研磨装置及び基板処理装置
本発明は、基板の周縁部に生じた表面荒れや、基板の周縁部に形成された膜を除去する研磨装置に関する。研磨装置は、研磨室(2)を形成するハウジング(3)と、基板Wを保持して回転させる回転テーブル(1)と、研磨室(2)内に研磨テープ(5)を繰り出し、研磨室(2)に繰り出された研磨テープ(5)を巻き取る研磨テープ繰り出し巻き取り機構(6)と、基板(W)のベベル部に対して研磨テープ(5)を押圧する研磨ヘッド(35)と、基板(W)の表裏面に液体を供給する液体供給部(50)と、研磨室(2)の内部の気圧を研磨室(2)の外部の気圧よりも低くするための調整機構(16)とを備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、研磨装置及び基板処理装置に係り、特に半導体ウェハなどの基板の周縁部(ベベル部及びエッジ部)に形成された表面荒れや、基板の周縁部に形成された膜を除去する研磨装置、及び該研磨装置を備えた基板処理装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、半導体デバイスの微細化及び高集積化が進むにつれて、パーティクルの管理はますます重要になりつつある。パーティクルを管理する上での大きな問題の1つとして、半導体デバイスの製造工程中に半導体ウェハ(基板)のベベル部及びエッジ部に生じる表面荒れに起因する発塵がある。ここで、ベベル部とは、図11に示すように、半導体ウェハWの端部において断面が曲率を有する部分Bを意味し、エッジ部とは、ウェハのベベル部Bから内周側に向かった数mm程度の表面が平坦な部分Eを意味する。以下、ベベル部及びエッジ部を総称して周縁部と称する。
【0003】
半導体デバイスの製造工程において、半導体ウェハの周縁部には多数の微小な針状突起が形成されることがあり、これが表面荒れを形成する。この針状突起は、半導体ウェハの搬送時あるいはプロセス時に破損してパーティクルを発生させる。このようなパーティクルは歩留りの低下につながるため、半導体ウェハの周縁部に形成された針状突起を除去する必要がある。
【0004】
また、近年では、半導体デバイスの配線材料としてCuや絶縁材料としてLow−k材が用いられる傾向にある。半導体ウェハの周縁部に形成されたCuが搬送ロボットのアームや、半導体ウェハを収納するカセット等に付着すると、これが拡散して他工程を汚染する、いわゆるクロスコンタミネーションの原因となり得る。また、非常に脆いLow−k膜はCMP加工中に半導体ウェハの周縁部から脱離し、パターン面にスクラッチなどのダメージを与えてしまう。したがって、半導体ウェハの周縁部からCuやLow−k膜を完全に除去することが重要となる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このような背景から、半導体製造プロセスでは、固定砥粒を表面に付着させた研磨テープを用いて基板の周縁部を研磨することが行われている。この種の研磨工程では、基板を回転させながら基板の周縁部に研磨テープを摺接させて基板の周縁部に形成された針状突起や膜を除去する。しかしながら、研磨テープを基板の周縁部に摺接させると、研磨粉(削り屑)が周囲に飛散してしまう。そして、このような研磨粉が基板のデバイス部に付着すると、デバイス部に欠陥を生じさせ、歩留まりを低下させる原因となる。したがって、基板への研磨粉の付着は防がなければならない。さらに、研磨工程後の洗浄工程、乾燥工程、及び基板搬送時においても、研磨工程で発生した研磨粉やパーティクルが基板に付着することを防がなければならない。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上述の問題点に鑑みてなされたもので、研磨時に発生する研磨粉やパーティクルが、研磨時またはその後の基板の搬送時などに基板の表面に付着することを防止することができる研磨装置及び該研磨装置を備えた基板処理装置を提供することを目的とする。
【0007】
上述した目的を達成するために、本発明の一態様は、研磨室を形成するためのハウジングと、前記研磨室内に配置され、基板を保持して回転させる回転テーブルと、前記研磨室外に配置され、前記研磨室内に研磨テープを繰り出して巻き取る研磨テープ繰り出し巻き取り機構と、基板のベベル部に対して前記研磨テープを押圧する研磨ヘッドと、基板の表裏面に液体を供給する液体供給部と、前記研磨室の内部の気圧を前記研磨室の外部の気圧よりも低くするための機構とを備えたことを特徴とする研磨装置である。
【0008】
本発明によれば、研磨中に基板の表裏面に液体を供給することにより、研磨粉やパーティクルが基板のデバイス部に付着してしまうことを防止することができる。また、排気通路を介して研磨室を真空排気することにより研磨室の内部の気圧を研磨室の外部の気圧よりも低くすることができるので、研磨粉の周囲への飛散を防止することができ、高い清浄度が求められる領域に研磨粉が流入してしまうことが防止される。更に、研磨テープ繰り出し巻き取り機構が研磨室外に配置されるので、研磨室を小さくすることができ、研磨室をクリーンに保つことが容易となる。
【0009】
本発明の好ましい態様は、前記研磨装置は、前記研磨ヘッドを基板のベベル部を中心として上下方向に揺動させる揺動機構を更に備え、前記揺動機構は前記研磨室外に配置されることを特徴とする。
【0010】
本発明の好ましい態様は、前記研磨装置は、前記研磨ヘッドと基板の間で該基板の接線方向に沿って相対的な移動をさせる相対移動機構を更に備え、前記相対移動機構は、前記研磨室外に配置されることを特徴とする。
【0011】
本発明の好ましい様態は、前記研磨装置は、前記研磨ヘッドを基板のベベル部を中心として上下方向に揺動させる揺動機構と、前記研磨ヘッドと基板の間で該基板の接線方向に沿って相対的な移動をさせる相対移動機構とを更に備え、前記揺動機構及び前記相対移動機構は、前記研磨室外に配置されることを特徴とする。
本発明によれば、基板のべべル部のみならずエッジ部も同時に研磨することができる。従って、研磨レート(除去レート)を上げることが可能となる。
【0012】
本発明の好ましい態様は、前記液体供給部は、前記研磨テープと基板との接触箇所に液体を供給する第1のノズルと、基板に液体を供給して基板の表面全体に液膜を形成させる第2のノズルと、基板の裏面に液体を供給する第3のノズルとを備えたことを特徴とする。
これにより、被研磨部の冷却と研磨粉の離脱促進が可能となるとともに、基板の表面及び裏面への研磨粉の付着を防止できる。
【0013】
本発明の好ましい態様は、前記研磨装置は、前記回転テーブルに対して基板をセンタリングする位置決め機構を更に備え、前記位置決め機構は、互いに平行に移動可能な一対のアームと、前記アームを互いに近接及び離間する方向に移動させるアーム駆動機構とを備え、前記アームのそれぞれに、基板のベベル部に当接する少なくとも2つの当接部材を設けたことを特徴とする。
【0014】
本発明の好ましい態様は、前記研磨装置は、研磨終点を検知する研磨終点検出部を更に備えたことを特徴とする。
本発明の好ましい態様は、前記研磨終点検出部は基板の被研磨部を撮像する画像センサと、該画像センサにより得られた画像を処理して被研磨部の研磨状態を判断する制御部とを備えたことを特徴とする。
【0015】
本発明の好ましい態様は、前記研磨ヘッドは超音波振動子を有することを特徴とする。
これにより、研磨テープへの研磨粉の付着が防止できるとともに、研磨加工を促進させることができる。
【0016】
本発明の好ましい態様は、前記研磨装置は、前記研磨室の内部に純水を噴射して該研磨室を洗浄する純水噴射部を更に備えたことを特徴とする。
これにより、ハウジングの内面や、回転テーブルや研磨ヘッドなどの機器に付着した研磨粉やパーティクルを純水によって洗い流すことができ、研磨室内の清浄度を維持することができる。
【0017】
本発明の他の態様は、研磨テープを基板のベベル部に摺接させて該ベベル部を研磨する研磨ユニットと、少なくとも基板のベベル部を洗浄する洗浄ユニットと、前記洗浄ユニットにより洗浄された基板を乾燥させる乾燥ユニットとを備えたことを特徴とする基板処理装置である。
【0018】
本発明の好ましい態様は、前記研磨ユニットは、前記研磨テープを基板のベベル部及びエッジ部に摺接させて該ベベル部及びエッジ部を研磨することを特徴とする。
本発明の好ましい態様は、前記研磨ユニットは、研磨テープを基板のノッチ部に摺接させて該ノッチ部を研磨することを特徴とする。
本発明の好ましい態様は、前記基板処理装置は、該基板処理装置の内部空間を、基板の研磨処理を行うための研磨エリアと基板の洗浄処理を行うための洗浄エリアとに区画する隔壁を更に備え、前記研磨エリアの内部圧力は前記洗浄エリアの内部圧力よりも低く設定されることを特徴とする。
【0019】
本発明の好ましい態様は、前記基板処理装置は、前記洗浄エリア内に、清浄な気体のダウンフローを形成するファンユニットを備えたことを特徴とする。
本発明の好ましい態様は、前記基板処理装置は、基板を研磨テーブルに押圧して該基板の表面を研磨する化学的機械的研磨ユニットを更に備えたことを特徴とする。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、本発明に係る研磨装置の実施形態について図面を参照して説明する。本発明に係る研磨装置は、半導体ウェハなどの基板のベベル部及びエッジ部、即ち周縁部を研磨することにより、基板の周縁部に形成された表面の荒れや不要な膜などを除去するものである。
図1は本発明の一実施形態に係る研磨装置を示す縦断面図であり、図2は図1の研磨装置の横断面図である。
【0021】
図1及び図2に示すように、研磨装置は、半導体ウェハWを保持して回転させる回転テーブル1と、内部に研磨室2が形成される上部ハウジング3と、上部ハウジング3の下方に配置された下部ハウジング4と、上部ハウジング3及び下部ハウジング4の側面に設けられた側部ハウジング4Aと、研磨室2に研磨テープ5を繰り出して巻き取る研磨テープ繰り出し巻き取り機構6とを備えている。側部ハウジング4Aの内部には第1の機械室15Aが形成され、この第1の機械室15Aの内部に研磨テープ繰り出し巻き取り機構6が配置されている。研磨室2は上部ハウジング3によって画成され、この研磨室2の内部に回転テーブル1が配置されている。研磨室2は、上部開口部のみを有する密閉室としてもよい。回転テーブル1の下部には回転駆動軸7が連結されており、回転駆動軸7は、円筒状の支持体12の内周面に固定された軸受8,8によって回転自在に支持されている。回転駆動軸7の下端部にはプーリ9が固定されており、このプーリ9は、ベルト11によってプーリ10に接続され、プーリ10はモータ14に連結されている。このような構成により、モータ14を駆動させると、プーリ9,10及びベルト11を介して回転駆動軸7が回転し、これによって回転テーブル1が回転する。プーリ9,10、ベルト11、及びモータ14などの回転駆動機構は、下部ハウジング4の内部に形成された第2の機械室15Bに配置されている。なお、研磨テープ繰り出し巻き取り機構6は第2の機械室15B内に配置されてもよい。
【0022】
研磨室2、第1の機械室15A、及び第2の機械室15Bは排気通路(調整機構)16を介して真空源(例えば真空ポンプ)13に連通している。この排気通路16は、研磨室2内に位置する開口部16cを有する垂直管16aと、第2の機械室15B内に位置する開口部19Aを有する水平管16bとを備えており、垂直管16aと水平管16bとは互いに連通している。水平管16bの開口部19Aには排気ダンパー17Aが設けられており、排気ダンパー17Aを操作することで開口部19Aの開閉が行われる。水平管16bは第1の機械室15A内に位置する開口部19Bを備えており、この開口部19Bには排気ダンパー17Bが設けられている。そして、排気ダンパー17Bを操作することで開口部19Bの開閉が行われる。水平管16bのもう一方の端部は配管27を介して上記真空源13に接続される。
【0023】
研磨室2の上部にはフィルタ47が設けられており、フィルタ47を通過した清浄な空気の流れが研磨室2内に形成されるようになっている。そして、清浄な気流は半導体ウェハWの周縁部近傍を上から下に流れ、排気通路16の吸引口(開口部)16cから吸引されて外部に排出される。このような気流により、後述するように、研磨中の半導体ウェハWや図2に示す位置決め機構22のアーム21などの各機器の汚染が防止される。
【0024】
回転テーブル1及び回転駆動軸7の内部には通孔7aが形成されており、この通孔7aの上端開口部は回転テーブル1の上面に位置している。通孔7aの下端開口部は、回転駆動軸7の下端に設けられたロータリーコネクタ18を介して図示しない真空源に接続されている。そして、真空源によって通孔7aに真空が形成され、回転テーブル1の上面に配置された半導体ウェハWが回転テーブル1の上面に真空吸着される。このように、回転テーブル1は半導体ウェハWを保持した状態で半導体ウェハWを回転させることが可能となっている。
【0025】
