真空加熱接合装置及び真空加熱接合方法
【課題】真空中で接着層に空気の混入を防止しながら、微小な押圧力の調節を可能にして、適度な加圧下で接着剤がはみ出すのを極力抑え良好な厚みの接着層を形成し、素子を基板に真空加熱接合する。
【解決手段】駆動ユニットによって上枠部材12の下端部を下板部材6の周辺部に気密に摺動シールさせて内部に真空隔壁を形成し、加圧剥離フィルムを素子の上面に接触させ大気圧加熱下に軟化させ、真空チェンバー内を真空引きし、さらに下板部材6と中間部材10とを近接する方向に相対移動することによって、加圧剥離フィルムの外周部を下板部材6の基板置台上面と内方枠体13の下面との間に気密に保持した状態とし、真空チェンバー中の加圧剥離フィルム上方空間に大気圧あるいは大気圧より高い圧力をかけて、加圧剥離フィルムを基板及び素子の外表面に密着させて、素子を基板に接合する、真空加熱接合装置。
【解決手段】駆動ユニットによって上枠部材12の下端部を下板部材6の周辺部に気密に摺動シールさせて内部に真空隔壁を形成し、加圧剥離フィルムを素子の上面に接触させ大気圧加熱下に軟化させ、真空チェンバー内を真空引きし、さらに下板部材6と中間部材10とを近接する方向に相対移動することによって、加圧剥離フィルムの外周部を下板部材6の基板置台上面と内方枠体13の下面との間に気密に保持した状態とし、真空チェンバー中の加圧剥離フィルム上方空間に大気圧あるいは大気圧より高い圧力をかけて、加圧剥離フィルムを基板及び素子の外表面に密着させて、素子を基板に接合する、真空加熱接合装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体、抵抗及び/又はコンデンサー等の素子を基板上に接合、またはその基板と放熱板の接合およびインプリント転写またはITO膜などのフィルムシートの接合または成型するための真空加熱接合装置及び真空加熱接合方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体、抵抗及び/又はコンデンサー等の素子を基板上に接合または封止する場合には、目的によって異なるが基板と素子の間に絶縁性接着剤あるいは導電性接着剤を用いて接合している。接合の際、接着層を強い押し圧でプレス加圧すると接着剤がはみ出して、形成される絶縁層または導電層の接着容量が不足し性能を悪化させる。
【0003】
本出願人は、先に薄板状基材の所定の位置に半導体、コンデンサー、抵抗等の薄型素子を固定したパッケージ基板に、熱硬化性接着剤からなる保護シートを被覆するために用いる薄板状被加工部材用ホットプレス加工装置を提案した。特許文献1参照。
【0004】
本発明者らは、素子を基板上に接合または封止するために、図6(a)に示す薄板状被加工部材用ホットプレス加工装置を用いて、接着剤がはみ出すのを防止できるかどうかを検討した。本装置を用いて、図6(b)に示すように、上枠部材の下端部底面を下枠部材の上端部上面に当接させ、耐熱伸縮性膜部材を垂れ防止して実質的に水平に保持した状態で、耐熱伸縮性膜部材の下面を下型部材上の基板及びその上の素子の上面に当接させ、上部ヒータ板及び下ヒータ板により被加工部材を予熱し、熱媒体充填空間内の熱媒体に圧力をかけて、耐熱伸縮性膜部材を外周半径方向外方に拡がるのを防止しつつ、耐熱伸縮性膜部材により素子を基板上に封入した。しかしながら、期待に反して、接着剤がはみ出ることを極力少なくして素子を基板上に良好に接合または封止することが難しかった。
また、封止シートを用いて予め接着固定した素子付き基板に素子を封止接合する場合に、均一な厚さで封止接合することが難しく、封止コーナーが破損したり封止不良を起こす場合もあった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第4176817
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、真空中で接着層に空気の混入を防止しながら、微小な押圧力の調節を可能にして、適度な加圧下で接着剤がはみ出ることを極力少なくして、素子を基板上に良好な厚さの接着層によって接合または封止することを可能とする真空加熱接合装置及び方法を提供することを目的とする。
さらに、基板と素子を封止シートによって封止接合する場合に、真空中でシール層(接合層)への空気の混入を防止しながら、微小な押圧力の調節を可能にして、適度な加圧下で、シール層の厚さを均一にして素子を基板上に良好に封止・接合することを可能とする真空加熱接合装置及び方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(1) 本発明は、上記課題を解決するため、基板上に素子を真空加熱接合するための真空加熱接合装置を提供するもので、該真空加熱接合装置は、
(a)基台と、
(b)基台上に配置された加圧シリンダ下板と、
(c)加圧シリンダ下板の上方に断熱配置された下ヒータ板と、
(d)下ヒータ板上面に配置された下板部材と、
(e)基台上に立設された支柱と、
(f)支柱上部に固定された加圧シリンダ上板と、
(g)加圧シリンダ上板の下方に配置された中間部材と、
(h)中間部材の下方に断熱配置された上部ヒータ板と、
(i)上部ヒータ板の下面に気密に配置され下端部が下板部材の周辺部に気密にシール可能とされた上枠部材と、
(j)上枠部材の内方で上部ヒータ板の下面に取り付けられかつ下端面が下板部材の上面の上方に位置し、かつ近接・当接させることによって下端面と基板置台の上面とが気密に当接する内方枠体と、
(k)下板部材と中間部材とを近接する方向に相対移動させ、上枠部材の下端部を下板部材の周辺部に気密に摺動シールさせて真空チェンバーを画成する真空隔壁を形成し、下板部材と中間部材とをさらに近接する方向に相対移動させることによって内方枠体の下端面を基板置台の上面に気密に当接させ、また下板部材と中間部材とを離間する方向に相対移動させる駆動ユニットと、
(l)該真空隔壁内の真空チェンバーを真空脱気し加圧するための真空・加圧口とを有する真空加熱接合装置であって、
(m)駆動ユニットによって下板部材と中間部材とを離間する方向に相対移動させ真空チェンバーを開いた状態とし、
(n)基板を基板置台上面に配置し、接着剤を介して基板の上面に素子を配置し、加圧剥離フィルムを素子の上面または上方にかつ基板の上方かつ外方に迄延在させて配置し、かつ加圧剥離フィルムの外周部と内方枠体の下面を基板の外方で対面配置し、
(o)駆動ユニットによって下板部材と中間部材とを近接する方向に相対移動することによって、上枠部材の下端部を下板部材の周辺部に気密に摺動シールさせて内部に真空チェンバーを画成する真空隔壁を形成し、
(p)加圧剥離フィルムを素子の上面に接触させ大気圧加熱下に軟化させ、
(q)真空チェンバー内を真空・加圧口を通して真空引きをし、
(r)駆動ユニットによってさらに下板部材と中間部材とを近接する方向に相対移動することによって、加圧剥離フィルムの外周部を基板置台の上面と内方枠体の下面との間に気密に保持した状態とし、
(s)この状態で真空チェンバー中の加圧剥離フィルム上方空間に真空・加圧口を通して大気圧あるいは大気圧より高い圧力をかけて、加圧剥離フィルムを基板及び素子の外表面に密着させ、素子を基板に接合する、真空加熱接合装置である。
【0008】
(2) 本発明は、上記課題を解決するため、素子付き基板の素子を基板に真空加熱封止接合するための真空加熱接合装置を提供するもので、該真空加熱接合装置は、
(a)基台と、
(b)基台上に配置された加圧シリンダ下板と、
(c)加圧シリンダ下板の上方に断熱配置された下ヒータ板と、
(d)下ヒータ板上面に配置された下板部材と、
(e)基台上に立設された支柱と、
(f)支柱上部に固定された加圧シリンダ上板と、
(g)加圧シリンダ上板の下方に配置された中間部材と、
(h)中間部材の下方に断熱配置された上部ヒータ板と、
(i)上部ヒータ板の下面に気密に配置され下端部が下板部材の周辺部に気密にシール可能とされた上枠部材と、
(j)上枠部材の内方で上部ヒータ板の下面に取り付けられかつ下端面が下板部材の上面の上方に位置し、かつ近接・当接させることによって下端面と基板置台の上面とが気密に当接する内方枠体と、
(k)下板部材と中間部材とを近接する方向に相対移動させ、上枠部材の下端部を下板部材の周辺部に気密に摺動シールさせて真空チェンバーを画成する真空隔壁を形成し、下板部材と中間部材とをさらに近接する方向に相対移動させることによって内方枠体の下端面を基板置台の上面に気密に当接させ、また下板部材と中間部材とを離間する方向に相対移動させる駆動ユニットと、
(l)該真空隔壁内の真空チェンバーを真空脱気し加圧するための真空・加圧口とを有する真空加熱接合装置であって、
(m)駆動ユニットによって下板部材と中間部材とを離間する方向に相対移動させ真空チェンバーを開いた状態とし、
(n)基板上に素子を接着剤を介して基板上に予め接着・固定した素子付き基板を基板置台上面に配置し、素子付き基板を封止するための封止シートを素子の上面にかつ素子と加圧剥離フィルムとの間でかつ素子の外方に迄延在させて配置し、加圧剥離フィルムを封止シートの上面または上方にかつ基板の上方かつ外方に迄延在させて配置し、かつ加圧剥離フィルムの外周部と内方枠体の下面を基板の外方で対面配置し、
(o)駆動ユニットによって下板部材と中間部材とを近接する方向に相対移動することによって、上枠部材の下端部を下板部材の周辺部に気密に摺動シールさせて内部に真空チェンバーを画成する真空隔壁を形成し、
(p)加圧剥離フィルムを素子上面において封止シートの上面に接触させ大気圧加熱下に軟化させ、
(q)真空チェンバー内を真空・加圧口を通して真空引きをし、
(r)駆動ユニットによってさらに下板部材と中間部材とを近接する方向に相対移動することによって、加圧剥離フィルムの外周部を基板置台の上面と内方枠体の下面との間に気密に保持した状態とし、
(s)この状態で真空チェンバー中の加圧剥離フィルム上方空間に真空・加圧口を通して大気圧あるいは大気圧より高い圧力をかけて、加圧剥離フィルムと封止シートを基板及び素子に密着させ、素子を基板に封止接合する、真空加熱接合装置である。
【0009】
以下に、本発明の好ましい実施態様を挙げる。
(3)基板の上面には、複数の素子が配置されている、(1)あるいは(2)に記載の真空加熱接合装置。この場合、複数の素子は同一種類のものであっても、異なった種類のものであっても良い。
(4) 前記加圧剥離フィルムを素子の上面あるいは素子の上面の封止シート上にかつ基板の上方でかつ封止シートの外方に迄延在させて配置し、かつ加圧剥離フィルムの外周部と内方枠体の下面が対面するように配置される、(1)、(2)または(3)に記載の真空加熱接合装置。
(5)加圧剥離フィルムが内方枠部材の下端面に着脱可能に固定されている、(1)、(2)または(3)に記載の真空加熱接合装置。
【0010】
(6)基板置台の上面にかつ基板の周囲に加圧剥離フィルム挟み治具が配置され、加圧剥離フィルムの外周部が加圧剥離フィルム挟み治具に脱着可能に固定され、加圧剥離フィルム挟み治具を下板部材の上面にスプリングを介して通気可能な若干の隙間をもうけかつ基板の周囲に配置した状態で、加圧剥離フィルムが基板上の前記素子の上面あるいは上方に、あるいは素子の上面の封止シート上あるいは上方に配置され、駆動ユニットによって下板部材と中間部材とを近接する方向に相対移動することによって、上枠部材の下端部を下板部材の周辺部に気密に摺動シールさせて真空チェンバーを画成する真空隔壁を形成し、大気中加熱下に加圧剥離フィルムを軟化させた後、真空チェンバーを真空・加圧口を通して真空引きをし、駆動ユニットによってさらに下板部材と中間部材とを近接する方向に相対移動することによって、加圧剥離フィルム挟み治具を下板部材の上面に気密に摺動当接させ、加圧剥離フィルムと下板部材の上面との間の空間を真空保持させて、この状態で真空隔壁内の加圧剥離フィルム上方空間に真空・加圧口を通して大気圧あるいは大気圧より高い圧力をかけて、加圧剥離フィルムを基板及び素子の外表面に密着させる、(1)、(2)または(3)に記載の真空加熱接合装置。
【0011】
(7)中間板が加圧シリンダ上板の下方に支柱に対して摺動可能とされ、中間板の下面に上部ヒータ板を断熱固定し、加圧シリンダ上板の上方に駆動ユニットとして移動シリンダを設け、移動シリンダのシリンダロッドの下端部を加圧シリンダ上板を通って中間板に固定した、(1)〜(6)のいずれかに記載の真空加熱接合装置。
(8)スライドテーブルが基台上面に横方向移動可能に配置され、下ヒータ板がスライドテーブル上に断熱配置され、スライドテーブルを移動させるスライドテーブル移動手段が設けられ、上枠部材を上方に移動した状態でスライドテーブル移動手段によってスライドテーブル、下ヒータ板、下板部材を外部に取り出し、スライドテーブル移動手段によってスライドテーブル、下ヒータ板、下板部材を真空加熱接合装置内部の上枠部材下方に移動可能となっており、基板置台に基板、基板上に素子、素子上に加圧剥離フィルムを積層し、あるいは基板置台に素子付き基板、素子付き基板の素子上に封止シート、封止シート上に加圧剥離フィルムを積層し、スライドテーブル移動手段によってスライドテーブル、下ヒータ板、下板部材を真空加熱接合装置内部の上枠部材下方に移動し、かつ接合処理後の基板と素子と加圧剥離フィルム、あるいは封止シートによる封止接合処理後の素子付き基板と加圧剥離フィルムとを取り出すことを可能とする、(1)、(2)、(3)、(4)及び(7)のいずれかに記載の真空加熱接合装置。
【0012】
(9)スライドテーブルが基台上面に横方向移動可能に配置され、下ヒータ板がスライドテーブル上に断熱配置され、スライドテーブルを移動させるスライドテーブル移動手段が設けられ、上枠部材を上方に移動した状態でスライドテーブル移動手段によってスライドテーブル、下ヒータ板、下板部材を外部に取り出し、スライドテーブル移動手段によってスライドテーブル、下ヒータ板、下板部材を真空加熱接合装置内部の上枠部材下方に移動可能となっており、基板置台に基板、基板上に素子を積層し、あるいは基板置台上に素子付き基板、素子付き基板の素子上に封止シートを積層し、スライドテーブル移動手段によってスライドテーブル、下ヒータ板、下板部材を真空加熱接合装置内部の上枠部材下方に移動し、接合処理後の基板と素子、あるいは封止シートによる封止接合処理後の素子付き基板とを取り出すことを可能とする、(5)に記載の真空加熱接合装置。
