説明

破砕装置

【課題】容易に製造でき、植栽の枝葉や小枝を効果的に破砕することができる破砕装置を提供する。
【解決手段】回動自在に支持された破砕ロータと、破砕ロータの周面に固定された多数の回転刃と、この回転刃と協働して破砕対象物を破砕する固定刃と、所定サイズ以下に破砕された破砕片を通す篩穴を有すると共に破砕ロータの下方周面に沿って延びる細断空間を形成するスクリーンとを備えた破砕装置において、スクリーンは、回転刃の回転移動方向に沿う向きに延びる回転刃の回転軸線方向に併設された多数の長穴を形成した平板と、平板に固定され長穴を分割して篩穴を形成する横リブとを有し、横リブは、前記平板の前記細断空間外側において複数の長穴を幅方向にまたがって延びる基板と、前記長穴に嵌入されて前記細断空間内に向って延びる支持部と、該支持部に設けられ前記回転刃と協働する噛合い部をもつ擬似固定刃とから構成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、街路や庭の手入れ時に生じる生木や雑草、刈草、小枝、草根、植栽の枝葉等長尺の草木を所定のサイズ以下に破砕するのに好適な破砕装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に破砕装置は、回転刃と固定刃及び回転刃の下方に設けられたスクリーンとから構成され、破砕対象物を破砕してできた破砕物から所期のサイズ以下の破砕片と所期のサイズを越える破砕物とをスクリーンによって分別しながら破砕を進める装置である。
【0003】
このため、スクリーンの篩穴に目詰りがあると、破砕片の分別が遅れ、破砕処理能力が低下することになり、従来も、このような篩穴の目詰りが生じ易い破砕対象物を扱う分野、例えば、ビニルシート廃棄物の破砕の分野では、破砕装置のスクリーンの目詰りを防止する装置に関して複数の案が提示されている。
【0004】
従来の目詰まり防止装置を有する破砕装置は、例えば、廃棄プラスチック等の粗大物を破砕する際に、排出スクリーンの目詰りを防止するとともに排出スクリーンを通過した破砕物に長尺物が含まれることの無い、破砕装置の排出スクリーンを提供するために、破砕装置の排出スクリーンが複数のスクリーン部材を間隔を有して並設することでスリット部を形成し、スリット部がリブにより長さ方向に複数の空間に分割されている排出スクリーンを用いている。このスクリーン部材が固定刃としての機能を有し、リブが固定刃としての機能を有することが望ましいとしている。(例えば、特許文献1参照)
【0005】
また、破砕された廃棄物片が排出スクリーンの小孔に引っかかりメッシュの孔を詰まらせるのを強制的に除去し、排出スクリーンからスムースに排出するようにした破砕機を得るために、供給ホッパーの下方に固定刃台と本体フレームの側壁の間に複数の回転刃を有する回転ロータを設け、固定刃台の端には1次破砕用固定刃と回転ロータを中心に対称な位置に2次破砕用固定刃と、回転ロータの下方には回転刃と0又は負の隙間で排出スクリーンを設け、回転刃で廃棄物片を強制的に除去して排出スクリーンの目詰りを防止する1軸破砕機も提案されている。(例えば、特許文献2参照)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2005−262017号公報(第3−第5頁、図1−図4)
【特許文献2】特開平11−42439号公報(第2−第4頁、図3−図6)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかし、従来のこのような破砕装置は、廃棄プラスチック等、破砕するものの物性が比較的同じような、一定の物性を有した粗大物を破砕するときの篩穴の目詰まりを防止する類の破砕装置であり、物性が不揃いな破砕対象物、例えば、街路や庭の手入れ時に生じる生木や雑草、刈草、小枝、植栽の枝葉等の破砕時にもスクリーンの目詰まりを防ぎ、かつ、破砕処理量も大きいという破砕装置はなかった。このような植栽の枝葉等の破砕対象物は、例えば、細長い棒状の枝木、枝葉或いは強靭なセルロース等の繊維性物質等の多様な形状を有している上に、破砕時には、生木の枝葉や刈草等の生体に含まれるヤニや脂質の物質、樹液などの粘性物質を滲出させ、これらが破砕片や破砕粉に混じってスクリーンの篩穴の周りに付着したり穴周辺に絡んで篩穴を塞ぐことも多かったからである。
【0008】
本発明は、破砕性能に優れかつ製造し易い、特に長尺の草木等の破砕に好適な、破砕装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の破砕装置は、
回動自在に支持された破砕ロータと、
該破砕ロータの周面に固定された多数の回転刃と、
この回転刃と協働して破砕対象物を破砕する固定刃と、
所定サイズ以下に破砕された破砕片を通す篩穴を有すると共に破砕ロータの下方周面に沿って延びる細断空間を形成するスクリーンとを備えたものにおいて、
スクリーンは、回転刃の回転移動方向に沿う向きに延びる回転刃の回転軸線方向に併設された多数の長穴を形成した平板と、平板に固定されこれらの長穴を分割して篩穴を形成する横リブとを有し、
横リブは、前記平板の前記細断空間外側において複数の長穴を幅方向にまたがって延びる基板と、
