説明

破砕方法及び破砕システム

【課題】破砕寸法を小さくすることができ、安全性が高く、装置が大きくならない破砕方法及び破砕システムを提供する。
【解決手段】ケーシング10と、このケーシング10の上方に開口した、2軸剪断式破砕装置から排出される処理物が投入される投入口10aと、この投入口10aの下方にケーシング10内部を区分けするように傾斜配置された、複数の縦型のスリットを有する振り分けダンパ11と、振り分けダンパ11のスリット11cを通過した処理物を次工程に排出する排出口10bと、振り分けダンパ11を通過することなく、振り分けダンパ11上を滑落する処理物を再び2軸剪断式破砕装置に返送する返送口10dとを有し、所定寸法より小さい処理物のみを、次工程に排出する。なお、振り分けダンパ11を起立させる起立手段13と、掻取手段12を設けてスリットを閉塞する処理物を除去することが好ましい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、廃棄物等の処理物を破砕する破砕方法及び破砕システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
産業廃棄物や粗大ごみ等の大型の一般廃棄物には、鉄やアルミニウム等のリサイクル可能な資源が含まれている。そのような廃棄物から資源である鉄やアルミニウム等を回収し易くするための前処理装置として破砕装置は広く利用されている。破砕装置の後段には鉄を回収するための磁選機やアルミニウムを回収するためのアルミ選別機等が設置され、破砕処理された処理物から鉄、アルミニウム等を選別し、回収するリサイクル施設が実際に稼働している。粗大ごみ等の大型廃棄物をリサイクルする施設では、種々の破砕装置により、処理物の破砕後の寸法(以下破砕寸法とする)を小さくしているが、破砕装置の代表的なものに多軸剪断式破砕装置がある。この多軸剪断式破砕装置は、隣接して配置された一組又はそれ以上の低速回転する破砕刃で、処理物を剪断することにより破砕するものであり、そのなかでも2軸を有する2軸剪断式破砕装置が多く利用されている。2軸剪断式破砕装置は、破砕寸法が破砕刃の寸法に左右され、破砕刃の直径が大きく、厚みが厚い場合には、破砕後の処理物が大きく(長く)なってしまう場合がある。処理物が大きい場合には、鉄が磁選機でうまく吸着されなかったり、アルミニウムがアルミ選別機でうまく飛ばなかったりして、良好な選別ができないため、鉄やアルミニウム等の回収率、回収純度が低下してしまうという問題があった。また、鉄やアルミニウム以外の処理物を磁選機、アルミ選別機での選別過程で巻き込んだりして、回収率、回収純度が低下してしまうという問題があった。
【0003】
前述の通り、鉄、アルミニウムをより高純度、高回収率でリサイクルするためには、処理物の破砕寸法をできるだけ小さくする必要がある。このため、鉄、アルミニウムの回収率、回収純度をより向上させるためには、2軸剪断式破砕装置を直列で2基設置し、後段の2軸剪断式破砕装置の破砕刃の寸法を前段のものより小さくして、破砕寸法を小さくすることが多い。しかし、このように2軸剪断式破砕装置を直列して2基設置すると、大きな設置スペースが必要となることや、建設費、維持管理費が大きくなってしまうという問題があった。あるいは、手作業による粗切断を実施している施設もあるが、粗切断を実施してもその寸法には限界があり、手作業となるため効率が良くないという問題があった。
【0004】
そこで、特許文献1に示されるように、2軸剪断式破砕装置の後段にハンマー式破砕装置を組み合わせて設置した破砕システムがある。このハンマー式破砕装置は、高速回転するローターにハンマー状の破砕刃を取り付け、これとケーシングに固定した衝撃板やバーとの間で、処理物を衝撃、剪断またはすりつぶし作用により破砕するものである。このハンマー式破砕装置は、破砕後の処理物がスクリーンを抜ける大きさまで破砕されて排出されるため、1段式の場合でも所望の破砕寸法まで破砕することが可能となる。しかし、このハンマー式破砕装置は、処理物に可燃性ガス等が入った缶、ボンベ等が混入してそれが破砕され、可燃性ガスが破砕装置内に充満した場合に、高速で回転する破砕刃と処理物との衝撃に起因する火花により火災、爆発等が起こる危険性が高い。