着氷防止用の被覆及び方法
【課題】環境に有害な影響を与えずに、長期間にわたって舗装表面への雪又は氷の付着を抑制または防止する方法、および着氷防止組成物を提供する。
【解決手段】舗装表面に接着剤を付与した後、乾燥した骨材を該接着剤上に散布して舗装表面に骨材−接着剤層を形成する。該骨材−接着剤上に着氷防止剤を付与することにより着氷防止コーティングを形成する。
【解決手段】舗装表面に接着剤を付与した後、乾燥した骨材を該接着剤上に散布して舗装表面に骨材−接着剤層を形成する。該骨材−接着剤上に着氷防止剤を付与することにより着氷防止コーティングを形成する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
硬く圧縮された雪や氷を舗装道路から取り除くために凝固点降下剤を使用することは、数十年の間、ハイウェイ保全作業員によって日常的に行われてきた。市場に新たに導入された凝固点降下剤又は化学物質は、それぞれ独特な一連の特性をもつ。ある降下剤は他のものより希薄であり、他のものはより濃厚である。あるものは不快臭をもち、あるものは温かい温度でしか作用しない。
【背景技術】
【0002】
道路保全作業員が用いた最初の化学物質のひとつは、塩化ナトリウム(NaCl)、より一般的には道路用塩(road salt)として知られるものであった。最初はこの化学物質は固体として適用され、雪、氷又は水の存在下で速やかに溶解した。一般に道路用塩のような化学物質は、落下する雪を融かし、舗装道路に付着するのを制限するために、ストームの最中に温度が20°F以上のとき適用されている。表面に付着した雪や氷を取り除くために、ストームの後にも化学物質は適用される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
雪や氷を取り除くための新たな方法が絶えず追求されている。より具体的には、環境に有害な影響を与えない除雪及び除氷方法、並びに化学物質の必要量を減らす方法が最も求められている。
【課題を解決するための手段】
【0004】
1態様において本発明は、雪又は氷と支持体の付着を抑制又は防止する方法を提供する。本発明方法は、接着剤を支持体に付与し、骨材を接着剤上に散布して骨材−接着剤を形成し、そして着氷防止剤を骨材−接着剤上に付与することを含む。
【0005】
他の態様において本発明は、着氷防止用組成物を提供する。本発明組成物は、接着剤及び骨材を含有する。骨材の少なくとも一部分は接着剤に内包され、且つ骨材の少なくとも一部分は接着剤に内包されず、また骨材は多数の細孔をもつ。本発明組成物は、いずれかの細孔を少なくとも部分的に充填した着氷防止剤をも含有する。
【0006】
他の態様において本発明は、他の着氷防止用組成物を提供する。本発明組成物は、細孔を有する石灰石を少なくとも部分的に内包している接着剤、及び石灰石のいずれかの細孔を少なくとも部分的に充填している着氷防止剤を含む。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】本発明の1態様を適用した道路の融解領域の透視図である。
【図2】霜生長チャンバーの透視図である。
【図3】水分発生装置の透視図である。
【図4】被験試料上における霜の生長の透視図である。
【図5】結合強度測定装置の透視図である。
【図6】負荷ブロックと骨材試料を表わす図である。
【図7】測定装置に取り付けた試料の透視図である。
【図8】クォリータイル骨材(TS−A)とそれに付与した酢酸マグネシウムカルシウム(CMA)の結合強度の低下を示すグラフである。
【図9】クォリータイル骨材(TS−A)とそれに付与した酢酸カリウム(KA)の結合強度の低下を示すグラフである。
【図10】クォリータイル骨材(TS−A)とそれに付与したプロピレングリコール(PGU)の結合強度の低下を示すグラフである。
【図11】クォリータイル骨材(TS−A)とそれに付与した塩化ナトリウム(NaCl)の結合強度の低下を示すグラフである。
【図12】Levy Co.のSlag骨材(TS−B)とそれに付与した酢酸マグネシウムカルシウム(CMA)の結合強度の低下を示すグラフである。
【図13】Levy Co.のSlag骨材(TS−B)とそれに付与したプロピレングリコール(PGU)の結合強度の低下を示すグラフである。
【図14】Levy Co.のSlag骨材(TS−B)とそれに付与した塩化ナトリウム(NaCl)の結合強度の低下を示すグラフである。
【図15】London Co.の石灰石骨材(TS−C)とそれに付与した酢酸マグネシウムカルシウム(CMA)の結合強度の低下を示すグラフである。
【図16】London Co.の石灰石骨材(TS−C)とそれに付与した酢酸カリウム(KA)の結合強度の低下を示すグラフである。
【図17】London Co.の石灰石骨材(TS−C)とそれに付与したプロピレングリコール(PGU)の結合強度の低下を示すグラフである。
【図18】London Co.の石灰石骨材(TS−C)とそれに付与した塩化ナトリウム(NaCl)の結合強度の低下を示すグラフである。
【図19】Turunen Inc.の石灰石骨材(TS−D)とそれに付与した酢酸マグネシウムカルシウム(CMA)の結合強度の低下を示すグラフである。
【図20】Turunen Inc.の石灰石骨材(TS−D)とそれに付与した酢酸カリウム(KA)の結合強度の低下を示すグラフである。
【図21】Turunen Inc.の石灰石骨材(TS−D)とそれに付与したプロピレングリコール(PGU)の結合強度の低下を示すグラフである。
【図22】Turunen Inc.の石灰石骨材(TS−D)とそれに付与した塩化ナトリウム(NaCl)の結合強度の低下を示すグラフである。
【図23】Corps of Eng.の石灰石(TS−E)とそれに付与した酢酸マグネシウムカルシウム(CMA)の結合強度の低下を示すグラフである。
【図24】Corps of Eng.の石灰石(TS−E)とそれに付与した酢酸カリウム(KA)の結合強度の低下を示すグラフである。
【図25】Corps of Eng.の石灰石(TS−E)とそれに付与したプロピレングリコール(PGU)の結合強度の低下を示すグラフである。
【図26】Corps of Eng.の石灰石(TS−E)とそれに付与したプロピレングリコール(PGU)の結合強度の低下を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明の一態様を詳細に説明する前に、本発明が以下の記載又は図面に示した詳細な構造物への適用及び成分の配合に限定されないことを理解すべきである。本発明は他の態様であってもよく、多様な様式で実施又は施工できる。本明細書中で用いる表現法及び命名法は説明のためのものであって、限定とみなすべきではない。本明細書中で用いる「含む」及びその変形は、その後に挙げるもの及びその均等物並びに付加事項を包含するものとする。本明細書中で用いる「からなる」は、その後に挙げるもののみを包含するものとする。方法又はプロセスの要素を示すために用いる字句は説明のためのものであって、それらの要素を特定の順序で実施しなければならないことを指示するためのものではない。
【0009】
この数十年で、環境に対する懸念から、雪や氷の除去及び防止に用いる化学物質の量を減らすための新規化学物質及び方法の探索が指示されてきた。化学物質の体積を減ら
すための1方法は、ストーム後に表面から除去しなければならない硬く圧縮された雪の量を制限するものである。本発明は、雪や氷が舗装道路に付着するのを減らす新規な舗装氷結防止方法を含む。この概念は「着氷防止」として知られている。
【0010】
最も簡単な形態の着氷防止方法は、舗装表面への付着を制限するために、予想されるストームの前に化学物質を付与することを含む。凝結物の量が少ないストームの場合、化学物質は凍結した凝結物が表面に当たるのに伴ってすべて溶かすことができる。一般に道路への雪や氷の付着を抑制及び防止するのに必要な化学物質の量は、既に道路に付着した雪や氷を溶かすのに必要な量より少ない。より激しいストームの場合、化学物質は付着を最小限に抑え、機械的除去を容易にする。凍結降雨事象や降霜事象が予想される場合、ストームの前に付与した化学物質は舗装道路が氷のために滑りやすくなるのを防止する顕著な効果をもつ。
【0011】
着氷防止方法の好ましい態様においては、氷や雪で覆われる可能性のある道路、橋梁、滑走路、タールマック(tarmac)、及び車両が走行する可能性のある表面上の舗装に接着剤を付与する。接着剤は、舗装をシールすることにより、水及び塩が道路の亀裂又は空隙を通して漏れるのを防ぐ作用をする。接着剤は、滑らかで滑りやすいオーバーレイ被覆をも提供する。接着剤を付与する他の目的は、離層、窪み及び亀裂を修復することである。さらに、残留する汚染物質を除去するために舗装をショットブラスチングすることにより、又は油を含まない圧縮空気を用いて残留する粉塵や屑を吹き飛ばすことにより、表面を清浄してもよい。接着剤はノッチ付きスキージーを予め特定した速度で用いて付与することができる。さらに、ブラシ又は吹付機により接着剤を付与してもよい。一般的な接着剤付与方法をいずれも使用できる。多様な接着剤が本発明に使用するのに適する。最も好ましいタイプの接着剤は、エポキシ樹脂、スチレン樹脂、メタクリル酸メチル樹脂、及びタールを含む。エポキシ樹脂の一例は下記のものであるが、この特定のエポキシが使用できるタイプのエポキシ樹脂の限定とみなすべきではない。ただし、接着剤が後記に述べる骨材の空隙や細孔を充填又は遮断して化学物質が満たす空間が無い状態にならないことが重要である。一般に支持体上の接着剤の厚さは約1/8”である。
【0012】
好ましいエポキシ樹脂の一例は、PRO−POXY TYPE III D.O.T.である。これは、Unitex(ミズーリ州カンザスシティー)が販売する無溶剤、非感湿性、固形分100%、低モジュラス、2成分接着剤である。PRO−POXY TYPE III D.O.T.は、ASTM−C−881、タイプIII、グレード1、クラスB&Cに適合する。この樹脂の特性を以下に示す。
【0013】
【表1】
【0014】
好ましい態様においては、次いで骨材を接着剤上に散布する。本発明において用いる用語「散布」(“broadcast”)は、乾燥骨材を湿潤エポキシ樹脂に撒き散らし(sprinkling)、落下(dropping)、及び吹付け(spraying)することを表わすものとする。骨材は、角張った粒状の珪砂、玄武岩(水分0.2%未満)、フリント、破砕した石灰石又はドロマイト、フリーダート(free dirt)、クレーなどであってよい。珪砂又は玄武岩は、別途指示しない限り、最小モーススケール硬度7をもつものであってよい。一般に骨材は約1/8〜1/4インチであるが、1/16〜1/2インチの大きさの骨材を使用できる。骨材又は支持体の厚さは一般に約1/4〜3/4インチである。骨材を接着剤で表面に接着した後、骨材を粉砕してもよい。たとえば骨材を約1/4〜約3/8インチに粉砕できる。より具体的には、接着剤が硬化した後、突出した表面部分を表面グラインダーで切り取ることができる。得られた表面は、より粗いけれどもまるで薄く着色した舗装のように見える。この処理により表面は、良好な表面摩擦抵抗を維持するのに十分なテキスチャーをもつ中実石灰石又はドロマイトスラブにきわめて近い外観を示す。
【0015】
全体としては、最も好ましいタイプの骨材は石灰石又はドロマイトである。本発明に関して用いられる石灰石又はドロマイトのタイプは、地域的にみた入手しやすさにより支配される。石灰石及びドロマイトの若干例は、Michigan Department of Transportation(MDOT)の承認済み材料源から選択される3種類の骨材を含む。たとえばMDOT Pit#92−11(ドロマイト性石灰石)、London Aggregates Co.、及びMDOT Pit#58−10(空冷式溶鉱炉スラグ)、E.C.Levy Co.をすべて本発明に関して使用できる。これらの石灰石はそれぞれ高い吸収力を示す。他の例は、ミシガン州ペルキーのTurunen,Inc.が操業している採石場から得られる石灰石、及び由来は分からないがミシガン州ハンコックのハンコック・カナルにあるCorps of Enginee
rsのアーマーストーンパイル(armor stone pile)から得られる他のものを含む。
【0016】
まず接着剤上に骨材を付与して硬化させた後、過剰の骨材を表面から取り除いてもよい。次いで直ちに2回目の接着剤と骨材をその部分の道路又は橋梁に付与し、再び過剰の骨材を表面から取り除き、2回目を自然硬化させることができる。一般に接着剤の各層は約1/4インチの厚さであるが、1/8インチという薄いもの、及び3/4インチという厚いものであってもよい。2回目の接着剤と骨材の付与は必ずしも必要ではない。骨材を支持体の表面に固定するために、一般に骨材の少なくとも一部分を接着剤に内包させる。骨材の少なくとも一部分は接着剤に内包されなくてもよい。すなわち、それは周囲環境に暴露され、したがって骨材の細孔は少なくとも部分的に着氷防止剤で充填される可能性がある。
