説明

真空ポンプ

【課題】 ポンプ本体と制御装置とを一体化した真空ポンプにおける、制御装置内部の結露を抑制すること。
【解決手段】 ベース3の底部(ステータコラム21の底部)に、ポンプ本体を冷却するための冷却管26を配設する。そして、この冷却管26による冷却の影響を受けないようにするために、制御装置24を断熱部材27を介してポンプ本体に取り付ける。このように断熱部材27を配設することにより、ポンプ本体と制御装置24とを熱的に絶縁することができる。そのため、ポンプ本体が冷却管26の作用で露点以下まで冷却される場合であっても、制御装置24の内部の温度は低下することがない。従って、制御装置24内において、大きな温度差が生じる状態を回避することができる。これにより制御装置24内の結露の発生を抑制することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、真空容器の排気処理を行う真空ポンプに関する。
【背景技術】
【0002】
半導体製造装置、電子顕微鏡、表面分析装置、微細加工装置などで用いられる真空装置等の排気処理を行う真空ポンプとして多用されるものに分子ポンプがある。
この高真空の環境を実現することができる分子ポンプは、吸気口および排気口を有し外装体を形成するケーシングを備えている。そして、このケーシングの内部には、当該分子ポンプに排気機能を発揮させる構造物が収納されている。この排気機能を発揮させる構造物は、大きく分けて回転自在に軸支された回転部(ロータ部)とケーシングに対して固定された固定部(ステータ部)から構成されている。
【0003】
回転部は、回転軸およびこの回転軸に固定されている回転体からなり、回転体には、放射状にかつ多段に配設されたロータ翼が設けられている。また、固定部には、ロータ翼に対して互い違いにステータ翼が多段に配設されている。
分子ポンプには、回転軸を高速回転させるためのモータが設けられており、このモータの働きにより回転軸が高速回転すると、ロータ翼とステータ翼との作用により気体が吸気口から吸引され、排気口から排出されるようになっている。
このように構成されたポンプ本体は、制御装置(コントロールユニット)によって各種動作が制御されている。
【0004】
ところで近年では、真空ポンプ装置の小型化、装置の管理工数の低減、またポンプ本体と制御装置を接続する専用ケーブルの削減が要求されている。
そこで、下記の特許文献1に開示されているような、真空ポンプ本体と制御装置とを一体化した真空ポンプが提案されている。
【0005】
【特許文献1】特開平11−173293号公報
【0006】
特許文献1には、ポンプ本体を制御装置と嵌合させて一体化し、さらに、ポンプ本体および制御装置と密着するように冷却ジャケットを配設した真空ポンプが提案されている。
このように冷却ジャケットを配設することにより、ポンプ本体と制御装置の冷却を同時に行うことができる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1に示すような冷却装置を用いて真空ポンプの排熱を行う場合には、温度差により冷却装置の表面(冷却箇所)に結露が発生してしまうおそれがある。このような結露が制御装置内部に発生してしまうと、制御回路に不具合を生じるおそれがある。
そこで、本発明は、ポンプ本体と制御装置とを一体化した真空ポンプにおける、制御装置内部の結露を抑制することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1記載の発明は、吸気口から吸い込まれた気体を排気口まで移送する気体移送機構を内包するポンプ本体と、前記ポンプ本体に配設され、前記ポンプ本体を冷却する冷却手段と、前記ポンプ本体に断熱手段を介して装着され、前記ポンプ本体を制御する制御回路を内包する制御装置と、を備えることにより前記目的を達成する。
【0009】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明において、前記断熱手段は、熱抵抗が高い部材または隙間によって形成されている。
なお、前記熱抵抗が高い部材としては、例えば、発泡部材やセラミック部材を用いることが好ましい。
【0010】
請求項3記載の発明は、請求項1または請求項2記載の発明において、前記制御回路は、自己損失により高温に熱せられる発熱素子を搭載し、前記制御装置の筐体は、熱伝導率の高い金属により形成され、前記発熱素子は、前記制御装置の筐体と内接して配設されている。