研磨室2には、回転テーブル1に対して半導体ウェハWをセンタリングする位置決め機構20が配置されている。この位置決め機構20は、互いに平行に移動可能な一対のアーム21と、これらのアーム21を互いに近接及び離間する方向に移動させるアーム駆動機構22とを備えている。アーム駆動機構22は、それぞれのアーム21に連結されたラック23と、これらのラック23に噛み合うピニオン24と、ピニオン24を回転させるモータ26とを備えている。アーム21のそれぞれには半導体ウェハWのベベル部に当接する2つの当接部材25が設けられ、これらの当接部材25は回転テーブル1上の半導体ウェハWと同一水平面上に配置されている。半導体ウェハWの研磨が行われているときには、位置決め機構20は図示しない移動機構によって下方に移動させられるようになっている。なお、本実施形態では、それぞれのアーム21に2つの当接部材25が配置されているが、3つ以上の当接部材を設けてもよい。半導体ウェハWをセンタリングすることはベベル部の研磨領域を半導体ウェハWの全周に亘って均一にする意味で重要である。
【0026】
上部ハウジング3の側面には、半導体ウェハWを研磨室2に搬入するための出入口3aと、この出入口3aを覆うシャッター30と、シャッター30を上下動させるエアシリンダ31とが設けられている。研磨される半導体ウェハWは、図示しない搬送ロボットによって出入口3aから研磨室2内に搬入され、回転テーブル1の上方に運ばれる。この状態でアーム21が互いに近接すると、アーム21に設けられた当接部材25が半導体ウェハWのベベル部に当接し、これによって半導体ウェハWが回転テーブル1にセンタリングされる。
【0027】
研磨テープ繰り出し巻き取り機構6は、上部ハウジング3の側面に取付けられており、研磨室2の外側に位置する第1の機械室15A内に配置されている。研磨テープ繰り出し巻き取り機構6は、研磨テープ5を研磨室2内に繰り出す繰り出しリール6Aと、研磨室2内に繰り出された研磨テープ5を巻き取る巻き取りリール6Bと、巻き取りリール6Bを回転させるモータ6Cとを備えている。上部ハウジング3の側部には研磨テープ5が挿通される2つのスリット3b,3cが形成されており、これらのスリット3b,3cはそれぞれ繰り出しリール6A及び巻き取りリール6Bの近傍に位置している。繰り出しリール6Aからの研磨テープ5は上方のスリット3bを通って研磨室2内に繰り出され、研磨室2からの研磨テープ5は下方のスリット3cを通って巻き取りリール6Bによって巻き取られる。
【0028】
研磨テープとしては、研磨面となるその片面に、例えば、ダイヤモンド砥粒やSiCを接着したテープを用いることができる。研磨テープに接着する砥粒は、半導体ウェハWの種類や要求される性能に応じて選択されるが、例えば粒度#4000〜#11000のダイヤモンドや粒度#4000〜#10000のSiCを用いることができる。また、砥粒を接着させていない帯状の研磨布でもよい。
【0029】
研磨室2の内部には、研磨テープ5を案内する2つのメインローラガイド32及び補助ローラガイド33が配置されている。これらのメインローラガイド32は、回転テーブル1の上面と平行に延び、互いに平行に配置されている。また、これらのメインローラガイド32は、上下方向(回転テーブル1の回転軸方向)に沿って配列され、半導体ウェハWは2つのメインローラガイド32の中間に位置している。このような配置により、メインローラガイド32によって案内される研磨テープ5は、半導体ウェハWのベベル部の近傍を上下方向に沿って移動される。補助ローラガイド33A,33Bは、研磨テープ5の移動方向においてメインローラガイド32の下流側に配置されている。補助ローラガイド33Aは図示しないスプリングによって上方に付勢され、補助ローラガイド33Bは、その位置が固定されている。
【0030】
また、研磨室2には、研磨ヘッド35と、研磨ヘッド35を半導体ウェハWに向かって移動させるプッシャシリンダ36とが設けられている。図3Aは図1に示す研磨ヘッドを示す拡大断面図である。図3Aに示すように、研磨ヘッド35は、半導体ウェハWに向かって突出する2つの突出部35aを有している。これらの突出部35aは上下方向に配列され、半導体ウェハWのベベル部が突出部35aの間に位置するように配置されている。研磨ヘッド35はプッシャシリンダ36のロッド36aに固定され、研磨テープ5の裏面(すなわち研磨面の反対側の面)に対向するように配置される。このような構成により、研磨ヘッド35がプッシャシリンダ36によって半導体ウェハWに向かって移動されると、研磨ヘッド35によって研磨テープ5の研磨面が半導体ウェハWのベベル部に押圧される。このとき、研磨テープ5は半導体ウェハWのベベル部に沿うように変形する。
【0031】
図3Bは図3Aに示す研磨ヘッドの他の構成例を示す拡大断面図である。図3Bに示すように、研磨ヘッド35には超音波振動子51が設けられており、この超音波振動子51から研磨ヘッド35に機械的振動が与えられるようになっている。この構成例によれば、研磨テープ5に付着した研磨粉を除去することができるとともに、振動動作による研磨テープ5の目立てが行われ、研磨加工を促進させることができる。
【0032】
図3Cは図3Aに示す研磨ヘッドの更に他の構成例を示す拡大断面図である。図3Cに示すように、研磨ヘッド35には2つの突出部35aにはさまれた場所に弾性体(例えば、ゴム)38が設けられており、研磨テープ5は弾性体38によって半導体ウェハWのベベル部に押圧されるようになっている。これにより、研磨テープ5の押圧力をベベル部全体に亘って均一に分散させることが可能になる。なお、弾性体38の背部にロードセンサなどの押圧力検知センサ39を設け、押圧力検知センサ39の出力信号に基づいて押圧力をコントロールすることも可能である。
【0033】
ここで、上記研磨テープ5を薄膜研磨フィルムにより形成してもよい。また、高い柔軟性を有する材質からなる研磨テープを用いることもできる。このように、研磨テープとして薄膜研磨フィルムを用いることにより、半導体ウェハWの表面、特に周縁部(ベベル部及びエッジ部)において研磨テープが折れ曲がってしまうことがない。従って、研磨テープ5を半導体ウェハWの周縁部の曲面形状に確実に沿わせることができるので、半導体ウェハWの周縁部を均等に研磨することが可能となる。この結果、半導体ウェハWの表面に形成された針状突起や半導体ウェハWの表面に付着した不要な膜を研磨により効果的にかつ確実に除去することが可能となる。ここで、「研磨テープ」はテープ状の研磨工具を意味しており、この研磨テープには、基材フィルム上に研磨砥粒を塗布した研磨フィルム及び帯状の研磨布の双方が含まれる。
【0034】
図2に示すように、プッシャシリンダ36は、クランク部材37を介して揺動機構40に連結されている。この揺動機構40は、クランク部材37のクランク軸37aに固定されたプーリ40Aと、このプーリ40Aにベルト40Cを介して接続されたプーリ40Bと、プーリ40Bに連結されたモータ40Dとを備えている。モータ40Dはプーリ40Bを一定の周期で繰り返し正転及び反転させるように駆動可能となっている。したがって、プッシャシリンダ36及び研磨ヘッド35はクランク部材37を介して揺動機構40により上下方向に揺動する。本実施形態では、クランク軸37aは、回転テーブル1上の半導体ウェハWの接線方向に延びており、これにより研磨ヘッド35は半導体ウェハWのベベル部を中心として揺動(旋回動作、傾動)する。したがって、研磨テープ5は半導体ウェハWのベベル部のみならずエッジ部にも接触する。
【0035】
上記揺動機構40には、研磨ヘッド35と半導体ウェハWとの間で相対的な移動をさせる相対移動機構41が連結されている。この相対移動機構41は、揺動機構40及びクランク部材37をクランク軸37aの延びる方向に往復移動させる。したがって、クランク部材37に連結された研磨ヘッド35は半導体ウェハWの接線方向に沿って往復移動(オシレーション動作)する。このように、揺動機構40に相対移動機構41が連結されているので、研磨ヘッド35は半導体ウェハWのベベル部を中心として揺動しつつ、同時に半導体ウェハWの接線方向に沿って往復移動する。
【0036】
揺動機構40及び相対移動機構41は、いずれも研磨室2の外に配置されている。相対移動機構41としては、エアシリンダが好適に用いられる。ここで、研磨ヘッド35と半導体ウェハWの間の相対的な移動とは、研磨ヘッド35の往復動作だけではなく、半導体ウェハW自身の回転動作や、回転テーブル1及び回転駆動機構全体を研磨テープ5の研磨面と平行に往復移動させることも含まれる。
【0037】
図1に示すように、研磨ヘッド35及び回転テーブル1の上方には、研磨室2の内部に純水を噴射する純水噴射部45が配置されている。この純水噴射部45からは、研磨室2のほぼ全体に純水が噴射され、これによって上部ハウジング3の内面や、回転テーブル1や研磨ヘッド35などの機器が純水によって洗浄される。純水噴射部45から噴射された純水は、排水管46を介して研磨室2の外部に排出される。
【0038】
図4Aは図1に示す研磨装置の部分拡大図であり、図4Bは図4Aに示す研磨装置の平面図である。
図4Aに示すように、研磨装置は、回転テーブル1上の半導体ウェハWに液体を供給する液体供給部50を備えている。供給される液体としては、純水、研磨を促進させる薬液、摩擦係数を下げる薬液などが含まれる。この液体供給部50は、研磨テープ5と半導体ウェハWとの接触箇所に、液体を噴射する第1のノズル50Aと、半導体ウェハWの表面(上面)に液体を噴射する第2のノズル50Bと、半導体ウェハWの裏面(下面)側の周縁部に液体を噴射する第3のノズル50Cとから構成されている。
【0039】
第1のノズル50Aは主に半導体ウェハWの被研磨部に噴射され、被研磨部の冷却及び摩擦係数を下げる役割と研磨粉の早期離脱という役割を持っている。図4Bに示すように、第2のノズル50Bから噴射された液体は扇状の流れを形成する。この状態で半導体ウェハWを回転させると、半導体ウェハWの表面全体に液体が拡がり、半導体ウェハWの表面全体を覆うように液膜が形成される。したがって、半導体ウェハWの表面は液膜によって周囲雰囲気から保護される。第3のノズル50Cは、半導体ウェハWの裏面(下面)に液体を噴射することによって、研磨粉が半導体ウェハWの裏面に廻り込んでしまうことを防止し、研磨粉が半導体ウェハWの裏面や回転テーブル1に付着することを防いでいる。第1のノズル50A、第2のノズル50B、及び第3のノズル50Cから供給された液体は、排水管46(図1参照)を介して研磨室2の外部に排出される。
【0040】
次に、本実施形態に係る研磨装置の動作について説明する。
まず、エアシリンダ31を作動させてシャッター30を上昇させ、出入口3aを開く。研磨すべき半導体ウェハWは図示しない搬送ロボットによって出入口3aを介して研磨室2に搬入される。半導体ウェハWは回転テーブル1の上方に搬送され、そして位置決め機構20のアーム21により半導体ウェハWが把持される。このとき、半導体ウェハWの位置決め、即ちセンタリングが行われる。半導体ウェハWを把持したアーム21が下降し、半導体ウェハWは回転テーブル1の上面に載置される。この状態で、真空源により通孔7aに真空を形成することで回転テーブル1の上面に半導体ウェハWを真空吸着させる。アーム21は更に下降し、所定の待機位置で待機する。そして、モータ14を駆動させて回転テーブル1とともに半導体ウェハWを回転させる。
【0041】
次いで、研磨テープ繰り出し巻き取り機構6の巻き取り側モータ6Cを駆動させ、研磨テープ5を低速で研磨室2に繰り出す。そして、プッシャシリンダ36により研磨ヘッド35を半導体ウェハWに向けて移動させ、研磨ヘッド35により研磨テープ5の研磨面を半導体ウェハWのベベル部に摺接させて半導体ウェハWを研磨する。このとき、揺動機構40及び相対移動機構41を駆動させ、研磨ヘッド35を上下方向に揺動させるとともに半導体ウェハWの接線方向に沿って往復移動させる。これによって、半導体ウェハWのベベル部のみならずエッジ部も同時に研磨される。なお、研磨ヘッド35を往復移動させる代わりに、回転テーブル1をクランク軸37aの延びる方向に往復移動させてもよい。
【0042】
研磨中、半導体ウェハの周縁部に対して研磨テープ5の張力による押圧力が作用する。この押圧力はベベル部からエッジ部へと研磨テープ5及び半導体ウェハWの接触箇所が変化しても一定に維持される。したがって、半導体ウェハWの形状や寸法誤差によらず、常に一定の研磨レート(除去レート)と研磨プロファイルが得られる。
【0043】
半導体ウェハWの研磨が行われている間、第1,第2,及び第3のノズル50A,50B,50Cからは純水などの液体が半導体ウェハWに供給される。液体を供給することにより、半導体ウェハWを冷却することができ、また摩擦係数を下げることができる。さらに半導体ウェハWの露出面を液体によって覆うことができ、飛散した研磨粉(粉末)が半導体ウェハWのデバイス部に付着してしまうことが防止される。さらに、研磨中は、真空源13により排気通路16を介して研磨室2を真空排気し、研磨室2の内部の圧力(すなわち、研磨室2内の気圧)を研磨室2の外部の圧力(すなわち、研磨室2外の気圧)よりも低くする。これにより、研磨室2内に飛散した研磨粉やパーティクルを排気通路16から外部に排出することができる。したがって、研磨室2をクリーンに維持することができるとともに、高い清浄度が求められる領域に研磨粉が流入してしまうことが防止される。
