説明

硬化性着色組成物およびカラーフィルタ

【課題】耐熱性があって、マゼンタ領域の光を透過しシアン領域の光を吸収することが可能な硬化性着色組成物を提供する。
【解決手段】下記式で表される化合物の金属錯体化合物を含む硬化性着色組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、硬化性着色組成物、該硬化性着色組成物を用いたカラーフィルタに関する。また、カラーフィルタの製造方法にも関する。さらに、カラーフィルタを用いた液晶表示装置および固体撮像素子に関する。さらに、カラーフィルタに有効な新規化合物に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、カラーフィルタは、有機顔料や無機顔料を分散させた顔料分散組成物と、多官能モノマー、重合開始剤、アルカリ可溶性樹脂、および必要に応じその他の成分とを含有することにより硬化性着色組成物とし、これを用いてフォトリソグラフィ法、インクジェット法などによって着色パターンを形成することで製造されている。
【0003】
近年、カラーフィルタは、液晶表示素子(LCD)用途においてモニターのみならずテレビ(TV)へと用途が拡大する傾向にある。この用途拡大の傾向に伴い、カラーフィルタには、色度、コントラストなどにおいて高度の色特性が要求されるに至っている。また、イメージセンサ(固体撮像素子)用途のカラーフィルタにおいても、同様に色ムラの低減、色分解能の向上など色特性の更なる向上が求められるようになっている。
【0004】
ところが、従来の顔料分散系では、顔料の粗大粒子による散乱の発生、分散安定性不良による粘度上昇等の問題が起きやすく、コントラスト、輝度をさらに向上させることは困難であることが多い。
【0005】
そこで、従来から着色材としては、顔料だけでなく、染料を用いることが検討されている(例えば、特許文献1参照)。着色剤として染料を使用すると、染料自体の色純度やその色相の鮮やかさにより、画像表示させたときの表示画像の色相や輝度を高めることができ、かつ粗大粒子がなくなるためコントラストを向上させられる点で有用とされている。
【0006】
染料の例としては、アリールメタン系色素、ジピロメテン系染料、ピリミジンアゾ系染料、ピラゾールアゾ系染料、キサンテン系染料など、多種多様な色素母体を持つ化合物が知られている(例えば、特許文献2〜4参照)。ジピロメテン系染料については、金属錯体化することで、耐熱性・耐光性が向上することが知られており、この技術を用いた、青色カラーフィルタへの応用例が知られている(例えば、特許文献5〜8参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開平6−75375号公報
【特許文献2】特開2008−292970号公報
【特許文献3】特開2007−039478号公報
【特許文献4】特許第3387541号
【特許文献5】特開2008−292970号公報
【特許文献6】特開2009−31713号公報
【特許文献7】特開2010−13639号公報
【特許文献8】特開2010−18788号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、従来提供されているジピロメテン金属錯体染料はバイオレット領域に吸収を持ち、緑色カラーフィルタとしての用途を想定した場合、シアン色素としては吸収が短波長であり、利用性が大幅に制限されるという課題があった。
本発明は、このような従来技術がかかえる課題に鑑みなされたものであり、マゼンタ領域の光を透過しシアン領域の光を吸収することが可能な硬化性着色組成物並びにカラーフィルタおよびその製造方法、表示画像の彩色が鮮やかで高いコントラストを示す液晶表示装置および固体撮像素子を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは鋭意検討を進めた結果、下記に示す骨格を有する金属錯体を用いれば、マゼンタ領域の光を透過しシアン領域の光を吸収するという好ましい吸収波長特性を有する硬化性着色組成物を提供しうることを見出し、本発明を提供するに至った。下記に示す骨格を有する金属錯体が好ましい理由は、従来知られるピロメテン染料が窒素2配位、酸素2配位の4配位構造をとるのに対し、本発明では酸素原子より亜鉛等の中心金属への親和性が高い窒素4配位構造を取り、かつ、後述するA1、A2部が環構造を形成することで高い剛直性が発現する。この結果本骨格は高い配位力を有し、より色相、耐熱性に優れた染料化合物を与えるものである。
【0010】
具体的には、下記<1>により、好ましくは<2>〜<20>により、上記課題は解決された。
<1>下記式(1)で表される化合物が、金属原子または金属化合物に配位した金属錯体化合物を含む硬化性着色組成物。
式(1)
【化1】

(式(1)中、R1、R2、R3、およびR4は、それぞれ、水素原子または置換基を表す。Y1およびY2は、それぞれ、酸素原子、硫黄原子、または−NH−を表す。A1およびA2は、それぞれ、含窒素環を表す。)
<2>下記式(2)で表される化合物が金属原子または金属化合物に配位した金属錯体化合物を含む硬化性着色組成物。
式(2)
【化2】

(式(2)中、R1、R2、R3、およびR4は、それぞれ、水素原子または置換基を表す。X1およびX2は、それぞれ、酸素原子、硫黄原子、または窒素原子を表す。A3およびA4は、それぞれ、含窒素芳香族環を表す。)
<3>下記式(3)で表される金属錯体化合物を含む硬化性着色組成物。
式(3)
【化3】

(式(3)中、R1、R2、R3、およびR4は、それぞれ、水素原子または置換基を表す。A5およびA6は、それぞれ、含窒素芳香族環を表す。Maは、金属原子または金属化合物を表し、Z1は、Maと結合可能な基を表し、aは0、1または2を表す。)
<4>前記A1〜A6が、それぞれ、チアジアゾール構造、オキサジアゾール構造、トリアゾール構造、または、ピリダジン構造を有する、<1>〜<3>のいずれか1項に記載を含む硬化性着色組成物。
<5>R1およびR4が、それぞれ、アリール基、ヘテロ環基、シアノ基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、アルキルスルホニル基、またはアリールスルホニル基である、<1>〜<4>のいずれか1項に記載の硬化性着色組成物。
<6>R2およびR3が、それぞれ、アルキル基、アリール基、ヘテロ環基、シアノ基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、または、ハロゲン原子である、<1>〜<5>のいずれか1項に記載の硬化性着色組成物。
<7>さらに、黄色色素を含有する、<1>〜<6>のいずれか1項に記載の硬化性着色組成物。
<8>さらに、緑色色素を含有する、<1>〜<7>のいずれか1項に記載の硬化性着色組成物。
<9>さらに、モノマーと重合開始剤とを含有する、<1>〜<8>のいずれか1項に記載の硬化性着色組成物。
<10><1>〜<9>のいずれか1項に記載の硬化性着色組成物を用いた着色層を有するカラーフィルタ。
<11><1>〜<9>のいずれか1項に記載の硬化性着色組成物を支持体上に塗布し、着色層を形成する工程と、形成された前記着色層をパターン状に露光する工程を有するカラーフィルタの製造方法。
<12><10>に記載のカラーフィルタ、または、<11>に記載のカラーフィルタの製造方法により製造されたカラーフィルタを有する、液晶表示装置。
<13><10>に記載のカラーフィルタ、または、<11>に記載のカラーフィルタの製造方法により製造されたカラーフィルタを有する、固体撮像素子。
<14>下記式(1)で表される化合物が、金属原子または金属化合物に配位した金属錯体化合物。
式(1)
【化4】

(式(1)中、R1、R2、R3、およびR4は、それぞれ、水素原子または置換基を表す。Y1およびY2は、それぞれ、酸素原子、硫黄原子、または−NH−を表す。A1およびA2は、それぞれ、含窒素環を表す。)
<15>下記式(2)で表される化合物が金属原子または金属化合物に配位した金属錯体化合物。
式(2)
【化5】

(式(2)中、R1、R2、R3、およびR4は、それぞれ、水素原子または置換基を表す。X1およびX2は、それぞれ、酸素原子、硫黄原子、または窒素原子を表す。A3およびA4は、それぞれ、含窒素芳香族環を表す。)
<16>下記式(3)で表される金属錯体化合物。
式(3)
【化6】

(式(3)中、R1、R2、R3、およびR4は、それぞれ、水素原子または置換基を表す。A5およびA6は、それぞれ、含窒素芳香族環を表す。Maは、金属原子または金属化合物を表し、Z1は、Maと結合可能な基を表し、aは0、1または2を表す。)
<17>前記A1〜A6が、それぞれ、チアジアゾール構造、オキサジアゾール構造、トリアゾール構造、または、ピリダジン構造を有する、<14>〜<16>のいずれか1項に記載の金属錯体化合物。
<18>R1およびR4が、それぞれ、アリール基、ヘテロ環基、シアノ基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、アルキルスルホニル基、またはアリールスルホニル基である、<14>〜<17>のいずれか1項に記載の金属錯体化合物。
<19>R2およびR3が、それぞれ、アルキル基、アリール基、ヘテロ環基、シアノ基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、または、ハロゲン原子である、<14>〜<18>のいずれか1項に記載の金属錯体化合物。
<20>R1およびR4が、それぞれ、下記Rxから選択され、前記A1〜A6が、それぞれ、下記Ryから選択される、<14>〜<16>および<19>いずれか1項に記載の金属錯体化合物。
(Rx)
【化7】

(上記において、*の部分にて連結している。)
(Ry)
【化8】

(上記において、*の部分にて前記A1〜A6の環を構成する炭素原子と連結しており、*の隣の窒素原子が前記A1〜A6の環において表されている窒素原子に対応する。)
【発明の効果】
【0011】
本発明の硬化性着色組成物は、耐熱性があって、マゼンタ領域の光を透過しシアン領域の光を吸収する好ましい吸収特性を有する。また、黄色色素化合物を添加する等により、グリーン用途として特に効果が高い硬化性着色組成物を提供することができる。本発明によれば、色純度が高く、薄層で高い吸光係数が得られ、堅牢性(特に、耐熱性および耐光性)および電圧保持率に優れる硬化性着色組成物並びにカラーフィルタおよびその製造方法を提供することが可能である。また本発明によれば、表示画像の彩色が鮮やかで高いコントラストを示す液晶表示装置および固体撮像素子を提供することが可能である。さらに本発明を用いれば、表示画像の彩色が鮮やかで高いコントラストを示す液晶表示装置および固体撮像素子を提供することが可能である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下において、本発明の内容について詳細に説明する。尚、本願明細書において「〜」とはその前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む意味で使用される。
本発明の色素化合物は、前記硬化性着色組成物の着色成分としての使用が可能である。
【0013】
本発明の金属錯体化合物
本発明の金属錯体化合物は、下記式(1)で表される化合物が金属原子または金属化合物に配位した金属錯体である。ここでの金属原子としては、Zn、Mg、Sc、Fe、Al、Cr、Si、Pt、Pd、Mo、Mn、Cu、Ni、Co、TiO、またはVOが例示され、好ましくは、Zn、Mg、Sc、Fe、Al、Mn、Cu、Ni、Co、TiO、またはVOであり、より好ましくは、Zn、CuまたはCoである。金属化合物としては、Zn、Cu、Ni、Feが例示され、Zn、Cuが好ましい。
式(1)
【化9】

(式(1)中、R1、R2、R3、およびR4は、それぞれ、水素原子または置換基を表す。Y1およびY2は、それぞれ、酸素原子、硫黄原子、または−NH−を表す。A1およびA2は、それぞれ、含窒素環を表す。)
本発明ではこのような骨格を有することにより、従来知られるピロメテン染料が窒素2配位、酸素2配位の4配位構造をとるのに対し、本発明では酸素原子より亜鉛等の中心金属への親和性が高い窒素4配位構造となり、中心金属へのより高い親和性を発現することで剛直性が増す。その結果、スソ切れのよいアザピロメテン染料を提供できる。そのため、R1〜R4がどのような置換基であっても、本発明の効果を奏する。
【0014】
式(1)で表される化合物は、好ましくは下記式(2)で表され、より好ましくは下記式(3)で表される。式(3)で表される化合物を採用することにより、耐熱性が向上する傾向にある。
式(2)
【化10】

(式(2)中、R1、R2、R3、およびR4は、それぞれ、水素原子または置換基を表す。X1およびX2は、それぞれ、酸素原子、硫黄原子、または窒素原子を表す。A3およびA4は、それぞれ、含窒素芳香族環を表す。)
1およびX2を酸素原子、硫黄原子または窒素原子とすることにより、かかる部位にプロトンが存在しなくなり、より平面に近い錯体が得られ、本発明の効果がより効果的に発揮される。
【0015】
式(3)
【化11】