【0013】
(10)スライドテーブルが基台上面に横方向移動可能に配置され、下ヒータ板がスライドテーブル上に断熱配置され、スライドテーブルを移動させるスライドテーブル移動手段が設けられ、上枠部材を上方に移動した状態でスライドテーブル移動手段によってスライドテーブル、下ヒータ板、下板部材を外部に取り出し、スライドテーブル移動手段によってスライドテーブル、下ヒータ板、下板部材を真空加熱接合装置内部の上枠部材下方に移動可能となっており、基板置台に基板、基板上に素子を積層し、あるいは基板置台に素子付き基板、素子付き基板の素子上に封止シートを積層し、基板置台の上面にかつ基板の周囲に加圧剥離フィルム挟み治具を配置し、スライドテーブル移動手段によってスライドテーブル、下ヒータ板、下板部材を真空加熱接合装置内部の上枠部材下方に移動し、かつ接合処理後の基板と素子、あるいは封止シートによるシール接合処理後の素子付き基板とを取り出すことを可能とする、(6)に記載の真空加熱接合装置。
【0014】
(11) 更に、本発明は基板上に素子を加熱接合する真空加熱接合方法であって、該真空加熱接合方法は、真空チェンバーを画成する真空隔壁を開いた状態で内部において、基板置台上に基板と、基板上に素子を配置し、加圧剥離フィルムを素子の上面あるいはその上方で、かつ基板の上方でかつ外方に迄延在させて配置し、真空隔壁を閉じて真空チェンバーを形成し内部に基板、素子、加圧剥離フィルムを閉じ込め、加圧剥離フィルムを素子上面に接触させた状態で、大気圧中で加圧剥離フィルムを加熱軟化させ、真空チェンバー中の加圧剥離フィルムの上下の空間を真空引きし、加圧剥離フィルムの外周部を基板の外方で基板置台上に気密に密着固定した後、真空チェンバー中の加圧剥離フィルムの上方空間を大気圧あるいは大気圧より高圧として、加圧剥離フィルムを基板及び素子の外表面に密着させ、基板と素子とを接合することを特徴とする。
【0015】
(12) 更に、本発明は素子付き基板を封止シートによって加熱封止接合する真空加熱接合方法であって、該真空加熱接合方法は、真空チェンバーを画成する真空隔壁を開いた状態で内部において、基板置台上に素子付き基板、素子付き基板の素子の上面に素子付き基板を封止するための封止シートを素子の外方に迄延在させて配置し、加圧剥離フィルムを封止シートの上面あるいはその上方で、かつ基板の上方でかつ封止シートの外方に迄延在させて配置し、真空隔壁を閉じて真空チェンバーを形成し内部に素子付き基板、加圧剥離フィルムを閉じ込め、加圧剥離フィルムを素子上面に接触させた状態で、大気圧中で加圧剥離フィルムを加熱軟化させ、真空チェンバー中の加圧剥離フィルムの上下の空間を真空引きし、加圧剥離フィルムの外周部を基板の外方で基板置台上に気密に密着固定した後、真空チェンバー中の加圧剥離フィルムの上方空間を大気圧あるいは大気圧より高圧として、加圧剥離フィルムを基板及び素子の外表面に密着させ、基板と素子とを接合することを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明に係る真空加熱接合装置及び方法によれば、以下の効果が得られる。
(1)封止シートを用いずに基板と素子を接合する場合は、加圧剥離フィルムを大気圧中で加熱軟化させ、真空引き後に加圧剥離フィルムの外表面を大気あるいは大気圧より高いガスによって加圧することによって、加圧剥離フィルムを基板と素子に緊密に密着させ、気泡のない所望の均一な接合層により基板と素子とを真空加熱接合することができる。
(2)素子付き基板を封止シートで封止接合する場合は、素子付き基板の外表面と封止シートとの間の気泡を除去し、封止シートと加圧剥離フィルムを大気圧中で加熱軟化させ、真空引き後に加圧剥離フィルムの外表面を大気あるいは大気圧より高いガスによって加圧することによって、封止シートと加圧剥離フィルムを素子付き基板に緊密に密着させ、気泡のない所望の均一な封止層により素子付き基板を真空加熱封止接合することができる。
(3)気体の圧力調整により微小の加圧調整ができるので、適度な押圧により適切な均一な厚みの接合層を基板と素子との間に形成し、それによって所望の接合容量が確保される。
(4)加熱されると軟化する加圧剥離フィルムあるいは加圧剥離フィルムと封止シートの特性を生かすことにより、複雑な加熱軟化油圧機構及び油圧回路が不要となるので、真空加熱接合装置の構成を簡略化できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】第1の実施態様の本発明に係る真空加熱接合装置の概略図を示す。
【図2(a)】第1の実施態様に係る本発明の真空加熱接合装置を用いて、加圧剥離フィルムにより素子を基板に真空加熱接合するためのセッティング工程を示す要部模式図である。
【図2(b)】第1の実施態様に係る本発明の真空加熱接合装置を用いて、加圧剥離フィルムにより素子を基板に真空加熱接合するための真空隔壁形成工程を示す要部模式図である。
【図2(c)】は、第1の実施態様に係る本発明の真空加熱接合装置を用いて、加圧剥離フィルムにより素子を基板に真空加熱接合するための加圧剥離フィルム押え工程を示す要部模式図である。
【図2(d)】は、第1の実施態様に係る本発明の真空加熱接合装置を用いて、加圧剥離フィルムにより素子を基板に真空加熱接合する素子接合工程を示す要部模式図である。
【図3(a)】第2の実施態様に係る本発明の真空加熱接合装置を用いて、加圧剥離フィルム及び封止シートにより素子付き基板の素子を基板に真空加熱封止接合するためのセッティング工程を示す要部模式図である。
【図3(b)】第2の実施態様に係る本発明の真空加熱接合装置を用いて、加圧剥離フィルム及び封止シートにより素子付き基板の素子を基板に真空加熱封止接合するための真空隔壁形成工程を示す要部模式図である。
【図3(c)】第2の実施態様に係る本発明の真空加熱接合装置を用いて、加圧剥離フィルム及び封止シートにより素子付き基板の素子を基板に真空加熱封止接合する加圧剥離フィルム押え工程を示す要部模式図である。
【図3(d)】第2の実施態様に係る本発明の真空加熱接合装置を用いて、加圧剥離フィルム及び封止シートにより素子付き基板の素子を基板に真空加熱封止接合するための素子接合工程を示す要部模式図である。
【図4(a)】第3の実施態様に係る本発明の真空加熱接合装置を用いて、内方枠体に固定した加圧剥離フィルムにより素子を基板に真空加熱接合あるいは加圧剥離フィルム及び封止シートにより素子付き基板の素子を基板に真空加熱封止接合するためのセッティング工程を示す要部模式図である。
【図4(b)】第3の実施態様に係る本発明の真空加熱接合装置を用いて、内方枠体に固定した加圧剥離フィルムにより素子を基板に真空加熱接合するあるいは加圧剥離フィルム及び封止シートにより素子付き基板の素子を基板に真空加熱封止接合するための真空隔壁形成工程を示す要部模式図である。
【図4(c)】第3の実施態様に係る本発明の真空加熱接合装置を用いて、内方枠体に固定した加圧剥離フィルムにより素子を基板に真空加熱接合するあるいは加圧剥離フィルム及び封止シートにより素子付き基板の素子を基板に真空加熱封止接合するための加圧剥離フィルム押え工程を示す要部模式図である。
【図4(d)】第3の実施態様に係る本発明の真空加熱接合装置を用いて、内方枠体に固定した加圧剥離フィルムにより素子を基板に真空加熱接合するあるいは加圧剥離フィルム及び封止シートにより素子付き基板の素子を基板に真空加熱封止接合するための素子接合工程を示す要部模式図である。
【図5(a)】第4の実施態様に係る本発明の真空加熱接合装置を用いて、下板部材上の加圧剥離フィルム挟み冶具に固定した加圧剥離フィルムにより素子を基板に真空加熱接合するためのセッティング工程を示す要部模式図である。
【図5(b)】第4の実施態様に係る本発明の真空加熱接合装置を用いて、加圧剥離フィルム挟み冶具に固定した加圧剥離フィルムにより素子を基板に真空加熱接合するための真空隔壁形成工程を示す要部模式図である。
【図5(c)】第4の実施態様に係る本発明の真空加熱接合装置を用いて、加圧剥離フィルム挟み冶具に固定した加圧剥離フィルムにより素子を基板に真空加熱接合するための加圧剥離フィルム押え工程を示す要部模式図である。
【図5(d)】第4の実施態様に係る本発明の真空加熱接合装置を用いて、加圧剥離フィルム挟み冶具に固定した加圧剥離フィルムにより素子を基板に真空加熱接合するための素子接合工程を示す要部模式図である。
【図6(a)】従来の薄板状被加工部材用ホットプレス加工装置を用いて、封止シートにより素子を基板に真空加熱接合するためのセッティング工程を示す説明図である。
【図6(b)】従来の薄板状被加工部材用ホットプレス加工装置を用いて、封止シートにより素子を基板に真空加熱接合するための素子接合工程を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
(第1の実施の形態)
図1に、第1の実施態様に係る本発明の真空加熱接合装置を示す。本真空加熱接合装置においては、基台1上に加圧シリンダ下板2が配置され、加圧シリンダ下板2の上にはスライド移動テーブル3がスライドシリンダ4によって真空加熱接合装置内外を移動可能に配置されている。スライド移動テーブル3の上方には、下ヒータ板5が断熱配置されており、下ヒータ板5の上面には下板部材6が配置され、下板部材の上面には基板置台7が置かれている。
【0019】
加圧シリンダ下板2の上には複数の支柱8が配置立設され、支柱8の上端部には加圧シリンダ上板9が固定されている。支柱8は基台1上に直接立設しても良い。加圧シリンダ上板9の下方には支柱8を通して中間移動部材(中間部材)10が配置されており、中間移動部材10の下方には断熱板を介して上ヒータ板11が固定され、上ヒータ板11の下面の外周部には上枠部材12が気密に固定され下方に延びている。また、上ヒータ板11の下面で上枠部材12の内方には内方枠体13が固定されている。上ヒータ板11はフィルムの軟化用のヒータとして機能し、下ヒータ板5は基板の予熱用あるいは接着剤熱硬化用のヒータとして機能する。
【0020】
内方枠体13は、下端部の枠状押え部13aとそれから上方に延びるロッド13bとを有し、ロッド13bの周りにはスプリングが配置され、ロッド13bは上ヒータ板11の下面に断熱固定されている。枠状押え部13aはロッド13bに対してスプリングにより下方に付勢され、上方へ移動可能となっており、枠状押え部13aが基板置台7に当接する場合の衝撃を緩衝する。内方枠体13の下端部の枠状押え部13aは、基板置台7との間に後述する加圧剥離フィルムを気密に保持するようになっている。
【0021】
加圧シリンダ上板9の上面には加圧シリンダ14が配置され、加圧シリンダ14のシリンダロッド15は加圧シリンダ上板9を通って中間移動部材10の上面に固定され、加圧シリンダ14によって、中間移動部材10と上ヒータ板11と上方枠体12とが上下に一体的に移動可能となっている。図1において、Sは、加圧シリンダ14による中間移動部材10と上ヒータ板11と上方枠体12の下方の移動を規制するストッパーであり、下降して加圧シリンダ本体の上面のストッパープレートに当接するようになっている。加圧シリンダとしては、油圧シリンダ、空圧シリンダ、サーボシリンダ等を用いることができる。以下、同様。
【0022】
加圧シリンダ14が上枠部材12を引き上げた状態から下降させ、上枠部材12の下端部が下板部材の外周部端部に設けた段差部に気密に摺動し、そこで一旦加圧シリンダ14を停止させ、その状態で上ヒータ板11と上枠部材12と下板部材6とによって真空隔壁が形成され、内部に真空チェンバーが画成される。なお、上枠部材12には真空チェンバーを真空引きし、加圧するための真空・加圧口16が設けられている。
【0023】
真空チェンバーを開いた状態で、スライドシリンダ4によって、スライド移動テーブル3、下ヒータ板5、下板部材6を一体として外部に引き出して、外部で基板置台7の上に基板Aを置き、その上に下面に接着剤Cを塗布した半導体、抵抗及び/又はコンデンサー等の素子Bを配置し、素子Bの上面に加圧剥離フィルムDを配置した後、スライドシリンダ4によってスライド移動テーブル3、下ヒータ板5、下板部材6、基板置台7、基板A、素子B、加圧剥離フィルムDを一体的に真空加熱接合装置内部に搬送することができるようになっている。
【0024】
本発明で用いる加圧剥離フィルムDは、大気圧中で加熱軟化され素子上面の縁部から外周部に向かって斜め下方に傾斜するような耐熱フィルムであって、加熱下に強度を保ちつつ伸びる性質を有する。本発明において、加熱温度としては、加圧剥離フィルムの軟化温度となるが、例えば、100〜300℃である。加圧剥離フィルムDの材質は耐熱性で軟化しやすい樹脂又はゴムとすることができ、厚さは加熱下に強度を保ちつつ伸びることを可能とするもので厚さ、例えば、30〜500μmとする。加圧剥離フィルムDとしては、耐熱離型フィルムを用いることができ、例えば、PET、オレフィン樹脂、フッ素ゴム、シリコーンゴムを用いることができる。
【0025】
図2(a)乃至図2(d)は、第1の実施態様に係る本発明に係る真空加熱接合装置を用いて、加圧剥離フィルムにより素子を基板に真空加熱接合する工程を示す要部模式図である。
(1)基板,素子,加圧剥離フィルムをセットする工程
図2(a)は、基板A,素子B,加圧剥離フィルムDをセットする工程を示す。本工程では、加圧シリンダによって下板部材6から中間移動部材10を離間する方向に移動させ真空チェンバーを開いた状態で、外部でスライド移動テーブル上において、基板Aを基板置台7の上面に配置し、基板Aの上面に接着剤Cを有する素子Bを配置し、加圧剥離フィルムDを素子Bの上面にかつ基板Aの上方かつ外方に迄延在させて配置し、かつ加圧剥離フィルムDの外周部は内方枠体13の下面が基板の外方で対面位置するように一体として配置し、スライドシリンダを稼働させて真空加熱接合装置の内部に導入する。接着剤については、素子Bに塗布する場合のほか、基板Aの面に付ける場合、あるいは基板及び素子の両方に付ける場合のいずれであっても良い。
【0026】
(2)真空隔壁形成、加圧剥離フィルムの軟化、真空引き工程
