磁場検出装置
【課題】磁場測定精度を向上しつつ、小型化された磁場検出装置の提供。
【解決手段】1軸方向の磁場を検出する感磁部6,7,8を、平板かつ直方体状の基板の特定面上に備えた磁気センサ素子3,4が、信号処理IC2とともに実装基板上に配されてなる磁場検出装置10であって、磁気センサ素子3を構成する単一の基板に、複数の感磁部6,7が互いの近傍に配置されていることを特徴とする磁場検出装置10。
【解決手段】1軸方向の磁場を検出する感磁部6,7,8を、平板かつ直方体状の基板の特定面上に備えた磁気センサ素子3,4が、信号処理IC2とともに実装基板上に配されてなる磁場検出装置10であって、磁気センサ素子3を構成する単一の基板に、複数の感磁部6,7が互いの近傍に配置されていることを特徴とする磁場検出装置10。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、磁場検出装置、特に3軸磁気センサに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、パーソナルコンピュータ、携帯用情報機器、電子交換機などの電子機器の小型化が求められており、これらの電子機器に用いられる電子部品においても、小型化、薄型化、軽量化、及び高機能化が強く要求されている。
【0003】
そのような電子機器の一つであるナビゲーション機器では、方位情報を得るために電子コンパスが用いられている。電子コンパスには、磁場を検出する感磁部を備えた磁気センサ素子が配されている。多くの電子コンパスでは、3個の磁気センサ素子を実装基板上に配置する際に、各磁気センサ素子を構成する各感磁部の感磁方向(感度軸方向)が互いに垂直になるように配置される(例えば、特許文献1参照)。すなわち、X軸,Y軸,Z軸の3軸にかかる磁界を、それぞれ個別の磁気センサ素子を用いて測定している(図17参照)。図17では、各磁気センサ素子に備えられた感磁部の長手方向が、感磁方向であるものとして描いている。一般的に、MIセンサやフラックスゲートセンサのような高感度磁気センサの検出感度は、感磁部の長手方向の長さに依存する。
【0004】
図17に示す従来の電子コンパスでは、実装基板面101に対して平行なX軸方向およびY軸方向にかかる磁界を検出する第一磁気センサ素子103および第二磁気センサ素子104と、実装基板面101に対して垂直なZ軸方向にかかる磁界を検出する磁気センサ素子105と、信号処理IC102とが備えられている。
第一磁気センサ素子103および第二磁気センサ素子104を構成する、第一感磁部106および第二感磁部107の感磁方向は実装基板面101に対して平行であり、各磁気センサ素子103,104は、実装基板面101において平置きで備えられている。一方、第三磁気センサ素子105を構成する第三感磁部108の感磁方向は実装基板面101に対して垂直であり、第三磁気センサ素子105は、実装基板面101において縦置きで備えられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−109378号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来、実装基板面の垂直軸方向(Z軸方向)にかかる磁界を検出する磁気センサ素子は、磁気検出感度を確保するため、実装基板面の平行軸方向(X軸方向、Y軸方向)にかかる磁界を検出する磁気センサと同程度の大きさである必要があり、かつ、縦置きで配置されるため、平置きに配置された磁気センサ素子よりも背高になってしまい、磁場検出装置(電子コンパス)全体が大型化してしまう問題がある。また、磁場検出装置の磁界測定精度の向上が望まれている。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、磁場測定精度を向上しつつ、小型化された磁場検出装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の請求項1に記載の磁場検出装置は、1軸方向の磁場を検出する感磁部を、平板かつ直方体状の基板の特定面上に備えた磁気センサ素子が、信号処理ICとともに実装基板上に配されてなる磁場検出装置であって、前記磁気センサ素子を構成する単一の基板に、複数の前記感磁部が互いの近傍に配置されていることを特徴とする。
本発明の請求項2に記載の磁場検出装置は、請求項1において、前記単一の基板に配置された複数の感磁部のうち、少なくとも2つの感磁部の感磁方向が、前記実装基板面に対して斜めをなしていることを特徴とする。
本発明の請求項3に記載の磁場検出装置は、請求項1又は2において、前記単一の基板に配置された複数の感磁部のうち、少なくとも2つの感磁部の感磁軸が交差することを特徴とする。
本発明の請求項4に記載の磁場検出装置は、請求項1〜3のいずれか一項において、前記磁気センサ素子に加えて、前記感磁部と同機能を有する感磁部が前記信号処理IC上に設けられていることを特徴とする。
本発明の請求項5に記載の磁場検出装置は、1軸方向の磁場を検出する感磁部を、平板かつ直方体状の基板の特定面上に備えた磁気センサ素子が、信号処理ICとともに実装基板上に配されてなる磁場検出装置であって、前記信号処理ICを構成する単一の基板に、複数の前記感磁部が各々互いの近傍に配置されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明の磁場検出装置によれば、実装基板上に配された磁気センサ素子に備えられた複数の感磁部を互いの近傍に集中させて、一極に配置することによって、その一極にかかる磁場をより精度良く測定できる。
さらに、前記実装基板上の磁気センサ素子を構成する単一の基板に複数備えられた各感磁部の感磁方向を、それぞれ前記実装基板面に対して斜めに配することによって、当該磁気センサ素子を低背化することができるので、当該磁場検出装置を小型化できる。
また、磁気センサ素子に備えられた感磁部と同機能を有する感磁部を、磁気センサ素子の代わりに信号処理IC上に備える場合、磁気センサ素子が実装基板を占有する面積を削減することができるので、当該磁場検出装置をより小型化できる。
【0009】
また、本発明の磁場検出装置によれば、実装基板上に配された信号処理ICに備えられた複数の感磁部を互いの近傍に集中させて、一極に配置することによって、その一極にかかる磁場をより精度良く測定できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明にかかる磁場検出装置の一例における、磁気センサ素子及び信号処理ICのレイアウトを示す斜視図である。
【図2】感磁部が実装基板面1から突出した高さを比較する図である。
【図3】本発明にかかる磁場検出装置の一例における、磁気センサ素子及び信号処理ICのレイアウトを示す斜視図である。
【図4】本発明にかかる磁場検出装置の一例における、磁気センサ素子及び信号処理ICのレイアウトを示す斜視図である。
【図5】本発明にかかる磁場検出装置の一例における、磁気センサ素子及び信号処理ICのレイアウトを示す斜視図である。
【図6】本発明にかかる磁場検出装置の一例における、磁気センサ素子及び信号処理ICのレイアウトを示す斜視図である。
【図7】本発明にかかる磁場検出装置の一例における、磁気センサ素子及び信号処理ICのレイアウトを示す斜視図である。
【図8】本発明にかかる磁場検出装置の一例における、磁気センサ素子及び信号処理ICのレイアウトを示す斜視図である。
【図9】本発明にかかる磁場検出装置の一例における、磁気センサ素子及び信号処理ICのレイアウトを示す斜視図である。
【図10】本発明にかかる磁場検出装置の一例における、磁気センサ素子及び信号処理ICのレイアウトを示す斜視図である。
【図11】本発明にかかる磁場検出装置の一例における、磁気センサ素子及び信号処理ICのレイアウトを示す斜視図である。
【図12】本発明にかかる磁場検出装置の一例における、磁気センサ素子及び信号処理ICのレイアウトを示す斜視図である。
【図13】本発明にかかる磁場検出装置の別の一例における、磁気センサ素子及び信号処理ICのレイアウトを示す斜視図である。
【図14】本発明にかかる磁場検出装置の別の一例における、磁気センサ素子及び信号処理ICのレイアウトを示す斜視図である。
【図15】本発明にかかる磁場検出装置の別の一例における、磁気センサ素子及び信号処理ICのレイアウトを示す斜視図である。
【図16】本発明にかかる磁場検出装置の別の一例における、磁気センサ素子及び信号処理ICのレイアウトを示す斜視図である。
【図17】従来の磁場検出装置における、磁気センサ素子及び信号処理ICのレイアウトを示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
<磁場検出装置の第一実施形態>
以下、好適な実施の形態に基づき、図面を参照して本発明を説明する。
図1は、本発明にかかる磁場検出装置の第一実施形態である磁場検出装置10A(10)における磁気センサ素子及び信号処理ICのレイアウトを示す斜視図である。
【0012】
磁場検出装置10Aは、実装基板面1に、信号処理IC2、第一磁気センサ素子3、および第二磁気センサ素子4を少なくとも備えてなる。
実装基板面1において、第一磁気センサ素子3は縦置きで配置されており、第二磁気センサ素子4は平置き(横置き)で配置されている。縦置きで配置された第一磁気センサ素子3は、平置きで配置された第二磁気センサ素子4および信号処理IC2よりも背高であり、実装基板面1からより高い位置まで突き出している。
【0013】
第一磁気センサ素子3を構成する平板かつ直方体状の単一の基板の特定面(一方の主面)上には、短冊形で示した第一感磁部6および第二感磁部7が備えられている。各短冊形の長手方向がそれぞれの感磁部の感磁方向を表す。第一感磁部6の感磁方向はY軸方向と平行であり、第二感磁部7の感磁方向はZ軸と平行である。このY軸方向およびZ軸方向は、それぞれ実装基板面1に対して斜めに45°の傾きをなしている。第一磁気センサ素子3の第一感磁部6および第二感磁部7が備えられた基板面は、実装基板面1に対して垂直である。
第二磁気センサ素子4を構成する平板かつ直方体状の基板の特定面上には、短冊形で示した第三感磁部8が一つ備えられており、該短冊形の長手方向であるX軸方向が第三感磁部8の感磁方向を示す。このX軸方向は、実装基板面1と平行である。第二磁気センサ素子4の第一感磁部8が備えられた基板面は、実装基板面1に対して平行である。
また、前記X軸方向、Y軸方向、およびZ軸方向は互いに直交している。
【0014】
磁場検出装置10Aでは、第一磁気センサ素子3および第二磁気センサ素子4が、信号処理IC2の近傍において、寄り集まって配置されている。また、第一磁気センサ素子3を構成する単一の基板に備えられた第一感磁部6および第二感磁部7が互いの近傍に備えられている。このため、各磁気センサ素子を構成する基板に備えられた各感磁部全てが互いの近傍に配置されている。
すなわち、第一感磁部6は、その長手方向の長さの距離範囲以内に、第二感磁部7および第三感磁部8が配置されていて、第二感磁部7は、その長手方向の長さの距離範囲以内に、第一感磁部6および第三感磁部8が配置されていて、第三感磁部8は、その長手方向の長さの距離範囲以内に、第一感磁部6および第二感磁部7が配置されている。
【0015】
ここで、「各感磁部が互いの近傍に配置される」とは、第一磁気センサ素子3および第二磁気センサ素子4が、互いの近隣に配置されていることをいう。このとき、各磁気センサ素子間には当該磁気センサ素子以外の部品が挟まれて実装されていない状態となる。このような状態においては、複数の磁気センサ素子同士を、空間内に密集して配置できる。この状態において、さらに、各感磁部はその長手方向の長さの距離範囲内に、少なくとも一つの他の感磁部が配置されていることが好ましい。また、各感磁部が残りの全ての感磁部の長手方向の長さの距離範囲内に配置されていることがより好ましい。
このように、各感磁部が互いの近傍に寄り集まって、一極に集中して配置されることにより、その一極における磁場をより精度良く測定することができる。このメカニズムを以下に説明する。
【0016】
従来の磁場検出装置(例えば図17に示す磁場検出装置100)では、各磁気センサ素子は互いの近傍に配置されていない。すなわち、各磁気センサ素子は、配置された位置が異なるため、それぞれ個別の位置の磁場を測定している。各磁気センサ素子が測定した磁場は、最終的に信号処理IC102によって合成されて、磁場検出装置100全体における磁場(磁場ベクトル)が算出される。
【0017】
このように、互いに離れた位置の磁場を合成して得られた磁場ベクトルは、三つの個別の位置の磁場の平均であるため、各磁気センサ素子が配置された範囲(磁場検出装置100全体)における平均的な磁場を測定しているに過ぎないので、その測定精度は低い。
一般に、磁場検出装置の近傍には磁界を発生するデバイスが設けられていることが多く、磁場検出装置における磁界勾配は顕著である。したがって、各磁気センサ素子が互いに離れて配置されていると、それぞれが異なる磁界勾配を受けることになり、磁場測定の誤差を生じ易くなる。
【0018】
一方、本発明にかかる磁場検出装置(例えば図1に示す磁場検出装置10A)では、各磁気センサ素子が互いの近傍に配置されており、各磁気センサ素子が集中して配された一極(一箇所)の磁場を測定している。各磁気センサ素子が測定した磁場は、最終的に信号処理IC2によって合成されて、前記一極における磁場(磁場ベクトル)が算出される。
【0019】
このように、互いに寄り集まった一極の磁場を合成して得られた磁場ベクトルは、前記一極における局所的な磁場を、X,Y,Z軸方向をそれぞれ検出する三つの磁気センサ素子によって測定したものであるため、磁場検出装置の個々に異なる位置における磁界勾配の違いの影響を受けにくい。したがって、各磁気センサ素子を集合させて配置することにより、磁場の測定精度を高めることができる。
【0020】
また、各磁気センサ素子と信号処理IC2との電気的接続を行う配線(不図示)は、各磁気センサ素子から信号処理IC2へ伝送される信号の劣化を抑制するために、なるべく短くすることが望ましい。このため、各磁気センサ素子は、信号処理ICの近傍に配置されることが好ましい。より具体的には、各磁気センサ素子を構成する基板の長手方向の長さに相当する距離範囲内に、信号処理ICが配置されていることが好ましい。このことは後述する本発明にかかる磁場検出装置のすべてについて当てはまる。
【0021】
磁場検出装置10Aにおいて、第二感磁部7の中心を通る感磁方向の軸(第二感磁部7の感磁軸)と第三感磁部8の中心を通る感磁方向の軸(第三感磁部8の感磁軸)とは互いに交差している。
ここで、「交差する」とは、第二感磁部7を示す短冊形の長手方向に延長した仮想の直線(感磁軸)と、第三感磁部8を示す短冊形の長手方向に延長した仮想の直線(感磁軸)とが空間の一点(交差点)で交わることをいう。この交わりの角度は必ずしも直角とは限らない。なお、各感磁軸は各感磁部の中心を通るものとする。
このように、第一〜第三磁気センサ素子が備える第一〜第三感磁部のうち、少なくとも2つの感磁部の感磁軸が交差することが好ましい。この場合、その交差点における磁場をより精度良く測定することができる。
【0022】
磁場検出装置10Aでは、第一磁気センサ素子3の一方の主面に備えられた第一感磁部6の感磁方向および第二感磁部7の感磁方向が互いに直交しつつ、それぞれ実装基板面1に対して45°の傾きをなしている。さらに、第二磁気センサ素子4を構成する第三感磁部8の感磁方向は実装基板面1に対して平行であり、第一感磁部6および第二感磁部7の感磁方向と直交している。このため、第一〜第三感磁部によって、磁場検出装置10Aは、互いに直交する3軸の感磁方向で磁場を検出することが可能である。
【0023】
前記3軸による3つの感磁方向は互いに直交しているが、前記3つの感磁方向のうち2つの感磁方向が互いに直交して、残る1つの感磁方向は前記2つの感磁方向と直交しなくてもよいし、3つ全ての感磁方向が互いに直交しなくてもよい。前記3つの感磁方向が互いに異なる方向を向き、且つ、前記3つの感磁方向の全てが同一の平面に存在しなければ、各磁気センサ素子が測定する3次元空間における磁場ベクトルを信号処理IC2によって算出することができる。
【0024】
しかし、測定精度を高める観点、および信号処理IC2における計算を簡便にする観点から、前記3つの感磁方向のうち少なくとも2つの感磁方向が互いに直交することが好ましく、前記3つの感磁方向の全てが互いに直交することがより好ましい。
【0025】
前記3つの感磁方向のうち少なくとも2つの感磁方向が互いに直交する場合、第一磁気センサ素子3における第一感磁部6の感磁方向と第二感磁部7の感磁方向とが互いに直交することが好ましい。
第一感磁部6および第二感磁部7は単一の基板の特定面に配置されているため、第一磁気センサ素子3の製造時に両感磁部の感磁方向が直交するように予め作り込むことができる。その結果、第一磁気センサ素子3を実装基板面1に実装する段階においては、両感磁部の相対的な感磁方向を調整する必要は無いので容易に実装できる。
一方、別の基板から構成される第二磁気センサ素子4に配置された第三感磁部8の感磁方向と第一感磁部6又は第二感磁部7の感磁方向とを互いに直交させるためには、実装基板面1における第一磁気センサ素子3と第二磁気センサ素子4との相対的配置を厳密に調整しつつ両磁気センサ素子を実装しなければならない。
【0026】
第一感磁部6が実装基板面1となす角θと、第二感磁部7が実装基板面1となす角φとは、同じ角度であっても異なる角度であってもよい。
なす角θとなす角φとが異なる角度である場合、なす角θとなす角φとの和は90°であることが好ましい。その和が90°であることによって、少なくとも第一感磁部6の感磁方向と第二感磁部7の感磁方向とを直交させることができ、さらには第一〜第三感磁部の3つの感磁方向を全て互いに直交させることができる。
【0027】
なす角θとなす角φとが同じ角度である場合、なす角θ及びなす角φは45°であることが好ましい。45°であることによって、少なくとも第一感磁部6の感磁方向と第二感磁部7の感磁方向とを直交させることができ(さらには第一〜第三感磁部の3つの感磁方向を全て互いに直交させることも可能であり)、且つ、第一感磁部6および第二感磁部7を備えた第一磁気センサ素子3を低背化することができる。この低背化について、以下に説明する。
【0028】
前述のように、第一磁気センサ素子3は、第一感磁部6および第二感磁部7が備えられた基板面を実装基板面1に対して垂直に立てた縦置きで配置されている。このため、第一磁気センサ素子3は、平置きで配置された第二磁気センサ素子4および信号処理IC2よりも背高である。このとき、第一磁気センサ素子3を構成する第一感磁部6および第二感磁部7は、実装基板面1から高さhで突き出している(図1参照)。この高さhが最も高くなるのは、第一感磁部6(又は第二感磁部7)が実装基板面1となす角θ(又はなす角φ)が90°(垂直)の場合である。この場合における第一感磁部6の高さhは、従来の磁場検出装置100における第三感磁部108の高さHに相当する(図17参照)。
【0029】
第一感磁部6のなす角θを90°から45°へ変化させるにつれて、第一感磁部6の高さhおよび第一磁気センサ素子3の高さを徐々に低くすることができる(図2参照)。具体的には、なす角θを45°にした場合、なす角θが90°の場合よりも、その高さhを0.75倍に低背化することができる。
【0030】
第一感磁部6のなす角θを45°よりもさらに0°側へ変化させた場合、第一感磁部6の高さhおよび第一磁気センサ素子3の高さをさらに低背化しうる。しかし、前述のように、第一感磁部6のなす角θと第二感磁部7のなす角φの和を90°にすることが好ましいため、なす角θを45°よりも小さい角度にすると、なす角φが45°よりも大きくなってしまい、第二感磁部7の高さhが高くなってしまい、結果として第一磁気センサ素子3の高さも高くなってしまう。
【0031】
