説明

石炭ガス化複合発電システム

【課題】褐炭等の高水分炭の水分を乾燥させる際に発生する発生蒸気を有効利用して熱効率が良好且つ、外部から供給する水の供給量の少ない石炭ガス化複合発電システムを提供する。
【解決手段】水分が多い被乾燥物石炭を乾燥する流動層乾燥システム102と、前記流動層乾燥装置で発生する発生蒸気を用いて熱回収を行う熱回収装置106と、粉砕された微粉炭201aを処理してガス化ガス202に変換する石炭ガス化炉203と、前記ガス化ガス202を燃料として運転されるガスタービン204と、前記ガスタービン204からのタービン排ガス205を導入する排熱回収ボイラ206で生成した蒸気207により運転される蒸気タービン208と、前記ガスタービン204および/または前記蒸気タービン208と連結された発電機209と、を備えてなり、前記熱回収システム106で発生した高温蒸気(過熱蒸気A)を流動層乾燥装置102の熱源として用いてなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、石炭ガス化複合発電システムに関する。
【背景技術】
【0002】
石炭、石油その他のハイドロカーボン系の燃料は取り扱いが比較的容易であるため、これを用いて発電するプラントが従来から多数稼動している。特に石炭はその埋蔵量が莫大であることから、将来にわたって安定した供給が可能であるので、有望な燃料の一つとして注目されている。しかしながら、他のハイドロカーボン系の燃料と比較して燃料中に含まれる炭素(C)分を多く含むため、単位熱量当たりのCO排出量が多いという問題がある。特に、近年においては地球環境保全の観点から、COの排出量を低減することは早急に達成すべき重要な課題となっている。ここで、発電プラントの効率が向上すれば、同じ電力を発生させるために必要な燃料の量を低減できるので、COの排出量を低減できる。このため、従来の石炭焚発電プラントにおいては、プラントの効率を向上させてCOの排出量を抑制する対策がとられていた。
【0003】
このようなプラント効率を向上させる技術としては、石炭ガス化複合発電(Integrated Coal Gasification Combined Cycle:IGCC)という技術が知られている。この技術は、石炭をそのまま燃焼させるのではなく、一旦ガス化してから発電用の燃料として供給するものである。石炭ガス化複合発電においては、ガスタービンおよび蒸気タービンと組み合わせることによって、従来40%程度であった石炭焚発電プラントの効率を約46%まで向上させることができる。このプラント効率の向上によって、COの排出量は従来の石炭焚ボイラに対して約13%削減できる(特許文献1及び2、非特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平10−251669号公報
【特許文献2】特開2003−106514号公報
【非特許文献】
【0005】
【非特許文献1】三菱重工技報 Vol.36No.1(1999−1)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
乾式給炭方式を採用するIGCCでは、比較的高水分の石炭でも適用可能であるが、褐炭や亜瀝青炭などの低品位炭では持ち込まれる水分が多く、この水分により発電効率が低下する、という問題がある。
【0007】
また、ガス化ガスのガス精製設備においては、冷却、洗浄用に水が必要となるが、例えば砂漠等の環境の元では、水の供給が困難である、という問題がある。
【0008】
そこで、褐炭等の高水分炭の水分を乾燥させる際に発生する発生蒸気を有効利用して熱効率の良好且つ、外部から供給する水の供給量の少ない石炭ガス化複合発電システムの出現が望まれている。
【0009】
本発明は、前記問題に鑑み、褐炭等の高水分炭の水分を乾燥させる際に発生する発生蒸気を有効利用して熱効率の良好且つ、外部から供給する水の供給量の少ない石炭ガス化複合発電システムを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上述した課題を解決するための本発明の第1の発明は、水分が多い被乾燥物石炭を乾燥する流動層乾燥装置と、前記流動層乾燥装置で発生する発生蒸気を用いて熱回収を行う熱回収装置と、乾燥後の製品炭を微粉砕するミルと、ミルにより粉砕された微粉炭を処理してガス化ガスに変換する石炭ガス化炉と、前記ガス化ガスを燃料として運転されるガスタービンと、前記ガスタービンからのタービン排ガスを導入する排熱回収ボイラで生成した蒸気により運転される蒸気タービンと、前記ガスタービンおよび/または前記蒸気タービンと連結された発電機と、を備えてなり、前記熱回収装置で発生した高温水蒸気を流動層乾燥装置の熱源として用いてなることを特徴とする石炭ガス化複合発電システムにある。