なお、前記発熱素子は、例えば、前記ポンプ本体と前記制御装置との接合部から離れた位置に配置することが好ましい。
また、前記制御装置の筐体は、例えば、銅やアルミニウム、アルミニウム合金など熱伝導率の高い金属によって形成されていることが好ましい。
【0011】
請求項4記載の発明は、請求項3記載の発明において、前記制御装置の筐体を空冷する空冷手段を備える。
なお、空冷手段としては、例えば、ファン(送風機)を用いることが好ましい。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、ポンプ本体と制御装置との間に断熱手段を介在させることにより、ポンプ本体と制御装置とを熱的に絶縁することができる。これにより、ポンプ本体の冷却手段によって制御装置が過度に冷却されることを避けることができるため、制御装置内部の結露の発生を抑制することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明の好適な実施の形態について、図1を参照して詳細に説明する。本実施の形態では、真空ポンプの一例として分子ポンプを用いて説明する。
図1は、本実施形態に係る分子ポンプ1の概略構成を示した図である。なお、図1は、分子ポンプ1の軸線方向の断面図を示している。
本実施形態では、分子ポンプの一例としてターボ分子ポンプ部Tとねじ溝式ポンプ部Sを備えた、いわゆる複合翼タイプの分子ポンプを例にとり説明する。
なお、分子ポンプ1には、高速回転するロータ部と、固定したステータ部との排気作用により、排気機能を発揮する真空ポンプであって、ターボ分子ポンプ、ねじ溝式ポンプ、あるいはこれら両方の構造を合わせ持ったポンプなどがある。
【0014】
分子ポンプ1の外装体を形成するケーシング2は、円筒状の形状をしており、ケーシング2の底部に設けられたベース3と共に分子ポンプ1の外装体を構成している。そして、分子ポンプ1の外装体の内部には、分子ポンプ1に排気機能を発揮させる構造物つまり気体移送機構が収納されている。
これら排気機能を発揮する構造物は、大きく分けて回転自在に軸支されたロータ部4とケーシング2に対して固定されたステータ部から構成されている。
また、吸気口5側がターボ分子ポンプ部Tにより構成され、排気口6側がねじ溝式ポンプ部Sから構成されている。
【0015】
ロータ部4には、シャフト7の軸線に垂直な平面から所定の角度だけ傾斜してシャフト7から放射状に伸びたブレードからなるロータ翼8が吸気口5側(ターボ分子ポンプ部T)に設けられている。なお、ロータ部4は、ステンレスやアルミニウム合金などの金属により構成されている。
さらに、ロータ部4には、外周面が円筒形状をした部材からなる円筒部材9が排気口6側(ねじ溝式ポンプ部S)に設けられている。
また、分子ポンプ1には、ロータ翼8が軸線方向に複数段形成されている。
【0016】
シャフト7は、円柱部材の回転軸(ロータ軸)である。シャフト7の上端にはロータ部4が複数のボルト10により取り付けられている。
シャフト7の軸線方向中程には、シャフト7を回転させるモータ部11が配設されている。
また、モータ部11の吸気口5側および排気口6側には、シャフト7をラジアル方向に軸支するための磁気軸受部12および磁気軸受部13が設けられている。
さらに、シャフト7の下端には、シャフト7を軸線方向(スラスト方向)に軸支するための磁気軸受部14が設けられている。
なお、シャフト7は、磁気軸受部12、13、14から構成される5軸制御型の磁気軸受によって非接触で支持されている。
また、磁気軸受部12、13の近傍には、それぞれ変位センサ15、16が形成されており、シャフト7のラジアル方向の変位が検出できるようになっている。さらに、シャフト7の下端には変位センサ17が形成されており、シャフト7の軸線方向の変位が検出できるようになっている。
【0017】
ケーシング2の内周側には、ステータ部が形成されている。このステータ部は、吸気口5側(ターボ分子ポンプ部T)に設けられたステータ翼18と、排気口6側(ねじ溝式ポンプ部S)に設けられたねじ溝スペーサ19などから構成されている。
ステータ翼18は、シャフト7の軸線に垂直な平面から所定の角度だけ傾斜してケーシング2の内周面からシャフト7に向かって伸びたブレードから構成されている。ターボ分子ポンプ部Tでは、これらステータ翼18が軸線方向に、ロータ翼8と互い違いに複数段形成されている。各段のステータ翼18は、円筒形状をしたスペーサ20により互いに隔てられている。
