硬化フェノール樹脂粒子及びその製造方法並びにそれを用いた活性炭粒子の製造法
【課題】粒子表面積の大きな硬化フェノール樹脂粒子とそれを有利に製造し得る手法を提供すること、またそのような表面積の大きな硬化フェノール樹脂粒子を用いて、有用な活性炭粒子を有利に製造する方法を提供すること。
【解決手段】アルキルベンゼンスルホン酸及び保護コロイドの存在下、フェノール類とアルデヒド類とを反応させて、熱硬化性のフェノール樹脂粒子を製造した後、かかるフェノール樹脂粒子を硬化せしめて、硬化フェノール樹脂粒子を製造するに際して、フェノール類の1モルに対して、アルデヒド類を1.1モル以上の割合において用いると共に、保護コロイドとして、アカシア・セネガル種の木由来のアラビアガムを用い、更にその使用量を、フェノール類の使用量の0.001重量%以上、0.1重量%未満に調整することにより、丸みのある瘤状の小突起の多数が粒子表面に一体的に形成されてなる硬化フェノール樹脂粒子を得る。
【解決手段】アルキルベンゼンスルホン酸及び保護コロイドの存在下、フェノール類とアルデヒド類とを反応させて、熱硬化性のフェノール樹脂粒子を製造した後、かかるフェノール樹脂粒子を硬化せしめて、硬化フェノール樹脂粒子を製造するに際して、フェノール類の1モルに対して、アルデヒド類を1.1モル以上の割合において用いると共に、保護コロイドとして、アカシア・セネガル種の木由来のアラビアガムを用い、更にその使用量を、フェノール類の使用量の0.001重量%以上、0.1重量%未満に調整することにより、丸みのある瘤状の小突起の多数が粒子表面に一体的に形成されてなる硬化フェノール樹脂粒子を得る。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、硬化フェノール樹脂粒子及びその製造方法並びにそれを用いた活性炭粒子の製造法に係り、特に、粒子表面に多数の瘤状の小突起が一体的に形成されてなる硬化フェノール樹脂粒子とそれを有利に製造する方法、更にはそのような硬化フェノール樹脂粒子を用いた、多数の表面突起を有する活性炭粒子を製造する方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、硬化フェノール樹脂粒子からなる粒子乃至は粉末は、充填材(添加剤)として、また活性炭等の炭素材用の原料等として、広く用いられて来ており、その製造方法については、様々な手法が提案されている。
【0003】
例えば、特開平11−60664号公報(特許文献1)や特開2001−114852号公報(特許文献2)においては、水性媒体中で、縮合反応触媒たる所定のアルキルアミン化合物と、乳化分散剤たるグリコシド結合を有する高分子界面活性剤との存在下、フェノール類とアルデヒド類とを縮合反応させることを特徴とする球状フェノール樹脂の製造法が明らかにされており、また、特公昭62−30211号公報(特許文献3)においては、縮合反応触媒として、塩酸を用いた粉末状フェノール・ホルムアルデヒド系樹脂の製造法が、提案されている。
【0004】
しかしながら、そのような手法に従って製造される硬化フェノール樹脂粒子や粉末は、窒素や塩素イオン等を比較的多く含有するものであるために、かかる手法にて製造された硬化フェノール樹脂の粒子や粉末に対して、別途、熱処理を施すと、それら粒子や粉末に含まれる窒素等から窒素酸化物や塩化物が生成し、そしてそれら窒素酸化物等が、設備を腐食したり、また、環境に対して悪影響を及ぼす等の問題があった。
【0005】
一方、本願出願人は、先に、特開平3−7714号公報(特許文献4)において、炭素数が10以上のアルキル基を有するアルキルベンゼンスルホン酸及び保護コロイドの存在下に、フェノール類とアルデヒド類とを反応させて、熱硬化性の樹脂粒子を形成せしめる第一の工程と、かかる第一の工程に継続又は分離して、該樹脂粒子を硬化させる第二の工程を含むことを特徴とする硬化フェノール樹脂粒子の製造方法を提案した。この手法によれば、腐食性の低い酸触媒(アルキルベンゼンスルホン酸)が使用されるものであるところから、フェノール類とアルデヒド類との反応容器として、グラスライニングを施したり、ハステロイ製とする等した、高価な耐食性反応槽を必要とせず、既存のステンレス製設備をそのまま利用することが出来、また、穏やかな反応条件にて、安全に且つ高い収率をもって、硬化フェノール樹脂粒子を製造することが可能となる。
【0006】
ところで、このような従来から提案されている各種の手法に従って得られる硬化フェノール樹脂粒子にあっては、何れも、その粒子表面が、実質的に平滑な球状形態のものであるところから、その表面積に制約を受け、大きな表面積の粒子として得ることが困難であるという問題を内在しており、そのために、充填材として用いた場合において、その充填効果を充分に発揮することが出来ない場合が生じたり、また炭化物の形成工程において、より強い処理条件を採用する必要がある等の問題を内在するものであった。
【0007】
【特許文献1】特開平11−60664号公報
【特許文献2】特開2001−114852号公報
【特許文献3】特公昭62−30211号公報
【特許文献4】特開平3−7714号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ここにおいて、本発明は、かかる事情を背景にして為されたものであって、その解決課題とするところは、粒子表面積の大きな硬化フェノール樹脂粒子とそれを有利に製造し得る手法を提供することにあり、また、そのような表面積の大きな硬化フェノール樹脂粒子を用いて、有用な活性炭粒子を有利に製造する方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
そこで、本発明者等は、そのような課題を解決すべく、先に、特許文献4にて提案されている手法を基にして、鋭意検討を重ねた結果、フェノール類に対するアルデヒド類の使用量を所定のモル比以上に規定することに加えて、保護コロイドとして、特定のアラビアガムを用いると共に、その使用量を極めて少ない割合に調整することにより、丸みのある瘤状の小突起の多数が粒子表面に一体的に形成されて、表面積が効果的に大ならしめられた、表面凹凸化硬化フェノール樹脂粒子を、有利に得ることが出来ることを見出したのである。
【0010】
従って、本発明は、かかる知見に基づいて完成されたものであって、以下に列挙せる如き各種の態様において、好適に実施されるものであるが、以下に記載の各態様は、また、任意の組合せにおいて採用可能である。なお、本発明の態様乃至は技術的特徴は、以下に記載のものに何等限定されることなく、明細書全体の記載乃至はそこに開示の発明思想に基づいて、認識され得るものであることが理解されるべきである。
【0011】
(1) アルキルベンゼンスルホン酸及び保護コロイドの存在下、フェノール類とアルデヒド類とを反応させて、熱硬化性のフェノール樹脂粒子を形成した後、かかるフェノール樹脂粒子を硬化せしめて、硬化フェノール樹脂粒子を製造するに際して、前記フェノール類の1モルに対して、前記アルデヒド類を1.1モル以上の割合において用いると共に、前記保護コロイドとして、アカシア・セネガル種の木由来のアラビアガムを用い、更にその使用量を、前記フェノール類に対して0.001質量%以上、0.1質量%未満となるように調整することにより、丸みのある瘤状の小突起の多数が粒子表面に一体的に形成されてなる硬化フェノール樹脂粒子を得ることを特徴とする硬化フェノール樹脂粒子の製造方法。
【0012】
(2) 前記フェノール類としてフェノールが用いられると共に、前記アルデヒド類としてホルムアルデヒドが用いられることを特徴とする上記態様(1)に記載の硬化フェノール樹脂粒子の製造方法。
【0013】
(3) 前記アラビアガムが、前記フェノール類に対して0.01〜0.08質量%の割合において用いられることを特徴とする上記態様(1)又は(2)に記載の硬化フェノール樹脂粒子の製造方法。
【0014】
(4) 前記硬化フェノール樹脂粒子が、前記フェノール類と前記アルデヒド類とを反応させて生じた熱硬化性フェノール樹脂粒子を加熱せしめることによって、製造されることを特徴とする上記態様(1)乃至(3)の何れか1つに記載の硬化フェノール樹脂粒子の製造方法。
【0015】
(5) フェノール類とアルデヒド類とを反応させて得られた熱硬化性フェノール樹脂粒子を硬化せしめてなる硬化フェノール樹脂粒子にして、100μm〜1500μmの平均粒径を有し、且つ丸みのある瘤状の小突起の多数を粒子表面に一体的に有すると共に、かかる小突起が、粒子表面の1μm2 あたり1個以上の割合において存在せしめられていることを特徴とする硬化フェノール樹脂粒子。
【0016】
(6) 前記小突起が、0.1μm〜1.2μmの径を有していることを特徴とする上記態様(5)に記載の硬化フェノール樹脂粒子。
【0017】
(7) 上記態様(1)乃至は(4)の何れか一つに従う製造方法によって得られた硬化フェノール樹脂粒子を用いて、それを、650℃〜1000℃の温度で炭素化した後、700℃〜1000℃の温度で水蒸気賦活することを特徴とする活性炭粒子の製造法。
【発明の効果】
【0018】
従って、かくの如き本発明に係る硬化フェノール樹脂粒子の製造方法によれば、フェノール類とアルデヒド類との反応が、保護コロイドの存在下、触媒としてアルキルベンゼンスルホン酸を用いて進行せしめられることにより、生成するフェノール樹脂の粒子化が効果的に図られ得ると共に、その際、アルデヒド類が、フェノール類に対して、モル比にて1.1以上の割合で用いられ、且つ保護コロイドとして、アカシア・セネガル種の木由来のアラビアガムを用い、更にその使用量が、フェノール類の使用量の0.001質量%以上、0.1質量%未満に調整されていることによって、丸みのある瘤状の小突起の多数が粒子表面に一体的に形成されてなる、表面凹凸化硬化フェノール樹脂粒子を、効果的に得ることが出来ることとなったのであり、そしてそのような凹凸化表面によって、硬化フェノール樹脂粒子の表面積の効果的な増大を有利に図り得たのである。
【0019】
