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着色ノズル
説明

着色ノズル

【課題】着色材の滴射を停止した際に着色ノズルの流路内に気泡が流入することを防止する着色ノズルを提供する。
【解決手段】電線を着色する着色装置に取り付けられる着色ノズルは、着色材を収容するインサート部材と、インサート部材に連結されたノズル54などを有して構成されている。ノズル54は、前記インサート部材側に配された第1のノズル部材37と、電線側に位置付けられた第2のノズル部材50と、これらノズル部材37,50を連結する接続パイプ51と、を有している。第2のノズル部材50は、第1のノズル部材37寄りに配されかつ第1のノズル部材37よりも内径が小さい第2の大径部151と、第2の大径部151よりも電線側に配されかつ第2の大径部151よりも内径が小さい小径部152と、小径部152よりも電線側に配されかつ小径部152よりも内径が大きい第1の大径部153とを有してその内面が段差状に形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、導電性の芯線と、この芯線を被覆する絶縁性の被覆部とを有した電線などの物品を着色する際に用いられる着色ノズルに関する。
【背景技術】
【0002】
移動体としての自動車などには、種々の電子機器が搭載される。このため、前記自動車などは、前記電子機器に電源などからの電力やコンピュータなどからの制御信号などを伝えるために、ワイヤハーネスを配索している。ワイヤハーネスは、複数の電線と、該電線の端部などに取り付けられたコネクタなどを有している。
【0003】
電線は、導電性の芯線と該芯線を被覆する絶縁性の合成樹脂からなる被覆部とを有している。電線は、所謂被覆電線である。コネクタは、端子金具と、この端子金具を収容するコネクタハウジングとを有している。端子金具は、導電性の板金などからなり電線の端部に取り付けられてこの電線の芯線と電気的に接続する。コネクタハウジングは、絶縁性の合成樹脂からなり箱状に形成されている。ワイヤハーネスは、コネクタハウジングが前述した電子機器などと結合することにより、端子金具を介して各電線が前述した電子機器と電気的に接続して、前述した電子機器に所望の電力や信号を伝える。
【0004】
前記ワイヤハーネスを組み立てる際には、まず電線を所定の長さに切断した後、該電線の端部などの被覆部を除去(皮むき)して端子金具を取り付ける。必要に応じて電線同士を接続する。その後、端子金具をコネクタハウジング内に挿入する。こうして、前述したワイヤハーネスを組み立てる。
【0005】
前述したワイヤハーネスの電線は、芯線の大きさと、被覆部の材質(耐熱性の有無などによる材質の変更)と、使用目的などを識別する必要がある。なお、使用目的とは、例えば、エアバック、ABS(Antilock Brake System)や車速情報などの制御信号や、動力伝達系統などの電線が用いられる自動車の系統(システム)である。
【0006】
そこで、ワイヤハーネスに用いられる電線は、前述した被覆部を構成する合成樹脂を芯線の周りに押し出し被覆する際に、被覆部を構成する合成樹脂に所望の色の着色材を混入して、該被覆部を所望の色に着色してきた(例えば、特許文献1ないし3参照)。この場合、電線の外表面の色を変更する際に、前述した押し出し被覆を行う押し出し被覆装置を停止する必要がある。この場合、電線の色替えの度に、押し出し被覆装置を停止する必要があり、電線の製造にかかる所要時間と手間が増加して、電線の生産効率が低下する傾向であった。
【0007】
または、押し出し被覆装置が押し出し被覆を行っている状態で合成樹脂に混入する着色材の色を変更してきた。この場合、着色材の色を変更した直後では、被覆部を構成する合成樹脂の色が、被覆部の変更前の着色材の色と変更後の着色材の色とが混ざり合った色になる。このため、電線の材料歩留まりが低下する傾向であった。
【0008】
前述した電線の生産性の低下と電線の材料歩留まりの低下を防止するために、本発明の出願人は、例えば、単色の電線を製造しておき、必要に応じて物品としての電線の外表面を所望の色に着色してワイヤハーネスを組み立てることを提案している(特許文献4参照)。また、本発明の出願人は、製造後の単色の電線を着色する際に、液状の着色材を物品としての電線の外表面に向かって一定量ずつ滴射して、該着色材の液滴を電線の外表面に付着させることで電線を所望の色に着色する電線の着色装置を提案している(特許文献5
参照)。図9及び図10は、前記着色装置の着色ノズルの要部を示す断面図である。
【0009】
図9及び図10に示すように、着色ノズル254は、円筒状に形成されて内側の流路237Aに着色材を流す第1のノズル部材237と、第1のノズル部材237よりも電線側に配された第2のノズル部材250と、これらノズル部材237,250を連結させる接続パイプ251とを有して構成されている。また、第2のノズル部材250は、その流路250Aの内径(100μm程度)が第1のノズル部材237の流路237Aの内径より小さく形成されているとともに、着色ノズル254の長手方向に沿った長さが0.5mm程度に形成されている。このように形成することにより、着色材が流路237Aから流路250Aに移動する際に流速が増すようになっているので、着色材の滴射量が調整可能になるとともに滴射の際の着色材の切れを良くすることができる。
【特許文献1】特開平5−111947号公報
【特許文献2】特開平6−119833号公報
【特許文献3】特開平9−92056号公報
【特許文献4】国際公開第03/019580号パンフレット
【特許文献5】特願2005−019081号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、従来の着色装置の着色ノズル254は、以下に示す問題があった。即ち、着色ノズル254は、前述した目的から着色材が流路237Aから流路250Aに移動する際にその流速が増すように形成されているが、この着色装置の滴射停止時、即ち第1のノズル部材237側に着色材を送り出す弁を閉じた時に、流路250Aにより流速が増した状態の着色材が慣性により着色ノズル254の外に飛び出してしまい(図9を参照。)、着色ノズル254の流路237A,250A内に気泡が流入してしまう(図10を参照。)という現象が生じていた。
【0011】
