説明

硬化性組成物

実施形態には、樹脂成分と硬化剤成分を含む硬化性組成物が含まれる。樹脂成分は、芳香族エポキシ化合物、脂環式エポキシ化合物、脂肪族エポキシ化合物、及びそれらの組合せからなる群から選択されるエポキシ化合物と、高分子グリシジルエーテルを含む反応性希釈剤とを含むことができる。硬化剤成分は、アダクトとマンニッヒ塩基とを含むことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、硬化性組成物、特に樹脂成分と硬化剤成分を含む硬化性組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
エポキシ系は、互いに化学反応して硬化エポキシ(これは硬質で熱硬化性(duroplastic)の材料である)を形成する2つの成分からなる。第1の成分はエポキシ樹脂であり、第2の成分は硬化剤(curing agent)(しばしば硬化剤(hardener)と呼ばれる)である。エポキシ樹脂は、エポキシ基を含む物質または混合物である。硬化剤には、エポキシ樹脂のエポキシ基と反応性のある化合物が含まれる。
【0003】
エポキシ樹脂は、エポキシ基と硬化剤の化合物との化学反応により、架橋(硬化ともいう)することができる。この硬化は、エポキシ樹脂(これは比較的低い分子量を有する)を、硬化剤の化合物の化学的な付加により、相対的に高い分子量へと転化する。さらに、硬化剤は、硬化エポキシの多くの性質に寄与し得る。
【0004】
しかしながら、硬化剤のいくつかのものは、遊離した(アルカリ)フェノール及び/又は揮発性有機化合物(ベンジルアルコールなど)を最大で50重量パーセントまで含むという欠点がある。揮発性有機化合物は、地域によりさまざまな用語で定義される。例えば、欧州連合では、揮発性有機化合物の1つの定義は、101.3キロパスカルの標準大気圧で測定した初留点が摂氏250度以下の有機化合物である。
【0005】
近年、環境上の懸念と政府規制に起因して、最小限の揮発性有機化合物を含み及び/又は政府規制に適合した硬化性エポキシ系の開発に、さらなる努力がなされてきている。
【0006】
上記したように、エポキシ樹脂は、特定の性質を発揮させるために架橋することができる。架橋の間にブラッシング(blushing)が起こる場合がある。ブラッシングは、しばしば白化(whitening)ともいわれるが、大気中の水又は多孔質基材から大気中の二酸化炭素とともに生じる水などの水分が、アミン化合物を含む硬化剤を有する硬化性組成物と反応した場合に生じ得る。硬化性組成物の表面のアミン化合物は、水及び二酸化炭素と結合してカルバメートを生成することができる。このアミン化合物は、エポキシ樹脂のエポキシ基と反応することが意図されていたものであるが、消費されてしまい、したがって硬化の間にすべてのエポキシ樹脂が架橋できるわけではないこととなる。ブラッシングは、クリアコーティング内にまだら又は曇り効果の部分を生じ得る。このことは、時間とともに変色する一因ともなり得うるものであり、そして、着色コーティングの光沢不足を引き起こす可能性がある。さらに、ブラッシングは、コーティングの性能に影響し、乏しい上塗り適合性となる結果を生じる可能性がある。乏しい上塗り適合性は、その後のコーティング層の接着が、ブラッシングに伴う表面エネルギーの変化によって不十分なものとなることである。
【発明の概要】
【0007】
本開示は、硬化性組成物の1又は複数の実施形態を提供する。1又は複数の実施形態について、硬化性組成物は樹脂成分と硬化剤成分を含む。樹脂成分には、エポキシ化合物と反応性希釈剤を含む。エポキシ化合物は、芳香族エポキシ化合物、脂環式エポキシ化合物、脂肪族エポキシ化合物、及びそれらの組合せからなる群から選択される。反応性希釈剤には、ポリマーグリシジルエーテルが含まれる。硬化剤成分にはアダクト及びマンニッヒ塩基が含まれる。
【0008】
1又は複数の実施形態において、本開示は、基材と基材上のコーティングとを含む物品を提供し、ここにおいて該コーティングは、本明細書中で記載する硬化性組成物から得られた硬化組成物を含む。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本明細書において「ポリマー」及び「高分子の(polymeric)」とは、主として低モル質量単位(モノマー)の繰り返しによって生じる構造を有する化合物をいい、該化合物の重量の50パーセント超はポリマー分子からなっている。「ポリマー分子」は、少なくとも3つのモノマー単位の配列を含む分子であり、これらのモノマー単位は少なくとも1つの他のモノマー単位又は他の反応物と共有結合している。同じ分子量を示す分子の量は、物質の50重量パーセント未満のである。
【0010】
本明細書において「揮発性有機化合物」とは、101.3キロパスカルの標準大気圧で測定した初留点が摂氏250度以下の有機化合物である。
【0011】
本明細書において「ポットライフ」とは、所定の温度で、樹脂成分と硬化剤成分の混合物が特定の応用に使用可能であり続ける時間をいう。ポットライフを決定する1つの方法は、樹脂成分と硬化剤成分の混合物100グラムを容器内に配置することを含む。コイル状のスチールワイヤが該混合物の中をゆっくりした速度で上下動する。混合物の粘度が硬化の間上昇し、硬化反応の過程で混合物が粘稠になると、ワイヤはもはや混合物中を動くことができなくなり、混合物と容器は持ち上げられてスイッチを作動させる。ポットライフは、樹脂成分と硬化剤成分が混合された時点に始まってスイッチが作動した時点で終わる時間と定義することができる。
【0012】
本開示の硬化性組成物は、樹脂成分と硬化剤成分を含む。1又は複数の実施形態において、樹脂成分はエポキシ化合物を含むが、これは炭素鎖又は炭素環状系における2つの隣接する又は非隣接の炭素原子に直接結合する酸素原子を含む化合物をいう。
【0013】
エポキシ化合物は、芳香族エポキシ化合物、脂環式エポキシ化合物、脂肪族エポキシ化合物、及びそれらの組合せからなる群から選択される。芳香族エポキシ化合物の非制限的な例には、ヒドロキノン、レゾルシノール、ビスフェノールA、ビスフェノールF、4,4’−ジヒドロキシビフェニル、ノボラック、テトラブロモビスフェノールA、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロプロパン、及び1,6−ジヒドロキシナフタレンなどのポリフェノールの、グリシジルエーテル化合物が含まれる。
【0014】