(式(3)中、R1、R2、R3、およびR4は、それぞれ、水素原子または置換基を表す。A5およびA6は、それぞれ、含窒素芳香族環を表す。Maは、金属原子または金属化合物を表し、Z1は、Maと結合可能な基を表し、aは0、1または2を表す。)
【0016】
上記式(1)〜(3)におけるR1〜R4で表される置換基について説明する。上記式(1)〜(3)におけるR1〜R4で表される置換基は、それぞれ同義であり、好ましい範囲も同義である。
1〜R4で表される置換基は、例えば、ハロゲン原子(例えば、フッ素、塩素、臭素)、アルキル基(好ましくは炭素数1〜48、より好ましくは炭素数1〜24の、直鎖、分岐鎖、または環状のアルキル基で、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、2−エチルヘキシル基、ドデシル基、ヘキサデシル基、シクロプロピル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、1−ノルボルニル基、1−アダマンチル基)、アルケニル基(好ましくは炭素数2〜48、より好ましくは炭素数2〜18のアルケニル基で、例えば、ビニル基、アリル基、3−ブテン−1−イル基)、アリール基(好ましくは炭素数6〜48、より好ましくは炭素数6〜24のアリール基で、例えば、フェニル基、ナフチル基)、ヘテロ環基(好ましくは炭素数1〜32、より好ましくは炭素数1〜18のヘテロ環基で、例えば、2−チエニル基、4−ピリジル基、2−フリル基、2−ピリミジニル基、1−ピリジル基、2−ベンゾチアゾリル基、1−イミダゾリル基、1−ピラゾリル基、ベンゾトリアゾール−1−イル基)、シリル基(好ましくは炭素数3〜38、より好ましくは炭素数3〜18のシリル基で、例えば、トリメチルシリル基、トリエチルシリル基、トリブチルシリル基、tert−ブチルジメチルシリル基、tert−ヘキシルジメチルシリル基)、ヒドロキシル基、シアノ基、ニトロ基、アルコキシ基(好ましくは炭素数1〜48、より好ましくは炭素数1〜24のアルコキシ基で、例えば、メトキシ基、エトキシ基、1−ブトキシ基、2−ブトキシ基、イソプロポキシ基、tert−ブトキシ基、ドデシルオキシ基、シクロアルキルオキシ基で、例えば、シクロペンチルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基)、アリールオキシ基(好ましくは炭素数6〜48、より好ましくは炭素数6〜24のアリールオキシ基で、例えば、フェノキシ基、1−ナフトキシ基)、ヘテロ環オキシ基(好ましくは炭素数1〜32、より好ましくは炭素数1〜18のヘテロ環オキシ基で、例えば、1−フェニルテトラゾール−5−オキシ基、2−テトラヒドロピラニルオキシ基)、シリルオキシ基(好ましくは炭素数1〜32、より好ましくは炭素数1〜18のシリルオキシ基で、例えば、トリメチルシリルオキシ基、tert−ブチルジメチルシリルオキシ基、ジフェニルメチルシリルオキシ基)、アシルオキシ基(好ましくは炭素数2〜48、より好ましくは炭素数2〜24のアシルオキシ基で、例えば、アセトキシ基、ピバロイルオキシ基、ベンゾイルオキシ基、ドデカノイルオキシ基)、アルコキシカルボニルオキシ基(好ましくは炭素数2〜48、より好ましくは炭素数2〜24のアルコキシカルボニルオキシ基で、例えば、エトキシカルボニルオキシ基、tert−ブトキシカルボニルオキシ基、シクロアルキルオキシカルボニルオキシ基で、例えば、シクロヘキシルオキシカルボニルオキシ基)、アリールオキシカルボニルオキシ基(好ましくは炭素数7〜32、より好ましくは炭素数7〜24のアリールオキシカルボニルオキシ基で、例えば、フェノキシカルボニルオキシ基)、カルバモイルオキシ基(好ましくは炭素数1〜48、よりこの好ましくは炭素数1〜24のカルバモイルオキシ基で、例えば、N,N−ジメチルカルバモイルオキシ基、N−ブチルカルバモイルオキシ基、N−フェニルカルバモイルオキシ基、N−エチル−N−フェニルカルバモイルオキシ基)、スルファモイルオキシ基(好ましくは炭素数1〜32、より好ましくは炭素数1〜24のスルファモイルオキシ基で、例えば、N,N−ジエチルスルファモイルオキシ基、N−プロピルスルファモイルオキシ基)、アルキルスルホニルオキシ基(好ましくは炭素数1〜38、より好ましくは炭素数1〜24のアルキルスルホニルオキシ基で、例えば、メチルスルホニルオキシ基、ヘキサデシルスルホニルオキシ基、シクロヘキシルスルホニルオキシ基)、
【0017】
アリールスルホニルオキシ基(好ましくは炭素数6〜32、より好ましくは炭素数6〜24のアリールスルホニルオキシ基で、例えば、フェニルスルホニルオキシ基)、アシル基(好ましくは炭素数1〜48、より好ましくは炭素数1〜24のアシル基で、例えば、ホルミル基、アセチル基、ピバロイル基、ベンゾイル基、テトラデカノイル基、シクロヘキサノイル基)、アルコキシカルボニル基(好ましくは炭素数2〜48、より好ましくは炭素数2〜24のアルコキシカルボニル基で、例えば、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、オクタデシルオキシカルボニル基、シクロヘキシルオキシカルボニル基、2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルシクロヘキシルオキシカルボニル基)、アリールオキシカルボニル基(好ましくは炭素数7〜32、より好ましくは炭素数7〜24のアリールオキシカルボニル基で、例えば、フェノキシカルボニル基)、カルバモイル基(好ましくは炭素数1〜48、より好ましくは炭素数1〜24のカルバモイル基で、例えば、カルバモイル基、N,N−ジエチルカルバモイル基、N−エチル−N−オクチルカルバモイル基、N,N−ジブチルカルバモイル基、N−プロピルカルバモイル基、N−フェニルカルバモイル基、N−メチルN−フェニルカルバモイル基、N,N−ジシクロへキシルカルバモイル基)、アミノ基(好ましくは炭素数32以下、より好ましくは炭素数24以下のアミノ基で、例えば、アミノ、メチルアミノ基、N,N−ジブチルアミノ基、テトラデシルアミ基、2−エチルへキシルアミノ基、シクロヘキシルアミノ基)、アニリノ基(好ましくは炭素数6〜32、より好ましくは6〜24のアニリノ基で、例えば、アニリノ基、N−メチルアニリノ基)、ヘテロ環アミノ基(好ましくは炭素数1〜32、より好ましくは1〜18のヘテロ環アミノ基で、例えば、4−ピリジルアミノ基)、カルボンアミド基(好ましくは炭素数2〜48、より好ましくは2〜24のカルボンアミド基で、例えば、アセトアミド基、ベンズアミド基、テトラデカンアミド基、ピバロイルアミド基、シクロヘキサンアミド基)、ウレイド基(好ましくは炭素数1〜32、より好ましくは炭素数1〜24のウレイド基で、例えば、ウレイド基、N,N−ジメチルウレイド基、N−フェニルウレイド基)、イミド基(好ましくは炭素数36以下、より好ましくは炭素数24以下のイミド基で、例えば、N−スクシンイミド基、N−フタルイミド基)、アルコキシカルボニルアミノ基(好ましくは炭素数2〜48、より好ましくは炭素数2〜24のアルコキシカルボニルアミノ基で、例えば、メトキシカルボニルアミノ基、エトキシカルボニルアミノ基、tert−ブトキシカルボニルアミノ基、オクタデシルオキシカルボニルアミノ基、シクロヘキシルオキシカルボニルアミノ基)、アリールオキシカルボニルアミノ基(好ましくは炭素数7〜32、より好ましくは炭素数7〜24のアリールオキシカルボニルアミノ基で、例えば、フェノキシカルボニルアミノ基)、スルホンアミド基(好ましくは炭素数1〜48、より好ましくは炭素数1〜24のスルホンアミド基で、例えば、メタンスルホンアミド基、ブタンスルホンアミド基、ベンゼンスルホンアミド基、ヘキサデカンスルホンアミド基、シクロヘキサンスルホンアミド基)、スルファモイルアミノ基(好ましくは炭素数1〜48、より好ましくは炭素数1〜24のスルファモイルアミノ基で、例えば、N、N−ジプロピルスルファモイルアミノ基、N−エチル−N−ドデシルスルファモイルアミノ基)、アゾ基(好ましくは炭素数1〜32、より好ましくは炭素数1〜24のアゾ基で、例えば、フェニルアゾ基、3−ピラゾリルアゾ基)、
【0018】
アルキルチオ基(好ましくは炭素数1〜48、より好ましくは炭素数1〜24のアルキルチオ基で、例えば、メチルチオ基、エチルチオ基、オクチルチオ基、シクロヘキシルチオ基)、アリールチオ基(好ましくは炭素数6〜48、より好ましくは炭素数6〜24のアリールチオ基で、例えば、フェニルチオ基)、ヘテロ環チオ基(好ましくは炭素数1〜32、より好ましくは炭素数1〜18のヘテロ環チオ基で、例えば、2−ベンゾチアゾリルチオ基、2−ピリジルチオ基、1−フェニルテトラゾリルチオ基)、アルキルスルフィニル基(好ましくは炭素数1〜32、より好ましくは炭素数1〜24のアルキルスルフィニル基で、例えば、ドデカンスルフィニル基)、アリールスルフィニル基(好ましくは炭素数6〜32、より好ましくは炭素数6〜24のアリールスルフィニル基で、例えば、フェニルスルフィニル基)、アルキルスルホニル基(好ましくは炭素数1〜48、より好ましくは炭素数1〜24のアルキルスルホニル基で、例えば、メチルスルホニル基、エチルスルホニル基、プロピルスルホニル基、ブチルスルホニル基、イソプロピルスルホニル基、2−エチルヘキシルスルホニル基、ヘキサデシルスルホニル基、オクチルスルホニル基、シクロヘキシルスルホニル基)、アリールスルホニル基(好ましくは炭素数6〜48、より好ましくは炭素数6〜24のアリールスルホニル基で、例えば、フェニルスルホニル基、1−ナフチルスルホニルv)、スルファモイル基(好ましくは炭素数32以下、より好ましくは炭素数24以下のスルファモイル基で、例えば、スルファモイル基、N,N−ジプロピルスルファモイル基、N−エチル−N−ドデシルスルファモイル基、N−エチル−N−フェニルスルファモイル、N−シクロヘキシルスルファモイル基)、スルホ基、ホスホニル基(好ましくは炭素数1〜32、より好ましくは炭素数1〜24のホスホニル基で、例えば、フェノキシホスホニル基、オクチルオキシホスホニル基、フェニルホスホニル基)、ホスフィノイルアミノ基(好ましくは炭素数1〜32、より好ましくは炭素数1〜24のホスフィノイルアミノ基で、例えば、ジエトキシホスフィノイルアミノ基、ジオクチルオキシホスフィノイルアミノ基)を表す。
【0019】
式(1)中のR1〜R4の置換基がさらに置換可能な基である場合には、R1〜R4で説明した置換基を有していてもよく、2個以上の置換基を有している場合には、それらの置換基は同一であっても異なっていてもよい。
【0020】
1およびR4は、それぞれ、好ましくは、アリール基、ヘテロ環基、シアノ基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、アルキルスルホニル基、アリールスルホニル基で表され、さらに好ましくはヘテロ環基、シアノ基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基である。
ヘテロ環としては、ピロール環と結合する部位の隣接位に非共有電子対を有する窒素原子を有するものが好ましく、具体的にはチアゾール構造、オキサゾール構造、イミダゾール構造、チアジアゾール構造、オキサジアゾール構造、トリアゾール構造、ピリジン構造、ピラジン構造、ピリミジン構造、またはトリアジン構造を有するヘテロ環基が挙げられる。
【0021】
1およびR4は、それぞれ、さらに好ましくは下記のいずれかの基である。ここで、*が結合する部位である。
【化12】

