説明

着色剤組成物、インク及び印刷方法

式(1)の化合物又はその塩及び式(2)の化合物又はその塩を含む組成物。


(式中、Aは、アリール又はヘテロアリール基であるか、あるいはこれを含み;Q及びQは、それぞれ独立して置換されていてよいフェニレン基であり;R、R、R及びRは、それぞれ独立してH、置換されていてよいアルキル、置換されていてよいアリール又は置換されていてよいアリールアルキルであり;各W、W、W及びWは、独立して−COH、−SOH、−PO基、又は−COH、−SOH、−POから選択される1つ以上の基で置換されたアルキルであり;各S、S、S及びSは、独立してW、W、W及びWで定義された基以外の置換基であり;a及びdは、それぞれ独立して1〜5であり;b及びcは、それぞれ独立して0〜4であり;(a+b)は、1〜5の値であり;(c+d)は、1〜5の値であり;e及びhは、それぞれ独立して1〜7であり;f及びgは、それぞれ独立して0〜6であり;(e+f)は、1〜7の値を有し;(g+h)は、1〜7の値を有する。)

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、着色剤組成物(限定するわけではないが、特に黄色着色剤組成物)、該着色剤組成物を含有するインク、及び該インクのインクジェット印刷(「IJP」)での使用に関する。
【背景技術】
【0002】
インクジェット印刷は、ノズルを支持体と接触させずに、インクの液滴を細いノズルを通して支持体へ噴出する非衝撃式印刷技術である。
IJPで使用される着色剤及びインクには多くの性能が求められる。例えば、それらは、良好な耐水堅牢性、耐光堅牢性、耐オゾン堅牢性及び光学濃度を有するシャープで非羽毛状の像を提供するのが望ましい。インクは、支持体へ塗布したとき急速に乾燥して、汚れを防ぐことがしばしば求められる。しかし、インクはインクジェットノズルの先端でクラスト(crust)を形成してはならない。なぜなら、このクラスト形成がプリント品質を低下させ、極端な場合にはプリンターの印刷を妨げる可能性があるからである。インクはまた、分解したり又は細いノズルを塞ぐかもしれない沈殿物を形成することなく、長期貯蔵に対しても安定であることが好ましい。
【0003】
米国特許第6,488,752号には、インクジェット印刷に用いるためのいくつかのアゾ含有化合物が開示されている。
インクジェット印刷インクに用いられる着色剤の場合、しばしば、良好な彩度、色相、耐光堅牢性及び耐オゾン堅牢性を同時に得ることが困難である。また、経済的に効率のよい技術を用いて良好な性能特性を提供することが望ましい。さらに望ましい性質は、プリントが貯蔵され、光に曝されたとき、又はオゾンに曝されたとき、色相又は色彩に有意な変化があってはならないことである。例えば、黄色プリントは、好ましくは、日光に曝されたとき赤又は青の色彩に変化せず、黄色の色彩のままでなければならない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】米国特許第6,488,752号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、少なくとも一部は、上記の望ましい技術的な目標の1つ以上に取り組むことである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の第1の側面では、式(1)の化合物又はその塩及び式(2)の化合物又はその塩を含む組成物を提供する。
【0007】
【化1】

【0008】
(式中、
Aは、アリール又はヘテロアリール基であるか、あるいはこれを含み;
及びQは、それぞれ独立して置換されていてよいたフェニレン基であり;
、R、R及びRは、それぞれ独立してH、置換されていてよいアルキル、置換されていてよいアリール又は置換されていてよいアリールアルキルであり;
各W、W、W及びWは、独立して−COH、−SOH、−PO基、又は−COH、−SOH、−POから選択される1つ以上の基で置換されたアルキルであり;
各S、S、S及びSは、独立してW、W、W及びWで定義された基以外の置換基であり;
a及びdは、それぞれ独立して1〜5であり;
b及びcは、それぞれ独立して0〜4であり;
(a+b)は、1〜5の値であり;
(c+d)は、1〜5の値であり;
e及びhは、それぞれ独立して1〜7であり;
f及びgは、それぞれ独立して0〜6であり;
(e+f)は、1〜7の値を有し;且つ
(g+h)は、1〜7の値を有する)。
【発明を実施するための形態】
【0009】
式(1)において、b及びcはそれぞれ独立して、好ましくは0、1又は2、より好ましくは0又は1である。
式(1)において、a及びdはそれぞれ独立して、好ましくは1、2又は3、より好ましくは1又は2である。
【0010】
(a+b)は、好ましくは1、2又は3、より好ましくは1又は2である。(c+d)は、好ましくは1、2又は3、より好ましくは2又は3である。
式(1)の化合物又はその塩はモノアゾ化合物(すなわち、アゾ(−N=N−)基を1つだけ含む)であるのが好ましい。
【0011】
1つの態様では、Aはアリール基、より好ましくはナフチル又はフェニル基、特にフェニル基である。
別の態様では、Aはインダニル基、より好ましくは式(1a)のインダニル基である:
【0012】
【化2】