【0044】
ここで、研磨装置の外部空間>研磨室2>機械室15A,15Bの順に圧力勾配を設けることが好ましい。このように、本実施形態によれば、研磨粉やパーティクルの付着に起因する欠陥の発生を防止することができる。また、本実施形態によれば、研磨テープ5が連続的に繰り出されるので、常に新しい研磨面を半導体ウェハWの周縁部に摺接させることができる。したがって、半導体ウェハWの周縁部全体に亘って均一な研磨レート及び研磨プロファイルが得られる。
【0045】
研磨装置における研磨終点は、研磨時間によって管理してもよいし、あるいは、研磨終点検出部を設けて研磨終点を管理してもよい。例えば、研磨ヘッド35が位置しない場所に所定形状及び所定強度の光を照射する光源(レーザやLEDなど)を設け、半導体ウェハWからの散乱光を測定することでベベル部の凹凸を測定し、これに基づいて研磨終点を検知することとしてもよい。この例では、光は半導体ウェハのデバイス部の法線方向に照射される。または、半導体ウェハの周縁部の温度変化をモニタリングし、この温度変化に基づいて研磨終点を検出するようにしてもよい。以下、研磨終点検出の構成例について図面を参照して説明する。
【0046】
図5は研磨終点を検出する研磨終点検出部の一例を示す側面図である。図5に示すように、研磨終点検出部60は、CCDカメラからなる画像センサ61と、画像センサ61と検査対象物である半導体ウェハWとの間に配置されたリング照明62と、画像センサ61で得た画像を取り込み研磨終点に達したか否かを判断する制御部63とを備えている。
【0047】
前記研磨終点検出部60においては、研磨中に、リング照明62により半導体ウェハWの周縁部を照明し、画像センサ61により半導体ウェハWの周縁部の撮像をする。そして、画像センサ61で得られた画像を制御部63に取り込み、制御部63により半導体ウェハWの周縁部の色の変化を観察し、研磨された周縁部の状態を判断し、この色の変化により研磨終点を検出する。制御部63が研磨終点を検出すると、制御部63は研磨制御部(図示せず)に終点検出信号を送り、研磨ヘッド35を移動させて研磨テープ5を半導体ウェハWの周縁部から離間させるとともに、回転テーブル1の回転を停止する。
【0048】
なお、研磨工程を開始する前に半導体ウェハWの周縁部の形状(イニシャル形状)を画像センサ61を介して制御部63に予めストアしておき、このイニシャル形状を保つように半導体ウェハWの周縁部を研磨するようにしてもよい。イニシャル形状を決定する要素としては、半導体ウェハWの周縁部の傾斜角度、曲率、及び寸法などが挙げられる。また、画像センサ61を介して半導体ウェハの周縁部の研磨仕上がり時の画像をレファレンス画像として制御部63に予めストアしておき、画像センサ61によって研磨中に得られる画像をレファレンス画像と比較して研磨終点を検出するようにしてもよい。
【0049】
図6は研磨終点を検出する研磨終点検出部の他の例を示す側面図である。図6に示すように、研磨終点検出部70は、回転テーブル1を回転させるモータ(サーボモータ)14に接続されたモータ用アンプ71と、モータ用アンプ71で増幅された信号を取り込み研磨終点に達したか否かを判断する制御部72とを備えている。
【0050】
前記研磨終点検出部70においては、半導体ウェハWの周縁部の研磨中に、回転テーブル1を所定速度で回転させているモータ14からの信号(例えば、モータ電流値)をモータ用アンプ71により増幅し、増幅された信号を制御部72に送る。制御部72においては、モータ用アンプ71からの信号によりモータ14の回転に必要なトルク値を検出し、このトルク値の変化を解析し、研磨終点を検出する。制御部72が研磨終点を検出すると、制御部72は研磨制御部(図示せず)に終点検出信号を送り、研磨ヘッド35を移動させて研磨テープ5を半導体ウェハWの周縁部から離間させるとともに、回転テーブル1の回転を停止する。なお、回転駆動軸7等にトルクゲージを設置することにより、回転テーブル1の回転トルク値を直接に検出してもよい。この場合においても、トルク値の変化を解析して研磨終点を検出できる。さらに、研磨ヘッド35を往復移動させる相対移動機構41の圧力変化を解析することによって研磨終点を検出してもよく、回転テーブル1を往復移動させるサーボモータ(図示せず)の電流変化を解析することによって研磨終点を検出するようにしてもよい。
【0051】
図7Aは研磨終点を検出する研磨終点検出部のさらに他の例を示す側面図であり、図7Bは投光部と受光部とを具備したフォトセンサの概略図である。図7Aおよび図7Bに示すように、研磨終点検出部80は、投光部81aと受光部81bとを具備したフォトセンサ81と、フォトセンサ81に接続されフォトセンサ81の受光部81bで受光した光を計測するとともに増幅する計測機アンプ82と、計測機アンプ82で増幅した信号を取り込み研磨終点に達したか否かを判断する制御部83とを備えている。
【0052】
前記研磨終点検出部80においては、半導体ウェハWの周縁部の研磨中に、フォトセンサ81の投光部81aから半導体ウェハWの周縁部に投光し、半導体ウェハWの周縁部から反射してくる散乱光を受光部81bにより受光する。そして、フォトセンサ81で受光した散乱光を計測機アンプ82で計測するとともにその信号を増幅し、この増幅された信号を制御部83に送る。制御部83においては、計測機アンプ82からの信号により散乱光を分析し、研磨された周縁部の表面粗さを評価し、研磨終点を検出する。
【0053】
本実施形態に係る研磨装置では、回転テーブル1により真空吸着されて回転する半導体ウェハWの回転方向に研磨テープ5が引張られるために、研磨テープ5にテンション(引張り応力)が生ずることになる。そこで、このテンション(引張り応力)を歪みゲージ等によって検出し、研磨中におけるテンションの変化を分析し、研磨終点を検出するようにしてもよい。この場合、テンションを歪みゲージ等により検出し、このテンションの変化を制御部により分析して研磨終点を検出することができる。
【0054】
上述した研磨装置は半導体ウェハWのベベル部及びエッジ部を研磨するものであるが、ノッチ研磨機構を更に設けて半導体ウェハWのノッチ部を研磨するようにしてもよい。この場合は、研磨テープを半導体ウェハWのノッチ部に摺接させるとともに、円盤状の弾性体により研磨テープをノッチ部に押圧する。この弾性体の外周部は、ノッチ部の形状に対応したテーパ状の周辺部を有することが好ましい。
【0055】
次に本発明の一実施形態に係る基板処理装置について図8及び図9を参照して説明する。図8は本発明の一実施形態に係る基板処理装置の全体構成を示す平面図であり、図9は図8に示す基板処理装置の側面図である。
図8に示すように、基板処理装置は、複数の半導体ウェハ(基板)を収容した4つのウェハカセット101を載置するロード/アンロードステージ100と、ドライな半導体ウェハを搬送する第1搬送ロボット(第1搬送機構)102と、ウェットな半導体ウェハを搬送する第2搬送ロボット(第2搬送機構)103と、処理前または処理後の半導体ウェハを載置する仮置き台104と、半導体ウェハのベベル部及びノッチ部を研磨する研磨ユニット110A,110Bと、研磨後の半導体ウェハを洗浄する洗浄ユニット105A,105Bと、洗浄された半導体ウェハをリンスして乾燥させるリンスドライユニット106A,106Bとを備えている。洗浄ユニット105A,105Bは互いに同一の構成を有しており、リンスドライユニット106A,106Bも互いに同一の構成を有している。第1搬送ロボット102は、ロード/アンロードステージ100の4つのウェハカセット101の配列方向に対して平行に移動し、ウェハカセット101の一つから半導体ウェハを取り出す。
【0056】
ここで、研磨ユニット110A,110Bは、図1に示す研磨ヘッド35、プッシャシリンダ36、研磨テープ繰り出し巻き取り機構6などから構成されるベベル研磨機構と、研磨テープを半導体ウェハのノッチ部に摺接させてノッチ部を研磨する図示しないノッチ研磨機構とを備えている。しかしながら、ノッチ研磨機構は設置されなくてもよい。または、ベベル研磨機構とノッチ研磨機構が、研磨ユニット110A,110Bそれぞれに別々に設けられてもよい。ベベル研磨機構に、図2に示す揺動機構40及び相対移動機構41を設けて半導体ウェハのベベル部のみならずエッジ部も同時に研磨するようにしてもよい。なお、特に説明しない研磨ユニット110A,110Aの構成は、図1に示す研磨装置と同様である。
【0057】
第1搬送ロボット102は、ロード/アンロードステージ100上のウェハカセット101と仮置き台104との間で半導体ウェハを受け渡すようになっている。また第2搬送ロボット103は、仮置き台104、研磨ユニット110A,110B、洗浄ユニット105A,105B、及びリンスドライユニット106A,106Bの間で半導体ウェハを受け渡すようになっている。第2搬送ロボット103は、研磨後のダーティな半導体ウェハのみを保持するためのハンドと、洗浄後のクリーンな半導体ウェハのみを保持するためのハンドの2つを備えてもよい。
【0058】
リンスドライユニット106A,106Bと第1搬送ロボット102との間には第1パーティション112が設けられ、さらに洗浄ユニット105A,105Bと研磨ユニット110A,110Bとの間には第2パーティション113が設けられている。これらの第1パーティション112及び第2パーティション113によって、基板処理装置の内部空間は、搬送エリア120と洗浄エリア121と研磨エリア122とに区画される。
【0059】
第1パーティション112には、第1搬送ロボット102と仮置き台104との間で半導体ウェハの受け渡しを可能とする出入口112a及びシャッター112bが設けられている。また、第2パーティション113には、第2搬送ロボット103と研磨ユニット110A,110Bとの間で半導体ウェハの受け渡しを可能とする出入口113a及びシャッター113bが設けられている。第2搬送ロボット103は洗浄エリア121と研磨エリア122の配列方向に対して平行に移動するように構成されている。なお、洗浄ユニット105A,105B、リンスドライユニット106A,106Bは図示しないパーティションによってそれぞれ囲まれており、それぞれのパーティションには第2搬送ロボット103による半導体ウェハの搬入出を可能とする出入口及びシャッターが設けられている。
【0060】
図9に示すように、基板処理装置は周壁130で囲まれており、エア供給ファン、ケミカルフィルタ、HEPAまたはULPAフィルタなどのフィルタを有するファンユニット131が周壁130の上部に設けられ、清浄な空気がファンユニット131の下方の洗浄エリア121に供給されるようになっている。ファンユニット131は、洗浄エリア121の下部から空気を取り込み、上記フィルタを通過させた清浄な空気を下方に向けて供給する。これにより、半導体ウェハの洗浄および搬送の際に半導体ウェハが汚染されないように半導体ウェハ表面に清浄な空気のダウンフローが洗浄エリア121に形成されている。ファンユニット131から供給された清浄な空気は、第2パーティション113に設けられた通気口113cを介して研磨エリア122に供給される。研磨エリア122に供給された空気は排気口133を介して外部に排出される。第1パーティション112には通気口112cが設けられており、清浄な空気が搬送エリア120から通気口112cを介して洗浄エリア121に導入されるようになっている。
【0061】
なお、搬送エリア120>洗浄エリア121>研磨エリア122の順に圧力勾配が設けられている。このような圧力勾配により、基板処理装置は、クリーンルームのみならず、ダスト管理をしていない通常の環境に設置されても、極めて清浄なプロセスを行うことができるドライイン・ドライアウト型の基板周縁研磨装置とすることができる。
【0062】
次に、上述の構成を具備した基板処理装置の処理工程を説明する。
CMP工程やCu成膜工程を終えた半導体ウェハが収容されたウェハカセット101が図示しないカセット搬送装置によって基板処理装置に搬送され、ロード/アンロードステージ100に載置される。第1搬送ロボット102は、ロード/アンロードステージ100上のウェハカセット101から半導体ウェハを取出し、この半導体ウェハを仮置き台104に載置する。第2搬送ロボット103は、仮置き台104に載置された半導体ウェハを受け取り、この半導体ウェハを研磨ユニット110A(または110B)に搬送する。この研磨ユニット110Aにおいて、ノッチ部及びベベル部の研磨が行われる。
【0063】
研磨ユニット110Aにおいては、研磨中及び研磨後に、半導体ウェハの近傍に配置された液体供給部50(図4A及び図4B参照)から半導体ウェハの上面、周縁部、及び下面に純水又は薬液が供給される。これにより、半導体ウェハが冷却されるとともに摩擦係数が低減される。さらには半導体ウェハの表面に液膜が形成され、削り屑やパーティクルが半導体ウェハの表面に付着することを防止することができる。また、この液体の供給は、上述の目的だけではなく、研磨ユニット110Aでの半導体ウェハの表面材質の管理(例えば、薬液などによるウェハ表面の不均一な酸化などの変質を避けて均一な酸化膜を形成するなど)の目的のためにも行われる。