そこで通常は可燃ガス検知器、火災検知器、爆発検知器、自動消火装置、換気装置、不燃性ガス吹込装置等の安全対策が必要となるため設備が大掛かりになり、コスト高になるという問題があった。また、ハンマー式破砕装置は高速回転する破砕刃の衝撃により破砕する方式で、2軸剪断式破砕機のように処理物を破砕刃が噛み込む方式ではないため、破砕刃の上部に処理物が跳ね上がったり、滞留したりするためのある程度の空間が必要であり、破砕装置自体が大型となるという問題があった。
【特許文献1】特開平11−319623号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は上記問題を解決し、破砕寸法を小さくすることができ、安全性が高く、装置が大きくならない破砕方法及び破砕システムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するためになされた本発明は、2軸剪断式破砕装置で破砕された処理物を、所定寸法以上か所定寸法より小さいかに選別し、所定寸法以上の処理物を、再び同じ2軸剪断式破砕装置で破砕し、所定寸法より小さい処理物のみを、次工程に排出することを特徴とする。
【0007】
本発明の破砕方法を具現化するシステムは、2軸剪断式破砕装置の後段に、所定寸法以上の処理物を同じ2軸剪断式破砕装置に返送し、所定寸法より小さい処理物のみを次工程に排出する選別機を設けたことを特徴とする。
【0008】
なお、選別機は、ケーシングとその上方に開口した、2軸剪断式破砕装置から排出される処理物が投入される投入口と、この投入口の下方にケーシング内部を区分けするように傾斜配置された、複数の縦型のスリットを有する振り分けダンパと、この振り分けダンパの篩い部を通過した処理物を次工程に排出する排出口と、前記振り分けダンパを通過することなく、前記振り分けダンパ上を滑落する処理物を再び2軸剪断式破砕装置に返送する返送口とを有することが好ましい。
【0009】
また、振り分けダンパの下端を、ケーシングに揺動可能に軸支するとともに、振り分けダンパを起立させる起立手段を設け、振り分けダンパを起立させることにより、篩い部を閉塞する処理物を返送口に落下させて、篩い部を閉塞する処理物を除去することが好ましい。
【0010】
また、篩い部が縦長のスリットにより構成されるスリット式篩い部の前記スリットに侵入し、前記スリットに引っかかっている処理物を掻き取るための、回転軸に植設された棒又は板状の掻取部材を有する掻取羽根を、ケーシングの側面に回転可能に取り付けることが好ましい。
【0011】
また、スリットの閉塞を検知する閉塞検知センサーを設けることが好ましい。
【発明の効果】
【0012】
2軸剪断式破砕装置で破砕された処理物を、所定寸法以上か所定寸法より小さいかに選別し、所定寸法以上の処理物を、再び2軸剪断式破砕装置で破砕し、所定寸法より小さい処理物のみを、次工程に排出することとしたので、破砕寸法を小さくすることができ、設備が大きくならない破砕方法を提供することが可能となった。また、2軸剪断式破砕装置の破砕刃は通常低速回転式なので、ハンマー式破砕装置のように処理物と破砕刃との衝撃により火花が発生することがほとんどない。このため、火災や爆発等が発生することがハンマー式破砕装置に比べて少なく安全性が高いだけでなく、火災や爆発等を対策するための安全装置を最小限にすることが可能で設備が大掛かりになることがない。また、1段の2軸剪断式破装置だけで破砕寸法を小さくすることが可能になるので、設置スペースが大きくならず、イニシャルコスト、ランニングコストが高くならない。
【0013】