【0013】
(式中、星印は、式(1)の化合物におけるアゾ基の結合位置を表す)。
好ましくは、各W及び各Wは独立して−COH、−SOH、−PO、又は−COH、−SOH、−POから選択される1、2又は3つ(より好ましくは1つ)の基で置換されたC1−10アルキル(より好ましくはC1−6アルキル)である。
【0014】
より好ましくは、各W及び各Wは独立して−COH、−SOH、又は−COH若しくは−SOHで置換されたC1−6アルキルである。
各Wは独立して−COH又は−SOHであるのが特に好ましい。
【0015】
各Wは−COHであるのが特に好ましい。
好ましくは、少なくとも1つのWは、アゾ基(−N=N−)に対してオルト位置で結合している。
【0016】
好ましくは、S及びSは、それぞれ独立して、置換されていてよいアリール、置換されていてよいアラルキル、ハロゲン(特に、F及びCl)、ニトロ、シアノ、−CF、−OR、−NR、−SR、−C(O)R、−C(O)OR、−SO、−SOR10;−SOH、−COH、−PO以外の基で置換されていてよいアルキル;又は式(1b)の基であり、ここで、
及びRは、それぞれ独立して、H、置換されていてよいアルキル又は置換されていてよいアリールであり;
及びRは、それぞれ独立して、H、置換されていてよいアルキル、置換されていてよいアリール、−CO(C1−6アルキル)、−CONHであるか、あるいはR及びRは、それらが結合している窒素と共に5員又は6員環を形成し;
、R、R及びR10は、それぞれ独立して置換されていてよいアルキル又は置換されていてよいアリールであり;
式(1b)の基は
【0017】
【化3】

【0018】
である。
(式中、
及びLは、それぞれ独立して−OR11、−SR12又は−NR1314であり;
11及びR12は、それぞれ独立してH、置換されていてよいアリール又は置換されていてよいアルキルであり;そして
13及びR14は、それぞれ独立してH、置換されていてよいアリール、置換されていてよいアルキル、−CO(C1−6アルキル)、−CONHであるか、あるいはR13及びR14は、それらが結合している窒素と共に置換されていてよいモルホリン又はピペラジン環を形成し;
Vは、−N(R15)−又は−S−であり;
14は、H、置換されていてよいアルキル又は置換されていてよいアリールであり;且つ
星印()は、Aで表される基の結合位置を表す。)
好ましい態様では、S及びSは、それぞれ独立して、置換されていてよいアリール、置換されていてよいアラルキル、ハロゲン(特にF及びCl)、ニトロ、シアノ、−CF、−OR、−NR、−SR、−C(O)R、−C(O)OR、−SO、−SOR10;−SOH、−COH、−PO以外の基で置換されていてよいアルキルであり、ここで、R、R、R、R、R、R、R及びR10は上記定義どおりである。
【0019】
好ましくは、R、R、R及びR10は、それぞれ独立して、置換されていてよいアルキルである。
及びSのいずれかが置換されていてよいアルキルであるとき、それは、好ましくは置換されていてよいC1−10アルキル、より好ましくは−OH、ニトロ、シアノ、ハロゲン(特にF又はCl)、アミノ、−NH(C1−4ヒドロキシアルキル)又は−NH(C1−4アルキル)で置換されていてよいC1−6アルキル、である。
【0020】
、R、R、R、R、R、R、R10、R11、R12、R13、R14及びR15のいずれか1つが置換されていてよいアルキルであるとき、それは、好ましくは置換されていてよいC1−10アルキル、より好ましくは置換されていてよいC1−6アルキルである。好ましい任意的な置換基は、−OH、ニトロ、シアノ、アミノ及びハロゲン(好ましくはF又はCl)、より好ましくはCl及び−OHである。
【0021】
、R、R、R、R、R、R、R10、R11、R12、R13、R14及びR15のいずれか1つが置換されていてよいアリールであるとき、それは、好ましくは置換されていてよいフェニル又は置換されていてよいナフチル、特に置換されていてよいフェニルである。好ましい任意的な置換基は、C1−4アルコキシ、(C1−4ヒドロキシアルコキシ)−C1−4アルコキシ−、−OH、−COH、−SOH、−CF、アミノ、−NH(C1−4アルキル)、−NH(C1−4ヒドロキシアルキル)、−NH(−CO(C1−4アルキル))、ハロゲン(特に、F又はCl)、ニトロ、−CO(C1−4アルキル)、−SO(C1−4アルキル)、及び−OH、−COH、−SOHで置換されていてよいC1−4アルキルである。
【0022】
及びRが、それらの結合している窒素と共に5員又は6員環を形成する場合、環は置換されていてよいモルホリン又は置換されていてよいピペラジンであることが好ましい。
【0023】
及びRが、それらの結合している窒素と共に形成することが可能な環に結合する好ましい任意的な置換基は、−OH、−COH、−SOH、C1−4アルコキシ、及び−OH、−COH、−SOHで置換されていてよいC1−4アルキルから選択される。
【0024】
、R、R及びR10は、それぞれ独立して、好ましくはC1−4アルキル、より好ましくはメチル又はエチルである。
及びSのいずれか1つがアラルキルである場合、それは、好ましくは置換されていてよいフェニル−(アルキレン)−又は置換されていてよいナフチル−(アルキレン)−、より好ましくは置換されていてよいフェニル−(C1−6アルキレン)−又は置換されていてよいナフチル−(C1−6アルキレン)−である。アラルキル基に結合する好ましい任意的な置換基は、アリール基について上に列挙したもの、より好ましくはC1−4アルキル、C1−4アルコキシ、−SOH、−COH、アミノ、ニトロ、F又はClである。
【0025】
好ましくは、各S及び各Sは−COH、−SOH及び−PO基をもたない。
好ましくは、各S及びSは独立してC1−4アルキル又はC1−4アルコキシである。
【0026】
好ましくは、cは0〜3、より好ましくは、cは0である。
好ましくは、bは0〜3、より好ましくは、bは0である。
好ましくは、Rは、H、置換されていてよいC1−10アルキル、置換されていてよいフェニル又は置換されていてよいフェニル−(C1−6アルキレン)−、より好ましくはH、フェニル、又はOH、−SOH若しくは−COH、で置換されていてよいC1−6アルキル、特にH又はC1−4アルキル、とりわけ特にHである。
【0027】
好ましくは、Rは、置換されていてよいC1−10アルキル、置換されていてよいフェニル、より好ましくはフェニル、又は−OH、−COH若しくは−SOHで置換されていてよいC1−6アルキル、特にC1−4アルキル、とりわけ特にメチル又はエチルである。Rがメチルであることが最も好ましい。
【0028】
式(1)の好ましい化合物又はその塩において、
Aは、上記定義のとおりであり;
各W及び各Wは、独立して−COH、−SOH、又は−COH若しくは−SOH基で置換されたC1−6アルキルであり;
各S及びSは、独立してC1−6アルキル、フェニル、ニトロ、ハロ(特にF及びCl)、シアノ、−CF、−NH、C1−6アルコキシ、−SC1−6アルキル、−OHで置換された−C1−6アルキル又は−NHC(O)C1−6アルキルであり;
は、H、又は−OH、−SOH又は−COH、で置換されていてよいC1−6アルキルであり;
はC1−4アルキルであり;
a及びdは、それぞれ独立して1又は2であり;
b及びcは、それぞれ独立して0、1又は2である。
【0029】
好ましくは、Wは−COHである。
好ましくは、各Wは独立して−COH又は−SOHである。
好ましくは、Rは、H又はC1−4アルキル、より好ましくはHである。
【0030】
好ましくは、Rはメチル又はエチル、より好ましくはメチルである。
aが1であり、且つ、Wが、ピリジニウム環に3位で結合している−COHであることが特に好ましい。
【0031】
好ましくは、Aはフェニル又はインダニルである。
式(1)の化合物又はその塩は、式(3)の化合物又はその塩である:
【0032】
【化4】