前記長穴に嵌入されて前記細断空間内に向って延びる支持部と、
該支持部に設けられ前記回転刃と協働する噛合い部をもつ擬似固定刃とから構成されていることを特徴とする。
【0010】
本発明の破砕装置において、
前記篩穴のそれぞれが、回転刃の回転移動方向の篩穴の端部に回転刃との噛合部のある擬似固定刃を有していることが好ましい。
【0011】
本発明の破砕装置において、前記スクリーンは、前記長穴が回転軸線方向に隣り合う回転刃の間隔と同間隔で形成され、かつ、隣り合う長穴間を回転刃の刃先が通るよう形成されていることが好ましい。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、スクリーンの製造が容易な破砕装置を提供できる。
【0013】
また、本発明によれば、スクリーン用の平板に予め形成されている長穴に、この長穴を横断するようにして横リブを取付けるだけなので、形成する篩穴のサイズの調整が容易であるのみならず、スクリーンの補修は、横リブの取り外しや調整や交換のみで実現でき、補修が容易に行える。
【0014】
また、本発明の好ましい態様によれば、スクリーンの各篩穴の端部もしくは端部側に、回転刃と噛合う擬似固定刃及び/又は固定刃を備えた破砕装置とすることが出来、篩穴付近に滞留する破砕物を回転刃と協働して細断、破砕が進められ、かつ、回転刃の刃先が長穴と長穴との間のスクリーン板部を通るときは、篩穴の周りに絡んだり付着したりする破砕物を除いて、篩穴の目詰りを防ぐので、多様な形状を有したり、樹液等の粘性物質を滲出したり、強靭な繊維性物質を含む生木や刈草、枝葉等の破砕時にも篩穴の目詰りを減じて破砕運転を継続させることができ、破砕処理能力を発揮させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の好ましい一実施形態に係る破砕装置を示す要部断面図である。
【図2】図1に示す破砕装置の平面図である。
【図3】本発明の上記実施形態の破砕装置に使用するロータに回転刃を取付ける構造の一例を示す説明図である。
【図4】本発明の上記実施形態の破砕装置のスクリーンの長穴と横リブと回転刃との関係を模式的に示したスクリーンの展開図である。
【図5】本発明の上記実施形態の破砕装置のスクリーンと横リブとの関係を模式的に示す図4のA―A断面図である。
【図6】本発明の上記実施形態の破砕装置のスクリーンと横リブとの関係を模式的に示す図4のB―B断面図である。
【図7】本発明の第二の実施形態に係る破砕装置を示す要部断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
(実施形態)
以下、本発明に係る破砕装置の好ましい一実施形態を図面に基づき説明する。
【0017】
本発明の破砕装置は、一実施形態として図1及び図2に示すように、破砕対象物の投入に供されるホッパー1と、該ホッパー1の下部に設けられた破砕室2と、破砕室2の下部に取付けられたスクリーン3と、排出シュート4とこれらを収納するハウジング5から破砕装置本体が形成されている。
【0018】
破砕室2は、ハウジングを形成する二つの側壁6、6と、二つの端壁7、7とで画成され、二本の破砕ロータ8、9(以下では単にロータともいう)と、この2本のロータ8、9の中間にあってロータに取付け固定された回転刃11と噛合う固定刃12を支えるハウジングと一体の中間板13と、前記固定刃12と対向する位置の側壁6に取付けられた固定刃14とを有している。破砕ロータ8、9は、端壁7に取付けられたベアリング15,16によって回動自在に支持され、その周面には回転刃が相互に離間して取付けられている。破砕室2を形成する側壁6、端壁7の上部は、破砕対象物を取り込むために上方に向かって開口したホッパー1を有し、破砕室2の下方には、破砕された破砕片17を篩い分けるスクリーン3と該スクリーン3から落下した破砕片17を収集トレー27に導く排出シュート4が取付けられている。
【0019】
ロータ8、9は、ベクトルインバータモータなどの電動機20、21により相互に独立した回転方向、回転速度、出力トルクで回転駆動される。これにより、ロータ8、9の外周表面に取付けられた回転刃11は、いずれも、破砕室2から固定刃12、細断空間18を経て固定刃14へ向かうような回転(図1の矢印方向、以下ではこの方向を内側方向ともいう)及び固定刃14側から細断空間18、固定刃12を経て破砕室2へ向かう回転方向(以下ではこの方向を外側方向ともいう)に駆動される。また、破砕ロータ8、9の駆動は、回転刃11にかかる負荷が軽ければ、回転速度を上げたり、破砕負荷が極度に増加したときは、逆方向に回転させて、回転刃11と固定刃12、14との噛合わせを一時的に逆方向にする制御が行なわれる。
【0020】
図2に示す45、45は、ロータ8、9と電動機20、21との間に取付けられて、ロータにかかる破砕負荷の大きさを検出するセンサー、例えば、電流計である。制御装置34には、破砕装置に投入された破砕対象物の量に応じたロータの回転制御をするのに必要な各種のデータがメモリ(図示割愛)に予め入力し記録されている。これにより、制御装置34は、ロータ8、9のそれぞれのセンサー45から入力される信号に基づいて、破砕対象物10の性状及び/又は破砕対象物10の量を判断して、投入された破砕対象物10の破砕に最適な制御パターンを制御装置のメモリに予め記憶されている制御パターンの中から選定し、そのパターンの制御値を基準にして各ロータに取付けられている回転刃11の回転速度、回転方向及び/又はトルクが破砕効率の向上に適した値になるように電動機20、21の制御を行う。