1およびR4は、それぞれ、特に好ましくは下記のいずれかの基である。
【化13】

【0022】
2およびR3は、それぞれ、好ましくは、アルキル基、アリール基、ヘテロ環基、シアノ基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、ハロゲン原子であり、より好ましくはアルキル基、アリール基、ヘテロ環基である。
ヘテロ環としては、チアゾール構造、オキサゾール構造、イミダゾール構造、チアジアゾール構造、オキサジアゾール構造、トリアゾール構造、ピリジン構造、ピラジン構造、ピリミジン構造、トリアジン構造を有するヘテロ環基が挙げられる。
【0023】
式(1)〜(3)中の、R1とR2、R3とR4、はそれぞれ互いに結合して5員、6員、若しくは7員の、飽和環または不飽和環を形成していてもよい。形成される5員、6員、若しくは7員の環が、さらに置換可能な基である場合には、前記R1〜R4で説明した置換基で置換されていてもよく、2個以上の置換基で置換されている場合には、それらの置換基は同一であっても異なっていてもよい。
【0024】
式(3)において、MaとZ1の間は、少なくとも1つは配位結合であることが好ましい。
式(3)において、aは2〜4の整数であり、 aは好ましくは1である。
式(3)において、Maは、好ましくは、Zn、Mg、Sc、Fe、Al、Cr、Si、Pt、Pd、Mo、Mn、Cu、Ni、Co、TiO、またはVOであり、より好ましくは、Zn、Mg、Sc、Fe、Al、Mn、Cu、Ni、Co、TiO、またはVOであり、特に好ましくは、Zn、CuまたはCoである。
【0025】
式(3)において、Z1は、Maとイオン結合もしくは共有結合可能な基を表す。Z1としては、テトラフルオロホウ素イオン、ヘキサフルオロリンイオン、ヘキサフルオロアンチモンイオン、トリストリフルオロメメタンスルホン酸メチドイオン、過塩素酸イオン、シアノ基、ハロゲン基(塩素が好ましい)、アルキルカルボン酸基(酢酸基、乳酸基、デカンカルボン酸基等が挙げられる。炭素数が2〜20が好ましく、2〜12がより好ましく、2〜8が特に好ましい。)、アリールカルボン酸(安息香酸基、アントラキノンカルボン酸基、ナフタレンカルボン酸基等が挙げられる。炭素数が2〜20が好ましく、2〜11がより好ましく、2〜7が特に好ましい。)、アルキルスルホン酸基(メタンスルホン酸基、トリフルオロメタンスルホン酸基が挙げられる。炭素数が2〜20が好ましく、2〜12がより好ましく、2〜8が特に好ましい。)、アリールスルホン酸基(ベンゼンスルホン酸基、p−トルエンスルホン酸基、ナフタレンスルホン酸基が挙げられる。炭素数が2〜20が好ましく、2〜11がより好ましく、2〜7が特に好ましい。)、ヒドロキシル基、イミド基(フタルイミド基、ジアセトイミド基、ビストリフルオロメタンスルホンイミド基等が挙げられる。炭素数が2〜20が好ましく、2〜12がより好ましく、2〜8が特に好ましい。)、アリールオキシ基(フェノキシ基等が挙げられる。炭素数が2〜20が好ましく、2〜12がより好ましく、2〜8が特に好ましい。)アルキルチオ基(ドデシルチオ基等が挙げられる。炭素数が2〜20が好ましく、2〜12がより好ましく、2〜8が特に好ましい。)、アリールチオ基(ベンゼンチオ基が挙げられる。炭素数が2〜20が好ましく、2〜12がより好ましく、2〜8が特に好ましい。)等が挙げられる。中でも、アルキルカルボン酸基、アリールカルボン酸基、アリールスルホン酸基、イミド基が好ましく、アルキルカルボン酸基、イミド基がより好ましく、アルキルカルボン酸基が特に好ましい。
【0026】
1〜A6で表される置換基について説明する。A1〜A6として好ましくは窒素原子を含有する芳香族環であり、具体的にはチアゾール誘導体、オキサゾール誘導体、イミダゾール誘導体、トリアゾール誘導体、チアジアゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、ピリジン誘導体、ピリミジン誘導体、ピラジン誘導体、およびトリアジン誘導体などが挙げられ、それらはさらに芳香族性の環を有してもよい。より好ましくは窒素原子が二つ連続した構造を持つトリアゾール誘導体、チアジアゾール誘導体、またはオキサジアゾール誘導体であり、さらに好ましくはチアジアゾール誘導体である。
1〜A6で表される環が有する置換基としては、ハロゲン原子、アルキル基、またはカルバモイル基(より好ましくはアルキルカルバモイル基)が好ましく、アルキル基またはカルバモイル基(より好ましくはアルキルカルバモイル基)がさらに好ましい。
【0027】
本発明におけるA1〜A6は、さらに好ましくは、以下の環構造である。A1〜A6の環を構成している、C=Nの部分の、Cが*の部分に対応し、Nが*に隣接する窒素原子に相当する。
【化14】

本発明におけるA1〜A6は、さらに好ましくは、以下の環構造である。
【化15】

【0028】
以下に本発明で用いられる金属錯体の具体例を示すが、本願発明はこれらに限定されるものではない。
【0029】
下記において、縦軸がRxを示し、*の部分が主骨格に結合する。また、横軸がRyを示し、*の部分が窒素原子から出ている結合子に結合する。例えば、下記a−22の右半分の構造は以下のとおりとなる。
【化16】

【0030】
【化17】

【0031】
【化18】

【0032】
下記のMがそれぞれ、以下の金属原子である化合物も好ましい。
【化19】

(d−1):Cu、(d−2):Fe、(d−3)、Mg、(d−4):Co、(d−5):Ni
【0033】
本発明の硬化性着色組成物に含まれるアザピロメテン化合物の製造方法の一例を示す。製造方法は下記の方法に限定されない。
【化20】