【0033】
式(3)の化合物は、特に鮮やかな黄色及び高い彩度を有し、また特に良好な耐光堅牢性を示す。
1つの態様では、式(1)の化合物又はその塩は、式(1c)の化合物又はその塩である:
【0034】
【化5】

【0035】
(式中、
、W、S、S、R及びR、a、b、c及びdは上記定義のとおりである)。
【0036】
好ましくは、dは1〜3であり、cは0〜3であり、(c+d)は1〜3である。この態様では、各W及び各Sで表される全ての基は、式(1c)の化合物中に存在するベンジル環に結合していることが好ましい。
【0037】
好ましくは、各Sは、独立して、それぞれが−OHで任意に置換されているC1−6アルキル又はC1−6アルコキシである。
式(1c)において、cは0であることが好ましい。好ましくは、dは1又は2である。式(1c)において、cが0であり、aが1又は2であり、そして少なくとも1つのWが式(1c)中のアゾ基に対してオルトにあるのが特に好ましい。
【0038】
式(1)の化合物又はその塩は、米国特許第6,488,752号の第5欄に記載の合成法によって製造しうる。
式(3)の化合物又はその塩は、米国特許第6,488,752号の第10欄で始まる実施例1に記載のような方法によって製造することができる。
【0039】
式(2)の化合物又はその塩は2つのアゾ基のみを含むことが好ましい。
好ましくは、式(2)の化合物又はその塩中に存在するナフチル基の一方又は両方は、式(2)の化合物中に存在するアゾ基に対して2−ナフチル位置で結合している。
【0040】
従って、式(2)の好ましい化合物又はその塩は、式(2a)の化合物又はその塩である。
【0041】
【化6】

【0042】
(式中、Q、Q、W、W、S、S、R、R、e、f、g及びhは上記定義のとおりである。)
は、式(2)の化合物中に存在する−N=N−基及び−NR−基にパラ結合しているフェニレン基であることが好ましい。
【0043】
同様に、 Qは、式(2)の化合物中に存在する−N=N−基及び−NR−基にパラ結合しているフェニレン基であることが好ましい。
及びQは、W及びSについて上に定義したいずれかの基からそれぞれ独立して選択される1〜4個の基(より好ましくは1又は2個の基)で置換されていてよい。
【0044】
好ましくは、Q及びQは、−COH、−SOH及び−PO基をどれも含まない。
好ましくは、Q及びQは、それぞれ独立してC1−6アルキル、C1−6アルコキシ、−C(O)OC1−6アルキル及び−C(O)NHC1−6アルキル基から選択される1つ又は2つの基で置換されている。
【0045】
好ましくは、Q及びQは少なくとも1つのC1−6アルキル、より好ましくは少なくとも1つのメチル基で置換されている。好ましくは、C1−6アルキルは、式(2)の化合物中のアゾ(−N=N−)基に対してオルトの位置でQ及びQ中に存在する。
【0046】
好ましくは、Qは式(2b)の基である。
【0047】
【化7】

