法による溶解において、電気炉のみで製造した消耗電極を用いた場合、グロー放電が多発し、鋼塊内部に異常な凝固組織が多く発現するという問題がある。
【0006】
この問題に対し、例えば、特許文献1には、真空アーク溶解時にグロー放電の発生を検知した場合、消耗電極の下降速度を調整して、消耗電極の先端と溶湯プールの湯面との間隔を狭め、これにより、グロー放電の状態から早期に正常なアーク放電の状態に回復させる技術が開示されている。しかし、同文献に開示される技術は、グロー放電の発生を根本的に解決するものではない。このため、同文献に開示される技術によって製造された鋼塊は、グロー放電が発生した部位で凝固組織が異常となる可能性が皆無でなく、その部位で少なくとも品質が低下する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平5−230559号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、上記の問題に鑑みてなされたものであり、溶製コストの低減を狙い、電気炉のみで製造した消耗電極を用いる場合であっても、VAR法により凝固組織が全域にわたって良好な鋼塊を製造することができる真空アーク溶解時のグロー放電防止方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の通り、溶製コストを低減する観点から、VIMを用いることなく電気炉のみを用いて消耗電極を製造し、この消耗電極を用いて真空アーク溶解を行うと、グロー放電が多発する。グロー放電は、消耗電極の溶解速度および溶湯プールの深さを不安定にし、溶湯の凝固速度を変動させ、これに伴って、鋼塊に異常な凝固組織をもたらすことから、有害な現象である。
【0010】
本発明者らは、このような有害なグロー放電の発生を防止するため、後述するように、種々の試験調査および検討を重ねた結果、グロー放電の発生と同時に真空度の瞬間的な悪化が生じていることに着目し、真空度の悪化を引き起こす要因が炭酸ガスであることを突き止めた。そして、電気炉のみで製造した消耗電極を用いる場合、酸素含有率の低い消耗電極を使用するとともに、消耗電極中の酸素含有率をOa[質量%]、および消耗電極中の炭素と酸素による炭酸ガス生成反応における平衡酸素濃度をO0[質量%]で示して、OaとO0の差で表される指標(以下、「評価酸素濃度」ともいう)を新たに規定し、この評価酸素濃度(Oa−O0)を制限した条件で真空アーク溶解を行うことにより、炭酸ガスの生成を抑制でき、これに伴って、真空度の悪化が抑制され、グロー放電の発生を防止できることを見出した。
【0011】
本発明は、このような検討結果に基づいて完成させたものであり、その要旨は、下記に示す真空アーク溶解時のグロー放電防止方法にある。すなわち、VAR法により消耗電極を溶解して鋼塊を製造するに際し、Cを0.1〜0.5質量%、およびAlを0.01〜0.02質量%含有する炭素鋼または低合金鋼の消耗電極を電気炉のみで製造し、消耗電極中の酸素含有率Oa[質量%]、および消耗電極中のCと酸素による炭酸ガス生成反応における平衡酸素濃度O0[質量%]が下記(1)式を満足する条件で真空アーク溶解を行うことを特徴とする真空アーク溶解時のグロー放電防止方法である。
a−O0≦0.0019[質量%] ・・・(1)
【発明の効果】
【0012】
本発明の真空アーク溶解時のグロー放電防止方法によれば、電気炉のみで製造した消耗電極を用い、新たに規定した評価酸素濃度(Oa−O0)が上記(1)式を満足する条件で真空アーク溶解を行うことにより、溶解時にグロー放電の発生を防止することができ、その結果として、凝固組織が全域にわたって良好な鋼塊を安価に製造することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の方法を適用できるVAR炉の概要を示す縦断面図である。
【図2】真空アーク溶解試験の結果として、消耗電極中の酸素含有率と溶解時の真空度悪化回数との相関を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
