説明

着色感放射線性組成物、カラーフィルタの製造方法、カラーフィルタおよび固体撮像素子

【課題】優れた膜厚均一性を示し、耐熱性に優れ、色移り、色ムラを低減した着色パターンを形成し得る着色感放射線性組成物を提供する。
【解決手段】(A)C.I.ピグメントオレンジ71、(B)下記一般式(1)で表される化合物を共重合成分として含むバインダー、(C)重合性化合物、及び(D)光重合開始剤を含有する着色感放射線性組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、着色感放射線性組成物、該着色感放射線性組成物を用いたカラーフィルタの製造方法、カラーフィルタ、および固体撮像素子に関する。
【背景技術】
【0002】
カラーフィルタは液晶ディスプレイや固体撮像素子に不可欠な構成部品である。
このようなカラーフィルタは複数の色相の着色パターンから構成され、通常は、少なくとも、赤色、緑色、及び、青色の着色領域(以下、「着色パターン」や「着色画素」ともいう)を形成する。この形成方法としては、まず、第1の色相において、赤色、緑色、青色の何れかの着色剤を有する硬化性組成物を塗布し、露光、現像、必要に応じて加熱処理を行って当該色相の着色パターンを形成した後、第2の色相、第3の色相において同様の塗布、露光、現像、必要に応じた加熱処理のプロセスを繰り返すことになる。
【0003】
最近では、液晶ディスプレイや固体撮像素子のいずれにおいても、解像度向上を目的として微細な着色パターン(例えば、固体撮像素子では一辺が2.0μm以下の着色パターン)を再現性よく形成することが求められ、同時に、着色パターンの膜厚も薄膜化(例えば、固体撮像素子では膜厚1μm以下)することが求められている。
【0004】
かかる問題に鑑み、従来から様々な検討がなされている(例えば、特許文献1〜5など)。しかしながら、さらに良好な膜厚均一性を示し、耐熱性に優れた着色パターンを形成しうる着色感放射線性組成物の開発が強く求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−151274号公報
【特許文献2】特開2009−216952号公報
【特許文献3】特開2010−85457号公報
【特許文献4】特開2006−161035号公報
【特許文献5】特開2008−268943号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は上記の点に鑑みてなされたものであり、以下の目的を達成することを課題とする。
【0007】
すなわち、本発明の目的は、優れた膜厚均一性を示し、耐熱性に優れ、色移り、色ムラを低減した着色パターンを形成し得る着色感放射線性組成物を提供することにある。更に、薄層化された場合でも、耐熱性に優れ、色移り、色ムラの少ない着色パターンを有するカラーフィルタ、該カラーフィルタの製造方法、および該カラーフィルタを具備する固体撮像素子を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者らは、前記実情に鑑み鋭意研究を行ったところ、(A)着色剤、(B)一般式(1)で表される化合物を共重合成分として含むバインダー、(C)重合性化合物、(D)光重合開始剤を含有し、(A)着色剤としてC.I.ピグメントオレンジ71を含有する着色感放射線性組成物により、前記課題が解決されることを見出し、本発明を完成した。
即ち、前記課題を解決するための手段は、以下の通りである。
【0009】
<1> (A)C.I.ピグメントオレンジ71、(B)下記一般式(1)で表される化合物を共重合成分として含むバインダー、(C)重合性化合物、及び(D)光重合開始剤を含有する着色感放射線性組成物。
【化1】


一般式(1)中、R及びRはそれぞれ独立に、水素原子又はアルキル基を表す。
<2> 前記(B)バインダーが、さらにアリール(メタ)アクリレート、又はアルキル(メタ)アクリレートを重合性成分として含むバインダーである<1>に記載の着色感放射線性組成物。
<3> 前記(B)バインダーが、さらに(メタ)アクリル酸を重合性成分として含むバインダーである<1>または<2>に記載の着色感放射線性組成物。
<4> 更にレッド顔料を含む<1>〜<3>のいずれかに記載の着色感放射線性組成物。
<5> 更にイエロー顔料を含む<1>〜<4>のいずれかに記載の着色感放射線性組成物。
<6> 前記(D)光重合開始剤が、オキシム化合物である<1>〜<5>のいずれかに記載の着色感放射線性組成物。
<7> <1>〜<6>のいずれかに記載の着色感放射線性組成物を硬化して得られた着色硬化膜。
<8> <7>に記載の着色硬化膜を備えたカラーフィルタ。
<9> <1>〜<6>のいずれかに記載の着色感放射線性組成物を基板上に付与して着色感放射線性組成物層を形成する着色感放射線性組成物層形成工程と、前記着色感放射線性組成物層をパターン様に露光する露光工程と、露光後の前記着色感放射線性組成物層を現像して着色パターンを形成する着色パターン形成工程と、を含むパターン形成方法。
<10> <1>〜<6>のいずれかに記載の着色感放射線性組成物を基板上に付与し着色感放射線性組成物層を形成する着色感放射線性組成物層形成工程と、前記着色感放射線性組成物層をパターン様に露光する露光工程と、露光後の前記着色感放射線性組成物層を現像して着色パターンを形成する着色パターン形成工程と、を有するカラーフィルタの製造方法。
<11> <8>に記載のカラーフィルタを具備する固体撮像素子。
更に好ましい態様として、更にC.I.ピグメントイエロー139を含む着色感放射線性組成物が挙げられる。また、別の好ましい態様として更にC.I.ピグメントレッド254を含む着色感放射線性組成物が挙げられる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、優れた膜厚均一性を示し、耐熱性に優れ、色移り、色ムラを低減した着色パターンを形成し得る着色感放射線性組成物を提供することができる。また、本発明によれば、薄層化された場合でも、耐熱性に優れ、色移り、色ムラの少ない着色パターンを有するカラーフィルタ、該カラーフィルタの製造方法、および該カラーフィルタを具備する固体撮像素子を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に本発明の着色感放射線性組成物、カラーフィルタ、カラーフィルタの製造方法、固体撮像素子、及び液晶表示装置について詳述する。以下に記載する構成要件の説明は、本発明の代表的な実施態様に基づいてなされることがあるが、本発明はそのような実施態様に限定されるものではない。
なお、本明細書において「〜」を用いて表される数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む範囲を意味する。
本明細書においては「アルキル基」は「直鎖、分岐、および環状」のアルキル基を示し、また置換基で置換されていても、無置換でもよい。
また、本明細書において、“(メタ)アクリレート”はアクリレートおよびメタクリレートの双方、又は、いずれかを表し、“(メタ)アクリル”はアクリルおよびメタクリルの双方、又は、いずれかを表し、“(メタ)アクリロイル”はアクリロイルおよびメタクリロイルの双方、又は、いずれかを表す。
また、本明細書において、“単量体”と“モノマー”とは同義である。本明細書における単量体は、オリゴマーおよびポリマーと区別され、重量平均分子量が2,000以下の化合物をいう。本明細書において、重合性化合物とは、重合性官能基を有する化合物のことをいい、単量体であっても、ポリマーであってもよい。重合性官能基とは、重合反応に関与する基を言う。
本明細書において「工程」との語は、独立した工程だけではなく、他の工程と明確に区別できない場合であってもその工程の所期の作用が達成されれば、本用語に含まれる。
本発明において「放射線」とは、可視光線、紫外線、遠紫外線、電子線、X線等を含むものを意味する。
【0012】
本発明は、(A)C.I.ピグメントオレンジ71、(B)下記一般式(1)で表される化合物を共重合成分として含むバインダー、(C)重合性化合物、及び(D)光重合開始剤を含有する着色感放射線性組成物に関する。
【0013】
本発明の着色感放射線性組成物は、(A)C.I.ピグメントオレンジ71、(B)下記一般式(1)で表される化合物を共重合成分として含むバインダー、(C)重合性化合物、及び(D)光重合開始剤を含有することにより、顔料へのバインダーの吸着量が増大し、顔料粒子間の凝集および熱による分散不安定化を防ぐことができるため、優れた膜厚均一性を示し、耐熱性に優れると考えられる。そのため、本発明の着色感放射線性組成物は、膜厚均一性および耐熱性が良好なカラーフィルタを提供することを可能としたものである。
【0014】
≪着色感放射線性組成物≫
本発明の着色感放射線性組成物は、(A)C.I.ピグメントオレンジ71、(B)下記一般式(1)で表される化合物を共重合成分として含むバインダー、(C)重合性化合物、及び(D)光重合開始剤を含むものであり、さらに必要に応じて、他の成分を含んでいてもよい。
【0015】
<(A)C.I.ピグメントオレンジ71>
本発明の着色感放射線性組成物は、C.I.ピグメントオレンジ71(「C.I.Pigment Orange 71」「CIPO71」「PO71」とも表記する。他の顔料についても同じ。)を含有する。
本発明の着色感放射線性組成物では、C.I.ピグメントオレンジ71と、C.I.ピグメントオレンジ71以外のその他の顔料とを併用してもよい。
特に、本発明による効果をより効果的に得る観点より、前記C.I.ピグメントオレンジ71を含む顔料は、更に、レッド顔料(好ましくは、C.I.ピグメントレッド254、C.I.ピグメントレッド177又はC.I.ピグメントレッド224)を含むことが好ましい。
本発明においてレッド顔料としては、カラーインデックス(C.I.;The Society of Dyers and Colourists 社発行。以下同様。)においてC.I.ピグメントレッドで表される顔料が挙げられる。
また、本発明による効果をより効果的に得る観点より、前記C.I.ピグメントオレンジ71を含む顔料が、更に、イエロー顔料(好ましくは、ピグメントイエロー138、ピグメントイエロー139、ピグメントイエロー150、ピグメントイエロー185)を含むことが好ましい。
本発明においてイエロー顔料としては、カラーインデックスにおいてC.I.ピグメントイエローで表される顔料が挙げられる。
特に好ましくは、前記C.I.ピグメントオレンジ71を含む顔料が、更に、レッド顔料及び黄色顔料を含む形態である。
本発明においてC.I.ピグメントオレンジ71と併用できる前記その他の顔料は、従来公知の種々の無機顔料又は有機顔料を適宜選択して用いることができる。顔料の粒子サイズとしては、本発明の顔料分散組成物が好適に用いられるカラーフィルタが、高透過率であることが好ましいこと等を考慮すると、有機顔料が好ましく、また、なるべく粒子サイズの小さいものを使用することが好ましい。
前記無機顔料としては、金属酸化物、金属錯塩等で示される金属化合物を挙げることができ、具体的には、鉄、コバルト、アルミニウム、カドミウム、鉛、銅、チタン、マグネシウム、クロム、亜鉛、アンチモン、銀等の金属酸化物、及び前記金属の複合酸化物を挙げることができる。また、チタンの窒化物、銀錫化合物、銀化合物なども使用することができる。
【0016】
前記有機顔料としては、例えば、
C.I.Pigment Red 1、2、3、4、5、6、7、9、10、14、17、22、23、31、38、41、48:1、48:2、48:3、48:4、49、49:1、49:2、52:1、52:2、53:1、57:1、60:1、63:1、66、67、81:1、81:2、81:3、83、88、90、105、112、119、122、123、144、146、149、150、155、168、169、170、171、172、175、176、177、178、179、184、185、187、188、190、200、202、206、207、208、209、210、216、220、224、226、242、246、254、255、264、270、272、279、
C.I.Pigment Yellow 1、2、3、4、5、6、10、11、12、13、14、15、16、17、18、20、24、31、32、34、35、35:1、36、36:1、37、37:1、40、42、43、53、55、60、61、62、63、65、73、74、77、81、83、86、93、94、95、97、98、100、101、104、106、108、109、110、113、114、115、116、117、118、119、120、123、125、126、127、128、129、137、138、139、147、148、150、151、152、153、154、155、156、161、162、164、166、167、168、169、170、171、172、173、174、175、176、177、179、180、181、182、185、187、188、193、194、199、213、214
C.I. Pigment Orange 2、5、13、16、17:1、31、34、36、38、43、46、48、49、51、52、55、59、60、61、62、64、73
C.I. Pigment Green 7、10、36、37、58
C.I.Pigment Blue 1、2、15、15:1、15:2、15:3、15:4、15:6、16、22、60、64、66、79、79のCl置換基をOHに変更したもの、80
C.I.Pigment Violet 1、19、23、27、32、37、42
C.I.Pigment Brown 25、28
C.I.Pigment Black 1 等を挙げることができる。
【0017】
これらの中で好ましく用いることができる顔料として、以下のものを挙げることができる。但し、本発明においてはこれらに限定されるものではない。
C.I.Pigment Yellow 11,24,108,109,110,138,139,150,151,154,167,180,185,
C.I.Pigment Orange 36,
C.I.Pigment Red 122,150,171,175,177,209,224,242,254,255,264,
C.I.Pigment Violet 19,23,32,
C.I.Pigment Blue 15:1,15:3,15:6,16,22,60,66,
C.I.Pigment Green 7,36,37,58
C.I.Pigment Black 1
【0018】
これら有機顔料は、単独もしくは色純度を上げるため種々の組合せて用いることができる。
また、全顔料中、オレンジ顔料の占める割合は、25質量%〜95質量%が好ましい。95質量%以上では400nmから500nmの光透過率を抑えることが困難で色純度を上げることが出来ない場合がある。また25質量%以下では発色力が下がる場合がある。特に、上記質量比としては、30質量%〜90質量%の範囲が最適である。尚、オレンジ顔料同士の組み合わせの場合は、色度に併せて調整することができる。
【0019】
着色感放射線性組成物に含有される着色剤として使用できる染料は、特に制限はなく、従来カラーフィルタ用として公知の染料が使用できる。例えば、ピラゾールアゾ系、アニリノアゾ系、トリフェニルメタン系、アントラキノン系、アンスラピリドン系、ベンジリデン系、オキソノール系、ピラゾロトリアゾールアゾ系、ピリドンアゾ系、シアニン系、フェノチアジン系、ピロロピラゾールアゾメチン系、キサテン系、フタロシアニン系、ベンゾピラン系、インジゴ系、ピロメテン系等の染料が使用できる。また、これらの染料の多量体を用いてもよい。
【0020】
また、水又はアルカリ現像を行う場合、現像により光未照射部のバインダー及び/又は染料を完全に除去するという観点では、酸性染料及び/又はその誘導体が好適に使用できる場合がある。
その他、直接染料、塩基性染料、媒染染料、酸性媒染染料、アゾイック染料、分散染料、油溶染料、食品染料、及び/又は、これらの誘導体等も有用に使用することができる。
【0021】
以下に酸性染料の具体例を挙げるが、これらに限定されるものではない。例えば、 acid alizarin violet N;acid black 1,2,24,48;acid blue 1,7,9,15,18,23,25,27,29,40〜45,62,70,74,80,83,86,87,90,92,103,112,113,120,129,138,147,158,171,182,192,243,324:1;acid chrome violet K;acid Fuchsin;acid green 1,3,5,9,16,25,27,50;acid orange 6,7,8,10,12,50,51,52,56,63,74,95;acid red 1,4,8,14,17,18,26,27,29,31,34,35,37,42,44,50,51,52,57,66,73,80,87,88,91,92,94,97,103,111,114,129,133,134,138,143,145,150,151,158,176,183,198,211,215,216,217,249,252,257,260,266,274;acid violet 6B,7,9,17,19;acid yellow 1,3,7,9,11,17,23,25,29,34,36,42,54,72,73,76,79,98,99,111,112,114,116,184,243;Food Yellow 3;及びこれらの染料の誘導体が挙げられる。
【0022】
また、上記以外の、アゾ系、キサンテン系、フタロシアニン系の酸性染料も好ましく、C.I.Solvent Blue 44、38;C.I.Solvent orange 45;Rhodamine B、Rhodamine 110等の酸性染料及びこれらの染料の誘導体も好ましく用いられる。
【0023】
なかでも、着色剤としては、トリアリルメタン系、アントラキノン系、アゾメチン系、ベンジリデン系、オキソノール系、シアニン系、フェノチアジン系、ピロロピラゾールアゾメチン系、キサンテン系、フタロシアニン系、ベンゾピラン系、インジゴ系、ピラゾールアゾ系、アニリノアゾ系、ピラゾロトリアゾールアゾ系、ピリドンアゾ系、アンスラピリドン系、ピロメテン系から選ばれる着色剤であることが好ましい。また、前記着色剤は多量体であってもよい。
さらに、顔料と染料を組み合わせて使用してもよい。
【0024】
着色感放射線性組成物においてC.I.ピグメントオレンジ71に混合しうる着色剤は、顔料、若しくは、染料であることが好ましい。とりわけ、平均粒子径(r)が、20nm≦r≦300nm、好ましくは125nm≦r≦250nm、特に好ましくは30nm≦r≦200nmを満たす顔料が望ましい。このような平均粒子径の顔料を用いることにより、高コントラスト比であり、かつ高光透過率の画素を得ることができる。ここでいう「平均粒子径」とは、顔料の一次粒子(単微結晶)が集合した二次粒子についての平均粒子径を意味する。平均一次粒子径は、SEMあるいはTEMで観察し、粒子が凝集していない部分で粒子サイズを100個計測し、平均値を算出することによって求めることができる。
また、本発明において使用しうる顔料の二次粒子の粒子径分布(以下、単に「粒子径分布」という。)は、(平均粒子径±100)nmに入る二次粒子が全体の70質量%以上、好ましくは80質量%以上であることが望ましい。なお、本発明においては、粒子径分布は、散乱強度分布を用いて測定した。
【0025】
前記した平均粒子径及び粒子径分布を有する顔料は、市販の顔料を、場合により使用される他の顔料(平均粒子径は通常、300nmを越える。)と共に、好ましくは分散剤及び溶媒と混合した顔料混合液として、例えばビーズミル、ロールミル等の粉砕機を用いて、粉砕しつつ混合・分散することにより調製することができる。このようにして得られる顔料は、通常、顔料分散液の形態をとる。
【0026】
−顔料の微細化−
本発明においては、必要に応じて、微細でかつ整粒化された有機顔料を用いることができる。顔料の微細化は、顔料と水溶性有機溶剤と水溶性無機塩類と共に高粘度な液状組成物を調製し、湿式粉砕装置等を使用して、応力を付加して摩砕する工程を経ることで達成される。
【0027】
顔料の微細化工程に使用される水溶性有機溶剤としては、メタノール、エタノール、イソプロパノール、n−プロパノール、イソブタノール、n−ブタノール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、ジエチレングリコールモノメチルエーテール、ジエチレングリコールモノエチルエーテール、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコール、プロピレンゴリコールモノメチルエーテルアセテート等を挙げることができる。
また、少量用いることで顔料に吸着して、廃水中に流失しない限りにおいては、水溶性は低いか、或いは、水溶性を有しない他の溶剤、例えば、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、クロロベンゼン、ニトロベンゼン、アニリン、ピリジン、キノリン、テトラヒドロフラン、ジオキサン、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、酢酸ブチル、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、デカン、ウンデカン、ドデカン、シクロヘキサン、メチルシクロヘササン、ハロゲン化炭化水素、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、N−メチルピロリドン等を用いてもよい。
顔料の微細化工程に使用する溶剤は、1種のみでもよく、必要に応じて2種類以上を混合して使用してもよい。
【0028】
本発明において顔料の微細化工程に使用される水溶性無機塩としては、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化カルシウム、塩化バリウム、硫酸ナトリウム等が挙げられる。
微細化工程における水溶性無機塩の使用量は顔料の1〜50質量倍であり、多い方が摩砕効果はあるが、より好ましい量は生産性の点で1〜10質量倍である。また、水分が1%以下の無機塩類を用いることが好ましい。
微細化工程における水溶性有機溶剤の使用量は、顔料100質量部に対して50質量部から300質量部の範囲であり、好ましくは100質量部から200質量部の範囲である。
【0029】
顔料の微細化工程における湿式粉砕装置の運転条件については特に制限はないが、粉砕メディアによる磨砕を効果的に進行させるため、装置がニーダーの場合の運転条件は、装置内のブレードの回転数は、10rpm〜200rpmが好ましく、また2軸の回転比が相対的に大きいほうが摩砕効果が大きく好ましい。運転時間は乾式粉砕時間と併せて1時間〜8時間が好ましく、装置の内温は50℃〜150℃が好ましい。また粉砕メディアである水溶性無機塩は粉砕粒度が5μm〜50μmで粒子径の分布がシャープで、且つ球形が好ましい。
【0030】
また、本発明の着色感放射線性組成物はカラーフィルタの着色領域(画素)の形成のみならず、ブラックマトリックスの形成に使用してもよく、ブラックマトリックス形成用組成物に用いられる黒色顔料としては、カーボン、チタンブラック、酸化鉄、酸化チタン、銀錫、銀などの他に、酸化チタンなどの金属酸化物を含有する金属混合物等からなる顔料が用いることができる。
【0031】
以下にチタンブラック分散物について詳述する。
チタンブラック分散物とは、色材としてチタンブラックを含有する分散物のことである。
着色感放射線性組成物にチタンブラックを、予め調製されたチタンブラック分散物として含むことでチタンブラックの分散性、分散安定性が向上する。
以下、チタンブラックについて説明する。
【0032】
−チタンブラック−
チタンブラックとは、チタン原子を有する黒色粒子である。好ましくは低次酸化チタンや酸窒化チタン等である。チタンブラック粒子は、分散性向上、凝集性抑制などの目的で必要に応じ、表面を修飾することが可能である。酸化ケイ素、酸化チタン、酸化ゲルマニウム、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウムで被覆することが可能であり、また、特開2007−302836号公報に示されるような撥水性物質での処理も可能である。
【0033】
チタンブラックの粒子の粒子径は特に制限は無いが、分散性、着色性の観点から、3nm〜2000nmであることが好ましく、より好ましくは10nm〜500nmであり、更に好ましくは、20nm〜200nmである。
【0034】
チタンブラックの比表面積は、特に限定がないが、かかるチタンブラックを撥水化剤で表面処理した後の撥水性が所定の性能となるために、BET法にて測定した値が通常5m/g〜150m/g程度、特に20m/g〜100m/g程度であることが好ましい。
【0035】
チタンブラックの市販品の例としては例えば、三菱マテリアル社製チタンブラック10S、12S、13R、13M、13M−C、13R、13R−N、赤穂化成(株)ティラック(Tilack)Dなどが挙げられるが、本発明はこれらに限定されない。
【0036】
着色感放射線性組成物に含有される着色剤の含有量としては、着色感放射線性組成物の全固形分中、20質量%〜95質量%であることが好ましく、25質量%〜90質量%がより好ましく、30質量%〜80質量%が更に好ましい。
本発明において全固形分とは、着色感放射性組成物中の溶剤を除く成分の合計をいう。
着色剤の含有量を上記範囲とすることで、着色感放射線性組成物によりカラーフィルタを作製した際に、適度な色度が得られる。また、光硬化が充分に進み、膜としての強度を維持することができるため、アルカリ現像の際の現像ラチチュードが狭くなることを防止することができる。
【0037】
着色感放射線性組成物に含有されるC.I.ピグメントオレンジ71の含有量としては、着色感放射線性組成物の全固形分中、20質量%〜70質量%であることが好ましく、25質量%〜65質量%がより好ましく、30質量%〜60質量%が更に好ましい。
また、C.I.ピグメントオレンジ71以外の他の顔料を混合する場合、その含有量は、顔料の総質量中、75質量%以下であることが好ましく、60質量%以下であることがより好ましく、50質量%以下であることが更に好ましい。
【0038】
本発明の着色感放射線性組成物は、予め顔料を必要により、顔料分散剤、有機溶剤、顔料誘導体、およびその他の成分等と分散して顔料分散液を調製し、得られた顔料分散液を(B)一般式(1)で表される化合物を共重合成分として含むバインダー、(C)重合性化合物、(D)光重合開始剤及び必要により加えられるその他の成分と混合して着色感放射線性組成物を調製することが好ましい。
以下に顔料分散液の組成、顔料分散液の調製の方法について詳述する。
【0039】
顔料分散液の調製方法は、特に制限されないが、分散の方法としては、例えば、顔料と顔料分散剤を予め混合して、ホモジナイザー等で予め分散しておいたものを、ジルコニアビーズ等を用いたビーズ分散機(例えばGETZMANN社製のディスパーマット)等を用いて微分散させることによって行える。
【0040】
(顔料分散剤)
本発明に用いうる顔料分散剤としては、高分子分散剤〔例えば、ポリアミドアミンとその塩、ポリカルボン酸とその塩、高分子量不飽和酸エステル、変性ポリウレタン、変性ポリエステル、変性ポリ(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル系共重合体、ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物〕、及び、ポリオキシエチレンアルキルリン酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルアミン、アルカノールアミン等の界面活性剤、及び、顔料誘導体等を挙げることができる。
高分子分散剤は、その構造から更に直鎖状高分子、末端変性型高分子、グラフト型高分子、ブロック型高分子に分類することができる。
【0041】
顔料表面へのアンカー部位を有する末端変性型高分子としては、例えば、特開平3−112992号公報、特表2003−533455号公報等に記載の末端にリン酸基を有する高分子、特開2002−273191号公報等に記載の末端にスルホン酸基を有する高分子、特開平9−77994号公報等に記載の有機色素の部分骨格や複素環を有する高分子などが挙げられる。また、特開2007−277514号公報に記載の高分子末端に2個以上の顔料表面へのアンカー部位(酸基、塩基性基、有機色素の部分骨格やヘテロ環等)を導入した高分子も分散安定性に優れ好ましい。
【0042】
顔料表面へのアンカー部位を有するグラフト型高分子としては、例えば、特開昭54ー37082号公報、特表平8−507960号公報、特開2009−258668公報等に記載のポリ(低級アルキレンイミン)とポリエステルの反応生成物、特開平9−169821号公報等に記載のポリアリルアミンとポリエステルの反応生成物、特開平10−339949号、特開2004−37986号公報等に記載のマクロモノマーと、窒素原子モノマーとの共重合体、特開2003−238837号公報、特開2008−9426号公報、特開2008−81732号公報等に記載の有機色素の部分骨格や複素環を有するグラフト型高分子、特開2010−106268号公報等に記載のマクロモノマーと酸基含有モノマーの共重合体等が挙げられる。特に、特開2009−203462号公報に記載の塩基性基と酸性基を有する両性分散樹脂は、顔料分散物の分散性、分散安定性、及び着色感放射線性組成物が示す現像性の観点から特に好ましい。
【0043】
顔料表面へのアンカー部位を有するグラフト型高分子をラジカル重合で製造する際に用いるマクロモノマーとしては、公知のマクロモノマーを用いることができ、東亜合成(株)製のマクロモノマーAA−6(末端基がメタクリロイル基であるポリメタクリル酸メチル)、AS−6(末端基がメタクリロイル基であるポリスチレン)、AN−6S(末端基がメタクリロイル基であるスチレンとアクリロニトリルの共重合体)、AB−6(末端基がメタクリロイル基であるポリアクリル酸ブチル)、ダイセル化学工業(株)製のプラクセルFM5(メタクリル酸2−ヒドロキシエチルのε−カプロラクトン5モル当量付加品)、FA10L(アクリル酸2−ヒドロキシエチルのε−カプロラクトン10モル当量付加品)、及び特開平2−272009号公報に記載のポリエステル系マクロモノマー等が挙げられる。これらの中でも、特に柔軟性且つ親溶剤性に優れるポリエステル系マクロモノマーが、顔料分散物の分散性、分散安定性、及び顔料分散物を用いた着色感放射線性組成物が示す現像性の観点から特に好ましく、更に、特開平2−272009号公報に記載のポリエステル系マクロモノマーで表されるポリエステル系マクロモノマーが最も好ましい。
【0044】
顔料表面へのアンカー部位を有するブロック型高分子としては、特開2003−49110号公報、特開2009−52010号公報等に記載のブロック型高分子が好ましい。
【0045】
本発明に用いうる顔料分散剤は、市販品としても入手可能であり、そのような具体例としては、BYKChemie社製「Disperbyk−101(ポリアミドアミン燐酸塩)、107(カルボン酸エステル)、110(酸基を含む共重合物)、130(ポリアミド)、161、162、163、164、165、166、170(高分子共重合物)」、「BYK−P104、P105(高分子量不飽和ポリカルボン酸)、EFKA社製「EFKA4047、4050〜4010〜4165(ポリウレタン系)、EFKA4330〜4340(ブロック共重合体)、4400〜4402(変性ポリアクリレート)、5010(ポリエステルアミド)、5765(高分子量ポリカルボン酸塩)、6220(脂肪酸ポリエステル)、6745(フタロシアニン誘導体)、6750(アゾ顔料誘導体)」、味の素ファンテクノ社製「アジスパーPB821、PB822、PB880、PB881」、共栄社化学社製「フローレンTG−710(ウレタンオリゴマー)」、「ポリフローNo.50E、No.300(アクリル系共重合体)」、楠本化成社製「ディスパロンKS−860、873SN、874、#2150(脂肪族多価カルボン酸)、#7004(ポリエーテルエステル)、DA−703−50、DA−705、DA−725」、花王社製「デモールRN、N(ナフタレンスルホン酸ホルマリン重縮合物)、MS、C、SN−B(芳香族スルホン酸ホルマリン重縮合物)」、「ホモゲノールL−18(高分子ポリカルボン酸)」、「エマルゲン920、930、935、985(ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル)」、「アセタミン86(ステアリルアミンアセテート)」、日本ルーブリゾール(株)製「ソルスパース5000(フタロシアニン誘導体)、22000(アゾ顔料誘導体)、13240(ポリエステルアミン)、3000、17000、27000(末端部に機能部を有する高分子)、24000、28000、32000、38500(グラフト型高分子)」、日光ケミカル社製「ニッコールT106(ポリオキシエチレンソルビタンモノオレート)、MYS−IEX(ポリオキシエチレンモノステアレート)」、川研ファインケミカル(株)製 ヒノアクトT−8000E等、信越化学工業(株)製、オルガノシロキサンポリマーKP341、裕商(株)製「W001:カチオン系界面活性剤」、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリエチレングリコールジラウレート、ポリエチレングリコールジステアレート、ソルビタン脂肪酸エステル等のノニオン系界面活性剤、「W004、W005、W017」等のアニオン系界面活性剤、森下産業(株)製「EFKA−46、EFKA−47、EFKA−47EA、EFKAポリマー100、EFKAポリマー400、EFKAポリマー401、EFKAポリマー450」、サンノプコ(株)製「ディスパースエイド6、ディスパースエイド8、ディスパースエイド15、ディスパースエイド9100」等の高分子分散剤、(株)ADEKA製「アデカプルロニックL31、F38、L42、L44、L61、L64、F68、L72、P95、F77、P84、F87、P94、L101、P103、F108、L121、P−123」、及び三洋化成(株)製「イオネットS−20」等が挙げられる。
【0046】
本発明において、(B)一般式(1)で表される化合物を共重合成分として含むバインダーも、好ましい分散剤として挙げられる。
本発明において、好ましい分散剤としては窒素原子を含有するグラフト共重合体が挙げられる。
窒素原子を含有するグラフト共重合体としては、主鎖に窒素原子を含有する繰り返し単位を有するものが好ましい。中でも、式(A)で表される繰り返し単位または/及び式(B)で表される繰り返し単位を有することが好ましい。
【0047】
【化2】

