説明

着色感光性樹脂組成物

【課題】パターン形成時の感度が高い着色感光性樹脂組成物を提供する。
【解決手段】(A1)、(B)、(C)及び(D)を含む着色感光性樹脂組成物。(A1)酸性染料と塩基性染料との造塩化合物からなる色素;(B)側鎖にエチレン性不飽和結合を有し、重量平均分子量が5,000以上100,000以下である樹脂;(C)重量平均分子量が3,000以下である重合性化合物;(D)重合開始剤

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、着色感光性樹脂組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
着色感光性樹脂組成物は、液晶表示パネル、エレクトロルミネッセンスパネル、プラズマディスプレイパネル等のディスプレイ装置に使用されるカラーフィルタの製造用に用いられている。このような着色感光性樹脂組成物としては、樹脂として、スチレンとメタクリル酸とメチルメタクリレートとブチルメタクリレートとの共重合体を含む組成物が知られている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010−191358号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来から提案されている着色感光性樹脂組成物は、パターン形成時の感度が満足できない場合があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、以下の発明を含む。
[1](A1)、(B)、(C)及び(D)を含む着色感光性樹脂組成物。
(A1)酸性染料と塩基性染料との造塩化合物からなる色素
(B)側鎖にエチレン性不飽和結合を有し、重量平均分子量が5,000以上100,000以下である樹脂
(C)重量平均分子量が3,000以下である重合性化合物
(D)重合開始剤
[2](D)重合開始剤が、オキシム化合物を含む重合開始剤である[1]記載の着色感光性樹脂組成物。
[3][1]又は[2]記載の着色感光性樹脂組成物により形成されるカラーフィルタ。
[4][3]記載のカラーフィルタを備える表示装置。
【発明の効果】
【0006】
本発明の着色感光性樹脂組成物は、パターン形成時の感度が高い。
【発明を実施するための形態】
【0007】
本発明の着色感光性樹脂組成物は、(A1)、(B)、(C)及び(D)を含む。
(A1)酸性染料と塩基性染料との造塩化合物からなる色素
(B)側鎖にエチレン性不飽和結合を有し、重量平均分子量が5,000以上100,000以下である樹脂
(C)重量平均分子量が3,000以下である重合性化合物
(D)重合開始剤
【0008】
本発明の着色感光性樹脂組成物は、(A1)酸性染料と塩基性染料との造塩化合物からなる色素(以下「色素(A1)」という場合がある。)を含む。
酸性染料と塩基性染料との造塩化合物は、酸性染料と塩基性染料を反応させて得られる化合物である。染料イオンがアニオン性である酸性染料と、染料イオンがカチオン性である塩基性染料との化学(造塩)反応により得られる化合物であるため、極めて剛直な構造を有し、化学的に安定性である。
【0009】
造塩化合物を構成する酸性染料および塩基性染料は、後述の有機溶剤や現像処理に用いる現像液に対する溶解性、吸光度、組成物中の他の成分との相互作用、耐光性、耐熱性等を考慮して選択する。
酸性染料とは、色素の分子中にスルホ基やカルボキシ基などの酸性の基を有する化合物か、又はその塩である水溶性染料であり、羊毛、絹、ナイロンなどのたんぱく質系繊維や皮革、紙、インク、食用の色素に適している。
酸性染料の中には直接染料と分類されるものがあり、直接染料は、特にセルロース系繊維の染色性において優れたものの総称である。
【0010】
直接染料としては、アゾ染料、チアゾール染料、アントラキノン染料、オキサジン染料、フタロシアニン染料等が挙げられる。
アゾ染料としては、例えば、C.I.ダイレクトイエロー(以下、C.I.ダイレクトイエローの記載を省略し、番号のみの記載とする。)2、33、34、35、39、50、69、70、71、86、93、94、95、98、102、109、129、136、141;
C.I.ダイレクトオレンジ41、46、56、61、64、70、96、97、106、107;
C.I.ダイレクトレッド79、82、83、84、97、98、99、106、107、172、173、176、177、179、181、182、204、207、211、213、218、221、222、232、233、243、246、250;
C.I.ダイレクトバイオレット47、52、54、60、65、66、79、80、81、82、84、89、90、93、95、96、103、104;
C.I.ダイレクトブルー51、57、71、81、84、85、90、93、94、95、98、100、101、113、149、150、153、160、162、163、164、166、167、170、172、188、192、193、194、196、198、200、207、209、210、212、213、214、222、228、229、237、238、242、243、244、245、247、248、250、251、252、256、257、259、260、268、274、275;
C.I.ダイレクトグリーン27、34、37、65、67、68、69、72、77、79、82などが挙げられる。チアゾール染料としては、C.I.ダイレクトイエロー54が挙げられる。
【0011】
オキサジン染料としては、C.I.ダイレクトブルー97、99、106、107、108、109、190、293などが挙げられる。
アントラキノン染料としては、C.I.ダイレクトブルー77が挙げられる。
フタロシアニン染料としては、C.I.ダイレクトブルー86、87、189、199などが挙げられる。
その他の直接染料としては、C.I.ダイレクトイエロー38、43、47、58、68、108、138;C.I.ダイレクトオレンジ34、39、50、52、57、65、68;C.I.ダイレクトレッド91、92、96、105、184、220、234、241;C.I.ダイレクトバイオレット59;C.I.ダイレクトブルー80、114、115、117、119、137、155、156、158、159、161、171、173;C.I.ダイレクトグリーン25、31、32、63、66などが挙げられる。
【0012】
直接染料以外の酸性染料としては、アゾ染料、キサンテン染料、フタロシアニン染料、アントラキノン染料、キノリン染料、アジン染料、インジゴイド染料等が挙げられる。
アゾ染料としては、例えば、C.I.アシッドレッド1、3、4、6、8、11、12、14、18、26、27、33、37、53、57、88、106、108、111、114、131、137、138、151、154、158、159、173、184、186、215、257、266、296、337;
C.I.アシッドオレンジ7、10、12、19、20、22、28、30、52、56、74、127;
C.I.アシッドバイオレット11、56、58;
C.I.アシッドイエロー1、17、18、23、25、36、38、42、44、54、59、72、78、151;
C.I.アシッドブラウン2、4、13、248;
C.I.アシッドブルー92、102、113、117などが挙げられる。
【0013】
キサンテン染料としては、C.I.アシッドレッド50、51、52、87などが挙げられる。
フタロシアニン染料としては、C.I.アシッドブルー249が挙げられる。
アントラキノン染料としては、C.I.アシッドレッド82、92;C.I.アシッドバイオレット41、42、43;C.I.アシッドブルー14、22、25、40、45、78、80、127:1、129、145、167、230;C.I.アシッドグリーン25、27等が挙げられる。
キノリン染料としては、C.I.アシッドイエロー3が挙げられる。
アジン染料としては、C.I.アシッドブルー59、102などが挙げられる。
インジゴイド染料としては、C.I.アシッドブルー74が挙げられる。
【0014】
その他の染料としては、C.I.アシッドバイオレット49;C.I.アシッドブラウン19;C.I.アシッドブルー7、9、74、112、126、167;C.I.アシッドグリーン9;C.I.フードグリーン3等が挙げられる。
中でも、酸性染料としては、フタロシアニン染料が好ましく、C.I.ダイレクトブルー86、87、C.I.アシッドブルー249からなる群から選ばれる少なくとも一種がより好ましい。塩基性染料との造塩化合物を形成した場合、耐熱性、耐光性、耐溶剤性が特に優れる傾向がある。
【0015】
また、塩基性染料とは、分子中にアミノ基やイミノ基などのなどの塩基性の基を有する化合物か、又はその塩であり、水溶液中でカチオンとなる染料である。絹、毛などの動物性繊維には直接染着し、木綿などには媒染する傾向がある。
【0016】
塩基性染料としては、アゾ染料、キサンテン染料、アジン染料、アクリジン染料、メチン染料、チアゾール染料、チアジン染料、オキサジン染料、アントラキノン染料、ローダミン染料、トリアリールメタン染料等が挙げられる。
アゾ染料としては、例えば、C.I.ベーシックレッド17、22、23、25、29、30、38、39、46、46:1、82;C.I.ベーシックオレンジ2、24、25;C.I.ベーシックバイオレット18;C.I.ベーシックイエロー15、24、25、32、36、41、73、80;C.I.ベーシックブラウン1;C.I.ベーシックブルー41、54、64、66、67、129などが挙げられる。
【0017】
キサンテン染料としては、C.I.ベーシックレッド1、2;C.I.ベーシックバイオレット10、11などが挙げられる。
アジン染料としては、C.I.ベーシックレッド12、27などが挙げられる。
アクリジン染料としては、C.I.ベーシックオレンジ14などが挙げられる。
メチン染料としては、C.I.ベーシックレッド13、14;C.I.ベーシックオレンジ21;C.I.ベーシックバイオレット16、39;C.I.ベーシックイエロー11、13、21、23、28などが挙げられる。
チアゾール染料としては、C.I.ベーシックイエロー1が挙げられる。
チアジン染料としては、C.I.ベーシックブルー9が挙げられる。
【0018】
オキサジン染料としては、C.I.ベーシックブルー3が挙げられる。
アントラキノン染料としては、C.I.ベーシックブルー22、35、45、47などが挙げられる。
