説明

硬化性組成物及び光情報記録媒体

【課題】高硬度であり、ポリカーボネートに対する密着性や低吸湿特性に優れた光透過層を有する光情報記録媒体を得ることができる硬化性組成物及び硬化性組成物の硬化物を光透過層に使用した光情報記録媒体を提供する。
【解決手段】イソシアネート化合物(a1)、ポリカーボネートジオール(a2)及び水酸基含有(メタ)アクリレート(a3)を反応させて得られるウレタン(メタ)アクリレート(A)35〜80質量部、イソボルニル(メタ)アクリレート(B)10〜30質量部並びにウレタン(メタ)アクリレート(A)及びイソボルニル(メタ)アクリレート(B)を除く疎水性の(メタ)アクリレート(C)10〜35質量部を含む単量体組成物100質量部に対して光重合開始剤(D)0.1〜10質量部を含有する硬化性組成物並びにその硬化物を光透過層とする光情報記録媒体。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は硬化性組成物及び光情報記録媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、情報記録媒体の分野では高密度化に関して様々な研究が進められている。光ディスクの分野においても、動画が記録できる0.6mm厚の基板を貼り合わせた構造のDVDが普及期を迎えている。
【0003】
しかしながら、今後、デジタルハイビジョン放送が広まるにつれ、更なる大容量の光ディスクが必要になると予想される。そこで、支持基体の表面に情報記録層及び光透過層が順次形成された光情報記録媒体の光透過層の厚みを0.1mmとし、レンズ開口数NAが0.85程度で、記録及び再生のレーザー光の波長を400nm程度とした高密度光ディスクシステムが提案され、実用化されつつある。
【0004】
この0.1mm厚の光透過層の形成方法としては、例えば、液状の紫外線硬化型樹脂をスピンコート法により塗布した後、活性エネルギー線の照射により硬化させて光透過層を形成する方法が開発されている(特許文献1)。
【0005】
また、高密度の光情報記録媒体として、例えば、情報記録層を多層化したタイプの光情報記録媒体の開発が進められている(特許文献2)。
【0006】
更に、例えば、機械物性に優れ、高密度光ディスクの0.1mm厚の光透過層に使用できる硬化性組成物が開発されている(特許文献3及び4)。
【0007】
しかしながら、特許文献3及び4に記載の硬化性組成物の硬化物を光透過層に使用した場合、光透過層に求められる高硬度及び低吸湿性並びに高密度光ディスクの基板に使用されるポリカーボネートに対する密着性を同時に満足することが難しいという問題があった。
【特許文献1】特開2003−85836号公報
【特許文献2】特開2003−16701号公報
【特許文献3】特開2005−158253号公報
【特許文献4】特表2002−509977号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、高硬度であり、ポリカーボネートに対する密着性や低吸湿特性に優れた光透過層を有する光情報記録媒体を得ることができる光透過層用として好適な硬化性組成物及び硬化性組成物の硬化物を光透過層に使用した光情報記録媒体を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の要旨とするところは、イソシアネート化合物(a1)(以下、「(a1)成分」という)、ポリカーボネートジオール(a2)(以下、「(a2)成分」という)及び水酸基含有(メタ)アクリレート(a3)(以下、「(a3)成分」という)を反応させて得られるウレタン(メタ)アクリレート(A)(以下、「(A)成分」という)35〜80質量部、イソボルニル(メタ)アクリレート(B)(以下、「(B)成分」という)10〜30質量部並びにウレタン(メタ)アクリレート(A)及びイソボルニル(メタ)アクリレート(B)を除く疎水性の(メタ)アクリレート(C)(以下、「(C)成分」という)10〜35質量部を含む単量体組成物(以下、「本単量体組成物」という)100質量部に対して光重合開始剤(D)(以下、「(D)成分」という)0.1〜10質量部を含有する硬化性組成物(以下、「本硬化性組成物」という)を第1の発明とする。
【0010】
また、支持基体上に情報記録層を有し、この情報記録層上に光透過層を有し、この光透過層を通して記録光及び再生光の少なくとも一方が入射するように使用される光情報記録媒体であって、光透過層が上記の硬化性組成物の硬化物(以下、「本硬化物」という)である光情報記録媒体(以下、「本光情報記録媒体」という)を第2の発明とする。
【発明の効果】
【0011】
本硬化性組成物は高硬度であるために外部からの押し込みキズに対して耐性があり、吸湿による変形がなく、長時間使用しても支持基体としてポリカーボネートを使用した場合の支持基体への密着性に優れていることから、本硬化物を光透過層として使用することにより信頼性の高い光情報記録媒体を提供でき、再生専用光ディスク、記録型光ディスク等の光情報記録媒体として適している。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
(a1)成分
本発明において、(a1)成分は、後述する(a2)成分及び(a3)成分と反応させて後述する本硬化性組成物を構成する(A)成分を得るための原料である。
【0013】