そして、上記のように着色ノズル254の流路237A,250A内に気泡が流入することにより、前記着色装置に滴射信号を与えていないにも関わらず着色ノズル254から着色材がもれてくる液だれ現象が生じたり、着色ノズル254の流路237A,250A内に流入した気泡により着色ノズル254内の着色材が乾燥・固化してノズル詰りが生じたり、着色ノズル254からもれ出した着色材が第2のノズル部材250の電線寄りの先端面250bに固着して着色材の滴射方向を不安定にしたりするなどの問題を引き起こしていた。
【0012】
したがって、本発明の目的は、着色材の滴射を停止した際に着色ノズルの流路内に気泡が流入することを防止することにより、液だれ、ノズル詰り、滴射方向不良などを防止できる着色ノズルを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上述した目的を達成するために、請求項1に記載された発明は、物品の外表面に向かって液状の着色材を一定量ずつ滴射して、前記着色材の液滴を前記物品の外表面に付着させて該物品を着色する着色ノズルにおいて、前記着色材を収容する収容部と、円筒状に形成されかつ内側に前記着色材が流れるとともに前記収容部内に連通した第1のノズル部材と、円筒状に形成されかつ前記第1のノズル部材より前記物品寄りに配されて該第1のノズル部材に連結しているとともに、内側に前記着色材が流れる第2のノズル部材と、を有するとともに、前記第2のノズル部材が、前記第1のノズル部材より内径が小さい小径部と、該小径部よりも前記物品寄りに配されかつ該小径部よりも内径が大きい第1の大径部と、を有して構成されたことを特徴とする着色ノズルである。
【0014】
請求項2に記載された発明は、請求項1に記載された発明において、前記第2のノズル部材が、前記小径部よりも前記第1のノズル部材寄りに配され、かつ、内径が前記小径部よりも大きく前記第1のノズル部材よりも小さい第2の大径部をさらに有したことを特徴とするものである。
【0015】
なお、本明細書でいう着色材とは、色材(工業用有機物質)が水またはその他の溶媒に溶解、分散した液状物質である。有機物質としては、染料、顔料(大部分は有機物であり、合成品)があり、時には染料が顔料として、顔料が染料として用いられることがある。より具体的な例として、本明細書でいう着色材とは、着色液と塗料との双方を示している。着色液とは、溶媒中に染料が溶けているもの又は分散しているものを示しており、塗料とは、分散液中に顔料が分散しているものを示している。
【0016】
このため、着色液で物品の外表面を着色すると、染料が物品内にしみ込み、塗料で物品の外表面を着色すると、顔料が物品内にしみ込むことなく外表面に接着する。即ち、本明細書でいう物品の外表面を着色するとは、物品の外表面の一部を染料で染めることと、物品の外表面の一部に顔料を塗ることとを示している。
【0017】
また、前記溶媒と分散液は、物品を構成する合成樹脂などと親和性のあるものが望ましい。この場合、染料が物品内に確実にしみ込んだり、顔料が物品の外表面に確実に接着することとなる。
【発明の効果】
【0018】
請求項1に記載の本発明によれば、着色材の滴射時には、着色材が第1のノズル部材から第2のノズル部材の小径部に移動する際にその流速が速められて該小径部の物品寄りの端面から滴射されるので、着色材の滴射量などを調整することができるとともに、着色材の切れを良くすることができる。そして、着色材の滴射停止時には、前記小径部内の流速が増した状態の着色材が慣性により第2のノズル部材の第1の大径部内に移動するとともに、前記小径部から第1の大径部に移動する際にその流速が遅められることにより、着色材が着色ノズルから飛び出すことなくその液面が第1の大径部の物品寄りの端面と面一になるところで止まる。その後、大気圧により着色材が着色ノズル内に押し戻されかつ液面が前記小径部の物品寄りの端面と面一になる。よって、着色ノズルの流路内に気泡が流入することを防止でき、そのために、液だれ、ノズル詰り、滴射方向不良などを防止できる着色ノズルを提供することができる。また、ノズル詰りを防止できるので、従来、着色ノズルの滴射開始時に行っていた着色材の捨て打ちが不要となり、着色材の使用量を低減できる。
【0019】
請求項2に記載の本発明によれば、第1のノズル部材と第2のノズル部材の小径部との間に第2の大径部を設けたことにより、第1のノズル部材から小径部に向かって段階的に内径を絞ることができ、これらの流路を流れる着色材の流速などを微調整することが可能になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、本発明の一実施形態にかかる着色ノズル31を図1ないし図8に基づいて説明する。図3及び図4などに示す着色ノズル31は、図1などに示す物品としての電線を着色する電線着色装置(以下単に着色装置と呼ぶ)1を構成する(着色装置1に取り付けられる)。着色装置1は、物品としての電線3を所定の長さに切断して、この物品としての電線3の外表面3aの一部に印6を形成する装置である。即ち、着色装置1は、物品としての電線3の外表面3aを着色する即ちマーキング(Marking)する装置である。
【0021】
物品としての電線3は、移動体としての自動車などに配索されるワイヤハーネスを構成する。電線3は、図5(a)に示すように、導電性の芯線4と、絶縁性の被覆部5とを有している。芯線4は、複数の素線が撚られて形成されている。芯線4を構成する素線は、導電性の金属からなる。また、芯線4は、一本の素線から構成されても良い。被覆部5は、例えば、ポリ塩化ビニル(Polyvinylchloride:PVC)などの合成樹脂からなる。被覆部5は、芯線4を被覆している。このため、電線3の外表面3aとは、被覆部5の外表面をなしている。
【0022】
また、被覆部5は、単色Pである。なお、被覆部5を構成する合成樹脂に所望の着色材を混入して、電線3の外表面3aを単色Pにしても良く、被覆部5を構成する合成樹脂に着色材を混入することなく、単色Pを合成樹脂自体の色として良い。被覆部5を構成する合成樹脂に着色材を混入せずに、単色Pが合成樹脂自体の色の場合、被覆部5即ち電線3の外表面3aは、無着色であるという。このように、無着色とは、被覆部5を構成する合成樹脂に着色材を混入せずに、電線3の外表面3aが合成樹脂自体の色であることを示している。電線3の外表面3aは、前述した無着色であっても良く、例えば白色などの単色であっても良い。
【0023】
電線3の外表面3aには、複数の点7からなる印6が形成されている。点7は、色B(図5中に平行斜線で示す)である。色Bは、単色Pと異なる。点7の平面形状は、図5(b)に示すように、丸形である。点7は、複数設けられており、予め定められるパターンにしたがって、電線3の長手方向に沿って並べられている。図示例では、電線3の長手方向に沿って、点7が等間隔に並べられている。また、互いに隣り合う点7の中心間の距離は、予め定められている。