【0034】
各工程について説明する。原料のピロール化合物は、例えば上記特許文献5を参考にして製造することができる。
(1)ニトロソ化
実験化学講座(丸善出版、第五版、14巻、469〜473ページ)の手法を参考に行うことができる。具体例としては、亜硝酸(亜硝酸塩と酸を反応させることで発生させてもよい)とピロールを反応させることにより、合成することが可能である。
(2)カップリング
ニトロソ化ピロールとピロールとを反応させることで得られる。触媒として適当な酸を共存させることが好ましい。また脱水剤として、適当な酸無水物を共存させることが好ましい。
(3)錯体化
ジピロメテン化合物と金属源とを適当な溶媒中で反応させることで得られる。
【0035】
本発明の硬化性着色組成物では、式(1)で表される化合物を1種単独で含有してもよいし、2種以上併用してもよい。
式(1)で表される化合物の本発明の硬化性着色組成物中における含有量としては、分子量、およびその吸光係数によって異なるが、硬化性着色組成物の全固形分に対して、1〜70質量%が好ましく、10〜50質量%がより好ましい。式(1)で表される化合物(染料)の含有量は、10質量%以上であると、より良好な色濃度(例えば液晶表示するのに適した色濃度)が得られ、50質量%以下であると、画素のパターニングがより良好になる点で有利である。
【0036】
また、さらに本発明の硬化性着色組成物には、その他の構造の染料化合物や顔料化合物およびその分散物を含んでもよい。染料化合物としては、着色画像の色相に影響を与えないものであればどのような構造であってもよく、例えば、アントラキノン系(例えば、特開2001−108815号公報記載のアントラキノン化合物)、フタロシアニン系(例えば、米国特許出願公開第2008/0076044号公報記載のフタロシアニン化合物)、キサンテン系(例えば、シー・アイ・アシッド・レッド289(C.I.Acid.Red 289))、トリアリールメタン系(例えば、シー・アイ・アシッドブルー7(C.I.Acid Blue7)、シー・アイ・アシッドブルー83(C.I.Acid Blue83)、シー・アイ・アシッドブルー90(C.I.Acid Blue90)、シー・アイ・ソルベント・ブルー38(C.I.Solvent Blue38)、シー・アイ・アシッド・バイオレット17(C.I.Acid Violet17)、シー・アイ・アシッド・バイオレット49(C.I.Acid Violet49)、シー・アイ・アシッド・グリーン3(C.I.Acid Green3)、スクアリリウム系、ピラゾールアゾ系、メチン系、ピラゾロンアゾ系、バルビツールアゾ系、などが挙げられる。有機溶剤に可溶な染料としては、例えばC.I.ソルベントイエロー4、C.I.ソルベントイエロー88、C.I.ソルベントイエロー14、C.I.ソルベントイエロー15、C.I.ソルベントイエロー24、C.I.ソルベントイエロー94、C.I.ソルベントイエロー98、C.I.ソルベントイエロー162、C.I.ソルベントイエロー82等が挙げられる。
【0037】
顔料化合物としては、ペリレン、ペリノン、キナクリドン、キナクリドンキノン、アントラキノン、アントアントロン、ベンズイミダゾロン、ジスアゾ縮合、ジスアゾ、アゾ、インダントロン、フタロシアニン、トリアリールカルボニウム、ジオキサジン、アミノアントラキノン、ジケトピロロピロール、インジゴ、チオインジゴ、イソインドリン、イソインドリノン、ピラントロンもしくはイソビオラントロン等が挙げられる。さらに詳しくは、例えば、ピグメント・レッド190、ピグメント・レッド224、ピグメント・バイオレット29等のペリレン化合物顔料、ピグメント・オレンジ43、もしくはピグメント・レッド194等のペリノン化合物顔料、ピグメント・バイオレット19、ピグメント・バイオレット42、ピグメント・レッド122、ピグメント・レッド192、ピグメント・レッド202、ピグメント・レッド207、もしくはピグメント・レッド209のキナクリドン化合物顔料、ピグメント・レッド206、ピグメント・オレンジ48、もしくはピグメント・オレンジ49等のキナクリドンキノン化合物顔料、ピグメント・イエロー147等のアントラキノン化合物顔料、ピグメント・レッド168等のアントアントロン化合物顔料、ピグメント・ブラウン25、ピグメント・バイオレット32、ピグメント・オレンジ36、ピグメント・イエロー120、ピグメント・イエロー180、ピグメント・イエロー181、ピグメント・オレンジ62、もしくはピグメント・レッド185等のベンズイミダゾロン化合物顔料、ピグメント・イエロー93、ピグメント・イエロー94、ピグメント・イエロー95、ピグメント・イエロー128、ピグメント・イエロー166、ピグメント・オレンジ34、ピグメント・オレンジ13、ピグメント・オレンジ31、ピグメント・レッド144、ピグメント・レッド166、ピグメント・レッド220、ピグメント・レッド221、ピグメント・レッド242、ピグメント・レッド248、ピグメント・レッド262、もしくはピグメント・ブラウン23等のジスアゾ縮合化合物顔料、ピグメント・イエロー13、ピグメント・イエロー83、もしくはピグメント・イエロー188等のジスアゾ化合物顔料、ピグメント・レッド187、ピグメント・レッド170、ピグメント・イエロー74、ピグメント・イエロー150、ピグメント・レッド48、ピグメント・レッド53、ピグメント・オレンジ64、もしくはピグメント・レッド247等のアゾ化合物顔料、ピグメント・ブルー60等のインダントロン化合物顔料、ピグメント・グリーン7、ピグメント・グリーン36、ピグメント・グリーン37、ピグメント・グリーン58、ピグメント・ブルー16、ピグメント・ブルー75、もしくはピグメント・ブルー15等のフタロシアニン化合物顔料、ピグメント・ブルー56、もしくはピグメント・ブルー61等のトリアリールカルボニウム化合物顔料、ピグメント・バイオレット23、もしくはピグメント・バイオレット37等のジオキサジン化合物顔料、ピグメント・レッド177等のアミノアントラキノン化合物顔料、ピグメント・レッド254、ピグメント・レッド255、ピグメント・レッド264、ピグメント・レッド272、ピグメント・オレンジ71、もしくはピグメント・オレンジ73等のジケトピロロピロール化合物顔料、ピグメント・レッド88等のチオインジゴ化合物顔料、ピグメント・イエロー139、ピグメント・オレンジ66等のイソインドリン化合物顔料、ピグメント・イエロー109、もしくはピグメント・オレンジ61等のイソインドリノン化合物顔料、ピグメント・オレンジ40、もしくはピグメント・レッド216等のピラントロン化合物顔料、またはピグメント・バイオレット31等のイソビオラントロン化合物顔料が挙げられる。
【0038】
前記染料および顔料の含有量は、本発明の効果を損なわない範囲で使用でき、本発明の硬化性着色組成物の全固形分に対して、0.5質量%〜70質量%であることが好ましい。
前記染料または顔料を分散物として配合することにより本発明の硬化性着色組成物を調製する場合、特開平9−197118号公報、特開2000−239544号公報の記載に従って調製することができる。
【0039】
本発明では、特に黄色色素化合物を添加することにより、硬化性緑着色組成物を好ましく提供することができる。提供される硬化性緑着色組成物は、色純度が高くて、液晶表示装置および固体撮像素子に適用した場合に、表示画像の彩色が鮮やかで高いコントラストを示すものとすることができる。
黄色色素化合物の添加量は、本発明の硬化性着色組成物の全固形分に対して、1質量%〜70質量%であることが好ましく、10質量%〜50質量%であることがより好ましい。また、本発明の式(1)で表される化合物を100質量部としたときに、黄色色素化合物の添加量は、10質量部〜1000質量部であることが好ましく、20質量部〜500質量部であることがより好ましい。
【0040】
[重合性化合物]
本発明の着色組成物は、少なくとも一種の重合性化合物を含有することが好ましい。重合性化合物としては、例えば、少なくとも1個のエチレン性不飽和二重結合を有する付加重合性化合物を挙げることができる。
【0041】
具体的には、末端エチレン性不飽和結合を少なくとも1個、好ましくは2個以上有する化合物から選ばれる。このような化合物群は、当該産業分野において広く知られているものであり、本発明においてはこれらを特に限定なく用いることができる。これらは、例えば、モノマー、プレポリマー、すなわち2量体、3量体およびオリゴマー、またはそれらの混合物並びにそれらの(共)重合体などの化学的形態のいずれであってもよい。
【0042】
モノマーおよびその(共)重合体の例としては、不飽和カルボン酸(例えば、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、イソクロトン酸、マレイン酸など)やそのエステル類、アミド類、並びにこれらの(共)重合体が挙げられ、好ましくは、不飽和カルボン酸と脂肪族多価アルコール化合物とのエステル、および不飽和カルボン酸と脂肪族多価アミン化合物とのアミド類、並びにこれらの(共)重合体である。また、ヒドロキシル基やアミノ基、メルカプト基等の求核性置換基を有する不飽和カルボン酸エステル或いはアミド類と、単官能若しくは多官能イソシアネート類或いはエポキシ類との付加反応物や、単官能若しくは多官能のカルボン酸との脱水縮合反応物等も好適に使用される。また、イソシアネート基やエポキシ基等の親電子性置換基を有する不飽和カルボン酸エステル或いはアミド類と、単官能若しくは多官能のアルコール類、アミン類、チオール類との付加反応物、さらに、ハロゲン基やトシルオキシ基等の脱離性置換基を有する不飽和カルボン酸エステル或いはアミド類と、単官能若しくは多官能のアルコール類、アミン類、チオール類との置換反応物も好適である。また、別の例として、上記の不飽和カルボン酸の代わりに、不飽和ホスホン酸、スチレン、ビニルエーテル等に置き換えた化合物群を使用することも可能である。
【0043】
脂肪族多価アルコール化合物と不飽和カルボン酸とのエステルのモノマーの具体例としては、アクリル酸エステルとして、例えば、エチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、1,3−ブタンジオールジアクリレート、テトラメチレングリコールジアクリレート、プロピレングリコールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールプロパントリ(アクリロイルオキシプロピル)エーテル、トリメチロールエタントリアクリレート、ヘキサンジオールジアクリレート、1,4−シクロヘキサンジオールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、ペンタエリスリトールジアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールジアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ソルビトールトリアクリレート、ソルビトールテトラアクリレート、ソルビトールペンタアクリレート、ソルビトールヘキサアクリレート、トリ(アクリロイルオキシエチル)イソシアヌレート、ポリエステルアクリレートオリゴマー、イソシアヌール酸EO変性トリアクリレート等が挙げられる。
また、メタクリル酸エステルとして、例えば、テトラメチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、ネオペンチルグリコールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、トリメチロールエタントリメタクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、1,3−ブタンジオールジメタクリレート、ヘキサンジオールジメタクリレート、ペンタエリスリトールジメタクリレート、ペンタエリスリトールトリメタクリレート、ペンタエリスリトールテトラメタクリレート、ジペンタエリスリトールジメタクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサメタクリレート、ソルビトールトリメタクリレート、ソルビトールテトラメタクリレート、ビス〔p−(3−メタクリルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)フェニル〕ジメチルメタン、ビス−〔p−(メタクリルオキシエトキシ)フェニル〕ジメチルメタン等が挙げられる。
【0044】
さらに、イタコン酸エステルとして、例えば、エチレングリコールジイタコネート、プロピレングリコールジイタコネート、1,3−ブタンジオールジイタコネート、1,4−ブタンジオールジイタコネート、テトラメチレングリコールジイタコネート、ペンタエリスリトールジイタコネート、ソルビトールテトライタコネート等が、また、クロトン酸エステルとして、例えば、エチレングリコールジクロトネート、テトラメチレングリコールジクロトネート、ペンタエリスリトールジクロトネート、ソルビトールテトラジクロトネート等が、イソクロトン酸エステルとして、例えば、エチレングリコールジイソクロトネート、ペンタエリスリトールジイソクロトネート、ソルビトールテトライソクロトネート等が、また、マレイン酸エステルとして、例えば、エチレングリコールジマレート、トリエチレングリコールジマレート、ペンタエリスリトールジマレート、ソルビトールテトラマレート等が挙げられる。
その他のエステルの例として、例えば、特公昭51−47334号公報、特開昭57−196231号公報記載の脂肪族アルコール系エステル類や、特開昭59−5240号公報、特開昭59−5241号公報、特開平2−226149号公報記載の芳香族系骨格を有するもの、特開平1−165613号公報記載のアミノ基を含有するもの等も好適に用いられる。さらに、前述のエステルモノマーは混合物としても使用することができる。
【0045】
また、脂肪族多価アミン化合物と不飽和カルボン酸とのアミドのモノマーの具体例としては、メチレンビス−アクリルアミド、メチレンビス−メタクリルアミド、1,6−ヘキサメチレンビス−アクリルアミド、1,6−ヘキサメチレンビス−メタクリルアミド、ジエチレントリアミントリスアクリルアミド、キシリレンビスアクリルアミド、キシリレンビスメタクリルアミド等がある。
その他の好ましいアミド系モノマーの例としては、特公昭54−21726号公報に記載のシクロへキシレン構造を有すものを挙げることができる。
【0046】
また、イソシアネートと水酸基の付加反応を用いて製造されるウレタン系付加重合性化合物も好適であり、そのような具体例としては、例えば、特公昭48−41708号公報中に記載の、1分子に2個以上のイソシアネート基を有するポリイソシアネート化合物に、下記一般式(B)で表される水酸基を含有するビニルモノマーを付加させた1分子中に2個以上の重合性ビニル基を含有するビニルウレタン化合物等が挙げられる。
CH2=C(R)COOCH2CH(R')OH …(B)
〔一般式(B)中、RおよびR'は、それぞれ独立にHまたはCH3を表す。〕
【0047】
これらの重合性化合物について、その構造、単独使用か併用か、添加量等の使用方法の詳細は、硬化性着色組成物の最終的な性能設計にあわせて任意に設定できる。例えば、感度の観点では、1分子あたりの不飽和基含量が多い構造が好ましく、多くの場合は2官能以上が好ましい。また、着色硬化膜の強度を高める観点では、3官能以上のものがよく、さらに、異なる官能数・異なる重合性基(例えばアクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、スチレン系化合物、ビニルエーテル系化合物)のものを併用することで、感度と強度の両方を調節する方法も有効である。また、硬化性着色組成物に含有される他の成分(例えば、光重合開始剤、着色剤(顔料)、バインダーポリマー等)との相溶性、分散性に対しても、重合性化合物の選択・使用法は重要な要因であり、例えば、低純度化合物の使用や2種以上の併用により相溶性を向上させうることがある。また、支持体などの硬質表面との密着性を向上させる観点で特定の構造を選択することもあり得る。
【0048】
着色組成物の全固形分中における重合性化合物の含有量(2種以上の場合は総含有量)としては、特に限定はなく、本発明の効果をより効果的に得る観点から、10質量%〜80質量%が好ましく、15質量%〜75質量%がより好ましく、20質量%〜60質量%が特に好ましい。
【0049】
[光重合開始剤]
本発明の着色組成物は、少なくとも一種の光重合開始剤を含有することが好ましい。光重合開始剤は、前記重合性化合物を重合させ得るものであれば、特に制限はなく、特性、開始効率、吸収波長、入手性、コスト等の観点で選ばれるのが好ましい。
【0050】
光重合開始剤としては、例えば、ハロメチルオキサジアゾール化合物およびハロメチル−s−トリアジン化合物から選択される少なくとも1つの活性ハロゲン化合物、3−アリール置換クマリン化合物、ロフィン2量体、ベンゾフェノン化合物、アセトフェノン化合物およびその誘導体、シクロペンタジエン−ベンゼン−鉄錯体およびその塩、オキシム系化合物、等が挙げられる。光重合開始剤の具体例については、特開2004−295116号公報の段落番号〔0070〕〜〔0077〕に記載のものが挙げられる。中でも、重合反応が迅速である点等から、オキシム系化合物が好ましい。
【0051】
前記オキシム系化合物(以下、「オキシム系光重合開始剤」ともいう。)としては、特に限定はなく、例えば、特開2000−80068号公報、WO02/100903A1、特開2001−233842号公報等に記載のオキシム系化合物が挙げられる。
具体的な例としては、2−(O−ベンゾイルオキシム)−1−[4−(フェニルチオ)フェニル]−1,2−ブタンジオン、2−(O−ベンゾイルオキシム)−1−[4−(フェニルチオ)フェニル]−1,2−ペンタンジオン、2−(O−ベンゾイルオキシム)−1−[4−(フェニルチオ)フェニル]−1,2−ヘキサンジオン、2−(O−ベンゾイルオキシム)−1−[4−(フェニルチオ)フェニル]−1,2−ヘプタンジオン、2−(O−ベンゾイルオキシム)−1−[4−(フェニルチオ)フェニル]−1,2−オクタンジオン、2−(O−ベンゾイルオキシム)−1−[4−(メチルフェニルチオ)フェニル]−1,2−ブタンジオン、2−(O−ベンゾイルオキシム)−1−[4−(エチルフェニルチオ)フェニル]−1,2−ブタンジオン、2−(O−ベンゾイルオキシム)−1−[4−(ブチルフェニルチオ)フェニル]−1,2−ブタンジオン、1−(O−アセチルオキシム)−1−[9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]エタノン、1−(O−アセチルオキシム)−1−[9−メチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]エタノン、1−(O−アセチルオキシム)−1−[9−プロピル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]エタノン、1−(O−アセチルオキシム)−1−[9−エチル−6−(2−エチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]エタノン、1−(O−アセチルオキシム)−1−[9−エチル−6−(2−ブチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]エタノンなどが挙げられる。但し、これらに限定されるものではない。
【0052】
また、本発明においては、感度、径時安定性、後加熱時の着色の観点から、オキシム系化合物として、下記一般式(11)で表される化合物がより好ましい。
【0053】
【化21】

【0054】
前記一般式(11)中、RおよびXは、それぞれ独立に、1価の置換基を表し、Aは、2価の有機基を表し、Arは、アリール基を表す。nは、1〜5のいずれかの整数である。
【0055】
Rとしては、高感度化の点から、アシル基が好ましく、具体的には、アセチル基、プロピオニル基、ベンゾイル基、トルイル基が好ましい。
【0056】
Aとしては、感度を高め、加熱経時による着色を抑制する点から、無置換のアルキレン基、アルキル基(例えば、メチル基、エチル基、tert−ブチル基、ドデシル基)で置換されたアルキレン基、アルケニル基(例えば、ビニル基、アリル基)で置換されたアルキレン基、アリール基(例えば、フェニル基、p−トリル基、キシリル基、クメニル基、ナフチル基、アンスリル基、フェナントリル基、スチリル基)で置換されたアルキレン基が好ましい。
【0057】
Arとしては、感度を高め、加熱経時による着色を抑制する点から、置換または無置換のフェニル基が好ましい。置換フェニル基の場合、その置換基としては、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等のハロゲン基が好ましい。
【0058】
Xとしては、溶剤溶解性と長波長領域の吸収効率向上の点から、置換基を有してもよいアルキル基、置換基を有してもよいアリール基、置換基を有してもよいアルケニル基、置換基を有してもよいアルキニル基、置換基を有してもよいアルコキシ基、置換基を有してもよいアリールオキシ基、置換基を有してもよいアルキルチオキシ基、置換基を有してもよいアリールチオキシ基、置換基を有してもよいアミノ基が好ましい。
また、一般式(11)におけるnは1または2が好ましい。
【0059】
また、本発明の硬化性着色組成物には、上記の光重合開始剤のほかに、特開2004−295116号公報の段落番号〔0079〕に記載の他の公知の光重合開始剤を使用してもよい。
【0060】
光重合開始剤は、1種単独でまたは2種以上を組み合わせて含有することができる。
光重合開始剤の硬化性着色組成物の全固形分中における含有量(2種以上の場合は総含有量)は、本発明の効果をより効果的に得る観点から、3質量%〜20質量%が好ましく、4質量%〜19質量%がより好ましく、5質量%〜18質量%が特に好ましい。
【0061】
[増感剤(重合開始剤助剤)]
本発明では増感剤(重合開始剤助剤)を添加することも好ましい。
増感剤を含有することにより、露光感度向上に有効であり、露光光源がg,h線混合線の場合に特に有効である。
増感剤としては、アントラセン誘導体、アクリドン誘導体、チオキサントン誘導体、クマリン誘導体、ベーススチリル誘導体、ジスチリルベンゼン誘導体が好ましい。
アントラセン誘導体としては、アントラセン、9,10−ジブトキシアントラセン、9,10−ジクロロアントラセン、2−エチル−9,10−ジメトキシアントラセン、9−ヒドロキシメチルアントラセン、9−ブロモアントラセン、9−クロロアントラセン、9,10−ジブロモアントラセン、2−エチルアントラセン、9,10−ジメトキシアントラセンが好ましい。
アクリドン誘導体としては、アクリドン、N−ブチル−2−クロロアクリドン、N−メチルアクリドン、2−メトキシアクリドン、N−エチル−2−メトキシアクリドンが好ましい。
チオキサントン誘導体としては、チオキサントン、ジエチルチオキサントン、1−クロロ−4−プロポキシチオキサントン、2−クロロチオキサントンが好ましい。
クマリン誘導体としては、クマリン−1、クマリン−6H、クマリン−110、クマリン−102が好ましい。
ベーススチリル誘導体としては、2−(4−ジメチルアミノスチリル)ベンゾオキサゾール、2−(4−ジメチルアミノスチリル)ベンゾチアゾール、2−(4−ジメチルアミノスチリル)ナフトチアゾールが挙げられる。
ジスチリルベンゼン誘導体としては、ジスチリルベンゼン、ジ(4−メトキシスチリル)ベンゼン、ジ(3,4,5−トリメトキシスチリル)ベンゼンが挙げられる。
増感剤の具体例としては、下記が挙げられる。なお、下記において、Meはメチル基、Etはエチル基、Buはブチル基を表す。
【0062】
【化22】

