説明

真空調理用電子レンジ

【課題】
本発明は、上記した問題点に鑑み、電子レンジの庫内は従来構造を維持して減圧及び真空容器を庫内底面に使用するトレーとその上に載せる耐圧容器により密封容器を構成した電子レンジを提供することを目的とする。
【解決手段】
本発明は、上記した問題を解決する手段として、減圧及び真空に耐えられる大形の密閉容器の構成を、従来庫内に設置されるトレーとその上に載せるだけでシールされるように底面全周にシールパッキンが付いた耐圧容器に真空ポンプで排気するための排気ノズルとを備え、庫内に設置された真空ポンプの排気ノズルに接続して排気することにより減圧容器を構成することにより減圧及び真空調理を行えるようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、減圧及び真空による調理ができる電子レンジに関するものである。
【背景技術】
【0002】
電子レンジ本体の庫内を減圧構造にして、減圧ポンプを搭載したものは特開昭59−
41717号公報(特許文献1)に記載されている。減圧するための密閉可能な容器と減圧手段を備えたものについては特開平8−327068号公報(特許文献2)に記載されている。電子レンジに真空密閉容器を使用して調理するものについては特許第3615747 号公報(特許文献3)に記載されている。
【0003】
【特許文献1】特開昭59−41717号公報
【特許文献2】特開平8−327068号公報
【特許文献3】特許第3615747号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
電子レンジで減圧及び真空による調理ができるようにするには、電子レンジ本体を真空に耐えられる耐圧構造の密閉容器にして、尚且つ通常調理に使用するオーブン機能を維持するためには排気機構が必要であり、これを備え付けるのには製造コストもさることながら密閉と排気を両方切り替える必要があり構造が複雑となる問題がある。また、耐圧構造の密閉容器については減圧容器構造のものについては種々あるが加熱して冷却することにより減圧及び真空にする構造のもの主となっており、真空ポンプで排気するための排気口を設けたものは容易に入手できないなどの問題があった。
【0005】
本発明は、上記した問題点に鑑み、電子レンジの庫内は従来構造を維持して減圧及び真空容器を庫内底面に使用するトレーとその上に載せる耐圧容器により密封容器を構成した電子レンジを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記した問題を解決する手段として、減圧及び真空に耐えられる大形の密閉容器の構成を、従来庫内に設置されるトレーとその上に載せるだけでシールされるように底面全周にシールパッキンが付いた耐圧容器に真空ポンプで排気するための排気ノズルとを備え、庫内に設置された真空ポンプの排気ノズルに接続して排気することにより減圧容器を構成することにより減圧及び真空調理を行えるようにした。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、電子レンジの庫内には真空ポンプで排気するための排気ノズルが追加するだけなので従来機能を維持しながら減圧及び真空調理ができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
図1に本発明の実施例に係るもので、製品本体の斜視図を示す。前面には取っ手1が付いたドア2があり、透明のガラス窓3により内部の状態を覗き見ることができる。ドア2は取っ手1を手前に引くことにより下部を支点にヒンジ機構(図示せず)で水平に開くことができる。また、ドア2の下側には操作パネル4が配置され中央部には背景がホワイトの液晶で構成された表示装置5が配置され、その両側にはメニュー表示6がされる。メニュー表示6は、従来の背景は黒色が一般的なのでこの状態でも見やすい色でガラス窓3に印刷されていたため色の種類が限られていたが本発明ではガラス窓3の裏側にはLED等の発光素子を搭載した基板が配置されるのでこれがバックライトの役割をしてより鮮明にメニュー表示6を見えやすくしているので色の種類の限定を少なくできる。また、操作部と表示部を分離して表示部をガラス窓3側に配置することにより使用者との目線がより近い位置にくるので使用しやすい。また、運転時間は操作パネル4に設けられたダイヤル
4aを回転させることにより迅速に運転時間を設定することができる。操作パネル4,表示装置5及びメニュー表示6の基板を冷却するため、吸気口7がドア2の底部に開けられており、排気口8が取っ手1の下側に開けられている。メニュー表示6の裏側には加減圧容器を使用したときのために、プラスチックマグネットでできたメニュー板(図示せず)の取付けができるように磁性のステンレス板が両サイドに貼り付けられておりメニュー板による手動設定が容易にできやすいようにしている。また、メニュー表示6を液晶表示にすることにより、加減圧容器を使用したときとしないときのメニュー切替えを自動で行い、自動で調理することもできる。本体下部9とドア2の間はドア2を開閉するため、ドアが閉じた状態で間隙10が設けられている。吸気口7はドア2の最下部にあり、排気口8がドア2のほぼ最上部にあるので自然対流による空気の流通が良く行われると共に吸気口7及び排気口8の両方が下側に位置するため直接見えづらい位置にあるので外観上もよい。外枠11の側面には複数の換気口12が設けられている。換気口12は反対側側面及び後側にも設けられており、上面から直接水が浸入しない位置であれば開ける位置及び個数は自由であり、多いほど温度低減ができる。
【0009】
