説明

着色スペックル

本発明は、粒状洗濯用洗剤および他の消費製品での使用のための、にじまずかつ迅速に色を放出する着色スペックルに関する。このスペックルは多孔質キャリアと、放出材と、着色剤とから構成されている。

【発明の詳細な説明】
【発明の概要】
【0001】
関連出願の相互参照
本願は、2009年8月25日に出願された「Colored Speckles」と題された米国特許仮出願第61/236,707号の優先権を主張し、その全体が参照により本明細書に組み込まれている。
【0002】
発明の分野
本発明は、粒状洗濯用洗剤および他の消費製品での使用のための、にじまずかつ迅速に色を放出する着色スペックルに関する。このスペックルは多孔質キャリアと放出剤と着色剤とから構成されている。
【0003】
発明の背景
近年、着色スペックルの粒状洗濯用洗剤組成物および他の消費製品への組み込みに対する増勢がある。染料および顔料は、美的目的のみを果たす着色スペックルを製造するのに広く使用されてきた。しかしながら、新規の効果たとえば洗浄水への色の放出およびファブリックの着色などはより高い着色剤添加量を必要とする傾向がある。特にこれらの高い着色剤添加量では、染料および顔料の使用に関連するファブリックのしみ付けのリスクがある。したがって、洗剤組成物および他の消費製品での使用のための着色スペックルであって、美的目的を果たすことと、さらには色の放出およびファブリックの着色の新規の効果をこの着色スペックルに接触する基材にしみを付けることなしに提供することとの両方が可能な着色スペックルが必要とされている。
【0004】
加えて、着色スペックルを粒状洗濯用洗剤に含ませることは、このスペックルの周りにある粉末洗剤への色のにじみまたは色移りの問題がある。これにより原料粉末が着色され、これは非常に望ましくない効果である。したがって、洗剤組成物での使用のための着色スペックルであって、周りの原料粉末ににじまないまたは移らない着色スペックルが必要とされている。
【0005】
洗剤中に着色スペックルを含ませる他人による試みとしては、たとえばRolfesのUSPN 4,097,418が挙げられる。この特許は着色スペックルの粒状洗剤組成物における使用を開示している。この着色スペックルは、着色剤用のキャリアとして働く水溶性無機アルカリ塩から構成されている。着色剤は水溶性染料でもよいしまたは水に不溶な顔料でもよい。MataらのUSPN 6,541,437は、染料および/または顔料用のキャリアとしてのガラス状フォスファート粒子の使用を開示している。この着色粒子は、洗剤組成物の洗浄性能を高めるのを助けるために、この洗剤組成物に添加されうる。
【0006】
さらにもう1つの例としてはAndradeらへのWO 2006/099964 A1が挙げられ、これは粘土鉱物キャリアと雲母顔料とから構成されるスペックル粒剤の使用を開示している。洗浄液中での粒剤の分散速度を高めるために、この文献は可溶性ビルダー塩、たとえばトリポリリン酸ナトリウムを粘土と混合させてこの粒剤に含ませることを教示している。水溶性ポリマーコーティング、たとえばポリビニルアルコールをこの粒剤にさらに添加して、保管中および取り扱い中に雲母が粘土から離れることを防ぐのを助けることができる。
【0007】
着色スペックルを洗剤に含ませる他人による以前の試みに関連する問題としては、スペックルで使用する着色剤からのファブリックのしみ付け、周りの洗剤粉末への着色剤のにじみおよび色移り、ならびにこのスペックルが洗浄水への着色剤の迅速な放出をできないことが挙げられる。本開示はこれらの問題に対処しかつこれらを解消するものである。
【0008】
本開示の着色スペックルは、色を種々の他の組成物たとえば、限定されないが、粒状洗剤組成物(たとえば選択用洗剤組成物)に提供することに申し分なく好適である。この着色スペックルは、しみ付けなしに、審美的に見て美しい特徴を、それによって処理した繊維基材に提供することができる。また、それらは周りの洗剤組成物へのにじみまたは色移りを阻止する。さらに、この開示の着色スペックルは多孔質キャリアから迅速に色を放出し、所望の色を洗浄水に提供する。これらの理由、およびここで説明する他の理由のために、この着色スペックルは従来技術に優る有益な進歩を示す。
【0009】
発明の概要
ここに、着色スペックルであって、大部分の重量の少なくとも1種の多孔質キャリア材料と;塩化合物、糖化合物、アルコキシル化芳香族化合物、グリコール、高分子量アルコール、60℃を超える沸点を有する溶媒、およびこれらの混合物からなる群より選択される少なくとも1種の放出剤と;少なくとも1種の着色剤とを含む着色スペックルを提供する。
【0010】
もう1つの他の選択肢としては、着色スペックルであって、粘土、シリカ、ゼオライト、金属酸化物、珪藻土、雲母、滑石、白亜、石膏含有化合物、含鉛酸化亜鉛、酸化亜鉛、硫化亜鉛、リトポン、二酸化チタン、硫酸カルシウム、酸化アンチモン、珪酸マグネシウム、バライト、塩基性炭酸鉛、炭酸カルシウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、珪酸カルシウム、シリカ艶消し剤、珪酸アルミニウム、含水珪酸アルミニウム、珪酸マグネシウム、メタ珪酸カルシウム、珪酸ナトリウム−カリウム−アルミニウム、トリポリリン酸ナトリウム、珪酸ナトリウム、ソーダ灰含有化合物、およびこれらの組み合わせから選択される、大部分の重量の少なくとも1種の多孔質キャリア材料と;塩化合物、糖化合物、アルコキシル化芳香族化合物、グリコール、高分子量アルコール、60℃を超える沸点を有する溶媒、およびこれらの混合物からなる群より選択される少なくとも1種の放出剤と;少なくとも1種のポリマー着色剤とを含む着色スペックルが挙げられる。
【0011】
さらに、ここに、着色スペックルであって、複数の孔を有することを特徴とする少なくとも1種の多孔質キャリア材料と、少なくとも1種の放出剤を含む第1の層であって、この放出剤が少なくとも1種の多孔質キャリア材料の複数の孔の少なくとも一部に直接接触している第1の層と、約0.01重量%から約10重量%までの少なくとも1種の着色剤を含む第2の層であって、この着色剤が放出剤層の少なくとも一部に直接接触している第2の層とを含む着色スペックルを提供する。
【0012】
さらに、ここに、少なくとも1種の多孔性キャリア材料を含む着色スペックルであって、この少なくとも1種の多孔質キャリア材料は、複数の孔と、少なくとも1種の放出剤および少なくとも1種の着色剤の混合物とを有することを特徴とする着色スペックルを提供する。
【0013】
もう1つの実施形態としては、着色スペックルを形成する方法であって、少なくとも1種の多孔質キャリア材料を用意する工程と;少なくとも1種の放出剤を少なくとも1種の多孔質キャリア材料に塗布してキャリア−放出剤複合体を形成する工程と;少なくとも1種の着色剤をキャリア−放出剤複合体に塗布して、着色スペックルを形成する工程とを含む方法が挙げられる。
【0014】
さらにもう1つの選択肢は、着色スペックルを形成する方法であって、少なくとも1種の多孔質キャリア材料を用意する工程と;少なくとも1種の放出剤および少なくとも1種の着色剤の混合物を少なくとも1種の多孔質キャリア材料に塗布して、着色スペックルを形成する工程とを含む方法である。
【0015】
発明の詳細な説明
本明細書に開示する全ての米国および外国特許ならびに米国特許出願は参照によりその全体がここに組み込まれている。
【0016】
本開示は、粒状洗剤組成物での使用のための、にじまずかつ迅速に色を放出する着色スペックルに関する。この着色スペックルは水分散性または水溶性材料から作られる多孔質粒剤を含み、これは着色剤および放出剤用のキャリアとして働く。この多孔質キャリアは周りの洗剤組成物への色のにじみに対する優れた耐性を提供する。放出剤をこのキャリアと組み合わせて使用することは、このキャリアから洗浄水への着色剤の迅速な(すなわち、5分より短い時間での)放出を可能にする。ここで、本開示は、キャリアが提供する耐にじみ性を維持しながら着色剤放出時間を劇的に改善するこの着色スペックルと、この着色スペックルを製造する方法とを説明する。
【0017】
用語「しみを付けない」は、ここで使用される限りにおいて、着色剤、またはこのような着色剤を含有する組成物を、基材表面(たとえば皮膚、ファブリック、木材、コンクリート)から、比較的容易におよび基材にあまりしみを付けることなしに洗浄または除去できることを一般に表す。
