説明

真空成膜装置、樹脂フィルムの真空成膜方法、および樹脂フィルム

【課題】例えばより抵抗が低く透過率の高いITO薄膜のような透明導電膜を、樹脂フィルムの軟化点以下の温度で比較的低コストに均一かつ高速度で成膜する。
【解決手段】真空容器1内の上部に、成膜ローラ10に巻回された樹脂フィルムFがその被成膜面Sを下向きにして配設するとともに、真空容器1内の下部には、蒸着材料を電子ビームガン4によって蒸発させる蒸発源5と、この蒸発源5において蒸発させられた蒸着材料の材料蒸気Aに向けてプラズマBを照射するプラズマ放出源7とを、被成膜面Sに対向するように配置し、このうちプラズマ放出源7を、成膜ローラ10の軸線Oを含んで鉛直方向に延びる仮想平面Rから間隔をあけて配設する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、真空容器内において樹脂フィルムに透明導電膜等の薄膜を蒸着により成膜する真空成膜装置、該真空成膜装置を用いた樹脂フィルムの真空成膜方法、および該真空成膜方法により薄膜が成膜された樹脂フィルムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
このような、樹脂フィルムに薄膜を成膜する真空成膜装置および真空成膜方法として、例えば特許文献1には、医薬、食品包装材料等に用いられるプラスチックフィルムに酸素バリアー性、防湿性を付与するためにアルミニウム等の金属または金属酸化物を蒸着材料の電子ビーム加熱によって真空蒸着するものが開示されている。
【0003】
また、特許文献2には、このような包装材料におけるバリアー性や、あるいは反射防止フィルムの光学特性の向上のために、酸化チタン等の金属酸化物薄膜を蒸着、スパッタリング、CVD等の各種手段によって成膜するものが、さらに特許文献3には同様に酸化チタン薄膜を蒸着するものとして、同時にラジカルビーム発生源およびイオンビーム発生源から酸素ラジカルおよび酸素イオンを照射することが提案されている。
【0004】
一方、近年、液晶ディスプレイ等の電極を構成する薄膜として、低抵抗で可視光透過率が高いITO(インジウム、錫酸化物)薄膜が注目されてきており、このようなITO薄膜を成膜するものとして、例えば特許文献4、5には、ITO蒸着材料を保持したハース(ルツボ)にプラズマガンから発生させたプラズマビームを導入してガラス基板やプラスチック基板にITO透明導電膜を成膜する真空成膜装置および真空成膜方法が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平2−250953号公報
【特許文献2】特開2002−60931号公報
【特許文献3】特開2002−327267号公報
【特許文献4】特開2002−30423号公報
【特許文献5】特開2003−141947号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
このうち、上述のような透明導電膜を成膜するのに現在最も一般的な方法は、例えば特許文献2に記載されたスパッタリングである。ところが、これを樹脂フィルムへのITO薄膜の成膜に適用して低抵抗で高透過率のITO薄膜を得ようとすると、樹脂フィルムの温度をその軟化点以上の150℃以上とする必要があり、樹脂フィルムが軟化して成膜が困難となってしまう。
【0007】
また、幅広のフィルムに均一な成膜を図るには、フィルム幅と同程度の長さの成膜材料が必要となり、特に高価なインジウムを含むITO薄膜を成膜する場合にはコストが著しく高くなる。さらに、スパッタリングではその原理上、成膜速度を速めることができないという問題もあり、これは、この特許文献2を初め、特許文献1、3にも記載された電子ビーム加熱による単なる真空蒸着でも同様である。
【0008】
一方、これに対して特許文献4、5に記載された方法では、プラズマビームによって蒸着材料の蒸発とイオン化とを同時に行うため、イオン化効率が高くてスパッタリングや単なる蒸着よりは高い成膜速度を得ることができる。しかしながら、その反面、蒸着材料の蒸発とイオン化とを独立して制御することができないため、膜質を決定する蒸発量とイオン化量との比率をコントロールすることが難しく、より低抵抗で高い透過率の薄膜を得るのが困難となるという問題がある。
【0009】
また、この方法では原理上、蒸発源の輻射が無加熱でも自然と基板温度が上昇するため、樹脂フィルムへの成膜に適用しようとすると、やはりフィルムの軟化を招くおそれがある。さらに、プラズマのエネルギーは殆どがハースに流入するため、基板への蒸発物質のイオン化効果は少なく、より高い成膜速度を得るためには、基板側に積極的に電位を印加してこのイオン化効果を高めるなどしなければならなくなり、そのためのバイアス印加専用の電源が必要となるなど、成膜装置の構造の複雑化を招く結果となる。