【0064】
研磨された半導体ウェハは、第2搬送ロボット103により研磨ユニット110Aから洗浄ユニット105A(又は105B)に搬送される。洗浄ユニット105Aでは、研磨された半導体ウェハを少なくとも1つが駆動源(図示せず)により自転する回転可能な4個のローラ140により保持して回転させる。半導体ウェハの回転中、純水ノズル(図示せず)から純水を半導体ウェハに供給しつつ、半導体ウェハの周縁部に円錐台状のローラスポンジ141を押し当ててスクラブ洗浄を行う。さらに、洗浄ユニット105Aにおいては、円筒状のローラスポンジ142をそれぞれ半導体ウェハの上方及び下方に移動させて半導体ウェハの上下面に接触させる。この状態で、半導体ウェハの上下に設置した純水ノズル(図示せず)から純水を半導体ウェハに供給しながらローラスポンジ142を回転させて、半導体ウェハの上下面を全面に亘ってスクラブ洗浄する。
【0065】
スクラブ洗浄された半導体ウェハは、第2搬送ロボット103により、洗浄ユニット105Aからリンスドライユニット106A(又は106B)に搬送される。リンスドライユニット106Aでは、半導体ウェハは回転台144に載置され、スピンチャック145により保持される。そして、半導体ウェハを100〜500min−1程度の低速で回転させ、半導体ウェハの全面に純水を供給して半導体ウェハをリンスする。その後、純水の供給を止め、半導体ウェハを1500〜5000min−1程度で高速回転させ、必要に応じて清浄な不活性ガスを供給しながら半導体ウェハのスピン乾燥を行う。
【0066】
リンスドライユニット106Aによって乾燥された半導体ウェハは、第2搬送ロボット103により仮置き台104に載置される。そして、仮置き台104に載置された半導体ウェハは、第1搬送ロボット102により出入口112aを介してロード/アンロードステージ100上のウェハカセット101に戻される。あるいは、半導体ウェハは第1搬送ロボット102によりリンスドライユニット106A(または106B)から出入口(図示せず)を介してウェハカセット101に直接戻してもよい。なお、洗浄ユニット105A,105B、及びリンスドライユニット106A,106Bにおいては、接触型の洗浄(ペンシル型やロール型などの例えばPVA製スポンジでの洗浄)と非接触型の洗浄(キャビテーションジェットや超音波印加液体による洗浄)を適宜組み合わせてもよい。
【0067】
上述した処理工程では、研磨ユニット110Aにおいて半導体ウェハのベベル部及びノッチ部が研磨され、洗浄ユニット105A及びリンスドライユニット106Aにより半導体ウェハの洗浄処理及び乾燥処理が施される。この場合、2枚の半導体ウェハを、研磨ユニット110A、洗浄ユニット105A、及びリンスドライユニット106Aから構成される処理ラインと、研磨ユニット110B、洗浄ユニット105B、及びリンスドライユニット106Bから構成される処理ラインとの2つの処理ラインによってそれぞれ同時に処理することができる。このように、2枚の半導体ウェハを2つの処理ラインでパラレル的に処理することができるので、処理能力(スループット)を向上させることができる。
【0068】
また、研磨ユニット110Aにおいてノッチ部を研磨した後、半導体ウェハを研磨ユニット110Bに搬送し、研磨ユニット110Bでベベル部を研磨してもよい。また、研磨ユニット110Aにおいて半導体ウェハのベベル部及びノッチ部を荒削りした後、研磨ユニット110Bにて仕上げ研磨を行うようにしてもよい。このように研磨ユニット110Aと研磨ユニット110Bを使い分けてシリアル的に処理を行うようにしてもよい。
【0069】
次に本発明の他の実施形態に係る基板処理装置について図10を参照して説明する。図10は本発明の他の実施形態に係る基板処理装置の全体構成を示す平面図である。この実施形態に係る基板処理装置では、研磨ユニット110A,110Bとして図1及び図2に示す研磨装置が採用されている。なお、特に説明しない本実施形態の構成及び動作については図8及び図9に示す基板処理装置と同様であるので、その重複する説明を省略する。
【0070】
図10に示すように、本実施形態の基板処理装置は、研磨エリア122内にCMP(化学的機械的研磨)ユニット150を備えている点、および洗浄エリア121内に研磨ユニット110A,110Bを備えている点で図8に示す基板処理装置と異なっている。本実施形態でも、基板処理装置の内部空間は、出入口及びシャッターをそれぞれ有する第1のパーティション112及び第2のパーティション113によって、搬送エリア120、洗浄エリア121、及び研磨エリア122に仕切られており、搬送エリア120>洗浄エリア121>研磨エリア122の順に圧力勾配が設けられている。図10に示すCMPユニット150は、半導体ウェハの表面を研磨するものである。このCMPユニット150では、研磨面151aに研磨液を供給しながら半導体ウェハを研磨テーブル151上の研磨面151aに押圧する。
【0071】
次に、本実施形態の基板処理装置の処理工程について説明する。研磨される半導体ウェハは、第1搬送ロボット102によってロード/アンロードステージ100上のウェハカセット101から仮置き台104に搬送され、次いで、第2搬送ロボット103によって仮置き台104からCMPユニット150に搬送される。CMPユニット150では半導体ウェハの表面が化学的機械的に研磨される。CMPユニット150により研磨された半導体ウェハは、第2搬送ロボット103によって研磨ユニット110A(又は110B)、洗浄ユニット105A(又は105B)、リンスドライユニット106A(又は106B)、及び仮置き台104の順に搬送され、各ユニットで半導体ウェハの処理が連続して行われる。そして、処理された半導体ウェハは、仮置き台104から又は直接リンスドライユニット106A(又は106B)からロード/アンロードステージ100上のウェハカセット101に搬送される。
【0072】
なお、半導体ウェハが処理される処理シーケンスは、適宜変更することが可能である。例えば、仮置き台104、研磨ユニット110A(又は110B)、CMPユニット150、洗浄ユニット105A(又は105B)、リンスドライユニット106A(又は106B)、仮置き台104の順に半導体ウェハを搬送してもよい。さらに、仮置き台104、研磨ユニット110A、CMPユニット150、研磨ユニット110B、洗浄ユニット105A(又は105B)、リンスドライユニット106A(又は106B)、仮置き台104の順に半導体ウェハを搬送してもよい。または、CMPユニットを2台設けて2つの処理ラインによるパラレル処理やシリアル処理を行ってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0073】
本発明は、半導体ウェハなどの基板の周縁部(ベベル部及びエッジ部)に生じた表面荒れや、基板の周縁部に形成された膜を除去する研磨装置、及び該研磨装置を備えた基板処理装置に利用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0074】
【図1】本発明の一実施形態に係る研磨装置を示す縦断面図である。
【図2】図1に示す研磨装置の横断面図である。
【図3】図3Aは図1の研磨ヘッドを示す拡大断面図であり、図3Bは図3Aに示す研磨ヘッドの他の構成例を示す拡大断面図であり、図3Cは図3Aに示す研磨ヘッドの更に他の構成例を示す拡大断面図である。
【図4】図4Aは図1に示す研磨装置の部分拡大図であり、図4Bは図4Aに示す研磨装置の平面図である。
【図5】研磨終点を検出する研磨終点検出部の一例を示す側面図である。
【図6】研磨終点を検出する研磨終点検出部の他の例を示す側面図である。
【図7】図7Aは、研磨終点を検出する研磨終点検出部のさらに他の例を示す側面図であり、図7Bは投光部と受光部とを具備したフォトセンサの概略図である。
【図8】本発明の一実施形態に係る基板処理装置の全体構成を示す平面図である。
【図9】図8に示す基板処理装置の側面図である。
【図10】本発明の他の実施形態に係る基板処理装置の全体構成を示す平面図である。
【図11】半導体ウェハのベベル部およびエッジ部を示す図である。
【技術分野】
【0001】
本発明は、研磨装置及び基板処理装置に係り、特に半導体ウェハなどの基板の周縁部(ベベル部及びエッジ部)に形成された表面荒れや、基板の周縁部に形成された膜を除去する研磨装置、及び該研磨装置を備えた基板処理装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、半導体デバイスの微細化及び高集積化が進むにつれて、パーティクルの管理はますます重要になりつつある。パーティクルを管理する上での大きな問題の1つとして、半導体デバイスの製造工程中に半導体ウェハ(基板)のベベル部及びエッジ部に生じる表面荒れに起因する発塵がある。ここで、ベベル部とは、図11に示すように、半導体ウェハWの端部において断面が曲率を有する部分Bを意味し、エッジ部とは、ウェハのベベル部Bから内周側に向かった数mm程度の表面が平坦な部分Eを意味する。以下、ベベル部及びエッジ部を総称して周縁部と称する。
【0003】
半導体デバイスの製造工程において、半導体ウェハの周縁部には多数の微小な針状突起が形成されることがあり、これが表面荒れを形成する。この針状突起は、半導体ウェハの搬送時あるいはプロセス時に破損してパーティクルを発生させる。このようなパーティクルは歩留りの低下につながるため、半導体ウェハの周縁部に形成された針状突起を除去する必要がある。
【0004】
また、近年では、半導体デバイスの配線材料としてCuや絶縁材料としてLow−k材が用いられる傾向にある。半導体ウェハの周縁部に形成されたCuが搬送ロボットのアームや、半導体ウェハを収納するカセット等に付着すると、これが拡散して他工程を汚染する、いわゆるクロスコンタミネーションの原因となり得る。また、非常に脆いLow−k膜はCMP加工中に半導体ウェハの周縁部から脱離し、パターン面にスクラッチなどのダメージを与えてしまう。したがって、半導体ウェハの周縁部からCuやLow−k膜を完全に除去することが重要となる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このような背景から、半導体製造プロセスでは、固定砥粒を表面に付着させた研磨テープを用いて基板の周縁部を研磨することが行われている。この種の研磨工程では、基板を回転させながら基板の周縁部に研磨テープを摺接させて基板の周縁部に形成された針状突起や膜を除去する。しかしながら、研磨テープを基板の周縁部に摺接させると、研磨粉(削り屑)が周囲に飛散してしまう。そして、このような研磨粉が基板のデバイス部に付着すると、デバイス部に欠陥を生じさせ、歩留まりを低下させる原因となる。したがって、基板への研磨粉の付着は防がなければならない。さらに、研磨工程後の洗浄工程、乾燥工程、及び基板搬送時においても、研磨工程で発生した研磨粉やパーティクルが基板に付着することを防がなければならない。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上述の問題点に鑑みてなされたもので、研磨時に発生する研磨粉やパーティクルが、研磨時またはその後の基板の搬送時などに基板の表面に付着することを防止することができる研磨装置及び該研磨装置を備えた基板処理装置を提供することを目的とする。
【0007】
上述した目的を達成するために、本発明の一態様は、研磨室を形成するためのハウジングと、前記研磨室内に配置され、基板を保持して回転させる回転テーブルと、前記研磨室外に配置され、前記研磨室内に研磨テープを繰り出して巻き取る研磨テープ繰り出し巻き取り機構と、基板のベベル部に対して前記研磨テープを押圧する研磨ヘッドと、基板の表裏面に液体を供給する液体供給部と、前記研磨室の内部の気圧を前記研磨室の外部の気圧よりも低くするための機構とを備えたことを特徴とする研磨装置である。
【0008】
本発明によれば、研磨中に基板の表裏面に液体を供給することにより、研磨粉やパーティクルが基板のデバイス部に付着してしまうことを防止することができる。また、排気通路を介して研磨室を真空排気することにより研磨室の内部の気圧を研磨室の外部の気圧よりも低くすることができるので、研磨粉の周囲への飛散を防止することができ、高い清浄度が求められる領域に研磨粉が流入してしまうことが防止される。更に、研磨テープ繰り出し巻き取り機構が研磨室外に配置されるので、研磨室を小さくすることができ、研磨室をクリーンに保つことが容易となる。
【0009】
本発明の好ましい態様は、前記研磨装置は、前記研磨ヘッドを基板のベベル部を中心として上下方向に揺動させる揺動機構を更に備え、前記揺動機構は前記研磨室外に配置されることを特徴とする。
【0010】
本発明の好ましい態様は、前記研磨装置は、前記研磨ヘッドと基板の間で該基板の接線方向に沿って相対的な移動をさせる相対移動機構を更に備え、前記相対移動機構は、前記研磨室外に配置されることを特徴とする。