【0018】
用語「にじまない」は、ここで使用される限りにおいて、着色剤含有組成物が、材料を着色させることを意図していない条件下において、この組成物の周りの材料を実質的に着色しないことを一般に表す。たとえば、本発明の着色スペックルは、この着色スペックルがその不使用状態では(すなわちそれがパッケージ内にある間は)周りの粉末洗剤を実質的に着色できないならば、一般に「にじまない」と見なされるであろう。
【0019】
理論によって縛られないが、多孔質粒剤、すなわちキャリアは、その形状および/または構造のおかげで、その表面とさらには所定の粒径分布、深さおよび捩じれを有するその内部との両方に大量の孔を有すると考えられる。多孔質粒剤に塗布した着色剤は、毛管作用によってこれらの孔の中に引かれ、それにより、着色剤に接触した非多孔質材料で起こると考えられる粒剤の表面上のみに存在する場合よりも、外部環境から「保護される」または「遮蔽される」であろう。さらに、この物理的「保護」または「遮蔽」は、この粒剤の多孔質性のおかげで、この粒剤を含有する着色スペックルににじみ防止を提供する要因であると考えられる。したがって、洗浄水中に存在する場合、このような多孔質粒剤からの着色剤の放出速度は、この粒剤の崩壊、膨潤または分散の速度に依存しうる。これらの要因は、多孔質粒剤からの、非多孔質粒剤(繰り返しになるが、着色剤が粒剤の外部表面にのみに存在する場合)と比べて遅い色の放出をもたらしうる。
【0020】
考慮すべきもう1つの要因は、着色剤と多孔質粒剤(たとえば粘土)を含む材料との間の相互作用である。たとえば結合力、吸着などによって提供されうる着色剤と粒剤、すなわちキャリアとの間の有利な相互作用は、得られる着色スペックルの耐にじみ性をさらに高めうる。しかしながら、相互作用が強すぎる場合、それは、たとえ着色スペックル粒剤が迅速に崩壊しても、着色スペックルから洗浄水への着色剤の放出速度を抑制しうる。
【0021】
着色剤とキャリア粒剤との間のこの相互作用が着色剤の放出を阻害しうる可能性をなくするまたはそれを低減するために、着色剤はそれがキャリアよりむしろ放出剤に接触する(吸着されるまたは吸収される)ようにキャリアに塗布されうる。放出剤は、粒剤の孔の内壁との着色剤の相互作用を妨げるおよび/またはそれを低減されるように働く。着色剤を、キャリアの表面よりむしろ、主に放出剤に接触させることができる。
【0022】
1つの非限定的な実施形態では、キャリア対放出剤対着色剤のこの構造的な配置は、着色剤の塗布の前に、多孔質粒剤の内壁または表面に放出剤を添加することによって達成できる。毛管作用などの力は着色剤を孔の中に引き込むことができ、ここで着色剤は外部環境から遮蔽される。これは着色剤を主に放出剤に接触させ、多孔質粒剤、すなわちキャリアの壁または表面に直接接触させない。
【0023】
理論によって縛られないが、放出剤による多孔質粒剤の変性は、それに有害な影響を与えうる(たとえば放出速度を減速しうる)多くの要因と無関係である多孔質粒剤からの着色剤の放出速度をもたらすと考えられる。これらの要因としては、多孔質粒剤の膨潤、崩壊および分散の速度または着色剤を多孔質粒剤に保持する結合および/または吸着力が挙げられる。結果として、放出剤が塗布された多孔質粒剤、すなわちキャリアには、にじみ安定性および洗浄水中での迅速な色の放出という所望の二重の利点がある。
【0024】
加えて、多孔質粒剤からの着色剤の迅速な放出を与えるのに必要とされる放出剤の量は、孔の孔径分布、深さおよび捩じれなどの要因を含む粒剤、キャリアの「ポロシティ」と、粒剤の崩壊の速度とに直接依存しうる。また、着色剤とキャリアまたはキャリア材料との間の相互作用の強さはこれらの所望の特徴に影響を与える場合があると考えられる。
【0025】
キャリア
キャリアは好ましくは複数の孔を有することを特徴とする多孔質粒剤の形態にある。着色スペックルは大部分の重量のキャリアを含みうる。多孔質粒剤を製造するのに使用する材料は水分散性材料であることを特徴としうる。これらの多孔質粒剤、すなわちキャリアを形成するために造粒されうる好適なキャリア材料は、限定されないが、粘土、シリカ、ゼオライト、金属酸化物、珪藻土、雲母、滑石、白亜、石膏含有化合物、含鉛酸化亜鉛、酸化亜鉛、硫化亜鉛、リトポン、二酸化チタン、硫酸カルシウム、酸化アンチモン、珪酸マグネシウム、バライト、塩基性炭酸鉛、炭酸カルシウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、珪酸カルシウム、シリカ艶消し剤、含水珪酸アルミニウムなどの珪酸アルミニウム、珪酸マグネシウム、メタ珪酸カルシウム、珪酸ナトリウム−カリウム−アルミニウムなど、およびこれらの組み合わせを含有するおよび/または含む化合物から選択されうる。水溶性キャリアの好適な例としては、洗浄ビルダーたとえばトリポリリン酸ナトリウム、珪酸ナトリウム、ソーダ灰含有化合物などおよびこれらの組み合わせが挙げられる。
【0026】
粘土材料の例としては、ベントナイト、カオリン、スメクタイト、イライト、緑泥石、ホルマイト、バイデル石、海泡石、明礬石、ハイドロタルサイト、ノントロナイト、ヘクトライト、アタパルジャイト、ピメライト、白雲母、珪酸亜鉛鉱、ミネソタイト、アンチゴライト、アモサイト(amesite)、陶土、ハロサイトなど、およびこれらの組み合わせが挙げられる。好適な粘土キャリアの市販の例としては、Pelben(登録商標) 10およびPelben(登録商標) 35(ブラジルの企業Buntechから得られる)が挙げられる。粘土粉末の好適な例としては、Argel(登録商標) 10およびArgel(登録商標) 40(Buntechから得られる)が挙げられる。
【0027】
ベントナイトは、スメクタイト粘土鉱物(たとえば、モンモリロナイト、ヘクトライト、ノントロナイトなど)から主に構成されている粘土であり、その性質は典型的にこれらによって決められる。スメクタイトは負電荷帯電層のスタック(各層は1つの八面体層に結合した2つの四面体層から構成されている;四面体は珪素原子および酸素原子によって形成されおり、八面体はアルミニウム原子および酸素原子ならびにヒドロキシルラジカルによって形成されている)から一般に構成され、アルカリ土類金属カチオン(たとえばCa2+および/またはMg2+)および/またはアルカリ金属カチオン(たとえばNa+および/またはK+)によって埋め合わされているおよび/またはそれによって補償されている。2つのタイプ(アルカリ土類金属およびアルカリ金属)のカチオンの相対量が典型的に水に置いた際のこの粘土材料の膨潤特性を決定する。アルカリ土類金属カチオンCa2+が優勢である(すなわちそれが比較的大部分である)ベントナイトはカルシウムベントナイトと呼ばれる;一方、アルカリ金属カチオンNa+が優勢である(すなわちそれが比較的大部分である)ベントナイトはナトリウムベントナイトと呼ばれる。
【0028】
用語「天然」は、粘土材料に関して使用される限りにおいて、土壌で見つかる鉱床中の鉱物(海盆における火山灰鉱床の地質学的プロセスによる変化によって生じる)の存在を指す。したがって、主に(すなわち比較的多量の)Na+カチオンを含有するベントナイトの天然鉱床は「天然ナトリウムベントナイト」と呼ばれ、一方で主に(すなわち比較的多量の)Ca2+カチオンを含有するベントナイトの天然鉱床は「天然カルシウムベントナイト」と呼ばれる。
【0029】
また、NaおよびCaベントナイトの合成類似物を(たとえば水熱プロセスを使用することによって)合成することもできる。また、「合成ナトリウムベントナイト」は、(カルシウムイオンを除去してそれをナトリウムイオンと交換するための)カルシウムベントナイトの、限定されないが、炭酸ナトリウムまたはシュウ酸ナトリウムによる処理によって得られるベントナイトを指すこともある。この処理は、イオン交換すなわちNa+とCa2+との置換の異なるレベルを与えるために変更することができる。ここでは、これらの材料を、それぞれ、「部分的に活性された」および「完全に活性された」グレードの粘土材料と呼ぶ(「完全に」はCa2+とNa+との最大の交換を指す)。
【0030】