【0017】
骨材と接着剤が硬化すると、着氷防止剤、又は着氷防止剤の組み合わせを、この骨材−接着剤に付与する。一般に、この付与は防止剤を骨材−接着剤上に吹き付けることにより行われるが、ブラシ塗布その他の既知の付与方法も使用できる。すなわち、化学物質を長い道路や橋梁に付与できるいかなる方法も採用できる。好ましくは着氷防止剤を液状で付与するが、固体、粉末及び気体状の着氷防止剤も使用できる。凝固点降下剤として作用する、すなわち氷や雪の凝固点を低下させる、いかなる着氷防止剤も本発明に使用できる。好ましい着氷防止剤は、酢酸マグネシウムカルシウム、酢酸カリウム、酢酸ナトリウム、塩化ナトリウム、ギ酸ナトリウム、塩化マグネシウム、プロピレングリコール、尿素付加プロピレングリコール、尿素付加エチレングリコール、及び炭酸カリウムを含む。
【0018】
ある凝固点降下剤は、前記の骨材と組み合わせて用いた場合に残留効果を示す傾向がある。すなわちそれらの着氷防止剤はストームの間中、雪/氷と舗装の付着を防止し、その後、次のストームに際しても同様に機能するので、残留効果が示される。残留効果は長期間機能しうる化学物質の特徴であって、1回のストーム事象に際して機能し、なおかつ舗装上に残存してその後のストームに際して機能する効力を維持する。
【0019】
簡単に言えば、残留効果は、化学物質を再付与する必要なしに本発明が繰り返し機能しうることを意味する。化学物質と骨材の特定の組み合わせが、舗装表面における残留効果を大幅に高める効力をもつ。ある種の化学物質は他より良好な残留効果の傾向を示す。図1は、舗装試験セクションの化学物質の残留効果を示す。場合により、化学物質はストームや融解水による洗い流し及び路面タイヤによる掻き混ぜ作用に耐えることができる。これは残留効果の向上に寄与することができる。
【0020】
石灰石を骨材として用いるとスポンジ様の舗装を形成する傾向があり、これに着氷防止剤を付与できる。本発明を理論によって限定すべきではないが、石灰石の多孔性及び吸収能が残留効果をある程度もたらすと考えられる。いずれにしろ、石灰石骨材と着氷防止剤の組み合わせは残留効果を大幅に高めると思われる。すなわち石灰石がもつある特性により着氷防止剤は石灰石中へ吸収されるが、ただし石灰石の表面から遠すぎない程度にである。その結果、ストームや事象毎に新たな化学物質を石灰石に付与する必要がない。実際に、石灰石骨材と着氷防止剤の組み合わせは、ストームが繰り返し起きても効果を維持する。舗装上の骨材/接着剤/化学物質の表面を、たとえば強力な水流で洗浄することにより、残留効果がさらに向上することも見いだされた。すなわち、表面がストームに暴露された後、この洗浄は表面を「再充電」するようである。残留効果により、ストーム後に毎回着氷防止剤を再付与する必要のない半永続的な着氷防止方法が得られる。毎回ではなく、たとえば冬季前の10月に化学物質を吹き付けると、ストームの季節が終わるまで、又はその後まで、再付与する必要がない。
【0021】
着氷防止剤は、付与したい表面又はその付近に留まる傾向がある。その結果、これらの化学物質は環境に対する害が(たとえあったとしても)少ない。さらにこれらの化学物質は、塩化ナトリウムペレットを道路に落下させる場合のように路肩や排水口で無駄になることがない。不安定な流れにかけられた橋の場合、化学物質が不安定な流れに流入することはほとんどない。オーバーレイのスポンジ様作用が化学物質を適所に保持し、通過する車両の通行、航空機ジェット爆風又はプロペラ掃引により吹き飛ばされるのを防ぐ。
【0022】
本発明のオーバーレイは付与された状態では粗面であり、粒子の粗さが濡れを軽減するので、表面が濡れているかを考慮する必要はない。飛行場の舗装表面が濡れているように見えることにより飛行場への進入に際して起きる失速や渋滞が、本発明のオーバーレイにより除かれる。さらに本発明の着氷防止用オーバーレイ系は、ポルトランドセメント舗装又はアスファルトセメント舗装より粗く、全摩擦値が高い。この粗面性により、ゴムタイヤのけん引、舵取り、及びブレーキ操作がより安全になる。本発明の着氷防止用オーバーレイ系は、水や化学物質が舗装に浸潤して強化用の鋼に達して腐食損傷を引き起こすのも防ぐ。これによりコンクリート舗装、すなわち橋梁、道路及び滑走路の寿命が延長される。
【0023】
液状の化学物質を1回付与するだけで、霜や凍結降雨などの事象に際して本発明のオーバーレイ上における有効性が長期間(たとえば数カ月間も)維持される。オーバーレイを既存の舗装の表面に付与すると、改修が必要となるまで5年以上持続するであろう。化学物質は、必要なときいつでも再付与できる。全体として、雪や氷と自動車その他の車両が走行する物体との結合及び結合強度が低下することにより、事故の起きるきっかけが減る。
【実施例】
【0024】
実施例
実施例1
霜の生長及び氷の付着の減少
着氷防止及び残留効果を試験するために、「霜の生長」及び「氷の付着の減少」を実施した。これらの試験法は下記のとおりである。
【0025】
霜試験と付着試験の両方の標本において、試料に接触する油その他の化学物質が導入されるのを避けるために、水潤滑式のこで骨材試料を切り取った。カットオフの大きなのこを最初の切断に用い、仕上げ切断にはより小さなタイルのこを用いた。
【0026】
舗装表面の水及びタイヤの作用をシミュレートする方法も考案し、これにより前記の組み合わせがストーム事象にいかに良好に反応するかを判定し、かつ将来のストームに際して作動し続ける効力を判定した。負荷シミュレーションが完了した後、骨材を室温で自然融解させた。骨材の表面から氷がすべて融解すると、飽和したスポンジを用いてそれらを拭って清浄にした。スポンジを骨材表面に5回通過させた。この操作は、道路の表面が交通や1回のストーム事象で洗われるのをシミュレートするためのものであった。この操作が完了した後、ブロック上に水分の徴候が見えなくなるまで骨材を室温で風乾した。
【0027】
霜の生長
化学物質/骨材の組み合わせが舗装表面における霜の形成をいかに良好に減少させるかを判定するために、霜を生長させる現象をシミュレートした。霜は、比較的暖かい湿った大量の空気が低温の舗装部分上を通過するとき舗装上に形成される。凍結していない水蒸気を含有するためには、大量の空気は適度に暖かくなければならない。舗装は、この液状水蒸気を凝固及び凍結させるのに十分なほど低温でなければならない。最も一般的な2つの低温舗装状況は、下から空気で冷却される船橋楼甲板(bridge deck)、及び基礎材料が空気よりはるかに低温であるため上の空気が暖かくても低温のままとなる舗装である。
【0028】
霜の生長現象をシミュレートするために、霜生長チャンバー又は制御ボックスを設計し、KRC(Keweenaw Research Center)低温実験室内に建設した(図2に示す)。このボックスはほぼ4フィートの長さ、2フィートの幅、2フィートの高さである。ボックスの底以外の内側を断熱する。底は厚さ1/2インチのアルミニウム板を含む。電球と調光スイッチの構成を用いてボックスの内部を加熱し、ボックスの外部と内部の間に温度勾配を形成する。この構成で低温室を20°Fに設定し、ボックスの内部をたとえば34°Fに維持することができる。ボックスの断熱壁は内部の気温を一定に維持するのに有効であり、同時に底のアルミニウム板は熱伝導率が高いためその表面を内部の空気よりはるかに低く維持する作用をする。試験ボックスの外部から内部へこのような温度差がある状態で、薄い舗装(又は骨材)試料をボックス内のアルミニウムに乗せると、舗装の表面温度は気温より十分に低くなる。ボックスには、観察用のガラスドア及び各種温度測定用の内部熱電対をも設置する。
【0029】
低温の舗装上における「温暖な」空気をシミュレートする方法が完成すると、湿った空気を試料上に導いた。最も著しい霜の生長は湿った暖かい大量の空気がきわめて低速で(ほとんど静止状態)低温の支持体上を流れるときに起きることが知られているので、これがこの構成部分の出発点であった。試験ボックス内で霜を形成するために幾つかの異なる方法を試験した。最終構成は、外側のオフィスから壁を通して低温室内へ配管した2インチPVCパイプのネットワークであった。図3は、水分発生装置又はエアシステムを示す。パイプを壁からフロストボックスの一端に挿入し、第2のパイプがボックスの他端から出て再び低温室の壁を通る。図2にこれらのパイプを示す。低温室の外側(オフィス内)に大型断熱冷却器があり、この中へPVCパイプの1本を配管する。このボックス内に取り付けた可変出力ファンを用いて、空気をパイプへ導入できる。排気は他方のパイプを通ってオフィスへ戻る。このボックス内に加熱水溜めも配置され、これを用いてシステム内を流れる水分の量を増加させることができる。
【0030】
低温室の温度を目的値に設定し、かつ試料の底から凍結するようにフロストボックス内の温度を設定することにより、霜生長試験を実施した。被験試料をボックスに入れて、調整した水分状況に放置する。一定期間後、霜の生長について試料を視覚評価する。一般に霜は、ある程度形成されればかなり明瞭である。霜の存在を定量する試みを行ったが、霜は消えやすいため測定できていない。図4は、ボックス内にある2枚のタイル試料を示す。それぞれのタイルは表面の半分に化学物質が付与されている。この場合、化学物質は後側にある。各タイルは前側の半分(化学物質がない)が霜で覆われ、後側(化学物質を付与)には霜がない。
【0031】
結合の生長
図5は、結合強度測定装置を示す。低温実験室内での剪断試験により、舗装界面における結合強度低下の評価を行った。負荷セル及び距離/速度測定センサーを備えた水平負荷シリンダーを含む装置をKRC実験室に設置した。この装置を、試験期間中の負荷及び変位を収集して記憶するコンピューターデータ取得システムに接続した。これらの試験に用いた負荷セルは最大範囲400ポンドをもち、約+/−0.2ポンドの精度で測定する。距離測定装置は約+/−0.0075インチまで測定する。毎秒.0015インチの速度で試験を実施した。試料をこの装置に取り付け、生じた結合強度を測定できる。
【0032】
雪の粒子の代わりに氷を用いた。両者は高密度では本質的に同一だからである。再現性のある結果を実験室内で得るために、下記の最終試料構成で多数の異なる状況を試験した。
【0033】
たとえば、ほぼ1/2インチの厚さ及び2インチ×2インチの平面をもつ骨材試料を
作成した。これらの石製クーポンよりわずかに大きく、一方の面の周囲に囲い枠を付けた、木製負荷ブロックを作成した。これらの囲い枠は約1/8インチの高さである。ブロックを水平面上に設置し、囲い枠に水を満たして凍結させることができる。その結果、厚さ1/8インチの氷の層が木製ブロックの一方の面に形成される。
【0034】
図6は負荷ブロック系の図、図7は試験のために取り付けた試料を示す。水とブロックを25°Fの低温室に2時間、又は水が完全に凍結するまで、放置する。完全に氷が形成されると、別個の容器内で水を沸騰させ、アルミニウム板を沸騰水に入れる。次いで、氷試料がある低温室に、水、アルミニウム板、及び骨材試料を入れる。熱アルミニウム板を氷ブロック上に約15秒間、又は水の層が形成されるまで、乗せておく。水の層が形成されると、まだほぼ室温(70°F)の骨材を、次いでこの水/氷試料に乗せる(試料の温度が凍結点より高い状態でブロックを試料に乗せることにより、氷と骨材の結合を助ける)。次いでこの新たな組み合わせを低温室に約30〜45分間、又は水が完全に凍結するまで、放置する。水が完全に凍結した時点で、骨材の周囲に表面の平面を越えて形成された過剰の氷があれば、高温のはんだごてで溶かし去る。次いで、データロガーに接続した負荷シミュレーター内に試料を取り付ける。水平引張りを行える状態で、負荷ブロック及び骨材試料を装置内に固定する。負荷セルにより毎秒約250ポンドの速度で試料に負荷をかけ、データロガーにより記録する。次いで試験データをデータロガーからスプレッドシートへダウンロードし、ここで数値を操作して読み出し可能な出力を得る。これらの試験につき、標準負荷をゼロとする。
【0035】
結果
これらの骨材は、Michigan Department of Transportation(MDOT)の承認済み材料源リストからのものを用いた。2種類の試料をMDOT Pit#92−11(ドロマイト性石灰石)、London Aggregates Co.、及びMDOT Pit#58−10(空冷式溶鉱炉スラグ)、E.C.Levy Co.から得た。これらはそれぞれ高い吸収力を示す。他の2種類の試料をKRCにより得た。これらは両者とも石灰石であり、一方はミシガン州ペルキーのTurunen,Inc.が操業している採石場から得たもの、他方は由来は分からないがミシガン州ハンコックのハンコック・カナルにあるCorps of Engineersのアーマーストーンパイルから得られた。