脂環式エポキシ化合物の非制限的な例には、少なくとも1つの脂環式環を有するポリオールのポリグリシジルエーテル、又は、シクロヘキセン環若しくはシクロペンテン環を含む化合物を酸化剤によりエポキシ化して得られるシクロヘキセンオキシド若しくはシクロペンテンオキシドを含む化合物が含まれる。いくつかの非制限的な特定の例には、以下のものが含まれる。水素化ビスフェノールAジグリシジルエーテル;3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシシクロヘキシルカルボキシレート;3,4−エポキシ−1−メチルシクロヘキシル−3,4−エポキシ−1−メチルヘキサンカルボキシレート;6−メチル−3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−6−メチル−3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート;3,4−エポキシ−3−メチルシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシ−3−メチルシクロヘキサンカルボキシレート;3,4−エポキシ−5−メチルシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシ−5−メチルシクロヘキサンカルボキシレート;ビス(3,4−エポキシシクロヘキシルメチル)アジパート;メチレン−ビス(3,4−エポキシシクロヘキサン);2,2−ビス(3,4−エポキシシクロヘキシル)プロパン;ジシクロペンタジエンジエポキシド;エチレン−ビス(3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート);ジオクチルエポキシヘキサヒドロフタレート;及び、ジ−2−エチルヘキシルエポキシヘキサヒドロフタレート。
【0015】
脂肪族エポキシ化合物の非制限的な例には、脂肪族ポリオールのポリグリシジルエステル又はそのアルキレンオキシドアダクト、脂肪族長鎖多塩基酸のポリグリシジルエステル、グリシジルアクリレート又はグリシジルメタクリレートをビニル重合して合成されるホモポリマー、及び、グリシジルアクリレート又はグリシジルメタクリレートと他のビニルモノマーをビニル重合して合成されるコポリマーが含まれる。いくつかの非制限的な特定の例には、以下のものが含まれる。ポリオールのグリシジルエーテル、例えば、1,4−ブタンジオールジグリシジルエーテル;1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル;グリセリンのトリグリシジルエーテル;トリメチロールプロパンのトリグリシジルエーテル;ソルビトールのテトラグリシジルエーテル;ジペンタエリトリトールのヘキサグリシジルエーテル;ポリエチレングリコールのジグリシジルエーテル;及び、ポリプロピレングリコールのジグリシジルエーテル;1種、2種、又は3種以上のアルキレンオキシドをプロピレングリコール、トリメチロールプロパン、グリセリンなどの脂肪族ポリオールに添加して得られるポリエーテルポリールの、ポリグリシジルエーテル;及び、脂肪族長鎖二塩基酸のジグリシジルエステル。
【0016】
1又は2以上の実施形態において、樹脂成分はさらに反応性希釈剤を含む。反応性希釈剤は、硬化の過程で硬化剤成分との化学反応に加わり、硬化組成物内に組み込まれるものである。反応性希釈剤はまた、種々の応用のために、硬化性組成物の粘度及び/又は硬化特性を変えるために用いることもできる。いくつかの応用のために、反応性希釈剤は低粘度を与えて、硬化性組成物の流動特性に影響し、ポットライフを延ばし、及び/又は接着特性を改善することができる。1又は2以上の実施形態において、反応性希釈剤は樹脂成分の総重量の60重量パーセント未満である。
【0017】
1又は2以上の実施形態において、反応性希釈剤は高分子グリシジルエーテルである。ポリマージグリシジルエーテルは、エピクロルヒドリンと反応してグリシジルエーテルを形成したポリアルキレンオキシドを含む単位から形成される。グリシジルエーテルは、アリルグリシジルエーテル、ジグリシジルエーテル、フェニルグリシジルエーテル、アルキルグリシジルエーテル、及びそれらの組み合わせからなる群から選択することができる。しばしば、高分子グリシジルエーテルは、モノーないしポリーヒドロキシル化合物とアルキレンオキシドとの反応、ポリエーテルポリオール反応生成物のエピクロルヒドリンによるグリシジルエーテルへの転化、そしてその後に続く、先の中間体の水性水酸化ナトリウム(NaOH)溶液による処理によって、形成することができる。高分子グリシジルエーテルは、平均分子量が650〜1450である。高分子グリシジルエーテルの非限定的な例には、トリメチロールプロパンオクタデカエトキシレートのトリグリシジルエーテルが含まれる。
【0018】
1又は2以上の実施形態において、硬化剤成分はアダクトを含む。アダクトは、上述したいくつかのアダクトではないアミンと比べて、吸湿性が少なく、より低い蒸気圧を有しており、ブラッシングを防止するのに役立ち得る。
【0019】
アダクトは、2以上の別々の化合物の組み合わせによって形成される。化合物は、化学結合した2種以上の元素の原子又はイオンによって構成される物質をいう。ここで、組み合わされる2つの別々の化合物は、エポキシ化合物と第1アミンである。アミンはN−H部分を有する化合物である。アダクトは、エポキシ化合物と第1アミンとの付加反応の反応生成物である。2つの別々の化合物は結合一体化して結合性に変化が生じるが、これらの化合物内の原子の減少は生じない。1又は2以上の実施形態において、アダクトを形成する場合のエポキシ化合物の第1アミンに対する当量比は1対1が採用される。実施形態においては、アダクトを形成する場合のエポキシ化合物の第1アミンに対する当量比がこれに限定されるものではなく、他の当量比も可能である。1又は2以上の実施形態において、アダクトは、硬化剤成分の総重量の10重量パーセントから90重量パーセントである。
【0020】
1又は2以上の実施形態において、第1アミンは、脂肪族ポリアミン、アリール脂肪族ポリアミン、脂環式ポリアミン、芳香族ポリアミン、複素環式ポリアミン、ポリアルコキシポリアミン、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される。ポリアルコキシポリアミンのアルコキシ基は、オキシエチレン、オキシプロピレン、オキシ−1,2−ブチレン、オキシ−1,4−ブチレン又はこれらのコポリマーである。
【0021】