【0010】
本発明は、このような背景の下になされたもので、特に上述のITO薄膜のような透明導電膜を樹脂フィルムに成膜するのに際して、樹脂フィルムの軟化点以下の温度での成膜が可能であるのは勿論、比較的低コストで均一かつ高速度の成膜が可能であり、そして、蒸着材料の蒸発量とイオン化量とを独立して確実に制御して、より抵抗が低く透過率の高い透明導電膜を成膜することが可能な真空成膜装置、該真空成膜装置を用いた真空成膜方法、および該真空成膜方法により薄膜が成膜された樹脂フィルムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決して、このような目的を達成するために、本発明の真空成膜装置は、真空容器内の上部に、成膜ローラに巻回された樹脂フィルムがその被成膜面を下向きにして配設されるとともに、上記真空容器内の下部には、蒸着材料を電子ビームガンによって蒸発させる蒸発源と、この蒸発源において蒸発させられた上記蒸着材料に向けてプラズマを照射するプラズマ放出源とが、上記被成膜面に対向するように配置されており、このうち上記プラズマ放出源は、上記成膜ローラの軸線を含んで鉛直方向に延びる仮想平面から間隔をあけて配設されていることを特徴とする。
【0012】
また、本発明の真空成膜方法は、このような真空成膜装置を用いた樹脂フィルムの真空成膜方法であって、上記成膜ローラ上を走行する上記樹脂フィルムに向けて、上記蒸発源から上記蒸着材料を蒸発させるとともに、この蒸発させられた蒸着材料に向けて上記プラズマ放出源によりプラズマを照射して、上記被成膜面に上記蒸着材料よりなる薄膜を成膜することを特徴とする。さらに、本発明の樹脂フィルムは、このような真空成膜方法により薄膜が成膜されていることを特徴とするものである。
【0013】
従って、このような真空成膜装置および真空成膜方法によれば、蒸着材料の蒸発は電子ビームガンによる蒸発源により、またこうして蒸発した蒸着材料のイオン化はプラズマ放出源により、それぞれ独立して制御が可能であるので、ITO薄膜のような透明導電膜の膜質を決定する蒸着材料の蒸発量とイオン化量との比率を確実にコントロールすることができる。このため、こうして薄膜が成膜された本発明の樹脂フィルムにあっては、より低抵抗で高透過率の透明導電膜を成膜することが可能となる。また、このように蒸発源自体は電子ビームガンによるものであるので、輻射が小さく、樹脂フィルムの軟化点以下での成膜が可能である。
【0014】
そして、こうして蒸発させられた蒸着材料に向けて、上述のようなプラズマ放出源によってプラズマを照射して蒸着材料をイオン化することにより、樹脂フィルムに積極的に電位を印加したりせずとも高いイオン化効果を得ることができるとともに、樹脂フィルムへ向かうイオンが被成膜面に衝突することにより、その衝撃エネルギーによってこの被成膜面上でも反応性等を高めることができて、成膜速度の向上を図ることが可能となる。さらには、蒸発した蒸着材料をこのプラズマの放出によって拡散させることもできるので、幅広の樹脂フィルムであってもその被成膜面全面に亙って均一な薄膜を成膜することができる。
【0015】
さらにまた、このプラズマ放出源が、成膜ローラの軸線を含んで鉛直方向に延びる仮想平面から間隔をあけて配設されていて、すなわち上記被成膜面の周方向中央部から直下に延びる成膜ローラの中心面に対してオフセットされることになる。そして、これにより、このプラズマ放出源と被成膜面との間の距離を大きく確保することができるため、放出されたプラズマをフィルムの被成膜面に到達するまでに十分に拡散させることができ、これに伴い上述のように蒸発した蒸着材料もより均一に拡散させて、フィルムの幅方向全体に一層確実に均一な薄膜を成膜することが可能となる。
【0016】
その一方で、逆に上記蒸発源がこの成膜ローラの中心面から間隔をあけてオフセットされていると、蒸着材料の蒸発粒子が被成膜面に斜めに入射することになり、成膜された透明導電膜の屈折率が下がって充填密度が低くなる結果となって、密着性や耐環境性能の低下を招くおそれがあるが、こうしてプラズマ放出源を成膜ローラの中心面となる上記仮想平面から間隔をあけて配設することにより、蒸発源はこの仮想平面上あるいはこれに近い位置に配設することができ、この蒸発源から蒸発した蒸着材料を被成膜面に垂直に近い角度で入射させることができる。なお、成膜に影響を与えるプラズマ中のイオンは蒸発粒子のように指向性を有していないため、プラズマ放出源がオフセットされて斜めに入射してもその影響は小さい。
【0017】
