説明

研削装置

【目的】 半導体ウェーハを研削するための、小型コンパクトで省スペースタイプの研削装置を提供する。
【構成】 ウェーハWの着脱を行うウェーハ着脱領域Aと、ウェーハに所望の研削を遂行するウェーハ研削領域Bとの間を往復動するチャックテーブル3と、このチャックテーブル3に保持されたウェーハを研削する研削ホイール8とを含み、この研削ホイール8を回転させると共に上下動するスピンドルユニット6と、を少なくとも有する。

【考案の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】
本考案は、半導体ウェーハを研削するための研削装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の研削装置は、研削盤の中央部にインデックステーブルが連続的に又は所定角度毎に間欠駆動されるように配設され、このインデックステーブルには複数個のチャックテーブルが固定或は回転自在に支承され、且つインデックステーブルの上方には例えば3個の研削具が配設され、それぞれの研削具の下端には荒研削用砥石、中仕上用砥石、仕上用砥石が取り付けられ、各研削具はモーターにより上下動され、研削具が下方位置にある時にその砥石が回転テーブル上に載置された半導体ウェーハ等の被加工物を研削するようにしてある(例えば、実公平4−2776号公報)。
【0003】
【考案が解決しようとする課題】
上記従来の研削装置によると、複数個のチャックテーブルとそのチャックテーブルを取り付ける円形のインデックステーブル及び複数個の研削具を必要とするため、装置全体が大型化して設置スペースを多くとる問題がある。半導体工場等における研削装置の設置場所は通常クリーンルーム内であり、このクリーンルームは大きい程経費が掛かるためなるべく小型コンパクトで省スペースの研削装置が望まれている。
本考案は、このような従来の問題点を解決するためになされ、小型コンパクトで省スペースタイプの研削装置を提供することを課題としたものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】
前記課題を技術的に解決するための手段として、本考案は、ウェーハの着脱を行うウェーハ着脱領域と、ウェーハに所望の研削を遂行するウェーハ研削領域との間を往復動するチャックテーブルと、このチャックテーブルに保持されたウェーハを研削する研削ホイールを含み、この研削ホイールを回転させると共に上下動するスピンドルユニットと、を少なくとも有する研削装置を要旨とするものである。
更に、上記研削装置において、チャックテーブルの往動によってウェーハを研削すること、或はチャックテーブルが回転することを要旨とするものである。
【0005】
【作 用】
従来のインデックステーブルが存在せず、1つのチャックテーブルと1つの研削具で研削するため、装置全体を著しく小型コンパクト化することができる。
【0006】
【実施例】
以下、図示の一実施例により本考案を詳細に説明する。
図1は研削装置の要部を示すもので、基台1の上部にウェーハWの着脱を行うウェーハ着脱領域Aと、所望の研削を遂行するウェーハ研削領域Bとを有する研削加工部2が設けられ、この研削加工部2内に1つのチャックテーブル3がテーブル保持部4を介して図1に示すY軸方向に移動自在に設けられている。
【0007】
即ち、前記テーブル保持部4はボールスクリュー、サーボモーター等の公知の移動手段(図示せず)によりY軸方向に移動自在に形成され、且つテーブル保持部4の両側部には伸縮自在のカバー5が取り付けられ、テーブル保持部4が移動しても研削加工部2の上面開口部を常に被覆して内部に切削屑や切削水が落下しないようにしてあり、このテーブル保持部4のY軸方向移動に伴って前記チャックテーブル3がウェーハ着脱領域Aとウェーハ研削領域Bとの間を行き来できるようにしてある。
【0008】
6は1つのスピンドルユニットであり、その下端部にホイールマウンター7により研削ホイール8を着脱可能に装着し、ユニット保持部9を介して図1に示すZ軸方向に移動自在に設けられている。
【0009】
即ち、ユニット保持部9は前記基台1に立設した支持部10の側面にZ軸方向をなして並設されたガイドレール11に摺動自在に係合しており、このユニット保持部9の移動に伴ってZ軸方向に自在に移動することができる。このユニット保持部9の移動手段も、前記テーブル保持部4と同様にボールスクリュー、サーボモーター等の公知の移動手段(図示せず)により構成することができる。
【0010】