したがって、実装基板面1上に縦置きで配置されている第一磁気センサ素子3の高さ(第一感磁部6および第二感磁部7の高さh)を低くするためには、なす角θ及びφが共に45°であることが好ましい。このように縦置きで配置された磁気センサ素子を低背化することによって、本発明の磁場検出装置10Aを、従来の磁場検出装置100よりも低背化して、より小型化することができる。
【0032】
本発明にかかる磁場検出装置の基板の材質としては、例えばガラス、サファイア、プラスチック、セラミックス等の絶縁体や、シリコン(Si)等の半導体が挙げられる。
本発明にかかる磁場検出装置に用いる磁気センサ素子としては、MI素子(Magneto−Impedance素子)、平行フラックスゲートセンサ素子、直交フラックスゲートセンサ素子等の公知のものが適用できる。該MI素子、該平行フラックスゲートセンサ素子、および該直交フラックスゲートセンサ素子を構成する感磁部としては、短冊形状にパターニングされた磁性体膜が用いられる。該磁性体膜は、例えば零磁歪アモルファス組成であるCoNbZrが用いられる。
【0033】
<磁場検出装置の第二実施形態>
図3は、本発明にかかる磁場検出装置の第二実施形態である磁場検出装置20A(20)における磁気センサ素子及び信号処理ICのレイアウトを示す斜視図である。
【0034】
磁場検出装置20Aは、実装基板面11に、信号処理IC12、および第一磁気センサ素子13を少なくとも備えてなる。
実装基板面11において、第一磁気センサ素子13は縦置きで配置されている。縦置きで配置された第一磁気センサ素子13は、平置きで配置された信号処理IC12よりも背高であり、実装基板面11からより高い位置まで突き出している。
【0035】
信号処理IC12を構成する基板には短冊形で示した第三感磁部18が一つ備えられており、該短冊形の長手方向であるX軸方向が第三感磁部18の感磁方向を示す。このX軸方向は、実装基板面11と平行である。信号処理IC12の第三感磁部18が備えられた基板面は、実装基板面11に対して平行である。
第一磁気センサ素子13を構成する平板かつ直方体状の単一の基板の特定面(一方の主面)上には、短冊形で示した第一感磁部16および第二感磁部17が備えられている。各短冊形の長手方向がそれぞれの感磁部の感磁方向を表す。第一感磁部16の感磁方向はY軸方向と平行であり、第二感磁部17の感磁方向はZ軸と平行である。このY軸方向およびZ軸方向は、それぞれ実装基板面11に対して斜めに45°の傾きをなしている。第一磁気センサ素子13の第一感磁部16および第二感磁部17が備えられた基板面は、実装基板面11に対して垂直である。
また、前記X軸方向、Y軸方向、およびZ軸方向は互いに直交している。
【0036】
磁場検出装置20Aでは、第一磁気センサ素子13が、信号処理IC12の近傍に寄り集まって配置されている。また、第一磁気センサ素子13を構成する単一の基板に備えられた第一感磁部16および第二感磁部17が互いの近傍に備えられている。このため、第一磁気センサ素子13および信号処理IC12に備えられた各感磁部全てが互いの近傍に配置されている。
すなわち、第一感磁部16は、その長手方向の長さの距離範囲以内に、第二感磁部17および第三感磁部18が配置されていて、第二感磁部17は、その長手方向の長さの距離範囲以内に、第一感磁部16および第三感磁部18が配置されていて、第三感磁部18は、その長手方向の長さの距離範囲以内に、第一感磁部16および第二感磁部17が配置されている。
【0037】
このように各感磁部が互いの近傍に集中して、一極に配置されることにより、各感磁部が受ける磁場勾配の影響を均一にすることができるため、磁場検出装置20Aの測定精度を高められるので好ましい。このことは、前述の磁場検出装置10についての説明と同様である。
【0038】
磁場検出装置20Aにおいて、第一感磁部16の中心を通る感磁方向の軸(第一感磁部16の感磁軸)と第二感磁部17の中心を通る感磁方向の軸(第二感磁部17の感磁軸)とは互いに交差している。
ここで、「交差する」とは、第一感磁部16を示す短冊形の長手方向に延長した仮想の直線(感磁軸)と、第二感磁部17を示す短冊形の長手方向に延長した仮想の直線(感磁軸)とが空間の一点(交差点)で交わることをいう。この交わりの角度は必ずしも直角とは限らない。なお、各感磁軸は各感磁部の中心を通るものとする。
このように、第一〜第三磁気センサ素子が備える第一〜第三感磁部のうち、少なくとも2つの感磁部の感磁軸が交差することが好ましい。この場合、その交差点における磁場をより精度良く測定することができる。
【0039】
磁場検出装置20Aでは、第一磁気センサ素子13を構成する第一感磁部16の感磁方向および第二感磁部17の感磁方向が互いに直交しつつ、それぞれ実装基板面11に対して45°の傾きをなしている。さらに、信号処理IC12の上面に配された第三感磁部18の感磁方向は実装基板面11に対して平行であり、第一感磁部16および第二感磁部17の感磁方向と直交している。このため、第一〜第三感磁部によって、磁場検出装置20Aは、互いに直交する3軸の感磁方向で磁場を検出することが可能である。
【0040】
前記3軸による3つの感磁方向は互いに直交しているが、前記3つの感磁方向のうち2つの感磁方向が互いに直交して、残る1つの感磁方向は前記2つの感磁方向と直交しなくてもよいし、3つ全ての感磁方向が互いに直交しなくてもよい。前記3つの感磁方向が互いに異なる方向を向き、且つ、前記3つの感磁方向の全てが同一の平面に存在しなければ、各感磁部によって検出された3次元空間における磁場ベクトルを信号処理IC12によって算出することができる。
【0041】
しかし、測定精度を高める観点、および信号処理IC12における計算を簡便にする観点から、前記3つの感磁方向のうち少なくとも2つの感磁方向が互いに直交することが好ましく、前記3つの感磁方向の全てが互いに直交することがより好ましい。
【0042】
前記3つの感磁方向のうち少なくとも2つの感磁方向が互いに直交する場合、第一磁気センサ素子13における第一感磁部16の感磁方向と第二感磁部17の感磁方向とが互いに直交することが好ましい。この好ましい理由は、前述の第一実施形態の第一磁気センサ素子3の場合と同様であり、実装基板面11への第一磁気センサ素子13の実装が容易になることである。
【0043】
第一感磁部16が実装基板面11となす角θと、第二感磁部17が実装基板面1となす角φとは、同じ角度であっても異なる角度であってもよい。
なす角θとなす角φとが異なる角度である場合、なす角θとなす角φとの和は90°であることが好ましい。その和が90°であることによって、少なくとも第一感磁部16の感磁方向と第二感磁部17の感磁方向とを直交させることができ、さらには第一〜第三感磁部の3つの感磁方向を全て互いに直交させることができる。
【0044】
なす角θとなす角φとが同じ角度である場合、なす角θ及びなす角φは45°であることが好ましい。45°であることによって、少なくとも第一感磁部16の感磁方向と第二感磁部17の感磁方向とを直交させることができ(さらには第一〜第三感磁部の3つの感磁方向を全て互いに直交させることも可能であり)、且つ、第一感磁部16および第二感磁部17を備えた第一磁気センサ素子13を低背化することができる。この低背化についての説明は、前述の第一実施形態である磁場検出装置10と同様である。
【0045】
実装基板面11上に縦置きで配置されている第一磁気センサ素子13の高さ(第一感磁部16および第二感磁部17の高さh)を低くするためには、なす角θ及びφが共に45°であることが好ましい。このように縦置きで配置された磁気センサ素子を低背化することによって、本発明の磁場検出装置20Aを、従来の磁場検出装置100よりも低背化して、より小型化することができる。
【0046】
また、信号処理IC12の基板の上面に第三感磁部18を配したことによって、前述の第一実施形態の第二磁気センサ素子4に相当する磁気センサ素子は、第二実施形態では必要ない。すなわち、磁場検出装置20の実装基板面11における磁気センサ素子は1つであり、平置きされた磁気センサ素子は配されていない。このため、実装基板面11における磁気センサ素子が占有する面積を小さくすることができる。したがって、磁場検出装置20Aを磁場検出装置10よりも、さらに小型化することができる。
なお、図4に示した磁場検出装置20B(20)のように、第三感磁部18を配した第二磁気センサ素子14を信号処理IC12の上に積み重ねて設置しても、同様の小型化が可能である。
【0047】
また、図5に示した磁場検出装置20C(20)のように、第一磁気センサ素子13を信号処理IC12の基板の上面に配してもよい。
図5は、本発明の第二実施形態にかかる磁場検出装置20C(20)における磁気センサ素子及び信号処理ICのレイアウトを示す斜視図である。該斜視図において、前述の磁場検出装置20A(20)と同じ構成には同一の符号を付してある。
磁場検出装置20C(20)では、実装基板面11上に第一磁気センサ素子13が配されている。ただし、実装基板11と第一磁気センサ素子13との間に、信号処理IC12が配されている。
【0048】
磁場検出装置20C(20)においても第三感磁部18、第一感磁部16、及び第二感磁部17は互いの近傍に配置されているので、各感磁部が受ける磁場勾配の影響を均一にすることができ、磁場検出装置20Cの測定精度を高められる。さらに、実装基板面11における磁気センサ素子が占有する面積を皆無にできる。したがって、磁場検出装置20Cを磁場検出装置10,20A,20Bよりも、さらに小型化しうる。また、第一磁気センサ素子13と信号処理IC12との配線をより短くできるので、測定信号が信号処理IC12に伝達される際に生じうる信号劣化を一層抑制することができ、測定精度を高められる。
【0049】
なお、磁場検出装置20A,20Bと比較した場合、磁場検出装置20Cでは実装基板面11の面積を縮小できるが、第一磁気センサ素子13の実装基板面11からの高さは信号処理IC12の厚み分だけ高くなる(図5のαで示す高さ分だけ背高になる)。つまり、両者を比較した場合、実装基板面の縮小効果と磁気センサ素子が実装基板面から突き出る高さの増加抑制とは、互いにトレードオフの関係にある。どちらを優先するかは磁場検出装置を組み込むデバイスの設計に応じて適宜選択すればよい。いずれを選択しても、磁場検出装置20A,20B,20Cを磁場検出装置10よりも小型化できる。
【0050】
<磁場検出装置の第三実施形態>
図6は、本発明にかかる磁場検出装置の第一実施形態である磁場検出装置30A(30)における磁気センサ素子及び信号処理ICのレイアウトを示す斜視図である。
【0051】
磁場検出装置30Aは、実装基板面21に、信号処理IC22、第一磁気センサ素子23、および第二磁気センサ素子24を少なくとも備えてなる。
実装基板面21において、第一磁気センサ素子23は縦置きで配置されており、第二磁気センサ素子24は平置き(横置き)で配置されている。縦置きで配置された第一磁気センサ素子23は、平置きで配置された第二磁気センサ素子24および信号処理IC22よりも背高であり、実装基板面21からより高い位置まで突き出している。
【0052】
第一磁気センサ素子23を構成する平板かつ直方体状の単一の基板において、一方の主面23a上には短冊形で示した第一感磁部26が備えられ、他方の主面23b上には短冊形で示した第二感磁部27が備えられている。各短冊形の長手方向がそれぞれの感磁部の感磁方向を表す。第一感磁部26の感磁方向はY軸方向と平行であり、第二感磁部27の感磁方向はZ軸と平行である。このY軸方向およびZ軸方向は、それぞれ実装基板面21に対して斜めに45°の傾きをなしている。第一磁気センサ素子23の第一感磁部26および第二感磁部27が備えられた各主面は、実装基板面21に対して垂直である。
第二磁気センサ素子24を構成する平板かつ直方体状の基板の特定面上には、短冊形で示した第三感磁部28が一つ備えられており、該短冊形の長手方向であるX軸方向が第三感磁部28の感磁方向を示す。このX軸方向は、実装基板面21と平行である。第二磁気センサ素子24の第一感磁部28が備えられた基板面は、実装基板面21に対して平行である。
また、前記X軸方向、Y軸方向、およびZ軸方向は互いに直交している。
【0053】
磁場検出装置30Aでは、第一磁気センサ素子23および第二磁気センサ素子24が、信号処理IC22の近傍において、寄り集まって配置されている。また、第一磁気センサ素子23を構成する単一の基板に備えられた第一感磁部26および第二感磁部27が互いの近傍に備えられている。このため、各磁気センサ素子を構成する基板に備えられた各感磁部全てが互いの近傍に配置されている。
すなわち、第一感磁部26は、その長手方向の長さの距離範囲以内に、第二感磁部27および第三感磁部28が配置されていて、第二感磁部27は、その長手方向の長さの距離範囲以内に、第一感磁部26および第三感磁部28が配置されていて、第三感磁部28は、その長手方向の長さの距離範囲以内に、第一感磁部26および第二感磁部27が配置されている。
【0054】
このように各感磁部が互いの近傍に集中して、一極に配置されることにより、各感磁部が受ける磁場勾配の影響を均一にすることができるため、磁場検出装置30Aの測定精度を高められるので好ましい。このことは、前述の磁場検出装置10についての説明と同様である。
【0055】
磁場検出装置30Aにおいて、第一感磁部26の中心を通る感磁方向の軸(第一感磁部26の感磁軸)と第三感磁部28の中心を通る感磁方向の軸(第三感磁部28の感磁軸)とは互いに交差している。また、第二感磁部27の中心を通る感磁方向の軸(第二感磁部27の感磁軸)と第三感磁部28の中心を通る感磁方向の軸(第三感磁部28の感磁軸)とは互いに交差している。
ここで、「交差する」とは、第一感磁部26を示す短冊形の長手方向に延長した仮想の直線(感磁軸)と、第三感磁部28を示す短冊形の長手方向に延長した仮想の直線(感磁軸)とが空間の一点(交差点)で交わることいい、同様に、第二感磁部27を示す短冊形の長手方向に延長した仮想の直線(感磁軸)と、第三感磁部28を示す短冊形の長手方向に延長した仮想の直線(感磁軸)とが空間の一点(交差点)で交わることをいう。この交わりの角度は必ずしも直角とは限らない。なお、各感磁軸は各感磁部の中心を通るものとする。
このように、第一〜第三磁気センサ素子が備える第一〜第三感磁部のうち、少なくとも2つの感磁部の感磁軸が交差することが好ましい。この場合、その交差点における磁場をより精度良く測定することができる。
【0056】
磁場検出装置30Aでは、第一磁気センサ素子23の両主面23a,23bに備えられた第一感磁部26の感磁方向および第二感磁部27の感磁方向が互いに直交しつつ、それぞれ実装基板面21に対して45°の傾きをなしている。さらに、第二磁気センサ素子24を構成する第三感磁部28の感磁方向は実装基板面21に対して平行であり、第一感磁部26および第二感磁部27の感磁方向と直交している。このため、第一〜第三感磁部によって、磁場検出装置30Aは、互いに直交する3軸の感磁方向で磁場を検出することが可能である。
【0057】
前記3軸による3つの感磁方向は互いに直交しているが、前記3つの感磁方向のうち2つの感磁方向が互いに直交して、残る1つの感磁方向は前記2つの感磁方向と直交しなくてもよいし、3つ全ての感磁方向が互いに直交しなくてもよい。前記3つの感磁方向が互いに異なる方向を向き、且つ、前記3つの感磁方向の全てが同一の平面に存在しなければ、各感磁部によって検出された3次元空間における磁場ベクトルを信号処理IC22によって算出することができる。
【0058】
しかし、測定精度を高める観点、および信号処理IC22における計算を簡便にする観点から、前記3つの感磁方向のうち少なくとも2つの感磁方向が互いに直交することが好ましく、前記3つの感磁方向の全てが互いに直交することがより好ましい。
【0059】
前記3つの感磁方向のうち少なくとも2つの感磁方向が互いに直交する場合、第一磁気センサ素子23における第一感磁部26の感磁方向と第二感磁部27の感磁方向とが互いに直交することが好ましい。
第一感磁部26および第二感磁部27は単一の基板において、互いに対向する面にそれぞれ配置されているため、第一磁気センサ素子23の製造時に両感磁部の感磁方向が直交するように予め作り込むことができる。その結果、第一磁気センサ素子23を実装基板面21に実装する段階においては、両感磁部の相対的な感磁方向を調整する必要は無いので容易に実装できる。
一方、別の基板から構成される第二磁気センサ素子24に配置された第三感磁部28の感磁方向と第一感磁部26又は第二感磁部27の感磁方向とを互いに直交させるためには、実装基板面21における第一磁気センサ素子23と第二磁気センサ素子24との相対的配置を厳密に調整しつつ両磁気センサ素子を実装しなければならない。
【0060】
第一磁気センサ素子23は平板かつ直方体状の単一の基板から構成されているが、該基板は2つの基材が接合されて(貼り合わせて)なるものであってもよい。第一の基材のおもて面に第一感磁部26を配置し、第二の基材のおもて面に第二感磁部27を配置した2つの基材を準備して、各基材の裏面どうしを接合することによって、平板かつ直方体状の単一基板からなる第一磁気センサ素子23を製造できる。前記2つの基材を接合する際に、第一感磁部26の感磁方向と第二感磁部27の感磁方向との相対的な方向を所望に調整して、第一磁気センサ素子23を製造できる。
【0061】
第一感磁部26が実装基板面21となす角θと、第二感磁部27が実装基板面21となす角φとは、同じ角度であっても異なる角度であってもよい。
なす角θとなす角φとが異なる角度である場合、なす角θとなす角φとの和は90°であることが好ましい。その和が90°であることによって、少なくとも第一感磁部26の感磁方向と第二感磁部27の感磁方向とを直交させることができ、さらには第一〜第三感磁部の3つの感磁方向を全て互いに直交させることができる。
【0062】
なす角θとなす角φとが同じ角度である場合、なす角θ及びなす角φは45°であることが好ましい。45°であることによって、少なくとも第一感磁部26の感磁方向と第二感磁部27の感磁方向とを直交させることができ(さらには第一〜第三感磁部の3つの感磁方向を全て互いに直交させることも可能であり)、且つ、第一感磁部26および第二感磁部27を備えた第一磁気センサ素子23を低背化することができる。この低背化について、以下に説明する。
【0063】
前述のように、第一磁気センサ素子23は、第一感磁部26および第二感磁部27がそれぞれ備えられた両主面を実装基板面21に対して垂直に立てた縦置きで配置されている。このため、第一磁気センサ素子23は、平置きで配置された第二磁気センサ素子24および信号処理IC22よりも背高である。このとき、第一磁気センサ素子23を構成する第一感磁部26および第二感磁部27は、実装基板面21から高さhで突き出している(図6参照)。この高さhが最も高くなるのは、第一感磁部26(又は第二感磁部27)が実装基板面21となす角θ(又はなす角φ)が90°(垂直)の場合である。この場合における第一感磁部26の高さhは、従来の磁場検出装置100における第三感磁部108の高さHに相当する(図17参照)。
【0064】
第一感磁部26のなす角θを90°から45°へ変化させるにつれて、第一感磁部26の高さhおよび第一磁気センサ素子23の高さを徐々に低くすることができる(図2参照)。具体的には、なす角θを45°にした場合、なす角θが90°の場合よりも、その高さhを0.75倍に低背化することができる。
【0065】
第一感磁部26のなす角θを45°よりもさらに0°側へ変化させた場合、第一感磁部26の高さhおよび第一磁気センサ素子23の高さをさらに低背化しうる。しかし、前述のように、第一感磁部26のなす角θと第二感磁部27のなす角φの和を90°にすることが好ましいため、なす角θを45°よりも小さい角度にすると、なす角φが45°よりも大きくなってしまい、第二感磁部27の高さhが高くなってしまい、結果として第一磁気センサ素子23の高さも高くなってしまう。
【0066】