【0021】
回転刃11の突出の寸法(回転刃11の刃先の先端がロータ8、9の外周面から突出している高さ)や刃先の形状は、破砕する破砕対象物の性状や大きさに適合した値や形状が選択される。本発明のように、破砕対象物10が、街路や庭の手入れ時に生じる生木や雑草、刈草、小枝、草根、植栽から生じる枝葉等(以下これらを総称して、草根枝葉等ともいう)、嵩張る割に重量が少なく、かつ、樹脂・樹液の成分や細くて強い繊維質を含むような性状の物質の時は、破砕する刃面を増大させ破砕装置の破砕処理能力を上げることができる。
【0022】
回転刃11の取付けは、ロータ8、9共に同じような取付けなので、ロータ8を基に説明すると、例えば、図3の実施形態における回転刃11は、中央にネジ穴24がある矩形の刃先をロータ8の周面に設けられた補強具22付の窪み23に嵌めこみ、刃先の中央のネジ穴24に補強具22を介してボルト25を螺合することにより、回転刃11を補強具22に固定することができ、これにより、回転刃11は、三角形の刃先がロータ外周から外側に突出するような形で破砕ロータ8に取付けられる。回転刃11の刃先が破損したり摩損したりした時は、ボルト25を外せば、破損をした回転刃11だけを独立して交換できるようになっている。なお、この回転刃の刃先の突出寸法は、後述する細断空間18の厚みと略同じになっている。
【0023】
図2に示す本実施形態においては、破砕ロータ8、9に、ロータの周面からの突出量が同じ高さに取付けられた回転刃11が、例えば、38本、ロータ8、9の回転軸方向の全長にわたって、相互に離間し、かつ、隣合う回転刃同士の角度をずらして取付けられ、回転刃11と固定刃12、14とが噛合うことにより、ロータの全長(略破砕室2の全長)にわたって破砕対象物を破砕するようになっている。
【0024】
固定刃12は、図1に示すように、二本のロータ8、9の回転軸26を結んだ線Hよりも低い位置において中間板13と重ねて固定刃台35に取付けられ、固定刃14は、回転軸26を結んだ線Hよりも高い位置において側壁6に取付けられている。固定刃12,14は、破砕ロータ8、9が回転する時に、回転刃11の刃先と噛合って破砕物を剪断・破砕する。図2に示す例は、固定刃12,14が、三角形の刃型の刃先をもつ回転刃11と噛合うような山型形状の刃先28をもつ固定刃(以下では山刃型固定刃ともいう)が破砕室2の全長(破砕ロータ8、9の略全長と同じ長さ)にわたって取り付けられている。
この刃先28は、回転刃11と噛合い、協働して破砕対象物10を、切断、剪断、壊断、・・・等種々の破砕機構で破砕(本発明においては、これらの破砕のメカニズムを区別をする必要もないので、特にことわらない限り、以下ではこれらの破砕機構を総称して単に細断ともいう)が行なわれる。
【0025】
このような山刃型固定刃12,14の刃先の向きは、ロータ8、9が内側方向に回転するときに回転刃11と噛合う向きであり、ロータ8、9が外側方向に回転するときには、刃の向きが逆となるので、回転刃11の刃先は固定刃12,14の刃先と噛合って協働するものの、いわゆる裁断とか切断する刃という機能よりは、むしろ、回転刃の背面と固定刃の山刃の背面とが噛合うことによる剪断や破砕物を押しつぶすようにして小さく破壊する壊断を主とした破砕が行われたり、内側方向の回転時に、固定刃12,14や回転刃11の刃先に絡んだり、付着したりしている破砕物の残滓の除去をしたりする働きが主となる。
【0026】
ロータを駆動する電動機20、21は、制御装置34(図2)に接続され、破砕対象物を破砕する負荷の状況に応じて、全く独立した回転制御が行われる。例えば、それぞれの破砕ロータ8、9は、各破砕ロータが有するセンサー45によって検出される値に応じて、個別に回転方向及び回転速度が制御されたり、いずれかの電動機に供給する電流が定格値を超えたら、いずれの電動機も他方の電動機と関係なく、独立して駆動を一旦停止し或いは逆転させることができる。
【0027】
二本のロータ8、9の間に設けられた固定刃台35は、後述する山型形状の刃先28が、回転刃11の刃先と正しく噛合う位置に固定刃12を取付けている。即ち、山型固定刃12が固定刃台35に取付けられたとき、固定刃の谷部37の回転軸の軸方向の位置は、図4に示すように、回転刃の刃先の回転によって形成される軌跡Tに一致させた位置を保つようにして固定刃台35に取付けられる。
【0028】
固定刃12、14が、破砕室2全長にわたって回転刃11の刃先と噛合うようにするために、固定刃12、14の長さは実質的に破砕ロータ8、9の長さ(破砕室2の全長)と略同じ長さになっているため、例えば、山型固定刃12を長手方向(ロータ8、9の回転軸方向)に複数に分割して固定刃台35に取付けるときは、破損した箇所の固定刃だけを取外して正常な山刃型の刃先を持つ固定刃に交換することができるので、固定刃12の補修が簡便になり、破砕装置の稼働率を高めることができる。