【0048】
(式中、
16はH又はメチルであり;
星印()はアゾ基の結合位置を表し、ナンバー(#)記号は式(2)の化合物に存在する−NR−基の結合位置を表す。)
同様に、Qは、好ましくは式(2c)の基である。
【0049】
【化8】

【0050】
(式中、
17は、H又はメチルであり;
星印()はアゾ基の結合位置を表し、ナンバー(#)記号は式(2)の化合物中に存在する−NR−基の結合位置を表す。)
及びRは、それぞれ独立して、Rについて上に定義したとおりの基であってよい。
【0051】
好ましくは、R及びRは、それぞれ独立して、H、又は1〜3個(特に1個)の−COH、−OH又は−SOHで置換されていてよいC1−6アルキルである。
好ましくは、R及びRはHである。
【0052】
好ましくは、hは1、2又は3、より好ましくは2である。
好ましくは、eは1、2又は3、より好ましくは2である。
又はWが、−COH、−SOH及び−POから選択される1以上の基で置換されたアルキル基であるとき、アルキル基はC1−6アルキルであることが好ましい。
【0053】
好ましくは、W及びWは、それぞれ独立して、−COH、−PO又は−SOHであり、より好ましくは、W及びWは−SOHである。
好ましくは、式(2)の化合物又はその塩中に存在するナフチル基の一方又は両方は式(2d)の基である。
【0054】
【化9】

【0055】
(式中、星印()は、式(2)の化合物中のアゾ基の結合位置を表す。)
好ましくは、fは0、1又は2、より好ましくは0である。
好ましくは、gは0、1又は2、より好ましくは0である。
【0056】
好ましくは、f及びgは共に0である。
又はSは、それぞれ独立して、Sについて前に定義したとおりの基であってよい。
【0057】
式(2)の好ましい化合物又はその塩において、
各W又はWは、独立して、−COH、−PO又は−SOHであり;
各S及びSは、独立して、C1−4アルキル又はC1−4アルコキシであり:
e及びhは、それぞれ独立して、1、2又は3であり;
f及びgは、それぞれ独立して、0、1又は2である。
【0058】
式(2)の化合物又はその塩は、式(4)の化合物又はその塩であることが最も好ましい。
【0059】
【化10】

