破砕装置の刃の取付構造、刃体及び破砕装置
【課題】一軸剪断破砕装置に用いられるような細破砕処理用の刃体で、ベール品等の塊状物を粗破砕可能にしながらも、製造コストのみならず管理コストの低減を図ることができる破砕装置の刃の取付構造、刃体及び破砕装置を提供する。
【解決手段】回転刃20は、破砕ロータ5の周面に周方向に形成された溝部に固定された回転刃取付座24に、表裏両面の稜線に刃部が形成された複数の四角柱の刃体21aの一つが刃先位置に、他の刃体21b,21cの刃部が刃体21aの刃部に連なる位置に、それぞれ着脱自在に取り付けられ、各刃体21を反転または回転させて刃先位置及び前記刃先に連なる位置に取付可能に構成する。固定刃は、それぞれ着脱自在に取り付けられ、各刃体を反転または回転させて刃先位置及び前記刃先に連なる位置に取付可能に構成する。
【解決手段】回転刃20は、破砕ロータ5の周面に周方向に形成された溝部に固定された回転刃取付座24に、表裏両面の稜線に刃部が形成された複数の四角柱の刃体21aの一つが刃先位置に、他の刃体21b,21cの刃部が刃体21aの刃部に連なる位置に、それぞれ着脱自在に取り付けられ、各刃体21を反転または回転させて刃先位置及び前記刃先に連なる位置に取付可能に構成する。固定刃は、それぞれ着脱自在に取り付けられ、各刃体を反転または回転させて刃先位置及び前記刃先に連なる位置に取付可能に構成する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、破砕装置の刃の取付構造、刃体及び破砕装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一軸剪断破砕装置は、特許文献1に記載されているように、被破砕物を投入するホッパと、ホッパの下方に配置された破砕処理部と、破砕処理部に向けて水平方向から被破砕物を押圧する押圧機構等を備えている。
【0003】
図13(a)に示すように、破砕処理部90は、所定の軸心周りに回転する破砕ロータ91の周面に周方向に形成された凹部としての溝部92に固定された先端V字状の回転刃93と、破砕ロータ91の軸芯方向に沿って対向配置され、回転刃93と噛み合って被破砕物をせん断破砕する先端V字状の固定刃94を備えている。
【0004】
このような回転刃93は破砕ロータ91の溝部92に軸心方向に波型に配置された回転刃取付座93bに、一辺が数十mm程度の単一のチップ状の刃体93aが取り付けられ、固定刃94は破砕ロータに対向配置された台盤に固定された平板94bの先端部に破砕ロータ91の軸心方向に沿ってV字刃94aが形成されている。
【0005】
また、上述のような、破砕ロータに対向配置された台盤に固定された平板94bの先端部に破砕ロータ91の軸心方向に沿ってV字刃94aが形成された固定刃94に替えて、図13(b)に示すように、破砕ロータと対向配置された台盤に着脱自在に備えられた固定刃支持部材95bの先端部に、破砕ロータの軸心方向に沿って固定刃取付座95cを形成し、固定刃取付座95cに一辺が数十mm程度の単一のチップ状の刃体95aを取り付けて構成された固定刃95が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平9−57139号公報(段落0015、図2参照)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、市場で回収されたポリプロピレン(PP)、ポリスチレン(PS)、ポリエチレン、PETボトル等の廃プラスチック製品や、紙類のシュレッダダストや雑誌等の可燃性廃棄物は、略立方体に圧縮梱包されたベール品等の塊状物として処理場に搬入され、RPF(Refuse Paper & Plastic Fuel)として再利用すべく、破砕装置で破砕された後、加熱溶融されて固化される。
【0008】
ベール品等の塊状物には、金属やコンクリート片等の固形異物が混入していることもあり、塊状物を直ちに一軸剪断破砕装置で破砕すると、塊状物に混入した固形異物が一辺が数十mmと小さなチップ状の回転刃と固定刃のわずかな間隙に巻き込まれ、刃体が大きく損傷する虞がある。
【0009】
よって、一軸剪断破砕装置で細破砕処理する前に、塊状物を粗破砕する二軸剪断破砕装置が必要であり、設備コストや管理コストが嵩んでいた。
【0010】
そこで、塊状物を破砕するために、二軸剪断破砕装置の代わりに一軸剪断破砕装置を使用する場合には、一辺が100mm前後の大きな刃体に形成したチップ状の回転刃と固定刃を備えた一軸剪断破砕装置によって、ベール品を粗破砕することが考えられるが、一般的に、刃体は工具鋼や超硬合金等の高価な材料で構成され、ベール品等を粗破砕するために一つの大きな刃体を製造する場合には、製造コストが嵩み、且つ、強度バランスを考慮すると厚肉で重量物となるため運搬や取付等の際に取り扱いが困難となる。
【0011】
しかも、そのような大きな刃体を破砕ロータの周面や、固定刃支持部材に取り付けるには、大きな凹部を切削加工により形成する必要があり、破砕ロータや固定刃支持部材の製造コストも嵩むようになる。
【0012】
さらには、細破砕と粗破砕で異なる種類の刃体を準備して供給する必要があるため、製造コストのみならず管理コストも嵩むことになる。
【0013】
本発明の目的は、一軸剪断破砕装置に用いられるような細破砕処理用の刃体で、ベール品等の塊状物を粗破砕可能にしながらも、製造コストのみならず管理コストの低減を図ることができる破砕装置の刃の取付構造、刃体及び破砕装置を提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上述の目的を達成するため、本発明による破砕装置の刃の取付構造の第一の特徴構成は、特許請求の範囲の書類の請求項1に記載した通り、所定の軸心周りに回転する破砕ロータの周面に形成された凹部に固定された先端V字状の回転刃と、前記破砕ロータの軸芯方向に沿って対向配置され、前記回転刃と噛み合って被破砕物をせん断破砕する先端V字状の固定刃を備えている破砕装置の刃の取付構造であって、前記回転刃が、前記凹部に固定された回転刃取付座と、前記回転刃取付座に着脱自在な複数の四角柱の刃体とで構成され、前記複数の刃体のうち一つが刃先位置に配置され、他の刃体は刃部が前記刃先位置に配置された刃体の刃部に連なる位置に配置されている点にある。
【0015】
上述の構成によれば、凹部に固定された回転刃取付座に、複数の四角柱の刃体のうち一つが刃先位置に配置され、他の刃体は刃部が前記刃先位置に配置された刃体の刃部に連なるように配置し、それぞれ着脱自在に取り付けられるように構成すれば、複数の小さな刃体で山形の大きな刃体を構築できるようになる。そのような山形の刃体では、刃先の対向部位に刃体を設ける必要がなくなるため、破砕ロータの周面に取り付けるために、大きな凹部を切削加工により形成する必要がなくなり、破砕ロータの製造コストを低減させることができる。
【0016】
さらに、大きな刃体を複数の小さな刃体を組み合わせて構築しているため、個々の刃体が軽量となり取り扱いが容易になる。また、例えば、個々の刃体を細破砕用の破砕装置の回転刃の刃体と共用できるように構成すれば、量産効果により、個々の刃体の製造コストを大きく低減でき、製造コストのみならず管理コストをも低減することができる。
【0017】
同第二の特徴構成は、同請求項2に記載した通り、上述の第一特徴構成に加えて、前記複数の刃体は、少なくとも四角柱の一面を構成する四辺、または、前記一面の一つの特定頂点を挟む前記一面の二辺と前記一面の対向面の一つの頂点を挟む前記対向面の二辺であって前記特定頂点を通る四角柱の対角線が通る他の頂点を挟む二辺に、刃部が形成され、反転または回転させて刃先位置及び前記刃先に連なる位置に着脱自在に構成されている点にある。
【0018】
上述の構成によれば、破砕処理によって回転刃が磨耗した場合に、各刃体を反転または回転させて刃先位置及び前記刃先に連なる位置の何れかに取り付けることにより、少なくとも四角柱の一面を構成する四辺、または、前記一面の一つの特定頂点を挟む前記一面の二辺と前記一面の対向面の一つの頂点を挟む前記対向面の二辺であって前記特定頂点を通る四角柱の対角線が通る他の頂点を挟む二辺に、形成された刃部のうち、未使用の刃部を回転刃の刃部として再利用することができ、少なくとも四角柱の一面を構成する四辺、または、前記一面の一つの特定頂点を挟む前記一面の二辺と前記一面の対向面の一つの頂点を挟む前記対向面の二辺であって前記特定頂点を通る四角柱の対角線が通る他の頂点を挟む二辺に、刃部が形成され、反転または回転させて刃先位置及び前記刃先に連なる位置に着脱自在に構成されている単一の大型の刃体を用いる場合よりも、再利用可能な回数が増し、より経済性に優れる。
【0019】
例えば、表裏両面の稜線に刃部が形成された単一の大きな四角柱の刃体を用いれば、回転刃が磨耗した場合に、刃体を反転または回転させて取り付けることにより、4回の新たな刃部を構成することができるが、複数枚の刃体、例えば、表裏両面の稜線に刃部が形成された三枚の刃体で山形の回転刃を構成すれば、個々の刃体を反転または回転させて刃先位置及び前記刃先に連なる位置の何れかに取り付けることにより、同一の刃体の組合せで合計4回より多く新たな刃部を構成することができるようになる。
【0020】
例えば、四角柱の一面を構成する四辺、または、前記一面の一つの特定頂点を挟む前記一面の二辺と前記一面の対向面の一つの頂点を挟む前記対向面の二辺であって前記特定頂点を通る四角柱の対角線が通る他の頂点を挟む二辺に、刃部が形成された単一の大きな四角柱の刃体を用いれば、回転刃が磨耗した場合に、刃体を反転または回転させて取り付けることにより、2回の新たな刃部を構成することができるが、例えば、四角柱の一面を構成する四辺、または、前記一面の一つの特定頂点を挟む前記一面の二辺と前記一面の対向面の一つの頂点を挟む前記対向面の二辺であって前記特定頂点を通る四角柱の対角線が通る他の頂点を挟む二辺に、刃部が形成された三枚の刃体で山形の回転刃を構成すれば、個々の刃体を反転または回転させて刃先位置及び前記刃先に連なる位置の何れかに取り付けることにより、同一の刃体の組合せで合計3回新たな刃部を構成することができるようになる。
【0021】
同第三の特徴構成は、同請求項3に記載した通り、上述の第一または第二特徴構成に加えて、前記凹部の横断面形状が逆台形に形成され、前記凹部の両端側及び中央部に、前記回転刃の刃元位置に配置された刃体の隣接する二面に接して当該刃体を位置決めする案内面を備えた案内部材が備えられている点にある。
【0022】
上述の構成によれば、凹部の横断面形状を回転刃の刃元位置に配置された刃体刃体に当接する形状に形成しなくてもよいので切削加工が容易となり、破砕ロータの製造コストを低減させることができる。さらに、凹部の両端側及び中央部に備えられた案内部材の案内面に回転刃の刃元側の刃体の隣接する二面に接して当該刃体を位置決めすることが容易となり、交換作業が簡便となる。