【0048】
(式(A)中、R1は炭素数1〜5のアルキレン基を表し、Aは水素原子または下記式(C)〜(E)のいずれかを表す。)
上記式(A)中、R1は、メチレン、エチレン、プロピレン等の直鎖状または分岐状の 炭素数1〜5のアルキレン基を表し、好ましくは炭素数2〜3であり、更に好ましくはエチレン基である。Aは水素原子または下記式(C)〜(E)のいずれかを表すが、好ま
しくは式(C)である。
【0049】
【化3】

【0050】
上記式(B)中、R1及びAは、式(A)中のR1及びAと同義である。
【0051】
【化4】

【0052】
上記式(C)中、W1は炭素数2〜10の直鎖状または分岐状のアルキレン基を表し、中でもブチレン、ペンチレン、ヘキシレン等の炭素数4〜7のアルキレン基が好ましい。pは1〜20の整数を表し、好ましくは5〜10の整数である。
【0053】
【化5】

【0054】
上記式(D)中、Y1は2価の連結基を表し、中でもエチレン、プロピレン等の炭素数1〜4のアルキレン基とエチレンオキシ、プロピレンオキシ等の炭素数1〜4のアルキレンオキシ基が好ましい。W2はエチレン、プロピレン、ブチレン等の直鎖状または分岐状の炭素数2〜10のアルキレン基を表し、中でもエチレン、プロピレン等の炭素数2〜3のアルキレン基が好ましい。Y2は水素原子または−CO−R2(R2はエチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル等の炭素数1〜10のアルキル基を表し、中でもエチル、プロピル、ブチル、ペンチル等の炭素数2〜5のアルキル基が好ましい)を表す。qは、1〜20の整数を表し、好ましくは5〜10の整数である。
【0055】
【化6】

【0056】
上記式(E)中、W3は炭素数1〜50のアルキル基または水酸基を1〜5有する炭素数1〜50のヒドロキシアルキル基を表し、中でもステアリル等の炭素数10〜20のアルキル基、モノヒドロキシステアリル等の水酸基を1〜2個有する炭素数10〜20のヒドロキシアルキル基が好ましい。
前記「窒素原子を含有するグラフト共重合体」における式(A)または(B)で表される繰り返し単位の含有率は、高い方が好ましく、通常50モル%以上であり、好ましくは70モル%以上である。式(A)で表される繰り返し単位と、式(B)で表される繰り返し単位の、両方を併有してもよく、その含有比率に特に制限は無いが、好ましくは式(A)の繰り返し単位の方を多く含有していた方が好ましい。式(A)または式(B)で表される繰り返し単位の合計数は、通常1〜100、好ましくは10〜70、更に好ましくは20〜50である。また、式(A)及び式(B)以外の繰り返し単位を含んでいてもよく、他の繰り返し単位としては、例えばアルキレン基、アルキレンオキシ基などが例示できる。前記「窒素原子を含有するグラフト共重合体」は、その末端が−NH2及び−R1−NH2(R1は、前記R1と同義)のものが好ましい。
【0057】
尚、前記「窒素原子を含有するグラフト共重合体」は、主鎖が直鎖状であっても分岐していてもよい。該グラフト共重合体のアミン価は、通常5mgKOH/g〜100mgKOH/gであり、好ましくは10mgKOH/g〜70mgKOH/gであり、更に好ましくは15mgKOH/g〜40mgKOH/g以下である。
アミン価が5mgKOH/g以上であると、分散安定性をより向上させることができ、粘度をより安定にすることができる。アミン価が100mgKOH/g以下であると、残渣をより抑制でき、液晶パネルを形成した後の電気特性の低下をより抑制できる。
【0058】
上記前記「窒素原子を含有するグラフト共重合体」のGPCで測定した重量平均分子量としては、3000〜100000が好ましく、5000〜50000が特に好ましい。重量平均分子量が3000以上であると、色材の凝集をより抑制でき、高粘度化やゲル化をより抑制できる。100000以下であると、共重合体自体の高粘度化をより抑制でき、また有機溶媒への溶解性の不足をより抑制できる。
【0059】
上記分散剤の合成方法は、公知の方法が採用でき、例えば特公昭63−30057号公報に記載の方法を用いることができる。
【0060】
また、本発明における分散剤としては、分散安定性をより向上させる観点からは、下記一般式(I)及び(II)のいずれかで表される繰り返し単位から選択される少なくとも1種の繰り返し単位を含む高分子化合物(以下、「特定重合体」と称する場合がある。)が好ましい。
【0061】
【化7】

【0062】
上記一般式(I)及び(II)中、R〜Rは、各々独立に、水素原子、又は1価の有機基を表し、X及びXは、各々独立に、−CO−、−C(=O)O−、−CONH−、−OC(=O)−、又はフェニレン基を表し、L及びLは、各々独立に、単結合、又は2価の有機連結基を表し、A及びAは、各々独立に、1価の有機基を表し、m及びnは、各々独立に、2〜8の整数を表し、p及びqは、各々独立に、1〜100の整数を表す。
【0063】
一般式(I)及び(II)中、R〜Rは、各々独立に、水素原子、又は1価の有機基を表す。1価の有機基としては、置換若しくは無置換のアルキル基が好ましい。アルキル基としては、炭素数1〜12のアルキル基が好ましく、炭素数1〜8のアルキル基がより好ましく、炭素数1〜4のアルキル基が特に好ましい。
アルキル基が置換基を有する場合、該置換基としては、例えば、ヒドロキシ基、アルコキシ基(好ましくは炭素数1〜5、より好ましくは炭素数1〜3がより好ましい。)メトキシ基、エトキシ基、シクロヘキシロキシ基等が挙げられる。
好ましいアルキル基として、具体的には、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、t−ブチル基、n−ヘキシル基、シクロヘキシル基、2−ヒドロキシエチル基、3−ヒドロキシプロピル基、2−ヒドロキシプロピル基、2−メトキシエチル基が挙げられる。
一般式(I)及び(II)中、R、R、R、及びRとしては、水素原子が好ましく、R及びRとしては、水素原子又はメチル基が、顔料表面への吸着効率の点からも最も好ましい。
【0064】
一般式(I)及び(II)中、X及びXは、各々独立に、−CO−、−C(=O)O−、−CONH−、−OC(=O)−、又はフェニレン基を表す。中でも、−C(=O)O−、−CONH−、フェニレン基が、顔料への吸着性の観点で好ましく、−C(=O)O−が最も好ましい。
【0065】
一般式(I)及び(II)中、L及びLは、各々独立に、単結合、又は2価の有機連結基を表す。2価の有機連結基としては、置換若しくは無置換のアルキレン基や、該アルキレン基とヘテロ原子又はヘテロ原子を含む部分構造とからなる2価の有機連結基が好ましい。ここで、アルキレン基としては、炭素数1〜12のアルキレン基が好ましく、炭素数1〜8のアルキレン基が更に好ましく、炭素数1〜4のアルキレン基が特に好ましい。また、ヘテロ原子を含む部分構造におけるヘテロ原子としては、例えば、酸素原子、窒素原子、硫黄原子が挙げられ、中でも、酸素原子、窒素原子が好ましい。
好ましいアルキレン基として、具体的には、例えば、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基が挙げられる。
アルキレン基が置換基を有する場合、該置換基としては、例えば、ヒドロキシ基等が挙げられる。
2価の有機連結基としては、上記のアルキレン基の末端に、−C(=O)−、−OC(=O)−、−NHC(=O)−から選ばれるヘテロ原子又はヘテロ原子を含む部分構造を有し、該ヘテロ原子又はヘテロ原子を含む部分構造を介して、隣接した酸素原子と連結したものが、顔料への吸着性の点から好ましい。ここで、隣接した酸素原子とは、一般式(I)におけるL、及び一般式(II)におけるLに対し、側鎖末端側で結合する酸素原子を意味する。
【0066】
一般式(I)及び(II)中、A及びAは、各々独立に、1価の有機基を表す。1価の有機基としては、ヒドロキシル基、置換若しくは非置換のアルキル基、又は、置換若しくは非置換のアリール基が好ましい。
好ましいアルキル基の例としては、炭素原子数が1から20までの直鎖状、分岐状、及び環状のアルキル基を挙げることができ、その具体例としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、ヘキサデシル基、オクタデシル基、エイコシル基、イソプロピル基、イソブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、1−メチルブチル基、イソヘキシル基、2−エチルヘキシル基、2−メチルヘキシル基、シクロヘキシル基、シクロペンチル基、2−ノルボルニル基を挙げることができる。
【0067】
置換アルキル基の置換基としては、水素を除く1価の非金属原子団の基が用いられ、好ましい例としては、ハロゲン原子(−F、−Br、−Cl、−I)、ヒドロキシル基、アルコキシ基、アリーロキシ基、メルカプト基、アルキルチオ基、アリールチオ基、アルキルジチオ基、アリールジチオ基、アミノ基、N−アルキルアミノ基、N,N−ジアルキルアミノ基、N−アリールアミノ基、N,N−ジアリールアミノ基、N−アルキル−N−アリールアミノ基、アシルオキシ基、カルバモイルオキシ基、N−アルキルカルバモイルオキシ基、N−アリールカルバモイルオキシ基、N,N−ジアルキルカルバモイルオキシ基、N,N−ジアリールカルバモイルオキシ基、N−アルキル−N−アリールカルバモイルオキシ基、アルキルスルホキシ基、アリールスルホキシ基、アシルオキシ基、アシルチオ基、アシルアミノ基、N−アルキルアシルアミノ基、N−アリールアシルアミノ基、ウレイド基、N’−アルキルウレイド基、N’,N’−ジアルキルウレイド基、N’−アリールウレイド基、N’,N’−ジアリールウレイド基、N’−アルキル−N’−アリールウレイド基、N−アルキルウレイド基、N−アリールウレイド基、N’−アルキル−N−アルキルウレイド基、N’−アルキル−N−アリールウレイド基、N’,N’−ジアルキル−N−アルキルウレイド基、N’,N’−ジアルキル−N−アリールウレイド基、N’−アリール−N−アルキルウレイド基、N’−アリール−N−アリールウレイド基、N’,N’−ジアリール−N−アルキルウレイド基、N’,N’−ジアリール−N−アリールウレイド基、N’−アルキル−N’−アリール−N−アルキルウレイド基、N’−アルキル−N’−アリール−N−アリールウレイド基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリーロキシカルボニルアミノ基、N−アルキル−N−アルコキシカルボニルアミノ基、N−アルキル−N−アリーロキシカルボニルアミノ基、N−アリール−N−アルコキシカルボニルアミノ基、N−アリール−N−アリーロキシカルボニルアミノ基、ホルミル基、アシル基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、アリーロキシカルボニル基、カルバモイル基、N−アルキルカルバモイル基、N,N−ジアルキルカルバモイル基、N−アリールカルバモイル基、N,N−ジアリールカルバモイル基、N−アルキル−N−アリールカルバモイル基、アルキルスルフィニル基、アリールスルフィニル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基、スルホ基(−SOH)及びその共役塩基基(以下、スルホナト基と称す)、アルコキシスルホニル基、アリーロキシスルホニル基、スルフィナモイル基、N−アルキルスルフィナモイル基、N,N−ジアルキルスルフィナモイル基、N−アリールスルフィナモイル基、N,N−ジアリールスルフィナモイル基、N−アルキル−N−アリールスルフィナモイル基、スルファモイル基、N−アルキルスルファモイル基、N,N−ジアルキルスルファモイル基、N−アリールスルファモイル基、N,N−ジアリールスルファモイル基、N−アルキル−N−アリールスルファモイル基、ホスホノ基(−PO)及びその共役塩基基(以下、ホスホナト基と称す)、ジアルキルホスホノ基(−PO(alkyl))、ジアリールホスホノ基(−PO(aryl))、アルキルアリールホスホノ基(−PO(alkyl)(aryl))、モノアルキルホスホノ基(−POH(alkyl))及びその共役塩基基(以後、アルキルホスホナト基と称す)、モノアリールホスホノ基(−POH(aryl))及びその共役塩基基(以後、アリールホスホナト基と称す)、ホスホノオキシ基(−OPO)及びその共役塩基基(以後、ホスホナトオキシ基と称す)、ジアルキルホスホノオキシ基(−OPO(alkyl))、ジアリールホスホノオキシ基(−OPO(aryl))、アルキルアリールホスホノオキシ基(−OPO(alkyl)(aryl))、モノアルキルホスホノオキシ基(−OPOH(alkyl))及びその共役塩基基(以後、アルキルホスホナトオキシ基と称す)、モノアリールホスホノオキシ基(−OPOH(aryl))及びその共役塩基基(以後、アリールホスホナトオキシ基と称す)、シアノ基、ニトロ基、アリール基、ヘテロアリール基、アルケニル基、アルキニル基、シリル基が挙げられる。
これらの置換基における、アルキル基の具体例としては、前述のアルキル基が挙げられ、これらは更に置換基を有していてもよい。
【0068】
置換基としては、アルコキシ基、アリーロキシ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、N,N−ジアルキルアミノ基、N,N−ジアリールアミノ基、N−アルキル−N−アリールアミノ基、アシルオキシ基、アリール基、ヘテロアリール基、アルケニル基、アルキニル基、シリル基が、分散安定性の点から好ましい。
【0069】
アリール基の具体例としては、フェニル基、ビフェニル基、ナフチル基、トリル基、キシリル基、メシチル基、クメニル基、クロロフェニル基、ブロモフェニル基、クロロメチルフェニル基、ヒドロキシフェニル基、メトキシフェニル基、エトキシフェニル基、フェノキシフェニル基、アセトキシフェニル基、ベンゾイロキシフェニル基、メチルチオフェニル基、フェニルチオフェニル基、メチルアミノフェニル基、ジメチルアミノフェニル基、アセチルアミノフェニル基、カルボキシフェニル基、メトキシカルボニルフェニル基、エトキシフェニルカルボニル基、フェノキシカルボニルフェニル基、N−フェニルカルバモイルフェニル基、フェニル基、シアノフェニル基、スルホフェニル基、スルホナトフェニル基、ホスフォノフェニル基、ホスフォナトフェニル基等を挙げることができる。
【0070】
及びAとしては、分散安定性、現像性の点から、炭素原子数1から20までの直鎖状、炭素原子数3から20までの分岐状、並びに炭素原子数5から20までの環状のアルキル基が好ましく、炭素原子数4から15までの直鎖状、炭素原子数4から15までの分岐状、並びに炭素原子数6から10までの環状のアルキル基がより好ましく、炭素原子数6から10までの直鎖状、炭素原子数6から12までの分岐状のアルキル基が更に好ましい。
【0071】
一般式(I)及び(II)中、m及びnは、各々独立に、2〜8の整数を表す。分散安定性、現像性の点から、4〜6が好ましく、5が最も好ましい。
【0072】
一般式(I)及び(II)中、p及びqは、各々独立に、1〜100の整数を表す。pの異なるもの、qの異なるものが2種以上、混合されてもよい。p及びqは、分散安定性、現像性の点から、5〜60が好ましく、5〜40がより好ましく、5〜20が更に好ましい。
【0073】
前記特定重合体としては、分散安定性の点から、前記一般式(I)で表される繰り返し単位を含むものが好ましい。
【0074】
また、一般式(I)で表される繰り返し単位としては、下記一般式(I)−2で表される繰り返し単位であることがより好ましい。
【0075】
【化8】