【0029】
なお、中間板13は、破砕ロータ8と破砕ロータ9との間に位置して、破砕対象物10をロータ8、9の間に支え、破砕対象物10が破砕された後に細断空間18に落下させるようにしている。
【0030】
スクリーン3は、ロータ8、9に取り付けられた回転刃11がロータ8、9の周面から突出する寸法と略同じ寸法の間隔をあけて、破砕ロータ8、9の周面に沿うようにしてロータ8、9の下方に取付けられる。このスクリーン3により、ロータ8、9の下方には、それぞれ固定刃12から固定刃14に至るスクリーン3との間で、中間板13から固定刃12,14に至る間には、半円弧状の細断空間18が形成される。この細断空間18は、回転刃11がロータ8、9の周面から突出する寸法乃至は突出寸法より僅かに大きい寸法の間隔をあけて、固定刃12と噛合って破砕対象物10を破砕した回転刃11が、破砕された破砕物と共に固定刃12から細断空間18に移動できるようにしている。細断空間18では、横リブの支持部43の先端に形成された擬似固定刃19と回転刃11との噛合い、協働作用によって破砕が継続されると同時に、細断空間18で予め企図された所定サイズ以下に破砕された破砕片17は、篩穴39から排出シュート4へ篩い落とされ、残りの破砕物は細断空間18でさらに破砕が進行される。
【0031】
図4は、このような本発明の一実施形態である破砕装置のスクリーン3を模式的に展開して示した説明図である。図4において、縦軸は破砕ロータ8、9の幅を示し、横軸は、破砕ロータ8、9の円周方向の長さを示している。鎖線Tは、回転刃の刃先の回転軌跡を示し、他の図と同じ符号を付した機器部品は同じ他の図面の機器部品と同じものを示している。図4では、長穴40は、ロータ8、9の幅方向の全長にわたって延びる2本の横リブ41によって3個の篩穴39に分割されている。横リブ41は、後述するよう複数の支持部43を複数の長穴40に挿入して位置決めをされているので、横リブ41で篩穴39を形成するときは、同時に、支持部の先端に設けられた擬似固定刃19が取付けられ、その結果、形成されたそれぞれの篩穴39の、回転刃の回転軸方向の端部には、擬似固定刃19、19乃至は固定刃12、14のいずれかが設けられることになる。
【0032】
また、図4では、回転刃11の配置も示され、例えば、回転刃11が、ロータの回転軸方向と回転刃の回転移動方向共に、相互に間隔をあけて、かつ、隣合う回転刃同士の角度をずらして配設されている。これにより、破砕室2にある破砕対象物と回転刃11との当りが破砕室2の一方に偏ったり、破砕対象物と刃の干渉による破砕対象物の細断の停滞をしたりする状態を生じないようにすると同時に、破砕運転中は、常に、総ての回転刃11が、破砕室2、固定刃12近傍、細断空間18の擬似固定刃19と対峙する位置、長穴40と長穴40とに挟まれたスクリーン板46の上、固定刃14の近傍にあり、かつ、それぞれの位置にある回転刃11がその位置において破砕作用をしている。
【0033】
例えば、擬似固定刃19、固定刃12、14のある個所では、これらの固定刃が回転刃11と協働して破砕対象物を細断する。また、長穴40と長穴40とに挟まれたスクリーン板46上においては、スクリーン板46が回転刃11の移動軌跡Tに一致するようにスクリーン3が配設されていることにより、篩穴39付近に付着したり絡まったりして篩穴39を塞ぐような破砕物の残滓を除去したり細断したりして篩穴39における目詰まりを防止する。なお、横リブによる擬似固定刃19の形成については、細断空間の主要部の篩穴の端部だけに擬似固定刃を形成し、細断空間18の端の方(図4の最上端付近及び最下端付近)には、一部、擬似固定刃19が形成されていない場合にも、篩穴39を塞ぐような破砕物の滞留の防止や破砕残滓の除去に支障はなく、篩穴39における目詰まりを実質的に防止する破砕装置が簡単な構成部品と製造の方法で得られる。
【0034】
スクリーン3は、例えば、破砕ロータの下方に弧状の細断空間18を形成できるような大きさの平板に、平面的にみて図4のような、幅がWの長穴40を多数穿設し、この長穴40の一方の端から長さL毎に横切るような形で、総ての長穴40に直交する横リブ41を取付け、この横リブ40を細断空間となる側とは反対側で平板に固着することにより、各長穴40に所定のサイズの篩穴39、即ち、幅がW、長さがLのサイズの篩穴39を形成し、この平板を、ロータの周面に沿うように円弧状に折り曲げて製造される。
【0035】
このとき、横リブ41に一体に形成された複数の支持部43を複数の長穴40に挿入すると、支持部43によって、横リブ41の取付位置が所定のサイズLに容易に決定されるので、各長穴40に長さがLのサイズの篩穴39が簡単に形成できる。この後、横リブ41の基板42をスクリーンの平板に溶接すると、所定のサイズの篩穴39を有したスクリーンができ上がる。また、支持部43の先端には、回転刃11と噛合うような形をした擬似固定刃19が一体に形成されまたは取付け固定してあるので、上述のようにして支持部43を長穴40に挿入して横リブ41を取付け、篩穴39を形成したときは、それぞれの篩穴39は、幅寸法W、長さ寸法Lのサイズで、かつ、この篩穴39の回転刃の回転移動方向の端部には擬似固定刃19を備えたスクリーンが提供される。