(a1)成分としては、例えば、ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、ビス(4−イソシアナトシクロヘキシル)メタン、ビス(4−イソシアナトフェニル)メタン、ビス(3−クロロ−4−イソシアナトフェニル)メタン、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、トリス(4−イソシアナトフェニル)メタン、1,2−キシリレンジイソシアネート、1,4−キシリレンジイソシアネート、1,2−水添キシリレンジイソシアネート、1,4−水添キシリレンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート、水添テトラメチルキシリレンジイソシアネート、ナフタレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、ノルボルナンジイソシアネート等のジイソシアネート類が挙げられる。これらは1種を単独で、又は2種以上を併用して用いることができる。
【0014】
これらの中で、本硬化物に優れた靭性と難黄変性を付与できる点で、イソホロンジイソシアネート、ビス(4−イソシアナトシクロヘキシル)メタン、1,2−水添キシリレンジイソシアネート、1,4−水添キシリレンジイソシアネート、水添テトラメチルキシリレンジイソシアネート、ノルボルナンジイソシアネート等の脂環族骨格のジイソシアネート化合物が好ましい。
【0015】
(a2)成分
本発明において、(a2)成分は、前述の(a1)成分及び後述する(a3)成分と反応させて後述する本硬化性組成物を構成する(A)成分を得るための原料である。
【0016】
(a2)成分は、例えば、ジアルキルカーボネートと、直鎖構造、分岐構造又は脂環式構造を持った各種アルキレンジオールの少なくとも1種類との反応により得られる。
【0017】
ジアルキルカーボネートとしては、例えば、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、ジプロピルカーボネート及びジブチルカーボネートが挙げられる。これらは1種を単独で、又は2種以上を併用して用いることができる。これらの中で、反応性に優れる点でジメチルカーボネート及びジエチルカーボネートが好ましい。
【0018】
アルキレンジオールとしては、例えば、1,4−ブタンジオール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、1,5−ペンタンジオール、2−メチル−1,4−ブタンジオール、2,2−ジメチル−1,3プロパンジオール、1,6−ヘキサンジオール、2−メチル−1,5−ペンタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、2,2−ジメチル−1,4−ブタンジオール及び2,3−ジメチル−1,4−ブタンジオールが挙げられる。これらは1種を単独で、又は2種以上を併用して用いることができる。これらの中で、本硬化物に優れた機械物性を付与できる点で、1,4−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール及び1,6−ヘキサンジオールが好ましい。
【0019】
(a2)成分の数平均分子量としては300〜3,000が好ましく、500〜2,000がより好ましい。(a2)成分の数平均分子量が300以上で、本硬化性組成物の硬化収縮率の低減効果が発揮される傾向にある。また、数平均分子量が3,000以下で、本硬化性組成物の液粘度が低くなる傾向にある。
【0020】
(a3)成分
本発明において、(a3)成分は、前述の(a1)成分及び(a2)成分と反応させて後述する本硬化性組成物を構成する(A)成分を得るための原料である。
【0021】
(a3)成分は分子内に少なくとも1個の(メタ)アクリロイルオキシ基と少なくとも1個のヒドロキシ基を有する単量体である。
【0022】
(a3)成分としては、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、6−ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート、シクロヘキサンジメタノールモノ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリレート類や、これらのカプロラクトン付加物が挙げられる。これらは1種を単独で、又は2種以上を併用して用いることができる。
【0023】
これらの中で、低粘度である点で、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート及び4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートが好ましい。
【0024】
(A)成分
本発明で使用される(A)成分は前述の(a1)成分、(a2)成分及び(a3)成分を反応させて得られるもので、後述する本硬化性組成物を構成する1成分である。
【0025】
(A)成分は本硬化性組成物の硬化時に低収縮性を付与し、本硬化物に強靭性や可とう性を付与するための成分である。
【0026】
(A)成分の合成方法としては、公知のウレタン(メタ)アクリレートの合成方法が挙げられる。(A)成分の合成方法の具体例として以下の方法が挙げられる。
【0027】