【0024】
前述した構成の電線3は、複数束ねられるとともに端部などにコネクタなどが取り付けられて前述したワイヤハーネスを構成する。コネクタが自動車などの各種の電子機器のコネクタにコネクタ結合して、ワイヤハーネス即ち電線3は、各電子機器に各種の信号や電力を伝える。
【0025】
また、前述した印6の各点7の色Bが種々の色に変更されることにより、電線3同士を識別可能としている。図示例では、全ての点7の色Bを同じにしているが、必要に応じて点7毎に色Bを変更して、点7同士の色Bを異ならせても良い。印6の各点7の色Bは、ワイヤハーネスの電線3の線種、系統(システム)の識別などを行うために用いられる。即ち、前述した印6の各点7の色Bは、ワイヤハーネスの各電線3の線種及び使用目的を識別するために用いられる。
【0026】
着色装置1は、図1に示すように、フレーム10と、ガイドロール11と、送り出しロール12と、矯正ユニット13と、弛み吸収ユニット14と、着色ユニット15と、ダクト16と、エンコーダ17と、切断機構18と、制御装置19とを有している。
【0027】
フレーム10は、工場などのフロア上などに設置され、水平方向に伸びている。ガイドロール11は、フレーム10の一端部に回転自在に取り付けられている。ガイドロール11は、長尺でかつ印6が形成されていない電線3を巻いている。ガイドロール11は、矯正ユニット13と弛み吸収ユニット14と着色ユニット15とダクト16とエンコーダ17と切断機構18とに順に、電線3を送り出す。
【0028】
送り出しロール12は、フレーム10の他端部に一対設けられている。これら一対の送り出しロール12は、フレーム10に回転自在に支持されかつ鉛直方向に沿って並べられている。送り出しロール12は、図示しないモータなどにより、互いに逆方向に同回転数で回転される。一対の送り出しロール12は、互いの間に電線3を挟み、かつこの電線3の長手方向に沿ってガイドロール11から引っ張る。送り出しロール12は、このように、電線3の長手方向に沿って該電線3を移動させることで、電線3の長手方向に沿って着色ユニット15の後述する着色ノズル31と、電線3とを相対的に移動させる。このため、電線3は、ガイドロール11から送り出しロール12に向かって図1中の矢印Kに沿って移動する。矢印Kは、電線3の移動方向をなしている。
【0029】
矯正ユニット13は、ガイドロール11より電線3の移動方向Kの下流側でかつ送り出しロール12より電線3の移動方向Kの上流側に設けられている。矯正ユニット13は、フレーム10に固定された板状のユニット本体20と、複数の第1ローラ21と、複数の第2ローラ22とを有している。
【0030】
第1及び第2ローラ21,22は、それぞれ、ユニット本体20に回転自在に支持されている。複数の第1ローラ21は、水平方向(前述した移動方向K)に沿って並べられ、電線3の上方に配されている。複数の第2ローラ22は、水平方向(前述した移動方向K)に沿って並べられ、電線3の下方に配されている。第1ローラ21と第2ローラ22とは、図1に示すように、千鳥状に配されている。
【0031】
矯正ユニット13は、送り出しロール12によりガイドロール11から送り出される電線3を、第1ローラ21と第2ローラ22との間に挟んで直線状にする。また、矯正ユニット13は、第1ローラ21と第2ローラ22との間に挟むことにより、電線3に摩擦力を付与する。即ち、矯正ユニット13は、送り出しロール12が電線3を引っ張る方向(前述した移動方向K)の逆向きの第1の付勢力H1を電線3に付与する。この第1の付勢力H1は、送り出しロール12が電線3を引っ張る力よりも弱い。このため、矯正ユニット13は、長手方向に沿った張力を電線3に付与する。
【0032】
弛み吸収ユニット14は、矯正ユニット13より電線3の移動方向Kの下流側でかつ送り出しロール12より電線3の移動方向Kの上流側に設けられている。弛み吸収ユニット14は、矯正ユニット13と着色ユニット15の後述する着色ノズル31との間に設けられている。
【0033】
弛み吸収ユニット14は、図1に示すように、フレーム10に固定されかつ電線3の移動方向Kに沿って互いに間隔をあけて並べられた一対の案内ローラ支持フレーム23と、案内ローラ支持フレーム23に回転自在に支持された一対の案内ローラ24と、フレーム10に固定されかつ一対の案内ローラ支持フレーム23間に設けられた移動ローラ支持フレーム25と、案内ローラ24間の中央に設けられた移動ローラ26と、エアシリンダ27とを有している。
【0034】
案内ローラ24は、電線3の下方に配され、外周面に電線3と接触することにより、移動方向Kから電線3が脱落しないように、電線3を案内する。このため、案内ローラ24は、電線3の移動方向Kを案内する。
【0035】
移動ローラ26は、移動ローラ支持フレーム25に回転自在に支持されているとともに、鉛直方向に沿って移動自在に支持されている。移動ローラ26は、電線3の上方に配されている。移動ローラ26は、鉛直方向に沿って移動自在に支持されることで、電線3の移動方向Kに直交(交差)する方向に沿って、移動自在に支持されている。
【0036】
エアシリンダ27は、移動ローラ支持フレーム25に固定されかつ電線3の上方に配されたシリンダ本体28と、このシリンダ本体28から伸縮自在な伸縮ロッド29とを有している。伸縮ロッド29は、シリンダ本体28から電線3に近づく方向に伸長する。また、伸縮ロッド29には移動ローラ26が取り付けられている。エアシリンダ27は、シリンダ本体28内に加圧された気体が供給されることで、伸縮ロッド29即ち移動ローラ26を第2の付勢力H2(図1に示す)で移動方向Kに直交(交差)する方向に沿って、下方即ち電線3に近づく方向に付勢する。また、第2の付勢力H2は、第1の付勢力H1より弱い。
【0037】
切断機構18の後述の一対の切断刃48,49が互いに近づいて、電線3を切断するために一旦電線3が停止した際に、慣性により矢印Kに沿って電線3が進むと、該電線3が一対の案内ローラ24間で弛む。このとき、前述した構成の弛み吸収ユニット14は、エアシリンダ27が移動ローラ26を第2の付勢力H2で付勢しているため、エアシリンダ27の伸縮ロッド29が伸長して、移動ローラ26が例えば図1中に二点鎖線で示す位置まで変位する。そして、弛み吸収ユニット14は、前述した案内ローラ24間で弛んだ電線3を移動方向Kに直交(交差)する方向に沿って付勢して、弛みを吸収して、電線3を張った状態に保つ。
【0038】