脂肪族ポリアミンの非限定的な例には、エチレンジアミン(EDA)、ジエチレントリアミン(DETA)、トリエチレンテトラミン(TETA)、トリメチルヘキサンジアミン(TMDA)、ヘキサメチレンジアミン(HMDA)、N−(2−アミノエチル)−l,3−プロパンジアミン(N−アミン)、N,N’−1,2−エタンジイルビス−1,3−プロパンジアミン(N−アミン)、及びジプロピレントリアミンが含まれる。アリール脂肪族ポリアミンの非限定的な例には、m−キシレンジアミン(mXDA)、及びp−キシレンジアミンが含まれる。脂環式ポリアミンの非限定的な例には、1,3−ビスアミノシクロヘキシルアミン(l,3−BAC)、イソホロンジアミン(IPDA)、及び4,4’−メチレンビスシクロヘキサンジアミンが含まれる。芳香族ポリアミンの非限定的な例には、m−フェニレンジアミン、ジアミノジフェニルメタン(DDM)、及びジアミノジフェニルスルホン(DDS)が含まれる。複素環式ポリアミンの非限定的な例には、N−アミノエチルピペラジン(NAEP)、及び3,9−ビス(3−アミノプロピル)2,4,8,10−テトラオキサスピロ(5,5)ウンデカンが含まれる。ポリアルコキシポリアミンであってアルコキシ基がオキシエチレン、オキシプロピレン、オキシ−1,2−ブチレン、オキシ−1,4−ブチレン、又はそれらのコポリマーであるものの非限定的な例には、4,7−ジオキサデカン−1,10−ジアミン,1−プロパンアミン,2,1−エタンジイルオキシ))ビス(ジアミノプロピル化ジエチレングリコール)(ANCAMINE(登録商標)1922A);ポリ(オキシ(メチル−1,2−エタンジイル))、アルファ−(2−アミノメチルエチル)オメガ−(2−アミノメチルエトキシ)(JEFFAMINE(登録商標)D−230、D−400);トリエチレングリコールジアミン及びオリゴマー(JEFFAMINE(登録商標)XTJ−504、JEFFAMINE(登録商標)XTJ−512)、ポリ(オキシ(メチル−1,2−エタンジイル)),アルファ,アルファ’−(オキシジ−2,1−エタンジイル)ビス(オメガ−(アミノメチルエトキシ))(JEFFAMINE(登録商標)XTJ−511);ビス(3−アミノプロピル)ポリテトラヒドロフラン350;ビス(3−アミノプロピル)ポリテトラヒドロフラン750;ポリ(オキシ(メチル−1,2−エタンジイル)),a−ヒドロ−w−(2−アミノメチルエトキシ)エーテルと2−エチル−2−(ヒドロキシメチル)−1,3−プロパンジオール(JEFFAMINE(登録商標T−403)、及びジアミノプロピルジプロピレングリコールが含まれる。
【0022】
アダクトは、500mPa・s〜50000mPa・sの粘度を有していてもよい。アダクトは、60グラム・パー・当量(g/eq)〜200g/eqの水素当量を有していてもよい。粘度及び/又は水素当量は、少なくとも一部分は、エポキシ化合物と第1アミンの初期モル比に依存し得る。しかしながら、実施形態は、これらの値に限定されるものではなく、他の粘度及び/又は水素当量も可能である。いくつかの応用において、アダクトは3000mPa・s〜7000mPa・sの粘度を有し得る。
【0023】
上述のように、硬化剤成分はマンニッヒ塩基を含む。マンニッヒ塩基は、アルデヒド、フェノール化合物、及び第2アミンの反応の反応生成物である。アルデヒドの非限定的な例にはホルムアルデヒドが含まれる。第2アミンは、本明細書に記載される第1アミンと同じアミン及び/又はグループから独立に選択できる。
【0024】
1又は2以上の実施形態において、マンニッヒ塩基を形成するために用いられるフェノール化合物の非制限的な例には、モノフェノール、例えばフェノール、オルトー、メター又はパラークレゾール、異性体のキシレノール、パラ−ターシャリーブチルフェノール、パラ−ノニルフェノール、α−ナフトール及びβ−ナフトール、並びにこれらの組合せが含まれる。フェノール化合物には、ジー及びポリーフェノール、例えばレゾルシノール、ヒドロキノン、4,4’−ジオキシジフェニル、4,4’−ジオキシジフェニルエーテル、4,4’−ジオキシジフェニルスルホン、4,4’−ジオキシジフェニルメタン、ビスフェノールA、及びそれらの組合せが含まれ得る。フェノール化合物には、ノボラックとして知られるフェノールとホルムアルデヒドとの縮合生成物が含まれ得る。
【0025】
マンニッヒ塩基は、硬化性組成物が迅速硬化時間を有するようにするのに役立つ。本明細書において迅速硬化時間とは120分以下の硬化時間をいう。例えば、迅速硬化時間は、硬化性組成物が−5℃〜50℃の温度で硬化させた場合に5分〜120分となり得る。さらにマンニッヒ塩基は、望ましい機械的強度及び硬度特性、並びに望ましい化学的抵抗性をもたらすのに役立つ。
【0026】
1又は2以上の実施形態において、マンニッヒ塩基は硬化剤成分の総重量の10〜90重量パーセントであり、アダクトの重量パーセントとマンニッヒ塩基の重量パーセントとが硬化剤成分の100重量パーセントに等しくなるようにする。1又は2以上の実施形態において有用なフェノール及び/又はアミンの例は、Tramontini,Maurilio,「アドバンス イン ザ ケミストリー オブ マンニッヒ ベース(Advances in the Chemistry of Mannich Bases)」Syntheses,1973:703−775、に見出すことができ、参照により本明細書に組み込まれる。
【0027】
マンニッヒ塩基は、100mPa・s〜10000mPa・sの粘度;60g/eq〜200g/eqの水素当量;25℃で5分〜60分のポットライフを有し得る。
マンニッヒ塩基の粘度、水素当量及び/又はポットライフは、少なくとも部分的に、エポキシ化合物と第2アミンの初期モル比に依存し得る。しかしながら、実施形態はこれらの数値に限定されるものではなく、マンニッヒ塩基の粘度、水素当量及び/又はポットライフとして他の数値も可能である。いくつかの応用では、マンニッヒ塩基の粘度は3000mPa・s〜7000mPa・sであり得る。
【0028】
1又は2以上の実施形態において、硬化性組成物は揮発性有機化合物を含まない。硬化性組成物は25℃で1000mPa・s〜10000mPa・sの粘度を有しうる。硬化性組成物は25℃で15分〜60分のポットライフを有し得る。いくつかの実施形態では、硬化性組成物は25℃で15分〜90分のポットライフを有し得る。
しかしながら、実施形態はこれらの数値に限定されるものではなく、硬化性組成物の粘度及び/又はポットライフとして他の数値も可能である。いくつかの実施形態では、硬化性組成物は2000mPa・s〜8000mPa・sの粘度を有し得る。
【0029】