【0011】
本発明の好ましい様態は、前記研磨装置は、前記研磨ヘッドを基板のベベル部を中心として上下方向に揺動させる揺動機構と、前記研磨ヘッドと基板の間で該基板の接線方向に沿って相対的な移動をさせる相対移動機構とを更に備え、前記揺動機構及び前記相対移動機構は、前記研磨室外に配置されることを特徴とする。
本発明によれば、基板のべべル部のみならずエッジ部も同時に研磨することができる。従って、研磨レート(除去レート)を上げることが可能となる。
【0012】
本発明の好ましい態様は、前記液体供給部は、前記研磨テープと基板との接触箇所に液体を供給する第1のノズルと、基板に液体を供給して基板の表面全体に液膜を形成させる第2のノズルと、基板の裏面に液体を供給する第3のノズルとを備えたことを特徴とする。
これにより、被研磨部の冷却と研磨粉の離脱促進が可能となるとともに、基板の表面及び裏面への研磨粉の付着を防止できる。
【0013】
本発明の好ましい態様は、前記研磨装置は、前記回転テーブルに対して基板をセンタリングする位置決め機構を更に備え、前記位置決め機構は、互いに平行に移動可能な一対のアームと、前記アームを互いに近接及び離間する方向に移動させるアーム駆動機構とを備え、前記アームのそれぞれに、基板のベベル部に当接する少なくとも2つの当接部材を設けたことを特徴とする。
【0014】
本発明の好ましい態様は、前記研磨装置は、研磨終点を検知する研磨終点検出部を更に備えたことを特徴とする。
本発明の好ましい態様は、前記研磨終点検出部は基板の被研磨部を撮像する画像センサと、該画像センサにより得られた画像を処理して被研磨部の研磨状態を判断する制御部とを備えたことを特徴とする。
【0015】
本発明の好ましい態様は、前記研磨ヘッドは超音波振動子を有することを特徴とする。
これにより、研磨テープへの研磨粉の付着が防止できるとともに、研磨加工を促進させることができる。
【0016】
本発明の好ましい態様は、前記研磨装置は、前記研磨室の内部に純水を噴射して該研磨室を洗浄する純水噴射部を更に備えたことを特徴とする。
これにより、ハウジングの内面や、回転テーブルや研磨ヘッドなどの機器に付着した研磨粉やパーティクルを純水によって洗い流すことができ、研磨室内の清浄度を維持することができる。
【0017】
本発明の他の態様は、研磨テープを基板のベベル部に摺接させて該ベベル部を研磨する研磨ユニットと、少なくとも基板のベベル部を洗浄する洗浄ユニットと、前記洗浄ユニットにより洗浄された基板を乾燥させる乾燥ユニットとを備えたことを特徴とする基板処理装置である。
【0018】
本発明の好ましい態様は、前記研磨ユニットは、前記研磨テープを基板のベベル部及びエッジ部に摺接させて該ベベル部及びエッジ部を研磨することを特徴とする。
本発明の好ましい態様は、前記研磨ユニットは、研磨テープを基板のノッチ部に摺接させて該ノッチ部を研磨することを特徴とする。
本発明の好ましい態様は、前記基板処理装置は、該基板処理装置の内部空間を、基板の研磨処理を行うための研磨エリアと基板の洗浄処理を行うための洗浄エリアとに区画する隔壁を更に備え、前記研磨エリアの内部圧力は前記洗浄エリアの内部圧力よりも低く設定されることを特徴とする。
【0019】
本発明の好ましい態様は、前記基板処理装置は、前記洗浄エリア内に、清浄な気体のダウンフローを形成するファンユニットを備えたことを特徴とする。
本発明の好ましい態様は、前記基板処理装置は、基板を研磨テーブルに押圧して該基板の表面を研磨する化学的機械的研磨ユニットを更に備えたことを特徴とする。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、本発明に係る研磨装置の実施形態について図面を参照して説明する。本発明に係る研磨装置は、半導体ウェハなどの基板のベベル部及びエッジ部、即ち周縁部を研磨することにより、基板の周縁部に形成された表面の荒れや不要な膜などを除去するものである。
図1は本発明の一実施形態に係る研磨装置を示す縦断面図であり、図2は図1の研磨装置の横断面図である。
【0021】
図1及び図2に示すように、研磨装置は、半導体ウェハWを保持して回転させる回転テーブル1と、内部に研磨室2が形成される上部ハウジング3と、上部ハウジング3の下方に配置された下部ハウジング4と、上部ハウジング3及び下部ハウジング4の側面に設けられた側部ハウジング4Aと、研磨室2に研磨テープ5を繰り出して巻き取る研磨テープ繰り出し巻き取り機構6とを備えている。側部ハウジング4Aの内部には第1の機械室15Aが形成され、この第1の機械室15Aの内部に研磨テープ繰り出し巻き取り機構6が配置されている。研磨室2は上部ハウジング3によって画成され、この研磨室2の内部に回転テーブル1が配置されている。研磨室2は、上部開口部のみを有する密閉室としてもよい。回転テーブル1の下部には回転駆動軸7が連結されており、回転駆動軸7は、円筒状の支持体12の内周面に固定された軸受8,8によって回転自在に支持されている。回転駆動軸7の下端部にはプーリ9が固定されており、このプーリ9は、ベルト11によってプーリ10に接続され、プーリ10はモータ14に連結されている。このような構成により、モータ14を駆動させると、プーリ9,10及びベルト11を介して回転駆動軸7が回転し、これによって回転テーブル1が回転する。プーリ9,10、ベルト11、及びモータ14などの回転駆動機構は、下部ハウジング4の内部に形成された第2の機械室15Bに配置されている。なお、研磨テープ繰り出し巻き取り機構6は第2の機械室15B内に配置されてもよい。
【0022】
研磨室2、第1の機械室15A、及び第2の機械室15Bは排気通路(調整機構)16を介して真空源(例えば真空ポンプ)13に連通している。この排気通路16は、研磨室2内に位置する開口部16cを有する垂直管16aと、第2の機械室15B内に位置する開口部19Aを有する水平管16bとを備えており、垂直管16aと水平管16bとは互いに連通している。水平管16bの開口部19Aには排気ダンパー17Aが設けられており、排気ダンパー17Aを操作することで開口部19Aの開閉が行われる。水平管16bは第1の機械室15A内に位置する開口部19Bを備えており、この開口部19Bには排気ダンパー17Bが設けられている。そして、排気ダンパー17Bを操作することで開口部19Bの開閉が行われる。水平管16bのもう一方の端部は配管27を介して上記真空源13に接続される。
【0023】
研磨室2の上部にはフィルタ47が設けられており、フィルタ47を通過した清浄な空気の流れが研磨室2内に形成されるようになっている。そして、清浄な気流は半導体ウェハWの周縁部近傍を上から下に流れ、排気通路16の吸引口(開口部)16cから吸引されて外部に排出される。このような気流により、後述するように、研磨中の半導体ウェハWや図2に示す位置決め機構22のアーム21などの各機器の汚染が防止される。
【0024】
回転テーブル1及び回転駆動軸7の内部には通孔7aが形成されており、この通孔7aの上端開口部は回転テーブル1の上面に位置している。通孔7aの下端開口部は、回転駆動軸7の下端に設けられたロータリーコネクタ18を介して図示しない真空源に接続されている。そして、真空源によって通孔7aに真空が形成され、回転テーブル1の上面に配置された半導体ウェハWが回転テーブル1の上面に真空吸着される。このように、回転テーブル1は半導体ウェハWを保持した状態で半導体ウェハWを回転させることが可能となっている。
【0025】
研磨室2には、回転テーブル1に対して半導体ウェハWをセンタリングする位置決め機構20が配置されている。この位置決め機構20は、互いに平行に移動可能な一対のアーム21と、これらのアーム21を互いに近接及び離間する方向に移動させるアーム駆動機構22とを備えている。アーム駆動機構22は、それぞれのアーム21に連結されたラック23と、これらのラック23に噛み合うピニオン24と、ピニオン24を回転させるモータ26とを備えている。アーム21のそれぞれには半導体ウェハWのベベル部に当接する2つの当接部材25が設けられ、これらの当接部材25は回転テーブル1上の半導体ウェハWと同一水平面上に配置されている。半導体ウェハWの研磨が行われているときには、位置決め機構20は図示しない移動機構によって下方に移動させられるようになっている。なお、本実施形態では、それぞれのアーム21に2つの当接部材25が配置されているが、3つ以上の当接部材を設けてもよい。半導体ウェハWをセンタリングすることはベベル部の研磨領域を半導体ウェハWの全周に亘って均一にする意味で重要である。
【0026】
上部ハウジング3の側面には、半導体ウェハWを研磨室2に搬入するための出入口3aと、この出入口3aを覆うシャッター30と、シャッター30を上下動させるエアシリンダ31とが設けられている。研磨される半導体ウェハWは、図示しない搬送ロボットによって出入口3aから研磨室2内に搬入され、回転テーブル1の上方に運ばれる。この状態でアーム21が互いに近接すると、アーム21に設けられた当接部材25が半導体ウェハWのベベル部に当接し、これによって半導体ウェハWが回転テーブル1にセンタリングされる。
【0027】
研磨テープ繰り出し巻き取り機構6は、上部ハウジング3の側面に取付けられており、研磨室2の外側に位置する第1の機械室15A内に配置されている。研磨テープ繰り出し巻き取り機構6は、研磨テープ5を研磨室2内に繰り出す繰り出しリール6Aと、研磨室2内に繰り出された研磨テープ5を巻き取る巻き取りリール6Bと、巻き取りリール6Bを回転させるモータ6Cとを備えている。上部ハウジング3の側部には研磨テープ5が挿通される2つのスリット3b,3cが形成されており、これらのスリット3b,3cはそれぞれ繰り出しリール6A及び巻き取りリール6Bの近傍に位置している。繰り出しリール6Aからの研磨テープ5は上方のスリット3bを通って研磨室2内に繰り出され、研磨室2からの研磨テープ5は下方のスリット3cを通って巻き取りリール6Bによって巻き取られる。
【0028】
研磨テープとしては、研磨面となるその片面に、例えば、ダイヤモンド砥粒やSiCを接着したテープを用いることができる。研磨テープに接着する砥粒は、半導体ウェハWの種類や要求される性能に応じて選択されるが、例えば粒度#4000〜#11000のダイヤモンドや粒度#4000〜#10000のSiCを用いることができる。また、砥粒を接着させていない帯状の研磨布でもよい。
【0029】
研磨室2の内部には、研磨テープ5を案内する2つのメインローラガイド32及び補助ローラガイド33が配置されている。これらのメインローラガイド32は、回転テーブル1の上面と平行に延び、互いに平行に配置されている。また、これらのメインローラガイド32は、上下方向(回転テーブル1の回転軸方向)に沿って配列され、半導体ウェハWは2つのメインローラガイド32の中間に位置している。このような配置により、メインローラガイド32によって案内される研磨テープ5は、半導体ウェハWのベベル部の近傍を上下方向に沿って移動される。補助ローラガイド33A,33Bは、研磨テープ5の移動方向においてメインローラガイド32の下流側に配置されている。補助ローラガイド33Aは図示しないスプリングによって上方に付勢され、補助ローラガイド33Bは、その位置が固定されている。
【0030】
また、研磨室2には、研磨ヘッド35と、研磨ヘッド35を半導体ウェハWに向かって移動させるプッシャシリンダ36とが設けられている。図3Aは図1に示す研磨ヘッドを示す拡大断面図である。図3Aに示すように、研磨ヘッド35は、半導体ウェハWに向かって突出する2つの突出部35aを有している。これらの突出部35aは上下方向に配列され、半導体ウェハWのベベル部が突出部35aの間に位置するように配置されている。研磨ヘッド35はプッシャシリンダ36のロッド36aに固定され、研磨テープ5の裏面(すなわち研磨面の反対側の面)に対向するように配置される。このような構成により、研磨ヘッド35がプッシャシリンダ36によって半導体ウェハWに向かって移動されると、研磨ヘッド35によって研磨テープ5の研磨面が半導体ウェハWのベベル部に押圧される。このとき、研磨テープ5は半導体ウェハWのベベル部に沿うように変形する。
【0031】
図3Bは図3Aに示す研磨ヘッドの他の構成例を示す拡大断面図である。図3Bに示すように、研磨ヘッド35には超音波振動子51が設けられており、この超音波振動子51から研磨ヘッド35に機械的振動が与えられるようになっている。この構成例によれば、研磨テープ5に付着した研磨粉を除去することができるとともに、振動動作による研磨テープ5の目立てが行われ、研磨加工を促進させることができる。
【0032】
図3Cは図3Aに示す研磨ヘッドの更に他の構成例を示す拡大断面図である。図3Cに示すように、研磨ヘッド35には2つの突出部35aにはさまれた場所に弾性体(例えば、ゴム)38が設けられており、研磨テープ5は弾性体38によって半導体ウェハWのベベル部に押圧されるようになっている。これにより、研磨テープ5の押圧力をベベル部全体に亘って均一に分散させることが可能になる。なお、弾性体38の背部にロードセンサなどの押圧力検知センサ39を設け、押圧力検知センサ39の出力信号に基づいて押圧力をコントロールすることも可能である。