【0060】
式(4)の化合物はC.I.Direct Yellow50として商業的に入手しうる。
式(2)の化合物又はその塩は、十分に確立されたジアゾ化反応化学によって製造しうる。
【0061】
好ましい合成ルートにおいて、置換されたアミノナフチレンはジアゾ化され、そして置換されていてよいアニリン化合物へカップリングされる。このジアゾ化反応の生成物はホスゲン(COCl)を用いてカップリングされることが好ましい。
【0062】
本発明では、式(1)及び式(2)の化合物は、遊離酸の形(すなわち、プロトン付加された形)若しくは塩の形又はそれらの混合物でもよい。従って、式(1)及び式(2)の化合物中に存在する−COH、−SOH及び−POのような酸基は、遊離酸若しくは塩又はそれらの混合物の形であってよい。
【0063】
式(1)及び式(2)の化合物は塩の形であることが好ましい。
好ましい塩は、アルカリ金属塩、アンモニウム及び置換アンモニウム塩である。
好ましい金属塩は、アルカリ金属塩、好ましくはリチウム、ナトリウム、カリウム塩、特にナトリウム塩である。
【0064】
好ましいアンモニウム及び置換アンモニウム塩は、アンモニア、有機アミン及び第4級有機アミン(例えば、(CH)である。有機アミンは、例えばヒドロキシ基で置換されていてもよい(例えば、アルカノールアミン)。
【0065】
好ましくは、式(1)の化合物又はその塩及び式(2)の化合物又はその塩は、それぞれ独立して、金属、アンモニウム及び置換アンモニウム塩又はそれらの混合物よりなる群から選択される塩の形である。
【0066】
式(1)及び式(2)の化合物は共に同一の塩の形であるのが好ましい。
遊離酸形の式(1)及び式(2)の化合物は、公知の技術を用いて塩に変換することができる。例えば、遊離酸形の式(1)及び式(2)の化合物は、アルカリ金属水酸化物又はアミンのような塩基を用いて中和することができる。通常、そのような中和は水性液体媒体中で行われる。
【0067】
塩の形態は、公知の技術によって交換可能である。例えば、アルカリ金属塩の形の式(1)及び式(2)の化合物は、アンモニア溶液での限外濾過によって又はアンモニウムイオン交換樹脂によってアンモニウム塩に変換することができる。
【0068】
好ましくは、式(1)及び式(2)の化合物又はそれらの塩は、いずれも水に可溶性である。より好ましくは、両化合物は、化合物の少なくとも5重量%の濃度で水に可溶性である。
【0069】
好ましくは、式(1)及び式(2)の化合物又はそれらの塩は、いずれも黄色、オレンジ色又は褐色である。より好ましくは、両化合物は、水中で5重量%の濃度であるとき、黄色である。
【0070】
好ましい組成物では、式(1)の化合物若しくはその塩及び/又は式(2)の化合物若しくはその塩は、透析、逆浸透圧、限外濾過、イオン交換又はそれらの組み合わせによって精製される。この精製は、該組成物の製造前及び/又は後に実施することができる。
【0071】
式(1)の化合物若しくはその塩及び/又は式(2)の化合物若しくはその塩は、本明細書に示す以外の互変異性体の形で存在しうる。これらの互変異性体は本発明の範囲及びその請求の範囲に含まれる。
【0072】
好ましい態様では、式(1)の化合物又はその塩は、式(3)の化合物又はその塩であり、式(2)の化合物又はその塩は、式(4)の化合物又はその塩である。
式(4)の化合物又はその塩はC.I.Direct Yellow50として知られている。
【0073】
本発明の第1の側面による組成物は、式(1)の化合物又はその塩及び式(2)の化合物又はその塩を互いに対してどのような割合で含有されてもよいが、我々は、特定の重量比がより望ましい色相、耐オゾン堅牢性及び耐光堅牢性をもたらすことを見出した。
【0074】
式(1)の化合物又はその塩と式(2)の化合物又はその塩の重量比は、好ましくは、5:95〜95:5、より好ましくは50:50〜95:5、特に70:30〜90:10である。とりわけ、これらの比率は三原色(シアン、マゼンタ及びイエロー)印刷インクセットの黄色インクにすぐれた黄色の色相をもたらす。
【0075】
本発明の第1の側面による組成物は、式(1)の化合物又はその塩を式(2)の化合物又はその塩に単に加えることによって製造することができる。さらに好ましくは、2つの化合物は、均質混合物が形成されるように混合する。混合は、例えば、振とう機ミキサー、ローラーミキサー、タンブラーミキサー等を用いて、乾燥ブレンドすることによって実施することができる。より好ましくは、式(1)の化合物又はその塩と式(2)の化合物又はその塩の混合は、湿式ブレンド(すなわち、化合物を液体と共に混合すること)によって行われる。好ましくは、液体は水であるか、水を含む。式(1)及び式(2)のいずれの化合物も液体媒体、特に水性液体媒体に溶解するのが特に好ましい。
【0076】
本発明の第2の側面では、本発明の第1の側面による組成物及び媒体を含むインクを提供する。
好ましい態様では、インクは、
(a)本発明の第1の側面による組成物0.01〜30部;及び
(b)媒体70〜99.99部
(ここで、全ての部は重量に基づき、部の合計(a)+(b)=100である)
を含む。
【0077】
成分(a)の部数は、好ましくは0.1〜20部、より好ましくは0.5〜15部、特に1〜5部である。成分(b)の部数は、好ましくは99.9〜80部、より好ましくは99.5〜85部、特99〜95部である。
【0078】
媒体は低融点固体でもよいが、液体媒体(好ましくは、25℃で液体)であることが好ましい。
成分(a)は成分(b)に完全に溶解するのが好ましい。好ましくは成分(a)は25℃での成分(b)における溶解度が少なくとも5%、より好ましくは少なくとも10%である。これによって、より希薄なインクの製造に用いることができる安定なインク及び濃縮物の製造が可能となり、貯蔵中に液体媒体の蒸発が生じても、染料が沈殿する可能性が低くなる。
【0079】
1つの態様では、液体媒体は水であるか、水を含む(すなわち、インクは水性である)。
好ましい液体媒体の例は、水、水と有機溶媒との混合物、及び水を含まない有機溶媒である。
【0080】
液体媒体が水と有機溶媒との混合物よりなるとき、水対有機溶媒の重量比は、好ましくは99:1〜1:99、より好ましくは99:1〜50:50、特に95:5〜80:20である。
【0081】
水と有機溶媒との混合物中に存在する有機溶媒が、水混和性の有機溶媒又はそのような溶媒の混合物であることが好ましい。好ましい水混和性の有機溶媒には、C1−6−アルカノール、好ましくはメタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、sec−ブタノール、t−ブタノール、n−ペンタノール、シクロペンタノール及びシクロヘキサノール;線状アミド、好ましくはジメチルホルムアミド又はジメチルアセトアミド;ケトン及びケトン−アルコール、好ましくはアセトン、メチルエーテルケトン、シクロヘキサノン及びジアセトンアルコール;水混和性エーテル、好ましくはテトラヒドロフラン及びジオキサン;ジオール、好ましくは2〜12個の炭素原子を有するジオール、例えば、ペンタン−1,5−ジオール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ペンチレングリコール、ヘキシレングリコール及びチオジグリコール並びにオリゴ−及びポリ−アルキレングリコール、好ましくはジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール及びポリプロピレングリコール;トリオール、好ましくはグリセロール及び1,2,6−ヘキサントリオール;ジオールのモノ−C1−4−アルキルエーテル、好ましくは2〜12個の炭素原子を有するジオールのモノ−C1−4−アルキルエーテル、特に2−メトキシエタノール、2−(2−メトキシエトキシ)エタノール、2−(2−エトキシエトキシ)エタノール、2−[2−(2−メトキシエトキシ)エトキシ]エタノール、2−[2−(2−エトキシエトキシ)エトキシ]エタノール及びエチレングリコールモノアリルエーテル;環状アミド、好ましくは2−ピロリドン、N−メチル−2−ピロリドン、N−エチル−2−ピロリドン、カプロラクタム及び1,3−ジメチルイミダゾリドン;環状エステル、好ましくはカプロラクトン;スルホキシド、好ましくはジメチルスルホキシド及びスルホランが含まれる。液体媒体は水及び2種以上の、特に2〜8種の水混和性有機溶媒を含んでいることが好ましい。