【0036】
この横リブ41は、図4乃至図6に示すように、複数の長穴40を横切る基板42と、複数の長穴40に嵌合、長穴40を貫通して細断空間18に延びる支持部43と、前記回転刃11との噛合い部を成すように支持部43の先端部に形成された擬似固定刃19とから構成されている。
【0037】
横リブ41の支持部43は、所定のサイズの篩穴39を形成するための横リブ41の支持機能と、横リブ41によって形成された篩穴39の端部(回転刃の回転移動方向(回転刃の回転軌跡Tの方向と同じ)の端部)に擬似固定刃19を正確な位置決め、即ち、回転刃11と噛合いをするような関係位置を決めて擬似固定刃19を支持する機能を有している。
【0038】
例えば、基板42に設けられた複数本の支持部43の間隔が複数の長穴40のロータの回転軸の軸方向の間隔(以下では、ロータの回転軸の軸方向を横方向ともいう)と一致する間隔で形成され、このように形成された支持部43を長穴40に嵌合すると、横リブ41は横方向への移動を規制することができるので、このような支持部43を使用して横リブ41をスクリーン3に固着するときは、基板42は、支持部43を冶具にしたと同様な形で横方向の位置決めされて取付けられる。また、上述のような基板42の取り付け時に複数の支持部43を使用して横リブ41をスクリーン3に固着するときは、基板42の回転刃の回転方向の移動は、長穴40をガイドにして任意に動かされるので、破砕する破砕片の大きさに応じた寸法に位置決めをして基板42をスクリーンに溶接すれば、該横リブ41により長穴40を分割して形成される篩穴39は、それぞれ設定した破砕片を篩い分けするサイズの穴に形成される。これにより、横リブに形成された擬似固定刃19は、細断空間18において回転刃11と確実に噛合う位置関係を確保して配設され、かつ、篩穴39は、設定のサイズに形成される。
【0039】
このようにして、篩穴39は、回転刃の回転移動方向の端部に固定刃12、14または擬似固定刃19を有し、回転刃11の回転方向が内側方向、外側方向のいずれの回転の場合も、篩穴39の端部で固定刃12及び/又は擬似固定刃19と回転刃11とが噛合い、篩穴39付近に絡む草根枝葉等の破砕対象物を除去したり破砕したりすることができる。
【0040】
なお、これらの基板42と、支持部43と、擬似固定刃19とは、一枚の鉄板で一体にして作るのが簡便であるが、擬似固定刃19を別途に製作して、一体化しても構わない。また、一部の支持部や擬似固定刃19が基板に設けられていない実施形態であっても、実用的には、本発明が目的とする篩穴の目詰り防止をした破砕装置を提供できる。また、横リブの基板42に設けられる支持部43に関して、横リブ41の位置に決めをする支持部43と擬似固定刃19を保持する支持部43とは、それぞれ異なる形状の構造にしても良い。支持部43は、長穴40に嵌合されて横リブ41の横方向の移動がないように位置決めをするために複数、設ければ必要な機能を果たすことができ、他の支持部43は、横リブ41の位置決めでなく、単に擬似固定刃19を篩穴39内に支持するだけの構造であっても、横リブ41の位置決めがされれば、擬似固定刃19が、細断空間18において回転刃11と噛合う構造を実現でき、本発明の目的とする篩穴の目詰り防止を実現した破砕装置を提供できるからである。
【0041】
また、支持部43および擬似固定刃19は、総ての篩穴39に設ける必要は必ずしもない。例えば、スクリーン中の主要な篩穴で破砕物が詰まったり破砕物を構成する繊維質成分や破砕対象物に含まれる樹脂成分が蓄積されて篩穴を塞ぐのを防止できるような性状の枝葉等を破砕する用途の破砕装置のときは、主要な篩穴、例えば、スクリーンに設けられた篩穴の中で目詰りを起しやすい部分の篩穴については、総ての篩穴39の端部に擬似固定刃19を配設し、目詰りの虞が少ない篩穴や篩穴に絡む破砕物が離脱し易い状態にある篩穴について擬似固定刃が設けられていないスクリーンを用いるときも、本発明の目的とする篩穴の目詰りを実質的に防止した破砕装置を提供することができる。
【0042】
このような本発明の破砕装置について、その働きを説明する。
【0043】
図1及び図2において、ホッパー1に投入された破砕対象物10は、破砕室2のロータ8、9の回転に伴い横方向(ロータの回転軸方向)に広がりながら、回転刃11によって固定刃12の方へ引き込まれる。ここで、中間板13に移動を妨げられた破砕対象物10は、回転刃11から更に内側回転方向の力を受け、固定刃12と回転刃11との噛合いによって破砕された破砕物は、ロータ8、9や回転刃11から引き続き内側方向の回転力を受けて細断空間18に落下する。
【0044】
細断空間18の破砕物は、スクリーン3の上を移動しつつ、所定のサイズ以下に破砕された破砕片17は、篩穴39を通り抜け、排出シュート4を経て収集トレー27に落下し、まとめて破砕機の外へ回収される。
【0045】
スクリーンの篩穴39を通り抜けないで細断空間18に残った破砕物は、ロータ8、9や回転刃11による内側方向の回転力を受けつつ、擬似固定刃19に至った一部の破砕物は、ここで回転刃11との噛合いによって細断され、所定のサイズ以下に破砕された破砕片は、次の篩穴39、排出シュート4を経て収集トレー27に収集される。
【0046】