カルシウムベントナイトを合成ナトリウムベントナイトに変換する理由の1つは、そうしないと(比較的)膨潤性のないカルシウムベントナイトにより大きな膨潤性を与えることにある。また、天然ナトリウムベントナイトにはない合成ナトリウムベントナイトに関連する審美的な利益もある。天然ナトリウムベントナイトは(一般に、世界において鉱床が位置する地域とは無関係に)有色である。色は茶色から黄色ないし灰色までに及ぶ。比較すると、天然カルシウムベントナイトは審美的に見てより美しい白色を有する。それゆえに、この白色カルシウムベントナイトの処理によって得られる合成ナトリウムベントナイトも白色である。結果として、天然カルシウムベントナイトおよび合成ナトリウムベントナイトは、天然ナトリウムベントナイトと比較すると、洗剤産業におけるより広範な使用を見出す。
【0031】
出願人の研究は、所定の着色剤のこの着色剤が適用されたファブリックにしみを付ける性質に関しての、(着色粘土スペックルまたは着色粘土粉末の形態にある)ベントナイト粘土のタイプに依存する(天然ナトリウムベントナイト対天然カルシウムベントナイト;天然ナトリウムベントナイト対合成ナトリウムベントナイト;部分的に活性された合成ナトリウムベントナイト対完全に活性された合成ナトリウムベントナイト)大きな違いを示した。等量の着色剤添加量では、天然ナトリウムベントナイトはカルシウムベントナイトよりも相当低いしみ付け性を示すことを発見した。また、等量の着色剤添加量では、合成ナトリウムベントナイトはカルシウムベントナイトよりも低いしみ付けのリスクを示すことも発見した。しかしながら、等量の着色剤添加量では、完全に活性された合成ナトリウムベントナイトであっても、天然ナトリウムベントナイトよりも大きなしみ付けを示す。着色剤をベントナイトスペックルまたはベントナイト粉末のどちらに適用したかとは無関係に、同様の知見が得られた。
【0032】
理論によって縛られないが、膨潤性がより高い粘土はそれに適用される着色剤のしみ付けのリスクを低減させると考えられる。しかしながら、天然ナトリウムベントナイトから作られる着色スペックルの外観は、この天然ナトリウムベントナイトの黄色/灰色/茶色の呈色のせいで、改善させる必要がありうる。天然ナトリウムベントナイトの使用によって認められるしみ付けのリスクの著しい減少は、天然ナトリウムベントナイトと白色ベントナイト(たとえばカルシウムベントナイトもしくは合成ナトリウムベントナイトまたはこれらの混合物)とをブレンドし、それにより、100%の天然Naベントナイトスペックルよりも白い外観を有するが、100%のCaベントナイトスペックルおよび合成ナトリウムベントナイトスペックルよりもしみ付けリスクが低いスペックルが得られることが考えられることを示している。
【0033】
また、多孔質粒剤を製造するのに使用する材料は、迅速な溶解の速度を持たない水溶性材料(たとえばフォスファート)でもよい。用語「迅速」は、着色剤の洗浄水溶液への早いおよび/または即時の放出を可能にする溶解速度を説明することを目的としている。
【0034】
キャリアは、たとえば、ASTM D1921−06(「プラスチック材料の粒径についての標準的な試験方法(篩い分け分析)」)に従う篩い分け技術によって測定される特定の範囲の粒径を示すことが好ましい場合がある。また、粒径を測定するのに、当業者に知られている代わりの方法を利用することもできる。たとえば他の篩い分け技術を使用してもよいし、または粒径を測定するためのものとして知られている電気的な実験器具を代わりに用いてもよい。本発明のキャリアについて、キャリアが約0.1mmないし約2mmの平均粒径、より好ましくは約0.3mmないし約1.2mmの平均粒径を示すことが好ましい場合がある。
【0035】
着色剤
本発明の着色剤は好ましくはポリマー着色剤である。用語「ポリマー着色剤」は少なくとも1種の発色団部分が少なくとも1種のオリゴマー鎖またはポリマー鎖(この鎖は少なくとも3つの繰り返し単位を有する)に結合している着色剤を一般に指す。オリゴマーまたはポリマー成分は、任意の好適な手段、たとえば共有結合、イオン結合、または好適な静電相互作用によって発色団に結合しうる。一般に、ポリマー着色剤は、UV可視分光法によって測定される約300ナノメートルと約900ナノメートルとの間の範囲にある吸収を有することを特徴としうる。
【0036】
その製造プロセスに応じて、ポリマー着色剤は、分子量分布として典型的に表される分子量を有する。したがって、ポリマー着色剤の分子量は、その分子量分布によって決定される平均分子量として一般に報告される。
【0037】
着色剤の発色団は広く多様であり、当技術において染料としてまたは顔料として特徴付けられている化合物を挙げることができる。使用する実際の団は、たとえば所望の色および耐色特性によるところが大きいであろう。この発色団は少なくとも1つのポリアルキレンオキシ置換基に窒素、酸素、硫黄などの好適な結合部分を介して結合できる。
【0038】
発色団の例としては、ニトロソ、ニトロ、アゾ(モノアゾ、ジアゾ、トリスアゾ、テトラキスアゾ、ポリアゾ、ホルマザン、アゾメチンおよびこれらの金属錯体が挙げられる)、スチルベン、ジアリールメタン、トリアリールメタン、キサンテンアクリジン、キノリン、メチン(ポリメチンが挙げられる)、チアゾール、インダミン、インドフェノール、アジン、チアジン、オキサジン、アミノケトン、ヒドロキシケトン、アントラキノン(アントラピラゾリン、アントロン、アントラピリドン、アントラピリミジン、フラバントロン、ピラントロン、ベンズアントロン、ペリレン、ペリノン、ナフタルイミドおよび形状的にアントラキノンに関連する他の構造が挙げられる)、インジゴイド(チオインジゴイドが挙げられる)、フタロシアニンの発色団、およびこれらの混合物が挙げられる。
【0039】
好適なポリマー鎖の例はポリアルキレンオキシ鎖である。用語「ポリアルキレンオキシ」は、ここで使用される限りにおいて、以下の繰り返し単位を含む分子構造を一般に指す:−CH2CH2O−、CH2CH2CH2O−、−CH2CH2CH2CH2O−、−CH2CH(CH3)O−、−CH2CH(CH2CH3)O− CH2CH2CH(CH3)O−、およびこれらの任意の組み合わせ。
【0040】
発色団に結合しうるこれらの基の典型は、ポリマーエポキシド、たとえばポリアルキレンオキシドおよびこれらのコポリマーである。着色剤を提供するのに用いられ得る典型的なポリアルキレンオキシドおよびそのコポリマーとしては、2個から20個までの炭素原子、より好ましくは2個から6個までの炭素原子を含有するアルキレンオキシドモノマーから作られるそれが挙げられる。例としては:ポリエチレンオキシド;ポリプロピレンオキシド;ポリブチレンオキシド;オキセタン;テトラヒドロフラン;ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシドおよびポリブチレンオキシドのコポリマー;ならびにポリマー置換基のほとんどがポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシドおよび/またはポリブチレンオキシドであるブロックコポリマーなどの他のコポリマーが挙げられる。さらに、このようなポリアルキレンオキシ基は、約132から約10,000まで、好ましくは約176から約5000までの範囲にある平均分子量を有しうる。
【0041】
着色剤は通常キャリアと化学結合をしえないので、ポリアルキレンオキシ基の末端基の正確な化学的同一性は、この組成において着色剤が適切に機能することが考慮される限りにおいては重要ではない場合があることを理解されたい。これを考慮に入れれば、所定の最も好ましい着色剤が決まるであろうし、ここでは所定の末端基が同定されるであろう。末端基のこのような記載は、より広い実施形態における発明を何らかに限定するものであると解釈されるべきでない。このような最も好ましい実施形態に従うと、着色剤は以下のように特徴付けられる。
R{A[(アルキレンオキシ成分)n1mx
ここで、Rは有機発色団であり、Aは前記有機発色団における結合部分であってN、O、SまたはCO2からなる群より選択され、アルキレンオキシ成分のアルキレン部分は2個から約4個までの炭素原子を含み、nは2から約230までの整数であり、mは、AがO、S、CO2である場合は1であり、AがNである場合は1または2であり、xは1から5までの整数であり、n×x×mの積(n.m.x)は2から約230までであり、R1は以下からなる群のうちの1つの要素:
【化1】

