説明

眼部領域検出装置、眼部領域検出方法および眼部領域検出プログラム

【課題】
画像処理技術を用いて、被検者を撮影した画像データから、被検者の眼部を高速で抽出するための眼部領域検出プログラムを提供する。
【解決手段】
被検者の顔を含んだ元画像の濃度値を縦方向で微分して、その微分値を横方向で積算したヒストグラムを生成させ、そのヒストグラムの最大値または極大値に対応する横方向のラインを含んだ領域を縦方向微分第2画像として切り出し、その縦方向微分第2画像を左右に分割して、微分値を縦方向で積算したヒストグラムを左右それぞれについて生成させ、そのヒストグラムの最大値または極大値に対応する縦方向のラインを含んだ領域を第1領域や第2領域として指定したうえで、元画像から第1領域および第2領域に相当する部分を被検者の左眼部分および右眼部分として抽出する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像処理技術を用いて、被検者を撮影した画像データから、被検者の眼部を抽出するための眼部領域検出装置、眼部領域検出方法および眼部領域検出プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
被検者のまばたき、視線方向、眼球震盪などを検出するため、被験者を撮影した画像データから、被検者の眼部領域を抽出するための画像処理技術が求められている。被検者の顔全体から眼部領域を自動的に抽出することが容易となれば、被検者の眼の動きも自動的に解析することができ、また、眼部領域を画像データから切り出して範囲を限定することで、眼部について高速かつ詳細な解析が可能となる。
【0003】
一方、被験者を撮影した画像データについて、その濃度値(画素値)を微分すると、被検者1の瞼等といった特徴的な部分が抽出され、眼部の検出が容易となる。
特許文献1、特許文献2ならびに特許文献3では、被検者を撮影した画像データについて、輝度値を縦方向でスムージング処理してから微分演算を行い、抽出特徴点(微分値が大きい値を取る点)の隣り合う横方向のラインで連続データを生成して、抽出特徴点が横方向で比較的長く続くものを眼の位置として抽出している。
【0004】
特に、特許文献1では、顔画像を縦方向に走査して、濃度値の片方向のピーク前の微分値が所定値を超えることを条件に抽出点を出し、その抽出点に近接した他の抽出点と連結して曲線データを抽出し、動的であると判断された曲線データを眼の位置として特定している。
また、特許文献2では、顔画像を縦方向に走査して、濃度値の片方向のピーク前の微分値が所定値を超えることを条件に抽出点を出し、その抽出点に近接した他の抽出点と連結して曲線群を抽出し、メガネの有無の判断、鼻の位置、左右対称性などから、眼の位置を特定している。
【0005】
【特許文献1】特開平11−183127号公報(おもに、明細書段落番号0055〜0060)
【特許文献2】特開2000−067225号公報(おもに、明細書段落番号0015〜0019)
【特許文献3】特開2003−271932号公報(おもに、明細書段落番号0035〜0038)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、これら従来技術によれば、被検者の眼部を抽出するために、抽出特徴点から複数の連続データを生成しなければならず、特徴として抽出すべき瞼のほか、眉毛、鼻、口、しわ等といった複数の連続データが抽出されてしまうため、これらの選別を行う必要がある。また、画像に含まれるノイズが含まれる場合には、たとえ輝度値をスムージング処理したとしても、そういったノイズを完全に取り除くことは困難であり、そのノイズを含んだ画素に対しても連続データが生成され、その分、演算処理が増えることとなる。結果として、横方向のラインで見た時の抽出特徴点の比較や、部位の選別において、計算機の演算時間と記憶容量を多く確保しなければならないといった問題がある。
【0007】
このほか、特許文献1に記載された技術によれば、動的であると判断した曲線データを眼の位置として特定するため、撮影を開始してからしばらくの間(まばたきなどで上下瞼が動くまでの時間)は、目の位置を特定することができないといった問題があるほか、被験者の顔全体が動いているような場合や、口が動いているような場合には、目の位置を特定できないといった問題がある。
また、特許文献2に記載された技術によれば、鼻の穴の影(暗い部分)によって鼻の位置を特定しているが、鼻の穴の影がしっかり映りこむためにはカメラをやや下方に設置する必要があり、被験者と正対してカメラを設置した場合では、被検者の鼻の穴の影が写り込みにくく、眼の位置を特定することが困難となる。
【0008】
特に、被検者のまばたき、視線方向、眼球震盪などを検出するためには、画像取得のフレームレートを高くする必要がある。とりわけ、眼球震盪を検出するためには、数Hz周期の眼球運動を検出する必要があることから、フレームレートとして数十FPS(frame par second)程度の動画を処理する必要がある。したがって、眼球運動をリアルタイムで解析するためには、動画のフレームレートに応じた高速な画像処理が求められる。
【0009】
そこで、本発明は、画像処理技術を用いて、被検者を撮影した画像データから、被検者の眼部を高速で抽出するための眼部領域検出装置、眼部領域検出方法および眼部領域検出プログラムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前述した課題を解決するため、本発明第1の構成による眼部領域検出プログラムでは、被検者の顔を含んだ元画像を取得して、その画素の濃度値を縦方向で微分して、その微分された画素によって構成される画像を縦方向微分第1画像として生成するステップS1と、前記縦方向微分第1画像の各画素について、その微分値の絶対値、正値または負値を横方向で積算して得られるヒストグラムを横方向第1ヒストグラムとして生成するステップS2と、前記横方向第1ヒストグラムの最大値または極大値に対応する、前記縦方向微分第1画像の横方向のラインを指定して、前記縦方向微分第1画像から前記横方向のラインを含んだ所定領域を切り出して、その切り出した画像を縦方向微分第2画像として取得するステップS3と、前記縦方向微分第2画像の各画素について、その微分値の絶対値、正値または負値を縦方向で積算して得られるヒストグラムを縦方向第1ヒストグラムとして生成するステップS4と、前記縦方向微分第2画像を左右2つの領域に分割して得られた右側の領域について、前記縦方向第1ヒストグラムの最大値または極大値に対応する、前記縦方向微分第2画像の縦方向のラインを指定して、前記縦方向微分第2画像から前記縦方向のラインを含んだ所定領域を指定して、その指定した所定領域を第1領域として生成するステップS5と、前記縦方向微分第2画像を左右2つの領域に分割して得られた左側の領域について、前記縦方向第1ヒストグラムの最大値または極大値に対応する、前記縦方向微分第2画像の縦方向のラインを指定して、前記縦方向微分第2画像から前記縦方向のラインを含んだ所定領域を指定して、その指定した所定領域を第2領域として生成するステップS6と、によって、前記元画像のうち、前記第1領域および前記第2領域に相当する部分を、それぞれ、前記被検者の左眼部分および右眼部分として抽出することを特徴としている。
また、本発明第7の構成による眼部領域検出方法では、被検者の顔を含んだ元画像を取得して、その画素の濃度値を縦方向から微分して、その微分された画素によって構成される画像を縦方向微分第1画像として生成する手順S1と、前記縦方向微分第1画像の各画素について、その微分値の絶対値、正値または負値を横方向で積算して得られるヒストグラムを横方向第1ヒストグラムとして生成する手順S2と、前記横方向第1ヒストグラムの最大値または極大値に対応する、前記縦方向微分第1画像の横方向のラインを指定して、前記縦方向微分第1画像から前記横方向のラインを含んだ所定領域を切り出して、その切り出した画像を縦方向微分第2画像として取得する手順S3と、前記縦方向微分第2画像の各画素について、その微分値の絶対値、正値または負値を縦方向で積算して得られるヒストグラムを縦方向第1ヒストグラムとして生成する手順S4と、前記縦方向微分第2画像を左右2つの領域に分割して得られた右側の領域について、前記縦方向第1ヒストグラムの最大値または極大値に対応する、前記縦方向微分第2画像の縦方向のラインを指定して、前記縦方向微分第2画像から前記縦方向のラインを含んだ所定領域を指定して、その指定した所定領域を第1領域として生成する手順S5と、前記縦方向微分第2画像を左右2つの領域に分割して得られた左側の領域について、前記縦方向第1ヒストグラムの最大値または極大値に対応する、前記縦方向微分第2画像の縦方向のラインを指定して、前記縦方向微分第2画像から前記縦方向のラインを含んだ所定領域を指定して、その指定した所定領域を第2領域として生成する手順S6と、によって、前記元画像のうち、前記第1領域および前記第2領域に相当する部分を、それぞれ、前記被検者の左眼部分および右眼部分として抽出することを特徴としている。
【0011】
また、本発明第2の構成による眼部領域検出プログラムでは、前記ステップS1からS4までの各ステップと、前記縦方向微分第2画像を左右2つの領域に分割して得られた右側の領域について、前記縦方向第1ヒストグラムの最大値または極大値に対応する、前記縦方向微分第2画像の縦方向のラインを指定して、前記縦方向微分第2画像から前記縦方向のラインを含んだ所定領域を切り出して、その切り出した画像を縦方向微分第3画像として取得するステップS7と、前記縦方向微分第2画像を左右2つの領域に分割して得られた左側の領域について、前記縦方向第1ヒストグラムの最大値または極大値に対応する、前記縦方向微分第2画像の縦方向のラインを指定して、前記縦方向微分第2画像から前記縦方向のラインを含んだ所定領域を切り出して、その切り出した画像を縦方向微分第4画像として取得するステップS8と、前記縦方向微分第3画像の各画素について、その微分値の絶対値、正値または負値を横方向で積算して得られるヒストグラムを横方向第2ヒストグラムとして生成するステップS9と、前記縦方向微分第4画像の各画素について、その微分値の絶対値、正値または負値を横方向で積算して得られるヒストグラムを横方向第3ヒストグラムとして生成するステップS10と、前記横方向第2ヒストグラムの最大値または極大値に対応する、前記縦方向微分第3画像の横方向のラインを指定して、前記縦方向微分第3画像から前記横方向のラインを含んだ所定領域を指定して、その指定した所定領域を第3領域として生成するステップS11と、前記横方向第3ヒストグラムの最大値または極大値に対応する、前記縦方向微分第4画像の横方向のラインを指定して、前記縦方向微分第4画像から前記横方向のラインを含んだ所定領域を指定して、その指定した所定領域を第4領域として生成するステップS12と、によって、前記元画像のうち、前記第3領域および前記第4領域に相当する部分を、それぞれ、前記被検者の左眼部分および右眼部分として抽出することを特徴としている。
また、本発明第8の構成による眼部領域検出方法では、前記手順S1からS4までの各手順と、前記縦方向微分第2画像を左右2つの領域に分割して得られた右側の領域について、前記縦方向第1ヒストグラムの最大値または極大値に対応する、前記縦方向微分第2画像の縦方向のラインを指定して、前記縦方向微分第2画像から前記縦方向のラインを含んだ所定領域を切り出して、その切り出した画像を縦方向微分第3画像として取得する手順S7と、前記縦方向微分第2画像を左右2つの領域に分割して得られた左側の領域について、前記縦方向第1ヒストグラムの最大値または極大値に対応する、前記縦方向微分第2画像の縦方向のラインを指定して、前記縦方向微分第2画像から前記縦方向のラインを含んだ所定領域を切り出して、その切り出した画像を縦方向微分第4画像として取得する手順S8と、前記縦方向微分第3画像の各画素について、その微分値の絶対値、正値または負値を横方向で積算して得られるヒストグラムを横方向第2ヒストグラムとして生成する手順S9と、前記縦方向微分第4画像の各画素について、その微分値の絶対値、正値または負値を横方向で積算して得られるヒストグラムを横方向第3ヒストグラムとして生成する手順S10と、前記横方向第2ヒストグラムの最大値または極大値に対応する、前記縦方向微分第3画像の横方向のラインを指定して、前記縦方向微分第3画像から前記横方向のラインを含んだ所定領域を指定して、その指定した所定領域を第3領域として生成する手順S11と、前記横方向第3ヒストグラムの最大値または極大値に対応する、前記縦方向微分第4画像の横方向のラインを指定して、前記縦方向微分第4画像から前記横方向のラインを含んだ所定領域を指定して、その指定した所定領域を第4領域として生成する手順S12と、によって、前記元画像のうち、前記第3領域および前記第4領域に相当する部分を、それぞれ、前記被検者の左眼部分および右眼部分として抽出することを特徴としている。