【0018】
ねじ溝スペーサ19は、内周面にらせん溝が形成された円柱部材である。ねじ溝スペーサ19の内周面は、所定のクリアランス(間隙)を隔てて円筒部材9の外周面に対面するようになっている。ねじ溝スペーサ19に形成されたらせん溝の方向は、らせん溝内をロータ部4の回転方向にガスが輸送された場合、排気口6に向かう方向である。らせん溝の深さは排気口6に近づくにつれ浅くなるようになっている。そして、らせん溝を輸送されるガスは排気口6に近づくにつれて圧縮されるようになっている。
これらステータ部はステンレスやアルミニウム合金などの金属を用いて構成されている。
ベース3は、ケーシング2と共に分子ポンプ1の外装体を構成している。ベース3のラジアル方向の中央には、ロータの回転軸線と同心に円筒形状を有するステータコラム21が取り付けられている。
【0019】
ベース3の底部(ステータコラム21の開口部)に裏蓋22が取り付けられている。裏蓋22には、分子ポンプ1の内部配線を引き出すためのコネクタ部23が設けられている。
なお、ケーシング2、ベース3および裏蓋22を外装体とする領域(部分)、即ち、気体移送機構が構成されている部分をポンプ本体とする。
本実施の形態に係る分子ポンプ1は、このポンプ本体を制御するための制御装置24がポンプ本体に装着されている。つまり、ポンプ本体と制御装置24が一体化されている。
制御装置24は、ベース3の底部(ステータコラム21の開口部)、即ち裏蓋22と対向する領域に配設されている。
【0020】
ねじ溝式ポンプ部Sの外周部には、ベース3を周方向に囲むようにベーキングヒータ25が装着されている。
ベーキングヒータ25は、ニクロム線などの電熱部材によって構成され、温度コントローラによって電力を供給される。ベーキングヒータ25は、電力を供給されると発熱し、ねじ溝式ポンプ部Sを加熱するようになっている。
吸気口5から吸入されたガスは、ターボ分子ポンプ部Tを移送する間に冷却されるため、ねじ溝式ポンプ部Sに移送される時には、ガスの温度は下がってしまう。一方、ガスの圧力は、ねじ溝式ポンプ部Sに移送される時には、高くなっている。つまり、ねじ溝式ポンプ部Sに移送されるガスは、低温かつ高圧力状態となっている。従って、ねじ溝式ポンプ部Sは、移送されるガスによる固体生成物が析出しやすい状態となっている。
そこで、ねじ溝スペーサ19で移送されるガスによる固体生成物の析出を抑制するために、ベーキングヒータ25を用いてねじ溝式ポンプ部Sを高温に保つようにしている。
【0021】
また、分子ポンプ1の稼働中は、ロータ部4が高速回転し、ロータ翼8やステータ翼18のブレードが、圧縮熱等によって高温になったプロセスガスを受ける。そして、これらの圧縮熱等を受けて、ロータ翼8やステータ翼18のブレードの温度が上昇する。
また、分子ポンプ1は、モータ部11から発生する熱などにより加熱されて高温状態となる。
このようにポンプ本体は、気体分子の衝突熱(圧縮熱)やモータ部11からの発熱、ベーキングヒータ25による加熱などにより高温状態となっている。
【0022】
上述したようなポンプ本体における高温の熱が制御装置24に伝達してしまうと、制御装置24の内部の回路(制御回路)に不具合を来すおそれがある。つまり、制御装置24の内部回路が熱の影響を受けて動作不良を起こすおそれがある。
そこで、制御装置24が受けるポンプ本体の熱の影響を低減させるために、ベース3の底部(ステータコラム21の底部)には、冷却管26が配設されている。なお、ここでは、ポンプ本体の構成としてこの冷却管26を含んでいる。
冷却管26は、チューブ状(管状)の部材からなる。冷却管26は、内部に熱媒体である冷却材を流し、この冷却材に熱を吸収させるようにして冷却管26周辺の冷却を行うための部材である。
冷却管26に冷却材を流すことによって、裏蓋22、ステータコラム21をはじめとする冷却管26の周辺部が強制的に冷却される。この冷却効果によって、ポンプ本体の冷却を図ることによる、ポンプ本体から制御装置24へ伝達する熱を低減(抑制)することができる。
【0023】
上述した冷却管26は、熱抵抗の低い部材つまり熱伝導率の高い部材、例えば、銅やステンレス鋼などによって構成されている。