図2(b)は、真空隔壁を形成し内部に真空チェンバーを画成し、加圧剥離フィルムDを大気圧中で加熱・軟化した後、真空引きをする工程を示す。本工程では、加圧シリンダにより中間移動部材を下板部材6に近接する方向に移動させ、上枠部材12の下端部を下板部材6の周辺部に気密に摺動シールさせた状態で加圧シリンダを一時停止し、真空隔壁を形成し真空チェンバーを画成する。本実施態様では、下板部材6の周辺部には、上方枠部材12の下端部と気密に摺動シールする段差が設けられている。加圧剥離フィルムDを素子Bの上面に接触させた状態で大気圧中で加熱下に軟化させ、真空チェンバー内を真空・加圧口16を通して真空引きするとともに、接着剤Cに含まれている気泡を除去する。この時、図2(b)に示すように、加圧剥離フィルムDは素子Bの上面の縁部から外周縁部へと下方に傾斜し、外周部の最外縁部は内方部材の下端部13aの下面に対応する位置まで延び、基板置板7の上面に触れている。
【0027】
(3)加圧剥離フィルム押え工程
図2(c)は、真空中で加熱軟化した加圧剥離フィルムの外周部を内方部材11の下端部13aの下面で基板置台7の上面に気密に押える工程を示す。真空引きをしながら、加圧シリンダによってさらに上枠部材12を下板部材6に対して気密に摺動シールさせ、加圧シリンダ14のストットパーが加圧シリンダ本体のストッパープレート上面に当たり停止する。ストッパー停止位置は内方部材の下端部の下面を基板置台7の上面と気密当接する位置となる。この時、加圧剥離フィルムDの外周部は基板置台7の上面と内方枠体13の下面との間に気密に保持された状態となり、基板A、素子Bが位置する加圧剥離フィルムDの内側は真空状態に保持される。なお、停止させる場合に、加圧シリンダのストッパーを使わないで上枠部材7と下板部材6を当接させても良い。
【0028】
(4)加圧剥離フィルムを基板及び素子の外表面に密着し、素子を基板に接合する工程
図2(d)は、加圧剥離フィルムDの外表面に圧力を付加して、加圧剥離フィルムDを基板A及び素子Bの外表面に密着させ、素子Bを基板Aに接合する工程を示す。本工程において、真空・加圧口16を通しての真空チェンバー内の真空引きを停止し、加熱下に真空チェンバーに大気あるいは加圧エア等の加圧ガスを導入して、加圧剥離フィルムDの外表面に圧力を付加して、加圧剥離フィルムDを基板A及び素子Bの外表面に密着させるとともに、素子Bを基板Aに接着、接合させる。本工程を終了後、真空隔壁を開いて、スライドシリンダを稼働させてスライド移動テーブルによって基板Aに接合した素子を真空加熱接合装置外部に取り出す。加圧ガスには、上述した大気、加圧エア、水蒸気等の加圧ガスを用いることができる。他の実施態様についても同様である。
【0029】
次に、図3(a)乃至図3(d)に、第二の実施態様に係る本発明の真空加熱接合装置について説明する。
第1の実施態様と第2の実施態様と異なる所は、第2の実施態様では、基板Aの上の素子Bと加圧剥離フィルムDとの間に封止シートEを入れた点と素子付き基板との封止である。
【0030】
(1)素子付き基板,封止シート、加圧剥離フィルムを基板置台にセットする工程
図3(a)は素子付き基板,封止シート、加圧剥離フィルムを基板置台にセットする工程を示す。本実施態様では、素子B付き基板A,封止シートE、加圧剥離フィルムDを順番に基板置台7上にセットする。封止シートEの外形寸法は基板置台7の上面と内方枠部材13aの下面との間に加圧剥離フィルムDを気密に保持した場合に、封止シートEは基板置台7の上面と内方枠部材13aの下面との間に挟まれない大きさで、素子付き基板の封入に必要な大きさとしている。封止シートEは、素子を基板上に気密に封入する。なお、素子付き基板とは、セット工程前に素子を接着剤を介して基板上に予め接着・固定したものをいう。
【0031】
本発明で用いる封止シートEは、封止用の接着シートであり、素子の上に封止シートを置き、熱と圧力で樹脂を流動させ、封止させる。厚みは、例えば0.2〜5mm程度の接着封止用薄膜シートであり、加熱軟化した封止シートは素子付き基板の外表面に密着して素子付き基板を封止するとともに、素子付き基板を外表面から補強的に接合する。封止シートとしては、エポキシ樹脂、ウレタンゴム、シリコーンゴムなどを用いることができ、加熱硬化する接着剤層として機能する。
【0032】
(2)真空隔壁形成、封止シート及び加圧剥離フィルムの軟化、真空引き工程
図3(b)は、真空隔壁を形成し、封止シート及び加圧剥離フィルムの軟化、真空引き工程を示す。図3(b)に示すように、加圧シリンダにより上ヒータ板11を下降させ、上枠部材12の下端部を下板部材6の外縁部の段差に気密に摺動シールさせて真空隔壁を形成し内部に真空チェンバーを形成した段階で、上ヒータ板11の下降を一時停止する。この状態で、加圧剥離フィルムDと封止シートEを大気圧中で加熱軟化させ真空引きをし、真空チェンバーを真空とするとともに、素子B付き基板Aの外表面と封止シートとの間の気泡を除去する。図3(b)では、封止シートEは素子Bの上面の端部から外周部端部に向かって傾斜し基板置部7の上面まで達している。また、加圧剥離フィルムDは封止シートの外方で、素子Bの上面の端部から傾斜し外周部で基板置台7の上面に接している。
【0033】
(3)加圧剥離フィルム押え工程
図3(c)に示すように、加圧シリンダにより上ヒータ板11を更に下降させて、上枠部材12の下端部の下面が下板部材の周辺部を摺動シールし、一方加圧シリンダのストットパーが当たり停止する。ストッパー停止位置は内方部材の下端部の下面が基台置台7の上面に気密シールする位置となる。封止シートEは加圧剥離フィルムDの内側に位置する。この時、加圧剥離フィルムDの内側と外側はそれぞれ真空状態に保持されている。図3(c)には、基板置台の上の素子B付き基板A上に積層された封止シートEと加圧剥離フィルムDの状態を拡大図で示す。なお、停止する場合に、加圧シリンダのストッパーを使わないで上枠部材7と下板部材6を当接させても良い。
【0034】
(4)封止シート及び加圧剥離フィルムを素子付き基板の外表面に密着し、素子を基板に封止接合する工程
図3(d)は、封止シート及び加圧剥離フィルムを素子付き基板の外表面に密着し、素子を基板に封止接合する工程を示す。加熱下に、真空・加圧口16を通して真空チェンバー内に大気圧あるいは大気圧より高い空気等のガスを導入すると、図3(d)に示すように、加熱軟化した加圧剥離フィルムDにより加熱軟化した封止シートEを素子付き基板Aの外表面に密着させ、基板Aと基板上の素子Bの外表面に密着し、素子付き基板を封止接合することができる。図3(d)には、基板置台の上の素子B付き基板Aの外表面に密着された封止シートEと加圧剥離フィルムDの状態を拡大図で示す。
【0035】
次に、図4(a)乃至図4(d)に、第三の実施態様に係る本発明の真空加熱接合装置について説明する。
本実施例では、加圧剥離フィルムDを内方枠体18の下端面に固定している。図4(a)〜図4(d)では、封止シートEが無い場合について説明しているが、封止シートEを設ける場合には封止シートEを素子Bの上面に位置させる。
【0036】
(1)基板,素子,加圧剥離フィルムを基板置台にセットする工程
図4(a)は、基板,素子(封止シートを入れる場合には封止シートも)を基板置台にセットする工程を示す。本実施態様では、内方枠体18が下端部の枠状押え部18aと、その外周部に螺合した加圧剥離フィルム止めリング18bと、枠状押え部18aから上方に延びるロッド18cとを有し、ロッド18cは上ヒータ板11に固定されている。枠状押え部18aはロッド18cに対してスプリングにより下方に付勢され、上方へ移動可能となっており、枠状押え部18aが基板置台7に当接する場合の衝撃を緩衝する。加圧剥離フィルムDは枠状押え部18aの下面に引っ張られた状態で張られ、外周部が枠状押え部18aと加圧剥離フィルム止めリング18bとの間に着脱可能に保持されている。加圧剥離フィルムの固定は、ねじ止め、螺結、ワンタッチ固定等によって行う。
【0037】
(2)真空隔壁形成、加圧剥離フィルムの軟化、真空引き工程
図4(b)は、真空隔壁を形成し、加圧剥離フィルムを軟化し、真空引きする工程を示す。図4(b)に示すように、加圧シリンダにより上ヒータ板11を下降させて、上枠部材12の下端部が下板部材6の外縁部の段差に気密に摺動シールして真空隔壁を形成し、内部に真空チェンバーが形成された段階で、上ヒータ板11の下降を一時停止する。この際、加圧剥離フィルムDを加熱下に大気圧中で軟化させ素子の上面に密着させる。この状態で、真空引きし真空チェンバーを真空とするとともに、基板Aの上面と素子Bの下面との間の接着剤C中の気泡を除去する。
【0038】
(3)加圧剥離フィルム押え工程
図4(c)は、加圧剥離フィルム押え工程を示す。図4(c)に示すように、加圧シリンダにより上ヒータ板11を更に下降させて、上枠部材12の下端部の下面が下板部材6に対して摺動シールし、一方加圧シリンダのストットパーが当たり停止する。ストッパー停止位置は内方部材の下端部の下面を基台置台7の上面に気密シールする位置となる。停止させる場合に、加圧シリンダのストッパーを使わないで、下板部材6と上枠部材7とを当接させて停止させることもできる。
【0039】
(4)加圧剥離フィルムを基板及び素子の外表面に密着し、素子を基板に接合する工程
図4(d)は、加圧剥離フィルムを基板及び素子の外表面に密着し、素子を基板に接合する工程を示す。加熱下に、真空・加圧口16を通して真空チェンバー内に大気圧あるいは大気圧より高い空気等のガスを導入すると、図4(d)に示すように、加熱軟化された加圧剥離フィルムDを基板Aと基板上の素子Cの外表面に密着することができる。これにより、接着剤Cは外側にはみ出ることなく、基板上面と素子の下面との間で加熱硬化され、適度な厚さの接着層を形成することができる。
【0040】
図5(a)〜図5(d)は、第4の実施態様に係る本発明の真空加熱接合装置を示す。図5(a)〜図5(d)では、封止シートEが無い場合について説明しているが、封止シートEを設ける場合には封止シートEを素子Bの上面に位置させる。
本真空加熱接合装置では、加圧剥離フィルム挟み冶具20が下板部材6の上面にかつ基板置台7の外表面にスプリングを介して気密に置かれている。加圧剥離フィルム挟み冶具20は冶具上部20aと治具リング20bとからなり、治具上部20aの外周に冶具リング20bが螺合され、加圧剥離フィルムDの外周部はその間に保持されている。加圧剥離フィルムDは冶具リング20bの下面に引っ張られた状態で張られ、外周部が冶具上部20aと冶具リング20bとの間に着脱可能に保持されている。本実施態様では、加圧剥離フィルム挟み冶具20を基板置台7の上面に通気可能な若干の隙間をもうけた状態で、加圧剥離フィルムDは、基板Aの上の素子Bの上面に密着する。冶具上部20aと冶具リング20bの周辺部には通気溝22が設けられている。
【0041】
内方枠体19は、下端部板状押え部19aとそれから上方に延びるロッド19bとを有し、ロッド19bは上ヒータ板に固定され、ロッド19bの周りには冶具リングの持ち上げ用スプリングが配置されている。板状押え部19aはスプリングにより上下動出来る構造となっており、内方枠体19が加圧剥離フィルム挟み冶具20の上面に当接する場合、冶具リングの持ち上げ用スプリングを縮めて当接させるとともにその衝撃を和らげる。
【0042】
(1)基板,素子,加圧剥離フィルムを基板置台にセットする工程
図5(a)は、基板,素子,加圧剥離フィルムを基板置台にセットする工程を示す。真空チェンバーを開いた状態で、外部でスライド移動テーブル上において、基板Aを基板置台7の上面に配置し、基板Aの上面に接着剤Cを有する素子Bを配置する。封止シートを用いる場合には、素子Bの上面に封止シートを配置する。加圧剥離フィルムDを保持した加圧剥離フィルム挟み冶具20を下板部材6の上面にかつ基板置台7の上面に通気可能な若干の隙間をもうけ、スライドシリンダを稼働させて真空加熱接合装置の内部に導入する。
【0043】
(2)真空隔壁形成、加圧剥離フィルムの軟化、真空引き工程
図5(b)は、真空隔壁形成、加圧剥離フィルムの軟化、真空引き工程を示す。図5(b)に示すように、加圧シリンダにより上ヒータ板11を下降させて、上枠部材12の下端部が下枠部材6の外縁部の段差に気密に摺動シールして真空隔壁を形成し内部に真空チェンバーが形成された段階で、上ヒータ板11の下降を一時停止する。ここで、加熱下に加圧剥離フィルムDを大気圧で軟化させ、真空引きして真空チェンバーを真空にするとともに、基板Aの上面と素子Bの下面との間の接着剤C中の気泡を除去する。
【0044】
(3)加圧剥離フィルム押え工程
図5(c)は、加圧剥離フィルム押え工程示す。図5(c)に示すように、エアシリンダにより上ヒータ板11を更に下降させて、上枠部材12の下端部の下面が摺動し、一方加圧シリンダのストットパーが当たり停止する。ストッパー停止位置は内方部材の下端部の下面を基板置台7の上面と気密シールする位置となる。加圧剥離フィルムDの内側と外側はそれぞれ真空状態に保持される。
【0045】
(4)加圧剥離フィルムを基板及び素子の外表面に密着し、素子を基板に接合する工程
図5(d)は、加圧剥離フィルムを基板及び素子の外表面に密着し、素子を基板に接合する工程示す。加熱下に、真空・加圧口16及び通気穴又は通気溝21を通して真空チェンバー内に大気圧あるいは大気圧より高い圧力の空気等のガスを導入すると、図5(d)に示すように、加熱軟化した加圧剥離フィルムDを基板Aと基板上の素子Bの外表面に密着する。これにより、接着剤Cは外側にはみ出ることなく、基板上面と素子の下面との間で加熱硬化され、適度な厚さの接着層を形成することができる。
【0046】
本発明の真空加熱接合装置を具体的実施態様に基づいて説明したが、本発明はこれらのものに限定されない。例えば、下記のものも本発明に含まれる。
(1)上記実施態様では、基板の上に一つの素子を配置したが、基板上に半導体、抵抗及び/又はコンデンサー等の素子を複数配置することもできる。また、素子の高さが同一の場合も、異なる場合も本発明に含まれる。
(2)封止シートがUV硬化性フィルムの場合には、UV光源と真空隔壁の一部にUV透過窓を設けるとともに、加圧剥離フィルムにUV透過できるものを用いる。
(3)上ヒータ板の上面に補助シリンダを断熱配置し、加圧シリンダ14によって上ヒータ板11を下降させ、補助エアシリンダによって上ヒータ板11に対して内方枠体を下降させ基板置台7の上面に当接させることができる。