また、そのような本発明に従う硬化フェノール樹脂粒子にあっては、その表面に一体的に形成された、丸みのある瘤状の多数の小突起の存在によって、それが充填材として用いられた場合において、その表面積が大であることによるマトリックスとの接触効果に加えて、瘤状の小突起によるアンカー効果が有利に発揮され得ることとなるのであり、以て、硬化フェノール樹脂粒子の充填効果が有利に高められ得るのである。
【0020】
さらに、かかる表面凹凸化硬化フェノール樹脂粒子を用いて、本発明に従って活性炭粒子を製造するに際しても、瘤状の小突起が多数存在することによって、活性炭としての吸着作用に寄与する孔、特に、大きな孔の形成が容易となるのであり、そのために、水蒸気賦活の工程を容易に行なうことが出来る利点がある他、得られる活性炭粒子においても、その表面には、球状や楕円体形状の小突起が多数存在するところから、そのような活性炭粒子の活性炭としての機能も、より一層高められ得ることとなるのである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
ところで、本発明に従う硬化フェノール樹脂粒子の製造方法において、目的とするフェノール樹脂を与える反応原料であるフェノール類やアルデヒド類は、何れも、従来よりフェノール樹脂粒子の製造の際に用いられている公知の各種のもの、例えば先の特許文献1〜4に例示のものの中から、適宜に選択使用されることとなるが、特に、本発明にあっては、フェノール類として、無置換形態のフェノールが好適に用いられ、またアルデヒド類としては、ホルムアルデヒドが好適に用いられることとなる。なお、このホルムアルデヒドには、一般に、反応性や原料価格等の観点から、ホルマリン、パラホルムアルデヒド、トリオキサン、テトラオキサン、アセタール等のホルムアルデヒド供給物質が、好適に用いられ得るのである。
【0022】
そして、本発明にあっては、かかるアルデヒド類が、フェノール類の1モルに対して、1.1モル以上の割合となるようにして用いられる必要がある。なお、このアルデヒド類(F)とフェノール類(P)とのモル比(F/P)が1.1よりも低くなると、形成されるフェノール樹脂粒子の表面に、目的とする瘤状の小突起を形成することが困難となり、平滑な表面となってしまうからである。また、このモル比(F/P)の上限は、製造環境や経済性等の観点から、適宜に決定されることとなるが、一般に、2程度以下とされることとなる。
【0023】
また、本発明において、フェノール類とアルデヒド類との反応触媒となるアルキルベンゼンスルホン酸としては、従来より公知の各種のアルキルベンゼンスルホン酸を用いることが可能であるが、好ましくは、炭素数が10以上のアルキル基を有するアルキルベンゼンスルホン酸が、有利に用いられることとなる。そのような炭素数が10以上のアルキル基を有するアルキルベンゼンスルホン酸としては、デシルベンゼンスルホン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸、テトラデシルベンゼンスルホン酸、ヘキサデシルベンゼンスルホン酸、オクタデシルベンゼンスルホン酸及びそれらの混合物等を例示することが出来るが、これらの中でも、経済性や入手容易性、触媒機能等の観点から、ドデシルベンゼンスルホン酸が、特に有利に用いられる。
【0024】
なお、このようなアルキルベンゼンスルホン酸の使用量は、反応原料の配合条件や反応条件等に応じて、適宜に決定されることとなるが、一般的には、フェノール類の使用量の0.5〜2.0質量%の割合となるような量において使用される。このように、本発明においては、反応触媒としてのアルキルベンゼンスルホン酸の使用量が、従来のアルキルアミン化合物等を触媒として使用する場合の使用量と比較して、比較的に少量で足りることから、得られるフェノール樹脂粒子は、不純物の含有量が比較的少ないものともなるのである。尤も、そこでは、アルキルベンゼンスルホン酸の存在下において、フェノール樹脂の生成反応が進行することから、得られるフェノール樹脂粒子にあっては、硫黄化合物等の不純物を若干量含有するものともなる。
【0025】
そして、本発明にあっては、フェノール類とアルデヒド類との反応により生成するフェノール樹脂を、球状の粒子形態にて得るべく用いられる保護コロイドとして、公知のアラビアガムの中から、所謂セネガルタイプと称される、特定のアラビアガムを選定すると共に、その特定量を用いることとしたのであり、これによって、目的とする表面形態を有する、即ち丸みのある瘤状の小突起の多数が粒子表面に一体的に形成されてなる硬化フェノール樹脂粒子を、有利に得ることが出来ることとなったのである。
【0026】
すなわち、アラビアガムは、また、ガム・アラビックやアラビアゴムとも称され、マメ科アカシア属の木の分泌物を乾燥したものとして、よく知られているところであるが、本発明にあっては、その中でも、アカシア・セネガル(Acacia senegal)種の木の幹や枝から採取される分泌物を乾燥したもの、換言すればアカシア・セネガル種の木由来のアラビアガムが、用いられるのである。なお、このセネガルタイプのアラビアガムは、増粘剤や安定剤等として、幅広く食品に使用されており、また糖衣コーティング、乳化香料、粉末香料等にも使用されているが、本発明においては、それらの用途向けの各種の市販品の中から、適宜に選択されることとなる。
【0027】
また、そのような本発明において用いられるセネガルタイプのアラビアガムは、フェノール類の使用量の0.001質量%以上、0.1質量%未満の割合となるように調整されて、用いられることとなる。この特定のアラビアガムの使用量が少なくなり過ぎると、樹脂粒子の形成が困難となったり、粒子表面に、目的とする瘤状の小突起の形成が困難となったりする等の問題が惹起され、またその使用量が多くなり過ぎると、生成する樹脂粒子が小さくなり過ぎて、その粒子表面における瘤状の小突起を設けることによる表面凹凸化の意義が低下したり、そのような瘤状の小突起の形成が困難となる等の問題を惹起する。なお、かかるセネガルタイプのアラビアガムの好ましい使用量としては、フェノール類の使用量の0.01〜0.08質量%程度が、有利に採用される。
【0028】
ところで、本発明に従う硬化フェノール樹脂粒子の製造方法にあっては、先ず、上述したアルキルベンゼンスルホン酸及びセネガルタイプのアラビアガムからなる特定の保護コロイドが存在せしめられた状態の下、フェノール類とアルデヒド類とが反応せしめられることとなるのであるが、有利には、以下のような手法に従って実施される。
【0029】
先ず、還流冷却器、温度計、攪拌機を備えた通常の反応槽内に、反応原料たるフェノール類及びアルデヒド類、アルキルベンゼンスルホン酸、そしてセネガルタイプのアラビアガム、更に必要に応じて、希釈水(蒸留水)や各種変性剤(例えば、尿素、メラミン、グアナミン、アニリン、トール油等)が投入される。
【0030】
ここで、保護コロイドとしてのセネガルタイプのアラビアガムの、反応系への投入(添加)時期は、縮合物(反応生成物)が硬化する前であれば良く、特に制限されるものではないが、一般的には、樹脂化(乳化)時又はそれ以前に添加することが好ましく、特に、作業の簡素化等の観点から、反応開始時より配合しておくことが望ましい。また、本発明において、造粒を円滑に実施せしめ、且つ生成した球状の未硬化フェノール樹脂粒子の凝集化を防止するためには、反応系中の水分量を、フェノール類に対して、80質量%以上の割合となるように、好ましくは100〜180質量%程度の割合となるように調整することが、廃液処理や生産効率等の点においても有利である。なお、かかる水分量の調整時期としては、反応開始時、又は保護コロイドの添加時が、適当である。
【0031】
次いで、反応槽内のフェノール類等の投入物を攪拌しながら、かかる反応槽内を、一般に、0.5〜2.0℃/min程度の昇温速度にて加熱し、70℃以上、好ましくは90℃以上の温度(反応温度)にて、所定時間、フェノール類とアルデヒド類とを反応させて、可融性の未硬化フェノール樹脂粒子を生成せしめる(工程1)。そして、引き続いて、反応温度と同温度若しくはそれよりも若干低めの温度にて、所定時間、反応を継続させることにより、不融性の硬化フェノール樹脂粒子とするのである(工程2)。なお、これら一連の反応に要する時間は、通常、0.5〜6時間程度である。
【0032】
しかる後、反応槽内を冷却し、更に必要に応じて、アルキルベンゼンスルホン酸を中和した後、ろ過又は遠心分離機等の固液分離手段によって、生成した硬化フェノール樹脂粒子が分離される。次いで、この分離された硬化フェノール樹脂粒子を、必要に応じて洗浄し、従来より公知の各種の乾燥方法、例えば、風乾や加熱乾燥(例えば、加熱、熱風循環、振動、流動槽等)等の手法によって乾燥させることにより、目的とする球状の硬化フェノール樹脂粒子を得ることが出来るのである。
【0033】
なお、上記工程1に従って生成した可融性の未硬化フェノール樹脂粒子は、更にハンドリング可能な状態まで反応させた後、上記した手法と同様な手法に従って分離し、更に必要に応じて洗浄した後、上記した加熱乾燥手法を用いて熱硬化させることによって、不融性の硬化フェノール樹脂粒子とすることも、可能である。
【0034】
かくして得られる硬化フェノール樹脂粒子にあっては、後述する実施例において得られた樹脂粒子の表面の走査型電子顕微鏡(SEM)写真にも明らかにされている如く、その粒子表面に、丸みのある瘤状の小突起、所謂イボイボ状の小さな突部が、多数一体的に生じてなる形態を呈しているのであり、この多数の瘤状小突起の存在によって、樹脂粒子の表面積が、効果的に増大せしめられているのである。要するに、そのような硬化フェノール樹脂粒子の表面に存在する多数の瘤状の小突起は、かかる樹脂粒子を投影した面(例えば、SEM写真)において、外縁の少なくとも一部に曲線を持つような形状を為しているのである。ここで、かかる外縁の少なくとも一部に曲線を持つ形状とは、全ての外縁が曲線である形状、外縁が直線とこの直線の一端から他端に繋がる曲線とからなる形状を意味している。そして、外縁が全て曲線である形状は、例えば、円、楕円又は偏平楕円、楕円の一部の外縁にくびれを有する形状等を挙げることが出来る。また、外縁が、直線とこの直線の一端から他端に繋がる曲線とからなる形状としては、例えば、円の一部の外縁が直線を為す形状、楕円の一部の外縁が直線を為す形状等を挙げることが出来る。そして、それらの形状の突起は、粒子表面において、それぞれで単独で存在していても、また混在していても、何等、差支えない。