また、冷却管26に流す冷却材、つまり物体を冷却するための流体は、液体であっても気体であってもよい。液体の冷却材としては、例えば、水、塩化カルシウム水溶液やエチレングリコール水溶液などを用いることができる。気体の冷却材としては、例えば、アンモニア、メタン、エタン、ハロゲン、ヘリウムガスや炭酸ガス、空気などを用いることができる。
なお、本実施形態では、冷却管26をベース3の底部(ステータコラム21の底部)に配設されているが、冷却管26の配設位置はこれに限られるものではない。例えば、ベース3やステータコラム21、裏蓋22の内部に直接埋め込むように設けてもよい。
このような場合には、分子ポンプ1内の気密性を十分に保持することができるような構造(シール構造)を別途設けるようにする。
【0024】
本実施形態では、ポンプ本体から制御装置24へ伝達する熱を効率的に低減するために、冷却管26をポンプ本体と制御装置24との間に配設している。
ところが、本実施形態のように冷却管26を用いて、部分的に強制冷却を施した場合には、冷却箇所に結露が発生してしまうおそれがある。
この結露とは、冷却部(冷却面)が露点(相対湿度が100%となる温度)以下になるとその冷却面の上に水滴が出現する現象である。
このような結露が制御装置24内に発生すると、制御回路に不具合を生じるおそれがある。
【0025】
そこで、本実施形態では、制御装置24内の結露を抑制するために、制御装置24は、断熱部材27を介してポンプ本体に取り付けられている。即ち、ポンプ本体と制御装置24との間に断熱部材27が配設されている。
断熱部材27は、制御装置24がポンプ本体に取り付けられた際にポンプ本体に接触する部位(領域)に配設されている。
断熱部材27は、発泡材やセラミックなど熱抵抗が高い材料、即ち熱伝導率の小さい材料によって構成されている。
また、制御装置24をポンプ本体に密着させずに、隙間(ギャップ)を介して取り付けるようにしてもよい。この場合、ポンプ本体と制御装置24との間の隙間が断熱部材27として機能(作用)する。
【0026】
このように断熱部材27を配設することにより、ポンプ本体と制御装置24とを熱的に絶縁(分離)することができる。つまり、断熱部材27を設けることにより、制御装置24が受ける冷却管26による冷却の影響を抑制(低減)することができる。
これにより、ポンプ本体と制御装置24との間に急な温度差を緩衝できるため、制御装置24の内部が露点以下まで冷却されるような状態になることを回避することができる。従って、制御装置24内部における結露の発生を適切に抑制することができる。
なお、熱的に絶縁されているポンプ本体と制御装置24においては、それぞれ独立して(個別に)温度管理を行うようにする。
詳しくは、ポンプ本体においては、冷却管26に流す冷媒を調整したり、ベーキングヒータ25の設定温度を調整したりして、温度管理を行うようにする。
一方、制御装置24においては、内部に配設(配置)する素子の位置を調整したり、外部に冷却用のファンを設けたりして温度管理を行うようにする。なお、素子の配置位置の詳細については後述する。
【0027】
ここで、制御装置24内部に設けられている制御回路について説明する。
制御装置24内部には、モータ部11や磁気軸受部12〜14の駆動回路、電源回路などが設けられている。さらに、これら駆動回路を制御するための制御回路や分子ポンプ1の制御に用いられる各種情報の格納された記憶素子が搭載されている。
なお、記憶素子には、ポンプ情報として、例えば、ポンプの運転時間、エラーの履歴、温度制御の設定温度等の情報(データ)が格納されている。
一般に電子回路で用いられる電気部品(素子)には、信頼性を考慮した環境温度が設定されている。例えば、上述した記憶素子の環境温度は、概ね60℃程度となっている。なお、このような耐熱特性の低い素子を低耐熱素子と表現する。
【0028】
各電気部品は、分子ポンプ1の動作時において環境温度の設定値範囲内で使用しなければならない。
また、制御装置24内部に設けられている回路には、上述した低耐熱素子の他にも、素子内の損失(内部損失)により発熱する部品(パワー素子)も多数用いられている。例えば、モータ部11の駆動回路であるインバータ回路を構成するトランジスタ素子などがこれに相当する。
このような、自己発熱量が大きくなるような素子(以下、発熱素子28とする)においても、環境温度が設定されている。そのため、発熱素子28に対しては、発生した熱を排出するための放熱対策が必要となる。
【0029】
そこで、本実施形態では、図1に示すように、発熱素子28を制御装置24の筐体29と接触するように配設し、この筐体29から発熱素子28の放熱を行うようにしている。