したがって、実装基板面21上に縦置きで配置されている第一磁気センサ素子23の高さ(第一感磁部26および第二感磁部27の高さh)を低くするためには、なす角θ及びφが共に45°であることが好ましい。このように縦置きで配置された磁気センサ素子を低背化することによって、本発明の磁場検出装置30Aを、従来の磁場検出装置100よりも低背化して、より小型化することができる。
【0067】
<磁場検出装置の第四実施形態>
図7は、本発明にかかる磁場検出装置の第四実施形態である磁場検出装置40A(40)における磁気センサ素子及び信号処理ICのレイアウトを示す斜視図である。
【0068】
磁場検出装置40Aは、実装基板面31に、信号処理IC32、および第一磁気センサ素子33を少なくとも備えてなる。
実装基板面31において、第一磁気センサ素子33は縦置きで配置されている。縦置きで配置された第一磁気センサ素子33は、平置きで配置された信号処理IC32よりも背高であり、実装基板面31からより高い位置まで突き出している。
【0069】
信号処理IC32を構成する基板には短冊形で示した第三感磁部38が一つ備えられており、該短冊形の長手方向であるX軸方向が第三感磁部38の感磁方向を示す。このX軸方向は、実装基板面31と平行である。信号処理IC32の第三感磁部38が備えられた基板面は、実装基板面31に対して平行である。
第一磁気センサ素子33を構成する平板かつ直方体状の単一の基板において、一方の主面33a上には短冊形で示した第一感磁部36が備えられ、他方の主面33b上には短冊形で示した第二感磁部37が備えられている。各短冊形の長手方向がそれぞれの感磁部の感磁方向を表す。第一感磁部36の感磁方向はY軸方向と平行であり、第二感磁部37の感磁方向はZ軸と平行である。このY軸方向およびZ軸方向は、それぞれ実装基板面31に対して斜めに45°の傾きをなしている。第一磁気センサ素子33の第一感磁部36および第二感磁部37が備えられた各主面は、実装基板面31に対して垂直である。
また、前記X軸方向、Y軸方向、およびZ軸方向は互いに直交している。
【0070】
磁場検出装置40Aでは、第一磁気センサ素子33が、信号処理IC32の近傍に寄り集まって配置されている。また、第一磁気センサ素子33を構成する単一の基板に備えられた第一感磁部36および第二感磁部37が互いの近傍に備えられている。このため、第一磁気センサ素子33および信号処理IC32に備えられた各感磁部全てが互いの近傍に配置されている。
すなわち、第一感磁部36は、その長手方向の長さの距離範囲以内に、第二感磁部37および第三感磁部38が配置されていて、第二感磁部37は、その長手方向の長さの距離範囲以内に、第一感磁部36および第三感磁部38が配置されていて、第三感磁部38は、その長手方向の長さの距離範囲以内に、第一感磁部36および第二感磁部37が配置されている。
【0071】
このように各感磁部が互いの近傍に集中して、一極に配置されることにより、各感磁部が受ける磁場勾配の影響を均一にすることができるため、磁場検出装置40Aの測定精度を高められるので好ましい。このことは、前述の磁場検出装置10についての説明と同様である。
【0072】
磁場検出装置40Aにおいて、第一感磁部36の中心を通る感磁方向の軸(第一感磁部36の感磁軸)と第三感磁部38の中心を通る感磁方向の軸(第三感磁部38の感磁軸)とは互いに交差している。また、第二感磁部37の中心を通る感磁方向の軸(第二感磁部37の感磁軸)と第三感磁部38の中心を通る感磁方向の軸(第三感磁部38の感磁軸)とは互いに交差している。
ここで、「交差する」とは、第一感磁部36を示す短冊形の長手方向に延長した仮想の直線(感磁軸)と、第三感磁部38を示す短冊形の長手方向に延長した仮想の直線(感磁軸)とが空間の一点(交差点)で交わることをいい、同様に、第二感磁部37を示す短冊形の長手方向に延長した仮想の直線(感磁軸)と、第三感磁部38を示す短冊形の長手方向に延長した仮想の直線(感磁軸)とが空間の一点(交差点)で交わることをいう。この交わりの角度は必ずしも直角とは限らない。なお、各感磁軸は各感磁部の中心を通るものとする。
このように、第一〜第三磁気センサ素子が備える第一〜第三感磁部のうち、少なくとも2つの感磁部の感磁軸が交差することが好ましい。この場合、その交差点における磁場をより精度良く測定することができる。
【0073】
磁場検出装置40Aでは、第一磁気センサ素子33を構成する第一感磁部36の感磁方向および第二感磁部37の感磁方向が互いに直交しつつ、それぞれ実装基板面31に対して45°の傾きをなしている。さらに、信号処理IC32の上面に配された第三感磁部38の感磁方向は実装基板面31に対して平行であり、第一感磁部36および第二感磁部37の感磁方向と直交している。このため、第一〜第三感磁部によって、磁場検出装置40Aは、互いに直交する3軸の感磁方向で磁場を検出することが可能である。
【0074】
前記3軸による3つの感磁方向は互いに直交しているが、前記3つの感磁方向のうち2つの感磁方向が互いに直交して、残る1つの感磁方向は前記2つの感磁方向と直交しなくてもよいし、3つ全ての感磁方向が互いに直交しなくてもよい。前記3つの感磁方向が互いに異なる方向を向き、且つ、前記3つの感磁方向の全てが同一の平面に存在しなければ、各感磁部によって検出された3次元空間における磁場ベクトルを信号処理IC32によって算出することができる。
【0075】
しかし、測定精度を高める観点、および信号処理IC32における計算を簡便にする観点から、前記3つの感磁方向のうち少なくとも2つの感磁方向が互いに直交することが好ましく、前記3つの感磁方向の全てが互いに直交することがより好ましい。
【0076】
前記3つの感磁方向のうち少なくとも2つの感磁方向が互いに直交する場合、第一磁気センサ素子33における第一感磁部36の感磁方向と第二感磁部37の感磁方向とが互いに直交することが好ましい。この好ましい理由は、前述の第三実施形態の第一磁気センサ素子23の場合と同様であり、実装基板面31への第一磁気センサ素子33の実装が容易になることである。
【0077】
第一磁気センサ素子33は平板かつ直方体状の単一の基板から構成されているが、該基板は2つの基材が接合されて(貼り合わせて)なるものであってもよい。第一の基材のおもて面に第一感磁部36を配置し、第二の基材のおもて面に第二感磁部37を配置した2つの基材を準備して、各基材の裏面どうしを接合することによって、平板かつ直方体状の単一基板からなる第一磁気センサ素子33を製造できる。前記2つの基材を接合する際に、第一感磁部36の感磁方向と第二感磁部37の感磁方向との相対的な方向を所望に調整して、第一磁気センサ素子33を製造できる。
【0078】
第一感磁部36が実装基板面31となす角θと、第二感磁部37が実装基板面31となす角φとは、同じ角度であっても異なる角度であってもよい。
なす角θとなす角φとが異なる角度である場合、なす角θとなす角φとの和は90°であることが好ましい。その和が90°であることによって、少なくとも第一感磁部16の感磁方向と第二感磁部17の感磁方向とを直交させることができ、さらには第一〜第三感磁部の3つの感磁方向を全て互いに直交させることができる。
【0079】
なす角θとなす角φとが同じ角度である場合、なす角θ及びなす角φは45°であることが好ましい。45°であることによって、少なくとも第一感磁部36の感磁方向と第二感磁部37の感磁方向とを直交させることができ(さらには第一〜第三感磁部の3つの感磁方向を全て互いに直交させることも可能であり)、且つ、第一感磁部36および第二感磁部37を備えた第一磁気センサ素子33を低背化することができる。この低背化についての説明は、前述の第三実施形態である磁場検出装置30と同様である。
【0080】
実装基板面31上に縦置きで配置されている第一磁気センサ素子33の高さ(第一感磁部36および第二感磁部37の高さh)を低くするためには、なす角θ及びφが共に45°であることが好ましい。このように縦置きで配置された磁気センサ素子を低背化することによって、本発明の磁場検出装置40Aを、従来の磁場検出装置100よりも低背化して、より小型化することができる。
【0081】
また、信号処理IC32の基板の上面に第三感磁部38を配したことによって、前述の第三実施形態の第二磁気センサ素子24に相当する磁気センサ素子は、第四実施形態では必要ない。すなわち、磁場検出装置40の実装基板面31における磁気センサ素子は1つであり、平置きされた磁気センサ素子は配されていない。このため、実装基板面31における磁気センサ素子が占有する面積を小さくすることができる。したがって、磁場検出装置40Aを磁場検出装置30よりも、さらに小型化することができる。
なお、図8に示した磁場検出装置40B(40)のように、第三感磁部38を配した第二磁気センサ素子34を信号処理IC32の上に積み重ねて設置しても、同様の小型化が可能である。
【0082】
また、図9に示した磁場検出装置40C(40)のように、第一磁気センサ素子33を信号処理IC32の基板の上面に配してもよい。
図9は、本発明の第四実施形態にかかる磁場検出装置40C(40)における磁気センサ素子及び信号処理ICのレイアウトを示す斜視図である。該斜視図において、前述の磁場検出装置40A(40)と同じ構成には同一の符号を付してある。
磁場検出装置40C(40)では、実装基板面31上に第一磁気センサ素子33が配されている。ただし、実装基板31と第一磁気センサ素子33との間に、信号処理IC32が配されている。
【0083】
磁場検出装置40C(40)においても第三感磁部38、第一感磁部36、及び第二感磁部37は互いの近傍に配置されているので、各感磁部が受ける磁場勾配の影響を均一にすることができ、磁場検出装置40Cの測定精度を高められる。さらに、実装基板面31における磁気センサ素子が占有する面積を皆無にできる。したがって、磁場検出装置40Cを磁場検出装置30,40A,40Bよりも、さらに小型化しうる。また、第一磁気センサ素子33と信号処理IC32との配線をより短くできるので、測定信号が信号処理IC32に伝達される際に生じうる信号劣化を一層抑制することができ、測定精度を高められる。
【0084】
なお、磁場検出装置40A,40Bと比較した場合、磁場検出装置40Cでは実装基板面31の面積を縮小できるが、第一磁気センサ素子33の実装基板面31からの高さは信号処理IC32の厚み分だけ高くなる(図9のαで示す高さ分だけ背高になる)。つまり、両者を比較した場合、実装基板面の縮小効果と磁気センサ素子が実装基板面から突き出る高さの増加抑制とは、互いにトレードオフの関係にある。どちらを優先するかは磁場検出装置を組み込むデバイスの設計に応じて適宜選択すればよい。いずれを選択しても、磁場検出装置40A,40B,40Cを磁場検出装置30よりも小型化できる。
【0085】
<磁場検出装置の第五実施形態>
図10は、本発明にかかる磁場検出装置の第五実施形態である磁場検出装置50A(50)における磁気センサ素子及び信号処理ICのレイアウトを示す斜視図である。
【0086】
磁場検出装置50Aは、実装基板面41に、信号処理IC42、第一磁気センサ素子43、および第二磁気センサ素子44を少なくとも備えてなる。
実装基板面41において、第一磁気センサ素子43は平置き(横置き)で配置されており、第二磁気センサ素子44は縦置きで配置されている。縦置きで配置された第二磁気センサ素子44は、平置きで配置された第一磁気センサ素子43および信号処理IC42よりも背高であり、実装基板面41からより高い位置まで突き出している。
【0087】
第一磁気センサ素子43を構成する平板かつ直方体状の単一の基板の特定面(一方の主面)上には、短冊形で示した第一感磁部46および第二感磁部47が備えられている。各短冊形の長手方向がそれぞれの感磁部の感磁方向を表す。第一感磁部46の感磁方向はX軸方向と平行であり、第二感磁部47の感磁方向はY軸と平行である。このX軸方向およびY軸方向は、実装基板面41と平行である。第一磁気センサ素子43の第一感磁部46および第二感磁部47が備えられた基板面は、実装基板面41に対して垂直である。
第二磁気センサ素子44を構成する平板かつ直方体状の基板の特定面上には、短冊形で示した第三感磁部48が一つ備えられており、該短冊形の長手方向であるZ軸方向が第三感磁部48の感磁方向を示す。このZ軸方向は、実装基板面41に対して垂直である。第二磁気センサ素子44の第三感磁部48が備えられた基板面は、実装基板面41に対して垂直である。
また、前記X軸方向、Y軸方向、およびZ軸方向は互いに直交している。
【0088】
磁場検出装置50Aでは、第一磁気センサ素子43および第二磁気センサ素子44が、信号処理IC42の近傍において、寄り集まって配置されている。また、第一磁気センサ素子43を構成する単一の基板に備えられた第一感磁部46および第二感磁部47が互いの近傍に備えられている。このため、各磁気センサ素子を構成する基板に備えられた各感磁部全てが互いの近傍に配置されている。
すなわち、第一感磁部46は、その長手方向の長さの距離範囲以内に第二感磁部47が配置されていて、第二感磁部47は、その長手方向の長さの距離範囲以内に第一感磁部46および第三感磁部48が配置されていて、第三感磁部48は、その長手方向の長さの距離範囲以内に第二感磁部47が配置されている。
【0089】
このように各感磁部が互いの近傍に集中して、一極に配置されることにより、各感磁部が受ける磁場勾配の影響を均一にすることができるため、磁場検出装置50Aの測定精度を高められるので好ましい。このことは、前述の磁場検出装置10についての説明と同様である。
【0090】
磁場検出装置50Aにおいて、第一感磁部46の中心を通る感磁方向の軸(第一感磁部46の感磁軸)と第二感磁部47の中心を通る感磁方向の軸(第二感磁部47の感磁軸)とは互いに交差している。また、第二感磁部47の中心を通る感磁方向の軸(第二感磁部47の感磁軸)と第三感磁部48の中心を通る感磁方向の軸(第三感磁部48の感磁軸)とは互いに交差している。
ここで、「交差する」とは、第一感磁部46を示す短冊形の長手方向に延長した仮想の直線(感磁軸)と、第二感磁部47を示す短冊形の長手方向に延長した仮想の直線(感磁軸)とが空間の一点(交差点)で交わることをいい、同様に、第二感磁部47を示す短冊形の長手方向に延長した仮想の直線(感磁軸)と、第三感磁部48を示す短冊形の長手方向に延長した仮想の直線(感磁軸)とが空間の一点(交差点)で交わることをいう。この交わりの角度は必ずしも直角とは限らない。なお、各感磁軸は各感磁部の中心を通るものとする。
このように、第一〜第三磁気センサ素子が備える第一〜第三感磁部のうち、少なくとも2つの感磁部の感磁軸が交差することが好ましい。この場合、その交差点における磁場をより精度良く測定することができる。
【0091】
磁場検出装置50Aでは、第一磁気センサ素子43に備えられた第一感磁部46の感磁方向および第二感磁部47の感磁方向が互いに直交しつつ、それぞれ実装基板面41に対して平行である。さらに、第二磁気センサ素子44を構成する第三感磁部48の感磁方向は実装基板面41に対して垂直であり、第一感磁部46および第二感磁部47の感磁方向と直交している。このため、第一〜第三感磁部によって、磁場検出装置50Aは、互いに直交する3軸の感磁方向で磁場を検出することが可能である。
【0092】
前記3軸による3つの感磁方向は互いに直交しているが、前記3つの感磁方向のうち2つの感磁方向が互いに直交して、残る1つの感磁方向は前記2つの感磁方向と直交しなくてもよいし、3つ全ての感磁方向が互いに直交しなくてもよい。前記3つの感磁方向が互いに異なる方向を向き、且つ、前記3つの感磁方向の全てが同一の平面に存在しなければ、各感磁部によって検出された3次元空間における磁場ベクトルを信号処理IC42によって算出することができる。
【0093】
しかし、測定精度を高める観点、および信号処理IC42における計算を簡便にする観点から、前記3つの感磁方向のうち少なくとも2つの感磁方向が互いに直交することが好ましく、前記3つの感磁方向の全てが互いに直交することがより好ましい。
【0094】
前記3つの感磁方向のうち少なくとも2つの感磁方向が互いに直交する場合、第一磁気センサ素子43における第一感磁部46の感磁方向と第二感磁部47の感磁方向とが互いに直交することが好ましい。
第一感磁部46および第二感磁部47は単一の基板の特定面に配置されているため、第一磁気センサ素子43の製造時に両感磁部の感磁方向が直交するように予め作り込むことができる。その結果、第一磁気センサ素子43を実装基板面41に実装する段階においては、両感磁部の相対的な感磁方向を調整する必要は無いので容易に実装できる。
一方、別の基板から構成される第二磁気センサ素子44に配置された第三感磁部48の感磁方向と第一感磁部46又は第二感磁部47の感磁方向とを互いに直交させるためには、実装基板面41における第一磁気センサ素子43と第二磁気センサ素子44との相対的配置を厳密に調整しつつ両磁気センサ素子を実装しなければならない。
【0095】
つぎに、磁気センサ素子が実装基板面を占有する面積について、磁場検出装置50Aと従来の磁場検出装置100とを比較する。
磁場検出装置50Aにおける第一感磁部46および第二感磁部47は、共に単一の基板で構成される第一磁気センサ素子43に備えられているため、実装基板面41を1箇所だけ占有する。一方、従来の磁場検出装置100における第一感磁部106および第二感磁部107は、第一磁気センサ素子103と第二磁気センサ素子104とに分かれて個別に配置されているため、実装基板面101を2箇所に渡って占有してしまう。
したがって、実装基板面における磁気センサ素子が占有する面積は、磁場検出装置50Aの方が小さい。
磁場検出装置50Aでは、第一感磁部46および第二感磁部47を単一の基板に備えることによって、測定精度を高めつつ実装基板の面積を縮小できるので、磁場検出装置50Aを従来の磁場検出装置100よりも小型化することができる。
【0096】
また、図11に示した磁場検出装置50B(50)のように、第一磁気センサ素子43を縦置きに変更しても、磁場検出装置50Aと同様に、磁場検出装置50Bの測定精度を高めつつ小型化することができる。
【0097】
図11は、本発明の第五実施形態にかかる磁場検出装置50B(10)における磁気センサ素子及び信号処理ICのレイアウトを示す斜視図である。該斜視図において、前述の磁場検出装置50A(50)と同じ構成には同一の符号を付してある。
【0098】
磁場検出装置50B(50)は、実装基板面41に、信号処理IC42、第一磁気センサ素子43、および第二磁気センサ素子44を少なくとも備えてなる。
実装基板面41において、第一磁気センサ素子43は縦置きで配置されており、第二磁気センサ素子44は平置き(横置き)で配置されている。
また、各磁気センサ素子を構成する第一〜第三感磁部は互いの近傍に配置されている。第一感磁部46は、その長手方向の長さの距離範囲以内に第二感磁部47が配置されていて、第二感磁部47は、その長手方向の長さの距離範囲以内に第一感磁部46および第三感磁部48が配置されていて、第三感磁部48は、その長手方向の長さの距離範囲以内に第二感磁部47が配置されている。
【0099】
磁場検出装置50Bにおいて、第一感磁部46の中心を通る感磁方向の軸(第一感磁部46の感磁軸)と第二感磁部47の中心を通る感磁方向の軸(第二感磁部47の感磁軸)とは互いに交差している。
ここで、「交差する」とは、第一感磁部46を示す短冊形の長手方向に延長した仮想の直線(感磁軸)と、第二感磁部47を示す短冊形の長手方向に延長した仮想の直線(感磁軸)とが空間の一点(交差点)で交わることをいう。この交わりの角度は必ずしも直角とは限らない。なお、各感磁軸は各感磁部の中心を通るものとする。
このように、第一〜第三磁気センサ素子が備える第一〜第三感磁部のうち、少なくとも2つの感磁部の感磁軸が交差することが好ましい。この場合、その交差点における磁場をより精度良く測定することができる。
【0100】
磁場検出装置50Bにおいても、磁場検出装置50Aと同様に、第一感磁部46および第二感磁部47を単一の基板に備えることによって、測定精度を高めつつ実装基板の面積を縮小できるので、従来の磁場検出装置100よりも小型化することができる。
【0101】