【0035】
なお、かくの如き丸みのある瘤状の小突起の多数が、粒子表面に一体的に形成されてなる硬化フェノール樹脂粒子は、100μm〜1500μmの平均粒径を有するものとして調製されることとなる。100μmよりも小さな平均粒径となると、その用途において、各種の問題が惹起されるようになる他、小突起の形成効果を充分に発揮させることが困難となる問題を生じ、また、1500μmを超えるような平均粒径の場合にあっては、樹脂粒子の質量あたりの表面積が小さくなるところから、充填材や活性炭等として用いた場合に、その効果が充分に発揮され得なくなったり、また活性炭粒子を製造する際に、粒子の内部まで充分に賦活が行なわれ得なくなったりする等の問題を惹起する。特に、本発明にあっては、120μm〜1200μm程度の粒径を有する樹脂粒子として、有利に形成されることとなる。
【0036】
また、かかる硬化フェノール樹脂粒子にあっては、その粒子表面に、丸み乃至は湾曲形状を有する瘤状の小突起が、粒子表面の1μm2 あたり、少なくとも1個以上の割合において形成せしめられており、これによって、粒子表面積の増大に効果的に寄与せしめられ得ると共に、その用途への適用に際して、優れた効果が発揮せしめられることとなる。なお、そのような小突起の存在数の上限としては、硬化フェノール樹脂粒子の用途に応じて、適宜に選定されるものであるが、一般に、粒子表面の1μm2 あたり20個程度以下、好ましくは15個以下、更に好ましくは10個以下とされることとなる。
【0037】
ここで、粒子表面の1μm2 あたり存在する小突起の個数は、次の方法により算出することが出来る。即ち、硬化フェノール樹脂粒子の表面の複数箇所で、所定の倍率のSEM写真を撮影し、それぞれのSEM写真に写し出された小突起の個数が、計測される。次いで、その計測された小突起の個数を、撮影時の倍率から求めたSEM写真の面積で除すことにより、各SEM写真における1μm2 あたりの小突起の個数が計算される。そして、それら計算された1μm2 あたりの小突起の個数と、SEM写真の数とから、1μm2 あたりの小突起の個数の平均値が求められるのである。なお、SEM写真の視野に存在する小突起が、その視野の縁部で欠けている場合には、その欠けた小突起が、正規の大きさの半分以上であるものは1個として計測し、それ未満のものは計測の対象から除外することとする。また小突起の密度は、硬化フェノール樹脂粒子表面の複数箇所での1μm2 あたりの小突起の個数の平均値として求めるために、1μm2 あたりの突起個数は、整数とはならずに、小数点を持つ場合もあることとなる。
【0038】
また、そのような小突起の形状は、大略球状乃至は楕円体形状を呈する、粒子表面において盛り上がった突部形状を有するものであって、そのような小突起は、一般に、0.1μm〜1.2μmの径を有していることが好ましく、更に小突起の高さとしては、通常、0.05μm〜1μm程度が好ましく、中でも0.05μm〜0.5μm程度であることが好ましい。ここで、小突起の径とは、硬化フェノール樹脂粒子の表面を投影した面において、外縁の少なくとも一部に曲線を持つ形状の小突起を観察し、その外縁の二点から中心を横切る長さのうちの最大長さを意味するものであり、例えば、円形の小突起の場合には、その直径が、「小突起の径」となることとなる。
【0039】
そして、かくの如き、丸みのある瘤状の小突起の多数が粒子表面に一体的に形成されてなる、表面凹凸化硬化フェノール樹脂粒子にあっては、例えば、樹脂材料の軽量化や難燃化等を目的として、熱硬化性樹脂や熱可塑性樹脂、ゴム・エラストマー等に充填材として配合されたり、また、摩擦調整材、カーボンやイオン交換樹脂用の原料等として、好適に用いられることとなるが、特に、そのような本発明に従う硬化フェノール樹脂粒子を充填材として用いる場合にあっては、その表面積の増大効果に加えて、かかる多数の瘤状の小突起の存在によって、アンカー効果が効果的に発揮されて、補強効果が高められ得る等の特徴が発揮されることとなる。
【0040】
また、本発明にあっては、上述の如き表面凹凸化硬化フェノール樹脂粒子を用いて、球状の活性炭粒子が、有利に製造されることとなるのである。
【0041】
すなわち、上記した丸みのある瘤状の小突起の多数が粒子表面に一体的に形成されてなる硬化フェノール樹脂粒子を用い、それを、650℃〜1000℃の温度で、常法に従って、有利には還元性雰囲気の下で、炭素化した後、700℃〜1000℃の温度で、常法に従って水蒸気賦活することによって、かかる硬化フェノール樹脂粒子の表面に対応して、球形乃至は楕円形状の瘤状の小突起が、粒子表面に一体的に存在する活性炭粒子が、有利に得られるのである。
【0042】
特に、そのような活性炭粒子の製造に際して、原料として用いた硬化フェノール樹脂粒子の表面に、瘤状の小突起の多数が一体的に形成されていることによって、細孔の形成が効果的に行なわれ得て、目的とする吸着特性を有する活性炭粒子を得るための賦活操作が容易となる特徴を発揮する。
【実施例】
【0043】
以下に、本発明の実施例を幾つか示し、本発明を更に具体的に明らかにすることとするが、本発明が、そのような実施例の記載によって、何等の制約をも受けるものでないことは、言うまでもないところである。また、本発明には、以下の実施例の他にも、更には上記の具体的記述以外にも、本発明の趣旨を逸脱しない限りにおいて、当業者の知識に基づいて、種々なる変更、修正、改良等が加えられ得るものであることが、理解されるべきである。
【0044】
なお、本実施例において、硬化フェノール樹脂粒子及びそれから得られた球状活性炭の表面状態(突起の有無及びその形態)については、それぞれの粒子表面を走査型電子顕微鏡(SEM)にて写真撮影し、その写真に基づいて、それぞれ、評価した。また、突起の個数は、硬化フェノール樹脂粒子の表面の3箇所で撮影したSEM写真を用い、その3枚のSEM写真に映し出された突起の個数をそれぞれ計測した後、その計測した突起個数をSEM写真の倍率から求めた面積で除すことにより、各SEM写真に写し出された突起の1μm2 あたりの個数を計算し、更に、3枚のSEM写真から計算された1μm2 あたりの突起の個数を加算した後、その加算個数を3で除すことにより、硬化フェノール樹脂粒子表面の1μm2 あたりの突起個数の平均値として、求められている。なお、SEM写真の視野に存在する突起が、その視野の縁部で欠けている場合には、その欠けた突起が正規の大きさの半分以上であると認められる突起は1個として計測し、それ未満であると考えられる突起は、計測の対象から除外した。また、下記表1における1μm2 あたりの突起個数は、小数点1位を四捨五入した値として示されている。
【0045】
また、硬化フェノール樹脂粒子の平均粒子径については、次のようにして測定した。即ち、粒度分布測定装置(日機装株式会社製:マイクロトラック粒度分布測定装置9320HRA<X−100>)を用いて、各硬化フェノール樹脂粒子の粒子径(粒径)分布を、光散乱法により求めた。そして、その粒子径分布から、粒子全体の体積を100%として累積曲線を求めたとき、その曲線が50%になる点の粒子径を平均粒子径(平均粒径)として求めた。即ち、累積平均径(中心径:Median径)が、平均粒子径とされているのである。
【0046】
−実施例1−
還流冷却器、温度計及び攪拌装置を備えた反応容器内に、フェノール:500質量部、92質量%のパラホルムアルデヒド:191質量部(F/P=1.1、但し、F:ホルマリンのモル数、P:フェノールのモル数)、水:750質量部、ドデシルベンゼンスルホン酸:5質量部及びセネガルタイプのアラビアガム(伊那食品工業株式会社製アラビアガムA、セネガル種):0.2質量部を仕込んだ後、内容物を攪拌混合しながら、反応容器内の温度が還流温度となるまで、約1℃/minの昇温速度にて昇温(加熱)し、更に還流温度に保持したまま反応を進行させた。そして、フェノール樹脂粒子の生成から45分経過の後は、生成した粒子の複合化を防止するために、反応容器内の温度を若干下げて、更に4時間保持することにより、生成した球状のフェノール樹脂粒子を硬化せしめた。
【0047】
そして、反応容器内を水酸化ナトリウムにて中和し、その後反応容器内を室温まで冷却した後、その内容物を取り出して、ろ過・洗浄を行ない、目的とする球状の硬化フェノール樹脂粒子を得た。この得られた硬化フェノール樹脂粒子のSEM写真を図1に示すが、そのような写真より明らかな如く、得られた硬化フェノール樹脂粒子の表面には、丸みのある瘤状乃至はイボ状の小突起の多数が一体的に形成されていることが、認められた。また、そのSEM写真より、硬化フェノール樹脂粒子の平均粒径を求めたところ、401μmであった。更に、突起個数は、2個/μm2 であった。
【0048】
次いで、かかる得られた硬化フェノール樹脂粒子を用いて、その300質量部をロータリーキルンに仕込んだ後、900℃まで加熱し、1時間焼成した。更に続いて、800℃まで冷却した後、水を投入しながら、5時間、水蒸気賦活処理を実施し、そしてその後、室温まで冷却することにより、原料の樹脂粒子と同様な、丸みのある瘤状の小突起の多数が粒子表面に一体的に形成されてなる球状活性炭(粒子)を得ることが出来た。この得られた球状活性炭の表面のSEM写真を、図2に示す。
【0049】
−実施例2−
92質量%のパラホルムアルデヒド量を208質量部(F/P=1.2)に変更した以外は、実施例1と同様にして、瘤状の小突起の多数が粒子表面に一体的に形成されてなる表面凹凸化硬化フェノール樹脂粒子を得た。その粒子表面のSEM写真を、図3に示す。また、そのSEM写真より、硬化フェノール樹脂粒子の平均粒径を求めたところ、357μmであった。更に、突起個数は、2個/μm2 であった。
【0050】