1又は2以上の実施形態において、硬化性組成物は添加剤を含むことができる。添加剤の非限定的な例には、非反応性変性剤などの変性剤、促進剤、溶媒や垂れ防止剤などの流れ調整剤、顔料、補強剤、充填剤、エラストマー、安定剤、増量剤、可塑剤、及び難燃剤が含まれ、用途に依存する。1又は2以上の実施形態において、硬化性組成物は追加的な硬化剤を含むことができる。追加的な硬化剤は、アミン、無水物、カルボン酸、フェノール、チオール、及びこれらの組み合わせからなる群から選択することができる。
【0030】
硬化性組成物はコーティングとして有利である。コーティングは、本明細書で説明するような樹脂成分と硬化剤成分との反応により得られる硬化組成物を含み得る。硬化性組成物は基材に適用しその上で硬化させることができる。例えば、基材は、金属、プラスチック、ガラス繊維、又はその他の硬化性組成物が接着できる材料であってよい。硬化性組成物はさまざまな手段、例えば浸漬、吹付け、ロール塗り、又はその他の手段で基材に適用することができる。基材上のコーティングは、物品、例えば液体を保持するために用いられる被覆した容器など、を形成するために有用であり得る。例えば、被覆した容器の実施形態には、携帯用水容器及び/又はワイン発酵タンク/容器が含まれ得る。いくつかの実施形態では、基材上のコーティングの厚さは0.2ミリメートル(mm)から5mmであり得る。しかしながら、実施形態はこの数値に限定されるものではなく、コーティングの厚さとして他の数値も可能である。
【0031】
1又は2以上の実施形態において、硬化性組成物は、ショアD硬さスケールで76〜84の硬さを有する硬化組成物を生成するように、硬化させることができる。硬さはASTM D2240によって決定することができる。1又は2以上の実施形態において、硬化組成物は、40℃〜80℃のガラス転移温度を有する。しかしながら、実施形態はこれらの数値に限定されるものではなく、ショアD硬さスケールの硬さで他の数値、及び/又は、他のガラス転移温度も可能である。
【実施例】
【0032】
実施例
以下に樹脂成分、反応性希釈剤、及び硬化剤成分を含む硬化性組成物の例を示すが、これらは本開示の範囲を説明するためのものであって、限定的なものではない。他に指示のない限り、すべての部及びパーセンテージは重量によるものである。他に指示のない限り、すべての機器及び化学品は市販のものである。
材 料
イソホロンジアミン(IPDA),Evonik Industriesから入手可能。
パラ−ターシャリーブチルフェノール(PTBP),SI Group(登録商標),Inc.から入手可能。
ホルムアルデヒド,Brenntagから入手可能。
D.E.R.TM 331,(芳香族エポキシ化合物),ザ・ダウ・ケミカル・カンパニーから入手可能。
メタ−キシレンジアミン(MXDA),三菱ガス化学株式会社から入手可能。
ジエチレントリアミン(DETA),Delamine B.V.から入手可能。
トリメチルヘキサンジアミン(TMDA),Evonik Industriesから入手可能。
JEFFAMINE(登録商標) D−230 ポリオキシプロピレンジアミン(D−230),Huntsman International LLCから入手可能。
オルト−クレシル(モノ)グリシジルエーテル(oC−MGE),UPPC GmbHから入手可能。
スチレン化フェノール(Sanko SP(SP)),(非反応性変性剤),Sanko Europe GmbHから入手可能。
ジイソプロピルナフタレン(Ruetasolv DI),(非反応性変性剤),RKS GmbHから入手可能。
POLYPOX(登録商標)E403,(芳香族エポキシ化合物),ザ・ダウ・ケミカル・カンパニーから入手可能。
POLYPOX(登録商標)VE101592,(トリメチロールプロパンオクタデカエトキシレートのトリグリシジルエーテルである高分子グリシジルエーテルの反応性希釈剤),UPPC GmbHから入手可能。
POLYPOX(登録商標)IH7009,(ポリアミン),UPPC GmbHから入手可能。
DOWANOL(登録商標)TpnB(TpnB),(トリプロピレングリコール n−ブチルエーテル),(非反応性変性剤)ザ・ダウ・ケミカル・カンパニーから入手可能。
NOVARES LS500(LS500),(非反応性変性剤),Ruetgers VfTから入手可能。
UCAR(登録商標) Filmer IBT(IBT),(非反応性変性剤),ケミカルアブストラクトサービス(CAS)レジストリ番号25265−77−4,ザ・ダウ・ケミカル・カンパニーから入手可能。
酢酸,分析グレード,Merck KGaAから入手可能。
エタノール,分析グレード,Merck KGaAから入手可能。
人工的ワイン(artificial wine),酢酸含有量が5重量パーセント(wt%)のビネガー3容量パーセント(vol%)と、エタノール14vol%と、水83vol%の混合物。
硫酸,分析グレード,Merck KGaAから入手可能。
水酸化ナトリウム,分析グレード,Merck KGaAから入手可能。
B.P.G 5b,メタノール(分析グレード,Merck KGaAから入手可)48vol%と、イソプロパノール(分析グレード,Merck KGaAから入手可能)48vol%と、水4vol%の混合物。
ガソリン,Esso(Exxon)から入手可能。
キシレン,分析グレード,Merck KGaAから入手可能。
メチルイソブチルケトン(MIBK),分析グレード,Merck KGaAから入手可能。
脱イオン水。
【0033】
マンニッヒ塩基の調製
マンニッヒ塩基1から10を以下のようにして調製した:メカニカルスターラー(mechanical stirrer)と、加熱ジャケットと、温度計と、ライプツィッヒ型水平式冷却器(Liebig type horizontal cooler)を備えた三つ口フラスコを用いて、マンニッヒ塩基を調製した。IPDAを最初にフラスコに加えた。次に、PTBPを90℃でIPDAに溶解した。20wt%のホルムアルデヒド溶液を滴状でフラスコに加え、それど同時に一方で、水(ホルムアルデヒド溶液から取り込まれたもの)を、約101.3kPaの圧力下に100℃〜135℃に加熱することによって除去した。ホルムアルデヒド溶液の添加が完了したときに、得られた生成物を90℃まで冷却した。続いて、得られた生成物を90℃で5分間(min)保持し、100ミリバール(mbar)の真空を適用した。次に、生成物を135℃まで加熱した。生成物を蒸留して含水量を0.5wt%未満とした。その後、生成物を40℃に冷却した。表1に、それぞれのマンニッヒ塩基を調製するために使用した成分とそれらのモル量とを示す。表1には、各マンニッヒ塩基1−10の調製の間に留去した水のグラム数も示す。
【0034】
【表1】