まず、フラスコ内に(a1)成分2モルを仕込み、更にジブチル錫ジラウレート等の公知の触媒50〜300ppmを混合する。次いで、フラスコ内の溶液温度を40〜60℃に保ちながら、滴下ロートを用いて(a2)成分1モルを2〜4時間かけて滴下して、ウレタンプレポリマーを得る。その後、得られたウレタンプレポリマーに当量の(a3)成分を滴下し、フラスコ内温60〜75℃で反応させることによりウレタンプレポリマーの末端に残存するイソシアネート基に(a3)成分を付加させて(A)成分が得られる。
【0028】
本発明において、(A)成分の使用割合は本単量体組成物100質量部中に35〜80質量部である。(A)成分が35質量部以上、好ましくは40質量部以上で、本硬化性組成物の硬化時の低収縮性並びに本硬化物の可撓性及び支持基体への密着性が良好である。また、(A)成分が80質量部以下、好ましくは75質量部以下で、本硬化性組成物の低粘度化により塗布作業性が良好である。
【0029】
(A)成分は1種を単独で、又は2種以上を併用して用いることができる。
【0030】
(B)成分
本発明において、(B)成分は後述する本硬化性組成物を構成する1成分で、イソボルニル(メタ)アクリレートが使用される。
【0031】
(B)成分は後述する本硬化物を高硬度とし、本硬化物に低吸湿性を付与するための成分である。
【0032】
本発明において、(B)成分の使用割合は本単量体組成物100質量部中に10〜30質量部である。(B)成分が10質量部以上、好ましくは13質量部以上で、本硬化物は高硬度であり、低吸湿性に優れる。また、(B)成分が30質量部以下、好ましくは28質量部以下で、本硬化性組成物の粘度が低くなり、本硬化物の支持基体への密着性が良好である。
【0033】
(B)成分は1種を単独で、又は2種以上を併用して用いることができる。
【0034】
(C)成分
本発明において、(C)成分は後述する本硬化性組成物を構成する1成分で、前記の(A)成分及び(B)成分を除く疎水性の(メタ)アクリレートである。
【0035】
本発明においては、疎水性の(メタ)アクリレートは水に対して親和性の低い(メタ)アクリレートであり、具体的には(メタ)アクリレート100質量部に対して均一に溶解する水の量が10質量部以下であるものをいう。
【0036】
(C)成分は、本硬化性組成物の粘度を調節し、本硬化物に強靭性、可とう性、低収縮性及び低吸湿性を付与するための成分である。
【0037】
(C)成分としては、例えば、3官能以上の多官能(メタ)アクリレート、ジ(メタ)アクリレート、モノ(メタ)アクリレート、ポリエステルポリ(メタ)アクリレート及びエポキシポリ(メタ)アクリレートが挙げられる。
【0038】
3官能以上の多官能(メタ)アクリレートの具体例としては、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリスエトキシレーテッドトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、エトキシレーテッドペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、エトキシレーテッドペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、トリス(2−(メタ)アクリロイルオキシエチル)イソシアヌレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート及びカプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレートが挙げられる。
【0039】
ジ(メタ)アクリレートの具体例としては、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジメタノールジ(メタ)アクリレート、ビス(2−(メタ)アクリロイルオキシエチル)−2−ヒドロキシエチルイソシアヌレート、シクロヘキサンジメタノールジ(メタ)アクリレート、ポリエトキシレーテッドシクロヘキサンジメタノールジ(メタ)アクリレート、ポリプロポキシレーテッドシクロヘキサンジメタノールジ(メタ)アクリレート、ジ(メタ)アクリロイルポリエトキシレーテッドビスフェノールA、ジ(メタ)アクリロイルポリプロポキシレーテッドビスフェノールA、ジ(メタ)アクリロイル水添ビスフェノールA、ジ(メタ)アクリロイルポリエトキシレーテッド水添ビスフェノールA、ジ(メタ)アクリロイルポリプロポキシレーテッド水添ビスフェノールA、ビスフェノキシフルオレンエタノールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコール変性トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性リン酸ジ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性リン酸ジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールのε−カプロラクトン付加物(付加数2〜5)のジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,5−ペンタンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、3−メチル−1,5−ペンタンジオールジ(メタ)アクリレート、2,4−ジエチル−1,5−ペンタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,7−ヘプタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,8−オクタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、2−メチル−1,8−オクタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,10−デカンジオールジ(メタ)アクリレート、1,11−ウンデカンジオールジ(メタ)アクリレート、1,12−ドデカンジオールジ(メタ)アクリレート、1,13−トリデカンジオールジ(メタ)アクリレート及び1,14−テトラデカンジオールジ(メタ)アクリレートが挙げられる。