【0033】
ここで、上記研磨テープ5を薄膜研磨フィルムにより形成してもよい。また、高い柔軟性を有する材質からなる研磨テープを用いることもできる。このように、研磨テープとして薄膜研磨フィルムを用いることにより、半導体ウェハWの表面、特に周縁部(ベベル部及びエッジ部)において研磨テープが折れ曲がってしまうことがない。従って、研磨テープ5を半導体ウェハWの周縁部の曲面形状に確実に沿わせることができるので、半導体ウェハWの周縁部を均等に研磨することが可能となる。この結果、半導体ウェハWの表面に形成された針状突起や半導体ウェハWの表面に付着した不要な膜を研磨により効果的にかつ確実に除去することが可能となる。ここで、「研磨テープ」はテープ状の研磨工具を意味しており、この研磨テープには、基材フィルム上に研磨砥粒を塗布した研磨フィルム及び帯状の研磨布の双方が含まれる。
【0034】
図2に示すように、プッシャシリンダ36は、クランク部材37を介して揺動機構40に連結されている。この揺動機構40は、クランク部材37のクランク軸37aに固定されたプーリ40Aと、このプーリ40Aにベルト40Cを介して接続されたプーリ40Bと、プーリ40Bに連結されたモータ40Dとを備えている。モータ40Dはプーリ40Bを一定の周期で繰り返し正転及び反転させるように駆動可能となっている。したがって、プッシャシリンダ36及び研磨ヘッド35はクランク部材37を介して揺動機構40により上下方向に揺動する。本実施形態では、クランク軸37aは、回転テーブル1上の半導体ウェハWの接線方向に延びており、これにより研磨ヘッド35は半導体ウェハWのベベル部を中心として揺動(旋回動作、傾動)する。したがって、研磨テープ5は半導体ウェハWのベベル部のみならずエッジ部にも接触する。
【0035】
上記揺動機構40には、研磨ヘッド35と半導体ウェハWとの間で相対的な移動をさせる相対移動機構41が連結されている。この相対移動機構41は、揺動機構40及びクランク部材37をクランク軸37aの延びる方向に往復移動させる。したがって、クランク部材37に連結された研磨ヘッド35は半導体ウェハWの接線方向に沿って往復移動(オシレーション動作)する。このように、揺動機構40に相対移動機構41が連結されているので、研磨ヘッド35は半導体ウェハWのベベル部を中心として揺動しつつ、同時に半導体ウェハWの接線方向に沿って往復移動する。
【0036】
揺動機構40及び相対移動機構41は、いずれも研磨室2の外に配置されている。相対移動機構41としては、エアシリンダが好適に用いられる。ここで、研磨ヘッド35と半導体ウェハWの間の相対的な移動とは、研磨ヘッド35の往復動作だけではなく、半導体ウェハW自身の回転動作や、回転テーブル1及び回転駆動機構全体を研磨テープ5の研磨面と平行に往復移動させることも含まれる。
【0037】
図1に示すように、研磨ヘッド35及び回転テーブル1の上方には、研磨室2の内部に純水を噴射する純水噴射部45が配置されている。この純水噴射部45からは、研磨室2のほぼ全体に純水が噴射され、これによって上部ハウジング3の内面や、回転テーブル1や研磨ヘッド35などの機器が純水によって洗浄される。純水噴射部45から噴射された純水は、排水管46を介して研磨室2の外部に排出される。
【0038】
図4Aは図1に示す研磨装置の部分拡大図であり、図4Bは図4Aに示す研磨装置の平面図である。
図4Aに示すように、研磨装置は、回転テーブル1上の半導体ウェハWに液体を供給する液体供給部50を備えている。供給される液体としては、純水、研磨を促進させる薬液、摩擦係数を下げる薬液などが含まれる。この液体供給部50は、研磨テープ5と半導体ウェハWとの接触箇所に、液体を噴射する第1のノズル50Aと、半導体ウェハWの表面(上面)に液体を噴射する第2のノズル50Bと、半導体ウェハWの裏面(下面)側の周縁部に液体を噴射する第3のノズル50Cとから構成されている。
【0039】
第1のノズル50Aは主に半導体ウェハWの被研磨部に噴射され、被研磨部の冷却及び摩擦係数を下げる役割と研磨粉の早期離脱という役割を持っている。図4Bに示すように、第2のノズル50Bから噴射された液体は扇状の流れを形成する。この状態で半導体ウェハWを回転させると、半導体ウェハWの表面全体に液体が拡がり、半導体ウェハWの表面全体を覆うように液膜が形成される。したがって、半導体ウェハWの表面は液膜によって周囲雰囲気から保護される。第3のノズル50Cは、半導体ウェハWの裏面(下面)に液体を噴射することによって、研磨粉が半導体ウェハWの裏面に廻り込んでしまうことを防止し、研磨粉が半導体ウェハWの裏面や回転テーブル1に付着することを防いでいる。第1のノズル50A、第2のノズル50B、及び第3のノズル50Cから供給された液体は、排水管46(図1参照)を介して研磨室2の外部に排出される。
【0040】
次に、本実施形態に係る研磨装置の動作について説明する。
まず、エアシリンダ31を作動させてシャッター30を上昇させ、出入口3aを開く。研磨すべき半導体ウェハWは図示しない搬送ロボットによって出入口3aを介して研磨室2に搬入される。半導体ウェハWは回転テーブル1の上方に搬送され、そして位置決め機構20のアーム21により半導体ウェハWが把持される。このとき、半導体ウェハWの位置決め、即ちセンタリングが行われる。半導体ウェハWを把持したアーム21が下降し、半導体ウェハWは回転テーブル1の上面に載置される。この状態で、真空源により通孔7aに真空を形成することで回転テーブル1の上面に半導体ウェハWを真空吸着させる。アーム21は更に下降し、所定の待機位置で待機する。そして、モータ14を駆動させて回転テーブル1とともに半導体ウェハWを回転させる。
【0041】
次いで、研磨テープ繰り出し巻き取り機構6の巻き取り側モータ6Cを駆動させ、研磨テープ5を低速で研磨室2に繰り出す。そして、プッシャシリンダ36により研磨ヘッド35を半導体ウェハWに向けて移動させ、研磨ヘッド35により研磨テープ5の研磨面を半導体ウェハWのベベル部に摺接させて半導体ウェハWを研磨する。このとき、揺動機構40及び相対移動機構41を駆動させ、研磨ヘッド35を上下方向に揺動させるとともに半導体ウェハWの接線方向に沿って往復移動させる。これによって、半導体ウェハWのベベル部のみならずエッジ部も同時に研磨される。なお、研磨ヘッド35を往復移動させる代わりに、回転テーブル1をクランク軸37aの延びる方向に往復移動させてもよい。
【0042】
研磨中、半導体ウェハの周縁部に対して研磨テープ5の張力による押圧力が作用する。この押圧力はベベル部からエッジ部へと研磨テープ5及び半導体ウェハWの接触箇所が変化しても一定に維持される。したがって、半導体ウェハWの形状や寸法誤差によらず、常に一定の研磨レート(除去レート)と研磨プロファイルが得られる。
【0043】
半導体ウェハWの研磨が行われている間、第1,第2,及び第3のノズル50A,50B,50Cからは純水などの液体が半導体ウェハWに供給される。液体を供給することにより、半導体ウェハWを冷却することができ、また摩擦係数を下げることができる。さらに半導体ウェハWの露出面を液体によって覆うことができ、飛散した研磨粉(粉末)が半導体ウェハWのデバイス部に付着してしまうことが防止される。さらに、研磨中は、真空源13により排気通路16を介して研磨室2を真空排気し、研磨室2の内部の圧力(すなわち、研磨室2内の気圧)を研磨室2の外部の圧力(すなわち、研磨室2外の気圧)よりも低くする。これにより、研磨室2内に飛散した研磨粉やパーティクルを排気通路16から外部に排出することができる。したがって、研磨室2をクリーンに維持することができるとともに、高い清浄度が求められる領域に研磨粉が流入してしまうことが防止される。
【0044】
ここで、研磨装置の外部空間>研磨室2>機械室15A,15Bの順に圧力勾配を設けることが好ましい。このように、本実施形態によれば、研磨粉やパーティクルの付着に起因する欠陥の発生を防止することができる。また、本実施形態によれば、研磨テープ5が連続的に繰り出されるので、常に新しい研磨面を半導体ウェハWの周縁部に摺接させることができる。したがって、半導体ウェハWの周縁部全体に亘って均一な研磨レート及び研磨プロファイルが得られる。
【0045】
研磨装置における研磨終点は、研磨時間によって管理してもよいし、あるいは、研磨終点検出部を設けて研磨終点を管理してもよい。例えば、研磨ヘッド35が位置しない場所に所定形状及び所定強度の光を照射する光源(レーザやLEDなど)を設け、半導体ウェハWからの散乱光を測定することでベベル部の凹凸を測定し、これに基づいて研磨終点を検知することとしてもよい。この例では、光は半導体ウェハのデバイス部の法線方向に照射される。または、半導体ウェハの周縁部の温度変化をモニタリングし、この温度変化に基づいて研磨終点を検出するようにしてもよい。以下、研磨終点検出の構成例について図面を参照して説明する。
【0046】
図5は研磨終点を検出する研磨終点検出部の一例を示す側面図である。図5に示すように、研磨終点検出部60は、CCDカメラからなる画像センサ61と、画像センサ61と検査対象物である半導体ウェハWとの間に配置されたリング照明62と、画像センサ61で得た画像を取り込み研磨終点に達したか否かを判断する制御部63とを備えている。
【0047】
前記研磨終点検出部60においては、研磨中に、リング照明62により半導体ウェハWの周縁部を照明し、画像センサ61により半導体ウェハWの周縁部の撮像をする。そして、画像センサ61で得られた画像を制御部63に取り込み、制御部63により半導体ウェハWの周縁部の色の変化を観察し、研磨された周縁部の状態を判断し、この色の変化により研磨終点を検出する。制御部63が研磨終点を検出すると、制御部63は研磨制御部(図示せず)に終点検出信号を送り、研磨ヘッド35を移動させて研磨テープ5を半導体ウェハWの周縁部から離間させるとともに、回転テーブル1の回転を停止する。
【0048】
なお、研磨工程を開始する前に半導体ウェハWの周縁部の形状(イニシャル形状)を画像センサ61を介して制御部63に予めストアしておき、このイニシャル形状を保つように半導体ウェハWの周縁部を研磨するようにしてもよい。イニシャル形状を決定する要素としては、半導体ウェハWの周縁部の傾斜角度、曲率、及び寸法などが挙げられる。また、画像センサ61を介して半導体ウェハの周縁部の研磨仕上がり時の画像をレファレンス画像として制御部63に予めストアしておき、画像センサ61によって研磨中に得られる画像をレファレンス画像と比較して研磨終点を検出するようにしてもよい。
【0049】
図6は研磨終点を検出する研磨終点検出部の他の例を示す側面図である。図6に示すように、研磨終点検出部70は、回転テーブル1を回転させるモータ(サーボモータ)14に接続されたモータ用アンプ71と、モータ用アンプ71で増幅された信号を取り込み研磨終点に達したか否かを判断する制御部72とを備えている。
【0050】
前記研磨終点検出部70においては、半導体ウェハWの周縁部の研磨中に、回転テーブル1を所定速度で回転させているモータ14からの信号(例えば、モータ電流値)をモータ用アンプ71により増幅し、増幅された信号を制御部72に送る。制御部72においては、モータ用アンプ71からの信号によりモータ14の回転に必要なトルク値を検出し、このトルク値の変化を解析し、研磨終点を検出する。制御部72が研磨終点を検出すると、制御部72は研磨制御部(図示せず)に終点検出信号を送り、研磨ヘッド35を移動させて研磨テープ5を半導体ウェハWの周縁部から離間させるとともに、回転テーブル1の回転を停止する。なお、回転駆動軸7等にトルクゲージを設置することにより、回転テーブル1の回転トルク値を直接に検出してもよい。この場合においても、トルク値の変化を解析して研磨終点を検出できる。さらに、研磨ヘッド35を往復移動させる相対移動機構41の圧力変化を解析することによって研磨終点を検出してもよく、回転テーブル1を往復移動させるサーボモータ(図示せず)の電流変化を解析することによって研磨終点を検出するようにしてもよい。
【0051】
図7Aは研磨終点を検出する研磨終点検出部のさらに他の例を示す側面図であり、図7Bは投光部と受光部とを具備したフォトセンサの概略図である。図7Aおよび図7Bに示すように、研磨終点検出部80は、投光部81aと受光部81bとを具備したフォトセンサ81と、フォトセンサ81に接続されフォトセンサ81の受光部81bで受光した光を計測するとともに増幅する計測機アンプ82と、計測機アンプ82で増幅した信号を取り込み研磨終点に達したか否かを判断する制御部83とを備えている。
【0052】
前記研磨終点検出部80においては、半導体ウェハWの周縁部の研磨中に、フォトセンサ81の投光部81aから半導体ウェハWの周縁部に投光し、半導体ウェハWの周縁部から反射してくる散乱光を受光部81bにより受光する。そして、フォトセンサ81で受光した散乱光を計測機アンプ82で計測するとともにその信号を増幅し、この増幅された信号を制御部83に送る。制御部83においては、計測機アンプ82からの信号により散乱光を分析し、研磨された周縁部の表面粗さを評価し、研磨終点を検出する。