12は前記研削加工部2の側部に取り付けられた操作盤であり、各種の操作を例えばチャックテーブル3の上面にウェーハWを吸着又は解除する指令、チャックテーブル3(テーブル保持部4)のY軸方向への移動指令、研削ホイール8の回転又は停止の指令、スピンドルユニット6(ユニット保持部9)のZ軸方向への移動指令等をボタン操作によって簡単に行えるようにしてある。
【0011】
この場合、チャックテーブル3は軸回転しない固定式と、軸回転する可動式とがある。又、図示は省略したがウェーハの厚さを測定するための測定装置を配設することが好ましい。
【0012】
上記のように構成された本考案に係る研削装置は、ウェーハ着脱領域Aでチャックテーブル3上にウェーハWを載置固定した後、図2に示すように研削ホイール8を回転させ、チャックテーブル3をウェーハ研削領域Bに移動(Y軸移動)
し、チャックテーブル3上のウェーハWの側部から研削ホイール8の作用により研削を遂行する。
【0013】
ウェーハWは脆いので研削深さが制限され、1回の往動で所望厚さに研削できない場合は、チャックテーブル3を初期位置に復動し、研削ホイール8を僅かに下降(Z軸方向)させて必要な回数研削を繰り返し行う。
【0014】
研削終了後は、ウェーハ着脱領域Aでチャックテーブル3上からウェーハWを取り出す。この直後に、チャックテーブル3上には次のウェーハが供給されて研削工程が引き続き行われる。
【0015】
図3に示すのは、チャックテーブル3′が軸回転するタイプの場合であって、ウェーハ着脱領域AでウェーハW′を載置固定した後、ウェーハW′の中心に研削ホイール8の刃部が位置するようにチャックテーブル3′を移動させ、このチャックテーブル3′を軸回転させウェーハW′を回転させると共に、研削ホイール8を回転させながら徐々に下降させてウェーハW′の表面を所望厚さになる迄研削する。
【0016】
研削終了後、前記と同様にチャックテーブル3′を復動してウェーハ着脱領域Aでチャックテーブル3′上からウェーハW′を取り出す。この直後に、チャックテーブル3′上に次のウェーハが供給される。
尚、図2に示す往動で研削を遂行する構成の外に、ストロークを大きくして往復動で研削を遂行するように構成しても良い。
【0017】
【考案の効果】
以上説明したように、本考案によれば、1つのチャックテーブルと1つの研削ホイールとでウェーハを研削する構成であるから、従来の研削装置に比べると装置全体を小型コンパクトに纏めることができ、クリーンルーム内に設置するスペースを減少させることができ、経費の節減ができる等その実用的効果は極めて顕著である。
この場合は、通常マニュアル仕様が基本となるため従来の自動機に比べると生産性は劣るが、クリーンルームの設置面積を激減できるので半導体チップ1個当たりのコストを低減させることができる結果となって有利である。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本考案の一実施例を示す装置要部の斜視図である。
【図2】 軸回転しない固定式タイプのチャックテーブルの場合の研削要領を示す説明図である。
【図3】 軸回転する可動式タイプのチャックテーブルの場合の研削要領を示す説明図である。
【符号の説明】
1…基台 2…研削加工部 3…チャックテーブル 4…テーブル保持部 5…伸縮自在のカバー 6…スピンドルユニット 7…ホイールマウンター 8…研削ホイール 9…ユニット保持部 10…支持部 11…ガイドレール 12…操作盤 A…ウェーハ着脱領域 B…ウェーハ研削領域 W…ウェーハ

【実用新案登録請求の範囲】
【請求項1】 ウェーハの着脱を行うウェーハ着脱領域と、ウェーハに所望の研削を遂行するウェーハ研削領域との間を往復動するチャックテーブルと、このチャックテーブルに保持されたウェーハを研削する研削ホイールを含み、この研削ホイールを回転させると共に上下動するスピンドルユニットと、を少なくとも有する研削装置。
【請求項2】 チャックテーブルの往動によってウェーハを研削する請求項1記載の研削装置。
【請求項3】 チャックテーブルが回転する請求項1記載の研削装置。

【図1】
image rotate


【図2】
image rotate


【図3】
image rotate


【公開番号】実開平6−23241
【公開日】平成6年(1994)3月25日
【考案の名称】研削装置
【国際特許分類】
【出願番号】実願平4−65372
【出願日】平成4年(1992)8月27日
【出願人】(000134051)株式会社ディスコ (2,397)