【0040】
モノ(メタ)アクリレートの具体例としては、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、2−エチル−ヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチル−2−メチル−1,3−ジオキソラン−4−イル−メチル(メタ)アクリレート、2−イソブチル−2−メチル−1,3−ジオキソラン−4−イル−メチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ノルボルニル(メタ)アクリレート、アダマンチル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性リン酸(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性リン酸(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンホルマール(メタ)アクリレート、2−エチル−ヘキシルオキシエチル(メタ)アクリレート、2−メトキシエチル(メタ)アクリレート、3−メトキシブチル(メタ)アクリレート、フェニルオキシエチル(メタ)アクリレート、フェニルオキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性クレゾール(メタ)アクリレート、ノニルフェニルオキシエチル(メタ)アクリレート、パラクミルフェニルオキシエチル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニルオキシエチル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート、シクロヘキシルオキシエチル(メタ)アクリレート、t−ブチルシクロヘキシルオキシエチル(メタ)アクリレート、ベンジルオキシエチル(メタ)アクリレート、イソボルニルオキシエチル(メタ)アクリレート、ノルボルニルオキシエチル(メタ)アクリレート、アダマンチルオキシエチル(メタ)アクリレート、メトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシトリエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシジプロピレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシトリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシジブチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシトリブチレングリコール(メタ)アクリレート、エトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、エトキシトリエチレングリコール(メタ)アクリレート、エトキシジプロピレングリコール(メタ)アクリレート、エトキシトリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、エトキシジブチレングリコール(メタ)アクリレート、エトキシトリブチレングリコール(メタ)アクリレート及びブトキシエチル(メタ)アクリレートが挙げられる。
【0041】
ポリエステルポリ(メタ)アクリレートの具体例としては、フタル酸、コハク酸、ヘキサヒドロフタル酸、テトラヒドロフタル酸、テレフタル酸、アゼライン酸、アジピン酸等の多塩基酸、エチレングリコール、ヘキサンジオール、ポリエチレングリコール、ポリテトラメチレングリコール等の多価アルコール及び(メタ)アクリル酸又はその誘導体との反応で得られる化合物が挙げられる。
【0042】
エポキシポリ(メタ)アクリレートの具体例としては、ビスフェノール型エポキシジ(メタ)アクリレート及びノボラック型エポキシジ(メタ)アクリレートが挙げられる。
【0043】
(C)成分は1種を単独で、又は2種以上を併用して用いることができる。
【0044】