【0036】
第5の試料タイプを吸収力がきわめて低い試験片として用いた。これは地方の床材業者から得た天然のクォリータイル(quarry tile)である。これらのタイルを、KRCにおける他の化学物質試験に用いる。それらはわずかに粗面で、きわめて均質である。それらは、コンクリート舗装表面のミクロ表面粗面度をシミュレートする数年間の試験を経て選択された。
【0037】
これら5種類すべての被験試料について吸収力を測定し、表2に示す。数値は骨材全重量に対する%として示され、24時間の浸漬期間を用いて測定された。この表には、この報告の残りの部分全体で使用するために各試料に与えた試験名も示す。
【0038】
【表2】
【0039】
化学物質
これらの試験に用いるために4種類の化学物質を選択した。この試験には液体を選択したが、本発明に関しては他の物理的状態の化学物質も使用できる。液体化学物質は骨材試料の表面に最も均一に付与できる。この例に用いるために選択した4種類の化学物質は、酢酸マグネシウムカルシウム(CMA)、酢酸カリウム(KA)、尿素付加プロピレングリコール(PGU)、及び塩化ナトリウム(NaCl)であった。
【0040】
霜の減少
骨材と化学物質の組み合わせがいかに良好に霜の形成に対して反応するかを判定するために、フロストチャンバー内で多数の試験を実施した。骨材クーポンを化学物質で飽和した後、霜が生長するかを調べるためにチャンバーに入れた。すべての試験について、このユニットで霜が生長することを確認するために非処理クーポンもボックスに入れた。飽和表面についてこの一連の試験を終えた後、試料を洗浄し、それらの試料を再試験した。
【0041】
第1の一連の試験を5種類の被験試料及び4種類の化学物質について実施した。氷結防止剤で確実に十分に被覆するために、骨材クーポンを化学物質に24時間浸漬した。次いで試料を取り出し、風乾した。この乾燥期間後、浸漬試料を20°Fのフロストチャンバーに入れ、21時間放置した。比較のため、5種類の石の非処理クーポンもチャンバーに入れた。結果を表3に示す。
【0042】
この表の最初の5列は化学物質を付与していない骨材クーポンである。予想どおり、これらの試料上で霜が生長した。次の14列は化学物質と骨材の組み合わせに関するものである。KAと共に用いたTS−B試料は試験中に破断したので、この組み合わせについての数値は得られなかった。化学物質と共に用いた試料で霜の生長を示したものはなかった。D及びE試料は表面に若干の濡れを示した。この一連の試験にはNaClを含めなかった。
【0043】
表4に、同様な一連の結果を示す。この試験では、表3の試験からの試料を飽和スポンジで25回清浄し、そして試験を反復した。この試験について、TS−A試料以外の結果は前回の試験と同じであった。この低吸収性クーポンからは、凍結が起きるほどの量の化学物質が洗浄により除去された。D及びE試料は小さな水滴で再び覆われた。これらの試料は吸収力が低いため、付着した水分がB及びC試料のようには浸入しない。
【0044】
表5は、50回スポンジ洗浄(前回の試験に25回を追加)後の試験である。TS−B試料以外のすべての状況が前回と同じであった。TS−B試料は、凍結が起きる点まで洗浄されたのである。
【0045】
表6には、さらに25回のスポンジ洗浄(合計75回)後の最終の一連のデータを示す。結果は、前の3回の試験と同様な傾向を示す。
【0046】
【表3】
【0047】
【表4】
【0048】
【表5】
【0049】
【表6】
【0050】
*Base:基材
NaClを着氷防止剤とし、前記と同じ骨材を用いて第2の一連の霜生長試験を実施した。5種類の被験骨材それぞれのクーポンをNaClで被覆し、20°Fのフロストボックスに入れた。24時間後、すべての試料上に霜が形成された。ただし、TS−E石灰石上には若干のスポットがみられた。この試験クーポンは、その内部の一部分に、より濃い異質の材料と思われる細い縞を有する。この縞は霜を生長させなかった。これは、NaClを用いた場合でも石の相異が霜なしの結果を示す可能性があることを指摘する。これらのクーポン上の霜は、非処理クーポン上の霜と比較して軟質でルーズであった。これは、融解効力はあるけれども霜の生長を完全に防止するのには十分でないことを指摘する。
【0051】
これらの被覆クーポンを用いて2回目の試験を企画した。クーポンを再び乾燥させたが、洗浄しなかった。乾燥試料を25°Fのフロストボックスに入れ、24時間後にすべて
湿っていたが、霜は形成されなかった。次いで温度を23°Fに降下させ、試料を24時間放置した。この時点ですべての試験クーポン上にわずかな霜が形成された。この霜もかなりゆるく、「半解け」(“slushy”)に近かった。TS−E試料の縞は、この場合も縞を生長させなかった。
【0052】
結合強度の低下
図8〜25のグラフは、5種類の最終骨材及び4種類の液状化学物質についての代表的な試験の結果である。各グラフをTS−A/CMA(図8)などのコードで表わす。これは、CMAを付与した骨材タイプTS−Aである。グラフはそれぞれ「ベースライン」という線も含む。これは、化学物質を付与しないクーポンについて実施した5回の一連の試験の平均である。黒い実線はデータの線形回帰を示す。この線の方程式も記載してある。
【0053】
再び特に図8(他の図の例示)について述べると、四角としてプロットしたデータ点を含む紫色の線はベースラインである。これは、化学物質を付与しないこの試料に対する氷の平均結合強度である。青色の線と菱形のデータ点は、表面を洗浄した後の各試験引張りについての負荷値である。たとえば、最初の青色の菱形は1回洗浄(スポンジ通過5回)後の脱結合負荷である。黒い線はデータの線形回帰である。この線はベースラインへの復帰傾向を示すためにプロットしてある。CMA、KA及びPGUはすべて、それぞれの剪断試験間に1回洗浄(スポンジ5回)の間隔で試験された。NaCl試験は、この化学物質が試験範囲の遅い時点で添加されたことによる時間的制約のため、より速いペースで実施された。NaClは、洗浄なし、1回洗浄、次いで3回、5回、以後2回洗浄毎に試験された。これは、試験間の洗浄を倍加するだけで行われた。
【0054】
図8〜11は、TS−A試料と4種類の化学物質についてのデータを示す。これら4種類のすべての試料が、少ない回数の洗浄で急速なベースラインへの復帰を示す。一般にそれらはすべて15回以下の洗浄で「化学物質なし」の状態に戻った。
【0055】
図12〜14は、TS−B試料についてのデータを示す。前記のように、KAに用いたクーポンは試験中に破断した。このクーポンについては0、1及び2回洗浄の時点で試験を実施した。結果はそれぞれ18、41及び65ポンドであった。この試験についてのグラフは含まれない。ベースラインは145であった。NaClについて用いたクーポンも10回の洗浄後に破断した(図14)。この骨材についての3つの図は、すべての場合急速なベースラインへの復帰を示す。KA試験も2回の洗浄後にベースラインのほぼ半分にまで戻った。破断したクーポンは時間と材料の制約のため、再試験しなかった。
【0056】
図15〜18は、TS−C試料の試験データを示す。これら4試験は、A及びB試料より良好な残留効果を示す。
TS−D試料についての結果を図19〜22に示す。これら4つの組み合わせはすべて、17回の洗浄後もなお適性に機能する。TS−Eの結果を図23〜25に示す。
【0057】
この試験は、骨材と氷結防止剤の特定の組み合わせが舗装上における霜の形成を著しく低下させ、かつ氷と舗装の付着を最小限に抑えうることを明らかに示す。
霜生長試験は、場合により凍結水蒸気の付着(霜(hoar frost)又は白霜(rime ice)の沈着)の発生がほとんど排除されることを示す。凝固点降下剤と組み合わせたある種の石灰石は、多数回の洗浄後も凍結を示さない。したがって、霜が著しくつきやすい船橋楼甲板にこれらの付与を採用することにより、多数回のストーム事象によっても甲板に氷が付着しない状態を維持できる。これに対し、吸収力の低い試料についての試験は、わずか数回の洗浄後に急速な再凍結を示す。
【0058】
1回の化学物質付与で、結合強度について同じ効力がそのまま維持される。一般に、霜の減少と同じ状況が結合低下に関する残留効果に当てはまる。両方の場合とも、中等度の吸収力をもつ石灰石がこの範囲で試験したすべての化学物質について良好に作動する。図10と19は組み合わせ間を対比する好例である。図10の場合、残留効果は4回の洗浄後にほとんど失われる。他方、図19の組み合わせは17回の洗浄後もなおきわめて良好に作動している。
【0059】
霜試験と結合低下試験の両方について、非吸収性舗装、たとえば前回の事象に際して化学物質を付与した後でも霜や凍結事象の度にほとんどの場合常に霜や氷で覆われる舗装道路や船橋楼甲板をシミュレートしたタイル試料を選択した。付与した化学物質はいずれも洗い去られ、残留効果はほとんど又は全く残らなかった。これらのタイル試料についての結果を考慮すると、良い推定が得られる。第1に、これらの試料上には1回の一連の洗浄後に霜が生長する。結合強度の低下については、わずか数回の洗浄後に「化学物質なし」の状態に匹敵するレベルにまで結合強度が増大する。これは、データの線形回帰により得られる傾向によってグラフで示される。これらの回帰線は、ある組み合わせが化学物質の付与後に「化学物質なし」の状態に戻る速度を示す。急勾配の線は残留効果が乏しい傾向を示し、ゆるやかな勾配は化学物質が良好に保持されることを示す。
【0060】
図23及び25は、卓越した残留結合強度低下をもたらす組み合わせを示す。これらはTS−E石灰石とCMA及びNaClである。これらは両方とも、16回の洗浄後でもベースラインより十分に低い結合強度を示す。これは、これらのタイル試料がシミュレートした舗装をこれらの骨材/化学物質の組み合わせのいずれかで被覆すると、残留結合を著しく低下させうることを意味する。CMAは、この骨材上で20°Fの低温まで霜を排除できる。一方、NaClは約23°Fの低温まで霜を排除できる。いずれにしろ、これらの両方、及び試験した他の幾つかの組み合わせは、「貧弱な」残留効果を示す舗装を「着氷防止」効果の高い骨材/化学物質の組み合わせで被覆することにより、はるかに安全な舗装が得られることを示す。
【0061】
実施例2
他の例において、着氷防止用組成物の8フィート×200フィート試験片を、アトランティックシティーのFAA Technical Centerにあるタールマックの端に付与した。この例には、Unitex(ミズーリ州カンザスシティー)から得られるPro−Poxy Type III DOTエポキシ樹脂を接着剤として用い、タールマック支持体に付与した。より具体的には、この接着剤をタールマック上に注ぎ、次いで薄く展延した。タールマック上の接着剤の厚さは約1/8インチであった。次いで、MIchigan Limestone Operations,Inc.から得た約7500ポンドの破砕石灰石骨材を、バケツから骨材を撒き散らすことにより接着剤上に散布した。骨材の厚さは約1/2インチであり、次いでこれを約1/4〜約3/8インチになるまで粉砕した。この例に関して用いた着氷防止剤は、FAAが後日選択する。冬季気候になる前に約5ガロンのこの着氷防止剤を薬品噴霧器又はタンク噴霧器により舗装上に散布する。着氷防止剤を再付与してもよく、しなくてもよい。FAAは、この概念の現場立証を完了するために次の冬季にこの部分について摩擦試験及び凍結試験を実施する。
【0062】
実施例3
この試験に関連して、舗装上に付置した場合これらの被覆がいかに耐久性かつ耐摩耗性であるかを判定するために、2種類の摩耗試験も企画する。MDOT従業員がミシガン州ランシングのMichigan Department of Transportation(MDOT)舗装実験室でこれらの試験を実施する。これは骨材の摩耗及び研摩に関するミシガン州の標準試験である。他の摩耗試験には、KRC付近での現場試験セクションが含まれる。これは実際の道路表面で交通及び除雪をモニターするものである。
これら2種類の試験は、本発明のオーバーレイが耐久性であり、急速には摩耗しないことを証明するためのものであり、そのために企画される。
【0063】
実施例4
他の着氷防止用組成物が、近い将来、Wisconsin Department of Transportationの船橋楼甲板に付与されるであろう。この着氷防止用組成物は24×100×80フィートの船橋楼甲板を被覆する。この組成物は実施例2で付与したのと同じものになるであろう。エポキシ樹脂はUnitexから得られるPro−Poxy Type III DOTエポキシ樹脂であり、骨材はワイオミング州シャワノのNortheast Asphaltから得られ、実施例2で用いたものと類似するであろう。
【0064】