トリアリールメタン染料としては、C.I.ベーシックバイオレット1、2、3、4、13、14、23;C.I.ベーシックブルー1、5、7、8、11、15、18、21、24、26;C.I.ベーシックグリーン1、4;などが挙げられる。その他の染料としては、C.I.ベーシックイエロー2;C.I.ベーシックブルー1、67等が挙げられる。
【0019】
中でも、酸性染料との反応安定性の点で、キサンテン染料、トリアリールメタン染料が好ましく、トリアリールメタン染料がより好ましい。トリアリールメタン染料としては、C.I.ベーシックブルー1、5、7、8、11、15、18、21、24、C.I.ベーシックバイオレット1、2、3、4、13、14、23、C.I.ベーシックグリーン1、4からなる群から選ばれる少なくとも一種であることが好ましい。
【0020】
色素(A1)としては、耐熱性の点で、直接染料と塩基性染料との造塩化合物からなる色素が好ましい。
また、色素(A1)としては、フタロシアニン染料とトリアリールメタン染料との造塩化合物からなる色素、特にC.I.ダイレクトブルー86とC.I.ベーシックブルー7との造塩化合物からなる色素が好ましい。色素(A1)がこれらの色素であると、青色又はシアン色カラーフィルタとしての色性能に優れる。
C.I.ダイレクトブルー86とC.I.ベーシックブルー7との造塩化合物は、以下の構造を有し、電気的に中性の構造である。
【0021】

【0022】
酸性染料と塩基性染料との造塩化合物は、例えば、酸性染料溶液と塩基性染料溶液とを混合する方法、特開平8−333517号公報に記載される方法で製造できる。
酸性染料の水溶液と塩基性染料のアルコール溶液とを混合する方法は、まず、酸性染料の水溶液と塩基性染料のアルコール溶液をそれぞれ調製する。酸性染料溶液は、酸性染料を水温40〜80℃の温水に溶解させてpH7程度にすることにより調製できる。酸性染料の濃度は1〜20質量%が好ましい。溶解後はろ過を行うことが好ましい。塩基性染料溶液は、塩基性染料をアルコールに溶解させ、次いで水温40〜80℃の温水を混合することにより調製できる。このように調製した酸性染料溶液と塩基性染料溶液と撹拌しながらゆっくり混合すると、析出物として、酸性染料と塩基性染料との造塩化合物が生成する。これをろ過により回収することにより、該造塩化合物を得ることができる。得られた該造塩化合物は、60〜70℃程度で乾燥することが好ましい。
【0023】
本発明の着色感光性樹脂組成物は、さらに顔料(A2)を含んでもよい。
顔料としては、具体的には、カラーインデックス(The Society of Dyers and Colouri
sts出版)でピグメントに分類されている化合物が挙げられる。具体的には、例えばC.
I.ピグメントイエロー1、3、12、13、14、15、16、17、20、24、3
1、53、83、86、93、94、109、110、117、125、128、137
、138、139、147、148、150、153、154、166、173、194
、214等の黄色顔料;
C.I.ピグメントオレンジ13、31、36、38、40、42、43、51、55、
59、61、64、65、71、73等のオレンジ色の顔料;
C.I.ピグメントレッド9、97、105、122、123、144、149、166
、168、176、177、180、192、209、215、216、224、242
、254、255、264、265等の赤色顔料;
C.I.ピグメントブルー15、15:3、15:4、15:6、60等の青色顔料;
C.I.ピグメントバイオレット1、19、23、29、32、36、38等のバイオ
レット色顔料;
C.I.ピグメントグリーン7、36、58等の緑色顔料;
C.I.ピグメントブラウン23、25等のブラウン色顔料;
C.I.ピグメントブラック1、7等の黒色顔料等が挙げられる。
【0024】
中でも、C.I.ピグメントイエロー138、139、150、C.I.ピグメントレッド177、209、242、254、C.I.ピグメントバイオレット23、C.I.ピグメントブルー15:3、15:6及びC.I.ピグメントグリーン7、36、58が好ましい。これらの顔料は、単独で用いても2種以上を併用してもよい。
【0025】
上記顔料(A2)は、顔料分散剤の存在下で分散処理を行い、顔料(A2)が溶剤中で均一に分散した状態の顔料分散液としてから、用いることが好ましい。前記の顔料分散剤としては、例えば、カチオン系、アニオン系、ノニオン系、両性、ポリエステル系及びポリアミン系等の界面活性剤等が挙げられ、これらの顔料分散剤は単独でも2種以上を組合せて用いてもよい。
【0026】
顔料分散剤としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル類、ポリエチレングリコールジエステル類、ソルビタン脂肪酸エステル類、脂肪酸変性ポリエステル類、3級アミン変性ポリウレタン類、ポリエチレンイミン類等のほか、商品名でKP(信越化学工業(株)製)、フローレン(共栄社化学(株)製)、ソルスパース(ゼネカ(株)製)、EFKA(CIBA社製)、Disperbyk(ビックケミー社製)及びアジスパー(味の素ファインテクノ(株)製)等が挙げられる。
【0027】
顔料分散剤を用いる場合、その使用量は顔料(A2)100質量部に対して、好ましくは0.1〜100質量部、より好ましくは5〜50質量部である。顔料分散剤の使用量が前記の範囲にあると、均一な顔料分散液が得られる傾向にあるため好ましい。
【0028】
色素(A1)の含有量は、着色感光性樹脂組成物の固形分に対して、好ましくは5〜60質量%、より好ましくは10〜50質量%である。色素(A1)を前記含有量で含有することにより、得られるカラーフィルタの透過スペクトルの最適化が容易となり、さらに現像性に優れた着色感光性樹脂組成物となる。ここで、本明細書中における固形分とは、着色感光性樹脂組成物から溶剤を除く成分の合計量をいう。固形分は、例えば、液体クロマトグラフィー又はガスクロマトグラフィーなどの公知の分析手段で測定することができる。
【0029】
着色感光性樹脂組成物が、色素(A1)及び顔料(A2)を含む場合、色素(A1)の含有量は、色素(A1)及び顔料(A2)の合計量に対して、以下の含有量であることが好ましい。
色素(A1);好ましくは1〜99質量%、より好ましくは3〜80質量%
顔料(A2);好ましくは1〜99質量%、より好ましくは20〜97質量%
また、色素(A1)及び顔料(A2)の合計量は、着色感光性樹脂組成物の固形分に対して、好ましくは5〜60質量%、より好ましくは10〜50質量%である。
色素(A1)及び顔料(A2)の含有量が前記の範囲にあると、得られるパターンは、コントラスト、明度、耐熱性、耐薬品性に優れる傾向がある。
【0030】
本発明の着色感光性樹脂組成物は、側鎖にエチレン性不飽和結合を有し、重量平均分子量が10,000以上100,000以下である樹脂(以下「樹脂(B)」という場合がある)を含む。
樹脂(B)としては、例えば、以下の樹脂[K1]、樹脂[K2]及び樹脂[K3]が挙げられる。
樹脂[K1]不飽和カルボン酸及び不飽和カルボン酸無水物からなる群から選ばれる少なくとも1種(以下「(a)」という場合がある。)と(c)(a)及び(b)と共重合可能な単量体(c)(ただし、(a)及び(b)とは異なる。以下「(c)」という場合がある。)との共重合体に、炭素数2〜4の環状エーテル構造とエチレン性不飽和結合とを有する単量体(b)(以下「(b)」という場合がある。)を反応させて得られる樹脂。
樹脂[K2](b)と(c)との共重合体に(a)を反応させて得られる樹脂。
樹脂[K3](b)と(c)との共重合体に(a)を反応させ、さらにカルボン酸無水物を反応させて得られる樹脂。
【0031】
(a)としては、具体的には、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、o−、m−、p−ビニル安息香酸等の不飽和モノカルボン酸類;
マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、メサコン酸、イタコン酸、3−ビニルフタル酸、4−ビニルフタル酸、3,4,5,6−テトラヒドロフタル酸、1,2,3,6−テトラヒドロフタル酸、ジメチルテトラヒドロフタル酸、1、4−シクロヘキセンジカルボン酸等の不飽和ジカルボン酸類;
メチル−5−ノルボルネン−2,3−ジカルボン酸、5−カルボキシビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5,6−ジカルボキシビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−カルボキシ−5−メチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−カルボキシ−5−エチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−カルボキシ−6−メチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−カルボキシ−6−エチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン等のカルボキシ基を含有するビシクロ不飽和化合物類;
無水マレイン酸、シトラコン酸無水物、イタコン酸無水物、3−ビニルフタル酸無水物、4−ビニルフタル酸無水物、3,4,5,6−テトラヒドロフタル酸無水物、1,2,3,6−テトラヒドロフタル酸無水物、ジメチルテトラヒドロフタル酸無水物、5,6−ジカルボキシビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン無水物(ハイミック酸無水物)等の不飽和ジカルボン酸類無水物;
【0032】
こはく酸モノ〔2−(メタ)アクリロイルオキシエチル〕、フタル酸モノ〔2−(メタ)アクリロイルオキシエチル〕等の2価以上の多価カルボン酸の不飽和モノ〔(メタ)アクリロイルオキシアルキル〕エステル類;
α−(ヒドロキシメチル)アクリル酸のような、同一分子中にヒドロキシ基及びカルボキシ基を含有する不飽和アクリレート類等が挙げられる。
これらのうち、共重合反応性の点やアルカリ水溶液への溶解性の点から、アクリル酸、メタクリル酸、無水マレイン酸等が好ましい。
【0033】
(b)は、例えば、炭素数2〜4の環状エーテル構造(例えば、オキシラン環、オキセタン環及びテトラヒドロフラン環(オキソラン環)からなる群から選ばれる少なくとも1種)とエチレン性不飽和結合とを有する重合性化合物をいう。(b)は、炭素数2〜4の環状エーテルと(メタ)アクリロイルオキシ基とを有する単量体が好ましい。