【0011】
第2の発明は、第1の発明において、熱回収装置は、蒸気タービンからの抽気蒸気を用いた過熱器又は昇圧機のいずれかであることを特徴とする石炭ガス化複合発電システムにある。
【0012】
第3の発明は、第2の発明において、前記石炭ガス化炉からのガス化ガスを精製するガス精製装置を設け、蒸気タービンからの抽気蒸気を用いた過熱器又は昇圧機のいずれかで得られた過熱蒸気を、流動層乾燥装置で用いて凝縮水とした後、該凝縮水を前記ガス精製装置で用いてなることを特徴とする石炭ガス化複合発電システムにある。
【0013】
第4の発明は、第2の発明において、前記石炭ガス化炉からのガス化ガスを精製する除塵装置とCOシフト反応装置とを含むガス精製装置を設け、蒸気タービンからの抽気蒸気を用いた過熱器又は昇圧機のいずれかで得られた過熱蒸気を、蒸気タービンからの抽気蒸気を用いた過熱器で熱交換させ、その後流動層乾燥装置のCOシフト反応装置で用いてなることを特徴とする石炭ガス化複合発電システムにある。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、褐炭等の高水分炭の水分を乾燥させる際に発生する発生蒸気を有効利用して熱効率の良好且つ、外部から供給する水の供給量の少ない石炭ガス化複合発電設備を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】図1は、本発明の実施の形態に係る流動層乾燥装置を適用した流動層乾燥設備の一例を示す概略図である。
【図2】図2は、図1に示す流動層乾燥設備を適用した第1の実施形態に係る石炭ガス化複合発電システムの一例を示す概略図である。
【図3】図3は、図1に示す流動層乾燥設備を適用した第2の実施形態に係る石炭ガス化複合発電システムの一例を示す概略図である。
【図4】図4は、図1に示す流動層乾燥設備を適用した第3の実施形態に係る石炭ガス化複合発電システムの一例を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、この発明につき図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。また、下記実施の形態における構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、あるいは実質的に同一のものが含まれる。
【0017】
[第1の実施形態]
本実施の形態について、図面を参照して説明する。図1は、本実施の形態に係る流動層乾燥装置を適用した流動層乾燥設備の一例を示す概略図である。
【0018】
図1に示すように、本実施形態に係る流動層乾燥設備100は、供給ホッパ120から供給され、水分含量が高い被乾燥物である褐炭101を乾燥する乾燥室を有する流動層乾燥装置102と、流動層乾燥装置102内に設けられ、管状の内部に過熱蒸気(例えば150℃の蒸気)Aを供給して褐炭101中の水分を除去する伝熱部材(加熱手段)103と、前記伝熱部材103によって褐炭101が乾燥される際に発生する発生蒸気104を流動層乾燥装置102の外部に排出する発生蒸気ラインLと、前記発生蒸気ラインLに介装され、発生蒸気104中の粉塵を除去する集塵装置105と、発生蒸気ラインLにおける集塵装置105の下流側に介装され、発生蒸気104の熱を回収する熱回収システム106と、前記集塵装置105から粉塵が除去された発生蒸気104の一部を分岐し、流動化蒸気107として流動層乾燥装置102内に供給する分岐ラインLと、前記流動層乾燥装置102から抜き出された乾燥褐炭108を冷却して製品炭109とする冷却器110とを備えるものである。
なお、符号116は流動化ガスである流動化蒸気107を気泡状に分散して吹き込むための分散板を図示する。
【0019】
流動層乾燥設備100において、褐炭101は、供給ホッパ120により供給ラインL0を介して流動層乾燥装置102内に投入され、流動層乾燥装置102内に別に導入される流動化蒸気107により流動されて流動層111を形成する。
【0020】
上述した伝熱部材103は、この流動層111内に配置されている。伝熱部材103内には、150℃の過熱蒸気Aが供給され、その高温の過熱蒸気Aの潜熱を利用して褐炭101を間接的に乾燥させるようにしている。乾燥に利用された過熱蒸気Aは、例えば150℃の凝縮水Bとして流動層乾燥装置102の外部に排出されている。
【0021】
すなわち、加熱手段である伝熱部材103内面では、過熱蒸気Aが凝縮して液体(水分)になるので、この際に放熱される凝縮潜熱を、褐炭101の乾燥の加熱に有効利用している。なお、高温の過熱蒸気A以外としては、相変化を伴う熱媒であれば何れでも良く、例えばフロンやペンタンやアンモニア等を例示することができる。また、伝熱部材103として熱媒体を用いる以外に電気ヒータを設置してもよい。