【0063】
本発明における増感剤の含有量は、式(1)で表される化合物100重量部に対して、0.1〜10重量部であることが好ましく、0.5〜10重量部であることがより好ましい。
【0064】
[有機溶剤]
本発明の硬化性着色組成物は、少なくとも一種の有機溶剤を含有することができる。
有機溶剤は、並存する各成分の溶解性や硬化性着色組成物としたときの塗布性を満足できるものであれば、基本的には特に制限はなく、特に、バインダーの溶解性、塗布性、安全性を考慮して選ばれることが好ましい。
【0065】
有機溶剤としては、エステル類として、例えば、酢酸エチル、酢酸−n−ブチル、酢酸イソブチル、ギ酸アミル、酢酸イソアミル、酢酸イソブチル、プロピオン酸ブチル、酪酸イソプロピル、酪酸エチル、酪酸ブチル、乳酸メチル、乳酸エチル、オキシ酢酸アルキルエステル類(例:オキシ酢酸メチル、オキシ酢酸エチル、オキシ酢酸ブチル(具体的には、メトキシ酢酸メチル、メトキシ酢酸エチル、メトキシ酢酸ブチル、エトキシ酢酸メチル、エトキシ酢酸エチル等が挙げられる。))、3−オキシプロピオン酸アルキルエステル類(例:3−オキシプロピオン酸メチル、3−オキシプロピオン酸エチル等(具体的には、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−メトキシプロピオン酸エチル、3−エトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル等が挙げられる。))、2−オキシプロピオン酸アルキルエステル類(例:2−オキシプロピオン酸メチル、2−オキシプロピオン酸エチル、2−オキシプロピオン酸プロピル等(具体的には、2−メトキシプロピオン酸メチル、2−メトキシプロピオン酸エチル、2−メトキシプロピオン酸プロピル、2−エトキシプロピオン酸メチル、2−エトキシプロピオン酸エチル等が挙げられる。))、2−オキシ−2−メチルプロピオン酸メチル、2−オキシ−2−メチルプロピオン酸エチル(具体的には、2−メトキシ−2−メチルプロピオン酸メチル、2−エトキシ−2−メチルプロピオン酸エチル等が挙げられる。)、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、ピルビン酸プロピル、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、2−オキソブタン酸メチル、2−オキソブタン酸エチル等が挙げられる。
【0066】
また、エーテル類としては、例えば、ジエチレングリコールジメチルエーテル、テトラヒドロフラン、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノプロピルエーテルアセテート等が挙げられる。
ケトン類としては、例えば、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、2−ヘプタノン、3−ヘプタノン等が挙げられる。
芳香族炭化水素類としては、例えば、トルエン、キシレン等が好適に挙げられる。
【0067】
これらの有機溶剤は、前述の各成分の溶解性、およびアルカリ可溶性バインダーを含む場合はその溶解性、塗布面状の改良などの観点から、2種以上を混合することも好ましい。この場合、特に好ましくは、3−エトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、エチルセロソルブアセテート、乳酸エチル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、酢酸ブチル、3−メトキシプロピオン酸メチル、2−ヘプタノン、シクロヘキサノン、エチルカルビトールアセテート、ブチルカルビトールアセテート、プロピレングリコールメチルエーテル、およびプロピレングリコールメチルエーテルアセテートから選択される2種以上で構成される混合溶液である。
【0068】
有機溶剤の硬化性着色組成物中における含有量としては、組成物中の全固形分濃度が10質量%〜80質量%になる量が好ましく、15質量%〜60質量%になる量がより好ましい。
【0069】
[他の成分]
本発明の硬化性着色組成物は、上述の各成分に加えて、本発明の効果を損なわない範囲で、さらに、アルカリ可溶性バインダー、架橋剤などの他の成分を含んでいてもよい。
【0070】
−アルカリ可溶性バインダー−
アルカリ可溶性バインダーは、アルカリ可溶性を有すること以外は、特に限定はなく、好ましくは、耐熱性、現像性、入手性等の観点から選択することができる。
【0071】
アルカリ可溶性バインダーとしては、線状有機高分子重合体であり、且つ、有機溶剤に可溶で、弱アルカリ水溶液で現像できるものが好ましい。このような線状有機高分子重合体としては、側鎖にカルボン酸を有するポリマー、例えば、特開昭59−44615号、特公昭54−34327号、特公昭58−12577号、特公昭54−25957号、特開昭59−53836号、特開昭59−71048号の各公報に記載されているような、メタクリル酸共重合体、アクリル酸共重合体、イタコン酸共重合体、クロトン酸共重合体、マレイン酸共重合体、部分エステル化マレイン酸共重合体等が挙げられ、同様に側鎖にカルボン酸を有する酸性セルロース誘導体が有用である。
【0072】
上述したものの他、本発明におけるアルカリ可溶性バインダーとしては、水酸基を有するポリマーに酸無水物を付加させたもの等や、ポリヒドロキシスチレン系樹脂、ポリシロキサン系樹脂、ポリ(2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート)、ポリビニルピロリドンやポリエチレンオキサイド、ポリビニルアルコール、等も有用である。また、線状有機高分子重合体は、親水性を有するモノマーを共重合したものであってもよい。この例としては、アルコキシアルキル(メタ)アクリレート、ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート、グリセロール(メタ)アクリレート、(メタ)アクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、2級若しくは3級のアルキルアクリルアミド、ジアルキルアミノアルキル(メタ)アクリレート、モルホリン(メタ)アクリレート、N−ビニルピロリドン、N−ビニルカプロラクタム、ビニルイミダゾール、ビニルトリアゾール、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、分岐若しくは直鎖のプロピル(メタ)アクリレート、分岐若しくは直鎖のブチル(メタ)アクリレート、または、フェノキシヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、等が挙げられる。その他、親水性を有するモノマーとしては、テトラヒドロフルフリル基、燐酸基、燐酸エステル基、4級アンモニウム塩基、エチレンオキシ鎖、プロピレンオキシ鎖、スルホン酸基およびその塩由来の基、モルホリノエチル基等を含んでなるモノマー等も有用である。
【0073】
また、アルカリ可溶性バインダーは、架橋効率を向上させるために、重合性基を側鎖に有してもよく、例えば、アリル基、(メタ)アクリル基、アリルオキシアルキル基等を側鎖に含有するポリマー等も有用である。上述の重合性基を含有するポリマーの例としては、市販品のKSレジスト−106(大阪有機化学工業(株)製)、サイクロマーPシリーズ(ダイセル化学工業(株)製)等が挙げられる。また、硬化皮膜の強度を上げるためにアルコール可溶性ナイロンや2,2−ビス−(4−ヒドロキシフェニル)−プロパンとエピクロロヒドリンとのポリエーテル等も有用である。
【0074】
これら各種アルカリ可溶性バインダーの中でも、耐熱性の観点からは、ポリヒドロキシスチレン系樹脂、ポリシロキサン系樹脂、アクリル系樹脂、アクリルアミド系樹脂、アクリル/アクリルアミド共重合体樹脂が好ましく、現像性制御の観点からは、アクリル系樹脂、アクリルアミド系樹脂、アクリル/アクリルアミド共重合体樹脂が好ましい。
【0075】
前記アクリル系樹脂としては、ベンジル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリルアミド等から選ばれるモノマーからなる共重合体や、市販品のKSレジスト−106(大阪有機化学工業(株)製)、サイクロマーPシリーズ(ダイセル化学工業(株)製)等が好ましい。
【0076】
アルカリ可溶性バインダーは、現像性、液粘度等の観点から、重量平均分子量(GPC法で測定されたポリスチレン換算値)が1000〜2×105の重合体が好ましく、20
00〜1×105の重合体がより好ましく、5000〜5×104の重合体が特に好ましい。
【0077】
−架橋剤−
本発明の硬化性着色組成物に補足的に架橋剤を用い、硬化性着色組成物を硬化させてなる着色硬化膜の硬度をより高めることもできる。
架橋剤としては、架橋反応により膜硬化を行なえるものであれば、特に限定はなく、例えば、(a)エポキシ樹脂、(b)メチロール基、アルコキシメチル基、およびアシロキシメチル基から選ばれる少なくとも1つの置換基で置換された、メラミン化合物、グアナミン化合物、グリコールウリル化合物またはウレア化合物、(c)メチロール基、アルコキシメチル基、およびアシロキシメチル基から選ばれる少なくとも1つの置換基で置換された、フェノール化合物、ナフトール化合物またはヒドロキシアントラセン化合物、が挙げられる。中でも、多官能エポキシ樹脂が好ましい。
架橋剤の具体例などの詳細については、特開2004−295116号公報の段落番号〔0134〕〜〔0147〕の記載を参照することができる。
【0078】
−界面活性剤−
本発明の硬化性着色組成物は、界面活性剤を含んでいても良い。界面活性剤としては、アニオン系、カチオン系、ノニオン系、または、両性のいずれでも使用することができるが、好ましい界面活性剤はノニオン系界面活性剤である。
ノニオン系界面活性剤の例としては、ポリオキシエチレン高級アルキルエーテル類、ポリオキシエチレン高級アルキルフェニルエーテル類、ポリオキシエチレングリコールの高級脂肪酸ジエステル類、シリコーン系、フッ素系界面活性剤を挙げることができる。また、以下商品名で、KP(信越化学工業(株)製)、ポリフロー(共栄社化学(株)製)、エフトップ(JEMCO社製)、メガファック(DIC(株)製)、フロラード(住友スリーエム(株)製)、アサヒガード、サーフロン(旭硝子(株)製)PolyFox(OMNOVA社製)等の各シリーズを挙げることができる。
また、界面活性剤として、下記の構成単位Aおよび構成単位Bを繰り返し単位として含み、ゲルパーミエーションクロマトグラフィで測定されるポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)が1,000〜10,000である共重合体を好ましい例として挙げることができる。
【0079】
【化23】

(構成単位(A)および(B)中、R1およびR3はそれぞれ独立に、水素原子またはメチル基を表し、R2は炭素数1〜4の直鎖アルキレン基を表し、R4は水素原子または炭素数1〜4のアルキル基を表し、Lは炭素数3〜6のアルキレン基を表し、下記式:
【化24】