尚、本明細書において、「(メタ)アクリル酸」とは、アクリル酸及びメタクリル酸よりなる群から選ばれる少なくとも1種を表す。「(メタ)アクリロイル」及び「(メタ)アクリレート」等の表記も、同様の意味を有する。
【0034】
(b)としては、例えば、オキシラニル基とエチレン性不飽和結合とを有する単量体(a1)(以下「(b1)」という場合がある)、オキセタニル基とエチレン性不飽和結合とを有する単量体(b2)(以下「(b2)」という場合がある)、テトラヒドロフリル基とエチレン性不飽和結合とを有する単量体(b3)(以下「(b3)」という場合がある)等が挙げられる。
【0035】
(b1)は、例えば、直鎖状又は分枝鎖状不飽和脂肪族炭化水素をエポキシ化した構造を有する単量体(b1−1)(以下「(b1−1)」という場合がある)、不飽和脂環式炭化水素をエポキシ化した構造を有する単量体(b1−2)(以下「(b1−2)」という場合がある)が挙げられる。
【0036】
(b1−1)としては、グリシジル(メタ)アクリレート、β−メチルグリシジル(メタ)アクリレート、β−エチルグリシジル(メタ)アクリレート、グリシジルビニルエーテル、o−ビニルベンジルグリシジルエーテル、m−ビニルベンジルグリシジルエーテル、p−ビニルベンジルグリシジルエーテル、α−メチル−o−ビニルベンジルグリシジルエーテル、α−メチル−m−ビニルベンジルグリシジルエーテル、α−メチル−p−ビニルベンジルグリシジルエーテル、2,3−ビス(グリシジルオキシメチル)スチレン、2,4−ビス(グリシジルオキシメチル)スチレン、2,5−ビス(グリシジルオキシメチル)スチレン、2,6−ビス(グリシジルオキシメチル)スチレン、2,3,4−トリス(グリシジルオキシメチル)スチレン、2,3,5−トリス(グリシジルオキシメチル)スチレン、2,3,6−トリス(グリシジルオキシメチル)スチレン、3,4,5−トリス(グリシジルオキシメチル)スチレン、2,4,6−トリス(グリシジルオキシメチル)スチレン等が挙げられる。
【0037】
(b1−2)としては、ビニルシクロヘキセンモノオキサイド、1,2−エポキシ−4−ビニルシクロヘキサン(例えば、セロキサイド2000;ダイセル化学工業(株)製)、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート(例えば、サイクロマーA400;ダイセル化学工業(株)製)、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート(例えば、サイクロマーM100;ダイセル化学工業(株)製)、3,4−エポキシトリシクロ[5.2.1.02.6]デシルアクリレート等が挙げられる。
【0038】
オキセタニル基とエチレン性不飽和結合とを有する単量体(b2)としては、オキセタニル基と(メタ)アクリロイルオキシ基とを有する単量体がより好ましい。(b2)としては、3−メチル−3−メタクリルロイルオキシメチルオキセタン、3−メチル−3−アクリロイルオキシメチルオキセタン、3−エチル−3−メタクリロイルオキシメチルオキセタン、3−エチル−3−アクリロイルオキシメチルオキセタン、3−メチル−3−メタクリロイルオキシエチルオキセタン、3−メチル−3−アクリロイルオキシエチルオキセタン、3−エチル−3−メタクリロイルオキシエチルオキセタン、3−エチル−3−アクリロイルオキシエチルオキセタン等が挙げられる。
【0039】
テトラヒドロフリル基とエチレン性不飽和結合とを有する単量体(b3)としては、テトラヒドロフリル基と(メタ)アクリロイルオキシ基とを有する単量体がより好ましい。(b3)としては、具体的には、テトラヒドロフルフリルアクリレート(例えば、ビスコートV#150、大阪有機化学工業(株)製)、テトラヒドロフルフリルメタクリレート等が挙げられる。
【0040】
(c)としては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、sec−ブチル(メタ)アクリレート、tert−ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、シクロペンチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、2−メチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン−8−イル(メタ)アクリレート(当該技術分野では、慣用名として、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレートといわれている。また、「トリシクロデシル(メタ)アクリレート」という場合がある。)、トリシクロ[5.2.1.02,6]デセン−8−イル(メタ)アクリレート(当該技術分野では、慣用名として「ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート」といわれている。)、ジシクロペンタニルオキシエチル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、アダマンチル(メタ)アクリレート、アリル(メタ)アクリレート、プロパルギル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、ナフチル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸エステル類;
2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート等のヒドロキシ基含有(メタ)アクリル酸エステル類;
マレイン酸ジエチル、フマル酸ジエチル、イタコン酸ジエチル等のジカルボン酸ジエステル;
【0041】
ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−メチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−エチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−ヒドロキシビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−ヒドロキシメチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−(2’−ヒドロキシエチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−メトキシビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−エトキシビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5,6−ジヒドロキシビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5,6−ジ(ヒドロキシメチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5,6−ジ(2’−ヒドロキシエチル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5,6−ジメトキシビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5,6−ジエトキシビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−ヒドロキシ−5−メチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−ヒドロキシ−5−エチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−ヒドロキシメチル−5−メチルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−tert−ブトキシカルボニルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−シクロヘキシルオキシカルボニルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5−フェノキシカルボニルビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5,6−ビス(tert−ブトキシカルボニル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、5,6−ビス(シクロヘキシルオキシカルボニル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン等のビシクロ不飽和化合物類;
【0042】
N−フェニルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド、N−ベンジルマレイミド、N−スクシンイミジル−3−マレイミドベンゾエート、N−スクシンイミジル−4−マレイミドブチレート、N−スクシンイミジル−6−マレイミドカプロエート、N−スクシンイミジル−3−マレイミドプロピオネート、N−(9−アクリジニル)マレイミド等のジカルボニルイミド誘導体類;
【0043】
スチレン、α−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、ビニルトルエン、p−メトキシスチレン、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、塩化ビニル、塩化ビニリデン、アクリルアミド、メタクリルアミド、酢酸ビニル、1,3−ブタジエン、イソプレン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン等が挙げられる。
これらのうち、共重合反応性及び耐熱性の点から、スチレン、ベンジルメタクリレート、N−フェニルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド、N−ベンジルマレイミド、ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン−8−イル(メタ)アクリレート、トリシクロ[5.2.1.02,6]デセン−8−イル(メタ)アクリレート等が好ましい。
【0044】