【0076】
上記一般式(I)−2中、R〜Rは、各々独立に、水素原子、又は1価の有機基を表し、Laは、炭素数2〜10のアルキレン基を表し、Lbは、−C(=O)−、又は−NHC(=O)−を表し、Aは、1価の有機基を表し、mは、2〜8の整数を表し、pは、1〜100の整数を表す。
【0077】
一般式(I)、(II)、又は、(I)−2で表される繰り返し単位は、それぞれ、下記一般式(i)、(ii)、又は、(i)−2で表される単量体を、重合或いは共重合することにより、高分子化合物の繰り返し単位として導入される。
【0078】
【化9】

【0079】
上記一般式(i)、(ii)、及び(i)−2中、R〜Rは、各々独立に、水素原子、又は1価の有機基を表し、X及びXは、各々独立に、−CO−、−C(=O)O−、−CONH−、−OC(=O)−、又はフェニレン基を表し、L及びLは、各々独立に、単結合、又は2価の有機連結基を表し、Laは、炭素数2〜10のアルキレン基を表し、Lbは、−C(=O)−、又は−NHC(=O)−を表し、A及びAは、各々独立に、1価の有機基を表し、m及びnは、各々独立に、2〜8の整数を表し、p及びqは、各々独立に、1〜100の整数を表す。
【0080】
以下に、一般式(i)、(ii)、又は(i)−2で表される単量体の好ましい具体例〔単量体(XA−1)〜(XA−23)〕を以下に挙げるが、本発明はこれらに制限されるものではない。
【0081】
【化10】

【0082】
【化11】

【0083】
【化12】

【0084】
【化13】

【0085】
前記特定重合体は、一般式(I)及び(II)のいずれかで表される繰り返し単位から選択される少なくとも1種の繰り返し単位を含んでいればよく、1種のみ含むものであってもよいし、2種以上を含んでもよい。
【0086】
また、特定重合体において、一般式(I)及び(II)のいずれかで表される繰り返し単位の含有量は、特に制限はないが、重合体に含有される全繰り返し単位を100質量%とした場合に、一般式(I)及び(II)のいずれかで表される繰り返し単位を5質量%以上含有することが好ましく、50質量%含有することがより好ましく、50質量%〜80質量%含有することが更に好ましい。
【0087】
前記特定重合体は、顔料への吸着を高める目的で、顔料に吸着し得る官能基を有する単量体と、前述の一般式(i)、(ii)、(i)−2で表される単量体と、を共重合した高分子化合物であることが好ましい。
顔料に吸着し得る官能基を有する単量体としては、具体的には、酸性基を有するモノマー、有機色素構造或いは複素環構造を有するモノマー、塩基性窒素原子を有するモノマー、イオン性基を有するモノマーなどを挙げることができる。中でも、顔料への吸着力の点で、酸性基を有するモノマー、有機色素構造或いは複素環構造を有するモノマー、が好ましい。
【0088】
酸性基を有するモノマーの例としては、カルボキシル基を有するビニルモノマーやスルホン酸基を有するビニルモノマーが挙げられる。
カルボキシル基を有するビニルモノマーとして、(メタ)アクリル酸、ビニル安息香酸、マレイン酸、マレイン酸モノアルキルエステル、フマル酸、イタコン酸、クロトン酸、桂皮酸、アクリル酸ダイマーなどが挙げられる。また、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートなどの水酸基を有する単量体と無水マレイン酸、無水フタル酸、無水コハク酸、シクロヘキサンジカルボン酸無水物のような環状無水物との付加反応物、ω−カルボキシ−ポリカプロラクトンモノ(メタ)アクリレートなども利用できる。また、カルボキシル基の前駆体として無水マレイン酸、無水イタコン酸、無水シトラコン酸などの無水物含有モノマーを用いてもよい。なおこれらの内では、未露光部の現像除去性の観点から2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートなどの水酸基を有する単量体と無水マレイン酸、無水フタル酸、無水コハク酸、シクロヘキサンジカルボン酸無水物のような環状無水物との付加反応物が好ましい。
【0089】
また、スルホン酸基を有するビニルモノマーとして、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸などが挙げられ、リン酸基を有するビニルモノマーとして、リン酸モノ(2−アクリロイルオキシエチルエステル)、リン酸モノ(1−メチル−2−アクリロイルオキシエチルエステル)などが挙げられる。
【0090】
前記特定重合体は、上述のような酸性基を有するモノマーに由来する繰り返し単位を含むことが好ましい。このような繰り返し単位を含むことにより、本発明の顔料分散組成物を着色感放射線性組成物に適用した場合において、未露光部の現像除去性に優れる。
【0091】
前記特定重合体は、酸性基を有するモノマーに由来する繰り返し単位を、1種のみ含むものであってもよいし、2種以上を含んでもよい。
特定重合体において、酸性基を有するモノマーに由来する繰り返し単位の含有量は、好ましくは50mgKOH/g以上であり、特に好ましくは50mgKOH/g〜200mgKOH/gである。即ち、現像液中での析出物の生成抑制という点では、酸性基を有するモノマーに由来する繰り返し単位の含有量は50mgKOH/g以上であることが好ましい。顔料の1次粒子の凝集体である2次凝集体の生成を効果的に抑制、或いは、2次凝集体の凝集力を効果的に弱めるためには、酸性基を有するモノマーに由来する繰り返し単位の含有量は50mgKOH/g〜200mgKOH/gであることが好ましい。
【0092】
前記有機色素構造或いは複素環構造を有するモノマーとしては、例えば、特開2009−256572号公報の段落番号0048〜段落番号0070に記載されている、特定の単量体、マレイミド、及びマレイミド誘導体からなる群より選択される1種が挙げられる。
【0093】
前記塩基性窒素原子を有するモノマーとしては、(メタ)アクリル酸エステルとして、(メタ)アクリル酸N,N−ジメチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸N,N−ジメチルアミノプロピル、(メタ)アクリル酸1−(N,N−ジメチルアミノ)−1,1−ジメチルメチル、(メタ)アクリル酸N,N−ジメチルアミノヘキシル、(メタ)アクリル酸N,N−ジエチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸N,N−ジイソプロピルアミノエチル、(メタ)アクリル酸N,N−ジ−n−ブチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸N,N−ジ−i−ブチルアミノエチル、(メタ)アクリル酸モルホリノエチル、(メタ)アクリル酸ピペリジノエチル、(メタ)アクリル酸1−ピロリジノエチル、(メタ)アクリル酸N,N−メチル−2−ピロリジルアミノエチル及び(メタ)アクリル酸N,N−メチルフェニルアミノエチルなどが挙げられ、(メタ)アクリルアミド類として、N−(N’,N’−ジメチルアミノエチル)アクリルアミド、N−(N’,N’−ジメチルアミノエチル)メタクリルアミド、N−(N’,N’−ジエチルアミノエチル)アクリルアミド、N−(N’,N’−ジエチルアミノエチル)メタクリルアミド、N−(N’,N’−ジメチルアミノプロピル)アクリルアミド、N−(N’,N’−ジメチルアミノプロピル)メタクリルアミド、N−(N’,N’−ジエチルアミノプロピル)アクリルアミド、N−(N’,N’−ジエチルアミノプロピル)メタクリルアミド、2−(N,N−ジメチルアミノ)エチル(メタ)アクリルアミド、2−(N,N−ジエチルアミノ)エチル(メタ)アクリルアミド、3−(N,N−ジエチルアミノ)プロピル(メタ)アクリルアミド、3−(N,N−ジメチルアミノ)プロピル(メタ)アクリルアミド、1−(N,N−ジメチルアミノ)−1,1−ジメチルメチル(メタ)アクリルアミド及び6−(N,N−ジエチルアミノ)ヘキシル(メタ)アクリルアミド、モルホリノ(メタ)アクリルアミド、ピペリジノ(メタ)アクリルアミド、N−メチル−2−ピロリジル(メタ)アクリルアミドなどが挙げられ、スチレン類として、N,N−ジメチルアミノスチレン、N,N−ジメチルアミノメチルスチレン等、が挙げられる。
【0094】
また、ウレア基、ウレタン基、配位性酸素原子を有する、炭素数4以上の炭化水素基、アルコキシシリル基、エポキシ基、イソシアネート基、水酸基を有するモノマーを用いることも可能である。具体的には、例えば、以下の構造のモノマーを挙げることができる。
【0095】
【化14】

【0096】
イオン性基を有するモノマーとしては、イオン性基を有するビニルモノマー(アニオン性ビニルモノマー、カチオン性ビニルモノマー)が挙げられる。この例としては、アニオン性ビニルモノマーとして、前記酸性基を有するビニルモノマーのアルカリ金属塩や、有機アミン(例えば、トリエチルアミン、ジメチルアミノエタノール等の3級アミン)との塩などが挙げられ、カチオン性ビニルモノマーとしては、前記含窒素ビニルモノマーを、ハロゲン化アルキル(アルキル基:C1〜18、ハロゲン原子:塩素原子、臭素原子又はヨウ素原子);塩化ベンジル、臭化ベンジル等のハロゲン化ベンジル;メタンスルホン酸等のアルキルスルホン酸エステル(アルキル基:C1〜18);ベンゼンスルホン酸、トルエンスルホン酸等のアリールスルホン酸アルキルエステル(アルキル基:C1〜18);硫酸ジアルキル(アルキル基:C1〜4)等で4級化させたもの、ジアルキルジアリルアンモニウム塩などが挙げられる。
【0097】
顔料に吸着し得る官能基を有するモノマーは、分散する顔料の種類に応じて、適宜選択することができ、これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0098】
前記特定重合体は、その効果を損なわない範囲において、更に、共重合可能なビニルモノマーに由来する繰り返し単位を含んでいてもよい。
【0099】
ここで使用可能なビニルモノマーとしては、特に制限されないが、例えば、(メタ)アクリル酸エステル類、クロトン酸エステル類、ビニルエステル類、マレイン酸ジエステル類、フマル酸ジエステル類、イタコン酸ジエステル類、(メタ)アクリルアミド類、ビニルエーテル類、ビニルアルコールのエステル類、スチレン類、(メタ)アクリロニトリルなどが好ましい。このようなビニルモノマーの具体例としては、例えば以下のような化合物が挙げられる。なお、本明細書において「アクリル、メタクリル」のいずれか或いは双方を示す場合「(メタ)アクリル」と記載することがある。
【0100】
(メタ)アクリル酸エステル類の例としては、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸t−ブチル、(メタ)アクリル酸n−ヘキシル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸t−ブチルシクロヘキシル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸t−オクチル、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸オクタデシル、(メタ)アクリル酸アセトキシエチル、(メタ)アクリル酸アセトアセトキシエチル、(メタ)アクリル酸フェニル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸2−メトキシエチル、(メタ)アクリル酸2−エトキシエチル、(メタ)アクリル酸2−(2−メトキシエトキシ)エチル、(メタ)アクリル酸3−フェノキシ−2−ヒドロキシプロピル、(メタ)アクリル酸ベンジル、(メタ)アクリル酸ジエチレングリコールモノメチルエーテル、(メタ)アクリル酸ジエチレングリコールモノエチルエーテル、(メタ)アクリル酸トリエチレングリコールモノメチルエーテル、(メタ)アクリル酸トリエチレングリコールモノエチルエーテル、(メタ)アクリル酸ポリエチレングリコールモノメチルエーテル、(メタ)アクリル酸ポリエチレングリコールモノエチルエーテル、(メタ)アクリル酸β−フェノキシエトキシエチル、(メタ)アクリル酸ノニルフェノキシポリエチレングリコール、(メタ)アクリル酸ジシクロペンテニル、(メタ)アクリル酸ジシクロペンテニルオキシエチル、(メタ)アクリル酸トリフロロエチル、(メタ)アクリル酸オクタフロロペンチル、(メタ)アクリル酸パーフロロオクチルエチル、(メタ)アクリル酸ジシクロペンタニル、(メタ)アクリル酸トリブロモフェニル、(メタ)アクリル酸トリブロモフェニルオキシエチルなどが挙げられる。
【0101】
クロトン酸エステル類の例としては、クロトン酸ブチル、及びクロトン酸ヘキシル等が挙げられる。
ビニルエステル類の例としては、ビニルアセテート、ビニルプロピオネート、ビニルブチレート、ビニルメトキシアセテート、及び安息香酸ビニルなどが挙げられる。
マレイン酸ジエステル類の例としては、マレイン酸ジメチル、マレイン酸ジエチル、及びマレイン酸ジブチルなどが挙げられる。
フマル酸ジエステル類の例としては、フマル酸ジメチル、フマル酸ジエチル、及びフマル酸ジブチルなどが挙げられる。
イタコン酸ジエステル類の例としては、イタコン酸ジメチル、イタコン酸ジエチル、及びイタコン酸ジブチルなどが挙げられる。
【0102】
(メタ)アクリルアミド類としては、(メタ)アクリルアミド、N−メチル(メタ)アクリルアミド、N−エチル(メタ)アクリルアミド、N−プロピル(メタ)アクリルアミド、N−イソプロピル(メタ)アクリルアミド、N−n−ブチルアクリル(メタ)アミド、N−t−ブチル(メタ)アクリルアミド、N−シクロヘキシル(メタ)アクリルアミド、N−(2−メトキシエチル)(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジエチル(メタ)アクリルアミド、N−フェニル(メタ)アクリルアミド、N−ベンジル(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリロイルモルホリン、ジアセトンアクリルアミドなどが挙げられる。
【0103】
ビニルエーテル類の例としては、メチルビニルエーテル、ブチルビニルエーテル、ヘキシルビニルエーテル、及びメトキシエチルビニルエーテルなどが挙げられる。
スチレン類の例としては、スチレン、メチルスチレン、ジメチルスチレン、トリメチルスチレン、エチルスチレン、イソプロピルスチレン、ブチルスチレン、ヒドロキシスチレン、メトキシスチレン、ブトキシスチレン、アセトキシスチレン、クロロスチレン、ジクロロスチレン、ブロモスチレン、クロロメチルスチレン、酸性物質により脱保護可能な基(例えばt−Bocなど)で保護されたヒドロキシスチレン、ビニル安息香酸メチル、及びα−メチルスチレンなどが挙げられる。
【0104】
前記特定重合体の好ましい態様は、少なくとも一般式(i)、(ii)、又は(i)−2で表される単量体と、酸性基を有するモノマー、又は有機色素構造或いは複素環構造を有するモノマーと、を共重合したもので、更に好ましくは、少なくとも前述の一般式(i)−2で表される単量体と、酸基を有するモノマーと、を共重合したものである。
この態様により、顔料吸着により優れ、且つ、現像性により優れた顔料分散組成物を与えることができる。
【0105】
なお、本発明においては、以下に示す分散剤が特に好ましい。
【0106】
【化15】

【0107】
【化16】

【0108】
前記特定重合体の好ましい分子量は、重量平均分子量(Mw)で5000〜100000の範囲、数平均分子量(Mn)で2500〜50000の範囲であることが好ましい。重量平均分子量(Mw)で10000〜50000の範囲、数平均分子量(Mn)で5000〜30000の範囲であることがより好ましい。
特に、重量平均分子量(Mw)で10000〜30000の範囲、数平均分子量(Mn)で5000〜15000の範囲であることが最も好ましい。
即ち、顔料の1次粒子の凝集体である2次凝集体を効果的にほぐし、或いは、再凝集を効果的に弱めるための観点からは、特定重合体の重量平均分子量(Mw)は1000以上であることが好ましい。また、顔料分散組成物を含有する着色感放射線性組成物によりカラーフィルタを製造する際の現像性の観点からは、特定重合体の重量平均分子量(Mw)は30000以下であることが好ましい。
【0109】
前記特定重合体は、例えば、一般式(i)、(ii)、又は、(i)−2で表される単量体と、共重合成分として他のラジカル重合性化合物(前述のような各種モノマー)と、を用い、通常のラジカル重合法によって製造することができる。
一般的には、懸濁重合法或いは溶液重合法などを用いる。このような特定重合体を合成する際に用いられる溶媒としては、例えば、エチレンジクロリド、シクロヘキサノン、メチルエチルケトン、アセトン、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、2−メトキシエチルアセテート、1−メトキシ−2−プロパノール、1−メトキシ−2−プロピルアセテート、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、ジメチルスルホキシド、トルエン、酢酸エチル、乳酸メチル、乳酸エチルなどが挙げられる。これらの溶媒は単独或いは2種以上混合してもよい。
なお、ラジカル重合の際、ラジカル重合開始剤を使用することができ、また、更に連鎖移動剤(例、2−メルカプトエタノール及びドデシルメルカプタン)を使用することができる。
【0110】
また、本発明の効果を損なわない範囲において、必要に応じて、上述の特定重合体の他に、他の高分子化合物を同時に使用してもよい。
他の高分子化合物としては、天然樹脂、変性天然樹脂、合成樹脂、天然樹脂で変性された合成樹脂等が用いられる。
【0111】
天然樹脂としてはロジンが代表的であり、変性天然樹脂としては、ロジン誘導体、繊維素誘導体、ゴム誘導体、タンパク誘導体及びそれらのオリゴマーが挙げられる。合成樹脂としては、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、マレイン酸樹脂、ブチラール樹脂、ポリエステル樹脂、メラミン樹脂、フェノール樹脂、ポリウレタン樹脂等が挙げられる。天然樹脂で変性された合成樹脂としては、ロジン変性マレイン酸樹脂、ロジン変性フェノール樹脂等が挙げられる。
【0112】
合成樹脂としては、ポリアミドアミンとその塩、ポリカルボン酸とその塩、高分子量不飽和酸エステル、ポリウレタン、ポリエステル、ポリ(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル系共重合体、ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物が挙げられる。
【0113】
これらの顔料分散剤は、単独で使用してもよく、2種以上を組み合わせて使用してもよい。本発明においては、特に、顔料誘導体と高分子分散剤とを組み合わせて使用することが好ましい。また、本発明における顔料分散剤は、前記顔料表面へのアンカー部位を有する末端変性型高分子、グラフト型高分子、ブロック型高分子と伴に、後述のアルカリ可溶性樹脂と併用して用いてもよい。
【0114】
顔料分散液における顔料分散剤の含有量としては、顔料100質量部に対して、1質量部〜80質量部であることが好ましく、5質量部〜70質量部がより好ましく、10質量部〜60質量部であることが更に好ましい。
具体的には、高分子分散剤を用いる場合であれば、その使用量としては、顔料100質量部に対して、質量換算で5質量部〜100部の範囲が好ましく、10質量部〜80部の範囲であることがより好ましい。
【0115】
(顔料誘導体)
顔料分散組成物は、必要に応じて、顔料誘導体が添加される。分散剤と親和性のある部分、あるいは極性基を導入した顔料誘導体を顔料表面に吸着させ、これを分散剤の吸着点として用いることで、顔料を微細な粒子として着色感放射線性組成物中に分散させ、その再凝集を防止することができ、コントラストが高く、透明性に優れたカラーフィルタを構成するのに有効である。
【0116】
顔料誘導体は、具体的には有機顔料を母体骨格とし、側鎖に酸性基や塩基性基、芳香族基を置換基として導入した化合物である。有機顔料は、具体的には、キナクリドン系顔料、フタロシアニン系顔料、アゾ系顔料、キノフタロン系顔料、イソインドリン系顔料、イソインドリノン系顔料、キノリン顔料、ジケトピロロピロール顔料、ベンゾイミダゾロン顔料等が挙げられる。一般に、色素と呼ばれていないナフタレン系、アントラキノン系、トリアジン系、キノリン系等の淡黄色の芳香族多環化合物も含まれる。色素誘導体としては、特開平11−49974号公報、特開平11−189732号公報、特開平10−245501号公報、特開2006−265528号公報、特開平8−295810号公報、特開平11−199796号公報、特開2005−234478号公報、特開2003−240938号公報、特開2001−356210号公報、特開2009-102532号公報等に記載されているものを使用できる。
【0117】
本発明における顔料誘導体としては、特開平11−49974号公報、特開平11−189732号公報、特開平10−245501号公報、特開2006−265528号公報、特開平8−295810号公報、特開平11−199796号公報、特開2005−234478号公報、特開2003−240938号公報、特開2001−356210号公報、特開2000−239554公報等に記載されているアゾ顔料誘導体も使用できる。
【0118】
本発明におけるアゾ顔料誘導体としては、分散安定性をより向上させる観点より、上記アゾ顔料誘導体のうち、下記一般式(P1)で表される化合物が特に好ましい。
【0119】
【化17】