上記の通り、本発明は、VAR法により消耗電極を溶解して鋼塊を製造するに際し、Cを0.1〜0.5質量%、およびAlを0.01〜0.02質量%含有する炭素鋼または低合金鋼の消耗電極を電気炉のみで製造し、消耗電極中の酸素含有率Oa[質量%]、および消耗電極中のCと酸素による炭酸ガス生成反応における平衡酸素濃度O0[質量%]が下記(1)式を満足する条件で真空アーク溶解を行う真空アーク溶解時のグロー放電防止方法である。
a−O0≦0.0019[質量%] ・・・(1)
【0015】
図1は、本発明の方法を適用できるVAR炉の概要を示す縦断面図である。同図に示すように、VAR法では、高真空状態のチャンバー(真空容器)5内において、鋼塊1の母材である消耗電極3と鋳型(水冷銅モールド)4内の溶湯(溶湯プール)2との間にアーク放電を発生させて、消耗電極3をその先端から順次アークによって溶解させる。溶解した消耗電極3は、溶滴となって鋳型4内に順次落下して貯溜され、鋳型4内で積層凝固していく。こうして偏析の少ない良好な凝固組織を有する鋼塊1が得られる。
【0016】
図1に示すVAR炉において、鋳型4はチャンバー5の下部を構成するジャケット6によって包み込まれている。ジャケット6には、鋳型4を水冷するために、鋳型4に冷却水を送り込む冷却水給水口7と、鋳型4から冷却水を排出する冷却水排水口8が設けられている。チャンバー5には、その内部を高真空状態に維持するために、内部の空気を排出する排気口9が設けられている。消耗電極3は、チャンバー5内でスティンガーロッド10に連結されて吊下げ支持され、図示しない昇降機構によってスティンガーロッド10と一体で昇降する。
【0017】
本発明の方法は、このようなVAR炉を用いた操業に適用できる。以下に、本発明の真空アーク溶解時のグロー放電防止方法を前記の通り規定した理由を説明する。
【0018】
VAR法により鋼塊を製造するにあたり、上述した通り、消耗電極をVIMで製造する場合は高価な合金鉄を使用しなければならないので、消耗電極を電気炉で製造する方が溶製コストを低減できる点で都合がよい。しかし、電気炉のみで製造した消耗電極を用いて真空アーク溶解を行うと、グロー放電が多発する。グロー放電は、消耗電極の溶解速度および溶湯プールの深さを不安定にし、溶湯の凝固速度を変動させ、これに伴って、鋼塊に異常な凝固組織をもたらすことから、有害な現象である。
【0019】
本発明者らは、このような有害なグロー放電の発生を防止するため、電気炉のみで製造した消耗電極を用いて様々な試験調査および検討を行った結果、以下に示す(a)〜(c)の知見を得た。
【0020】
(a)真空アーク溶解時にグロー放電が発生した溶解に関して溶解条件の見直しを検討したところ、当該溶解チャージにおいて、グロー放電が発生するのと同時に、チャンバー内の真空度が瞬間的に悪化していることが観測された。この真空度悪化の原因としては、溶解時に消耗電極から発生するガスが考えられる。また、真空度の悪化が瞬間的なものであることから、その原因は、消耗電極の先端の溶融部分にガスが蓄積され、この蓄積されたガスが逐次放出されることによると考えられる。さらに、真空度の悪化回数とグロー放電の発生回数を調査したところ、両者の間には正の相関が認められた。このことから、グロー放電の発生を防止するには、真空度の悪化回数を低減するのが有効であるといえる。
【0021】
(b)真空アーク溶解時に消耗電極から発生する可能性のあるガスは、水素ガス(H2)、窒素ガス(N2)および炭酸ガス(CO)のいずれかであると考えられ、消耗電極の成分組成を調整して真空アーク溶解の試験を行った。このとき、消耗電極の成分組成の調整にあたり、消耗電極から発生する炭酸ガスの生成は、消耗電極中の炭素(C)と酸素(O)の反応に起因すると想定した。
【0022】
試験の結果、消耗電極中の水素および窒素の含有率と、溶解時の真空度の悪化回数との間には、明確な相関関係が認められなかった。水素および窒素は、溶湯中への溶解度が比較的大きいことから、真空状態のチャンバー内において、水素ガスおよび窒素ガスが溶湯プールの湯面から雰囲気中に連続的に放出されるためと考えられる。
【0023】
図2は、真空アーク溶解試験の結果として、消耗電極中の酸素含有率と溶解時の真空度悪化回数との相関を示す図である。同図に示すように、消耗電極中の酸素含有率が0.0020質量%以上になると、真空度の悪化が生じ、酸素含有率の増加に伴って真空度の悪化回数が増加することが認められた。これは、以下の理由によると考えられる。
【0024】
