説明

磁性インク又はトナー、それを用いる機密文書管理装置及び機密文書管理システム

【課題】 磁性インク又はトナー、及びそれを用いる機密文書管理システム及び機密文書管理装置を供する。
【解決手段】 本発明の磁性インク又はトナーは、アモルファス磁性体粉末を含む。本発明の機密文書管理システム及び機密文書管理装置は、本発明の磁性インク又はトナーを用いる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アモルファス磁性体粉末を含む磁性インク又はトナー、及びそれを用いる紙媒体に記録された機密情報を管理する装置及び機密文書管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、機密情報の管理において、機密情報自体又はその一部、又はそれらの複製物の持ち出しによる漏洩は大きな問題であった。場合によってはその社会的影響は極めて甚大であった。近年、情報の電子化に伴い、電子媒体(例えばUSBメモリ)に記録された機密情報の漏洩の管理システムが発達し、一定の成果が得られてきている。しかしながら、一方で、紙媒体に記録された機密情報の持ち出し等による漏洩事故は後を絶たず、最近むしろ増加の傾向であることすら報告されている(非特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特表平10−508340号公報
【特許文献2】特開2004−1106900号公報
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】NPO:JNSA報告
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
これまで紙媒体に記録された機密情報の管理の方法として、紙媒体になんらかの磁性を利用した識別タグを設け、そのタグを磁気センサ検出することで、紙媒体の持ち出し等を管理するという技術がいくつか知られている(特許文献1、2参照)。
しかし、これらの技術は次のいくつかの点で、紙媒体に記録された機密情報自体の管理という目的には十分ではなかった。すなわち、紙媒体自体に識別タグを付すことにより、紙媒体自体の管理は可能となるが、タグ自体のサイズが大きく又特定の形状を有する必要があり、この場合、紙媒体が分割されたり、折り返されたり、記録された機密情報自体が他の紙媒体に複写されたりすると、機密情報自体の管理が不十分となる。またかかるタグ(例えばRFIDや電磁波タグ)はコストがコストの点(数十円〜数百円)から、全ての紙媒体に付する(入れ込む、組み込む等)ことは困難である。磁性タグを磁気インクで印刷して形成する従来技術もあるが、磁性タグに用いる磁性体の磁気センサの検出感度が不十分であり、例えば管理用ゲート間の通り抜けの際の高感度遠隔検出には不十分であった。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者は、上で説明した従来の技術に伴う問題点、特に磁性タグとしての磁気インクに関する欠点を解消すべく鋭意研究した結果、アモルファス磁性体粉末を含む磁性インク又はトナーを見出すことにより解決した。さらに、この磁性インク又はトナーを用いることで文字サイズの磁性タグを付することが可能となり、情報が記録される媒体自体のみならず、その媒体に記録された機密情報自体を管理することが可能となった。またこの方法は、従来のタグ(RFIDや電磁波)を使用する場合に比べて極めてコスト的にも有利なものとなる。従って、本発明には少なくとも次の発明が含まれる。
【0007】
本発明は、アモルファス磁性体粉末を含む、磁性インク又はトナーに関する。
【0008】
また本発明は、本発明の磁性インク又はトナーを用いることを特徴とする、媒体に記録された機密情報を管理する機密文書管理システムに関する。すなわち、本発明は、前記媒体の少なくとも一部に、アモルファス磁性体粉末を含む磁性インク又はトナーを用いて、管理用マークを付する手段と、前記管理用マークを検出することにより前記機密文書を検出する手段とを有する、システムに関する。
また本発明は、本発明の磁性インク又はトナーを用いることを特徴とする、機密文書管理装置であって、保管室から、媒体に記録された機密情報の持出しを管理する機密文書管理装置において、前記媒体の少なくとも一部に、アモルファス磁性体粉末を含む磁性インク又はトナーを用いて管理用マークを付す手段と、前記管理用マークに、少なくとも、ユーザ情報及び前記機密情報の持出情報とを含む管理用情報を書き込む手段と、前記ユーザが、前記保管室から出る際に、前記管理用情報を検出する手段と、前記検出された管理用情報に基づき、前記ユーザが持ち出し可能かどうかを判別する手段とを有する、機密文書管理装置に関する。