(4)上記実施態様では、加圧シリンダを加圧シリンダ上板の上に配置したが、移動テーブルの下方または加圧シリンダ下板に加圧シリンダを設け、移動テーブル上に配置される下ヒータ板、下板部材、基板置台を一体として上下させる構成とすることもできる。
(5)ヒータによる加熱軟化方法を記載したが、対象の接着剤接合は熱可塑性のようなホットメルト接着剤、熱硬化性接着剤、紫外線硬化性接着剤、常温硬化接着剤などにも適用できる。
【0047】
(6)真空隔壁形成、加圧剥離フィルムの軟化、真空引き工程の後で、加圧剥離フィルム押え工程を行い、加熱下に、真空・加圧口を通して真空チェンバー内に大気圧あるいは大気圧より高い圧力の空気等のガスを導入し、加熱軟化した加圧剥離フィルムDを基板Aと基板上の素子の外表面に密着させ、半硬化状態で真空・加圧口を閉じて、再度上加圧シリンダを下降させて真空チェンバー中の気体の内圧をさらに上げる構成とすることもできる。この場合には、基板と素子との間の加圧力が大きくなり、接着剤の厚みを維持しながらさらに高加圧で接着性を上げることができる。
【符号の説明】
【0048】
1・・・基台、2・・・加圧シリンダ下板、3・・・スライド移動テーブル、4・・・スライドシリンダ、5・・・下ヒータ板、6・・・下板部材、7・・・基板置台、8・・・支柱、9・・・加圧シリンダ上板、10・・・中間部材(中間移動部材)、11・・・上ヒータ板、12・・・上枠部材、13・・・内方枠体、14・・・加圧シリンダ、15・・・シリンダロッド、16・・・真空・加圧口、18・・・内方枠体、19・・・内方枠体、20・・・加圧剥離フィルム治具
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体、抵抗及び/又はコンデンサー等の素子を基板上に接合、またはその基板と放熱板の接合およびインプリント転写またはITO膜などのフィルムシートの接合または成型するための真空加熱接合装置及び真空加熱接合方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体、抵抗及び/又はコンデンサー等の素子を基板上に接合または封止する場合には、目的によって異なるが基板と素子の間に絶縁性接着剤あるいは導電性接着剤を用いて接合している。接合の際、接着層を強い押し圧でプレス加圧すると接着剤がはみ出して、形成される絶縁層または導電層の接着容量が不足し性能を悪化させる。
【0003】
本出願人は、先に薄板状基材の所定の位置に半導体、コンデンサー、抵抗等の薄型素子を固定したパッケージ基板に、熱硬化性接着剤からなる保護シートを被覆するために用いる薄板状被加工部材用ホットプレス加工装置を提案した。特許文献1参照。
【0004】
本発明者らは、素子を基板上に接合または封止するために、図6(a)に示す薄板状被加工部材用ホットプレス加工装置を用いて、接着剤がはみ出すのを防止できるかどうかを検討した。本装置を用いて、図6(b)に示すように、上枠部材の下端部底面を下枠部材の上端部上面に当接させ、耐熱伸縮性膜部材を垂れ防止して実質的に水平に保持した状態で、耐熱伸縮性膜部材の下面を下型部材上の基板及びその上の素子の上面に当接させ、上部ヒータ板及び下ヒータ板により被加工部材を予熱し、熱媒体充填空間内の熱媒体に圧力をかけて、耐熱伸縮性膜部材を外周半径方向外方に拡がるのを防止しつつ、耐熱伸縮性膜部材により素子を基板上に封入した。しかしながら、期待に反して、接着剤がはみ出ることを極力少なくして素子を基板上に良好に接合または封止することが難しかった。
また、封止シートを用いて予め接着固定した素子付き基板に素子を封止接合する場合に、均一な厚さで封止接合することが難しく、封止コーナーが破損したり封止不良を起こす場合もあった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第4176817
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、真空中で接着層に空気の混入を防止しながら、微小な押圧力の調節を可能にして、適度な加圧下で接着剤がはみ出ることを極力少なくして、素子を基板上に良好な厚さの接着層によって接合または封止することを可能とする真空加熱接合装置及び方法を提供することを目的とする。
さらに、基板と素子を封止シートによって封止接合する場合に、真空中でシール層(接合層)への空気の混入を防止しながら、微小な押圧力の調節を可能にして、適度な加圧下で、シール層の厚さを均一にして素子を基板上に良好に封止・接合することを可能とする真空加熱接合装置及び方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(1) 本発明は、上記課題を解決するため、基板上に素子を真空加熱接合するための真空加熱接合装置を提供するもので、該真空加熱接合装置は、
(a)基台と、
(b)基台上に配置された加圧シリンダ下板と、
(c)加圧シリンダ下板の上方に断熱配置された下ヒータ板と、
(d)下ヒータ板上面に配置された下板部材と、
(e)基台上に立設された支柱と、
(f)支柱上部に固定された加圧シリンダ上板と、
(g)加圧シリンダ上板の下方に配置された中間部材と、
(h)中間部材の下方に断熱配置された上部ヒータ板と、
(i)上部ヒータ板の下面に気密に配置され下端部が下板部材の周辺部に気密にシール可能とされた上枠部材と、
(j)上枠部材の内方で上部ヒータ板の下面に取り付けられかつ下端面が下板部材の上面の上方に位置し、かつ近接・当接させることによって下端面と基板置台の上面とが気密に当接する内方枠体と、
(k)下板部材と中間部材とを近接する方向に相対移動させ、上枠部材の下端部を下板部材の周辺部に気密に摺動シールさせて真空チェンバーを画成する真空隔壁を形成し、下板部材と中間部材とをさらに近接する方向に相対移動させることによって内方枠体の下端面を基板置台の上面に気密に当接させ、また下板部材と中間部材とを離間する方向に相対移動させる駆動ユニットと、
(l)該真空隔壁内の真空チェンバーを真空脱気し加圧するための真空・加圧口とを有する真空加熱接合装置であって、
(m)駆動ユニットによって下板部材と中間部材とを離間する方向に相対移動させ真空チェンバーを開いた状態とし、
(n)基板を基板置台上面に配置し、接着剤を介して基板の上面に素子を配置し、加圧剥離フィルムを素子の上面または上方にかつ基板の上方かつ外方に迄延在させて配置し、かつ加圧剥離フィルムの外周部と内方枠体の下面を基板の外方で対面配置し、
(o)駆動ユニットによって下板部材と中間部材とを近接する方向に相対移動することによって、上枠部材の下端部を下板部材の周辺部に気密に摺動シールさせて内部に真空チェンバーを画成する真空隔壁を形成し、
(p)加圧剥離フィルムを素子の上面に接触させ大気圧加熱下に軟化させ、
(q)真空チェンバー内を真空・加圧口を通して真空引きをし、
(r)駆動ユニットによってさらに下板部材と中間部材とを近接する方向に相対移動することによって、加圧剥離フィルムの外周部を基板置台の上面と内方枠体の下面との間に気密に保持した状態とし、
(s)この状態で真空チェンバー中の加圧剥離フィルム上方空間に真空・加圧口を通して大気圧あるいは大気圧より高い圧力をかけて、加圧剥離フィルムを基板及び素子の外表面に密着させ、素子を基板に接合する、真空加熱接合装置である。
【0008】
(2) 本発明は、上記課題を解決するため、素子付き基板の素子を基板に真空加熱封止接合するための真空加熱接合装置を提供するもので、該真空加熱接合装置は、
(a)基台と、
(b)基台上に配置された加圧シリンダ下板と、
(c)加圧シリンダ下板の上方に断熱配置された下ヒータ板と、
(d)下ヒータ板上面に配置された下板部材と、
(e)基台上に立設された支柱と、
(f)支柱上部に固定された加圧シリンダ上板と、
(g)加圧シリンダ上板の下方に配置された中間部材と、
(h)中間部材の下方に断熱配置された上部ヒータ板と、
(i)上部ヒータ板の下面に気密に配置され下端部が下板部材の周辺部に気密にシール可能とされた上枠部材と、
(j)上枠部材の内方で上部ヒータ板の下面に取り付けられかつ下端面が下板部材の上面の上方に位置し、かつ近接・当接させることによって下端面と基板置台の上面とが気密に当接する内方枠体と、
(k)下板部材と中間部材とを近接する方向に相対移動させ、上枠部材の下端部を下板部材の周辺部に気密に摺動シールさせて真空チェンバーを画成する真空隔壁を形成し、下板部材と中間部材とをさらに近接する方向に相対移動させることによって内方枠体の下端面を基板置台の上面に気密に当接させ、また下板部材と中間部材とを離間する方向に相対移動させる駆動ユニットと、
(l)該真空隔壁内の真空チェンバーを真空脱気し加圧するための真空・加圧口とを有する真空加熱接合装置であって、
(m)駆動ユニットによって下板部材と中間部材とを離間する方向に相対移動させ真空チェンバーを開いた状態とし、
(n)基板上に素子を接着剤を介して基板上に予め接着・固定した素子付き基板を基板置台上面に配置し、素子付き基板を封止するための封止シートを素子の上面にかつ素子と加圧剥離フィルムとの間でかつ素子の外方に迄延在させて配置し、加圧剥離フィルムを封止シートの上面または上方にかつ基板の上方かつ外方に迄延在させて配置し、かつ加圧剥離フィルムの外周部と内方枠体の下面を基板の外方で対面配置し、
(o)駆動ユニットによって下板部材と中間部材とを近接する方向に相対移動することによって、上枠部材の下端部を下板部材の周辺部に気密に摺動シールさせて内部に真空チェンバーを画成する真空隔壁を形成し、
(p)加圧剥離フィルムを素子上面において封止シートの上面に接触させ大気圧加熱下に軟化させ、
(q)真空チェンバー内を真空・加圧口を通して真空引きをし、
(r)駆動ユニットによってさらに下板部材と中間部材とを近接する方向に相対移動することによって、加圧剥離フィルムの外周部を基板置台の上面と内方枠体の下面との間に気密に保持した状態とし、
(s)この状態で真空チェンバー中の加圧剥離フィルム上方空間に真空・加圧口を通して大気圧あるいは大気圧より高い圧力をかけて、加圧剥離フィルムと封止シートを基板及び素子に密着させ、素子を基板に封止接合する、真空加熱接合装置である。
【0009】
以下に、本発明の好ましい実施態様を挙げる。
(3)基板の上面には、複数の素子が配置されている、(1)あるいは(2)に記載の真空加熱接合装置。この場合、複数の素子は同一種類のものであっても、異なった種類のものであっても良い。
(4) 前記加圧剥離フィルムを素子の上面あるいは素子の上面の封止シート上にかつ基板の上方でかつ封止シートの外方に迄延在させて配置し、かつ加圧剥離フィルムの外周部と内方枠体の下面が対面するように配置される、(1)、(2)または(3)に記載の真空加熱接合装置。
(5)加圧剥離フィルムが内方枠部材の下端面に着脱可能に固定されている、(1)、(2)または(3)に記載の真空加熱接合装置。
【0010】
(6)基板置台の上面にかつ基板の周囲に加圧剥離フィルム挟み治具が配置され、加圧剥離フィルムの外周部が加圧剥離フィルム挟み治具に脱着可能に固定され、加圧剥離フィルム挟み治具を下板部材の上面にスプリングを介して通気可能な若干の隙間をもうけかつ基板の周囲に配置した状態で、加圧剥離フィルムが基板上の前記素子の上面あるいは上方に、あるいは素子の上面の封止シート上あるいは上方に配置され、駆動ユニットによって下板部材と中間部材とを近接する方向に相対移動することによって、上枠部材の下端部を下板部材の周辺部に気密に摺動シールさせて真空チェンバーを画成する真空隔壁を形成し、大気中加熱下に加圧剥離フィルムを軟化させた後、真空チェンバーを真空・加圧口を通して真空引きをし、駆動ユニットによってさらに下板部材と中間部材とを近接する方向に相対移動することによって、加圧剥離フィルム挟み治具を下板部材の上面に気密に摺動当接させ、加圧剥離フィルムと下板部材の上面との間の空間を真空保持させて、この状態で真空隔壁内の加圧剥離フィルム上方空間に真空・加圧口を通して大気圧あるいは大気圧より高い圧力をかけて、加圧剥離フィルムを基板及び素子の外表面に密着させる、(1)、(2)または(3)に記載の真空加熱接合装置。
【0011】
(7)中間板が加圧シリンダ上板の下方に支柱に対して摺動可能とされ、中間板の下面に上部ヒータ板を断熱固定し、加圧シリンダ上板の上方に駆動ユニットとして移動シリンダを設け、移動シリンダのシリンダロッドの下端部を加圧シリンダ上板を通って中間板に固定した、(1)〜(6)のいずれかに記載の真空加熱接合装置。
(8)スライドテーブルが基台上面に横方向移動可能に配置され、下ヒータ板がスライドテーブル上に断熱配置され、スライドテーブルを移動させるスライドテーブル移動手段が設けられ、上枠部材を上方に移動した状態でスライドテーブル移動手段によってスライドテーブル、下ヒータ板、下板部材を外部に取り出し、スライドテーブル移動手段によってスライドテーブル、下ヒータ板、下板部材を真空加熱接合装置内部の上枠部材下方に移動可能となっており、基板置台に基板、基板上に素子、素子上に加圧剥離フィルムを積層し、あるいは基板置台に素子付き基板、素子付き基板の素子上に封止シート、封止シート上に加圧剥離フィルムを積層し、スライドテーブル移動手段によってスライドテーブル、下ヒータ板、下板部材を真空加熱接合装置内部の上枠部材下方に移動し、かつ接合処理後の基板と素子と加圧剥離フィルム、あるいは封止シートによる封止接合処理後の素子付き基板と加圧剥離フィルムとを取り出すことを可能とする、(1)、(2)、(3)、(4)及び(7)のいずれかに記載の真空加熱接合装置。
【0012】
(9)スライドテーブルが基台上面に横方向移動可能に配置され、下ヒータ板がスライドテーブル上に断熱配置され、スライドテーブルを移動させるスライドテーブル移動手段が設けられ、上枠部材を上方に移動した状態でスライドテーブル移動手段によってスライドテーブル、下ヒータ板、下板部材を外部に取り出し、スライドテーブル移動手段によってスライドテーブル、下ヒータ板、下板部材を真空加熱接合装置内部の上枠部材下方に移動可能となっており、基板置台に基板、基板上に素子を積層し、あるいは基板置台上に素子付き基板、素子付き基板の素子上に封止シートを積層し、スライドテーブル移動手段によってスライドテーブル、下ヒータ板、下板部材を真空加熱接合装置内部の上枠部材下方に移動し、接合処理後の基板と素子、あるいは封止シートによる封止接合処理後の素子付き基板とを取り出すことを可能とする、(5)に記載の真空加熱接合装置。
