説明

眼科用器具製造のための金型

目の中または上で用いる少なくとも一つの眼科用器具製造用の金型組立品が開示される。金型組立品は、結合可能な一対の金型部品を含み、金型部品の少なくとも一つが、少なくとも、酸素吸収性金型材料と、(i)ポリマー主鎖とそのポリマー主鎖に共有結合した1以上の置換または非置換環式オレフィン基を含む酸素捕捉性ポリマーおよび(ii)酸素捕捉触媒量の遷移金属触媒を含有する酸素捕捉組成物とを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、概して、コンタクトレンズ、眼内レンズ、および他の眼科用製品などの眼科用器具製造のための改善された金型に関する。
【背景技術】
【0002】
コンタクトレンズなどの眼科用器具の鋳造成形は周知である。一般的に、コンタクトレンズ形成用モノマー混合物は、適するポリマーを形成することができるモノマー、架橋剤、触媒、および重合開始剤などを含有し、そのままで混合されるかまたは適する希釈剤もしくは溶媒中に混合され前部半割金型中に置かれる。次に、後部半割金型を前部半割金型中に圧入し、モノマー混合物を重合する。この方法から得られるレンズは、半割金型二つの間に形成される空洞の形状に従い、金型表面に対応する表面特性を示す。レンズが鋳造された後、それらは必要に応じてすぐに洗浄、研磨加工および/または縁取りならびに水和などのさらなる処理用に使用できる。
【0003】
コンタクトレンズを鋳造するうえで用いられる金型片は、用いられるモノマーおよび用いられる重合法に対して実質的に不活性なプラスチック製である。一般的に、これらのプラスチック金型片は一度の使用後廃棄される。
【0004】
鋳造成形法により製造される一部のコンタクトレンズ、特にヒドロゲルとして公知のものは、それらの表面上に顕著な頻度での外観上の欠陥を有する場合がある。一般に、外観上の欠陥は、レンズ表面の残部と較べて、光を散乱し不規則な表面領域の存在を示す場合がある、レンズ表面上に見出される箇所または領域である。これらの外観上の欠陥は通常裸眼では見ることができないが、それらはスリットランプの下でまたは拡大により調べた場合に現れる。これらの外観上の欠陥は、一般に、いかなる医療上または健康上の問題とも関連しないけれども、それらは結果としてレンズの最適視機能の僅かな欠損に結びつくおそれがある。加えて、これらの外観上の欠陥は、これらの欠陥を含有するレンズが、それら自身におよび包装材料に一層容易に粘着する傾向があるので、処理工程、出荷および取り扱いの問題と関連しうる。最後に、レンズ表面での重合を改善することは、鋳造成形法から得られる許容可能なレンズの改善された収率をもたらす。
【0005】
酸素の存在が完全なラジカル重合を抑制することは、長く知られている。従って、従来型の鋳造成形法は、酸素の重合過程への影響を排除するために不活性環境中で行われてきた。これらの鋳造成形法は、バルクレンズの約99%を超える重合度をもたらす全体重合に適していることが見出されてきた。こうした鋳造成形技術は広く商業的に用いられてきている。
【0006】
しかし、酸素は、重合が不活性雰囲気条件下で行われる場合でさえ、コンタクトレンズ材料のラジカル重合に及ぼす影響をなお有する場合がある。一部のプラスチック金型片が、金型表面とレンズ表面間の界面での重合に悪影響を及ぼすのに十分な酸素をプラスチック構造マトリクス内に含有することが見出されてきた。酸素がラジカル重合の間にプラスチック金型片の表面に移動し、レンズ表面での完全な重合を抑制すると考えられている。加えて、環境中の酸素の存在がレンズ表面での架橋密度の低下を引き起こすと考えられている。上述の外観上の欠陥を引き起こすと考えられているものは、レンズ表面でのこの不完全な重合または低下した架橋密度である。
【0007】
これらの問題を克服するために、ソフトコンタクトレンズを作製するための金型は、それらの表面特性に作用するように処理されている。例えば、米国特許第4,159,292号明細書には、コンタクトレンズのプラスチック金型からの離型を改善するための、プラスチック金型組成物用の添加剤としてのシリコーンワックス、ステアリン酸、および鉱油の使用が開示されている。米国特許第5,690,865号明細書には、分子量5,000〜200,000を有するポリエチレンワックス、または分子量2,000〜100,000を有するシリコーンポリマーを含む、ワックス、石鹸、および油などの内部離型剤が開示されている。米国特許第5,639,510号明細書には、親水性コンタクトレンズの成形において用いられるマルチパート金型の金型構成部品の相互の離型を支援するための、均一な層または極めて薄いフィルムもしくは皮膜の形状で表面に適用される界面活性剤が開示されている。用いることができる高分子界面活性剤としてポリオキシエチレンソルビタンモノオレアートが挙げられるが、これらは、金型の非光学的表面に適用されるが、金型の光学的表面はカバーしない。
【0008】