上記(C)成分の中で、本硬化物の機械物性向上の点で、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、トリス(2−アクリロイルオキシエチル)イソシアヌレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジメタノールジ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性リン酸ジ(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性リン酸ジ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9−ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、2−メチル−1,8−オクタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,10−デカンジオールジ(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、2−エチル−2−メチル−1,3−ジオキソラン−4−イル−メチル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性リン酸(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性リン酸(メタ)アクリレート及びジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレートが好ましい。
【0045】
本発明において、(C)成分の使用割合は本単量体組成物100質量部中に10〜35質量部である。(C)成分が10質量部以上、好ましくは12質量部以上で、本硬化性組成物の硬化性及び本硬化物の機械物性が良好である。また、(C)成分が35質量部以下、好ましくは32質量部以下で、本硬化性組成物の硬化時の低収縮性の点で良好である。
【0046】
(D)成分
(D)成分は本硬化性組成物を活性エネルギー照射により効率よく硬化させるための成分である。
【0047】
(D)成分としては、例えば、ベンゾフェノン、4−メチルベンゾフェノン、2,4,6−トリメチルベンゾフェノン、メチルオルトベンゾイルベンゾエイト、4−フェニルベンゾフェノン、t−ブチルアントラキノン、2−エチルアントラキノン、ジエトキシアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、オリゴ{2−ヒドロキシ−2−メチル−1−[4−(1−メチルビニル)フェニル]プロパノン}、ベンジルジメチルケタール、1−ヒドロキシシクロヘキシル−フェニルケトン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、2−メチル−〔4−(メチルチオ)フェニル〕−2−モルホリノ−1−プロパノン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタノン−1、ジエチルチオキサントン、イソプロピルチオキサントン、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルホスフィンオキサイド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルホスフィンオキサイド、2−ヒドロキシ−1−{4−〔4−(2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオニル)ベンジル〕フェニル}−2−メチルプロパン−1−オン及びメチルベンゾイルホルメートが挙げられる。
【0048】
これらの中で、本硬化性組成物の硬化性及び本硬化物の難黄変性の点で、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン及び1−ヒドロキシシクロヘキシル−フェニルケトンが好ましい。
【0049】
(D)成分は1種を単独で、又は2種以上を併用して用いることができる。
【0050】
本発明において、(D)成分の使用割合は本単量体組成物100質量部に対して0.1〜10質量部である。(D)成分が0.1質量部以上、好ましくは1質量部以上で、本硬化性組成物の空気雰囲気中での硬化性が良好である。また、(D)成分が10質量部以下、好ましくは8質量部以下で、本硬化性組成物の深部硬化性並びに本硬化物の難黄変性及び膜厚安定性が良好である。
【0051】
本硬化性組成物
本発明において、本硬化性組成物は前述の(A)成分35〜80質量部、(B)成分10〜30質量部、(C)成分10〜35質量部及び(A)成分、(B)成分及び(C)成分の合計量100質量部に対して(D)成分0.1〜10質量部を含有する。
【0052】
本発明においては、本発明の特性が損なわれない範囲で、本硬化性組成物中に、例えば、熱重合開始剤、酸化防止剤、光安定剤、光増感剤、熱可塑性樹脂、スリップ剤、レベリング剤、紫外線吸収剤、重合禁止剤、シランカップリング剤、無機フィラー、有機フィラー及び表面有機化処理した無機フィラー等の公知の添加剤を適宜配合することができる。
【0053】
前記の酸化防止剤や光安定剤を配合する場合の配合量は特に限定されないが、本単量体組成物100質量部に対して0.001〜5質量部が好ましく、0.01〜3質量部がより好ましい。
【0054】
本発明においては、本硬化性組成物を光透過層用として使用する場合、本硬化性組成物は、ダストやゲル物等の異物の存在による読み取り又は書き込みエラーを防止するために、5μm以上好ましくは1μm以上の異物を除去できるろ過フィルターを用いてろ過することが好ましい。
【0055】
ろ過フィルターの素材としては、例えば、セルロース、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリテトラフルオロエチレン及びナイロンが挙げられる。
【0056】
本硬化性組成物は、硬化物が高硬度であり、低吸湿性及びポリカーボネートに対する密着性に優れていることから、光情報記録体における光透過層用として好適である。
【0057】