また本発明は、本発明の磁性インク又はトナーを用いることを特徴とする、機密文書管理装置であって、媒体に記録された機密情報の複製を管理する機密文書管理装置において、前記媒体の少なくとも一部に、アモルファス磁性体粉末を含む磁性インク又はトナーを用いて管理用マークを付す手段と、前記管理用マークに、少なくとも、ユーザ情報及び前記機密情報の複製情報を含む管理用情報を書き込む手段と、前記ユーザが、前記媒体に記録された機密情報を複製する際に、前記管理用マークを検出する手段と、前記管理用マークに付された管理用情報に基づき、前記ユーザが、複製可能かどうかを判別する手段とを有する、機密文書管理装置に関する。
さらに本発明は、本発明の磁性インク又はトナーを用いることを特徴とする、機密文書管理装置であって、媒体に記録された機密情報の廃棄を管理する機密文書管理装置において、前記媒体の少なくとも一部に、アモルファス磁性体粉末を含む磁性インク又はトナーを用いて管理用マークを付す手段と、前記管理用マークに、少なくとも、ユーザ情報及び前記機密情報の廃棄情報を含む管理用情報を書き込む手段と、前記ユーザが、前記媒体に記録された機密情報を廃棄する際に、前記管理用マークを検出する手段と、前記管理用マークに付された管理用情報に基づき、前記ユーザが、廃棄可能かどうかを判別する手段とを有する、機密文書管理装置に関する。
【発明の効果】
【0009】
本発明のアモルファス磁性体粉末を含む磁性インク又はトナーを用いて、媒体の少なくとも一部に、通常の文字サイズの管理用マークを付すことが可能となり、さらに係る管理用マークに管理用情報を書き込むことが可能となる。このようにして付された及び/又は書き込まれた前記管理用マーク及び/又は管理用情報は、非常に高い感度と精度で磁気的に検出することが可能となり、これにより媒体に記録された機密情報を十分に管理することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】図1は、本発明による、管理システムを模式的に示す図である。
【図2】図2は、本発明による、管理用マークが付された機密文書の一例を示す図である。
【図3】図3は、本発明による、管理用マーク及び管理用情報が書き込まれた機密文書の一例を示す図である。
【図4】図4は、本発明による、機密文書へ管理用マーク及び管理用情報を書き込む一例を模式的に示す図である。
【図5】図5は、本発明による、機密文書へ管理用マーク及び管理用情報を書き換える一例を模式的に示す図である。
【図6】図6は、本発明による管理装置の実施態様の一つを模式的に示す図である。
【図7】図7は、本発明による管理装置の他の実施態様の一つを模式的に示す図である。
【図8】図8は、本発明による管理装置のさらに他の実施態様の一つを模式的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明を実施するための形態につきさらに具体的に説明する。ただし、本発明が、これらの具体的な実施の形態に限定されるものではない。
(磁性インク又はトナー)
本発明による磁性インク又はトナーは、アモルファス磁性体粉末を含むことを特徴とする、磁性インク又はトナーであり、通常のインク又はトナー組成物に、さらにアモルファス磁性体粉末を含有するものを意味する。通常のインク又はトナーとは、例えば、通常のインクジェットプリンタ用インク、又はレーザープリンタ用トナー、が挙げられる。さらに通常のインクジェット複写装置用インク、又はレーザー複写装置用トナーをも含む。
【0012】
本発明において好ましく使用可能なアモルファス磁性体とは、(1)磁性体合金であって、且つ規則性のないランダムな原子配列の非結晶性の磁性体であり、結晶磁気異方性がなく磁化過程の磁区の動きが容易であり、優れた軟磁性と低損失を有し、熱処理で磁気特性の方向を制御可能であり、且つ(2)粒子径については特に限定されるものではないが、数μm以下の粒子径を有するように粉末化処理されているものを意味する。
ここで(1)の磁性体合金の種類については特に制限はなく、種々の磁性体合金が使用可能である。本発明においては特に軟磁性体合金の使用が好ましい。具体的には、フェロシリコンコバルト合金等が挙げられる。また、(2)の粒子径を得るために使用可能な粉末化処理は、通常の方法、例えば高水圧粉砕方法による粉末化処理方法が挙げられる。本発明においては、これらのアモルファス磁性体粉末を、単独で又は他の種類のアモルファス磁性体粉末と混合して使用することが可能である。