【0013】
(10)スライドテーブルが基台上面に横方向移動可能に配置され、下ヒータ板がスライドテーブル上に断熱配置され、スライドテーブルを移動させるスライドテーブル移動手段が設けられ、上枠部材を上方に移動した状態でスライドテーブル移動手段によってスライドテーブル、下ヒータ板、下板部材を外部に取り出し、スライドテーブル移動手段によってスライドテーブル、下ヒータ板、下板部材を真空加熱接合装置内部の上枠部材下方に移動可能となっており、基板置台に基板、基板上に素子を積層し、あるいは基板置台に素子付き基板、素子付き基板の素子上に封止シートを積層し、基板置台の上面にかつ基板の周囲に加圧剥離フィルム挟み治具を配置し、スライドテーブル移動手段によってスライドテーブル、下ヒータ板、下板部材を真空加熱接合装置内部の上枠部材下方に移動し、かつ接合処理後の基板と素子、あるいは封止シートによるシール接合処理後の素子付き基板とを取り出すことを可能とする、(6)に記載の真空加熱接合装置。
【0014】
(11) 更に、本発明は基板上に素子を加熱接合する真空加熱接合方法であって、該真空加熱接合方法は、真空チェンバーを画成する真空隔壁を開いた状態で内部において、基板置台上に基板と、基板上に素子を配置し、加圧剥離フィルムを素子の上面あるいはその上方で、かつ基板の上方でかつ外方に迄延在させて配置し、真空隔壁を閉じて真空チェンバーを形成し内部に基板、素子、加圧剥離フィルムを閉じ込め、加圧剥離フィルムを素子上面に接触させた状態で、大気圧中で加圧剥離フィルムを加熱軟化させ、真空チェンバー中の加圧剥離フィルムの上下の空間を真空引きし、加圧剥離フィルムの外周部を基板の外方で基板置台上に気密に密着固定した後、真空チェンバー中の加圧剥離フィルムの上方空間を大気圧あるいは大気圧より高圧として、加圧剥離フィルムを基板及び素子の外表面に密着させ、基板と素子とを接合することを特徴とする。
【0015】
(12) 更に、本発明は素子付き基板を封止シートによって加熱封止接合する真空加熱接合方法であって、該真空加熱接合方法は、真空チェンバーを画成する真空隔壁を開いた状態で内部において、基板置台上に素子付き基板、素子付き基板の素子の上面に素子付き基板を封止するための封止シートを素子の外方に迄延在させて配置し、加圧剥離フィルムを封止シートの上面あるいはその上方で、かつ基板の上方でかつ封止シートの外方に迄延在させて配置し、真空隔壁を閉じて真空チェンバーを形成し内部に素子付き基板、加圧剥離フィルムを閉じ込め、加圧剥離フィルムを素子上面に接触させた状態で、大気圧中で加圧剥離フィルムを加熱軟化させ、真空チェンバー中の加圧剥離フィルムの上下の空間を真空引きし、加圧剥離フィルムの外周部を基板の外方で基板置台上に気密に密着固定した後、真空チェンバー中の加圧剥離フィルムの上方空間を大気圧あるいは大気圧より高圧として、加圧剥離フィルムを基板及び素子の外表面に密着させ、基板と素子とを接合することを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明に係る真空加熱接合装置及び方法によれば、以下の効果が得られる。
(1)封止シートを用いずに基板と素子を接合する場合は、加圧剥離フィルムを大気圧中で加熱軟化させ、真空引き後に加圧剥離フィルムの外表面を大気あるいは大気圧より高いガスによって加圧することによって、加圧剥離フィルムを基板と素子に緊密に密着させ、気泡のない所望の均一な接合層により基板と素子とを真空加熱接合することができる。
(2)素子付き基板を封止シートで封止接合する場合は、素子付き基板の外表面と封止シートとの間の気泡を除去し、封止シートと加圧剥離フィルムを大気圧中で加熱軟化させ、真空引き後に加圧剥離フィルムの外表面を大気あるいは大気圧より高いガスによって加圧することによって、封止シートと加圧剥離フィルムを素子付き基板に緊密に密着させ、気泡のない所望の均一な封止層により素子付き基板を真空加熱封止接合することができる。
(3)気体の圧力調整により微小の加圧調整ができるので、適度な押圧により適切な均一な厚みの接合層を基板と素子との間に形成し、それによって所望の接合容量が確保される。
(4)加熱されると軟化する加圧剥離フィルムあるいは加圧剥離フィルムと封止シートの特性を生かすことにより、複雑な加熱軟化油圧機構及び油圧回路が不要となるので、真空加熱接合装置の構成を簡略化できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】第1の実施態様の本発明に係る真空加熱接合装置の概略図を示す。
【図2(a)】第1の実施態様に係る本発明の真空加熱接合装置を用いて、加圧剥離フィルムにより素子を基板に真空加熱接合するためのセッティング工程を示す要部模式図である。
【図2(b)】第1の実施態様に係る本発明の真空加熱接合装置を用いて、加圧剥離フィルムにより素子を基板に真空加熱接合するための真空隔壁形成工程を示す要部模式図である。
【図2(c)】は、第1の実施態様に係る本発明の真空加熱接合装置を用いて、加圧剥離フィルムにより素子を基板に真空加熱接合するための加圧剥離フィルム押え工程を示す要部模式図である。
【図2(d)】は、第1の実施態様に係る本発明の真空加熱接合装置を用いて、加圧剥離フィルムにより素子を基板に真空加熱接合する素子接合工程を示す要部模式図である。
【図3(a)】第2の実施態様に係る本発明の真空加熱接合装置を用いて、加圧剥離フィルム及び封止シートにより素子付き基板の素子を基板に真空加熱封止接合するためのセッティング工程を示す要部模式図である。
【図3(b)】第2の実施態様に係る本発明の真空加熱接合装置を用いて、加圧剥離フィルム及び封止シートにより素子付き基板の素子を基板に真空加熱封止接合するための真空隔壁形成工程を示す要部模式図である。
【図3(c)】第2の実施態様に係る本発明の真空加熱接合装置を用いて、加圧剥離フィルム及び封止シートにより素子付き基板の素子を基板に真空加熱封止接合する加圧剥離フィルム押え工程を示す要部模式図である。
【図3(d)】第2の実施態様に係る本発明の真空加熱接合装置を用いて、加圧剥離フィルム及び封止シートにより素子付き基板の素子を基板に真空加熱封止接合するための素子接合工程を示す要部模式図である。
【図4(a)】第3の実施態様に係る本発明の真空加熱接合装置を用いて、内方枠体に固定した加圧剥離フィルムにより素子を基板に真空加熱接合あるいは加圧剥離フィルム及び封止シートにより素子付き基板の素子を基板に真空加熱封止接合するためのセッティング工程を示す要部模式図である。
【図4(b)】第3の実施態様に係る本発明の真空加熱接合装置を用いて、内方枠体に固定した加圧剥離フィルムにより素子を基板に真空加熱接合するあるいは加圧剥離フィルム及び封止シートにより素子付き基板の素子を基板に真空加熱封止接合するための真空隔壁形成工程を示す要部模式図である。
【図4(c)】第3の実施態様に係る本発明の真空加熱接合装置を用いて、内方枠体に固定した加圧剥離フィルムにより素子を基板に真空加熱接合するあるいは加圧剥離フィルム及び封止シートにより素子付き基板の素子を基板に真空加熱封止接合するための加圧剥離フィルム押え工程を示す要部模式図である。
【図4(d)】第3の実施態様に係る本発明の真空加熱接合装置を用いて、内方枠体に固定した加圧剥離フィルムにより素子を基板に真空加熱接合するあるいは加圧剥離フィルム及び封止シートにより素子付き基板の素子を基板に真空加熱封止接合するための素子接合工程を示す要部模式図である。
【図5(a)】第4の実施態様に係る本発明の真空加熱接合装置を用いて、下板部材上の加圧剥離フィルム挟み冶具に固定した加圧剥離フィルムにより素子を基板に真空加熱接合するためのセッティング工程を示す要部模式図である。
【図5(b)】第4の実施態様に係る本発明の真空加熱接合装置を用いて、加圧剥離フィルム挟み冶具に固定した加圧剥離フィルムにより素子を基板に真空加熱接合するための真空隔壁形成工程を示す要部模式図である。
【図5(c)】第4の実施態様に係る本発明の真空加熱接合装置を用いて、加圧剥離フィルム挟み冶具に固定した加圧剥離フィルムにより素子を基板に真空加熱接合するための加圧剥離フィルム押え工程を示す要部模式図である。
【図5(d)】第4の実施態様に係る本発明の真空加熱接合装置を用いて、加圧剥離フィルム挟み冶具に固定した加圧剥離フィルムにより素子を基板に真空加熱接合するための素子接合工程を示す要部模式図である。
【図6(a)】従来の薄板状被加工部材用ホットプレス加工装置を用いて、封止シートにより素子を基板に真空加熱接合するためのセッティング工程を示す説明図である。
【図6(b)】従来の薄板状被加工部材用ホットプレス加工装置を用いて、封止シートにより素子を基板に真空加熱接合するための素子接合工程を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
(第1の実施の形態)
図1に、第1の実施態様に係る本発明の真空加熱接合装置を示す。本真空加熱接合装置においては、基台1上に加圧シリンダ下板2が配置され、加圧シリンダ下板2の上にはスライド移動テーブル3がスライドシリンダ4によって真空加熱接合装置内外を移動可能に配置されている。スライド移動テーブル3の上方には、下ヒータ板5が断熱配置されており、下ヒータ板5の上面には下板部材6が配置され、下板部材の上面には基板置台7が置かれている。
【0019】
加圧シリンダ下板2の上には複数の支柱8が配置立設され、支柱8の上端部には加圧シリンダ上板9が固定されている。支柱8は基台1上に直接立設しても良い。加圧シリンダ上板9の下方には支柱8を通して中間移動部材(中間部材)10が配置されており、中間移動部材10の下方には断熱板を介して上ヒータ板11が固定され、上ヒータ板11の下面の外周部には上枠部材12が気密に固定され下方に延びている。また、上ヒータ板11の下面で上枠部材12の内方には内方枠体13が固定されている。上ヒータ板11はフィルムの軟化用のヒータとして機能し、下ヒータ板5は基板の予熱用あるいは接着剤熱硬化用のヒータとして機能する。
【0020】
内方枠体13は、下端部の枠状押え部13aとそれから上方に延びるロッド13bとを有し、ロッド13bの周りにはスプリングが配置され、ロッド13bは上ヒータ板11の下面に断熱固定されている。枠状押え部13aはロッド13bに対してスプリングにより下方に付勢され、上方へ移動可能となっており、枠状押え部13aが基板置台7に当接する場合の衝撃を緩衝する。内方枠体13の下端部の枠状押え部13aは、基板置台7との間に後述する加圧剥離フィルムを気密に保持するようになっている。
【0021】
加圧シリンダ上板9の上面には加圧シリンダ14が配置され、加圧シリンダ14のシリンダロッド15は加圧シリンダ上板9を通って中間移動部材10の上面に固定され、加圧シリンダ14によって、中間移動部材10と上ヒータ板11と上方枠体12とが上下に一体的に移動可能となっている。図1において、Sは、加圧シリンダ14による中間移動部材10と上ヒータ板11と上方枠体12の下方の移動を規制するストッパーであり、下降して加圧シリンダ本体の上面のストッパープレートに当接するようになっている。加圧シリンダとしては、油圧シリンダ、空圧シリンダ、サーボシリンダ等を用いることができる。以下、同様。
【0022】
加圧シリンダ14が上枠部材12を引き上げた状態から下降させ、上枠部材12の下端部が下板部材の外周部端部に設けた段差部に気密に摺動し、そこで一旦加圧シリンダ14を停止させ、その状態で上ヒータ板11と上枠部材12と下板部材6とによって真空隔壁が形成され、内部に真空チェンバーが画成される。なお、上枠部材12には真空チェンバーを真空引きし、加圧するための真空・加圧口16が設けられている。
【0023】
真空チェンバーを開いた状態で、スライドシリンダ4によって、スライド移動テーブル3、下ヒータ板5、下板部材6を一体として外部に引き出して、外部で基板置台7の上に基板Aを置き、その上に下面に接着剤Cを塗布した半導体、抵抗及び/又はコンデンサー等の素子Bを配置し、素子Bの上面に加圧剥離フィルムDを配置した後、スライドシリンダ4によってスライド移動テーブル3、下ヒータ板5、下板部材6、基板置台7、基板A、素子B、加圧剥離フィルムDを一体的に真空加熱接合装置内部に搬送することができるようになっている。
【0024】
本発明で用いる加圧剥離フィルムDは、大気圧中で加熱軟化され素子上面の縁部から外周部に向かって斜め下方に傾斜するような耐熱フィルムであって、加熱下に強度を保ちつつ伸びる性質を有する。本発明において、加熱温度としては、加圧剥離フィルムの軟化温度となるが、例えば、100〜300℃である。加圧剥離フィルムDの材質は耐熱性で軟化しやすい樹脂又はゴムとすることができ、厚さは加熱下に強度を保ちつつ伸びることを可能とするもので厚さ、例えば、30〜500μmとする。加圧剥離フィルムDとしては、耐熱離型フィルムを用いることができ、例えば、PET、オレフィン樹脂、フッ素ゴム、シリコーンゴムを用いることができる。
【0025】
図2(a)乃至図2(d)は、第1の実施態様に係る本発明に係る真空加熱接合装置を用いて、加圧剥離フィルムにより素子を基板に真空加熱接合する工程を示す要部模式図である。
(1)基板,素子,加圧剥離フィルムをセットする工程
図2(a)は、基板A,素子B,加圧剥離フィルムDをセットする工程を示す。本工程では、加圧シリンダによって下板部材6から中間移動部材10を離間する方向に移動させ真空チェンバーを開いた状態で、外部でスライド移動テーブル上において、基板Aを基板置台7の上面に配置し、基板Aの上面に接着剤Cを有する素子Bを配置し、加圧剥離フィルムDを素子Bの上面にかつ基板Aの上方かつ外方に迄延在させて配置し、かつ加圧剥離フィルムDの外周部は内方枠体13の下面が基板の外方で対面位置するように一体として配置し、スライドシリンダを稼働させて真空加熱接合装置の内部に導入する。接着剤については、素子Bに塗布する場合のほか、基板Aの面に付ける場合、あるいは基板及び素子の両方に付ける場合のいずれであっても良い。
【0026】
(2)真空隔壁形成、加圧剥離フィルムの軟化、真空引き工程