(R5は、炭素数1〜4のアルキル基を表し、相溶性と被塗布面に対する濡れ性の点で、炭素数1〜3のアルキル基が好ましく、炭素数2または3のアルキル基がより好ましい)で表される分岐アルキレン基であることが好ましく、pおよびqは重合比を表す重量百分率であり、pは10重量%〜80重量%の数値を表し、qは20重量%〜90重量%の数値を表し、rは1〜18の整数を表し、nは1〜10の整数を表す。)
構成単位Aおよび構成単位Bを繰り返し単位として含む共重合体である界面活性剤の重量平均分子量(Mw)は、1,500〜5,000がより好ましい。
これらの界面活性剤は、1種単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。
本発明の硬化性着色組成物における界面活性剤の添加量は、他の成分の合計質量100部に対して、10重量部以下であることが好ましく、0.01〜10重量部であることがより好ましく、0.01〜1重量部であることがさらに好ましい。
【0080】
−その他の添加物−
本発明の硬化性着色組成物には、必要に応じて、各種添加物、例えば、充填剤、上記以外の高分子化合物、密着促進剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、凝集防止剤等を配合することができる。これらの添加物としては、特開2004−295116号公報の段落番号〔0155〕〜〔0156〕に記載のものを挙げることができる。
本発明の硬化性着色組成物においては、特開2004−295116号公報の段落番号〔0078〕に記載の増感剤や光安定剤、同公報の段落番号〔0081〕に記載の熱重合防止剤を含有することができる。
【0081】
また、非露光領域のアルカリ溶解性を促進し、硬化性着色組成物の現像性の更なる向上を図る場合には、該組成物に有機カルボン酸、好ましくは分子量1000以下の低分子量有機カルボン酸の添加を行なうことが好ましい。
具体的には、例えば、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、酪酸、吉草酸、ピバル酸、カプロン酸、ジエチル酢酸、エナント酸、カプリル酸等の脂肪族モノカルボン酸;シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ブラシル酸、メチルマロン酸、エチルマロン酸、ジメチルマロン酸、メチルコハク酸、テトラメチルコハク酸、シトラコン酸等の脂肪族ジカルボン酸;トリカルバリル酸、アコニット酸、カンホロン酸等の脂肪族トリカルボン酸;安息香酸、トルイル酸、クミン酸、ヘメリト酸、メシチレン酸等の芳香族モノカルボン酸;フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、トリメリト酸、トリメシン酸、メロファン酸、ピロメリト酸等の芳香族ポリカルボン酸;フェニル酢酸、ヒドロアトロパ酸、ヒドロケイ皮酸、マンデル酸、フェニルコハク酸、アトロパ酸、ケイ皮酸、ケイ皮酸メチル、ケイ皮酸ベンジル、シンナミリデン酢酸、クマル酸、ウンベル酸等のその他のカルボン酸が挙げられる。
【0082】
硬化性着色組成物の製造方法
本発明の硬化性着色組成物は、前述の各成分と必要に応じて任意成分とを混合することで調製される。
なお、硬化性着色組成物の調製に際しては、硬化性着色組成物を構成する各成分を一括配合してもよいし、各成分を溶剤に溶解・分散した後に逐次配合してもよい。また、配合する際の投入順序や作業条件は特に制約を受けない。例えば、全成分を同時に溶剤に溶解・分散して組成物を調製してもよいし、必要に応じては、各成分を適宜2つ以上の溶液・分散液としておいて、使用時(塗布時)にこれらを混合して組成物として調製してもよい。
上記のようにして調製された硬化性着色組成物は、好ましくは、孔径0.01μm〜3.0μm、より好ましくは孔径0.05μm〜0.5μm程度のフィルタなどを用いて濾別した後、使用に供することができる。
本発明の硬化性着色組成物は、色相およびコントラストに優れた着色硬化膜を形成することができるため、液晶表示装置(LCD)や固体撮像素子(例えば、CCD、CMOS等)に用いられるカラーフィルタなどの着色画素形成用として、また、印刷インキ、インクジェットインキ、および塗料などの作製用途として好適に用いることができる。特に、液晶表示装置用の着色画素形成用途に好適である。
【0083】
カラーフィルタおよびその製造方法
本発明のカラーフィルタは、基板上に着色領域を設けて構成されたものである。基板上の着色領域は、カラーフィルタの各画素をなす例えば赤(R)、緑(G)、青(B)等の着色膜で構成されている。本発明のカラーフィルタは、所定の構造を持つジアリールメタン化合物を含ませて形成されるので、画像表示したときの彩色が鮮やかでコントラストが高く、特に液晶表示装置用として好適である。
【0084】
本発明のカラーフィルタは、アリールメタン化合物を含有して硬化された着色領域(着色パターン)を形成できる方法であれば、いずれの方法で形成されてもよい。好ましくは、本発明の硬化性着色組成物を用いて作製される。
【0085】
本発明のカラーフィルタの製造方法は、支持体上に既述の硬化性着色組成物を塗布し、着色層(着色組成物層ともいう。)を形成する工程(A)と、工程(A)にて形成された着色組成物層を(好ましくはマスクを介して)パターン状に露光し、塗布膜の未硬化部を現像液で現像除去して着色領域(着色パターン)を形成する工程(B)とを設けて構成されている。これらの工程を経ることで、各色(3色或いは4色)の画素からなる着色パターンが形成され、カラーフィルタを得ることができる。また、本発明のカラーフィルタの製造方法では、特に、工程(B)で形成された着色パターンに対して紫外線を照射する工程(C)と、工程(C)で紫外線が照射された着色パターンに対して加熱処理を行なう工程(D)とをさらに設けた態様が好ましい。
このような方法により、液晶表示素子や固体撮像素子に用いられるカラーフィルタをプロセス上の困難性が少なく、高品質で、かつ低コストに作製することができる。
以下、本発明のカラーフィルタの製造方法について、より具体的に説明する。
【0086】
−工程(A)−
本発明のカラーフィルタの製造方法では、まず、支持体上に直接または他の層を介して、既述の本発明の硬化性着色組成物を所望の塗布方法により塗布して、硬化性着色組成物からなる塗布膜(着色組成物層)を形成し、その後、必要に応じて、予備硬化(プリベーク)を行ない、該硬化性着色組成物層を乾燥させる。
【0087】
支持体としては、例えば、液晶表示素子等に用いられる無アルカリガラス、ソーダガラス、パイレックス(登録商標)ガラス、石英ガラス、およびこれらに透明導電膜を付着させたものや、固体撮像素子等に用いられる光電変換素子基板、例えば、シリコーン基板や、プラスチック基板等が挙げられる。また、これらの支持体上には、各画素を隔離するブラックマトリクスが形成されていたり、密着促進等のために透明樹脂層が設けられたりしていてもよい。また、支持体上には必要により、上部の層との密着改良、物質の拡散防止、或いは表面の平坦化のために、下塗り層を設けてもよい。
また、プラスチック基板は、その表面に、ガスバリヤー層および/または耐溶剤性層を有していることが好ましい。
【0088】
このほか、支持体として、薄膜トランジスター(TFT)方式カラー液晶表示装置の薄膜トランジスター(TFT)が配置された駆動用基板(以下、「TFT方式液晶駆動用基板」という。)を用い、この駆動用基板上にも、本発明の硬化性着色組成物を用いてなる着色パターンを形成し、カラーフィルタを作製することができる。
TFT方式液晶駆動用基板における基板としては、例えば、ガラス、シリコーン、ポリカーボネート、ポリエステル、芳香族ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリイミド等を挙げることができる。これらの基板には、所望により、シランカップリング剤等による薬品処理、プラズマ処理、イオンプレーティング、スパッタリング、気相反応法、真空蒸着等の適宜の前処理を施しておくこともできる。例えば、TFT方式液晶駆動用基板の表面に、窒化ケイ素膜等のパッシベーション膜を形成した基板を用いることができる。
【0089】
本発明の硬化性着色組成物を、直接または他の層を介して基板に回転塗布、スリット塗布、流延塗布、ロール塗布、バー塗布、インクジェット等の塗布方法により塗布して、硬化性着色組成物の塗布膜を形成することができる。
【0090】
塗布工程において、本発明の硬化性着色組成物を基板に塗布する方法としては、特に限定されるものではないが、スリット・アンド・スピン法、スピンレス塗布法等のスリットノズルを用いる方法(以下、スリットノズル塗布法という)が好ましい。
スリットノズル塗布法において、スリット・アンド・スピン塗布法とスピンレス塗布法は、塗布基板の大きさによって条件は異なるが、例えば、スピンレス塗布法により第五世代のガラス基板(1100mm×1250mm)を塗布する場合、スリットノズルからの硬化性着色組成物の吐出量は、通常、500マイクロリットル/秒〜2000マイクロリットル/秒、好ましくは800マイクロリットル/秒〜1500マイクロリットル/秒であり、また、塗工速度は、通常、50mm/秒〜300mm/秒、好ましくは100mm/秒〜200mm/秒である。
また、塗布工程で用いられる硬化性着色組成物の固形分としては、通常、10%〜20%、好ましくは13%〜18%である。
【0091】
基板上に本発明の硬化性着色組成物による塗布膜を形成する場合、該塗布膜の厚み(プリベーク処理後)としては、一般に0.3μm〜5.0μmであり、望ましくは0.5μm〜4.0μm、最も望ましくは0.5μm〜3.0μmである。
また、固体撮像素子用のカラーフィルタの場合であれば、塗布膜の厚み(プリベーク処理後)は、0.5μm〜5.0μmの範囲が好ましい。
【0092】
塗布工程において、通常は、塗布後にプリベーク処理を施す。必要によっては、プリベーク前に真空処理を施すこともできる。真空乾燥の条件は、真空度が、通常、0.1torr〜1.0torr、好ましくは0.2torr〜0.5torr程度である。
また、プリベーク処理は、ホットプレート、オーブン等を用いて50℃〜140℃の温度範囲で、好ましくは70℃〜110℃程度であり、10秒〜300秒の条件にて行うことができる。なお、プリベーク処理には、高周波処理などを併用してもよい。高周波処理は単独でも使用可能である。
【0093】
プリベークの条件としては、ホットプレートやオーブンを用いて、70℃〜130℃で、0.5分間〜15分間程度加熱する条件が挙げられる。
また、硬化性着色組成物により形成される着色組成物層の厚みは、目的に応じて適宜選択される。液晶表示装置用カラーフィルタにおいては、0.2μm〜5.0μmの範囲が好ましく、1.0μm〜4.0μmの範囲がさらに好ましく、1.5μm〜3.5μmの範囲が最も好ましい。また、固体撮像素子用カラーフィルタにおいては、0.2μm〜5.0μmの範囲が好ましく、0.3μm〜2.5μmの範囲がさらに好ましく、0.3μm〜1.5μmの範囲が最も好ましい。
なお、着色組成物層の厚みは、プリベーク後の膜厚である。
【0094】
−工程(B)−
続いて、本発明のカラーフィルタの製造方法では、支持体上に前述のようにして形成された着色組成物からなる塗布膜(着色組成物層)に対し、例えばフォトマスクを介して露光が行なわれる。露光に適用し得る光もしくは放射線としては、g線、h線、i線、j線、KrF光、ArF光が好ましく、特にi線が好ましい。照射光にi線を用いる場合、100mJ/cm2〜10000mJ/cm2の露光量で照射することが好ましい。
【0095】
また、その他の露光光線としては、超高圧、高圧、中圧、低圧の各水銀灯、ケミカルランプ、カーボンアーク灯、キセノン灯、メタルハライド灯、可視および紫外の各種レーザー光源、蛍光灯、タングステン灯、太陽光等も使用できる。
【0096】
〜レーザー光源を用いた露光工程〜
レーザー光源を用いた露光方式では、光源として紫外光レーザーを用いる。
照射光は、波長が300nm〜380nmの範囲である波長の範囲の紫外光レーザーが好ましく、さらに好ましくは300nm〜360nmの範囲の波長である紫外光レーザーがレジストの感光波長に合致しているという点で好ましい。具体的には、特に出力が大きく、比較的安価な固体レーザーのNd:YAGレーザーの第三高調波(355nm)や、エキシマレーザーのXeCl(308nm)、XeF(353nm)を好適に用いることができる。
被露光物(パターン)の露光量としては、1mJ/cm2〜100mJ/cm2の範囲であり、1mJ/cm2〜50mJ/cm2の範囲がより好ましい。露光量がこの範囲であると、パターン形成の生産性の点で好ましい。
【0097】
露光装置としては、特に制限はないが市販されているものとしては、Callisto
(ブイテクノロジー株式会社製)やEGIS(ブイテクノロジー株式会社製)やDF2200G(大日本スクリーン(株)製)などが使用可能である。また上記以外の装置も好適に用いられる。
液晶表示装置用のカラーフィルタを製造する際には、プロキシミテイ露光機、ミラープロジェクション露光機により、主として、h線、i線を使用した露光が好ましく用いられる。また、固体撮像素子用のカラーフィルタを製造する際には、ステッパー露光機にて、主として、i線を使用することが好ましい。なお、TFT方式液晶駆動用基板を用いてカラーフィルタを製造する際には、用いられるフォトマスクは、画素(着色パターン)を形成するためのパターンの他、スルーホール或いはコの字型の窪みを形成するためのパターンが設けられているものが使用される。
【0098】
上記のようにして露光された着色組成物層は加熱することができる。
また、露光は、着色組成物層中の色材の酸化褪色を抑制するために、チャンバー内に窒素ガスを流しながら行なうことができる。
【0099】
続いて、露光後の着色組成物層に対して、現像液にて現像が行なわれる。これにより、ネガ型もしくはポジ型の着色パターン(レジストパターン)を形成することができる。現像工程では、露光後の塗布膜の未硬化部を現像液に溶出させ、硬化分のみを基板上に残存させる。
現像液は、未硬化部における着色組成物の塗布膜(着色組成物層)を溶解する一方、硬化部を溶解しないものであれば、いずれのものも用いることができる。例えば、種々の有機溶剤の組み合わせやアルカリ性水溶液を用いることができる。
現像に用いられる有機溶剤としては、本発明の硬化性着色組成物を調製する際に使用できる既述の溶剤が挙げられる。
前記アルカリ性水溶液としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、硅酸ナトリウム、メタ硅酸ナトリウム、アンモニア水、エチルアミン、ジエチルアミン、ジメチルエタノールアミン、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、コリン、ピロール、ピペリジン、1,8−ジアザビシクロ−[5,4,0]−7−ウンデセン等のアルカリ性化合物を、濃度が0.001質量%〜10質量%、好ましくは0.01質量%〜1質量%となるように溶解したアルカリ性水溶液が挙げられる。現像液がアルカリ性水溶液である場合、アルカリ濃度は、好ましくはpH11〜13、さらに好ましくはpH11.5〜12.5となるように調整するのがよい。
アルカリ性水溶液には、例えば、メタノール、エタノール等の水溶性有機溶剤や界面活性剤等を適量添加することもできる。
【0100】
現像温度としては、通常は20℃〜30℃であり、現像時間としては20秒〜90秒である。
現像は、デイップ方式、シャワー方式、スプレー方式などいずれでもよく、これにスウィング方式、スピン方式、超音波方式などを組み合わせてもよい。現像液に触れる前に、被現像面を予め水等で湿しておいて、現像ムラを防ぐこともできる。また、基板を傾斜させて現像することもできる。
また、固体撮像素子用のカラーフィルタを製造する場合にはパドル現像も用いられる。
【0101】
現像処理後は、余剰の現像液を洗浄除去するリンス処理を経て、乾燥を施した後、硬化を完全なものとするために、加熱処理(ポストベーク)が施される。
リンス工処理は、通常は純水で行なうが、省液のために、最終洗浄で純水を用い、洗浄初期は使用済の純水を使用したり、また、基板を傾斜させて洗浄したり、超音波照射を併用したりする方法を用いてもよい。
【0102】
リンス処理後、水切り、乾燥をした後には通常、約200℃〜250℃の加熱処理を行なわれる。この加熱処理(ポストベーク)は、現像後の塗布膜を、上記条件になるようにホットプレートやコンベクションオーブン(熱風循環式乾燥機)、高周波加熱機等の加熱手段を用いて、連続式或いはバッチ式で行なうことができる。
【0103】
以上の各工程を、所望の色相数に合わせて各色毎に順次繰り返し行うことにより、複数色の着色された硬化膜(着色パターン)が形成されてなるカラーフィルタを作製することができる。
本発明のカラーフィルタは、コントラストが高く、色濃度ムラの小さい、色特性の良好であることから、固体撮像素子または液晶表示素子に好適に用いることができる。
【0104】
−工程(C)−
本発明のカラーフィルタの製造方法では、特に、本発明の硬化性着色組成物を用いて形成された着色パターン(画素)に対して、紫外線照射による後露光を行なうこともできる。
【0105】
−工程(D)−
上記のような紫外線照射による後露光が行なわれた着色パターンに対して、さらに加熱処理を行なうことが好ましい。形成された着色パターンを加熱処理(いわゆるポストベーク処理)することにより、着色パターンをさらに硬化させることができる。この加熱処理は、例えば、ホットプレート、各種ヒーター、オーブンなどにより行なうことができる。
加熱処理の際の温度としては、100℃〜300℃であることが好ましく、さらに好ましくは、150℃〜250℃である。また、加熱時間は、10分〜120分程度が好ましい。
【0106】
このようにして得られた着色パターンは、カラーフィルタにおける画素を構成する。複数の色相の画素を有するカラーフィルタの作製においては、上記の工程(A)、工程(B)、および必要に応じて工程(C)や工程(D)を所望の色数に合わせて繰り返せばよい。
なお、単色の着色組成物層の形成、露光、現像が終了する毎に(1色毎に)、前記工程(C)および/または工程(D)を行なってもよいし、所望の色数の全ての着色組成物層の形成、露光、現像が終了した後に、一括して前記工程(C)および/または工程(D)を行なってもよい。
【0107】
本発明のカラーフィルタの製造方法により得られたカラーフィルタ(本発明のカラーフィルタ)は、本発明の硬化性着色組成物を用いていることから、色相およびコントラストに優れている。
本発明のカラーフィルタは、液晶表示素子や固体撮像素子に用いることが可能であり、特に液晶表示装置の用途に好適である。液晶表示装置に用いた場合、染料を着色剤として用い、良好な色相を達成しながら、分光特性およびコントラストに優れた画像の表示が可能になる。
【0108】
本発明の硬化性着色組成物の用途としては、上記において主にカラーフィルタの着色パターンの形成用途を中心に説明したが、カラーフィルタを構成する着色パターン(画素)を隔離するブラックマトリックスの形成にも適用することができる。
基板上のブラックマトリックスは、カーボンブラック、チタンブラックなどの黒色顔料の加工顔料を含有する硬化性着色組成物を用い、塗布、露光、および現像の各工程を経て、その後、必要に応じて、ポストベークすることにより形成することができる。
【0109】
液晶表示装置および固体撮像素子
本発明の液晶表示素子および固体撮像素子は、本発明のカラーフィルタを備えてなるものである。より具体的には、例えば、カラーフィルタの内面側に配向膜を形成し、電極基板と対向させ、間隙部に液晶を満たして密封することにより、本発明の液晶表示素子であるパネルが得られる。また、例えば、受光素子上にカラーフィルタを形成することにより、本発明の固体撮像素子が得られる。
【0110】
液晶表示装置の定義や各表示装置の詳細については、例えば「電子ディスプレイデバイス(佐々木 昭夫著、(株)工業調査会 1990年発行)」、「ディスプレイデバイス(伊吹 順章著、産業図書(株)平成元年発行)」などに記載されている。また、液晶表示装置については、例えば「次世代液晶ディスプレイ技術(内田 龍男編集、(株)工業調査会 1994年発行)」に記載されている。本発明が適用できる液晶表示装置に特に制限はなく、例えば、上記の「次世代液晶ディスプレイ技術」に記載されている色々な方式の液晶表示装置に適用できる。
【0111】
本発明のカラーフィルタは、中でも特に、カラーTFT方式の液晶表示装置に対して有効である。カラーTFT方式の液晶表示装置については、例えば「カラーTFT液晶ディスプレイ(共立出版(株)1996年発行)」に記載されている。さらに、本発明はIPSなどの横電界駆動方式、MVAなどの画素分割方式などの視野角が拡大された液晶表示装置や、STN、TN、VA、OCS、FFS、およびR−OCB等にも適用できる。
また、本発明のカラーフィルタは、明るく高精細なCOA(Color-filter On Array)
方式にも供することが可能である。
【0112】
本発明のカラーフィルタを液晶表示素子に用いると、従来公知の冷陰極管の三波長管と組み合わせたときに高いコントラストを実現できるが、さらに、赤、緑、青のLED光源(RGB−LED)をバックライトとすることによって輝度が高く、また、色純度の高い色再現性の良好な液晶表示装置を提供することができる。
【0113】
色順に説明すると、青発光ダイオードとしては、窒化ガリウム(GaN)を主材料とするものが挙げられ、具体的には、サファイア基板/n−GaN/n−Al0.15Ga0.85N/MQWまたはSQW層/p−Al0.15Ga0.85N/p−GaN/電極の層構成を有するものがある。ここで、MQWまたはSQW層とは、マルチ量子井戸構造(MQW
)またはシングル量子井戸構造(SQW)のことである。これら量子井戸構造を構成する材