樹脂[K1]は、(a)と(c)との共重合体を得て、次いで(a)が有するカルボン酸及び/又はカルボン酸無水物と(b)が有する炭素数2〜4の環状エーテルとを反応させることにより製造することができる。
【0045】
(a)と(c)との共重合体は、例えば、文献「高分子合成の実験法」(大津隆行著 発行所(株)化学同人 第1版第1刷 1972年3月1日発行)に記載された方法及び当該文献に記載された引用文献を参考にして製造することができる。
具体的には、それぞれ所定量の重合させる単量体、重合開始剤及び溶剤等を反応容器中に仕込んで、脱酸素雰囲気下で、攪拌、加熱、保温する方法が挙げられる。なお、ここで用いられる重合開始剤及び溶剤等は、特に限定されず、当該分野で通常使用されているもののいずれをも使用することができる。例えば、重合開始剤としては、アゾ化合物(2,2′−アゾビスイソブチロニトリル、2,2′−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)等)や有機過酸化物(ベンゾイルペルオキシド等)が挙げられ、溶剤としては、各モノマーを溶解するものであればよく、着色感光性樹脂組成物の溶剤として後述する溶剤(E)等を用いることができる。
【0046】
なお、得られた共重合体は、反応後の溶液をそのまま使用してもよいし、濃縮あるいは希釈した溶液を使用してもよいし、再沈殿等の方法で固体(粉体)として取り出したものを使用してもよい。特に、この重合の際に溶剤として、後述する溶剤(E)を使用することにより、反応後の溶液を着色感光性樹脂組成物の製造にそのまま使用することができるため、着色感光性樹脂組成物の製造工程を簡略化することができる。
【0047】
上記の(a)と(c)との共重合体において、それぞれの単量体に由来する構造単位の比率は、(a)と(c)との共重合体を構成する全構造単位中、以下の範囲にあることが好ましい。
(a)5〜50モル%、より好ましくは10〜45モル%
(c)50〜95モル%、より好ましくは55〜90モル%
得られた共重合体は、共重合後の溶液をそのまま使用してもよいし、濃縮あるいは希釈した溶液を使用してもよいし、再沈殿等の方法で固体(粉体)として取り出したものを使用してもよい。
【0048】
次に、前記共重合体中の(a)に由来するカルボン酸及び/又はカルボン酸無水物の一部に、(b)が有する炭素数2〜4の環状エーテルを反応させる。
(a)と(c)との共重合体の製造に引き続き、フラスコ内雰囲気を窒素から空気に置換し、(b)、カルボン酸又はカルボン酸無水物と環状エーテルとの反応触媒(例えばトリス(ジメチルアミノメチル)フェノール等)及び重合禁止剤(例えばハイドロキノン等)等をフラスコ内に入れて、例えば、60〜130℃で、1〜10時間反応することにより、樹脂[K1]を得ることができる。
(b)の使用量は、(a)100モルに対して、5〜80モルが好ましく、より好ましくは10〜75モルである。この範囲とすることにより、保存安定性、現像性、耐溶剤性、耐熱性、機械強度及び感度のバランスが良好になる傾向がある。環状エーテルの反応性が高く、未反応の(b)が残存しにくいことから、樹脂[K1]に用いる(b)としては(b1)が好ましく、さらに(b1−1)が好ましい。
前記反応触媒の使用量は、(a)、(b)及び(c)の合計量に対して0.001〜5質量%が好ましい。前記重合禁止剤の使用量は、(a)、(b)及び(c)の合計量に対して0.001〜5質量%が好ましい。
仕込方法、反応温度及び時間等の反応条件は、製造設備や重合による発熱量等を考慮して適宜調整することができる。なお、重合条件と同様に、製造設備や重合による発熱量等を考慮し、仕込方法や反応温度を適宜調整することができる。
【0049】
樹脂[K2]は、まず(a)と(c)との共重合体の製造方法と同様の方法により(b)と(c)との共重合体を得て、次いで(b)が有する炭素数2〜4の環状エーテルと(a)が有するカルボン酸及び/又はカルボン酸無水物とを反応させることにより製造することができる。
上記の(b)と(c)との共重合体において、それぞれの単量体に由来する構造単位の比率は、(b)と(c)との共重合体を構成する全構造単位中、以下の範囲にあることが好ましい。
(b)に由来する構造単位;5〜95モル%(より好ましくは10〜90モル%)
(c)に由来する構造単位;5〜95モル%(より好ましくは10〜90モル%)
得られた共重合体は、共重合後の溶液をそのまま使用してもよいし、濃縮あるいは希釈した溶液を使用してもよいし、再沈殿等の方法で固体(粉体)として取り出したものを使用してもよい。
【0050】
次に、樹脂[K1]の製造方法と同様の条件で、前記共重合体中の(b)に由来する環状エーテルに、(a)が有するカルボン酸又はカルボン酸無水物を反応させることにより、樹脂[K1]を得ることができる。
前記共重合体に反応させる(a)の使用量は、(b)100モルに対して、5〜80モルが好ましい。環状エーテルの反応性が高く、未反応の(b)が残存しにくいことから、樹脂[K2]に用いる(b)としては(b1)が好ましく、さらに(b1−1)が好ましい。
【0051】
樹脂[K3]は、樹脂[K2]に、さらにカルボン酸無水物を反応させた樹脂である。環状エーテルとカルボン酸又はカルボン酸無水物との反応により発生するヒドロキシ基に、カルボン酸無水物を反応させる。
カルボン酸無水物としては、無水マレイン酸、シトラコン酸無水物、イタコン酸無水物、3−ビニルフタル酸無水物、4−ビニルフタル酸無水物、3,4,5,6−テトラヒドロフタル酸無水物、1,2,3,6−テトラヒドロフタル酸無水物、ジメチルテトラヒドロフタル酸無水物、5,6−ジカルボキシビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン無水物(ハイミック酸無水物)等が挙げられる。
カルボン酸無水物の使用量は、(a)の使用量1モルに対して、0.5〜1モルが好ましい。
【0052】
樹脂[K1]としては、例えば、ベンジル(メタ)アクリレート/(メタ)アクリル酸共重合体にグリシジル(メタ)アクリレートを付加させた樹脂、トリシクロデシル(メタ)アクリレート/スチレン/(メタ)アクリル酸共重合体にグリシジル(メタ)アクリレートを付加させた樹脂、トリシクロデシル(メタ)アクリレート/ベンジル(メタ)アクリレート/(メタ)アクリル酸共重合体にグリシジル(メタ)アクリレートを付加させた樹脂等が挙げられる。
樹脂[K2]としては、例えば、トリシクロデシル(メタ)アクリレート/グリシジル(メタ)アクリレートの共重合体に(メタ)アクリル酸を反応させた樹脂、トリシクロデシル(メタ)アクリレート/スチレン/グリシジル(メタ)アクリレートの共重合体に(メタ)アクリル酸を反応させた樹脂等が挙げられる。
樹脂[K3]としては、例えば、トリシクロデシル(メタ)アクリレート/グリシジル(メタ)アクリレートの共重合体に(メタ)アクリル酸を反応させた樹脂にさらにテトラヒドロフタル酸無水物を反応させた樹脂等が挙げられる。
これらの樹脂は、単独で用いても2種以上を併用してもよい。
【0053】
樹脂(B)としては、樹脂[K1]が好ましい。
【0054】
樹脂(B)の分子量(重量平均分子量Mw)は5,000〜100,000であり、好ましくは7,000〜40,000であり、より好ましくは10,000〜20,000である。樹脂(B)の重量平均分子量が、前記の範囲にあると、塗布性及び塗膜硬度が良好となる傾向にあり、また現像時に膜減りが生じにくく、さらに現像時に非画素部分(即ち未露光部)の溶解性に優れる傾向があるため好ましい。また、樹脂(B)の酸価は30〜150であることが好ましい。酸価が、前記の範囲にあると、現像液に対する溶解性に優れ、さらに高感度化してパターンの残膜率が高い傾向がある。
【0055】
樹脂(B)の含有量は、着色感光性樹脂組成物の固形分に対して、好ましくは5〜60質量%、より好ましくは10〜50質量%である。該含有量が、前記の範囲にあると、現像液に対する未露光部の溶解性が高い傾向があるため好ましい。
【0056】
本発明の着色感光性樹脂組成物は、重合性化合物(C)を含み、重合性化合物(C)の重量平均分子量は3,000以下であることが好ましい。重合性化合物(C)は、光を照射されることによって重合開始剤(D)から発生した活性ラジカル等によって重合しうる化合物であれば、特に限定されず、例えば、重合性のエチレン性不飽和結合を有する化合物等が挙げられる。
【0057】
中でも、重合性化合物(C)としては、エチレン性不飽和結合を3つ以上有する光重合性化合物であることが好ましく、例えば、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトールオクタ(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトールヘプタ(メタ)アクリレート、テトラペンタエリスリトールデカ(メタ)アクリレート、テトラペンタエリスリトールノナ(メタ)アクリレート、トリス(2−(メタ)アクリロイルオキシエチル)イソシアヌレート、エチレングリコール変性ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、エチレングリコール変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、プロピレングリコール変性ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、プロピレングリコール変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等が挙げられる。中でも、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート等が好ましい。また、これらのモノマーは2種以上混合して使用することが好ましい。
重合性化合物(C)の含有量は、着色感光性樹脂組成物中の樹脂(B)100質量部に対して、好ましくは20〜150質量部である。
【0058】
本発明の着色感光性樹脂組成物は、重合開始剤(D)を含む。重合開始剤(D)としては、光の作用により活性ラジカルを発生し、重合性化合物(C)の重合を開始する化合物であれば特に限定されることなく、公知の重合開始剤を用いることができる。重合開始剤(D)としては、トリアジン化合物、アルキルフェノン化合物、アシルホスフィンオキサイド化合物、オキシム化合物及びビイミダゾール化合物等が挙げられる。中でも、オキシム化合物を含む重合開始剤が好ましく、オキシム化合物を含む重合開始剤がより好ましい。これらの重合開始剤は、単独で用いても2種以上を併用してもよい。