【0042】
、ならびに前記群の要素の各々のスルフォナートおよびサルファートであり、ここでR2はH、約20個までの炭素原子を含むアルキルラジカルまたは約20個までの炭素原子を含むカルボキシ末端アルキルラジカルであり、jおよびkはOH、OMまたはOR3であり、ここでMはアルカリ金属、アルカリ土類金属、遷移金属、たとえばニッケルなど、またはアンモニウムのカチオン部分であり、R3は約20個までの炭素原子を含むアルキルラジカルである。
【0043】
オリゴマー成分は任意の好適な成分でよく、限定されないが、(i)C2−C20アルキレンオキシ基、グリシドール基、およびグリシジル基からなる群より選択される少なくとも3つのモノマー、すなわち繰り返し単位を含むオリゴマー、(ii)構造(I)に従う芳香族または脂肪族オリゴマーエステル
【化2】

【0044】
、ならびに(iii)(i)および(ii)の組み合わせからなる群より選択されるオリゴマー成分が挙げられる。構造(I)では、R2およびR3は水素およびC1−C10アルキル基からなる群より独立して選択され、fは1と10との間およびこれらを含む整数であり、gは1と20との間およびこれらを含む任意の正の整数または分数である。当業者によって理解されるように、gとして好適な値は整数および分数の両方を含む。なぜなら、それぞれのポリマー着色剤分子上のオリゴマー成分の長さは多様でありうるからである。したがって、gの値はポリマー着色剤分子のあるサンプルまたは集合についてのエステル鎖の平均長さを表す。所定の実施形態では、ポリマー着色剤は3つ以上のエチレンオキシドモノマー基からなる1種以上のオリゴマー成分を含むことができる。
【0045】
例示的なポリマー着色剤としては、Liquitint (登録商標) ポリマー着色剤、Cleartint (登録商標) ポリマー原液着色剤、Reactint (登録商標) ポリマー着色剤、およびPalmer(登録商標) ポリマー着色剤が挙げられ、これらは全て、サウスカロライナ州スパータンバーグにあるMilliken & Companyの一部門であるMilliken Chemicalから市販されている。Liquitint(登録商標) ポリマー着色剤は、水溶性であり、しみを付けない着色剤であることを特徴とする。これは洗濯用洗剤、ファブリックの柔軟剤、ならびに他の消費者および工業用洗浄剤において広く使用されている。Liquitint (登録商標) ポリマー着色剤は一般に明るい液体の着色剤であり、優れた水中溶解性を示し、それらの最終用途組成物中に存在する他の薬品との適合性があり、扱いが容易である。Liquitint (登録商標) ポリマー着色剤は水溶液系および固体系の両方で色を提供するのに使用できる。Liquitint (登録商標) ポリマー着色剤の独特のポリマー性は皮膚、織物、硬表面、装置などへの低減されたしみ付けを提供する。
【0046】
Cleartint (登録商標) ポリマー原液着色剤は、透明なポリプロピレン物品を着色するのによく使用される特殊な液体着色剤である。これらの着色剤を物品の透明性に悪影響を与えることなく容易にポリプロピレン樹脂に組み込んで、透明で、澄んでいて、明るく着色されたポリプロピレン物品を与えることができる。Cleartint (登録商標) 原液ポリマー着色剤は染料の非凡な美しさと顔料の移行抵抗性を兼ね備えたオリゴマー着色材料である。これらの着色剤は、残留ヘイズを隠すための明るい色として使用できるし、またはこれらは深くリッチな色調のために使用でき、これらは顔料着色剤では可能でない。Cleartint (登録商標) 原液ポリマー着色剤は、透明なポリプロピレンを、よりコストの高いプラスチック材料の美しさに匹敵させる。透明なポリプロピレンの技術的および物理的性質の利点を、製品の美しさを犠牲にすることなく利用できる。
【0047】
Reactint (登録商標) ポリマー着色剤は、ポリウレタン樹脂および他の熱硬化性樹脂を着色するのに有用な液体ポリマー着色剤である。これらの着色剤は、ポリオールと化学結合する発色団からなる反応性ポリマー着色剤である。この配置は、このポリマー着色剤をポリウレタンポリマーマトリックスに反応させる。液体キャリア中の固体粒子の分散体である顔料ペーストとは異なり、Reactint (登録商標) ポリマー着色剤はポリオールに可溶な100%の均質液体であり、時間の経過により沈降しないであろう。この純粋な液体および容易に分散する性質のおかげで、ポリウレタンフォームおよび樹脂を製造しながら、Reactint (登録商標) 着色剤をインラインでおよびオンザフライでブレンドできる。
【0048】
Palmer (登録商標) ポリマー着色剤は可洗用途での、たとえば市場、塗料および他の技術製品での使用のために特別に開発された液体着色剤である。これらは重金属を含有しておらず、毒性がなく、皮膚、ファブリックおよび他の表面に対する優れた非しみ付け性を有する。Palmer(登録商標) ポリマー着色剤は、水性インク組成物との優れた適合性を有し、明るい色を提供する。
【0049】
着色剤として他の着色剤を利用しうることも本発明の範囲内にあると考えられる。たとえば、以下の種類のうちの1種以上から選択される着色剤が着色スペックルにおける着色剤としての使用に好適でありうる:酸性染料、塩基性染料;直接染料、溶剤染料、建染め染料、媒染染料、インジゴイド染料、反応性染料、分散性染料、硫化染料、蛍光染料;顔料、有機物および無機物の両方;天然着色剤;など。
【0050】
放出剤
放出剤は、キャリアからの着色剤の迅速な放出を行うために一般に使用する。放出剤は、水に室温で可溶なまたは混和できる任意の材料でよいが、処理が容易なように、ある程度のないし高い水中溶解性(たとえば、20℃の100gの水に対し20gないし200gの放出剤)を有する材料を使用することが有利でありうる。放出剤が室温でその純粋な形態の固体であることが有利でありうる。固体の放出剤は、本質的にイオン性(たとえば、硫酸マグネシウム、硫酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、塩化ナトリウムなどの塩)でもよいし、非イオン性(スクロース、フルクトースなどの糖)でもよいし、イオン性物質および非イオン性物質の混合物でもよい。
【0051】
また、放出剤は水分散性の固体でもよい。しかしながら、このような場合、着色剤が示すこの水分散性放出剤に対する結合親和性が、キャリアおよび/またはキャリア材料に対するそれよりも弱い場合がある。このような放出剤の好適な例は、この着色スペックルのために利用される所望の着色剤に依存しかつそれに特異的でありうる。
【0052】
また、放出剤は、室温で固体ではない可溶性または混和性の材料でもよい。むしろ、放出剤は、室温で純粋な形態にある液体またはワックスでもよい。これらのタイプの放出剤の幾つかの例としては、アルコキシル化芳香族化合物(たとえばm−トルイジンのアルコキシラート)、グリコール(たとえばポリエチレングリコール)、高分子量アルコール(たとえば、エタノール、プロパノール、ヘキサノール、およびブタノール)、60℃を超える沸点を有する溶剤(たとえばジプロピルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、およびトルエン)など、およびこれらの混合物が挙げられる。
【0053】
m−トルイジンのアルコキシル化形態は以下の基のうちの1種以上でアルコキシル化されたものでありうる:エチレンオキシド(EO)、プロピレンオキシド(PO)、ブチレンオキシド(BO)、およびこれらの任意の混合物。m−トルイジンのアルコキシル化部分を形成する基の平均数は、約1から約200まで、より好ましくは約1から約100まで、最も好ましくは約1から約50まででありうる。
【0054】
固体放出剤の1つの潜在的利点は、理論的には、それをキャリア粒剤の孔の内壁に沿った任意の位置に(孔の壁上の非連続的または連続的でありうるコーティングの形態で)「固定」して、着色剤とキャリアとの間の非移行性の物理的バリアを形成できることにある。溶液への迅速な色放出のためには、放出剤を、孔の内部であるが、洗浄溶液への着色剤の持続性の迅速な放出がスペックルの製造から数ヶ月または数年後に達成できるようにキャリア粒剤表面に近づけて固定することが有利でありうる。この効果は液体放出剤では達成できない場合がある。なぜならそれらは時間が経過すると共にコアの中に動き続けることがあるからである。
【0055】
着色スペックル中に存在する放出剤の量は、多孔性キャリア材料すなわちキャリアの性質と得られる着色スペックルの所望の性質とに応じて多様でありうる。放出剤の量が洗浄水への着色剤の十分な放出を達成するのに十分であることが望ましい場合がある。より多量の放出剤は放出速度の増大を損なわないであろうが、多すぎる放出剤は多孔質キャリアによってもたらされるにじみ防止を損なうであろう。結果として、多孔質キャリアの放出剤に対する最適な比は、高められた色放出が可能でありにじみ防止を損なわない最も高いキャリア対放出剤の比でありうる。
【0056】
たとえば、キャリアの放出剤に対する重量比が、1000:1ないし1:1、より好ましくは500:1ないし1:1、さらにより好ましくは50:1ないし1:1、最も好ましくは20:1ないし1.5:1の範囲内にあることが望ましい場合がある。他の場合では、キャリアの放出剤に対する重量比は5重量部のキャリアに対し2重量部の放出剤であることが好ましい場合がある。
【0057】
任意の添加剤
着色スペックルに含ませることができる任意の添加剤としては、香料、酵素、漂白活性化剤、漂白剤、漂白触媒、漂白安定化剤、発泡制御剤(気泡増強剤および消泡剤)、蛍光増白剤、汚れ落とし剤、腐食防止剤、汚れ再付着防止剤、汚れ放出剤、転染防止剤、ビルダー、錯化剤、イオン交換体、緩衝剤、およびこれらの混合物が挙げられる。また、漂白防止剤たとえば膜形成ポリマーまたはポリマーコーティングを含ませることもできる。これらの添加剤は、着色剤に加えてまたは単独の活性成分として、放出剤によって変性させた多孔質キャリアに含ませることができる。
【0058】
着色スペックルの形成方法
本発明の着色スペックルを形成する1つの方法は、キャリアを用意する工程と、キャリアを回転ドラムまたは他の好適な機械的デバイスに入れる工程と、このドラムに熱を提供する工程とを含む。熱源としては、キャリアの温度を十分に昇温できる任意の好適な熱源を挙げることができる。たとえば、ヒートガンを利用できる。ドラムは、その内壁に隔壁もしくは他の突起物が取り付けられていてもよいしまたはこれらが取り付けられていなくてもよい。
【0059】
回転ドラムに熱を与えて、キャリアの温度を30℃ないし90℃、より好ましくは40℃ないし80℃の温度範囲まで昇温させてもよい。
【0060】
キャリアの温度がその所望の温度範囲に達したあと、放出剤を回転ドラムに添加することができる。放出剤は、好ましくは水溶液(たとえば、塩溶液)の状態で、材料を容器に添加する任意の通常の手段を使用してドラムに添加されうる。たとえば、放出剤をドラムの中にスプレーしてもよい。このようにして、放出剤は加熱されたキャリアに接触する。放出剤はキャリア上および/またはその内部に実質的に均一なコーティングを提供しうる。
【0061】
その後、放出剤は、毛管作用により、加熱されたキャリアの孔の中に吸収されうる。水を放出剤水溶液から蒸発させることによって、放出剤が多孔質粒剤の孔の内壁またはその表面上に堆積させる。この工程が完了したら、熱源を取り外してもよい。
【0062】
次に、着色剤を、好ましくは水溶液の状態で、回転ドラムに残ったキャリア−放出剤複合体に添加することができる。着色剤は、材料を容器に添加する任意の通常の手段を使用して、ドラムに添加されうる。たとえば、着色剤をドラムの中にスプレーしてもよい。このようにして、着色剤はキャリア−放出剤複合体に接触する。着色剤はキャリア−放出剤複合体上および/またはその内部に実質的に均一なコーティングを提供しうる。得られた着色スペックルは、スペックル上の着色剤の最終的な添加量が0.01%ないし10%、より好ましくは0.1ないし5%でありうる。
【0063】
次に、着色スペックルを乾燥させることができる。乾燥は、粒状物質を乾燥させるのに知られている任意の通常の手段によって達成できる。
【0064】
ここで説明する着色スペックルを製造する一般的な方法は、発明の範囲を限定するようは解釈されるべきでない。代わりの処理方法によって、キャリアと放出剤と着色剤とを組み合わせて、ここで説明する一般的な方法および当業者に知られているそれらと等価な方法によって製造した着色スペックルと類似した着色剤放出プロファイル、および他の所望の特徴を示す着色スペックルを製造することも可能であるはずである。たとえば、放出剤および着色剤を組み合わせて混合物にし、この混合物をキャリアにスプレーするまたは他の方法で適用することも可能でありうる。また、追加の着色剤をキャリアに続けて添加することもできるであろう。また、キャリアと放出剤と着色剤とを纏めて1つの工程で添加することによって所望の特徴を有する着色スペックルを製造できることも考えられうる。
【0065】