さらに、この蒸発源において蒸着材料を蒸発させる上記電子ビームガンにおける電子ビームの制御と、プラズマ放出源から照射されるプラズマの制御とは、一般的に電磁石コイルや永久磁石によって形成される磁場により行われるが、これら蒸発源とプラズマ放出源とが近接していると互いの磁場が干渉して乱れを生じ、電子ビームやプラズマの確実な制御が妨げられるおそれもある。ところが、これに対しても、上述のようにプラズマ放出源を上記仮想平面から間隔をあけて配設することにより、蒸発源の電子ビームガンをこの仮想平面上に位置させても両者の間にある程度の距離を確保することができ、これによって互いの磁場の干渉を防いで一層確実な電子ビームやプラズマの制御を図ることが可能となる。
【0018】
なお、このように成膜ローラの中心面となる上記仮想平面からプラズマ放出源を間隔をあけて配設しても、該プラズマ放出源を、その上端部が上記被成膜面側を向くように傾けることにより、この仮想平面に対してプラズマ放出源と反対側の被成膜面にまでプラズマを十分に拡散させることができ、さらに確実な薄膜の均一化を図ることができる。また、成膜ローラ上の被成膜面が、真空容器内を仕切るように配設された防着板の開口部から下向きに露出するようにされている場合、この防着板の下面にも成膜中の膜が付着して堆積し続け、長時間の成膜を行うと堆積したこの膜が剥離してプラズマ放出源に落下するおそれもあるが、このようにプラズマ放出源を傾けることにより、落下した膜剥離物がプラズマ放出源のプラズマガン内部等に混入したりするのを防ぐことができ、このような膜剥離物の混入によってプラズマ放電が停止してしまったりするような事態が生じるのを未然に防止することができるという効果も得られる。
【0019】
さらに、本発明の真空成膜装置では、蒸発源とプラズマ放出源とがともにフィルムの被成膜面に対向するように配設させられていて、プラズマ放出源が蒸発源に対向するように配設されることがないので、蒸発源において蒸発させられた蒸着材料がこのプラズマ放出源に設けられたアノード電極に付着して着膜したりするのも抑えることができる。そして、さらにこのプラズマ放出源に設けたアノード電極の上端部を、上記蒸発源において蒸発させられる上記蒸着材料を保持したハースよりも鉛直方向に高い位置に配設することにより、このアノード電極への着膜を一層確実に防止することが可能となり、このような着膜による放電の不安定化を抑止することができる。
【0020】
また、本発明の真空成膜装置においては、上記プラズマ放出源に設けたアノード電極と、上記蒸発源において蒸発させられる上記蒸着材料を保持したハースとを同電位とすることにより、プラズマ放出源から照射させられたプラズマ中の電子の多くがアノード電極に戻される一方、この電子の一部は上記ハースをアノードとしてこのハースに流れ込んで蒸着材料を加熱するとともにイオン化するので、特許文献4、5に記載された成膜装置と同様の効果を得ることができて、イオン化効率の一層の向上を図ることが可能となる。
【0021】
さらに、本発明の真空成膜装置において、上記成膜ローラを絶縁して上記真空容器内に支持することによりフローティング電位とすれば、プラズマ放出源から照射させられたプラズマ中の電子が、上述のようにプラズマ放出源に設けたアノード電極や、このアノード電極と同電位としたハース以外に拡散するのを防ぐことができ、被成膜面の下方にこのプラズマ中の電子を閉じこめてその密度を高めることができる。
【発明の効果】
【0022】
以上説明したように、本発明の真空成膜装置および真空成膜方法によれば、装置構造の複雑化やコスト高を招くことなく、樹脂フィルムの軟化点以下の温度でその被成膜面に満遍なく均一な薄膜を成膜することができ、さらに蒸着材料の蒸発量とイオン化量とを独立して確実に制御することが可能である。従って、特にITO薄膜のような透明導電膜を成膜するのに際して、成膜速度の向上を図りつつ、本発明の樹脂フィルムにおいて、より低抵抗で高透過率であり、しかも密着性や耐環境性能の高い透明導電膜を形成することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の真空成膜装置の第1の実施形態を示す真空容器1の仮想平面Pに沿った縦断面図である。
【図2】図1に示す実施形態の真空容器1の扉部1Aを開いた状態における平面図(真空容器1内は平断面図)である。
【図3】第1の実施形態の変形例を示す概略平面図である。
【図4】第1の実施形態の他の変形例を示す概略平面図である。
【図5】本発明の真空成膜装置の第2の実施形態を示す真空容器1の仮想平面Pに沿った縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