本発明の破砕方法を具現化するシステムとして、2軸剪断式破砕装置の後段に、所定寸法以上の処理物を2軸剪断式破砕装置の前に返送し、所定寸法より小さい処理物のみを次工程に排出する選別機を設け、この選別機の好ましい実施形態としてケーシングと、このケーシングの上方に開口した、2軸剪断式破砕装置から排出される処理物が投入される投入口と、この投入口の下方にケーシング内部を区分けするように傾斜配置された、篩い部を有する振り分けダンパと、この振り分けダンパの篩い部を通過した処理物を次工程に排出する排出口と、前記振り分けダンパを通過することなく、前記振り分けダンパ上を滑落する処理物を再び2軸剪断式破砕装置の前に返送する返送口とを有することとしたので、1段の2軸剪断式破砕装置のみで破砕寸法を小さくすることができ、これまで必要であった2段破砕に比べて設備が大きくならない破砕方法を提供することが可能となった。また、2軸剪断式破砕装置の破砕刃は通常低速回転式なので、処理物と破砕刃による衝撃により火花が発生することがほとんどない。このため、火災や爆発等が発生することがハンマー式破砕装置に比べて少なく安全性が高いだけでなく、火災や爆発等を対策するための安全装置を最小限とすることが可能で設備が大掛かりになることがない。また、2軸剪断式破砕装置が1段だけで破砕寸法を小さくすることが可能になるので、設置スペースが大きくならず、イニシャルコスト、ランニングコストが高くならない。
【0014】
また、振り分けダンパの下端を、ケーシングに揺動可能に軸支するとともに、振り分けダンパを起立させる起立手段を設け、振り分けダンパを起立させることにより、篩い部を閉塞する処理物を返送口に落下させて、篩い部を閉塞する処理物を除去することとすると、篩い部が処理物により閉塞して、所定寸法より小さい処理物が排出口から排出されなくなることを防止することが可能となる。
【0015】
また、篩い部を、スリット式とした場合は、スリット式篩い部のスリットに侵入し、スリットに引っかかっている処理物を掻き取るための、回転軸に植設された棒又は板状の掻取部材を有する掻取羽根を、ケーシングの側面に回転可能に取り付けることとすると、より確実に、スリットを閉塞する処理物を除去することが可能となる。
【0016】
また、篩い部を、所定間隔をおいて植設された棒状部材又は板状部材により構成されるスリット式とし、隣り合う棒状部材又は板状部材を独立で揺動可能とすると、前記スリットを閉塞する処理物を容易に除去することが可能になる。
【0017】
また、篩い部の閉塞を検知する閉塞検知センサーを設けると、確実に篩い部の閉塞を検知して、篩い部を閉塞する処理物を除去することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下に、図面を参照しつつ本発明の好ましい実施の形態を示す。
図1は破砕システムの説明図である。1は供給コンベア、2は横型2軸剪断式破砕装置、3は選別機、4は搬送コンベア、5は磁選機、6はアルミ選別機である。
【0019】
供給コンベア1は、産業廃棄物や粗大ごみ等の大型の一般廃棄物等の処理物を横型2軸剪断式破砕装置2に投入するためのものである。なお、粗大ごみ等の大型の一般廃棄物とは、タンス、机、椅子、棚等の木製又はスチール家具、家電、自転車等が挙げられる。
【0020】
横型2軸剪断式破砕装置2は、隣接して配置された一組の低速回転する破砕刃2aにより、処理物を剪断することにより破砕するものである。
【0021】
選別機3は、横型2軸剪断式破砕装置2の下方に配置されている。この選別機3は、横型2軸剪断式破砕装置2で破砕された処理物を、所定寸法以上か所定寸法より小さいかに選別し、所定寸法以上の処理物を、供給コンベア1に返送して、再びこの処理物を横型2軸剪断式破砕装置2に投入して破砕し、所定寸法より小さい処理物のみを、次工程(搬送コンベア4)に排出するものである。この選別機3については、詳細に後述する。
【0022】
選別機3から排出される所定寸法より小さい処理物は、搬送コンベア4で次工程に搬送される。この際に磁選機5の磁力により、処理物に含まれる鉄が回収され、アルミ選別機6のうず電流効果により処理物に含まれるアルミニウムが飛ばされて回収され、リサイクル設備へ搬送される。
【0023】
図2に選別機3の詳細図を示す。選別機3は、図2に示されるように、主に、ケーシング10、振り分けダンパ11、掻取羽根12、から構成されている。
【0024】