【0013】
また、本発明で使用する、磁性インク、トナーの組成物、その製造方法についても特に制限はなく、上で挙げた通常のインク、トナーの組成物等、及びその製造方法に準じて、これらのインク又はトナー組成物に、さらに上で説明した本発明のアモルファス磁性体粉末を追加すればよい。追加される成分としての本発明のアモルファス磁性体粉末の粒子径、粒子径分布又は添加量についても特に制限はない。磁性インクの使用目的・使用方法・使用装置、さらには以下説明する検出のための磁気センサの種類・感度等に応じて適宜選択することができる。
【0014】
さらに本発明の磁性インク、又はトナーは、必ずしも可視色を呈する必要はなく、実質的に無色の場合、又は紙媒体と類似の色を呈するものであってもよい。必要ならば、好ましい色の顔料を組成物に添加して望ましい色を呈するように調製することも可能である。さらに、種々の色の組み合わせを得る目的で、種々のカラーインク、カラートナーに、本発明のアモルファス磁性体粉末を添加することで、本発明のアモルファス磁性体粉末を含む、カラーインク、カラートナーを調製することが可能である。本発明において得られる顕著な効果のひとつとして、本発明のアモルファス磁性体粉末を含むカラーインク、カラートナーを用いて紙媒体に、文字サイズの大きさで印刷することが可能となることである。従って、これにより得られる紙媒体上の印刷物は、本発明で意味する情報、機密情報自体又はそれらの一部を構成することができる。
【0015】
また、本発明のアモルファス磁性体粉末を含む磁性インク又はトナーにより印刷された媒体は、通常の処理を経て媒体上にアモルファス磁性体粉末が固定される。これは、通常のインク又はトナー中の顔料が媒体表面で固定される状態と同じである。また、印刷の方法を変更(主にインク量の制御)することにより、媒体上に固定されるアモルファス磁性体粉末の量も変更可能である。さらに媒体に印刷され固定されるアモルファス磁性体粉末は、印刷方法により、媒体の表面の全ての任意の位置で任意の形状で固定される。
【0016】
また、本発明の磁性インク又はトナーを用いて印刷した上に、さらに異なるか又は同じ磁性インク又はトナーを用いて印刷することも可能である。これにより、媒体上に、本発明の磁性体粉末が、例えば少なくとも一部が層状の構造を持って固定されることができる。
媒体上で固定された、磁性体粉末は、それぞれ個々の磁性体粒子として、磁気的性質を奏する。従って、固定された磁性体粉末のそれぞれを、磁化させたり、その磁性を消したり(非磁化)することが可能となる。また、固定化された磁性体粉末の一定の範囲をまとめて磁化させたり、その磁性を消したり(非磁化)することも可能となる。これにより種々のサイズの磁化、非磁化の領域が生成可能となる。
磁性固定された磁性体粉末のそれぞれを、磁化させたり、その磁性を消したり(非磁化)、又再び磁化させる方法・装置は、本発明で選択されるアモルファス磁性体粉末の性質に応じて、従来の種々の装置(磁化ヘッド、磁気書き込みヘッド等)を利用することが可能である。
【0017】
本発明の機密文書管理システム及び機密文書管理装置は、これらの特徴を有する本発明の磁性インク又はトナーを用いることを特徴とする。
(機密文書管理システム)
本発明の、機密文書管理システムは、媒体に記録された情報を管理するシステムを意味する。ここで、「機密文書」とは、広く一般の情報を含み、必ずしも「機密」として区別されるもののみを意味するものではない。従って、ここで意味する、「機密文書」には、具体的には、何らかの意図で「機密」(又は「秘密」)扱いされる文書(媒体に記録された情報)のみならず、一度は「機密」扱いされた文書であるが、現時点では「機密」扱いされていない文書、もともと「機密」扱いされていない文書を含む。「機密」扱いされていない文書には、具体的には、公開目的の文書、物品・商品等の識別用ラベル、識別用タブ、又は有価証券が含まれる。
【0018】
本発明で意味する「情報」とは、媒体に記録された情報である。媒体に記録され(表現され)得る情報であれば特に制限はなく、種々の文字、図形、模様、色、またはそれらの組み合わせにより表現される情報を意味する。
【0019】