【0012】
また、本発明第3の構成による眼部領域検出プログラムでは、前記ステップS1と、前記縦方向微分第1画像の各画素について、その微分値の絶対値、正値または負値を縦方向で積算して得られるヒストグラムを縦方向第2ヒストグラムとして生成するステップS13と、前記縦方向微分第1画像を左右2つの領域に分割して得られた右側の領域について、前記縦方向第2ヒストグラムの最大値または極大値に対応する、前記縦方向微分第1画像の縦方向のラインを指定して、前記縦方向微分第1画像から前記縦方向のラインを含んだ所定領域を切り出して、その切り出した画像を縦方向微分第5画像として取得するステップS14と、前記縦方向微分第1画像を左右2つの領域に分割して得られた左側の領域について、前記縦方向第2ヒストグラムの最大値または極大値に対応する、前記縦方向微分第1画像の縦方向のラインを指定して、前記縦方向微分第1画像から前記縦方向のラインを含んだ所定領域を切り出して、その切り出した画像を縦方向微分第6画像として取得するステップS15と、前記縦方向微分第5画像の各画素について、その微分値の絶対値、正値または負値を横方向で積算して得られるヒストグラムを横方向第4ヒストグラムとして生成するステップS16と、前記縦方向微分第6画像の各画素について、その微分値の絶対値、正値または負値を横方向で積算して得られるヒストグラムを横方向第5ヒストグラムとして生成するステップS17と、前記横方向第4ヒストグラムの最大値または極大値に対応する、前記縦方向微分第5画像の横方向のラインを指定して、前記縦方向微分第5画像から前記横方向のラインを含んだ所定領域を指定して、その指定した所定領域を第5領域として生成するステップS18と、前記横方向第5ヒストグラムの最大値または極大値に対応する、前記縦方向微分第6画像の横方向のラインを指定して、前記縦方向微分第6画像から前記横方向のラインを含んだ所定領域を指定して、その指定した所定領域を第6領域として生成するステップS19と、によって、前記元画像のうち、前記第5領域および前記第6領域に相当する部分を、それぞれ、前記被検者の左眼部分および右眼部分として抽出することを特徴としている。
また、本発明第9の構成による眼部領域検出方法では、前記手順S1と、前記縦方向微分第1画像の各画素について、その微分値の絶対値、正値または負値を縦方向で積算して得られるヒストグラムを縦方向第2ヒストグラムとして生成する手順S13と、前記縦方向微分第1画像を左右2つの領域に分割して得られた右側の領域について、前記縦方向第2ヒストグラムの最大値または極大値に対応する、前記縦方向微分第1画像の縦方向のラインを指定して、前記縦方向微分第1画像から前記縦方向のラインを含んだ所定領域を切り出して、その切り出した画像を縦方向微分第5画像として取得する手順S14と、前記縦方向微分第1画像を左右2つの領域に分割して得られた左側の領域について、前記縦方向第2ヒストグラムの最大値または極大値に対応する、前記縦方向微分第1画像の縦方向のラインを指定して、前記縦方向微分第1画像から前記縦方向のラインを含んだ所定領域を切り出して、その切り出した画像を縦方向微分第6画像として取得する手順S15と、前記縦方向微分第5画像の各画素について、その微分値の絶対値、正値または負値を横方向で積算して得られるヒストグラムを横方向第4ヒストグラムとして生成する手順S16と、前記縦方向微分第6画像の各画素について、その微分値の絶対値、正値または負値を横方向で積算して得られるヒストグラムを横方向第5ヒストグラムとして生成する手順S17と、前記横方向第4ヒストグラムの最大値または極大値に対応する、前記縦方向微分第5画像の横方向のラインを指定して、前記縦方向微分第5画像から前記横方向のラインを含んだ所定領域を指定して、その指定した所定領域を第5領域として生成する手順S18と、前記横方向第5ヒストグラムの最大値または極大値に対応する、前記縦方向微分第6画像の横方向のラインを指定して、前記縦方向微分第6画像から前記横方向のラインを含んだ所定領域を指定して、その指定した所定領域を第6領域として生成する手順S19と、によって、前記元画像のうち、前記第5領域および前記第6領域に相当する部分を、それぞれ、前記被検者の左眼部分および右眼部分として抽出することを特徴としている。
【0013】
また、本発明第4の構成による眼部領域検出プログラムでは、第1ないし第3の構成に加え、前記ステップS3、ステップS11、ステップS12、ステップS18あるいはステップS19、または、前記ステップS5、ステップS6、ステップS7、ステップS8、ステップS14あるいはステップS15において、該ヒストグラムの極大値に対応する横方向または縦方向のラインが2本以上存在するときには、その直前のフレーム画像を前記元画像としたときに得られた該横方向または該縦方向のラインと最も近い位置にあるラインを指定することを特徴としている。
【0014】
また、本発明第5の構成による眼部領域検出プログラムでは、第1ないし第3の構成に加え、前記ステップS3、ステップS11、ステップS12、ステップS18あるいはステップS19、または、前記ステップS5、ステップS6、ステップS7、ステップS8、ステップS14あるいはステップS15において、該ヒストグラムの最大値または極大値に対応する横方向または縦方向のラインを指定する代わりに、そのヒストグラムのとる値の大きさに応じてランダムに発生する横方向または縦方向の仮想ラインを複数本生成させ、前に取得したフレーム画像を前記元画像としたときに得られた該横方向または該縦方向のラインに対応する前記元画像、前記縦方向微分第1画像、前記縦方向微分第2画像、前記縦方向微分第3画像、前記縦方向微分第4画像、前記縦方向微分第5画像、あるいは、前記縦方向微分第6画像の画素パターンと、前記仮想ラインに対応する前記元画像、前記縦方向微分第1画像、前記縦方向微分第2画像、前記縦方向微分第3画像、前記縦方向微分第4画像、前記縦方向微分第5画像、あるいは、前記縦方向微分第6画像の画素パターンと、をそれぞれ比較し、両者の画素パターンの類似性が最も高い前記仮想ラインを横方向または縦方向のラインとして指定することを特徴としている。
【0015】
また、本発明第6の構成による眼部領域検出プログラムでは、第1ないし第3の構成に加え、前記ステップS3、ステップS11、ステップS12、ステップS18あるいはステップS19、または、前記ステップS5、ステップS6、ステップS7、ステップS8、ステップS14あるいはステップS15において、該ヒストグラムの最大値または極大値に対応する横方向または縦方向のラインを指定する代わりに、横方向または縦方向の仮想ラインに相当するパーティクルフィルタ法による粒子i=i(t)を複数個生成させ、前記各粒子iについて、前に取得したフレーム画像を元画像としたときに得られた該横方向または該縦方向のラインに対応する前記元画像、前記縦方向微分第1画像、前記縦方向微分第2画像、前記縦方向微分第3画像、前記縦方向微分第4画像、前記縦方向微分第5画像、あるいは、前記縦方向微分第6画像の画素パターンと、前記仮想ラインに対応する前記元画像、前記縦方向微分第1画像、前記縦方向微分第2画像、前記縦方向微分第3画像、前記縦方向微分第4画像、前記縦方向微分第5画像、あるいは、前記縦方向微分第6画像の画素パターンと、をそれぞれ比較して尤度R(i)を算出し、前記各粒子iについて、対応するラインの取る座標をx(t)としたとき、該ヒストグラムのとる値f(x(t))と、前記尤度R(i)との積R(i)×f(x(t))を算出し、前記積R(i)×f(x(t))をもって、前記パーティクルフィルタ法にて発生させる次世代の粒子i=i(t+Δt)を決定すると共に、前記尤度R(i)または前記積R(i)×f(x(t))の値が最も高い粒子に対応する前記仮想ラインを横方向または縦方向のラインとして指定し、または、各粒子iに対応するラインがとる座標x(t)について、前記積R(i)×f(x(t))の値に応じて重みづけ平均をとった座標に対応するラインを横方向または縦方向のラインとして指定することを特徴としている。
【0016】
また、本発明第10の構成による眼部領域検出装置では、被検者の顔部を撮影するビデオカメラと、前記ビデオカメラによって撮影された被検者の顔部の映像を取得するビデオキャプチャと、前記ビデオキャプチャによって取得された画像を元画像として前記被検者の左眼部分および右眼部分を抽出する請求項1ないし請求項6のいずれかに記載する眼部領域検出プログラムと、を備えたことを特徴としている。
【0017】
また、本発明第11の構成による眼部領域検出装置では、第10の発明の構成に加え、さらに、前記被検者に赤外領域の光を照射する赤外照明を備え、前記ビデオカメラは前記赤外領域の像を撮影する赤外カメラであることを特徴としている。
【発明の効果】
【0018】
本発明第1の構成による眼部領域検出プログラムおよび本発明第7の構成による眼部領域検出方法によれば、被検者の顔を含んだ元画像の濃度値を縦方向で微分して、その微分値を横方向で積算したヒストグラムを生成させ、そのヒストグラムの最大値または極大値に対応する横方向のラインを含んだ領域を縦方向微分第2画像として切り出し、その縦方向微分第2画像を左右に分割して、微分値を縦方向で積算したヒストグラムを左右それぞれについて生成させ、そのヒストグラムの最大値または極大値に対応する縦方向のラインを含んだ領域を第1領域や第2領域として指定したうえで、元画像から第1領域および第2領域に相当する部分を被検者の左眼部分および右眼部分として抽出しているので、微分・積算・最大値または極大値算出といった簡単な演算処理で被検者の眼部領域を検出できるほか、被検者を撮影した画像データから、被検者の眼部領域を高速で抽出することができる。
【0019】
また、本発明第2の構成による眼部領域検出プログラムおよび本発明第8の構成による眼部領域検出方法によれば、被検者の顔を含んだ元画像の濃度値を縦方向で微分して、その微分値を横方向で積算したヒストグラムを生成させ、そのヒストグラムの最大値または極大値に対応する横方向のラインを含んだ領域を縦方向微分第2画像として切り出し、その縦方向微分第2画像を左右に分割して、微分値を縦方向で積算したヒストグラムを左右それぞれについて生成させ、そのヒストグラムの最大値または極大値に対応する縦方向のラインを含んだ領域を縦方向微分第3画像や縦方向微分第4画像として切り出したあとで、さらに、その各領域に対応する微分値を横方向で積算したヒストグラムをそれぞれ生成させ、そのヒストグラムの最大値または極大値に対応する横方向のラインを含んだ領域を第3領域や第4領域として指定したうえで、元画像から第3領域および第4領域に相当する部分を被検者の左眼部分および右眼部分として抽出しているので、前述した効果に加えて、被検者の顔の回転の影響を受けずに被検者の眼部領域を高速で抽出することができる。
【0020】
また、本発明第3の構成による眼部領域検出プログラムおよび本発明第9の構成による眼部領域検出方法によれば、被検者の顔を含んだ元画像の濃度値を縦方向で微分して縦方向微分第1画像を生成させ、その縦方向微分第1画像を左右に分割して、その微分値を縦方向で積算したヒストグラムを左右それぞれについて生成させ、そのヒストグラムの最大値または極大値に対応する縦方向のラインを含んだ領域を縦方向微分第5画像や縦方向微分第6画像として切り出したあとで、さらに、その各領域に対応する微分値を横方向で積算したヒストグラムをそれぞれ生成させ、そのヒストグラムの最大値または極大値に対応する横方向のラインを含んだ領域を第5領域と第6領域として指定したうえで、元画像から第5領域および第6領域に相当する部分を被検者の左眼部分および右眼部分として抽出しているので、前述した効果に加えて、被検者の顔の回転の影響を受けずに被検者の眼部領域を高速で抽出することができる。
【0021】