細断空間18におけるこのような細断作用を受けてもなお、所定のサイズ以下に破砕されなかった破砕物は、固定刃14に送られ、山刃の固定刃14と回転刃11との噛合いにより細断され、破砕物或いは小さなサイズの破砕片になる。また、固定刃14で細断されないままに固定刃14を通過した破砕物は、ロータ8、9及び回転刃11による内側方向の回転力を受けて破砕室2に入る。
【0047】
破砕室2に入った破砕物は、ホッパー1に新しく投入された破砕対象物と共に、新たな破砕対象物となって再び破砕室2から固定刃12に引き込まれ、上述したと同様なメカニズムが繰り返すことによって細断が継続され、最終的には総ての破砕物が細断される。
【0048】
このような固定刃12、14と回転刃11による細断は、回転刃11がロータ8,9の全長にわたって分散して取付けられているので、破砕室2の全長にわたり破砕対象物の破砕が行われる。
【0049】
このような固定刃12,14及び/又は擬似固定刃19と回転刃11との協働作用による破砕対象物の細断も、総ての破砕物が所定以下のサイズの破砕片に確実に破砕されるとは限らない。破砕対象物が枝葉、草木の破砕のときは、破砕対象物が押しつぶされて変形しただけの破砕物、切れ目が中途半端に入っただけで破砕物同士が繋がっている枝木、枝葉などのように細長い棒状の形を保ったままで縦方向に篩穴を通過して破砕片に混入して排出シュートへ出てくる破砕片、逆に、微粒乃至粉状にまで破砕が進んだ上に樹液や葉汁が混じって泥状や糊状になったもの(以下泥糊状物質ともいう)等、種々の態様の破砕物が混入された破砕となる。また、例えば、破砕対象物が植栽の枝葉、刈草、生木の小枝等の時はヤニや脂質の物質、種々の樹液や樹脂等の粘着物質、セルロース系の繊維物質等が破砕片に絡み合った破砕物や粉糊状物は、篩穴を塞ぎ、或いは回転刃や篩穴の周辺のスクリーン面に付着して、細断破砕そのもの及びスクリーンにおける破砕片の篩い分けを困難にしている。
【0050】
本発明のスクリーン3では、図4乃至図6に模式的に示すように、スクリーンの長穴40が、ロータ8、9の回転軸方向に沿う弧状の板に、穴の長辺がロータ8、9の周方向即ち、回転刃の回転移動方向に沿う向きに設けられた多数の長穴40と、該長穴40を回転刃の回転移動方向に複数に分割する横リブ41とによって篩穴39形成されている。この横リブ41を取付けるとき、隣りあう長穴40と長穴40との間のスクリーン板46上を回転刃11の刃先が通る、即ち、長穴40と長穴40との間のスクリーン板46上に回転刃11の刃先の回転軌跡Tが通るような配置で形成されている上に、横リブ41は、長穴40を複数に分割する基板42と長穴40に嵌合される支持部43と該支持部の先端において前記回転刃11との噛合い部38有した擬似固定刃19とを有し、複数の長穴40、40に支持部43、43を嵌合させて長穴40を横切るように横リブ41をスクリーン3に溶接によって取付けている。従って、横リブ41を取り付けると、長穴40が、篩穴39として形成されると同時に、形成されたそれぞれの篩穴39の端部には、擬似固定刃19が取付けられる。
【0051】
なお、上述のようにして複数の長穴40に横リブ41の複数の支持部43を嵌め込むことによって篩穴39を形成するときは、篩穴39には、恰も複数の支持部43が冶具となって位置決めをすると同様な精度で擬似固定刃19、19をスクリーンに取付けるので、各篩穴39の擬似固定刃19は、回転刃11と噛合い、枝葉等を細断するのに充分な精度で篩穴に取付けられる。
【0052】
また、横リブ41によって取付けられる擬似固定刃19も、総ての擬似固定刃19が同じ形状、同じ寸法の固定刃でなくても良い。擬似固定刃19の形状や構造は、目詰りが生じやすい篩穴39部と目詰まりが生じ難いところの篩穴39とでは、刃の形が異なったり、刃を有しない支持部だけという場合も支障はないからであり、破砕装置の用途によっては、主要部の篩穴だけに擬似固定刃19を形成したようなスクリーン3を有する破砕装置であっても、篩穴39の目詰りを防止し、従来の破砕装置と比較して高い破砕処理能力を有する破砕装置を提供することができるからである。
【0053】
図7は、上述のようなスクリーン3を備えた本発明の第2の実施形態による一軸の破砕装置の例である。図7において、44は、ホッパー1に投入された破砕対象物10が回転刃11に噛込むのを助けるためのプッシャーであり、破砕対象物10の量が少ないときは、プッシャー44を右から左方向に移動させて、破砕対象物10を回転刃11に集中させる。
【0054】
また、図7には、中間板13がない。これ以外の機器の構成は、実質的に図1及び図2に示した破砕装置と同じであり、図1及び図2と同じ図番は同じ機器部品を示している。スクリーン3も図1乃至図4に示す破砕装置と同様に機能して破砕片中に規定サイズを越える破砕物が混入することを著しく減少させるとともに、篩穴39の目詰りを防止し、従来の破砕装置と比較して高い破砕処理能力を有する破砕装置を提供することができる。
【0055】
一般に、破砕装置のスクリーンの篩穴形状には、丸穴と長穴とがあり、長穴形状の篩穴を有するスクリーンを備えた破砕装置で破砕されて排出される破砕片は、概ね、篩穴の幅寸法以下となり、丸穴形状の篩穴のときは、篩穴の直径の寸法以下の破砕片が排出されるなど、いずれの篩穴形状の場合も、破砕片は、篩穴の寸法以下になって、破砕装置から排出される。