としては、InxGaN1−xNが例示でき、x=0.2で青色の発色、x=0.4程度で緑色の発色となる。この材料では、In(インジウム)組成を増やすと緑発光が得られるが、In組成の増加に伴い結晶性が悪くなるので、発光効率が低下する。
【0114】
充分な発光輝度を確保する別の材料として、GaInN緑色LEDを使うか、GaInN青色LED+緑色蛍光体という組合せを使うことも可能である。このようにすることにより、520〜570nmの範囲の適当な波長にピーク波長をもってくることができる。
【0115】
なお、使用可能な緑色蛍光体として、セリウムおよび/またはユーロピウムを賦活した、酸化物、窒化物、酸窒化物を挙げることができる。
【0116】
赤色LEDとしては、AlInGaP系LEDを用いることにより、満足すべき発光特性を得ることができる。その他の赤色LEDとしては、GaAlAs系赤色LEDがある。その構造は、GaAs基板/n−GaAs/n−InGaAlP/アンドープトInGaAlP/p−InGaAlP/p−GaAs/電極の層構成を有するものである。In、Ga、Alの3元素のうち、Inの原子比を0.5としてGaAsと格子定数をあわせ、GaとAlの比を変えることにより発光波長を変えることができる。Alの割合を多くすると発光は短波長へシフトする。Gaの原子比を0.25、Alの原子比を0.25程度にすると、波長600nm程度の赤色発光が得られる。
【0117】
以上挙げたLEDは、有機金属を用いた化学的気相蒸着法(MOCVD法)により作ることができるので、反応室に導入する有機金属原料の割合をコントロールすることで組成を比較的簡単に制御することができる。従って、青色LEDの発光のピーク波長を430〜480nmの範囲にもっていくこと、あるいは赤色LEDの発光のピーク波長を600〜660nmの範囲にもっていくことは、比較的容易である。
【0118】
なお、これらLEDに加えて、各色の発光を示す、蛍光体材料を用いることも可能である。
【実施例】
【0119】
以下、本発明を実施例によりさらに具体的に説明するが、本発明はその主旨を越えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。なお、特に断りのない限り、「部」は質量基準である。
【0120】
<化合物b−4の合成例>
【化25】

【0121】
上記のスキームに従い、化合物b−4を合成した。
原料である化合物1は、室温下酢酸中にてマロノニトリル、2−アミノベンゼンチオールを1当量ずつ混合し反応させることにより合成した。
【0122】
化合物1(12.06g)、化合物1−2(20.3g)、1−ブタノール(50mL)の混合物に、窒素気流下において50%水酸化ナトリウム水溶液(12mL)を加え、室温において30分間撹拌したのち、さらに90℃において3時間撹拌した。この反応混合物に水(100mL)を加え、得られた析出物を濾過、水洗して乾燥させ化合物2を得た(13.7g、収率62%)。
次に得られた化合物2をトルエン(100ml)に溶解させ5℃以下に冷却し、8%水酸化ナトリウム水溶液(100mL)を加えた。ここに3−クロロ−6−メチルピリダジン(7.2g、Aldrich社製)を、5℃以下を保ちながら分割添加し、さらに室温で1時間撹拌した。
この反応混合物から水相を分液操作で除き、残った酢酸エチル相を重曹水および食塩水で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥した後、溶媒を留去した。得られた油状物を加熱したメタノールに溶解してから冷却すると結晶が得られ、これをろ過により回収すると化合物3(8.3g、収率47%)が得られた。
化合物3(8.3g)を酢酸(80mL)と混合し、5〜10℃を保ちながら亜硝酸ナトリウム(1.6g)を水5mLに溶解した溶液を滴下した。この混合物を室温で1時間撹拌した後、水320mLを加えた。生成した固体をろ過により回収すると化合物4(7.3g、収率83%)が得られた。
次いで化合物4(4.4g)、化合物2(3.2g)に酢酸(20mL)を加え、1時間攪拌した。反応液をメタノール(100mL)に注ぎ、得られた析出物を濾過、メタノールで洗浄することで化合物5(6.15g、収率83%)を得た。
【0123】
得られた化合物5(3.7g)をトルエン(100mL)に溶解させ5℃以下に冷却し、8%水酸化ナトリウム水溶液(100mL)を加えた。ここに3−クロロ−6−メチルピリダジン(4.0g、Aldrich社製)を、5℃以下を保ちながら分割添加し、さらに室温で1時間撹拌した。
この反応混合物から水相を分液操作で除き、残った酢酸エチル相を重曹水および食塩水で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥した後、溶媒を留去した。得られた油状物を加熱したメタノールに溶解してから冷却すると結晶が得られ、これをろ過により回収すると化合物6(5.9g、収率67%)が得られた。
【0124】
100mL丸底フラスコに化合物6(1.1g)とテトラヒドロフラン(3mL)を加え、ここに酢酸亜鉛2水和物(0.3g)をメタノール(3mL)に溶かした溶液を添加した。室温で1時間攪拌した後、得られた結晶を濾別した。この結晶を6mLのメタノール中で攪拌洗浄し、濾取した。室温で乾燥することで、化合物7:b−4(0.9g)を得た。
本化合物は酢酸エチル中において696nmに吸収極大を示し、モル吸光係数は245,000であった。またこの化合物をMS分析し、表記構造の化合物であることを確認した。
【0125】
<化合物a−20の合成例>
前記スキームに従い合成した。
前記b−4合成例における3−クロロ−6−メチルピリダジン(7.2g、Aldrich社製)を、2−クロロベンゾオキサゾール(TCI社製)に変えた以外は、全て同様にして合成可能であった。
本化合物a−20は酢酸エチル中において708nmに吸収極大を示し、モル吸光係数は221,000であった。またこの化合物をMS分析し、表記構造の化合物であることを確認した。
【0126】
他の化合物についても、上記合成例にならって合成した。
【0127】
使用材料
硬化性着色組成物の調製に用いた各成分を以下に示す。
(YD−1)C.I.ピグメントイエロー150(PY150、12.8部)とアクリル系顔料分散剤(7.2部)を、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(80.0部)と混合し、ビーズミルを用いて顔料を十分に分散させて得られた顔料分散液
(YD−2)C.I.ソルベントイエロー162(SY162、10.0部)をプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(90.0部)に溶解させたもの
(GD−1)C.I.ピグメントグリーン58(PG58、10.0部)とアクリル系顔料分散剤(5.0部)を、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(80.0部)と混合し、ビーズミルを用いて顔料を十分に分散させて得られた顔料分散液
(GD−2)C.I.ピグメントグリーン7(PG7、10.0部)とアクリル系顔料分散剤(10.0部)を、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(80.0部)と混合し、ビーズミルを用いて顔料を十分に分散させて得られた顔料分散液
(シアン染料溶液b−4)上記化合物b−4(10.0部)とプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(90.0部)を混合したもの
(T−1)光重合性化合物:カヤラドDPHA(日本化薬(株)製;ジペンタエリスリトールペンタアクリレートとジペンタエリスリトールヘキサアクリレートとの混合物)
(U−1)バインダー樹脂:ベンジルメタクリレート/メタクリル酸(75/25[質量比]共重合体(重量平均分子量:12,000)のプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート溶液(固形分40.0質量%)
(V−1)光重合開始剤:2−(ベンゾイルオキシイミノ)−1−[4−(フェニルチオ)フェニル]−1−オクタノン
(V−2)光重合開始剤:2−(アセトキシイミノ)−4−(4−クロロフェニルチオ)−1−[9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル]−1−ブタノン
(W−1)光重合開始助剤:4,4'−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン
(X−1)溶剤:プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート
(X−2)溶剤:3−エトキシプロピオン酸エチル
(Y−1)界面活性剤:メガファックF781−F(大日本インキ化学工業(株)製)
【0128】
シアン着色膜の作製と評価
1.硬化性着色組成物(塗布液)の調製
下記組成中の成分を混合して、硬化性着色組成物1を調製した。
<組成>
・前記シアン染料溶液b−4・・・6.9質量部
・前記(T−1) ・・・103.4質量部
・前記(U−1) ・・・212.2質量部(固形分換算値:84.9質量部)
・前記(V−1) ・・・・21.2質量部
・前記(W−1) ・・・・・3.5質量部
・前記(X−1) ・・・・71.9質量部
・前記(X−2) ・・・・・3.6質量部
・前記(Y−1) ・・・・0.06質量部
【0129】
2.硬化性着色組成物による着色膜の作製
上記硬化性着色組成物(カラーレジスト液)を、100mm×100mmのガラス基板(1737、コーニング社製)上に、600〜700nmにおける最大吸光度が1.5となるように塗布し回転数を調整して塗布し、100℃のオーブンで180秒間乾燥させ、基板上に着色皮膜を作製した(実施例1)。
【0130】
化合物b−4を以下の表に示す化合物に変え、他は実施例1と同様にして各種実施例および比較例の各基板を作製・評価した。
【0131】
3.硬化性着色組成物による着色膜の評価
上記で得られた基板について下記の評価を行なった。
<色相の評価>
作製した着色膜について、紫外可視分光光度計(島津製作所社製UV2400−PC)で、メタノール中における染料の吸収極大位置、および550nm/580nmでの透過率を測定した。透過率は550nm波長領域では高いことが好ましく、透過率比は短波側のスソ切れを表すため、透過率比が小さいほど好ましい。
【0132】
<耐熱性の評価>
作製した着色膜について、200℃/30分の条件で加熱し、加熱前後の吸収スペクトル変化を紫外可視分光光度計(島津製作所社製UV2400−PC)で測定し、吸収極大値(吸収極大位置でのabs.変化率)変化率を評価した。
本変化率値が低いほど、耐熱性は高いものと評価できる。
【0133】
【表1】