また、本発明第4の構成による眼部領域検出プログラムによれば、ステップS3等において、ヒストグラムが極大となるラインが2本以上存在したとしても、直前のフレーム画像を元画像としたときに得られたラインと最も近い位置にあるラインを指定するので、前述した効果に加えて、画像に含まれるノイズ等の影響を受けずに被検者の眼部領域を高速で抽出することができる。
【0022】
また、本発明第5の構成による眼部領域検出プログラムによれば、ステップS3等において、ヒストグラムのとる値の大きさに応じてランダムに発生する仮想ラインを複数本発生させ、複数本の仮想ラインのなかから、前に取得したフレーム画像を元画像としたときに得られたラインと類似性が最も高いものを指定するので、前述した効果に加えて、瞬き等といった被検者の動きに起因する影響や画像に含まれるノイズ等の影響を受けずに被検者の眼部領域を高速で抽出することができる。
【0023】
また、本発明第6の構成による眼部領域検出プログラムによれば、ステップS3等において、パーティクルフィルタ法による粒子iと、その粒子に対応する仮想ラインを複数本発生させ、各粒子に対応する仮想ラインと、前に取得したフレーム画像を元画像としたときに得られたラインとの画素パターンを比較して尤度R(i)を算出し、尤度R(i)とヒストグラムのとる値f(x(t))との積R(i)×f(x(t))を算出し、この積の値の大きさに応じてパーティクルフィルタ法にて発生させる次世代の粒子i=i(t+Δt)を決定すると共に、尤度R(i)またはR(i)×f(x(t))が最も高い粒子に対応する仮想ラインを横方向または縦方向のラインとして指定し、あるいは、各粒子iに対応するラインがとる座標x(t)について、積R(i)×f(x(t))の値に応じて重みづけ平均をとった座標に対応するラインを横方向または縦方向のラインとして指定するので、前述した効果に加えて、瞬き等といった被検者の動きに起因する影響や画像に含まれるノイズ等の影響を受けずに被検者の眼部領域を高速で抽出することができる。
【0024】
また、本発明第10の構成による眼部領域検出装置によれば、ビデオカメラによって撮影された被検者の顔部の映像を元画像として、前述した眼部領域検出プログラムにより被検者の右眼部分と左眼部分を高速で抽出できるので、抽出した両眼の画像データを用いて被検者のまばたき、視線方向、眼球震盪などをリアルタイムで解析することができる。
【0025】
また、本発明第11の構成による眼部領域検出装置によれば、被験者に赤外照明を照射して、その反射光を赤外カメラで撮影するので、前述した効果に加えて、外光(白熱電灯や自然光等)や設置環境の影響を受けずに被検者の右眼部分と左眼部分を高速で抽出することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
本発明の実施形態を実施例1ないし実施例5にて説明する。なお、実施例1ないし実施例4は本件発明にかかる、画像処理技術を用いて、被検者を撮影した画像データから、被検者の眼部を高速で抽出するための眼部領域検出装置、眼部領域検出方法および眼部領域検出プログラムに関するものであり、実施例5は、画像データから被検者の眼部を抽出したあとの応用として、被検者の瞼の開度を検出するための技術について説明している。
【実施例1】
【0027】
実施例1を図1〜図8に基づいて説明する。
図1は、実施例1にかかる眼部領域検出装置の構成を示す説明図である。
図1において、眼部領域検出装置10は、計算機11と、ビデオカメラ16を備える。計算機11は外部装置としてディスプレイ11fとキーボード11gを備えており、検査者2は、ディスプレイ11fとキーボード11gにより眼部領域検出装置10を制御し、あるいは、検出結果等の観察等を行う。
また、ビデオカメラ16は被検者1の顔部を撮影するものであり、計算機11の内部に備えるビデオキャプチャ11eによって映像を取得する。ビデオカメラ16のフレームレートは30〜60FPS程度である。
計算機11は、このほか、CPU(中央演算処理装置)11aと、クロック11bと、ディスプレイ11fに画像信号を送信するグラフィックカード11cと、キーボード11gからの入力信号を受信する入力端子11dと、プログラム記憶領域13および画像データ記憶領域14の記憶領域が確保された記憶装置12と、メモリ15をその内部に備える。
メモリ15には、眼部領域を抽出する過程で生成される各種のデータ(たとえば、元画像データ15a、縦方向微分第1画像15b、横方向第1ヒストグラム15c、縦方向微分第2画像15d、縦方向第1ヒストグラム15e、第1領域15f、第2領域15gなど)が一時的に記憶される。これらの各データの内容については、後で説明する。
【0028】
画像データ記憶領域14は、元画像データ14a、左眼部分画像データ14bおよび右眼部分画像データ14cの記憶領域が確保されており、それぞれ、ビデオカメラ16で撮影した被検者1の顔画像、左眼部分の画像、右眼部分の画像が記憶される。
そして、プログラム記憶領域13は、ビデオキャプチャ11eによって取得された画像を元画像データ14aとして記録するビデオ画像取得プログラム13bと、元画像データ14aから被検者の左眼部分および右眼部分を画像処理によって抽出して、左眼部分画像データ14bと右眼部分画像データ14cとして記録する眼部領域検出プログラム13aが記録されている。眼部領域検出プログラム13aの処理内容については後で説明する。
【0029】
このように、ビデオカメラによって撮影された被検者の顔部の映像を元画像として、前述した眼部領域検出プログラムにより被検者の右眼部分と左眼部分を高速で抽出できるので、抽出した両眼の画像データを用いて被検者のまばたき、視線方向、眼球震盪などをリアルタイムで解析することができる。
【0030】
また、眼部領域検出装置10には、被検者1に赤外領域の光を照射する赤外照明17を備え、ビデオカメラ16は赤外領域の像を撮影する赤外カメラとすることが好ましい。具体的には、赤外照明17に特定領域の赤外光を通過させるIRフィルタ(たとえば、760nm以下の波長の光を遮断するようにしたものが好適である)を備えて、これを被検者1に向けて照射するとともに、ビデオカメラ16のレンズの手前に同様のIRフィルタ(たとえば、850nm以上の波長の光のみを透過するようにしたものが好適である)を備えて、被検者1の反射光を撮影するようにする。
【0031】
このように、被験者に赤外照明を照射して、その反射光を赤外カメラで撮影するので、前述した効果に加えて、外光(白熱電灯や自然光等)や設置環境の影響を受けずに被検者の右眼部分と左眼部分を高速で抽出することができる。
【0032】
続いて、眼部領域検出プログラム13aの処理の流れを図2のフロチャートに基づいて説明する。
ビデオ画像取得プログラム13bにより、被検者1の新たな顔画像が元画像データ14aとして記録されると、眼部領域検出プログラム13aが起動する。すなわち、眼部領域検出プログラム13aは、ビデオカメラ16のフレームレートと同じ間隔で繰り返し起動することとなる。
【0033】
眼部領域検出プログラム13aが起動すると、被検者の顔を含んだ元画像データを取得して、その画素の濃度値を縦方向で微分して、その微分された画素によって構成される画像を縦方向微分第1画像として生成するステップS1の処理が行われる。具体的には、まず、画像データ記憶領域14から元画像データ14aを取得して、これをメモリ15の元画像データ15aとして記憶する(ステップS1−1)。なお、元画像データ14aは、図3(a)のような画像(大きさは縦480ピクセル、横640ピクセル)であり、被検者1の顔として右眼、左眼のほか、眉毛や鼻等の領域が含まれている。続いて、元画像データ15aの各画素の濃度値を縦方向で微分して(ステップS1−2)、微分した画像を縦方向微分第1画像15bとして、メモリ15に記憶させる(ステップS1−3)。微分した値の絶対値を濃度とする画像を表すと、図3(b)のようになり、被検者の瞼の淵部分や眉毛、鼻などといった特徴的な部位が現れる。また、元画像データ15aを上方向から微分して、微分した値の正値または負値を濃度とする画像で表すと、それぞれ、図4(a)または図4(b)のようになり、同じく特徴的な部位が現れる。なお、図4(a)または図4(b)は、図3(a)の画素が上方向から見て、元画像データ15aの画素が明るくまたは暗くなるときに、その特徴が現れるようになっている。
【0034】
続いて、縦方向微分第1画像15bの各画素について、その微分値の絶対値、正値または負値を横方向で積算して得られるヒストグラムを横方向第1ヒストグラム15cとして生成するステップS2の処理が行われる。
図5は、縦方向微分第1画像15bと横方向第1ヒストグラム15cの関係を示す説明図である。縦方向微分第1画像15bの画素値を横方向(積算方向51)で積算すると、そのヒストグラム(横方向第1ヒストグラム15c)は、上瞼の部分で最大値52を取る。この最大値52に対応する横方向ラインを53とする。
【0035】
続いて、横方向第1ヒストグラム15cの最大値または極大値に対応する、縦方向微分第1画像15bの横方向のラインを指定して、縦方向微分第1画像15bから横方向のラインを含んだ所定領域を切り出して、その切り出した画像を縦方向微分第2画像15dとして取得するステップS3の処理が行われる。具体的には、まず、横方向第1ヒストグラム15cの最大値を算出し(ステップS3−1)、最大値52を取る横方向ライン53を抽出し(ステップS3−2)、横方向ライン53を含む所定領域の画像を切り出して縦方向微分第2画像15dとしてメモリ15に記憶させる(ステップS3−3)。
図6は、縦方向微分第1画像15bから縦方向微分第2画像15dを切り出した結果を示す説明図である。図6では、横方向ライン53を基準として、上40ピクセル分、下100ピクセル分の領域を縦方向微分第1画像15bから切り出して、縦方向微分第2画像15dとしている。
このように、横方向第1ヒストグラム15cが被検者1の上瞼付近で最大値をとるといった性質を用いれば、被検者の眼の位置を横方向で絞り込むことができる。
なお、図5や図6では、横方向第1ヒストグラム15cの最大値を用いて横方向ライン53を抽出しているが、こういった形態に限る必要はなく、たとえば、横方向第1ヒストグラム15cの極大値を用いて横方向ライン53を抽出するようにしてもよい。
【0036】
続いて、縦方向微分第2画像15dの各画素について、その微分値の絶対値、正値または負値を縦方向で積算して得られるヒストグラムを縦方向第1ヒストグラム15eとして生成するステップS4の処理が行われる。
図7は縦方向第1ヒストグラム15eおよび縦方向微分第2画像15dの関係を示す説明図である。縦方向微分第2画像15dの画素値を縦方向(積算方向71)で積算すると、そのヒストグラム(縦方向第1ヒストグラム15e)は、被検者1のプルキンエ像の現れる部分で極大値72、73を取る。
このように、ステップS1〜ステップS3で、横方向での画像の切り出しを先に行うことで被検者1の眉毛や鼻等の領域を取り除くことができる。特に、被検者がまばたきをしたときにはその両眼のプルキンエ像が撮影されなくなるが、先に横方向での画像が切り出されていることから、瞼の特徴から両眼の中心部分を推定しやすくなる。
【0037】
続いて、縦方向微分第2画像15dを左右2つの領域に分割して得られた右側および左側の領域について、縦方向第1ヒストグラム15eの最大値または極大値に対応する、縦方向微分第2画像15dの縦方向のラインを指定して、縦方向微分第2画像15dから縦方向のラインを含んだ所定領域を指定して、その指定した所定領域を第1領域および第2領域として生成するステップS5およびステップS6の処理が行われる。具体的には、まず、縦方向第1ヒストグラム15eから縦方向微分第2画像15dの右半分および左半分に相当する部分の極大値73および極大値72を算出し(ステップS5−1およびステップS6−1)、極大値73および極大値72を取る縦方向ライン75および縦方向ライン74を抽出し(ステップS5−2およびステップS6−2)、縦方向ライン75および縦方向ライン74を含む所定領域を第1領域15fおよび第2領域15gとしてメモリ15に記憶させる(ステップS5−3およびステップS6−3)。
図8は、縦方向微分第2画像15dと第1領域15fおよび第2領域15gの関係を示す説明図である。実施例1では、縦方向ライン74を基準として、右100ピクセル分、左100ピクセルの領域を第2領域15gとしている。また、縦方向ライン75を基準として、右100ピクセル分、左100ピクセルの領域を第1領域15fとしている。