【0120】
一般式(P1)中、Aは、X−Yとともにアゾ顔料を形成しうる成分を表す。前記Aは、ジアゾニウム化合物とカップリングしてアゾ顔料を形成しうる化合物であれば、任意に選択することができる。以下に、前記Aの具体例を示すが、本発明はこれらの具体例に何ら限定されるものではない。
【0121】
【化18】

【0122】
【化19】

【0123】
前記一般式(P1)中、Xは、単結合(Yが−N=N−に直結していることを意味する。)、又は下記構造式で表される二価の連結基から選択される基を表す。
【0124】
【化20】

【0125】
前記一般式(P1)中、Yは、下記一般式(P2)で表される基を表す。
【0126】
【化21】

【0127】
一般式(P2)中、Zは、低級アルキレン基を表す。Zは、−(CH−と表されるが、該bは1〜5の整数を表し、好ましくは2又は3を表す。一般式(P2)中、−NRは、低級アルキルアミノ基、又は窒素原子を含む5乃至6員飽和ヘテロ環を表す。該−NRは、低級アルキルアミノ基を表す場合、−N(C2n+1と表され、nは1〜4の整数を表し、好ましくは1又は2を表す。一方、該−NRは、窒素原子を含む5乃至6員飽和ヘテロ環を表す場合、下記構造式で表されるヘテロ環が好ましい。
【0128】
【化22】

【0129】
前記一般式(P2)における、Z及び−NRは、それぞれ、低級アルキル基、アルコキシ基を置換基として有していてもよい。前記一般式(P2)中、aは、1又は2を表し、好ましくは2を表す。
【0130】
以下に、前記一般式(P1)で表される化合物の具体例(具体例1〜22)を示すが、本発明はこれらの具体例に何ら限定されるものではない。
【0131】
【化23】

【0132】
【化24】

【0133】
【化25】

【0134】
【化26】

【0135】
【化27】

【0136】
前記顔料誘導体の顔料分散組成物中における含有量としては、顔料の質量に対して、1質量%〜30質量%が好ましく、3質量%〜20質量%がより好ましい。該含有量が前記範囲内であると、粘度を低く抑えながら、分散を良好に行えると共に分散後の分散安定性を向上させることができ、透過率が高く優れた色特性が得られ、カラーフィルタを作製するときには良好な色特性を有する高コントラストに構成することができる。
【0137】
分散の方法は、例えば、顔料と分散剤を予め混合してホモジナイザー等で予め分散しておいたものを、ジルコニアビーズ等を用いたビーズ分散機(例えばGETZMANN社製のディスパーマット)等を用いて微分散させることによって行える。分散時間としては、3〜6時間程度が好適である。
【0138】
(有機溶剤)
本発明のカラーフィルタ用着色感放射線性組成物は、一般には、有機溶剤を用いて構成することができる。有機溶剤は、各成分の溶解性や着色感放射線性組成物の塗布性を満足すれば基本的には特に制限はないが、特に紫外線吸収剤、バインダーの溶解性、塗布性、安全性を考慮して選ばれることが好ましい。また、本発明における着色感放射線性組成物を調製する際には、少なくとも2種類の有機溶剤を含むことが好ましい。
【0139】
有機溶剤としては、エステル類として、例えば、酢酸エチル、酢酸−n−ブチル、酢酸イソブチル、ギ酸アミル、酢酸イソアミル、酢酸イソブチル、プロピオン酸ブチル、酪酸イソプロピル、酪酸エチル、酪酸ブチル、乳酸メチル、乳酸エチル、オキシ酢酸アルキル(例:オキシ酢酸メチル、オキシ酢酸エチル、オキシ酢酸ブチル(例えば、メトキシ酢酸メチル、メトキシ酢酸エチル、メトキシ酢酸ブチル、エトキシ酢酸メチル、エトキシ酢酸エチル等))、3−オキシプロピオン酸アルキルエステル類(例:3−オキシプロピオン酸メチル、3−オキシプロピオン酸エチル等(例えば、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−メトキシプロピオン酸エチル、3−エトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル等))、2−オキシプロピオン酸アルキルエステル類(例:2−オキシプロピオン酸メチル、2−オキシプロピオン酸エチル、2−オキシプロピオン酸プロピル等(例えば、2−メトキシプロピオン酸メチル、2−メトキシプロピオン酸エチル、2−メトキシプロピオン酸プロピル、2−エトキシプロピオン酸メチル、2−エトキシプロピオン酸エチル))、2−オキシ−2−メチルプロピオン酸メチル及び2−オキシ−2−メチルプロピオン酸エチル(例えば、2−メトキシ−2−メチルプロピオン酸メチル、2−エトキシ−2−メチルプロピオン酸エチル等)、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、ピルビン酸プロピル、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、2−オキソブタン酸メチル、2−オキソブタン酸エチル等、並びに、エーテル類として、例えば、ジエチレングリコールジメチルエーテル、テトラヒドロフラン、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノプロピルエーテルアセテート等、並びに、ケトン類として、例えば、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、2−ヘプタノン、3−ヘプタノン等、並びに、芳香族炭化水素類として、例えば、トルエン、キシレン等が好適に挙げられる。
【0140】
これらの有機溶剤は、紫外線吸収剤及びアルカリ可溶性樹脂の溶解性、塗布面状の改良などの観点から、2種以上を混合することも好ましい。この場合、特に好ましくは、上記の3−エトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、エチルセロソルブアセテート、乳酸エチル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、酢酸ブチル、3−メトキシプロピオン酸メチル、2−ヘプタノン、シクロヘキサノン、エチルカルビトールアセテート、ブチルカルビトールアセテート、プロピレングリコールメチルエーテル、及びプロピレングリコールメチルエーテルアセテートから選択される2種以上で構成される混合溶液である。
【0141】
有機溶剤の着色感放射線性組成物中における含有量は、塗布性の観点から、組成物の全固形分濃度が5質量%〜80質量%になる量とすることが好ましく、5質量%〜60質量%が更に好ましく、10質量%〜50質量%が特に好ましい。
【0142】
(高分子材料)
顔料分散液には、前記した各成分に加え、分散安定性の向上、顔料分散液を着色感放射線性組成物に応用した場合の現像性制御などの観点から、(B)一般式(1)で表される化合物を共重合成分として含むバインダーおよび又は他の構造の高分子材料を更に含有してもよい。
【0143】
(B)下記一般式(1)で表される化合物を共重合成分として含むバインダーは後述するが、他の構造の高分子材料としては、例えば、ポリアミドアミンとその塩、ポリカルボン酸とその塩、高分子量不飽和酸エステル、変性ポリウレタン、変性ポリエステル、変性ポリ(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル系共重合体(特に、カルボン酸基と側鎖に重合性基を含有する(メタ)アクリル酸系共重合体が好ましい。)、ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物等が挙げられる。このような高分子材料は、顔料の表面に吸着し、再凝集を防止するように作用するため、顔料表面へのアンカー部位を有する末端変性型高分子、グラフト型高分子、ブロック型高分子が好ましく、例えば、複素環を含有するモノマーとエチレン性不飽和結合を有する重合性オリゴマーを共重合体単位として含むグラフト共重合体が挙げられる。
他の高分子材料としては、更に、ポリアミドアミン燐酸塩、高分子量不飽和ポリカルボン酸、ポリエーテルエステル、芳香族スルホン酸ホルマリン重縮合物、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリエステルアミン、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレートポリオキシエチレンモノステアレート等が挙げられる。
【0144】
これらの他の構造の高分子材料は、単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせ用いてもよい。
顔料分散物における他の高分子材料の含有量としては、顔料に対して、20質量%〜80質量%が好ましく、30質量%〜70質量%がより好ましく、40質量%〜60質量%が更に好ましい。
【0145】
<(B)一般式(1)で表される化合物を共重合成分として含むバインダー>
本発明の着色感放射線性組成物は、(B)下記一般式(1)で表される化合物を共重合成分として含むバインダー(以下、適宜「特定バインダー」と称する。)を含有する。
【0146】
【化28】

【0147】
一般式(1)中、R及びRはそれぞれ独立に、水素原子又はアルキル基を表す。
【0148】
一般式(1)におけるR及びRのアルキル基は置換基を有していてもよい。
一般式(1)におけるアルキル基としては、炭素数1〜25のアルキル基が好まく、特に制限はないが、例えば、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、t−ブチル、t−アミル、ステアリル、ラウリル、2−エチルヘキシル等の直鎖状又は分岐状のアルキル基;フェニル等のアリール基;シクロヘキシル、t−ブチルシクロヘキシル、ジシクロペンタジエニル、トリシクロデカニル、イソボルニル、アダマンチル、2−メチル−2−アダマンチル等の脂環式基;1−メトキシエチル、1−エトキシエチル等のアルコキシで置換されたアルキル基;ベンジル等のアリール基で置換されたアルキル基;等が挙げられる。これらの中でも、特に、メチル、エチル、シクロヘキシル、ベンジル等のような酸や熱で脱離しにくい1級又は2級の炭化水素基が耐熱性の点で好ましい。なお、R及びRは、同種の置換基であってもよいし、異なる置換基であってもよい。
【0149】
一般式(1)で表される化合物の例としては、ジメチル−2,2'−[オキシビス(メチレン)]ビス−2−プロペノエート、ジエチル−2,2'−[オキシビス(メチレン)]ビス−2−プロペノエート、ジ(n−プロピル)−2,2'−[オキシビス(メチレン)]ビス−2−プロペノエート、ジ(n−ブチル)−2,2'−[オキシビス(メチレン)]ビス−2−プロペノエート、ジ(t−ブチル)−2,2'−[オキシビス(メチレン)]ビス−2−プロペノエート、ジ(イソブチル)−2,2'−[オキシビス(メチレン)]ビス−2−プロペノエート、ジ(シクロヘキシル)−2,2'−[オキシビス(メチレン)]ビス−2−プロペノエート、ジ(ベンジル)−2,2'−[オキシビス(メチレン)]ビス−2−プロペノエート等が挙げられる。
これらの中でも特にジメチル−2,2’−[オキシビス(メチレン)]ビス−2−プロペノエートが好ましい。
【0150】
本発明の特定バインダーは、一般式(1)で表される化合物を重合性成分として含めばよく、さらに一般式(1)で表される化合物以外の重合性成分を含んでいてもよい。
一般式(1)で表される化合物以外の重合性成分については特に制限はないが、有機溶媒への溶解性などの扱いやすさの観点から、油溶性を付与するモノマーを重合性成分として含むことが好ましい。前記、油溶性を付与するモノマーとしては例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n−プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸t−ブチル、(メタ)アクリル酸メチル2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸ベンジル、(メタ)アクリル酸2−ヒドロキシエチル等の(メタ)アクリル酸エステル類; スチレン、ビニルトルエン、α−メチルスチレン等の芳香族ビニル化合物;N−フェニルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド等のN−置換マレイミド類;ブタジエン、イソプレン等のブタジエンまたは置換ブタジエン化合物;エチレン、プロピレン、塩化ビニル、アクリロニトリル等のエチレンまたは置換エチレン化合物;酢酸ビニル等のビニルエステル類;等が挙げられる。
これらのうちでアリール(メタ)アクリレート、又はアルキル(メタ)アクリレートを重合性成分として含むことが好ましい。
【0151】
また、アルカリ現像性の観点から、酸性基を含有するモノマーを重合性成分として含むことが好ましい。前記、酸性基を含有するモノマーとしては例えば、(メタ)アクリル酸やイタコン酸等のカルボキシル基を有するモノマー、N−ヒドロキシフェニルマレイミド等のフェノール性水酸基を有するモノマー、無水マレイン酸や無水イタコン酸等のカルボン酸無水物基を有するモノマー等が挙げられる。
これらのうちで(メタ)アクリル酸を重合性成分としてとして含むことが好ましい。
【0152】
これらの中でも、一般式(1)で表される化合物がジメチル−2,2’−[オキシビス(メチレン)]ビス−2−プロペノエートであり、ベンジル(メタ)クリレート、(メタ)クリル酸メチル、および(メタ)クリル酸を重合性成分として共重合したバインダーが好ましい。
【0153】
また、前記のように重合したバインダーに対して、ラジカル重合性二重結合を有する化合物を付加させることで、本発明の特定バインダーに感放射線性基を持たせることができるので、さらに好ましい態様である。ラジカル重合性二重結合を有する化合物を付加させる処理の方法は、ラジカル重合性二重結合を有する化合物を付加しうるモノマーの種類によって異なるが、例えば、(メタ)アクリル酸やイタコン酸等のカルボキシル基を有するモノマーを用いた場合には、グリシジル(メタ)アクリレート、3, 4−エポキシシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート、o−(またはm−、またはp−)ビニルベンジルグリシジルエーテル等のエポキシ基とラジカル重合性二重結合とを有する化合物を付加させるようにすればよく、無水マレイン酸や無水イタコン酸等のカルボン酸無水物基を有するモノマーを用いた場合には、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート等の水酸基とラジカル重合性二重結合とを有する化合物を付加させるようにすればよく、グリシジル(メタ)アクリレート、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート、o−(またはm−、またはp−)ビニルベンジルグリシジルエーテル等のエポキシ基を有するモノマーを用いた場合には、(メタ)アクリル酸等の酸基とラジカル重合性二重結合とを有する化合物を付加させるようにすればよい。
本発明の特定バインダーとしては、共重合成分として最も好ましい組み合わせは、一般式(1)で表される化合物、ベンジルメタクリレート、メタクリル酸メチル、およびメタクリル酸の共重合体におけるメタクリル酸由来の構造の一部をグリシジルメタクリレートと反応させて感放射線性を有する特定バインダーである。
【0154】
特定バインダーにおける一般式(1)で表される重合性成分の含有量は、1モル%〜20モル%が好ましく、より好ましくは5モル%〜15モル%である。この範囲とすることによって、残渣混色および拡散混色の抑制効果が高めることができる。
特定バインダーにおける油溶性付与の重合性成分は、特定バインダー中に20モル%〜80モル%含まれることが好ましく、さらに好ましくは30モル%〜70モル%であり溶剤への溶解性が特に向上する。
特定バインダーにおける酸性基を含有する重合性成分は10モル%〜50モル%含有することが好ましく、20モル%〜40モル%がより好ましい。この範囲とすることで着色感放射線性組成物のアルカリ現像性が向上し、パターン形成性が特に良好となる。
【0155】
また、特定バインダーに感放射線性基を含有させる場合には、感放射線性基を有する共重合成分の含有量は、特定バインダー中の20モル%〜30モル%が好ましく、その場合、酸性基を含有する重合性成分は5モル%〜15モル%であることが好ましい。この範囲とすることによって、着色感放射線性組成物の硬化性が高くなるので、さらに残渣混色および拡散混色の抑制効果が高めることができる。
【0156】
特定バインダーの分子量は、重量平均分子量で5000〜14000が好ましく、8000〜13000がさらに好ましく、9000〜12000が最も好ましい。この範囲とすることで、現像性と溶液の粘度安定性が良好となる。
ここで重量平均分子量は、ゲル透過クロマトグラフ(GPC)により測定し、ポリスチレン換算で算出した値である。GPCは、HLC−8020GPC(東ソー(株)製)を用い、カラムをTSKgel SuperHZM−H、TSKgel SuperHZ4000、TSKgel SuperHZ200(東ソー社製)として測定した。
特定バインダーは特開2004−300204号公報に記載の方法に従い合成することができる。
【0157】
特定バインダーは前記した顔料分散液の調製において、一部又は全部を添加してもよい。
本発明の着色感放射線性組成物に、特定バインダーは1種含めばよいが、2種以上を含んでもよい。
本発明の着色感放射線性組成物における特定バインダーの含有量は、着色感放射線性組成物の全固形分に対して、1質量%〜40質量%が好ましく、3質量%〜30質量%がより好ましい。この範囲内とすることで本発明の効果が遺憾なく発揮される。
【0158】
<(C)重合性化合物>
本発明の着色感放射線性組成物は、(C)重合性化合物を含有する。
(C)重合性化合物としては、具体的には、末端エチレン性不飽和結合を少なくとも1個、好ましくは2個以上有する化合物から選ばれる。中でも、4官能以上の多官能重合性化合物が好ましく、5官能以上がさらに好ましい。
このような化合物群は当該産業分野において広く知られているものであり、本発明においてはこれらを特に限定なく用いることができる。これらは、例えば、モノマー、プレポリマー、すなわち2量体、3量体及びオリゴマー、又はそれらの混合物並びにそれらの多量体などの化学的形態のいずれであってもよい。本発明における重合性化合物は一種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0159】
より具体的には、モノマー及びそのプレポリマーの例としては、不飽和カルボン酸(例えば、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、イソクロトン酸、マレイン酸など)やそのエステル類、アミド類、並びにこれらの多量体が挙げられ、好ましくは、不飽和カルボン酸と脂肪族多価アルコール化合物とのエステル、及び不飽和カルボン酸と脂肪族多価アミン化合物とのアミド類、並びにこれらの多量体である。また、ヒドロキシル基やアミノ基、メルカプト基等の求核性置換基を有する不飽和カルボン酸エステル或いはアミド類と、単官能若しくは多官能イソシアネート類或いはエポキシ類との付加反応物や、単官能若しくは多官能のカルボン酸との脱水縮合反応物等も好適に使用される。また、イソシアネート基やエポキシ基等の親電子性置換基を有する不飽和カルボン酸エステル或いはアミド類と、単官能若しくは多官能のアルコール類、アミン類、チオール類との付加反応物、更に、ハロゲン基やトシルオキシ基等の脱離性置換基を有する不飽和カルボン酸エステル或いはアミド類と、単官能若しくは多官能のアルコール類、アミン類、チオール類との置換反応物も好適である。また、別の例として、上記の不飽和カルボン酸の代わりに、不飽和ホスホン酸、スチレン等のビニルベンゼン誘導体、ビニルエーテル、アリルエーテル等に置き換えた化合物群を使用することも可能である。
これらの具体的な化合物としては、特開2009−288705号公報の段落番号〔0095〕〜〔0108〕に記載されている化合物を本発明においても好適に用いることができる。
【0160】
また、前記重合性化合物としては、少なくとも1個の付加重合可能なエチレン基を有する、常圧下で100℃以上の沸点を持つエチレン性不飽和基を持つ化合物も好ましい。その例としては、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、等の単官能のアクリレートやメタアクリレート;ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ヘキサンジオール(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(アクリロイルオキシプロピル)エーテル、トリ(アクリロイロキシエチル)イソシアヌレート、グリセリンやトリメチロールエタン等の多官能アルコールにエチレンオキサイドやプロピレンオキサイドを付加させた後(メタ)アクリレート化したもの、特公昭48−41708号、特公昭50−6034号、特開昭51−37193号各公報に記載されているようなウレタン(メタ)アクリレート類、特開昭48−64183号、特公昭49−43191号、特公昭52−30490号各公報に記載されているポリエステルアクリレート類、エポキシ樹脂と(メタ)アクリル酸との反応生成物であるエポキシアクリレート類等の多官能のアクリレートやメタアクリレート及びこれらの混合物を挙げることができる。
多官能カルボン酸にグリシジル(メタ)アクリレート等の環状エーテル基とエチレン性不飽和基を有する化合物を反応させ得られる多官能(メタ)アクリレートなども挙げることができる。
また、その他の好ましい重合性化合物として、特開2010-160418号公報、特開2010-129825号公報、特許4364216号明細書等に記載される、フルオレン環を有し、エチレン性不飽和基を2官能以上有する化合物、カルド樹脂も使用することが可能である。
【0161】
また、常圧下で100℃以上の沸点を有し、少なくとも1個の付加重合可能なエチレン性不飽和基を持つ化合物としては、特開2008−292970号公報の段落番号[0254]〜[0257]に記載の化合物も好適である。
【0162】
上記の他に、下記一般式(MO−1)〜(MO−5)で表される、ラジカル重合性モノマーも好適に用いることができる。なお、式中、Tがオキシアルキレン基の場合には、炭素原子側の末端がRに結合する。
【0163】
【化29】