欧州特許出願EP0362137A1号明細書には、レンズ上に恒久的な親水性皮膜を提供するために、ポリビニルアルコール(PVA)、エトキシル化PVA、またはヒドロキシエチルセルロースなどの共活性親水性ポリマーによる金型の被覆が開示されている。金型皮膜は金型中でレンズ材料と共重合する。同様に、米国特許第3,916,033号明細書(「すなわち‘033特許」)には、後に既に架橋したシリコーンレンズと接触することになる皮膜を形成するためのポリビニルピロリドンによる金型表面の被覆が開示されている。‘033特許には、さらに、チャック中に保持されている間、金型上に被覆溶液を薄く塗り、それによって1インチの数千分の1のかなり均一な皮膜を実現し、その後、濡れたフィルムは放置され乾燥されて1インチの約1〜5千分の1の硬いガラス状ポリマー層を形成することが開示されている。最後に、モノマー性N−ビニルピロリドンは、すぐにシリコーンレンズと接触できるように皮膜中に溶解される。
【0009】
別の例は、疎水性で潜在的に親水性の材料により金型を被覆し、その後、レンズ材料がその中で成形されることが開示されている米国特許第5,779,943号明細書である。硬化の間、金型皮膜は明らかにレンズ表面に移動する。次に、レンズは皮膜を親水性形態に変換するように処理される。
【0010】
従って、目の中または上に置かれるコンタクトレンズおよび他の眼科用物品などの眼科用器具を製造するための改善された金型を提供するための必要性が引き続き存在する。
【発明の概要】
【0011】
本発明の一つの実施形態により、目の中または上で用いる少なくとも一つの眼科用器具製造用の金型組立品が提供され、該金型組立品は、結合可能な一対の金型部品を含み、該金型部品の少なくとも一つが、酸素吸収性金型材料と、(i)ポリマー主鎖と該ポリマー主鎖に共有結合した1以上の置換または非置換環式オレフィン基とを含む酸素捕捉性ポリマーおよび(ii)酸素捕捉触媒量の遷移金属触媒を含む酸素捕捉組成物とを含む。
【0012】
本発明の第2実施形態により、目の中または上で用いる少なくとも一つの眼科用器具製造用の金型組立品が提供され、該金型組立品は、結合可能な一対の金型部品を含み、該金型部品の少なくとも一つが、酸素吸収性金型材料と、(i)ポリマー主鎖と該ポリマー主鎖に共有結合した1以上の置換または非置換環式オレフィン基とを含む酸素捕捉性ポリマーおよび(ii)酸素捕捉触媒量の遷移金属触媒を含む酸素捕捉組成物とから作製される。
【0013】
本発明の第3実施形態により、目の中または上で用いる少なくとも一つの眼科用器具製造用の金型組立品を調製する方法が提供され、本方法は、少なくとも一つの前部および一つの後部金型部品を含む金型組立品の該部品を射出成形する段階を含み、該前部および一つの後部の金型部品の少なくとも一つが、酸素吸収性金型材料と、(i)ポリマー主鎖と該ポリマー主鎖に共有結合した1以上の置換または非置換環式オレフィン基とを含む酸素捕捉性ポリマーおよび(ii)酸素捕捉触媒量の遷移金属触媒を含む酸素捕捉組成物とを含む。
【0014】
本発明の第4実施形態により、目の中または上で用いる眼科用器具を成形する方法が提供され、本方法は、(a)眼科用器具製造用の、少なくとも一つの前部および一つの後部金型部品を含む金型組立品を提供する段階であって、該前部および一つの後部の金型部品の少なくとも一つが、酸素吸収性金型材料と、(i)ポリマー主鎖と該ポリマー主鎖に共有結合した1以上の置換または非置換環式オレフィン基とを含む酸素捕捉性ポリマーおよび(ii)酸素捕捉触媒量の遷移金属触媒を含む酸素捕捉組成物とを含む、段階、および(b)該金型組立品を用いて少なくとも一つの眼科用器具を鋳造成形する段階を含む。
【0015】
本発明の金型組立品は、その金型組立品が、特別な保存条件を全く用いることなく使用まで保存することが可能であるように、例えば、金型組立品が実質的に金型の酸素含量の変化なしで酸素環境中に保存できるように有利に調製される。さらに、本発明の金型組立品を用いてコンタクトレンズなどの眼科用器具を成形することにより、鋳造成形された眼科用器具の表面特性を改善することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の実施形態による代表的な金型組立品の概略分解図である。
【図2】コンタクトレンズを鋳造成形するために組み立てられた図1の金型組立品の概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明は目の中または上で用いる少なくとも一つの眼科用器具製造用の金型組立品を対象とする。本発明は目の上または中に置かれる多様な眼科用器具、例えば、眼内レンズ、コンタクトレンズ、および治療薬送達装置などの成形に適用可能であるが、本発明は、とりわけ、ソフト(ヒドロゲル)コンタクトレンズなどのコンタクトレンズを鋳造成形するために有用かつ有利である。従って、一例として、本発明をコンタクトレンズの成形に関して本明細書において記載する。
【0018】
一般に、本発明の金型組立品は、少なくとも、結合可能な一対の金型部品を包含し、該金型部品の少なくとも一つが、酸素吸収性金型材料および酸素捕捉組成物から形成される。本発明の金型組立品の代表的な例は、一般に、図1および2に金型組立品25として描かれる。一般的に、金型組立品は、表面31(これは成形レンズの後部表面を形成する)を規定する後部金型空洞を有する後部金型30と、表面41(これは成形レンズの前部表面を形成する)を規定する前部金型空洞を有する前部金型40とを包含する。金型の部分が組み立てられたときに、金型空洞32は、その中で成形されるコンタクトレンズの所望形状に対応するこれら二つの規定表面間に形成される。図1および2に見られるように、前部金型部分40は、前部金型空洞規定表面41に対向した表面42、金型部分40のセグメント43を間に規定する表面41および42を包含する。金型40の対向表面42は、コンタクトレンズを鋳造するうえで重合性レンズ混合物に接触しない、すなわち、対向表面42は金型空洞32の一部を形成しない。