詳しくは、発熱素子28のパッケージにおける表面積の広い部位を制御装置24の筐体29と接触させる。発熱素子28を接触させる位置は、制御装置24とポンプ本体との接合面から離れた位置とする。ここでは、制御装置24とポンプ本体との接合面と対向する面に発熱素子28を配設する。
また、筐体29は、アルミニウムや銅、アルミニウム合金などの熱伝導率の高い部材で構成することによって構成されている。これにより、発熱素子28の放熱効率を向上させることができる。
一方、自己発熱量の少ない素子や耐熱特性の低い素子は、ポンプ本体と制御装置24との接合部近傍、即ち、発熱素子28から離れた位置に配置するようにする。このような位置に配置することにより、発熱素子28の熱の影響を避けることができる。
【0030】
発熱素子28の放熱効率を向上させるために、ファン(送風機)を用いて筐体29を外部から強制的に空冷するようにしてもよい。なお、筐体29を冷却する場合には、制御装置24内部の結露の発生を抑制するために、過度の冷却を行うことはしない。
また、発熱素子28と筐体29との接触面にシリコングリースを塗布したり、また、シリコンシートを配設したりすることが望ましい。このように、発熱素子28と筐体29との接触面に熱伝導率の高い部材を用いることにより、より発熱素子28の放熱効率を向上させることができる。
本実施形態では、制御装置24内の発熱素子28を、制御装置24とポンプ本体との接合面から離れた位置(熱伝導的かつ距離的に離れた位置)に配設している。これにより、制御装置24とポンプ本体との接合面に急な温度差が生じる状態を回避することができる。従って、制御装置24内部における結露の発生を適切に抑制することができる。
【0031】
本実施形態によれば、ポンプ本体と制御装置24との間に断熱部材27を配設することにより、ポンプ本体と制御装置24との接合部位に大きな温度差が生じることがない。これにより、制御装置24内部における結露の発生を抑制することができる。
また、本実施形態によれば、ポンプ本体と制御装置24において、それぞれ独立して(個別に)温度管理をすることにより、制御装置24の冷却によるポンプ本体の熱利用効率を低下させることがない。即ち、制御装置24の冷却がベーキングヒータ25の加熱処理に影響を与えることがない。
本実施形態によれば、制御装置24において発熱素子28を放熱効率を考慮した部位、即ち、放熱がされやすい部位に配置することにより、複雑な冷却装置を用いることなく、制御装置24における素子の放熱処理を適切に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】本実施形態に係る分子ポンプの概略構成を示した図である。
【符号の説明】
【0033】
1 分子ポンプ
2 ケーシング
3 ベース
4 ロータ部
5 吸気口
6 排気口
7 シャフト
8 ロータ翼
9 円筒部材
10 ボルト
11 モータ部
12、13、14 磁気軸受部
15、16、17 変位センサ
18 ステータ翼
19 ねじ溝スペーサ
20 スペーサ
21 ステータコラム
22 裏蓋
23 コネクタ部
24 制御装置
25 ベーキングヒータ
26 冷却管
27 断熱部材
28 発熱素子
29 筐体
S ねじ溝式ポンプ部
T ターボ分子ポンプ部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
吸気口から吸い込まれた気体を排気口まで移送する気体移送機構を内包するポンプ本体と、
前記ポンプ本体に配設され、前記ポンプ本体を冷却する冷却手段と、
前記ポンプ本体に断熱手段を介して装着され、前記ポンプ本体を制御する制御回路を内包する制御装置と、
を備えることを特徴とする真空ポンプ。
【請求項2】
前記断熱手段は、熱抵抗が高い部材または隙間によって形成されていることを特徴とする請求項1記載の真空ポンプ。
【請求項3】
前記制御回路は、自己損失により高温に熱せられる発熱素子を搭載し、
前記制御装置の筐体は、熱伝導率の高い金属により形成され、
前記発熱素子は、前記制御装置の筐体と内接して配設されていることを特徴とする請求項1または請求項2記載の真空ポンプ。
【請求項4】
前記制御装置の筐体を空冷する空冷手段を備えることを特徴とする請求項3記載の真空ポンプ。

【図1】
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