【0164】
【化30】

【0165】
前記一般式において、nは0〜14であり、mは1〜8である。一分子内に複数存在するR、T、は、各々同一であっても、異なっていてもよい。
前記一般式(MO−1)〜(MO−5)で表される重合性化合物の各々において、複数存在するRの少なくとも1つは、−OC(=O)CH=CH、又は、−OC(=O)C(CH)=CHで表される基を表す。
前記一般式(MO−1)〜(MO−5)で表される重合性化合物の具体例としては、特開2007−269779号公報の段落番号0248〜段落番号0251に記載されている化合物を本発明においても好適に用いることができる。
【0166】
また、特開平10−62986号公報において一般式(1)及び(2)としてその具体例と共に記載の前記多官能アルコールにエチレンオキサイドやプロピレンオキサイドを付加させた後に(メタ)アクリレート化した化合物も、重合性化合物として用いることができる。
【0167】
中でも、重合性化合物としては、ジペンタエリスリトールトリアクリレート(市販品としてはKAYARAD D-330;日本化薬株式会社製)、ジペンタエリスリトールテトラアクリレート(市販品としてはKAYARAD D-320;日本化薬株式会社製)ジペンタエリスリトールペンタアクリレート(市販品としてはKAYARAD D-310;日本化薬株式会社製)、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(市販品としてはKAYARAD DPHA;日本化薬株式会社製)、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(市販品としてはA−DPH−12E;新中村化学工業(株)社製)及びこれらの(メタ)アクリロイル基がエチレングリコール、プロピレングリコール残基を介している構造が好ましい。これらのオリゴマータイプも使用できる。以下に好ましい重合性化合物の態様を示す。
【0168】
重合性化合物としては、多官能モノマーであって、カルボキシル基、スルホン酸基、リン酸基等の酸基を有していてもよい。エチレン性化合物が、上記のように混合物である場合のように未反応のカルボキシル基を有するものであれば、これをそのまま利用することができるが、必要において、上述のエチレン性化合物のヒドロキシル基に非芳香族カルボン酸無水物を反応させて酸基を導入してもよい。この場合、使用される非芳香族カルボン酸無水物の具体例としては、無水テトラヒドロフタル酸、アルキル化無水テトラヒドロフタル酸、無水ヘキサヒドロフタル酸、アルキル化無水ヘキサヒドロフタル酸、無水コハク酸、無水マレイン酸が挙げられる。
【0169】
本発明において、酸基を有するモノマーとしては、脂肪族ポリヒドロキシ化合物と不飽和カルボン酸とのエステルであり、脂肪族ポリヒドロキシ化合物の未反応のヒドロキシル基に非芳香族カルボン酸無水物を反応させて酸基を持たせた多官能モノマーが好ましく、 特に好ましくは、このエステルにおいて、脂肪族ポリヒドロキシ化合物がペンタエリスリトール及び/又はジペンタエリスリトールであるものである。市販品としては、例えば、東亞合成株式会社製の多塩基酸変性アクリルオリゴマーとして、M−510、M−520などが挙げられる。
【0170】
これらのモノマーは1種を単独で用いてもよいが、製造上、単一の化合物を用いることは難しいことから、2種以上を混合して用いてもよい。また、必要に応じてモノマーとして酸基を有しない多官能モノマーと酸基を有する多官能モノマーを併用してもよい。
酸基を有する多官能モノマーの好ましい酸価としては、0.1mgKOH/g〜40mgKOH/gであり、特に好ましくは5mgKOH/g〜30mgKOH/gである。多官能モノマーの酸価が低すぎると現像溶解特性が落ち、高すぎると製造や取扱いが困難になり光重合性能が落ち、画素の表面平滑性等の硬化性が劣るものとなる。従って、異なる酸基の多官能モノマーを2種以上併用する場合、或いは酸基を有しない多官能モノマーを併用する場合、全体の多官能モノマーとしての酸基が上記範囲に入るように調整することが好ましい。
【0171】
また、重合性モノマーとして、カプロラクトン構造を有する多官能性単量体を含有することも好ましい態様である。
カプロラクトン構造を有する多官能性単量体としては、その分子内にカプロラクトン構造を有する限り特に限定されるものではないが、例えば、トリメチロールエタン、ジトリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ジトリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、トリペンタエリスリトール、グリセリン、ジグリセロール、トリメチロールメラミン等の多価アルコールと、(メタ)アクリル酸およびε−カプロラクトンをエステル化することにより得られる、ε−カプロラクトン変性多官能(メタ)アクリレートを挙げることができる。なかでも下記一般式(Z−1)で表されるカプロラクトン構造を有する多官能性単量体が好ましい。
【0172】
【化31】

【0173】
一般式(Z−1)中、6個のRは全てが下記一般式(Z−2)で表される基であるか、または6個のRのうち1〜5個が下記一般式(Z−2)で表される基であり、残余が下記一般式(Z−3)で表される基である。
【0174】
【化32】

【0175】
一般式(Z−2)中、R1は水素原子またはメチル基を示し、mは1または2の数を示し、「*」は結合手であることを示す。
【0176】
【化33】

【0177】
一般式(Z−3)中、R1は水素原子またはメチル基を示し、「*」は結合手であることを示す。)
【0178】
このようなカプロラクトン構造を有する多官能性単量体は、例えば、日本化薬(株)からKAYARAD DPCAシリーズとして市販されており、DPCA−20(上記式(1)〜(3)においてm=1、式(2)で表される基の数=2、R1が全て水素原子である化合物)、DPCA−30(同式、m=1、式(2)で表される基の数=3、R1が全て水素原子である化合物)、DPCA−60(同式、m=1、式(2)で表される基の数=6、R1が全て水素原子である化合物)、DPCA−120(同式においてm=2、式(2)で表される基の数=6、R1が全て水素原子である化合物)等を挙げることができる。
本発明において、カプロラクトン構造を有する多官能性単量体は、単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。
【0179】
また、本発明における重合性化合物としては、下記一般式(Z−4)又は(Z−5)で表される化合物の群から選択される少なくとも1種であることも好ましい。
【0180】
【化34】

【0181】
前記一般式(Z−4)及び(Z−5)中、Eは、各々独立に、−((CH)yCHO)−、又は−((CH)yCH(CH)O)−を表し、yは、各々独立に0〜10の整数を表し、Xは、各々独立に、アクリロイル基、メタクリロイル基、水素原子、又はカルボキシル基を表す。
前記一般式(Z−4)中、アクリロイル基及びメタクリロイル基の合計は3個又は4個であり、複数存在するmは各々独立に0〜10の整数を表し、各mの合計は0〜40の整数である。但し、各mの合計が0の場合、Xのうちいずれか1つはカルボキシル基である。
前記一般式(ii)中、アクリロイル基及びメタクリロイル基の合計は5個又は6個であり、複数存在するnは各々独立に0〜10の整数を表し、各nの合計は0〜60の整数である。但し、各nの合計が0の場合、Xのうちいずれか1つはカルボキシル基である。
【0182】
前記一般式(Z−4)中、mは、0〜6の整数が好ましく、0〜4の整数がより好ましい。
また、各mの合計は、2〜40の整数が好ましく、2〜16の整数がより好ましく、4〜8の整数が特に好ましい。
前記一般式(Z−5)中、nは、0〜6の整数が好ましく、0〜4の整数がより好ましい。
また、各nの合計は、3〜60の整数が好ましく、3〜24の整数がより好ましく、6〜12の整数が特に好ましい。
また、一般式(Z−4)又は一般式(Z−5)中の−((CH)yCHO)−又は−((CH)yCH(CH)O)−は、酸素原子側の末端がXに結合する形態が好ましい。
【0183】
前記一般式(Z−4)又は一般式(Z−5)で表される化合物は1種単独で用いてもよいし、2種以上併用してもよい。特に、一般式(ii)において、6個のX全てがアクリロイル基である形態が好ましい。
【0184】
また、一般式(Z−4)又は一般式(Z−5)で表される化合物の重合性化合物中における全含有量としては、20質量%以上が好ましく、50質量%以上がより好ましい。
【0185】
前記一般式(Z−4)又は一般式(Z−5)で表される化合物は、従来公知の工程である、ペンタエリスリト−ル又はジペンタエリスリト−ルにエチレンオキシド又はプロピレンオキシドを開環付加反応により開環骨格を結合する工程と、開環骨格の末端水酸基に、例えば(メタ)アクリロイルクロライドを反応させて(メタ)アクリロイル基を導入する工程と、から合成することができる。各工程は良く知られた工程であり、当業者は容易に一般式(i)又は(ii)で表される化合物を合成することができる。
【0186】
前記一般式(Z−4)又は一般式(Z−5)で表される化合物の中でも、ペンタエリスリトール誘導体及び/又はジペンタエリスリトール誘導体がより好ましい。
具体的には、下記式(a)〜(f)で表される化合物(以下、「例示化合物(a)〜(f)」ともいう。)が挙げられ、中でも、例示化合物(a)、(b)、(e)、(f)が好ましい。
【0187】
【化35】

【0188】
【化36】

【0189】
一般式(Z−4)、(Z−5)で表される重合性化合物の市販品としては、例えばサートマー社製のエチレンオキシ鎖を4個有する4官能アクリレートであるSR−494、日本化薬株式会社製のペンチレンオキシ鎖を6個有する6官能アクリレートであるDPCA−60、イソブチレンオキシ鎖を3個有する3官能アクリレートであるTPA−330などが挙げられる。
【0190】
また、重合性化合物としては、特公昭48−41708号、特開昭51−37193号、特公平2−32293号、特公平2−16765号に記載されているようなウレタンアクリレート類や、特公昭58−49860号、特公昭56−17654号、特公昭62−39417号、特公昭62−39418号記載のエチレンオキサイド系骨格を有するウレタン化合物類も好適である。更に、重合性化合物として、特開昭63−277653号、特開昭63−260909号、特開平1−105238号に記載される、分子内にアミノ構造やスルフィド構造を有する付加重合性化合物類を用いることによって、非常に感光スピードに優れた着色感放射線性組成物を得ることができる。
重合性化合物の市販品としては、ウレタンオリゴマーUAS−10、UAB−140(山陽国策パルプ社製)、UA−7200」(新中村化学社製、DPHA−40H(日本化薬社製)、UA−306H、UA−306T、UA−306I、AH−600、T−600、AI−600(共栄社製)などが挙げられる。
【0191】
これらの重合性化合物について、その構造、単独使用か併用か、添加量等の使用方法の詳細は、着色感放射線性組成物の最終的な性能設計にあわせて任意に設定できる。例えば、感度の観点では、1分子あたりの不飽和基含量が多い構造が好ましく、多くの場合は2官能以上が好ましい。また、着色感放射線性組成物膜の強度を高める観点では、3官能以上のものがよく、更に、異なる官能基数・異なる重合性基(例えばアクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、スチレン系化合物、ビニルエーテル系化合物)のものを併用することで、感度と強度の両方を調節する方法も有効である。さらに、3官能以上のものでエチレンオキサイド鎖長の異なる重合性化合物を併用することが、着色感放射線性組成物の現像性を調節することができ、優れたパターン形成能が得られるという点で好ましい。
また、着色感放射線性組成物に含有される他の成分(例えば、光重合開始剤、被分散体、アルカリ可溶性樹脂等)との相溶性、分散性に対しても、重合性化合物の選択・使用法は重要な要因であり、例えば、低純度化合物の使用や2種以上の併用により相溶性を向上させうることがある。また、支持体などの硬質表面との密着性を向上させる観点で特定の構造を選択することもあり得る。
【0192】
本発明の着色感放射線性組成物中における重合性化合物の含有量は、着色感放射線性組成物中の全固形分に対して0.1質量%〜70質量%が好ましく、1.0質量%〜50質量%がさらに好ましく、2.0質量%〜40質量%が特に好ましい。
【0193】
<(D)光重合開始剤>
本発明の着色感放射線性組成物は、(D)光重合開始剤を含有することが好ましい。
本発明における(D)光重合開始剤(以下、単に「重合開始剤」ということがある。)としては、以下に述べる光重合開始剤として知られているものを用いることができる。
本発明における光重合開始剤としては、前記重合性化合物の重合を開始する能力を有する限り、特に制限はなく、公知の光重合開始剤の中から適宜選択することができる。例えば、紫外線領域から可視の光線に対して感光性を有するものが好ましい。また、光励起された増感剤と何らかの作用を生じ、活性ラジカルを生成する活性剤であってもよく、モノマーの種類に応じてカチオン重合を開始させるような開始剤であってもよい。
また、光重合開始剤は、約300nm〜800nm(330nm〜500nmがより好ましい。)の範囲内に少なくとも約50の分子吸光係数を有する化合物を、少なくとも1種含有していることが好ましい。
【0194】
本発明における(D)光重合開始剤としては、例えば、ハロゲン化炭化水素誘導体(例えば、トリアジン骨格を有するもの、オキサジアゾール骨格を有するもの、など)、アシルホスフィンオキサイド等のアシルホスフィン化合物、ヘキサアリールビイミダゾール、オキシム誘導体等のオキシム化合物、有機過酸化物、チオ化合物、ケトン化合物、芳香族オニウム塩、ケトオキシムエーテル、アミノアセトフェノン化合物、ヒドロキシアセトフェノンなどが挙げられる。これらの中でも、オキシム化合物が好ましい。
【0195】
前記トリアジン骨格を有するハロゲン化炭化水素化合物としては、例えば、若林ら著、Bull.Chem.Soc.Japan,42、2924(1969)記載の化合物、英国特許1388492号明細書記載の化合物、特開昭53−133428号公報記載の化合物、独国特許3337024号明細書記載の化合物、F.C.SchaeferなどによるJ.Org.Chem.;29、1527(1964)記載の化合物、特開昭62−58241号公報記載の化合物、特開平5−281728号公報記載の化合物、特開平5−34920号公報記載の化合物、米国特許第4212976号明細書に記載の化合物、などが挙げられる。
【0196】
前記米国特許第4212976号明細書に記載されている化合物としては、例えば、オキサジアゾール骨格を有する化合物(例えば、2−トリクロロメチル−5−フェニル−1,3,4−オキサジアゾール、2−トリクロロメチル−5−(4−クロロフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール、2−トリクロロメチル−5−(1−ナフチル)−1,3,4−オキサジアゾール、2−トリクロロメチル−5−(2−ナフチル)−1,3,4−オキサジアゾール、2−トリブロモメチル−5−フェニル−1,3,4−オキサジアゾール、2−トリブロモメチル−5−(2−ナフチル)−1,3,4−オキサジアゾール;2−トリクロロメチル−5−スチリル−1,3,4−オキサジアゾール、2−トリクロロメチル−5−(4−クロルスチリル)−1,3,4−オキサジアゾール、2−トリクロロメチル−5−(4−メトキシスチリル)−1,3,4−オキサジアゾール、2−トリクロロメチル−5−(1−ナフチル)−1,3,4−オキサジアゾール、2−トリクロロメチル−5−(4−n−ブトキシスチリル)−1,3,4−オキサジアゾール、2−トリプロモメチル−5−スチリル−1,3,4−オキサジアゾールなど)などが挙げられる。
【0197】
また、上記以外の重合開始剤として、アクリジン誘導体(例えば、9−フェニルアクリジン、1,7−ビス(9,9’−アクリジニル)ヘプタンなど)、N−フェニルグリシンなど、ポリハロゲン化合物(例えば、四臭化炭素、フェニルトリブロモメチルスルホン、フェニルトリクロロメチルケトンなど)、クマリン類(例えば、3−(2−ベンゾフラノイル)−7−ジエチルアミノクマリン、3−(2−ベンゾフロイル)−7−(1−ピロリジニル)クマリン、3−ベンゾイル−7−ジエチルアミノクマリン、3−(2−メトキシベンゾイル)−7−ジエチルアミノクマリン、3−(4−ジメチルアミノベンゾイル)−7−ジエチルアミノクマリン、3,3’−カルボニルビス(5,7−ジ−n−プロポキシクマリン)、3,3’−カルボニルビス(7−ジエチルアミノクマリン)、3−ベンゾイル−7−メトキシクマリン、3−(2−フロイル)−7−ジエチルアミノクマリン、3−(4−ジエチルアミノシンナモイル)−7−ジエチルアミノクマリン、7−メトキシ−3−(3−ピリジルカルボニル)クマリン、3−ベンゾイル−5,7−ジプロポキシクマリン、7−ベンゾトリアゾール−2−イルクマリン、また、特開平5−19475号公報、特開平7−271028号公報、特開2002−363206号公報、特開2002−363207号公報、特開2002−363208号公報、特開2002−363209号公報などに記載のクマリン化合物など)、アシルホスフィンオキサイド類(例えば、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルホスフィンオキサイド、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチル−ペンチルフェニルホスフィンオキサイド、LucirinTPOなど)、メタロセン類(例えば、ビス(η5−2,4−シクロペンタジエン−1−イル)−ビス(2,6−ジフロロ−3−(1H−ピロール−1−イル)−フェニル)チタニウム、η5−シクロペンタジエニル−η6−クメニル−アイアン(1+)−ヘキサフロロホスフェート(1−)など)、特開昭53−133428号公報、特公昭57−1819号公報、同57−6096号公報、及び米国特許第3615455号明細書に記載された化合物などが挙げられる。
【0198】
前記ケトン化合物としては、例えば、ベンゾフェノン、2−メチルベンゾフェノン、3−メチルベンゾフェノン、4−メチルベンゾフェノン、4−メトキシベンゾフェノン、2−クロロベンゾフェノン、4−クロロベンゾフェノン、4−ブロモベンゾフェノン、2−カルボキシベンゾフェノン、2−エトキシカルボニルベンゾフェノン、ベンゾフェノンテトラカルボン酸又はそのテトラメチルエステル、4,4’−ビス(ジアルキルアミノ)ベンゾフェノン類(例えば、4,4’−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4’−ビスジシクロヘキシルアミノ)ベンゾフェノン、4,4’−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4’−ビス(ジヒドロキシエチルアミノ)ベンゾフェノン、4−メトキシ−4’−ジメチルアミノベンゾフェノン、4,4’−ジメトキシベンゾフェノン、4−ジメチルアミノベンゾフェノン、4−ジメチルアミノアセトフェノン、ベンジル、アントラキノン、2−t−ブチルアントラキノン、2−メチルアントラキノン、フェナントラキノン、キサントン、チオキサントン、2−クロル−チオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、フルオレノン、2−ベンジル−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−1−ブタノン、2−メチル−1−〔4−(メチルチオ)フェニル〕−2−モルホリノ−1−プロパノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−〔4−(1−メチルビニル)フェニル〕プロパノールオリゴマー、ベンゾイン、ベンゾインエーテル類(例えば、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインプロピルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインフェニルエーテル、ベンジルジメチルケタール)、アクリドン、クロロアクリドン、N−メチルアクリドン、N−ブチルアクリドン、N−ブチル−クロロアクリドンなどが挙げられる。
【0199】
重合開始剤としては、ヒドロキシアセトフェノン化合物、アミノアセトフェノン化合物、及び、アシルホスフィン化合物も好適に用いることができる。より具体的には、例えば、特開平10−291969号公報に記載のアミノアセトフェノン系開始剤、特許第4225898号公報に記載のアシルホスフィンオキシド系開始剤も用いることができる。
ヒドロキシアセトフェノン系開始剤としては、IRGACURE−184、DAROCUR−1173、IRGACURE−500、IRGACURE−2959,IRGACURE−127(商品名:いずれもBASF社製)を用いることができる。アミノアセトフェノン系開始剤としては、市販品であるIRGACURE−907、IRGACURE−369、及び、IRGACURE−379(商品名:いずれもBASF社製)を用いることができる。アミノアセトフェノン系開始剤として、365nmまたは405nm等の長波光源に吸収波長がマッチングされた特開2009−191179公報に記載の化合物も用いることができる。また、アシルホスフィン系開始剤としては市販品であるIRGACURE−819やDAROCUR−TPO(商品名:いずれもBASF社製)を用いることができる。
【0200】
重合開始剤として、より好ましくはオキシム化合物が挙げられる。オキシム化合物の具体例としては、特開2001−233842号記載の化合物、特開2000−80068号記載の化合物、特開2006−342166号記載の化合物を用いることができる。
【0201】
本発明で重合開始剤として好適に用いられるオキシム誘導体等のオキシム化合物としては、例えば、3−ベンゾイロキシイミノブタン−2−オン、3−アセトキシイミノブタン−2−オン、3−プロピオニルオキシイミノブタン−2−オン、2−アセトキシイミノペンタン−3−オン、2−アセトキシイミノ−1−フェニルプロパン−1−オン、2−ベンゾイロキシイミノ−1−フェニルプロパン−1−オン、3−(4−トルエンスルホニルオキシ)イミノブタン−2−オン、及び2−エトキシカルボニルオキシイミノ−1−フェニルプロパン−1−オンなどが挙げられる。
【0202】
オキシム化合物としては、J.C.S.Perkin II(1979年)pp.1653−1660)、J.C.S.Perkin II(1979年)pp.15
6−162、Journal of Photopolymer Science and Technology(1995年)pp.202−232、特開2000−66385号公報記載の化合物、特開2000−80068号公報、特表2004−534797号公報、特開2006−342166号公報の各公報に記載の化合物等が挙げられる。
市販品ではIRGACURE OXE−01(BASF社製)、IRGACURE OXE−02(BASF社製)も好適に用いられる。
【0203】
また上記以外のオキシム化合物として、カルバゾールのN位にオキシムが連結した特表2009−519904号公報に記載の化合物、ベンゾフェノン部位にヘテロ置換基が導入された米国特許7626957号公報に記載の化合物、色素部位にニトロ基が導入された特開2010−15025号公報および米国特許公開2009−292039号記載の化合物、国際公開特許2009−131189号公報に記載のケトオキシム系化合物、トリアジン骨格とオキシム骨格を同一分子内に含有する米国特許7556910号公報に記載の化合物、405nmに吸収極大を有しg線光源に対して良好な感度を有する特開2009−221114号公報記載の化合物などを用いてもよい。
【0204】
好ましくはさらに、特開2007−231000号公報、及び、特開2007−322744号公報に記載される環状オキシム化合物に対しても好適に用いることができる。環状オキシム化合物の中でも、特に特開2010−32985号公報、特開2010−185072号公報に記載されるカルバゾール色素に縮環した環状オキシム化合物は、高い光吸収性を有し高感度化の観点から好ましい。
また、オキシム化合物の特定部位に不飽和結合を有する特開2009−242469号公報に記載の化合物も、重合不活性ラジカルから活性ラジカルを再生することで高感度化を達成でき好適に使用することができる。
【0205】
最も好ましくは、特開2007−269779号公報に示される特定置換基を有するオキシム化合物や、特開2009−191061号公報に示されるチオアリール基を有するオキシム化合物が挙げられる。
具体的には、オキシム化合物としては、下記式(OX−1)で表される化合物が好ましい。なお、オキシムのN−O結合が(E)体のオキシム化合物であっても、(Z)体のオキシム化合物であっても、(E)体と(Z)体との混合物であってもよい。
【0206】
【化37】