【0059】
前記のトリアジン化合物としては、例えば、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−(4−メトキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−(4−メトキシナフチル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−ピペロニル−1,3,5−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−(4−メトキシスチリル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−〔2−(5−メチルフラン−2−イル)エテニル〕−1,3,5−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−〔2−(フラン−2−イル)エテニル〕−1,3,5−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−〔2−(4−ジエチルアミノ−2−メチルフェニル)エテニル〕−1,3,5−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−〔2−(3,4−ジメトキシフェニル)エテニル〕−1,3,5−トリアジン等が挙げられる。
【0060】
前記のアルキルフェノン化合物としては、例えば、ジエトキシアセトフェノン、2−メチル−2−モルホリノ−1−(4−メチルスルファニルフェニル)プロパン−1−オン、2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−2−ベンジルブタン−1−オン、2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−2−(4−メチルフェニルメチル)ブタン−1−オン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、ベンジルジメチルケタール、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−〔4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル〕プロパン−1−オン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−〔4−(1−メチルビニル)フェニル〕プロパン−1−オンのオリゴマー等が挙げられ、好ましくは2−メチル−2−モルホリノ−1−(4−メチルスルファニルフェニル)プロパン−1−オン、2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−2−ベンジルブタン−1−オン等が挙げられる。イルガキュア369、907(以上、BASF社製)等の市販品を用いてもよい。
【0061】
アシルホスフィンオキサイド化合物としては、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド等が挙げられる。
【0062】
前記のオキシム化合物としては、例えば、O−アシルオキシム化合物が挙げられ、
その具体例としては、N−ベンゾイルオキシ−1−(4−フェニルスルファニルフェニル)ブタン−1−オン−2−イミン、N−ベンゾイルオキシ−1−(4−フェニルスルファニルフェニル)オクタン−1−オン−2−イミン、N−アセトキシ−1−[9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]エタン−1−イミン、N−アセトキシ−1−[9−エチル−6−{2−メチル−4−(3,3−ジメチル−2,4−ジオキサシクロペンタニルメチルオキシ)ベンゾイル}−9H−カルバゾール−3−イル]エタン−1−イミン等が挙げられる。イルガキュアOXE01、OXE02(以上、BASF社製)、N−1919(ADEKA社製)等の市販品を用いてもよい。中でも、N−ベンゾイルオキシ−1−(4−フェニルスルファニルフェニル)ブタン−1−オン−2−イミン及びN−ベンゾイルオキシ−1−(4−フェニルスルファニルフェニル)オクタン−1−オン−2−イミンが好ましい。これらのオキシム化合物であると、高明度なカラーフィルタが得られる傾向にある。
【0063】
前記のビイミダゾール化合物としては、2,2’−ビス(2−クロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニルビイミダゾール、2,2’−ビス(2,3−ジクロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニルビイミダゾール(例えば、特開平6−75372号公報、特開平6−75373号公報等参照。)、2,2’−ビス(2−クロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラフェニルビイミダゾール、2,2’−ビス(2−クロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラ(アルコキシフェニル)ビイミダゾール、2,2’−ビス(2−クロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラ(ジアルコキシフェニル)ビイミダゾール、2,2’−ビス(2−クロロフェニル)−4,4’,5,5’−テトラ(トリアルコキシフェニル)ビイミダゾール(例えば、特公昭48−38403号公報、特開昭62−174204号公報等参照。)、4,4’5,5’−位のフェニル基がカルボアルコキシ基により置換されているイミダゾール化合物(例えば、特開平7−10913号公報等参照)等が挙げられる。
【0064】
さらに重合開始剤(D)としては、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル等のベンゾイン化合物;ベンゾフェノン、o−ベンゾイル安息香酸メチル、4−フェニルベンゾフェノン、4−ベンゾイル−4’−メチルジフェニルサルファイド、3,3’,4,4’−テトラ(tert−ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン、2,4,6−トリメチルベンゾフェノン等のベンゾフェノン化合物;9,10−フェナンスレンキノン、2−エチルアントラキノン、カンファーキノン等のキノン化合物;10−ブチル−2−クロロアクリドン、ベンジル、フェニルグリオキシル酸メチル、チタノセン化合物等が挙げられる。これらは、後述の重合開始助剤(D1)(特にアミン類)と組み合わせて用いることが好ましい。
【0065】
重合開始剤(D)の含有量は、着色感光性樹脂組成物の固形分に対して、好ましくは1〜30質量%であり、より好ましくは5〜20質量%である。
また、重合開始剤(D)の含有量は、重合性化合物(C)100質量部に対して、好ましくは1〜50質量部であり、より好ましくは20〜40質量部である。
【0066】
本発明の着色感光性樹脂組成物は、重合開始助剤(D1)を含んでもよい。重合開始助剤(D1)を含む場合、通常、重合開始剤(D)と組み合わせて用いられる。重合開始助剤(D1)は、重合開始剤(D)によって重合が開始された重合性化合物(C)の重合を促進するために用いられる化合物、もしくは増感剤である。
重合開始助剤(D1)としては、アミン化合物、アルコキシアントラセン化合物、チオキサントン化合物、カルボン酸化合物等が挙げられる。これらの重合開始助剤は、単独で用いても2種以上を併用してもよい。
アミン化合物としては、トリエタノールアミン、メチルジエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン、4−ジメチルアミノ安息香酸メチル、4−ジメチルアミノ安息香酸エチル、4−ジメチルアミノ安息香酸イソアミル、安息香酸2−ジメチルアミノエチル、4−ジメチルアミノ安息香酸2−エチルヘキシル、N,N−ジメチルパラトルイジン、4,4’−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン(通称ミヒラーズケトン)、4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4’−ビス(エチルメチルアミノ)ベンゾフェノン等が挙げられ、中でも4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノンが好ましい。EAB−F(保土谷化学工業(株)製)等の市販品を用いてもよい。
【0067】
アルコキシアントラセン化合物としては、9,10−ジメトキシアントラセン、2−エチル−9,10−ジメトキシアントラセン、9,10−ジエトキシアントラセン、2−エチル−9,10−ジエトキシアントラセン、9,10−ジブトキシアントラセン、2−エチル−9,10−ジブトキシアントラセン等が挙げられる。
【0068】
チオキサントン化合物としては、例えば、2−イソプロピルチオキサントン、4−イソプロピルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2,4−ジクロロチオキサントン及び1−クロロ−4−プロポキシチオキサントン等が挙げられる。
【0069】
カルボン酸化合物としては、フェニルスルファニル酢酸、メチルフェニルスルファニル酢酸、エチルフェニルスルファニル酢酸、メチルエチルフェニルスルファニル酢酸、ジメチルフェニルスルファニル酢酸、メトキシフェニルスルファニル酢酸、ジメトキシフェニルスルファニル酢酸、クロロフェニルスルファニル酢酸、ジクロロフェニルスルファニル酢酸、N−フェニルグリシン、フェノキシ酢酸、ナフチルチオ酢酸、N−ナフチルグリシン、ナフトキシ酢酸等が挙げられる。
【0070】
重合開始助剤(D1)を用いる場合、その含有量は、重合開始剤(D)1モルに対して、好ましくは0.01〜10モル、より好ましくは0.01〜5モルである。
また、重合開始剤(D)と重合開始助剤(D1)との合計含有量は、着色感光性樹脂組成物の固形分に対して、好ましくは1〜35質量%、より好ましくは5〜25質量%、さらに好ましくは10〜20質量%である。
【0071】
本発明の着色感光性樹脂組成物は、溶剤(E)を含むことが好ましい。溶剤(E)は、特に限定されず、当該分野で通常使用される溶剤を用いることができる。例えば、エステル溶剤(−COO−を含む溶剤)、エステル溶剤以外のエーテル溶剤(−O−を含む溶剤)、エーテルエステル溶剤(−COO−と−O−とを含む溶剤)、エステル溶剤以外のケトン溶剤(−CO−を含む溶剤)、アルコール溶剤、芳香族炭化水素溶剤、アミド溶剤、ジメチルスルホキシド等の中から選択して用いることができる。