【0035】
マンニッヒ塩基1−10の種々の特性が決定され、その結果が表2に示される。以下の結果が含まれる;各マンニッヒ塩基の構成成分によって決定され、ミリグラム水酸化カリウム・パー・グラム(mgKOH/g)で示した、各マンニッヒ塩基のアミン価の理論値;DIN16945に従い決定され、mgKOH/gで示した、各マンニッヒ塩基のアミン価の測定値;wt%で示した、各マンニッヒ塩基の含水量;mPa・sで示した、各マンニッヒ塩基の25℃における粘度;mPa・sで示した、各マンニッヒ塩基の40℃における粘度;各マンニッヒ塩基の25℃における屈折率;分単位で示した、各マンニッヒ塩基のポットライフであって、この場合それぞれのマンニッヒ塩基はD.E.R.(商標)331(1エポキシ当量:1アミン当量)と混合される;各マンニッヒ塩基の構成成分によって決定され、グラム・パー・当量(g/eq)で示した、各マンニッヒ塩基の水素当量。
【0036】
【表2】

【0037】
アダクトの調製
アダクト1から8を以下のようにして調製した:アミンをフラスコに加え、フラスコの内容物を反応温度の90℃に加熱した。フラスコ内容物は、D−230を入れたときに反応温度の140℃に加熱した。次にエポキシ化合物を滴状で攪拌しつつフラスコに加えた。フラスコ内容物を反応温度の±5℃以内に維持した。エポキシ化合物の添加が完了した1時間後にフラスコ内容物を40℃に冷却した。表3に、それぞれのアダクトを調製するために使用した成分とそれらのモル量とを示す。
【0038】
【表3】