本発明においては、本硬化性組成物を光透過層用として使用する場合、光透過層に気泡が存在しても読み取り又は書き込みエラーの原因となるため、本硬化性組成物は予め真空、超音波振動若しくは遠心回転条件下、又はその組み合わせの条件下において、脱気を行うことが好ましい。
【0058】
本硬化性組成物の25℃における粘度としては、厚み0.1mmの光透過層を形成する場合は600〜5,000mPa・sが好ましい。
【0059】
本硬化物
本硬化物は本硬化性組成物を硬化することにより得られるものである。
【0060】
本硬化性組成物の硬化方法としては、例えば、活性エネルギー線が挙げられる。
【0061】
活性エネルギー線としては、例えば、α線、β線、γ線、X線、紫外線及び可視光線が挙げられる。
【0062】
本発明においては、高温高湿条件下においても本硬化性組成物の塗膜の硬化後の膜厚変化を小さくするために、本硬化物を得る際に、本硬化性組成物を90%以上の反応率となるよう硬化させることが好ましい。反応率が90%以上、より好ましくは93%以上、更に好ましくは95%以上で、本硬化物中に残存する未反応の単量体や光重合開始剤が経時的に揮発することを抑制でき、本硬化性組成物の塗膜の硬化後の膜厚の減少を抑制できる傾向にある。
【0063】
本硬化性組成物を硬化させる際の反応率を90%以上とするための活性エネルギー線の照射条件としては、例えば、活性エネルギー線として紫外線を使用した場合、積算光量を500mJ/cm以上、好ましくは1,000mJ/cm以上、より好ましくは2,000mJ/cm以上とすることができる。
【0064】
本硬化性組成物の反応率を測定する方法としては、例えば、赤外分光法により(メタ)アクリロイル基の残存量を測定する方法、本硬化物の弾性率、Tg等の物理特性の飽和度から測定する方法及びゲル分率により架橋度合いを測定する方法が挙げられる。
【0065】
上記方法の中で、本硬化物中に残存する本硬化性組成物の塗膜の硬化後の膜厚減少の原因となる残渣を定量しやすい点で、ゲル分率を測定する方法が好ましい。ゲル分率の測定方法としては、例えば、本硬化物を粉砕し、溶剤で本硬化性組成物の未反応単量体、重合開始剤及び各種添加剤等の未硬化成分を抽出後、乾燥させて、その質量変化によりゲル分率を測定する方法が挙げられる。
【0066】
本硬化物の形成方法としては、例えば本硬化性組成物を光情報記録媒体における光透過層用として使用する場合、以下に示す方法が挙げられる。
【0067】
まず、支持基体上に形成された情報記録層の上に、スピンコート法、スプレーコート法、ブラシコート法等の公知の塗工方法で本硬化性組成物を塗工し、情報記録層上に本硬化性組成物の塗膜を形成する。
【0068】
上記で得られた塗膜は活性エネルギー線により硬化され、情報記録層上に本硬化物からなる光透過層が形成され、光情報記録媒体が得られる。
【0069】
上記の塗膜に活性エネルギー線を照射する雰囲気としては、空気中又は窒素、アルゴン等の不活性ガス中のいずれでもよいが、製造コストの点で空気中が好ましい。
【0070】
支持基体
本硬化性組成物を光情報記録媒体における光透過層用として使用する場合、本発明に使用される支持基体としては、例えば、金属、ガラス、セラミックス、紙、木材、熱可塑性樹脂及びこれらの複合材料が挙げられる。これらの中で、従来の光ディスク製造プロセスを利用できる点で、メチルメタクリレート系樹脂、ポリエステル、ポリ乳酸、ポリカーボネート、アモルファスポリオレフィン等の熱可塑性樹脂が好ましい。
【0071】
情報記録層
本発明においては、本硬化性組成物を光情報記録媒体における光透過層用として使用する場合、支持基体の片面に情報記録層が積層されている。
【0072】
情報記録層の材料としては特に限定されず、読み取り専用型媒体、相変化型記録媒体、ピット形成タイプ記録媒体、光磁気記録媒体等に適用可能な材料を目的に応じて選択することができる。
【0073】
情報記録層の材料としては、例えば、Au、Ag、Ag・Pd・Cu合金、Ag・In・Te・Sb合金、Ag・In・Te・Sb・Ge合金、Al、Al・Ti合金、Ge・Sb・Te合金、Ge・Sn・Sb・Te合金、Sb・Te合金、Tb・Fe・Co合金及び色素が挙げられる。
【0074】
本発明においては、必要に応じて情報記録層の少なくとも一方の側に、情報記録層の保護やレーザー光の反射率を変化させるといった光学的効果を目的として、SiN、ZnS、SiO等の誘電体層を設けることができる。
【0075】
支持基体上に情報記録層を形成する方法としては、スパッタリング法等の公知の方法が挙げられる。
【0076】
光透過層
本発明においては、本硬化性組成物を光情報記録媒体における光透過層用として使用する場合、情報記録層の上に本硬化物を使用した光透過層が積層されている。
【0077】
本発明に使用される光透過層の厚みは0.5μm〜0.3mmが好ましく、1μm〜0.2mmがより好ましく、1.5μm〜0.15mmが更に好ましい。光透過層の厚みが0.5μm以上で後述する本光情報記録媒体の表面を十分に保護できる傾向にあり、0.3mm以下で本光情報記録媒体の反りを抑制しやすい傾向にある。
【0078】
また、情報記録層上への記録及び再生のために400nm程度のレーザー光に対する透明性を有していることが好ましい。
【0079】
本光情報記録媒体
本発明においては、本硬化性組成物を光情報記録媒体における光透過層用として使用する場合、本光情報記録媒体は支持基体上に情報記録層を有し、この情報記録層上に光透過層を有するものである。本光情報記録媒体は光透過層を通して記録光及び再生光の少なくとも一方が入射するように使用される。