図1および図2は、本発明の真空成膜装置の第1の実施形態を示すものである。本実施形態において真空容器1は、これらの図に示すように直方体状の箱形をなしていて、その1つの側面部(図2において下側の側面部)が開閉可能な扉部1Aとされており、この扉部1Aを密閉した状態で、図示されない真空排気手段により内部が真空状態となるようにされている。
【0025】
この真空容器1内の底部には、給材機構2から順次供給される蒸着材料を保持するリング状の溝を形成したハース3が、その中心軸を鉛直方向に向けて該中心軸回りに回転可能に設けられるとともに、このハース3に保持された蒸着材料の一部に電子ビームを照射して蒸発させることにより材料蒸気(成膜物質)Aを生成する電子ビームガン4が該ハース3に隣接するように配設されていて、これらにより蒸発源5が構成されている。なお、リング状ハースに変えて多数のルツボを配設した多点ハースを用いてもよい。
【0026】
なお、本実施形態では、このような蒸発源5が真空容器1内の底部に複数備えられている。より具体的には、一対の蒸発源5が、図2に示すように平面視において真空容器1の底面に垂直で該真空容器1内の奥行き方向(図2において上下方向)の中央に位置する仮想平面Pに関して対称となるように配設されており、これらの蒸発源5においては、それぞれの電子ビームガン4によって材料蒸気Aが生成される上記ハース3上のビーム照射位置Qが、やはり真空容器1の底面に垂直で上記奥行き方向に直交する真空容器1内の幅方向(図1および図2において左右方向)の中央に位置する仮想平面R上に配置されるようになされている。
【0027】
また、この真空容器1内の底部には、上記蒸発源5において蒸発させられた材料蒸気Aに向けてプラズマBを照射してイオン化を起こすプラズマ放出源7が配設されている。本実施形態におけるプラズマ放出源7は圧力勾配型プラズマガンであって、内部に配設されたコイル6Aを通して図1に示すようにプラズマBを上記材料蒸気Aに照射するようになされており、上記奥行き方向には図2に示すようにこのコイル6Aの中心線を上記仮想平面P上に位置させて鉛直方向に向けるようにして、また上記幅方向には上記仮想平面Rに対して一方の側(図1および図2において右側)に位置するように配置されている。なお、このプラズマ放出源7に備えられるアノード電極6の上端部は、上記蒸発源5において蒸着材料を保持するハース3よりも上方に位置し、かつ少なくともこのハース3と同電位となるようにされている。
【0028】
一方、真空容器1の上記扉部1Aには、薄膜を成膜する樹脂フィルムFを保持する一対の保持ローラ8と、複数の中間ローラ9と、そして1つの成膜ローラ10とが、図示されない駆動手段によってそれぞれその回転軸線回りに回転可能に片持ち支持されており、これらのローラ8〜10は扉部1Aを閉じた状態で、各ローラ8〜10の回転軸線方向中央において該回転軸線を上記仮想平面Pに直交させるようにして、真空容器1内側に突出するように配設されている。なお、本実施形態ではこれらのローラ8〜10は、図1に示すように上記仮想平面Rに対して対称な配置とされている。
【0029】
このうち成膜ローラ10は最も大径とされて、保持ローラ8および中間ローラ9よりも下方に位置し、本実施形態では図1に示すように真空容器1内の上下方向略中央に配設されるとともに、図2に示すように平面視において上記奥行き方向と幅方向にも中央部に位置し、複数の蒸発源5の上記ハース3上のビーム照射位置Qと上記プラズマ放出源7の直上に配設されている。従って、この成膜ローラ10の回転軸線Oは上記仮想平面R上に位置することになり、言い換えればこの仮想平面Rは成膜ローラ10中心の軸線Oを含んで鉛直方向に延びる中心面とされて、上記一対の蒸発源5はこの中心面上に位置するとともに、プラズマ放出源7はこの中心面となる仮想平面Rから上記一方の側に間隔をあけて配設されることになる。また、上記仮想平面Pは、成膜ロール10の軸線O方向中央に位置して該軸線Oに直交するように配設される。
【0030】
さらに、この成膜ローラ10は絶縁されて真空容器1内に支持されていてその電位がフローティング電位とされている。なお、本実施形態では成膜状況によっては他の保持ローラ8や中間ローラ9も同様に絶縁されて支持されてフローティング電位とする場合もありうる。また、絶縁されてなくとも樹脂フィルムFと接するローラ表面もしくはローラ本体が樹脂製でもよい。
【0031】
また、真空容器1内には、その上下方向の中央部よりもやや下側に、扉部1Aを閉じた状態で成膜ローラ10の下側部分が露出するように開口部11Aが形成された上部防着板11が水平に配設されるとともに、真空容器1内の底部側には、蒸発源5の上記ハース3上のビーム照射位置Qおよび電子ビームガン4の位置とプラズマ放出源7の位置とが開口した底部防着板12が、やはり水平に配設されている。さらに、これら上部防着板11と底部防着板12との間の真空容器1内壁面側には、該防着板11,12とともに成膜ローラ10と蒸発源5およびプラズマ放出源7との間に箱形の空間を画成するように壁部防着板13が配設されており、これらの防着板11〜13も絶縁されて真空容器1内に支持されてその電位がフローティング電位とされている。