本発明は、発明の範囲を限定するものであると解釈されるべきでない以下の例を参照することによってさらに理解されうる。「N/A」という記載は、データが得られないまたは追加のデータが得られない場合に使用している。
【0066】
A.着色スペックルの調製
以下の手順のうちの1つ以上を使用して着色スペックルを調製した:
手順1
着色剤をキャリアに直接スプレーし、放出剤は使用しなかった。以下の工程に従ってこの手順を実行した:
1.キャリアを隔壁を有する回転ドラムに入れた。ドラムはこの手順の間ずっと回転し続けた。
2.着色剤を回転ドラム内のキャリアにスプレーして着色スペックルを形成した。
3.次に、着色スペックルを終夜空気乾燥させた。
【0067】
手順2
放出剤をキャリアに塗布し、その後着色剤を添加した。以下の工程にしたがって、この手順を実行した:
1.キャリアを隔壁を有する回転ドラムに入れた。角度を付けたヒートガンからバレルの側方に熱を与えた。その後、キャリアの温度をモニタした。ドラムはこの手順の間ずっと回転し続けた。
2.放出剤の水溶液を作った。
3.キャリアの温度が60℃に達したあと、放出剤溶液を回転ドラムにスプレーした。全ての放出剤溶液を添加したのち、熱を止めた。
4.次に、キャリア−放出剤複合体粒剤に水で希釈させておいた着色剤をスプレーして、着色スペックルを形成した。希釈用の水の量は、スペックルで望まれる最終的な目的の着色剤添加量によって決定した。
5.その後、着色スペックルを終夜空気乾燥させた。
【0068】
手順3
キャリアに添加する前に、放出剤を着色剤に組み合わせて、放出剤−着色剤混合物を形成した。以下の工程にしたがって、この手順を実行した:
1.キャリアを隔壁を有する回転ドラムに入れた。ドラムはこの手順の間ずっと回転し続けた。
2.1重量部のLiquitint(登録商標) Blue HP着色剤(100%の固形分)と、平均で5つのエチレンオキシド基が結合している3重量部のm−トルイジンとを含む溶液を作った。
3.放出剤−着色剤溶液を回転ドラム内のキャリアにスプレーした。
4.次に、着色スペックルを終夜空気乾燥させた。
【0069】
手順4
いくつかのサンプルについて、Argel(登録商標) 10(市販の粉末粘土製品)をキャリアとして使用した。粉末を造粒して粒状にするために、着色スペックルの形成前に、Argel(登録商標) 10を利用するサンプルに以下の手順を曝した:
1.50gのArgel(登録商標) 10の粘土キャリア材料をプラスチックビーカーの中に入れた。
2.12gの水をこのプラスチックビーカーにピペットで滴下した。
3.この混合物を、水が粘土キャリア材料に吸収されるまで、木製のスパーテルで混合した(この時点では、材料は乾燥しているように見えた)。
4.次に、水−粘土材料をフードプロセッサに入れ、「粉挽き」設定で数秒間、材料が適切な大きさの無色の多孔質キャリア粒子になるまで混合した。
5.次に、この無色のキャリア粒子を一片のアルミニウム箔上に載せ、75℃のオーブンで乾燥させた。
6.これらの無色スペックルに対するさらなる変更は、手順1、2および3において各例について示しているように詳述している。
【0070】
手順5
1.30gのベントナイト粉末を量りとり、小さなフードプロセッサに入れた。
2.所望の量の着色剤を量りとり、小さなビーカーにいれ、7.2gの水で希釈した。
3.次に、着色された溶液を少しずつ粉末にブレンドした。粉末が凝集し始めたら、サンプルを乾燥するまで60℃のオーブンに入れ、その後フードプロセッサで粉末にした。最終的な粉末を25番の篩に通した。篩を通った材料を試験のために使用した。
【0071】
B.スポットしみ付け試験手順
ファブリックのしみ付けを評価するのに以下の試験手順を使用した:
スポットしみ付け試験手順A
1.試験ファブリック片(100%のホワイトコットンファブリック)を寸法が36×24×6cmである平らなトレーに広げる。
2.2リットルの冷たい水をトレーに注ぐ。
3.3%の着色スペックルを含有する洗剤粉末を試験ファブリック上に均一に振りかけ、それを90分間その状態にしておく。
4.ソーキング期間ののち、ファブリックを流水で濯ぎ、それを空気乾燥させる。
5.ファブリックを、目に見えるあらゆるしみについて試験する。
6.しみが認められたら、ファブリックを冷たい水の中で着色スペックルを含有しない洗剤で洗浄し、しみが残っていないか確認する。しみが完全に洗い流されたら、問題ないとみなす。
【0072】
試験ファブリック上のしみの目視についての数値化評価基準は以下のとおりである:5=しみがない、4=非常に軽微な量のしみ、3=軽微な量のしみ、2=中程度の量のしみ、1=大量のしみ。
【0073】
スポットしみ付け試験手順B
1.試験ファブリック片(100%ホワイトコットンファブリック)を寸法が36×24×6cmのプラスッチックの桶の中に広げる。ファブリック片の寸法は桶のそれに近い。
2.0.5リットルの冷たい(室温)の水を桶に注ぐ。
3.2gの着色スペックルを試験ファブリック上に均一に振りかけ、それを90分間その状態にしておく。
4.ソーキング期間ののち、ファブリックを桶の中で2度水道水で濯ぎ、それを空気乾燥させる。
5.目に見えるあらゆるしみについて、ファブリックの目視を行った。
6.工程1−5を繰り返して二重反復試験サンプルを得た。得られた結果は2つの試験サンプルの平均であろう。
【0074】
C.試験および評価
着色スペックルのいくつかの性質を評価するために、以下の試験を行った:
試験1:キャリアを放出剤によって変性させることの利点
試験2:他の多孔質キャリアの適否
試験3:他の放出剤の使用
試験4:着色スペックルの耐にじみ性
試験5:着色スペックルのしみ付け試験
試験6:キャリアを放出剤によって変性させることについての利点:他の種類のポリマー着色剤および市販の染料の適否
試験7:天然対合成の粘土キャリア材料におけるしみ付けの評価
試験8:天然対合成(部分的におよび全体的に活性された)粘土キャリア材料についてのしみ付けの評価
試験9:粒径によって影響を受ける天然対合成の粘土キャリア材料におけるしみ付けの評価
【0075】
試験1:キャリアを放出剤によって変性させることの利点
この試験は、多孔質キャリアを放出剤によって変性させることによって得られる新規の効果および利点を証明する。
【0076】
以下の着色スペックルを調製した:
例1A2
成分 量(グラム)
Pelben(登録商標) 10 (予め造粒したナトリウムベントナイト粘土キャリア) 50
硫酸マグネシウム(放出剤) 35
Liquitint(登録商標) Blue HP (ポリマー色素着色剤) 1
比較例1A1
成分 量(グラム)
Pelben(登録商標) 10 (粘土キャリア) 50
Liquitint(登録商標) Blue HP (ポリマー色素着色剤) 1
例1B2
成分 量(グラム)
Pelben(登録商標) 10 (粘土キャリア) 50
硫酸マグネシウム(放出剤) 9
Liquitint(登録商標) Blue HP (ポリマー色素着色剤) 1
例1C2
成分 量(グラム)
Pelben(登録商標) 10 (粘土キャリア) 50
硫酸マグネシウム(放出剤) 17
Liquitint(登録商標) Blue HP (ポリマー色素着色剤) 1
例1D2
成分 量(グラム)
Pelben(登録商標) 35 (予め造粒したナトリウムベントナイト粘土キャリア) 50
硫酸マグネシウム(放出剤) 35
Liquitint(登録商標) Blue HP (ポリマー色素着色剤) 1
比較例1D1
成分 量(グラム)
Pelben(登録商標) 35 (粘土キャリア) 50
Liquitint(登録商標) Blue HP (ポリマー色素着色剤) 1
1サンプルは手順1によって作った。
2サンプルは手順2によって作った。
【0077】
得られた着色スペックルを、Tide(登録商標)粉末洗濯用洗剤に添加した。1グラムのスペックル含有洗剤を、150mLの冷たい水を入れた透明なプラスチックカップに入れた。この混合物をコットンスワップで30秒間静かに攪拌した。混合物を5分間静置させ、その後混合物を再度コットンスワップで5秒間攪拌した。
【0078】
その後、プラスチックカップ内の洗浄水の色を観察し、青色に変化しているか否かを確認しかつカップの底に沈殿物が存在しているか否かを判断した。また、スペックルを様々なパラメータたとえば洗浄水への色放出の速さについて評価した。「沈殿物」は、分散し水に不溶なキャリアであって、重力を受けてカップの底に沈降するものを指す。この沈殿物は、どれほどの量の色が洗浄水溶液中に放出されたかに応じて、様々な度合いの色を有しうる。沈殿物が存在していないことを確認することは、目に見える微量の色が全てスペックルから放出されたことを説明することを目的とする;無色の固体沈殿物が実際に存在していないことを説明することを目的としていない。
【0079】
試験結果を以下の表1に示す。
【表1】

【0080】
試験結果は、粘土キャリアを放出剤(たとえばMgSO4塩)で変性させることが、着色剤を着色スペックルから放出させるのにかかる時間の大きな減少をもたらすことを証明する。それゆえに、この放出剤を使用して、多孔質粘土キャリアを有する迅速に色を放出するスペックルを作ることができる。
【0081】
試験2:他の多孔質キャリアの適否
この試験は、迅速に色を放出し、にじまず、しみを付けない類似したスペックルが、放出剤および着色剤を含有する他の多孔質キャリアを用いて製造できることを証明する。
【0082】
以下の着色スペックルを調製した:
例2A2
成分 量(グラム)
造粒した白亜(石膏) 25
硫酸マグネシウム(放出剤) 17.5
Liquitint(登録商標) Blue HP (ポリマー色素着色剤) 0.87
比較例2A1
成分 量(グラム)
造粒した白亜(石膏) 25
Liquitint(登録商標) Blue HP (ポリマー色素着色剤) 0.51
1サンプルは手順1によって作った。
2サンプルは手順2によって作った。
【0083】
得られた着色スペックルを、Tide(登録商標)粉末洗濯用洗剤に添加した。1グラムのスペックル含有洗剤を、150mLの冷たい水を入れた透明なプラスチックカップに入れた。この混合物をコットンスワップで30秒間静かに攪拌した。混合物を5分間静置させ、その後混合物を再度コットンスワップで5秒間攪拌した。
【0084】
その後、プラスチックカップ内の洗浄水の色を観察し、青色に変化しているか否かを確認しかつカップの底に沈殿物が存在しているか否かを判断した。また、スペックルを様々なパラメータたとえば洗浄水への色放出の速さについて評価した。「沈殿物」は、分散し水に不溶なキャリアであって、重力を受けてカップの底に沈降するものを指す。この沈殿物は、どれほどの量の色が洗浄水溶液中に放出されたかに応じて、様々な度合いの色を有しうる。沈殿物が存在していないことを確認することは、目に見える微量の色が全てスペックルから放出されたことを説明することを目的とする;無色の固体沈殿物が実際に存在していないことを説明することを目的としていない。
【0085】
試験結果を以下の表2に示す。
【表2】

【0086】
この試験結果は、白亜(たとえば石膏)キャリアを放出剤(たとえばMgSO4塩)で変性させることが、着色スペックルからの着色剤の放出にかかる時間の大きな減少をもたらすことを証明する。それゆえに、この放出剤を使用して、多孔質白亜キャリアを有する迅速に色を放出するスペックルを作ることができる。
【0087】
さらに、ここで提供された試験結果は、放出剤による変性が、多孔質キャリア(たとえば、粘土または白亜)の化学的性質とは無関係に、着色スペックルからの着色剤の放出時間を減少させることを証明する。
【0088】
試験3:他の放出剤の使用
この試験は、放出剤としての他の水溶性材料の使用、および色放出速度に対するそれらの影響を証明する。
【0089】
以下の着色スペックルを製造した:
例3A3,4
成分 量(グラム)
造粒したArgel(登録商標) 10 (粘土キャリア) 50
5つのEO基を有するアルコキシル化m−トルイジン(放出剤) 0.75
ストリップしたLiquitint(登録商標) Blue HP (100%の固形物) 0.25
比較例3A1,4
成分 量(グラム)
造粒したArgel(登録商標) 10 (粘土キャリア) 50
Liquitint(登録商標) Blue HP (ポリマー色素着色剤) 0.25
例3B2
成分 量(グラム)
Pelben(登録商標) 10 (粘土キャリア) 25
硫酸ナトリウム(放出剤) 3.9
Liquitint(登録商標) Blue HP (ポリマー色素着色剤) 0.85
例3C2
成分 量(グラム)
Pelben(登録商標) 10 (粘土キャリア) 25
ソーダ灰(放出剤) 3.9
Liquitint(登録商標) Blue HP (ポリマー色素着色剤) 0.85
例3D2,4
成分 量(グラム)
造粒したArgel(登録商標) 10 (粘土キャリア) 50
塩化ナトリウム(放出剤) 17.5
Liquitint(登録商標) Blue HP (ポリマー色素着色剤) 1.75
例3E2
成分 量(グラム) Pelben(登録商標) 10 (粘土キャリア) 50
スクロース(放出剤) 35
Liquitint(登録商標) Blue HP (ポリマー色素着色剤) 1.74
1サンプルは手順1によって作った。
2サンプルは手順2によって作った。
3サンプルは手順3によって作った。
4サンプルは手順4によって作った。
【0090】
得られた着色スペックルをTide(登録商標)粉末洗濯用洗剤に添加した。1グラムのスペックル含有洗剤を、150mLの冷たい水を入れた透明なプラスチックカップに添加した。この混合物をコットンスワップで30秒間静かに攪拌した。混合物を5分間静置させ、その後混合物を再度コットンスワップで5秒間攪拌した。
【0091】
その後、プラスチックカップ内の洗浄水の色を観察し、青色に変化しているか否かを確認しかつカップの底に沈殿物が存在しているか否かを判断した。また、スペックルを様々なパラメータたとえば洗浄水への色放出の速さについて評価した。「沈殿物」は、分散し水に不溶なキャリアであって、重力を受けてカップの底に沈降するものを指す。この沈殿物は、どれほどの量の色が洗浄水溶液中に放出されたかに応じて、様々な度合いの色を有しうる。沈殿物が存在していないことを確認することは、目に見える微量の色が全てスペックルから放出されたことを説明することを目的とする;無色の固体沈殿物が実際に存在していないことを説明することを目的としていない。
【0092】
試験結果を以下の表3に示す。
【表3】