以下に、本発明の好ましい態様のいくつかをまとめて示す。
1.雪又は氷と支持体の付着を抑制又は防止する方法であって、
接着剤を支持体に付与し;
骨材を接着剤上に散布して骨材−接着剤を形成し;
着氷防止剤を骨材−接着剤上に付与する
ことを含む方法。
2.接着剤が、エポキシ樹脂、スチレン樹脂、メタクリル酸メチル樹脂、タール、及びその組み合わせのうち少なくとも1つを含む、上記項目1に記載の方法。
3.接着剤が、エポキシ樹脂及びタールのうち少なくとも1つを含む、上記項目1に記載の方法。
4.支持体が舗装表面である上記項目1に記載の方法。
5.支持体が、道路、橋梁、滑走路、タールマック、及び車両が走行する可能性のある表面のうち少なくとも1つを含む、上記項目1に記載の方法。
6.骨材が、フリント、珪砂、玄武岩、フリーダート、クレー、石灰石、ドロマイトスラグ、及びその組み合わせのうち少なくとも1つを含む、上記項目1に記載の方法。
7.骨材が石灰石を含む、上記項目1に記載の方法。
8.骨材がドロマイトを含む、上記項目1に記載の方法。
9.着氷防止剤が、酢酸マグネシウムカルシウム、酢酸カリウム、酢酸ナトリウム、塩化ナトリウム、ギ酸ナトリウム、塩化マグネシウム、プロピレングリコール、尿素付加プロピレングリコール、尿素付加エチレングリコール、炭酸カリウム、及びその組み合わせのうち少なくとも1つを含む、上記項目1に記載の方法。
10.骨材の一部分が接着剤に内包されないように骨材を散布し、これにより着氷防止剤が骨材の細孔を充填できる、上記項目1に記載の方法。
11.さらに接着剤を硬化させることを含む、上記項目1に記載の方法。
12.さらに、第2接着剤の付与及び第2骨材の散布を含み、第2接着剤及び第2骨材が前記の接着剤及び骨材と同一又は異なる、上記項目1に記載の方法。
13.さらに、骨材−接着剤を清浄して骨材−接着剤の残留効果を高めることを含む、上記項目1に記載の方法。
14.残留効果を誘発する方法である、上記項目1に記載の方法。
15.散布がさらに、接着剤上への骨材の撒き散らし、落下、及び吹付けのうち少なくとも1つを含む、上記項目1に記載の方法。
16.下記のものを含む着氷防止用組成物:
接着剤及び骨材;骨材の少なくとも一部分が接着剤に内包され、且つ骨材の少なくとも一部分が接着剤に内包されず、また、骨材は多数の細孔を有する;並びに
いずれかの細孔を少なくとも部分的に充填した着氷防止剤。
17.接着剤が支持体に固定されている、上記項目16に記載の組成物。
18.支持体が舗装である上記項目17に記載の組成物。
19.支持体が、道路、橋梁、滑走路、タールマック、及び車両が走行する可能性のある表面のうち少なくとも1つを含む、上記項目17に記載の組成物。
20.接着剤が、エポキシ樹脂、スチレン樹脂、メタクリル酸メチル樹脂、タール、及びその組み合わせのうち少なくとも1つを含む、上記項目16に記載の組成物。
21.接着剤が、エポキシ樹脂及びタールのうち少なくとも1つを含む、上記項目16に記載の組成物。
22.骨材が、フリント、珪砂、玄武岩、フリーダート、クレー、石灰石、ドロマイト、スラグ、及びその組み合わせのうち少なくとも1つを含む、上記項目16に記載の組成物。
23.骨材が石灰石を含む、上記項目16に記載の組成物。
24.骨材がドロマイトを含む、上記項目16に記載の方法。
25.着氷防止剤が、酢酸マグネシウムカルシウム、酢酸カリウム、酢酸ナトリウム、塩化ナトリウム、ギ酸ナトリウム、塩化マグネシウム、プロピレングリコール、尿素付加プロピレングリコール、尿素付加エチレングリコール、炭酸カリウム、及びその組み合わせのうち少なくとも1つを含む、上記項目16に記載の組成物。
26.組成物が残留効果を示す、上記項目16に記載の組成物。
27.下記のものを含む着氷防止用組成物:
細孔を有する石灰石及びドロマイトのうち少なくとも一方を、少なくとも部分的に内包している接着剤;並びに
石灰石のいずれかの細孔を少なくとも部分的に充填している着氷防止剤。
28.接着剤が支持体に固定されている、上記項目27に記載の組成物。
29.支持体が舗装を含む、上記項目28に記載の組成物。
30.支持体が、道路、橋梁、滑走路、タールマック、及び車両が走行する可能性のある表面のうち少なくとも1つを含む、上記項目28に記載の組成物。
31.接着剤が、エポキシ樹脂、スチレン樹脂、メタクリル酸メチル樹脂、タール、及びその組み合わせのうち少なくとも1つを含む、上記項目27に記載の組成物。
32.接着剤が、エポキシ樹脂及びタールのうち少なくとも1つを含む、上記項目27に記載の組成物。
33.着氷防止剤が、酢酸マグネシウムカルシウム、酢酸カリウム、酢酸ナトリウム、塩化ナトリウム、ギ酸ナトリウム、塩化マグネシウム、プロピレングリコール、尿素付加プロピレングリコール、尿素付加エチレングリコール、炭酸カリウム、及びその組み合わせのうち少なくとも1つを含む、上記項目27に記載の組成物。
34.骨材がドロマイトを含む、上記項目27に記載の方法。
35.骨材が石灰石を含む、上記項目27に記載の組成物。
36.組成物が残留効果を示す、上記項目27に記載の組成物。
【技術分野】
【0001】
硬く圧縮された雪や氷を舗装道路から取り除くために凝固点降下剤を使用することは、数十年の間、ハイウェイ保全作業員によって日常的に行われてきた。市場に新たに導入された凝固点降下剤又は化学物質は、それぞれ独特な一連の特性をもつ。ある降下剤は他のものより希薄であり、他のものはより濃厚である。あるものは不快臭をもち、あるものは温かい温度でしか作用しない。
【背景技術】
【0002】
道路保全作業員が用いた最初の化学物質のひとつは、塩化ナトリウム(NaCl)、より一般的には道路用塩(road salt)として知られるものであった。最初はこの化学物質は固体として適用され、雪、氷又は水の存在下で速やかに溶解した。一般に道路用塩のような化学物質は、落下する雪を融かし、舗装道路に付着するのを制限するために、ストームの最中に温度が20°F以上のとき適用されている。表面に付着した雪や氷を取り除くために、ストームの後にも化学物質は適用される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
雪や氷を取り除くための新たな方法が絶えず追求されている。より具体的には、環境に有害な影響を与えない除雪及び除氷方法、並びに化学物質の必要量を減らす方法が最も求められている。
【課題を解決するための手段】
【0004】
1態様において本発明は、雪又は氷と支持体の付着を抑制又は防止する方法を提供する。本発明方法は、接着剤を支持体に付与し、骨材を接着剤上に散布して骨材−接着剤を形成し、そして着氷防止剤を骨材−接着剤上に付与することを含む。
【0005】
他の態様において本発明は、着氷防止用組成物を提供する。本発明組成物は、接着剤及び骨材を含有する。骨材の少なくとも一部分は接着剤に内包され、且つ骨材の少なくとも一部分は接着剤に内包されず、また骨材は多数の細孔をもつ。本発明組成物は、いずれかの細孔を少なくとも部分的に充填した着氷防止剤をも含有する。
【0006】
他の態様において本発明は、他の着氷防止用組成物を提供する。本発明組成物は、細孔を有する石灰石を少なくとも部分的に内包している接着剤、及び石灰石のいずれかの細孔を少なくとも部分的に充填している着氷防止剤を含む。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】本発明の1態様を適用した道路の融解領域の透視図である。
【図2】霜生長チャンバーの透視図である。
【図3】水分発生装置の透視図である。
【図4】被験試料上における霜の生長の透視図である。
【図5】結合強度測定装置の透視図である。
【図6】負荷ブロックと骨材試料を表わす図である。
【図7】測定装置に取り付けた試料の透視図である。
【図8】クォリータイル骨材(TS−A)とそれに付与した酢酸マグネシウムカルシウム(CMA)の結合強度の低下を示すグラフである。
【図9】クォリータイル骨材(TS−A)とそれに付与した酢酸カリウム(KA)の結合強度の低下を示すグラフである。
【図10】クォリータイル骨材(TS−A)とそれに付与したプロピレングリコール(PGU)の結合強度の低下を示すグラフである。
【図11】クォリータイル骨材(TS−A)とそれに付与した塩化ナトリウム(NaCl)の結合強度の低下を示すグラフである。
【図12】Levy Co.のSlag骨材(TS−B)とそれに付与した酢酸マグネシウムカルシウム(CMA)の結合強度の低下を示すグラフである。
【図13】Levy Co.のSlag骨材(TS−B)とそれに付与したプロピレングリコール(PGU)の結合強度の低下を示すグラフである。
【図14】Levy Co.のSlag骨材(TS−B)とそれに付与した塩化ナトリウム(NaCl)の結合強度の低下を示すグラフである。
【図15】London Co.の石灰石骨材(TS−C)とそれに付与した酢酸マグネシウムカルシウム(CMA)の結合強度の低下を示すグラフである。
【図16】London Co.の石灰石骨材(TS−C)とそれに付与した酢酸カリウム(KA)の結合強度の低下を示すグラフである。
【図17】London Co.の石灰石骨材(TS−C)とそれに付与したプロピレングリコール(PGU)の結合強度の低下を示すグラフである。
【図18】London Co.の石灰石骨材(TS−C)とそれに付与した塩化ナトリウム(NaCl)の結合強度の低下を示すグラフである。
【図19】Turunen Inc.の石灰石骨材(TS−D)とそれに付与した酢酸マグネシウムカルシウム(CMA)の結合強度の低下を示すグラフである。
【図20】Turunen Inc.の石灰石骨材(TS−D)とそれに付与した酢酸カリウム(KA)の結合強度の低下を示すグラフである。
【図21】Turunen Inc.の石灰石骨材(TS−D)とそれに付与したプロピレングリコール(PGU)の結合強度の低下を示すグラフである。
【図22】Turunen Inc.の石灰石骨材(TS−D)とそれに付与した塩化ナトリウム(NaCl)の結合強度の低下を示すグラフである。
【図23】Corps of Eng.の石灰石(TS−E)とそれに付与した酢酸マグネシウムカルシウム(CMA)の結合強度の低下を示すグラフである。
【図24】Corps of Eng.の石灰石(TS−E)とそれに付与した酢酸カリウム(KA)の結合強度の低下を示すグラフである。
【図25】Corps of Eng.の石灰石(TS−E)とそれに付与したプロピレングリコール(PGU)の結合強度の低下を示すグラフである。
【図26】Corps of Eng.の石灰石(TS−E)とそれに付与したプロピレングリコール(PGU)の結合強度の低下を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明の一態様を詳細に説明する前に、本発明が以下の記載又は図面に示した詳細な構造物への適用及び成分の配合に限定されないことを理解すべきである。本発明は他の態様であってもよく、多様な様式で実施又は施工できる。本明細書中で用いる表現法及び命名法は説明のためのものであって、限定とみなすべきではない。本明細書中で用いる「含む」及びその変形は、その後に挙げるもの及びその均等物並びに付加事項を包含するものとする。本明細書中で用いる「からなる」は、その後に挙げるもののみを包含するものとする。方法又はプロセスの要素を示すために用いる字句は説明のためのものであって、それらの要素を特定の順序で実施しなければならないことを指示するためのものではない。
【0009】
この数十年で、環境に対する懸念から、雪や氷の除去及び防止に用いる化学物質の量を減らすための新規化学物質及び方法の探索が指示されてきた。化学物質の体積を減ら
すための1方法は、ストーム後に表面から除去しなければならない硬く圧縮された雪の量を制限するものである。本発明は、雪や氷が舗装道路に付着するのを減らす新規な舗装氷結防止方法を含む。この概念は「着氷防止」として知られている。
【0010】
最も簡単な形態の着氷防止方法は、舗装表面への付着を制限するために、予想されるストームの前に化学物質を付与することを含む。凝結物の量が少ないストームの場合、化学物質は凍結した凝結物が表面に当たるのに伴ってすべて溶かすことができる。一般に道路への雪や氷の付着を抑制及び防止するのに必要な化学物質の量は、既に道路に付着した雪や氷を溶かすのに必要な量より少ない。より激しいストームの場合、化学物質は付着を最小限に抑え、機械的除去を容易にする。凍結降雨事象や降霜事象が予想される場合、ストームの前に付与した化学物質は舗装道路が氷のために滑りやすくなるのを防止する顕著な効果をもつ。
【0011】