【0019】
本発明による金型組立品の金型部分の少なくとも一つ、すなわち、前部金型または後部金型は、あらゆる適する射出成形装置中で、本明細書において以下に記載されるように、酸素吸収性金型材料および酸素捕捉組成物から射出成形される。酸素吸収性金型材料は、一般に、レンズに特定の物理的特性を提供するプラスチック材料で作られる。適するプラスチック材料には、一般に高酸素透過度を有する熱可塑性樹脂が挙げられる。上述のように、溶解または遊離酸素がプラスチック材料を通して、金型片の表面とレンズ表面間の界面まで移動すると考えられている。本発明の金型組立品の酸素捕捉組成物により実質的に除去することができるものは、この溶解または遊離酸素である。好ましい酸素吸収性金型材料は、主としてポリオレフィンを含有するポリマーおよびコポリマーとすることができる。有用なポリオレフィンには、ポリエチレン、ポリプロピレン、およびポリスチレンなど、ならびにそれらの混合物が挙げられる。ポリプロピレンが最も好ましいプラスチック金型材料である。
【0020】
一般に、本発明による金型組立品の少なくとも一つの金型部分を形成するうえで用いる酸素捕捉組成物は、少なくとも(i)ポリマー主鎖とポリマー主鎖に共有結合した1以上の置換または非置換環式オレフィン基とを含む酸素捕捉性ポリマー、および(ii)酸素捕捉触媒量の遷移金属触媒を含有する。本発明との関連で有用な酸素捕捉組成物、およびそれらの調製のための方法は、例えば、米国特許第7,097,890号明細書および米国特許出願公開第20060177653号明細書に記載されている。
【0021】
酸素捕捉組成物の酸素捕捉性ポリマーは、ホモポリマー、コポリマー、ターポリマーおよびより多元のポリマーであることができる。酸素捕捉性ポリマーのポリマー主鎖は、ポリエステル、ポリエーテル、ポリチオエーテル、ポリカーボネート、ポリアミド、エチレンもしくはポリエチレン、またはそれらの2以上の組合せであることができる。一つの実施形態において、ポリマー主鎖はエチレンまたはスチレンのモノマーを含むことができる。好ましくは、ポリマー主鎖はエチレン性である。この1以上の置換または非置換環式オレフィン基がポリマー主鎖にペンダントしていることもまた好ましい。適する環式オレフィン基は、式Iで表される構造を有する置換または非置換シクロアルケニル基である:
【化1】

(式中、R、R1、R2、R3、R4およびR5は独立に、水素原子、またはメチル基もしくはエチル基などの置換もしくは非置換C1〜C4アルキル基であり、nは0〜4までを含む整数であると共に、R2およびR3が水素原子である場合に、R、R1、R4およびR5の少なくとも一つもまた水素原子である。)。一つの実施形態において、R、R1、R2、R3、R4およびR5はそれぞれ水素原子であり、nは1である。
【0022】
必要ならば、酸素捕捉性ポリマーは、さらに、ポリマー主鎖および環式オレフィン基を連結する連結基を含むことができる。適する連結基には、式中R6が水素原子、またはメチル基、エチル基、プロピル基もしくはブチル基などの置換もしくは非置換C1〜C4アルキル基であり、mが1〜12までを含む整数である、−O−(CHR6m−、−(C=O)−O−(CHR6m−、−NH−(CHR6m−、−O−(C=O)−(CHR6m−、−(C=O)−NH−(CHR6m−、または−(C=O)−O−CHOH−CH2−O−が挙げられるがそれらに限定されない。
【0023】
ポリマー主鎖に共有結合的に連結される環式オレフィン基の代表的な例には、シクロヘキセン−4−メチレン基、1−メチルシクロヘキセン−4−メチレン基、2−メチルシクロヘキセン−4−メチレン基、5−メチルシクロヘキセン−4−メチレン基、1,2−ジメチルシクロヘキセン−4−メチレン基、1,5−ジメチルシクロヘキセン−4−メチレン基、2,5−ジメチルシクロヘキセン−4−メチレン基、1,2,5−トリメチルシクロヘキセン−4−メチレン基、シクロヘキセン−4−エチレン基、1−メチルシクロヘキセン−4−エチレン基、2−メチルシクロヘキセン−4−エチレン基、5−メチルシクロヘキセン−4−エチレン基、1,2−ジメチルシクロヘキセン−4−エチレン基、1,5−ジメチルシクロヘキセン−4−エチレン基、2,5−ジメチルシクロヘキセン−4−エチレン基、1,2,5−トリメチルシクロヘキセン−4−エチレン基、シクロヘキセン−4−プロピレン基、1−メチルシクロヘキセン−4−プロピレン基、2−メチルシクロヘキセン−4−プロピレン基、5−メチルシクロヘキセン−4−プロピレン基、1,2−ジメチルシクロヘキセン−4−プロピレン基、1,5−ジメチルシクロヘキセン−4−プロピレン基、2,5−ジメチルシクロヘキセン−4−プロピレン基、および1,2,5−トリメチルシクロヘキセン−4−プロピレン基が挙げられるがそれらに限定されない。
【0024】
