説明

破砕分離システム

【課題】 原料から所要物質を抽出する際に効率的に作業を行うことができる破砕分離システムを提供することである。
【解決手段】 原料を破砕するための破砕部(20)と、破砕された原料から所要物質を抽出するための分離部(30)とを備えた破砕分離システム(10)は、分離部が、長さ方向軸線を中心として回転されるように配置された濾過部分(32)と、濾過部分の内部において斜め上方に水を噴射するように配置された給水管(36)とを備え、濾過部分が、水平方向に延び、全体として円筒形に形作られたフレーム(36a)と、フレームの外周に配置されたフィルタ(36b)とを有していることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、原料を破砕して所要物質を抽出する破砕分離システムに関する。本発明の破砕分離システムは、有機物質、動植物、魚介類、食物残滓等からの所要物質の抽出に用いられる。
【背景技術】
【0002】
従来、有機物質、動植物、魚介類、食物残滓等からの所要物質の抽出には、遠心分離器やフィルタによる濾過などの方法が用いられている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、例えばジャガイモから澱粉質を抽出する場合に遠心分離器やフィルタによる濾過を用いると、澱粉の比重が重く沈殿し易いため、分離用の膜が目詰まりし、作業が効率的に実施できないという弊害があった。また、血液分離を行おうとする場合には、血液が空気に触れると瞬時に凝固するため、分離の難易度が高く作業が用意ではないという弊害があった。
【0004】
本発明は、このような状況に鑑みて案出されたものであって、原料から所要物質を抽出する際に効率的に作業を行うことができる破砕分離システムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の請求項1に記載された、原料を破砕するための破砕部と、破砕された原料から所要物質を抽出するための分離部とを備えた破砕分離システムは、前記分離部が、長さ方向軸線を中心として回転されるように配置された濾過部分と、前記濾過部分の内部において斜め上方に水を噴射するように配置された給水管とを備え、前記濾過部分が、水平方向に延び、全体として円筒形に形作られたフレームと、前記フレームの外周に配置されたフィルタとを有していることを特徴とするものである。
【0006】
本発明の請求項2に記載された破砕分離システムは、前記請求項1のシステムにおいて、前記濾過部分の内面に、原料を排出口に向かって移送するための移送羽根が設けられていることを特徴とするものである。
【0007】
本発明の請求項3に記載された破砕分離システムは、前記請求項1又は2のシステムにおいて、前記破砕部が、水平方向に延びたシャフト及び前記シャフトに取り付けられた螺旋羽根を有する1基又は複数基の破砕手段と、前記破砕手段を収容するための円筒体とを備え、前記シャフトを回転させることにより、前記円筒体に投入された原料を破砕するように構成されていることを特徴とするものである。
【0008】
本発明の請求項4に記載された破砕分離システムは、前記請求項1又は2のシステムにおいて、前記破砕部が、水平方向に延びたシャフト及び前記シャフトに取り付けられた螺旋羽根を有する1基又は複数基の破砕手段と、前記破砕手段を収容するための円筒体とを備え、前記円筒体を回転させることにより、前記円筒体に投入された原料を破砕するように構成されていることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、濾過部分において水をフィルタに噴射させて物質を抽出するため、フィルタの目詰まりを最小限にとどめることができ、効率的な作業を行うことが可能になる。また、さらに、使用した水を再利用することができるので、エネルギーの省略化を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
次に図面を参照して、ジャガイモから澱粉質を抽出する場合を例として、本発明の好ましい実施の形態に係る破砕分離システムについて詳細に説明する。図1は、本発明の好ましい実施の形態に係る破砕分離システムの全体を概略的に示した斜視図である。図1において全体として参照符号10で示される本発明の好ましい実施の形態に係る破砕分離システムは大別して、原料を破砕するための破砕部20と、破砕された原料から所要物質を抽出するための分離部30とを備えている。
【0011】
まず最初に、破砕部20について説明する。破砕部20は、並列して配置された2基の破砕手段22を備えている。破砕手段22は、図3に示されるように、水平方向に延びたシャフト22aと、シャフト22aに取り付けられた螺旋羽根22bとを有している。シャフト22aは、モータ等の駆動手段22cに連結されており、駆動手段22c(図2参照)を作動させることによって、螺旋羽根22bが回転するようになっている。
【0012】
好ましくは、螺旋羽根22bの螺旋方向は、原料の破砕を効率的に行うために、それぞれ別方向(例えば、一方を右回り、他方を左回り)に形成される。また、破砕手段22は、1基のみを設けてもよく、或いは3基以上を設けてもよい。さらに、螺旋羽根22bの形状は、図示されたものに限定されるものではない。
【0013】
破砕部20は又、水平方向に延び、破砕手段22を収容するための円筒体24と、原料となるジャガイモを円筒体24内の一端に投入するための原料投入用ホッパ26とを備えている。
【0014】
一方、分離部30は、濾過部分32を備えている。濾過部分32は、その一端が円筒体24の他端と連通し、破砕部20で破砕された原料が濾過部分32内に移送されるようになっている。濾過部分32は、図5に最も良く示されるように、水平方向に延び、全体として円筒形に形作られたフレーム32aと、フレーム32aの外周に配置されたフィルタ32bとを有している。フィルタ32bは、適当な透水性の材料で形成されている。
【0015】
分離部30は又、濾過部分32をその長さ方向軸線X(図5参照)を中心として回転させる回転手段34を備えている。回転手段34は、濾過部分32を回転させるためのギア機構34a(図6(a)参照)と、ギア機構34aを駆動させるためのモータ34bとを有している。そして、モータ34bを作動させることにより、ギア機構34aを介して、濾過部分32を回転させることができるようになっている。
【0016】
分離部30は更に、円筒体24および濾過部分32の内部を貫通して水平方向に延びた給水管36を備えている。給水管36には、濾過部分32に位置する部分に、水を斜め上方に噴射するように形成された複数のノズル36aが設けられている(図7参照)。
【0017】
なお、分離部30には、ノズル22aから噴射された水がフィルタ32bを通して外部に飛散しないようにするための飛散防止カバー38と、ジャガイモから抽出した澱粉質を排出するための排出口40と、濾過に使用された汚水を排出するための汚水排水口42とを備えている。好ましくは、濾過部分32の内面には、原料を排出口40に向かって移送するための移送羽根44が設けられている。
【0018】
以上のように構成された破砕分離システム10の作動について説明する。まず、駆動手段22cを作動させて攪拌羽根22bを回転させた後、原料投入用ホッパ26からジャガイモを水とともに円筒体24内に投入する。すると、ジャガイモは攪拌羽根22bによって破砕されて濾過部分32に移送される。濾過部分32に移送された破砕されたジャガイモ片は、回転する螺旋部分32内で回転しつつ排出口40の方へ移送されるが、その際、給水管36のノズル36aから斜め上方に噴射される水により、螺旋部分32の上方に位置するジャガイモ片が洗浄され、澱粉質が抽出される(換言すると、洗浄水がフィルタ32aから濾過部分32外に排出され、澱粉質がフィルタ32aに付着した状態となる)。このようにして抽出された澱粉質は、排出口40から回収される。なお、濾過部分32外に排出された洗浄水は、汚水排水口42から回収され、再利用に供される。
【0019】
本発明は、以上の発明の実施の形態に限定されることなく、特許請求の範囲に記載された発明の範囲内で、種々の変更が可能であり、それらも本発明の範囲内に包含されるものであることはいうまでもない。
【0020】
例えば、前記実施の形態において、円筒体24内に収容された破砕手段22が回転して原料を破砕するように構成されているが、円筒体自体を回転させることによって原料を破砕させるように構成してもよい。図8を参照して具体的に説明すると、円筒体24′は、支持部材25によって回転可能に支持されており、円筒体24′の外周に取り付けられた歯車24′aに噛み合う歯車23aを駆動手段23bで回転させることにより、円筒体24′を回転させることができるようになっている。
【0021】
また、前記実施の形態では専らジャガイモの破砕・分離を例にとって説明したが、本発明のシステムを、有機物質、動植物、魚介類、食物残滓等からの所要物質の抽出や血液分離等の用途にも使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の好ましい実施の形態に係る破砕分離システムの全体を概略的に示した斜視図である。
【図2】図1の破砕分離システムの正面図である。
【図3】破砕手段を示した斜視図である。
【図4】図4(a)は図2の線4a−4aに沿って見た断面図、図4(b)は図2の線4b−4bに沿って見た断面図である。
【図5】濾過部分を示した部分切り取り斜視図である。
【図6】図6(a)は図2の線6a−6aに沿って見た断面図、図6(b)は図2の線6b−6bに沿って見た断面図である。
【図7】図7(a)は給水管を示した斜視図、図7(b)は図7(a)の線7b−7bに沿って見た断面図である。
【図8】円筒体の変形形態を示した模式図である。
【符号の説明】
【0023】
10 破砕分離システム
20 破砕部
22 破砕手段
24 円筒体
26 原料投入用ホッパ
30 分離部
32 濾過部分
34 回転手段
36 給水管
38 飛散防止カバー
40 排出口
42 汚水排水口
44 移送羽根