着氷防止方法の好ましい態様においては、氷や雪で覆われる可能性のある道路、橋梁、滑走路、タールマック(tarmac)、及び車両が走行する可能性のある表面上の舗装に接着剤を付与する。接着剤は、舗装をシールすることにより、水及び塩が道路の亀裂又は空隙を通して漏れるのを防ぐ作用をする。接着剤は、滑らかで滑りやすいオーバーレイ被覆をも提供する。接着剤を付与する他の目的は、離層、窪み及び亀裂を修復することである。さらに、残留する汚染物質を除去するために舗装をショットブラスチングすることにより、又は油を含まない圧縮空気を用いて残留する粉塵や屑を吹き飛ばすことにより、表面を清浄してもよい。接着剤はノッチ付きスキージーを予め特定した速度で用いて付与することができる。さらに、ブラシ又は吹付機により接着剤を付与してもよい。一般的な接着剤付与方法をいずれも使用できる。多様な接着剤が本発明に使用するのに適する。最も好ましいタイプの接着剤は、エポキシ樹脂、スチレン樹脂、メタクリル酸メチル樹脂、及びタールを含む。エポキシ樹脂の一例は下記のものであるが、この特定のエポキシが使用できるタイプのエポキシ樹脂の限定とみなすべきではない。ただし、接着剤が後記に述べる骨材の空隙や細孔を充填又は遮断して化学物質が満たす空間が無い状態にならないことが重要である。一般に支持体上の接着剤の厚さは約1/8”である。
【0012】
好ましいエポキシ樹脂の一例は、PRO−POXY TYPE III D.O.T.である。これは、Unitex(ミズーリ州カンザスシティー)が販売する無溶剤、非感湿性、固形分100%、低モジュラス、2成分接着剤である。PRO−POXY TYPE III D.O.T.は、ASTM−C−881、タイプIII、グレード1、クラスB&Cに適合する。この樹脂の特性を以下に示す。
【0013】
【表1】
【0014】
好ましい態様においては、次いで骨材を接着剤上に散布する。本発明において用いる用語「散布」(“broadcast”)は、乾燥骨材を湿潤エポキシ樹脂に撒き散らし(sprinkling)、落下(dropping)、及び吹付け(spraying)することを表わすものとする。骨材は、角張った粒状の珪砂、玄武岩(水分0.2%未満)、フリント、破砕した石灰石又はドロマイト、フリーダート(free dirt)、クレーなどであってよい。珪砂又は玄武岩は、別途指示しない限り、最小モーススケール硬度7をもつものであってよい。一般に骨材は約1/8〜1/4インチであるが、1/16〜1/2インチの大きさの骨材を使用できる。骨材又は支持体の厚さは一般に約1/4〜3/4インチである。骨材を接着剤で表面に接着した後、骨材を粉砕してもよい。たとえば骨材を約1/4〜約3/8インチに粉砕できる。より具体的には、接着剤が硬化した後、突出した表面部分を表面グラインダーで切り取ることができる。得られた表面は、より粗いけれどもまるで薄く着色した舗装のように見える。この処理により表面は、良好な表面摩擦抵抗を維持するのに十分なテキスチャーをもつ中実石灰石又はドロマイトスラブにきわめて近い外観を示す。
【0015】
全体としては、最も好ましいタイプの骨材は石灰石又はドロマイトである。本発明に関して用いられる石灰石又はドロマイトのタイプは、地域的にみた入手しやすさにより支配される。石灰石及びドロマイトの若干例は、Michigan Department of Transportation(MDOT)の承認済み材料源から選択される3種類の骨材を含む。たとえばMDOT Pit#92−11(ドロマイト性石灰石)、London Aggregates Co.、及びMDOT Pit#58−10(空冷式溶鉱炉スラグ)、E.C.Levy Co.をすべて本発明に関して使用できる。これらの石灰石はそれぞれ高い吸収力を示す。他の例は、ミシガン州ペルキーのTurunen,Inc.が操業している採石場から得られる石灰石、及び由来は分からないがミシガン州ハンコックのハンコック・カナルにあるCorps of Enginee
rsのアーマーストーンパイル(armor stone pile)から得られる他のものを含む。
【0016】
まず接着剤上に骨材を付与して硬化させた後、過剰の骨材を表面から取り除いてもよい。次いで直ちに2回目の接着剤と骨材をその部分の道路又は橋梁に付与し、再び過剰の骨材を表面から取り除き、2回目を自然硬化させることができる。一般に接着剤の各層は約1/4インチの厚さであるが、1/8インチという薄いもの、及び3/4インチという厚いものであってもよい。2回目の接着剤と骨材の付与は必ずしも必要ではない。骨材を支持体の表面に固定するために、一般に骨材の少なくとも一部分を接着剤に内包させる。骨材の少なくとも一部分は接着剤に内包されなくてもよい。すなわち、それは周囲環境に暴露され、したがって骨材の細孔は少なくとも部分的に着氷防止剤で充填される可能性がある。
【0017】
骨材と接着剤が硬化すると、着氷防止剤、又は着氷防止剤の組み合わせを、この骨材−接着剤に付与する。一般に、この付与は防止剤を骨材−接着剤上に吹き付けることにより行われるが、ブラシ塗布その他の既知の付与方法も使用できる。すなわち、化学物質を長い道路や橋梁に付与できるいかなる方法も採用できる。好ましくは着氷防止剤を液状で付与するが、固体、粉末及び気体状の着氷防止剤も使用できる。凝固点降下剤として作用する、すなわち氷や雪の凝固点を低下させる、いかなる着氷防止剤も本発明に使用できる。好ましい着氷防止剤は、酢酸マグネシウムカルシウム、酢酸カリウム、酢酸ナトリウム、塩化ナトリウム、ギ酸ナトリウム、塩化マグネシウム、プロピレングリコール、尿素付加プロピレングリコール、尿素付加エチレングリコール、及び炭酸カリウムを含む。
【0018】
ある凝固点降下剤は、前記の骨材と組み合わせて用いた場合に残留効果を示す傾向がある。すなわちそれらの着氷防止剤はストームの間中、雪/氷と舗装の付着を防止し、その後、次のストームに際しても同様に機能するので、残留効果が示される。残留効果は長期間機能しうる化学物質の特徴であって、1回のストーム事象に際して機能し、なおかつ舗装上に残存してその後のストームに際して機能する効力を維持する。
【0019】
簡単に言えば、残留効果は、化学物質を再付与する必要なしに本発明が繰り返し機能しうることを意味する。化学物質と骨材の特定の組み合わせが、舗装表面における残留効果を大幅に高める効力をもつ。ある種の化学物質は他より良好な残留効果の傾向を示す。図1は、舗装試験セクションの化学物質の残留効果を示す。場合により、化学物質はストームや融解水による洗い流し及び路面タイヤによる掻き混ぜ作用に耐えることができる。これは残留効果の向上に寄与することができる。
【0020】
石灰石を骨材として用いるとスポンジ様の舗装を形成する傾向があり、これに着氷防止剤を付与できる。本発明を理論によって限定すべきではないが、石灰石の多孔性及び吸収能が残留効果をある程度もたらすと考えられる。いずれにしろ、石灰石骨材と着氷防止剤の組み合わせは残留効果を大幅に高めると思われる。すなわち石灰石がもつある特性により着氷防止剤は石灰石中へ吸収されるが、ただし石灰石の表面から遠すぎない程度にである。その結果、ストームや事象毎に新たな化学物質を石灰石に付与する必要がない。実際に、石灰石骨材と着氷防止剤の組み合わせは、ストームが繰り返し起きても効果を維持する。舗装上の骨材/接着剤/化学物質の表面を、たとえば強力な水流で洗浄することにより、残留効果がさらに向上することも見いだされた。すなわち、表面がストームに暴露された後、この洗浄は表面を「再充電」するようである。残留効果により、ストーム後に毎回着氷防止剤を再付与する必要のない半永続的な着氷防止方法が得られる。毎回ではなく、たとえば冬季前の10月に化学物質を吹き付けると、ストームの季節が終わるまで、又はその後まで、再付与する必要がない。
【0021】
着氷防止剤は、付与したい表面又はその付近に留まる傾向がある。その結果、これらの化学物質は環境に対する害が(たとえあったとしても)少ない。さらにこれらの化学物質は、塩化ナトリウムペレットを道路に落下させる場合のように路肩や排水口で無駄になることがない。不安定な流れにかけられた橋の場合、化学物質が不安定な流れに流入することはほとんどない。オーバーレイのスポンジ様作用が化学物質を適所に保持し、通過する車両の通行、航空機ジェット爆風又はプロペラ掃引により吹き飛ばされるのを防ぐ。
【0022】
本発明のオーバーレイは付与された状態では粗面であり、粒子の粗さが濡れを軽減するので、表面が濡れているかを考慮する必要はない。飛行場の舗装表面が濡れているように見えることにより飛行場への進入に際して起きる失速や渋滞が、本発明のオーバーレイにより除かれる。さらに本発明の着氷防止用オーバーレイ系は、ポルトランドセメント舗装又はアスファルトセメント舗装より粗く、全摩擦値が高い。この粗面性により、ゴムタイヤのけん引、舵取り、及びブレーキ操作がより安全になる。本発明の着氷防止用オーバーレイ系は、水や化学物質が舗装に浸潤して強化用の鋼に達して腐食損傷を引き起こすのも防ぐ。これによりコンクリート舗装、すなわち橋梁、道路及び滑走路の寿命が延長される。
【0023】
液状の化学物質を1回付与するだけで、霜や凍結降雨などの事象に際して本発明のオーバーレイ上における有効性が長期間(たとえば数カ月間も)維持される。オーバーレイを既存の舗装の表面に付与すると、改修が必要となるまで5年以上持続するであろう。化学物質は、必要なときいつでも再付与できる。全体として、雪や氷と自動車その他の車両が走行する物体との結合及び結合強度が低下することにより、事故の起きるきっかけが減る。
【実施例】
【0024】
実施例
実施例1
霜の生長及び氷の付着の減少
着氷防止及び残留効果を試験するために、「霜の生長」及び「氷の付着の減少」を実施した。これらの試験法は下記のとおりである。
【0025】
霜試験と付着試験の両方の標本において、試料に接触する油その他の化学物質が導入されるのを避けるために、水潤滑式のこで骨材試料を切り取った。カットオフの大きなのこを最初の切断に用い、仕上げ切断にはより小さなタイルのこを用いた。
【0026】
舗装表面の水及びタイヤの作用をシミュレートする方法も考案し、これにより前記の組み合わせがストーム事象にいかに良好に反応するかを判定し、かつ将来のストームに際して作動し続ける効力を判定した。負荷シミュレーションが完了した後、骨材を室温で自然融解させた。骨材の表面から氷がすべて融解すると、飽和したスポンジを用いてそれらを拭って清浄にした。スポンジを骨材表面に5回通過させた。この操作は、道路の表面が交通や1回のストーム事象で洗われるのをシミュレートするためのものであった。この操作が完了した後、ブロック上に水分の徴候が見えなくなるまで骨材を室温で風乾した。
【0027】
霜の生長
化学物質/骨材の組み合わせが舗装表面における霜の形成をいかに良好に減少させるかを判定するために、霜を生長させる現象をシミュレートした。霜は、比較的暖かい湿った大量の空気が低温の舗装部分上を通過するとき舗装上に形成される。凍結していない水蒸気を含有するためには、大量の空気は適度に暖かくなければならない。舗装は、この液状水蒸気を凝固及び凍結させるのに十分なほど低温でなければならない。最も一般的な2つの低温舗装状況は、下から空気で冷却される船橋楼甲板(bridge deck)、及び基礎材料が空気よりはるかに低温であるため上の空気が暖かくても低温のままとなる舗装である。
【0028】
霜の生長現象をシミュレートするために、霜生長チャンバー又は制御ボックスを設計し、KRC(Keweenaw Research Center)低温実験室内に建設した(図2に示す)。このボックスはほぼ4フィートの長さ、2フィートの幅、2フィートの高さである。ボックスの底以外の内側を断熱する。底は厚さ1/2インチのアルミニウム板を含む。電球と調光スイッチの構成を用いてボックスの内部を加熱し、ボックスの外部と内部の間に温度勾配を形成する。この構成で低温室を20°Fに設定し、ボックスの内部をたとえば34°Fに維持することができる。ボックスの断熱壁は内部の気温を一定に維持するのに有効であり、同時に底のアルミニウム板は熱伝導率が高いためその表面を内部の空気よりはるかに低く維持する作用をする。試験ボックスの外部から内部へこのような温度差がある状態で、薄い舗装(又は骨材)試料をボックス内のアルミニウムに乗せると、舗装の表面温度は気温より十分に低くなる。ボックスには、観察用のガラスドア及び各種温度測定用の内部熱電対をも設置する。
【0029】
低温の舗装上における「温暖な」空気をシミュレートする方法が完成すると、湿った空気を試料上に導いた。最も著しい霜の生長は湿った暖かい大量の空気がきわめて低速で(ほとんど静止状態)低温の支持体上を流れるときに起きることが知られているので、これがこの構成部分の出発点であった。試験ボックス内で霜を形成するために幾つかの異なる方法を試験した。最終構成は、外側のオフィスから壁を通して低温室内へ配管した2インチPVCパイプのネットワークであった。図3は、水分発生装置又はエアシステムを示す。パイプを壁からフロストボックスの一端に挿入し、第2のパイプがボックスの他端から出て再び低温室の壁を通る。図2にこれらのパイプを示す。低温室の外側(オフィス内)に大型断熱冷却器があり、この中へPVCパイプの1本を配管する。このボックス内に取り付けた可変出力ファンを用いて、空気をパイプへ導入できる。排気は他方のパイプを通ってオフィスへ戻る。このボックス内に加熱水溜めも配置され、これを用いてシステム内を流れる水分の量を増加させることができる。