【0207】
(式(OX−1)中、R及びBは各々独立に一価の置換基を表し、Aは二価の有機基を表し、Arはアリール基を表す。)
前記式(OX−1)中、Rで表される一価の置換基としては、一価の非金属原子団であることが好ましい。
前記一価の非金属原子団としては、アルキル基、アリール基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、複素環基、アルキルチオカルボニル基、アリールチオカルボニル基等が挙げられる。また、これらの基は、1以上の置換基を有していてもよい。また、前述した置換基は、さらに他の置換基で置換されていてもよい。
置換基としてはハロゲン原子、アリールオキシ基、アルコキシカルボニル基又はアリールオキシカルボニル基、アシルオキシ基、アシル基、アルキル基、アリール基等が挙げられる。
【0208】
置換基を有していてもよいアルキル基としては、炭素数1〜30のアルキル基が好ましく、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ヘキシル基、オクチル基、デシル基、ドデシル基、オクタデシル基、イソプロピル基、イソブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、1−エチルペンチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、トリフルオロメチル基、2−エチルヘキシル基、フェナシル基、1−ナフトイルメチル基、2−ナフトイルメチル基、4−メチルスルファニルフェナシル基、4−フェニルスルファニルフェナシル基、4−ジメチルアミノフェナシル基、4−シアノフェナシル基、4−メチルフェナシル基、2−メチルフェナシル基、3−フルオロフェナシル基、3−トリフルオロメチルフェナシル基、及び、3−ニトロフェナシル基が例示できる。
【0209】
置換基を有していてもよいアリール基としては、炭素数6〜30のアリール基が好ましく、具体的には、フェニル基、ビフェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基、9−アンスリル基、9−フェナントリル基、1−ピレニル基、5−ナフタセニル基、1−インデニル基、2−アズレニル基、9−フルオレニル基、ターフェニル基、クオーターフェニル基、o−トリル基、m−トリル基、p−トリル基、キシリル基、o−クメニル基、m−クメニル基及びp−クメニル基、メシチル基、ペンタレニル基、ビナフタレニル基、ターナフタレニル基、クオーターナフタレニル基、ヘプタレニル基、ビフェニレニル基、インダセニル基、フルオランテニル基、アセナフチレニル基、アセアントリレニル基、フェナレニル基、フルオレニル基、アントリル基、ビアントラセニル基、ターアントラセニル基、クオーターアントラセニル基、アントラキノリル基、フェナントリル基、トリフェニレニル基、ピレニル基、クリセニル基、ナフタセニル基、プレイアデニル基、ピセニル基、ペリレニル基、ペンタフェニル基、ペンタセニル基、テトラフェニレニル基、ヘキサフェニル基、ヘキサセニル基、ルビセニル基、コロネニル基、トリナフチレニル基、ヘプタフェニル基、ヘプタセニル基、ピラントレニル基、並びに、オバレニル基が例示できる。
【0210】
置換基を有していてもよいアシル基としては、炭素数2〜20のアシル基が好ましく、具体的には、アセチル基、プロパノイル基、ブタノイル基、トリフルオロアセチル基、ペンタノイル基、ベンゾイル基、1−ナフトイル基、2−ナフトイル基、4−メチルスルファニルベンゾイル基、4−フェニルスルファニルベンゾイル基、4−ジメチルアミノベンゾイル基、4−ジエチルアミノベンゾイル基、2−クロロベンゾイル基、2−メチルベンゾイル基、2−メトキシベンゾイル基、2−ブトキシベンゾイル基、3−クロロベンゾイル基、3−トリフルオロメチルベンゾイル基、3−シアノベンゾイル基、3−ニトロベンゾイル基、4−フルオロベンゾイル基、4−シアノベンゾイル基、及び、4−メトキシベンゾイル基が例示できる。
【0211】
置換基を有していてもよいアルコキシカルボニル基としては、炭素数2〜20のアルコキシカルボニル基が好ましく、具体的には、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、プロポキシカルボニル基、ブトキシカルボニル基、ヘキシルオキシカルボニル基、オクチルオキシカルボニル基、デシルオキシカルボニル基、オクタデシルオキシカルボニル基、及び、トリフルオロメチルオキシカルボニル基が例示できる。
【0212】
置換基を有していてもよいアリールオキシカルボニル基として具体的には、フェノキシカルボニル基、1−ナフチルオキシカルボニル基、2−ナフチルオキシカルボニル基、4−メチルスルファニルフェニルオキシカルボニル基、4−フェニルスルファニルフェニルオキシカルボニル基、4−ジメチルアミノフェニルオキシカルボニル基、4−ジエチルアミノフェニルオキシカルボニル基、2−クロロフェニルオキシカルボニル基、2−メチルフェニルオキシカルボニル基、2−メトキシフェニルオキシカルボニル基、2−ブトキシフェニルオキシカルボニル基、3−クロロフェニルオキシカルボニル基、3−トリフルオロメチルフェニルオキシカルボニル基、3−シアノフェニルオキシカルボニル基、3−ニトロフェニルオキシカルボニル基、4−フルオロフェニルオキシカルボニル基、4−シアノフェニルオキシカルボニル基、及び、4−メトキシフェニルオキシカルボニル基が例示できる。
【0213】
置換基を有していてもよい複素環基としては、窒素原子、酸素原子、硫黄原子若しくはリン原子を含む、芳香族又は脂肪族の複素環が好ましい。
具体的には、チエニル基、ベンゾ[b]チエニル基、ナフト[2,3−b]チエニル基、チアントレニル基、フリル基、ピラニル基、イソベンゾフラニル基、クロメニル基、キサンテニル基、フェノキサチイニル基、2H−ピロリル基、ピロリル基、イミダゾリル基、ピラゾリル基、ピリジル基、ピラジニル基、ピリミジニル基、ピリダジニル基、インドリジニル基、イソインドリル基、3H−インドリル基、インドリル基、1H−インダゾリル基、プリニル基、4H−キノリジニル基、イソキノリル基、キノリル基、フタラジニル基、ナフチリジニル基、キノキサリニル基、キナゾリニル基、シンノリニル基、プテリジニル基、4aH−カルバゾリル基、カルバゾリル基、β−カルボリニル基、フェナントリジニル基、アクリジニル基、ペリミジニル基、フェナントロリニル基、フェナジニル基、フェナルサジニル基、イソチアゾリル基、フェノチアジニル基、イソキサゾリル基、フラザニル基、フェノキサジニル基、イソクロマニル基、クロマニル基、ピロリジニル基、ピロリニル基、イミダゾリジニル基、イミダゾリニル基、ピラゾリジニル基、ピラゾリニル基、ピペリジル基、ピペラジニル基、インドリニル基、イソインドリニル基、キヌクリジニル基、モルホリニル基、及び、チオキサントリル基が例示できる。
【0214】
置換基を有していてもよいアルキルチオカルボニル基として具体的には、メチルチオカルボニル基、プロピルチオカルボニル基、ブチルチオカルボニル基、ヘキシルチオカルボニル基、オクチルチオカルボニル基、デシルチオカルボニル基、オクタデシルチオカルボニル基、及び、トリフルオロメチルチオカルボニル基が例示できる。
【0215】
置換基を有していてもよいアリールチオカルボニル基として具体的には、1−ナフチルチオカルボニル基、2−ナフチルチオカルボニル基、4−メチルスルファニルフェニルチオカルボニル基、4−フェニルスルファニルフェニルチオカルボニル基、4−ジメチルアミノフェニルチオカルボニル基、4−ジエチルアミノフェニルチオカルボニル基、2−クロロフェニルチオカルボニル基、2−メチルフェニルチオカルボニル基、2−メトキシフェニルチオカルボニル基、2−ブトキシフェニルチオカルボニル基、3−クロロフェニルチオカルボニル基、3−トリフルオロメチルフェニルチオカルボニル基、3−シアノフェニルチオカルボニル基、3−ニトロフェニルチオカルボニル基、4−フルオロフェニルチオカルボニル基、4−シアノフェニルチオカルボニル基、及び、4−メトキシフェニルチオカルボニル基が挙げられる。
【0216】
前記式(OX−1)中、Bで表される一価の置換基としては、アリール基、複素環基、アリールカルボニル基、又は、複素環カルボニル基を表す。また、これらの基は1以上の置換基を有していてもよい。置換基としては、前述した置換基が例示できる。また、前述した置換基は、さらに他の置換基で置換されていてもよい。
【0217】
なかでも、特に好ましくは以下に示す構造である。
下記の構造中、Y、X、及びnは、後述する式(OX−2)におけるY、X、及びnとそれぞれ同義であり、好ましい例も同様である。
【0218】
【化38】

【0219】
前記式(OX−1)中、Aで表される二価の有機基としては、炭素数1〜12のアルキレン基、シクロアルキレン基、アルキニレン基が挙げられる。また、これらの基は1以上の置換基を有していてもよい。置換基としては、前述した置換基が例示できる。また、前述した置換基は、さらに他の置換基で置換されていてもよい。
中でも、式(OX−1)におけるAとしては、感度を高め、加熱経時による着色を抑制する点から、無置換のアルキレン基、アルキル基(例えば、メチル基、エチル基、tert−ブチル基、ドデシル基)で置換されたアルキレン基、アルケニル基(例えば、ビニル基、アリル基)で置換されたアルキレン基、アリール基(例えば、フェニル基、p−トリル基、キシリル基、クメニル基、ナフチル基、アンスリル基、フェナントリル基、スチリル基)で置換されたアルキレン基が好ましい。
【0220】
前記式(OX−1)中、Arで表されるアリール基としては、炭素数6〜30のアリール基が好ましく、また、置換基を有していてもよい。置換基としては、先に置換基を有していてもよいアリール基の具体例として挙げた置換アリール基に導入された置換基と同様のものが例示できる。
なかでも、感度を高め、加熱経時による着色を抑制する点から、置換又は無置換のフェニル基が好ましい。
【0221】
式(OX−1)においては、前記式(OX−1)中のArとそれに隣接するSとで形成される「SAr」の構造が、以下に示す構造であることが感度の点で好ましい。なお、Meはメチル基を表し、Etはエチル基を表す。
【0222】
【化39】

【0223】
オキシム化合物は、下記式(OX−2)で表される化合物であることが好ましい。
【0224】
【化40】

【0225】
(式(OX−2)中、R及びXは各々独立に一価の置換基を表し、A及びYは各々独立に二価の有機基を表し、Arはアリール基を表し、nは0〜5の整数である。)
式(OX−2)におけるR、A、及びArは、前記式(OX−1)におけるR、A、及びArと同義であり、好ましい例も同様である。
【0226】
前記式(OX−2)中、Xで表される一価の置換基としては、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アシルオキシ基、アシル基、アルコキシカルボニル基、アミノ基、複素環基、ハロゲン原子が挙げられる。また、これらの基は1以上の置換基を有していてもよい。置換基としては、前述した置換基が例示できる。また、前述した置換基は、さらに他の置換基で置換されていてもよい。
【0227】
これらの中でも、式(OX−2)におけるXとしては、溶剤溶解性と長波長領域の吸収効率向上の点から、アルキル基が好ましい。
また、式(2)におけるnは、0〜5の整数を表し、0〜2の整数が好ましい。
【0228】
前記式(OX−2)中、Yで表される二価の有機基としては、以下に示す構造が挙げられる。なお、以下に示される基において、「*」は、前記式(OX−2)において、Yと隣接する炭素原子との結合位置を示す。
【0229】
【化41】

【0230】
中でも、高感度化の観点から、下記に示す構造が好ましい。
【0231】
【化42】

【0232】
さらにオキシム化合物は、下記式(OX−3)で表される化合物であることが好ましい。
【0233】
【化43】

【0234】
(式(OX−3)中、R及びXは各々独立に一価の置換基を表し、Aは二価の有機基を表し、Arはアリール基を表し、nは0〜5の整数である。)
式(OX−3)におけるR、X、A、Ar、及び、nは、前記式(OX−2)におけるR、X、A、Ar、及び、nとそれぞれ同義であり、好ましい例も同様である。
【0235】
以下、好適に用いられるオキシム化合物の具体例を以下に示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0236】
【化44】