【0080】
本光情報記録媒体として、高密度用に情報記録層と半透明記録層の2層を使用することができる。この場合、情報記録層と半透明記録層は一定の厚みの透明な中間層(0.025mm厚程度)を介して張りあわせて使用することができる。この場合、中間層として本硬化性組成物の硬化物を使用することができる。この場合、中間層を形成する際の本硬化性組成物の25℃における粘度は100〜1,000mPa・sが好ましい。
【0081】
本光情報媒記録媒体には、光透過層の上に擦り傷防止や汚れ防止等を目的として、ハードコート層を設けることができる。
【実施例】
【0082】
以下、本発明について実施例を用いて詳細に説明する。尚、以下における「部」は「質量部」を意味する。また、実施例及び比較例における評価項目及びその評価方法を以下に示す。
【0083】
(1)粘度(単位:mPa・s)
硬化性組成物の粘度をE型粘度計「TVE−20」(商品名、東機産業(株)製)にて25℃で測定し、下記基準で評価した。
○:粘度が3,000mPa・s以下。
×:粘度が3,000mPa・sを超える。
【0084】
(2)吸水性(単位:%)
評価用光ディスクの情報記録層上に形成された光透過層を構成する硬化物から3cm×3cmのフィルム状物を切り取り、乾燥シリカゲルが入ったデシケータ中に23℃で48時間放置した後のフィルム状物の質量を測定し、初期質量とした。続いて23℃で相対湿度95%の環境下で48時間放置し、吸湿後のフィルム状物の質量を測定して吸湿後質量を求め、下式により硬化性組成物の硬化物の初期質量に対しての質量変化率(%)を算出し、下記基準で硬化性組成物の硬化物の吸水性を評価した。
質量変化率={〔(吸湿後質量)−(初期質量)〕/(初期質量)}×100
○:質量変化率が1.0%以下。
×:質量変化率が1.0%を超える。
【0085】
(3)弾性率
評価用光ディスクの情報記録層上に形成された光透過層を構成する硬化性組成物の硬化物から、10mm×80mm×100μmの試験片を切り出し、標線間距離50mm及び引張速度20mm/分とすること以外はJIS K7127−1999に準拠し、23℃及び相対湿度50%の環境下で、この試験片の引張弾性率(単位:MPa)を測定し、下記基準で硬化性組成物の硬化物の弾性率を評価した。
○:引張弾性率が200MPa以上。
×:引張弾性率が200MPa未満。
【0086】
(4)密着性
密着性評価用光ディスクを使用し、硬化性組成物の硬化物のポリカーボネート樹脂に対する密着性を碁盤目剥離試験にて評価し、下記基準で硬化性組成物の硬化物の加速試験前の密着性を判断した。
【0087】
また、雰囲気温度80℃及び相対湿度96%の環境下で100時間放置した評価用光ディスクの硬化性組成物の硬化物のポリカーボネート樹脂に対する密着性を碁盤目剥離試験にて評価し、下記基準で硬化性組成物の硬化物の加速試験後の密着性を判断した。
【0088】
尚、碁盤目剥離試験は以下の方法で実施した。
光透過層の表面にカッターナイフで傷を入れ、ポリカーボネート樹脂まで達する1mm×1mm×100個の碁盤目を形成し、その上にセロハンテープを貼りつけ、急激に剥がし、碁盤目の剥離状態を観察した。
○:碁盤目の剥離なし。
×:碁盤目の剥離あり。
【0089】
[合成例1]ウレタンアクリレートUA1((A)成分)の製造
5リットルの4つ口フラスコに、イソホロンジイソシアネート1,333g及びジブチル錫ジオクテート0.2gを仕込んでウォーターバスでフラスコ内温が50℃になるように加熱した。次いで、フラスコ内温を50℃に保ち、フラスコ内の混合物を撹拌しながら、側管付きの滴下ロートから、フラスコ内に、70℃に保温した、アルキレンジオールとして1,5−ペンタンジオールと1,6−ヘキサンジオールを使用したポリカーボネートジオール(旭化成ケミカルズ(株)製、商品名:T−5650J、数平均分子量826)1,503gを2時間の等速滴下で加え、更に、同温度で2時間攪拌して反応を継続した。その後、フラスコ内温を75℃に上げ、フラスコ内温を75℃に保ちながら、滴下ロートから2−ヒドロキシエチルアクリレート971g及びハイドロキノンモノメチルエーテル0.5gの均一混合溶液を2時間の等速滴下で加え、更に、フラスコ内温を75℃に保ちながら4時間反応を継続させてウレタンアクリレートUA1を得た。
【0090】
[合成例2及び3]ウレタンアクリレートUA2及びUA3((A)成分)の製造
ウレタンアクリレートの原料として表1に示すものを使用する以外は合成例1と同様にしてウレタンアクリレートUA2及びUA3を得た。
【0091】
[合成例4]ウレタンアクリレートUA4((A)成分)の製造
ウレタンアクリレートの原料の内、ポリカーボネートジオール((a2)成分)の代わりに表1に示すその他の成分を使用し、それ以外は表1に示すものを使用した。それ以外は合成例1と同様にしてウレタンアクリレートUA4を得た。
【表1】

【0092】
表1中の略号は以下の化合物を示す。
IPDI:イソホロンジイソシアネート
T−5650J:アルキレンジオールとして1,5−ペンタンジオールと1,6−ヘキサンジオールを使用したポリカーボネートジオール(旭化成ケミカルズ(株)製、商品名:T−5650J、数平均分子量826)
T−4671:アルキレンジオールとして1,4−ブタンジオールと1,6−ヘキサンジオールを使用したポリカーボネートジオール(旭化成ケミカルズ(株)製、商品名:T−4671、数平均分子量1,020)