このように縦方向第1ヒストグラム15eが被検者1のプルキンエ像の現れる部分で極大値を取るといった性質を用いれば、被検者1の眼の位置を縦方向で絞り込むことができる。
なお、図7や図8では、縦方向第1ヒストグラム15eの極大値を用いて縦方向ライン74および縦方向ライン75を抽出しているが、こういった形態に限る必要はなく、たとえば、縦方向第1ヒストグラム15eの左右それぞれの最大値を用いて縦方向ライン74および縦方向ライン75を抽出するようにしてもよい。
【0038】
最後に、元画像データ15aから第1領域15fおよび第2領域15gに相当する部分を切り出して、それぞれ左眼部分画像データ14bおよび右眼部分画像データ14cとして、画像データ記憶領域14に記憶させる(ステップS20−1およびステップS20−2)ことで、被検者1の顔画像から眼部領域を抽出させることができる。
【0039】
このように、被検者の顔を含んだ元画像の濃度値を縦方向で微分して、その微分値を横方向で積算したヒストグラムを生成させ、そのヒストグラムの最大値または極大値に対応する横方向のラインを含んだ領域を縦方向微分第2画像として切り出し、その縦方向微分第2画像を左右に分割して、微分値を縦方向で積算したヒストグラムを左右それぞれについて生成させ、そのヒストグラムの最大値または極大値に対応する縦方向のラインを含んだ領域を第1領域や第2領域として指定したうえで、元画像から第1領域および第2領域に相当する部分を被検者の左眼部分および右眼部分として抽出しているので、微分・積算・最大値または極大値算出といった簡単な演算処理で被検者の眼部領域を検出できるほか、被検者を撮影した画像データから、被検者の眼部領域を高速で抽出することができる。
【実施例2】
【0040】
続いて、実施例2を図9〜図18に基づいて説明する。なお、実施例1と同じ構成・機能を有するものについては、同一の符号を付し、詳細な説明は省略する。
図9は、実施例2にかかる眼部領域検出装置の構成を示す説明図である。
図9において、メモリ15は、第1領域15f、第2領域15gにかえて、縦方向微分第3画像15h、縦方向微分第4画像15i、横方向第2ヒストグラム15j、横方向第3ヒストグラム15k、第3領域15l、第4領域15mの記憶領域が確保され、眼部領域を抽出する過程で生成される各種のデータが一時的に記憶される。これらの各データの内容については、後で説明する。
【0041】
続いて、眼部領域検出プログラム13aの処理の流れを図10および図11のフロチャートに基づいて説明する。なお、図11は図10の続きのフロチャートである。
ステップS1からS4までの各ステップは、実施例1と同じ手順・内容で処理される。
実施例2における元画像データ14aは図12(a)に示すとおりであり、被検者1が顔をやや左側に傾けたような状態で撮影されている。こういった場合、図12(b)に示すように、被検者1の上瞼は、左右で水平となっていないことがわかる。また、図13は、縦方向微分第1画像15bと横方向第1ヒストグラム15cの関係を示す説明図である。縦方向微分第1画像15bの画素値を横方向(積算方向131)で積算すると、そのヒストグラム(横方向第1ヒストグラム15c)は、上瞼の左右の部分で二つの極大値132および133を取る。この極大値132および133にそれぞれ対応する横方向ラインを134および135とする。
図14は、縦方向微分第1画像15bから縦方向微分第2画像15dを切り出した結果を示す説明図である。図14では、横方向ライン134から上15ピクセル分、横方向ライン135から下100ピクセル分の領域を縦方向微分第1画像15bから切り出して、縦方向微分第2画像15dとしている。
このように、横方向第1ヒストグラム15cが被検者1の上瞼付近で最大値をとるといった性質を用いれば、被検者の眼の位置を横方向で絞り込むことができる。
図15は縦方向第1ヒストグラム15eおよび縦方向微分第2画像15dの関係を示す説明図である。縦方向微分第2画像15dの画素値を縦方向(積算方向151)で積算すると、そのヒストグラム(縦方向第1ヒストグラム15e)は、被検者1のプルキンエ像の現れる部分で極大値152および153を取る。
【0042】
続いて、縦方向微分第2画像15dを左右2つの領域に分割して得られた右側および左側の領域について、縦方向第1ヒストグラム15eの最大値または極大値に対応する、縦方向微分第2画像15dの縦方向のラインを指定して、縦方向微分第2画像15dから縦方向のラインを含んだ所定領域を切り出して、その切り出した画像を縦方向微分第3画像15hおよび縦方向微分第4画像15iとして取得するステップS7およびステップS8の処理が行われる。具体的には、まず、縦方向第1ヒストグラム15eから縦方向微分第2画像15dの右半分および左半分に相当する部分の極大値152および極大値153を算出し(ステップS7−1およびステップS8−1)、極大値152および極大値153を取る縦方向ライン154および縦方向ライン155を抽出し(ステップS7−2およびステップS8−2)、縦方向ライン154および縦方向ライン155を含む所定領域を縦方向微分第2画像15dから切り出して、それぞれ、縦方向微分第3画像15hおよび縦方向微分第4画像15iとしてメモリ15に記憶させる(ステップS7−3およびステップS8−3)。
図16は、縦方向微分第2画像15dから縦方向微分第3画像15hおよび縦方向微分第4画像15iを切り出した結果を示す説明図である。図16では、縦方向ライン154を基準として左100ピクセル分、右100ピクセル分の領域を縦方向微分第2画像15dから切り出して縦方向微分第3画像15hとし、縦方向ライン155を基準として左100ピクセル分、右100ピクセル分の領域を縦方向微分第2画像15dから切り出して縦方向微分第4画像15iとしている。
このように縦方向第1ヒストグラム15eが被検者1のプルキンエ像の現れる部分で極大値を取るといった性質を用いれば、被検者1の眼の位置を縦方向で絞り込むことができる。
【0043】
続いて、縦方向微分第3画像15hおよび縦方向微分第4画像15iの各画素について、その微分値の絶対値、正値または負値を横方向で積算して得られるヒストグラムをそれぞれ横方向第2ヒストグラム15jおよび横方向第3ヒストグラム15kとして生成するステップS9およびステップS10の処理が行われる。
図17は、横方向第2ヒストグラム15jと縦方向微分第3画像15hの関係および横方向第3ヒストグラム15kと縦方向微分第4画像15iの関係を示す説明図である。縦方向微分第3画像15hの画素値を横方向(積算方向171)で積算すると、そのヒストグラム(横方向第2ヒストグラム15j)は、上瞼の部分で最大値173を取る。また、縦方向微分第4画像15iの画素値を横方向(積算方向172)で積算すると、そのヒストグラム(横方向第3ヒストグラム15k)は、上瞼の部分で最大値174を取る。この最大値173および174にそれぞれ対応する、横方向ラインを175および176とする。
【0044】
続いて、横方向第2ヒストグラム15jおよび横方向第3ヒストグラム15kの最大値または極大値に対応する、縦方向微分第3画像15hおよび縦方向微分第4画像15iの横方向のラインを指定して、縦方向微分第3画像15hおよび縦方向微分第4画像15iから横方向のラインを含んだ所定領域を指定して、その指定した所定領域をそれぞれ第3領域15lおよび第4領域15mとして生成するステップS11およびステップS12の処理が行われる。
図18は、縦方向微分第3画像15hと第3領域15lの関係および縦方向微分第4画像15iと第4領域15mの関係を示す説明図である。実施例2では、横方向ライン175を基準として、上15ピクセル分、下100ピクセルの領域を第3領域15lとしている。また、横方向ライン176を基準として、上15ピクセル分、下100ピクセルの領域を第4領域15mとしている。
このように、横方向第2ヒストグラム15jや横方向第3ヒストグラム15kが被検者1の上瞼付近で最大値をとるといった性質を用いれば、被検者の眼の位置を横方向でさらに絞り込むことができる。
【0045】
最後に、元画像データ15aから第3領域15lおよび第4領域15mに相当する部分を切り出して、それぞれ左眼部分画像データ14bおよび右眼部分画像データ14cとして、画像データ記憶領域14に記憶させる(ステップS20−3およびステップS20−4)ことで、被検者1の顔画像から眼部領域を抽出させることができる。
【0046】
このように、被検者の顔を含んだ元画像の濃度値を縦方向で微分して、その微分値を横方向で積算したヒストグラムを生成させ、そのヒストグラムの最大値または極大値に対応する横方向のラインを含んだ領域を縦方向微分第2画像として切り出し、その縦方向微分第2画像を左右に分割して、微分値を縦方向で積算したヒストグラムを左右それぞれについて生成させ、そのヒストグラムの最大値または極大値に対応する縦方向のラインを含んだ領域を縦方向微分第3画像や縦方向微分第4画像として切り出したあとで、さらに、その各領域に対応する微分値を横方向で積算したヒストグラムをそれぞれ生成させ、そのヒストグラムの最大値または極大値に対応する横方向のラインを含んだ領域を第3領域や第4領域として指定したうえで、元画像から第3領域および第4領域に相当する部分を被検者の左眼部分および右眼部分として抽出しているので、前述した効果に加えて、被検者の顔の回転の影響を受けずに被検者の眼部領域を高速で抽出することができる。
【実施例3】
【0047】
続いて、実施例3を図19〜図25に基づいて説明する。なお、実施例1や実施例2と同じ構成・機能を有するものについては、同一の符号を付し、詳細な説明は省略する。
図19は、実施例3にかかる眼部領域検出装置の構成を示す説明図である。
図19において、メモリ15は、横方向第1ヒストグラム15c、縦方向微分第2画像15d、縦方向第1ヒストグラム15e、第1領域15f、第2領域15g、縦方向微分第3画像15h、縦方向微分第4画像15i、横方向第2ヒストグラム15j、横方向第3ヒストグラム15k、第3領域15l、第4領域15mにかえて、縦方向第2ヒストグラム15n、縦方向微分第5画像15o、縦方向微分第6画像15p、横方向第4ヒストグラム15q、横方向第5ヒストグラム15r、第5領域15s、第6領域15tの記憶領域が確保され、眼部領域を抽出する過程で生成される各種のデータが一時的に記憶される。これらの各データの内容については、後で説明する。
【0048】
続いて、眼部領域検出プログラム13aの処理の流れを図20および図21のフロチャートに基づいて説明する。なお、図21は図20の続きのフロチャートである。
ステップS1は、実施例1および実施例2と同じ手順・内容で処理される。
実施例3における元画像データ14aは実施例2で使用したもの(図12(a))と同じであり、被検者1が顔をやや左側に傾けたような状態で撮影されている。こういった場合、図12(b)に示すように、被検者1の上瞼は、左右で水平となっていないことがわかる。
【0049】
続いて、縦方向微分第1画像15bの各画素について、その微分値の絶対値、正値または負値を縦方向で積算して得られるヒストグラムを縦方向第2ヒストグラム15nとして生成するステップS13の処理が行われる。
図22は縦方向第2ヒストグラム15nおよび縦方向微分第1画像15bの関係を示す説明図である。縦方向微分第1画像15bの画素値を縦方向(積算方向221)で積算すると、そのヒストグラム(縦方向第2ヒストグラム15n)は、被検者1のプルキンエ像の現れる部分で極大値222、223を取る。この極大値222および223にそれぞれ対応する、縦方向ラインを224および225とする。
【0050】
続いて、縦方向微分第1画像15bを左右2つの領域に分割して得られた右側および左側の領域について、縦方向第2ヒストグラム15nの最大値または極大値に対応する、縦方向微分第1画像15bの縦方向のラインを指定して、縦方向微分第1画像15bから縦方向のラインを含んだ所定領域を切り出して、その切り出した画像を、それぞれ縦方向微分第5画像15oおよび縦方向微分第6画像15pとして取得するステップS14およびステップS15の処理が行われる。
図23では、縦方向ライン224を基準として左100ピクセル分、右100ピクセル分の領域を縦方向微分第5画像15oとし、縦方向ライン225を基準として左100ピクセル分、右100ピクセル分の領域を縦方向微分第6画像15pとしている。