【0093】
試験結果は、粘土キャリアをMgSO4塩以外の水溶性材料で変性させることでも、着色スペックルから着色剤を放出するのにかかる時間の大きな減少をもたらすことを証明する。また、試験結果から、キャリアに適用する前にアルコキシル化m−トルイジンを着色剤に添加することはキャリアからの着色剤の放出を助けるように見えることが分かる。このことは、比較例3Aと比較して、例3Aにおいて着色沈殿物が存在しないことが示されたことによって証明される。
【0094】
試験4:着色スペックルの耐にじみ性
この試験は、本発明の着色スペックルの耐にじみ性を比較した。放出剤で変性させた多孔質キャリアから作った例1Aの着色スペックルを試験した。加えて、例4Aを以下に説明するように調製し、これも耐にじみ性について試験した。概して、例4Aは、例1Aで使用したのと同じ着色剤をカーボネートキャリアにスプレーし、この着色剤をにじみ防止コーティングで保護、すなわちコーティングすることによって作った。
【0095】
迅速に色を放出するスペックルへの代わりのルートを表す以下のサンプルを調製した:
比較例4
成分 量(パーセント)
ソーダ灰(粒状キャリア) 86.22
コーンオイル(にじみ防止剤) 6.89
澱粉コーティング(コーティング/にじみ防止剤) 5.17
Liquitint(登録商標) Blue HP (ポリマー着色剤) 1.72
【0096】
比較例4の場合、手順2に説明した方法に従って、まず、Liquitint(登録商標) Blue HP ポリマー着色剤をソーダ灰粒剤にスプレーし、その後、コーンオイルをスプレー塗布し、次に、着色剤を含有したソーダ灰粒剤に澱粉コーティングした。
【0097】
耐にじみ性について試験した各サンプルは、0.45グラムの着色スペックルを30グラムのBreeze粉末洗濯用洗剤(Unileverから入手可能な市販の粉末洗濯用洗剤)に添加することによって調製した。次に、混合物を、80%の相対湿度および37℃の制御された環境で、しわのないボール紙の箱の中に4週間の期間にわたって入れた。次に、各サンプルを、周りの粉末洗濯用洗剤において生じることが認められた色のにじみの量について視覚的に評価した。
【0098】
例1Aおよび例4Aを比較し、Breeze粉末洗濯用洗剤における4週間後の耐にじみ性について視覚的に評価した。例1Aは、例4Aよりも著しく大きな耐にじみ性を示すようであった。例4Aは4週間後大きなにじみを示したが、例1Aは同じ洗剤に対しほとんどないし少しもにじみを示さなかった。
【0099】
このように、試験結果は、放出剤によって変性させた多孔質キャリアの使用が、洗浄水に色を迅速に放出するが、湿潤条件において優れた耐にじみ性も示す着色スペックルを提供することを証明する。
【0100】
試験5:着色スペックルのしみ付け試験
この試験は、本発明の着色スペックルの非しみ付け性を証明する。ここで説明する例1Bを、以下の粉末洗濯用洗剤に別々に添加した:Surf(登録商標)(Unileverから)、Tide(登録商標)(Procter & Gambleから)、OMO(Unileverから)、Breeze(Unileverから)、およびCoral(Unileverから)。次に、各サンプルを、ここで説明したスポットしみ付け試験手順に従って試験した。試験結果を表5に示す。
【表4】

【0101】
試験6:キャリアを放出剤によって変性させることの利点:他の種類のポリマー着色剤および市販染料への適否
この試験は、放出剤を含むまたは含まないキャリアに添加されたポリマー着色剤および市販染料の色放出速度を証明する。
【0102】
着色剤または市販染料を別々にPelben(登録商標) 10 粘土キャリアに添加することによって、2つのタイプの着色スペックルを調製した。「タイプA」の着色スペックルは、先に手順2で説明したように、着色剤を添加する前に17グラムの硫酸マグネシウム放出剤によって変性させたものである。「タイプB」の着色スペックルは、先に手順1で説明したように、着色剤を添加する前に硫酸マグネシウム放出剤を何ら含まなかったものである。
【0103】
以下のポリマー色素着色剤および市販染料を試験した:
例6A: Liquitint(登録商標) Aztec Yellow lot 2009072027 (フェニルベースアゾ)、MgSO4を用いる
比較例6A: Liquitint(登録商標) Aztec Yellow lot 2009072027 (フェニルベースアゾ)、MgSO4を用いない
例6B: Liquitint(登録商標) Orange X-96 (ビス−アゾ)、MgSO4を用いる
比較例6B: Liquitint(登録商標) Orange X-96 (ビス−アゾ)、MgSO4を用いない
例6C: Liquitint(登録商標) Yellow LP lot E1279 (メチン着色剤)、MgSO4を用いる
比較例6C: Liquitint(登録商標) Yellow LP lot E1279 (メチン着色剤)、MgSO4を用いない
例6D: Liquitint(登録商標) Red BL lot T1102 (H−酸ベースアゾ)、MgSO4を用いる
比較例6D: Liquitint(登録商標) Red BL lot T1102 (H−酸ベースアゾ)、MgSO4を用いない
例6E: Liquitint(登録商標) Bright Blue/PC Cyan lot 2008242278 (フタロシアニン)、MgSO4を用いる
比較例6E: Liquitint(登録商標) Bright Blue/PC Cyan lot 2008242278 (フタロシアニン)、MgSO4を用いない
例6F: Liquitint(登録商標) Pink lot 2008469216 (ナフトールベースアゾ)、MgSO4を用いる
比較例6F: Liquitint(登録商標) Pink lot 2008469216 (ナフトールベースアゾ)、MgSO4を用いない
例6G: Liquitint(登録商標) Violet CT (AMTCベースアゾ)、MgSO4を用いる
比較例6G: Liquitint(登録商標) Violet CT (AMTCベースアゾ)、MgSO4を用いない
例6H: Liquitint(登録商標) Red ST lot A1091 (ベンゾチアゾールアゾ)、MgSO4を用いない
比較例6H: Liquitint(登録商標) Red ST lot A1091 (ベンゾチアゾールアゾ)、MgSO4を用いない
例6I: Liquitint(登録商標) Patent Blue lot P1954 (TPM)、MgSO4を用いる
比較例6I: Liquitint(登録商標) Patent Blue lot P1954 (TPM)、MgSO4を用いない
例6J:FD&C Blue 1 lot HD138 (水溶性の市販染料)、MgSO4を用いる
比較例6J:FD&C Blue 1 lot HD138 (水溶性の市販染料)、MgSO4を用いない
例6K:Solvent Blue 35 lot 07020KZ (水に不溶な市販染料)、MgSO4を用いる
比較例6K:Solvent Blue 35 lot 07020KZ (水に不溶な市販染料)、MgSO4を用いない
例6L: Acid Blue 80 (水溶性の市販染料)、MgSO4を用いる
比較例6L: Acid Blue 80 (水溶性の市販染料)、MgSO4を用いない
例6M: Direct Violet 9 lot C1141 (アゾ染料)、MgSO4を用いる
比較例6M: Direct Violet 9 lot C1141 (アゾ染料)、MgSO4を用いない。
【0104】
製造した着色スペックルを、Tida(登録商標)粉末洗濯用洗剤に、洗剤が2重量%の着色スペックルを含有するように添加した。1グラムのスペックル含有洗剤を150mLの冷たい水を入れた透明なプラスチックカップに添加した。この混合物をコットンスワップを用いて30秒間静かに攪拌した。このスペックルを洗浄水への色放出の早さについて評価した。試験結果を表6に示す。
【0105】
以下の着色スペックルを調製した:
例6A2
成分 量(グラム)
Pelben(登録商標) 10 (粘土キャリア) 50
硫酸マグネシウム(放出剤) 17
Liquitint(登録商標) Aztec Yellow (ポリマー色素着色剤) 1.36
比較例6A1
成分 量(グラム)
Pelben(登録商標) 10 (粘土キャリア) 50
Liquitint(登録商標) Aztec Yellow (ポリマー色素着色剤) 1.02
例6B2
成分 量(グラム)
Pelben(登録商標) 10 (粘土キャリア) 50
硫酸マグネシウム(放出剤) 17
Liquitint(登録商標) Orange X-96 (ポリマー色素着色剤) 1.36
比較例6B1
成分 量(グラム)
Pelben(登録商標) 10 (粘土キャリア) 50
Liquitint(登録商標) Orange X-96 (ポリマー色素着色剤) 1.02
例6C2
成分 量(グラム)
Pelben(登録商標) 10 (粘土キャリア) 50
硫酸マグネシウム(放出剤) 17
Liquitint(登録商標) Yellow LP (ポリマー色素着色剤) 1.36
比較例6C1
成分 量(グラム)
Pelben(登録商標) 10 (粘土キャリア) 50
Liquitint(登録商標) Yellow LP (ポリマー色素着色剤) 1.02
例6D2
成分 量(グラム)
Pelben(登録商標) 10 (粘土キャリア) 50
硫酸マグネシウム(放出剤) 17
Liquitint(登録商標) Red BL (ポリマー色素着色剤) 1.36
比較例6D1
成分 量(グラム)
Pelben(登録商標) 10 (粘土キャリア) 50
Liquitint(登録商標) Red BL (ポリマー色素着色剤) 1.02
例6E2
成分 量(グラム)
Pelben(登録商標) 10 (粘土キャリア) 50
硫酸マグネシウム(放出剤) 17
Liquitint(登録商標) Bright Blue (ポリマー色素着色剤) 1.36
比較例6E1
成分 量(グラム)
Pelben(登録商標) 10 (粘土キャリア) 50
Liquitint(登録商標) Bright Blue (ポリマー色素着色剤) 1.02
例6F2
成分 量(グラム)
Pelben(登録商標) 10 (粘土キャリア) 50
硫酸マグネシウム(放出剤) 17
Liquitint(登録商標) Pink (ポリマー色素着色剤) 1.36
比較例6F1
成分 量(グラム)
Pelben(登録商標) 10 (粘土キャリア) 50
Liquitint(登録商標) Pink (ポリマー色素着色剤) 1.02
例6G2
成分 量(グラム)
Pelben(登録商標) 10 (粘土キャリア) 50
硫酸マグネシウム(放出剤) 17
Liquitint(登録商標) Violet CT (ポリマー色素着色剤) 1.36
比較例6G1
成分 量(グラム)
Pelben(登録商標) 10 (粘土キャリア) 50
Liquitint(登録商標) Violet CT (ポリマー色素着色剤) 1.02
例6H2
成分 量(グラム)
Pelben(登録商標) 10 (粘土キャリア) 50
硫酸マグネシウム(放出剤) 17
Liquitint Red ST (ポリマー色素着色剤) 1.36
比較例6H1
成分 量(グラム)
Pelben(登録商標) 10 (粘土キャリア) 50
Liquitint(登録商標) Red ST (ポリマー色素着色剤) 1.02
例6I2
成分 量(グラム)
Pelben(登録商標) 10 (粘土キャリア) 50
硫酸マグネシウム(放出剤) 17
Liquitint(登録商標) Patent Blue (ポリマー色素着色剤) 1.36
比較例6I1
成分 量(グラム)
Pelben(登録商標) 10 (粘土キャリア) 50
Liquitint(登録商標) Patent Blue (ポリマー色素着色剤) 1.02
例6J2
成分 量(グラム)
Pelben(登録商標) 10 (粘土キャリア) 50
硫酸マグネシウム(放出剤) 17
FD&C Blue (Spectrum Chemical Mfg. Co.から入手可能な市販染料) 1.36
比較例6J1
成分 量(グラム)
Pelben(登録商標) 10 (粘土キャリア) 50
FD&C Blue (市販染料) 1.02
例6K2
成分 量(グラム)
Pelben(登録商標) 10 (粘土キャリア) 50
硫酸マグネシウム(放出剤) 17
Solvent Blue 35 (Aldrich Chemical Co.から入手可能な市販染料) 1.36
比較例6K1
成分 量(グラム)
Pelben(登録商標) 10 (粘土キャリア) 50
Solvent Blue 35 (市販染料) 1.02
例6L2
成分 量(グラム)
Pelben(登録商標) 10 (粘土キャリア) 50
硫酸マグネシウム(放出剤) 17
Acid Blue 80 (Acetoから入手可能な市販染料) 4.27
比較例6L1
成分 量(グラム)
Pelben(登録商標) 10 (粘土キャリア) 50
Acid Blue 80 (市販染料) 3.2
例6M2
成分 量(グラム)
Pelben(登録商標) 10 (粘土キャリア) 50
硫酸マグネシウム(放出剤) 17
Direct Violet 9 (Cibaから入手可能な市販染料) 0.67
比較例6M1
成分 量(グラム) Pelben(登録商標) 10 (粘土キャリア) 50
Direct Violet 9 (市販染料) 0.51
1サンプルは手順1によって作った。
2サンプルは手順2によって作った。
【表5】