また、かかる得られた表面凹凸化硬質フェノール樹脂粒子を用いて、実施例1と同様にして、炭素化及び水蒸気賦活を行なうことにより、球状の丸みのある瘤状の小突起の多数が一体的に形成されてなる形態の球状活性炭を得た。この得られた球状活性炭の表面SEM写真を、図4に示す。
【0051】
−実施例3−
92質量%のパラホルムアルデヒドを260質量部(F/P=1.5)に変更した以外は、実施例1と同様にして、硬化フェノール樹脂粒子及び球状活性炭を製造した。なお、この得られた硬化フェノール樹脂粒子及び球状活性炭のそれぞれの表面のSEM写真を、図5及び図6に示す。また、そのSEM写真より、硬化フェノール樹脂粒子の平均粒径を求めたところ、380μmであった。更に、突起個数は、3個/μm2 であった。
【0052】
−実施例4−
温度計、攪拌装置及び攪拌冷却器を備えた反応容器内に、フェノール:500質量部、92質量%のパラホルムアルデヒド:208質量部(F/P=1.2、F:ホルマリンのモル数、P:フェノールのモル数)、水:750質量部、ドデシルベンゼンスルホン酸:5質量部、及びセネガルタイプのアラビアガム(三栄薬品貿易株式会社製アラビックコールJP、セネガル種):0.2質量部を仕込んだ後、内容物を攪拌混合しながら加熱し、反応させた。そして、その反応の後、反応容器内を室温まで冷却し、そして、内容物をろ過した後、洗浄を行ない、球状の硬化フェノール樹脂粒子を得た。この得られた硬化フェノール樹脂粒子は、その粒子表面に、丸みのある瘤状の小突起の多数が一体的に形成されてなるものであることを、図7に示すSEM写真により確認した。また、そのSEM写真より、硬化フェノール樹脂粒子の平均粒径を求めたところ、461μmであった。更に、突起個数は、2個/μm2 であった。
【0053】
次いで、かかる得られた球状の硬化フェノール樹脂粒子の300質量部を、ロータリーキルンに仕込んだ後、900℃まで加熱し、1時間焼成した。そして、連続して800℃まで冷却した後、水を投入しながら、5時間、水蒸気賦活を行ない、その後、室温まで冷却することにより、球状乃至は楕円形状の瘤状小突起の多数が一体的に形成されてなる球状活性炭を得た。なお、その粒子形状は、図8に示すSEM写真によって確認された。
【0054】
−実施例5−
セネガルタイプのアラビアガムである市販品:アラビアガムAの使用量を0.4質量部とすること以外は、実施例2と同様にして、瘤状の小突起の多数が粒子表面に一体的に形成されてなる表面凹凸化硬化フェノール樹脂粒子を得た。その粒子表面のSEM写真を、図9に示す。また、そのSEM写真より、硬化フェノール樹脂粒子の平均粒径を求めたところ、127μmであった。更に、突起個数は、2個/μm2 であった。
【0055】
また、かかる得られた表面凹凸化硬質フェノール樹脂粒子を用いて、実施例2と同様にして、炭素化及び水蒸気賦活を行なうことにより、球状の丸みのある瘤状の小突起の多数が一体的に形成されてなる形態の球状活性炭を得た。
【0056】
−実施例6−
セネガルタイプのアラビアガムである市販品:アラビアガムAの使用量を0.05質量部とすること以外は、実施例2と同様にして、瘤状の小突起の多数が粒子表面に一体的に形成されてなる表面凹凸化硬化フェノール樹脂粒子を得た。その粒子表面のSEM写真を、図10に示す。また、そのSEM写真より、硬化フェノール樹脂粒子の平均粒径を求めたところ、1107μmであった。更に、突起個数は、2個/μm2 であった。
【0057】
また、かかる得られた表面凹凸化硬質フェノール樹脂粒子を用いて、実施例2と同様にして、炭素化及び水蒸気賦活を行なうことにより、球状の丸みのある瘤状の小突起の多数が一体的に形成されてなる形態の球状活性炭を得た。
【0058】
−比較例1−
92質量%のパラホルムアルデヒドの使用量を、173質量部(F/P=1.0)に変更したこと以外は、実施例1と同様にして、球状の硬化フェノール樹脂粒子を得た。そして、この得られた球状硬化フェノール樹脂粒子について、SEM写真を撮って、その粒子表面の形態を調査したところ、図11に示される如く、平滑な表面を呈し、瘤状の小突起の存在を何等認めることが出来なかった。また、そのSEM写真より、硬化フェノール樹脂粒子の平均粒径を求めたところ、486μmであった。
【0059】
また、そのような球状の硬化フェノール樹脂粒子を用いて、実施例1と同様にして、炭素化、水蒸気賦活を行なうことにより、活性炭を製造したところ、平滑な球状形状を呈する活性炭であることを認めた。この得られた活性炭表面のSEM写真を、図12に示す。
【0060】
−比較例2−
アラビアガムとして、アカシア・セアル(Acacia seyal)種の木由来のもの、所謂セアルタイプのものであるアラビアガムJ(セアル種;伊那食品工業株式会社製):0.2質量部を用いたこと以外は、実施例4と同様にして、硬化フェノール樹脂粒子の製造を試みたところ、目的とする硬化フェノール樹脂粒子を得ることが出来なかった。
【0061】
このことより、アラビアガムの他の種類であるセアル種のアラビアガムを用いた場合にあっては、造粒が困難であり、目的とする硬化フェノール樹脂粒子を得ることが出来ないことが、明らかとなった。
【0062】
−比較例3−
温度計、攪拌装置及び還流冷却器を備えた反応容器内に、フェノール:500質量部、92質量%のパラホルムアルデヒド:208質量部(F/P=1.2、F:ホルマリンのモル数、P:フェノールのモル数)、水:750質量部、ドデシルベンゼンスルホン酸:5質量部、及びセアルタイプのアラビアガム(伊那食品工業株式会社製アラビアガムJ、セアル種):7.5質量部を仕込んだ後、内容物を攪拌混合しながら加熱して、反応させた。そして、その反応の後、反応容器内を室温まで冷却して、内容物を取り出し、次いでろ過、洗浄を行なって、球状の硬化フェノール樹脂粒子を得た。その後、この得られた硬化フェノール樹脂粒子について、SEM写真により、粒子表面の形態を調べたところ、図13に示される如く、平滑面となっており、瘤状の小突起の存在は、何等、認められなかった。また、そのSEM写真より、硬化フェノール樹脂粒子の平均粒径を求めたところ、249μmであった。
【0063】
また、かかる得られた球状の硬化フェノール樹脂粒子の300質量部をロータリーキルンに仕込んだ後、900℃まで加熱し、1時間焼成することにより炭素化を行なった後、引き続いて、800℃まで冷却し、更にその後、水を投入しながら、5時間の水蒸気賦活を行ない、その後、室温まで冷却することにより、球状活性炭を得た。なお、この得られた球状活性炭の粒子表面をSEM写真により調べたところ、表面の凹凸が殆ど存在しない、平滑な表面を有する球状活性炭であることを認めた。
【0064】
以上の実施例1〜6及び比較例1〜3における仕込み量及び得られた硬化フェノール樹脂粒子の平均粒子径と表面形態と突起個数の評価の結果について、下記表1にまとめて示す。
【0065】
【表1】
【図面の簡単な説明】
【0066】
【図1】実施例1で得られた硬化フェノール樹脂粒子の表面形態を示すSEM写真である。
【図2】実施例1で得られた球状活性炭の表面形態を示すSEM写真である。
【図3】実施例2で得られた硬化フェノール樹脂粒子の表面形態を示すSEM写真である。
【図4】実施例2で得られた球状活性炭の表面形態を示すSEM写真である。
【図5】実施例3で得られた硬化フェノール樹脂粒子の表面形態を示すSEM写真である。
【図6】実施例3で得られた球状活性炭の表面形態を示すSEM写真である。
【図7】実施例4で得られた硬化フェノール樹脂粒子の表面形態を示すSEM写真である。
【図8】実施例4で得られた球状活性炭の表面形態を示すSEM写真である。
【図9】実施例5で得られた硬化フェノール樹脂粒子の表面形態を示すSEM写真である。
【図10】実施例6で得られた硬化フェノール樹脂粒子の表面形態を示すSEM写真である。
【図11】比較例1で得られた硬化フェノール樹脂粒子の表面形態を示すSEM写真である。
【図12】比較例1で得られた球状活性炭の表面形態を示すSEM写真である。
【図13】比較例3で得られた硬化フェノール樹脂粒子の表面形態を示すSEM写真である。
【技術分野】
【0001】
本発明は、硬化フェノール樹脂粒子及びその製造方法並びにそれを用いた活性炭粒子の製造法に係り、特に、粒子表面に多数の瘤状の小突起が一体的に形成されてなる硬化フェノール樹脂粒子とそれを有利に製造する方法、更にはそのような硬化フェノール樹脂粒子を用いた、多数の表面突起を有する活性炭粒子を製造する方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、硬化フェノール樹脂粒子からなる粒子乃至は粉末は、充填材(添加剤)として、また活性炭等の炭素材用の原料等として、広く用いられて来ており、その製造方法については、様々な手法が提案されている。
【0003】
例えば、特開平11−60664号公報(特許文献1)や特開2001−114852号公報(特許文献2)においては、水性媒体中で、縮合反応触媒たる所定のアルキルアミン化合物と、乳化分散剤たるグリコシド結合を有する高分子界面活性剤との存在下、フェノール類とアルデヒド類とを縮合反応させることを特徴とする球状フェノール樹脂の製造法が明らかにされており、また、特公昭62−30211号公報(特許文献3)においては、縮合反応触媒として、塩酸を用いた粉末状フェノール・ホルムアルデヒド系樹脂の製造法が、提案されている。
【0004】
しかしながら、そのような手法に従って製造される硬化フェノール樹脂粒子や粉末は、窒素や塩素イオン等を比較的多く含有するものであるために、かかる手法にて製造された硬化フェノール樹脂の粒子や粉末に対して、別途、熱処理を施すと、それら粒子や粉末に含まれる窒素等から窒素酸化物や塩化物が生成し、そしてそれら窒素酸化物等が、設備を腐食したり、また、環境に対して悪影響を及ぼす等の問題があった。
【0005】