【0032】
このように構成された真空成膜装置において、薄膜が成膜される樹脂フィルムFは、上記一対の保持ローラ8のうち、本実施形態では上記仮想平面Rに対してプラズマ放出源7が配設された上記一方の側(図1および図2において右側)の保持ローラ8に巻き掛けられて保持され、この一方の側の保持ローラ8から中間ローラ9を経て成膜ローラ10の上記下側部分に巻回され、さらに仮想平面Rに対して上記一方の側とは反対側の他方の側(図1および図2において左側)の保持ローラ8に中間ローラ9を経て巻き取られてゆく。
【0033】
なお、上記一方の側の中間ローラ9と成膜ローラ10との間には、図1に示すように該中間ローラ9と成膜ローラ10との間を走行する樹脂フィルムFに対向するようにヒーター14が設けられていてもよい。また、このヒーター14とは別に、もしくはヒーター14と合わせて、成膜ローラ10に樹脂フィルムFを加熱するなどしてその温度を制御する温度制御手段が設けられていてもよい。
【0034】
なお、ヒーター14による樹脂フィルムFの加熱は、樹脂フィルムF表面に吸着した、主に水分除去を目的として、通常成膜を行う直前に実施する。これにより、樹脂フィルムFへの膜の密着性の向上を図ることが出来る。本実施形態では、適切に調節した出力でヒーター14を起動した状態で、樹脂フィルムFが、上記仮想平面Rに対して他方の側の保持ローラ8から中間ローラ9を経て成膜ローラ10の上記下側部分に巻き回され、さらにヒーター14が配設される上記一方の側の保持ローラ8に中間ローラ9を経て巻き取られてゆく。よって、巻き回されるほぼすべての樹脂フィルムF上を一旦加熱することになる。また、樹脂フィルムFの加熱時に上記方向に巻き取れば、その逆転方向が上述した一方の側の保持ローラ8から他方の側の保持ローラ8に向かう成膜時の巻き取り方向となるため、成膜のために樹脂フィルムFを一旦巻き戻す必要がない。
【0035】
従って、樹脂フィルムFは、この成膜ローラ10の下側部分に巻回されて走行する部分の下向きとなる面が、薄膜が成膜される被成膜面Sとなり、成膜ローラ10の上記中心面となる仮想平面Rは、図1に示すように該成膜ローラ10の周方向において被成膜面Sの中央に位置して鉛直方向に延びることになるとともに、上記仮想平面Pは成膜ローラ10の軸線O方向において被成膜面Sの中央に位置し、上記蒸発源5とプラズマ放出源7とは上部防着板11の上記開口部11Aに臨んでこの被成膜面Sに対向するように配置されることになる。
【0036】
そして、上記実施形態の真空成膜装置を用いた本発明の真空成膜方法の一実施形態では、こうして成膜ローラ10の下側部分に巻回されて走行する樹脂フィルムFに向けて、蒸発源5から蒸着材料を蒸発させて材料蒸気Aを生成するとともに、この材料蒸気Aに向けてプラズマ放出源7からプラズマBを照射してイオン化を起こし、上記被成膜面Sにこの蒸着材料よりなる例えばITO薄膜を成膜してゆく。これにより、本発明の樹脂フィルムの一実施形態である、このような薄膜が成膜された樹脂フィルムFが製造される。
【0037】
このような構成の真空成膜装置および該真空成膜装置を用いた真空成膜方法によれば、こうして蒸発源5において生成された材料蒸気Aに向けてプラズマ放出源7によりプラズマBを照射して材料蒸気A中の蒸着材料をイオン化することにより、高いイオン化効果を得ることができるとともに、樹脂フィルムFへ向かうイオンが被成膜面Sに衝突することによる衝撃エネルギーによって被成膜面S上での反応性を高めることができる。このため、バイアス印加専用電源を備えて樹脂フィルムに積極的に電位を印加したりせずとも成膜速度の向上を図ることが可能となり、装置構造の複雑化を防ぎつつ効率的な成膜を行うことができる。
【0038】
そして、上記真空成膜装置では、蒸着材料の蒸発による材料蒸気Aの生成は蒸発源5における電子ビームガン4によって制御可能であるとともに、こうして生成された材料蒸気Aのイオン化はプラズマ放出源7によって蒸着材料の蒸発とは独立して制御可能であり、この蒸着材料の蒸発量とイオン化量との比率を確実にコントロールすることができる。従って、上述のITO薄膜のような透明導電膜を成膜する場合に、その膜質を決定するこの蒸着材料の蒸発量とイオン化量との比率を常に最適な比率に維持することができるので、本実施形態の樹脂フィルムFにおいては、より低抵抗で透過率の高い透明伝導膜を成膜することが可能となる。