【0106】
試験結果は、放出剤によって変性された着色スペックルが、Liquitint(登録商標) Violet CTで表されるAMTCベースアゾの種類を除いて、全ての種類のLiquitint(登録商標)ポリマー着色剤について増強された色放出速度を示したことを証明する。加えて、試験結果は、放出剤で変性された着色スペックルは、FD&C Blue、Patent Blue、Solvent Blue、およびDirect Violet 9の市販染料についての増強された色放出速度を示したことを証明する。試験結果は、粘土キャリアからのAcid Blue 80の放出速度が硫酸マグネシウム放出剤による変性によって増強されなかったようであることを証明する。
【0107】
試験7:天然対合成キャリア材料におけるしみ付けの評価
方法の説明によって別段示さない限り手順5におおまかに従って、以下のサンプルを調製した。
【表6】

【0108】
表7におけるサンプルの各々を、スポットしみ付け試験手順Bに従って、しみ付けについて試験した。試験結果を表7−Aに示す。
【表7】

【0109】
試験結果は、等しいViolet DD 着色剤添加量の場合、(Violet DDで)着色した天然ナトリウムベントナイト(Pelben(登録商標) 35またはArgel(登録商標) 40)粉末は、(Violet DDで)着色した合成ナトリウムベントナイト(Pelben(登録商標) 10)粉末よりも少ないしみを提供することを示している。この結果は、天然ナトリウムベントナイトの供給源(たとえばBuntechまたはFisher Scientific)とは無関係に正しいようである。
【0110】
等量の低い(0.2%)のDirect Violet 9 着色剤添加量の場合、(Direct Violet 9で)着色した天然ナトリウムベントナイト(Pelben(登録商標) 35またはArgel(登録商標) 40) 粉末は、(Direct Violet 9で)着色した合成ナトリウムベントナイト(Pelben(登録商標) 10)粉末よりも弱いしみを提供する。しかしながら、この効果はより高い(2%)Direct Violet 9 着色剤添加量では消失するようである。
【0111】
等量のUltramarine Blue着色剤添加量の場合、(Ultramarine Blueで)着色した天然ナトリウムベントナイト(Pelben(登録商標) 35またはArgel(登録商標) 40)粉末は、(Ultramarine Blueで)着色した合成ナトリウムベントナイト(Pelben(登録商標) 10)粉末と等しいしみを提供する。
【0112】
等量のViolet DD着色剤添加量の場合、AMCOL(登録商標)からの着色カルシウムベントナイト(実験室で粉末にして着色したもの)は、AMCOL(登録商標)からの着色合成ナトリウムベントナイト(実験室で粉末にして着色したもの)と等しいしみを提供する。
【0113】
試験8:天然粘土キャリア材料対合成(部分的および完全に活性された)粘土キャリア材料におけるしみ付けの評価
以下のサンプルを手順5にしたがって調製した。全てのキャリア材料はAMCOL(登録商標)から得られた。部分的に活性されたおよび完全に活性されたベントナイトキャリア材料の各々は合成ナトリウムベントナイトである。
【表8】

【0114】
表8のサンプルの各々を、スポット染色試験方法に従って、しみ付けについて評価した。試験結果を表8−Aに示す。
【表9】

【0115】
等量のViolet DD着色剤添加量の場合、(VDDで)着色した天然ナトリウムベントナイト粉末は、(VDDで)着色した「活性」グレードのベントナイト粉末(部分的および完全に活性された両方のグレードであり、合成ナトリウムベントナイトである)よりも弱いしみを提供する。
【0116】
等量のViolet DD着色剤添加量の場合、(VDDで)着色した完全に活性されたベントナイト粉末は、(VDDで)着色した部分的に活性されたベントナイト粉末よりも弱いしみを提供する。
【0117】
この試験結果は、粘土キャリア材料が天然ナトリウムベントナイトにより似てくると、ファブリックへのしみ付けの性質が低減することを示す。理論に縛られないが、この効果は、粘土キャリア材料の膨潤性に関連しうると考えられる。天然ナトリウムベントナイトは水溶液環境においた場合に最も膨潤を示す傾向にあるが、一方でカルシウムベントナイトは最小量の膨潤を示す傾向にある。合成ナトリウムベントナイト(部分的および完全に活性されたもの)の場合、(たとえば、カルシウムベントナイトのソーダ灰処理により)ナトリウムイオンと置換するカルシウムイオンの量が増えると、粘土材料の膨潤は次第に増加する。
【0118】
試験9:粒径によって影響を受けたときの天然粘土キャリア材料対合成粘土キャリア材料におけるしみ付けの評価
以下のサンプルをここで説明するように調製した。その後、各々のサンプルを、スポットしみ付け試験手順Bに従ってしみ付けについて試験した。
【0119】
パートA−粒径によるスペックルの分類
1.AMCOL(登録商標)からのナトリウムベントナイトおよびカルシウムベントナイトの粘土キャリア材料(粒剤/スペックル)を別々にふるいにかけた。ナトリウムおよびカルシウムベントナイト材料の各々について#25および#20のふるいに残った粘土キャリア材料を分離した。
2.BuntechからのPelben(登録商標) 10およびPelben(登録商標) 35 ベントナイトを別々にふるいにかけ、これらのベントナイト材料の各々について#25のふるいに残った粘土キャリア材料を分離させておいた。
【0120】
サンプル9−1:カルシウムベントナイト#25(AMCOL(登録商標))+3%VDD
1.#25のふるいに残った50gのカルシウムベントナイト粘土キャリア材料を回転式ミキサーのドラムに入れた。
2.2.1gのLiquitint(登録商標) Violet DD (Lot PP012)をDI水で5gに希釈した(これは、ドラムへの着色剤の損失を補うために、3%の着色剤×1.4である。)。
3.次に、ドラムが回転していた中、着色した溶液を粘土キャリア材料にスプレーした。このようにして製造した着色スペックルを一片の箔上に平らに広げて、終夜乾燥させた(最終的な水分の重量%=9.54%)。
【0121】
サンプル9−2:カルシウムベントナイト#20(AMCOL(登録商標))+3%VDD
1.#20のふるいに残った30gのカルシウムベントナイト粘土キャリア材料を回転式ミキサーのドラムに入れた。
2.1.26gのLiquitint(登録商標) Violet DD (Lot PP012)をDI水で5gに希釈した(これは、ドラムへの着色剤の損失を補うために、3%の着色剤×1.4である。)。
3.次に、ドラムが回転していた中、着色した溶液を粘土キャリア材料にスプレーした。このようにして製造した着色スペックルを一片の箔上に平らに広げて、終夜乾燥させた(最終的な水分の重量%=9.82%)。
【0122】
サンプル9−3:天然ナトリウムベントナイト#25(AMCOL(登録商標))+3%VDD
1.#25のふるいに残った50gのナトリウムベントナイト材料を回転式ミキサーのドラムに入れた。
【0123】
2.2.1gのLiquitint(登録商標) Violet DD (Lot PP012)をDI水で5gに希釈した(これは、ドラムへの着色剤の損失を補うために、3%の着色剤×1.4である。)。
3.次に、ドラムが回転していた中、着色した溶液を粘土キャリア材料にスプレーした。このようにして製造した着色スペックルを一片の箔上に平らに広げて、終夜乾燥させた。(最終的な水分の重量%=9.58%)
サンプル9−4:天然ナトリウムベントナイト#20(AMCOL(登録商標))+3%VDD
1.#20のふるいに残った30gのナトリウムベントナイト粘土材料を回転式ミキサーのドラムに入れた。
2.1.26gのLiquitint(登録商標) Violet DD (Lot PP012)をDI水で5gに希釈した(これは、ドラムへの着色剤の損失を補うために、3%の着色剤×1.4である。)。
3.次に、ドラムが回転していた中、着色した溶液を粘土キャリア材料にスプレーした。このようにして製造した着色スペックルを一片の箔上に平らに広げて、終夜乾燥させた(最終的な水分の重量%=8.42%)。
【0124】
サンプル9−5:Pelben(登録商標) 10 #25 (Buntech 合成ナトリウムベントナイト) + 3%VDD
1.#25のふるいに残った50gのPelben(登録商標) 10 粘土キャリア材料を回転式ミキサーのドラムに入れた。
2.2.1gのLiquitint(登録商標) Violet DD (Lot PP012)をDI水で5gに希釈した(これは、ドラムへの着色剤の損失を補うために、3%の着色剤×1.4である。)。
3.次に、ドラムが回転している中、着色した溶液を粘土キャリア材料にスプレーした。このようにして製造した着色スペックルを一片の箔上に平らに広げて、終夜乾燥させた(最終的な水分の重量%=12.17%)。
【0125】
サンプル9−6:Pelben(登録商標) 35 #25 (Buntech 天然ナトリウムベントナイト)+3%VDD
1.#25のふるいに残った50gのPelben(登録商標) 35粘土キャリア材料を回転式ミキサーのドラムに入れた。
【0126】
2.2.1gのLiquitint(登録商標) Violet DD (Lot PP012)をDI水で5gに希釈した(これは、ドラムへの着色剤の損失を補うために、3%の着色剤×1.4である。)。
3.次に、ドラムが回転している中、着色した溶液を粘土キャリア材料にスプレーした。このようにして製造した着色スペックルを一片の箔上に平らに広げて、終夜乾燥させた(最終的な水分の重量%=9.6%)。
【表10】