【0134】
上記表から明らかなとおり、発明の化合物はマゼンタ領域の透過率に優れ、シアン色素として優れていることが分かる。特に、比較例1、2との比較より、本発明の染料化合物は従来技術において優れているとされるシアン顔料に対し色相優位性があり、耐熱性も顔料同等の優れた性能を示すことがわかった。シアン色素全体から見ても優れた化合物であることが示された。
一方、式(2)には該当するが式(3)には該当しない化合物を用いた場合(実施例12)、耐熱性がやや劣る傾向にあることがわかった。
【0135】
緑着色膜の作製と評価
1.硬化性着色組成物(塗布液)の調製
下記組成中の成分を混合して、硬化性着色組成物を調製した。
<組成>
・前記シアン染料溶液b−4 ・・・・6質量部
・黄色色素化合物(YD−1)・・・・吸収強度比(450nmの吸収/650nmの吸収)が0.95〜1.05の範囲に収まるよう、黄色色素化合物の量を調整し加えた。
・前記(T−1) ・・・103.4質量部
・前記(U−1) ・・・212.2質量部(固形分換算値:84.9質量部)
・前記(V−1) ・・・・21.2質量部
・前記(W−1) ・・・・・3.5質量部
・前記(X−1) ・・・・71.9質量部
・前記(X−2) ・・・・・3.6質量部
・前記(Y−1) ・・・・0.06質量部
【0136】
2.硬化性着色組成物による着色膜の作製
上記で得られた硬化性着色組成物(カラーレジスト液)を、100mm×100mmのガラス基板(1737、コーニング社製)上に、600〜700nmにおける最大吸光度が1.9〜2.1となるように塗布し、100℃のオーブンで180秒間乾燥させ、基板上に着色皮膜を作製した(実施例101)。
【0137】
実施例101において、下記表のとおり、化合物及び黄色着色剤の種類を変えて、他は同様にして各種実施例および比較例の各基板を作製・評価した。
【0138】
3.硬化性着色組成物による着色膜の評価
上記で得られた基板について下記の評価を行なった。
<色相の評価>
作製した着色膜について、紫外可視分光光度計(島津製作所社製UV2400−PC)で、エタノール中における染料の吸収極大位置、および550nm/580nmでの透過率を測定した。透過率は550nm波長領域では高いことが好ましく、透過率比は短波側のスソ切れを表すため、透過率比が小さいほど好ましい。
【0139】
<耐熱性の評価>
作製した着色膜について、200℃/30分の条件で加熱し、加熱前後の吸収スペクトル変化を紫外可視分光光度計(島津製作所社製UV2400−PC)で測定し、吸収極大値(吸収極大位置でのabs.変化率)変化率を評価した。
本変化率値が低いほど、耐熱性は高いものと評価できる。
【0140】
【表2】

【0141】
実施例112〜124より、本発明の化合物はマゼンタ領域の透過率が優れたグリーン着色物を与える事が分かった。その到達レベルが高いことは、比較例103、1034と比べることで明確である。また本発明の化合物は染料でありながら高い耐熱性を有するため、Gフィルターを形成した際の熱劣化がおき難い。これは比較例104(SY−162)等の染料を用いて作成されたフィルターでは達成できないメリットである。
また550nm領域の透過率を上げることは輝度向上(省エネ)の観点から非常に重要である。本発明の化合物で形成されたGフィルターは該部透過率が極めて高く、高輝度なフィルター形成が可能であることがわかった。
一方、式(2)には該当するが式(3)には該当しない化合物を用いた場合(実施例123)、耐熱性がやや劣る傾向にあることがわかった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記式(1)で表される化合物が、金属原子または金属化合物に配位した金属錯体化合物を含む硬化性着色組成物。
式(1)
【化1】

(式(1)中、R1、R2、R3、およびR4は、それぞれ、水素原子または置換基を表す。Y1およびY2は、それぞれ、酸素原子、硫黄原子、または−NH−を表す。A1およびA2は、それぞれ、含窒素環を表す。)
【請求項2】
下記式(2)で表される化合物が金属原子または金属化合物に配位した金属錯体化合物を含む硬化性着色組成物。
式(2)
【化2】

(式(2)中、R1、R2、R3、およびR4は、それぞれ、水素原子または置換基を表す。X1およびX2は、それぞれ、酸素原子、硫黄原子、または窒素原子を表す。A3およびA4は、それぞれ、含窒素芳香族環を表す。)
【請求項3】
下記式(3)で表される金属錯体化合物を含む硬化性着色組成物。
式(3)
【化3】

(式(3)中、R1、R2、R3、およびR4は、それぞれ、水素原子または置換基を表す。A5およびA6は、それぞれ、含窒素芳香族環を表す。Maは、金属原子または金属化合物を表し、Z1は、Maと結合可能な基を表し、aは0、1または2を表す。)
【請求項4】
前記A1〜A6が、それぞれ、チアジアゾール構造、オキサジアゾール構造、トリアゾール構造、または、ピリダジン構造を有する、請求項1〜3のいずれか1項に記載を含む硬化性着色組成物。
【請求項5】
1およびR4が、それぞれ、アリール基、ヘテロ環基、シアノ基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、アルキルスルホニル基、またはアリールスルホニル基である、請求項1〜4のいずれか1項に記載の硬化性着色組成物。
【請求項6】
2およびR3が、それぞれ、アルキル基、アリール基、ヘテロ環基、シアノ基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、または、ハロゲン原子である、請求項1〜5のいずれか1項に記載の硬化性着色組成物。
【請求項7】
さらに、黄色色素を含有する、請求項1〜6のいずれか1項に記載の硬化性着色組成物。
【請求項8】
さらに、緑色色素を含有する、請求項1〜7のいずれか1項に記載の硬化性着色組成物。
【請求項9】
さらに、モノマーと重合開始剤とを含有する、請求項1〜8のいずれか1項に記載の硬化性着色組成物。
【請求項10】
請求項1〜9のいずれか1項に記載の硬化性着色組成物を用いた着色層を有するカラーフィルタ。
【請求項11】
請求項1〜9のいずれか1項に記載の硬化性着色組成物を支持体上に塗布し、着色層を形成する工程と、形成された前記着色層をパターン状に露光する工程を有するカラーフィルタの製造方法。
【請求項12】
請求項10に記載のカラーフィルタ、または、請求項11に記載のカラーフィルタの製造方法により製造されたカラーフィルタを有する、液晶表示装置。
【請求項13】
請求項10に記載のカラーフィルタ、または、請求項11に記載のカラーフィルタの製造方法により製造されたカラーフィルタを有する、固体撮像素子。
【請求項14】
下記式(1)で表される化合物が、金属原子または金属化合物に配位した金属錯体化合物。
式(1)
【化4】

(式(1)中、R1、R2、R3、およびR4は、それぞれ、水素原子または置換基を表す。Y1およびY2は、それぞれ、酸素原子、硫黄原子、または−NH−を表す。A1およびA2は、それぞれ、含窒素環を表す。)
【請求項15】
下記式(2)で表される化合物が金属原子または金属化合物に配位した金属錯体化合物。
式(2)
【化5】

(式(2)中、R1、R2、R3、およびR4は、それぞれ、水素原子または置換基を表す。X1およびX2は、それぞれ、酸素原子、硫黄原子、または窒素原子を表す。A3およびA4は、それぞれ、含窒素芳香族環を表す。)
【請求項16】
下記式(3)で表される金属錯体化合物。
式(3)
【化6】

(式(3)中、R1、R2、R3、およびR4は、それぞれ、水素原子または置換基を表す。A5およびA6は、それぞれ、含窒素芳香族環を表す。Maは、金属原子または金属化合物を表し、Z1は、Maと結合可能な基を表し、aは0、1または2を表す。)
【請求項17】
前記A1〜A6が、それぞれ、チアジアゾール構造、オキサジアゾール構造、トリアゾール構造、または、ピリダジン構造を有する、請求項14〜16のいずれか1項に記載の金属錯体化合物。
【請求項18】
1およびR4が、それぞれ、アリール基、ヘテロ環基、シアノ基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、アルキルスルホニル基、またはアリールスルホニル基である、請求項14〜17のいずれか1項に記載の金属錯体化合物。
【請求項19】
2およびR3が、それぞれ、アルキル基、アリール基、ヘテロ環基、シアノ基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、または、ハロゲン原子である、請求項14〜18のいずれか1項に記載の金属錯体化合物。
【請求項20】
1およびR4が、それぞれ、下記Rxから選択され、前記A1〜A6が、それぞれ、下記Ryから選択される、請求項14〜16および19いずれか1項に記載の金属錯体化合物。
(Rx)
【化7】

(上記において、*の部分にて連結している。)
(Ry)
【化8】

(上記において、*の部分にて前記A1〜A6の環を構成する炭素原子と連結しており、*の隣の窒素原子が前記A1〜A6の環において表されている窒素原子に対応する。)

【公開番号】特開2013−57005(P2013−57005A)
【公開日】平成25年3月28日(2013.3.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−196154(P2011−196154)
【出願日】平成23年9月8日(2011.9.8)
【出願人】(306037311)富士フイルム株式会社 (25,513)
【Fターム(参考)】