【0053】
本実施形態に係る研磨装置では、回転テーブル1により真空吸着されて回転する半導体ウェハWの回転方向に研磨テープ5が引張られるために、研磨テープ5にテンション(引張り応力)が生ずることになる。そこで、このテンション(引張り応力)を歪みゲージ等によって検出し、研磨中におけるテンションの変化を分析し、研磨終点を検出するようにしてもよい。この場合、テンションを歪みゲージ等により検出し、このテンションの変化を制御部により分析して研磨終点を検出することができる。
【0054】
上述した研磨装置は半導体ウェハWのベベル部及びエッジ部を研磨するものであるが、ノッチ研磨機構を更に設けて半導体ウェハWのノッチ部を研磨するようにしてもよい。この場合は、研磨テープを半導体ウェハWのノッチ部に摺接させるとともに、円盤状の弾性体により研磨テープをノッチ部に押圧する。この弾性体の外周部は、ノッチ部の形状に対応したテーパ状の周辺部を有することが好ましい。
【0055】
次に本発明の一実施形態に係る基板処理装置について図8及び図9を参照して説明する。図8は本発明の一実施形態に係る基板処理装置の全体構成を示す平面図であり、図9は図8に示す基板処理装置の側面図である。
図8に示すように、基板処理装置は、複数の半導体ウェハ(基板)を収容した4つのウェハカセット101を載置するロード/アンロードステージ100と、ドライな半導体ウェハを搬送する第1搬送ロボット(第1搬送機構)102と、ウェットな半導体ウェハを搬送する第2搬送ロボット(第2搬送機構)103と、処理前または処理後の半導体ウェハを載置する仮置き台104と、半導体ウェハのベベル部及びノッチ部を研磨する研磨ユニット110A,110Bと、研磨後の半導体ウェハを洗浄する洗浄ユニット105A,105Bと、洗浄された半導体ウェハをリンスして乾燥させるリンスドライユニット106A,106Bとを備えている。洗浄ユニット105A,105Bは互いに同一の構成を有しており、リンスドライユニット106A,106Bも互いに同一の構成を有している。第1搬送ロボット102は、ロード/アンロードステージ100の4つのウェハカセット101の配列方向に対して平行に移動し、ウェハカセット101の一つから半導体ウェハを取り出す。
【0056】
ここで、研磨ユニット110A,110Bは、図1に示す研磨ヘッド35、プッシャシリンダ36、研磨テープ繰り出し巻き取り機構6などから構成されるベベル研磨機構と、研磨テープを半導体ウェハのノッチ部に摺接させてノッチ部を研磨する図示しないノッチ研磨機構とを備えている。しかしながら、ノッチ研磨機構は設置されなくてもよい。または、ベベル研磨機構とノッチ研磨機構が、研磨ユニット110A,110Bそれぞれに別々に設けられてもよい。ベベル研磨機構に、図2に示す揺動機構40及び相対移動機構41を設けて半導体ウェハのベベル部のみならずエッジ部も同時に研磨するようにしてもよい。なお、特に説明しない研磨ユニット110A,110Aの構成は、図1に示す研磨装置と同様である。
【0057】
第1搬送ロボット102は、ロード/アンロードステージ100上のウェハカセット101と仮置き台104との間で半導体ウェハを受け渡すようになっている。また第2搬送ロボット103は、仮置き台104、研磨ユニット110A,110B、洗浄ユニット105A,105B、及びリンスドライユニット106A,106Bの間で半導体ウェハを受け渡すようになっている。第2搬送ロボット103は、研磨後のダーティな半導体ウェハのみを保持するためのハンドと、洗浄後のクリーンな半導体ウェハのみを保持するためのハンドの2つを備えてもよい。
【0058】
リンスドライユニット106A,106Bと第1搬送ロボット102との間には第1パーティション112が設けられ、さらに洗浄ユニット105A,105Bと研磨ユニット110A,110Bとの間には第2パーティション113が設けられている。これらの第1パーティション112及び第2パーティション113によって、基板処理装置の内部空間は、搬送エリア120と洗浄エリア121と研磨エリア122とに区画される。
【0059】
第1パーティション112には、第1搬送ロボット102と仮置き台104との間で半導体ウェハの受け渡しを可能とする出入口112a及びシャッター112bが設けられている。また、第2パーティション113には、第2搬送ロボット103と研磨ユニット110A,110Bとの間で半導体ウェハの受け渡しを可能とする出入口113a及びシャッター113bが設けられている。第2搬送ロボット103は洗浄エリア121と研磨エリア122の配列方向に対して平行に移動するように構成されている。なお、洗浄ユニット105A,105B、リンスドライユニット106A,106Bは図示しないパーティションによってそれぞれ囲まれており、それぞれのパーティションには第2搬送ロボット103による半導体ウェハの搬入出を可能とする出入口及びシャッターが設けられている。
【0060】
図9に示すように、基板処理装置は周壁130で囲まれており、エア供給ファン、ケミカルフィルタ、HEPAまたはULPAフィルタなどのフィルタを有するファンユニット131が周壁130の上部に設けられ、清浄な空気がファンユニット131の下方の洗浄エリア121に供給されるようになっている。ファンユニット131は、洗浄エリア121の下部から空気を取り込み、上記フィルタを通過させた清浄な空気を下方に向けて供給する。これにより、半導体ウェハの洗浄および搬送の際に半導体ウェハが汚染されないように半導体ウェハ表面に清浄な空気のダウンフローが洗浄エリア121に形成されている。ファンユニット131から供給された清浄な空気は、第2パーティション113に設けられた通気口113cを介して研磨エリア122に供給される。研磨エリア122に供給された空気は排気口133を介して外部に排出される。第1パーティション112には通気口112cが設けられており、清浄な空気が搬送エリア120から通気口112cを介して洗浄エリア121に導入されるようになっている。
【0061】
なお、搬送エリア120>洗浄エリア121>研磨エリア122の順に圧力勾配が設けられている。このような圧力勾配により、基板処理装置は、クリーンルームのみならず、ダスト管理をしていない通常の環境に設置されても、極めて清浄なプロセスを行うことができるドライイン・ドライアウト型の基板周縁研磨装置とすることができる。
【0062】
次に、上述の構成を具備した基板処理装置の処理工程を説明する。
CMP工程やCu成膜工程を終えた半導体ウェハが収容されたウェハカセット101が図示しないカセット搬送装置によって基板処理装置に搬送され、ロード/アンロードステージ100に載置される。第1搬送ロボット102は、ロード/アンロードステージ100上のウェハカセット101から半導体ウェハを取出し、この半導体ウェハを仮置き台104に載置する。第2搬送ロボット103は、仮置き台104に載置された半導体ウェハを受け取り、この半導体ウェハを研磨ユニット110A(または110B)に搬送する。この研磨ユニット110Aにおいて、ノッチ部及びベベル部の研磨が行われる。
【0063】
研磨ユニット110Aにおいては、研磨中及び研磨後に、半導体ウェハの近傍に配置された液体供給部50(図4A及び図4B参照)から半導体ウェハの上面、周縁部、及び下面に純水又は薬液が供給される。これにより、半導体ウェハが冷却されるとともに摩擦係数が低減される。さらには半導体ウェハの表面に液膜が形成され、削り屑やパーティクルが半導体ウェハの表面に付着することを防止することができる。また、この液体の供給は、上述の目的だけではなく、研磨ユニット110Aでの半導体ウェハの表面材質の管理(例えば、薬液などによるウェハ表面の不均一な酸化などの変質を避けて均一な酸化膜を形成するなど)の目的のためにも行われる。
【0064】
研磨された半導体ウェハは、第2搬送ロボット103により研磨ユニット110Aから洗浄ユニット105A(又は105B)に搬送される。洗浄ユニット105Aでは、研磨された半導体ウェハを少なくとも1つが駆動源(図示せず)により自転する回転可能な4個のローラ140により保持して回転させる。半導体ウェハの回転中、純水ノズル(図示せず)から純水を半導体ウェハに供給しつつ、半導体ウェハの周縁部に円錐台状のローラスポンジ141を押し当ててスクラブ洗浄を行う。さらに、洗浄ユニット105Aにおいては、円筒状のローラスポンジ142をそれぞれ半導体ウェハの上方及び下方に移動させて半導体ウェハの上下面に接触させる。この状態で、半導体ウェハの上下に設置した純水ノズル(図示せず)から純水を半導体ウェハに供給しながらローラスポンジ142を回転させて、半導体ウェハの上下面を全面に亘ってスクラブ洗浄する。
【0065】
スクラブ洗浄された半導体ウェハは、第2搬送ロボット103により、洗浄ユニット105Aからリンスドライユニット106A(又は106B)に搬送される。リンスドライユニット106Aでは、半導体ウェハは回転台144に載置され、スピンチャック145により保持される。そして、半導体ウェハを100〜500min−1程度の低速で回転させ、半導体ウェハの全面に純水を供給して半導体ウェハをリンスする。その後、純水の供給を止め、半導体ウェハを1500〜5000min−1程度で高速回転させ、必要に応じて清浄な不活性ガスを供給しながら半導体ウェハのスピン乾燥を行う。
【0066】
リンスドライユニット106Aによって乾燥された半導体ウェハは、第2搬送ロボット103により仮置き台104に載置される。そして、仮置き台104に載置された半導体ウェハは、第1搬送ロボット102により出入口112aを介してロード/アンロードステージ100上のウェハカセット101に戻される。あるいは、半導体ウェハは第1搬送ロボット102によりリンスドライユニット106A(または106B)から出入口(図示せず)を介してウェハカセット101に直接戻してもよい。なお、洗浄ユニット105A,105B、及びリンスドライユニット106A,106Bにおいては、接触型の洗浄(ペンシル型やロール型などの例えばPVA製スポンジでの洗浄)と非接触型の洗浄(キャビテーションジェットや超音波印加液体による洗浄)を適宜組み合わせてもよい。
【0067】
上述した処理工程では、研磨ユニット110Aにおいて半導体ウェハのベベル部及びノッチ部が研磨され、洗浄ユニット105A及びリンスドライユニット106Aにより半導体ウェハの洗浄処理及び乾燥処理が施される。この場合、2枚の半導体ウェハを、研磨ユニット110A、洗浄ユニット105A、及びリンスドライユニット106Aから構成される処理ラインと、研磨ユニット110B、洗浄ユニット105B、及びリンスドライユニット106Bから構成される処理ラインとの2つの処理ラインによってそれぞれ同時に処理することができる。このように、2枚の半導体ウェハを2つの処理ラインでパラレル的に処理することができるので、処理能力(スループット)を向上させることができる。
【0068】
また、研磨ユニット110Aにおいてノッチ部を研磨した後、半導体ウェハを研磨ユニット110Bに搬送し、研磨ユニット110Bでベベル部を研磨してもよい。また、研磨ユニット110Aにおいて半導体ウェハのベベル部及びノッチ部を荒削りした後、研磨ユニット110Bにて仕上げ研磨を行うようにしてもよい。このように研磨ユニット110Aと研磨ユニット110Bを使い分けてシリアル的に処理を行うようにしてもよい。
【0069】
次に本発明の他の実施形態に係る基板処理装置について図10を参照して説明する。図10は本発明の他の実施形態に係る基板処理装置の全体構成を示す平面図である。この実施形態に係る基板処理装置では、研磨ユニット110A,110Bとして図1及び図2に示す研磨装置が採用されている。なお、特に説明しない本実施形態の構成及び動作については図8及び図9に示す基板処理装置と同様であるので、その重複する説明を省略する。
【0070】
図10に示すように、本実施形態の基板処理装置は、研磨エリア122内にCMP(化学的機械的研磨)ユニット150を備えている点、および洗浄エリア121内に研磨ユニット110A,110Bを備えている点で図8に示す基板処理装置と異なっている。本実施形態でも、基板処理装置の内部空間は、出入口及びシャッターをそれぞれ有する第1のパーティション112及び第2のパーティション113によって、搬送エリア120、洗浄エリア121、及び研磨エリア122に仕切られており、搬送エリア120>洗浄エリア121>研磨エリア122の順に圧力勾配が設けられている。図10に示すCMPユニット150は、半導体ウェハの表面を研磨するものである。このCMPユニット150では、研磨面151aに研磨液を供給しながら半導体ウェハを研磨テーブル151上の研磨面151aに押圧する。
【0071】