【0072】
エステル溶剤としては、乳酸メチル、乳酸エチル、乳酸ブチル、2−ヒドロキシイソブタン酸メチル、酢酸エチル、酢酸n−ブチル、酢酸イソブチル、ギ酸ペンチル、酢酸イソペンチル、プロピオン酸ブチル、酪酸イソプロピル、酪酸エチル、酪酸ブチル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、ピルビン酸プロピル、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、シクロヘキサノールアセテート、γ−ブチロラクトンなどが挙げられる。
【0073】
エーテル溶剤としては、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、3−メトキシ−1−ブタノール、3−メトキシ−3−メチルブタノール、テトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、1,4−ジオキサン、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、ジエチレングリコールジプロピルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、アニソール、フェネトール、メチルアニソールなどが挙げられる。
【0074】
エーテルエステル溶剤としては、メトキシ酢酸メチル、メトキシ酢酸エチル、メトキシ酢酸ブチル、エトキシ酢酸メチル、エトキシ酢酸エチル、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−メトキシプロピオン酸エチル、3−エトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、2−メトキシプロピオン酸メチル、2−メトキシプロピオン酸エチル、2−メトキシプロピオン酸プロピル、2−エトキシプロピオン酸メチル、2−エトキシプロピオン酸エチル、2−メトキシ−2−メチルプロピオン酸メチル、2−エトキシ−2−メチルプロピオン酸エチル、3−メトキシブチルアセテート、3−メチル−3−メトキシブチルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノプロピルエーテルアセテート、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールメチルエーテルアセテートなどが挙げられる。
【0075】
ケトン溶剤としては、4−ヒドロキシ−4−メチル−2−ペンタノン、アセトン、2−ブタノン、2−ヘプタノン、3−ヘプタノン、4−ヘプタノン、4−メチル−2−ペンタノン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、イソホロンなどが挙げられる。
【0076】
アルコール溶剤としては、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、ヘキサノール、シクロヘキサノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリンなどが挙げられる。
芳香族炭化水素溶剤としては、ベンゼン、トルエン、キシレン、メシチレンなどが挙げられる。
アミド溶剤としては、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドンなどが挙げられる。
【0077】
これらの溶剤は、単独で用いても2種以上を併用してもよい。
上記の溶剤のうち、塗布性、乾燥性の点から、1atmにおける沸点が120℃以上220℃以下である有機溶剤が好ましい。中でも、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、乳酸エチル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、3−エトキシプロピオン酸エチル、エチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、3−メトキシブチルアセテート、3−メトキシ−1−ブタノール、4−ヒドロキシ−4−メチル−2−ペンタノン、N、N−ジメチルホルムアミド等が好ましく、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、乳酸エチル、3−メトキシブチルアセテート、3−メトキシ−1−ブタノール、3−エトキシプロピオン酸エチル、4−ヒドロキシ−4−メチル−2−ペンタノン等がより好ましい。また、沸点が120℃以上180℃未満の有機溶剤と180℃以上220℃以下の有機溶剤を併用する事が好ましい。
【0078】
溶剤(E)の含有量は、着色感光性樹脂組成物に対して、好ましくは70〜95質量%であり、より好ましくは75〜92質量%である。言い換えると、着色感光性樹脂組成物の固形分は、好ましくは5〜30質量%、より好ましくは8〜25質量%である。溶剤(E)の含有量が前記の範囲にあると、塗布時の平坦性が良好になり、またカラーフィルタを形成した際に色濃度が不足しないために表示特性が良好となる傾向がある。
【0079】
本発明の着色感光性樹脂組成物は、さらに、界面活性剤(F)を含んでいてもよい。界面活性剤(F)としては、シリコーン系界面活性剤、フッ素系界面活性剤及びフッ素原子を有するシリコーン系界面活性剤等が挙げられる。これらは、側鎖に重合性基を有していてもよい。
【0080】
前記シリコーン系界面活性剤としては、シロキサン結合を有する界面活性剤等が挙げられる。具体的には、トーレシリコーンDC3PA、同SH7PA、同DC11PA、同SH21PA、同SH28PA、同SH29PA、同SH30PA、同SH8400(東レ・ダウコーニング(株)製)、KP321、KP322、KP323、KP324、KP326、KP340、KP341(信越化学工業(株)製)、TSF400、TSF401、TSF410、TSF4300、TSF4440、TSF4445、TSF−4446、TSF4452、TSF4460(モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ・ジャパン合同会社製)等が挙げられる。
【0081】
前記のフッ素系界面活性剤としては、フルオロカーボン鎖を有する界面活性剤等が挙げられる。具体的には、フロラード(商品名)FC430、同FC431(住友スリーエム(株)製)、メガファック(登録商標)F142D、同F171、同F172、同F173、同F177、同F183、同R30、同RS−718−K(DIC(株)製)、エフトップ(登録商標)EF301、同EF303、同EF351、同EF352(三菱マテリアル電子化成(株)製)、サーフロン(登録商標)S381、同S382、同SC101、同SC105(旭硝子(株)製)、E5844((株)ダイキンファインケミカル研究所製)等が挙げられる。
【0082】
前記のフッ素原子を有するシリコーン系界面活性剤としては、シロキサン結合及びフルオロカーボン鎖を有する界面活性剤等が挙げられる。具体的には、メガファック(登録商標)R08、同BL20、同F475、同F477、同F443(DIC(株)製)等が挙げられる。
【0083】
これらの界面活性剤は、単独で用いても2種以上を併用してもよい。
界面活性剤(F)の含有量は、着色感光性樹脂組成物に対し、好ましくは0.001質量%以上0.2質量%以下であり、好ましくは0.002質量%以上0.1質量%以下、より好ましくは0.01質量%以上0.05質量%以下である。ただし、前記の界面活性剤(F)の含有量に、前記顔料分散剤の含有量は含まれない。界面活性剤(F)の含有量が前記の範囲にあると、塗膜の平坦性を良好にすることができる。
【0084】
本発明の着色感光性樹脂組成物は、重合禁止剤(J)を含むことが好ましい。着色感光性樹脂組成物が重合禁止剤を含むことにより、経時安定性を向上させると共に、着色感光性樹脂組成物層の現像時に基板上に残る残渣を抑制する傾向があるため好ましい。重合禁止剤としては、例えばハイドロキノン、p−メトキシフェノール、ピロガロール、カテコール、t−ブチルカテコール、ベンゾキノン、2.4−ジ−t−ブチル−p−クレゾール、β−ナフトール、4,4’−チオビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、N−ニトロソフェニルヒドロキシアミン第一セリウム塩等、周知のものが使用できるが、中でもp−メトキシフェノールが好ましい。重合禁止剤の含有量は、着色感光性樹脂組成物に対して、好ましくは0.0001〜1質量%であり、より好ましくは0.001〜0.5質量%であり、特に好ましくは0.005〜0.1質量%である。
【0085】
本発明の着色感光性樹脂組成物は、必要に応じて、充填剤、他の高分子化合物、密着促進剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、光安定剤、連鎖移動剤等の添加剤を含んでもよい。
【0086】
本発明の着色感光性樹脂組成物を用いてパターンを形成する方法としては、フォトリソグラフ法、インクジェット法、印刷法等が挙げられる。中でも、フォトリソグラフ法が好ましい。
フォトリソグラフ法は、前記着色感光性樹脂組成物を基板に塗布し、乾燥し、フォトマスクを介して露光し、現像することによってパターンを得る方法である。
【0087】
前記基板としては、例えば、ガラス、金属、プラスチック等が挙げられ、板状であっても、フィルム状であってもよい。また、これらの基板には、カラーフィルタ、各種絶縁又は導電膜、駆動回路等の構造体が形成されていてもよい。
基板への塗布は、例えば、スピンコーター、スリット&スピンコーター、スリットコーター(ダイコーター、カーテンフローコーター、スピンレスコーターとも呼ばれることがある)、インクジェット等の塗布装置を用いて行うことができる。
【0088】
基板に塗布した膜の乾燥方法としては、例えば、加熱乾燥、自然乾燥、通風乾燥、減圧乾燥等の方法が挙げられる。複数の方法を組み合わせて行ってもよい。乾燥温度としては、10〜120℃が好ましく、25〜100℃がより好ましい。また加熱時間としては、10秒間〜60分間であることが好ましく、30秒間〜30分間であることがより好ましい。減圧乾燥は、50〜150Paの圧力下、20〜25℃の温度範囲で行うことが好ましい。