一方、本願出願人は、先に、特開平3−7714号公報(特許文献4)において、炭素数が10以上のアルキル基を有するアルキルベンゼンスルホン酸及び保護コロイドの存在下に、フェノール類とアルデヒド類とを反応させて、熱硬化性の樹脂粒子を形成せしめる第一の工程と、かかる第一の工程に継続又は分離して、該樹脂粒子を硬化させる第二の工程を含むことを特徴とする硬化フェノール樹脂粒子の製造方法を提案した。この手法によれば、腐食性の低い酸触媒(アルキルベンゼンスルホン酸)が使用されるものであるところから、フェノール類とアルデヒド類との反応容器として、グラスライニングを施したり、ハステロイ製とする等した、高価な耐食性反応槽を必要とせず、既存のステンレス製設備をそのまま利用することが出来、また、穏やかな反応条件にて、安全に且つ高い収率をもって、硬化フェノール樹脂粒子を製造することが可能となる。
【0006】
ところで、このような従来から提案されている各種の手法に従って得られる硬化フェノール樹脂粒子にあっては、何れも、その粒子表面が、実質的に平滑な球状形態のものであるところから、その表面積に制約を受け、大きな表面積の粒子として得ることが困難であるという問題を内在しており、そのために、充填材として用いた場合において、その充填効果を充分に発揮することが出来ない場合が生じたり、また炭化物の形成工程において、より強い処理条件を採用する必要がある等の問題を内在するものであった。
【0007】
【特許文献1】特開平11−60664号公報
【特許文献2】特開2001−114852号公報
【特許文献3】特公昭62−30211号公報
【特許文献4】特開平3−7714号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ここにおいて、本発明は、かかる事情を背景にして為されたものであって、その解決課題とするところは、粒子表面積の大きな硬化フェノール樹脂粒子とそれを有利に製造し得る手法を提供することにあり、また、そのような表面積の大きな硬化フェノール樹脂粒子を用いて、有用な活性炭粒子を有利に製造する方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
そこで、本発明者等は、そのような課題を解決すべく、先に、特許文献4にて提案されている手法を基にして、鋭意検討を重ねた結果、フェノール類に対するアルデヒド類の使用量を所定のモル比以上に規定することに加えて、保護コロイドとして、特定のアラビアガムを用いると共に、その使用量を極めて少ない割合に調整することにより、丸みのある瘤状の小突起の多数が粒子表面に一体的に形成されて、表面積が効果的に大ならしめられた、表面凹凸化硬化フェノール樹脂粒子を、有利に得ることが出来ることを見出したのである。
【0010】
従って、本発明は、かかる知見に基づいて完成されたものであって、以下に列挙せる如き各種の態様において、好適に実施されるものであるが、以下に記載の各態様は、また、任意の組合せにおいて採用可能である。なお、本発明の態様乃至は技術的特徴は、以下に記載のものに何等限定されることなく、明細書全体の記載乃至はそこに開示の発明思想に基づいて、認識され得るものであることが理解されるべきである。
【0011】
(1) アルキルベンゼンスルホン酸及び保護コロイドの存在下、フェノール類とアルデヒド類とを反応させて、熱硬化性のフェノール樹脂粒子を形成した後、かかるフェノール樹脂粒子を硬化せしめて、硬化フェノール樹脂粒子を製造するに際して、前記フェノール類の1モルに対して、前記アルデヒド類を1.1モル以上の割合において用いると共に、前記保護コロイドとして、アカシア・セネガル種の木由来のアラビアガムを用い、更にその使用量を、前記フェノール類に対して0.001質量%以上、0.1質量%未満となるように調整することにより、丸みのある瘤状の小突起の多数が粒子表面に一体的に形成されてなる硬化フェノール樹脂粒子を得ることを特徴とする硬化フェノール樹脂粒子の製造方法。
【0012】
(2) 前記フェノール類としてフェノールが用いられると共に、前記アルデヒド類としてホルムアルデヒドが用いられることを特徴とする上記態様(1)に記載の硬化フェノール樹脂粒子の製造方法。
【0013】
(3) 前記アラビアガムが、前記フェノール類に対して0.01〜0.08質量%の割合において用いられることを特徴とする上記態様(1)又は(2)に記載の硬化フェノール樹脂粒子の製造方法。
【0014】
(4) 前記硬化フェノール樹脂粒子が、前記フェノール類と前記アルデヒド類とを反応させて生じた熱硬化性フェノール樹脂粒子を加熱せしめることによって、製造されることを特徴とする上記態様(1)乃至(3)の何れか1つに記載の硬化フェノール樹脂粒子の製造方法。
【0015】
(5) フェノール類とアルデヒド類とを反応させて得られた熱硬化性フェノール樹脂粒子を硬化せしめてなる硬化フェノール樹脂粒子にして、100μm〜1500μmの平均粒径を有し、且つ丸みのある瘤状の小突起の多数を粒子表面に一体的に有すると共に、かかる小突起が、粒子表面の1μm2 あたり1個以上の割合において存在せしめられていることを特徴とする硬化フェノール樹脂粒子。
【0016】
(6) 前記小突起が、0.1μm〜1.2μmの径を有していることを特徴とする上記態様(5)に記載の硬化フェノール樹脂粒子。
【0017】
(7) 上記態様(1)乃至は(4)の何れか一つに従う製造方法によって得られた硬化フェノール樹脂粒子を用いて、それを、650℃〜1000℃の温度で炭素化した後、700℃〜1000℃の温度で水蒸気賦活することを特徴とする活性炭粒子の製造法。
【発明の効果】
【0018】
従って、かくの如き本発明に係る硬化フェノール樹脂粒子の製造方法によれば、フェノール類とアルデヒド類との反応が、保護コロイドの存在下、触媒としてアルキルベンゼンスルホン酸を用いて進行せしめられることにより、生成するフェノール樹脂の粒子化が効果的に図られ得ると共に、その際、アルデヒド類が、フェノール類に対して、モル比にて1.1以上の割合で用いられ、且つ保護コロイドとして、アカシア・セネガル種の木由来のアラビアガムを用い、更にその使用量が、フェノール類の使用量の0.001質量%以上、0.1質量%未満に調整されていることによって、丸みのある瘤状の小突起の多数が粒子表面に一体的に形成されてなる、表面凹凸化硬化フェノール樹脂粒子を、効果的に得ることが出来ることとなったのであり、そしてそのような凹凸化表面によって、硬化フェノール樹脂粒子の表面積の効果的な増大を有利に図り得たのである。
【0019】
また、そのような本発明に従う硬化フェノール樹脂粒子にあっては、その表面に一体的に形成された、丸みのある瘤状の多数の小突起の存在によって、それが充填材として用いられた場合において、その表面積が大であることによるマトリックスとの接触効果に加えて、瘤状の小突起によるアンカー効果が有利に発揮され得ることとなるのであり、以て、硬化フェノール樹脂粒子の充填効果が有利に高められ得るのである。
【0020】
さらに、かかる表面凹凸化硬化フェノール樹脂粒子を用いて、本発明に従って活性炭粒子を製造するに際しても、瘤状の小突起が多数存在することによって、活性炭としての吸着作用に寄与する孔、特に、大きな孔の形成が容易となるのであり、そのために、水蒸気賦活の工程を容易に行なうことが出来る利点がある他、得られる活性炭粒子においても、その表面には、球状や楕円体形状の小突起が多数存在するところから、そのような活性炭粒子の活性炭としての機能も、より一層高められ得ることとなるのである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
ところで、本発明に従う硬化フェノール樹脂粒子の製造方法において、目的とするフェノール樹脂を与える反応原料であるフェノール類やアルデヒド類は、何れも、従来よりフェノール樹脂粒子の製造の際に用いられている公知の各種のもの、例えば先の特許文献1〜4に例示のものの中から、適宜に選択使用されることとなるが、特に、本発明にあっては、フェノール類として、無置換形態のフェノールが好適に用いられ、またアルデヒド類としては、ホルムアルデヒドが好適に用いられることとなる。なお、このホルムアルデヒドには、一般に、反応性や原料価格等の観点から、ホルマリン、パラホルムアルデヒド、トリオキサン、テトラオキサン、アセタール等のホルムアルデヒド供給物質が、好適に用いられ得るのである。
【0022】
そして、本発明にあっては、かかるアルデヒド類が、フェノール類の1モルに対して、1.1モル以上の割合となるようにして用いられる必要がある。なお、このアルデヒド類(F)とフェノール類(P)とのモル比(F/P)が1.1よりも低くなると、形成されるフェノール樹脂粒子の表面に、目的とする瘤状の小突起を形成することが困難となり、平滑な表面となってしまうからである。また、このモル比(F/P)の上限は、製造環境や経済性等の観点から、適宜に決定されることとなるが、一般に、2程度以下とされることとなる。
【0023】
また、本発明において、フェノール類とアルデヒド類との反応触媒となるアルキルベンゼンスルホン酸としては、従来より公知の各種のアルキルベンゼンスルホン酸を用いることが可能であるが、好ましくは、炭素数が10以上のアルキル基を有するアルキルベンゼンスルホン酸が、有利に用いられることとなる。そのような炭素数が10以上のアルキル基を有するアルキルベンゼンスルホン酸としては、デシルベンゼンスルホン酸、ドデシルベンゼンスルホン酸、テトラデシルベンゼンスルホン酸、ヘキサデシルベンゼンスルホン酸、オクタデシルベンゼンスルホン酸及びそれらの混合物等を例示することが出来るが、これらの中でも、経済性や入手容易性、触媒機能等の観点から、ドデシルベンゼンスルホン酸が、特に有利に用いられる。
【0024】
なお、このようなアルキルベンゼンスルホン酸の使用量は、反応原料の配合条件や反応条件等に応じて、適宜に決定されることとなるが、一般的には、フェノール類の使用量の0.5〜2.0質量%の割合となるような量において使用される。このように、本発明においては、反応触媒としてのアルキルベンゼンスルホン酸の使用量が、従来のアルキルアミン化合物等を触媒として使用する場合の使用量と比較して、比較的に少量で足りることから、得られるフェノール樹脂粒子は、不純物の含有量が比較的少ないものともなるのである。尤も、そこでは、アルキルベンゼンスルホン酸の存在下において、フェノール樹脂の生成反応が進行することから、得られるフェノール樹脂粒子にあっては、硫黄化合物等の不純物を若干量含有するものともなる。