着色ユニット15は、弛み吸収ユニット14より電線3の移動方向Kの下流側でかつ送り出しロール12より電線3の移動方向Kの上流側に設けられている。即ち、着色ユニット15即ち後述の着色ノズル31は、送り出しロール12と、矯正ユニット13との間に配されている。
【0039】
着色ユニット15は、図2に示すように、フレーム10に固定されたユニット本体30と、ユニット本体30に支持された複数の着色ノズル31を有している。着色ノズル31は、後述の着色材供給源32からの液状の着色材を、電線3の外表面3aに向かって一定量ずつ滴射し、電線3の外表面3aの少なくとも一部を着色(マーキング)する。この着色ノズル31の詳細な構成は、後ほど説明する。
【0040】
また、着色ノズル31は、電線3の移動方向Kに沿って複数並べられている。図示例では、ユニット本体30は、着色ノズル31を電線3の移動方向Kに沿って五つ並べている。また、各着色ノズル31は、図3に示すように、後述の第1のノズル部材37の軸芯R(図3中に一点鎖線で示す)の延長上に電線3の最上部3bが位置する状態で、ユニット本体30に支持される。なお、着色ノズル31は、軸芯Rに沿って着色材を滴射する。このため、着色ノズル31は、電線3の最上部3bに向かって着色材を一定量ずつ滴射する。
【0041】
また、本明細書では、粘度が10mPa・s(ミリパスカル秒)以下の着色材を用いる。前述した着色材とは、色材(工業用有機物質)が水またはその他の溶媒に溶解、分散した液状物質である。有機物質としては、染料、顔料(大部分は有機物であり、合成品)があり、時には染料が顔料として、顔料が染料として用いられることがある。より具体的な例として、着色材とは、着色液または塗料である。着色液とは、溶媒中に染料が溶けているもの又は分散しているものを示しており、塗料とは、分散液中に顔料が分散しているものを示している。このため、着色液が電線3の外表面3aに付着すると、染料が被覆部5内にしみ込み、塗料が電線3の外表面3aに付着すると、顔料が被覆部5内にしみ込むことなく外表面3aに接着する。即ち、電線3の外表面3aを着色するとは、電線3の外表面3aの一部を染料で染める(染色する)ことと、電線3の外表面3aの一部に顔料を塗ることとを示している。また、前記溶媒と分散液は、被覆部5を構成する合成樹脂と親和性のあるものが望ましい。この場合、染料が被覆部5内に確実にしみ込んだり、顔料が外表面3aに確実に接着することとなる。
【0042】
さらに、前述した滴射とは、着色ノズル31から液状の着色材が、液滴の状態即ち滴の状態で、電線3の外表面3aに向かって付勢されて打ち出されることを示している。
【0043】
ダクト16は、着色ユニット15より電線3の移動方向Kの下流側でかつ送り出しロール12より電線3の移動方向Kの上流側に設けられている。ダクト16は、筒状に形成されており、内側に電線3を通す。ダクト16には、真空ポンプなどの図示しない吸引手段が連結している。吸引手段は、ダクト16内の気体を吸引して、着色材中の溶媒と分散液などが着色装置1外に充満することを防止する。
【0044】
エンコーダ17は、送り出しロール12より電線3の移動方向Kの下流側に設けられている。エンコーダ17は、図1に示すように、回転子47を一対有している。回転子47は、軸芯周りに回転可能に支持されている。回転子47の外周面は、一対の送り出しロール12間に挟まれた電線3の外表面3aと接触している。回転子47は、矢印Kに沿って、芯線4即ち電線3が走行(移動)すると、回転する。即ち、回転子47は、矢印Kに沿った芯線4即ち電線3の走行(移動)とともに、軸芯周りに回転する。勿論、矢印Kに沿った芯線4即ち電線3の走行(移動)量と、回転子47の回転数とは比例する。
【0045】
また、エンコーダ17は、制御装置19に接続している。エンコーダ17は、回転子47が所定角度ずつ回転すると、制御装置19に向かってパルス状の信号を出力する。即ち、エンコーダ17は、矢印Kに沿った電線3の移動量に応じた情報を、制御装置19に向かって出力する。このように、エンコーダ17は、電線3の移動量に応じた情報を測定して、電線3の移動量に応じた情報を制御装置19に向かって出力する。通常エンコーダ17では電線3と回転子47の摩擦で電線3の移動量に応じたパルス信号が出力される。しかし、電線3の外表面3aの状態により移動量とパルス数が必ずしも一致しない場合は、別の場所で速度情報を入手し、その情報をフィードバックし、比較演算しても良い。
【0046】
切断機構18は、エンコーダ17の一対の回転子47より電線3の移動方向Kの下流側に配されている。切断機構18は、一対の切断刃48,49を有している。一対の切断刃48,49は、鉛直方向に沿って並べられている。一対の切断刃48,49は、鉛直方向に沿って互いに近づいたり離れたりする。一対の切断刃48,49は、互いに近づくと、一対の送り出しロール12によって送り出された電線3を互いの間に挟んで、切断する。一対の切断刃48,49は、互いに離れると、勿論、前記電線3から離れる。
【0047】
制御装置19は、周知のRAM、ROM、CPUなどを有したコンピュータである。制
御装置19は、送り出しロール12と、エンコーダ17と、切断機構18と、着色ノズル31則ち着色ユニット15などと接続しており、これらの動作を制御することにより、着色装置1全体の制御を司る。
【0048】
また、制御装置19は、予め印6のパターンを記憶している。制御装置19は、エンコーダ17から所定のパルス状の信号即ち電線3の移動量に応じた情報が入力すると、予め定められた着色ノズル31のコイル40に一定時間印加して、該着色ノズル31から電線3に向かって着色材を一定量ずつ滴射させる。制御装置19は、予め記憶した印6のパターンにしたがって、電線3の移動速度が速くなると着色ノズル31から着色材を滴射する時間間隔を短くし、電線3の移動速度が遅くなると着色ノズル31から着色材を滴射する時間間隔を長くする。こうして、制御装置19は、予め記憶したパターンにしたがって、電線3を着色する。また、制御装置19は、エンコーダ17からの情報により、電線3が所定量移動したと判定すると、送り出しロール12を停止した後、一対の切断刃48,49を互いに近づけて電線3を切断する。さらに、制御装置19は、複数の着色ノズル31のうち電線3の外表面3aを着色していない着色ノズル31の後述する洗浄部64を制御して、所定時間間隔毎に、該洗浄部64に着色ノズル31のノズル54を洗浄させる。
【0049】
続いて、上述した着色ノズル31についてさらに詳しく説明する。着色ノズル31は、図1ないし図3に示すように、ノズルユニット52と、着色材供給部53と、洗浄部64とを有している。また、ノズルユニット52は、図4に示すように、円筒状のノズル本体34と、このノズル本体34内に収容されたインサート部材35と、流入管36と、ノズル54と、弁機構38と、ノズルカバー55とを有している。