酸素捕捉性ポリマーは、さらに、環式オレフィン基に加えてアクリル酸アルキルペンダント基を含有することができる。従って、酸素捕捉組成物として、エチレンと、例えば、1〜約28個の炭素原子を有する直鎖、分岐鎖または環式アルカノールの(メタ)アクリル酸エステルのコポリマー、またはさらに本明細書において記載される環式オレフィン基を含有するターポリマーを挙げることができる。
【0025】
好ましい実施形態において、ポリマーは、エチレン性主鎖に連結した(メタ)アクリル酸アルキルおよび環式オレフィンペンダント基の両方を有するエチレン性主鎖を含む。こうしたポリマーは、また、エチレン/(メタ)アクリル酸アルキル/(メタ)アクリル酸シクロヘキセニルアルキルターポリマーと呼ばれる。一つの特に好ましいポリマーは、EMCMと呼ばれるエチレン/アクリル酸メチル/アクリル酸シクロヘキセニルメチルターポリマーを含む。酸素捕捉性ポリマーの他の例には、アクリル酸シクロヘキセニルメチル(CHAA)ホモポリマー、アクリル酸シクロヘキセニルメチルコポリマー、メタクリル酸シクロヘキセニルメチルホモポリマー(CHMA)、メタクリル酸シクロヘキセニルメチルコポリマー、およびエチレン/アクリル酸メチル/アクリル酸シクロヘキセニルメチルターポリマー(EMCM)が挙げられる。これらのポリマーは当技術分野において周知の方法により得ることができ、例えば、EMCMは米国特許第7,097,890号明細書の教示に従って容易に作ることができる。
【0026】
酸素捕捉性ポリマーとの併用で、酸素捕捉組成物は、また、酸素捕捉速度を加速するための酸素捕捉触媒としての遷移金属化合物を包含する。いかなる特定の理論にも拘束されることを望むものではないが、有用な触媒には少なくとも二つの酸化状態間を容易に相互転換することができるものが挙げられる。遷移金属触媒は、周期律表の第1、第2、または第3遷移系列から選択される金属を含む塩であることができる。例えば、金属は、Rh、Ru、またはSc〜Zn系列中の元素(すなわち、Sc、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Ni、Cu、およびZn)中の一つ、さらに好ましくは、Mn、Fe、Co、Ni、およびCu中の少なくとも一つ、最も好ましくはCoであることができる。こうした塩に適するアニオンには、塩化物イオン、アセテート、オレエート、ステアレート、パルミテート、2−エチルヘキサノエート、ネオデカノエート、およびナフテネートが挙げられるがそれらに限定されない。代表的な塩には、2−エチルヘキサン酸コバルト(II)、オレイン酸コバルト、およびネオデカン酸コバルト(II)が挙げられる(金属塩は、アイオノマーであってもよく、この場合、高分子対イオンが用いられる)。
【0027】
酸素捕捉組成物は、さらに、配合する間の成分の劣化を遅らせるための1以上の酸化防止剤を包含することができる。適する酸化防止剤には、2,6−ジ(t−ブチル)−4−メチルフェノール(BHT)、2,2’−メチレン−ビス(6−t−ブチル−p−クレゾール)、亜リン酸トリフェニル、亜リン酸トリス(ノニルフェニル)、チオジプロピオン酸ジラウリル、ビタミンE(α−トコフェロール)、3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシヒドロケイヒ酸オクタデシル、およびテトラキス[3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシヒドロケイヒ酸メチレン]メタンなど、ならびにそれらの混合物が挙げられる。存在する場合、酸化防止剤(複数を含む)の量も、酸素捕捉性に影響を及ぼす可能性がある。こうした物質は、通常、酸化性有機化合物または追加のポリマーと共存して、ポリマーの酸化またはゲル化を防止する。酸化防止剤は、全体組成物の約0.005〜約0.05質量%の量で存在することができる。しかし、追加量の酸化防止剤を、誘導時間および安定性を調整することが望まれる場合に添加することもできる。
【0028】
酸素捕捉組成物中にまた包含させることができる他の添加剤には、充填剤、顔料、染料、加工助剤、可塑剤、防曇剤、およびブロッキング防止剤が挙げられるがそれらに限定されない。
【0029】
上に検討してきたように、本発明の金型組立品中のこの少なくとも一つの金型部品は、あらゆる適する射出成形装置を用いて酸素吸収性金型材料および酸素捕捉組成物を射出成形することにより形成される。一般的に、本発明の金型組立品は、例えばペレット形状の、酸素吸収性金型材料および酸素捕捉組成物のブレンドを射出成形することにより形成される。好ましくは、射出成形は実質的に酸素なしの雰囲気下で行われる。従来から、射出成形技術は成形前の熱可塑性樹脂からの酸素除去は必要としない。
【0030】
一つの実施形態において、この少なくとも一つの金型部品は、射出成形工程中に、酸素吸収性金型材料および酸素捕捉組成物のブレンドと共に少なくとも一つの熱開始剤を用いることにより得ることができる。当該技術分野において公知のあらゆる適する熱開始剤を用いることができる。代表的なラジカル熱重合開始剤には、過酸化アセタール、過酸化ラウロイル、過酸化デカノイル、過酸化ステアロイル、過酸化ベンゾイル、ペルオキシピバル酸t−ブチル、ペルオキシジカーボネート、t−ブチルペルオクテート、ジ−(s−ブチル)ペルオキシジカーボネート、および2,5−ジメチル−2,5−ジ(2−ヘキサノイルペルオキシ)ヘキサンなどの有機過酸化物;2,2−アゾビスイソブチロニトリル(AIBN)、および2,2−アゾビスイソバレロニトリル(AIVN)などのニトリル、およびそれらの混合物が挙げられるがそれらに限定されない。