【0039】
また、このように蒸発源5は電子ビームガン4によって蒸着材料を蒸発させるものであるので、熱の輻射を小さく抑えることができて、樹脂フィルムFの軟化点である例えば150℃〜100℃以下での成膜が可能となる。このため、成膜ローラ10に巻回された樹脂フィルムFが軟化して延伸したり、破断したりするような事態も防止することができて、安定した成膜を図ることができる。
【0040】
さらに、蒸発した材料蒸気Aは、それ自体が拡散するとともに、プラズマ放出源7によるプラズマBの照射によっても拡散して上記被成膜面Sに蒸着されるので、均一な成膜を図ることができる。しかも、プラズマ放出源7が成膜ロール10および被成膜面Sの中心面となる上記仮想平面Rに対して間隔をあけて配設されており、これによりプラズマ放出源7から被成膜面Sまでの距離を大きくすることができるので、被成膜面Sに達するまでにプラズマBをより大きく拡散させることができ、幅広の樹脂フィルムFに対してもより均一な成膜を行うことができる。
【0041】
その一方で、こうしてプラズマ放出源7が上記仮想平面Rと間隔をあけていることにより、蒸発源5はこの仮想平面R上すなわち被成膜面Sの中心面上に配設することができるので、蒸発源5において蒸発させられた材料蒸気Aの蒸着粒子を被成膜面Sに対してより垂直に近い方向から入射させることができ、これにより透明導電膜における屈折率を高めて、すなわち蒸着材料の樹脂フィルムFへの充填密度を高めることができ、密着性や耐環境性能の高い薄膜を形成することが可能となる。なお、これに対して、仮想平面Rから間隔をおいてオフセットされたプラズマ放出源7から照射されるプラズマBは、被成膜面Sには斜めに入射することになるが、成膜に影響を与えるプラズマB中のイオンは蒸着粒子のような指向性をもたないため、その影響は少なくて済む。
【0042】
さらに、こうしてプラズマ放出源7が仮想平面Rと間隔をあけて配設されることにより、この仮想平面R上に配設された蒸発源5の電子ビームガン4とプラズマ放出源7との間にも間隔をあけることができ、蒸発源5において材料蒸気Aを発生させるための電子ビームを制御する磁場と、プラズマ放出源7においてプラズマBを制御するための磁場とが干渉し合うのを防ぐことができる。従って、このような磁場の干渉により、材料蒸気Aの発生やプラズマBの生成が不安定となるような事態を防ぐことができ、上述した蒸着材料の蒸発量とイオン化量との比率のコントロールを一層確実に行うことが可能となって、さらに低抵抗で高透過率な透明伝導膜の成膜を促すことができる。
【0043】
なお、こうしてプラズマ放出源7と上記仮想平面Rとの間にあけられる間隔は、例えば電子ビームガン4やプラズマ放出源7のプラズマガンの出力等による磁場の大きさなどに基づき、適宜設定される。また、本実施形態では、このプラズマ放出源7が、上記仮想平面Rに対して、成膜時に成膜ロール10の上記被成膜面S上を樹脂フィルムが走行する上記一方の側に間隔をあけるように配設されているが、これとは逆の上記他方の側に間隔をあけて配設されていてもよい。
【0044】
さらにまた、上記真空成膜装置では、これら蒸発源5とプラズマ放出源7とが、下向きに配設される樹脂フィルムFの被成膜面Sにともに対向するように、本実施形態ではいずれも鉛直方向上向きに向けられていて、これらが例えば直接向き合うように対向することがないので、蒸発時の飛散物がプラズマ放出源7のプラズマガンに混入したり、蒸発源5から発生した材料蒸気Aがアノード電極6に付着して着膜したりするのを抑制することができ、このような混入や着膜によってプラズマBの形成が不安定となるような事態を防止することができる。しかも、本実施形態では、このプラズマ放出源7のアノード電極6の上端部が、蒸発源5において蒸着材料を保持するハース3よりも高い位置に配設されているのでこのような混入や着膜が一層生じ難く、より安定したプラズマ放電を促すことが可能となる。
【0045】
また、例えばスパッタリングのターゲットなどに比べて同じ面積の被成膜面Sに成膜する場合でも、ハース3に保持する蒸着材料は少なくて済み、コストの増大を抑えることもできる。しかも、本実施形態の真空成膜装置では、複数(一対)の蒸発源5が、その材料蒸気Aを発生するハース3上のビーム照射位置Qを、上記仮想平面Rに沿った方向、すなわち成膜ローラ10に巻回された樹脂フィルムFの幅方向に間隔をあけるようにして、図2に示すように上記仮想平面Pに関して対称となるように配設されるとともに、プラズマ放出源7はこの仮想平面P上に位置するように配設されているので、幅広のフィルムFに成膜をする場合でも、上述のようにコストを抑えつつ高性能で均一な薄膜を効率的に成膜することが可能である。
【0046】