【0050】
インサート部材35は、円筒状に形成されているとともに、内側に着色材を通す流路39が形成されている。流路39内には、後述の着色材供給源32などから供給される着色材で満たされる。インサート部材35は、本明細書に記した液状の着色材を収容する収容部をなしている。流入管36は、流路39と連通しており、着色材供給源32からの着色材を流路39内に導く。
【0051】
ノズル54は、図6に示すように、第1のノズル部材37と、第2のノズル部材50と、接続パイプ51と、を有している。第1のノズル部材37は、円筒状に形成されているとともに、流路39内と連通しており、流路39内の着色材を着色ノズル31外に向かって導く。第1のノズル部材37の内径は、ノズル本体34の内径即ち流路39の外径より小さい。第1のノズル部材37は、ノズル本体34と同軸に配されている。第1のノズル部材37は、ステンレス鋼からなる。
【0052】
第2のノズル部材50は、第1のノズル部材37より電線3寄りに配されているとともに、円筒状に形成されている。第2のノズル部材50は、ポリエーテルエーテルケトン(Polyetheretherketone:以下PEEKと呼ぶ)からなる。第2のノズル部材50の外径は、第1のノズル部材37の外径と等しい。このように、ノズル54は、筒状に形成されており、内側に着色材が流れるとともに、インサート部材35内に連通している。
【0053】
また、第2のノズル部材50は、第1のノズル部材37より内径が小さい第2の大径部151と、第2の大径部151よりも電線3寄りに配されかつ該第2の大径部151よりも内径が小さい小径部152と、小径部152よりも電線3寄りに配されかつ該小径部152よりも内径が大きい第1の大径部153とにより構成されているとともに、その内面が図6に示すように段差状に形成されている。このため、第2のノズル部材50の第1のノズル部材37寄りの端面50aは、第1のノズル部材37の内面から該第1のノズル部材37の内側に向かって突出している。また、本実施形態では、小径部152の内径が90μmに形成され、第2の大径部151及び第1の大径部153の内径が125μmに形成されている。また、小径部152,第2の大径部151,第1の大径部153のノズル54の長手方向に沿った長さは、それぞれ0.5mmに形成されている。このような第2のノズル部材50は、第1のノズル部材37と同軸に配されているとともに、該第1のノズル部材37に連結している。
【0054】
また、第1のノズル部材37と第2のノズル部材50との間は、水密になっている。第2のノズル部材50と第1のノズル部材37は、内側に第1のノズル部材37の長手方向に沿う矢印Qに沿って、着色材が流れる。即ち、小径部152,第2の大径部151,第1の大径部153はそれぞれ第2のノズル部材50の流路を構成している。また、矢印Qは、着色材が流れる方向をなしている。
【0055】
接続パイプ51は、フッ素樹脂からなり円筒状に形成されている。接続パイプ51の内径は、第1のノズル部材37と第2のノズル部材50の外径と略等しい。接続パイプ51は、第1のノズル部材37と第2のノズル部材50との双方の外側に嵌合しており、これらの第1のノズル部材37と第2のノズル部材50とを連結する。また、接続パイプ51は、第2のノズル部材50を第1のノズル部材37から着脱自在としている。
【0056】
弁機構38は、コイル40と、弁本体41と、コイルばね42を有している。コイル40は、流路39の外側に設けられインサート部材35内に埋設されている。コイル40は、外部から電流が印加される。弁本体41は、導電性の本体部43と、弁体44とを有している。本体部43は、円柱状の円柱部45と、この円柱部45の一端に連なる円盤状の円板部46とを一体に有している。
【0057】
本体部43は、円板部46が第1のノズル部材37の基端部37aと相対し、円柱部45の長手方向がノズル本体34の長手方向と平行な状態で、流路39内に収容されている。また、本体部43即ち弁本体41は、円柱部45の長手方向即ちノズル本体34の長手方向に沿って移動自在に設けられている。
【0058】
弁体44は、本体部43の円板部46に取り付けられている。即ち、弁体44は、インサート部材35内に収容されている。弁体44は、第1のノズル部材37の基端部37aと相対する。弁体44は、本体部43の円板部46に取り付けられているため、第1のノズル部材37の基端部37aに接離自在になっている。なお、接離とは、近づいたり離れたりすることである。
【0059】
上記構成の弁体44は、図4中に二点鎖線で示す開位置と、図4中に実線で示す閉位置とに亘って基端部37aに接離する。そして、開位置では、弁体44は、基端部37aから離れて着色材を第1のノズル部材37と第2のノズル部材50内を通して電線3に向かって滴射させる。また、閉位置では、弁体44は、基端部37aに接触して着色材を第1のノズル部材37と第2のノズル部材50内を通して電線3に向かって滴射することを規制する。このように弁体44は、基端部37aに接離することで、ノズル54から着色材を滴射させる。
【0060】
コイルばね42は、円板部46を弁体44が第1のノズル部材37の基端部37aに近
づく方向に付勢している。
【0061】
ノズルカバー55は、外径が軸芯方向に一定でかつ内径が段階的に変化するカバー本体56と、ノズル固定部材57とを有している。カバー本体56は、ユニット本体30に取り付けられる。カバー本体56は、内径を段階的に変化させる段差面59上にノズルユニット52のノズル本体34を位置付け、かつノズルユニット52の流入管36が上方に位置しノズル部材37,50が下方に位置する状態でノズルユニット52を収容する。
【0062】
また、カバー本体56は、前述した段差面59とノズルユニット52のノズル本体34との間にこれらの間を水密に保つパッキン60を設けている。さらに、カバー本体56と、ノズル部材37,50則ちノズル54との間には、空間61が設けられている。この空間61は、下方が開口している。このため、ノズルカバー55は、ノズル54から滴射された着色材が電線3に付着することを妨げない(許容する)。また、カバー本体56の電線3と相対する端面56aが、第2のノズル部材50の電線3と相対する先端面50bの電線3寄りに位置している。
【0063】
ノズル固定部材57は、図2に示すように、カバー本体56に取り付けられており、該カバー本体56にノズルユニット52を固定する。ノズル固定部材57は、カバー本体56とノズルユニット52とを同軸に保つ。
【0064】