【0031】
熱開始剤が存在する場合に、熱にさらすと、本発明による射出成形工程中の酸素捕捉組成物による酸素捕捉の開始を向上させるか、および/または促進することができる。一般に、射出成形工程の間に、少なくとも酸素吸収性金型材料、酸素捕捉組成物および熱開始剤のブレンドは酸素を消滅させるために十分な温度まで加熱され、実質的に酸素なしの金型部分を形成する。ブレンドは、通常、約300℃以上、好ましくは約400℃以上の温度まで加熱される。一般的に、実質的に酸素なしの金型部分を得るためにブレンドを加熱するための時間は、約1時間未満であることができる。この熱開始剤の量はポリマー中に存在する環式不飽和の量およびタイプ、用いられる温度、および用いられる熱開始剤のタイプに応じて決めることができる。一般に、この熱開始剤の量はブレンド全体の約0.0005〜約5質量%の範囲とすることができる。
【0032】
別の実施形態において、この少なくとも一つの金型部品は、射出成形工程中に、酸素吸収性金型材料および酸素捕捉組成物のブレンドと共に少なくとも一つの光開始剤を用いることにより得ることができる。一般に、この1以上の光開始剤は、酸素捕捉特性の開始をさらに促進し、制御することができる。酸素捕捉組成物への光開始剤または光開始剤ブレンドの添加は、加工および保存の間での組成物の早すぎる酸化を防止するために酸化防止剤が添加されている場合に、特に有利である。
【0033】
本発明での使用に適する光開始剤は、当業者に公知のあらゆる光開始剤であることができる。例えば、PCT公報WO97/07161号、WO97/44364号、WO98/51758号、およびWO98/51759号を参照すること。適する光開始剤の代表的な例には、ベンゾフェノン、およびメトキシベンゾフェノン、ジメトキシベンゾフェノン、ジメチルベンゾフェノン、ジフェノキシベンゾフェノン、アリルオキシベンゾフェノン、ジアリルオキシベンゾフェノン、ドデシルオキシベンゾフェノン、ジベンゾスベロン、4,4’−ビス(4−イソプロピルフェノキシ)ベンゾフェノン、4−モルホリノベンゾフェノン、4−アミノベンゾフェノン、トリベンゾイルトリフェニルベンゼン、トリトルオイルトリフェニルベンゼン、4,4’−ビス(ジメチルアミノ)−ベンゾフェノンなどのその誘導体、アセトフェノンおよびo−メトキシアセトフェノン、4’−メトキシアセトフェノンなどのその誘導体、バレロフェノン、ヘキサノフェノン、α−フェニルブチロフェノン、p−モルホリノプロピオフェノン、ベンゾインおよびベンゾインメチルエーテル、ベンゾインブチルエーテル、ベンゾインテトラヒドロピラニルエーテル、4−o−モルホリノデオキシベンゾインなどのその誘導体、置換および非置換アントラキノン、α−テトラロン、アセナフテンキノン、9−アセチルフェナントレン、2−アセチルフェナントレン、10−チオキサンテノン、3−アセチル−フェナントレン、3−アセチルインドール、9−フルオレノン、1−インダノン、1,3,5−トリアセチルベンゼン、チオキサンテン−9−オン、イソプロピルチオキサンテン−9−オン、キサンテン−9−オン、7−H−ベンズ[de]アントラセン−7−オン、1’−アセトナフトン、2’−アセトナフトン、アセトナフトン、ベンズ[a]アントラセン−7,12−ジオン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、α,α−ジエトキシアセトフェノン、α,α−ジブトキシアセトフェノン、4−ベンゾイル−4’−メチル(ジフェニルスルフィド)、ダロキュア(Darocure)1173、1164、2273、1116、2959、3331(EMインダストリーズ(EM Industries))、およびイルガキュア(Igracure)651および184(チバ・ガイギー(Ciba−Geigy))など、およびそれらの混合物が挙げられるがそれらに限定されない。
【0034】
この実施形態において、金型部品は、最初に、例えばペレット形状の、少なくとも酸素吸収性金型材料、酸素捕捉組成物および光開始剤のブレンドを射出成形し、次に、この射出成形された金型部分を放射線、例えば、紫外線(UV)、可視光線、または高エネルギー放射線にさらして、本発明による金型部分を作製することにより形成される。当業者がすぐに理解するように、光へのさらなる暴露を防止するために、得られた金型部品を暗所に保存しなければならない場合がある。光開始剤が存在する場合に、放射線に暴露すると、本発明の組成物により酸素捕捉の開始を向上させるかおよび/または促進することができる。この光開始剤の量は、通常、例えば、ポリマー中に存在する環式不飽和の量およびタイプ、用いられる放射線の波長および強度、用いられる酸化防止剤の性質および量、および用いられる光開始剤のタイプに応じて決まる。一般に、この光開始剤の量はブレンド全体の約0.0005〜約5質量%の範囲とすることができる。
【0035】