【0023】
同第四の特徴構成は、同請求項4に記載した通り、上述の第三特徴構成に加えて、前記案内部材は、前記回転刃の刃先位置に配置される刃体に隣接して配置される一対の刃体をわずかに離間して位置決めするように構成されている点にある。
【0024】
それぞれの刃体は、設計上は同じ寸法で製作されるが、実際はそれぞれ寸法が異なっているため、それぞれの刃体が干渉して、回転刃取付座に対して設計通りの位置に取り付かない等の虞がある。
【0025】
上述の構成によれば、刃元側の刃体の角が接触することがなくなるので、取り付けたときに収まりが悪くなったり、固定刃の刃部との間隙に偏りが生じたり、さらに、刃先側の刃体が所定位置より固定刃側に突出して取り付けられることにより固定刃と干渉する虞がなくなるため、それぞれの刃体を適切な位置に配置することができる。
【0026】
同第五の特徴構成は、同請求項5に記載した通り、上述の第三または第四特徴構成に加えて、前記回転刃の刃元位置に配置された刃体と前記破砕ロータの隙間に、被破砕物が詰まることを防止する遮蔽部材が回転刃に対向して備えられている点にある。
【0027】
上述の構成によれば、大きな刃体を複数の小さな刃体を組み合わせて構築することにより生じる、刃元位置に配置された刃体と前記破砕ロータに形成された横断面形状が逆台形の凹部の隙間に被破砕物が詰まることが防止できる。
【0028】
同第六の特徴構成は、同請求項6に記載した通り、上述の第一から第五の何れかの特徴構成に加えて、前記回転刃は少なくとも三つ以上の奇数個の刃体で構成されている点にある。
【0029】
上述の構成によれば、例えば、表裏両面の稜線に刃部が形成された各刃体を反転または回転させて刃先位置及び前記刃先に連なる位置の何れかに取り付けることにより、合計4回より多く新しい刃部を構成することができる。好ましくは三つまたは七つのときであり、各刃体の刃部を同時に使い切ることができる。
【0030】
本発明による刃体の特徴構成は、同請求項7に記載した通り、上述の第一から第六の何れかの特徴構成を備えた破砕装置の刃の取付構造に用いられる点にある。
【0031】
本発明による破砕装置の刃の取付構造の第七の特徴構成は、同請求項8に記載した通り、所定の軸心周りに回転する破砕ロータの周面に形成された凹部に固定された先端V字状の回転刃と、前記破砕ロータの軸芯方向に沿って対向配置され、前記回転刃と噛み合って被破砕物をせん断破砕する先端V字状の固定刃を備えている破砕装置の刃の取付構造であって、前記固定刃が、前記破砕ロータの軸心方向に沿って前記破砕ロータと対向配置された台盤の端部に形成された固定刃取付座と、前記固定刃取付座に着脱自在な複数の四角柱の刃体とで構成され、前記複数の刃体のうち一つが刃先位置に配置され、他の刃体は刃部が前記刃先位置に配置された刃体の刃部に連なる位置に配置されている点にある。
【0032】
上述の構成によれば、固定刃に対して、第一の特徴構成による作用効果と同様の作用効果が奏されるようになる。
【0033】
同第八の特徴構成は、同請求項9に記載した通り、所定の軸心周りに回転する破砕ロータの周面に形成された凹部に固定された先端V字状の回転刃と、前記破砕ロータの軸芯方向に沿って対向配置され、前記回転刃と噛み合って被破砕物をせん断破砕する先端V字状の固定刃を備えている破砕装置の刃の取付構造であって、前記固定刃が、前記破砕ロータの軸心方向に沿って前記破砕ロータと対向配置された台盤に着脱自在の固定刃支持部材と、前記固定刃支持部材に形成された固定刃取付座に着脱自在な複数の四角柱の刃体とで構成され、前記複数の刃体のうち一つが刃先位置に配置され、他の刃体は刃部が前記刃先位置に配置された刃体の刃部に連なる位置に配置されている点にある。
【0034】
上述の構成によれば、固定刃に対して、第一の特徴構成による作用効果と同様の作用効果が奏されるようになるのに加えて、固定刃支持部材が台盤に対して着脱自在に構成されているので、固定刃の交換作業がより簡便になる。
【0035】
同第九の特徴構成は、同請求項10に記載した通り、上述の第七または第八特徴構成に加えて、前記複数の刃体は、少なくとも四角柱の一面を構成する四辺、または、前記一面の一つの特定頂点を挟む前記一面の二辺と前記一面の対向面の一つの頂点を挟む前記対向面の二辺であって前記特定頂点を通る四角柱の対角線が通る他の頂点を挟む二辺に、刃部が形成され、反転または回転させて刃先位置及び前記刃先に連なる位置に着脱自在に構成されている点にある。
【0036】
上述の構成によれば、固定刃に対して、第二の特徴構成による作用効果と同様の作用効果が奏されるようになる。
【0037】
同第十の特徴構成は、同請求項11に記載した通り、上述の第七から第九の何れかの特徴構成に加えて、前記固定刃は少なくとも三つ以上の奇数個の刃体で構成されている点にある。
【0038】
上述の構成によれば、固定刃に対して、第六の特徴構成による作用効果と同様の作用効果が奏されるようになる。
【0039】
本発明による刃体の第二の特徴構成は、同請求項12に記載した通り、上述の第七から第十の何れかの特徴構成を備えた破砕装置の刃の取付構造に用いられる点にある。
【0040】
同第三の特徴構成は、同請求項13に記載した通り、上述の第一及び第二特徴構成を備えた刃体であって、鋭角と鈍角の角部を有する菱形の四角柱に形成され、前記鋭角と鈍角の角部の一方が回転刃の刃先となり、他方が固定刃の刃先となるように構成されている点にある。
【0041】
上述の構成によれば、回転刃を構成する刃体と、固定刃を構成する刃体を共用できるので、量産効果により、個々の刃体の製造コストを大きく低減でき、製造コストのみならず管理コストをも低減することができる。
【0042】
本発明による破砕装置の特徴構成は、同請求項14に記載した通り、上述の第一から第六の何れかの特徴構成を備えた破砕装置の刃の取付構造と、第七から第十の何れかの特徴構成を備えた破砕装置の刃の取付構造を備え、前記回転刃の刃部と前記固定刃の刃部により、被破砕物をせん断破砕する点にある。
【発明の効果】
【0043】
以上説明した通り、本発明によれば、一軸剪断破砕装置に用いられるような細破砕処理用の刃体で、ベール品等の塊状物を粗破砕可能にしながらも、製造コストのみならず管理コストの低減を図ることができる破砕装置の刃の取付構造、刃体及び破砕装置を提供することができるようになった。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】本発明による破砕装置の概略図
【図2】(a)は破砕ロータの左側面図、(b)は破砕ロータの正面図
【図3】(a)は回転刃の斜視図、(b)は刃体の正面図、(c)は刃体の平面図
【図4】(a)は回転刃取付部材の平面図、(b)は回転刃取付部材の左側面図、(c)は回転刃取付部材の正面図
【図5】(a)は破砕ロータに取り付けられた回転刃取付部材の平面図、(b)は破砕ロータに取り付けられた回転刃取付部材の左側面図、(c)は破砕ロータに取り付けられた回転刃取付部材の正面図
【図6】(a)は治具の説明図、(b)は刃体の正面図、(c)は案内部材の取付の説明図、(d)は平板の取付の説明図、(e)は刃体が取り付けられた回転刃取付部材の説明図
【図7】回転刃取付部材への回転刃の取り付けを説明する斜視図
【図8】(a)は固定刃支持部材と固定刃の斜視図、(b)は刃体の正面図、(c)は刃体の平面図
【図9】(a)は固定刃支持部材の正面図、(b)は固定刃支持部材の平面図のA−A線断面図、(c)は固定刃支持部材の平面図
【図10】(a)は刃体の取り付け説明図、(b)は刃体の取り付け説明図、(c)は刃体の取り付け説明図
【図11】大きい回転刃の説明図
【図12】(a)は別実施形態の刃体の説明図、(b)は別実施形態の刃体の説明図、(c)は別実施形態の刃体の説明図
【図13】(a)は従来の細破砕用の破砕装置の破砕処理部の説明図、(b)は細破砕用の破砕装置の固定刃の説明図
【発明を実施するための形態】
【0045】
以下に本発明による破砕装置の刃の取付構造、刃体及び破砕装置の好ましい実施形態を説明する。
図1から図4に示すように、破砕装置1は、電化製品、建築廃材、プラスチックなどの被破砕物を投入する受入ホッパ2と、ホッパ2に投入された被破砕物を破砕処理する破砕処理部10と、破砕処理部10に向けて水平方向から被破砕物を押圧する押込プッシャ3を備えている。
【0046】
押込プッシャ3は、油圧ポンプ(図示せず)からの圧油により伸縮作動する油圧シリンダのピストンに連結されたアーム3aが押込プッシャ3の後端に連結され、台盤4上を摺動かつ進退動自在に駆動される。
【0047】
破砕処理部10は、受入ホッパ2の下方に配置され、所定の軸心周りに回転する破砕ロータ5の周面に形成された凹部に固定された先端V字状の回転刃20と、破砕ロータ5の軸芯方向に沿って対向配置され、回転刃20と噛み合って被破砕物をせん断破砕する先端V字状の固定刃30とで構成され、押込プッシャ3により破砕処理部10に向けて押圧された被破砕物は、破砕ロータ5の回転に伴なって回転する回転刃20と固定刃30との間でせん断破砕される。なお、破砕ロータ5は、電動機Mの動力がベルト及び減速機(図示せず)を介して伝達され回転するように構成されている。
【0048】
回転刃20の刃先が固定刃30が噛み合うときの仰角は略14.7度になるように構成されている。
【0049】
破砕処理部10の下部には、回転刃20と固定刃30により所定サイズ以下に破砕された被破砕物を選択的に通過させるスクリーン機構6と、スクリーン機構6を通過した被破砕物を受け止める排出ホッパ7が設けられている。
【0050】
スクリーン機構6は、回転刃20の回転軌跡に沿った弧状に湾曲形成され、多数の開口が形成されたパンチングメタルで構成され、破砕処理部10で破砕された被破砕物のうちスクリーン機構6の開口より小さい被破砕物が、前記開口から落下して排出ホッパ7に収容される。
【0051】
なお、スクリーン機構は、多数の開口が形成されたパンチングメタルで構成する場合に限らず、回転刃20の回転軌跡に沿った弧状に湾曲形成された平板に複数のスリット状の開口部を備え、その長手方向エッジのうち前記破砕ロータの回転方向側のエッジが水平方向に対して傾斜し、前記回転刃の軌跡に沿って前記エッジの傾斜方向が交互に切替わるように形成された構成であってもよい。
【0052】
図2(a),(b)に示すように、破砕ロータ5の周面の周方向には所定のピッチで互いに平行な横断面形状が逆台形の凹部としての溝部5aが複数形成され、複数の回転刃20は、夫々隣り合う溝部5aに設けられているもの同士の頂点を連ねるとV字状になるように所定の位置に設置されている。
【0053】
回転刃20について詳述する。