【0022】
伝熱部材103によって褐炭101が乾燥される際に発生する発生蒸気104は、流動層乾燥装置102内において、流動層111の上部空間に形成されるフリーボード部Fから発生蒸気ラインLにより流動層乾燥装置102の外部に排出される。この発生蒸気104は、褐炭101が乾燥し微粉化したものが含まれているので、サイクロンや電気集塵機等の集塵装置105により集塵して固体成分115として分離する。
【0023】
この固体成分115は、分離ラインL3を介して流動層乾燥装置102から抜き出された製品ラインL4において乾燥褐炭108に混合し、冷却器110で冷却し、製品炭109としている。この製品炭109は、例えばボイラ、ガス化炉等の原料として利用に供される。
【0024】
一方、集塵装置105により集塵された後の発生蒸気104は、例えば105〜110℃の蒸気であるので、熱回収システム106で熱回収された後、水処理部112で処理され、排水113として流動層乾燥設備100の外部に排出されている。なお、集塵装置105により集塵された後の発生蒸気104は、例えば、熱交換器や蒸気タービン等に適用してその熱を有効利用するようにしてもよい。
【0025】
また、集塵装置105により集塵された後の発生蒸気104の一部は、分岐ラインLに介装された循環ファン114により流動層乾燥装置102内に送られて、褐炭101の流動層111を流動させる流動化蒸気107として利用される。なお、流動層111を流動化させる流動化媒体としては、発生蒸気104の一部を再利用しているが、これに限定されず、例えば窒素、二酸化炭素またはこれらのガスを含む低酸素濃度の空気を用いてもよい。
【0026】
なお、上述した流動層乾燥装置102は、伝熱部材103として、本実施例はチューブ形状の伝熱部材を例示しているが、本発明はこれに限定されず、例えば板状の伝熱部材を用いるようにしてもよい。
また、過熱蒸気Aを伝熱部材103に供給して褐炭101を間接的に乾燥させる構成を説明したが、これに限らず、褐炭101の流動層111を流動させる流動化蒸気107により褐炭101を直接乾燥させる構成、さらに加熱用の流動化ガスを供給して乾燥させる構成としてもよい。
【0027】
なお、被乾燥物として褐炭101を例示したが、水分含量の高いものであれば、亜瀝青炭等を含む低品位炭や、スラッジ等の被乾燥物を乾燥対象としてもよい。
【0028】
図1に示す流動層乾燥装置102で乾燥した製品炭109を用い、石炭ガス化複合発電(Integrated Coal Gasification Combined Cycle:IGCC)システムに適用した一例を説明する。図2は、図1に示す流動層乾燥設備100を適用した石炭ガス化複合発電システムの一例を示す概略図である。
【0029】
図2に示すように、石炭ガス化複合発電システム200Aは、燃料である製品炭(乾燥褐炭)109がミル210により粉砕された微粉炭201aを処理してガス化ガス202に変換する石炭ガス化炉203と、前記ガス化ガス202を燃料として運転されるガスタービン(GT)204と、前記ガスタービン204からのタービン排ガス205を導入する排熱回収ボイラ(Heat Recovery Steam Generator:HRSG)206で生成した蒸気207により運転される蒸気タービン(ST)208と、前記ガスタービン204および/または前記蒸気タービン208と連結された発電機(G)209とを備えるものである。
【0030】
この石炭ガス化複合発電システム200Aは、ミル210で粉砕された微粉炭201aを石炭ガス化炉203でガス化し、生成ガスであるガス化ガス202を得る。このガス化ガス202は、サイクロン211およびガス精製装置212で除塵およびガス精製された後、発電手段であるガスタービン204の燃焼器213に供給され、ここで燃焼して高温・高圧の燃焼ガス214を生成する。そして、この燃焼ガス214によってガスタービン204を駆動する。このガスタービン204は、発電機209と連結されており、ガスタービン204が駆動することによって発電機209が電力を発生する。ガスタービン204を駆動した後のタービン排ガス205は、まだ約500〜600℃の温度を持っているため、排熱回収ボイラ(HRSG)206へ送られ、ここで熱エネルギーが回収される。この排熱回収ボイラ(HRSG)206では、タービン排ガス205の熱エネルギーによって蒸気207が生成され、この蒸気207によって蒸気タービン208を駆動する。この排熱回収ボイラ(HRSG)206で熱エネルギーが回収された排ガス215は、ガス浄化装置216で排ガス215中のNOxおよびSOx分が除去された後、煙突217を介して大気中へ放出される。なお、図中、符号218は復水器、219は空気、220は圧縮機、221は空気を窒素(N)と酸素(O)とに分離する空気分離装置(ASU)を各々図示する。