【0082】
水及び1種以上の有機溶媒の混合物を含む好適なインク媒体の更なる例は、米国特許第4,963,189号、米国特許第4,703,113号、米国特許第4,626,284号及び欧州特許出願公開第4,251,50A号に記載されている。
【0083】
液体媒体が水を含有しない有機溶媒(すなわち、水が1重量%未満)を含んでなる場合、溶媒の沸点は、好ましくは30〜200℃、より好ましくは40〜150℃、特に50〜125℃である。有機溶媒は水非混和性、水混和性又はそれらの溶媒の混合物でもよい。好ましい水混和性有機溶媒は、本明細書中に記載の水混和性有機溶媒及びそれらの混合物である。好ましい水非混和性有機溶媒は、例えば、脂肪族炭化水素;エステル、好ましくは酢酸エチル;塩素化炭化水素、好ましくはCHCl;及びエーテル、好ましくはジエチルエーテル;並びにそれらの混合物である。
【0084】
液体媒体が水非混和性有機溶媒を含んでなる場合、染料の液体媒体への溶解度を高めるので極性溶媒が含まれていることが好ましい。極性溶媒の例は、ケトン及びアルコール(特に、メチルエチルケトン及びC1−4アルカノール)である。上に例示された好ましい選択肢を考慮すると、液体媒体が水を含有しない有機溶媒である場合、それはケトン(特に、メチルエチルケトン)及び/又はアルコール(特に、C1−4アルカノール、さらにとりわけ、エタノール又はプロパノール)を含んでなることが特に好ましい。
【0085】
水を含有しない有機溶媒は単一の有機溶媒でも、2種以上の有機溶媒の混合物でもよい。媒体が、水を含有しない有機溶媒であるとき、該媒体は2〜5種の有機溶媒の混合物であることが好ましい。これによって、インクの乾燥特性及び貯蔵安定性をうまく調整することができる媒体を選択すること可能となる。
【0086】
液体媒体が、水を含有しない有機溶媒である場合、式(1)及び(2)の化合物は、親油性アミンとの塩の形であることが好ましい。好ましい親油性アミンは少なくとも1つのC4−20アルキル基、より好ましくは少なくとも1つのC6−20アルキル基を含む。
【0087】
水を含有しない有機溶媒が成分(b)に相当するインクは、速乾性が求められるとき、特に疎水性及び/又は非吸収性支持体、例えばプラスチック、金属及びガラス上に印刷するときに特に有用である。
【0088】
好ましくは、低融点固体は25℃で固体であり、50℃を越える温度で溶融する。より好ましくは、低融点固体の融点は60〜125℃の範囲である。
この温度範囲で溶融する好適な媒体には、長鎖脂肪酸、長鎖スルホンアミド又は長鎖アルコール、好ましくはC18−24鎖を有するものが含まれる。式(1)の化合物又はその塩及び式(2)の化合物又はその塩は、低融点固体に溶解しうるか、あるいはそれに微分散しうる。
【0089】
本発明の第2の側面によるインクは、式(1)の化合物又はその塩、式(2)の化合物又はその塩、及び媒体を一緒に加えることによって製造することができる。
好ましくは、媒体は液体媒体である。液体媒体が水であるか、あるいは水を含むとき、インクの製造に用いられる水の導電率は比較的低いことが好ましい。
【0090】
インクの製造に用いられる水の導電率は、好ましくは50μS/cm未満、より好ましくは10μS/cm未満、特に2μS/cm未満である。これらの導電率を有する水は、脱イオン、逆浸透圧及び蒸留のような公知の方法によって製造することができる。
【0091】
好ましくは、インクの製造に用いられる上記成分は、化合物が十分に溶解し、インクが均質となるように、共に混合される。
本発明の第2の側面によるインクはまた、インクジェット印刷インクに用いるのに適した追加的な成分を含有していてもよい。インクは、例えば粘度及び表面張力調節剤、腐蝕防止剤、殺生物剤、焦げ付き防止剤及び界面活性剤を含んでいてもよい。
【0092】
好ましくは、インクは平均細孔サイズが10μm未満、より好ましくは5μm未満、特に2μm未満、とりわけ1μm未満のフィルターを通して濾過される。インクジェットプリンターに用いられる細いノズルを塞ぐかもしれない粒状物質はこのようにして除去される。
【0093】
好ましくは、インクは25℃での粘度が50mPa.s未満、より好ましくは20mPa.s未満、特に10mPa.s未満である。
好ましくは、インクは500ppm未満、より好ましくは100ppm未満のハロゲン化物イオン濃度を有する。インクは2価及び3価金属の合計が100ppm未満、より好ましくは50ppm未満であることが特に好ましい。ppmはインクの総重量に対する関連イオン又は金属の重量部を指す。ハロゲン化物イオン及び/又は2価及び3価金属を除去するのに適した、いかなる手段(例えば、イオン交換及び限外濾過)を用いてもよい。
【0094】
インクは水性であり、50μS/cm未満の導電率を有するのが好ましい。インクの導電率は25℃で測定されるのが好ましい。低い導電率は、例えば、透析、イオン交換又は限外濾過によって得るのが好ましい。
【0095】
好ましくは、インクは黄色であり、より好ましくは、インクは、式(1)の化合物又はその塩と式(2)の化合物又はその塩の総量がインクに対して5重量%であるときに黄色である。
【0096】
本発明の第3の側面では、本発明の第2の側面によるインクを支持体へ塗布することを含む、像を支持体に印刷する方法を提供する。
印刷はインクジェットプリンターによって行われることが好ましい。
【0097】
像は、特定の制限のない絵、字句、グラフ、写真等の形でありうる。
本発明の第4の側面では、チャンバー及びインクを含むインクジェットプリンターカートリッジであって、インクがチャンバー内に存在し、且つインクが本発明の第2の側面によるものであることを特徴とする、インクジェットプリンターカートリッジを提供する。
【0098】
本発明の第5の側面では、本発明の第2の側面によるインクで印刷される支持体を提供する。
好ましい支持体には、紙、透明なプラスチック又は布地材料が含まれる。
【0099】
好ましい支持体は、インクのための受容層を有するものである。受容層は多孔質であっても非孔質であってもよい。
本発明の第6の側面では、本発明の第1の側面による組成物の、水及び該組成物を含むインクジェット印刷インクの製造のための使用を提供し、ここで、インクの導電率は50μS/cm未満である。
【0100】
本発明の説明において、単数を示す不定冠詞は、その意味する内容が適切である場合に、特に断りがなければ、「1又はそれ以上」を意味するために用いられていることが多い。従って、例えば、「式(1)の化合物又はその塩」は、1種以上の式(1)の化合物、又はそれらの塩を意味する。例えば、本発明の第1の側面による組成物は、遊離酸形の式(1)の化合物と塩形の式(1)の化合物を、塩形の式(2)の化合物と組み合わせて含んでいるかもしれない。同様に、支持体は、1又はそれ以上の支持体を意味し、チャンバーは、1又はそれ以上のチャンバーを意味し、像は、1又はそれ以上の像を意味する。
【0101】
本発明を以下の実施例によってさらに説明する。実施例では特に断りがなければ、全ての部、%及び比率は重量に基づく。
【実施例】
【0102】
実施例1
染料(1)
染料(1)は米国特許第6,488,752号、第10欄第1行〜第11欄第14行の記載に従って製造及び精製した。染料(1)は式(3)の化合物、すなわち、
【0103】
【化11】