図2は本発明の実施例に係るもので、電子レンジ庫内に設置された減圧及び真空容器の縦断面図を示す。減圧及び真空容器は底面部を構成している底板20と底部全周にシールパッキン21をつけて底板20と耐圧容器22の気密を保っている。耐圧容器22の材料はマイクロ波で使用できるプラスチックの成形品や耐熱,耐圧ガラスを使用している。ガラスの場合は容器の中が見えるので調理の進行状態が把握し易い。本減圧及び真空容器は底板20と底部全周にシールパッキン21をつけた耐圧容器22により構成されているが底板20にはシール部との接触面を鏡面仕上げしたセラミック板やガラス板により構成されている。シール面の幅があまり狭いと異物等の影響により密着度が低下し真空度が保持できなくなるので本実施例では5mm以上の幅としている。また、シールパッキンの材料としては耐熱性のよいシリコーンゴム系の材料を使用している。
【0010】
耐圧容器22の側面には減圧を行うための排気用チューブ23が庫内側コネクタ24と容器側コネクタ25により接続されている。容器側コネクタ25は電子レンジのマイクロ波による加熱なのでマイクロ波で使用できる材料及び金属材料を使用しないで構成されている。容器側コネクタ25は耐圧容器22と排気用チューブ23と一体成形で製作することにより省略することができる。また、容器側コネクタ25は調理用の煮汁の沸騰による跳ね水の影響を受けにくいようにできるだけ上面方向に配置している。庫内側コネクタ
24は庫内側にそのまま残り、オーブン使用の温度300℃に耐えられる耐熱耐食構造にする必要があるのでこれらに耐えられる金属材料で構成し、シール用Оリング(図示せず)等の耐熱温度の低い部品は排気用チューブ23側に設けている。これにより耐圧容器22を使用しないときは排気用チューブ23を外すことにより熱に弱い部品が付属しないので庫内側コネクタ24を熱絶縁することなく、そのままオーブンを使用することができる。なお、コネクタは差込みによりワンタッチで接続される方式のものを使用している。
【0011】
耐圧容器22の中には電子レンジに使用できる調理容器26が納められている。調理容器22は電子レンジに使用できる容器であれば市販の汎用品が使用できる。また、減圧及び真空容器状態にしたときはセット時の重量が大きくなるのでドア2を手前に開いたときドア2はほぼ水平状態となるので、あらかじめ減圧及び真空容器状態にしたセットをこの上に載せて、庫内の両側面に設けたスライドガイド27上をスライドさせることによりスムーズに庫内にセットすることができる。また、セットした後に排気用チューブ23を庫内側コネクタ24側にセットする必要から後面側では見ずらく作業がしづらいため庫内側コネクタ24は側面方向に取付けている。耐圧容器22の上面には逆止弁28が設けられている。これにより、減圧及び真空の解除をいつでも自由に行うことができる。
【0012】
図3は本発明の実施例に係るもので、電子レンジ本体を上面からみた正面図を示す。減圧及び真空容器は調理容器26が納められたものは重量もさることながら置き場所を必要とする。本実施例では前記容器の置き場所として電子レンジ本体の上面を使用している。底板20を載せ易くし、万一調理用の煮汁がこぼれた時直接煮汁が底板20からこぼれにくいように手前部が若干高く斜面30を構成し、その周辺部をそれより一段と高くしたリブ31を構成している。これにより、底板20が不用意に滑り落ちて落下することを防止することができる。
【0013】
撹拌循環ファン駆動部を内蔵している収納部32は電子レンジ本体の後部に位置している。真空排気装置33はその後部に配置されている。これにより、電子レンジ本体の大きさを変更することなく真空排気装置を増設することができる。このとき、庫内側コネクタ24の有るところに取付けることにより配管が短縮できる。
【0014】
本発明によれば減圧及び真空容器を底板と耐圧容器で構成しているので、従来の電子レンジの機能であるオーブンの排気機構を変更することなく、庫内に設けられた真空排気のための庫内側コネクタに接続することにより耐圧容器内を減圧及び真空にすることができる。さらに、従来と異なる点は耐圧容器の構成が簡単でセットがし易い。このため、耐圧容器内の調理容器の出し入れが容易である。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の実施例に係るもので、製品本体の斜視図を示す。
【図2】本発明の実施例に係るもので、庫内に備えられた加減圧容器の縦断面図を示す。
【図3】本発明の実施例に係るもので、電子レンジ本体を上面からみた正面図を示す。
【符号の説明】
【0016】
1 取っ手
2 ドア
3 ガラス窓
4 操作パネル
4a ダイヤル
5 表示装置
6 メニュー表示
7 吸気口
8 排気口
9 本体下部
10 間隙
11 外枠
12 換気口
20 底板
21 シールパッキン
22 耐圧容器
23 排気用チュ−ブ
24 庫内側コネクタ
25 容器側コネクタ
26 調理容器
27 スライドガイド
28 逆止弁
30 斜面
31 リブ
32 収納部
33 真空排気装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
オーブンとレンジの機能を有し、真空排気装置を有し、庫内側面部には真空排気のための庫内側コネクタを備えた電子レンジにおいて、庫内に配置された底板にシールパッキンを具備した耐圧容器において、容器側コネクタと庫内側コネクタを排気用チューブで接続して、減圧及び真空容器を構成したことを特徴とする電子レンジ。
【請求項2】
請求項1記載の電子レンジにおいて、耐熱温度の低い部品は排気用チューブ側に設けたことを特徴とする電子レンジ。
【請求項3】
請求項1又は請求項2記載の電子レンジにおいて、減圧及び真空容器を一時的に置く場所を電子レンジ上面部に設けたことを特徴とする電子レンジ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2008−175421(P2008−175421A)
【公開日】平成20年7月31日(2008.7.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−7581(P2007−7581)
【出願日】平成19年1月17日(2007.1.17)
【出願人】(399048917)日立アプライアンス株式会社 (3,043)
【Fターム(参考)】