【0031】
この石炭ガス化複合発電システム200Aによれば、高い水分を有する褐炭101を用いてガス化する場合においても、効率的な流動層乾燥装置102により褐炭101を乾燥しているので、水分によるガス化効率の低下を防止し、長期間に亙って安定して発電を行うことができる。
【0032】
本実施形態の石炭ガス化複合発電システム200Aでは、前記熱回収システム106として、集塵装置105で集塵した後の発生蒸気104を蒸気タービン208から抽気した抽気蒸気208aにより間接的に熱交換する熱交換器106Aを設けている。
【0033】
これにより、熱交換器106Aで発生蒸気104を過熱して150℃の過熱媒体である過熱蒸気Aとし、再度流動層乾燥装置102の伝熱部材103に過熱蒸気Aとして供給することで、システム内での過熱媒体の有効利用を図ることができる。
【0034】
[第2の実施形態]
次に、第2の実施形態の石炭ガス化複合発電システム200Bを図3を用いて説明する。なお、第1の実施形態の石炭ガス化複合発電システムと同一構成部材には同一符号を付してその説明は省略する。
図3に示すように、第2の実施形態の石炭ガス化複合発電システム200Bは、第1の実施形態の石炭ガス化複合発電システム200Aの熱交換器106Aの代わりに、昇圧機106Bを設けることにより、発生蒸気104を過熱して150℃の過熱媒体である過熱蒸気Aとし、再度流動層乾燥装置102の伝熱部材103に過熱蒸気Aとして供給することで、システム内での過熱媒体の有効利用を図ることができる。
【0035】
また、図3に示すように、ガス精製装置212では、ガス冷却用にスクラバ等で水を必要とするので、流動層乾燥装置102で褐炭101の乾燥に用いた凝縮水Bをスクラバのスプレー水などに利用することで水の有効利用を図るようにしてもよい。
【0036】
[第3の実施形態]
次に、第3の実施形態の石炭ガス化複合発電システム200Cを図4を用いて説明する。なお、第1及び第2の実施形態の石炭ガス化複合発電システムと同一構成部材には同一符号を付してその説明は省略する。
図4に示すように、第3の実施形態の石炭ガス化複合発電システム200Cは、第1の実施形態の石炭ガス化複合発電システム200Aの熱交換器106Aの代わりに、昇圧機106Bを設けることにより、発生蒸気104を過熱して150℃の過熱媒体である過熱蒸気Aとし、再度流動層乾燥装置102の伝熱部材103に過熱蒸気Aとして供給することで、システム内での過熱媒体の有効利用を図ると共に、さらにこの過熱蒸気Aをガス精製装置212に供給して有効利用することができる。
【0037】
ここで、石炭ガス化炉203からのガス化ガス202は、ガスタービン204へ供給する前に精製を行っているが、その際、ガス精製装置212では、スクラバなどを用いて、ガス中の煤塵を除去するようにしている。
この水を流動層乾燥装置102で乾燥に用いた過熱蒸気Aが凝縮水Bとして排出されるので、この凝縮水Bをスクラバ水として利用することで、水の有効利用を図ることができる。
【0038】
ここで、第3の実施形態の石炭ガス化複合発電システム200Cのガス精製装置212の構成について、その一例を示す。
生成ガスであるガス化ガス202は、先ず、スクラバ等の脱塵装置212aで除塵した後、COシフト反応装置212bでCOシフト反応を起こさせた後、H2S/CO2回収装置212cでCO2を回収すると共に、ガス中のHSの除去をおこなっている。
このように、ガス化ガス202は、CO2をH2S/CO2回収装置212cで分離する前に、ガス化ガス202中に含まれるCOをCO2に変換するいわゆるCOシフト反応装置212bが必要となり、この際高温の水蒸気を用いている。
このCOシフト反応は、下記式(1)の反応により有用成分であるCO2とH2とを得るものである。
CO+H2O→CO2+H2…(1)
なお、このCOシフト反応を促進する触媒として種々のCOシフト触媒によりCOをCO2に変換している。
【0039】
本実施形態では、過熱蒸気Aを過熱機130に導入し、蒸気タービン208から抽気した抽気蒸気208aにより間接的に熱交換する過熱機130を設けている。
この過熱機130で過熱された約300℃の高温水蒸気131をCOシフト反応装置212bに供給することで、COシフト反応を促進させることができる。
【0040】
また、水蒸気は石炭ガス化炉203内にガス化剤として供給するようにしてもよい。
【0041】