【0056】
この場合に、長穴形状の篩穴は、幅方向と長さ方向の次元を有しているので、篩穴に至った破砕物の向きによっては、篩穴を縦方向に通過する場合もあり、篩穴の長さ寸法を超えた、好ましくない長さの破砕片(以下では、長物ともいう)が篩穴を通って排出される蓋然性は、丸穴形状の篩穴のスクリーンよりも高くなる。
【0057】
一方、スクリーンの篩穴の縁は、回転刃の動きを横切る方向に延びている部分には、回転刃の動きにより草木が穴の縁に押し付けられて引っ掛かり、或いは、穴の終端に草木が押し詰められていくことにより、次第に篩穴の長さが短く、即ち、篩穴のサイズが小さくなって、スクリーンの篩い分け能力が低下し、破砕装置の破砕能力が落ちていくことを避け難い。特に丸穴形状の篩穴のスクリーンは、穴の長さ方向が長穴の篩穴に比べて短く、穴が詰り易いので、破砕能力が低下する蓋然性が長穴形状の篩穴のスクリーンを備えた破砕装置よりも高くなる。
【0058】
このように、スクリーンの篩穴の形状の丸穴と長穴とには、一長一短があり、本発明は、長穴形状の篩穴を有するスクリーンについて改良を加え、スクリーンの製造が容易で破砕能力の高い破砕装置を提供できるようにしたものである。
【0059】
【表1】

【0060】
表1は、本発明の破砕装置を従来の破砕装置と比較した破砕実験の結果の一例を示す表である。比較対照に用いた破砕装置は、表1の横軸に示すように、4種類あり、いずれの装置も、長穴形状の篩穴を有するスクリーンを備え、破砕対象物を40mm以下のサイズの破砕片に破砕することを意図し、例えば、鉄板に、長穴形状の篩穴を形成したスクリーンを使用した破砕装置である。
【0061】
第一の破砕装置は、サイズが30mm×300mmの多数の長穴を回転刃の回転軸方向に並べて篩穴としたスクリーンを備えた破砕装置である。
【0062】
第二の破砕装置は、サイズが40mm×300mmの多数の長穴を回転刃の回転軸方向に並べて篩穴としたスクリーンを備えた破砕装置である。
【0063】
第三の破砕装置は、第二の破砕装置に用いた40mm×300mmの長穴を2本の横リブで穴の端から100mmごとに区切り、40mm×100mmのサイズの長穴を回転刃の回転軸方向に並べて篩穴としたスクリーンを備えた破砕装置である。
【0064】
第四の破砕装置は、本発明の一つの実施形態に係る破砕装置であり、40mm×300mmのサイズの長穴が、隣り合う穴間隔を回転刃先の間隔と同じで、穴の長辺が回転刃の回転移動方向に沿い、回転刃の刃先が長穴と長穴との間を通り、かつ、高さを揃えて形成され、これらの多数個の長穴の端から100mmごとに横切るようにして擬似固定刃を有する二本の棒状の横リブを取付けて、幅40mm、長さ100mmのサイズの三個の穴に分割することにより、擬似固定刃を有した篩穴のあるスクリーンを備えるようにした破砕装置である。
【0065】
表1の縦軸は、破砕装置の1時間当たりの破砕処理量(kg)、破砕対象物を100mm以下のサイズの破砕片に破砕することを意図した破砕装置において、破砕片に混入しては好ましくない長物の量混入(割合)を、150mm超の破砕物(長物)の混入量(重量%)及び、100mm超150以下の破砕物(長物)の混入量(重量%)に分けて示した表である。
【0066】
この結果によれば、このような四種類の破砕装置について、針葉樹の松を多く含む枝葉を破砕対象物として細断実験をしたところ、破砕処理量に関しては、本発明の破砕装置が他の装置に比較してやや大きな処理能力を有していた。これは、本発明の破砕装置が、細断空間18に擬似固定刃19を設けた分、回転刃11と擬似固定刃19との噛合いによって細断空間18の破砕物を細断する機会が増えたために、従来の破砕装置よりやや高い処理能力の値を示したものと推測される。
【0067】
一方、長物混入量に関しては、本発明の破砕装置が、著しく改良された破砕機能を有することが、表1の結果から確認できる。表1において、本発明の破砕装置(最も右の列の破砕装置)では、他の列に示す3つの破砕装置に比較して150mm超の長物量については、約10分の一、100mm超150以下の長物量については、2分の一乃至は3分の一という結果となっている。これは、細断空間に送られた破砕物が、擬似固定刃と回転刃との噛合いによって、細断空間においても細断され続け、かつ、回転刃が、擬似固定刃と協働して、篩穴付近に滞留する破砕物を細断、除去しながら破砕を継続し、更に、回転刃の刃先が篩穴と篩穴との間に付着する小さな破砕粉や泥糊状物質を除去して篩穴の目詰りを防ぐようにした結果、上記のような有意な結果が得られたと推測される。
【0068】
この結果は、表1に表れた数値結果のみでなく、数値に表わし難いスクリーンの目詰まり状況、即ち、上記の実験後に、各破砕装置に取付けられたスクリーンを目視で調べた結果によっても確認され、本発明の破砕装置のスクリーンでは、上記の実験後も篩穴付近における破砕物の滞留付着、破砕された枝葉から滲出する樹脂や枝葉の繊維質物質による目詰りが殆ど生じていないことが分かった。
【0069】