乾燥後の塗膜の膜厚は、特に限定されず、用いる材料、用途等によって適宜調整することができ、例えば、0.1〜20μmであり、好ましくは1〜6μmである。
【0089】
乾燥後の塗膜は、目的のパターンを形成するためのフォトマスクを介して、露光する。この際のフォトマスク上のパターン形状は特に限定されず、目的とする用途に応じたパターン形状が用いられる。
露光に用いられる光源としては、250〜450nmの波長の光を発生する光源が好ましい。例えば、350nm未満の光を、この波長域をカットするフィルタを用いてカットしたり、436nm付近、408nm付近、365nm付近の光を、これらの波長域を取り出すバンドパスフィルタを用いて選択的に取り出したりしてもよい。具体的には、水銀灯、発光ダイオード、メタルハライドランプ、ハロゲンランプ等が挙げられる。
露光面全体に均一に平行光線を照射したり、マスクと基板との正確な位置合わせを行うことができるため、マスクアライナ、ステッパ等の装置を使用することが好ましい。
【0090】
露光後、現像液に接触させて所定部分、例えば、未露光部を溶解させ、現像することにより、パターンを得ることができる。現像液としては、有機溶剤を用いることもできるが、現像液によって塗膜の露光部の溶解や膨潤が起こりにくく、良好な形状のパターンが得られるため、塩基性化合物の水溶液が好ましい。
現像方法は、パドル法、ディッピング法、スプレー法等のいずれでもよい。さらに現像時に基板を任意の角度に傾けてもよい。
現像後は、水洗することが好ましい。
【0091】
前記塩基性化合物としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、燐酸水素二ナトリウム、燐酸二水素ナトリウム、燐酸水素二アンモニウム、燐酸二水素アンモニウム、燐酸二水素カリウム、ケイ酸ナトリウム、ケイ酸カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、ホウ酸ナトリウム、ホウ酸カリウム、アンモニア等の無機塩基性化合物;テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、2−ヒドロキシエチルトリメチルアンモニウムヒドロキシド、モノメチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、モノエチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、モノイソプロピルアミン、ジイソプロピルアミン、エタノールアミン等の有機塩基性化合物が挙げられる。中でも、水酸化カリウム、炭酸水素ナトリウム及びテトラメチルアンモニウムヒドロキシドが好ましい。
これらの無機及び有機塩基性化合物の水溶液中の濃度は、好ましくは0.01〜10質量%であり、より好ましくは0.03〜5質量%である。
【0092】
前記塩基性化合物の水溶液は、界面活性剤を含んでいてもよい。
界面活性剤としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアリールエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル、その他のポリオキシエチレン誘導体、オキシエチレン/オキシプロピレンブロックコポリマー、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルアミン等のノニオン系界面活性剤;
ラウリルアルコール硫酸エステルナトリウム、オレイルアルコール硫酸エステルナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリル硫酸アンモニウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ドデシルナフタレンスルホン酸ナトリウム等のアニオン系界面活性剤;
ステアリルアミン塩酸塩、ラウリルトリメチルアンモニウムクロライド等のカチオン系界面活性剤等が挙げられる。
塩基性化合物の水溶液中の界面活性剤の濃度は、好ましくは0.01〜10質量%、より好ましくは0.05〜8質量%、特に好ましくは0.1〜5質量%である。
【0093】
さらに必要に応じて、ポストベークを行ってもよい。ポストベーク温度は、好ましくは80〜220℃、より好ましくは90〜150℃である。ポストベーク時間は、好ましくは1〜240分間である。
【0094】
本発明の着色感光性樹脂組成物により、上記のようにして得られたパターンは、カラーフィルタとして有用である。該カラーフィルタは、表示装置(例えば、液晶表示装置、有機EL装置等)、固体撮像素子、電子ペーパー等の種々の着色画像に関連する機器に、公知の態様で利用することができる。
【実施例】
【0095】
次に実施例を挙げて、本発明をさらに具体的に説明する。例中の「%」及び「部」は、特記ない限り、質量%及び質量部である。
【0096】
合成例1
撹拌機、温度計、還流冷却管、滴下ロートおよび窒素導入管を備えたフラスコに、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート182gを導入し、フラスコ内雰囲気を空気から窒素にした後、100℃に昇温後、ベンジルメタクリレート61.7g(0.35モル)、メタクリル酸43.0g(0.5モル)、トリシクロデカン骨格のモノメタクリレート(日立化成(株)製FA−513M)33.0g(0.15モル)およびプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート136gからなる混合物にアゾビスイソブチロニトリル3.6gを添加した溶液を滴下ロートから2時間かけてフラスコに滴下し、さらに100℃で5時間撹拌し続けた。次に、フラスコ内雰囲気を窒素から空気にし、グリシジルメタクリレート35.5g[0.25モル、(本反応に用いたメタクリル酸のカルボキシル基に対して50モル%)]、トリスジメチルアミノメチルフェノール0.9gおよびハイドロキノン0.145gをフラスコ内に投入し、110℃で6時間反応を続け、固形分酸価が79mgKOH/gの樹脂Baを得た。GPCにより測定したポリスチレン換算の重量平均分子量は12,000で、分子量分布(Mw/Mn)は2.1であった。
【0097】
合成例2
撹拌機、温度計、還流冷却管、滴下ロートおよび窒素導入管を備えたフラスコに、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート145gを導入し、フラスコ内雰囲気を空気から窒素にした後、110℃に昇温後、スチレン10.4g(0.10モル)、グリシジルメタクリレート99.4g(0.7モル)およびトリシクロデカン骨格のモノメタクリレート(日立化成(株)製FA−513M)44g(0.20モル)からなるモノマー混合物にt−ブチルヒドロパーオキサイド7.6gを添加した溶液を滴下ロートから2時間かけてフラスコに滴下し、さらに100℃で2時間撹拌し続けた。次に、フラスコ内雰囲気を窒素から空気にし、アクリル酸50.4g[0.7モル、(本反応に用いたグリシジルメタクリレートのグリシジル基に対して100モル%)]、トリスジメチルアミノメチルフェノール0.9gおよびハイドロキノン0.145gをフラスコ内に投入し、110℃で6時間反応を続け固形分酸価が1.2mgKOH/gとなったところで反応を終了した。次に、テトラヒドロフタル無水フタル酸76.0g(0.50モル)、トリエチルアミン0.8gを加え、120℃で3.5時間反応させ固形分酸価112mgKOH/gの樹脂Bbを得た。GPCにより測定したポリスチレン換算の重量平均分子量は35,000で、分子量分布(Mw/Mn)は3.0であった。
【0098】
上記の合成例で得られた樹脂について、GPC法を用いて、以下の条件に従い、ポリスチレン換算重量平均分子量の測定を行った。
装置 ;HLC−8120GPC(東ソー(株)製)
カラム ;TSK−GELG2000HXL
カラム温度 ;40℃
溶媒 ;THF
流速 ;1.0mL/min
被検液固形分濃度;0.001〜0.01質量%
注入量 ;50μL
検出器 ;RI
校正用標準物質 ;TSK STANDARD POLYSTYRENE
F−40、F−4、F−288、A−2500、A−500
(東ソー(株)製)
【0099】
合成例3
C.I.ダイレクトブルー86 57部を60℃の温水1800部に溶解し、これをpH7に調製後、ろ過し、C.I.ダイレクトブルー86の溶解液を作成した。次に、C.I.ベーシックブルー7 100部をメタノール470部に溶解させ、次に70℃の温水940部を加え、C.I.ベーシックブルー7の溶解液を作製した。この溶解液を攪拌しながら、先に準備したC.I.ダイレクトブルー86の溶解液を徐々に滴下し、混合した。室温に冷却後、析出物をろ取し、造塩化合物1を得た。
【0100】
合成例4
C.I.アシッドブルー249 54部を60℃の温水1800部に溶解し、これをpH7に調製後、ろ過し、C.I.アシッドブルー249の溶解液を作成した。次に、C.I.ベーシックバイオレット1 146部をメタノール470部に溶解させ、次に70℃の温水940部を加え、C.I.ベーシックバイオレット1の溶解液を作製した。この溶解液を攪拌しながら、先に準備したC.I.C.I.アシッドブルー249の溶解液を徐々に滴下し、混合した。室温に冷却後、析出物をろ取し、造塩化合物2を得た。
【0101】
合成例5
C.I.アシッドブルー129 90部を60℃の温水1800部に溶解し、これをpH7に調製後、ろ過し、C.I.アシッドブルー129の溶解液を作成した。次に、C.I.ベーシックバイオレット39 30部をメタノール470部に溶解させ、次に70℃の温水940部を加え、C.I.ベーシックバイオレット39の溶解液を作製した。この溶解液を攪拌しながら、先に準備したC.I.C.I.アシッドブルー129の溶解液を徐々に滴下し、混合した。室温に冷却後、析出物をろ取し、造塩化合物3を得た。
【0102】
実施例1
色素(A1):造塩化合物1 15.7部、
顔料:C.I.ピグメントブルー15:6 4.3部、
アクリル系顔料分散剤 5.5部、及び
溶剤:プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート 25.5部
を混合し、ビーズミルを用いて顔料を十分に分散させた顔料分散液、
樹脂:アクリル化アクリレート(サイクロマーP ACA Z250;ダイセル・サイテック(株)製) 26部、