【特許請求の範囲】
【請求項1】
原料を破砕するための破砕部と、破砕された原料から所要物質を抽出するための分離部とを備えた破砕分離システムであって、
前記分離部が、長さ方向軸線を中心として回転されるように配置された濾過部分と、前記濾過部分の内部において斜め上方に水を噴射するように配置された給水管とを備え、
前記濾過部分が、水平方向に延び、全体として円筒形に形作られたフレームと、前記フレームの外周に配置されたフィルタとを有していることを特徴とするシステム。
【請求項2】
前記濾過部分の内面に、原料を排出口に向かって移送するための移送羽根が設けられていることを特徴とする請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記破砕部が、水平方向に延びたシャフト及び前記シャフトに取り付けられた螺旋羽根を有する1基又は複数基の破砕手段と、前記破砕手段を収容するための円筒体とを備え、前記シャフトを回転させることにより、前記円筒体に投入された原料を破砕するように構成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載のシステム。
【請求項4】
前記破砕部が、水平方向に延びたシャフト及び前記シャフトに取り付けられた螺旋羽根を有する1基又は複数基の破砕手段と、前記破砕手段を収容するための円筒体とを備え、前記円筒体を回転させることにより、前記円筒体に投入された原料を破砕するように構成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載のシステム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2009−112915(P2009−112915A)
【公開日】平成21年5月28日(2009.5.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−287030(P2007−287030)
【出願日】平成19年11月5日(2007.11.5)
【出願人】(597133293)
【出願人】(599025031)
【Fターム(参考)】