このように、上記実施形態の破砕装置によれば、スクリーンに形成された複数の長穴に擬似固定刃を有する横リブの支持部を挿入、位置決めをした後に横リブを取付けることにより、長穴に所定のサイズの篩穴を形成すると同時に、各篩穴には、回転刃と噛合うように位置決めされた擬似固定刃が取付けられる。このようなスクリーンを破砕装置のハウジングに装着して細断空間を形成するときは、それぞれの長穴において、回転刃の回転移動方向の端には、ハウジングに予め取付けられた固定刃があるので、細断空間のそれぞれの篩穴の回転刃の回転移動方向の端部には、回転刃と噛合うように位置決めされた擬似固定刃及び/又は固定刃を有する細断空間が形成され、このような細断空間を有する破砕装置の製造が容易に行なえ、かつ、破砕装置の使用中も横リブの補修で篩穴及び擬似固定刃の補修ができるなど、補修も容易に行なえる破砕処理装置を提供することができる。
【0070】
また、上述のようにして長穴に横リブを取付けて篩穴を形成したスクリーンを装着して細断空間を形成したときは、スクリーンのそれぞれの篩穴に、回転刃と噛合うように位置決めされた擬似固定刃が取付けられた構造の細断空間が形成されるので、細断空間においても回転刃と擬似固定刃とが噛合い、協働して、篩穴付近の破砕物を細断、除去しながら破砕を継続することができる。
【0071】
更に、このスクリーンは、それぞれの篩穴に擬似固定刃を有する構造に加えて、回転刃の先端が篩穴と篩穴との間のスクリーン板の上を通るようにして破砕装置のハウジングに取付けられているので、破砕対象物として生木や雑草、刈草、小枝、草根、植栽から生じる枝葉等を破砕する場合に、破砕物から樹液や樹脂などの粘性物質が滲出したり、破砕物を構成する組成に強靭なセルロース等の繊維性物質を含むことが多い生木や雑草、刈草、枝葉等を破砕する時に、篩穴に破砕物の繊維質物質が絡んだり、或いは、破砕時に破砕物の樹液や葉汁等の滲出によって各篩穴の周辺に泥糊状物質が滞留したり付着したりするときも、これらの破砕物や泥糊状物質を逐次除去したり、篩穴に絡みつく繊維性物質を細断して篩穴における破砕片の分別能力の低下を未然に防ぎながら破砕が継続される等、篩穴の目詰りを著しく減じて高い破砕処理能力を維持でき、かつ、排出シュートに落下する破砕片中に所定のサイズを越える破砕物が混入することを顕著に減少させることができるなど、本発明の破砕装置によれば、製造や補修が容易で枝葉等の破砕対象物を破砕する場合に、従来の破砕装置と比較して著しく高い破砕処理能力を発揮させることができる。
【産業上の利用可能性】
【0072】
本発明の破砕装置は、一般の家庭、農林業従事者及び植林や植木等の植栽分野の産業に使用することができる。
【符号の説明】
【0073】
1 ホッパー
2 破砕室
3 スクリーン
4 排出シュート
5 ハウジング
6 側壁
7 端壁
8、9 破砕ロータ
10 破砕対象物
11 回転刃
12、14 固定刃
13 中間板
15、16 ベアリング
17 破砕片
18 細断空間
19 擬似固定刃
20、21 電動機
22 補強具
23 窪み
24 ネジ穴
25 ボルト
26 回転軸
27 収集トレー
28 山型刃先
30、31 減速機
32、33 カプリング
34 制御装置
35 固定刃台
37 山刃型固定刃の刃の谷部
38 噛合い部
39 篩穴
40 長穴
41 横リブ
42 基板
43 支持部
44 プッシャー
45 センサー
46 スクリーン板
48 固定刃取付けボルト

【特許請求の範囲】
【請求項1】
回動自在に支持された破砕ロータと、
該破砕ロータの周面に固定された多数の回転刃と、
この回転刃と協働して破砕対象物を破砕する固定刃と、
所定サイズ以下に破砕された破砕片を通す篩穴を有すると共に破砕ロータの下方周面に沿って延びる細断空間を形成するスクリーンとを備えた破砕装置において、
スクリーンは、回転刃の回転移動方向に沿う向きに延びる回転刃の回転軸線方向に併設された多数の長穴を形成し平板に固設された平板と、平板に固定されこれらの長穴を分割して篩穴を形成する横リブとを有し、
横リブは、前記平板の前記細断空間外側において複数の長穴を幅方向にまたがって延びる基板と、
前記長穴に嵌入されて前記細断空間内に向って延びる支持部と、
該支持部に設けられ前記回転刃と協働する噛合い部をもつ擬似固定刃とから構成されていることを特徴とする破砕装置。
【請求項2】
前記篩穴のそれぞれが、回転刃の回転移動方向の篩穴の端部に回転刃との噛合部のある擬似固定刃を有していることを特徴とする請求項1に記載の破砕装置。
【請求項3】
前記スクリーンは、前記長穴が回転軸線方向に隣り合う回転刃の間隔と同間隔で形成され、かつ、隣り合う長穴間を回転刃の刃先が通るよう形成されていることを特徴とする請求項1又は請求項2のいずれかに記載の破砕装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2011−98276(P2011−98276A)
【公開日】平成23年5月19日(2011.5.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−254201(P2009−254201)
【出願日】平成21年11月5日(2009.11.5)
【出願人】(000121327)遠藤工業株式会社 (11)
【Fターム(参考)】