次に、本実施形態の基板処理装置の処理工程について説明する。研磨される半導体ウェハは、第1搬送ロボット102によってロード/アンロードステージ100上のウェハカセット101から仮置き台104に搬送され、次いで、第2搬送ロボット103によって仮置き台104からCMPユニット150に搬送される。CMPユニット150では半導体ウェハの表面が化学的機械的に研磨される。CMPユニット150により研磨された半導体ウェハは、第2搬送ロボット103によって研磨ユニット110A(又は110B)、洗浄ユニット105A(又は105B)、リンスドライユニット106A(又は106B)、及び仮置き台104の順に搬送され、各ユニットで半導体ウェハの処理が連続して行われる。そして、処理された半導体ウェハは、仮置き台104から又は直接リンスドライユニット106A(又は106B)からロード/アンロードステージ100上のウェハカセット101に搬送される。
【0072】
なお、半導体ウェハが処理される処理シーケンスは、適宜変更することが可能である。例えば、仮置き台104、研磨ユニット110A(又は110B)、CMPユニット150、洗浄ユニット105A(又は105B)、リンスドライユニット106A(又は106B)、仮置き台104の順に半導体ウェハを搬送してもよい。さらに、仮置き台104、研磨ユニット110A、CMPユニット150、研磨ユニット110B、洗浄ユニット105A(又は105B)、リンスドライユニット106A(又は106B)、仮置き台104の順に半導体ウェハを搬送してもよい。または、CMPユニットを2台設けて2つの処理ラインによるパラレル処理やシリアル処理を行ってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0073】
本発明は、半導体ウェハなどの基板の周縁部(ベベル部及びエッジ部)に生じた表面荒れや、基板の周縁部に形成された膜を除去する研磨装置、及び該研磨装置を備えた基板処理装置に利用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0074】
【図1】本発明の一実施形態に係る研磨装置を示す縦断面図である。
【図2】図1に示す研磨装置の横断面図である。
【図3】図3Aは図1の研磨ヘッドを示す拡大断面図であり、図3Bは図3Aに示す研磨ヘッドの他の構成例を示す拡大断面図であり、図3Cは図3Aに示す研磨ヘッドの更に他の構成例を示す拡大断面図である。
【図4】図4Aは図1に示す研磨装置の部分拡大図であり、図4Bは図4Aに示す研磨装置の平面図である。
【図5】研磨終点を検出する研磨終点検出部の一例を示す側面図である。
【図6】研磨終点を検出する研磨終点検出部の他の例を示す側面図である。
【図7】図7Aは、研磨終点を検出する研磨終点検出部のさらに他の例を示す側面図であり、図7Bは投光部と受光部とを具備したフォトセンサの概略図である。
【図8】本発明の一実施形態に係る基板処理装置の全体構成を示す平面図である。
【図9】図8に示す基板処理装置の側面図である。
【図10】本発明の他の実施形態に係る基板処理装置の全体構成を示す平面図である。
【図11】半導体ウェハのベベル部およびエッジ部を示す図である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
研磨室を形成するためのハウジングと、
前記研磨室内に配置され、基板を保持して回転させる回転テーブルと、
前記研磨室外に配置され、前記研磨室内に研磨テープを繰り出して巻き取る研磨テープ繰り出し巻き取り機構と、
基板のベベル部に対して前記研磨テープを押圧する研磨ヘッドと、
基板の表裏面に液体を供給する液体供給部と、
前記研磨室の内部の気圧を前記研磨室の外部の気圧よりも低くするための調整機構とを備えることを特徴とする研磨装置。
【請求項2】
前記研磨ヘッドを基板のベベル部を中心として上下方向に揺動させる揺動機構を更に備え、
前記揺動機構は、前記研磨室外に配置されることを特徴とする請求項1に記載の研磨装置。
【請求項3】
前記研磨ヘッドと基板の間で該基板の接線方向に沿って相対的な移動をさせる相対移動機構を更に備え、
前記相対移動機構は、前記研磨室外に配置されることを特徴とする請求項1に記載の研磨装置。
【請求項4】
前記研磨ヘッドを基板のベベル部を中心として上下方向に揺動させる揺動機構と、
前記研磨ヘッドと基板の間で該基板の接線方向に沿って相対的な移動をさせる相対移動機構とを更に備え、
前記揺動機構及び前記相対移動機構は、前記研磨室外に配置されることを特徴とする請求項1に記載の研磨装置。
【請求項5】
前記液体供給部は、前記研磨テープと基板との接触箇所に液体を供給する第1のノズルと、基板に液体を供給して基板の表面全体に液膜を形成させる第2のノズルと、基板の裏面に液体を供給する第3のノズルとを備えたことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の研磨装置。
【請求項6】
前記回転テーブルに対して基板をセンタリングする位置決め機構を更に備え、
前記位置決め機構は、互いに平行に移動可能な一対のアームと、前記アームを互いに近接及び離間する方向に移動させるアーム駆動機構とを備え、前記アームのそれぞれに、基板のベベル部に当接する少なくとも2つの当接部材を設けたことを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の研磨装置。
【請求項7】
研磨終点を検知する研磨終点検出部を更に備えたことを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の研磨装置。
【請求項8】
基板の被研磨部を撮像する画像センサと、該画像センサにより得られた画像を処理して被研磨部の研磨状態を判断する制御部とを備えたことを特徴とする請求項7記載の研磨装置。
【請求項9】
前記研磨ヘッドは超音波振動子を有することを特徴とする請求項1乃至8のいずれか1項に記載の研磨装置。
【請求項10】
前記研磨室の内部に純水を噴射して該研磨室を洗浄する純水噴射部を備えたことを特徴とする請求項1乃至9のいずれか1項に記載の研磨装置。
【請求項11】
研磨テープを基板のベベル部に摺接させて該ベベル部を研磨する研磨ユニットと、
少なくとも基板のベベル部を洗浄する洗浄ユニットと、
前記洗浄ユニットにより洗浄された基板を乾燥させる乾燥ユニットとを備えたことを特徴とする基板処理装置。
【請求項12】
前記研磨ユニットは、前記研磨テープを基板のベベル部及びエッジ部に摺接させて該ベベル部及びエッジ部を研磨することを特徴とする請求項11に記載の基板処理装置。
【請求項13】
前記研磨ユニットは、研磨テープを基板のノッチ部に摺接させて該ノッチ部を研磨することを特徴とする請求項11又は12記載の基板処理装置。
【請求項14】
前記基板処理装置の内部空間を、基板の研磨処理を行うための研磨エリアと基板の洗浄処理を行うための洗浄エリアとに区画する隔壁を更に備え、前記研磨エリアの内部圧力は前記洗浄エリアの内部圧力よりも低く設定されることを特徴とする請求項11乃至13のいずれか1項に記載の基板処理装置。
【請求項15】
洗浄エリア内に、清浄な気体のダウンフローを形成するファンユニットを備えたことを特徴とする請求項14に記載の基板処理装置。
【請求項16】
基板を研磨テーブルに押圧して該基板の表面を研磨する化学的機械的研磨ユニットを更に備えたことを特徴とする請求項11乃至15のいずれか1項に記載の基板処理装置。
【請求項1】
研磨室を形成するためのハウジングと、
前記研磨室内に配置され、基板を保持して回転させる回転テーブルと、
前記研磨室外に配置され、前記研磨室内に研磨テープを繰り出して巻き取る研磨テープ繰り出し巻き取り機構と、
基板のベベル部に対して前記研磨テープを押圧する研磨ヘッドと、
基板の表裏面に液体を供給する液体供給部と、
前記研磨室の内部の気圧を前記研磨室の外部の気圧よりも低くするための調整機構とを備えることを特徴とする研磨装置。
【請求項2】
前記研磨ヘッドを基板のベベル部を中心として上下方向に揺動させる揺動機構を更に備え、
前記揺動機構は、前記研磨室外に配置されることを特徴とする請求項1に記載の研磨装置。
【請求項3】
前記研磨ヘッドと基板の間で該基板の接線方向に沿って相対的な移動をさせる相対移動機構を更に備え、
前記相対移動機構は、前記研磨室外に配置されることを特徴とする請求項1に記載の研磨装置。
【請求項4】
前記研磨ヘッドを基板のベベル部を中心として上下方向に揺動させる揺動機構と、
前記研磨ヘッドと基板の間で該基板の接線方向に沿って相対的な移動をさせる相対移動機構とを更に備え、
前記揺動機構及び前記相対移動機構は、前記研磨室外に配置されることを特徴とする請求項1に記載の研磨装置。
【請求項5】
前記液体供給部は、前記研磨テープと基板との接触箇所に液体を供給する第1のノズルと、基板に液体を供給して基板の表面全体に液膜を形成させる第2のノズルと、基板の裏面に液体を供給する第3のノズルとを備えたことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の研磨装置。
【請求項6】
前記回転テーブルに対して基板をセンタリングする位置決め機構を更に備え、
前記位置決め機構は、互いに平行に移動可能な一対のアームと、前記アームを互いに近接及び離間する方向に移動させるアーム駆動機構とを備え、前記アームのそれぞれに、基板のベベル部に当接する少なくとも2つの当接部材を設けたことを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の研磨装置。
【請求項7】
研磨終点を検知する研磨終点検出部を更に備えたことを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載の研磨装置。
【請求項8】
基板の被研磨部を撮像する画像センサと、該画像センサにより得られた画像を処理して被研磨部の研磨状態を判断する制御部とを備えたことを特徴とする請求項7記載の研磨装置。
【請求項9】
前記研磨ヘッドは超音波振動子を有することを特徴とする請求項1乃至8のいずれか1項に記載の研磨装置。
【請求項10】
前記研磨室の内部に純水を噴射して該研磨室を洗浄する純水噴射部を備えたことを特徴とする請求項1乃至9のいずれか1項に記載の研磨装置。
【請求項11】
研磨テープを基板のベベル部に摺接させて該ベベル部を研磨する研磨ユニットと、
少なくとも基板のベベル部を洗浄する洗浄ユニットと、
前記洗浄ユニットにより洗浄された基板を乾燥させる乾燥ユニットとを備えたことを特徴とする基板処理装置。
【請求項12】
前記研磨ユニットは、前記研磨テープを基板のベベル部及びエッジ部に摺接させて該ベベル部及びエッジ部を研磨することを特徴とする請求項11に記載の基板処理装置。
【請求項13】
前記研磨ユニットは、研磨テープを基板のノッチ部に摺接させて該ノッチ部を研磨することを特徴とする請求項11又は12記載の基板処理装置。
【請求項14】
前記基板処理装置の内部空間を、基板の研磨処理を行うための研磨エリアと基板の洗浄処理を行うための洗浄エリアとに区画する隔壁を更に備え、前記研磨エリアの内部圧力は前記洗浄エリアの内部圧力よりも低く設定されることを特徴とする請求項11乃至13のいずれか1項に記載の基板処理装置。
【請求項15】
洗浄エリア内に、清浄な気体のダウンフローを形成するファンユニットを備えたことを特徴とする請求項14に記載の基板処理装置。
【請求項16】
基板を研磨テーブルに押圧して該基板の表面を研磨する化学的機械的研磨ユニットを更に備えたことを特徴とする請求項11乃至15のいずれか1項に記載の基板処理装置。
【図1】
【図2】
【図3A】
【図3B】
【図3C】
【図4A】
【図4B】
【図5】
【図6】
【図7A】
【図7B】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3A】
【図3B】
【図3C】
【図4A】
【図4B】
【図5】
【図6】
【図7A】
【図7B】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公表番号】特表2007−524231(P2007−524231A)
【公表日】平成19年8月23日(2007.8.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−524978(P2006−524978)
【出願日】平成17年2月23日(2005.2.23)
【国際出願番号】PCT/JP2005/003415
【国際公開番号】WO2005/081301
【国際公開日】平成17年9月1日(2005.9.1)
【出願人】(000000239)株式会社荏原製作所 (1,477)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成19年8月23日(2007.8.23)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年2月23日(2005.2.23)
【国際出願番号】PCT/JP2005/003415
【国際公開番号】WO2005/081301
【国際公開日】平成17年9月1日(2005.9.1)
【出願人】(000000239)株式会社荏原製作所 (1,477)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]