消耗電極中の炭素と酸素の反応によって真空アーク溶解時に生成する炭酸ガスは、溶湯中への溶解度が低いことから、生成した炭酸ガスが気体となって消耗電極の先端部に蓄積されていく。そして、消耗電極中の酸素含有率の増加に伴って、蓄積された炭酸ガスが消耗電極の先端部から放出される頻度が増加し、真空度の瞬間的な悪化回数が増加する。
【0025】
このことから、消耗電極中の酸素含有率を低減することにより、真空度の瞬間的な悪化回数を低減することが可能となり、その結果として、グロー放電の発生を抑制することが可能になるといえる。特に、図2の結果から、消耗電極中の酸素含有率を0.0020質量%未満に制限すれば、真空アーク溶解時に真空度の悪化を防止することが可能になる。
【0026】
(c)上記(b)の知見に加え、消耗電極の成分組成に関連する溶解条件によっては、グロー放電が発生する消耗電極中の酸素含有率に有意差があることが判明した。これは、発生するガスの総量が関係しており、消耗電極中の酸素含有率と、成分組成、真空度、消耗電極先端部の液相温度などの溶解条件により決まる平衡酸素濃度との差分の炭酸ガスが発生して、真空度の悪化をもたらしていると考えられる。
【0027】
そして、真空アーク溶解時にグロー放電の発生を防止するには、消耗電極中の酸素含有率をOa[質量%]、および消耗電極中の炭素と酸素による炭酸ガス生成反応における平衡酸素濃度をO0[質量%]で示した場合、OaとO0の差(評価酸素濃度:Oa−O0)が下記(1)式を満足する条件で真空アーク溶解を行えばよいことが判明した。
a−O0≦0.0019[質量%] ・・・(1)
【0028】
上記(1)式に示す評価酸素濃度(Oa−O0)の上限値は、真空アーク溶解時に消耗電極中の炭素と酸素の反応によって生成する炭酸ガスが発生しなくなる実績値から定めた値である。具体的には、その上限値は、真空度を0.05〜1Paの範囲内に設定して真空アーク溶解を行った場合に、真空度が瞬間的に悪化する回数を大幅に抑制することが可能な値である。
【0029】
ここで、真空アーク溶解時の雰囲気は十分な高真空状態に保たれているため、Alで脱酸したり、Siで脱酸した一般的な鋼種においても、酸素ポテンシャルがC−O濃度平衡により決まることから、平衡酸素濃度O0は下記の(2)式、(3)式を用いて算出することができる。
C+O=CO(g) ・・・(2)
ΔG=−22200−38.34×T[J/mol] ・・・(3)
ただし、上記(3)式中のTは消耗電極先端部の液相温度[K]である。
【0030】
このとき、導出した平衡酸素濃度O0は、消耗電極中の酸素含有率Oaと比較して一桁以上小さい値となり、評価酸素濃度(Oa−O0)を上記(1)式に示すように0.0019質量%以下に設定しても、溶解時に炭酸ガスの発生は少なからずある。しかし、評価酸素濃度が上記の規定値以下である場合には、実績としてグロー放電の発生が確認されないことから、発生する炭酸ガスの量はグロー放電を誘発するには不十分な量であるといえる。
【0031】
上記(a)〜(c)に示す知見から、電気炉のみで製造した消耗電極を用いて真空アーク溶解を行う場合、凝固組織が全域にわたって良好な炭素鋼または低合金鋼の鋼塊を製造するためにグロー放電の発生を防止するには、グロー放電と同時に生じている真空度の瞬間的な悪化に着目し、この真空度の悪化を引き起こす要因である炭酸ガスの生成を抑制するために、酸素含有率の低い消耗電極を使用するとともに、評価酸素濃度なる指標を新たに規定して、溶解を行うのが有効であることを見出した。
【0032】
本発明は、以上の検討結果に基づき、上記の通りに規定したものである。
【0033】
本発明では、電気炉のみを用いて、C含有率が0.1〜0.5質量%、およびAl含有率が0.01〜0.02質量%の範囲に調整され、酸素含有率Oaが0.0020質量%未満に制限された炭素鋼または低合金鋼の消耗電極を製造し、この消耗電極を真空アーク溶解して炭素鋼または低合金鋼の鋼塊を製造する。ここで設定したCおよびAlの含有率は、酸素含有率Oaを0.0020質量%未満に調整することが可能な範囲である。この範囲を外れると、消耗電極中の酸素含有率Oaの制限値(0.0020質量%未満)が平衡酸素濃度O0の変動に伴い変化する可能性がある。
【0034】