回転刃20は、図3(a)に示すように、溝部5aに固定される回転刃取付座24と、回転刃取付座24に着脱自在に取り付けられた三つの刃体21で構成されている。
【0054】
刃体21は、図3(b),(c)に示すように、表裏両面の稜線に刃部22が形成され、中央に回転刃取付座24に取り付けるためのボルト孔23が形成された四角柱で構成されている。刃先となる角は90度に設定されている。なお、刃体21の表裏両面の全ての稜線に刃部22を形成しなくてもよい。
【0055】
回転刃20を構成する刃体21は、特開平9−57138号公報で提案された従来の細破砕用の一軸せん断破砕装置の回転刃を構成する刃体と共用することができる。
【0056】
回転刃取付座24は、図4(a),(b),(c)に示すように、底面24bが破砕ロータ5の溝部5aに沿う形状に形成され、刃体21の回転刃取付座24の側面後方は固定刃30と干渉しないように面取り24eがなされた形状をしている。刃体21を取り付ける取付面24aには、三つの刃体のうち一つは刃先位置に、他の刃体は刃部が前記刃先位置に配置された刃体の刃部に連なる位置に、それぞれ着脱できるようにボルト孔24dが所定位置に形成され、取付面24aに刃体21を取り付けて、裏面24c側からボルトで固定できるように構成されている。
【0057】
このような回転刃取付座24の周囲が、図5(a),(b),(c)に示すように、溝部5aの所定位置に溶接部Wで固定されている。なお、回転刃取付座24は溝部5aに溶接せずに、ボルト等を用いて着脱自在に構成してもよい。
【0058】
さらに、回転刃取付座24の刃体21の取付面24a側には、回転刃20の刃元側の刃体21b,21cの隣接する二面に接して当該刃体21b,21cを位置決めする案内面を備えた案内部材25が備えられている。
【0059】
案内部材25は、溝部5aの中央部に備えられた案内部材25aと溝部5aの両側部に備えられた案内部材25b,25cで構成され、図6(a)に示すように、刃体21を三つ組み合わせた形状の治具40により破砕ロータ5の所定位置に固定されている。
【0060】
治具40は、図6(b)のように、刃体21を回転刃取付座24に三つ取り付けたときに、回転刃20の刃先側の刃体21aに隣接して配置される一対の刃体22b,21cがわずかに距離dだけ離間して取り付けられるような形状に構成されている。
【0061】
これは、複数の刃体21は、それぞれ設計上は同じ寸法で製作されるが、実際はそれぞれ寸法が異なっているため、それぞれの刃体21が干渉して、回転刃取付座24に対して設計通りの位置に取り付かなかったり、また、取り付けたときに収まりが悪く、固定刃30の刃部との間隙に偏りが生じたり、さらに、固定刃30と干渉する虞があるからである。
【0062】
これに対し、刃体21の角部を面取りすることも考えられるが、回転刃20の刃部に刃体21の面取りした箇所が生じ、破砕効率が低下する虞があり好ましくない。
【0063】
上述のように構成された治具40を、図6(c)に示すように、回転刃取付座24の取付面24aの所定位置に当接させ、刃体21のボルト孔23に対応する位置に形成されたボルト孔41に回転刃取付座24の裏面からボルトを挿通して固定し、案内部材25a,25b,25cを刃元側の刃体21b,22cの下部側面に相当する面に当接させた状態で破砕ロータ5に溶接部Wで固定される。
【0064】
よって、案内部材25は、回転刃20の刃元側の刃体21b,21cをわずかに距離dだけ離間させて位置決めするように構成することで、例えば、刃体21が、製作寸法よりわずかに大きく製作された場合でも、刃元の刃体21b,21cの角部が接触することなく取り付けることができ、それにより刃先側の刃体21aが所定位置より固定刃30側に突出して取り付けられることを防ぎ、固定刃30と干渉する虞がなくなる。以上のように、距離dは刃体21b,21cの角部が接触しない適当な距離が選択される。
【0065】
なお、案内部材25aは、刃先位置に配置される刃体21aの刃先と干渉しないような形状に構成されている。
【0066】
なお、案内部材25は、回転刃取付座24と一体に形成してもよい。
【0067】
図6(d),(e)に示すように、回転刃20の刃元位置に配置された刃体21b,21c、破砕ロータ5、案内部材25の隙間27に、被破砕物が詰まることを防止する遮蔽部材26が回転刃20に対向して、溶接部Wで固定される。
【0068】
図7に示すように、上述のように構成された回転刃取付座24の取付面24a、案内部材25及び遮蔽部材26によって形成された空間28に、刃体21b,21cが回転刃20の刃元位置に、刃体21aが回転刃20の刃先位置に嵌装され、それぞれ回転刃取付座25の裏面からボルトによって着脱自在に取り付けられて、各刃体21が反転または回転させて刃先位置及び前記刃先に連なる位置に取付可能に構成された回転刃20となる。
【0069】
以下に、固定刃30について説明する。
固定刃30は、図8(a)に示すように、破砕ロータ5の軸心方向に沿って破砕ロータ5と対向配置された台盤4に形成された段差部に着脱自在の固定刃支持部材34と、固定刃支持部材34に形成された固定刃取付座35に着脱自在に取り付けられた三つの刃体31で構成されている。なお、本実施形態では、固定刃支持部材34は、2つの固定刃30を備える構成となっている。
【0070】
刃体31は、図8(b),(c)に示すように、表裏両面の稜線に刃部32が形成され、中央に固定刃支持部材34に取り付けるためのボルト孔33が形成された四角柱で構成されている。刃先となる角は85.2度に設定されている。なお、刃体31の表裏両面の全ての稜線に刃部32を形成しなくてもよい。
【0071】
なお、固定刃30を構成する刃体31は、図13(b)に示すような、細破砕用の一軸せん断破砕装置の固定刃95を構成する刃体95aと共用することができる。
【0072】
図9(a),(b),(c)に示すように、固定刃支持部材34には、破砕ロータ5と対向配置された台盤4の段差部に上面からボルトを挿通可能なボルト孔37と、固定刃支持部材34の端部に沿って凹状の固定刃取付座35が形成され、複数の四角柱の刃体31aの一つが刃先位置に、他の刃体31b,31cの刃部が刃体31aの刃部に連なる位置に、それぞれ固定刃取付座35の裏面から着脱自在に取り付けるためのボルト孔36が形成され、各刃体31が反転または回転させて刃先位置及び前記刃先に連なる位置に取付可能に構成され固定刃30となる。
【0073】
以上のように、回転刃20、固定刃30はそれぞれ三つの刃体21,31を備えて構成される。これにより、図11に示すように、例えば刃体21の4つ分の大きさの刃体51により回転刃50を構成する場合に比べ、溝部5bのように破砕ロータ5を大きくV字状に切削せずに済み、斜線部5c分だけ加工の手間とコストが削減とができる。固定刃も同様である。
【0074】
また、大きな刃体51の1つで回転刃50を構成した場合、被破砕物との摩耗や破損により刃部が鈍ったときは、反転または回転させても、合計4回しか使用することができない。
【0075】
これに対し、本発明による刃体の取付構造によると、回転刃20及び固定刃30はそれぞれ三つの刃体で構成されているので、刃体が摩耗や破損して鈍っても各刃体を反転または回転させて刃先位置及び前記刃先に連なる位置に取り付けることで、合計6回使用することができる。
【0076】
回転刃20を三つの刃体で構成する場合を例に説明すると、図10(a)に示すように、まず刃体21aを刃先位置に、他の刃体21b,21cを刃元位置に配置したとする。このとき、刃体21aの刃部a1,a2と、刃体21bの刃部b1、刃体21cの刃部c2が回転刃20の刃部となる。
【0077】
破砕装置の使用により、当該回転刃20の刃部が鈍ったら、図10(b)に示すように、刃体21bを刃先位置に、他の刃体21a,21cを刃元位置に配置し、刃体21bを回転させて刃部b3,b4と、刃体21aを回転させて刃部a3、刃体21cの刃部c1で回転刃20の刃部を構成する。
【0078】
さらに、当該回転刃20の刃部が鈍ったら、図(c)に示すように、刃体21cを刃先位置に、他の刃体21a,21bを刃元位置に配置し、刃体21cを回転させて刃部c3,c4と、刃体21aの刃部a4、刃体21bを回転させて刃部b2で回転刃20の刃部を構成する。つまり、刃体21a,21b,21cの片面で3回使用することができる。
【0079】
さらに、当該回転刃20の刃部が鈍ったら、刃体21a,21b,21cのそれぞれを反転して表裏を替え、上述と同じ手順をとることで、さらに3回使用することができ、三つの刃体21a,21b,21cで合計6回使用することができるのである。固定刃の場合も同様である。
【0080】
なお、回転刃20及び固定刃30は、それぞれ取付座に取り付けた状態においては、ボルト先端面が刃体と略面一とすることで、ボルト孔に被破砕物が引っ掛かったり挟まったりして、メネジが変形したり破損したりせず、表裏面を入れ替えて使用するときや交換するときに、ボルトの着脱が容易となる。
【0081】
以下に、本発明による破砕装置の刃の取付構造、刃体及び破砕装置の別実施形態を説明する。なお、上述の実施形態と同様の構成については同一の符号を付して説明を省略する。
【0082】
上述した実施形態では、回転刃20の刃体21の刃先となる角は90度に、固定刃30の刃体31の刃先となる角は85.2度に設定し、回転刃20の刃先が固定刃30と噛み合うときの仰角が略14.7度である場合について説明したが、刃体を鋭角(87.5度)に形成された角と、鈍角(92.5度)に形成された角を有する菱形の四角柱に形成することで、回転刃と固定刃の刃体を共用できる。
【0083】
例えば、鋭角(87.5度)に形成された角を回転刃の刃先となるように配置し、鈍角(92.5度)に形成された角が固定刃の刃先となるように配置したり、またその逆に、鈍角(92.5度)に形成された角を回転刃の刃先となるように配置したり、鋭角(87.5度)に形成された角が固定刃の刃先となるように配置することができる。
【0084】
このように、鋭角と鈍角の角部を有する菱形の四角柱に形成することで、回転刃に用いられる刃体と、固定刃に用いられる刃体を共用できるので、量産効果により、個々の刃体の製造コストを大きく低減でき、製造コストのみならず管理コストをも低減することができる。
【0085】
さらに、このような刃体は細破砕用の一軸剪断破砕装置の回転刃と固定刃にも適用することができる。
【0086】
上述した実施形態では、回転刃取付部として破砕ロータ5の周面に周方向に溝部5aを形成する場合について説明したが、回転刃取付部の構造はこれに限らない。破砕ロータ5の周面に回転刃20を配置する位置にのみ凹部を形成して、凹部に回転刃取付座24を取り付ける構成であってもよい。
【0087】