【0039】
アダクト1−8の種々の特性が決定され、その結果が表4に示される。以下の結果が含まれる;mPa・sで示した、各アダクトの25℃における粘度;mPa・sで示した、各アダクトの50℃における粘度;グラム・パー・当量(g/eq)で示した、各アダクトの水素当量。
【0040】
【表4】

【0041】
硬化剤の調製
マンニッヒ塩基5及びマンニッヒ塩基8を、前に調製したアダクトのいくつかと組み合わせて、表5に示すように硬化剤成分1から12を用意した。表5には、各硬化剤成分に使用したマンニッヒ塩基5のwt%とマンニッヒ塩基8のwt%を示す。表5には、各硬化剤成分に使用した非反応性変性剤であるSanko SPとRuetasolv DIのwt%も示す。
【0042】
【表5】

【0043】
硬化剤成分1−12の種々の特性が決定され、その結果が表6A−6Dに示される。表6Aは、グラム・パー・当量(g/eq)で示した、各硬化剤成分の水素当量;mPa・sで示した、各硬化剤成分の25℃における粘度;及び、mPa・sで示した、各硬化剤成分の50℃における粘度、を示す。表6Bは、100グラムのD.E.R.(商標)331と混合した各硬化剤成分のグラム数;及び、分単位で示した、混合物のポットライフ、を示す。表6Cは、100グラムのPOLYPOX(登録商標) E403と混合した各硬化剤成分のグラム数;及び、分単位で示した、混合物のポットライフ、を示す。表6Dは、100グラムのD.E.R.(商標)331/POLYPOX(登録商標)VE101592(80wt%:20wt%)と混合した各硬化剤成分のグラム数;及び、分単位で示した、Row6.8の混合物のポットライフ、を示す。
【0044】
【表6】

【0045】
【表7】

【0046】
【表8】

【0047】
【表9】

【0048】
実施例 1−17
芳香族樹脂化合物D.E.R.(商標)331及び高分子グリシジルエーテルPOLYPOX(登録商標)VE101592を混合して樹脂成分を用意し、これを次にマンニッヒ塩基とアダクトと、そしていくつかの実施例についてはさらに非反応性変性剤と混合して、表7Aの実施例1から17で示すとおりの硬化性組成物を形成した。各実施例において樹脂成分の合計は100グラムであった。表7Aは各実施例における樹脂成分のwt%を示す。樹脂成分は、表7Aに示す量のマンニッヒ塩基、アダクト、そして非反応性変性剤と混合された。表7Aには、マンニッヒ塩基、アダクト、及び非反応性変性剤それぞれの、これらの合計質量に対するwt%を示す。
【0049】
【表10】