ケーシング10は箱形状をしている。このケーシング10の上部は開口していて、投入部10aとなっている。投入部10aから、横型2軸剪断式破砕装置2から排出される処理物がケーシング10内に投入されるようになっている。ケーシング10の下端は、開口していて排出口10bとなっている。ケーシング10の一方の側面から矩形断面の返送シュート10cが下側斜め方向に分岐している。返送シュート10cの下端は開口していて、返送口10dとなっている。
【0025】
図3に図2のA−A矢視図を示し、振り分けダンパ11をスリット式とした場合の詳細図を示す。この振り分けダンパ11は、図3に示されるように、回転軸11aに所定の間隔を開けて複数の棒又は板状部材11bを植設したものである。なお、隣接する棒又は板状部材11bは、同一平面上に配置されている。このように構成することにより、縦型のスリット11cが複数形成されている。なお、スリット11cの幅寸法aは、本実施形態では、150〜200mmとなっている。
【0026】
振り分けダンパ11は、投入口10aの下方に、ケーシング10内部を上下に区分けするように、傾斜配置されている。振り分けダンパ11は、ケーシング10の返送シュート10cが分岐している側の側面に揺動可能に軸支されている。振り分けダンパ11は、回転軸11aを下側にして、この回転軸11aの軸中心が、返送シュート10cが、ケーシング10から分岐する部分の下端である股部10eと同一になるようにして、ケーシング10の股部10eに揺動可能に軸支されている。
【0027】
ケーシング10内部の、上下に区分けされたそれぞれの部分が、スリット11cにより連通するようになっている。なお、本実施形態では、スリット11cを、回転軸11aに所定の間隔をおいて植設された棒又は板状部材11cにより形成しているが、板状の部材に、縦長の穴を開けて縦型のスリットを形成して、振り分けダンパを構成することとしても差し支えない。このスリット11cは、処理物を大きさにより選別する篩い部となっている。なお、この篩い部は、図3に示されるようなスリット状の形態でも良いが、格子状、穴状のものでも構わない。
【0028】
振り分けダンパ11は、起立手段であるエアシリンダー13により、起立するようになっている。なお、起立手段は、エアシリンダー13に限定されず、振り分けダンパ11を起立させるものであればすべて含まれ、油圧シリンダーや電動シリンダー、電動モータ、エンジン等の動力を使用した起立手段であっても差し支えない。
【0029】
返送シュート10cが分岐している側のケーシング10の側面には、掻取羽根12が回転可能に軸支されている。この掻取羽根12は、回転軸12aと、この回転軸12aに所定間隔をおいて植設された棒又は板状の掻取部材12bとから構成されている。隣接する掻取部材12bの間隔は、隣接するスリット11cの間隔と同じ間隔になっている。掻取羽根12の回転軸12aが、ケーシング10の側面に軸支されている。このように構成することにより、掻取部材12bは、スリット11cに侵入するようになっている。
【0030】
ケーシング10内部には、閉塞検知センサー14が取り付けられている。この閉塞検知センサー14は、処理物による、スリット11cの閉塞を検知するものである。この閉塞検知センサー14は、例えば、ケーシング10の対向する側面に取り付けられた、投光器14aと受光器14bとから構成された光電管式のものであり、投光器14aから発せられた信号は、スリット11cを通過して、受光器14bで受信するようになっている。受光器14bが、投光器14aから発せられた信号を受信しない時には、スリット11cが閉塞したと検知する。
【0031】
なお、閉塞検知センサー14は、接触式、超音波式のものであっても差し支えない。また、この接触式の閉塞検知センサー14には、羽根式のものが含まれる。羽根式の閉塞検知センサー14は、処理物がスリット11cを閉塞することにより、処理物がケーシング10内で蓄積した際に、ケーシング10に取り付けられた回転する羽根が、前記蓄積した処理物が前記羽根と当接することにより、前記羽根の回転が停止した場合に、スリット11cの閉塞を検知するものである。
【0032】