また、図12に示した磁場検出装置50C(50)のように、第一磁気センサ素子43と第二磁気センサ素子44との相対配置を変更して、第一〜第三感磁部の相対配置を変更しても、磁場検出装置50A,50Bと同様に、磁場検出装置50Cの測定精度を高めつつ小型化することができる。
【0102】
図12は、本発明の第五実施形態にかかる磁場検出装置50C(50)における磁気センサ素子及び信号処理ICのレイアウトを示す斜視図である。該斜視図において、前述の磁場検出装置50A(50)と同じ構成には同一の符号を付してある。
【0103】
磁場検出装置50C(50)は、実装基板面41に、信号処理IC42、第一磁気センサ素子43、および第二磁気センサ素子44を少なくとも備えてなる。
実装基板面41において、第一磁気センサ素子43は平置き(横置き)で配置されており、第二磁気センサ素子44は縦置きで配置されている。
第一磁気センサ素子43に備えられた第一感磁部46の感磁方向および第二感磁部47の感磁方向が互いに直交しつつ、それぞれ実装基板面41に対して平行である。さらに、第二磁気センサ素子44を構成する第三感磁部48の感磁方向は実装基板面41に対して垂直であり、第一感磁部46および第二感磁部47の感磁方向と直交している。このため、第一〜第三感磁部によって、互いに直交する3軸の感磁方向で磁場を検出することが可能である。
【0104】
また、各磁気センサ素子を構成する第一〜第三感磁部は互いの近傍に配置されている。第一感磁部46は、その長手方向の長さの距離範囲以内に、第二感磁部47および第三感磁部48が配置されていて、第二感磁部47は、その長手方向の長さの距離範囲以内に、第一感磁部46および第三感磁部48が配置されていて、第三感磁部48は、その長手方向の長さの距離範囲以内に、第一感磁部46および第二感磁部47が配置されている。
【0105】
磁場検出装置50Cにおいて、第一感磁部46の中心を通る感磁方向の軸(第一感磁部46の感磁軸)と第二感磁部47の中心を通る感磁方向の軸(第二感磁部47の感磁軸)と第三感磁部48の中心を通る感磁方向の軸(第三感磁部48の感磁軸)とは全て互いに交差している。
ここで、「全て互いに交差する」とは、第一感磁部46を示す短冊形の長手方向に延長した仮想の直線(感磁軸)と、第二感磁部47を示す短冊形の長手方向に延長した仮想の直線(感磁軸)と、第三感磁部48を示す短冊形の長手方向に延長した仮想の直線(感磁軸)とが空間の一点(交差点)で交わることをいう。この交わりの角度は必ずしも直角とは限らない。なお、各感磁軸は各感磁部の中心を通るものとする。
このように、第一〜第三磁気センサ素子が備える第一〜第三感磁部の感磁軸が全て互いに交差することがより好ましい。この場合、その交差点における磁場をより一層精度良く測定することができる。
【0106】
磁場検出装置50Cにおいても、磁場検出装置50A,50Bと同様に、第一感磁部46および第二感磁部47を単一の基板に備えることによって、測定精度を高めつつ実装基板の面積を縮小できるので、従来の磁場検出装置100よりも小型化することができる。
なお、磁場検出装置50Cでは、第一〜第三感磁部の全てが互いの長手方向の長さの距離範囲内に配置されている。このため、磁場検出装置50A,50Bよりも測定精度を高めることができる。
【0107】
<磁場検出装置の第六実施形態>
図13は、本発明にかかる磁場検出装置の第六実施形態の一例である磁場検出装置60A(60)における磁気センサ素子及び信号処理ICのレイアウトを示す斜視図である。
【0108】
磁場検出装置60Aは、実装基板面51に、信号処理IC52、および第一磁気センサ素子53を少なくとも備えてなる。
実装基板面51において、第一磁気センサ素子53は縦置きで配置されている。縦置きで配置された第一磁気センサ素子53は、平置きで配置された信号処理IC52よりも背高であり、実装基板面51からより高い位置まで突き出している。
【0109】
信号処理IC52を構成する平板かつ直方体状の基板には短冊形で示した第一感磁部56および第二感磁部57が備えられている。各短冊形の長手方向がそれぞれの感磁部の感磁方向を表す。第一感磁部56の感磁方向はX軸方向と平行であり、第二感磁部57の感磁方向はY軸と平行である。このX軸方向およびY軸方向は、それぞれ実装基板面51に対して平行である。信号処理IC52の第一感磁部56および第二感磁部57が備えられた基板面は、実装基板面51に対して平行である。
第一磁気センサ素子53を構成する平板かつ直方体状の基板の特定面上には、短冊形で示した第三感磁部58が備えられており、該短冊形の長手方向であるZ軸方向が第三感磁部58の感磁方向を表す。このZ軸方向は、実装基板面51に対して垂直である。第一磁気センサ素子53の第三感磁部58が備えられた基板面は、実装基板面51に対して垂直である。
また、前記X軸方向、Y軸方向、およびZ軸方向は互いに直交している。
【0110】
磁場検出装置60Aでは、第一磁気センサ素子53が、信号処理IC52の近傍に寄り集まって配置されている。また、信号処理IC52を構成する単一の基板に備えられた第一感磁部56および第二感磁部57が互いの近傍に備えられている。このため、第一磁気センサ素子53および信号処理IC52に備えられた各感磁部全てが互いの近傍に配置されている。
すなわち、第一感磁部56は、その長手方向の長さの距離範囲以内に、第二感磁部57および第三感磁部58が配置されていて、第二感磁部57は、その長手方向の長さの距離範囲以内に、第一感磁部56および第三感磁部58が配置されていて、第三感磁部58は、その長手方向の長さの距離範囲以内に、第一感磁部56および第二感磁部57が配置されている。
【0111】
このように各感磁部が互いの近傍に集中して、一極に配置されることにより、各感磁部が受ける磁場勾配の影響を均一にすることができるため、磁場検出装置60Aの測定精度を高められるので好ましい。このことは、前述の磁場検出装置10についての説明と同様である。
【0112】
磁場検出装置60Aにおいて、第一感磁部56の中心を通る感磁方向の軸(第一感磁部56の感磁軸)と第二感磁部57の中心を通る感磁方向の軸(第二感磁部57の感磁軸)とは互いに交差している。
ここで、「交差する」とは、第一感磁部56を示す短冊形の長手方向に延長した仮想の直線(感磁軸)と、第二感磁部57を示す短冊形の長手方向に延長した仮想の直線(感磁軸)とが空間の一点(交差点)で交わることをいう。この交わりの角度は必ずしも直角とは限らない。なお、各感磁軸は各感磁部の中心を通るものとする。
このように、第一センサ素子及び信号処理IC52が備える第一〜第三感磁部のうち、少なくとも2つの感磁部の感磁軸が交差することが好ましい。この場合、その交差点における磁場をより精度良く測定することができる。
【0113】
磁場検出装置60Aでは、信号処理IC52を構成する基板の上面に配された第一感磁部56の感磁方向および第二感磁部57の感磁方向は互いに直交しつつ、それぞれ実装基板面51に対して平行である。さらに、第一磁気センサ素子53に配された第三感磁部58の感磁方向は実装基板面51に対して垂直であり、第一感磁部56および第二感磁部57の感磁方向と直交している。このため、第一〜第三感磁部によって、磁場検出装置60Aは、互いに直交する3軸の感磁方向で磁場を検出することが可能である。
【0114】
前記3軸による3つの感磁方向は互いに直交しているが、前記3つの感磁方向のうち2つの感磁方向が互いに直交して、残る1つの感磁方向は前記2つの感磁方向と直交しなくてもよいし、3つ全ての感磁方向が互いに直交しなくてもよい。前記3つの感磁方向が互いに異なる方向を向き、且つ、前記3つの感磁方向の全てが同一の平面に存在しなければ、各感磁部によって検出された3次元空間における磁場ベクトルを信号処理IC52によって算出することができる。
【0115】
しかし、測定精度を高める観点、および信号処理IC52における計算を簡便にする観点から、前記3つの感磁方向のうち少なくとも2つの感磁方向が互いに直交することが好ましく、前記3つの感磁方向の全てが互いに直交することがより好ましい。
【0116】
前記3つの感磁方向のうち少なくとも2つの感磁方向が互いに直交する場合、信号処理IC52における第一感磁部56の感磁方向と第二感磁部57の感磁方向とが互いに直交することが好ましい。この好ましい理由は、前述の第一実施形態の第一磁気センサ素子3の場合と同様であり、実装基板面51への信号処理IC52の実装が容易になることである。
【0117】
このように、信号処理IC52の基板の上面に第一感磁部56および第二感磁部57を配したことによって、前述の第五実施形態の第一磁気センサ素子43に相当する磁気センサ素子は、第六実施形態では必要ない。すなわち、磁場検出装置60の実装基板面51における磁気センサ素子は1つであり、平置きされた磁気センサ素子は配されていない。このため、実装基板面51における磁気センサ素子が占有する面積を小さくすることができる。したがって、磁場検出装置60Aを磁場検出装置10,50よりも、さらに小型化することができる。
【0118】
図14は、本発明にかかる磁場検出装置の第六実施形態の別の例である磁場検出装置60B(60)における磁気センサ素子及び信号処理ICのレイアウトを示す斜視図である。
【0119】
磁場検出装置60Bは、実装基板面51に、信号処理IC52、および第一磁気センサ素子53を少なくとも備えてなる。
実装基板面51において、第一磁気センサ素子53は縦置きで配置されている。縦置きで配置された第一磁気センサ素子53は、平置きで配置された信号処理IC52よりも背高であり、実装基板面51からより高い位置まで突き出している。
【0120】
信号処理IC52を構成する平板かつ直方体状の基板には短冊形で示した第一感磁部56および第二感磁部57が備えられている。各短冊形の長手方向がそれぞれの感磁部の感磁方向を表す。第一感磁部56の感磁方向はX軸方向と平行であり、第二感磁部57の感磁方向はY軸と平行である。このX軸方向およびY軸方向は、それぞれ実装基板面51に対して平行である。信号処理IC52の第一感磁部56および第二感磁部57が備えられた基板面は、実装基板面51に対して平行である。
第一磁気センサ素子53を構成する平板かつ直方体状の基板の特定面上には、短冊形で示した第三感磁部58が備えられており、該短冊形の長手方向であるZ軸方向が第三感磁部58の感磁方向を表す。このZ軸方向は、実装基板面51に対して垂直である。第一磁気センサ素子53の第三感磁部58が備えられた基板面は、実装基板面51に対して垂直である。
また、前記X軸方向、Y軸方向、およびZ軸方向は互いに直交している。
【0121】
磁場検出装置60Bでは、第一磁気センサ素子53が、信号処理IC52の近傍に寄り集まって配置されている。また、信号処理IC52を構成する単一の基板に備えられた第一感磁部56および第二感磁部57が互いの近傍に備えられている。このため、第一磁気センサ素子53および信号処理IC52に備えられた各感磁部全てが互いの近傍に配置されている。
すなわち、第一感磁部56は、その長手方向の長さの距離範囲以内に、第二感磁部57および第三感磁部58が配置されていて、第二感磁部57は、その長手方向の長さの距離範囲以内に、第一感磁部56および第三感磁部58が配置されていて、第三感磁部58は、その長手方向の長さの距離範囲以内に、第一感磁部56および第二感磁部57が配置されている。
【0122】
このように各感磁部が互いの近傍に集中して、一極に配置されることにより、各感磁部が受ける磁場勾配の影響を均一にすることができるため、磁場検出装置60Bの測定精度を高められるので好ましい。このことは、前述の磁場検出装置10についての説明と同様である。
【0123】
磁場検出装置60Bにおいて、第一感磁部56の中心を通る感磁方向の軸(第一感磁部56の感磁軸)と第二感磁部57の中心を通る感磁方向の軸(第二感磁部57の感磁軸)と第三感磁部58の中心を通る感磁方向の軸(第三感磁部58の感磁軸)とは全て互いに交差している。
ここで、「全て互いに交差する」とは、第一感磁部56を示す短冊形の長手方向に延長した仮想の直線(感磁軸)と、第二感磁部57を示す短冊形の長手方向に延長した仮想の直線(感磁軸)と、第三感磁部58を示す短冊形の長手方向に延長した仮想の直線(感磁軸)とが空間の一点(交差点)で交わることをいう。この交わりの角度は必ずしも直角とは限らない。なお、各感磁軸は各感磁部の中心を通るものとする。
このように、第一〜第三磁気センサ素子が備える第一〜第三感磁部の感磁軸が全て互いに交差することがより好ましい。この場合、その交差点における磁場をより一層精度良く測定することができる。
【0124】
磁場検出装置60Bでは、信号処理IC52を構成する基板の上面に配された第一感磁部56の感磁方向および第二感磁部57の感磁方向は互いに直交しつつ、それぞれ実装基板面51に対して平行である。さらに、第一磁気センサ素子53に配された第三感磁部58の感磁方向は実装基板面51に対して垂直であり、第一感磁部56および第二感磁部57の感磁方向と直交している。このため、第一〜第三感磁部によって、磁場検出装置60Bは、互いに直交する3軸の感磁方向で磁場を検出することが可能である。
【0125】
前記3軸による3つの感磁方向は互いに直交しているが、前記3つの感磁方向のうち2つの感磁方向が互いに直交して、残る1つの感磁方向は前記2つの感磁方向と直交しなくてもよいし、3つ全ての感磁方向が互いに直交しなくてもよい。前記3つの感磁方向が互いに異なる方向を向き、且つ、前記3つの感磁方向の全てが同一の平面に存在しなければ、各感磁部によって検出された3次元空間における磁場ベクトルを信号処理IC52によって算出することができる。
【0126】
しかし、測定精度を高める観点、および信号処理IC52における計算を簡便にする観点から、前記3つの感磁方向のうち少なくとも2つの感磁方向が互いに直交することが好ましく、前記3つの感磁方向の全てが互いに直交することがより好ましい。
【0127】
前記3つの感磁方向のうち少なくとも2つの感磁方向が互いに直交する場合、信号処理IC52における第一感磁部56の感磁方向と第二感磁部57の感磁方向とが互いに直交することが好ましい。この好ましい理由は、前述の第一実施形態の第一磁気センサ素子3の場合と同様であり、実装基板面51への信号処理IC52の実装が容易になることである。
【0128】
このように、信号処理IC52の基板の上面に第一感磁部56および第二感磁部57を配したことによって、前述の第五実施形態の第一磁気センサ素子43に相当する磁気センサ素子は、第六実施形態では必要ない。すなわち、磁場検出装置60の実装基板面51における磁気センサ素子は1つであり、平置きされた磁気センサ素子は配されていない。このため、実装基板面51における磁気センサ素子が占有する面積を小さくすることができる。したがって、磁場検出装置60Bを磁場検出装置10,50よりも、さらに小型化することができる。
なお、図15に示した磁場検出装置60C(60)のように、第一感磁部56および第二感磁部57を配した第二磁気センサ素子54を信号処理IC52の上に積み重ねて設置しても、同様の小型化が可能である。
【0129】
また、図16に示した磁場検出装置60D(60)のように、第一磁気センサ素子53を信号処理IC52の基板の上面に配してもよい。
図16は、本発明の第六実施形態にかかる磁場検出装置60D(60)における磁気センサ素子及び信号処理ICのレイアウトを示す斜視図である。該斜視図において、前述の磁場検出装置60A(60)と同じ構成には同一の符号を付してある。
磁場検出装置60D(60)では、実装基板面51上に第一磁気センサ素子53が配されている。ただし、実装基板51と第一磁気センサ素子53との間に、信号処理IC52が配されている。
【0130】
磁場検出装置60D(60)においても第一感磁部56、第二感磁部57、及び第三感磁部58は互いの近傍に配置されているので、各感磁部が受ける磁場勾配の影響を均一にすることができ、磁場検出装置60Dの測定精度を高められる。さらに、実装基板面51における磁気センサ素子が占有する面積を皆無にできる。したがって、磁場検出装置60Dを磁場検出装置10,50,60A,60B,60Cよりも、さらに小型化しうる。また、第一磁気センサ素子53と信号処理IC52との配線をより短くできるので、測定信号が信号処理IC52に伝達される際に生じうる信号劣化を一層抑制することができ、測定精度を高められる。
【0131】
なお、磁場検出装置60A,60B,60Cと比較した場合、磁場検出装置60Dでは実装基板面51の面積を縮小できるが、第一磁気センサ素子53の実装基板面51からの高さは信号処理IC52の厚み分だけ高くなる(図16のαで示す高さ分だけ背高になる)。つまり、両者を比較した場合、実装基板面の縮小効果と磁気センサ素子が実装基板面から突き出る高さの増加抑制とは、互いにトレードオフの関係にある。どちらを優先するかは磁場検出装置を組み込むデバイスの設計に応じて適宜選択すればよい。いずれを選択しても、磁場検出装置60A,60B,60C,60Dを磁場検出装置10,50よりも小型化できる。
【産業上の利用可能性】
【0132】
本発明の磁場検出装置は、ナビゲーション機器、携帯用情報機器等の電子機器において、広範に利用することができる。
【符号の説明】
【0133】
1…実装基板面、2…信号処理IC、3…第一磁気センサ素子、4…第二磁気センサ素子、6…第一感磁部、7…第二感磁部、8…第三感磁部、10,10A…磁場検出装置、11…実装基板面、12…信号処理IC、13…第一磁気センサ素子、16…第一感磁部、17…第二感磁部、18…第三感磁部、20,20A,20B,20C…磁場検出装置、21…実装基板面、22…信号処理IC、23…第一磁気センサ素子、24…第二磁気センサ素子、26…第一感磁部、27…第二感磁部、28…第三感磁部、30,30A…磁場検出装置、31…実装基板面、32…信号処理IC、33…第一磁気センサ素子、36…第一感磁部、37…第二感磁部、38…第三感磁部、40,40A,40B,40C…磁場検出装置、41…実装基板面、42…信号処理IC、43…第一磁気センサ素子、44…第二磁気センサ素子、46…第一感磁部、47…第二感磁部、48…第三感磁部、50,50A,50B,50C…磁場検出装置、51…実装基板面、52…信号処理IC、53…第一磁気センサ素子、56…第一感磁部、57…第二感磁部、58…第三感磁部、60,60A,60B,60C,60D…磁場検出装置、100…従来の磁場検出装置、101…実装基板面、102…信号処理IC、103…第一磁気センサ素子、104…第二磁気センサ素子、105…第三磁気センサ素子、106…第一感磁部、107…第二感磁部、108…第三感磁部。
【技術分野】
【0001】
本発明は、磁場検出装置、特に3軸磁気センサに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、パーソナルコンピュータ、携帯用情報機器、電子交換機などの電子機器の小型化が求められており、これらの電子機器に用いられる電子部品においても、小型化、薄型化、軽量化、及び高機能化が強く要求されている。
【0003】
そのような電子機器の一つであるナビゲーション機器では、方位情報を得るために電子コンパスが用いられている。電子コンパスには、磁場を検出する感磁部を備えた磁気センサ素子が配されている。多くの電子コンパスでは、3個の磁気センサ素子を実装基板上に配置する際に、各磁気センサ素子を構成する各感磁部の感磁方向(感度軸方向)が互いに垂直になるように配置される(例えば、特許文献1参照)。すなわち、X軸,Y軸,Z軸の3軸にかかる磁界を、それぞれ個別の磁気センサ素子を用いて測定している(図17参照)。図17では、各磁気センサ素子に備えられた感磁部の長手方向が、感磁方向であるものとして描いている。一般的に、MIセンサやフラックスゲートセンサのような高感度磁気センサの検出感度は、感磁部の長手方向の長さに依存する。
【0004】
図17に示す従来の電子コンパスでは、実装基板面101に対して平行なX軸方向およびY軸方向にかかる磁界を検出する第一磁気センサ素子103および第二磁気センサ素子104と、実装基板面101に対して垂直なZ軸方向にかかる磁界を検出する磁気センサ素子105と、信号処理IC102とが備えられている。