このように、石炭ガス化複合発電システム200A〜Cにおいては、ガスタービンおよび蒸気タービンの組み合わせによって、従来40%程度であった石炭焚発電プラントの効率を約46%まで向上させることができる。このプラント効率の向上によって、COの排出量は従来の石炭焚ボイラに対して約13%削減できる。
【0042】
また、本石炭ガス化複合発電システム200A〜Cによれば、高い水分を有する褐炭を用いてガス化する場合においても、効率的な乾燥装置を用いているので、水分によるガス化効率の低下を防止し、長期間に亙って安定して発電を行うことができる。
また、褐炭の乾燥の際に発生する発生水蒸気を有効利用することができ、エネルギー効率が良好なシステムを構築することができる。
【0043】
本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、必要に応じて、適宜設計変更し得るものである。また、上記実施形態における各構成要素には、当業者が容易に想定できるものや、実質的に同一のものが含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0044】
以上のように、本発明に係る流動層乾燥装置によれば、褐炭の乾燥の際に発生する発生水蒸気を有効利用することができ、エネルギー効率が良好なシステムを提供することができる。
【符号の説明】
【0045】
100 流動層乾燥設備
101 褐炭
102、102A〜102C 流動層乾燥装置
103 伝熱部材
104 発生蒸気
105 集塵装置
106 熱回収システム
106A 熱交換器
106B 昇圧機
107 流動化蒸気
108 乾燥褐炭
109 製品炭
110 冷却器
111 流動層
112 水処理部
113 排水
114 循環ファン
115 固体成分
116 整流板
130 過熱機
131 高温水蒸気
200A〜C 石炭ガス化複合発電システム
201 石炭
201a 微粉炭
202 ガス化ガス
203 石炭ガス化炉
204 ガスタービン(GT)
205 タービン排ガス
206 排熱回収ボイラ(HRSG)
207 蒸気
208 蒸気タービン(ST)
209 発電機(G)
210 ミル
211 サイクロン
212 ガス精製装置
213 燃焼器
214 燃焼ガス
215 排ガス
217 煙突
218 復水器
219 空気
220 圧縮機
221 空気分離装置(ASU)
A 過熱蒸気
B 凝縮水
F フリーボード部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
水分が多い被乾燥物石炭を乾燥する流動層乾燥装置と、
前記流動層乾燥装置で発生する発生蒸気を用いて熱回収を行う熱回収装置と、
乾燥後の製品炭を微粉砕するミルと、
ミルにより粉砕された微粉炭を処理してガス化ガスに変換する石炭ガス化炉と、
前記ガス化ガスを燃料として運転されるガスタービンと、
前記ガスタービンからのタービン排ガスを導入する排熱回収ボイラで生成した蒸気により運転される蒸気タービンと、前記ガスタービンおよび/または前記蒸気タービンと連結された発電機と、を備えてなり、
前記熱回収装置で発生した高温水蒸気を流動層乾燥装置の熱源として用いてなることを特徴とする石炭ガス化複合発電システム。
【請求項2】
請求項1において、
熱回収装置は、蒸気タービンからの抽気蒸気を用いた過熱器又は昇圧機のいずれかであることを特徴とする石炭ガス化複合発電システム。
【請求項3】
請求項2において、
前記石炭ガス化炉からのガス化ガスを精製するガス精製装置を設け、
蒸気タービンからの抽気蒸気を用いた過熱器又は昇圧機のいずれかで得られた過熱蒸気を、流動層乾燥装置で用いて凝縮水とした後、該凝縮水を前記ガス精製装置で用いてなることを特徴とする石炭ガス化複合発電システム。
【請求項4】
請求項2において、
前記石炭ガス化炉からのガス化ガスを精製する除塵装置とCOシフト反応装置とを含むガス精製装置を設け、
蒸気タービンからの抽気蒸気を用いた過熱器又は昇圧機のいずれかで得られた過熱蒸気を、蒸気タービンからの抽気蒸気を用いた過熱器で熱交換させ、その後流動層乾燥装置のCOシフト反応装置で用いてなることを特徴とする石炭ガス化複合発電システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−214562(P2011−214562A)
【公開日】平成23年10月27日(2011.10.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−86219(P2010−86219)
【出願日】平成22年4月2日(2010.4.2)
【出願人】(000006208)三菱重工業株式会社 (10,378)
【Fターム(参考)】