着色材供給部53は、図2及び図3に示すように、着色材供給手段としての複数の着色材供給源32を有している。着色材供給源32は、着色材を収容する容器であり、着色ノズル31の流入管36内に着色材を供給する。着色材供給源32は、各着色ノズル31に一つ対応している。着色材供給源32が、着色ノズル31に供給する着色材の色Bは、互いに異なっていても良く、互いに同じであっても良い。着色材供給源32には、後述の加圧気体供給源33から加圧された気体が供給される。
【0065】
洗浄部64は、図3に示すように、洗浄液供給部65と、洗浄液排出部66とを有している。洗浄液供給部65は、第1の容器67と、加圧気体供給源33と、第1の配管68と、第1の弁69とを有している。
【0066】
第1の容器67は、洗浄液を収容する容器であり、ノズルカバー55のカバー本体56とノズル54との間に空間61則ちノズルカバー55内に洗浄液を供給する。第1の容器67は、各着色ノズル31に一つずつ対応して設けられても良く、全ての着色ノズル31に対応して一つ設けられても良く、複数の着色ノズル31に一つずつ対応して設けられても良い。洗浄液とは、前述した着色材を構成する色材としての工業用有機物質が溶解、分散可能な溶媒又は分散液などの液体である。さらに、洗浄液は、特に常温で揮発しにくい液体であるのが望ましい。
【0067】
加圧気体供給源33は、加圧された気体を各着色材供給源32と第1の容器67との双
方に供給する。加圧気体供給源33は、加圧された気体を各着色材供給源32と第1の容器67との双方に供給することで、各着色材供給源32内及び各着色ノズル31のインサート部材35内の着色材を加圧するとともに、第1の容器67内及び各着色ノズル31の空間61内の洗浄液を加圧する。
【0068】
加圧気体供給源33は、各着色材供給源32内及び各着色ノズル31のインサート部材35内の着色材を加圧することで、着色ノズル31の弁体44が第1のノズル部材37の基端部37aから離れると、流路39内の着色材が速やかに第1のノズル部材37及び第2のノズル部材50から滴射するようにする。
【0069】
第1の配管68は、加圧気体供給源33と、第1の容器67とを連結しているとともに、前述した空間61内則ちノズルカバー55内に連通している。第1の配管68は、第1の容器67内の洗浄液を前述した空間61内則ちノズルカバー55内に導く。
【0070】
第1の弁69は、第1の容器67と各着色ノズル31のノズルカバー55との間に位置する第1の配管68に設けられている。この第1の弁69は、開くと洗浄液を第1の容器67から前述した空間61内則ちノズルカバー55内に供給し、閉じると洗浄液を第1の容器67から前述した空間61内則ちノズルカバー55内に供給することを停止する。前述した構成によって、洗浄液供給部65は、洗浄液を第1の容器67内からノズルカバー55内に供給する。
【0071】
洗浄液排出部66は、図3に示すように、第2の容器70と、吸引機71と、第2の配管72と、第2の弁73とを有している。
【0072】
第2の容器70は、洗浄液を収容可能な容器であり、前述した空間61内則ちノズルカバー55内から排出された洗浄液を収容する。第2の容器70は、各着色ノズル31に一つずつ対応して設けられても良く、全ての着色ノズル31に対応して一つ設けられても良く、複数の着色ノズル31に一つずつ対応して設けられても良い。
【0073】
吸引機71は、例えば、真空ポンプや真空発生器などからなり、第2の容器70内の気体を吸引する。吸引機71は、第2の容器70内の気体を吸引することで、前述した空間61内則ちノズルカバー55内の洗浄液を第2の容器70に向かって吸引する。
【0074】
第2の配管72は、吸引機71と、第2の容器70とを連結しているとともに、前述した空間61内則ちノズルカバー55内に連通している。第2の配管72は、前述した空間61内則ちノズルカバー55内の洗浄液を第2の容器70内に導く。
【0075】
第2の弁73は、第2の容器70と各着色ノズル31のノズルカバー55との間に位置する第2の配管72に設けられている。この第2の弁73は、開くと前述した空間61内則ちノズルカバー55内の洗浄液を第2の容器70内に導き、閉じると前述した空間61内則ちノズルカバー55内の洗浄液を第2の容器70内に導くことを停止する。前述した構成によって、洗浄液排出部66は、前述した空間61内則ちノズルカバー55内の洗浄液を、該ノズルカバー55外に排出する。前述した構成の洗浄部64は、ノズルカバー55内に洗浄液を供給して、少なくともノズル54の電線3側の先端部分を洗浄する。
【0076】
前述した構成の着色ノズル31は、着色材供給源32からの着色材を、流入管36を通して、流路39内に導く。また、コイル40が印加されていない状態では、コイルばね42の付勢力により弁体44が第1のノズル部材37の基端部37aに接触して着色材を流路39内に位置付ける。そして、電線3の外表面3aを着色する際には、制御装置19からの命令に基づいて、コイル40に電流が印加され、コイルばね42の付勢力に抗して円板部46に取り付けられた弁体44が第1のノズル部材37の基端部37aから離れて、流路39内の着色材を矢印Qに沿って第1のノズル部材37と第2のノズル部材50との内側を通す。そして、着色ノズル31は、第2のノズル部材50から着色材を滴射する。
【0077】
また、着色材を滴射する際、軸芯Rに沿う矢印Qに沿って第1のノズル部材37と第2のノズル部材50内を流れる着色材の一部は、第2のノズル部材50の端面50aに衝突する。そして、端面50aに衝突した着色材の一部は、渦を発生して、着色材を攪拌することとなる。そして、第2のノズル部材50内の着色材の濃度が一様に保たれる。
【0078】
また、着色材を滴射する際、第1のノズル部材37から第2のノズル部材50の小径部152に向かって流れる着色材は、流路の断面積が段階的に小さくなっていくことから、第1のノズル部材37内から第2のノズル部材50の第2の大径部151に移動する際に流速が速くなり、該第2の大径部151から小径部152に移動する際に流速がさらに速くなる。そして、流速が速い液状の着色材が小径部152の電線3寄りの端面50cから電線3の外表面3aなどに向かって滴射される。このように第1のノズル部材37から第2のノズル部材50の小径部152に向かって段階的に流路が絞られることにより、着色材の流速などが滴射に最適な値に調整されるとともに着色材の滴射量も調整される。また、このように流速が速くなることで着色材の切れが良くなる。
【0079】
なお、着色ノズル31は、電線3の外表面3aを着色する際には、第1の弁69と第2の弁73との双方が閉じて、前述したノズルカバー55内に洗浄液が満たされていない。