第一磁気センサ素子103および第二磁気センサ素子104を構成する、第一感磁部106および第二感磁部107の感磁方向は実装基板面101に対して平行であり、各磁気センサ素子103,104は、実装基板面101において平置きで備えられている。一方、第三磁気センサ素子105を構成する第三感磁部108の感磁方向は実装基板面101に対して垂直であり、第三磁気センサ素子105は、実装基板面101において縦置きで備えられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−109378号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来、実装基板面の垂直軸方向(Z軸方向)にかかる磁界を検出する磁気センサ素子は、磁気検出感度を確保するため、実装基板面の平行軸方向(X軸方向、Y軸方向)にかかる磁界を検出する磁気センサと同程度の大きさである必要があり、かつ、縦置きで配置されるため、平置きに配置された磁気センサ素子よりも背高になってしまい、磁場検出装置(電子コンパス)全体が大型化してしまう問題がある。また、磁場検出装置の磁界測定精度の向上が望まれている。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、磁場測定精度を向上しつつ、小型化された磁場検出装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の請求項1に記載の磁場検出装置は、1軸方向の磁場を検出する感磁部を、平板かつ直方体状の基板の特定面上に備えた磁気センサ素子が、信号処理ICとともに実装基板上に配されてなる磁場検出装置であって、前記磁気センサ素子を構成する単一の基板に、複数の前記感磁部が互いの近傍に配置されていることを特徴とする。
本発明の請求項2に記載の磁場検出装置は、請求項1において、前記単一の基板に配置された複数の感磁部のうち、少なくとも2つの感磁部の感磁方向が、前記実装基板面に対して斜めをなしていることを特徴とする。
本発明の請求項3に記載の磁場検出装置は、請求項1又は2において、前記単一の基板に配置された複数の感磁部のうち、少なくとも2つの感磁部の感磁軸が交差することを特徴とする。
本発明の請求項4に記載の磁場検出装置は、請求項1〜3のいずれか一項において、前記磁気センサ素子に加えて、前記感磁部と同機能を有する感磁部が前記信号処理IC上に設けられていることを特徴とする。
本発明の請求項5に記載の磁場検出装置は、1軸方向の磁場を検出する感磁部を、平板かつ直方体状の基板の特定面上に備えた磁気センサ素子が、信号処理ICとともに実装基板上に配されてなる磁場検出装置であって、前記信号処理ICを構成する単一の基板に、複数の前記感磁部が各々互いの近傍に配置されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明の磁場検出装置によれば、実装基板上に配された磁気センサ素子に備えられた複数の感磁部を互いの近傍に集中させて、一極に配置することによって、その一極にかかる磁場をより精度良く測定できる。
さらに、前記実装基板上の磁気センサ素子を構成する単一の基板に複数備えられた各感磁部の感磁方向を、それぞれ前記実装基板面に対して斜めに配することによって、当該磁気センサ素子を低背化することができるので、当該磁場検出装置を小型化できる。
また、磁気センサ素子に備えられた感磁部と同機能を有する感磁部を、磁気センサ素子の代わりに信号処理IC上に備える場合、磁気センサ素子が実装基板を占有する面積を削減することができるので、当該磁場検出装置をより小型化できる。
【0009】
また、本発明の磁場検出装置によれば、実装基板上に配された信号処理ICに備えられた複数の感磁部を互いの近傍に集中させて、一極に配置することによって、その一極にかかる磁場をより精度良く測定できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明にかかる磁場検出装置の一例における、磁気センサ素子及び信号処理ICのレイアウトを示す斜視図である。
【図2】感磁部が実装基板面1から突出した高さを比較する図である。
【図3】本発明にかかる磁場検出装置の一例における、磁気センサ素子及び信号処理ICのレイアウトを示す斜視図である。
【図4】本発明にかかる磁場検出装置の一例における、磁気センサ素子及び信号処理ICのレイアウトを示す斜視図である。
【図5】本発明にかかる磁場検出装置の一例における、磁気センサ素子及び信号処理ICのレイアウトを示す斜視図である。
【図6】本発明にかかる磁場検出装置の一例における、磁気センサ素子及び信号処理ICのレイアウトを示す斜視図である。
【図7】本発明にかかる磁場検出装置の一例における、磁気センサ素子及び信号処理ICのレイアウトを示す斜視図である。
【図8】本発明にかかる磁場検出装置の一例における、磁気センサ素子及び信号処理ICのレイアウトを示す斜視図である。
【図9】本発明にかかる磁場検出装置の一例における、磁気センサ素子及び信号処理ICのレイアウトを示す斜視図である。
【図10】本発明にかかる磁場検出装置の一例における、磁気センサ素子及び信号処理ICのレイアウトを示す斜視図である。
【図11】本発明にかかる磁場検出装置の一例における、磁気センサ素子及び信号処理ICのレイアウトを示す斜視図である。
【図12】本発明にかかる磁場検出装置の一例における、磁気センサ素子及び信号処理ICのレイアウトを示す斜視図である。
【図13】本発明にかかる磁場検出装置の別の一例における、磁気センサ素子及び信号処理ICのレイアウトを示す斜視図である。
【図14】本発明にかかる磁場検出装置の別の一例における、磁気センサ素子及び信号処理ICのレイアウトを示す斜視図である。
【図15】本発明にかかる磁場検出装置の別の一例における、磁気センサ素子及び信号処理ICのレイアウトを示す斜視図である。
【図16】本発明にかかる磁場検出装置の別の一例における、磁気センサ素子及び信号処理ICのレイアウトを示す斜視図である。
【図17】従来の磁場検出装置における、磁気センサ素子及び信号処理ICのレイアウトを示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
<磁場検出装置の第一実施形態>
以下、好適な実施の形態に基づき、図面を参照して本発明を説明する。
図1は、本発明にかかる磁場検出装置の第一実施形態である磁場検出装置10A(10)における磁気センサ素子及び信号処理ICのレイアウトを示す斜視図である。
【0012】
磁場検出装置10Aは、実装基板面1に、信号処理IC2、第一磁気センサ素子3、および第二磁気センサ素子4を少なくとも備えてなる。
実装基板面1において、第一磁気センサ素子3は縦置きで配置されており、第二磁気センサ素子4は平置き(横置き)で配置されている。縦置きで配置された第一磁気センサ素子3は、平置きで配置された第二磁気センサ素子4および信号処理IC2よりも背高であり、実装基板面1からより高い位置まで突き出している。
【0013】
第一磁気センサ素子3を構成する平板かつ直方体状の単一の基板の特定面(一方の主面)上には、短冊形で示した第一感磁部6および第二感磁部7が備えられている。各短冊形の長手方向がそれぞれの感磁部の感磁方向を表す。第一感磁部6の感磁方向はY軸方向と平行であり、第二感磁部7の感磁方向はZ軸と平行である。このY軸方向およびZ軸方向は、それぞれ実装基板面1に対して斜めに45°の傾きをなしている。第一磁気センサ素子3の第一感磁部6および第二感磁部7が備えられた基板面は、実装基板面1に対して垂直である。
第二磁気センサ素子4を構成する平板かつ直方体状の基板の特定面上には、短冊形で示した第三感磁部8が一つ備えられており、該短冊形の長手方向であるX軸方向が第三感磁部8の感磁方向を示す。このX軸方向は、実装基板面1と平行である。第二磁気センサ素子4の第一感磁部8が備えられた基板面は、実装基板面1に対して平行である。
また、前記X軸方向、Y軸方向、およびZ軸方向は互いに直交している。
【0014】
磁場検出装置10Aでは、第一磁気センサ素子3および第二磁気センサ素子4が、信号処理IC2の近傍において、寄り集まって配置されている。また、第一磁気センサ素子3を構成する単一の基板に備えられた第一感磁部6および第二感磁部7が互いの近傍に備えられている。このため、各磁気センサ素子を構成する基板に備えられた各感磁部全てが互いの近傍に配置されている。
すなわち、第一感磁部6は、その長手方向の長さの距離範囲以内に、第二感磁部7および第三感磁部8が配置されていて、第二感磁部7は、その長手方向の長さの距離範囲以内に、第一感磁部6および第三感磁部8が配置されていて、第三感磁部8は、その長手方向の長さの距離範囲以内に、第一感磁部6および第二感磁部7が配置されている。
【0015】
ここで、「各感磁部が互いの近傍に配置される」とは、第一磁気センサ素子3および第二磁気センサ素子4が、互いの近隣に配置されていることをいう。このとき、各磁気センサ素子間には当該磁気センサ素子以外の部品が挟まれて実装されていない状態となる。このような状態においては、複数の磁気センサ素子同士を、空間内に密集して配置できる。この状態において、さらに、各感磁部はその長手方向の長さの距離範囲内に、少なくとも一つの他の感磁部が配置されていることが好ましい。また、各感磁部が残りの全ての感磁部の長手方向の長さの距離範囲内に配置されていることがより好ましい。
このように、各感磁部が互いの近傍に寄り集まって、一極に集中して配置されることにより、その一極における磁場をより精度良く測定することができる。このメカニズムを以下に説明する。
【0016】
従来の磁場検出装置(例えば図17に示す磁場検出装置100)では、各磁気センサ素子は互いの近傍に配置されていない。すなわち、各磁気センサ素子は、配置された位置が異なるため、それぞれ個別の位置の磁場を測定している。各磁気センサ素子が測定した磁場は、最終的に信号処理IC102によって合成されて、磁場検出装置100全体における磁場(磁場ベクトル)が算出される。
【0017】
このように、互いに離れた位置の磁場を合成して得られた磁場ベクトルは、三つの個別の位置の磁場の平均であるため、各磁気センサ素子が配置された範囲(磁場検出装置100全体)における平均的な磁場を測定しているに過ぎないので、その測定精度は低い。
一般に、磁場検出装置の近傍には磁界を発生するデバイスが設けられていることが多く、磁場検出装置における磁界勾配は顕著である。したがって、各磁気センサ素子が互いに離れて配置されていると、それぞれが異なる磁界勾配を受けることになり、磁場測定の誤差を生じ易くなる。
【0018】
一方、本発明にかかる磁場検出装置(例えば図1に示す磁場検出装置10A)では、各磁気センサ素子が互いの近傍に配置されており、各磁気センサ素子が集中して配された一極(一箇所)の磁場を測定している。各磁気センサ素子が測定した磁場は、最終的に信号処理IC2によって合成されて、前記一極における磁場(磁場ベクトル)が算出される。
【0019】
このように、互いに寄り集まった一極の磁場を合成して得られた磁場ベクトルは、前記一極における局所的な磁場を、X,Y,Z軸方向をそれぞれ検出する三つの磁気センサ素子によって測定したものであるため、磁場検出装置の個々に異なる位置における磁界勾配の違いの影響を受けにくい。したがって、各磁気センサ素子を集合させて配置することにより、磁場の測定精度を高めることができる。
【0020】
また、各磁気センサ素子と信号処理IC2との電気的接続を行う配線(不図示)は、各磁気センサ素子から信号処理IC2へ伝送される信号の劣化を抑制するために、なるべく短くすることが望ましい。このため、各磁気センサ素子は、信号処理ICの近傍に配置されることが好ましい。より具体的には、各磁気センサ素子を構成する基板の長手方向の長さに相当する距離範囲内に、信号処理ICが配置されていることが好ましい。このことは後述する本発明にかかる磁場検出装置のすべてについて当てはまる。
【0021】
磁場検出装置10Aにおいて、第二感磁部7の中心を通る感磁方向の軸(第二感磁部7の感磁軸)と第三感磁部8の中心を通る感磁方向の軸(第三感磁部8の感磁軸)とは互いに交差している。
ここで、「交差する」とは、第二感磁部7を示す短冊形の長手方向に延長した仮想の直線(感磁軸)と、第三感磁部8を示す短冊形の長手方向に延長した仮想の直線(感磁軸)とが空間の一点(交差点)で交わることをいう。この交わりの角度は必ずしも直角とは限らない。なお、各感磁軸は各感磁部の中心を通るものとする。
このように、第一〜第三磁気センサ素子が備える第一〜第三感磁部のうち、少なくとも2つの感磁部の感磁軸が交差することが好ましい。この場合、その交差点における磁場をより精度良く測定することができる。
【0022】
磁場検出装置10Aでは、第一磁気センサ素子3の一方の主面に備えられた第一感磁部6の感磁方向および第二感磁部7の感磁方向が互いに直交しつつ、それぞれ実装基板面1に対して45°の傾きをなしている。さらに、第二磁気センサ素子4を構成する第三感磁部8の感磁方向は実装基板面1に対して平行であり、第一感磁部6および第二感磁部7の感磁方向と直交している。このため、第一〜第三感磁部によって、磁場検出装置10Aは、互いに直交する3軸の感磁方向で磁場を検出することが可能である。
【0023】
前記3軸による3つの感磁方向は互いに直交しているが、前記3つの感磁方向のうち2つの感磁方向が互いに直交して、残る1つの感磁方向は前記2つの感磁方向と直交しなくてもよいし、3つ全ての感磁方向が互いに直交しなくてもよい。前記3つの感磁方向が互いに異なる方向を向き、且つ、前記3つの感磁方向の全てが同一の平面に存在しなければ、各磁気センサ素子が測定する3次元空間における磁場ベクトルを信号処理IC2によって算出することができる。
【0024】
しかし、測定精度を高める観点、および信号処理IC2における計算を簡便にする観点から、前記3つの感磁方向のうち少なくとも2つの感磁方向が互いに直交することが好ましく、前記3つの感磁方向の全てが互いに直交することがより好ましい。
【0025】
前記3つの感磁方向のうち少なくとも2つの感磁方向が互いに直交する場合、第一磁気センサ素子3における第一感磁部6の感磁方向と第二感磁部7の感磁方向とが互いに直交することが好ましい。
第一感磁部6および第二感磁部7は単一の基板の特定面に配置されているため、第一磁気センサ素子3の製造時に両感磁部の感磁方向が直交するように予め作り込むことができる。その結果、第一磁気センサ素子3を実装基板面1に実装する段階においては、両感磁部の相対的な感磁方向を調整する必要は無いので容易に実装できる。
一方、別の基板から構成される第二磁気センサ素子4に配置された第三感磁部8の感磁方向と第一感磁部6又は第二感磁部7の感磁方向とを互いに直交させるためには、実装基板面1における第一磁気センサ素子3と第二磁気センサ素子4との相対的配置を厳密に調整しつつ両磁気センサ素子を実装しなければならない。
【0026】
第一感磁部6が実装基板面1となす角θと、第二感磁部7が実装基板面1となす角φとは、同じ角度であっても異なる角度であってもよい。
なす角θとなす角φとが異なる角度である場合、なす角θとなす角φとの和は90°であることが好ましい。その和が90°であることによって、少なくとも第一感磁部6の感磁方向と第二感磁部7の感磁方向とを直交させることができ、さらには第一〜第三感磁部の3つの感磁方向を全て互いに直交させることができる。
【0027】
なす角θとなす角φとが同じ角度である場合、なす角θ及びなす角φは45°であることが好ましい。45°であることによって、少なくとも第一感磁部6の感磁方向と第二感磁部7の感磁方向とを直交させることができ(さらには第一〜第三感磁部の3つの感磁方向を全て互いに直交させることも可能であり)、且つ、第一感磁部6および第二感磁部7を備えた第一磁気センサ素子3を低背化することができる。この低背化について、以下に説明する。
【0028】
前述のように、第一磁気センサ素子3は、第一感磁部6および第二感磁部7が備えられた基板面を実装基板面1に対して垂直に立てた縦置きで配置されている。このため、第一磁気センサ素子3は、平置きで配置された第二磁気センサ素子4および信号処理IC2よりも背高である。このとき、第一磁気センサ素子3を構成する第一感磁部6および第二感磁部7は、実装基板面1から高さhで突き出している(図1参照)。この高さhが最も高くなるのは、第一感磁部6(又は第二感磁部7)が実装基板面1となす角θ(又はなす角φ)が90°(垂直)の場合である。この場合における第一感磁部6の高さhは、従来の磁場検出装置100における第三感磁部108の高さHに相当する(図17参照)。
【0029】
第一感磁部6のなす角θを90°から45°へ変化させるにつれて、第一感磁部6の高さhおよび第一磁気センサ素子3の高さを徐々に低くすることができる(図2参照)。具体的には、なす角θを45°にした場合、なす角θが90°の場合よりも、その高さhを0.75倍に低背化することができる。
【0030】
第一感磁部6のなす角θを45°よりもさらに0°側へ変化させた場合、第一感磁部6の高さhおよび第一磁気センサ素子3の高さをさらに低背化しうる。しかし、前述のように、第一感磁部6のなす角θと第二感磁部7のなす角φの和を90°にすることが好ましいため、なす角θを45°よりも小さい角度にすると、なす角φが45°よりも大きくなってしまい、第二感磁部7の高さhが高くなってしまい、結果として第一磁気センサ素子3の高さも高くなってしまう。
【0031】
したがって、実装基板面1上に縦置きで配置されている第一磁気センサ素子3の高さ(第一感磁部6および第二感磁部7の高さh)を低くするためには、なす角θ及びφが共に45°であることが好ましい。このように縦置きで配置された磁気センサ素子を低背化することによって、本発明の磁場検出装置10Aを、従来の磁場検出装置100よりも低背化して、より小型化することができる。
【0032】
本発明にかかる磁場検出装置の基板の材質としては、例えばガラス、サファイア、プラスチック、セラミックス等の絶縁体や、シリコン(Si)等の半導体が挙げられる。
本発明にかかる磁場検出装置に用いる磁気センサ素子としては、MI素子(Magneto−Impedance素子)、平行フラックスゲートセンサ素子、直交フラックスゲートセンサ素子等の公知のものが適用できる。該MI素子、該平行フラックスゲートセンサ素子、および該直交フラックスゲートセンサ素子を構成する感磁部としては、短冊形状にパターニングされた磁性体膜が用いられる。該磁性体膜は、例えば零磁歪アモルファス組成であるCoNbZrが用いられる。
【0033】
<磁場検出装置の第二実施形態>
図3は、本発明にかかる磁場検出装置の第二実施形態である磁場検出装置20A(20)における磁気センサ素子及び信号処理ICのレイアウトを示す斜視図である。
【0034】
磁場検出装置20Aは、実装基板面11に、信号処理IC12、および第一磁気センサ素子13を少なくとも備えてなる。
実装基板面11において、第一磁気センサ素子13は縦置きで配置されている。縦置きで配置された第一磁気センサ素子13は、平置きで配置された信号処理IC12よりも背高であり、実装基板面11からより高い位置まで突き出している。
【0035】
信号処理IC12を構成する基板には短冊形で示した第三感磁部18が一つ備えられており、該短冊形の長手方向であるX軸方向が第三感磁部18の感磁方向を示す。このX軸方向は、実装基板面11と平行である。信号処理IC12の第三感磁部18が備えられた基板面は、実装基板面11に対して平行である。
第一磁気センサ素子13を構成する平板かつ直方体状の単一の基板の特定面(一方の主面)上には、短冊形で示した第一感磁部16および第二感磁部17が備えられている。各短冊形の長手方向がそれぞれの感磁部の感磁方向を表す。第一感磁部16の感磁方向はY軸方向と平行であり、第二感磁部17の感磁方向はZ軸と平行である。このY軸方向およびZ軸方向は、それぞれ実装基板面11に対して斜めに45°の傾きをなしている。第一磁気センサ素子13の第一感磁部16および第二感磁部17が備えられた基板面は、実装基板面11に対して垂直である。