本発明の酸素捕捉組成物中に用いられる成分の量は、この組成物の用途および効力に影響しうる。従って、ポリマー、遷移金属触媒、および熱開始剤または光開始剤の量は、望ましい金型に応じて変えることができる。例えば、上述のポリマーの主要な役割の一つは、捕捉過程の間に酸素と不可逆的に反応することであり、一方で、遷移金属触媒の主要な役割はこの過程を促進することである。従って、大体において、存在するポリマーの量は、組成物の酸素捕捉能力、すなわち、組成物が消費できる酸素の量に影響を及ぼすが、一方で、遷移金属触媒の量は酸素が消費される速度および誘導期間に影響を及ぼす。
【0036】
酸素捕捉組成物は、従来型の非環式エチレン性不飽和ポリマーを含む組成物に対して良好な加工性および混和特性を持ちながら、望ましい速度および能力で酸素捕捉特性を提供することができる。一般に、ブレンド中に含有される高分子捕捉性成分(すなわち、ブレンドを形成するために用いられる酸素吸収性金型材料および酸素捕捉性成分)の量は、ブレンドの全体質量に対して約0.5〜約25質量%、好ましくは約1〜約20質量%の範囲にあることができる。遷移金属触媒の量は、通常、金属含量のみ(すなわち、リガンド、対イオン、などを除いた)に対して約0.0001〜約0.1質量%、好ましくは約0.001〜約0.05質量%の範囲にある。
【0037】
他の金型部品、すなわち、後部金型または前部金型は、同じかまたは異なる酸素吸収性金型材料および/または酸素捕捉組成物から射出成形することができる。一つの実施形態において、本発明の金型組立品の両方の金型部品は、上述のものと同じかまたは異なる工程を用いて、すなわち、熱または放射線によって、上述の同じ酸素吸収性金型材料および酸素捕捉組成物から形成することができる。別の実施形態において、金型部品は、種々の量の同じ酸素捕捉組成物を用いて同じかまたは異なる酸素吸収性金型材料から形成することができる。あるいは、他の金型部品は、射出成形装置中で透明樹脂などの別の樹脂から射出成形することができる。透明樹脂は、一般に、ポリプロピレンよりも非晶質であり、従って寸法的により安定しているが、しかし、また、より大きな割合の化学光を透過することができる。例として、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリエステル、ポリスルホン、ポリアクリレート/ポリメタクリレート、およびポリカーボネートを含む種々の透明樹脂を、コンタクトレンズ成形目的のために用いることができる。必要ならば、透明樹脂金型は当技術分野で公知のコーティング組成物を用いて被覆することができる。
【0038】
本発明の金型組立品は、例えば、ラジカル重合技術を用いる鋳造成形法により製造されるコンタクトレンズの表面品質を改善するために特に有用である。一般に、コンタクトレンズの組成物、成形工程、および重合法は周知であり、本発明は、主として、改善された表面特性および外観上の欠陥の頻度の低減を伴うコンタクトレンズを実現するための金型組立品を形成することに関する。勿論、本発明は、また、プラスチック成形片を用いるあらゆるラジカル重合法により表面品質を改善して、予定の形状を最終重合製品に提供するために用いることができる。
【0039】
本発明の金型組立品は、例えば、従来型のハード、ソフトおよび硬質のガス透過性レンズなどのすべてのコンタクトレンズで用いることができ、レンズを形成するために用いられるモノマー混合物の組成およびモノマーの種類は、決定的な要素ではない。本発明は、好ましくは、通常、ヒドロゲルレンズと呼ばれるもの、例えば、シリコーン、および/またはメタクリル酸ヒドロキシエチル、N−ビニル−ピロリドン、メタクリル酸グリセロール、メタクリル酸および酸エステルに限定されないがそれらを含む非シリコーンモノマーから調製されるシリコーンヒドロゲルレンズなどのソフトコンタクトレンズで用いられる。しかし、コンタクトレンズ作製上有用なポリマーを形成することができるモノマー混合物中に、レンズ形成性モノマーをあらゆる組合せで用いることが可能である。シリコーン部位を含有するものなどの疎水性レンズ形成性モノマーも含むことが可能である。レンズ表面での重合度および/または架橋密度は、すべてのコンタクトレンズにおいて、通常外観上の欠陥を示さないものにおいてさえも、改善されると考えられる。従って、本明細書において用いられる用語「コンタクトレンズ」は、ハード、ソフト、および硬質のガス透過性コンタクトレンズおよび眼内レンズを含む。
【0040】
本発明の金型組立品を用いて有用なコンタクトレンズを形成する上で用いられるモノマー混合物は、また、当技術分野で周知の架橋剤、強化剤、ラジカル開始剤、および/または触媒などを含むことができる。さらに、適する溶媒または希釈剤は、こうした溶媒または希釈剤が重合工程に悪影響を及ぼさないか、またはそれを妨害しないという条件で、モノマー混合物中に用いることができる。
【0041】
重合または硬化の方法は、本発明が当該コンタクトレンズ技術分野において周知であるラジカル重合システムに特に適することを除いて、本発明の実施に対して決定的な要素ではない。従って、重合は用いられる特定組成物に依存する多様な機構により行うことができる。例えば、ラジカル重合技術である熱、光、X線、マイクロ波、およびそれらの組合せを、本発明において用いることができる。好ましくは、熱および光重合が本発明において用いられるが、UV重合が最も好ましい。
【0042】