次に本発明の作用について説明をする。横型2軸剪断式破砕装置2で破砕された処理物は、投入口10aから、選別機10に投入される。投入口10aから投入される処理物には、様々な寸法の処理物が混在している。スリット11cの幅寸法aより小さい処理物は、スリット11cを通過して、排出口10bから排出されるようになっている。
【0033】
一方で、スリット11cの幅寸法a以上の処理物は、スリット11cを通過することなく、振り分けダンパ11の棒状部材11b上を滑落しながら、返送シュート10cに導かれ、返送口10dから排出される。この返送口10dから排出される処理物は、供給コンベア1により再び、横型2軸剪断式破砕装置2に返送されて、破砕される。このように、横型2軸剪断式破砕装置2で破砕された処理物を、所定寸法以上か所定寸法より小さいかに選別し、所定寸法以上の処理物を、横型2軸剪断式破砕装置2の前に戻して再び再び同じ2軸剪断式破砕装置2で破砕し、所定寸法より小さい処理物のみを、次工程に排出することとしたので、破砕寸法を小さくすることが可能となる。
【0034】
スリット11cの幅寸法aを変えることにより、排出口10bから排出される処理物の大きさを所望の破砕寸法にすることができる。
【0035】
所定寸法以上の処理物が、横型2軸剪断式破砕装置2に返送されることにより循環することになるため、供給コンベア1等の各機器の容量が大きくなることが懸念されるが、通常の破砕システムにおける機器は、大型廃棄物を搬送、処理できるようにコンベヤ幅、各開口寸法等が大きくなっているので機器容量にも非常に大きな余裕を持っているため、前記各機器の容量を大きくする必要がない。
【0036】
処理物が、スリット11cを閉塞して、閉塞検知センサー14が、スリット11cの閉塞を検知した場合には、起立手段であるエアシリンダー13が作動し、選別手段11が起立する。この際に、スリット11cを閉塞している処理物が、自重により返送シュート10cから返送口10dに落下するようになっている。なお、振り分けダンパ11の起立角度を垂直ではなく返送口10d側へ傾斜(例えば30°程度)するように構成することとしても差し支えない。この場合には、引っかかった処理物が自重により落下するため、よりスムーズにスリット11から処理物を除去することが可能となる。
【0037】
選別手段11を起立させるだけでは、スリット11cを閉塞している処理物の除去が不十分な場合もあるので、選別手段11を起立させるとともに、掻取羽根12を回転させて、掻取部材12bを、スリット11cに侵入させて、スリット11cを閉塞する処理物を掻き取り、除去することとしている。なお、篩い部が格子状、穴状の場合は、直動プッシュ式の閉塞物押出機構を設置して、篩い部を閉塞する処理物を除去することとしている。
【0038】
あるいは、隣り合った棒状部材11b又は板状部材11bを独立して揺動可能とし、スリット11cを閉塞する処理物を除去することとしても差し支えない。
【0039】
以上説明したように、横型2軸剪断式破砕装置2の後段に、選別機3を設けたので、スリット11cの幅寸法aより小さい処理物のみが、次工程に排出されるようになる。1段の横型2軸剪断式破砕装置2のみで、処理物を破砕した場合には、処理物に含まれる、鉄、アルミニウムの回収率は約80%程度、回収純度は約90%程度であったが、横型2軸剪断式破砕装置2の後で所定寸法以上の処理物を選別し、この処理物を再び、同じ横型2軸剪断式破砕装置2に投入して、磁選機5やアルミ選別機6に導くこととすると、鉄、アルミニウムの回収率、回収純度が、ともに95%以上に向上することとなった。
【0040】
なお、本実施形態では、選別機3は、ケーシング10内部を区分けするように傾斜配置された、複数の縦型のスリット11cを有する振り分けダンパ11により、処理物を寸法により振り分けているが、振り分けダンパは、篩い状のものを用いて、処理物を寸法により振り分けることとしても差し支えない。また、選別機3は、種々の機構のものが適用可能であり、例えばトロンメル(ロータリー式スクリーン、篩い面が円錐形または、円筒形であり、この篩い面を水平もしくは僅かに傾斜させて回転自在に配置し、前記篩い面の内面に処理物を供給して、前記篩い面を低速回転させて、処理物を選別するもの)、あるいは振動式であっても差し支えない。