【0025】
そして、本発明にあっては、フェノール類とアルデヒド類との反応により生成するフェノール樹脂を、球状の粒子形態にて得るべく用いられる保護コロイドとして、公知のアラビアガムの中から、所謂セネガルタイプと称される、特定のアラビアガムを選定すると共に、その特定量を用いることとしたのであり、これによって、目的とする表面形態を有する、即ち丸みのある瘤状の小突起の多数が粒子表面に一体的に形成されてなる硬化フェノール樹脂粒子を、有利に得ることが出来ることとなったのである。
【0026】
すなわち、アラビアガムは、また、ガム・アラビックやアラビアゴムとも称され、マメ科アカシア属の木の分泌物を乾燥したものとして、よく知られているところであるが、本発明にあっては、その中でも、アカシア・セネガル(Acacia senegal)種の木の幹や枝から採取される分泌物を乾燥したもの、換言すればアカシア・セネガル種の木由来のアラビアガムが、用いられるのである。なお、このセネガルタイプのアラビアガムは、増粘剤や安定剤等として、幅広く食品に使用されており、また糖衣コーティング、乳化香料、粉末香料等にも使用されているが、本発明においては、それらの用途向けの各種の市販品の中から、適宜に選択されることとなる。
【0027】
また、そのような本発明において用いられるセネガルタイプのアラビアガムは、フェノール類の使用量の0.001質量%以上、0.1質量%未満の割合となるように調整されて、用いられることとなる。この特定のアラビアガムの使用量が少なくなり過ぎると、樹脂粒子の形成が困難となったり、粒子表面に、目的とする瘤状の小突起の形成が困難となったりする等の問題が惹起され、またその使用量が多くなり過ぎると、生成する樹脂粒子が小さくなり過ぎて、その粒子表面における瘤状の小突起を設けることによる表面凹凸化の意義が低下したり、そのような瘤状の小突起の形成が困難となる等の問題を惹起する。なお、かかるセネガルタイプのアラビアガムの好ましい使用量としては、フェノール類の使用量の0.01〜0.08質量%程度が、有利に採用される。
【0028】
ところで、本発明に従う硬化フェノール樹脂粒子の製造方法にあっては、先ず、上述したアルキルベンゼンスルホン酸及びセネガルタイプのアラビアガムからなる特定の保護コロイドが存在せしめられた状態の下、フェノール類とアルデヒド類とが反応せしめられることとなるのであるが、有利には、以下のような手法に従って実施される。
【0029】
先ず、還流冷却器、温度計、攪拌機を備えた通常の反応槽内に、反応原料たるフェノール類及びアルデヒド類、アルキルベンゼンスルホン酸、そしてセネガルタイプのアラビアガム、更に必要に応じて、希釈水(蒸留水)や各種変性剤(例えば、尿素、メラミン、グアナミン、アニリン、トール油等)が投入される。
【0030】
ここで、保護コロイドとしてのセネガルタイプのアラビアガムの、反応系への投入(添加)時期は、縮合物(反応生成物)が硬化する前であれば良く、特に制限されるものではないが、一般的には、樹脂化(乳化)時又はそれ以前に添加することが好ましく、特に、作業の簡素化等の観点から、反応開始時より配合しておくことが望ましい。また、本発明において、造粒を円滑に実施せしめ、且つ生成した球状の未硬化フェノール樹脂粒子の凝集化を防止するためには、反応系中の水分量を、フェノール類に対して、80質量%以上の割合となるように、好ましくは100〜180質量%程度の割合となるように調整することが、廃液処理や生産効率等の点においても有利である。なお、かかる水分量の調整時期としては、反応開始時、又は保護コロイドの添加時が、適当である。
【0031】
次いで、反応槽内のフェノール類等の投入物を攪拌しながら、かかる反応槽内を、一般に、0.5〜2.0℃/min程度の昇温速度にて加熱し、70℃以上、好ましくは90℃以上の温度(反応温度)にて、所定時間、フェノール類とアルデヒド類とを反応させて、可融性の未硬化フェノール樹脂粒子を生成せしめる(工程1)。そして、引き続いて、反応温度と同温度若しくはそれよりも若干低めの温度にて、所定時間、反応を継続させることにより、不融性の硬化フェノール樹脂粒子とするのである(工程2)。なお、これら一連の反応に要する時間は、通常、0.5〜6時間程度である。
【0032】
しかる後、反応槽内を冷却し、更に必要に応じて、アルキルベンゼンスルホン酸を中和した後、ろ過又は遠心分離機等の固液分離手段によって、生成した硬化フェノール樹脂粒子が分離される。次いで、この分離された硬化フェノール樹脂粒子を、必要に応じて洗浄し、従来より公知の各種の乾燥方法、例えば、風乾や加熱乾燥(例えば、加熱、熱風循環、振動、流動槽等)等の手法によって乾燥させることにより、目的とする球状の硬化フェノール樹脂粒子を得ることが出来るのである。
【0033】
なお、上記工程1に従って生成した可融性の未硬化フェノール樹脂粒子は、更にハンドリング可能な状態まで反応させた後、上記した手法と同様な手法に従って分離し、更に必要に応じて洗浄した後、上記した加熱乾燥手法を用いて熱硬化させることによって、不融性の硬化フェノール樹脂粒子とすることも、可能である。
【0034】
かくして得られる硬化フェノール樹脂粒子にあっては、後述する実施例において得られた樹脂粒子の表面の走査型電子顕微鏡(SEM)写真にも明らかにされている如く、その粒子表面に、丸みのある瘤状の小突起、所謂イボイボ状の小さな突部が、多数一体的に生じてなる形態を呈しているのであり、この多数の瘤状小突起の存在によって、樹脂粒子の表面積が、効果的に増大せしめられているのである。要するに、そのような硬化フェノール樹脂粒子の表面に存在する多数の瘤状の小突起は、かかる樹脂粒子を投影した面(例えば、SEM写真)において、外縁の少なくとも一部に曲線を持つような形状を為しているのである。ここで、かかる外縁の少なくとも一部に曲線を持つ形状とは、全ての外縁が曲線である形状、外縁が直線とこの直線の一端から他端に繋がる曲線とからなる形状を意味している。そして、外縁が全て曲線である形状は、例えば、円、楕円又は偏平楕円、楕円の一部の外縁にくびれを有する形状等を挙げることが出来る。また、外縁が、直線とこの直線の一端から他端に繋がる曲線とからなる形状としては、例えば、円の一部の外縁が直線を為す形状、楕円の一部の外縁が直線を為す形状等を挙げることが出来る。そして、それらの形状の突起は、粒子表面において、それぞれで単独で存在していても、また混在していても、何等、差支えない。
【0035】
なお、かくの如き丸みのある瘤状の小突起の多数が、粒子表面に一体的に形成されてなる硬化フェノール樹脂粒子は、100μm〜1500μmの平均粒径を有するものとして調製されることとなる。100μmよりも小さな平均粒径となると、その用途において、各種の問題が惹起されるようになる他、小突起の形成効果を充分に発揮させることが困難となる問題を生じ、また、1500μmを超えるような平均粒径の場合にあっては、樹脂粒子の質量あたりの表面積が小さくなるところから、充填材や活性炭等として用いた場合に、その効果が充分に発揮され得なくなったり、また活性炭粒子を製造する際に、粒子の内部まで充分に賦活が行なわれ得なくなったりする等の問題を惹起する。特に、本発明にあっては、120μm〜1200μm程度の粒径を有する樹脂粒子として、有利に形成されることとなる。
【0036】
また、かかる硬化フェノール樹脂粒子にあっては、その粒子表面に、丸み乃至は湾曲形状を有する瘤状の小突起が、粒子表面の1μm2 あたり、少なくとも1個以上の割合において形成せしめられており、これによって、粒子表面積の増大に効果的に寄与せしめられ得ると共に、その用途への適用に際して、優れた効果が発揮せしめられることとなる。なお、そのような小突起の存在数の上限としては、硬化フェノール樹脂粒子の用途に応じて、適宜に選定されるものであるが、一般に、粒子表面の1μm2 あたり20個程度以下、好ましくは15個以下、更に好ましくは10個以下とされることとなる。
【0037】
ここで、粒子表面の1μm2 あたり存在する小突起の個数は、次の方法により算出することが出来る。即ち、硬化フェノール樹脂粒子の表面の複数箇所で、所定の倍率のSEM写真を撮影し、それぞれのSEM写真に写し出された小突起の個数が、計測される。次いで、その計測された小突起の個数を、撮影時の倍率から求めたSEM写真の面積で除すことにより、各SEM写真における1μm2 あたりの小突起の個数が計算される。そして、それら計算された1μm2 あたりの小突起の個数と、SEM写真の数とから、1μm2 あたりの小突起の個数の平均値が求められるのである。なお、SEM写真の視野に存在する小突起が、その視野の縁部で欠けている場合には、その欠けた小突起が、正規の大きさの半分以上であるものは1個として計測し、それ未満のものは計測の対象から除外することとする。また小突起の密度は、硬化フェノール樹脂粒子表面の複数箇所での1μm2 あたりの小突起の個数の平均値として求めるために、1μm2 あたりの突起個数は、整数とはならずに、小数点を持つ場合もあることとなる。
【0038】
また、そのような小突起の形状は、大略球状乃至は楕円体形状を呈する、粒子表面において盛り上がった突部形状を有するものであって、そのような小突起は、一般に、0.1μm〜1.2μmの径を有していることが好ましく、更に小突起の高さとしては、通常、0.05μm〜1μm程度が好ましく、中でも0.05μm〜0.5μm程度であることが好ましい。ここで、小突起の径とは、硬化フェノール樹脂粒子の表面を投影した面において、外縁の少なくとも一部に曲線を持つ形状の小突起を観察し、その外縁の二点から中心を横切る長さのうちの最大長さを意味するものであり、例えば、円形の小突起の場合には、その直径が、「小突起の径」となることとなる。
【0039】