また、前記X軸方向、Y軸方向、およびZ軸方向は互いに直交している。
【0036】
磁場検出装置20Aでは、第一磁気センサ素子13が、信号処理IC12の近傍に寄り集まって配置されている。また、第一磁気センサ素子13を構成する単一の基板に備えられた第一感磁部16および第二感磁部17が互いの近傍に備えられている。このため、第一磁気センサ素子13および信号処理IC12に備えられた各感磁部全てが互いの近傍に配置されている。
すなわち、第一感磁部16は、その長手方向の長さの距離範囲以内に、第二感磁部17および第三感磁部18が配置されていて、第二感磁部17は、その長手方向の長さの距離範囲以内に、第一感磁部16および第三感磁部18が配置されていて、第三感磁部18は、その長手方向の長さの距離範囲以内に、第一感磁部16および第二感磁部17が配置されている。
【0037】
このように各感磁部が互いの近傍に集中して、一極に配置されることにより、各感磁部が受ける磁場勾配の影響を均一にすることができるため、磁場検出装置20Aの測定精度を高められるので好ましい。このことは、前述の磁場検出装置10についての説明と同様である。
【0038】
磁場検出装置20Aにおいて、第一感磁部16の中心を通る感磁方向の軸(第一感磁部16の感磁軸)と第二感磁部17の中心を通る感磁方向の軸(第二感磁部17の感磁軸)とは互いに交差している。
ここで、「交差する」とは、第一感磁部16を示す短冊形の長手方向に延長した仮想の直線(感磁軸)と、第二感磁部17を示す短冊形の長手方向に延長した仮想の直線(感磁軸)とが空間の一点(交差点)で交わることをいう。この交わりの角度は必ずしも直角とは限らない。なお、各感磁軸は各感磁部の中心を通るものとする。
このように、第一〜第三磁気センサ素子が備える第一〜第三感磁部のうち、少なくとも2つの感磁部の感磁軸が交差することが好ましい。この場合、その交差点における磁場をより精度良く測定することができる。
【0039】
磁場検出装置20Aでは、第一磁気センサ素子13を構成する第一感磁部16の感磁方向および第二感磁部17の感磁方向が互いに直交しつつ、それぞれ実装基板面11に対して45°の傾きをなしている。さらに、信号処理IC12の上面に配された第三感磁部18の感磁方向は実装基板面11に対して平行であり、第一感磁部16および第二感磁部17の感磁方向と直交している。このため、第一〜第三感磁部によって、磁場検出装置20Aは、互いに直交する3軸の感磁方向で磁場を検出することが可能である。
【0040】
前記3軸による3つの感磁方向は互いに直交しているが、前記3つの感磁方向のうち2つの感磁方向が互いに直交して、残る1つの感磁方向は前記2つの感磁方向と直交しなくてもよいし、3つ全ての感磁方向が互いに直交しなくてもよい。前記3つの感磁方向が互いに異なる方向を向き、且つ、前記3つの感磁方向の全てが同一の平面に存在しなければ、各感磁部によって検出された3次元空間における磁場ベクトルを信号処理IC12によって算出することができる。
【0041】
しかし、測定精度を高める観点、および信号処理IC12における計算を簡便にする観点から、前記3つの感磁方向のうち少なくとも2つの感磁方向が互いに直交することが好ましく、前記3つの感磁方向の全てが互いに直交することがより好ましい。
【0042】
前記3つの感磁方向のうち少なくとも2つの感磁方向が互いに直交する場合、第一磁気センサ素子13における第一感磁部16の感磁方向と第二感磁部17の感磁方向とが互いに直交することが好ましい。この好ましい理由は、前述の第一実施形態の第一磁気センサ素子3の場合と同様であり、実装基板面11への第一磁気センサ素子13の実装が容易になることである。
【0043】
第一感磁部16が実装基板面11となす角θと、第二感磁部17が実装基板面1となす角φとは、同じ角度であっても異なる角度であってもよい。
なす角θとなす角φとが異なる角度である場合、なす角θとなす角φとの和は90°であることが好ましい。その和が90°であることによって、少なくとも第一感磁部16の感磁方向と第二感磁部17の感磁方向とを直交させることができ、さらには第一〜第三感磁部の3つの感磁方向を全て互いに直交させることができる。
【0044】
なす角θとなす角φとが同じ角度である場合、なす角θ及びなす角φは45°であることが好ましい。45°であることによって、少なくとも第一感磁部16の感磁方向と第二感磁部17の感磁方向とを直交させることができ(さらには第一〜第三感磁部の3つの感磁方向を全て互いに直交させることも可能であり)、且つ、第一感磁部16および第二感磁部17を備えた第一磁気センサ素子13を低背化することができる。この低背化についての説明は、前述の第一実施形態である磁場検出装置10と同様である。
【0045】
実装基板面11上に縦置きで配置されている第一磁気センサ素子13の高さ(第一感磁部16および第二感磁部17の高さh)を低くするためには、なす角θ及びφが共に45°であることが好ましい。このように縦置きで配置された磁気センサ素子を低背化することによって、本発明の磁場検出装置20Aを、従来の磁場検出装置100よりも低背化して、より小型化することができる。
【0046】
また、信号処理IC12の基板の上面に第三感磁部18を配したことによって、前述の第一実施形態の第二磁気センサ素子4に相当する磁気センサ素子は、第二実施形態では必要ない。すなわち、磁場検出装置20の実装基板面11における磁気センサ素子は1つであり、平置きされた磁気センサ素子は配されていない。このため、実装基板面11における磁気センサ素子が占有する面積を小さくすることができる。したがって、磁場検出装置20Aを磁場検出装置10よりも、さらに小型化することができる。
なお、図4に示した磁場検出装置20B(20)のように、第三感磁部18を配した第二磁気センサ素子14を信号処理IC12の上に積み重ねて設置しても、同様の小型化が可能である。
【0047】
また、図5に示した磁場検出装置20C(20)のように、第一磁気センサ素子13を信号処理IC12の基板の上面に配してもよい。
図5は、本発明の第二実施形態にかかる磁場検出装置20C(20)における磁気センサ素子及び信号処理ICのレイアウトを示す斜視図である。該斜視図において、前述の磁場検出装置20A(20)と同じ構成には同一の符号を付してある。
磁場検出装置20C(20)では、実装基板面11上に第一磁気センサ素子13が配されている。ただし、実装基板11と第一磁気センサ素子13との間に、信号処理IC12が配されている。
【0048】
磁場検出装置20C(20)においても第三感磁部18、第一感磁部16、及び第二感磁部17は互いの近傍に配置されているので、各感磁部が受ける磁場勾配の影響を均一にすることができ、磁場検出装置20Cの測定精度を高められる。さらに、実装基板面11における磁気センサ素子が占有する面積を皆無にできる。したがって、磁場検出装置20Cを磁場検出装置10,20A,20Bよりも、さらに小型化しうる。また、第一磁気センサ素子13と信号処理IC12との配線をより短くできるので、測定信号が信号処理IC12に伝達される際に生じうる信号劣化を一層抑制することができ、測定精度を高められる。
【0049】
なお、磁場検出装置20A,20Bと比較した場合、磁場検出装置20Cでは実装基板面11の面積を縮小できるが、第一磁気センサ素子13の実装基板面11からの高さは信号処理IC12の厚み分だけ高くなる(図5のαで示す高さ分だけ背高になる)。つまり、両者を比較した場合、実装基板面の縮小効果と磁気センサ素子が実装基板面から突き出る高さの増加抑制とは、互いにトレードオフの関係にある。どちらを優先するかは磁場検出装置を組み込むデバイスの設計に応じて適宜選択すればよい。いずれを選択しても、磁場検出装置20A,20B,20Cを磁場検出装置10よりも小型化できる。
【0050】
<磁場検出装置の第三実施形態>
図6は、本発明にかかる磁場検出装置の第一実施形態である磁場検出装置30A(30)における磁気センサ素子及び信号処理ICのレイアウトを示す斜視図である。
【0051】
磁場検出装置30Aは、実装基板面21に、信号処理IC22、第一磁気センサ素子23、および第二磁気センサ素子24を少なくとも備えてなる。
実装基板面21において、第一磁気センサ素子23は縦置きで配置されており、第二磁気センサ素子24は平置き(横置き)で配置されている。縦置きで配置された第一磁気センサ素子23は、平置きで配置された第二磁気センサ素子24および信号処理IC22よりも背高であり、実装基板面21からより高い位置まで突き出している。
【0052】
第一磁気センサ素子23を構成する平板かつ直方体状の単一の基板において、一方の主面23a上には短冊形で示した第一感磁部26が備えられ、他方の主面23b上には短冊形で示した第二感磁部27が備えられている。各短冊形の長手方向がそれぞれの感磁部の感磁方向を表す。第一感磁部26の感磁方向はY軸方向と平行であり、第二感磁部27の感磁方向はZ軸と平行である。このY軸方向およびZ軸方向は、それぞれ実装基板面21に対して斜めに45°の傾きをなしている。第一磁気センサ素子23の第一感磁部26および第二感磁部27が備えられた各主面は、実装基板面21に対して垂直である。
第二磁気センサ素子24を構成する平板かつ直方体状の基板の特定面上には、短冊形で示した第三感磁部28が一つ備えられており、該短冊形の長手方向であるX軸方向が第三感磁部28の感磁方向を示す。このX軸方向は、実装基板面21と平行である。第二磁気センサ素子24の第一感磁部28が備えられた基板面は、実装基板面21に対して平行である。
また、前記X軸方向、Y軸方向、およびZ軸方向は互いに直交している。
【0053】
磁場検出装置30Aでは、第一磁気センサ素子23および第二磁気センサ素子24が、信号処理IC22の近傍において、寄り集まって配置されている。また、第一磁気センサ素子23を構成する単一の基板に備えられた第一感磁部26および第二感磁部27が互いの近傍に備えられている。このため、各磁気センサ素子を構成する基板に備えられた各感磁部全てが互いの近傍に配置されている。
すなわち、第一感磁部26は、その長手方向の長さの距離範囲以内に、第二感磁部27および第三感磁部28が配置されていて、第二感磁部27は、その長手方向の長さの距離範囲以内に、第一感磁部26および第三感磁部28が配置されていて、第三感磁部28は、その長手方向の長さの距離範囲以内に、第一感磁部26および第二感磁部27が配置されている。
【0054】
このように各感磁部が互いの近傍に集中して、一極に配置されることにより、各感磁部が受ける磁場勾配の影響を均一にすることができるため、磁場検出装置30Aの測定精度を高められるので好ましい。このことは、前述の磁場検出装置10についての説明と同様である。
【0055】
磁場検出装置30Aにおいて、第一感磁部26の中心を通る感磁方向の軸(第一感磁部26の感磁軸)と第三感磁部28の中心を通る感磁方向の軸(第三感磁部28の感磁軸)とは互いに交差している。また、第二感磁部27の中心を通る感磁方向の軸(第二感磁部27の感磁軸)と第三感磁部28の中心を通る感磁方向の軸(第三感磁部28の感磁軸)とは互いに交差している。
ここで、「交差する」とは、第一感磁部26を示す短冊形の長手方向に延長した仮想の直線(感磁軸)と、第三感磁部28を示す短冊形の長手方向に延長した仮想の直線(感磁軸)とが空間の一点(交差点)で交わることいい、同様に、第二感磁部27を示す短冊形の長手方向に延長した仮想の直線(感磁軸)と、第三感磁部28を示す短冊形の長手方向に延長した仮想の直線(感磁軸)とが空間の一点(交差点)で交わることをいう。この交わりの角度は必ずしも直角とは限らない。なお、各感磁軸は各感磁部の中心を通るものとする。
このように、第一〜第三磁気センサ素子が備える第一〜第三感磁部のうち、少なくとも2つの感磁部の感磁軸が交差することが好ましい。この場合、その交差点における磁場をより精度良く測定することができる。
【0056】
磁場検出装置30Aでは、第一磁気センサ素子23の両主面23a,23bに備えられた第一感磁部26の感磁方向および第二感磁部27の感磁方向が互いに直交しつつ、それぞれ実装基板面21に対して45°の傾きをなしている。さらに、第二磁気センサ素子24を構成する第三感磁部28の感磁方向は実装基板面21に対して平行であり、第一感磁部26および第二感磁部27の感磁方向と直交している。このため、第一〜第三感磁部によって、磁場検出装置30Aは、互いに直交する3軸の感磁方向で磁場を検出することが可能である。
【0057】
前記3軸による3つの感磁方向は互いに直交しているが、前記3つの感磁方向のうち2つの感磁方向が互いに直交して、残る1つの感磁方向は前記2つの感磁方向と直交しなくてもよいし、3つ全ての感磁方向が互いに直交しなくてもよい。前記3つの感磁方向が互いに異なる方向を向き、且つ、前記3つの感磁方向の全てが同一の平面に存在しなければ、各感磁部によって検出された3次元空間における磁場ベクトルを信号処理IC22によって算出することができる。
【0058】
しかし、測定精度を高める観点、および信号処理IC22における計算を簡便にする観点から、前記3つの感磁方向のうち少なくとも2つの感磁方向が互いに直交することが好ましく、前記3つの感磁方向の全てが互いに直交することがより好ましい。
【0059】
前記3つの感磁方向のうち少なくとも2つの感磁方向が互いに直交する場合、第一磁気センサ素子23における第一感磁部26の感磁方向と第二感磁部27の感磁方向とが互いに直交することが好ましい。
第一感磁部26および第二感磁部27は単一の基板において、互いに対向する面にそれぞれ配置されているため、第一磁気センサ素子23の製造時に両感磁部の感磁方向が直交するように予め作り込むことができる。その結果、第一磁気センサ素子23を実装基板面21に実装する段階においては、両感磁部の相対的な感磁方向を調整する必要は無いので容易に実装できる。
一方、別の基板から構成される第二磁気センサ素子24に配置された第三感磁部28の感磁方向と第一感磁部26又は第二感磁部27の感磁方向とを互いに直交させるためには、実装基板面21における第一磁気センサ素子23と第二磁気センサ素子24との相対的配置を厳密に調整しつつ両磁気センサ素子を実装しなければならない。
【0060】
第一磁気センサ素子23は平板かつ直方体状の単一の基板から構成されているが、該基板は2つの基材が接合されて(貼り合わせて)なるものであってもよい。第一の基材のおもて面に第一感磁部26を配置し、第二の基材のおもて面に第二感磁部27を配置した2つの基材を準備して、各基材の裏面どうしを接合することによって、平板かつ直方体状の単一基板からなる第一磁気センサ素子23を製造できる。前記2つの基材を接合する際に、第一感磁部26の感磁方向と第二感磁部27の感磁方向との相対的な方向を所望に調整して、第一磁気センサ素子23を製造できる。
【0061】
第一感磁部26が実装基板面21となす角θと、第二感磁部27が実装基板面21となす角φとは、同じ角度であっても異なる角度であってもよい。
なす角θとなす角φとが異なる角度である場合、なす角θとなす角φとの和は90°であることが好ましい。その和が90°であることによって、少なくとも第一感磁部26の感磁方向と第二感磁部27の感磁方向とを直交させることができ、さらには第一〜第三感磁部の3つの感磁方向を全て互いに直交させることができる。
【0062】
なす角θとなす角φとが同じ角度である場合、なす角θ及びなす角φは45°であることが好ましい。45°であることによって、少なくとも第一感磁部26の感磁方向と第二感磁部27の感磁方向とを直交させることができ(さらには第一〜第三感磁部の3つの感磁方向を全て互いに直交させることも可能であり)、且つ、第一感磁部26および第二感磁部27を備えた第一磁気センサ素子23を低背化することができる。この低背化について、以下に説明する。
【0063】
前述のように、第一磁気センサ素子23は、第一感磁部26および第二感磁部27がそれぞれ備えられた両主面を実装基板面21に対して垂直に立てた縦置きで配置されている。このため、第一磁気センサ素子23は、平置きで配置された第二磁気センサ素子24および信号処理IC22よりも背高である。このとき、第一磁気センサ素子23を構成する第一感磁部26および第二感磁部27は、実装基板面21から高さhで突き出している(図6参照)。この高さhが最も高くなるのは、第一感磁部26(又は第二感磁部27)が実装基板面21となす角θ(又はなす角φ)が90°(垂直)の場合である。この場合における第一感磁部26の高さhは、従来の磁場検出装置100における第三感磁部108の高さHに相当する(図17参照)。
【0064】
第一感磁部26のなす角θを90°から45°へ変化させるにつれて、第一感磁部26の高さhおよび第一磁気センサ素子23の高さを徐々に低くすることができる(図2参照)。具体的には、なす角θを45°にした場合、なす角θが90°の場合よりも、その高さhを0.75倍に低背化することができる。
【0065】
第一感磁部26のなす角θを45°よりもさらに0°側へ変化させた場合、第一感磁部26の高さhおよび第一磁気センサ素子23の高さをさらに低背化しうる。しかし、前述のように、第一感磁部26のなす角θと第二感磁部27のなす角φの和を90°にすることが好ましいため、なす角θを45°よりも小さい角度にすると、なす角φが45°よりも大きくなってしまい、第二感磁部27の高さhが高くなってしまい、結果として第一磁気センサ素子23の高さも高くなってしまう。
【0066】
したがって、実装基板面21上に縦置きで配置されている第一磁気センサ素子23の高さ(第一感磁部26および第二感磁部27の高さh)を低くするためには、なす角θ及びφが共に45°であることが好ましい。このように縦置きで配置された磁気センサ素子を低背化することによって、本発明の磁場検出装置30Aを、従来の磁場検出装置100よりも低背化して、より小型化することができる。
【0067】
<磁場検出装置の第四実施形態>
図7は、本発明にかかる磁場検出装置の第四実施形態である磁場検出装置40A(40)における磁気センサ素子及び信号処理ICのレイアウトを示す斜視図である。
【0068】
磁場検出装置40Aは、実装基板面31に、信号処理IC32、および第一磁気センサ素子33を少なくとも備えてなる。
実装基板面31において、第一磁気センサ素子33は縦置きで配置されている。縦置きで配置された第一磁気センサ素子33は、平置きで配置された信号処理IC32よりも背高であり、実装基板面31からより高い位置まで突き出している。
【0069】
信号処理IC32を構成する基板には短冊形で示した第三感磁部38が一つ備えられており、該短冊形の長手方向であるX軸方向が第三感磁部38の感磁方向を示す。このX軸方向は、実装基板面31と平行である。信号処理IC32の第三感磁部38が備えられた基板面は、実装基板面31に対して平行である。
第一磁気センサ素子33を構成する平板かつ直方体状の単一の基板において、一方の主面33a上には短冊形で示した第一感磁部36が備えられ、他方の主面33b上には短冊形で示した第二感磁部37が備えられている。各短冊形の長手方向がそれぞれの感磁部の感磁方向を表す。第一感磁部36の感磁方向はY軸方向と平行であり、第二感磁部37の感磁方向はZ軸と平行である。このY軸方向およびZ軸方向は、それぞれ実装基板面31に対して斜めに45°の傾きをなしている。第一磁気センサ素子33の第一感磁部36および第二感磁部37が備えられた各主面は、実装基板面31に対して垂直である。
また、前記X軸方向、Y軸方向、およびZ軸方向は互いに直交している。
【0070】
磁場検出装置40Aでは、第一磁気センサ素子33が、信号処理IC32の近傍に寄り集まって配置されている。また、第一磁気センサ素子33を構成する単一の基板に備えられた第一感磁部36および第二感磁部37が互いの近傍に備えられている。このため、第一磁気センサ素子33および信号処理IC32に備えられた各感磁部全てが互いの近傍に配置されている。