【0050】
比較例A−Y
芳香族樹脂化合物POLYPOX(登録商標)E403を、マンニッヒ塩基とアダクトと、さらにいくつかの例についてはさらに非反応性変性剤と混合して、表7Bの比較例A−Yで示すとおりの硬化性組成物を形成した。各比較例において芳香族エポキシ化合物は100グラムであった。表7Bは各比較例における樹脂成分のwt%を示す。樹脂成分は、表7Bに示す量のマンニッヒ塩基、アダクト、そして非反応性変性剤と混合された。表7Bには、マンニッヒ塩基、アダクト、及び非反応性変性剤それぞれの、これらの合計質量に対するwt%を示す。
【0051】
【表11】

【0052】
表7Aの実施例及び表7Bの比較例の特性が決定され、その結果が表8A、8B、9A、及び9Bに示される。これらの表は、mPa・sで表わした硬化剤成分と非反応性変性剤(存在する場合)の25℃における粘度と、特定の相対湿度で数時間(h)硬化した後にASTM D2240により決定したショアD硬さを示す。23℃での硬化は相対湿度50パーセントで起こり、13℃での硬化は相対湿度80パーセントで起こり、7℃での硬化は相対湿度65パーセントで起こったものである。
【0053】
【表12】

【0054】
【表13】

【0055】
【表14】

【0056】
【表15】

【0057】
上述の実施例及び比較例のいくつかについてTgを測定した。結果を表10A及び10Bに示す。前記実施例及び比較例は、Mettler Toledo DSC822(メトラー・トレド社(Mettler Toledo Inc.)から入手可能)により熱分析した。活性(active)ガラス転移温度(TgA)は20℃〜120℃の範囲で測定した。潜在(potential)ガラス転移温度(Tgp)は、Deutsches Institut fur Normung(DIN)又はドイツ規格協会のDIN65467に従って、180℃で10分間の後硬化の後で20℃〜130℃の範囲で、加熱速度15ケルビン/分で測定した。
【0058】
【表16】

【0059】
【表17】

【0060】
POLYPOX(登録商標)IH7009と混合したPOLYPOX(登録商標)E403(エポキシ1当量に対してアミン1当量)の化学的抵抗性を、比較例Z、比較例A、及び比較例Mについて、ショアD硬さ試験(ASTM D2240)及びショアD硬さスケールでの硬さの変化のパーセントを決定することにより、評価した。比較例A及びMは、比較例Zとは異なり、本明細書に開示されるマンニッヒ塩基とアダクトを含む硬化剤成分を有する。硬さの変化のパーセントが相対的に小さいと、より大きい化学的抵抗性を示し、硬さの変化のパーセントが相対的に大きいと、より小さい化学的抵抗性を示した。化学的抵抗性の試験には、5wt%の酢酸溶液や15wt%のエタノール溶液や人工的ワインを含む、種々の溶液が使用された。それぞれの硬化体の、溶液に接触する前のショアD硬さが測定され、表11に初期硬さとして示される。
【0061】
比較例Z、比較例A、及び比較例Mそれぞれの試料について、溶液で飽和させた綿パッドを試料にあててパッドと試料を覆うことによって、溶液に168h接触させた。接触後24h、接触後48h、及び接触後168hに試料のショアD硬さを測定した。ショアD硬さの測定値を表11に示す。ショアD硬さの変化のパーセントは、表11においてパーセント %Δショア硬さとして示されるが、初期硬さと、溶液に168h接触させた後の硬さである最終硬さの初期硬さに対する割合とにより、決定した。ショアD硬さの変化のパーセントは、(1−(最終硬さ/初期硬さ))×100として計算し、硬さ変化のパーセントが負であることは、初期硬さの値が最終硬さの値よりも大きいことを示す。
【0062】
【表18】

【0063】
表11のデータが示すように、比較例A及び比較例Mはともに、酢酸、エタノール、及び人工的ワインと168h接触した後の硬さの相対的なパーセントの変化に示されるとおり、比較例Zと比べた場合に、改善された化学的抵抗性を有する。
【0064】
80wt% D.E.R.(商標)331と20wt% POLYPOX(登録商標)VE101592混合物をPOLYPOX(登録商標)IH7009と組み合わせた(エポキシ1当量に対してアミン1当量)場合の化学的抵抗性を、前述した比較例AA、実施例17、及び実施例1について、20wt%の硫酸溶液、20wt%の水酸化ナトリウム溶液、B.P.G 5b、5wt%酢酸溶液、10wt%酢酸、ガソリン、キシレン、MIBK、15wt%エタノール溶液、人工的ワインなどの、種々の溶液に化学的に接触させることにより評価した。それぞれの硬化体の、溶液に接触する前のショアD硬さが測定され、表12に初期硬さとして示される。
【0065】
各試料は、表12に示される時間、溶液と接触させた。ショアD硬さの測定値が得られ、結果が表12に示される。ショアD硬さの変化のパーセントが、上述のようにして決定され、表12に示される。
【0066】
【表19】