図2(b)は、真空隔壁を形成し内部に真空チェンバーを画成し、加圧剥離フィルムDを大気圧中で加熱・軟化した後、真空引きをする工程を示す。本工程では、加圧シリンダにより中間移動部材を下板部材6に近接する方向に移動させ、上枠部材12の下端部を下板部材6の周辺部に気密に摺動シールさせた状態で加圧シリンダを一時停止し、真空隔壁を形成し真空チェンバーを画成する。本実施態様では、下板部材6の周辺部には、上方枠部材12の下端部と気密に摺動シールする段差が設けられている。加圧剥離フィルムDを素子Bの上面に接触させた状態で大気圧中で加熱下に軟化させ、真空チェンバー内を真空・加圧口16を通して真空引きするとともに、接着剤Cに含まれている気泡を除去する。この時、図2(b)に示すように、加圧剥離フィルムDは素子Bの上面の縁部から外周縁部へと下方に傾斜し、外周部の最外縁部は内方部材の下端部13aの下面に対応する位置まで延び、基板置板7の上面に触れている。
【0027】
(3)加圧剥離フィルム押え工程
図2(c)は、真空中で加熱軟化した加圧剥離フィルムの外周部を内方部材11の下端部13aの下面で基板置台7の上面に気密に押える工程を示す。真空引きをしながら、加圧シリンダによってさらに上枠部材12を下板部材6に対して気密に摺動シールさせ、加圧シリンダ14のストットパーが加圧シリンダ本体のストッパープレート上面に当たり停止する。ストッパー停止位置は内方部材の下端部の下面を基板置台7の上面と気密当接する位置となる。この時、加圧剥離フィルムDの外周部は基板置台7の上面と内方枠体13の下面との間に気密に保持された状態となり、基板A、素子Bが位置する加圧剥離フィルムDの内側は真空状態に保持される。なお、停止させる場合に、加圧シリンダのストッパーを使わないで上枠部材7と下板部材6を当接させても良い。
【0028】
(4)加圧剥離フィルムを基板及び素子の外表面に密着し、素子を基板に接合する工程
図2(d)は、加圧剥離フィルムDの外表面に圧力を付加して、加圧剥離フィルムDを基板A及び素子Bの外表面に密着させ、素子Bを基板Aに接合する工程を示す。本工程において、真空・加圧口16を通しての真空チェンバー内の真空引きを停止し、加熱下に真空チェンバーに大気あるいは加圧エア等の加圧ガスを導入して、加圧剥離フィルムDの外表面に圧力を付加して、加圧剥離フィルムDを基板A及び素子Bの外表面に密着させるとともに、素子Bを基板Aに接着、接合させる。本工程を終了後、真空隔壁を開いて、スライドシリンダを稼働させてスライド移動テーブルによって基板Aに接合した素子を真空加熱接合装置外部に取り出す。加圧ガスには、上述した大気、加圧エア、水蒸気等の加圧ガスを用いることができる。他の実施態様についても同様である。
【0029】
次に、図3(a)乃至図3(d)に、第二の実施態様に係る本発明の真空加熱接合装置について説明する。
第1の実施態様と第2の実施態様と異なる所は、第2の実施態様では、基板Aの上の素子Bと加圧剥離フィルムDとの間に封止シートEを入れた点と素子付き基板との封止である。
【0030】
(1)素子付き基板,封止シート、加圧剥離フィルムを基板置台にセットする工程
図3(a)は素子付き基板,封止シート、加圧剥離フィルムを基板置台にセットする工程を示す。本実施態様では、素子B付き基板A,封止シートE、加圧剥離フィルムDを順番に基板置台7上にセットする。封止シートEの外形寸法は基板置台7の上面と内方枠部材13aの下面との間に加圧剥離フィルムDを気密に保持した場合に、封止シートEは基板置台7の上面と内方枠部材13aの下面との間に挟まれない大きさで、素子付き基板の封入に必要な大きさとしている。封止シートEは、素子を基板上に気密に封入する。なお、素子付き基板とは、セット工程前に素子を接着剤を介して基板上に予め接着・固定したものをいう。
【0031】
本発明で用いる封止シートEは、封止用の接着シートであり、素子の上に封止シートを置き、熱と圧力で樹脂を流動させ、封止させる。厚みは、例えば0.2〜5mm程度の接着封止用薄膜シートであり、加熱軟化した封止シートは素子付き基板の外表面に密着して素子付き基板を封止するとともに、素子付き基板を外表面から補強的に接合する。封止シートとしては、エポキシ樹脂、ウレタンゴム、シリコーンゴムなどを用いることができ、加熱硬化する接着剤層として機能する。
【0032】
(2)真空隔壁形成、封止シート及び加圧剥離フィルムの軟化、真空引き工程
図3(b)は、真空隔壁を形成し、封止シート及び加圧剥離フィルムの軟化、真空引き工程を示す。図3(b)に示すように、加圧シリンダにより上ヒータ板11を下降させ、上枠部材12の下端部を下板部材6の外縁部の段差に気密に摺動シールさせて真空隔壁を形成し内部に真空チェンバーを形成した段階で、上ヒータ板11の下降を一時停止する。この状態で、加圧剥離フィルムDと封止シートEを大気圧中で加熱軟化させ真空引きをし、真空チェンバーを真空とするとともに、素子B付き基板Aの外表面と封止シートとの間の気泡を除去する。図3(b)では、封止シートEは素子Bの上面の端部から外周部端部に向かって傾斜し基板置部7の上面まで達している。また、加圧剥離フィルムDは封止シートの外方で、素子Bの上面の端部から傾斜し外周部で基板置台7の上面に接している。
【0033】
(3)加圧剥離フィルム押え工程
図3(c)に示すように、加圧シリンダにより上ヒータ板11を更に下降させて、上枠部材12の下端部の下面が下板部材の周辺部を摺動シールし、一方加圧シリンダのストットパーが当たり停止する。ストッパー停止位置は内方部材の下端部の下面が基台置台7の上面に気密シールする位置となる。封止シートEは加圧剥離フィルムDの内側に位置する。この時、加圧剥離フィルムDの内側と外側はそれぞれ真空状態に保持されている。図3(c)には、基板置台の上の素子B付き基板A上に積層された封止シートEと加圧剥離フィルムDの状態を拡大図で示す。なお、停止する場合に、加圧シリンダのストッパーを使わないで上枠部材7と下板部材6を当接させても良い。
【0034】
(4)封止シート及び加圧剥離フィルムを素子付き基板の外表面に密着し、素子を基板に封止接合する工程
図3(d)は、封止シート及び加圧剥離フィルムを素子付き基板の外表面に密着し、素子を基板に封止接合する工程を示す。加熱下に、真空・加圧口16を通して真空チェンバー内に大気圧あるいは大気圧より高い空気等のガスを導入すると、図3(d)に示すように、加熱軟化した加圧剥離フィルムDにより加熱軟化した封止シートEを素子付き基板Aの外表面に密着させ、基板Aと基板上の素子Bの外表面に密着し、素子付き基板を封止接合することができる。図3(d)には、基板置台の上の素子B付き基板Aの外表面に密着された封止シートEと加圧剥離フィルムDの状態を拡大図で示す。
【0035】
次に、図4(a)乃至図4(d)に、第三の実施態様に係る本発明の真空加熱接合装置について説明する。
本実施例では、加圧剥離フィルムDを内方枠体18の下端面に固定している。図4(a)〜図4(d)では、封止シートEが無い場合について説明しているが、封止シートEを設ける場合には封止シートEを素子Bの上面に位置させる。
【0036】
(1)基板,素子,加圧剥離フィルムを基板置台にセットする工程
図4(a)は、基板,素子(封止シートを入れる場合には封止シートも)を基板置台にセットする工程を示す。本実施態様では、内方枠体18が下端部の枠状押え部18aと、その外周部に螺合した加圧剥離フィルム止めリング18bと、枠状押え部18aから上方に延びるロッド18cとを有し、ロッド18cは上ヒータ板11に固定されている。枠状押え部18aはロッド18cに対してスプリングにより下方に付勢され、上方へ移動可能となっており、枠状押え部18aが基板置台7に当接する場合の衝撃を緩衝する。加圧剥離フィルムDは枠状押え部18aの下面に引っ張られた状態で張られ、外周部が枠状押え部18aと加圧剥離フィルム止めリング18bとの間に着脱可能に保持されている。加圧剥離フィルムの固定は、ねじ止め、螺結、ワンタッチ固定等によって行う。
【0037】
(2)真空隔壁形成、加圧剥離フィルムの軟化、真空引き工程
図4(b)は、真空隔壁を形成し、加圧剥離フィルムを軟化し、真空引きする工程を示す。図4(b)に示すように、加圧シリンダにより上ヒータ板11を下降させて、上枠部材12の下端部が下板部材6の外縁部の段差に気密に摺動シールして真空隔壁を形成し、内部に真空チェンバーが形成された段階で、上ヒータ板11の下降を一時停止する。この際、加圧剥離フィルムDを加熱下に大気圧中で軟化させ素子の上面に密着させる。この状態で、真空引きし真空チェンバーを真空とするとともに、基板Aの上面と素子Bの下面との間の接着剤C中の気泡を除去する。
【0038】
(3)加圧剥離フィルム押え工程
図4(c)は、加圧剥離フィルム押え工程を示す。図4(c)に示すように、加圧シリンダにより上ヒータ板11を更に下降させて、上枠部材12の下端部の下面が下板部材6に対して摺動シールし、一方加圧シリンダのストットパーが当たり停止する。ストッパー停止位置は内方部材の下端部の下面を基台置台7の上面に気密シールする位置となる。停止させる場合に、加圧シリンダのストッパーを使わないで、下板部材6と上枠部材7とを当接させて停止させることもできる。
【0039】
(4)加圧剥離フィルムを基板及び素子の外表面に密着し、素子を基板に接合する工程
図4(d)は、加圧剥離フィルムを基板及び素子の外表面に密着し、素子を基板に接合する工程を示す。加熱下に、真空・加圧口16を通して真空チェンバー内に大気圧あるいは大気圧より高い空気等のガスを導入すると、図4(d)に示すように、加熱軟化された加圧剥離フィルムDを基板Aと基板上の素子Cの外表面に密着することができる。これにより、接着剤Cは外側にはみ出ることなく、基板上面と素子の下面との間で加熱硬化され、適度な厚さの接着層を形成することができる。
【0040】
図5(a)〜図5(d)は、第4の実施態様に係る本発明の真空加熱接合装置を示す。図5(a)〜図5(d)では、封止シートEが無い場合について説明しているが、封止シートEを設ける場合には封止シートEを素子Bの上面に位置させる。
本真空加熱接合装置では、加圧剥離フィルム挟み冶具20が下板部材6の上面にかつ基板置台7の外表面にスプリングを介して気密に置かれている。加圧剥離フィルム挟み冶具20は冶具上部20aと治具リング20bとからなり、治具上部20aの外周に冶具リング20bが螺合され、加圧剥離フィルムDの外周部はその間に保持されている。加圧剥離フィルムDは冶具リング20bの下面に引っ張られた状態で張られ、外周部が冶具上部20aと冶具リング20bとの間に着脱可能に保持されている。本実施態様では、加圧剥離フィルム挟み冶具20を基板置台7の上面に通気可能な若干の隙間をもうけた状態で、加圧剥離フィルムDは、基板Aの上の素子Bの上面に密着する。冶具上部20aと冶具リング20bの周辺部には通気溝22が設けられている。
【0041】
内方枠体19は、下端部板状押え部19aとそれから上方に延びるロッド19bとを有し、ロッド19bは上ヒータ板に固定され、ロッド19bの周りには冶具リングの持ち上げ用スプリングが配置されている。板状押え部19aはスプリングにより上下動出来る構造となっており、内方枠体19が加圧剥離フィルム挟み冶具20の上面に当接する場合、冶具リングの持ち上げ用スプリングを縮めて当接させるとともにその衝撃を和らげる。
【0042】
(1)基板,素子,加圧剥離フィルムを基板置台にセットする工程
図5(a)は、基板,素子,加圧剥離フィルムを基板置台にセットする工程を示す。真空チェンバーを開いた状態で、外部でスライド移動テーブル上において、基板Aを基板置台7の上面に配置し、基板Aの上面に接着剤Cを有する素子Bを配置する。封止シートを用いる場合には、素子Bの上面に封止シートを配置する。加圧剥離フィルムDを保持した加圧剥離フィルム挟み冶具20を下板部材6の上面にかつ基板置台7の上面に通気可能な若干の隙間をもうけ、スライドシリンダを稼働させて真空加熱接合装置の内部に導入する。
【0043】
(2)真空隔壁形成、加圧剥離フィルムの軟化、真空引き工程
図5(b)は、真空隔壁形成、加圧剥離フィルムの軟化、真空引き工程を示す。図5(b)に示すように、加圧シリンダにより上ヒータ板11を下降させて、上枠部材12の下端部が下枠部材6の外縁部の段差に気密に摺動シールして真空隔壁を形成し内部に真空チェンバーが形成された段階で、上ヒータ板11の下降を一時停止する。ここで、加熱下に加圧剥離フィルムDを大気圧で軟化させ、真空引きして真空チェンバーを真空にするとともに、基板Aの上面と素子Bの下面との間の接着剤C中の気泡を除去する。
【0044】
(3)加圧剥離フィルム押え工程
図5(c)は、加圧剥離フィルム押え工程示す。図5(c)に示すように、エアシリンダにより上ヒータ板11を更に下降させて、上枠部材12の下端部の下面が摺動し、一方加圧シリンダのストットパーが当たり停止する。ストッパー停止位置は内方部材の下端部の下面を基板置台7の上面と気密シールする位置となる。加圧剥離フィルムDの内側と外側はそれぞれ真空状態に保持される。
【0045】
(4)加圧剥離フィルムを基板及び素子の外表面に密着し、素子を基板に接合する工程
図5(d)は、加圧剥離フィルムを基板及び素子の外表面に密着し、素子を基板に接合する工程示す。加熱下に、真空・加圧口16及び通気穴又は通気溝21を通して真空チェンバー内に大気圧あるいは大気圧より高い圧力の空気等のガスを導入すると、図5(d)に示すように、加熱軟化した加圧剥離フィルムDを基板Aと基板上の素子Bの外表面に密着する。これにより、接着剤Cは外側にはみ出ることなく、基板上面と素子の下面との間で加熱硬化され、適度な厚さの接着層を形成することができる。
【0046】
本発明の真空加熱接合装置を具体的実施態様に基づいて説明したが、本発明はこれらのものに限定されない。例えば、下記のものも本発明に含まれる。
(1)上記実施態様では、基板の上に一つの素子を配置したが、基板上に半導体、抵抗及び/又はコンデンサー等の素子を複数配置することもできる。また、素子の高さが同一の場合も、異なる場合も本発明に含まれる。
(2)封止シートがUV硬化性フィルムの場合には、UV光源と真空隔壁の一部にUV透過窓を設けるとともに、加圧剥離フィルムにUV透過できるものを用いる。
(3)上ヒータ板の上面に補助シリンダを断熱配置し、加圧シリンダ14によって上ヒータ板11を下降させ、補助エアシリンダによって上ヒータ板11に対して内方枠体を下降させ基板置台7の上面に当接させることができる。