【0030】
低温室の温度を目的値に設定し、かつ試料の底から凍結するようにフロストボックス内の温度を設定することにより、霜生長試験を実施した。被験試料をボックスに入れて、調整した水分状況に放置する。一定期間後、霜の生長について試料を視覚評価する。一般に霜は、ある程度形成されればかなり明瞭である。霜の存在を定量する試みを行ったが、霜は消えやすいため測定できていない。図4は、ボックス内にある2枚のタイル試料を示す。それぞれのタイルは表面の半分に化学物質が付与されている。この場合、化学物質は後側にある。各タイルは前側の半分(化学物質がない)が霜で覆われ、後側(化学物質を付与)には霜がない。
【0031】
結合の生長
図5は、結合強度測定装置を示す。低温実験室内での剪断試験により、舗装界面における結合強度低下の評価を行った。負荷セル及び距離/速度測定センサーを備えた水平負荷シリンダーを含む装置をKRC実験室に設置した。この装置を、試験期間中の負荷及び変位を収集して記憶するコンピューターデータ取得システムに接続した。これらの試験に用いた負荷セルは最大範囲400ポンドをもち、約+/−0.2ポンドの精度で測定する。距離測定装置は約+/−0.0075インチまで測定する。毎秒.0015インチの速度で試験を実施した。試料をこの装置に取り付け、生じた結合強度を測定できる。
【0032】
雪の粒子の代わりに氷を用いた。両者は高密度では本質的に同一だからである。再現性のある結果を実験室内で得るために、下記の最終試料構成で多数の異なる状況を試験した。
【0033】
たとえば、ほぼ1/2インチの厚さ及び2インチ×2インチの平面をもつ骨材試料を
作成した。これらの石製クーポンよりわずかに大きく、一方の面の周囲に囲い枠を付けた、木製負荷ブロックを作成した。これらの囲い枠は約1/8インチの高さである。ブロックを水平面上に設置し、囲い枠に水を満たして凍結させることができる。その結果、厚さ1/8インチの氷の層が木製ブロックの一方の面に形成される。
【0034】
図6は負荷ブロック系の図、図7は試験のために取り付けた試料を示す。水とブロックを25°Fの低温室に2時間、又は水が完全に凍結するまで、放置する。完全に氷が形成されると、別個の容器内で水を沸騰させ、アルミニウム板を沸騰水に入れる。次いで、氷試料がある低温室に、水、アルミニウム板、及び骨材試料を入れる。熱アルミニウム板を氷ブロック上に約15秒間、又は水の層が形成されるまで、乗せておく。水の層が形成されると、まだほぼ室温(70°F)の骨材を、次いでこの水/氷試料に乗せる(試料の温度が凍結点より高い状態でブロックを試料に乗せることにより、氷と骨材の結合を助ける)。次いでこの新たな組み合わせを低温室に約30〜45分間、又は水が完全に凍結するまで、放置する。水が完全に凍結した時点で、骨材の周囲に表面の平面を越えて形成された過剰の氷があれば、高温のはんだごてで溶かし去る。次いで、データロガーに接続した負荷シミュレーター内に試料を取り付ける。水平引張りを行える状態で、負荷ブロック及び骨材試料を装置内に固定する。負荷セルにより毎秒約250ポンドの速度で試料に負荷をかけ、データロガーにより記録する。次いで試験データをデータロガーからスプレッドシートへダウンロードし、ここで数値を操作して読み出し可能な出力を得る。これらの試験につき、標準負荷をゼロとする。
【0035】
結果
これらの骨材は、Michigan Department of Transportation(MDOT)の承認済み材料源リストからのものを用いた。2種類の試料をMDOT Pit#92−11(ドロマイト性石灰石)、London Aggregates Co.、及びMDOT Pit#58−10(空冷式溶鉱炉スラグ)、E.C.Levy Co.から得た。これらはそれぞれ高い吸収力を示す。他の2種類の試料をKRCにより得た。これらは両者とも石灰石であり、一方はミシガン州ペルキーのTurunen,Inc.が操業している採石場から得たもの、他方は由来は分からないがミシガン州ハンコックのハンコック・カナルにあるCorps of Engineersのアーマーストーンパイルから得られた。
【0036】
第5の試料タイプを吸収力がきわめて低い試験片として用いた。これは地方の床材業者から得た天然のクォリータイル(quarry tile)である。これらのタイルを、KRCにおける他の化学物質試験に用いる。それらはわずかに粗面で、きわめて均質である。それらは、コンクリート舗装表面のミクロ表面粗面度をシミュレートする数年間の試験を経て選択された。
【0037】
これら5種類すべての被験試料について吸収力を測定し、表2に示す。数値は骨材全重量に対する%として示され、24時間の浸漬期間を用いて測定された。この表には、この報告の残りの部分全体で使用するために各試料に与えた試験名も示す。
【0038】
【表2】
【0039】
化学物質
これらの試験に用いるために4種類の化学物質を選択した。この試験には液体を選択したが、本発明に関しては他の物理的状態の化学物質も使用できる。液体化学物質は骨材試料の表面に最も均一に付与できる。この例に用いるために選択した4種類の化学物質は、酢酸マグネシウムカルシウム(CMA)、酢酸カリウム(KA)、尿素付加プロピレングリコール(PGU)、及び塩化ナトリウム(NaCl)であった。
【0040】
霜の減少
骨材と化学物質の組み合わせがいかに良好に霜の形成に対して反応するかを判定するために、フロストチャンバー内で多数の試験を実施した。骨材クーポンを化学物質で飽和した後、霜が生長するかを調べるためにチャンバーに入れた。すべての試験について、このユニットで霜が生長することを確認するために非処理クーポンもボックスに入れた。飽和表面についてこの一連の試験を終えた後、試料を洗浄し、それらの試料を再試験した。
【0041】
第1の一連の試験を5種類の被験試料及び4種類の化学物質について実施した。氷結防止剤で確実に十分に被覆するために、骨材クーポンを化学物質に24時間浸漬した。次いで試料を取り出し、風乾した。この乾燥期間後、浸漬試料を20°Fのフロストチャンバーに入れ、21時間放置した。比較のため、5種類の石の非処理クーポンもチャンバーに入れた。結果を表3に示す。
【0042】
この表の最初の5列は化学物質を付与していない骨材クーポンである。予想どおり、これらの試料上で霜が生長した。次の14列は化学物質と骨材の組み合わせに関するものである。KAと共に用いたTS−B試料は試験中に破断したので、この組み合わせについての数値は得られなかった。化学物質と共に用いた試料で霜の生長を示したものはなかった。D及びE試料は表面に若干の濡れを示した。この一連の試験にはNaClを含めなかった。
【0043】
表4に、同様な一連の結果を示す。この試験では、表3の試験からの試料を飽和スポンジで25回清浄し、そして試験を反復した。この試験について、TS−A試料以外の結果は前回の試験と同じであった。この低吸収性クーポンからは、凍結が起きるほどの量の化学物質が洗浄により除去された。D及びE試料は小さな水滴で再び覆われた。これらの試料は吸収力が低いため、付着した水分がB及びC試料のようには浸入しない。
【0044】
表5は、50回スポンジ洗浄(前回の試験に25回を追加)後の試験である。TS−B試料以外のすべての状況が前回と同じであった。TS−B試料は、凍結が起きる点まで洗浄されたのである。
【0045】
表6には、さらに25回のスポンジ洗浄(合計75回)後の最終の一連のデータを示す。結果は、前の3回の試験と同様な傾向を示す。
【0046】
【表3】
【0047】
【表4】
【0048】
【表5】
【0049】
【表6】
【0050】
*Base:基材
NaClを着氷防止剤とし、前記と同じ骨材を用いて第2の一連の霜生長試験を実施した。5種類の被験骨材それぞれのクーポンをNaClで被覆し、20°Fのフロストボックスに入れた。24時間後、すべての試料上に霜が形成された。ただし、TS−E石灰石上には若干のスポットがみられた。この試験クーポンは、その内部の一部分に、より濃い異質の材料と思われる細い縞を有する。この縞は霜を生長させなかった。これは、NaClを用いた場合でも石の相異が霜なしの結果を示す可能性があることを指摘する。これらのクーポン上の霜は、非処理クーポン上の霜と比較して軟質でルーズであった。これは、融解効力はあるけれども霜の生長を完全に防止するのには十分でないことを指摘する。
【0051】
これらの被覆クーポンを用いて2回目の試験を企画した。クーポンを再び乾燥させたが、洗浄しなかった。乾燥試料を25°Fのフロストボックスに入れ、24時間後にすべて
湿っていたが、霜は形成されなかった。次いで温度を23°Fに降下させ、試料を24時間放置した。この時点ですべての試験クーポン上にわずかな霜が形成された。この霜もかなりゆるく、「半解け」(“slushy”)に近かった。TS−E試料の縞は、この場合も縞を生長させなかった。
【0052】
結合強度の低下
図8〜25のグラフは、5種類の最終骨材及び4種類の液状化学物質についての代表的な試験の結果である。各グラフをTS−A/CMA(図8)などのコードで表わす。これは、CMAを付与した骨材タイプTS−Aである。グラフはそれぞれ「ベースライン」という線も含む。これは、化学物質を付与しないクーポンについて実施した5回の一連の試験の平均である。黒い実線はデータの線形回帰を示す。この線の方程式も記載してある。
【0053】
再び特に図8(他の図の例示)について述べると、四角としてプロットしたデータ点を含む紫色の線はベースラインである。これは、化学物質を付与しないこの試料に対する氷の平均結合強度である。青色の線と菱形のデータ点は、表面を洗浄した後の各試験引張りについての負荷値である。たとえば、最初の青色の菱形は1回洗浄(スポンジ通過5回)後の脱結合負荷である。黒い線はデータの線形回帰である。この線はベースラインへの復帰傾向を示すためにプロットしてある。CMA、KA及びPGUはすべて、それぞれの剪断試験間に1回洗浄(スポンジ5回)の間隔で試験された。NaCl試験は、この化学物質が試験範囲の遅い時点で添加されたことによる時間的制約のため、より速いペースで実施された。NaClは、洗浄なし、1回洗浄、次いで3回、5回、以後2回洗浄毎に試験された。これは、試験間の洗浄を倍加するだけで行われた。
【0054】
図8〜11は、TS−A試料と4種類の化学物質についてのデータを示す。これら4種類のすべての試料が、少ない回数の洗浄で急速なベースラインへの復帰を示す。一般にそれらはすべて15回以下の洗浄で「化学物質なし」の状態に戻った。
【0055】
図12〜14は、TS−B試料についてのデータを示す。前記のように、KAに用いたクーポンは試験中に破断した。このクーポンについては0、1及び2回洗浄の時点で試験を実施した。結果はそれぞれ18、41及び65ポンドであった。この試験についてのグラフは含まれない。ベースラインは145であった。NaClについて用いたクーポンも10回の洗浄後に破断した(図14)。この骨材についての3つの図は、すべての場合急速なベースラインへの復帰を示す。KA試験も2回の洗浄後にベースラインのほぼ半分にまで戻った。破断したクーポンは時間と材料の制約のため、再試験しなかった。
【0056】
図15〜18は、TS−C試料の試験データを示す。これら4試験は、A及びB試料より良好な残留効果を示す。
TS−D試料についての結果を図19〜22に示す。これら4つの組み合わせはすべて、17回の洗浄後もなお適性に機能する。TS−Eの結果を図23〜25に示す。
【0057】
この試験は、骨材と氷結防止剤の特定の組み合わせが舗装上における霜の形成を著しく低下させ、かつ氷と舗装の付着を最小限に抑えうることを明らかに示す。
霜生長試験は、場合により凍結水蒸気の付着(霜(hoar frost)又は白霜(rime ice)の沈着)の発生がほとんど排除されることを示す。凝固点降下剤と組み合わせたある種の石灰石は、多数回の洗浄後も凍結を示さない。したがって、霜が著しくつきやすい船橋楼甲板にこれらの付与を採用することにより、多数回のストーム事象によっても甲板に氷が付着しない状態を維持できる。これに対し、吸収力の低い試料についての試験は、わずか数回の洗浄後に急速な再凍結を示す。
【0058】
1回の化学物質付与で、結合強度について同じ効力がそのまま維持される。一般に、霜の減少と同じ状況が結合低下に関する残留効果に当てはまる。両方の場合とも、中等度の吸収力をもつ石灰石がこの範囲で試験したすべての化学物質について良好に作動する。図10と19は組み合わせ間を対比する好例である。図10の場合、残留効果は4回の洗浄後にほとんど失われる。他方、図19の組み合わせは17回の洗浄後もなおきわめて良好に作動している。