T−5651:アルキレンジオールとして1,5−ペンタンジオールと1,6−ヘキサンジオールを使用したポリカーボネートジオール(旭化成ケミカルズ(株)製、商品名:T−5651、数平均分子量1,014)
2−HEA:2−ヒドロキシエチルアクリレート
PTG−850SN:ポリテトラメチレングリコール(ダイセル化学工業(株)製、商品名:PTG−850SN)
NMNHEHB:N−メチル−N−(2−ヒドロキシエチル)−4−ヒドロキシブタナミド
【0093】
[実施例1]
(1)硬化性組成物の調製
(A)成分として上記合成例1で得たウレタンアクリレートUA1、50部、(B)成分としてイソボルニルアクリレート30部、(C)成分としてトリス(2−アクリロイルオキシエチル)イソシアヌレート2部及び2−エチル−2−メチル−1,3−ジオキソラン−4−イル−メチルアクリレート18部、(D)成分として1−ヒドロキシシクロヘキシル−フェニルケトン3部を混合溶解し、ろ過精度1μmのフィルターでろ過した後、1.3×10Paで脱気して、硬化性組成物(イ)を得た。
【0094】
(2)評価用光ディスクの作製
ポリカーボネート樹脂(飽和吸水率:0.15%)を射出成型して光ディスク形状を有する透明円盤状の、表面が鏡面の支持基体(直径12cm、板厚1.1mm及び反り角0度)を作製した。
【0095】
得られた支持基体の片表面に、情報記録層として、スパッタリング法にて、膜厚20nmのAg98PdCu(原子比)合金膜(以下、「銀合金膜」という)を積層した。
【0096】
この銀合金膜上に、上記で調製した硬化性組成物(イ)を、雰囲気温度23℃及び相対湿度50%の環境下で、スピンコーターを用いて塗工した。その後、塗工した面の上方より、Dバルブランプ(フュージョンUVシステムズ・ジャパン(株)製)を用いて、紫外線を積算光量1,000mJ/cm(紫外線光量計「UV−350」(商品名、(株)オーク製作所製)で測定)で照射し、塗膜を硬化して平均膜厚が約100μmの硬化性組成物(イ)の硬化物で構成される光透過層を形成し、支持基体の上に情報記録層及び光透過層が順次積層された評価用光ディスクを作製した。
【0097】
尚、密着性の評価には、上記の支持基体に情報記録層を形成させずに光透過層を形成させた密着性評価用光ディスクを使用した。
【0098】
得られた硬化性組成物(イ)及び評価用光ディスクについての評価結果を表2に示す。
【表2】

【0099】
表2中の略号は以下の化合物を示す。
UA1:合成例1で得たウレタンアクリレートUA1
UA2:合成例2で得たウレタンアクリレートUA2
UA3:合成例3で得たウレタンアクリレートUA3
IBXA:イソボルニルアクリレート
TAIC:トリス(2−アクリロイルオキシエチル)イソシアヌレート
MEDA:2−エチル−2−メチル−1,3−ジオキソラン−4−イル−メチルアクリレート
HCPK:1−ヒドロキシシクロヘキシル−フェニルケトン
IRG−127:2−ヒドロキシ−1−{4−[4−(2−ヒドロキシ−2−メチル−プロピオニル)−ベンジル]−フェニル}−2−メチル−プロパン−1−オン
[実施例2〜7及び比較例1〜7]
硬化性組成物(イ)の代わりに表2及び3に示す硬化性組成物(ロ)〜(カ)を使用した。それ以外は実施例1と同様にして評価用光ディスクを作製した。得られた硬化性組成物(ロ)〜(カ)及び評価用光ディスクについての評価結果を表2及び3に示す。
【表3】

【0100】
表3中の略号は以下の化合物を示す。
UA1:合成例1で得たウレタンアクリレートUA1
UA4:合成例4で得たウレタンアクリレートUA4
IBXA:イソボルニルアクリレート
TAIC:トリス(2−アクリロイルオキシエチル)イソシアヌレート
MEDA:2−エチル−2−メチル−1,3−ジオキソラン−4−イル−メチルアクリレート
THFA:テトラヒドロフルフリルアクリレート
NVP:N−ビニルピロリドン
HCPK:1−ヒドロキシシクロヘキシル−フェニルケトン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
イソシアネート化合物(a1)、ポリカーボネートジオール(a2)及び水酸基含有(メタ)アクリレート(a3)を反応させて得られるウレタン(メタ)アクリレート(A)35〜80質量部、イソボルニル(メタ)アクリレート(B)10〜30質量部並びにウレタン(メタ)アクリレート(A)及びイソボルニル(メタ)アクリレート(B)を除く疎水性の(メタ)アクリレート(C)10〜35質量部を含む単量体組成物100質量部に対して光重合開始剤(D)0.1〜10質量部を含有する硬化性組成物。
【請求項2】
請求項1に記載の硬化性組成物であって、支持基体上に情報記録層を有し、この情報記録層上に光透過層を有し、この光透過層を通して記録光及び再生光の少なくとも一方が入射するように使用される光情報記録媒体の光透過層用の硬化性組成物。
【請求項3】
支持基体上に情報記録層を有し、この情報記録層上に光透過層を有し、この光透過層を通して記録光及び再生光の少なくとも一方が入射するように使用される光情報記録媒体であって、光透過層が請求項1に記載の硬化性組成物の硬化物である光情報記録媒体。

【公開番号】特開2010−43194(P2010−43194A)
【公開日】平成22年2月25日(2010.2.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−208474(P2008−208474)
【出願日】平成20年8月13日(2008.8.13)
【出願人】(000006035)三菱レイヨン株式会社 (2,875)
【Fターム(参考)】