なお、成膜する樹脂フィルムFがさらに幅広である場合には、図3や図4に概略図を示す変形例の真空成膜装置のように3つまたは4つ、あるいはそれ以上の蒸発源5を上記被成膜面Sに対向するように配設するとともに、プラズマ放出源7も上記仮想平面Rから間隔をあけて複数配置するようにしてもよい。ただし、このような場合でも、これらの図に示すように複数の蒸発源5は成膜ローラ10の軸線O方向において被成膜面Sの中央に位置する仮想平面Pに関して対称となるように、かつ該軸線Oを含んで鉛直方向に延びる仮想平面R上に配設されるのが望ましく、また複数のプラズマ放出源7も上記仮想平面Pに対しては対称に配設されるのが望ましい。
【0047】
また、本実施形態の真空成膜装置においては、上述のようにプラズマ放出源7に設けられた上記アノード電極6と、蒸発源5において蒸着材料を保持したハース3とが同電位とされており、これによりプラズマ放出源7から照射されたプラズマBの電子は、その大部分がアノード電極6に戻されるとともに、残りの一部はこのアノード電極6と同電位のハース3に流れ込むことになる。そして、こうしてハース3に流れ込んだ電子は、蒸発源5の電子ビームガン4から照射された電子とともに蒸着材料を加熱し、かつ蒸気と衝突するので、蒸着材料の効果的な蒸発とイオン化を促進することができ、一層効率的な成膜を図ることができる。
【0048】
さらに、本実施形態では、これら蒸発源5およびプラズマ放出源7に被成膜面Sが対向するように樹脂フィルムFが巻回される成膜ローラ10が、絶縁されて真空容器1内に支持されてフローティング電位とされており、プラズマB中の電子が上記アノード電極6やハース3以外のこの成膜ローラ10から拡散するのを防いで、被成膜面Sの直下の空間に電子を閉じこめることによりその密度を高めることができる。しかも、本実施形態ではこの成膜ローラ10と同様に絶縁されてフローティング電位とされた防着板11〜13によって上述のように成膜ローラ10と蒸発源5およびプラズマ放出源7との間に周囲が絶縁された空間が画成されるので、一層確実に電子の拡散を防いで一部の電子を上記ハース3に供給することができ、さらなる蒸着材料のイオン化を促すことが可能となる。
【0049】
なお、フローティングとは絶縁していることを指し、本実施形態ではプラズマ放電電源電極と電気的な接続がされていない状態を指し、フローティング電位とは絶縁された状態でプラズマ中にさらされた場合にプラズマ中の電子もしくはイオンのチャージアップによりフローティング部品に発生する電位のことである。電位の大きさは放電方式や部品の設置状況による。
【0050】
本実施形態では絶縁した状態でプラズマと接することでプラズマ中の電子が、その質量がイオンよりも軽いため、イオンよりも先にフローティング部品へ到達し、さらに絶縁されているために流れることが出来ず、チャージアップすることでフローティング部品が負電位に帯電する。
【0051】
プラズマ中の負電荷である電子はこのフローティング電位により跳ね返されるため、上述のようにプラズマ放出源7に設けたアノード電極6やハース3以外に拡散すること(成膜ローラ10に流れ込むこと)を防ぎ、さらに上述のように防着板11〜13を含め、プラズマBを囲う面すべてをフローティングとすれば、負電位でプラズマBを囲うことになり、上記の通り電子の閉じ込めとその密度を高めることが出来る。
【0052】
さらにまた、本実施形態では、真空容器1の底面に垂直な上記仮想平面Rを挟んで、一方の側にプラズマ放出源7が配設されて対向する被成膜面Sに向けプラズマBが照射されるとともに、上記一方の側の保持ローラ8から樹脂フィルムFが送り出されて成膜ローラ10の下側部分を他方の側に向けて走行しつつ薄膜が成膜されることになる。すなわち、樹脂フィルムFは材料蒸気Aよりも先にプラズマBに照射され、さらに被成膜面Sを通過する間に積層される膜の初期層ではプラズマBの影響が強いために樹脂フィルムFに対する膜のアンカー効果が促進され、より密着性を向上することが出来る。
【0053】
なお、本実施形態の真空成膜装置では、一方の側の保持ローラ8と成膜ローラ10との間にヒーター14を設けたり、成膜ローラ10に温度制御手段を設けたりした場合には、真空成膜方法においてこれらにより樹脂フィルムFの温度を成膜に適した温度に調整することが可能であり、また上述のようにヒーター14によって樹脂フィルムFの含有水分の調整を行うようにすることも可能である。
【0054】