【0237】
【化45】

【0238】
オキシム化合物は、350nm〜500nmの波長領域に極大吸収波長を有するものであり、360nm〜480nmの波長領域に吸収波長を有するものであることが好ましく、365nm及び455nmの吸光度が高いものが特に好ましい。
【0239】
オキシム化合物は、365nm又は405nmにおけるモル吸光係数は、感度の観点から、1,000〜300,000であることが好ましく、2,000〜300,000であることがより好ましく、5,000〜200,000であることが特に好ましい。
化合物のモル吸光係数は、公知の方法を用いることができるが、具体的には、例えば、紫外可視分光光度計(Varian社製Carry−5 spctrophotometer)にて、酢酸エチル溶媒を用い、0.01g/Lの濃度で測定することが好ましい。
【0240】
本発明に用いられる重合開始剤は、必要に応じて2種以上を組み合わせて使用してもよい。
【0241】
本発明の着色感放射線性組成物に用いられる(D)重合開始剤としては、露光感度の観点から、トリハロメチルトリアジン化合物、ベンジルジメチルケタール化合物、α−ヒドロキシケトン化合物、α−アミノケトン化合物、アシルホスフィン化合物、フォスフィンオキサイド化合物、メタロセン化合物、オキシム化合物、トリアリルイミダゾールダイマー、オニウム化合物、ベンゾチアゾール化合物、ベンゾフェノン化合物、アセトフェノン化合物及びその誘導体、シクロペンタジエン−ベンゼン−鉄錯体及びその塩、ハロメチルオキサジアゾール化合物、3−アリール置換クマリン化合物からなる群より選択される化合物が好ましい。
【0242】
さらに好ましくは、トリハロメチルトリアジン化合物、α−アミノケトン化合物、アシルホスフィン化合物、フォスフィンオキサイド化合物、オキシム化合物、トリアリルイミダゾールダイマー、オニウム化合物、ベンゾフェノン化合物、アセトフェノン化合物であり、トリハロメチルトリアジン化合物、α−アミノケトン化合物、オキシム化合物、トリアリルイミダゾールダイマー、ベンゾフェノン化合物からなる群より選ばれる少なくとも一種の化合物が最も好ましい。
【0243】
特に、本発明の着色感放射線性組成物を固体撮像素子のカラーフィルタの作製に使用する場合には、微細なパターンをシャープな形状で形成する必要があるために、硬化性とともに未露光部に残渣がなく現像されることが重要である。このような観点からは、重合開始剤としてはオキシム化合物を使用することが特に好ましい。特に、固体撮像素子において微細なパターンを形成する場合、硬化用露光にステッパー露光を用いるが、この露光機はハロゲンにより損傷される場合があり、重合開始剤の添加量も低く抑える必要があるため、これらの点を考慮すれば、固体撮像素子の如き微細パターンを形成するには(D)重合開始剤としては、オキシム化合物を用いるのが最も好ましい。
【0244】
本発明の着色感放射線性組成物に含有される(D)重合開始剤の含有量は、着色感放射線性組成物の全固形分に対し0.1質量%以上50質量%以下であることが好ましく、より好ましくは0.5質量%以上20質量%以下、更に好ましくは1質量%以上15質量%以下である。この範囲で、良好な感度とパターン形成性が得られる。
【0245】
<増感剤>
本発明の着色感放射線性組成物は、開始剤の発生効率の向上や感光波長の長波長化の目的で、増感剤を含有してもよい。増感剤としては、300nm〜450nmの波長領域に吸収波長を有する増感剤が挙げられる。
【0246】
増感剤としては、例えば、フェナントレン、アントラセン、ピレン、ペリレン、トリフェニレン、9,10−ジアルコキシアントラセンのような多核芳香族類、フルオレッセイン、エオシン、エリスロシン、ローダミンB、ローズベンガルのようなキサンテン類、チオキサントン類、シアニン類、メロシアニン類、フタロシアニン類、チオニン、メチレンブルー、トルイジンブルーのようなチアジン類、アクリジン類、アントラキノン類、スクアリウム類、クマリン類、フェノチアジン類、フェナジン類、スチリルベンゼン類、アゾ化合物、ジフェニルメタン、トリフェニルメタン、ジスチリルベンゼン類、カルバゾール類、ポルフィリン、スピロ化合物、キナクリドン、インジゴ、スチリル、ピリリウム化合物、ピロメテン化合物、ピラゾロトリアゾール化合物、ベンゾチアゾール化合物、バルビツール酸誘導体、チオバルビツール酸誘導体、アセトフェノン、ベンゾフェノン、ミヒラーズケトンなどの芳香族ケトン化合物、N−アリールオキサゾリジノンなどのヘテロ環化合物などが挙げられる。
【0247】
<連鎖移動剤>
本発明の着色感放射線性組成物には、用いる光重合開始剤によっては、連鎖移動剤を加えると好ましい。連鎖移動剤としては、N,N-ジアルキルアミノ安息香酸アルキルエステルやチオール系化合物があげられ、チオール系化合物としては、2-メルカプトベンゾチアゾール、2-メルカプト-1-フェニルベンズイミダゾール、3-メルカプトプロピオン酸、などを単独又は2種以上混合して使用することができる。
【0248】
<アルカリ可溶性樹脂>
本発明の着色感放射線性組成物は、さらにアルカリ可溶性樹脂を含有することも好ましい。アルカリ可溶性樹脂を含有することにより、現像性・パターン形成性が向上する。
【0249】
アルカリ可溶性樹脂としては、特定バインダーとは構造が異なる線状有機高分子重合体であって、分子(好ましくは、アクリル系共重合体、スチレン系共重合体を主鎖とする分子)中に少なくとも1つのアルカリ可溶性を促進する基を有するアルカリ可溶性樹脂の中から適宜選択することができる。耐熱性の観点からは、ポリヒドロキシスチレン系樹脂、ポリシロキサン系樹脂、アクリル系樹脂、アクリルアミド系樹脂、アクリル/アクリルアミド共重合体樹脂が好ましく、現像性制御の観点からは、アクリル系樹脂、アクリルアミド系樹脂、アクリル/アクリルアミド共重合体樹脂が好ましい。
アルカリ可溶性を促進する基(以下、酸基ともいう)としては、例えば、カルボキシル基、リン酸基、スルホン酸基、フェノール性水酸基などが挙げられるが、有機溶剤に可溶で弱アルカリ水溶液により現像可能なものが好ましく、(メタ)アクリル酸が特に好ましいものとして挙げられる。これら酸基は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。
前記重合後に酸基を付与しうるモノマーとしては、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート等の水酸基を有するモノマー、グリシジル(メタ)アクリレート等のエポキシ基を有するモノマー、2−イソシアナートエチル(メタ)アクリレート等のイソシアネート基を有するモノマー等が挙げられる。これら酸基を導入するための単量体は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。アルカリ可溶性バインダーに酸基を導入するには、例えば、酸基を有するモノマーおよび/または重合後に酸基を付与しうるモノマー(以下「酸基を導入するための単量体」と称することもある。)を、単量体成分として重合するようにすればよい。なお、重合後に酸基を付与しうるモノマーを単量体成分として酸基を導入する場合には、重合後に例えば後述するような酸基を付与するための処理が必要となる。
【0250】
アルカリ可溶性樹脂の製造には、例えば、公知のラジカル重合法による方法を適用することができる。ラジカル重合法でアルカリ可溶性樹脂を製造する際の温度、圧力、ラジカル開始剤の種類及びその量、溶媒の種類等々の重合条件は、当業者において容易に設定可能であり、実験的に条件を定めるようにすることもできる。
【0251】
アルカリ可溶性樹脂として用いられる線状有機高分子重合体としては、側鎖にカルボン酸を有するポリマーが好ましく、メタクリル酸共重合体、アクリル酸共重合体、イタコン酸共重合体、クロトン酸共重合体、マレイン酸共重合体、部分エステル化マレイン酸共重合体、ノボラック型樹脂などのアルカリ可溶性フェノール樹脂等、並びに側鎖にカルボン酸を有する酸性セルロース誘導体、水酸基を有するポリマーに酸無水物を付加させたもの挙げられる。特に、(メタ)アクリル酸と、これと共重合可能な他の単量体との共重合体が、アルカリ可溶性樹脂として好適である。(メタ)アクリル酸と共重合可能な他の単量体としては、アルキル(メタ)アクリレート、アリール(メタ)アクリレート、ビニル化合物などが挙げられる。アルキル(メタ)アクリレート及びアリール(メタ)アクリレートとしては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、ペンチル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、トリル(メタ)アクリレート、ナフチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート等、ビニル化合物としては、スチレン、α-メチルスチレン、ビニルトルエン、グリシジルメタクリレート、アクリロニトリル、ビニルアセテート、N-ビニルピロリドン、テトラヒドロフルフリルメタクリレート、ポリスチレンマクロモノマー、ポリメチルメタクリレートマクロモノマー等、特開平10−300922号公報に記載のN位置換マレイミドモノマーとして、N―フェニルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド等を挙げることができる。なお、これらの(メタ)アクリル酸と共重合可能な他の単量体は1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。
【0252】
また、本発明における着色感放射線性組成物の架橋効率を向上させるために、重合性基を有したアルカリ可溶性樹脂を使用してもよい。重合性基を有したアルカリ可溶性樹脂としては、アリル基、(メタ)アクリル基、アリルオキシアルキル基等を側鎖に含有したアルカリ可溶性樹脂等が有用である。上述の重合性基を含有するポリマーの例としては、ダイヤナ-ルNRシリーズ(三菱レイヨン株式会社製)、Photomer6173(COOH含有 polyurethane acrylic oligomer.Diamond Shamrock Co.Ltd.,製)、ビスコートR−264、KSレジスト106(いずれも大阪有機化学工業株式会社製)、サイクロマーPシリーズ、プラクセル CF200シリーズ(いずれもダイセル化学工業株式会社製)、Ebecryl3800(ダイセルユーシービー株式会社製)などが挙げられる。
これら重合性基を含有するアルカリ可溶性樹脂としては、予めイソシアネート基とOH基を反応させ、未反応のイソシアネート基を1つ残し、かつ(メタ)アクリロイル基を含む化合物とカルボキシル基を含むアクリル樹脂との反応によって得られるウレタン変性した重合性二重結合含有アクリル樹脂、カルボキシル基を含むアクリル樹脂と分子内にエポキシ基及び重合性二重結合を共に有する化合物との反応によって得られる不飽和基含有アクリル樹脂、酸ペンダント型エポキシアクリレート樹脂、OH基を含むアクリル樹脂と重合性二重結合を有する2塩基酸無水物を反応させた重合性二重結合含有アクリル樹脂、OH基を含むアクリル樹脂とイソシアネートと重合性基を有する化合物を反応させた樹脂、特開2002-229207号公報及び特開2003-335814号公報に記載されるα位又はβ位にハロゲン原子或いはスルホネート基などの脱離基を有するエステル基を側鎖に有する樹脂を塩基性処理を行うことで得られる樹脂などが好ましい。
【0253】
アルカリ可溶性樹脂としては、特に、ベンジル(メタ)アクリレート/(メタ)アクリル酸共重合体やベンジル(メタ)アクリレート/(メタ)アクリル酸/他のモノマーからなる多元共重合体が好適である。この他、2−ヒドロキシエチルメタクリレートを共重合したもの、特開平7−140654号公報に記載の、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート/ポリスチレンマクロモノマー/ベンジルメタクリレート/メタクリル酸共重合体、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピルアクリレート/ポリメチルメタクリレートマクロモノマー/ベンジルメタクリレート/メタクリル酸共重合体、2−ヒドロキシエチルメタクリレート/ポリスチレンマクロモノマー/メチルメタクリレート/メタクリル酸共重合体、2−ヒドロキシエチルメタクリレート/ポリスチレンマクロモノマー/ベンジルメタクレート/メタクリル酸共重合体などが挙げられる。
【0254】
アルカリ可溶性樹脂の酸価としては好ましくは30mgKOH/g〜200mgKOH/g、より好ましくは50mgKOH/g〜150mgKOH/gであることが好ましく、70〜120mgKOH/gであることが最も好ましい。
また、アルカリ可溶性樹脂の重量平均分子量(Mw)としては、2,000〜50,000が好ましく、5,000〜30,000がさらに好ましく、7,000〜20,000が最も好ましい。
【0255】
アルカリ可溶性樹脂の着色感放射線性組成物中における含有量としては、該組成物の全固形分に対して、1質量%〜15質量%が好ましく、より好ましくは、2質量%〜12質量%であり、特に好ましくは、3質量%〜10質量%である。ただし、本発明の特定バインダーの含有量に対し、50質量%以下であることが好ましい。
【0256】
<重合禁止剤>
本発明の着色感放射線性組成物においては、該着色感放射線性組成物の製造中又は保存中において、重合性化合物の不要な熱重合を阻止するために、少量の重合禁止剤を添加することが望ましい。
本発明に用いうる重合禁止剤としては、ハイドロキノン、p−メトキシフェノール、ジ−t−ブチル−p−クレゾール、ピロガロール、t−ブチルカテコール、ベンゾキノン、4,4’−チオビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、N−ニトロソフェニルヒドロキシアミン第一セリウム塩等が挙げられる。
重合禁止剤の添加量は、着色感放射線性組成物の質量に対して、約0.01質量%〜約5質量%が好ましい。
【0257】
<基板密着剤>
さらに、本発明においては、基板密着性を向上させうる基板密着剤を、着色感放射線性組成物に加えてもよい。
基板密着剤としては、シラン系カップリング剤、チタネート系カップリング剤、アルミニウム系カップリング剤を用いることが好ましい。シラン系カップリング剤としては、例えば、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、γ−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−アクリロキシプロピルトリエトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、等が挙げられる。中でも、基板密着剤としては、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシランが好ましい。
【0258】
基板密着剤の含有量は、着色感放射線性組成物を露光、現像した際に、未露光部に残渣が残らないようにする観点から、本発明の着色感放射線性組成物の全固形分に対して、0.1質量%以上30質量%以下であることが好ましく、0.5質量%以上20質量%以下であることがより好ましく、1質量%以上10質量%以下であることが特に好ましい。
【0259】
<界面活性剤>
本発明の着色感放射線性組成物には、塗布性をより向上させる観点から、各種の界面活性剤を添加してもよい。界面活性剤としては、フッ素系界面活性剤、ノニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤、アニオン系界面活性剤、シリコーン系界面活性剤などの各種界面活性剤を使用できる。
【0260】
特に、本発明の着色感放射線性組成物は、フッ素系界面活性剤を含有することで、塗布液として調製したときの液特性(特に、流動性)がより向上することから、塗布厚の均一性や省液性をより改善することができる。
即ち、フッ素系界面活性剤を含有する着色感放射線性組成物を適用した塗布液を用いて膜形成する場合においては、被塗布面と塗布液との界面張力を低下させることにより、被塗布面への濡れ性が改善され、被塗布面への塗布性が向上する。このため、少量の液量で数μm程度の薄膜を形成した場合であっても、厚みムラの小さい均一厚の膜形成をより好適に行える点で有効である。
【0261】
フッ素系界面活性剤中のフッ素含有率は、3質量%〜40質量%が好適であり、より好ましくは5質量%〜30質量%であり、特に好ましくは7質量%〜25質量%である。フッ素含有率がこの範囲内であるフッ素系界面活性剤は、塗布膜の厚さの均一性や省液性の点で効果的であり、着色感放射線性組成物中における溶解性も良好である。
【0262】
フッ素系界面活性剤としては、例えば、メガファックF171、同F172、同F173、同F176、同F177、同F141、同F142、同F143、同F144、同R30、同F437、同F475、同F479、同F482、同F554、同F780、同F781(以上、DIC(株)製)、フロラードFC430、同FC431、同FC171(以上、住友スリーエム(株)製)、サーフロンS−382、同SC−101、同SC−103、同SC−104、同SC−105、同SC1068、同SC−381、同SC−383、同S393、同KH−40(以上、旭硝子(株)製)等が挙げられる。
【0263】
ノニオン系界面活性剤として具体的には、グリセロール、トリメチロールプロパン、トリメチロールエタン並びにそれらのエトキシレート及びプロポキシレート(例えば、グリセロールプロポキシレート、グリセリンエトキシレート等)、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリエチレングリコールジラウレート、ポリエチレングリコールジステアレート、ソルビタン脂肪酸エステル(BASF社製のプルロニックL10、L31、L61、L62、10R5、17R2、25R2、テトロニック304、701、704、901、904、150R1)、ソルスパース20000(日本ルーブリゾール(株))等が挙げられる。
【0264】
カチオン系界面活性剤として具体的には、フタロシアニン誘導体(商品名:EFKA−745、森下産業(株)製)、オルガノシロキサンポリマーKP341(信越化学工業(株)製)、(メタ)アクリル酸系(共)重合体ポリフローNo.75、No.90、No.95(共栄社化学(株)製)、W001(裕商(株)製)等が挙げられる。
【0265】
アニオン系界面活性剤として具体的には、W004、W005、W017(裕商(株)社製)等が挙げられる。
【0266】
シリコーン系界面活性剤としては、例えば、東レ・ダウコーニング(株)製「トーレシリコーンDC3PA」、「トーレシリコーンSH7PA」、「トーレシリコーンDC11PA」,「トーレシリコーンSH21PA」,「トーレシリコーンSH28PA」、「トーレシリコーンSH29PA」、「トーレシリコーンSH30PA」、「トーレシリコーンSH8400」、モメンティブ・パフォーマンス・マテリアルズ社製「TSF−4440」、「TSF−4300」、「TSF−4445」、「TSF−4460」、「TSF−4452」、信越シリコーン株式会社製「KP341」、「KF6001」、「KF6002」、ビックケミー社製「BYK307」、「BYK323」、「BYK330」等が挙げられる。
界面活性剤は、1種のみを用いてもよいし、2種類以上を組み合わせてもよい。
界面活性剤の添加量は、着色感放射線性組成物の全質量に対して、0.001質量%〜2.0質量%が好ましく、より好ましくは0.005質量%〜1.0質量%である。
【0267】
<その他成分>
本発明の着色感放射線性組成物には、必要に応じて、N,N-ジアルキルアミノ安息香酸アルキルエステルや2-メルカプトベンゾチアゾールなどの連鎖移動剤、アゾ系化合物や過酸化物系化合物などの熱重合開始剤、熱重合成分、膜の強度、感度を高める目的で多官能チオールやエポキシ化合物、アルコキシベンゾフェノン等の紫外線吸収剤、ジオクチルフタレートなどの可塑剤、低分子量有機カルボン酸などの現像性向上剤、その他充填剤、上記の特定バインダーやアルカリ可溶性樹脂以外の高分子化合物、酸化防止剤、凝集防止剤などの各種添加物を含有することができる。
また、現像後に後加熱で膜の硬化度を上げるために熱硬化剤を添加することができる。熱硬化剤としては、アゾ化合物、過酸化物等の熱重合開始剤、ノボラック樹脂、レゾール樹脂、エポキシ化合物、スチレン化合物等があげられる。
【0268】
−着色感放射線性組成物の調製−
本発明の着色感放射線性組成物は、上記した各成分と共に有機溶剤を用いて調製することが好ましい。
有機溶剤としては、エステル類、例えば、酢酸エチル、酢酸−n−ブチル、酢酸イソブチル、酢酸イソアミル、酢酸イソブチル、ギ酸アミル、プロピオン酸ブチル、酪酸イソプロピル、酪酸エチル、酪酸ブチル、乳酸メチル、乳酸エチル、オキシ酢酸メチル、オキシ酢酸エチル、オキシ酢酸ブチル、メトキシ酢酸メチル、メトキシ酢酸エチル、メトキシ酢酸ブチル、エトキシ酢酸メチル、エトキシ酢酸エチル、3−オキシプロピオン酸メチル、3−オキシプロピオン酸エチル、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−メトキシプロピオン酸エチル、3−エトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、2−オキシプロピオン酸メチル、2−オキシプロピオン酸エチル、2−オキシプロピオン酸プロピル、2−メトキシプロピオン酸メチル、2−メトキシプロピオン酸エチル、2−メトキシプロピオン酸プロピル、2−エトキシプロピオン酸メチル、2−エトキシプロピオン酸エチル、2−オキシ−2−メチルプロピオン酸メチル、2−オキシ−2−メチルプロピオン酸エチル、2−メトキシ−2−メチルプロピオン酸メチル、2−エトキシ−2−メチルプロピオン酸エチル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、ピルビン酸プロピル、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、2−オキソブタン酸メチル、2−オキソブタン酸エチル等;エーテル類、例えばジエチレングリコールジメチルエーテル、テトラヒドロフラン、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールプロピルエーテルアセテート等;ケトン類、例えばメチルエチルケトン、シクロヘキサノン、2−ヘプタノン、3−ヘプタノン等;芳香族炭化水素類、例えばトルエン、キシレン、等が挙げられる。
【0269】
これらの溶剤うち、3-エトキシプロピオン酸メチル、3-エトキシプロピオン酸エチル、エチルセロソルブアセテート、乳酸エチル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、酢酸ブチル、3-メトキシプロピオン酸メチル、2-ヘプタノン、シクロヘキサノン、エチルカルビトールアセテート、ブチルカルビトールアセテート、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート等が好適である。
溶剤は、単独で用いる以外に2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0270】
なお、本発明に係る着色感放射線性組成物の調製に際しては、異物の除去や欠陥の低減などの目的で、各成分を混合した後、フィルタにより濾過することが好ましい。フィルタは、従来、ろ過用途等に用いられているものが特に限定されることなく用いられる。具体的には、例えば、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)等のフッ素樹脂、ナイロン−6、ナイロン−6,6等のポリアミド系樹脂、ポリエチレン、ポリプロピレン(PP)等のポリオレフィン樹脂(高密度、超高分子量を含む)等によるフィルタが挙げられる。これらフィルタ素材の中でも、ナイロン−6、ナイロン−6,6等のポリアミド系樹脂、ポリプロピレン(高密度ポリプロピレンを含む)が好ましい。
フィルタの孔径は、0.01〜7.0μm程度が適しており、好ましくは0.01〜2.5μm程度、さらに好ましくは0.01〜2.0μm程度である。この範囲とすることにより、後工程において均一な着色感放射線性組成物の調製を阻害する、微細な異物が確実に除去され、均一及び平滑な着色感放射線性組成物の形成が可能となる。
【0271】
フィルタを使用する際、異なるフィルタを組み合わせてもよい。その際、第1のフィルタを用いたフィルタリングは、1回のみでもよいし、2回以上行ってもよい。また、上述した範囲内で異なる孔径のフィルタを組み合わせて、第1のフィルタを複数のフィルタからなるものとして、第1回目のフィルタリングとしてもよい。ここでいう孔径は、フィルタメーカーの公称値を参照することができる。市販のフィルタとしては、例えば、日本ポール株式会社、アドバンテック東洋株式会社、日本インテグリス株式会社(旧日本マイクロリス株式会社)又は株式会社キッツマイクロフィルタ等が提供する各種フィルタの中から選択することができる。
第2のフィルタは、上述した第1のフィルタと同様の材料等で形成されたものを使用することができる。
また、例えば、第1のフィルタでのフィルタリングは、顔料分散物のみにたいして行い、該顔料分散物に他の成分を混合して着色感放射線性組成物とした後に、第2のフィルタリングを行ってもよい。
【0272】
本発明の着色感放射線性組成物は、固体撮像素子に用いられるカラーフィルタ製造用の他、液晶表示装置用のカラーフィルタ、印刷用インク、インクジェット用インク等に適用することができる。
【0273】
本発明の着色感放射線性組成物は、微細な顔料を高濃度で含有しても、顔料分散安定性と現像性に優れ、高精細で色特性の良好な着色領域を形成しうることから、固体撮像素子用のカラーフィルタの製造、特に、膜厚が0.8μm以下、好ましくは、0.1μm〜0.5μmの範囲の画素を形成するような場合においても、その効果が著しいといえる。
【0274】
本発明の着色感放射線性組成物は、分散安定性に優れているため、色再現性に優れた液晶表示素子や解像性に優れた固体撮像素子が備えるカラーフィルタの形成用途に適用する場合には、薄膜形成が可能となる点で有利であることから、当該用途においては顔料を高濃度に含有させた態様に調製することが好ましい。
【0275】
本発明の着色感放射線性組成物における顔料濃度としては、着色感放射線性組成物の全固形分(即ち、顔料、分散成分、樹脂成分、重合性化合物、光重合性開始剤、及びその他の添加剤など、溶剤を除いた成分の合計の質量)に対し、40質量%以上が好ましく、45質量%以上がさらに好ましい。
【0276】
≪カラーフィルタ及びその製造方法≫
次に、本発明のカラーフィルタ及びその製造方法について説明する。
本発明のカラーフィルタは、基板上に、本発明の着色感放射線性組成物を用いてなる着色領域(着色パターン)を有することを特徴とする。
以下、本発明のカラーフィルタについて、その製造方法(本発明のカラーフィルタの製造方法)を通じて詳述する。
【0277】
なお、本発明におけるカラーフィルタは、本発明の着色感放射線性組成物を用いてなる着色硬化膜を有しており、当該着色硬化膜の膜厚は1.0μm以下であることが好ましく、0.1μm〜0.9μmであることがより好ましく、0.2μm〜0.8μmであることがさらに好ましい。
膜厚を、1.0μm以下とすることにより、高解像性、高密着性を得られるため、好ましい。
【0278】
本発明におけるカラーフィルタの製造方法においては、既述の本発明の着色感放射線性組成物が用いられる。
本発明の着色感放射線性組成物を用いることで、現像性に優れると共に感度よく良好な高度の硬度が得られるので、形状良好で高解像度の微細なパターンで構成されたカラーフィルタを簡易に作製することができる。
【0279】
本発明におけるカラーフィルタの製造方法は、本発明の着色感放射線性組成物を基板上に塗布後、パターン露光し、現像してパターンを形成する工程を設けて構成したものである。具体的には、本発明の着色感放射線性組成物を支持体上に回転塗布、流延塗布、ロール塗布等の塗布方法により塗布して着色感放射線性組成物層を形成し、該層を所定のマスクパターンを介して露光し、現像液で現像することでネガ型の着色パターンを形成することによって好適に作製することができる(画像形成工程)。また、必要により、形成された着色パターンを加熱及び/又は露光により硬化する硬化工程を含んでいてもよい。
【0280】
カラーフィルタの作製においては、前記画像形成工程(及び必要により硬化工程)を所望の色相数だけ繰り返すことにより、所望の色相よりなるカラーフィルタを作製することができる。この際に使用される光若しくは放射線としては、特にg線、h線、i線等の紫外線が好ましく用いられる。
【0281】
本発明のカラーフィルタの製造方法は、本発明の着色感放射線性組成物を基板上に塗布して着色感放射線性組成物層(着色層)を形成する工程(着色層形成工程)と、前記着色感放射線性組成物層をパターン状に露光する工程(露光工程)と、露光後の前記着色感放射線性組成物層を現像してパターン成形する工程(現像工程)とを含むことを特徴とする。
【0282】
<着色層形成工程>
着色層形成工程では、基板上に、本発明の着色感放射線性組成物を塗布して該着色感放射線性組成物からなる着色層(着色感放射線性組成物層)を形成する。
【0283】
本工程に用いうる基板としては、例えば、固体撮像素子に用いられるCCDやCMOSにおける光電変換素子基板、シリコン基板等や、液晶表示装置等に用いられる無アルカリガラス、ソーダガラス、パイレックス(登録商標)ガラス、石英ガラス、及びこれらに透明導電膜を付着させたもの等が挙げられる。これらの基板は、各画素を隔離するブラックマトリクスが形成されている場合もある。
また、これらの基板上には、必要により、上部の層との密着改良、物質の拡散防止或いは基板表面の平坦化のために下塗り層を設けてもよい。
【0284】
基板上への本発明の着色感放射線性組成物の塗布方法としては、スリット塗布、インクジェット法、回転塗布、流延塗布、ロール塗布、スクリーン印刷法等の各種の塗布方法を適用することができる。
着色感放射線性組成物の塗布直後の膜厚としては、塗布膜の膜厚均一性、塗布溶剤の乾燥のしやすさの観点から、乾燥後の膜厚に換算して0.1μm以上10μm以下が好ましく、0.2μm以上5μm以下がより好ましく、0.2μm以上3μm以下がさらに好ましい。
【0285】
基板上に塗布された着色層(着色感放射線性組成物層)の乾燥(プリベーク)は、ホットプレート、オーブン等で50℃〜140℃の温度で10秒〜300秒で行うことができる。
【0286】
<露光工程>
露光工程では、前記着色層形成工程において形成された着色層(着色感放射線性組成物層)を、パターン状に露光する。
本工程における露光においては、着色層の露光は、所定のマスクパターンを介して露光し、光照射された塗布膜部分だけを硬化させることによりことにより行うことが好ましい。露光に際して用いることができる放射線としては、特に、g線、h線、i線等の放射線が好ましく用いられる。照射量は30mJ/cm〜1500mJ/cmが好ましく、50mJ/cm〜1000mJ/cmがより好ましく、80mJ/cm〜500mJ/cmが最も好ましい。
【0287】
<現像工程>
露光工程に次いで、アルカリ現像処理(現像工程)を行うことにより、露光後の未硬化部を現像液に溶出させ、光硬化した部分を残存させる。この現像工程により、各色(例えば、3色あるいは4色)の画素からなるパターン状皮膜を形成することができる。
現像方式は、デイップ方式、シャワー方式、スプレー方式、パドル方式などいずれでもよく、これにスウィング方式、スピン方式、超音波方式などを組み合わせてもよい。
現像液に触れる前に、被現像面を予め水等で湿しておいて、現像むらを防ぐこともできる。
【0288】
現像液としては、下地の回路などにダメージを起さない、有機アルカリ現像液が望ましい。現像温度としては、通常20℃〜30℃であり、現像時間は20〜90秒である。
現像液が含むアルカリ剤としては、例えば、アンモニア水、エチルアミン、ジエチルアミン、ジメチルエタノールアミン、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、コリン、ピロール、ピペリジン、1,8−ジアザビシクロ−[5、4、0]−7−ウンデセンなどの有機アルカリ性化合物、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム等の無機化合物等が挙げられる。
現像液としては、これらのアルカリ剤を濃度が0.001質量%〜10質量%、好ましくは0.01質量%〜1質量%となるように、純水で希釈したアルカリ性水溶液が好ましく使用される。なお、このようなアルカリ性水溶液からなる現像液を使用した場合には、一般に現像後、純水で洗浄(リンス)する。
【0289】
次いで、余剰の現像液を洗浄除去し、乾燥を施す。
なお、本発明の製造方法においては、上述した、着色層形成工程、露光工程、及び現像工程を行った後に、必要により、形成された着色パターンを後加熱(ポストベーク)や後露光により硬化する硬化工程を含んでいてもよい。ポストベークは、硬化を完全なものとするための現像後の加熱処理であり、通常100℃〜270℃の熱硬化処理を行う。光を用いる場合には、g線、h線、i線、KrFやArFなどのエキシマレーザ、電子線、X線等により行うことができるが、既存の高圧水銀灯で20〜50℃程度の低温で行うことが好ましく、照射時間としては、10秒〜180秒、好ましくは30秒〜60秒である。後露光と後加熱との併用の場合、後露光を先に実施することが好ましい。
【0290】
以上説明した、着色層形成工程、露光工程、及び現像工程(更に、必要により硬化工程)を所望の色相数だけ繰り返すことにより、所望の色相よりなるカラーフィルタが作製される。
【0291】
本発明のカラーフィルタは、露光感度にも優れた本発明の着色感放射線性組成物を用いて製造されるため、露光部における硬化した組成物は、基板との密着性及び耐現像性に優れ、形成された着色パターンと基板との密着性は高く、また、かつ、所望の断面形状を与えるパターンは微細な着色画素を有する。
【0292】
本発明の着色感放射線性組成物は、例えば、塗布装置吐出部のノズル、塗布装置の配管部、塗布装置内等に付着した場合でも、公知の洗浄液を用いて容易に洗浄除去することができる。この場合、より効率の良い洗浄除去を行うためには、本発明の着色感放射線性組成物に含まれる有機溶剤として前掲した有機溶剤を洗浄液として用いることが好ましい。
【0293】
また、特開平7−128867号公報、特開平7−146562号公報、特開平8−278637号公報、特開2000−273370号公報、特開2006−85140号公報、特開2006−291191号公報、特開2007−2101号公報、特開2007−2102号公報、特開2007−281523号公報などに記載の洗浄液も、本発明の着色感放射線性組成物の洗浄除去用の洗浄液として好適に用いることができる。
洗浄液としては、アルキレングリコールモノアルキルエーテルカルボキシレート、又はアルキレングリコールモノアルキルエーテルを用いることが好ましい。
洗浄液として用いうるこれら有機溶剤は、単独で用いても2種以上を混合して用いてもよい。
有機溶剤2種以上を混合する場合、水酸基を有する有機溶剤と水酸基を有しない有機溶剤とを混合してなる混合溶剤が好ましい。水酸基を有する有機溶剤と水酸基を有しない有機溶剤との質量比は、1/99〜99/1、好ましくは10/90〜90/10、更に好ましくは20/80〜80/20である。混合溶剤としては、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)とプロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME)の混合溶剤で、その比率が60/40であることが特に好ましい。
なお、着色感放射線性組成物に対する洗浄液の浸透性を向上させるために、洗浄液には、着色感放射線性組成物が含有しうる界面活性剤として前掲した界面活性剤を添加してもよい。
【0294】
また、本発明のカラーフィルタの製造方法によって製造された本発明のカラーフィルタは、CCD、CMOS等の固体撮像素子に好適に用いることができ、また電子ペーパーや有機EL等の画像表示デバイス、液晶表示装置などにも好適に用いることができる。特に100万画素を超えるような高解像度のCCDやCMOSの固体撮像素子に好適である。本発明のカラーフィルタは、例えば、CCD素子を構成する各画素の受光部と集光するためのマイクロレンズとの間に配置されるカラーフィルタとしても用いることができる。
【0295】
≪固体撮像素子≫
本発明における固体撮像素子は、既述の本発明のカラーフィルタを備える。本発明における固体撮像素子の構成としては、本発明におけるカラーフィルタが備えられた構成であり、固体撮像素子として機能する構成であれば特に限定はないが、例えば、以下のような構成が挙げられる。
【0296】
基板上に、固体撮像素子(CCDイメージセンサー、CMOSイメージセンサー、等)の受光エリアを構成する複数のフォトダイオード及びポリシリコン等からなる転送電極を有し、前記フォトダイオード及び前記転送電極上にフォトダイオードの受光部のみ開口したタングステン等からなる遮光膜を有し、遮光膜上に遮光膜全面及びフォトダイオード受光部を覆うように形成された窒化シリコン等からなるデバイス保護膜を有し、前記デバイス保護膜上に、本発明の固体撮像素子用カラーフィルタを有する構成である。
更に、前記デバイス保護層上であってカラーフィルタの下(支持体に近い側)に集光手段(例えば、マイクロレンズ等。以下同じ)を有する構成や、カラーフィルタ上に集光手段を有する構成等であってもよい。
【0297】
≪液晶表示装置≫
本発明におけるカラーフィルタは、前記固体撮像素子のみならず液晶表示装置に用いることができ、特に液晶表示装置の用途に好適である。液晶表示装置に用いた場合、分光特性及び耐熱性に優れた金属錯体色素を着色剤として含有しながらも、比抵抗の低下に伴う液晶分子の配向不良が少なく、表示画像の色合いが良好で表示特性に優れる。
このため、本発明のカラーフィルタを備えた液晶表示装置は、表示画像の色合いが良好で表示特性に優れた高画質画像を表示することができる。
【0298】
表示装置の定義や各表示装置の詳細については、例えば「電子ディスプレイデバイス(佐々木 昭夫著、(株)工業調査会 1990年発行)」、「ディスプレイデバイス(伊吹 順章著、産業図書(株)平成元年発行)」などに記載されている。また、液晶表示装置については、例えば「次世代液晶ディスプレイ技術(内田 龍男編集、(株)工業調査会 1994年発行)」に記載されている。本発明が適用できる液晶表示装置に特に制限はなく、例えば、上記の「次世代液晶ディスプレイ技術」に記載されている色々な方式の液晶表示装置に適用できる。
【0299】
本発明におけるカラーフィルタは、カラーTFT方式の液晶表示装置に用いてもよい。カラーTFT方式の液晶表示装置については、例えば「カラーTFT液晶ディスプレイ(共立出版(株)1996年発行)」に記載されている。更に、本発明はIPSなどの横電界駆動方式、MVAなどの画素分割方式などの視野角が拡大された液晶表示装置や、STN、TN、VA、OCS、FFS、及びR−OCB等にも適用できる。
また、本発明におけるカラーフィルタは、明るく高精細なCOA(Color-filter On Array)方式にも供することが可能である。COA方式の液晶表示装置にあっては、カラーフィルタ層に対する要求特性は、前述のような通常の要求特性に加えて、層間絶縁膜に対する要求特性、すなわち低誘電率及び剥離液耐性が必要とされることがある。本発明のカラーフィルタにおいては、色相に優れた染料多量体を用いることから、色純度、光透過性などが良好で着色パターン(画素)の色合いに優れるので、解像度が高く長期耐久性に優れたCOA方式の液晶表示装置を提供することができる。なお、低誘電率の要求特性を満足するためには、カラーフィルタ層の上に樹脂被膜を設けてもよい。
これらの画像表示方式については、例えば、「EL、PDP、LCDディスプレイ−技術と市場の最新動向−(東レリサーチセンター調査研究部門 2001年発行)」の43ページなどに記載されている。
【0300】
本発明におけるカラーフィルタを備えた液晶表示装置は、本発明におけるカラーフィルタ以外に、電極基板、偏光フィルム、位相差フィルム、バックライト、スペーサ、視野角保障フィルムなど様々な部材から構成される。本発明のカラーフィルタは、これらの公知の部材で構成される液晶表示装置に適用することができる。これらの部材については、例えば、「'94液晶ディスプレイ周辺材料・ケミカルズの市場(島 健太郎 (株)シーエムシー 1994年発行)」、「2003液晶関連市場の現状と将来展望(下巻)(表 良吉(株)富士キメラ総研、2003年発行)」に記載されている。
バックライトに関しては、SID meeting Digest 1380(2005)(A.Konno et.al)や、月刊ディスプレイ 2005年12月号の18〜24ページ(島 康裕)、同25〜30ページ(八木隆明)などに記載されている。
【0301】
本発明におけるカラーフィルタを液晶表示装置に用いると、従来公知の冷陰極管の三波長管と組み合わせたときに高いコントラストを実現できるが、更に、赤、緑、青のLED光源(RGB−LED)をバックライトとすることによって輝度が高く、また、色純度の高い色再現性の良好な液晶表示装置を提供することができる。
【0302】
以上述べたように、本発明によれば、ジピロメテン化合物と金属若しくは金属化合物とから得られるジピロメテン系金属錯体化合物及びその互変異性体を色素部位の部分構造として含む色素多量体を含有する、分光特性、耐熱性に優れた色補正用の赤〜紫色色素が得られる。さらに、カラーフィルタ作製プロセスにおける混色、即ち、形成される着色硬化膜が、耐溶剤性や熱硬化工程における色移りに対して優れた耐性を有する、着色感放射線性組成物が得られる。このため、従来の色補正用染料を用いたカラーレジストで達成できなかった課題が解決され、固体撮像素子や表示用装置(例えば、液晶表示装置や有機EL表示装置など)に用いられるカラーフィルタに特に有用である。
【実施例】
【0303】
以下に実施例を挙げて本発明を更に具体的に説明する。以下の実施例に示す材料、試薬、割合、機器、操作等は本発明の精神から逸脱しない限り適宜変更することができる。従って、本発明の範囲は以下に示す具体例に限定されるものではない。なお、以下の実施例において、特に断りのない限り「%」および「部」は、「質量%」および「質量部」を表し、分子量とは重量平均分子量のことを示す。
【0304】
<(B)バインダーの合成>
<合成例1>
モノマーの滴下用容器に以下の組成の溶液を準備した。
・ジメチル−2,2’−[オキシビス(メチレン)]ビス−2−プロペノエート(以下「DM」と称する) 13部
・ベンジルメタクリレート(以下「BzMA」と称する) 63部
・メタクリル酸メチル(以下「MMA」と称する) 15部
・メタクリル酸(以下「MAA」と称する) 38部
・t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート 2部
・ジエチレングリコールジメチルエーテル 32部
【0305】
連鎖移動剤の滴下用容器に以下の内容の溶液を準備した。
・n−ドデカンチオール 6部
・ジエチレングリコールジメチルエーテル 20部
反応容器(冷却管付きセパラブルフラスコ)にジエチレングリコールジメチルエーテル188部をいれて、窒素置換後、加熱し反応容器の温度を90℃に上げた。
【0306】
温度安定を確認した後、モノマー滴下容器と連鎖移動剤滴下容器から、滴下を開始し、90℃の温度を保ったまま140分間でモノマーおよび連鎖移動剤の滴下を終了した。
滴下終了後から60分後に、さらに昇温を行い、反応容器の温度を110℃に上げ、そのまま110℃で180分維持した。その後、反応容器内を空気で置換した。
【0307】
次に反応容器に以下の組成の化合物を投入し、110℃の温度のまま9時間反応させた。
・グリシジルメタクリレート(以下「GMA」と称する) 41部
・2,2’−メチレンビス(4−メチルー6−t−ブチルフェノール) 0.2部
・トリエチルアミン 0.4部
反応終了後ジエチレングリコールジメチルエーテル27部を加えて、室温に冷却し、バインダー(B−1)を得た。
【0308】
<合成例2>
モノマーの滴下用容器に以下の組成の溶液を準備した。
・DM 22部
・BzMA 70部
・MMA 10部
・MAA 34部
・t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート 2部
・ジエチレングリコールジメチルエーテル 34部
【0309】
連鎖移動剤の滴下用容器に以下の内容の溶液を準備した。
・n−ドデカンチオール 6部
・ジエチレングリコールジメチルエーテル 20部
【0310】
反応容器(冷却管付きセパラブルフラスコ)にジエチレングリコールジメチルエーテル188部をいれて、窒素置換後、加熱し反応容器の温度を90℃に上げた。
温度安定を確認した後、モノマー滴下容器と連鎖移動剤滴下容器から、滴下を開始し、90℃の温度を保ったまま140分間でモノマーおよび連鎖移動剤の滴下を終了した。
滴下終了後から60分後に、さらに昇温を行い、反応容器の温度を110℃に上げ、そのまま110℃で180分維持した。その後、反応容器内を空気で置換した。
【0311】
次に反応容器に以下の組成の化合物を投入し、110℃の温度のまま9時間反応させた。
・GMA 43部
・2,2’−メチレンビス(4−メチルー6−t−ブチルフェノール) 0.2部
・トリエチルアミン 0.4部
反応終了後ジエチレングリコールジメチルエーテル39部を加えて、室温に冷却し、バインダー(B−2)を得た。
【0312】
<合成例3>
モノマーの滴下用容器に以下の組成の溶液を準備した。
・DM 22部
・BzMA 86部
・MMA 9部
・MAA 27部
・t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート 2部
・ジエチレングリコールジメチルエーテル 25部
【0313】
連鎖移動剤の滴下用容器に以下の内容の溶液を準備した。
・n−ドデカンチオール 6部
・ジエチレングリコールジメチルエーテル 20部
【0314】
反応容器(冷却管付きセパラブルフラスコ)にジエチレングリコールジメチルエーテル157部をいれて、窒素置換後、加熱し反応容器の温度を90℃に上げた。
温度安定を確認した後、モノマー滴下容器と連鎖移動剤滴下容器から、滴下を開始し、90℃の温度を保ったまま140分間でモノマーおよび連鎖移動剤の滴下を終了した。
滴下終了後から60分後に、さらに昇温を行い、反応容器の温度を110℃に上げ、そのまま110℃で180分維持した。その後、反応容器内を空気で置換した。
【0315】
次に反応容器に以下の組成の化合物を投入し、110℃の温度のまま9時間反応させた。
・GMA 31部
・2,2’−メチレンビス(4−メチルー6−t−ブチルフェノール) 0.2部
・トリエチルアミン 0.4部
反応終了後ジエチレングリコールジメチルエーテル72部を加えて、室温に冷却し、バインダー(B−3)を得た。
【0316】
<合成例4>
モノマーの滴下用容器に以下の組成の溶液を準備した。
・DM 31部
・BzMA 73部
・MMA 8部
・MAA 31部
・t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート 2部
・ジエチレングリコールジメチルエーテル 36部
【0317】
連鎖移動剤の滴下用容器に以下の内容の溶液を準備した。
・n−ドデカンチオール 7部
・ジエチレングリコールジメチルエーテル 20部
【0318】
反応容器(冷却管付きセパラブルフラスコ)にジエチレングリコールジメチルエーテル188部をいれて、窒素置換後、加熱し反応容器の温度を90℃に上げた。
温度安定を確認した後、モノマー滴下容器と連鎖移動剤滴下容器から、滴下を開始し、90℃の温度を保ったまま140分間でモノマーおよび連鎖移動剤の滴下を終了した。
滴下終了後から60分後に、さらに昇温を行い、反応容器の温度を110℃に上げ、そのまま110℃で180分維持した。その後、反応容器内を空気で置換した。
【0319】
次に反応容器に以下の組成の化合物を投入し、110℃の温度のまま9時間反応させた。
・GMA 31部
・2,2’−メチレンビス(4−メチルー6−t−ブチルフェノール) 0.2部
・トリエチルアミン 0.4部 反応終了後ジエチレングリコールジメチルエーテル30部を加えて、室温に冷却し、バインダー(B−4)を得た。
【0320】
<合成例5>
モノマーの滴下用容器に以下の組成の溶液を準備した。
・BzMA 100部
・MMA 16部
・MAA 23部
・t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート 2部
・ジエチレングリコールジメチルエーテル 36部
【0321】
連鎖移動剤の滴下用容器に以下の内容の溶液を準備した。
・n−ドデカンチオール 4部
・ジエチレングリコールジメチルエーテル 20部
【0322】
反応容器(冷却管付きセパラブルフラスコ)にジエチレングリコールジメチルエーテル188部をいれて、窒素置換後、加熱し反応容器の温度を90℃に上げた。
温度安定を確認した後、モノマー滴下容器と連鎖移動剤滴下容器から、滴下を開始し、90℃の温度を保ったまま140分間でモノマーおよび連鎖移動剤の滴下を終了した。
滴下終了後から60分後に、さらに昇温を行い、反応容器の温度を110℃に上げ、そのまま110℃で180分維持した。その後、反応容器内を空気で置換した。
【0323】
次に反応容器に以下の組成の化合物を投入し、110℃の温度のまま9時間反応させた。
・GMA 15部
・2,2’−メチレンビス(4−メチルー6−t−ブチルフェノール) 0.2部
・トリエチルアミン 0.4部
反応終了後、室温に冷却し、バインダー(B−5)を得た。
【0324】
<合成例6>
モノマーの滴下用容器に以下の組成の溶液を準備した。
・BzMA 106部
・MMA 22部
・MAA 15部
・t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート 2部
・ジエチレングリコールジメチルエーテル 36部
【0325】
連鎖移動剤の滴下用容器に以下の内容の溶液を準備した。
・n−ドデカンチオール 4部
・ジエチレングリコールジメチルエーテル 20部
【0326】
反応容器(冷却管付きセパラブルフラスコ)にジエチレングリコールジメチルエーテル167部をいれて、窒素置換後、加熱し反応容器の温度を90℃に上げた。
温度安定を確認した後、モノマー滴下容器と連鎖移動剤滴下容器から、滴下を開始し、90℃の温度を保ったまま140分間でモノマーおよび連鎖移動剤の滴下を終了した。
滴下終了後から60分後に、さらに昇温を行い、反応容器の温度を110℃に上げ、そのまま110℃で180分維持した。反応終了後、室温に冷却し、バインダー(B−6)を得た。
【0327】
上記合成例から得られたバインダー(B−1)〜バインダー(B−6)の固形分を測定した。また、各原料モノマー由来の成分について、H−NMRを用いて解析した。さらに重量平均分子量について、GPCにて測定を行った。評価結果を下記表1に示す。
【0328】
【表1】