【0067】
表12のデータによれば、実施例17と実施例1の両者は、硫酸、B.P.G 5b、5wt%酢酸溶液、10wt%酢酸溶液、15wt%エタノール溶液、人工的ワインに168h接触させた後の硬さの相対的な変化のパーセントに示されるように、比較例AAと比べて改善された化学的抵抗性を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
硬化性組成物であって、
芳香族エポキシ化合物、脂環式エポキシ化合物、脂肪族エポキシ化合物、及びそれらの組合せからなる群から選択されるエポキシ化合物;及び
高分子グリシジルエーテルを含む反応性希釈剤;
を含む樹脂成分と、
アダクト;及び
マンニッヒ塩基;
を含む硬化剤成分と、
を含む硬化性組成物。
【請求項2】
前記アダクトがエポキシ化合物と第1アミンとの組み合わせから形成され;前記マンニッヒ塩基がホルムアルデヒド、フェノール化合物、及び第2アミンの反応によって形成され、ここにおいて前記第1及び第2アミンは独立して脂肪族ポリアミン、アリール脂肪族ポリアミン、脂環式ポリアミン、芳香族ポリアミン、複素環式ポリアミン、ポリアルコキシポリアミン、及びこれらの組み合わせからなる群から選択され;そして前記フェノール化合物はモノフェノール、ジフェノール、ポリーフェノール、及びこれらの組合せからなる群から選択される、請求項1記載の硬化性組成物。
【請求項3】
前記エポキシ化合物が芳香族エポキシ化合物であり;前記第1アミンがジエチレントリアミン、イソホロンジアミン、m−キシレンジアミン、トリメチルヘキサンジアミン、及びこれらの組合せからなる群から選択され;前記第2アミンがイソホロンジアミンであり;そして前記フェノール化合物がパラ−ターシャリーブチルフェノールである、請求項2記載の硬化性組成物。
【請求項4】
前記反応性希釈剤が前記樹脂成分の総重量の60重量パーセント未満であり;前記アダクトが前記硬化剤成分の10重量パーセントから90重量パーセントであり;そして前記マンニッヒ塩基は、前記硬化剤成分の10重量パーセントから90重量パーセントであって、前記アダクトの重量パーセントと前記マンニッヒ塩基の重量パーセントとが前記硬化剤成分の100重量パーセントに等しくなる、請求項1〜3のいずれか1項に記載の硬化性組成物。
【請求項5】
前記マンニッヒ塩基が、25℃において100mPa・s〜10000mPa・sの粘度及び60g/eq〜180g/eqの水素当量を有し;前記アダクトが、25℃において500mPa・s〜50000mPa・sの粘度及び60g/eq〜100g/eqの水素当量を有する、請求項1〜4のいずれか1項に記載の硬化性組成物。
【請求項6】
前記硬化性組成物が、25℃で1000mPa・s〜10000mPa・sの粘度;及び15分〜90分のポットライフを有する、請求項1〜5のいずれか1項に記載の硬化性組成物。
【請求項7】
基材と該基材上のコーティングとを含み、前記コーティングが請求項1記載の硬化性組成物の硬化組成物を含む、物品。
【請求項8】
前記アダクトが、エポキシ化合物と、ジエチレントリアミン、イソホロンジアミン、m−キシレンジアミン、トリメチルヘキサンジアミン、及びこれらの組合せからなる群から選択される第1アミンとの組み合わせから形成され;前記マンニッヒ塩基がホルムアルデヒド、パラ−ターシャリーブチルフェノール、及びイソホロンジアミンの反応によって形成される、請求項7記載の物品。
【請求項9】
前記アダクトが前記硬化剤成分の1重量パーセントから90重量パーセントを構成し;そして前記マンニッヒ塩基が、前記硬化剤成分の10重量パーセントから90重量パーセントを構成し、前記アダクトの重量パーセントと前記マンニッヒ塩基の重量パーセントとが前記硬化剤成分の100重量パーセントに等しくなる、請求項7記載の物品。
【請求項10】
前記硬化組成物が、40℃〜80℃のガラス転移温度;及び、ショアD硬さスケールで76〜84の硬さを有する、請求項7〜9のいずれか1項記載の物品。

【公表番号】特表2013−510922(P2013−510922A)
【公表日】平成25年3月28日(2013.3.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−538808(P2012−538808)
【出願日】平成22年11月12日(2010.11.12)
【国際出願番号】PCT/US2010/002963
【国際公開番号】WO2011/059500
【国際公開日】平成23年5月19日(2011.5.19)
【出願人】(502141050)ダウ グローバル テクノロジーズ エルエルシー (1,383)
【Fターム(参考)】