【0127】
等量のViolet DD着色剤添加量および等しいスペックルサイズの場合、天然ナトリウムベントナイト(Pelben(登録商標)35)を含有する着色スペックルは、合成ナトリウムベントナイト(Pelben(登録商標) 10)を含有する着色スペックルよりも弱いしみを提供する。
【0128】
等量のViolet DD着色剤添加量および等しいスペックルサイズの場合、天然ナトリウムベントナイト(AMCOL(登録商標)から)を含有する着色スペックルは、カルシウムベントナイト(AMCOL(登録商標)から)を含有する着色スペックルよりも弱いしみを提供する。
【0129】
(等しい着色剤添加量および等しい粒径の場合)カルシウムまたは合成ナトリウムベントナイトから天然ベントナイトへの変化に伴い、これらの粘土キャリア材料の粉末の状態または粒子の両方の状態で、ファブリックへの弱いしみ付けの傾向が認められた。しかしながら、しみ付けの増加するリスクが、粉末天然ナトリウムベントナイトから同様のVDD添加量の粒状天然ナトリウムベントナイトへの変化に伴って認められた。
【0130】
したがって、上の説明および例は、本発明の着色スペックルはしみを付けない着色剤の迅速な放出とそれらが組み合わせられうる種々の洗剤組成物への耐にじみ性との両方を提供することを示す。ここで説明してきたように、本発明の着色スペックルは、耐にじい性および優れた非しみ付け性を維持しながら、洗浄水への色の迅速な放出を可能することによって、現行の市販の着色スペックルに優る顕著な効果を有する。このように、本着色スペックルは従来技術に優る有用な利点を示す。
当業者であれば、本発明に対するこれらおよび他の改良および変更を、本発明の精神及び範囲から外れることなしに行うことができる。さらに、当業者であれば、上記説明は単に例であって、添付の特許請求の範囲に記載する発明の範囲を限定することを意図していないことを理解するであろう。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
着色スペックルであって:
a)大部分の重量の少なくとも1種の多孔質キャリア材料と;
b)塩化合物、糖化合物、アルコキシル化芳香族化合物、グリコール、高分子量アルコール、60℃を超える沸点を有する溶媒、およびこれらの混合物からなる群より選択される少なくとも1種の放出剤と;
c)少なくとも1種の着色剤と
を含む着色スペックル。
【請求項2】
前記少なくとも1種の多孔質キャリア材料は、粘土、シリカ、ゼオライト、金属酸化物、珪藻土、雲母、滑石、白亜、石膏含有化合物、含鉛酸化亜鉛、酸化亜鉛、硫化亜鉛、リトポン、二酸化チタン、硫酸カルシウム、酸化アンチモン、珪酸マグネシウム、バライト、塩基性炭酸鉛、炭酸カルシウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、珪酸カルシウム、シリカ艶消し剤、珪酸アルミニウム、含水珪酸アルミニウム、珪酸マグネシウム、メタ珪酸カルシウム、珪酸ナトリウム−カリウム−アルミニウム、トリポリリン酸ナトリウム、珪酸ナトリウム、ソーダ灰含有化合物、およびこれらの組み合わせより選択される請求項1に記載の着色スペックル。
【請求項3】
前記少なくとも1種の多孔質キャリア材料は粘土である請求項2に記載の着色スペックル。
【請求項4】
前記少なくとも1種の多孔質キャリア材料は約0.1mm〜約2mmの平均粒径を示す請求項1に記載の着色スペックル。
【請求項5】
前記少なくとも1種の多孔質キャリア材料は約0.3mm〜約1.2mmの平均粒径を示す請求項1に記載の着色スペックル。
【請求項6】
前記塩化合物は硫酸マグネシウム、硫酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、塩化ナトリウム、およびこれらの混合物からなる群より選択される請求項1に記載の着色スペックル。
【請求項7】
前記塩化合物は硫酸マグネシウムである請求項6に記載の着色スペックル。
【請求項8】
前記糖化合物はスクロース、フルクトース、およびこれらの混合物からなる群より選択される請求項1に記載の着色スペックル。
【請求項9】
前記アルコキシル化芳香族化合物はそれに結合した5つのエチレンオキシド基を有するm−トルイジンである請求項1に記載の着色スペックル。
【請求項10】
グリコールはポリエチレングリコールである請求項1に記載の着色スペックル。
【請求項11】
前記少なくとも1種の放出剤は、20℃の100gの水に対し約20グラムから約200グラムまでの放出剤の水中溶解性を示す請求項1に記載の着色スペックル。
【請求項12】
前記少なくとも1種の多孔質キャリア対前記少なくとも1種の放出剤の重量比は、約1000:1から約1:1までの範囲にある請求項1に記載の着色スペックル。
【請求項13】
前記着色剤はポリマー着色剤、酸性染料、塩基性染料、直接染料、溶剤染料、建染め染料、媒染染料、インジゴイド染料、反応性染料、分散性染料、硫化染料、蛍光染料;無機顔料、有機顔料、天然着色剤、およびこれらの混合物からなる群より選択される請求項1に記載の着色スペックル。
【請求項14】
前記着色剤はポリマー着色剤である請求項13に記載の着色スペックル。
【請求項15】
ポリマー化合物は発色団を有し、この発色団はニトロソ、ニトロ、アゾ(モノアゾ、ジアゾ、トリスアゾ、テトラキスアゾ、ポリアゾ、ホルマザン、アゾメチンおよびこれらの金属錯体が挙げられる)、スチルベン、ジアリールメタン、トリアリールメタン、キサンテンアクリジン、キノリン、メチン(ポリメチンが挙げられる)、チアゾール、インダミン、インドフェノール、アジン、チアジン、オキサジン、アミノケトン、ヒドロキシケトン、アントラキノン(アントラピラゾリン、アントロン、アントラピリドン、アントラピリミジン、フラバントロン、ピラントロン、ベンズアントロン、ペリレン、ペリノン、ナフタルイミドおよび形状的にアントラキノンに関連する他の構造が挙げられる)、インジゴイド(チオインジゴイドが挙げられる)、フタロシアニンの発色団、およびこれらの混合物からなる群より選択されることを特徴とする請求項14に記載の着色スペックル。
【請求項16】
放出剤の第1の層が前記多孔質キャリアに適用されてキャリア−放出剤複合体を形成していることを特徴とする請求項1に記載の着色スペックル。
【請求項17】
前記キャリア−放出剤複合体は前記少なくとも1種の着色剤が該複合体に適用されていることを特徴とする請求項16に記載の着色スペックル。
【請求項18】
請求項1に記載の着色スペックルを含む粉末洗剤組成物。
【請求項19】
着色スペックルであって:
a)以下から選択される大部分の重量の少なくとも1種の多孔質キャリア材料:粘土、シリカ、ゼオライト、金属酸化物、珪藻土、雲母、滑石、白亜、石膏含有化合物、含鉛酸化亜鉛、酸化亜鉛、硫化亜鉛、リトポン、二酸化チタン、硫酸カルシウム、酸化アンチモン、珪酸マグネシウム、バライト、塩基性炭酸鉛、炭酸カルシウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、珪酸カルシウム、シリカ艶消し剤、珪酸アルミニウム、含水珪酸アルミニウム、珪酸マグネシウム、メタ珪酸カルシウム、珪酸ナトリウム−カリウム−アルミニウム、トリポリリン酸ナトリウム、珪酸ナトリウム、ソーダ灰含有化合物、およびこれらの組み合わせ、と;
b)塩化合物、糖化合物、アルコキシル化芳香族化合物、グリコール、高分子量アルコール、60℃を超える沸点を有する溶媒、およびこれらの混合物からなる群より選択される少なくとも1種の放出剤と;
c)少なくとも1種のポリマー着色剤と
を含む着色スペックル。
【請求項20】
着色スペックルであって:
(a)複数の孔を有することを特徴とする少なくとも1種の多孔質キャリア材料と、
(b)少なくとも1種の放出剤を含む第1の層であって、この放出剤が前記少なくとも1種の多孔質キャリア材料の前記複数の孔の少なくとも一部に直接接触している第1の層と、
(c)約0.01重量%から約10重量%までの少なくとも1種の着色剤を含む第2の層であって、この着色剤が前記放出剤層の少なくとも一部に直接接触している第2の層と
を含む着色スペックル。
【請求項21】
前記着色剤はポリマー着色剤である請求項20に記載の着色スペックル。
【請求項22】
着色スペックルであって:
(a)複数の孔を有することを特徴とする少なくとも1種の多孔質キャリア材料と、
(b)少なくとも1種の放出剤と少なくとも1種の着色剤との混合物と
を含む着色スペックル。
【請求項23】
着色スペックルを形成する方法であって:
(a)少なくとも1種の多孔質キャリア材料を用意する工程と;
(b)少なくとも1種の放出剤を前記少なくとも1種の多孔質キャリア材料に適用してキャリア−放出剤複合体を形成する工程と;
(c)少なくとも1種の着色剤を前記キャリア−放出剤複合体に適用して着色スペックルを形成する工程と
を含む方法。
【請求項24】
着色スペックルを形成する方法であって:
(a)少なくとも1種の多孔質キャリア材料を用意する工程と;
(b)少なくとも1種の放出剤と少なくとも1種の着色剤との混合物を前記少なくとも1種の多孔質キャリア材料に適用して着色スペックルを形成する工程と
を含む方法。

【公表番号】特表2013−503237(P2013−503237A)
【公表日】平成25年1月31日(2013.1.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−526720(P2012−526720)
【出願日】平成22年8月24日(2010.8.24)
【国際出願番号】PCT/US2010/002323
【国際公開番号】WO2011/028249
【国際公開日】平成23年3月10日(2011.3.10)
【出願人】(599060788)ミリケン・アンド・カンパニー (65)
【氏名又は名称原語表記】Milliken & Company
【Fターム(参考)】