上述した実施形態では、回転刃20及び固定刃30は、それぞれ三つの刃体を備える構成について説明したが、刃体の個数はこれに限らず三つ以上の奇数個、例えば七つ備えた構成であってもよい。刃体を七つ用いて回転刃を構成すると、前記刃体の反転または回転させて刃先位置及び前記刃先に連なる位置に取り付けることで、合計7回使用することができる。このように、刃体を三つ以上の奇数個で構成することで、一つの大きな刃体を用いる場合に比べて、使用できる回数を多くすることができる。
【0088】
上述の実施形態では、固定刃支持部材34に固定刃30を二対備えた構成について説明したが、固定刃支持部材に固定刃を一対または三対以上の複数備えた構成であってもよく、固定刃支持部材の取り外し作業が煩雑にならないように適宜設定される。また、必ずしも台盤に固定刃支持部座を取り付けるための段差部を形成する必要はなく、さらに、固定刃支持部材を備えることなく台盤に固定刃取付座を形成し、前記固定刃取付座に刃体を取り付ける構成であってもよい。
【0089】
上述した実施形態では、刃体を構成する材質について明示しなかったが、超硬合金、工具鋼等の被破砕物に対して十分な強度を持った材質から選定される。
【0090】
上述の実施形態では、回転刃の刃先が固定刃と噛み合うときの仰角が略14.7度である場合について説明したが、このように回転刃の刃先が固定刃と噛み合うときの仰角が14.7度に構成する場合に限らず回転刃の刃先が固定刃と噛み合うときの仰角が0度より大きくなるように配置することで、まず回転刃の刃先が固定刃に対して噛み合い、その後刃元が噛み合うように構成でき、被破砕物に対してせん断力を回転刃の刃先から刃元にかけて働かすことで破砕効率を向上させることができる。回転刃の刃体及び固定刃の刃体の刃先角度も、回転刃の刃先が固定刃と噛み合うときの仰角に応じて適宜設定される。
【0091】
さらに、隣り合う固定刃の仰角を異ならせ、一方の固定刃には回転刃が刃元から、他方の固定刃には回転刃が刃先から噛み合うように構成してもよい。押込プッシャ3により破砕処理部10に向けて押圧された被破砕物が、破砕ロータ5の回転に伴なって回転する回転刃と固定刃との間でせん断破砕されるにあたり、被破砕物に対して常に一点でせん断力が作用するため、小さなトルクで破砕ロータ5を回転しながらも、極めて円滑に破砕できるようになり、振動や騒音を低減できるばかりか動力コストも低減できるようになる。
【0092】
また、回転刃の刃部の軌跡と固定刃の刃部との間隙は、必ずしも固定刃の刃幅の中央部で最小となるように設定しなくてもよい。例えば、ある仰角の固定刃に対して回転刃は刃元から刃先にかけて噛み合うため、前記間隙を回転刃の刃元に近いほうが最小となるように構成し、前記固定刃と異なる仰角の固定刃に対して回転刃は刃先から刃元にかけて噛み合うために、前記間隙を回転刃の刃先に近いほうが最小となるように構成してもよい。
【0093】
このように構成すると、隣り合う固定刃の夫々に回転刃が噛み合いはじめにせん断力を強く働かせることができるので、被破砕物を逃がすことなく効率よく破砕できる。逆に、シート状の被破砕物を処理する場合には、隣り合う固定刃の夫々と回転刃の噛合い終わりにせん断力を強く働かせることで効率よく破砕できるようになる。このように前記間隙の最小となる位置は被破砕物によって適宜最適に設定される。
【0094】
上述の実施形態では、回転刃の刃体及び固定刃の刃体をそれぞれ回転刃取付座及び固定刃取付座の裏面からボルトで固定する構成について説明したが、刃体を肉厚に形成して両面にボルトの頭を収容可能な座ぐりを形成し、刃体側からボルトで固定するように構成してもよい。
【0095】
上述した実施形態では、表裏両面の稜線に刃部が形成された三枚の刃体で山形の回転刃または固定刃の刃体を構成する場合を説明したが、前記複数の刃体は、少なくとも四角柱の一面を構成する四辺、または、前記一面の一つの特定頂点を挟む前記一面の二辺と前記一面の対向面の一つの頂点を挟む前記対向面の二辺であって前記特定頂点を通る四角柱の対角線が通る他の頂点を挟む二辺に、刃部が形成され、反転または回転させて刃先位置及び前記刃先に連なる位置に着脱自在に構成されている複数枚の刃体で山形の回転刃または固定刃の刃体を構成するものであればよい。
【0096】
例えば、四角柱の一面を構成する四辺、または、前記一面の一つの特定頂点を挟む前記一面の二辺と前記一面の対向面の一つの頂点を挟む前記対向面の二辺であって前記特定頂点を通る四角柱の対角線が通る他の頂点を挟む二辺に、刃部が形成された三枚の刃体を用いれば、回転刃が磨耗した場合に、個々の刃体を反転または回転させて刃先位置及び前記刃先に連なる位置の何れかに取り付けることにより、同一の刃体の組合せで合計3回新たな刃部を構成することができ、同様の構成の単一の大きな四角柱の刃体を用いる場合の回数2回よりも多くなり、再利用可能な回数が増す。
【0097】
このような刃体は、母材金属の表面に超硬合金製の刃部を貼り付けるような構成を採用する場合に好適となる。
【0098】
例えば、図12(a)に示すように、四角柱の母材金属66の一面に超硬合金67を貼り付け、超硬合金67の四辺が刃部61,62,64,65となるように構成する。
【0099】
さらに、図12(b)に示すように、四角柱の母材金属76の一面を構成する四辺に刃部となる超硬合金77を貼り付け、前記四辺が刃部71,72,74,75が刃部となるように構成した刃体や、図12(c)に示すように、四角柱の母材金属86の一面の一つの特定頂点80を挟む前記一面の二辺81,82と前記一面の対向面の一つの頂点を挟む前記対向面の二辺であって前記特定頂点80を通る四角柱の対角線が通る他の頂点83を挟む二辺84,85に、超硬合金の刃部81,82,84,85が形成された刃体のように構成することもできる。
【0100】
以上説明した破砕装置や、破砕処理部を構成する固定刃、回転刃及び刃体等の具体的構成は実施形態の記載に限定されるものではなく、本発明による作用効果を奏する範囲において適宜変更設計可能であることはいうまでもない。
【符号の説明】
【0101】
1:破砕装置
2:受入ホッパ
3:押込プッシャ
4:台盤
5:破砕ロータ
5a:溝部
6:スクリーン機構
7:排出ホッパ
10:破砕処理部
20:回転刃
21:刃体
22:刃部
24:回転刃取付座
25:案内部材
30:固定刃
31:刃体
32:刃部
34:固定刃支持部材
35:固定刃取付座
d:距離
W:溶接部
【技術分野】
【0001】
本発明は、破砕装置の刃の取付構造、刃体及び破砕装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一軸剪断破砕装置は、特許文献1に記載されているように、被破砕物を投入するホッパと、ホッパの下方に配置された破砕処理部と、破砕処理部に向けて水平方向から被破砕物を押圧する押圧機構等を備えている。
【0003】
図13(a)に示すように、破砕処理部90は、所定の軸心周りに回転する破砕ロータ91の周面に周方向に形成された凹部としての溝部92に固定された先端V字状の回転刃93と、破砕ロータ91の軸芯方向に沿って対向配置され、回転刃93と噛み合って被破砕物をせん断破砕する先端V字状の固定刃94を備えている。
【0004】
このような回転刃93は破砕ロータ91の溝部92に軸心方向に波型に配置された回転刃取付座93bに、一辺が数十mm程度の単一のチップ状の刃体93aが取り付けられ、固定刃94は破砕ロータに対向配置された台盤に固定された平板94bの先端部に破砕ロータ91の軸心方向に沿ってV字刃94aが形成されている。
【0005】
また、上述のような、破砕ロータに対向配置された台盤に固定された平板94bの先端部に破砕ロータ91の軸心方向に沿ってV字刃94aが形成された固定刃94に替えて、図13(b)に示すように、破砕ロータと対向配置された台盤に着脱自在に備えられた固定刃支持部材95bの先端部に、破砕ロータの軸心方向に沿って固定刃取付座95cを形成し、固定刃取付座95cに一辺が数十mm程度の単一のチップ状の刃体95aを取り付けて構成された固定刃95が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平9−57139号公報(段落0015、図2参照)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、市場で回収されたポリプロピレン(PP)、ポリスチレン(PS)、ポリエチレン、PETボトル等の廃プラスチック製品や、紙類のシュレッダダストや雑誌等の可燃性廃棄物は、略立方体に圧縮梱包されたベール品等の塊状物として処理場に搬入され、RPF(Refuse Paper & Plastic Fuel)として再利用すべく、破砕装置で破砕された後、加熱溶融されて固化される。
【0008】
ベール品等の塊状物には、金属やコンクリート片等の固形異物が混入していることもあり、塊状物を直ちに一軸剪断破砕装置で破砕すると、塊状物に混入した固形異物が一辺が数十mmと小さなチップ状の回転刃と固定刃のわずかな間隙に巻き込まれ、刃体が大きく損傷する虞がある。
【0009】
よって、一軸剪断破砕装置で細破砕処理する前に、塊状物を粗破砕する二軸剪断破砕装置が必要であり、設備コストや管理コストが嵩んでいた。
【0010】
そこで、塊状物を破砕するために、二軸剪断破砕装置の代わりに一軸剪断破砕装置を使用する場合には、一辺が100mm前後の大きな刃体に形成したチップ状の回転刃と固定刃を備えた一軸剪断破砕装置によって、ベール品を粗破砕することが考えられるが、一般的に、刃体は工具鋼や超硬合金等の高価な材料で構成され、ベール品等を粗破砕するために一つの大きな刃体を製造する場合には、製造コストが嵩み、且つ、強度バランスを考慮すると厚肉で重量物となるため運搬や取付等の際に取り扱いが困難となる。
【0011】
しかも、そのような大きな刃体を破砕ロータの周面や、固定刃支持部材に取り付けるには、大きな凹部を切削加工により形成する必要があり、破砕ロータや固定刃支持部材の製造コストも嵩むようになる。
【0012】
さらには、細破砕と粗破砕で異なる種類の刃体を準備して供給する必要があるため、製造コストのみならず管理コストも嵩むことになる。
【0013】
本発明の目的は、一軸剪断破砕装置に用いられるような細破砕処理用の刃体で、ベール品等の塊状物を粗破砕可能にしながらも、製造コストのみならず管理コストの低減を図ることができる破砕装置の刃の取付構造、刃体及び破砕装置を提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上述の目的を達成するため、本発明による破砕装置の刃の取付構造の第一の特徴構成は、特許請求の範囲の書類の請求項1に記載した通り、所定の軸心周りに回転する破砕ロータの周面に形成された凹部に固定された先端V字状の回転刃と、前記破砕ロータの軸芯方向に沿って対向配置され、前記回転刃と噛み合って被破砕物をせん断破砕する先端V字状の固定刃を備えている破砕装置の刃の取付構造であって、前記回転刃が、前記凹部に固定された回転刃取付座と、前記回転刃取付座に着脱自在な複数の四角柱の刃体とで構成され、前記複数の刃体のうち一つが刃先位置に配置され、他の刃体は刃部が前記刃先位置に配置された刃体の刃部に連なる位置に配置されている点にある。