【0329】
<実施例1>
<顔料分散液の調製>
着色剤として(A)C.I.ピグメントオレンジ71を7.8部、C.I.ピグメントレッド254を2.0部、C.I.ピグメントイエロー139を2.0部、顔料誘導体として下記式(1)で表される化合物を1.2部、分散剤として下記式(2)で表される化合物の30wt%プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(以下「PGMEA」と称する)溶液を17.3部、溶媒としてPGMEAを69.7部からなる混合物を均一に攪拌混合した後、直径0.5mmのジルコニアビーズを用いて、ビーズミルにより12時間分散して、顔料分散液を調製した。
【0330】
【化46】


式(1)
【0331】
【化47】


式(2)
【0332】
<着色感放射線性組成物の調製>
顔料分散液を11.7部、バインダー(B−1)を2.4部、(C)重合性化合物としてA−DPH−12E(新中村化学工業(株)社製)を0.2部、(D)光重合開始剤としてIRGACURE OXE 01(1.2−オクタンジオン,1―[4−(フェニルチオ)−,2−(O−ベンゾイルオキシム)]、BASFジャパン(株)社製)を0.1部、重合禁止剤としてp−メトキシフェノールを0.01部、フッ素系界面活性剤としてメガファックF781(DIC(株)社製)の1.0%PGMEA溶液を0.8部、溶剤としてPGMEAを4.8部取り、これらを混合・攪拌した後、孔径0.5μmのナイロン製フィルタ(日本ポール(株)社製)でろ過して、着色感放射線性組成物を調製した。
【0333】
<膜厚均一性評価>
上記で調製された着色感放射線性組成物をガラス基板にスピンコーター(ミカサ(株)社製)を用いて塗布し、塗膜を形成した。そして、この塗膜の乾燥膜厚が1.0μmになるように、100℃のホットプレートを用いて120秒間加熱処理(プリベーク)を行った。この塗膜の中心部、及び周囲から1cm部分の膜厚差をDektak(日本ビーコ(株)製)で測定した。測定された数値に基づき、下記評価基準に従って膜厚均一性を評価した。この数値が小さいほど、膜厚均一性が良好であるといえる。評価結果を下記表2に示す。
【0334】
<評価基準>
◎:膜厚差が30nm以下
○:膜厚差が30nmより大きく50nm以下
×:膜厚差が50nmより大きい
【0335】
<耐熱性評価>
次いで、この塗膜をプロキシ露光機(ウシオ電機(株)製)を使用して500mJ/cmの露光量で照射した後、200℃のホットプレートを用いて8分間加熱処理(ポストベーク)を行った。
得られた塗膜を大気下、220℃のホットプレートを用いて60分間加熱処理し、その前後の色差(ΔEab)を分光光度計MCPD−3000(大塚電子(株)社製)で測定した。測定された色差(ΔEab)に基づき、下記評価基準に従って耐熱性を評価した。この数値が小さいほど、耐熱性が良好であるといえる。評価結果を下記表2に示す。
【0336】
<評価基準>
◎:ΔE*abが3以下
○:ΔE*abが3より大きく10以下
×:ΔE*abが10より大きい
【0337】
<実施例2〜11、比較例1〜4>
実施例1において、顔料分散液およびバインダーを表2に示すように変更した以外は実施例1と同様にして、顔料分散液、着色感放射線性組成物を調製し、実施例1と同様の評価を行った。
【0338】
【表2】

【0339】
表1において、例えばO71とはC.I.ピグメントオレンジ71を、R254とはC.I.ピグメントレッド254を、Y150とはC.I.ピグメントイエロー150をそれぞれ意味する。
【0340】
上記表2に示すように、C.I.ピグメントオレンジ71(O71)及び、特定のバインダーを含有する実施例1〜11の着色感放射線性組成物を用いて作製された塗膜は、膜厚均一性と耐熱性に優れていた。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)C.I.ピグメントオレンジ71、(B)下記一般式(1)で表される化合物を共重合成分として含むバインダー、(C)重合性化合物、及び(D)光重合開始剤を含有する着色感放射線性組成物。
【化1】


一般式(1)中、R及びRはそれぞれ独立に、水素原子又はアルキル基を表す。
【請求項2】
前記(B)バインダーが、さらにアリール(メタ)アクリレート、又はアルキル(メタ)アクリレートを重合性成分として含むバインダーである請求項1に記載の着色感放射線性組成物。
【請求項3】
前記(B)バインダーが、さらに(メタ)アクリル酸を重合性成分として含むバインダーである請求項1または請求項2に記載の着色感放射線性組成物。
【請求項4】
更にレッド顔料を含む請求項1〜請求項3のいずれか1項に記載の着色感放射線性組成物。
【請求項5】
更にイエロー顔料を含む請求項1〜請求項4のいずれか1項に記載の着色感放射線性組成物。
【請求項6】
前記(D)光重合開始剤が、オキシム化合物である請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載の着色感放射線性組成物。
【請求項7】
請求項1〜請求項6のいずれか1項に記載の着色感放射線性組成物を硬化して得られた着色硬化膜。
【請求項8】
請求項7に記載の着色硬化膜を備えたカラーフィルタ。
【請求項9】
請求項1〜請求項6のいずれか1項に記載の着色感放射線性組成物を基板上に付与して着色感放射線性組成物層を形成する着色感放射線性組成物層形成工程と、
前記着色感放射線性組成物層をパターン様に露光する露光工程と、
露光後の前記着色感放射線性組成物層を現像して着色パターンを形成する着色パターン形成工程と、を含むパターン形成方法。
【請求項10】
請求項1〜請求項6のいずれか1項に記載の着色感放射線性組成物を基板上に付与し着色感放射線性組成物層を形成する着色感放射線性組成物層形成工程と、前記着色感放射線性組成物層をパターン様に露光する露光工程と、露光後の前記着色感放射線性組成物層を現像して着色パターンを形成する着色パターン形成工程と、を有するカラーフィルタの製造方法。
【請求項11】
請求項8に記載のカラーフィルタを具備する固体撮像素子。

【公開番号】特開2012−173356(P2012−173356A)
【公開日】平成24年9月10日(2012.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−32519(P2011−32519)
【出願日】平成23年2月17日(2011.2.17)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】