重合性化合物:ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート
(KAYARAD DPHA;日本化薬(株)製) 24.5部、
重合性化合物:トリメチロールプロパントリアクリレート
(KAYARAD TMPTA;日本化薬(株)製) 10部、
重合開始剤:N−ベンゾイルオキシ−1−(4−フェニルスルファニルフェニル)オクタン−1−オン−2−イミン(イルガキュアOXE 01;BASF社製;オキシム化合物) 14部、
重合禁止剤:p−メトキシフェノール(和光純薬工業(株)製) 0.01部
界面活性剤:ポリエーテル変性シリコーンオイル(トーレシリコーンSH8400;東レダウコーニング(株)製) 0.07部、
溶剤:乳酸エチル 437部、
溶剤:プロピレングリコールモノメチルエーテル 74部、
溶剤:プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート 101.5部、並びに
溶剤:ジプロピレングリコールメチルエーテルアセテート 31部、
を混合して着色感光性樹脂組成物を得た。
【0103】
実施例2
アクリル化アクリレートを樹脂Baに代える以外は実施例1と同様の操作を行い、着色感光性樹脂組成物を得た。
【0104】
実施例3
色素(A1):造塩化合物2 20部、
アクリル系顔料分散剤 5.5部、及び
溶剤:プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート 25.5部
を混合し、ビーズミルを用いて色素を十分に分散させた色素分散液、
樹脂:樹脂Ba(固形分換算) 23部、
重合性化合物:ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート
(KAYARAD DPHA;日本化薬(株)製) 26部、
重合性化合物:ペンタエリスリトールテトラアクリレート
(A−TMMT;新中村化学工業(株)製) 8.5部、
重合開始剤:N−ベンゾイルオキシ−1−(4−フェニルスルファニルフェニル)オクタン−1−オン−2−イミン(イルガキュアOXE 01;BASF社製)
10部、
重合開始剤:2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−2−(4−メチルベンジル)ブタン−1−オン(イルガキュア379;BASF社製;アルキルフェノン化合物) 4部、
重合開始助剤:2,4−ジエチルチオキサントン(KAYACURE DETX;日本化薬(株)製;チオキサントン化合物) 3部、
重合禁止剤:p−メトキシフェノール(和光純薬工業(株)製) 0.01部
界面活性剤:ポリエーテル変性シリコーンオイル(トーレシリコーンSH8400;東レダウコーニング(株)製) 0.07部、
溶剤:4−ヒドロキシ−4−メチルペンタン−2−オン 442部、
溶剤:プロピレングリコールモノメチルエーテル 75部、
溶剤:プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート 96.5部、並びに
溶剤:ジプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート 31部、
を混合して着色感光性樹脂組成物を得た。
【0105】
実施例4
色素(A1):造塩化合物3 12部、
顔料:C.I.ピグメントブルー15:6 8部、
アクリル系顔料分散剤 5.5部、及び
溶剤:プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート 25.5部
を混合し、ビーズミルを用いて顔料を十分に分散させた顔料分散液、
樹脂:樹脂Bb(固形分換算) 23部、
重合性化合物:ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート
(KAYARAD DPHA;日本化薬(株)製) 26部、
重合性化合物:ペンタエリスリトールテトラアクリレート
(A−TMMT;新中村化学工業(株)製) 8.5部、
重合性化合物:トリメチロールプロパントリアクリレート
(KAYARAD TMPTA;日本化薬(株)製) 3部、
重合開始剤:N−ベンゾイルオキシ−1−(4−フェニルスルファニルフェニル)オクタン−1−オン−2−イミン(イルガキュアOXE 01;BASF社製) 10部、
重合開始剤:2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−ピペロニル−1,3,5−トリアジン(TAZ−PP;DKSHジャパン社製) 4部、
重合開始助剤:2,4−ジエチルチオキサントン(KAYACURE DETX;日本化薬(株)製;チオキサントン化合物) 3部、
重合禁止剤:p−メトキシフェノール(和光純薬工業(株)製) 0.01部
界面活性剤:ポリエーテル変性シリコーンオイル(トーレシリコーンSH8400;東レダウコーニング(株)製) 0.07部、
溶剤:4−ヒドロキシ−4−メチルペンタン−2−オン 442部、
溶剤:プロピレングリコールモノメチルエーテル 75部、
溶剤:プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート 96.5部、並びに
溶剤:ジプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート 31部、
を混合して着色感光性樹脂組成物を得た。
【0106】
比較例1
色素(A1):造塩化合物1 17部、
樹脂:スチレン/メタクリル酸/メチルメタクリレート/ブチルメタクリレート(60/60/65/65〔質量比〕、Mw=35,000) 10部、及び
溶剤:シクロヘキサノン 140部
を混合し、ビーズミルを用いて色素を十分に分散させた色素分散液、
樹脂:スチレン/メタクリル酸/メチルメタクリレート/ブチルメタクリレート(60/60/65/65〔質量比〕、Mw=35,000) 8部、
重合性化合物:トリメチロールプロパントリアクリレート
(KAYARAD TMPTA;日本化薬(株)製) 23部、
重合開始剤:2−メチル−2−モルホリノ−1−(4−メチルスルファニルフェニル)プロパン−1−オン(イルガキュア907;BASF社製) 8部
重合開始助剤:4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン(EAB−F;保土ヶ谷化学社製) 1部、並びに
溶剤:シクロヘキサノン 200部
を混合して着色感光性樹脂組成物を得た。
【0107】
〔パターンの作製〕
2インチ角のガラス基板(イーグルXG;コーニング社製)上に、着色感光性樹脂組成物をスピンコート法で塗布したのち、100℃で3分間プリベークした。冷却後、この着色感光性樹脂組成物を塗布した基板とパターンを有する石英ガラス製フォトマスクとの間隔を100μmとして、露光機(TME−150RSK;トプコン(株)製)を用いて、大気雰囲気下、150mJ/cmの露光量(365nm基準)で光照射した。尚、フォトマスクとしては、基材である石英ガラスの透過率に対して、透過率1〜100%の透光部を有するグレイスケールマスクを使用した。各透光部の大きさは5×8mmである。光照射後、上記塗膜を、非イオン系界面活性剤0.12%と炭酸ナトリウム2%とを含む水系現像液に23℃で60秒間浸漬して現像し、水洗した。水洗後、オーブン中、120℃で30分間ポストベークを行い、パターンを得た。
【0108】
〔膜厚測定〕
150mJ/cmの露光量により得られたパターン(すなわち、透過率100%の透光部から形成されたパターン)について、膜厚測定装置(DEKTAK3;日本真空技術(株)製))を用いて膜厚を測定した。結果を表1に示す。
【0109】
〔感度測定〕
ポストベーク後の上記基板を、目視で観察し、下記式から感度を求めた。結果を表1に示す。
感度(mJ/cm)=T(%) × 150(mJ/cm
[式中、Tは、基板上に残った前記透光部から形成されたパターンのうち、最も透過率の低い透光部から形成されたパターンに対応する透光部の透過率を表す。]
【0110】
〔残膜率〕
透過率100%の透光部を介して露光された部分において、現像前後の膜厚を測定し、下記式から残膜率を求めた。結果を表1に示す。
残膜率(%)=M / M × 100
[式中、Mは、露光後現像前の上記部分における膜厚を表す。Mは、現像後ポストベーク前の上記部分における膜厚を表す。]
【0111】
〔耐溶剤性〕
フォトマスクを使用しない以外は、〔カラーフィルタの作製〕と同様の操作を行い塗膜を作製した。該塗膜にプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートを1ml滴下し、パドルにて30秒間静止した後、1000rpmの回転数にて10秒間振り切った。
その後、先に記載と同様の方法にて膜厚を測定した。プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート接触前後の膜厚を測定し、下記式から膜厚保持率を計算した。
膜厚保持率(%)=接触後の膜厚 / 接触前の膜厚 × 100
膜厚保持率が高いほど耐溶剤性が良好となり、複数色のカラーフィルターを同一基板上に形成する際、混色を防ぐことができる。結果を表1に示す。
【0112】
【表1】

【産業上の利用可能性】
【0113】
本発明の着色感光性樹脂組成物は、パターン形成時の感度が高い。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A1)、(B)、(C)及び(D)を含む着色感光性樹脂組成物。
(A1)酸性染料と塩基性染料との造塩化合物からなる色素
(B)側鎖にエチレン性不飽和結合を有し、重量平均分子量が5,000以上100,000以下である樹脂
(C)重量平均分子量が3,000以下である重合性化合物
(D)重合開始剤
【請求項2】
(D)重合開始剤が、オキシム化合物を含む重合開始剤である請求項1記載の着色感光性樹脂組成物。
【請求項3】
請求項1又は2記載の着色感光性樹脂組成物により形成されるカラーフィルタ。
【請求項4】
請求項3記載のカラーフィルタを備える表示装置。

【公開番号】特開2013−3284(P2013−3284A)
【公開日】平成25年1月7日(2013.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−132911(P2011−132911)
【出願日】平成23年6月15日(2011.6.15)
【出願人】(000002093)住友化学株式会社 (8,981)
【Fターム(参考)】