このように縦方向第2ヒストグラム15nが被検者1のプルキンエ像の現れる部分で極大値を取るといった性質を用いれば、被検者の眼の位置を縦方向で絞り込むことができる。
【0051】
続いて、縦方向微分第5画像15oおよび縦方向微分第6画像15pの各画素について、その微分値の絶対値、正値または負値を横方向で積算して得られるヒストグラムをそれぞれ横方向第4ヒストグラム15qおよび横方向第5ヒストグラム15rとして生成するステップS16およびステップS17の処理が行われる。
図24は、横方向第4ヒストグラム15qと縦方向微分第5画像15oの関係および横方向第5ヒストグラム15rと縦方向微分第6画像15pの関係を示す説明図である。縦方向微分第5画像15oの画素値を横方向(積算方向241)で積算すると、そのヒストグラム(横方向第4ヒストグラム15q)は、上瞼の部分で最大値243を取る。また、縦方向微分第6画像15pの画素値を横方向(積算方向242)で積算すると、そのヒストグラム(横方向第5ヒストグラム15r)は、上瞼の部分で最大値244を取る。この最大値243および244にそれぞれ対応する、横方向ラインを245および246とする。
【0052】
続いて、横方向第4ヒストグラム15qおよび横方向第5ヒストグラム15rの最大値または極大値に対応する、縦方向微分第5画像15oおよび縦方向微分第6画像15pの横方向のラインを指定して、縦方向微分第5画像15oおよび縦方向微分第6画像15pから横方向のラインを含んだ所定領域を指定して、その指定した所定領域をそれぞれ第5領域15sおよび第6領域15tとして生成するステップS18およびステップS19の処理が行われる。
図25は、縦方向微分第5画像15oと第5領域15sの関係および縦方向微分第6画像15pと第6領域15tの関係を示す説明図である。実施例3では、横方向ライン245を基準として、上15ピクセル分、下100ピクセル分の領域を第5領域15sとしている。また、横方向ライン246を基準として、上15ピクセル分、下100ピクセル分の領域を第6領域15tとしている。
このように、横方向第4ヒストグラム15qや横方向第5ヒストグラム15rが被検者1の上瞼付近で最大値をとるといった性質を用いれば、被検者の眼の位置を横方向で絞り込むことができる。
【0053】
最後に、元画像データ15aから第5領域15sおよび第6領域15tに相当する部分を切り出して、それぞれ左眼部分画像データ14bおよび右眼部分画像データ14cとして、画像データ記憶領域14として記憶させる(ステップS20−5およびステップS20−6)ことで、被検者1の顔画像から眼部領域を抽出させることができる。
【0054】
このように、被検者の顔を含んだ元画像の濃度値を縦方向で微分して縦方向微分第1画像を生成させ、その縦方向微分第1画像を左右に分割して、その微分値を縦方向で積算したヒストグラムを左右それぞれについて生成させ、そのヒストグラムの最大値または極大値に対応する縦方向のラインを含んだ領域を縦方向微分第5画像や縦方向微分第6画像として切り出したあとで、さらに、その各領域に対応する微分値を横方向で積算したヒストグラムをそれぞれ生成させ、そのヒストグラムの最大値または極大値に対応する横方向のラインを含んだ領域を第5領域と第6領域として指定したうえで、元画像から第5領域および第6領域に相当する部分を被検者の左眼部分および右眼部分として抽出しているので、前述した効果に加えて、被検者の顔の回転の影響を受けずに被検者の眼部領域を高速で抽出することができる。
【実施例4】
【0055】
続いて、実施例4を図26〜図28に基づいて説明する。なお、実施例1ないし実施例3と同じ構成・機能を有するものについては、同一の符号を付し、詳細な説明は省略する。
実施例4は、図26に示すように、縦方向微分第1画像15bの横方向第1ヒストグラム15cで、二つ以上の極大値261および262が存在するときでも、横方向ラインを確実に抽出するための技術に関するものである。
【0056】
第1の方法としては、ステップS3、ステップS11、ステップS12、ステップS18あるいはステップS19、または、ステップS5、ステップS6、ステップS7、ステップS8、ステップS14あるいはステップS15において、該ヒストグラムの極大値に対応する横方向または縦方向のラインが2本以上存在するときには、その直前のフレーム画像を元画像としたときに得られた該横方向または該縦方向のラインと最も近い位置にあるラインを指定するというものである。
ステップS3を例にとると、具体的には、2つの極大値261および262に対して、その直前のフレーム画像を元画像としたときに得られた横方向ラインである前フレーム横方向ライン263と、極大値261および262に対応する横方向ライン264および265との位置関係を比較し、前フレーム横方向ライン263と物理的に近い位置にある横方向ラインを指定する。図26でいえば、前フレーム横方向ライン263に近いラインは横方向ライン265であるため、この横方向ライン265が指定されることになる。
【0057】
このように、ステップS3等において、ヒストグラムが極大となるラインが2本以上存在したとしても、直前のフレーム画像を元画像としたときに得られたラインと最も近い位置にあるラインを指定するので、前述した効果に加えて、画像に含まれるノイズ等の影響を受けずに被検者の眼部領域を高速で抽出することができる。
【0058】
第2の方法としては、ステップS3、ステップS11、ステップS12、ステップS18あるいはステップS19、または、ステップS5、ステップS6、ステップS7、ステップS8、ステップS14あるいはステップS15において、該ヒストグラムの最大値または極大値に対応する横方向または縦方向のラインを指定する代わりに、そのヒストグラムのとる値の大きさに応じてランダムに発生する横方向または縦方向の仮想ラインを複数本生成させ、前に取得したフレーム画像を元画像としたときに得られた該横方向または該縦方向のラインに対応する元画像、縦方向微分第1画像、縦方向微分第2画像、縦方向微分第3画像、縦方向微分第4画像、縦方向微分第5画像、あるいは、縦方向微分第6画像の画素パターンと、仮想ラインに対応する元画像、縦方向微分第1画像、縦方向微分第2画像、縦方向微分第3画像、縦方向微分第4画像、縦方向微分第5画像、あるいは、縦方向微分第6画像の画素パターンと、をそれぞれ比較し、両者の画素パターンの類似性が最も高い仮想ラインを横方向または縦方向のラインとして指定するというものである。
ステップS3を例に取ると、具体的には、図27において、横方向第1ヒストグラム15cのとる値の大きさに応じて(たとえば4個の)粒子x(t)、x(t),…,x(t)を、縦方向微分第1画像15bの上端から下端の範囲で確率的に発生させる。粒子x(t)、x(t),…,x(t)は、横方向第1ヒストグラム15cの大きさに応じて確率的に発生させるので、結果として、極大値261や262の付近に集中して発生しやすくなっている。そして、各粒子x(t)、x(t),…,x(t)の発生させた位置に応じて仮想ライン274a〜274dを取って、図27(c)に示すように、各仮想ライン274a〜274dに対応する縦方向微分第1画像15bの画素パターンを取る。なお、図27(c)では仮想ライン274a〜274dを縦方向に拡大して表示しているが、実際には、縦1ピクセル、横640ピクセルの画像データと等価である。また、同じように、図27(b)に示すように前フレーム横方向ライン263に対応する縦方向微分第1画像15bの画素パターン(すなわち、前に取得したフレーム画像を元画像としたときに得られた縦方向微分第1画像15bの画素パターン)を取る。続いて、各画素パターン(仮想ライン274a〜274d)と、前フレーム横方向ライン263とをそれぞれ比較して、両者の画素パターンの類似性が最も高い仮想ライン274a〜274dを一つ抽出する。類似性の評価にあたっては、数1に示す尤度R(i)を用いる方法などが考えられる。
【0059】
【数1】

【0060】
ここで、R(i)はi番目の粒子に対応する尤度(i=1,2,…,4)、P(j)はi番目の粒子の仮想ライン(274a〜274d)に対応する画素パターンのjピクセル目の画素の濃度(j=1,2,…,640)、T(j)は前フレーム横方向ライン263に対応する画素パターンのjピクセル目の画素の濃度である。仮想ラインに対応する画素パターンと、前フレーム横方向ラインに対応する画素パターンが完全に一致するとき、尤度の値は1となり、類似性が低くなればなるほど尤度の値は小さくなる。したがって、尤度R(i)が最大となるiを算出して、i番目の粒子x(t)に対応する仮想ラインを横方向のラインとして指定するようにすればよい。
なお、第2の方法では、前フレーム横方向ライン263を、その直前のフレーム画像を元画像としたときに得られた横方向ラインとしなくともよく、たとえば、前フレーム横方向ライン263を、被検者1について最初に取得したフレーム画像を元画像としたときに得られた横方向ラインから定めるようにしもよい。このように、最初のフレーム画像を用いることで、参照される前フレーム横方向ライン263が変わることがなく、誤検出を少なくさせることができる。
【0061】
このように、ステップS3等において、ヒストグラムのとる値の大きさに応じてランダムに発生する仮想ラインを複数本発生させ、複数本の仮想ラインのなかから、前に取得したフレーム画像を元画像としたときに得られたラインと類似性が最も高いものを指定するので、前述した効果に加えて、瞬き等といった被検者の動きに起因する影響や画像に含まれるノイズ等の影響を受けずに被検者の眼部領域を高速で抽出することができる。
【0062】
第3の方法としては、ステップS3、ステップS11、ステップS12、ステップS18あるいはステップS19、または、ステップS5、ステップS6、ステップS7、ステップS8、ステップS14あるいはステップS15において、該ヒストグラムの最大値または極大値に対応する横方向または縦方向のラインを指定する代わりに、横方向または縦方向の仮想ラインに相当するパーティクルフィルタ法による粒子i=i(t)を複数個生成させ、各粒子iについて、前に取得したフレーム画像を元画像としたときに得られた該横方向または該縦方向のラインに対応する元画像、縦方向微分第1画像、縦方向微分第2画像、縦方向微分第3画像、縦方向微分第4画像、縦方向微分第5画像、あるいは、縦方向微分第6画像の画素パターンと、仮想ラインに対応する元画像、縦方向微分第1画像、縦方向微分第2画像、縦方向微分第3画像、縦方向微分第4画像、縦方向微分第5画像、あるいは、縦方向微分第6画像の画素パターンと、をそれぞれ比較して尤度R(i)を算出し、各粒子iについて、対応するラインの取る座標をx(t)としたとき、該ヒストグラムのとる値f(x(t))と、尤度R(i)との積R(i)×f(x(t))を算出し、積R(i)×f(x(t))をもって、パーティクルフィルタ法にて発生させる次世代の粒子i=i(t+Δt)を決定すると共に、尤度R(i)または積R(i)×f(x(t))の値が最も高い粒子に対応する仮想ラインを横方向または縦方向のラインとして指定し、または、各粒子iに対応するラインがとる座標x(t)について、積R(i)×f(x(t))の値に応じて重みづけ平均をとった座標に対応するラインを横方向または縦方向のラインとして指定するというものである。
パーティクルフィルタ法は、各時刻における状態ベクトルを逐次的に推定する手法であり、独立な実現値とみなせる多数のパーティクル(=状態ベクトル)を発生させ、各パーティクルについて、次の状態を近似によって推定し(手順a)、更に次の状態として残すべきパーティクルを、そのパーティクルを確率分布に従ってリサンプリングし(手順b)、この手順aと手順bを繰り返すことで、各時刻における状態が逐次的に推定されるというものである(非特許文献2参照)。
【0063】
【非特許文献2】樋口:「解説 粒子フィルタ」(信学論,Vol.88,No.12,pp.989−994,2005)
【0064】