【0015】
上述の構成によれば、凹部に固定された回転刃取付座に、複数の四角柱の刃体のうち一つが刃先位置に配置され、他の刃体は刃部が前記刃先位置に配置された刃体の刃部に連なるように配置し、それぞれ着脱自在に取り付けられるように構成すれば、複数の小さな刃体で山形の大きな刃体を構築できるようになる。そのような山形の刃体では、刃先の対向部位に刃体を設ける必要がなくなるため、破砕ロータの周面に取り付けるために、大きな凹部を切削加工により形成する必要がなくなり、破砕ロータの製造コストを低減させることができる。
【0016】
さらに、大きな刃体を複数の小さな刃体を組み合わせて構築しているため、個々の刃体が軽量となり取り扱いが容易になる。また、例えば、個々の刃体を細破砕用の破砕装置の回転刃の刃体と共用できるように構成すれば、量産効果により、個々の刃体の製造コストを大きく低減でき、製造コストのみならず管理コストをも低減することができる。
【0017】
同第二の特徴構成は、同請求項2に記載した通り、上述の第一特徴構成に加えて、前記複数の刃体は、少なくとも四角柱の一面を構成する四辺、または、前記一面の一つの特定頂点を挟む前記一面の二辺と前記一面の対向面の一つの頂点を挟む前記対向面の二辺であって前記特定頂点を通る四角柱の対角線が通る他の頂点を挟む二辺に、刃部が形成され、反転または回転させて刃先位置及び前記刃先に連なる位置に着脱自在に構成されている点にある。
【0018】
上述の構成によれば、破砕処理によって回転刃が磨耗した場合に、各刃体を反転または回転させて刃先位置及び前記刃先に連なる位置の何れかに取り付けることにより、少なくとも四角柱の一面を構成する四辺、または、前記一面の一つの特定頂点を挟む前記一面の二辺と前記一面の対向面の一つの頂点を挟む前記対向面の二辺であって前記特定頂点を通る四角柱の対角線が通る他の頂点を挟む二辺に、形成された刃部のうち、未使用の刃部を回転刃の刃部として再利用することができ、少なくとも四角柱の一面を構成する四辺、または、前記一面の一つの特定頂点を挟む前記一面の二辺と前記一面の対向面の一つの頂点を挟む前記対向面の二辺であって前記特定頂点を通る四角柱の対角線が通る他の頂点を挟む二辺に、刃部が形成され、反転または回転させて刃先位置及び前記刃先に連なる位置に着脱自在に構成されている単一の大型の刃体を用いる場合よりも、再利用可能な回数が増し、より経済性に優れる。
【0019】
例えば、表裏両面の稜線に刃部が形成された単一の大きな四角柱の刃体を用いれば、回転刃が磨耗した場合に、刃体を反転または回転させて取り付けることにより、4回の新たな刃部を構成することができるが、複数枚の刃体、例えば、表裏両面の稜線に刃部が形成された三枚の刃体で山形の回転刃を構成すれば、個々の刃体を反転または回転させて刃先位置及び前記刃先に連なる位置の何れかに取り付けることにより、同一の刃体の組合せで合計4回より多く新たな刃部を構成することができるようになる。
【0020】
例えば、四角柱の一面を構成する四辺、または、前記一面の一つの特定頂点を挟む前記一面の二辺と前記一面の対向面の一つの頂点を挟む前記対向面の二辺であって前記特定頂点を通る四角柱の対角線が通る他の頂点を挟む二辺に、刃部が形成された単一の大きな四角柱の刃体を用いれば、回転刃が磨耗した場合に、刃体を反転または回転させて取り付けることにより、2回の新たな刃部を構成することができるが、例えば、四角柱の一面を構成する四辺、または、前記一面の一つの特定頂点を挟む前記一面の二辺と前記一面の対向面の一つの頂点を挟む前記対向面の二辺であって前記特定頂点を通る四角柱の対角線が通る他の頂点を挟む二辺に、刃部が形成された三枚の刃体で山形の回転刃を構成すれば、個々の刃体を反転または回転させて刃先位置及び前記刃先に連なる位置の何れかに取り付けることにより、同一の刃体の組合せで合計3回新たな刃部を構成することができるようになる。
【0021】
同第三の特徴構成は、同請求項3に記載した通り、上述の第一または第二特徴構成に加えて、前記凹部の横断面形状が逆台形に形成され、前記凹部の両端側及び中央部に、前記回転刃の刃元位置に配置された刃体の隣接する二面に接して当該刃体を位置決めする案内面を備えた案内部材が備えられている点にある。
【0022】
上述の構成によれば、凹部の横断面形状を回転刃の刃元位置に配置された刃体刃体に当接する形状に形成しなくてもよいので切削加工が容易となり、破砕ロータの製造コストを低減させることができる。さらに、凹部の両端側及び中央部に備えられた案内部材の案内面に回転刃の刃元側の刃体の隣接する二面に接して当該刃体を位置決めすることが容易となり、交換作業が簡便となる。
【0023】
同第四の特徴構成は、同請求項4に記載した通り、上述の第三特徴構成に加えて、前記案内部材は、前記回転刃の刃先位置に配置される刃体に隣接して配置される一対の刃体をわずかに離間して位置決めするように構成されている点にある。
【0024】
それぞれの刃体は、設計上は同じ寸法で製作されるが、実際はそれぞれ寸法が異なっているため、それぞれの刃体が干渉して、回転刃取付座に対して設計通りの位置に取り付かない等の虞がある。
【0025】
上述の構成によれば、刃元側の刃体の角が接触することがなくなるので、取り付けたときに収まりが悪くなったり、固定刃の刃部との間隙に偏りが生じたり、さらに、刃先側の刃体が所定位置より固定刃側に突出して取り付けられることにより固定刃と干渉する虞がなくなるため、それぞれの刃体を適切な位置に配置することができる。
【0026】
同第五の特徴構成は、同請求項5に記載した通り、上述の第三または第四特徴構成に加えて、前記回転刃の刃元位置に配置された刃体と前記破砕ロータの隙間に、被破砕物が詰まることを防止する遮蔽部材が回転刃に対向して備えられている点にある。
【0027】
上述の構成によれば、大きな刃体を複数の小さな刃体を組み合わせて構築することにより生じる、刃元位置に配置された刃体と前記破砕ロータに形成された横断面形状が逆台形の凹部の隙間に被破砕物が詰まることが防止できる。
【0028】
同第六の特徴構成は、同請求項6に記載した通り、上述の第一から第五の何れかの特徴構成に加えて、前記回転刃は少なくとも三つ以上の奇数個の刃体で構成されている点にある。
【0029】
上述の構成によれば、例えば、表裏両面の稜線に刃部が形成された各刃体を反転または回転させて刃先位置及び前記刃先に連なる位置の何れかに取り付けることにより、合計4回より多く新しい刃部を構成することができる。好ましくは三つまたは七つのときであり、各刃体の刃部を同時に使い切ることができる。
【0030】
本発明による刃体の特徴構成は、同請求項7に記載した通り、上述の第一から第六の何れかの特徴構成を備えた破砕装置の刃の取付構造に用いられる点にある。
【0031】
本発明による破砕装置の刃の取付構造の第七の特徴構成は、同請求項8に記載した通り、所定の軸心周りに回転する破砕ロータの周面に形成された凹部に固定された先端V字状の回転刃と、前記破砕ロータの軸芯方向に沿って対向配置され、前記回転刃と噛み合って被破砕物をせん断破砕する先端V字状の固定刃を備えている破砕装置の刃の取付構造であって、前記固定刃が、前記破砕ロータの軸心方向に沿って前記破砕ロータと対向配置された台盤の端部に形成された固定刃取付座と、前記固定刃取付座に着脱自在な複数の四角柱の刃体とで構成され、前記複数の刃体のうち一つが刃先位置に配置され、他の刃体は刃部が前記刃先位置に配置された刃体の刃部に連なる位置に配置されている点にある。
【0032】
上述の構成によれば、固定刃に対して、第一の特徴構成による作用効果と同様の作用効果が奏されるようになる。
【0033】
同第八の特徴構成は、同請求項9に記載した通り、所定の軸心周りに回転する破砕ロータの周面に形成された凹部に固定された先端V字状の回転刃と、前記破砕ロータの軸芯方向に沿って対向配置され、前記回転刃と噛み合って被破砕物をせん断破砕する先端V字状の固定刃を備えている破砕装置の刃の取付構造であって、前記固定刃が、前記破砕ロータの軸心方向に沿って前記破砕ロータと対向配置された台盤に着脱自在の固定刃支持部材と、前記固定刃支持部材に形成された固定刃取付座に着脱自在な複数の四角柱の刃体とで構成され、前記複数の刃体のうち一つが刃先位置に配置され、他の刃体は刃部が前記刃先位置に配置された刃体の刃部に連なる位置に配置されている点にある。
【0034】
上述の構成によれば、固定刃に対して、第一の特徴構成による作用効果と同様の作用効果が奏されるようになるのに加えて、固定刃支持部材が台盤に対して着脱自在に構成されているので、固定刃の交換作業がより簡便になる。
【0035】
同第九の特徴構成は、同請求項10に記載した通り、上述の第七または第八特徴構成に加えて、前記複数の刃体は、少なくとも四角柱の一面を構成する四辺、または、前記一面の一つの特定頂点を挟む前記一面の二辺と前記一面の対向面の一つの頂点を挟む前記対向面の二辺であって前記特定頂点を通る四角柱の対角線が通る他の頂点を挟む二辺に、刃部が形成され、反転または回転させて刃先位置及び前記刃先に連なる位置に着脱自在に構成されている点にある。
【0036】
上述の構成によれば、固定刃に対して、第二の特徴構成による作用効果と同様の作用効果が奏されるようになる。
【0037】
同第十の特徴構成は、同請求項11に記載した通り、上述の第七から第九の何れかの特徴構成に加えて、前記固定刃は少なくとも三つ以上の奇数個の刃体で構成されている点にある。
【0038】
上述の構成によれば、固定刃に対して、第六の特徴構成による作用効果と同様の作用効果が奏されるようになる。
【0039】
本発明による刃体の第二の特徴構成は、同請求項12に記載した通り、上述の第七から第十の何れかの特徴構成を備えた破砕装置の刃の取付構造に用いられる点にある。
【0040】
同第三の特徴構成は、同請求項13に記載した通り、上述の第一及び第二特徴構成を備えた刃体であって、鋭角と鈍角の角部を有する菱形の四角柱に形成され、前記鋭角と鈍角の角部の一方が回転刃の刃先となり、他方が固定刃の刃先となるように構成されている点にある。
【0041】
上述の構成によれば、回転刃を構成する刃体と、固定刃を構成する刃体を共用できるので、量産効果により、個々の刃体の製造コストを大きく低減でき、製造コストのみならず管理コストをも低減することができる。
【0042】