すなわち、第一感磁部36は、その長手方向の長さの距離範囲以内に、第二感磁部37および第三感磁部38が配置されていて、第二感磁部37は、その長手方向の長さの距離範囲以内に、第一感磁部36および第三感磁部38が配置されていて、第三感磁部38は、その長手方向の長さの距離範囲以内に、第一感磁部36および第二感磁部37が配置されている。
【0071】
このように各感磁部が互いの近傍に集中して、一極に配置されることにより、各感磁部が受ける磁場勾配の影響を均一にすることができるため、磁場検出装置40Aの測定精度を高められるので好ましい。このことは、前述の磁場検出装置10についての説明と同様である。
【0072】
磁場検出装置40Aにおいて、第一感磁部36の中心を通る感磁方向の軸(第一感磁部36の感磁軸)と第三感磁部38の中心を通る感磁方向の軸(第三感磁部38の感磁軸)とは互いに交差している。また、第二感磁部37の中心を通る感磁方向の軸(第二感磁部37の感磁軸)と第三感磁部38の中心を通る感磁方向の軸(第三感磁部38の感磁軸)とは互いに交差している。
ここで、「交差する」とは、第一感磁部36を示す短冊形の長手方向に延長した仮想の直線(感磁軸)と、第三感磁部38を示す短冊形の長手方向に延長した仮想の直線(感磁軸)とが空間の一点(交差点)で交わることをいい、同様に、第二感磁部37を示す短冊形の長手方向に延長した仮想の直線(感磁軸)と、第三感磁部38を示す短冊形の長手方向に延長した仮想の直線(感磁軸)とが空間の一点(交差点)で交わることをいう。この交わりの角度は必ずしも直角とは限らない。なお、各感磁軸は各感磁部の中心を通るものとする。
このように、第一〜第三磁気センサ素子が備える第一〜第三感磁部のうち、少なくとも2つの感磁部の感磁軸が交差することが好ましい。この場合、その交差点における磁場をより精度良く測定することができる。
【0073】
磁場検出装置40Aでは、第一磁気センサ素子33を構成する第一感磁部36の感磁方向および第二感磁部37の感磁方向が互いに直交しつつ、それぞれ実装基板面31に対して45°の傾きをなしている。さらに、信号処理IC32の上面に配された第三感磁部38の感磁方向は実装基板面31に対して平行であり、第一感磁部36および第二感磁部37の感磁方向と直交している。このため、第一〜第三感磁部によって、磁場検出装置40Aは、互いに直交する3軸の感磁方向で磁場を検出することが可能である。
【0074】
前記3軸による3つの感磁方向は互いに直交しているが、前記3つの感磁方向のうち2つの感磁方向が互いに直交して、残る1つの感磁方向は前記2つの感磁方向と直交しなくてもよいし、3つ全ての感磁方向が互いに直交しなくてもよい。前記3つの感磁方向が互いに異なる方向を向き、且つ、前記3つの感磁方向の全てが同一の平面に存在しなければ、各感磁部によって検出された3次元空間における磁場ベクトルを信号処理IC32によって算出することができる。
【0075】
しかし、測定精度を高める観点、および信号処理IC32における計算を簡便にする観点から、前記3つの感磁方向のうち少なくとも2つの感磁方向が互いに直交することが好ましく、前記3つの感磁方向の全てが互いに直交することがより好ましい。
【0076】
前記3つの感磁方向のうち少なくとも2つの感磁方向が互いに直交する場合、第一磁気センサ素子33における第一感磁部36の感磁方向と第二感磁部37の感磁方向とが互いに直交することが好ましい。この好ましい理由は、前述の第三実施形態の第一磁気センサ素子23の場合と同様であり、実装基板面31への第一磁気センサ素子33の実装が容易になることである。
【0077】
第一磁気センサ素子33は平板かつ直方体状の単一の基板から構成されているが、該基板は2つの基材が接合されて(貼り合わせて)なるものであってもよい。第一の基材のおもて面に第一感磁部36を配置し、第二の基材のおもて面に第二感磁部37を配置した2つの基材を準備して、各基材の裏面どうしを接合することによって、平板かつ直方体状の単一基板からなる第一磁気センサ素子33を製造できる。前記2つの基材を接合する際に、第一感磁部36の感磁方向と第二感磁部37の感磁方向との相対的な方向を所望に調整して、第一磁気センサ素子33を製造できる。
【0078】
第一感磁部36が実装基板面31となす角θと、第二感磁部37が実装基板面31となす角φとは、同じ角度であっても異なる角度であってもよい。
なす角θとなす角φとが異なる角度である場合、なす角θとなす角φとの和は90°であることが好ましい。その和が90°であることによって、少なくとも第一感磁部16の感磁方向と第二感磁部17の感磁方向とを直交させることができ、さらには第一〜第三感磁部の3つの感磁方向を全て互いに直交させることができる。
【0079】
なす角θとなす角φとが同じ角度である場合、なす角θ及びなす角φは45°であることが好ましい。45°であることによって、少なくとも第一感磁部36の感磁方向と第二感磁部37の感磁方向とを直交させることができ(さらには第一〜第三感磁部の3つの感磁方向を全て互いに直交させることも可能であり)、且つ、第一感磁部36および第二感磁部37を備えた第一磁気センサ素子33を低背化することができる。この低背化についての説明は、前述の第三実施形態である磁場検出装置30と同様である。
【0080】
実装基板面31上に縦置きで配置されている第一磁気センサ素子33の高さ(第一感磁部36および第二感磁部37の高さh)を低くするためには、なす角θ及びφが共に45°であることが好ましい。このように縦置きで配置された磁気センサ素子を低背化することによって、本発明の磁場検出装置40Aを、従来の磁場検出装置100よりも低背化して、より小型化することができる。
【0081】
また、信号処理IC32の基板の上面に第三感磁部38を配したことによって、前述の第三実施形態の第二磁気センサ素子24に相当する磁気センサ素子は、第四実施形態では必要ない。すなわち、磁場検出装置40の実装基板面31における磁気センサ素子は1つであり、平置きされた磁気センサ素子は配されていない。このため、実装基板面31における磁気センサ素子が占有する面積を小さくすることができる。したがって、磁場検出装置40Aを磁場検出装置30よりも、さらに小型化することができる。
なお、図8に示した磁場検出装置40B(40)のように、第三感磁部38を配した第二磁気センサ素子34を信号処理IC32の上に積み重ねて設置しても、同様の小型化が可能である。
【0082】
また、図9に示した磁場検出装置40C(40)のように、第一磁気センサ素子33を信号処理IC32の基板の上面に配してもよい。
図9は、本発明の第四実施形態にかかる磁場検出装置40C(40)における磁気センサ素子及び信号処理ICのレイアウトを示す斜視図である。該斜視図において、前述の磁場検出装置40A(40)と同じ構成には同一の符号を付してある。
磁場検出装置40C(40)では、実装基板面31上に第一磁気センサ素子33が配されている。ただし、実装基板31と第一磁気センサ素子33との間に、信号処理IC32が配されている。
【0083】
磁場検出装置40C(40)においても第三感磁部38、第一感磁部36、及び第二感磁部37は互いの近傍に配置されているので、各感磁部が受ける磁場勾配の影響を均一にすることができ、磁場検出装置40Cの測定精度を高められる。さらに、実装基板面31における磁気センサ素子が占有する面積を皆無にできる。したがって、磁場検出装置40Cを磁場検出装置30,40A,40Bよりも、さらに小型化しうる。また、第一磁気センサ素子33と信号処理IC32との配線をより短くできるので、測定信号が信号処理IC32に伝達される際に生じうる信号劣化を一層抑制することができ、測定精度を高められる。
【0084】
なお、磁場検出装置40A,40Bと比較した場合、磁場検出装置40Cでは実装基板面31の面積を縮小できるが、第一磁気センサ素子33の実装基板面31からの高さは信号処理IC32の厚み分だけ高くなる(図9のαで示す高さ分だけ背高になる)。つまり、両者を比較した場合、実装基板面の縮小効果と磁気センサ素子が実装基板面から突き出る高さの増加抑制とは、互いにトレードオフの関係にある。どちらを優先するかは磁場検出装置を組み込むデバイスの設計に応じて適宜選択すればよい。いずれを選択しても、磁場検出装置40A,40B,40Cを磁場検出装置30よりも小型化できる。
【0085】
<磁場検出装置の第五実施形態>
図10は、本発明にかかる磁場検出装置の第五実施形態である磁場検出装置50A(50)における磁気センサ素子及び信号処理ICのレイアウトを示す斜視図である。
【0086】
磁場検出装置50Aは、実装基板面41に、信号処理IC42、第一磁気センサ素子43、および第二磁気センサ素子44を少なくとも備えてなる。
実装基板面41において、第一磁気センサ素子43は平置き(横置き)で配置されており、第二磁気センサ素子44は縦置きで配置されている。縦置きで配置された第二磁気センサ素子44は、平置きで配置された第一磁気センサ素子43および信号処理IC42よりも背高であり、実装基板面41からより高い位置まで突き出している。
【0087】
第一磁気センサ素子43を構成する平板かつ直方体状の単一の基板の特定面(一方の主面)上には、短冊形で示した第一感磁部46および第二感磁部47が備えられている。各短冊形の長手方向がそれぞれの感磁部の感磁方向を表す。第一感磁部46の感磁方向はX軸方向と平行であり、第二感磁部47の感磁方向はY軸と平行である。このX軸方向およびY軸方向は、実装基板面41と平行である。第一磁気センサ素子43の第一感磁部46および第二感磁部47が備えられた基板面は、実装基板面41に対して垂直である。
第二磁気センサ素子44を構成する平板かつ直方体状の基板の特定面上には、短冊形で示した第三感磁部48が一つ備えられており、該短冊形の長手方向であるZ軸方向が第三感磁部48の感磁方向を示す。このZ軸方向は、実装基板面41に対して垂直である。第二磁気センサ素子44の第三感磁部48が備えられた基板面は、実装基板面41に対して垂直である。
また、前記X軸方向、Y軸方向、およびZ軸方向は互いに直交している。
【0088】
磁場検出装置50Aでは、第一磁気センサ素子43および第二磁気センサ素子44が、信号処理IC42の近傍において、寄り集まって配置されている。また、第一磁気センサ素子43を構成する単一の基板に備えられた第一感磁部46および第二感磁部47が互いの近傍に備えられている。このため、各磁気センサ素子を構成する基板に備えられた各感磁部全てが互いの近傍に配置されている。
すなわち、第一感磁部46は、その長手方向の長さの距離範囲以内に第二感磁部47が配置されていて、第二感磁部47は、その長手方向の長さの距離範囲以内に第一感磁部46および第三感磁部48が配置されていて、第三感磁部48は、その長手方向の長さの距離範囲以内に第二感磁部47が配置されている。
【0089】
このように各感磁部が互いの近傍に集中して、一極に配置されることにより、各感磁部が受ける磁場勾配の影響を均一にすることができるため、磁場検出装置50Aの測定精度を高められるので好ましい。このことは、前述の磁場検出装置10についての説明と同様である。
【0090】
磁場検出装置50Aにおいて、第一感磁部46の中心を通る感磁方向の軸(第一感磁部46の感磁軸)と第二感磁部47の中心を通る感磁方向の軸(第二感磁部47の感磁軸)とは互いに交差している。また、第二感磁部47の中心を通る感磁方向の軸(第二感磁部47の感磁軸)と第三感磁部48の中心を通る感磁方向の軸(第三感磁部48の感磁軸)とは互いに交差している。
ここで、「交差する」とは、第一感磁部46を示す短冊形の長手方向に延長した仮想の直線(感磁軸)と、第二感磁部47を示す短冊形の長手方向に延長した仮想の直線(感磁軸)とが空間の一点(交差点)で交わることをいい、同様に、第二感磁部47を示す短冊形の長手方向に延長した仮想の直線(感磁軸)と、第三感磁部48を示す短冊形の長手方向に延長した仮想の直線(感磁軸)とが空間の一点(交差点)で交わることをいう。この交わりの角度は必ずしも直角とは限らない。なお、各感磁軸は各感磁部の中心を通るものとする。
このように、第一〜第三磁気センサ素子が備える第一〜第三感磁部のうち、少なくとも2つの感磁部の感磁軸が交差することが好ましい。この場合、その交差点における磁場をより精度良く測定することができる。
【0091】
磁場検出装置50Aでは、第一磁気センサ素子43に備えられた第一感磁部46の感磁方向および第二感磁部47の感磁方向が互いに直交しつつ、それぞれ実装基板面41に対して平行である。さらに、第二磁気センサ素子44を構成する第三感磁部48の感磁方向は実装基板面41に対して垂直であり、第一感磁部46および第二感磁部47の感磁方向と直交している。このため、第一〜第三感磁部によって、磁場検出装置50Aは、互いに直交する3軸の感磁方向で磁場を検出することが可能である。
【0092】
前記3軸による3つの感磁方向は互いに直交しているが、前記3つの感磁方向のうち2つの感磁方向が互いに直交して、残る1つの感磁方向は前記2つの感磁方向と直交しなくてもよいし、3つ全ての感磁方向が互いに直交しなくてもよい。前記3つの感磁方向が互いに異なる方向を向き、且つ、前記3つの感磁方向の全てが同一の平面に存在しなければ、各感磁部によって検出された3次元空間における磁場ベクトルを信号処理IC42によって算出することができる。
【0093】
しかし、測定精度を高める観点、および信号処理IC42における計算を簡便にする観点から、前記3つの感磁方向のうち少なくとも2つの感磁方向が互いに直交することが好ましく、前記3つの感磁方向の全てが互いに直交することがより好ましい。
【0094】
前記3つの感磁方向のうち少なくとも2つの感磁方向が互いに直交する場合、第一磁気センサ素子43における第一感磁部46の感磁方向と第二感磁部47の感磁方向とが互いに直交することが好ましい。
第一感磁部46および第二感磁部47は単一の基板の特定面に配置されているため、第一磁気センサ素子43の製造時に両感磁部の感磁方向が直交するように予め作り込むことができる。その結果、第一磁気センサ素子43を実装基板面41に実装する段階においては、両感磁部の相対的な感磁方向を調整する必要は無いので容易に実装できる。
一方、別の基板から構成される第二磁気センサ素子44に配置された第三感磁部48の感磁方向と第一感磁部46又は第二感磁部47の感磁方向とを互いに直交させるためには、実装基板面41における第一磁気センサ素子43と第二磁気センサ素子44との相対的配置を厳密に調整しつつ両磁気センサ素子を実装しなければならない。
【0095】
つぎに、磁気センサ素子が実装基板面を占有する面積について、磁場検出装置50Aと従来の磁場検出装置100とを比較する。
磁場検出装置50Aにおける第一感磁部46および第二感磁部47は、共に単一の基板で構成される第一磁気センサ素子43に備えられているため、実装基板面41を1箇所だけ占有する。一方、従来の磁場検出装置100における第一感磁部106および第二感磁部107は、第一磁気センサ素子103と第二磁気センサ素子104とに分かれて個別に配置されているため、実装基板面101を2箇所に渡って占有してしまう。
したがって、実装基板面における磁気センサ素子が占有する面積は、磁場検出装置50Aの方が小さい。
磁場検出装置50Aでは、第一感磁部46および第二感磁部47を単一の基板に備えることによって、測定精度を高めつつ実装基板の面積を縮小できるので、磁場検出装置50Aを従来の磁場検出装置100よりも小型化することができる。
【0096】
また、図11に示した磁場検出装置50B(50)のように、第一磁気センサ素子43を縦置きに変更しても、磁場検出装置50Aと同様に、磁場検出装置50Bの測定精度を高めつつ小型化することができる。
【0097】
図11は、本発明の第五実施形態にかかる磁場検出装置50B(10)における磁気センサ素子及び信号処理ICのレイアウトを示す斜視図である。該斜視図において、前述の磁場検出装置50A(50)と同じ構成には同一の符号を付してある。
【0098】
磁場検出装置50B(50)は、実装基板面41に、信号処理IC42、第一磁気センサ素子43、および第二磁気センサ素子44を少なくとも備えてなる。
実装基板面41において、第一磁気センサ素子43は縦置きで配置されており、第二磁気センサ素子44は平置き(横置き)で配置されている。
また、各磁気センサ素子を構成する第一〜第三感磁部は互いの近傍に配置されている。第一感磁部46は、その長手方向の長さの距離範囲以内に第二感磁部47が配置されていて、第二感磁部47は、その長手方向の長さの距離範囲以内に第一感磁部46および第三感磁部48が配置されていて、第三感磁部48は、その長手方向の長さの距離範囲以内に第二感磁部47が配置されている。
【0099】
磁場検出装置50Bにおいて、第一感磁部46の中心を通る感磁方向の軸(第一感磁部46の感磁軸)と第二感磁部47の中心を通る感磁方向の軸(第二感磁部47の感磁軸)とは互いに交差している。
ここで、「交差する」とは、第一感磁部46を示す短冊形の長手方向に延長した仮想の直線(感磁軸)と、第二感磁部47を示す短冊形の長手方向に延長した仮想の直線(感磁軸)とが空間の一点(交差点)で交わることをいう。この交わりの角度は必ずしも直角とは限らない。なお、各感磁軸は各感磁部の中心を通るものとする。
このように、第一〜第三磁気センサ素子が備える第一〜第三感磁部のうち、少なくとも2つの感磁部の感磁軸が交差することが好ましい。この場合、その交差点における磁場をより精度良く測定することができる。
【0100】
磁場検出装置50Bにおいても、磁場検出装置50Aと同様に、第一感磁部46および第二感磁部47を単一の基板に備えることによって、測定精度を高めつつ実装基板の面積を縮小できるので、従来の磁場検出装置100よりも小型化することができる。
【0101】
また、図12に示した磁場検出装置50C(50)のように、第一磁気センサ素子43と第二磁気センサ素子44との相対配置を変更して、第一〜第三感磁部の相対配置を変更しても、磁場検出装置50A,50Bと同様に、磁場検出装置50Cの測定精度を高めつつ小型化することができる。
【0102】
図12は、本発明の第五実施形態にかかる磁場検出装置50C(50)における磁気センサ素子及び信号処理ICのレイアウトを示す斜視図である。該斜視図において、前述の磁場検出装置50A(50)と同じ構成には同一の符号を付してある。
【0103】
磁場検出装置50C(50)は、実装基板面41に、信号処理IC42、第一磁気センサ素子43、および第二磁気センサ素子44を少なくとも備えてなる。
実装基板面41において、第一磁気センサ素子43は平置き(横置き)で配置されており、第二磁気センサ素子44は縦置きで配置されている。
第一磁気センサ素子43に備えられた第一感磁部46の感磁方向および第二感磁部47の感磁方向が互いに直交しつつ、それぞれ実装基板面41に対して平行である。さらに、第二磁気センサ素子44を構成する第三感磁部48の感磁方向は実装基板面41に対して垂直であり、第一感磁部46および第二感磁部47の感磁方向と直交している。このため、第一〜第三感磁部によって、互いに直交する3軸の感磁方向で磁場を検出することが可能である。
【0104】
また、各磁気センサ素子を構成する第一〜第三感磁部は互いの近傍に配置されている。第一感磁部46は、その長手方向の長さの距離範囲以内に、第二感磁部47および第三感磁部48が配置されていて、第二感磁部47は、その長手方向の長さの距離範囲以内に、第一感磁部46および第三感磁部48が配置されていて、第三感磁部48は、その長手方向の長さの距離範囲以内に、第一感磁部46および第二感磁部47が配置されている。
【0105】
磁場検出装置50Cにおいて、第一感磁部46の中心を通る感磁方向の軸(第一感磁部46の感磁軸)と第二感磁部47の中心を通る感磁方向の軸(第二感磁部47の感磁軸)と第三感磁部48の中心を通る感磁方向の軸(第三感磁部48の感磁軸)とは全て互いに交差している。