一般に、成形レンズは、重合性モノマーおよび/またはマクロマーなどの硬化性液体を本発明の金型組立品の金型部分の金型空洞中に配置し、液体を固体状態に硬化させ、金型空洞を開け、レンズを取り出すことにより形成される。レンズの水和などの他の処理段階は、その後、行うことができる。鋳造成形技術もまた周知である。一般に、従来型の鋳造成形技術は、形成されるレンズへ望ましい形状および表面構造を付与する所定構造の熱可塑性物質の雄型および雌型半割金型を用いる。鋳造成形法の例は、米国特許第4,113,224号明細書、第4,121,896号明細書、第4,208,364号明細書、および第4,208,365号明細書に開示されており、これらの内容は参照することにより本明細書の一部とする。勿論、金型が熱可塑性物質から作製された場合、本発明と共に用いることができる多くの他の鋳造成形の教示内容が利用可能である。
【0043】
本明細書において開示される実施形態に対して種々の修正がなされることが可能であることは理解される。従って、上述の説明は、限定するものとして解釈されるべきではなく、単に好ましい実施形態の例示として解釈されるべきである。例えば、上述され、本発明を操作するための最善の様式として実施される機能は、説明目的のためだけである。他の配置および方法は、本発明の範囲および精神から逸脱することなく当業者により実施することが可能である。さらに、当業者は本明細書に付記する態様および利点の範囲および精神内に留まる他の修正を思い描くであろう。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
目の中または上で用いる少なくとも一つの眼科用器具製造用の金型組立品であって、該金型組立品は、結合可能な一対の金型部品を含み、該金型部品の少なくとも一つが、酸素吸収性金型材料と、(i)ポリマー主鎖と該ポリマー主鎖に共有結合した1以上の置換または非置換環式オレフィン基とを含む酸素捕捉性ポリマーおよび(ii)酸素捕捉触媒量の遷移金属触媒を含む酸素捕捉組成物とを含む、金型組立品。
【請求項2】
前記酸素吸収性金型材料が熱可塑性樹脂である、請求項1に記載の金型組立品。
【請求項3】
前記酸素吸収性金型材料がポリオレフィンである、請求項1に記載の金型組立品。
【請求項4】
前記ポリオレフィンがポリプロピレンである、請求項3に記載の金型組立品。
【請求項5】
前記ポリマー主鎖がエチレン性であり、前記1以上の置換または非置換環式オレフィン基が、該ポリマー主鎖にペンダントしていると共に、以下の式Iで表される構造を有する、請求項1に記載の金型組立品。
【化1】

(式中、R、R1、R2、R3、R4およびR5は独立に、水素原子、または置換もしくは非置換C1〜C4アルキル基であり、nは0〜4の整数であり、R2およびR3が水素原子である場合、R、R1、R4およびR5の少なくとも一つは水素原子である。)
【請求項6】
前記1以上の置換または非置換環式オレフィン基が、シクロヘキセン−4−メチレン基、1−メチルシクロヘキセン−4−メチレン基、2−メチルシクロヘキセン−4−メチレン基、5−メチルシクロヘキセン−4−メチレン基、1,2−ジメチルシクロヘキセン−4−メチレン基、1,5−ジメチルシクロヘキセン−4−メチレン基、2,5−ジメチルシクロヘキセン−4−メチレン基、1,2,5−トリメチルシクロヘキセン−4−メチレン基、シクロヘキセン−4−エチレン基、1−メチルシクロヘキセン−4−エチレン基、2−メチルシクロヘキセン−4−エチレン基、5−メチルシクロヘキセン−4−エチレン基、1,2−ジメチルシクロヘキセン−4−エチレン基、1,5−ジメチルシクロヘキセン−4−エチレン基、2,5−ジメチルシクロヘキセン−4−エチレン基、1,2,5−トリメチルシクロヘキセン−4−エチレン基、シクロヘキセン−4−プロピレン基、1−メチルシクロヘキセン−4−プロピレン基、2−メチルシクロヘキセン−4−プロピレン基、5−メチルシクロヘキセン−4−プロピレン基、1,2−ジメチルシクロヘキセン−4−プロピレン基、1,5−ジメチルシクロヘキセン−4−プロピレン基、2,5−ジメチルシクロヘキセン−4−プロピレン基、および1,2,5−トリメチルシクロヘキセン−4−プロピレン基からなる群から選択される、請求項1に記載の金型組立品。
【請求項7】
前記酸素捕捉性ポリマーが、エチレン/アクリル酸メチル/アクリル酸シクロヘキセニルメチルターポリマー、アクリル酸シクロヘキセニルメチル/エチレンコポリマー、メタクリル酸シクロヘキセニルメチル/スチレンコポリマー、アクリル酸シクロヘキセニルメチルホモポリマー、およびアクリル酸メチル/アクリル酸シクロヘキセニルメチルコポリマーからなる群から選択される、請求項1に記載の金型組立品。
【請求項8】
前記遷移金属触媒が金属塩である、請求項1に記載の金型組立品。
【請求項9】
結合可能な一対の金型部品のそれぞれが同じかまたは異なる酸素吸収性金型材料および同じかまたは異なる酸素捕捉組成物を含む、請求項1に記載の金型組立品。
【請求項10】
目の中または上で用いる少なくとも一つの眼科用器具製造用の金型組立品を調製する方法であって、少なくとも一つの前部および一つの後部金型部品を含む金型組立品の少なくとも一つの部品を射出成形する段階を含み、該前部および一つの後部の金型部品の少なくとも一つが、酸素吸収性金型材料と、(i)ポリマー主鎖と該ポリマー主鎖に共有結合した1以上の置換または非置換環式オレフィン基とを含む酸素捕捉性ポリマーおよび(ii)酸素捕捉触媒量の遷移金属触媒を含む酸素捕捉組成物とを含む、方法。