本発明による破砕装置の特徴構成は、同請求項14に記載した通り、上述の第一から第六の何れかの特徴構成を備えた破砕装置の刃の取付構造と、第七から第十の何れかの特徴構成を備えた破砕装置の刃の取付構造を備え、前記回転刃の刃部と前記固定刃の刃部により、被破砕物をせん断破砕する点にある。
【発明の効果】
【0043】
以上説明した通り、本発明によれば、一軸剪断破砕装置に用いられるような細破砕処理用の刃体で、ベール品等の塊状物を粗破砕可能にしながらも、製造コストのみならず管理コストの低減を図ることができる破砕装置の刃の取付構造、刃体及び破砕装置を提供することができるようになった。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】本発明による破砕装置の概略図
【図2】(a)は破砕ロータの左側面図、(b)は破砕ロータの正面図
【図3】(a)は回転刃の斜視図、(b)は刃体の正面図、(c)は刃体の平面図
【図4】(a)は回転刃取付部材の平面図、(b)は回転刃取付部材の左側面図、(c)は回転刃取付部材の正面図
【図5】(a)は破砕ロータに取り付けられた回転刃取付部材の平面図、(b)は破砕ロータに取り付けられた回転刃取付部材の左側面図、(c)は破砕ロータに取り付けられた回転刃取付部材の正面図
【図6】(a)は治具の説明図、(b)は刃体の正面図、(c)は案内部材の取付の説明図、(d)は平板の取付の説明図、(e)は刃体が取り付けられた回転刃取付部材の説明図
【図7】回転刃取付部材への回転刃の取り付けを説明する斜視図
【図8】(a)は固定刃支持部材と固定刃の斜視図、(b)は刃体の正面図、(c)は刃体の平面図
【図9】(a)は固定刃支持部材の正面図、(b)は固定刃支持部材の平面図のA−A線断面図、(c)は固定刃支持部材の平面図
【図10】(a)は刃体の取り付け説明図、(b)は刃体の取り付け説明図、(c)は刃体の取り付け説明図
【図11】大きい回転刃の説明図
【図12】(a)は別実施形態の刃体の説明図、(b)は別実施形態の刃体の説明図、(c)は別実施形態の刃体の説明図
【図13】(a)は従来の細破砕用の破砕装置の破砕処理部の説明図、(b)は細破砕用の破砕装置の固定刃の説明図
【発明を実施するための形態】
【0045】
以下に本発明による破砕装置の刃の取付構造、刃体及び破砕装置の好ましい実施形態を説明する。
図1から図4に示すように、破砕装置1は、電化製品、建築廃材、プラスチックなどの被破砕物を投入する受入ホッパ2と、ホッパ2に投入された被破砕物を破砕処理する破砕処理部10と、破砕処理部10に向けて水平方向から被破砕物を押圧する押込プッシャ3を備えている。
【0046】
押込プッシャ3は、油圧ポンプ(図示せず)からの圧油により伸縮作動する油圧シリンダのピストンに連結されたアーム3aが押込プッシャ3の後端に連結され、台盤4上を摺動かつ進退動自在に駆動される。
【0047】
破砕処理部10は、受入ホッパ2の下方に配置され、所定の軸心周りに回転する破砕ロータ5の周面に形成された凹部に固定された先端V字状の回転刃20と、破砕ロータ5の軸芯方向に沿って対向配置され、回転刃20と噛み合って被破砕物をせん断破砕する先端V字状の固定刃30とで構成され、押込プッシャ3により破砕処理部10に向けて押圧された被破砕物は、破砕ロータ5の回転に伴なって回転する回転刃20と固定刃30との間でせん断破砕される。なお、破砕ロータ5は、電動機Mの動力がベルト及び減速機(図示せず)を介して伝達され回転するように構成されている。
【0048】
回転刃20の刃先が固定刃30が噛み合うときの仰角は略14.7度になるように構成されている。
【0049】
破砕処理部10の下部には、回転刃20と固定刃30により所定サイズ以下に破砕された被破砕物を選択的に通過させるスクリーン機構6と、スクリーン機構6を通過した被破砕物を受け止める排出ホッパ7が設けられている。
【0050】
スクリーン機構6は、回転刃20の回転軌跡に沿った弧状に湾曲形成され、多数の開口が形成されたパンチングメタルで構成され、破砕処理部10で破砕された被破砕物のうちスクリーン機構6の開口より小さい被破砕物が、前記開口から落下して排出ホッパ7に収容される。
【0051】
なお、スクリーン機構は、多数の開口が形成されたパンチングメタルで構成する場合に限らず、回転刃20の回転軌跡に沿った弧状に湾曲形成された平板に複数のスリット状の開口部を備え、その長手方向エッジのうち前記破砕ロータの回転方向側のエッジが水平方向に対して傾斜し、前記回転刃の軌跡に沿って前記エッジの傾斜方向が交互に切替わるように形成された構成であってもよい。
【0052】
図2(a),(b)に示すように、破砕ロータ5の周面の周方向には所定のピッチで互いに平行な横断面形状が逆台形の凹部としての溝部5aが複数形成され、複数の回転刃20は、夫々隣り合う溝部5aに設けられているもの同士の頂点を連ねるとV字状になるように所定の位置に設置されている。
【0053】
回転刃20について詳述する。
回転刃20は、図3(a)に示すように、溝部5aに固定される回転刃取付座24と、回転刃取付座24に着脱自在に取り付けられた三つの刃体21で構成されている。
【0054】
刃体21は、図3(b),(c)に示すように、表裏両面の稜線に刃部22が形成され、中央に回転刃取付座24に取り付けるためのボルト孔23が形成された四角柱で構成されている。刃先となる角は90度に設定されている。なお、刃体21の表裏両面の全ての稜線に刃部22を形成しなくてもよい。
【0055】
回転刃20を構成する刃体21は、特開平9−57138号公報で提案された従来の細破砕用の一軸せん断破砕装置の回転刃を構成する刃体と共用することができる。
【0056】
回転刃取付座24は、図4(a),(b),(c)に示すように、底面24bが破砕ロータ5の溝部5aに沿う形状に形成され、刃体21の回転刃取付座24の側面後方は固定刃30と干渉しないように面取り24eがなされた形状をしている。刃体21を取り付ける取付面24aには、三つの刃体のうち一つは刃先位置に、他の刃体は刃部が前記刃先位置に配置された刃体の刃部に連なる位置に、それぞれ着脱できるようにボルト孔24dが所定位置に形成され、取付面24aに刃体21を取り付けて、裏面24c側からボルトで固定できるように構成されている。
【0057】
このような回転刃取付座24の周囲が、図5(a),(b),(c)に示すように、溝部5aの所定位置に溶接部Wで固定されている。なお、回転刃取付座24は溝部5aに溶接せずに、ボルト等を用いて着脱自在に構成してもよい。
【0058】
さらに、回転刃取付座24の刃体21の取付面24a側には、回転刃20の刃元側の刃体21b,21cの隣接する二面に接して当該刃体21b,21cを位置決めする案内面を備えた案内部材25が備えられている。
【0059】
案内部材25は、溝部5aの中央部に備えられた案内部材25aと溝部5aの両側部に備えられた案内部材25b,25cで構成され、図6(a)に示すように、刃体21を三つ組み合わせた形状の治具40により破砕ロータ5の所定位置に固定されている。
【0060】
治具40は、図6(b)のように、刃体21を回転刃取付座24に三つ取り付けたときに、回転刃20の刃先側の刃体21aに隣接して配置される一対の刃体22b,21cがわずかに距離dだけ離間して取り付けられるような形状に構成されている。
【0061】
これは、複数の刃体21は、それぞれ設計上は同じ寸法で製作されるが、実際はそれぞれ寸法が異なっているため、それぞれの刃体21が干渉して、回転刃取付座24に対して設計通りの位置に取り付かなかったり、また、取り付けたときに収まりが悪く、固定刃30の刃部との間隙に偏りが生じたり、さらに、固定刃30と干渉する虞があるからである。
【0062】
これに対し、刃体21の角部を面取りすることも考えられるが、回転刃20の刃部に刃体21の面取りした箇所が生じ、破砕効率が低下する虞があり好ましくない。
【0063】
上述のように構成された治具40を、図6(c)に示すように、回転刃取付座24の取付面24aの所定位置に当接させ、刃体21のボルト孔23に対応する位置に形成されたボルト孔41に回転刃取付座24の裏面からボルトを挿通して固定し、案内部材25a,25b,25cを刃元側の刃体21b,22cの下部側面に相当する面に当接させた状態で破砕ロータ5に溶接部Wで固定される。
【0064】
よって、案内部材25は、回転刃20の刃元側の刃体21b,21cをわずかに距離dだけ離間させて位置決めするように構成することで、例えば、刃体21が、製作寸法よりわずかに大きく製作された場合でも、刃元の刃体21b,21cの角部が接触することなく取り付けることができ、それにより刃先側の刃体21aが所定位置より固定刃30側に突出して取り付けられることを防ぎ、固定刃30と干渉する虞がなくなる。以上のように、距離dは刃体21b,21cの角部が接触しない適当な距離が選択される。
【0065】
なお、案内部材25aは、刃先位置に配置される刃体21aの刃先と干渉しないような形状に構成されている。
【0066】
なお、案内部材25は、回転刃取付座24と一体に形成してもよい。
【0067】
図6(d),(e)に示すように、回転刃20の刃元位置に配置された刃体21b,21c、破砕ロータ5、案内部材25の隙間27に、被破砕物が詰まることを防止する遮蔽部材26が回転刃20に対向して、溶接部Wで固定される。
【0068】
図7に示すように、上述のように構成された回転刃取付座24の取付面24a、案内部材25及び遮蔽部材26によって形成された空間28に、刃体21b,21cが回転刃20の刃元位置に、刃体21aが回転刃20の刃先位置に嵌装され、それぞれ回転刃取付座25の裏面からボルトによって着脱自在に取り付けられて、各刃体21が反転または回転させて刃先位置及び前記刃先に連なる位置に取付可能に構成された回転刃20となる。
【0069】
以下に、固定刃30について説明する。
固定刃30は、図8(a)に示すように、破砕ロータ5の軸心方向に沿って破砕ロータ5と対向配置された台盤4に形成された段差部に着脱自在の固定刃支持部材34と、固定刃支持部材34に形成された固定刃取付座35に着脱自在に取り付けられた三つの刃体31で構成されている。なお、本実施形態では、固定刃支持部材34は、2つの固定刃30を備える構成となっている。
【0070】
刃体31は、図8(b),(c)に示すように、表裏両面の稜線に刃部32が形成され、中央に固定刃支持部材34に取り付けるためのボルト孔33が形成された四角柱で構成されている。刃先となる角は85.2度に設定されている。なお、刃体31の表裏両面の全ての稜線に刃部32を形成しなくてもよい。
【0071】
なお、固定刃30を構成する刃体31は、図13(b)に示すような、細破砕用の一軸せん断破砕装置の固定刃95を構成する刃体95aと共用することができる。
【0072】