(4)上記実施態様では、加圧シリンダを加圧シリンダ上板の上に配置したが、移動テーブルの下方または加圧シリンダ下板に加圧シリンダを設け、移動テーブル上に配置される下ヒータ板、下板部材、基板置台を一体として上下させる構成とすることもできる。
(5)ヒータによる加熱軟化方法を記載したが、対象の接着剤接合は熱可塑性のようなホットメルト接着剤、熱硬化性接着剤、紫外線硬化性接着剤、常温硬化接着剤などにも適用できる。
【0047】
(6)真空隔壁形成、加圧剥離フィルムの軟化、真空引き工程の後で、加圧剥離フィルム押え工程を行い、加熱下に、真空・加圧口を通して真空チェンバー内に大気圧あるいは大気圧より高い圧力の空気等のガスを導入し、加熱軟化した加圧剥離フィルムDを基板Aと基板上の素子の外表面に密着させ、半硬化状態で真空・加圧口を閉じて、再度上加圧シリンダを下降させて真空チェンバー中の気体の内圧をさらに上げる構成とすることもできる。この場合には、基板と素子との間の加圧力が大きくなり、接着剤の厚みを維持しながらさらに高加圧で接着性を上げることができる。
【符号の説明】
【0048】
1・・・基台、2・・・加圧シリンダ下板、3・・・スライド移動テーブル、4・・・スライドシリンダ、5・・・下ヒータ板、6・・・下板部材、7・・・基板置台、8・・・支柱、9・・・加圧シリンダ上板、10・・・中間部材(中間移動部材)、11・・・上ヒータ板、12・・・上枠部材、13・・・内方枠体、14・・・加圧シリンダ、15・・・シリンダロッド、16・・・真空・加圧口、18・・・内方枠体、19・・・内方枠体、20・・・加圧剥離フィルム治具
【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板上に素子を真空加熱接合するための真空加熱接合装置であって、該真空加熱接合装置は、
(a)基台と、
(b)基台上に配置された加圧シリンダ下板と、
(c)加圧シリンダ下板の上方に断熱配置された下ヒータ板と、
(d)下ヒータ板上面に配置された下板部材と、
(e)基台上に立設された支柱と、
(f)支柱上部に固定された加圧シリンダ上板と、
(g)加圧シリンダ上板の下方に配置された中間部材と、
(h)中間部材の下方に断熱配置された上部ヒータ板と、
(i)上部ヒータ板の下面に気密に配置され下端部が下板部材の周辺部に気密にシール可能とされた上枠部材と、
(j)上枠部材の内方で上部ヒータ板の下面に取り付けられかつ下端面が下板部材の上面の上方に位置し、かつ近接・当接させることによって下端面と基板置台の上面とが気密に当接する内方枠体と、
(k)下板部材と中間部材とを近接する方向に相対移動させ、上枠部材の下端部を下板部材の周辺部に気密に摺動シールさせて真空チェンバーを画成する真空隔壁を形成し、下板部材と中間部材とをさらに近接する方向に相対移動させることによって内方枠体の下端面を基板置台の上面に気密に当接させ、また下板部材と中間部材とを離間する方向に相対移動させる駆動ユニットと、
(l)該真空隔壁内の真空チェンバーを真空脱気し加圧するための真空・加圧口とを有する真空加熱接合装置であって、
(m)駆動ユニットによって下板部材と中間部材とを離間する方向に相対移動させ真空チェンバーを開いた状態とし、
(n)基板を基板置台上面に配置し、接着剤を介して基板の上面に素子を配置し、加圧剥離フィルムを素子の上面または上方にかつ基板の上方かつ外方に迄延在させて配置し、かつ加圧剥離フィルムの外周部と内方枠体の下面を基板の外方で対面配置し、
(o)駆動ユニットによって下板部材と中間部材とを近接する方向に相対移動することによって、上枠部材の下端部を下板部材の周辺部に気密に摺動シールさせて内部に真空チェンバーを画成する真空隔壁を形成し、
(p)加圧剥離フィルムを素子の上面に接触させ大気圧加熱下に軟化させ、
(q)真空チェンバー内を真空・加圧口を通して真空引きをし、
(r)駆動ユニットによってさらに下板部材と中間部材とを近接する方向に相対移動することによって、加圧剥離フィルムの外周部を基板置台の上面と内方枠体の下面との間に気密に保持した状態とし、
(s)この状態で真空チェンバー中の加圧剥離フィルム上方空間に真空・加圧口を通して大気圧あるいは大気圧より高い圧力をかけて、加圧剥離フィルムを基板及び素子の外表面に密着させ、素子を基板に接合する、真空加熱接合装置である。
【請求項2】
素子付き基板の素子を基板に真空加熱封止接合するための真空加熱接合装置であって、該真空加熱接合装置は、
(a)基台と、
(b)基台上に配置された加圧シリンダ下板と、
(c)加圧シリンダ下板の上方に断熱配置された下ヒータ板と、
(d)下ヒータ板上面に配置された下板部材と、
(e)基台上に立設された支柱と、
(f)支柱上部に固定された加圧シリンダ上板と、
(g)加圧シリンダ上板の下方に配置された中間部材と、
(h)中間部材の下方に断熱配置された上部ヒータ板と、
(i)上部ヒータ板の下面に気密に配置され下端部が下板部材の周辺部に気密にシール可能とされた上枠部材と、
(j)上枠部材の内方で上部ヒータ板の下面に取り付けられかつ下端面が下板部材の上面の上方に位置し、かつ近接・当接させることによって下端面と基板置台の上面とが気密に当接する内方枠体と、
(k)下板部材と中間部材とを近接する方向に相対移動させ、上枠部材の下端部を下板部材の周辺部に気密に摺動シールさせて真空チェンバーを画成する真空隔壁を形成し、下板部材と中間部材とをさらに近接する方向に相対移動させることによって内方枠体の下端面を基板置台の上面に気密に当接させ、また下板部材と中間部材とを離間する方向に相対移動させる駆動ユニットと、
(l)該真空隔壁内の真空チェンバーを真空脱気し加圧するための真空・加圧口とを有する真空加熱接合装置であって、
(m)駆動ユニットによって下板部材と中間部材とを離間する方向に相対移動させ真空チェンバーを開いた状態とし、
(n)基板上に素子を接着剤を介して基板上に予め接着・固定した素子付き基板を基板置台上面に配置し、素子付き基板を封止するための封止シートを素子の上面にかつ素子と加圧剥離フィルムとの間でかつ素子の外方に迄延在させて配置し、加圧剥離フィルムを封止シートの上面または上方にかつ基板の上方かつ外方に迄延在させて配置し、かつ加圧剥離フィルムの外周部と内方枠体の下面を基板の外方で対面配置し、
(o)駆動ユニットによって下板部材と中間部材とを近接する方向に相対移動することによって、上枠部材の下端部を下板部材の周辺部に気密に摺動シールさせて内部に真空チェンバーを画成する真空隔壁を形成し、
(p)加圧剥離フィルムを素子上面において封止シートの上面に接触させ大気圧加熱下に軟化させ、
(q)真空チェンバー内を真空・加圧口を通して真空引きをし、
(r)駆動ユニットによってさらに下板部材と中間部材とを近接する方向に相対移動することによって、加圧剥離フィルムの外周部を基板置台の上面と内方枠体の下面との間に気密に保持した状態とし、
(s)この状態で真空チェンバー中の加圧剥離フィルム上方空間に真空・加圧口を通して大気圧あるいは大気圧より高い圧力をかけて、加圧剥離フィルムと封止シートを基板及び素子に密着させ、素子を基板に封止接合する、真空加熱接合装置である。
【請求項3】
基板の上面には、複数の素子が配置されている、請求項1あるいは請求項2に記載の真空加熱接合装置。
【請求項4】
前記加圧剥離フィルムを素子の上面あるいは素子の上面の封止シート上にかつ基板の上方でかつ封止シートの外方に迄延在させて配置し、かつ加圧剥離フィルムの外周部と内方枠体の下面が対面するように配置される、請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の真空加熱接合装置。
【請求項5】
加圧剥離フィルムが内方枠部材の下端面に着脱可能に固定されている、請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の真空加熱接合装置。
【請求項6】
基板置台の上面にかつ基板の周囲に加圧剥離フィルム挟み治具が配置され、加圧剥離フィルムの外周部が加圧剥離フィルム挟み治具に脱着可能に固定され、加圧剥離フィルム挟み治具を下板部材の上面にスプリングを介して通気可能な若干の隙間をもうけかつ基板の周囲に配置した状態で、加圧剥離フィルムが基板上の前記素子の上面あるいは上方に、あるいは素子の上面の封止シート上あるいは上方に配置され、駆動ユニットによって下板部材と中間部材とを近接する方向に相対移動することによって、上枠部材の下端部を下板部材の周辺部に気密に摺動シールさせて真空チェンバーを画成する真空隔壁を形成し、大気中加熱下に加圧剥離フィルムを軟化させた後、真空チェンバーを真空・加圧口を通して真空引きをし、駆動ユニットによってさらに下板部材と中間部材とを近接する方向に相対移動することによって、加圧剥離フィルム挟み治具を下板部材の上面に気密に摺動当接させ、加圧剥離フィルムと下板部材の上面との間の空間を真空保持させて、この状態で真空隔壁内の加圧剥離フィルム上方空間に真空・加圧口を通して大気圧あるいは大気圧より高い圧力をかけて、加圧剥離フィルムを基板及び素子の外表面に密着させる、請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の真空加熱接合装置。
【請求項7】
中間板が加圧シリンダ上板の下方に支柱に対して摺動可能とされ、中間板の下面に上部ヒータ板を断熱固定し、加圧シリンダ上板の上方に駆動ユニットとして移動シリンダを設け、移動シリンダのシリンダロッドの下端部を加圧シリンダ上板を通って中間板に固定した、請求項1乃至請求項6のいずれかに記載の真空加熱接合装置。
【請求項8】
スライドテーブルが基台上面に横方向移動可能に配置され、下ヒータ板がスライドテーブル上に断熱配置され、スライドテーブルを移動させるスライドテーブル移動手段が設けられ、上枠部材を上方に移動した状態でスライドテーブル移動手段によってスライドテーブル、下ヒータ板、下板部材を外部に取り出し、スライドテーブル移動手段によってスライドテーブル、下ヒータ板、下板部材を真空加熱接合装置内部の上枠部材下方に移動可能となっており、基板置台に基板、基板上に素子、素子上に加圧剥離フィルムを積層し、あるいは基板置台に素子付き基板、素子付き基板の素子上に封止シート、封止シート上に加圧剥離フィルムを積層し、スライドテーブル移動手段によってスライドテーブル、下ヒータ板、下板部材を真空加熱接合装置内部の上枠部材下方に移動し、かつ接合処理後の基板と素子と加圧剥離フィルム、あるいは封止シートによる封止接合処理後の素子付き基板と加圧剥離フィルムとを取り出すことを可能とする、請求項1乃至請求項4及び請求項7のいずれかに記載の真空加熱接合装置。
【請求項9】
スライドテーブルが基台上面に横方向移動可能に配置され、下ヒータ板がスライドテーブル上に断熱配置され、スライドテーブルを移動させるスライドテーブル移動手段が設けられ、上枠部材を上方に移動した状態でスライドテーブル移動手段によってスライドテーブル、下ヒータ板、下板部材を外部に取り出し、スライドテーブル移動手段によってスライドテーブル、下ヒータ板、下板部材を真空加熱接合装置内部の上枠部材下方に移動可能となっており、基板置台に基板、基板上に素子を積層し、あるいは基板置台上に素子付き基板、素子付き基板の素子上に封止シートを積層し、スライドテーブル移動手段によってスライドテーブル、下ヒータ板、下板部材を真空加熱接合装置内部の上枠部材下方に移動し、接合処理後の基板と素子、あるいは封止シートによる封止接合処理後の素子付き基板とを取り出すことを可能とする、請求項5に記載の真空加熱接合装置。
【請求項10】
スライドテーブルが基台上面に横方向移動可能に配置され、下ヒータ板がスライドテーブル上に断熱配置され、スライドテーブルを移動させるスライドテーブル移動手段が設けられ、上枠部材を上方に移動した状態でスライドテーブル移動手段によってスライドテーブル、下ヒータ板、下板部材を外部に取り出し、スライドテーブル移動手段によってスライドテーブル、下ヒータ板、下板部材を真空加熱接合装置内部の上枠部材下方に移動可能となっており、基板置台に基板、基板上に素子を積層し、あるいは基板置台に素子付き基板、素子付き基板の素子上に封止シートを積層し、基板置台の上面にかつ基板の周囲に加圧剥離フィルム挟み治具を配置し、スライドテーブル移動手段によってスライドテーブル、下ヒータ板、下板部材を真空加熱接合装置内部の上枠部材下方に移動し、かつ接合処理後の基板と素子、あるいは封止シートによるシール接合処理後の素子付き基板とを取り出すことを可能とする、請求項6に記載の真空加熱接合装置。
【請求項11】
基板上に素子を加熱接合する真空加熱接合方法であって、該真空加熱接合方法は、真空チェンバーを画成する真空隔壁を開いた状態で内部において、基板置台上に基板と、基板上に素子を配置し、加圧剥離フィルムを素子の上面あるいはその上方で、かつ基板の上方でかつ外方に迄延在させて配置し、真空隔壁を閉じて真空チェンバーを形成し内部に基板、素子、加圧剥離フィルムを閉じ込め、加圧剥離フィルムを素子上面に接触させた状態で、大気圧中で加圧剥離フィルムを加熱軟化させ、真空チェンバー中の加圧剥離フィルムの上下の空間を真空引きし、加圧剥離フィルムの外周部を基板の外方で基板置台上に気密に密着固定した後、真空チェンバー中の加圧剥離フィルムの上方空間を大気圧あるいは大気圧より高圧として、加圧剥離フィルムを基板及び素子の外表面に密着させ、基板と素子とを接合することを特徴とする、真空加熱接合方法。
【請求項12】
素子付き基板を封止シートによって加熱封止接合する真空加熱接合方法であって、該真空加熱接合方法は、真空チェンバーを画成する真空隔壁を開いた状態で内部において、基板置台上に素子付き基板、素子付き基板の素子の上面に素子付き基板を封止するための封止シートを素子の外方に迄延在させて配置し、加圧剥離フィルムを封止シートの上面あるいはその上方で、かつ基板の上方でかつ封止シートの外方に迄延在させて配置し、真空隔壁を閉じて真空チェンバーを形成し内部に素子付き基板、加圧剥離フィルムを閉じ込め、加圧剥離フィルムを素子上面に接触させた状態で、大気圧中で加圧剥離フィルムを加熱軟化させ、真空チェンバー中の加圧剥離フィルムの上下の空間を真空引きし、加圧剥離フィルムの外周部を基板の外方で基板置台上に気密に密着固定した後、真空チェンバー中の加圧剥離フィルムの上方空間を大気圧あるいは大気圧より高圧として、加圧剥離フィルムを基板及び素子の外表面に密着させ、基板と素子とを接合することを特徴とする、真空加熱接合方法。