そして、かくの如き、丸みのある瘤状の小突起の多数が粒子表面に一体的に形成されてなる、表面凹凸化硬化フェノール樹脂粒子にあっては、例えば、樹脂材料の軽量化や難燃化等を目的として、熱硬化性樹脂や熱可塑性樹脂、ゴム・エラストマー等に充填材として配合されたり、また、摩擦調整材、カーボンやイオン交換樹脂用の原料等として、好適に用いられることとなるが、特に、そのような本発明に従う硬化フェノール樹脂粒子を充填材として用いる場合にあっては、その表面積の増大効果に加えて、かかる多数の瘤状の小突起の存在によって、アンカー効果が効果的に発揮されて、補強効果が高められ得る等の特徴が発揮されることとなる。
【0040】
また、本発明にあっては、上述の如き表面凹凸化硬化フェノール樹脂粒子を用いて、球状の活性炭粒子が、有利に製造されることとなるのである。
【0041】
すなわち、上記した丸みのある瘤状の小突起の多数が粒子表面に一体的に形成されてなる硬化フェノール樹脂粒子を用い、それを、650℃〜1000℃の温度で、常法に従って、有利には還元性雰囲気の下で、炭素化した後、700℃〜1000℃の温度で、常法に従って水蒸気賦活することによって、かかる硬化フェノール樹脂粒子の表面に対応して、球形乃至は楕円形状の瘤状の小突起が、粒子表面に一体的に存在する活性炭粒子が、有利に得られるのである。
【0042】
特に、そのような活性炭粒子の製造に際して、原料として用いた硬化フェノール樹脂粒子の表面に、瘤状の小突起の多数が一体的に形成されていることによって、細孔の形成が効果的に行なわれ得て、目的とする吸着特性を有する活性炭粒子を得るための賦活操作が容易となる特徴を発揮する。
【実施例】
【0043】
以下に、本発明の実施例を幾つか示し、本発明を更に具体的に明らかにすることとするが、本発明が、そのような実施例の記載によって、何等の制約をも受けるものでないことは、言うまでもないところである。また、本発明には、以下の実施例の他にも、更には上記の具体的記述以外にも、本発明の趣旨を逸脱しない限りにおいて、当業者の知識に基づいて、種々なる変更、修正、改良等が加えられ得るものであることが、理解されるべきである。
【0044】
なお、本実施例において、硬化フェノール樹脂粒子及びそれから得られた球状活性炭の表面状態(突起の有無及びその形態)については、それぞれの粒子表面を走査型電子顕微鏡(SEM)にて写真撮影し、その写真に基づいて、それぞれ、評価した。また、突起の個数は、硬化フェノール樹脂粒子の表面の3箇所で撮影したSEM写真を用い、その3枚のSEM写真に映し出された突起の個数をそれぞれ計測した後、その計測した突起個数をSEM写真の倍率から求めた面積で除すことにより、各SEM写真に写し出された突起の1μm2 あたりの個数を計算し、更に、3枚のSEM写真から計算された1μm2 あたりの突起の個数を加算した後、その加算個数を3で除すことにより、硬化フェノール樹脂粒子表面の1μm2 あたりの突起個数の平均値として、求められている。なお、SEM写真の視野に存在する突起が、その視野の縁部で欠けている場合には、その欠けた突起が正規の大きさの半分以上であると認められる突起は1個として計測し、それ未満であると考えられる突起は、計測の対象から除外した。また、下記表1における1μm2 あたりの突起個数は、小数点1位を四捨五入した値として示されている。
【0045】
また、硬化フェノール樹脂粒子の平均粒子径については、次のようにして測定した。即ち、粒度分布測定装置(日機装株式会社製:マイクロトラック粒度分布測定装置9320HRA<X−100>)を用いて、各硬化フェノール樹脂粒子の粒子径(粒径)分布を、光散乱法により求めた。そして、その粒子径分布から、粒子全体の体積を100%として累積曲線を求めたとき、その曲線が50%になる点の粒子径を平均粒子径(平均粒径)として求めた。即ち、累積平均径(中心径:Median径)が、平均粒子径とされているのである。
【0046】
−実施例1−
還流冷却器、温度計及び攪拌装置を備えた反応容器内に、フェノール:500質量部、92質量%のパラホルムアルデヒド:191質量部(F/P=1.1、但し、F:ホルマリンのモル数、P:フェノールのモル数)、水:750質量部、ドデシルベンゼンスルホン酸:5質量部及びセネガルタイプのアラビアガム(伊那食品工業株式会社製アラビアガムA、セネガル種):0.2質量部を仕込んだ後、内容物を攪拌混合しながら、反応容器内の温度が還流温度となるまで、約1℃/minの昇温速度にて昇温(加熱)し、更に還流温度に保持したまま反応を進行させた。そして、フェノール樹脂粒子の生成から45分経過の後は、生成した粒子の複合化を防止するために、反応容器内の温度を若干下げて、更に4時間保持することにより、生成した球状のフェノール樹脂粒子を硬化せしめた。
【0047】
そして、反応容器内を水酸化ナトリウムにて中和し、その後反応容器内を室温まで冷却した後、その内容物を取り出して、ろ過・洗浄を行ない、目的とする球状の硬化フェノール樹脂粒子を得た。この得られた硬化フェノール樹脂粒子のSEM写真を図1に示すが、そのような写真より明らかな如く、得られた硬化フェノール樹脂粒子の表面には、丸みのある瘤状乃至はイボ状の小突起の多数が一体的に形成されていることが、認められた。また、そのSEM写真より、硬化フェノール樹脂粒子の平均粒径を求めたところ、401μmであった。更に、突起個数は、2個/μm2 であった。
【0048】
次いで、かかる得られた硬化フェノール樹脂粒子を用いて、その300質量部をロータリーキルンに仕込んだ後、900℃まで加熱し、1時間焼成した。更に続いて、800℃まで冷却した後、水を投入しながら、5時間、水蒸気賦活処理を実施し、そしてその後、室温まで冷却することにより、原料の樹脂粒子と同様な、丸みのある瘤状の小突起の多数が粒子表面に一体的に形成されてなる球状活性炭(粒子)を得ることが出来た。この得られた球状活性炭の表面のSEM写真を、図2に示す。
【0049】
−実施例2−
92質量%のパラホルムアルデヒド量を208質量部(F/P=1.2)に変更した以外は、実施例1と同様にして、瘤状の小突起の多数が粒子表面に一体的に形成されてなる表面凹凸化硬化フェノール樹脂粒子を得た。その粒子表面のSEM写真を、図3に示す。また、そのSEM写真より、硬化フェノール樹脂粒子の平均粒径を求めたところ、357μmであった。更に、突起個数は、2個/μm2 であった。
【0050】
また、かかる得られた表面凹凸化硬質フェノール樹脂粒子を用いて、実施例1と同様にして、炭素化及び水蒸気賦活を行なうことにより、球状の丸みのある瘤状の小突起の多数が一体的に形成されてなる形態の球状活性炭を得た。この得られた球状活性炭の表面SEM写真を、図4に示す。
【0051】
−実施例3−
92質量%のパラホルムアルデヒドを260質量部(F/P=1.5)に変更した以外は、実施例1と同様にして、硬化フェノール樹脂粒子及び球状活性炭を製造した。なお、この得られた硬化フェノール樹脂粒子及び球状活性炭のそれぞれの表面のSEM写真を、図5及び図6に示す。また、そのSEM写真より、硬化フェノール樹脂粒子の平均粒径を求めたところ、380μmであった。更に、突起個数は、3個/μm2 であった。
【0052】
−実施例4−
温度計、攪拌装置及び攪拌冷却器を備えた反応容器内に、フェノール:500質量部、92質量%のパラホルムアルデヒド:208質量部(F/P=1.2、F:ホルマリンのモル数、P:フェノールのモル数)、水:750質量部、ドデシルベンゼンスルホン酸:5質量部、及びセネガルタイプのアラビアガム(三栄薬品貿易株式会社製アラビックコールJP、セネガル種):0.2質量部を仕込んだ後、内容物を攪拌混合しながら加熱し、反応させた。そして、その反応の後、反応容器内を室温まで冷却し、そして、内容物をろ過した後、洗浄を行ない、球状の硬化フェノール樹脂粒子を得た。この得られた硬化フェノール樹脂粒子は、その粒子表面に、丸みのある瘤状の小突起の多数が一体的に形成されてなるものであることを、図7に示すSEM写真により確認した。また、そのSEM写真より、硬化フェノール樹脂粒子の平均粒径を求めたところ、461μmであった。更に、突起個数は、2個/μm2 であった。
【0053】
次いで、かかる得られた球状の硬化フェノール樹脂粒子の300質量部を、ロータリーキルンに仕込んだ後、900℃まで加熱し、1時間焼成した。そして、連続して800℃まで冷却した後、水を投入しながら、5時間、水蒸気賦活を行ない、その後、室温まで冷却することにより、球状乃至は楕円形状の瘤状小突起の多数が一体的に形成されてなる球状活性炭を得た。なお、その粒子形状は、図8に示すSEM写真によって確認された。
【0054】
−実施例5−
セネガルタイプのアラビアガムである市販品:アラビアガムAの使用量を0.4質量部とすること以外は、実施例2と同様にして、瘤状の小突起の多数が粒子表面に一体的に形成されてなる表面凹凸化硬化フェノール樹脂粒子を得た。その粒子表面のSEM写真を、図9に示す。また、そのSEM写真より、硬化フェノール樹脂粒子の平均粒径を求めたところ、127μmであった。更に、突起個数は、2個/μm2 であった。
【0055】
また、かかる得られた表面凹凸化硬質フェノール樹脂粒子を用いて、実施例2と同様にして、炭素化及び水蒸気賦活を行なうことにより、球状の丸みのある瘤状の小突起の多数が一体的に形成されてなる形態の球状活性炭を得た。
【0056】
−実施例6−
セネガルタイプのアラビアガムである市販品:アラビアガムAの使用量を0.05質量部とすること以外は、実施例2と同様にして、瘤状の小突起の多数が粒子表面に一体的に形成されてなる表面凹凸化硬化フェノール樹脂粒子を得た。その粒子表面のSEM写真を、図10に示す。また、そのSEM写真より、硬化フェノール樹脂粒子の平均粒径を求めたところ、1107μmであった。更に、突起個数は、2個/μm2 であった。
【0057】
また、かかる得られた表面凹凸化硬質フェノール樹脂粒子を用いて、実施例2と同様にして、炭素化及び水蒸気賦活を行なうことにより、球状の丸みのある瘤状の小突起の多数が一体的に形成されてなる形態の球状活性炭を得た。
【0058】
−比較例1−