【請求項11】
前記酸素吸収性金型材料がポリオレフィンを含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記ポリオレフィンがポリプロピレンである、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記酸素捕捉組成物中で、前記ポリマー主鎖がエチレン性であり、前記1以上の置換または非置換環式オレフィン基が、以下の式Iで表される構造を有する、請求項10に記載の方法。
【化2】

(式中、R、R1、R2、R3、R4およびR5は独立に、水素原子、または置換もしくは非置換C1〜C4アルキル基であり、nは0〜4の整数であり、R2およびR3が水素原子である場合に、R、R1、R4およびR5の少なくとも一つは水素原子である。)
【請求項14】
前記酸素捕捉組成物中で、前記1以上の置換または非置換環式オレフィン基が、シクロヘキセン−4−メチレン基、1−メチルシクロヘキセン−4−メチレン基、2−メチルシクロヘキセン−4−メチレン基、5−メチルシクロヘキセン−4−メチレン基、1,2−ジメチルシクロヘキセン−4−メチレン基、1,5−ジメチルシクロヘキセン−4−メチレン基、2,5−ジメチルシクロヘキセン−4−メチレン基、1,2,5−トリメチルシクロヘキセン−4−メチレン基、シクロヘキセン−4−エチレン基、1−メチルシクロヘキセン−4−エチレン基、2−メチルシクロヘキセン−4−エチレン基、5−メチルシクロヘキセン−4−エチレン基、1,2−ジメチルシクロヘキセン−4−エチレン基、1,5−ジメチルシクロヘキセン−4−エチレン基、2,5−ジメチルシクロヘキセン−4−エチレン基、1,2,5−トリメチルシクロヘキセン−4−エチレン基、シクロヘキセン−4−プロピレン基、1−メチルシクロヘキセン−4−プロピレン基、2−メチルシクロヘキセン−4−プロピレン基、5−メチルシクロヘキセン−4−プロピレン基、1,2−ジメチルシクロヘキセン−4−プロピレン基、1,5−ジメチルシクロヘキセン−4−プロピレン基、2,5−ジメチルシクロヘキセン−4−プロピレン基、および1,2,5−トリメチルシクロヘキセン−4−プロピレン基からなる群から選択される、請求項10に記載の方法。
【請求項15】
前記酸素捕捉組成物の前記酸素捕捉性ポリマーが、エチレン/アクリル酸メチル/アクリル酸シクロヘキセニルメチルターポリマー、アクリル酸シクロヘキセニルメチル/エチレンコポリマー、メタクリル酸シクロヘキセニルメチル/スチレンコポリマー、アクリル酸シクロヘキセニルメチルホモポリマー、およびアクリル酸メチル/アクリル酸シクロヘキセニルメチルコポリマーからなる群から選択される、請求項10に記載の方法。
【請求項16】
前記酸素捕捉組成物の前記遷移金属触媒が金属塩である、請求項10に記載の方法。
【請求項17】
前部および後部の金型部品のそれぞれが同じかまたは異なる酸素吸収性金型材料および同じかまたは異なる酸素捕捉組成物を含む、請求項10に記載の方法。
【請求項18】
前記の少なくとも一つの前部または後部の金型部品がさらに少なくとも一つの熱開始剤を含む、請求項10に記載の方法。
【請求項19】
前記射出成形段階が、前記酸素吸収性金型材料、酸素捕捉組成物および熱開始剤を含む前記の少なくとも一つの前部または後部の金型部品を加熱することを含む、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記の少なくとも一つの前部または後部の金型部品がさらに少なくとも一つの光開始剤を含む、請求項10に記載の方法。
【請求項21】
さらに、射出成形に続いて、前記の少なくとも一つの前部または後部の金型部品を放射線にさらすことを含む、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記金型組立品は眼科用器具を作製するために一回用いられ、次に廃棄される、請求項10に記載の方法。
【請求項23】
さらに、前記金型組立品を用いて少なくとも一つの眼科用器具を鋳造成形する段階を含む、請求項10に記載の方法。
【請求項24】
前記鋳造成形段階が光硬化もしくは熱硬化のいずれかまたは両方を含む、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記眼科用器具がコンタクトレンズである、請求項23に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2011−502816(P2011−502816A)
【公表日】平成23年1月27日(2011.1.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−532119(P2010−532119)
【出願日】平成20年10月14日(2008.10.14)
【国際出願番号】PCT/US2008/079807
【国際公開番号】WO2009/058553
【国際公開日】平成21年5月7日(2009.5.7)
【出願人】(506076640)ボーシュ アンド ローム インコーポレイティド (99)
【Fターム(参考)】