具体的には、ステップS3を例に取ると、第2の方法と同じように、図27において、横方向第1ヒストグラム15cの大きさに応じて粒子iを、縦方向微分第1画像15bの上端から下端の範囲で確率的に発生させる(図27では4個の粒子としているが、実際には数10から数100個の粒子を発生させることが好ましい)。粒子iは、横方向第1ヒストグラム15cの大きさに応じて確率的に発生させるので、結果として、極大値261および262の付近に集中して発生しやすくなっている。そして、各粒子iの発生させた位置x(t)に応じて仮想ライン274a〜274dを取って、各仮想ライン274a〜274dに対応する縦方向微分第1画像15bの画素パターンを取る。また、同じように、前フレーム横方向ライン263に対応する縦方向微分第1画像15bの画素パターンを取る。続いて、仮想ライン274a〜274dと、前フレーム横方向ライン263とをそれぞれ比較して、両者の画素パターンの類似性が最も高い仮想ライン274a〜274dを一つ抽出する。類似性の評価にあたっては、数1に示す尤度R(i)を用いる方法などが考えられる。
そして、各粒子iに対して、対応する尤度R(i)と、対応する横方向第1ヒストグラム15cのとる値f(x(t))との積R(i)×f(x(t))を算出し、積R(i)×f(x(t))をもって、パーティクルフィルタ法にて発生させる次世代の粒子i=i(t+Δt)を決定する。
次世代の粒子を決定するにあたっては、タイミングtにおける各粒子iについて積R(i)×f(x(t))を算出し、この積の値が高い粒子が次タイミングにおける候補に採用されやすいような方法で再発生させる。
【0065】
図28は、パーティクルフィルタ法による粒子の発生方法を示したものであり、タイミングtにて積R(i)×f(x(t))の値が大きい粒子281や積R(i)×f(x(t))の値が普通の粒子282は、それぞれ複数個または1個の粒子として残し、逆に積R(i)×f(x(t))の値が小さい粒子283は、タイミングtにて消滅・淘汰される。そうすることで、次タイミングt+Δtでは、タイミングtにおける同じ数の粒子が発生するようにする。
ここで、次タイミングt+Δtにおける粒子は、数2にて決定する。
【0066】
(数2)x(t+Δt)=x(t)+Δx×Rand
【0067】
ここで、Δxは一定の値であり、Randは−1〜1の間で発生する乱数である。
【0068】
そして、尤度R(i)または積R(i)×f(x(t))の値が最も高い粒子は、前のフレーム画像から抽出した被検者2の前フレーム横方向ライン263と最も性質が似通っているということがいえるから、その粒子に対応する仮想ラインを横方向または縦方向のラインとして指定する。
【0069】
あるいは、各粒子iに対応するラインがとる座標x(t)について、積R(i)×f(x(t))の値に応じて重みづけ平均をとった座標x(t)に対応するラインを横方向または縦方向のラインとして指定してもよい。座標x(t)の定め方としては、数3が考えられる。
【0070】
【数3】


ただし、Nは粒子の個数である。
【0071】
このように、ステップS3等において、パーティクルフィルタ法による粒子iと、その粒子に対応する仮想ラインを複数本発生させ、各粒子に対応する仮想ラインと、前に取得したフレーム画像を元画像としたときに得られたラインとの画素パターンを比較して尤度R(i)を算出し、尤度R(i)とヒストグラムのとる値f(x(t))との積R(i)×f(x(t))を算出し、この積の値の大きさに応じてパーティクルフィルタ法にて発生させる次世代の粒子i=i(t+Δt)を決定すると共に、尤度R(i)またはR(i)×f(x(t))が最も高い粒子に対応する仮想ラインを横方向または縦方向のラインとして指定し、あるいは、各粒子iに対応するラインがとる座標x(t)について、積R(i)×f(x(t))の値に応じて重みづけ平均をとった座標に対応するラインを横方向または縦方向のラインとして指定するので、前述した効果に加えて、瞬き等といった被検者の動きに起因する影響や画像に含まれるノイズ等の影響を受けずに被検者の眼部領域を高速で抽出することができる。
【実施例5】
【0072】
続いて、実施例5を図29〜図32に基づいて説明する。なお、実施例1ないし実施例4と同じ構成・機能を有するものについては、同一の符号を付し、詳細な説明は省略する。実施例5は、画像データから被検者の眼部を抽出したあとの応用として、被検者の瞼の開度を検出するための技術について説明している。
【0073】
図29は、実施例5にかかる眼部領域検出装置の構成を示す説明図である。
図29において、眼部領域検出装置10は、被検者1の顔部を撮影するビデオカメラ16と、ビデオカメラ16によって撮影された被検者1の顔部の映像を取得するビデオキャプチャ11eと、ビデオキャプチャ11eによって取得された画像を元画像データ14aとして被検者1の左眼部分および右眼部分を画像処理によって抽出する眼部領域検出プログラム13aと、右眼部分、左眼部分あるいは両眼部分を抽出した画像データをもとに被検者1の瞼の開度を測定する瞼開度検出プログラム13cを備える。
なお、眼部領域検出装置10には、被検者1に赤外領域の光を照射する赤外照明17を備え、ビデオカメラ16は赤外領域を撮影する赤外カメラとすることが好ましい。
【0074】
また、プログラム記憶領域13には、左眼部分画像データ14bと右眼部分画像データ14c等をもとにして被検者1の瞼の開度を検出する瞼開度検出プログラム13cが記録されており、画像データ記憶領域14は、瞼開度データ14dの記憶領域が確保されており、瞼開度検出プログラム13cで検出された被検者1の瞼の開度が瞼開度データ14dとして記憶される。メモリ15は、さらに、正エッジ画像15u、負エッジ画像15v、正エッジ画像ヒストグラム15w、負エッジ画像ヒストグラム15x、上瞼ライン15y、下瞼ライン15zの記憶領域が確保され、瞼の開度を推定する過程で生成される各種のデータが一時的に記憶される。これらの各データの内容については、後で説明する。
【0075】
続いて、瞼開度検出プログラム13cの処理の流れを図30のフロチャートに基づいて説明する。
瞼開度検出プログラム13cは、眼部領域検出プログラム13aによる右眼部分画像データ14cの生成が終了するたびに起動する。すなわち、瞼開度検出プログラム13cは、ビデオカメラ16のフレームレートと同じ間隔で繰り返し起動することとなる。
【0076】
瞼開度検出プログラム13dが起動すると、被検者の右眼部分、左眼部分あるいは両眼部分を抽出した画像データを取得するステップS101の処理が行われる。右眼部分画像データ14cは、図31(a)のような画像(大きさは縦140ピクセル、横200ピクセル)であり、被検者1の顔画像から抽出した右眼部分の領域を取得することになる。実施例5では、被検者1の右眼の画像を用いているが、左眼の画像(左眼部分画像データ14b)を用いても差し支えない。
【0077】
続いて、画像データの各画素について、濃度値をその上の画素(またはその下の画素)と比較して、その濃度値が増加(またはその画素値が減少)しているときはその濃度値の差の値を、その濃度値が増加(またはその画素値が減少)していないときは0の値を、それぞれ該画素の濃度値に変換した正エッジ画像として生成するステップS102の処理が行われる。具体的には、右眼部分画像データ14cの画素を上方向から微分した画像データを生成し、その画像データの画素値が負である画素については、その値を0とする変換を行えばよい。変換された画像データは、図31(b)に示すとおりであり、正エッジ画像15uとしてメモリ15に記憶させる。
【0078】
続いて、画像データの各画素について、濃度値をその上の画素(またはその下の画素)と比較して、その濃度値が減少(またはその画素値が増加)しているときはその濃度値の差の値を、その濃度値が減少(またはその画素値が増加)していないときは0の値を、それぞれ該画素の濃度値に変換した負エッジ画像として生成するステップS103の処理が行われる。具体的には、右眼部分画像データ14cの画素を上方向から微分した画像データを生成して、各画素における画素値の符号を入れ替えるとともに、その符号を入れ替えた画像データの画素値が負である画素については、その値を0とする変換を行えばよい。変換された画像データは、図31(c)に示すとおりであり、負エッジ画像15vとしてメモリ15に記憶させる。
【0079】
続いて、正エッジ画像15uおよび負エッジ画像15vの各画素について、その画素値を横方向で積算して得られるヒストグラムを、それぞれ正エッジ画像ヒストグラム15wおよび負エッジ画像ヒストグラム15xとして生成するステップS104およびステップS105の処理が行われる。正エッジ画像15uおよび負エッジ画像15vの画素値を横方向(積算方向311および積算方向313)で積算すると、そのヒストグラムは、上瞼および下瞼部分で最大値312および314を取る。生成されたヒストグラムを正エッジ画像ヒストグラム15wおよび負エッジ画像ヒストグラム15xとしてメモリ15に記憶させる。
【0080】
続いて、正エッジ画像ヒストグラムおよび負エッジ画像ヒストグラムの最大値または極大値に対応する、正エッジ画像および負エッジ画像の横方向のラインを上瞼ラインおよび下瞼ラインとして指定するステップS106およびステップS107の処理が行われる。最大値312および314に対応する横方向ラインが上瞼ライン15yおよび下瞼ライン15zに相当する。
【0081】
続いて、上瞼ライン15yと、下瞼ライン15zの位置の差から被検者1の瞼の開度を推定するステップS108の処理が行われる。被検者1の瞼の開度は、図32に示すとおり、上瞼ライン15yと、下瞼ライン15zの位置の差から求められる。この差の値を瞼開度データ14dとして、画像データ記憶領域14に記憶させる。
【0082】
このように、被検者の眼の部分の正エッジ画像および負エッジ画像を生成させ、両画像の画素値を横方向で積算したヒストグラムを生成させ、その最大値または極大値を取る横方向のラインを上瞼ライン、下瞼ラインとして、両ラインの位置関係の差から瞼の開度を推定するため、被検者を撮影した画像データから、被検者の瞼の開度を高速かつ高精度で推定することができる。
【0083】
また、眼部領域検出プログラムにより、ビデオカメラによって撮影された被検者の顔部の映像から被検者の眼部領域が高速で抽出し、瞼開度検出プログラムがその眼部領域を用いて被検者の瞼の開度を高速かつ高精度で推定することができる。
【0084】
さらに、被験者に赤外照明を照射して、その反射光を赤外カメラで撮影するので、前述した効果に加えて、外光(白熱電灯や自然光等)や設置環境の影響を受けずに被検者の瞼の開度を高速かつ高精度で推定することができる。
【0085】
ここで、正エッジ画像ヒストグラム15wや負エッジ画像ヒストグラム15xで、二つ以上の極大値が存在したときに、上瞼ライン15yや下瞼ライン15zを確実に抽出するための方法については、実施例4で示したような方法を同様に適用すればよい。
【0086】
すなわち、実施例4で説明した第1の方法と同じ方法としては、ステップS106またはステップS107において、該ヒストグラムの極大値に対応する横方向のラインが2本以上存在するときには、その直前のフレーム画像から抽出した画像データをもとにして得られた該横方向のラインと最も近い位置にあるラインを上瞼ラインまたは下瞼ラインとして指定すればよい。
【0087】
このように、ステップS106またはステップS107において、ヒストグラムが極大となるラインが2本以上存在したとしても、直前のフレーム画像をもとにして得られたラインと最も近い位置にあるラインを指定するので、前述した効果に加えて、画像に含まれるノイズ等の影響を受けずに被検者の瞼の開度を高速かつ高精度で推定することができる。
【0088】
また、実施例4で説明した第2の方法と同じ方法としては、ステップS106またはステップS107において、該ヒストグラムの最大値または極大値に対応する横方向のラインを指定する代わりに、そのヒストグラムのとる値の大きさに応じてランダムに発生する横方向の仮想ラインを複数本生成させ、前のフレーム画像から抽出した画像データをもとにして得られた該横方向のラインに対応する正エッジ画像または負エッジ画像の画素パターンと、仮想ラインに対応する正エッジ画像または負エッジ画像の画素パターンと、をそれぞれ比較し、両者の画素パターンの類似性が最も高い仮想ラインを上瞼ラインまたは下瞼ラインとして指定すればよい。
【0089】
このように、ステップS106またはステップS107において、ヒストグラムのとる値の大きさに応じてランダムに発生する仮想ラインを複数本発生させ、複数本の仮想ラインのなかから、前に取得したフレーム画像をもとにして得られたラインと類似性が最も高いものを指定するので、前述した効果に加えて、瞬き等といった被検者の動きに起因する影響や画像に含まれるノイズ等の影響を受けずに被検者の瞼の開度を高速かつ高精度で推定することができる。