【請求項1】
基板上に素子を真空加熱接合するための真空加熱接合装置であって、該真空加熱接合装置は、
(a)基台と、
(b)基台上に配置された加圧シリンダ下板と、
(c)加圧シリンダ下板の上方に断熱配置された下ヒータ板と、
(d)下ヒータ板上面に配置された下板部材と、
(e)基台上に立設された支柱と、
(f)支柱上部に固定された加圧シリンダ上板と、
(g)加圧シリンダ上板の下方に配置された中間部材と、
(h)中間部材の下方に断熱配置された上部ヒータ板と、
(i)上部ヒータ板の下面に気密に配置され下端部が下板部材の周辺部に気密にシール可能とされた上枠部材と、
(j)上枠部材の内方で上部ヒータ板の下面に取り付けられかつ下端面が下板部材の上面の上方に位置し、かつ近接・当接させることによって下端面と基板置台の上面とが気密に当接する内方枠体と、
(k)下板部材と中間部材とを近接する方向に相対移動させ、上枠部材の下端部を下板部材の周辺部に気密に摺動シールさせて真空チェンバーを画成する真空隔壁を形成し、下板部材と中間部材とをさらに近接する方向に相対移動させることによって内方枠体の下端面を基板置台の上面に気密に当接させ、また下板部材と中間部材とを離間する方向に相対移動させる駆動ユニットと、
(l)該真空隔壁内の真空チェンバーを真空脱気し加圧するための真空・加圧口とを有する真空加熱接合装置であって、
(m)駆動ユニットによって下板部材と中間部材とを離間する方向に相対移動させ真空チェンバーを開いた状態とし、
(n)基板を基板置台上面に配置し、接着剤を介して基板の上面に素子を配置し、加圧剥離フィルムを素子の上面または上方にかつ基板の上方かつ外方に迄延在させて配置し、かつ加圧剥離フィルムの外周部と内方枠体の下面を基板の外方で対面配置し、
(o)駆動ユニットによって下板部材と中間部材とを近接する方向に相対移動することによって、上枠部材の下端部を下板部材の周辺部に気密に摺動シールさせて内部に真空チェンバーを画成する真空隔壁を形成し、
(p)加圧剥離フィルムを素子の上面に接触させ大気圧加熱下に軟化させ、
(q)真空チェンバー内を真空・加圧口を通して真空引きをし、
(r)駆動ユニットによってさらに下板部材と中間部材とを近接する方向に相対移動することによって、加圧剥離フィルムの外周部を基板置台の上面と内方枠体の下面との間に気密に保持した状態とし、
(s)この状態で真空チェンバー中の加圧剥離フィルム上方空間に真空・加圧口を通して大気圧あるいは大気圧より高い圧力をかけて、加圧剥離フィルムを基板及び素子の外表面に密着させ、素子を基板に接合する、真空加熱接合装置である。
【請求項2】
素子付き基板の素子を基板に真空加熱封止接合するための真空加熱接合装置であって、該真空加熱接合装置は、
(a)基台と、
(b)基台上に配置された加圧シリンダ下板と、
(c)加圧シリンダ下板の上方に断熱配置された下ヒータ板と、
(d)下ヒータ板上面に配置された下板部材と、
(e)基台上に立設された支柱と、
(f)支柱上部に固定された加圧シリンダ上板と、
(g)加圧シリンダ上板の下方に配置された中間部材と、
(h)中間部材の下方に断熱配置された上部ヒータ板と、
(i)上部ヒータ板の下面に気密に配置され下端部が下板部材の周辺部に気密にシール可能とされた上枠部材と、
(j)上枠部材の内方で上部ヒータ板の下面に取り付けられかつ下端面が下板部材の上面の上方に位置し、かつ近接・当接させることによって下端面と基板置台の上面とが気密に当接する内方枠体と、
(k)下板部材と中間部材とを近接する方向に相対移動させ、上枠部材の下端部を下板部材の周辺部に気密に摺動シールさせて真空チェンバーを画成する真空隔壁を形成し、下板部材と中間部材とをさらに近接する方向に相対移動させることによって内方枠体の下端面を基板置台の上面に気密に当接させ、また下板部材と中間部材とを離間する方向に相対移動させる駆動ユニットと、
(l)該真空隔壁内の真空チェンバーを真空脱気し加圧するための真空・加圧口とを有する真空加熱接合装置であって、
(m)駆動ユニットによって下板部材と中間部材とを離間する方向に相対移動させ真空チェンバーを開いた状態とし、
(n)基板上に素子を接着剤を介して基板上に予め接着・固定した素子付き基板を基板置台上面に配置し、素子付き基板を封止するための封止シートを素子の上面にかつ素子と加圧剥離フィルムとの間でかつ素子の外方に迄延在させて配置し、加圧剥離フィルムを封止シートの上面または上方にかつ基板の上方かつ外方に迄延在させて配置し、かつ加圧剥離フィルムの外周部と内方枠体の下面を基板の外方で対面配置し、
(o)駆動ユニットによって下板部材と中間部材とを近接する方向に相対移動することによって、上枠部材の下端部を下板部材の周辺部に気密に摺動シールさせて内部に真空チェンバーを画成する真空隔壁を形成し、
(p)加圧剥離フィルムを素子上面において封止シートの上面に接触させ大気圧加熱下に軟化させ、
(q)真空チェンバー内を真空・加圧口を通して真空引きをし、
(r)駆動ユニットによってさらに下板部材と中間部材とを近接する方向に相対移動することによって、加圧剥離フィルムの外周部を基板置台の上面と内方枠体の下面との間に気密に保持した状態とし、
(s)この状態で真空チェンバー中の加圧剥離フィルム上方空間に真空・加圧口を通して大気圧あるいは大気圧より高い圧力をかけて、加圧剥離フィルムと封止シートを基板及び素子に密着させ、素子を基板に封止接合する、真空加熱接合装置である。
【請求項3】
基板の上面には、複数の素子が配置されている、請求項1あるいは請求項2に記載の真空加熱接合装置。
【請求項4】
前記加圧剥離フィルムを素子の上面あるいは素子の上面の封止シート上にかつ基板の上方でかつ封止シートの外方に迄延在させて配置し、かつ加圧剥離フィルムの外周部と内方枠体の下面が対面するように配置される、請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の真空加熱接合装置。
【請求項5】
加圧剥離フィルムが内方枠部材の下端面に着脱可能に固定されている、請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の真空加熱接合装置。
【請求項6】
基板置台の上面にかつ基板の周囲に加圧剥離フィルム挟み治具が配置され、加圧剥離フィルムの外周部が加圧剥離フィルム挟み治具に脱着可能に固定され、加圧剥離フィルム挟み治具を下板部材の上面にスプリングを介して通気可能な若干の隙間をもうけかつ基板の周囲に配置した状態で、加圧剥離フィルムが基板上の前記素子の上面あるいは上方に、あるいは素子の上面の封止シート上あるいは上方に配置され、駆動ユニットによって下板部材と中間部材とを近接する方向に相対移動することによって、上枠部材の下端部を下板部材の周辺部に気密に摺動シールさせて真空チェンバーを画成する真空隔壁を形成し、大気中加熱下に加圧剥離フィルムを軟化させた後、真空チェンバーを真空・加圧口を通して真空引きをし、駆動ユニットによってさらに下板部材と中間部材とを近接する方向に相対移動することによって、加圧剥離フィルム挟み治具を下板部材の上面に気密に摺動当接させ、加圧剥離フィルムと下板部材の上面との間の空間を真空保持させて、この状態で真空隔壁内の加圧剥離フィルム上方空間に真空・加圧口を通して大気圧あるいは大気圧より高い圧力をかけて、加圧剥離フィルムを基板及び素子の外表面に密着させる、請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の真空加熱接合装置。
【請求項7】
中間板が加圧シリンダ上板の下方に支柱に対して摺動可能とされ、中間板の下面に上部ヒータ板を断熱固定し、加圧シリンダ上板の上方に駆動ユニットとして移動シリンダを設け、移動シリンダのシリンダロッドの下端部を加圧シリンダ上板を通って中間板に固定した、請求項1乃至請求項6のいずれかに記載の真空加熱接合装置。
【請求項8】
スライドテーブルが基台上面に横方向移動可能に配置され、下ヒータ板がスライドテーブル上に断熱配置され、スライドテーブルを移動させるスライドテーブル移動手段が設けられ、上枠部材を上方に移動した状態でスライドテーブル移動手段によってスライドテーブル、下ヒータ板、下板部材を外部に取り出し、スライドテーブル移動手段によってスライドテーブル、下ヒータ板、下板部材を真空加熱接合装置内部の上枠部材下方に移動可能となっており、基板置台に基板、基板上に素子、素子上に加圧剥離フィルムを積層し、あるいは基板置台に素子付き基板、素子付き基板の素子上に封止シート、封止シート上に加圧剥離フィルムを積層し、スライドテーブル移動手段によってスライドテーブル、下ヒータ板、下板部材を真空加熱接合装置内部の上枠部材下方に移動し、かつ接合処理後の基板と素子と加圧剥離フィルム、あるいは封止シートによる封止接合処理後の素子付き基板と加圧剥離フィルムとを取り出すことを可能とする、請求項1乃至請求項4及び請求項7のいずれかに記載の真空加熱接合装置。
【請求項9】
スライドテーブルが基台上面に横方向移動可能に配置され、下ヒータ板がスライドテーブル上に断熱配置され、スライドテーブルを移動させるスライドテーブル移動手段が設けられ、上枠部材を上方に移動した状態でスライドテーブル移動手段によってスライドテーブル、下ヒータ板、下板部材を外部に取り出し、スライドテーブル移動手段によってスライドテーブル、下ヒータ板、下板部材を真空加熱接合装置内部の上枠部材下方に移動可能となっており、基板置台に基板、基板上に素子を積層し、あるいは基板置台上に素子付き基板、素子付き基板の素子上に封止シートを積層し、スライドテーブル移動手段によってスライドテーブル、下ヒータ板、下板部材を真空加熱接合装置内部の上枠部材下方に移動し、接合処理後の基板と素子、あるいは封止シートによる封止接合処理後の素子付き基板とを取り出すことを可能とする、請求項5に記載の真空加熱接合装置。
【請求項10】
スライドテーブルが基台上面に横方向移動可能に配置され、下ヒータ板がスライドテーブル上に断熱配置され、スライドテーブルを移動させるスライドテーブル移動手段が設けられ、上枠部材を上方に移動した状態でスライドテーブル移動手段によってスライドテーブル、下ヒータ板、下板部材を外部に取り出し、スライドテーブル移動手段によってスライドテーブル、下ヒータ板、下板部材を真空加熱接合装置内部の上枠部材下方に移動可能となっており、基板置台に基板、基板上に素子を積層し、あるいは基板置台に素子付き基板、素子付き基板の素子上に封止シートを積層し、基板置台の上面にかつ基板の周囲に加圧剥離フィルム挟み治具を配置し、スライドテーブル移動手段によってスライドテーブル、下ヒータ板、下板部材を真空加熱接合装置内部の上枠部材下方に移動し、かつ接合処理後の基板と素子、あるいは封止シートによるシール接合処理後の素子付き基板とを取り出すことを可能とする、請求項6に記載の真空加熱接合装置。
【請求項11】
基板上に素子を加熱接合する真空加熱接合方法であって、該真空加熱接合方法は、真空チェンバーを画成する真空隔壁を開いた状態で内部において、基板置台上に基板と、基板上に素子を配置し、加圧剥離フィルムを素子の上面あるいはその上方で、かつ基板の上方でかつ外方に迄延在させて配置し、真空隔壁を閉じて真空チェンバーを形成し内部に基板、素子、加圧剥離フィルムを閉じ込め、加圧剥離フィルムを素子上面に接触させた状態で、大気圧中で加圧剥離フィルムを加熱軟化させ、真空チェンバー中の加圧剥離フィルムの上下の空間を真空引きし、加圧剥離フィルムの外周部を基板の外方で基板置台上に気密に密着固定した後、真空チェンバー中の加圧剥離フィルムの上方空間を大気圧あるいは大気圧より高圧として、加圧剥離フィルムを基板及び素子の外表面に密着させ、基板と素子とを接合することを特徴とする、真空加熱接合方法。
【請求項12】
素子付き基板を封止シートによって加熱封止接合する真空加熱接合方法であって、該真空加熱接合方法は、真空チェンバーを画成する真空隔壁を開いた状態で内部において、基板置台上に素子付き基板、素子付き基板の素子の上面に素子付き基板を封止するための封止シートを素子の外方に迄延在させて配置し、加圧剥離フィルムを封止シートの上面あるいはその上方で、かつ基板の上方でかつ封止シートの外方に迄延在させて配置し、真空隔壁を閉じて真空チェンバーを形成し内部に素子付き基板、加圧剥離フィルムを閉じ込め、加圧剥離フィルムを素子上面に接触させた状態で、大気圧中で加圧剥離フィルムを加熱軟化させ、真空チェンバー中の加圧剥離フィルムの上下の空間を真空引きし、加圧剥離フィルムの外周部を基板の外方で基板置台上に気密に密着固定した後、真空チェンバー中の加圧剥離フィルムの上方空間を大気圧あるいは大気圧より高圧として、加圧剥離フィルムを基板及び素子の外表面に密着させ、基板と素子とを接合することを特徴とする、真空加熱接合方法。
【図1】
【図2(a)】
【図2(b)】
【図2(c)】
【図2(d)】
【図3(a)】
【図3(b)】
【図3(c)】
【図3(d)】
【図4(a)】
【図4(b)】
【図4(c)】
【図4(d)】
【図5(a)】
【図5(b)】
【図5(c)】
【図5(d)】
【図6(a)】
【図6(b)】
【図2(a)】
【図2(b)】
【図2(c)】
【図2(d)】
【図3(a)】
【図3(b)】
【図3(c)】
【図3(d)】
【図4(a)】
【図4(b)】
【図4(c)】
【図4(d)】
【図5(a)】
【図5(b)】
【図5(c)】
【図5(d)】
【図6(a)】
【図6(b)】
【公開番号】特開2013−52424(P2013−52424A)
【公開日】平成25年3月21日(2013.3.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−192995(P2011−192995)
【出願日】平成23年9月5日(2011.9.5)
【出願人】(391020665)ミカドテクノス株式会社 (4)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年3月21日(2013.3.21)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年9月5日(2011.9.5)
【出願人】(391020665)ミカドテクノス株式会社 (4)
【Fターム(参考)】
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