【0104】
のナトリウム塩の形であった。
染料(2)
染料(2)はアビー・カラー社の登録商標ABCOLTM Direct Yellow RLSWであった(以後、TMは商標を意味する)。染料(2)は式(4)の化合物、すなわち、
【0105】
【化12】

【0106】
のナトリウム塩の形であった。
本発明による組成物は、表1中の第1欄に示す量の染料(1)及び表1中の第2欄に示す量の染料(2)を十分な脱イオン水に溶解して全体組成物を100重量部にすることによって製造することができる。
【0107】
【表1】

【0108】
インクジェット印刷インク
表1に記載の組成物は、1種又はそれ以上の好適な添加剤を加えることによって、インクジェット印刷インクの製造に用いることができる。特に、2−ピロリドン(5部)、チオジグリコール(5部)、SurfynolTM465(1部、エアー・プロダクツ社)、表1に示すような染料(1)及び(2)の量並びに全体で100部にするための脱イオン水を含有するインクジェット印刷インクを製造することができる。
【0109】
実施例2−更なるインク
表I及び表IIに記載のさらなるインクを製造することができる。表中、第1欄は染料(1)の量(部)を示し、第2欄は染料(2)の量(部)を示し、第3欄は染料(1)対染料(2)の比率を示す。表I及び表IIのさらなる全てのインクは脱イオン水で100部にする。第4欄以後に示す数字は関連成分の部数であり、全ての部及び比率は重量に基づく。更なるインクは熱又はピエゾインクジェット印刷によって紙へ塗布することができる。
【0110】
次の略語を表I及びIIで用いる:
PG=プロピレングリコール
DEG=ジエチレングリコール
NMP=N−メチルピロリドン
DMK=ジメチルケトン
IPA=イソプロパノール
MEOH=メタノール
2P=2−ピロリドン
MIBK=メチルイソブチルケトン
P12=プロパン−1,2−ジオール
BDL=ブタン−2、3−ジオール
CET=セチルアンモニウムブロミド
PHO=NaHPO
TBT=t−ブタノール
TDG=尿素