【0059】
霜試験と結合低下試験の両方について、非吸収性舗装、たとえば前回の事象に際して化学物質を付与した後でも霜や凍結事象の度にほとんどの場合常に霜や氷で覆われる舗装道路や船橋楼甲板をシミュレートしたタイル試料を選択した。付与した化学物質はいずれも洗い去られ、残留効果はほとんど又は全く残らなかった。これらのタイル試料についての結果を考慮すると、良い推定が得られる。第1に、これらの試料上には1回の一連の洗浄後に霜が生長する。結合強度の低下については、わずか数回の洗浄後に「化学物質なし」の状態に匹敵するレベルにまで結合強度が増大する。これは、データの線形回帰により得られる傾向によってグラフで示される。これらの回帰線は、ある組み合わせが化学物質の付与後に「化学物質なし」の状態に戻る速度を示す。急勾配の線は残留効果が乏しい傾向を示し、ゆるやかな勾配は化学物質が良好に保持されることを示す。
【0060】
図23及び25は、卓越した残留結合強度低下をもたらす組み合わせを示す。これらはTS−E石灰石とCMA及びNaClである。これらは両方とも、16回の洗浄後でもベースラインより十分に低い結合強度を示す。これは、これらのタイル試料がシミュレートした舗装をこれらの骨材/化学物質の組み合わせのいずれかで被覆すると、残留結合を著しく低下させうることを意味する。CMAは、この骨材上で20°Fの低温まで霜を排除できる。一方、NaClは約23°Fの低温まで霜を排除できる。いずれにしろ、これらの両方、及び試験した他の幾つかの組み合わせは、「貧弱な」残留効果を示す舗装を「着氷防止」効果の高い骨材/化学物質の組み合わせで被覆することにより、はるかに安全な舗装が得られることを示す。
【0061】
実施例2
他の例において、着氷防止用組成物の8フィート×200フィート試験片を、アトランティックシティーのFAA Technical Centerにあるタールマックの端に付与した。この例には、Unitex(ミズーリ州カンザスシティー)から得られるPro−Poxy Type III DOTエポキシ樹脂を接着剤として用い、タールマック支持体に付与した。より具体的には、この接着剤をタールマック上に注ぎ、次いで薄く展延した。タールマック上の接着剤の厚さは約1/8インチであった。次いで、MIchigan Limestone Operations,Inc.から得た約7500ポンドの破砕石灰石骨材を、バケツから骨材を撒き散らすことにより接着剤上に散布した。骨材の厚さは約1/2インチであり、次いでこれを約1/4〜約3/8インチになるまで粉砕した。この例に関して用いた着氷防止剤は、FAAが後日選択する。冬季気候になる前に約5ガロンのこの着氷防止剤を薬品噴霧器又はタンク噴霧器により舗装上に散布する。着氷防止剤を再付与してもよく、しなくてもよい。FAAは、この概念の現場立証を完了するために次の冬季にこの部分について摩擦試験及び凍結試験を実施する。
【0062】
実施例3
この試験に関連して、舗装上に付置した場合これらの被覆がいかに耐久性かつ耐摩耗性であるかを判定するために、2種類の摩耗試験も企画する。MDOT従業員がミシガン州ランシングのMichigan Department of Transportation(MDOT)舗装実験室でこれらの試験を実施する。これは骨材の摩耗及び研摩に関するミシガン州の標準試験である。他の摩耗試験には、KRC付近での現場試験セクションが含まれる。これは実際の道路表面で交通及び除雪をモニターするものである。
これら2種類の試験は、本発明のオーバーレイが耐久性であり、急速には摩耗しないことを証明するためのものであり、そのために企画される。
【0063】
実施例4
他の着氷防止用組成物が、近い将来、Wisconsin Department of Transportationの船橋楼甲板に付与されるであろう。この着氷防止用組成物は24×100×80フィートの船橋楼甲板を被覆する。この組成物は実施例2で付与したのと同じものになるであろう。エポキシ樹脂はUnitexから得られるPro−Poxy Type III DOTエポキシ樹脂であり、骨材はワイオミング州シャワノのNortheast Asphaltから得られ、実施例2で用いたものと類似するであろう。
【0064】
以下に、本発明の好ましい態様のいくつかをまとめて示す。
1.雪又は氷と支持体の付着を抑制又は防止する方法であって、
接着剤を支持体に付与し;
骨材を接着剤上に散布して骨材−接着剤を形成し;
着氷防止剤を骨材−接着剤上に付与する
ことを含む方法。
2.接着剤が、エポキシ樹脂、スチレン樹脂、メタクリル酸メチル樹脂、タール、及びその組み合わせのうち少なくとも1つを含む、上記項目1に記載の方法。
3.接着剤が、エポキシ樹脂及びタールのうち少なくとも1つを含む、上記項目1に記載の方法。
4.支持体が舗装表面である上記項目1に記載の方法。
5.支持体が、道路、橋梁、滑走路、タールマック、及び車両が走行する可能性のある表面のうち少なくとも1つを含む、上記項目1に記載の方法。
6.骨材が、フリント、珪砂、玄武岩、フリーダート、クレー、石灰石、ドロマイトスラグ、及びその組み合わせのうち少なくとも1つを含む、上記項目1に記載の方法。
7.骨材が石灰石を含む、上記項目1に記載の方法。
8.骨材がドロマイトを含む、上記項目1に記載の方法。
9.着氷防止剤が、酢酸マグネシウムカルシウム、酢酸カリウム、酢酸ナトリウム、塩化ナトリウム、ギ酸ナトリウム、塩化マグネシウム、プロピレングリコール、尿素付加プロピレングリコール、尿素付加エチレングリコール、炭酸カリウム、及びその組み合わせのうち少なくとも1つを含む、上記項目1に記載の方法。
10.骨材の一部分が接着剤に内包されないように骨材を散布し、これにより着氷防止剤が骨材の細孔を充填できる、上記項目1に記載の方法。
11.さらに接着剤を硬化させることを含む、上記項目1に記載の方法。
12.さらに、第2接着剤の付与及び第2骨材の散布を含み、第2接着剤及び第2骨材が前記の接着剤及び骨材と同一又は異なる、上記項目1に記載の方法。
13.さらに、骨材−接着剤を清浄して骨材−接着剤の残留効果を高めることを含む、上記項目1に記載の方法。
14.残留効果を誘発する方法である、上記項目1に記載の方法。
15.散布がさらに、接着剤上への骨材の撒き散らし、落下、及び吹付けのうち少なくとも1つを含む、上記項目1に記載の方法。
16.下記のものを含む着氷防止用組成物:
接着剤及び骨材;骨材の少なくとも一部分が接着剤に内包され、且つ骨材の少なくとも一部分が接着剤に内包されず、また、骨材は多数の細孔を有する;並びに
いずれかの細孔を少なくとも部分的に充填した着氷防止剤。
17.接着剤が支持体に固定されている、上記項目16に記載の組成物。
18.支持体が舗装である上記項目17に記載の組成物。
19.支持体が、道路、橋梁、滑走路、タールマック、及び車両が走行する可能性のある表面のうち少なくとも1つを含む、上記項目17に記載の組成物。
20.接着剤が、エポキシ樹脂、スチレン樹脂、メタクリル酸メチル樹脂、タール、及びその組み合わせのうち少なくとも1つを含む、上記項目16に記載の組成物。
21.接着剤が、エポキシ樹脂及びタールのうち少なくとも1つを含む、上記項目16に記載の組成物。
22.骨材が、フリント、珪砂、玄武岩、フリーダート、クレー、石灰石、ドロマイト、スラグ、及びその組み合わせのうち少なくとも1つを含む、上記項目16に記載の組成物。
23.骨材が石灰石を含む、上記項目16に記載の組成物。
24.骨材がドロマイトを含む、上記項目16に記載の方法。
25.着氷防止剤が、酢酸マグネシウムカルシウム、酢酸カリウム、酢酸ナトリウム、塩化ナトリウム、ギ酸ナトリウム、塩化マグネシウム、プロピレングリコール、尿素付加プロピレングリコール、尿素付加エチレングリコール、炭酸カリウム、及びその組み合わせのうち少なくとも1つを含む、上記項目16に記載の組成物。
26.組成物が残留効果を示す、上記項目16に記載の組成物。
27.下記のものを含む着氷防止用組成物:
細孔を有する石灰石及びドロマイトのうち少なくとも一方を、少なくとも部分的に内包している接着剤;並びに
石灰石のいずれかの細孔を少なくとも部分的に充填している着氷防止剤。
28.接着剤が支持体に固定されている、上記項目27に記載の組成物。
29.支持体が舗装を含む、上記項目28に記載の組成物。
30.支持体が、道路、橋梁、滑走路、タールマック、及び車両が走行する可能性のある表面のうち少なくとも1つを含む、上記項目28に記載の組成物。
31.接着剤が、エポキシ樹脂、スチレン樹脂、メタクリル酸メチル樹脂、タール、及びその組み合わせのうち少なくとも1つを含む、上記項目27に記載の組成物。
32.接着剤が、エポキシ樹脂及びタールのうち少なくとも1つを含む、上記項目27に記載の組成物。
33.着氷防止剤が、酢酸マグネシウムカルシウム、酢酸カリウム、酢酸ナトリウム、塩化ナトリウム、ギ酸ナトリウム、塩化マグネシウム、プロピレングリコール、尿素付加プロピレングリコール、尿素付加エチレングリコール、炭酸カリウム、及びその組み合わせのうち少なくとも1つを含む、上記項目27に記載の組成物。
34.骨材がドロマイトを含む、上記項目27に記載の方法。
35.骨材が石灰石を含む、上記項目27に記載の組成物。
36.組成物が残留効果を示す、上記項目27に記載の組成物。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
雪又は氷と支持体の付着を抑制又は防止する方法であって、
接着剤を支持体に付与すること、
乾燥骨材を接着剤上に散布して骨材−接着剤を形成すること、及び
着氷防止剤を骨材−接着剤上に付与すること
を含む方法。
【請求項2】
接着剤が、エポキシ樹脂、スチレン樹脂、メタクリル酸メチル樹脂、タール、及びその組み合わせのうち少なくとも1つを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
接着剤が、エポキシ樹脂及びタールのうち少なくとも1つを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
支持体が舗装を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
支持体が、道路、橋梁、滑走路、タールマック、及び車両が走行する可能性のある表面のうち少なくとも1つを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
骨材が、フリント、珪砂、玄武岩、フリーダート、クレー、石灰石、ドロマイト、スラグ、及びその組み合わせのうち少なくとも1つを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
骨材が石灰石を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
骨材がドロマイトを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
着氷防止剤が、酢酸マグネシウムカルシウム、酢酸カリウム、酢酸ナトリウム、塩化ナトリウム、ギ酸ナトリウム、塩化マグネシウム、プロピレングリコール、尿素付加プロピレングリコール、尿素付加エチレングリコール、炭酸カリウム、及びその組み合わせのうち少なくとも1つを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
骨材の一部分が接着剤に内包されないように骨材を散布し、これにより着氷防止剤が骨材の細孔を充填できる、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
さらに接着剤を硬化させることを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
さらに、第2接着剤の付与及び第2骨材の散布を含み、第2接着剤及び第2骨材が前記の接着剤及び骨材と同一又は異なっている、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
さらに、骨材−接着剤を清浄化して骨材−接着剤の残留効果を高めることを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
残留効果を生じさせる方法である、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
散布がさらに、接着剤上への骨材の撒き散らし、落下、及び吹付けのうち少なくとも1つを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項16】
接着剤及び骨材、ここで、前記骨材の一部分は接着剤に内包され、且つ多数の細孔を有する;並びに