【0041】
以上、現時点において、もっとも、実践的であり、かつ好ましいと思われる実施形態に関連して本発明を説明したが、本発明は、本願明細書中に開示された実施形態に限定されるものではなく、請求の範囲および明細書全体から読み取れる発明の要旨あるいは思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、そのような変更を伴う破砕方法及び破砕システムもまた技術的範囲に包含されるものとして理解されなければならない。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】破砕システムの説明図である。
【図2】選別機の詳細図である。
【図3】振り分けダンパの詳細図である。(図2のA−A矢視図)
【符号の説明】
【0043】
1 供給コンベア
2 横型2軸剪断式破砕装置
2a 破砕刃
3 選別機
4 搬送コンベア
5 磁選機
6 アルミ選別機
10 ケーシング
10a 投入口
10b 排出口
10c 返送シュート
10d 返送口
10e 股部
11 振り分けダンパ
11a 回転軸
11b 棒状部材
11c スリット
12 掻取羽根
12a 回転軸
12b 掻取部材
13 エアシリンダー
14 閉塞検知センサー
14a 投光器
14b 受光器
a スリットの幅寸法

【特許請求の範囲】
【請求項1】
2軸剪断式破砕装置で破砕された処理物を、所定寸法以上か所定寸法より小さいかに選別し、所定寸法以上の処理物を、2軸剪断式破砕装置の前に戻して、再び同じ2軸剪断式破砕装置で破砕し、所定寸法より小さい処理物のみを、次工程に排出することを特徴とする破砕方法。
【請求項2】
2軸剪断式破砕置の後段に、所定寸法以上の処理物を2軸剪断式破砕装置の前に返送し、所定寸法より小さい処理物のみを次工程に排出する選別機を設けたことを特徴とする破砕システム。
【請求項3】
選別機は、ケーシングと、このケーシングの上方に開口した、2軸剪断式破砕装置から排出される処理物が投入される投入口と、この投入口の下方にケーシング内部を区分けするように傾斜配置された、篩い部を有する振り分けダンパと、この振り分けダンパの篩い部を通過した処理物を次工程に排出する排出口と、前記振り分けダンパの篩い部を通過することなく、前記振り分けダンパ上を滑落する処理物を再び2軸剪断式破砕装置に返送する返送口とを有することを特徴とする請求項2に記載の破砕システム。
【請求項4】
振り分けダンパの下端を、ケーシングに揺動可能に軸支するとともに、振り分けダンパを起立させる起立手段を設け、振り分けダンパを起立させることにより、篩い部を閉塞する処理物を返送口に落下させて、篩い部を閉塞する処理物を除去することを特徴とする請求項3に記載の破砕システム。
【請求項5】
篩い部が縦長のスリットにより構成されるスリット式篩い部の前記スリットに侵入し、前記スリットに引っかかっている処理物を掻き取るための、回転軸に植設された棒又は板状の掻取部材を有する掻取羽根を、ケーシングの側面に回転可能に取り付けたことを特徴とする請求項3又は請求項4のいずれかに記載の破砕システム。
【請求項6】
所定間隔をおいて植設された棒状部材又は板状部材により構成されるスリット式篩い部の隣り合った前記棒状部材又は板状部材を独立して揺動可能とし、スリット式篩い部を閉塞する処理物を除去することを特徴とする請求項3〜請求項5のいずれかに記載の破砕システム。
【請求項7】
篩い部の閉塞を検知する閉塞検知センサーを設けたことを特徴とする請求項3〜請求項5のいずれかに記載の破砕システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2008−229580(P2008−229580A)
【公開日】平成20年10月2日(2008.10.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−76372(P2007−76372)
【出願日】平成19年3月23日(2007.3.23)
【出願人】(507214083)メタウォーター株式会社 (277)
【Fターム(参考)】