【0111】
【表2】

【0112】
【表3】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(1)の化合物又はその塩及び式(2)の化合物又はその塩を含む組成物。
【化1】

(式中、
Aは、アリール又はヘテロアリール基であるか、あるいはこれを含み;
及びQは、それぞれ独立して置換されていてよいフェニレン基であり;
、R、R及びRは、それぞれ独立してH、置換されていてよいアルキル、置換されていてよいアリール又は置換されていてよいアリールアルキルであり;
各W、W、W及びWは、独立して−COH、−SOH、−PO基、又は−COH、−SOH、−POから選択される1つ以上の基で置換されたアルキルであり;
各S、S、S及びSは、独立してW、W、W及びWで定義された基以外の置換基であり;
a及びdは、それぞれ独立して1〜5であり;
b及びcは、それぞれ独立して0〜4であり;
(a+b)は、1〜5の値であり;
(c+d)は、1〜5の値であり;
e及びhは、それぞれ独立して1〜7であり;
f及びgは、それぞれ独立して0〜6であり;
(e+f)は、1〜7の値を有し;且つ
(g+h)は、1〜7の値を有する。)
【請求項2】
式(1)の化合物又はその塩において、
各W及び各Wが、独立して−COH、−SOH、又は−COH若しくは−SOHで置換されたC1−6アルキルであり;
各S及びSが、独立してC1−6アルキル、フェニル、ニトロ、ハロ、シアノ、−CF、−NH、C1−6アルコキシ、−SC1−6アルキル、−OHで置換された−C1−6アルキル、又は−NHC(O)C1−6アルキルであり;
が、H、又は−OH、−SOH若しくは−COH、で置換されていてよいC1−6アルキルであり;
がC1−4アルキルであり;
a及びdが、それぞれ独立して1又は2であり;
b及びcが、それぞれ独立して0、1又は2であり;且つ
式(2)の化合物又はその塩において、
各W及び各Wが、独立して−COH、−PO又はSOHであり;
各S及びSが、独立して、C1−4アルキル又はC1−4アルコキシであり;
e及びhが、それぞれ独立して1、2又は3であり;
f及びgが、それぞれ独立して0、1又は2である、
ことを特徴とする、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
式(1)の化合物又はその塩が式(3)の化合物又はその塩であり、式(2)の化合物又はその塩が式(4)の化合物又はその塩である、
【化2】

ことを特徴とする、請求項1又は2に記載の組成物。
【請求項4】
式(1)の化合物又はその塩と式(2)の化合物又はその塩の重量比が、5:95〜95:5である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項5】
式(1)の化合物又はその塩と式(2)の化合物又はその塩の重量比が、50:50〜95:5である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項6】
式(1)の化合物又はその塩と式(2)の化合物又はその塩の重量比が、70:30〜90:10である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項7】
式(1)の化合物又はその塩及び式(2)の化合物又はその塩が、金属、アンモニウム及び置換アンモニウム塩又はそれらの混合物よりなる群から選択される塩の形である、請求項1〜6のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項8】
組成物の製造の前及び/又は後に、式(1)の化合物若しくはその塩及び/又は式(2)の化合物若しくはその塩が、透析、逆浸透圧、限外濾過、イオン交換又はそれらの組み合わせによって精製される、請求項1〜7のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれか一項に記載の組成物及び媒体を含むインク。
【請求項10】
(a)0.01〜30部の、請求項1〜8のいずれか1項に記載の組成物;及び
(b)70〜99.99部の媒体
(ここで、全ての部は重量に基づき、且つ、部の合計(a)+(b)=100である)
を含む、請求項9に記載のインク。
【請求項11】
媒体が液体媒体である、請求項9又は10に記載のインク。
【請求項12】
液体媒体が水であるか、又は水を含んでおり、且つ、インクの製造に用いられる水の導電率が50μS/cm未満である、請求項11に記載のインク。
【請求項13】
液体媒体が水及び有機溶媒の混合物を含む、請求項11又は12に記載のインク。
【請求項14】
25℃での粘度が50mPa.s未満である、請求項11〜13のいずれか一項に記載のインク。
【請求項15】
支持体に請求項9〜14のいずれか一項に記載のインクを塗布することを含む、像を支持体に印刷する方法。
【請求項16】
印刷がインクジェットプリンターによって行われる、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
インクがチャンバー内に存在し、且つ、インクが請求項9〜14のいずれか一項に記載のインクである、チャンバー及びインクを含むインクジェットプリンターカートリッジ。
【請求項18】
請求項9〜14のいずれか一項に記載のインクで印刷された支持体。
【請求項19】
請求項1〜8のいずれか一項に記載の組成物の、水及び該組成物を含むインクジェット印刷インクの製造への使用であって、該インクの導電率が50μS/cm未満であることを特徴とする、前記使用。

【公表番号】特表2010−530916(P2010−530916A)
【公表日】平成22年9月16日(2010.9.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−512758(P2010−512758)
【出願日】平成20年6月10日(2008.6.10)
【国際出願番号】PCT/GB2008/001967
【国際公開番号】WO2008/155517
【国際公開日】平成20年12月24日(2008.12.24)
【出願人】(506139635)フジフィルム・イメイジング・カラランツ・リミテッド (75)
【Fターム(参考)】