一般に、消耗電極の製造を電気炉で行った場合、製造された消耗電極中の酸素濃度は0.0020質量%以上となる。本発明で規定するように、消耗電極中の酸素含有率Oaを0.0020質量%未満に調整するには、電気炉で簡易な酸素低減処理を施せばよい。この酸素低減処理としては、例えば、電気炉で通常の成分調整が終了した後、溶鋼に0.01〜0.03質量%程度のAlを投入して1分以上の撹拌を施し、その後に、15分以上静止させ、これにより生成した脱酸介在物を浮上させて除去すればよい。
【実施例】
【0035】
本発明の方法による効果を確認するため、電気炉のみを用いて、C含有率が0.1〜0.5質量%、およびAl含有率が0.01〜0.02質量%の範囲内であり、酸素含有率Oaが種々異なる炭素鋼または低合金鋼の消耗電極を20本作製し、各消耗電極についてVAR炉を用いて真空アーク溶解する試験を行った。
【0036】
各消耗電極の重量は1本あたり10トンとし、1本全てを溶解する際の真空度の悪化およびグロー放電の発生に関して評価した。具体的には、チャンバー内の圧力を0.02〜1Paの範囲内で一定値に設定して溶解を行い、その際に、チャンバー内の圧力が瞬間的に倍以上上昇した回数を調査し、その回数を真空度の悪化回数として評価した。また、消耗電極と鋳型との間にかかる電圧が急激に低下して、その電圧低下時間が5秒以上継続した回数を調査し、その回数をグロー放電の発生回数として評価した。ここで、グロー放電の発生を5秒以上の電圧低下時間で判定したのは、5秒を超えない時間ではグロー放電と判断するのが難しいからである。なお、平衡酸素濃度は、真空アーク溶解時の真空度が十分低いことから上記(2)式で計算した。
【0037】
表1に、消耗電極の代表組成、溶解条件、および試験結果をまとめて示す。
【0038】
【表1】

【0039】
表1に示す結果から、本発明例のNo.11〜20では、使用した消耗電極中の酸素含有率Oaが0.0020質量%未満であり、評価酸素濃度(Oa−O0)が0.0019質量%以下で上記(1)式を満足し、いずれも本発明で規定する条件を満たすため、その条件を満たさない比較例のNo.1〜10と比較して、溶解時に真空度の悪化がほとんど発生していないことがわかる。また、真空度の悪化回数の減少に伴って、溶解時にグロー放電の発生回数が減少していることもわかる。これは、消耗電極中の酸素含有率を低減したことにより、溶解時にC−O反応に起因して発生する炭酸ガスの量が減少したためと考えられる。
【0040】
本発明例のNo.11〜20では、グロー放電の発生回数が最大でも1回であり、このことから、本発明の鋼塊の製造方法を採用すれば、グロー放電に起因する異常な凝固組織はほぼ発生していないことが明らかである。
【産業上の利用可能性】
【0041】
本発明の真空アーク溶解時のグロー放電防止方法によれば、電気炉のみで製造した消耗電極を用い、溶解時にグロー放電の発生を防止することができ、その結果として、凝固組織が全域にわたって良好な鋼塊を製造することが可能になる。従って、本発明の真空アーク溶解時のグロー放電防止方法は、優れた品質の鋼塊を安価に製造できる点で極めて有用である。
【符号の説明】
【0042】
1:鋼塊、 2:溶湯(溶湯プール)、 3:消耗電極、
4:鋳型(水冷銅モールド)、 5:チャンバー(真空容器)、
6:ジャケット、 7:冷却水給水口、 8:冷却水排水口、
9:排気口、 10:スティンガーロッド

【特許請求の範囲】
【請求項1】
真空アーク溶解法により消耗電極を溶解して鋼塊を製造するに際し、
Cを0.1〜0.5質量%、およびAlを0.01〜0.02質量%含有する炭素鋼または低合金鋼の消耗電極を電気炉のみで製造し、
消耗電極中の酸素含有率Oa[質量%]、および消耗電極中のCと酸素による炭酸ガス生成反応における平衡酸素濃度O0[質量%]が下記(1)式を満足する条件で真空アーク溶解を行うことを特徴とする真空アーク溶解時のグロー放電防止方法。
a−O0≦0.0019[質量%] ・・・(1)

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2012−167324(P2012−167324A)
【公開日】平成24年9月6日(2012.9.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−29050(P2011−29050)
【出願日】平成23年2月14日(2011.2.14)
【出願人】(000002118)住友金属工業株式会社 (2,544)
【Fターム(参考)】