次に、図5は本発明の真空成膜装置の第2の実施形態を示すものであり、図1および図2に示した第1の実施形態と共通する部分には同一の符号を配して説明を省略する。すなわち、上記第1の実施形態ではプラズマ放出源7のプラズマガンがそのコイル6Aの中心線を鉛直方向に向けて配設されていたのに対し、この第2の実施形態ではこのコイル6Aの中心線が上記仮想平面P上にあって図5に示すように上方に向かうに従い上記他方の側を向くように傾斜させられていて、プラズマ放出源7のプラズマガンの上端部が上記被成膜面S側を向くように傾けられていることを特徴とする。
【0055】
従って、このような第2の実施形態の真空成膜装置によれば、プラズマ放出源7から照射させられるプラズマBを、このプラズマ放出源7が配設された上記仮想平面Rに対する一方の側から、これとは反対の他方の側にまで十分に拡散させることができ、プラズマ放出源7が被成膜面Sの中心面となる仮想平面Rから間隔をあけていても、より確実に均一な薄膜を形成することができる。
【0056】
また、特に真空容器1内に上述のような上部防着板11が配設されている場合には、この上部防着板11の下面にも成膜中に膜が付着して堆積し、成膜を長時間行うとこの堆積した膜が剥離して落下することがあるが、この第2の実施形態のようにプラズマ放出源7が傾けられていると、そのプラズマガンの上端開口部の平面視における投影面積が小さくなるため、落下した剥離物がこの開口部からプラズマガン内部に混入する可能性も低くなる。従って、この第2の実施形態によれば、このような剥離物の混入によってプラズマ放出源7からのプラズマBの放電が停止してしまうような事態も未然に防ぐことができ、長時間に亘る成膜も安定して行うことが可能となる。
【符号の説明】
【0057】
1 真空容器
3 ハース
4 電子ビームガン
5 蒸発源
6 アノード電極
7 プラズマ放出源
10 成膜ローラ
11〜13 防着板
A 材料蒸気
B プラズマ
F 樹脂フィルム
O 成膜ローラ10の軸線
S 被成膜面
R 成膜ローラ10の軸線を含んで鉛直方向に延びる仮想平面(被成膜面Sの中心面)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
真空容器内の上部に、成膜ローラに巻回された樹脂フィルムがその被成膜面を下向きにして配設されるとともに、上記真空容器内の底部には、蒸着材料を電子ビームガンによって蒸発させる蒸発源と、この蒸発源において蒸発させられた上記蒸着材料に向けてプラズマを照射するプラズマ放出源とが、上記被成膜面に対向するように配置されており、このうち上記プラズマ放出源は、上記成膜ローラの軸線を含んで鉛直方向に延びる仮想平面から間隔をあけて配設されていることを特徴とする真空成膜装置。
【請求項2】
上記プラズマ放出源は、その上端部が上記被成膜面側を向くように傾けられていることを特徴とする請求項1に記載の真空成膜装置。
【請求項3】
上記プラズマ放出源に設けたアノード電極の上端部が、上記蒸発源において蒸発させられる上記蒸着材料を保持したハースよりも鉛直方向に高い位置に配設されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の真空成膜装置。
【請求項4】
上記プラズマ放出源に設けたアノード電極と、上記蒸発源において蒸発させられる上記蒸着材料を保持したハースとが同電位とされていることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか一項に記載の真空成膜装置。
【請求項5】
上記成膜ローラは、絶縁されて上記真空容器内に支持されてフローティング電位とされていることを特徴とする請求項1から請求項4のいずれか一項に記載の真空成膜装置。
【請求項6】
請求項1から請求項5のいずれか一項に記載の真空成膜装置を用いた樹脂フィルムの真空成膜方法であって、上記成膜ローラ上を走行する上記樹脂フィルムに向けて、上記蒸発源から上記蒸着材料を蒸発させるとともに、この蒸発させられた蒸着材料に向けて上記プラズマ放出源によりプラズマを照射して、上記被成膜面に上記蒸着材料よりなる薄膜を成膜することを特徴とする樹脂フィルムの真空成膜方法。
【請求項7】
請求項6に記載の樹脂フィルムの真空成膜方法により薄膜が成膜されていることを特徴とする樹脂フィルム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−41641(P2012−41641A)
【公開日】平成24年3月1日(2012.3.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−260098(P2011−260098)
【出願日】平成23年11月29日(2011.11.29)
【分割の表示】特願2007−232946(P2007−232946)の分割
【原出願日】平成19年9月7日(2007.9.7)
【出願人】(000165273)月島機械株式会社 (253)
【Fターム(参考)】