前記細孔を少なくとも部分的に充填した着氷防止剤
を含む着氷防止用コーティングであって、
前記骨材は、フリント、珪砂、玄武岩、フリーダート、クレー、石灰石、ドロマイト、スラグ、及びその組み合わせのうち少なくとも1つを含むこと、及び、
前記接着剤は、エポキシ樹脂、スチレン樹脂、メタクリル酸メチル樹脂、及びその組み合わせのうち少なくとも1つを含むことを特徴とするコーティング。
【請求項17】
接着剤が支持体に固定されている、請求項16に記載のコーティング。
【請求項18】
支持体が舗装を含む、請求項17に記載のコーティング。
【請求項19】
支持体が、道路、橋梁、滑走路、タールマック、及び車両が走行する可能性のある表面のうち少なくとも1つを含む、請求項17に記載のコーティング。
【請求項20】
接着剤が、少なくともエポキシ樹脂を含む、請求項17に記載のコーティング。
【請求項21】
骨材が石灰石を含む、請求項16に記載のコーティング。
【請求項22】
骨材がドロマイトを含む、請求項16に記載のコーティング。
【請求項23】
着氷防止剤が、酢酸マグネシウムカルシウム、酢酸カリウム、酢酸ナトリウム、塩化ナトリウム、ギ酸ナトリウム、塩化マグネシウム、プロピレングリコール、尿素付加プロピレングリコール、尿素付加エチレングリコール、炭酸カリウム、及びその組み合わせのうち少なくとも1つを含む、請求項16に記載のコーティング。
【請求項24】
コーティングが残留効果を示す、請求項16に記載のコーティング。
【請求項25】
細孔を有する石灰石及びドロマイトのうち少なくとも一方を少なくとも部分的に内包した接着剤;並びに
石灰石及びドロマイトのうち少なくとも一方の少なくとも1つの細孔を少なくとも部分的に充填した着氷防止剤
を含む着氷防止用コーティング。
【請求項26】
接着剤が支持体に固定されている、請求項25に記載のコーティング。
【請求項27】
支持体が舗装を含む、請求項26に記載のコーティング。
【請求項28】
支持体が、道路、橋梁、滑走路、タールマック、及び車両が走行する可能性のある表面のうち少なくとも1つを含む、請求項26に記載のコーティング。
【請求項29】
接着剤が、エポキシ樹脂、スチレン樹脂、メタクリル酸メチル樹脂、タール、及びその組み合わせのうち少なくとも1つを含む、請求項25に記載のコーティング。
【請求項30】
接着剤が、エポキシ樹脂及びタールのうち少なくとも1つを含む、請求項25に記載のコーティング。
【請求項31】
着氷防止剤が、酢酸マグネシウムカルシウム、酢酸カリウム、酢酸ナトリウム、塩化ナトリウム、ギ酸ナトリウム、塩化マグネシウム、プロピレングリコール、尿素付加プロピレングリコール、尿素付加エチレングリコール、炭酸カリウム、及びその組み合わせのうち少なくとも1つを含む、請求項25に記載のコーティング。
【請求項32】
骨材がドロマイトを含む、請求項25に記載のコーティング。
【請求項33】
骨材が石灰石を含む、請求項25に記載のコーティング。
【請求項34】
コーティングが残留効果を示す、請求項25に記載のコーティング。
【請求項35】
雪又は氷と支持体の付着を抑制又は防止する方法であって、
接着剤を支持体に付与すること、
乾燥骨材を接着剤上に散布して、前記骨材の一部分は接着剤に内包され且つ前記骨材の少なくとも一部分は接着剤に内包されないようにすること、及び
着氷防止剤を前記骨材上に付与すること
を含む方法。
【請求項36】
石灰石及びドロマイトのうち少なくとも一方の少なくとも一部分が接着剤に内包されていない、請求項25に記載のコーティング。
【請求項37】
骨材の少なくとも一部分が接着剤に内包されていない、請求項16に記載のコーティング。
【請求項38】
接着剤が、細孔を有する石灰石及びドロマイトのうち少なくとも一方を部分的に内包することを特徴とする請求項25に記載のコーティング。
【請求項1】
雪又は氷と支持体の付着を抑制又は防止する方法であって、
接着剤を支持体に付与すること、
乾燥骨材を接着剤上に散布して骨材−接着剤を形成すること、及び
着氷防止剤を骨材−接着剤上に付与すること
を含む方法。
【請求項2】
接着剤が、エポキシ樹脂、スチレン樹脂、メタクリル酸メチル樹脂、タール、及びその組み合わせのうち少なくとも1つを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
接着剤が、エポキシ樹脂及びタールのうち少なくとも1つを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
支持体が舗装を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
支持体が、道路、橋梁、滑走路、タールマック、及び車両が走行する可能性のある表面のうち少なくとも1つを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
骨材が、フリント、珪砂、玄武岩、フリーダート、クレー、石灰石、ドロマイト、スラグ、及びその組み合わせのうち少なくとも1つを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
骨材が石灰石を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
骨材がドロマイトを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
着氷防止剤が、酢酸マグネシウムカルシウム、酢酸カリウム、酢酸ナトリウム、塩化ナトリウム、ギ酸ナトリウム、塩化マグネシウム、プロピレングリコール、尿素付加プロピレングリコール、尿素付加エチレングリコール、炭酸カリウム、及びその組み合わせのうち少なくとも1つを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
骨材の一部分が接着剤に内包されないように骨材を散布し、これにより着氷防止剤が骨材の細孔を充填できる、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
さらに接着剤を硬化させることを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
さらに、第2接着剤の付与及び第2骨材の散布を含み、第2接着剤及び第2骨材が前記の接着剤及び骨材と同一又は異なっている、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
さらに、骨材−接着剤を清浄化して骨材−接着剤の残留効果を高めることを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
残留効果を生じさせる方法である、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
散布がさらに、接着剤上への骨材の撒き散らし、落下、及び吹付けのうち少なくとも1つを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項16】
接着剤及び骨材、ここで、前記骨材の一部分は接着剤に内包され、且つ多数の細孔を有する;並びに
前記細孔を少なくとも部分的に充填した着氷防止剤
を含む着氷防止用コーティングであって、
前記骨材は、フリント、珪砂、玄武岩、フリーダート、クレー、石灰石、ドロマイト、スラグ、及びその組み合わせのうち少なくとも1つを含むこと、及び、
前記接着剤は、エポキシ樹脂、スチレン樹脂、メタクリル酸メチル樹脂、及びその組み合わせのうち少なくとも1つを含むことを特徴とするコーティング。
【請求項17】
接着剤が支持体に固定されている、請求項16に記載のコーティング。
【請求項18】
支持体が舗装を含む、請求項17に記載のコーティング。
【請求項19】
支持体が、道路、橋梁、滑走路、タールマック、及び車両が走行する可能性のある表面のうち少なくとも1つを含む、請求項17に記載のコーティング。
【請求項20】
接着剤が、少なくともエポキシ樹脂を含む、請求項17に記載のコーティング。
【請求項21】
骨材が石灰石を含む、請求項16に記載のコーティング。
【請求項22】
骨材がドロマイトを含む、請求項16に記載のコーティング。
【請求項23】
着氷防止剤が、酢酸マグネシウムカルシウム、酢酸カリウム、酢酸ナトリウム、塩化ナトリウム、ギ酸ナトリウム、塩化マグネシウム、プロピレングリコール、尿素付加プロピレングリコール、尿素付加エチレングリコール、炭酸カリウム、及びその組み合わせのうち少なくとも1つを含む、請求項16に記載のコーティング。
【請求項24】
コーティングが残留効果を示す、請求項16に記載のコーティング。
【請求項25】
細孔を有する石灰石及びドロマイトのうち少なくとも一方を少なくとも部分的に内包した接着剤;並びに
石灰石及びドロマイトのうち少なくとも一方の少なくとも1つの細孔を少なくとも部分的に充填した着氷防止剤
を含む着氷防止用コーティング。
【請求項26】
接着剤が支持体に固定されている、請求項25に記載のコーティング。
【請求項27】
支持体が舗装を含む、請求項26に記載のコーティング。
【請求項28】
支持体が、道路、橋梁、滑走路、タールマック、及び車両が走行する可能性のある表面のうち少なくとも1つを含む、請求項26に記載のコーティング。
【請求項29】
接着剤が、エポキシ樹脂、スチレン樹脂、メタクリル酸メチル樹脂、タール、及びその組み合わせのうち少なくとも1つを含む、請求項25に記載のコーティング。
【請求項30】
接着剤が、エポキシ樹脂及びタールのうち少なくとも1つを含む、請求項25に記載のコーティング。
【請求項31】
着氷防止剤が、酢酸マグネシウムカルシウム、酢酸カリウム、酢酸ナトリウム、塩化ナトリウム、ギ酸ナトリウム、塩化マグネシウム、プロピレングリコール、尿素付加プロピレングリコール、尿素付加エチレングリコール、炭酸カリウム、及びその組み合わせのうち少なくとも1つを含む、請求項25に記載のコーティング。
【請求項32】
骨材がドロマイトを含む、請求項25に記載のコーティング。
【請求項33】
骨材が石灰石を含む、請求項25に記載のコーティング。
【請求項34】
コーティングが残留効果を示す、請求項25に記載のコーティング。
【請求項35】
雪又は氷と支持体の付着を抑制又は防止する方法であって、
接着剤を支持体に付与すること、
乾燥骨材を接着剤上に散布して、前記骨材の一部分は接着剤に内包され且つ前記骨材の少なくとも一部分は接着剤に内包されないようにすること、及び
着氷防止剤を前記骨材上に付与すること
を含む方法。
【請求項36】
石灰石及びドロマイトのうち少なくとも一方の少なくとも一部分が接着剤に内包されていない、請求項25に記載のコーティング。
【請求項37】
骨材の少なくとも一部分が接着剤に内包されていない、請求項16に記載のコーティング。
【請求項38】
接着剤が、細孔を有する石灰石及びドロマイトのうち少なくとも一方を部分的に内包することを特徴とする請求項25に記載のコーティング。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【公開番号】特開2010−229810(P2010−229810A)
【公開日】平成22年10月14日(2010.10.14)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2010−130088(P2010−130088)
【出願日】平成22年6月7日(2010.6.7)
【分割の表示】特願2003−554812(P2003−554812)の分割
【原出願日】平成14年10月9日(2002.10.9)
【出願人】(591064531)ボード・オブ・コントロール・オブ・ミシガン・テクノロジカル・ユニバーシティ (1)
【氏名又は名称原語表記】BOARD OF CONTROL OF MICHIGAN TECHNOLOGICAL UNIVERSITY
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年10月14日(2010.10.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−130088(P2010−130088)
【出願日】平成22年6月7日(2010.6.7)
【分割の表示】特願2003−554812(P2003−554812)の分割
【原出願日】平成14年10月9日(2002.10.9)
【出願人】(591064531)ボード・オブ・コントロール・オブ・ミシガン・テクノロジカル・ユニバーシティ (1)
【氏名又は名称原語表記】BOARD OF CONTROL OF MICHIGAN TECHNOLOGICAL UNIVERSITY
【Fターム(参考)】
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