ここで、「全て互いに交差する」とは、第一感磁部46を示す短冊形の長手方向に延長した仮想の直線(感磁軸)と、第二感磁部47を示す短冊形の長手方向に延長した仮想の直線(感磁軸)と、第三感磁部48を示す短冊形の長手方向に延長した仮想の直線(感磁軸)とが空間の一点(交差点)で交わることをいう。この交わりの角度は必ずしも直角とは限らない。なお、各感磁軸は各感磁部の中心を通るものとする。
このように、第一〜第三磁気センサ素子が備える第一〜第三感磁部の感磁軸が全て互いに交差することがより好ましい。この場合、その交差点における磁場をより一層精度良く測定することができる。
【0106】
磁場検出装置50Cにおいても、磁場検出装置50A,50Bと同様に、第一感磁部46および第二感磁部47を単一の基板に備えることによって、測定精度を高めつつ実装基板の面積を縮小できるので、従来の磁場検出装置100よりも小型化することができる。
なお、磁場検出装置50Cでは、第一〜第三感磁部の全てが互いの長手方向の長さの距離範囲内に配置されている。このため、磁場検出装置50A,50Bよりも測定精度を高めることができる。
【0107】
<磁場検出装置の第六実施形態>
図13は、本発明にかかる磁場検出装置の第六実施形態の一例である磁場検出装置60A(60)における磁気センサ素子及び信号処理ICのレイアウトを示す斜視図である。
【0108】
磁場検出装置60Aは、実装基板面51に、信号処理IC52、および第一磁気センサ素子53を少なくとも備えてなる。
実装基板面51において、第一磁気センサ素子53は縦置きで配置されている。縦置きで配置された第一磁気センサ素子53は、平置きで配置された信号処理IC52よりも背高であり、実装基板面51からより高い位置まで突き出している。
【0109】
信号処理IC52を構成する平板かつ直方体状の基板には短冊形で示した第一感磁部56および第二感磁部57が備えられている。各短冊形の長手方向がそれぞれの感磁部の感磁方向を表す。第一感磁部56の感磁方向はX軸方向と平行であり、第二感磁部57の感磁方向はY軸と平行である。このX軸方向およびY軸方向は、それぞれ実装基板面51に対して平行である。信号処理IC52の第一感磁部56および第二感磁部57が備えられた基板面は、実装基板面51に対して平行である。
第一磁気センサ素子53を構成する平板かつ直方体状の基板の特定面上には、短冊形で示した第三感磁部58が備えられており、該短冊形の長手方向であるZ軸方向が第三感磁部58の感磁方向を表す。このZ軸方向は、実装基板面51に対して垂直である。第一磁気センサ素子53の第三感磁部58が備えられた基板面は、実装基板面51に対して垂直である。
また、前記X軸方向、Y軸方向、およびZ軸方向は互いに直交している。
【0110】
磁場検出装置60Aでは、第一磁気センサ素子53が、信号処理IC52の近傍に寄り集まって配置されている。また、信号処理IC52を構成する単一の基板に備えられた第一感磁部56および第二感磁部57が互いの近傍に備えられている。このため、第一磁気センサ素子53および信号処理IC52に備えられた各感磁部全てが互いの近傍に配置されている。
すなわち、第一感磁部56は、その長手方向の長さの距離範囲以内に、第二感磁部57および第三感磁部58が配置されていて、第二感磁部57は、その長手方向の長さの距離範囲以内に、第一感磁部56および第三感磁部58が配置されていて、第三感磁部58は、その長手方向の長さの距離範囲以内に、第一感磁部56および第二感磁部57が配置されている。
【0111】
このように各感磁部が互いの近傍に集中して、一極に配置されることにより、各感磁部が受ける磁場勾配の影響を均一にすることができるため、磁場検出装置60Aの測定精度を高められるので好ましい。このことは、前述の磁場検出装置10についての説明と同様である。
【0112】
磁場検出装置60Aにおいて、第一感磁部56の中心を通る感磁方向の軸(第一感磁部56の感磁軸)と第二感磁部57の中心を通る感磁方向の軸(第二感磁部57の感磁軸)とは互いに交差している。
ここで、「交差する」とは、第一感磁部56を示す短冊形の長手方向に延長した仮想の直線(感磁軸)と、第二感磁部57を示す短冊形の長手方向に延長した仮想の直線(感磁軸)とが空間の一点(交差点)で交わることをいう。この交わりの角度は必ずしも直角とは限らない。なお、各感磁軸は各感磁部の中心を通るものとする。
このように、第一センサ素子及び信号処理IC52が備える第一〜第三感磁部のうち、少なくとも2つの感磁部の感磁軸が交差することが好ましい。この場合、その交差点における磁場をより精度良く測定することができる。
【0113】
磁場検出装置60Aでは、信号処理IC52を構成する基板の上面に配された第一感磁部56の感磁方向および第二感磁部57の感磁方向は互いに直交しつつ、それぞれ実装基板面51に対して平行である。さらに、第一磁気センサ素子53に配された第三感磁部58の感磁方向は実装基板面51に対して垂直であり、第一感磁部56および第二感磁部57の感磁方向と直交している。このため、第一〜第三感磁部によって、磁場検出装置60Aは、互いに直交する3軸の感磁方向で磁場を検出することが可能である。
【0114】
前記3軸による3つの感磁方向は互いに直交しているが、前記3つの感磁方向のうち2つの感磁方向が互いに直交して、残る1つの感磁方向は前記2つの感磁方向と直交しなくてもよいし、3つ全ての感磁方向が互いに直交しなくてもよい。前記3つの感磁方向が互いに異なる方向を向き、且つ、前記3つの感磁方向の全てが同一の平面に存在しなければ、各感磁部によって検出された3次元空間における磁場ベクトルを信号処理IC52によって算出することができる。
【0115】
しかし、測定精度を高める観点、および信号処理IC52における計算を簡便にする観点から、前記3つの感磁方向のうち少なくとも2つの感磁方向が互いに直交することが好ましく、前記3つの感磁方向の全てが互いに直交することがより好ましい。
【0116】
前記3つの感磁方向のうち少なくとも2つの感磁方向が互いに直交する場合、信号処理IC52における第一感磁部56の感磁方向と第二感磁部57の感磁方向とが互いに直交することが好ましい。この好ましい理由は、前述の第一実施形態の第一磁気センサ素子3の場合と同様であり、実装基板面51への信号処理IC52の実装が容易になることである。
【0117】
このように、信号処理IC52の基板の上面に第一感磁部56および第二感磁部57を配したことによって、前述の第五実施形態の第一磁気センサ素子43に相当する磁気センサ素子は、第六実施形態では必要ない。すなわち、磁場検出装置60の実装基板面51における磁気センサ素子は1つであり、平置きされた磁気センサ素子は配されていない。このため、実装基板面51における磁気センサ素子が占有する面積を小さくすることができる。したがって、磁場検出装置60Aを磁場検出装置10,50よりも、さらに小型化することができる。
【0118】
図14は、本発明にかかる磁場検出装置の第六実施形態の別の例である磁場検出装置60B(60)における磁気センサ素子及び信号処理ICのレイアウトを示す斜視図である。
【0119】
磁場検出装置60Bは、実装基板面51に、信号処理IC52、および第一磁気センサ素子53を少なくとも備えてなる。
実装基板面51において、第一磁気センサ素子53は縦置きで配置されている。縦置きで配置された第一磁気センサ素子53は、平置きで配置された信号処理IC52よりも背高であり、実装基板面51からより高い位置まで突き出している。
【0120】
信号処理IC52を構成する平板かつ直方体状の基板には短冊形で示した第一感磁部56および第二感磁部57が備えられている。各短冊形の長手方向がそれぞれの感磁部の感磁方向を表す。第一感磁部56の感磁方向はX軸方向と平行であり、第二感磁部57の感磁方向はY軸と平行である。このX軸方向およびY軸方向は、それぞれ実装基板面51に対して平行である。信号処理IC52の第一感磁部56および第二感磁部57が備えられた基板面は、実装基板面51に対して平行である。
第一磁気センサ素子53を構成する平板かつ直方体状の基板の特定面上には、短冊形で示した第三感磁部58が備えられており、該短冊形の長手方向であるZ軸方向が第三感磁部58の感磁方向を表す。このZ軸方向は、実装基板面51に対して垂直である。第一磁気センサ素子53の第三感磁部58が備えられた基板面は、実装基板面51に対して垂直である。
また、前記X軸方向、Y軸方向、およびZ軸方向は互いに直交している。
【0121】
磁場検出装置60Bでは、第一磁気センサ素子53が、信号処理IC52の近傍に寄り集まって配置されている。また、信号処理IC52を構成する単一の基板に備えられた第一感磁部56および第二感磁部57が互いの近傍に備えられている。このため、第一磁気センサ素子53および信号処理IC52に備えられた各感磁部全てが互いの近傍に配置されている。
すなわち、第一感磁部56は、その長手方向の長さの距離範囲以内に、第二感磁部57および第三感磁部58が配置されていて、第二感磁部57は、その長手方向の長さの距離範囲以内に、第一感磁部56および第三感磁部58が配置されていて、第三感磁部58は、その長手方向の長さの距離範囲以内に、第一感磁部56および第二感磁部57が配置されている。
【0122】
このように各感磁部が互いの近傍に集中して、一極に配置されることにより、各感磁部が受ける磁場勾配の影響を均一にすることができるため、磁場検出装置60Bの測定精度を高められるので好ましい。このことは、前述の磁場検出装置10についての説明と同様である。
【0123】
磁場検出装置60Bにおいて、第一感磁部56の中心を通る感磁方向の軸(第一感磁部56の感磁軸)と第二感磁部57の中心を通る感磁方向の軸(第二感磁部57の感磁軸)と第三感磁部58の中心を通る感磁方向の軸(第三感磁部58の感磁軸)とは全て互いに交差している。
ここで、「全て互いに交差する」とは、第一感磁部56を示す短冊形の長手方向に延長した仮想の直線(感磁軸)と、第二感磁部57を示す短冊形の長手方向に延長した仮想の直線(感磁軸)と、第三感磁部58を示す短冊形の長手方向に延長した仮想の直線(感磁軸)とが空間の一点(交差点)で交わることをいう。この交わりの角度は必ずしも直角とは限らない。なお、各感磁軸は各感磁部の中心を通るものとする。
このように、第一〜第三磁気センサ素子が備える第一〜第三感磁部の感磁軸が全て互いに交差することがより好ましい。この場合、その交差点における磁場をより一層精度良く測定することができる。
【0124】
磁場検出装置60Bでは、信号処理IC52を構成する基板の上面に配された第一感磁部56の感磁方向および第二感磁部57の感磁方向は互いに直交しつつ、それぞれ実装基板面51に対して平行である。さらに、第一磁気センサ素子53に配された第三感磁部58の感磁方向は実装基板面51に対して垂直であり、第一感磁部56および第二感磁部57の感磁方向と直交している。このため、第一〜第三感磁部によって、磁場検出装置60Bは、互いに直交する3軸の感磁方向で磁場を検出することが可能である。
【0125】
前記3軸による3つの感磁方向は互いに直交しているが、前記3つの感磁方向のうち2つの感磁方向が互いに直交して、残る1つの感磁方向は前記2つの感磁方向と直交しなくてもよいし、3つ全ての感磁方向が互いに直交しなくてもよい。前記3つの感磁方向が互いに異なる方向を向き、且つ、前記3つの感磁方向の全てが同一の平面に存在しなければ、各感磁部によって検出された3次元空間における磁場ベクトルを信号処理IC52によって算出することができる。
【0126】
しかし、測定精度を高める観点、および信号処理IC52における計算を簡便にする観点から、前記3つの感磁方向のうち少なくとも2つの感磁方向が互いに直交することが好ましく、前記3つの感磁方向の全てが互いに直交することがより好ましい。
【0127】
前記3つの感磁方向のうち少なくとも2つの感磁方向が互いに直交する場合、信号処理IC52における第一感磁部56の感磁方向と第二感磁部57の感磁方向とが互いに直交することが好ましい。この好ましい理由は、前述の第一実施形態の第一磁気センサ素子3の場合と同様であり、実装基板面51への信号処理IC52の実装が容易になることである。
【0128】
このように、信号処理IC52の基板の上面に第一感磁部56および第二感磁部57を配したことによって、前述の第五実施形態の第一磁気センサ素子43に相当する磁気センサ素子は、第六実施形態では必要ない。すなわち、磁場検出装置60の実装基板面51における磁気センサ素子は1つであり、平置きされた磁気センサ素子は配されていない。このため、実装基板面51における磁気センサ素子が占有する面積を小さくすることができる。したがって、磁場検出装置60Bを磁場検出装置10,50よりも、さらに小型化することができる。
なお、図15に示した磁場検出装置60C(60)のように、第一感磁部56および第二感磁部57を配した第二磁気センサ素子54を信号処理IC52の上に積み重ねて設置しても、同様の小型化が可能である。
【0129】
また、図16に示した磁場検出装置60D(60)のように、第一磁気センサ素子53を信号処理IC52の基板の上面に配してもよい。
図16は、本発明の第六実施形態にかかる磁場検出装置60D(60)における磁気センサ素子及び信号処理ICのレイアウトを示す斜視図である。該斜視図において、前述の磁場検出装置60A(60)と同じ構成には同一の符号を付してある。
磁場検出装置60D(60)では、実装基板面51上に第一磁気センサ素子53が配されている。ただし、実装基板51と第一磁気センサ素子53との間に、信号処理IC52が配されている。
【0130】
磁場検出装置60D(60)においても第一感磁部56、第二感磁部57、及び第三感磁部58は互いの近傍に配置されているので、各感磁部が受ける磁場勾配の影響を均一にすることができ、磁場検出装置60Dの測定精度を高められる。さらに、実装基板面51における磁気センサ素子が占有する面積を皆無にできる。したがって、磁場検出装置60Dを磁場検出装置10,50,60A,60B,60Cよりも、さらに小型化しうる。また、第一磁気センサ素子53と信号処理IC52との配線をより短くできるので、測定信号が信号処理IC52に伝達される際に生じうる信号劣化を一層抑制することができ、測定精度を高められる。
【0131】
なお、磁場検出装置60A,60B,60Cと比較した場合、磁場検出装置60Dでは実装基板面51の面積を縮小できるが、第一磁気センサ素子53の実装基板面51からの高さは信号処理IC52の厚み分だけ高くなる(図16のαで示す高さ分だけ背高になる)。つまり、両者を比較した場合、実装基板面の縮小効果と磁気センサ素子が実装基板面から突き出る高さの増加抑制とは、互いにトレードオフの関係にある。どちらを優先するかは磁場検出装置を組み込むデバイスの設計に応じて適宜選択すればよい。いずれを選択しても、磁場検出装置60A,60B,60C,60Dを磁場検出装置10,50よりも小型化できる。
【産業上の利用可能性】
【0132】
本発明の磁場検出装置は、ナビゲーション機器、携帯用情報機器等の電子機器において、広範に利用することができる。
【符号の説明】
【0133】
1…実装基板面、2…信号処理IC、3…第一磁気センサ素子、4…第二磁気センサ素子、6…第一感磁部、7…第二感磁部、8…第三感磁部、10,10A…磁場検出装置、11…実装基板面、12…信号処理IC、13…第一磁気センサ素子、16…第一感磁部、17…第二感磁部、18…第三感磁部、20,20A,20B,20C…磁場検出装置、21…実装基板面、22…信号処理IC、23…第一磁気センサ素子、24…第二磁気センサ素子、26…第一感磁部、27…第二感磁部、28…第三感磁部、30,30A…磁場検出装置、31…実装基板面、32…信号処理IC、33…第一磁気センサ素子、36…第一感磁部、37…第二感磁部、38…第三感磁部、40,40A,40B,40C…磁場検出装置、41…実装基板面、42…信号処理IC、43…第一磁気センサ素子、44…第二磁気センサ素子、46…第一感磁部、47…第二感磁部、48…第三感磁部、50,50A,50B,50C…磁場検出装置、51…実装基板面、52…信号処理IC、53…第一磁気センサ素子、56…第一感磁部、57…第二感磁部、58…第三感磁部、60,60A,60B,60C,60D…磁場検出装置、100…従来の磁場検出装置、101…実装基板面、102…信号処理IC、103…第一磁気センサ素子、104…第二磁気センサ素子、105…第三磁気センサ素子、106…第一感磁部、107…第二感磁部、108…第三感磁部。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
1軸方向の磁場を検出する感磁部を、平板かつ直方体状の基板の特定面上に備えた磁気センサ素子が、信号処理ICとともに実装基板上に配されてなる磁場検出装置であって、
前記磁気センサ素子を構成する単一の基板に、複数の前記感磁部が互いの近傍に配置されていることを特徴とする磁場検出装置。
【請求項2】
前記単一の基板に配置された複数の感磁部のうち、少なくとも2つの感磁部の感磁方向が、前記実装基板面に対して斜めをなしていることを特徴とする請求項1に記載の磁場検出装置。
【請求項3】
前記単一の基板に配置された複数の感磁部のうち、少なくとも2つの感磁部の感磁軸が交差することを特徴とする請求項1又は2に記載の磁場検出装置。
【請求項4】
前記磁気センサ素子に加えて、前記感磁部と同機能を有する感磁部が前記信号処理IC上に設けられていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の磁場検出装置。
【請求項5】
1軸方向の磁場を検出する感磁部を、平板かつ直方体状の基板の特定面上に備えた磁気センサ素子が、信号処理ICとともに実装基板上に配されてなる磁場検出装置であって、
前記信号処理ICを構成する単一の基板に、複数の前記感磁部が互いの近傍に配置されていることを特徴とする磁場検出装置。
【請求項1】
1軸方向の磁場を検出する感磁部を、平板かつ直方体状の基板の特定面上に備えた磁気センサ素子が、信号処理ICとともに実装基板上に配されてなる磁場検出装置であって、
前記磁気センサ素子を構成する単一の基板に、複数の前記感磁部が互いの近傍に配置されていることを特徴とする磁場検出装置。
【請求項2】
前記単一の基板に配置された複数の感磁部のうち、少なくとも2つの感磁部の感磁方向が、前記実装基板面に対して斜めをなしていることを特徴とする請求項1に記載の磁場検出装置。
【請求項3】
前記単一の基板に配置された複数の感磁部のうち、少なくとも2つの感磁部の感磁軸が交差することを特徴とする請求項1又は2に記載の磁場検出装置。
【請求項4】
前記磁気センサ素子に加えて、前記感磁部と同機能を有する感磁部が前記信号処理IC上に設けられていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の磁場検出装置。
【請求項5】
1軸方向の磁場を検出する感磁部を、平板かつ直方体状の基板の特定面上に備えた磁気センサ素子が、信号処理ICとともに実装基板上に配されてなる磁場検出装置であって、
前記信号処理ICを構成する単一の基板に、複数の前記感磁部が互いの近傍に配置されていることを特徴とする磁場検出装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【公開番号】特開2011−220977(P2011−220977A)
【公開日】平成23年11月4日(2011.11.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−93524(P2010−93524)
【出願日】平成22年4月14日(2010.4.14)
【出願人】(000005186)株式会社フジクラ (4,463)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年11月4日(2011.11.4)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年4月14日(2010.4.14)
【出願人】(000005186)株式会社フジクラ (4,463)
【Fターム(参考)】
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