図9(a),(b),(c)に示すように、固定刃支持部材34には、破砕ロータ5と対向配置された台盤4の段差部に上面からボルトを挿通可能なボルト孔37と、固定刃支持部材34の端部に沿って凹状の固定刃取付座35が形成され、複数の四角柱の刃体31aの一つが刃先位置に、他の刃体31b,31cの刃部が刃体31aの刃部に連なる位置に、それぞれ固定刃取付座35の裏面から着脱自在に取り付けるためのボルト孔36が形成され、各刃体31が反転または回転させて刃先位置及び前記刃先に連なる位置に取付可能に構成され固定刃30となる。
【0073】
以上のように、回転刃20、固定刃30はそれぞれ三つの刃体21,31を備えて構成される。これにより、図11に示すように、例えば刃体21の4つ分の大きさの刃体51により回転刃50を構成する場合に比べ、溝部5bのように破砕ロータ5を大きくV字状に切削せずに済み、斜線部5c分だけ加工の手間とコストが削減とができる。固定刃も同様である。
【0074】
また、大きな刃体51の1つで回転刃50を構成した場合、被破砕物との摩耗や破損により刃部が鈍ったときは、反転または回転させても、合計4回しか使用することができない。
【0075】
これに対し、本発明による刃体の取付構造によると、回転刃20及び固定刃30はそれぞれ三つの刃体で構成されているので、刃体が摩耗や破損して鈍っても各刃体を反転または回転させて刃先位置及び前記刃先に連なる位置に取り付けることで、合計6回使用することができる。
【0076】
回転刃20を三つの刃体で構成する場合を例に説明すると、図10(a)に示すように、まず刃体21aを刃先位置に、他の刃体21b,21cを刃元位置に配置したとする。このとき、刃体21aの刃部a1,a2と、刃体21bの刃部b1、刃体21cの刃部c2が回転刃20の刃部となる。
【0077】
破砕装置の使用により、当該回転刃20の刃部が鈍ったら、図10(b)に示すように、刃体21bを刃先位置に、他の刃体21a,21cを刃元位置に配置し、刃体21bを回転させて刃部b3,b4と、刃体21aを回転させて刃部a3、刃体21cの刃部c1で回転刃20の刃部を構成する。
【0078】
さらに、当該回転刃20の刃部が鈍ったら、図(c)に示すように、刃体21cを刃先位置に、他の刃体21a,21bを刃元位置に配置し、刃体21cを回転させて刃部c3,c4と、刃体21aの刃部a4、刃体21bを回転させて刃部b2で回転刃20の刃部を構成する。つまり、刃体21a,21b,21cの片面で3回使用することができる。
【0079】
さらに、当該回転刃20の刃部が鈍ったら、刃体21a,21b,21cのそれぞれを反転して表裏を替え、上述と同じ手順をとることで、さらに3回使用することができ、三つの刃体21a,21b,21cで合計6回使用することができるのである。固定刃の場合も同様である。
【0080】
なお、回転刃20及び固定刃30は、それぞれ取付座に取り付けた状態においては、ボルト先端面が刃体と略面一とすることで、ボルト孔に被破砕物が引っ掛かったり挟まったりして、メネジが変形したり破損したりせず、表裏面を入れ替えて使用するときや交換するときに、ボルトの着脱が容易となる。
【0081】
以下に、本発明による破砕装置の刃の取付構造、刃体及び破砕装置の別実施形態を説明する。なお、上述の実施形態と同様の構成については同一の符号を付して説明を省略する。
【0082】
上述した実施形態では、回転刃20の刃体21の刃先となる角は90度に、固定刃30の刃体31の刃先となる角は85.2度に設定し、回転刃20の刃先が固定刃30と噛み合うときの仰角が略14.7度である場合について説明したが、刃体を鋭角(87.5度)に形成された角と、鈍角(92.5度)に形成された角を有する菱形の四角柱に形成することで、回転刃と固定刃の刃体を共用できる。
【0083】
例えば、鋭角(87.5度)に形成された角を回転刃の刃先となるように配置し、鈍角(92.5度)に形成された角が固定刃の刃先となるように配置したり、またその逆に、鈍角(92.5度)に形成された角を回転刃の刃先となるように配置したり、鋭角(87.5度)に形成された角が固定刃の刃先となるように配置することができる。
【0084】
このように、鋭角と鈍角の角部を有する菱形の四角柱に形成することで、回転刃に用いられる刃体と、固定刃に用いられる刃体を共用できるので、量産効果により、個々の刃体の製造コストを大きく低減でき、製造コストのみならず管理コストをも低減することができる。
【0085】
さらに、このような刃体は細破砕用の一軸剪断破砕装置の回転刃と固定刃にも適用することができる。
【0086】
上述した実施形態では、回転刃取付部として破砕ロータ5の周面に周方向に溝部5aを形成する場合について説明したが、回転刃取付部の構造はこれに限らない。破砕ロータ5の周面に回転刃20を配置する位置にのみ凹部を形成して、凹部に回転刃取付座24を取り付ける構成であってもよい。
【0087】
上述した実施形態では、回転刃20及び固定刃30は、それぞれ三つの刃体を備える構成について説明したが、刃体の個数はこれに限らず三つ以上の奇数個、例えば七つ備えた構成であってもよい。刃体を七つ用いて回転刃を構成すると、前記刃体の反転または回転させて刃先位置及び前記刃先に連なる位置に取り付けることで、合計7回使用することができる。このように、刃体を三つ以上の奇数個で構成することで、一つの大きな刃体を用いる場合に比べて、使用できる回数を多くすることができる。
【0088】
上述の実施形態では、固定刃支持部材34に固定刃30を二対備えた構成について説明したが、固定刃支持部材に固定刃を一対または三対以上の複数備えた構成であってもよく、固定刃支持部材の取り外し作業が煩雑にならないように適宜設定される。また、必ずしも台盤に固定刃支持部座を取り付けるための段差部を形成する必要はなく、さらに、固定刃支持部材を備えることなく台盤に固定刃取付座を形成し、前記固定刃取付座に刃体を取り付ける構成であってもよい。
【0089】
上述した実施形態では、刃体を構成する材質について明示しなかったが、超硬合金、工具鋼等の被破砕物に対して十分な強度を持った材質から選定される。
【0090】
上述の実施形態では、回転刃の刃先が固定刃と噛み合うときの仰角が略14.7度である場合について説明したが、このように回転刃の刃先が固定刃と噛み合うときの仰角が14.7度に構成する場合に限らず回転刃の刃先が固定刃と噛み合うときの仰角が0度より大きくなるように配置することで、まず回転刃の刃先が固定刃に対して噛み合い、その後刃元が噛み合うように構成でき、被破砕物に対してせん断力を回転刃の刃先から刃元にかけて働かすことで破砕効率を向上させることができる。回転刃の刃体及び固定刃の刃体の刃先角度も、回転刃の刃先が固定刃と噛み合うときの仰角に応じて適宜設定される。
【0091】
さらに、隣り合う固定刃の仰角を異ならせ、一方の固定刃には回転刃が刃元から、他方の固定刃には回転刃が刃先から噛み合うように構成してもよい。押込プッシャ3により破砕処理部10に向けて押圧された被破砕物が、破砕ロータ5の回転に伴なって回転する回転刃と固定刃との間でせん断破砕されるにあたり、被破砕物に対して常に一点でせん断力が作用するため、小さなトルクで破砕ロータ5を回転しながらも、極めて円滑に破砕できるようになり、振動や騒音を低減できるばかりか動力コストも低減できるようになる。
【0092】
また、回転刃の刃部の軌跡と固定刃の刃部との間隙は、必ずしも固定刃の刃幅の中央部で最小となるように設定しなくてもよい。例えば、ある仰角の固定刃に対して回転刃は刃元から刃先にかけて噛み合うため、前記間隙を回転刃の刃元に近いほうが最小となるように構成し、前記固定刃と異なる仰角の固定刃に対して回転刃は刃先から刃元にかけて噛み合うために、前記間隙を回転刃の刃先に近いほうが最小となるように構成してもよい。
【0093】
このように構成すると、隣り合う固定刃の夫々に回転刃が噛み合いはじめにせん断力を強く働かせることができるので、被破砕物を逃がすことなく効率よく破砕できる。逆に、シート状の被破砕物を処理する場合には、隣り合う固定刃の夫々と回転刃の噛合い終わりにせん断力を強く働かせることで効率よく破砕できるようになる。このように前記間隙の最小となる位置は被破砕物によって適宜最適に設定される。
【0094】
上述の実施形態では、回転刃の刃体及び固定刃の刃体をそれぞれ回転刃取付座及び固定刃取付座の裏面からボルトで固定する構成について説明したが、刃体を肉厚に形成して両面にボルトの頭を収容可能な座ぐりを形成し、刃体側からボルトで固定するように構成してもよい。
【0095】
上述した実施形態では、表裏両面の稜線に刃部が形成された三枚の刃体で山形の回転刃または固定刃の刃体を構成する場合を説明したが、前記複数の刃体は、少なくとも四角柱の一面を構成する四辺、または、前記一面の一つの特定頂点を挟む前記一面の二辺と前記一面の対向面の一つの頂点を挟む前記対向面の二辺であって前記特定頂点を通る四角柱の対角線が通る他の頂点を挟む二辺に、刃部が形成され、反転または回転させて刃先位置及び前記刃先に連なる位置に着脱自在に構成されている複数枚の刃体で山形の回転刃または固定刃の刃体を構成するものであればよい。
【0096】
例えば、四角柱の一面を構成する四辺、または、前記一面の一つの特定頂点を挟む前記一面の二辺と前記一面の対向面の一つの頂点を挟む前記対向面の二辺であって前記特定頂点を通る四角柱の対角線が通る他の頂点を挟む二辺に、刃部が形成された三枚の刃体を用いれば、回転刃が磨耗した場合に、個々の刃体を反転または回転させて刃先位置及び前記刃先に連なる位置の何れかに取り付けることにより、同一の刃体の組合せで合計3回新たな刃部を構成することができ、同様の構成の単一の大きな四角柱の刃体を用いる場合の回数2回よりも多くなり、再利用可能な回数が増す。
【0097】
このような刃体は、母材金属の表面に超硬合金製の刃部を貼り付けるような構成を採用する場合に好適となる。
【0098】
例えば、図12(a)に示すように、四角柱の母材金属66の一面に超硬合金67を貼り付け、超硬合金67の四辺が刃部61,62,64,65となるように構成する。
【0099】
さらに、図12(b)に示すように、四角柱の母材金属76の一面を構成する四辺に刃部となる超硬合金77を貼り付け、前記四辺が刃部71,72,74,75が刃部となるように構成した刃体や、図12(c)に示すように、四角柱の母材金属86の一面の一つの特定頂点80を挟む前記一面の二辺81,82と前記一面の対向面の一つの頂点を挟む前記対向面の二辺であって前記特定頂点80を通る四角柱の対角線が通る他の頂点83を挟む二辺84,85に、超硬合金の刃部81,82,84,85が形成された刃体のように構成することもできる。
【0100】