92質量%のパラホルムアルデヒドの使用量を、173質量部(F/P=1.0)に変更したこと以外は、実施例1と同様にして、球状の硬化フェノール樹脂粒子を得た。そして、この得られた球状硬化フェノール樹脂粒子について、SEM写真を撮って、その粒子表面の形態を調査したところ、図11に示される如く、平滑な表面を呈し、瘤状の小突起の存在を何等認めることが出来なかった。また、そのSEM写真より、硬化フェノール樹脂粒子の平均粒径を求めたところ、486μmであった。
【0059】
また、そのような球状の硬化フェノール樹脂粒子を用いて、実施例1と同様にして、炭素化、水蒸気賦活を行なうことにより、活性炭を製造したところ、平滑な球状形状を呈する活性炭であることを認めた。この得られた活性炭表面のSEM写真を、図12に示す。
【0060】
−比較例2−
アラビアガムとして、アカシア・セアル(Acacia seyal)種の木由来のもの、所謂セアルタイプのものであるアラビアガムJ(セアル種;伊那食品工業株式会社製):0.2質量部を用いたこと以外は、実施例4と同様にして、硬化フェノール樹脂粒子の製造を試みたところ、目的とする硬化フェノール樹脂粒子を得ることが出来なかった。
【0061】
このことより、アラビアガムの他の種類であるセアル種のアラビアガムを用いた場合にあっては、造粒が困難であり、目的とする硬化フェノール樹脂粒子を得ることが出来ないことが、明らかとなった。
【0062】
−比較例3−
温度計、攪拌装置及び還流冷却器を備えた反応容器内に、フェノール:500質量部、92質量%のパラホルムアルデヒド:208質量部(F/P=1.2、F:ホルマリンのモル数、P:フェノールのモル数)、水:750質量部、ドデシルベンゼンスルホン酸:5質量部、及びセアルタイプのアラビアガム(伊那食品工業株式会社製アラビアガムJ、セアル種):7.5質量部を仕込んだ後、内容物を攪拌混合しながら加熱して、反応させた。そして、その反応の後、反応容器内を室温まで冷却して、内容物を取り出し、次いでろ過、洗浄を行なって、球状の硬化フェノール樹脂粒子を得た。その後、この得られた硬化フェノール樹脂粒子について、SEM写真により、粒子表面の形態を調べたところ、図13に示される如く、平滑面となっており、瘤状の小突起の存在は、何等、認められなかった。また、そのSEM写真より、硬化フェノール樹脂粒子の平均粒径を求めたところ、249μmであった。
【0063】
また、かかる得られた球状の硬化フェノール樹脂粒子の300質量部をロータリーキルンに仕込んだ後、900℃まで加熱し、1時間焼成することにより炭素化を行なった後、引き続いて、800℃まで冷却し、更にその後、水を投入しながら、5時間の水蒸気賦活を行ない、その後、室温まで冷却することにより、球状活性炭を得た。なお、この得られた球状活性炭の粒子表面をSEM写真により調べたところ、表面の凹凸が殆ど存在しない、平滑な表面を有する球状活性炭であることを認めた。
【0064】
以上の実施例1〜6及び比較例1〜3における仕込み量及び得られた硬化フェノール樹脂粒子の平均粒子径と表面形態と突起個数の評価の結果について、下記表1にまとめて示す。
【0065】
【表1】
【図面の簡単な説明】
【0066】
【図1】実施例1で得られた硬化フェノール樹脂粒子の表面形態を示すSEM写真である。
【図2】実施例1で得られた球状活性炭の表面形態を示すSEM写真である。
【図3】実施例2で得られた硬化フェノール樹脂粒子の表面形態を示すSEM写真である。
【図4】実施例2で得られた球状活性炭の表面形態を示すSEM写真である。
【図5】実施例3で得られた硬化フェノール樹脂粒子の表面形態を示すSEM写真である。
【図6】実施例3で得られた球状活性炭の表面形態を示すSEM写真である。
【図7】実施例4で得られた硬化フェノール樹脂粒子の表面形態を示すSEM写真である。
【図8】実施例4で得られた球状活性炭の表面形態を示すSEM写真である。
【図9】実施例5で得られた硬化フェノール樹脂粒子の表面形態を示すSEM写真である。
【図10】実施例6で得られた硬化フェノール樹脂粒子の表面形態を示すSEM写真である。
【図11】比較例1で得られた硬化フェノール樹脂粒子の表面形態を示すSEM写真である。
【図12】比較例1で得られた球状活性炭の表面形態を示すSEM写真である。
【図13】比較例3で得られた硬化フェノール樹脂粒子の表面形態を示すSEM写真である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
アルキルベンゼンスルホン酸及び保護コロイドの存在下、フェノール類とアルデヒド類とを反応させて、熱硬化性のフェノール樹脂粒子を形成した後、かかるフェノール樹脂粒子を硬化せしめて、硬化フェノール樹脂粒子を製造するに際して、
前記フェノール類の1モルに対して、前記アルデヒド類を1.1モル以上の割合において用いると共に、前記保護コロイドとして、アカシア・セネガル種の木由来のアラビアガムを用い、更にその使用量を、前記フェノール類に対して0.001質量%以上、0.1質量%未満となるように調整することにより、丸みのある瘤状の小突起の多数が粒子表面に一体的に形成されてなる硬化フェノール樹脂粒子を得ることを特徴とする硬化フェノール樹脂粒子の製造方法。
【請求項2】
前記フェノール類としてフェノールが用いられると共に、前記アルデヒド類としてホルムアルデヒドが用いられることを特徴とする請求項1に記載の硬化フェノール樹脂粒子の製造方法。
【請求項3】
前記アラビアガムが、前記フェノール類に対して0.01〜0.08質量%の割合において用いられることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の硬化フェノール樹脂粒子の製造方法。
【請求項4】
前記硬化フェノール樹脂粒子が、前記フェノール類と前記アルデヒド類とを反応させて生じた熱硬化性フェノール樹脂粒子を加熱せしめることによって、製造されることを特徴とする請求項1乃至請求項3の何れか1項に記載の硬化フェノール樹脂粒子の製造方法。
【請求項5】
フェノール類とアルデヒド類とを反応させて得られた熱硬化性フェノール樹脂粒子を硬化せしめてなる硬化フェノール樹脂粒子にして、
100μm〜1500μmの平均粒径を有し、且つ丸みのある瘤状の小突起の多数を粒子表面に一体的に有すると共に、かかる小突起が、粒子表面の1μm2 あたり1個以上の割合において存在せしめられていることを特徴とする硬化フェノール樹脂粒子。
【請求項6】
前記小突起が、0.1μm〜1.2μmの径を有していることを特徴とする請求項5に記載の硬化フェノール樹脂粒子。
【請求項7】
請求項1乃至請求項4の何れか1項に従う製造方法によって得られた硬化フェノール樹脂粒子を用いて、それを、650℃〜1000℃の温度で炭素化した後、700℃〜1000℃の温度で水蒸気賦活することを特徴とする活性炭粒子の製造法。
【請求項1】
アルキルベンゼンスルホン酸及び保護コロイドの存在下、フェノール類とアルデヒド類とを反応させて、熱硬化性のフェノール樹脂粒子を形成した後、かかるフェノール樹脂粒子を硬化せしめて、硬化フェノール樹脂粒子を製造するに際して、
前記フェノール類の1モルに対して、前記アルデヒド類を1.1モル以上の割合において用いると共に、前記保護コロイドとして、アカシア・セネガル種の木由来のアラビアガムを用い、更にその使用量を、前記フェノール類に対して0.001質量%以上、0.1質量%未満となるように調整することにより、丸みのある瘤状の小突起の多数が粒子表面に一体的に形成されてなる硬化フェノール樹脂粒子を得ることを特徴とする硬化フェノール樹脂粒子の製造方法。
【請求項2】
前記フェノール類としてフェノールが用いられると共に、前記アルデヒド類としてホルムアルデヒドが用いられることを特徴とする請求項1に記載の硬化フェノール樹脂粒子の製造方法。
【請求項3】
前記アラビアガムが、前記フェノール類に対して0.01〜0.08質量%の割合において用いられることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の硬化フェノール樹脂粒子の製造方法。
【請求項4】
前記硬化フェノール樹脂粒子が、前記フェノール類と前記アルデヒド類とを反応させて生じた熱硬化性フェノール樹脂粒子を加熱せしめることによって、製造されることを特徴とする請求項1乃至請求項3の何れか1項に記載の硬化フェノール樹脂粒子の製造方法。
【請求項5】
フェノール類とアルデヒド類とを反応させて得られた熱硬化性フェノール樹脂粒子を硬化せしめてなる硬化フェノール樹脂粒子にして、
100μm〜1500μmの平均粒径を有し、且つ丸みのある瘤状の小突起の多数を粒子表面に一体的に有すると共に、かかる小突起が、粒子表面の1μm2 あたり1個以上の割合において存在せしめられていることを特徴とする硬化フェノール樹脂粒子。
【請求項6】
前記小突起が、0.1μm〜1.2μmの径を有していることを特徴とする請求項5に記載の硬化フェノール樹脂粒子。
【請求項7】
請求項1乃至請求項4の何れか1項に従う製造方法によって得られた硬化フェノール樹脂粒子を用いて、それを、650℃〜1000℃の温度で炭素化した後、700℃〜1000℃の温度で水蒸気賦活することを特徴とする活性炭粒子の製造法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2010−13570(P2010−13570A)
【公開日】平成22年1月21日(2010.1.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−175494(P2008−175494)
【出願日】平成20年7月4日(2008.7.4)
【出願人】(000117102)旭有機材工業株式会社 (235)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年1月21日(2010.1.21)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年7月4日(2008.7.4)
【出願人】(000117102)旭有機材工業株式会社 (235)
【Fターム(参考)】
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