【0090】
また、実施例4で説明した第3の方法と同じ方法としては、ステップS106またはステップS107において、該ヒストグラムの最大値または極大値に対応する横方向のラインを指定する代わりに、横方向の仮想ラインに相当するパーティクルフィルタ法による粒子i=i(t)を複数個生成させ、前のフレーム画像から抽出した画像データをもとにして得られた該横方向のラインに対応する正エッジ画像または負エッジ画像の画素パターンと、仮想ラインに対応する正エッジ画像または負エッジ画像の画素パターンと、をそれぞれ比較して尤度R(i)を算出し、各粒子iついて、対応するラインの取る座標をx(t)としたとき、該ヒストグラムのとる値f(x(t))と、尤度R(i)との積R(i)×f(x(t))を算出し、積R(i)×f(x(t))をもって、パーティクルフィルタ法にて発生させる次世代の粒子i=i(t+Δt)を決定すると共に、尤度R(i)または積R(i)×f(x(t))の値が最も高い粒子に対応する仮想ラインを横方向のラインとして指定し、または、各粒子iに対応するラインがとる座標x(t)について、積R(i)×f(x(t))の値に応じて重みづけ平均をとった座標に対応するラインを横方向のラインとして指定すればよい。
【0091】
このように、ステップS106またはステップS107において、パーティクルフィルタ法による粒子iと、その粒子に対応する仮想ラインを複数本発生させ、各粒子に対応する仮想ラインと、前に取得したフレーム画像をもとにして得られたラインとの画素パターンを比較して尤度R(i)を算出し、尤度R(i)とヒストグラムのとる値f(x(t))との積R(i)×f(x(t))を算出し、この積の大きさに応じてパーティクルフィルタ法にて発生させる次世代の粒子i=i(t+Δt)を決定すると共に、尤度R(i)またはR(i)×f(x(t))が最も高い粒子に対応する仮想ラインを横方向のラインとして指定し、あるいは、各粒子iに対応するラインがとる座標x(t)について、積R(i)×f(x(t))の値に応じて重みづけ平均をとった座標に対応するラインを横方向のラインとして指定するので、前述した効果に加えて、瞬き等といった被検者の動きに起因する影響や画像に含まれるノイズ等の影響を受けずに被検者の瞼の開度を高速かつ高精度で推定することができる。
【産業上の利用可能性】
【0092】
本発明は、検査者(医師や精神保健福祉士など)が被検者(患者など)に問診やカウンセリング等を行いながら、被検者の顔部の画像を撮影し、その撮影された画像データをもって、被検者の眼部を抽出することができるため、被検者のまばたき、視線方向、眼球震盪などを検出することができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0093】
【図1】実施例1にかかる眼部領域検出装置の構成を示す説明図
【図2】実施例1にかかる眼部領域検出プログラムの処理の流れを示すフロチャート
【図3】実施例1にかかる被検者の顔部を撮影した元画像データおよび縦方向微分第1画像の一例を示す説明図
【図4】実施例1にかかる縦方向微分第1画像の他の一例を示す説明図
【図5】実施例1にかかる縦方向微分第1画像と横方向第1ヒストグラムの関係を示す説明図
【図6】実施例1にかかる縦方向微分第2画像の切り出し方の一例を示す説明図
【図7】実施例1にかかる縦方向微分第2画像と縦方向第1ヒストグラムの関係を示す説明図
【図8】実施例1にかかる第1領域および第2領域の生成方法の一例を示す説明図
【図9】実施例2にかかる眼部領域検出装置の構成を示す説明図
【図10】実施例2にかかる眼部領域検出プログラムの処理の流れを示すフロチャート
【図11】実施例2にかかる図10の続きのフロチャート
【図12】実施例2にかかる被検者の顔部を撮影した元画像データおよび縦方向微分第1画像の一例を示す説明図
【図13】実施例2にかかる縦方向微分第1画像と横方向第1ヒストグラムの関係を示す説明図
【図14】実施例2にかかる縦方向微分第2画像の切り出し方の一例を示す説明図
【図15】実施例2にかかる縦方向微分第2画像と縦方向第1ヒストグラムの関係を示す説明図
【図16】実施例2にかかる縦方向微分第3画像および縦方向微分第4画像の切り出し方の一例を示す説明図
【図17】実施例2にかかる縦方向微分第3画像および縦方向微分第4画像と横方向第2ヒストグラムおよび横方向第3ヒストグラムの関係を示す説明図
【図18】実施例2にかかる第3領域および第4領域の生成方法の一例を示す説明図
【図19】実施例3にかかる眼部領域検出装置の構成を示す説明図
【図20】実施例3にかかる眼部領域検出プログラムの処理の流れを示すフロチャート
【図21】実施例3にかかる図20の続きのフロチャート
【図22】実施例3にかかる縦方向微分第1画像と縦方向第2ヒストグラムの関係を示す説明図
【図23】実施例3にかかる縦方向微分第5画像および縦方向微分第6画像の切り出し方の一例を示す説明図
【図24】実施例3にかかる縦方向微分第5画像および縦方向微分第6画像と横方向第4ヒストグラムおよび横方向第5ヒストグラムの関係を示す説明図
【図25】実施例3にかかる第5領域および第6領域の生成方法の一例を示す説明図
【図26】実施例4にかかる縦方向微分第1画像と横方向第1ヒストグラムの関係を示す説明図
【図27】実施例4にかかる粒子および仮想ラインの関係を示す説明図
【図28】実施例4にかかるパーティクルフィルタ法による粒子の発生方法を示す説明図
【図29】実施例5にかかる眼部領域検出装置の構成を示す説明図
【図30】実施例5にかかる瞼開度検出プログラムの処理の流れを示すフロチャート
【図31】実施例5にかかる被検者の正エッジ画像・負エッジ画像と正エッジ画像ヒストグラム・負エッジ画像ヒストグラムとの関係および右眼部分の一例を示す説明図
【図32】実施例5にかかる上瞼ラインと下瞼ラインの関係を示す説明図
【符号の説明】
【0094】
1 被検者
2 検査者
10 眼部領域検出装置
11 計算機
11a CPU
11b クロック
11c グラフィックカード
11d 入力端子
11e ビデオキャプチャ
11f ディスプレイ
11g キーボード
12 記憶装置
13 プログラム記憶領域
13a 眼部領域検出プログラム
13b ビデオ画像取得プログラム
13c 瞼開度検出プログラム
14 画像データ記憶領域
14a 元画像データ
14b 左眼部分画像データ
14c 右眼部分画像データ
14d 瞼開度データ
15 メモリ
15a 元画像データ
15b 縦方向微分第1画像
15c 横方向第1ヒストグラム
15d 縦方向微分第2画像
15e 縦方向第1ヒストグラム
15f 第1領域
15g 第2領域
15h 縦方向微分第3画像
15i 縦方向微分第4画像
15j 横方向第2ヒストグラム
15k 横方向第3ヒストグラム
15l 第3領域
15m 第4領域
15n 縦方向第2ヒストグラム
15o 縦方向微分第5画像
15p 縦方向微分第6画像
15q 横方向第4ヒストグラム
15r 横方向第5ヒストグラム
15s 第5領域
15t 第6領域
15u 正エッジ画像
15v 負エッジ画像
15w 正エッジ画像ヒストグラム
15x 負エッジ画像ヒストグラム
15y 上瞼ライン
15z 下瞼ライン
16 ビデオカメラ
17 赤外照明
51 積算方向
52 最大値
53 横方向ライン
71 積算方向
72、73 極大値
74、75 縦方向ライン
131 積算方向
132、133 極大値
134、135 横方向ライン
151 積算方向
152、153 極大値
154、155 縦方向ライン
171、172 積算方向
173、174 最大値
175、176 横方向ライン
221 積算方向
222、223 極大値
224、225 縦方向ライン
241、242 積算方向
243、244 最大値
245、246 横方向ライン
261、262 極大値
263 前フレーム横方向ライン
264、265 横方向ライン
274a〜274d 仮想ライン
281〜283 粒子
311、313 積算方向
312、314 最大値
(t)、x(t),…,x(t) 粒子

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検者の顔を含んだ元画像を取得して、その画素の濃度値を縦方向で微分して、その微分された画素によって構成される画像を縦方向微分第1画像として生成するステップS1と、
前記縦方向微分第1画像の各画素について、その微分値の絶対値、正値または負値を横方向で積算して得られるヒストグラムを横方向第1ヒストグラムとして生成するステップS2と、
前記横方向第1ヒストグラムの最大値または極大値に対応する、前記縦方向微分第1画像の横方向のラインを指定して、前記縦方向微分第1画像から前記横方向のラインを含んだ所定領域を切り出して、その切り出した画像を縦方向微分第2画像として取得するステップS3と、
前記縦方向微分第2画像の各画素について、その微分値の絶対値、正値または負値を縦方向で積算して得られるヒストグラムを縦方向第1ヒストグラムとして生成するステップS4と、
前記縦方向微分第2画像を左右2つの領域に分割して得られた右側の領域について、前記縦方向第1ヒストグラムの最大値または極大値に対応する、前記縦方向微分第2画像の縦方向のラインを指定して、前記縦方向微分第2画像から前記縦方向のラインを含んだ所定領域を指定して、その指定した所定領域を第1領域として生成するステップS5と、
前記縦方向微分第2画像を左右2つの領域に分割して得られた左側の領域について、前記縦方向第1ヒストグラムの最大値または極大値に対応する、前記縦方向微分第2画像の縦方向のラインを指定して、前記縦方向微分第2画像から前記縦方向のラインを含んだ所定領域を指定して、その指定した所定領域を第2領域として生成するステップS6と、
によって、前記元画像のうち、前記第1領域および前記第2領域に相当する部分を、それぞれ、前記被検者の左眼部分および右眼部分として抽出する眼部領域検出プログラム。
【請求項2】
前記ステップS1からS4までの各ステップと、
前記縦方向微分第2画像を左右2つの領域に分割して得られた右側の領域について、前記縦方向第1ヒストグラムの最大値または極大値に対応する、前記縦方向微分第2画像の縦方向のラインを指定して、前記縦方向微分第2画像から前記縦方向のラインを含んだ所定領域を切り出して、その切り出した画像を縦方向微分第3画像として取得するステップS7と、
前記縦方向微分第2画像を左右2つの領域に分割して得られた左側の領域について、前記縦方向第1ヒストグラムの最大値または極大値に対応する、前記縦方向微分第2画像の縦方向のラインを指定して、前記縦方向微分第2画像から前記縦方向のラインを含んだ所定領域を切り出して、その切り出した画像を縦方向微分第4画像として取得するステップS8と、
前記縦方向微分第3画像の各画素について、その微分値の絶対値、正値または負値を横方向で積算して得られるヒストグラムを横方向第2ヒストグラムとして生成するステップS9と、
前記縦方向微分第4画像の各画素について、その微分値の絶対値、正値または負値を横方向で積算して得られるヒストグラムを横方向第3ヒストグラムとして生成するステップS10と、
前記横方向第2ヒストグラムの最大値または極大値に対応する、前記縦方向微分第3画像の横方向のラインを指定して、前記縦方向微分第3画像から前記横方向のラインを含んだ所定領域を指定して、その指定した所定領域を第3領域として生成するステップS11と、
前記横方向第3ヒストグラムの最大値または極大値に対応する、前記縦方向微分第4画像の横方向のラインを指定して、前記縦方向微分第4画像から前記横方向のラインを含んだ所定領域を指定して、その指定した所定領域を第4領域として生成するステップS12と、
によって、前記元画像のうち、前記第3領域および前記第4領域に相当する部分を、それぞれ、前記被検者の左眼部分および右眼部分として抽出する眼部領域検出プログラム。
【請求項3】
前記ステップS1と、
前記縦方向微分第1画像の各画素について、その微分値の絶対値、正値または負値を縦方向で積算して得られるヒストグラムを縦方向第2ヒストグラムとして生成するステップS13と、
前記縦方向微分第1画像を左右2つの領域に分割して得られた右側の領域について、前記縦方向第2ヒストグラムの最大値または極大値に対応する、前記縦方向微分第1画像の縦方向のラインを指定して、前記縦方向微分第1画像から前記縦方向のラインを含んだ所定領域を切り出して、その切り出した画像を縦方向微分第5画像として取得するステップS14と、