以上説明した破砕装置や、破砕処理部を構成する固定刃、回転刃及び刃体等の具体的構成は実施形態の記載に限定されるものではなく、本発明による作用効果を奏する範囲において適宜変更設計可能であることはいうまでもない。
【符号の説明】
【0101】
1:破砕装置
2:受入ホッパ
3:押込プッシャ
4:台盤
5:破砕ロータ
5a:溝部
6:スクリーン機構
7:排出ホッパ
10:破砕処理部
20:回転刃
21:刃体
22:刃部
24:回転刃取付座
25:案内部材
30:固定刃
31:刃体
32:刃部
34:固定刃支持部材
35:固定刃取付座
d:距離
W:溶接部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の軸心周りに回転する破砕ロータの周面に形成された凹部に固定された先端V字状の回転刃と、前記破砕ロータの軸芯方向に沿って対向配置され、前記回転刃と噛み合って被破砕物をせん断破砕する先端V字状の固定刃を備えている破砕装置の刃の取付構造であって、
前記回転刃が、前記凹部に固定された回転刃取付座と、前記回転刃取付座に着脱自在な複数の四角柱の刃体とで構成され、前記複数の刃体のうち一つが刃先位置に配置され、他の刃体は刃部が前記刃先位置に配置された刃体の刃部に連なる位置に配置されている破砕装置の刃の取付構造。
【請求項2】
前記複数の刃体は、少なくとも四角柱の一面を構成する四辺、または、前記一面の一つの特定頂点を挟む前記一面の二辺と前記一面の対向面の一つの頂点を挟む前記対向面の二辺であって前記特定頂点を通る四角柱の対角線が通る他の頂点を挟む二辺に、刃部が形成され、反転または回転させて刃先位置及び前記刃先に連なる位置に着脱自在に構成されている請求項1記載の破砕装置の刃の取付構造。
【請求項3】
前記凹部の横断面形状が逆台形に形成され、前記凹部の両端側及び中央部に、前記回転刃の刃元位置に配置された刃体の隣接する二面に接して当該刃体を位置決めする案内面を備えた案内部材が備えられている請求項1または2記載の破砕装置の刃の取付構造。
【請求項4】
前記案内部材は、前記回転刃の刃先位置に配置される刃体に隣接して配置される一対の刃体をわずかに離間して位置決めするように構成されている請求項3記載の破砕装置の刃の取付構造。
【請求項5】
前記回転刃の刃元位置に配置された刃体と前記破砕ロータの隙間に、被破砕物が詰まることを防止する遮蔽部材が回転刃に対向して備えられている請求項3または4記載の破砕装置の刃の取付構造。
【請求項6】
前記回転刃は少なくとも三つ以上の奇数個の刃体で構成されている請求項1から5の何れかに記載の破砕装置の刃の取付構造。
【請求項7】
請求項1から請求項6の何れかに記載の破砕装置の刃の取付構造に用いられる刃体。
【請求項8】
所定の軸心周りに回転する破砕ロータの周面に形成された凹部に固定された先端V字状の回転刃と、前記破砕ロータの軸芯方向に沿って対向配置され、前記回転刃と噛み合って被破砕物をせん断破砕する先端V字状の固定刃を備えている破砕装置の刃の取付構造であって、
前記固定刃が、前記破砕ロータの軸心方向に沿って前記破砕ロータと対向配置された台盤の端部に形成された固定刃取付座と、前記固定刃取付座に着脱自在な複数の四角柱の刃体とで構成され、前記複数の刃体のうち一つが刃先位置に配置され、他の刃体は刃部が前記刃先位置に配置された刃体の刃部に連なる位置に配置されている破砕装置の刃の取付構造。
【請求項9】
所定の軸心周りに回転する破砕ロータの周面に形成された凹部に固定された先端V字状の回転刃と、前記破砕ロータの軸芯方向に沿って対向配置され、前記回転刃と噛み合って被破砕物をせん断破砕する先端V字状の固定刃を備えている破砕装置の刃の取付構造であって、
前記固定刃が、前記破砕ロータの軸心方向に沿って前記破砕ロータと対向配置された台盤に着脱自在の固定刃支持部材と、前記固定刃支持部材に形成された固定刃取付座に着脱自在な複数の四角柱の刃体とで構成され、前記複数の刃体のうち一つが刃先位置に配置され、他の刃体は刃部が前記刃先位置に配置された刃体の刃部に連なる位置に配置されている破砕装置の刃の取付構造。
【請求項10】
前記複数の刃体は、少なくとも四角柱の一面を構成する四辺、または、前記一面の一つの特定頂点を挟む前記一面の二辺と前記一面の対向面の一つの頂点を挟む前記対向面の二辺であって前記特定頂点を通る四角柱の対角線が通る他の頂点を挟む二辺に、刃部が形成され、反転または回転させて刃先位置及び前記刃先に連なる位置に着脱自在に構成されている請求項8または9記載の破砕装置の刃の取付構造。
【請求項11】
前記固定刃は少なくとも三つ以上の奇数個の刃体で構成されている請求項8から10の何れかに記載の破砕装置の刃の取付構造。
【請求項12】
請求項8から請求項11の何れかに記載の破砕装置の刃の取付構造に用いられる刃体。
【請求項13】
請求項7及び請求項12に記載の刃体であって、鋭角と鈍角の角部を有する菱形の四角柱に形成され、前記鋭角と鈍角の角部の一方が回転刃の刃先となり、他方が固定刃の刃先となるように構成されている刃体。
【請求項14】
請求項1から6の何れかに記載の破砕装置の刃の取付構造と、請求項8から11の何れかに記載の破砕装置の刃の取付構造を備え、前記回転刃の刃部と前記固定刃の刃部により、被破砕物をせん断破砕する破砕装置。
【請求項1】
所定の軸心周りに回転する破砕ロータの周面に形成された凹部に固定された先端V字状の回転刃と、前記破砕ロータの軸芯方向に沿って対向配置され、前記回転刃と噛み合って被破砕物をせん断破砕する先端V字状の固定刃を備えている破砕装置の刃の取付構造であって、
前記回転刃が、前記凹部に固定された回転刃取付座と、前記回転刃取付座に着脱自在な複数の四角柱の刃体とで構成され、前記複数の刃体のうち一つが刃先位置に配置され、他の刃体は刃部が前記刃先位置に配置された刃体の刃部に連なる位置に配置されている破砕装置の刃の取付構造。
【請求項2】
前記複数の刃体は、少なくとも四角柱の一面を構成する四辺、または、前記一面の一つの特定頂点を挟む前記一面の二辺と前記一面の対向面の一つの頂点を挟む前記対向面の二辺であって前記特定頂点を通る四角柱の対角線が通る他の頂点を挟む二辺に、刃部が形成され、反転または回転させて刃先位置及び前記刃先に連なる位置に着脱自在に構成されている請求項1記載の破砕装置の刃の取付構造。
【請求項3】
前記凹部の横断面形状が逆台形に形成され、前記凹部の両端側及び中央部に、前記回転刃の刃元位置に配置された刃体の隣接する二面に接して当該刃体を位置決めする案内面を備えた案内部材が備えられている請求項1または2記載の破砕装置の刃の取付構造。
【請求項4】
前記案内部材は、前記回転刃の刃先位置に配置される刃体に隣接して配置される一対の刃体をわずかに離間して位置決めするように構成されている請求項3記載の破砕装置の刃の取付構造。
【請求項5】
前記回転刃の刃元位置に配置された刃体と前記破砕ロータの隙間に、被破砕物が詰まることを防止する遮蔽部材が回転刃に対向して備えられている請求項3または4記載の破砕装置の刃の取付構造。
【請求項6】
前記回転刃は少なくとも三つ以上の奇数個の刃体で構成されている請求項1から5の何れかに記載の破砕装置の刃の取付構造。
【請求項7】
請求項1から請求項6の何れかに記載の破砕装置の刃の取付構造に用いられる刃体。
【請求項8】
所定の軸心周りに回転する破砕ロータの周面に形成された凹部に固定された先端V字状の回転刃と、前記破砕ロータの軸芯方向に沿って対向配置され、前記回転刃と噛み合って被破砕物をせん断破砕する先端V字状の固定刃を備えている破砕装置の刃の取付構造であって、
前記固定刃が、前記破砕ロータの軸心方向に沿って前記破砕ロータと対向配置された台盤の端部に形成された固定刃取付座と、前記固定刃取付座に着脱自在な複数の四角柱の刃体とで構成され、前記複数の刃体のうち一つが刃先位置に配置され、他の刃体は刃部が前記刃先位置に配置された刃体の刃部に連なる位置に配置されている破砕装置の刃の取付構造。
【請求項9】
所定の軸心周りに回転する破砕ロータの周面に形成された凹部に固定された先端V字状の回転刃と、前記破砕ロータの軸芯方向に沿って対向配置され、前記回転刃と噛み合って被破砕物をせん断破砕する先端V字状の固定刃を備えている破砕装置の刃の取付構造であって、
前記固定刃が、前記破砕ロータの軸心方向に沿って前記破砕ロータと対向配置された台盤に着脱自在の固定刃支持部材と、前記固定刃支持部材に形成された固定刃取付座に着脱自在な複数の四角柱の刃体とで構成され、前記複数の刃体のうち一つが刃先位置に配置され、他の刃体は刃部が前記刃先位置に配置された刃体の刃部に連なる位置に配置されている破砕装置の刃の取付構造。
【請求項10】
前記複数の刃体は、少なくとも四角柱の一面を構成する四辺、または、前記一面の一つの特定頂点を挟む前記一面の二辺と前記一面の対向面の一つの頂点を挟む前記対向面の二辺であって前記特定頂点を通る四角柱の対角線が通る他の頂点を挟む二辺に、刃部が形成され、反転または回転させて刃先位置及び前記刃先に連なる位置に着脱自在に構成されている請求項8または9記載の破砕装置の刃の取付構造。
【請求項11】
前記固定刃は少なくとも三つ以上の奇数個の刃体で構成されている請求項8から10の何れかに記載の破砕装置の刃の取付構造。
【請求項12】
請求項8から請求項11の何れかに記載の破砕装置の刃の取付構造に用いられる刃体。
【請求項13】
請求項7及び請求項12に記載の刃体であって、鋭角と鈍角の角部を有する菱形の四角柱に形成され、前記鋭角と鈍角の角部の一方が回転刃の刃先となり、他方が固定刃の刃先となるように構成されている刃体。
【請求項14】
請求項1から6の何れかに記載の破砕装置の刃の取付構造と、請求項8から11の何れかに記載の破砕装置の刃の取付構造を備え、前記回転刃の刃部と前記固定刃の刃部により、被破砕物をせん断破砕する破砕装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2010−234336(P2010−234336A)
【公開日】平成22年10月21日(2010.10.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−87618(P2009−87618)
【出願日】平成21年3月31日(2009.3.31)
【出願人】(000001052)株式会社クボタ (4,415)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年10月21日(2010.10.21)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年3月31日(2009.3.31)
【出願人】(000001052)株式会社クボタ (4,415)
【Fターム(参考)】
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