【0080】
また、前述した着色ノズル31は、電線3の外表面3aの着色を停止する際、即ち着色材の滴射を停止する際、には、制御装置19からの命令に基づいてコイル40への印加を停止し、弁体44を第1のノズル部材37の基端部37aに接触させる。すると、第2のノズル部材50の第2の大径部151及び小径部152に位置付けられていた流速が増した状態の着色材が、図7に示すように、慣性により第2のノズル部材50の電線3側、即ち第1の大径部153内に移動する。この際、小径部152よりも内径が大きい第1の大径部153に着色材が移動することにより該着色材の流速が遅められる。こうして流速が遅くなった着色材は、その液面が第2のノズル部材50の先端面50bと面一になるところで止まり、第2のノズル部材50から着色材が飛び出すことが防止される。
【0081】
なお、着色材の滴射停止時にノズル54内に収容された着色材の量は、該着色材に慣性が働いていない状態で着色材の液面が小径部152の端面50cと面一になる量である。即ち慣性により第2の大径部151及び小径部152から電線3側に移動した着色材が第1の大径部153内に一旦収容されることになる。
【0082】
そして、上述したように着色材の流速が抑えられて(遅められて)液面が第2のノズル部材50の先端面50bと面一になると、第1の大径部153内に移動した着色材が大気圧によって小径部152側に押し戻される。このように押し戻された着色材は、その液面が、図8に示すように小径部152の端面50cと面一になるところで止まる。この状態で空気に触れているのは小径部152の端面50cと面一になった着色材の液面のみであり、ノズル54内、即ち端面50cよりも第1のノズル部材37側、に気泡が流入することが防止される。
【0083】
また、前述した着色ノズル31は、弁体44が閉位置に位置付けられて着色材の滴射が停止されると、第1の弁69と、第2の弁73との双方が開くとともに、吸引機71が第2の容器70内の気体を吸引し、加圧気体供給源33が第1の容器67内に加圧された気体を供給する。すると、第1の容器67から前述した空間61内則ちノズルカバー55内に洗浄液が供給される。空間61内に供給された洗浄液は、該洗浄液自身の表面張力などにより、下方からカバー本体56外に漏れることなく、ノズル54とカバー本体56との間に徐々に満たされていく。そして、洗浄液は、前述した空間61内に満たされると、第2の容器70に導かれる。
【0084】
そして、着色ノズル31は、例えば10秒から20秒間などの制御装置19に予め記憶された所定時間、弁69,73を開いて、第1の容器67から前述の空間61内に洗浄液を供給し、前述した空間61内の洗浄液を第2の容器70内に収容する。こうして、着色ノズル31は、ノズルカバー55内のノズル54の電線3側の先端部分を洗浄液ですすぐ。
【0085】
その後、着色ノズル31は、制御装置19からの命令に基づいて、弁69,73を同時に閉じる。そして、着色ノズル31は、制御装置19からの命令に基づいて、第1の弁69を例えば10ミリ秒などの制御装置19に予め記憶された極めて短い第2の所定時間開いた後、再度閉じる。すると、前述した空間61内の洗浄液の液面(界面ともいう)が、前述したノズルカバー55のカバー本体56の端面56aと面一になる。その後、着色ノズル31は、制御装置19からの命令に基づいて、この状態を、制御装置19に予め記憶された第3の所定時間保つ。また、このとき、着色ノズル31は、制御装置19からの命令に基づいて、弁69,73を同時に閉じる代わりに、第2の弁73を閉じてから前述した第2の所定時間経過した後、第1の弁69を閉じても良い。
【0086】
すると、洗浄液は、着色ノズル31のノズル54の電線3側の先端部分に付着した着色材の色材を溶解又は分散して、該ノズル54の先端部分から除去する。こうして、洗浄液は、ノズル54に付着した着色材を該ノズル54から除去して、ノズル54の洗浄を行う。
【0087】
そして、着色ノズル31は、制御装置19からの命令に基づいて、第1の弁69を閉じた状態で、第2の弁73を開くとともに、吸引機71が第2の容器70内の気体を吸引する。すると、前述した空間61則ちノズルカバー55内の洗浄液は、第2の容器70内に導かれる。そして、図9に示すように、前述した空間61則ちノズルカバー55内の洗浄液が、ノズルカバー55外に排出される。このように、洗浄部64は、ノズルカバー55
内の着色ノズル31のノズル54の電線3側の先端部分などを洗浄する。着色ノズル31は、空間61内の洗浄液の排出が終了すると、前述した第2の弁73を閉じる。そして、着色ノズル31は、電線3の外表面3aを着色するまで、例えば2分間などの制御装置19に記憶された第4の所定時間毎に洗浄液で前述した空間61内則ちノズルカバー55内を洗浄する。
【0088】
前述した構成の着色装置1で、電線3の外表面3aに印6を形成する即ち電線3の外表面3aを着色する際には、まず、ガイドロール11をフレーム10に取り付ける。一対の切断刃48,49を互いに離しておき、ガイドロール11に巻かれた電線3を矯正ユニット13と弛み吸収ユニット14と着色ユニット15とダクト16とに順に通して、一対の送り出しロール12間に挟む。そして、着色ユニット15のユニット本体30の所定箇所に着色ノズル31を取り付け、各着色ノズル31に着色材供給源32と第1の容器67とを連結する。さらに、加圧気体供給源33を着色材供給源32と第1の容器67との双方に連結し、吸引手段でダクト16内の気体を吸引する。
【0089】
そして、送り出しロール12を回転駆動して、電線3をガイドロール11から引っ張って、該電線3の長手方向に沿って移動させるとともに、矯正ユニット13により電線3に第1の付勢力H1の摩擦力を付与して、該電線3を張っておく。そして、エアシリンダ27で移動ローラ26即ち電線3を第2の付勢力H2で付勢しておく。さらに、前述したように着色材供給源32から着色材を着色ノズル31の流路39内に供給し、前述したように第1の容器67から洗浄液を前述した空間61内に供給しておく。
【0090】
そして、エンコーダ17から所定の順番のパルス状の信号が制御装置19に入力すると、制御装置19は、予め定められた着色ノズル31のコイル40に一定時間、所定間隔毎に印加する。すると、着色ノズル31は、着色材を一定量ずつ電線3の外表面3aに向かって滴射する。そして、電線3の外表面3aに付着した着色材から前述した溶媒または分散液が蒸発して、電線3の外表面3aを染料で染める又は外表面3aに顔料を塗る。電線3の外表面3aに付着した着色材から蒸発した溶媒または分散液は、ダクト16内から吸引手段に吸引される。こうして、電線3の外表面3aが着色される。その後、上述した順序を経てノズルカバー55内を洗浄する。