前記縦方向微分第1画像を左右2つの領域に分割して得られた左側の領域について、前記縦方向第2ヒストグラムの最大値または極大値に対応する、前記縦方向微分第1画像の縦方向のラインを指定して、前記縦方向微分第1画像から前記縦方向のラインを含んだ所定領域を切り出して、その切り出した画像を縦方向微分第6画像として取得するステップS15と、
前記縦方向微分第5画像の各画素について、その微分値の絶対値、正値または負値を横方向で積算して得られるヒストグラムを横方向第4ヒストグラムとして生成するステップS16と、
前記縦方向微分第6画像の各画素について、その微分値の絶対値、正値または負値を横方向で積算して得られるヒストグラムを横方向第5ヒストグラムとして生成するステップS17と、
前記横方向第4ヒストグラムの最大値または極大値に対応する、前記縦方向微分第5画像の横方向のラインを指定して、前記縦方向微分第5画像から前記横方向のラインを含んだ所定領域を指定して、その指定した所定領域を第5領域として生成するステップS18と、
前記横方向第5ヒストグラムの最大値または極大値に対応する、前記縦方向微分第6画像の横方向のラインを指定して、前記縦方向微分第6画像から前記横方向のラインを含んだ所定領域を指定して、その指定した所定領域を第6領域として生成するステップS19と、
によって、前記元画像のうち、前記第5領域および前記第6領域に相当する部分を、それぞれ、前記被検者の左眼部分および右眼部分として抽出する眼部領域検出プログラム。
【請求項4】
前記ステップS3、ステップS11、ステップS12、ステップS18あるいはステップS19、または、前記ステップS5、ステップS6、ステップS7、ステップS8、ステップS14あるいはステップS15において、該ヒストグラムの極大値に対応する横方向または縦方向のラインが2本以上存在するときには、その直前のフレーム画像を前記元画像としたときに得られた該横方向または該縦方向のラインと最も近い位置にあるラインを指定することを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の眼部領域検出プログラム。
【請求項5】
前記ステップS3、ステップS11、ステップS12、ステップS18あるいはステップS19、または、前記ステップS5、ステップS6、ステップS7、ステップS8、ステップS14あるいはステップS15において、該ヒストグラムの最大値または極大値に対応する横方向または縦方向のラインを指定する代わりに、そのヒストグラムのとる値の大きさに応じてランダムに発生する横方向または縦方向の仮想ラインを複数本生成させ、前に取得したフレーム画像を前記元画像としたときに得られた該横方向または該縦方向のラインに対応する前記元画像、前記縦方向微分第1画像、前記縦方向微分第2画像、前記縦方向微分第3画像、前記縦方向微分第4画像、前記縦方向微分第5画像、あるいは、前記縦方向微分第6画像の画素パターンと、前記仮想ラインに対応する前記元画像、前記縦方向微分第1画像、前記縦方向微分第2画像、前記縦方向微分第3画像、前記縦方向微分第4画像、前記縦方向微分第5画像、あるいは、前記縦方向微分第6画像の画素パターンと、をそれぞれ比較し、両者の画素パターンの類似性が最も高い前記仮想ラインを横方向または縦方向のラインとして指定することを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の眼部領域検出プログラム。
【請求項6】
前記ステップS3、ステップS11、ステップS12、ステップS18あるいはステップS19、または、前記ステップS5、ステップS6、ステップS7、ステップS8、ステップS14あるいはステップS15において、該ヒストグラムの最大値または極大値に対応する横方向または縦方向のラインを指定する代わりに、横方向または縦方向の仮想ラインに相当するパーティクルフィルタ法による粒子i=i(t)を複数個生成させ、前記各粒子iについて、前に取得したフレーム画像を元画像としたときに得られた該横方向または該縦方向のラインに対応する前記元画像、前記縦方向微分第1画像、前記縦方向微分第2画像、前記縦方向微分第3画像、前記縦方向微分第4画像、前記縦方向微分第5画像、あるいは、前記縦方向微分第6画像の画素パターンと、
前記仮想ラインに対応する前記元画像、前記縦方向微分第1画像、前記縦方向微分第2画像、前記縦方向微分第3画像、前記縦方向微分第4画像、前記縦方向微分第5画像、あるいは、前記縦方向微分第6画像の画素パターンと、をそれぞれ比較して尤度R(i)を算出し、前記各粒子iについて、対応するラインの取る座標をx(t)としたとき、該ヒストグラムのとる値f(x(t))と、前記尤度R(i)との積R(i)×f(x(t))を算出し、前記積R(i)×f(x(t))をもって、前記パーティクルフィルタ法にて発生させる次世代の粒子i=i(t+Δt)を決定すると共に、前記尤度R(i)または前記積R(i)×f(x(t))の値が最も高い粒子に対応する前記仮想ラインを横方向または縦方向のラインとして指定し、または、各粒子iに対応するラインがとる座標x(t)について、前記積R(i)×f(x(t))の値に応じて重みづけ平均をとった座標に対応するラインを横方向または縦方向のラインとして指定することを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の眼部領域検出プログラム。
【請求項7】
被検者の顔を含んだ元画像を取得して、その画素の濃度値を縦方向から微分して、その微分された画素によって構成される画像を縦方向微分第1画像として生成する手順S1と、
前記縦方向微分第1画像の各画素について、その微分値の絶対値、正値または負値を横方向で積算して得られるヒストグラムを横方向第1ヒストグラムとして生成する手順S2と、
前記横方向第1ヒストグラムの最大値または極大値に対応する、前記縦方向微分第1画像の横方向のラインを指定して、前記縦方向微分第1画像から前記横方向のラインを含んだ所定領域を切り出して、その切り出した画像を縦方向微分第2画像として取得する手順S3と、
前記縦方向微分第2画像の各画素について、その微分値の絶対値、正値または負値を縦方向で積算して得られるヒストグラムを縦方向第1ヒストグラムとして生成する手順S4と、
前記縦方向微分第2画像を左右2つの領域に分割して得られた右側の領域について、前記縦方向第1ヒストグラムの最大値または極大値に対応する、前記縦方向微分第2画像の縦方向のラインを指定して、前記縦方向微分第2画像から前記縦方向のラインを含んだ所定領域を指定して、その指定した所定領域を第1領域として生成する手順S5と、
前記縦方向微分第2画像を左右2つの領域に分割して得られた左側の領域について、前記縦方向第1ヒストグラムの最大値または極大値に対応する、前記縦方向微分第2画像の縦方向のラインを指定して、前記縦方向微分第2画像から前記縦方向のラインを含んだ所定領域を指定して、その指定した所定領域を第2領域として生成する手順S6と、
によって、前記元画像のうち、前記第1領域および前記第2領域に相当する部分を、それぞれ、前記被検者の左眼部分および右眼部分として抽出する眼部領域検出方法。
【請求項8】
前記手順S1からS4までの各手順と、
前記縦方向微分第2画像を左右2つの領域に分割して得られた右側の領域について、前記縦方向第1ヒストグラムの最大値または極大値に対応する、前記縦方向微分第2画像の縦方向のラインを指定して、前記縦方向微分第2画像から前記縦方向のラインを含んだ所定領域を切り出して、その切り出した画像を縦方向微分第3画像として取得する手順S7と、
前記縦方向微分第2画像を左右2つの領域に分割して得られた左側の領域について、前記縦方向第1ヒストグラムの最大値または極大値に対応する、前記縦方向微分第2画像の縦方向のラインを指定して、前記縦方向微分第2画像から前記縦方向のラインを含んだ所定領域を切り出して、その切り出した画像を縦方向微分第4画像として取得する手順S8と、
前記縦方向微分第3画像の各画素について、その微分値の絶対値、正値または負値を横方向で積算して得られるヒストグラムを横方向第2ヒストグラムとして生成する手順S9と、
前記縦方向微分第4画像の各画素について、その微分値の絶対値、正値または負値を横方向で積算して得られるヒストグラムを横方向第3ヒストグラムとして生成する手順S10と、
前記横方向第2ヒストグラムの最大値または極大値に対応する、前記縦方向微分第3画像の横方向のラインを指定して、前記縦方向微分第3画像から前記横方向のラインを含んだ所定領域を指定して、その指定した所定領域を第3領域として生成する手順S11と、
前記横方向第3ヒストグラムの最大値または極大値に対応する、前記縦方向微分第4画像の横方向のラインを指定して、前記縦方向微分第4画像から前記横方向のラインを含んだ所定領域を指定して、その指定した所定領域を第4領域として生成する手順S12と、
によって、前記元画像のうち、前記第3領域および前記第4領域に相当する部分を、それぞれ、前記被検者の左眼部分および右眼部分として抽出する眼部領域検出方法。
【請求項9】
前記手順S1と、
前記縦方向微分第1画像の各画素について、その微分値の絶対値、正値または負値を縦方向で積算して得られるヒストグラムを縦方向第2ヒストグラムとして生成する手順S13と、
前記縦方向微分第1画像を左右2つの領域に分割して得られた右側の領域について、前記縦方向第2ヒストグラムの最大値または極大値に対応する、前記縦方向微分第1画像の縦方向のラインを指定して、前記縦方向微分第1画像から前記縦方向のラインを含んだ所定領域を切り出して、その切り出した画像を縦方向微分第5画像として取得する手順S14と、
前記縦方向微分第1画像を左右2つの領域に分割して得られた左側の領域について、前記縦方向第2ヒストグラムの最大値または極大値に対応する、前記縦方向微分第1画像の縦方向のラインを指定して、前記縦方向微分第1画像から前記縦方向のラインを含んだ所定領域を切り出して、その切り出した画像を縦方向微分第6画像として取得する手順S15と、
前記縦方向微分第5画像の各画素について、その微分値の絶対値、正値または負値を横方向で積算して得られるヒストグラムを横方向第4ヒストグラムとして生成する手順S16と、
前記縦方向微分第6画像の各画素について、その微分値の絶対値、正値または負値を横方向で積算して得られるヒストグラムを横方向第5ヒストグラムとして生成する手順S17と、
前記横方向第4ヒストグラムの最大値または極大値に対応する、前記縦方向微分第5画像の横方向のラインを指定して、前記縦方向微分第5画像から前記横方向のラインを含んだ所定領域を指定して、その指定した所定領域を第5領域として生成する手順S18と、
前記横方向第5ヒストグラムの最大値または極大値に対応する、前記縦方向微分第6画像の横方向のラインを指定して、前記縦方向微分第6画像から前記横方向のラインを含んだ所定領域を指定して、その指定した所定領域を第6領域として生成する手順S19と、
によって、前記元画像のうち、前記第5領域および前記第6領域に相当する部分を、それぞれ、前記被検者の左眼部分および右眼部分として抽出する眼部領域検出方法。
【請求項10】
被検者の顔部を撮影するビデオカメラと、前記ビデオカメラによって撮影された被検者の顔部の映像を取得するビデオキャプチャと、前記ビデオキャプチャによって取得された画像を元画像として前記被検者の左眼部分および右眼部分を抽出する請求項1ないし請求項6のいずれかに記載する眼部領域検出プログラムと、を備えた眼部領域検出装置。
【請求項11】
さらに、前記被検者に赤外領域の光を照射する赤外照明を備え、前記ビデオカメラは前記赤外領域の像を撮影する赤外カメラであることを特徴とする請求項10に記載の眼部領域検出装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【公開番号】特開2010−55262(P2010−55262A)
【公開日】平成22年3月11日(2010.3.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−218038(P2008−218038)
【出願日】平成20年8月27日(2008.8.27)
【出願人】(399076312)安川情報システム株式会社 (77)
【Fターム(参考)】