【0091】
エンコーダ17などからの情報により、制御装置19が所定の長さの電線3を送り出したと判定すると、この制御装置19は、送り出しロール12を停止する。すると、特に、弛み吸収ユニット14の一対の案内ローラ24間で電線3が弛んで、第2の付勢力H2で付勢された移動ローラ26が図1中に二点鎖線で示す位置に変位する。すると、弛み吸収ユニット14のエアシリンダ27の伸縮ロッド29が伸長する。そして、弛み吸収ユニット14は、電線3の弛みを吸収する。
【0092】
そして、一対の切断刃48,49が互いに近づいて、これら切断刃48,49間に電線3を挟んで切断する。こうして、図5などに示された外表面3aに印6が形成された電線3が得られる。
【0093】
本実施形態によれば、着色材の滴射時には、着色材が第1のノズル部材37から第2のノズル部材50の小径部152に移動する際にその流速が速められて該小径部152の電線3寄りの端面50cから滴射されるので、着色材の滴射量などを調整することができるとともに、着色材の切れを良くすることができる。そして、着色材の滴射停止時には、小径部152内の流速が増した状態の着色材が慣性により第1の大径部153内に移動するとともに、小径部152から第1の大径部153に移動する際にその流速が遅められることにより、着色材の液面が第1の大径部153の物品寄りの端面、即ち第2のノズル部材の先端面50b、と面一になるところで止まる。その後大気圧により着色材が小径部152側に押し戻されかつ液面が小径部152の端面50cと面一になるところで止まる。よって、着色ノズル31内、即ち端面50cよりも第1のノズル部材37側、に気泡が流入することを防止でき、そのために、液だれ、ノズル詰り、滴射方向不良などを防止できる着色ノズル31を提供することができる。
【0094】
前述した実施形態では、第1のノズル部材37と第2のノズル部材50とを互いに別体としている。しかしながら、本発明では、第1のノズル部材37と第2のノズル部材50とを一体にしても良い。また、前述した実施形態では、第2のノズル部材50が一つの部材により形成されていたが、内径の異なる複数の部材を組み合わせて形成するようにしても良い。さらに、前述した実施形態では、第2のノズル部材50の内面が段差状に形成されていたが、本発明では、第2のノズル部材50の内面をテーパ状に形成することによりその内径を変化させるようにしても良い。また、本発明では、第2のノズル部材50が少なくとも小径部152と第1の大径部153とを有していれば良く、必ずしも第2の大径部151を有していなくても良い。
【0095】
さらに、本発明では、着色液及び塗料として、アクリル系塗料、インク(染料系、顔料系)、UVインクなどの種々のものを用いても良い。
【0096】
さらに、前述した実施形態では、自動車に配索されるワイヤハーネスを構成する電線3に関して記載している。しかしながら、本発明では、電線3を自動車に限らず、ポータブルコンピュータなどの各種の電子機器や各種の電気機械に用いても良いことは勿論である

【0097】
また、前述した実施形態では、電線3の外表面3aを着色する着色ノズル31を示している。しかしながら、本発明の着色ノズル31は、電線3の他に種々のものを着色しても良い。
【0098】
なお、前述した実施形態は本発明の代表的な形態を示したに過ぎず、本発明は、実施形態に限定されるものではない。即ち、本発明の骨子を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。
【図面の簡単な説明】
【0099】
【図1】本発明の一実施形態にかかる着色ノズルを有した電線の着色装置の構成を示す側面図である。
【図2】図1中のII−II線に沿う電線の着色装置の着色ユニットの断面図である。
【図3】図2に示された着色ユニットの各着色ノズルと電線との位置関係を示す説明図である。
【図4】図2に示された着色ユニットの各着色ノズルのノズルユニットの構成を示す断面図である。
【図5】(a)は図1に示された電線の着色装置で着色された電線の斜視図である。(b)は図5(a)に示された電線の平面図である。
【図6】図4に示された着色ノズルの要部を拡大して示す断面図である。
【図7】図6に示された着色ノズルの滴射停止時の着色材の状態を示す断面図である。
【図8】滴射停止時の着色材が図7に示した状態から着色ノズル内に押し戻された状態を示す断面図である。
【図9】従来の着色ノズルの滴射停止時の着色材の状態を示す断面図である。
【図10】図9に示した状態の着色ノズルの流路内に気泡が流入した状態を示す断面図である。
【符号の説明】
【0100】
3 電線(物品)
3a 外表面
31 着色ノズル
35 インサート部材(収容部)
37 第1のノズル部材
50 第2のノズル部材
151 第2の大径部
152 小径部
153 第1の大径部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
物品の外表面に向かって液状の着色材を一定量ずつ滴射して、前記着色材の液滴を前記物品の外表面に付着させて該物品を着色する着色ノズルにおいて、
前記着色材を収容する収容部と、
円筒状に形成されかつ内側に前記着色材が流れるとともに前記収容部内に連通した第1のノズル部材と、
円筒状に形成されかつ前記第1のノズル部材より前記物品寄りに配されて該第1のノズル部材に連結しているとともに、内側に前記着色材が流れる第2のノズル部材と、を有するとともに、
前記第2のノズル部材が、前記第1のノズル部材より内径が小さい小径部と、該小径部よりも前記物品寄りに配されかつ該小径部よりも内径が大きい第1の大径部と、を有して構成されたことを特徴とする着色ノズル。
【請求項2】
前記第2のノズル部材が、前記小径部よりも前記第1のノズル部材寄りに配され、かつ、内径が前記小径部よりも大きく前記第1のノズル部材よりも小さい第2の大径部をさらに有したことを特徴とする請求項1に記載の着色ノズル。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2008−41486(P2008−41486A)
【公開日】平成20年2月21日(2008.2.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−215698(P2006−215698)
【出願日】平成18年8月8日(2006.8.8)
【出願人】(000006895)矢崎総業株式会社 (7,019)
【Fターム(参考)】