また、本発明で意味する「媒体」とは、特に制限されず、通常の種々の材料、サイズ、形状を有する記録可能な材料の全てを意味する。従って、上で説明した情報を何らかの方法で記録(又は表現)し得る材料が含まれる。特に本発明の磁性インク又はトナーで記録可能な全ての材料が含まれる。具体的には、天然繊維又は人工繊維材料からなる「紙」、「布」、又はそれらの組み合わせによるシート、高分子材料(プラスチック)シートからなる「人工紙」、又は木、竹等の天然材料の板又はシート状物、プラスチック又は金属等の板又はシート状物などが挙げられる。本発明においては、特に「紙」媒体への適用が可能である。従って、以下、用語「紙媒体」を用いて説明されている本発明の実施態様については、「紙媒体」に限定されるものではなく、本発明で意味する他の全ての媒体も含まれる。
【0020】
さらに、本発明で意味する「管理」とは、紙媒体に記録された情報の追跡・処理のみならず、情報自体を紙媒体に記録する処理(新たに又は繰り返し)も含む。従って、本発明の機密文書管理システム又は機密文書管理装置とは、情報自体を、紙媒体に記録すること、紙媒体に記録された情報の追跡、及び処理のすべてを含む。紙媒体に記録された情報の追跡には、その情報とその情報のユーザの作業履歴を確認可能とすること(オンタイムで記録されることが好ましい)を意味する。また処理とは、文書の発生、持出し、複製、廃棄等を意味する。
【0021】
本発明の機密文書管理システムは、通常の紙媒体に、上で説明した本発明に係るアモルファス磁性体粉末を含む磁性インク又はトナーを用いて、情報自体、管理用マークを付する(書き込む、記録)することを特徴とするものである。本発明の機密文書管理システムは、さらに好ましくは、係る管理用マークに、管理用情報を磁気的に書き込むものである。さらに係る磁性インク又はトナーで、管理用マークに付された(記録された)情報自体又は情報が記録された紙媒体、又は管理用マークに書き込まれた管理用情報を、その紙媒体に固定された磁性体粉末を磁気的に検出することを特徴とするものである。
【0022】
従って、本発明の機密文書管理システムは、本発明に基づく磁性インク又はトナーを用いることで、少なくとも次の優れた効果を奏するものである。
(1)紙媒体自体、情報自体、又はそれらを同時に、正確に高感度で管理することができる。
(2)紙媒体、情報又はそれらに付される管理用の情報を、書き込み、書き換え、消去することができる。
(3)通常の印刷方法・印刷装置、複写方法・複写装置、磁気ヘッドによる記録方法・装置を使うことができる。
【0023】
図1に、本発明の機密文書管理システムの基本概念が模式的に示されている。本発明は、まず管理されるべき機密情報を記録した紙媒体(機密文書)を準備する(ステップ100)が、ここで機密文書は、あらかじめ準備されていてもよい。又は、ステップ10,11、12で示すように、記録される情報と紙媒体を準備し、情報を記録して機密文書を準備してもよい。記録する方法には手で書き込む方法の他、通常の印刷装置、複写装置等を使用することが可能である。本発明においては、特にかかる情報を記録する際に、少なくとも一部の情報を記録するために本発明に基づく磁性インク又はトナーを用いることも可能である。この場合は、情報自体に以下説明する管理用マーク及び/又は管理用情報が、重ねて付され、書き込まれることになる。
次に準備された機密文書に、本発明による磁性インク又はトナーで、管理用マークを付する(ステップ101)。磁性インク又はトナーが、紙媒体上に固定された後、さらに管理用マークに管理情報を書き込む(ステップ102)。この段階で、紙媒体に記録された機密情報と、必要な管理用マークと管理用情報が着けられた機密文書が生成される(以下かかる文書を、IDが埋め込まれた文書、ID埋込文書等と記載される場合がある)。
図1には、さらに必要な場合、一度書き込まれた管理用情報を書き換え又は消去するステップも記載されている(ステップ103)。これは、ユーザを含めて機密文書を追跡することを可能とするために、管理用情報を必要な時に必要な場所で検出して、必要に応じて書き換え、又は消去するステップである。
また本発明の機密文書管理システムのひとつの特徴は、係るID埋込文書を、磁気的に検出することである(ステップ104)。ここで検出とは、紙媒体に記録された機密情報、管理用マーク、管理用情報が、別々に又は同時に検出されることを含む。
さらに本発明の機密文書管理システムは、最終ステップとして、検出された管理情報に基づいて判別処理(及びひ必要ならばさらに適切な処理)を行う(ステップ105)。
【0024】
管理用マークにつきさらに詳しく説明する。本発明においては、紙媒体の少なくとも一部に、アモルファス磁性体粉末を含む磁性インク又はトナーを用いて「管理用マーク」を付す。付された「管理用マーク」とは、紙媒体の特定の位置に、特定の形状に磁性インクが付され固定されたものを意味する。従って管理用マークは、その形状で囲まれる部分に、アモルファス磁性体粉末が固定され、そのほかの紙媒体の部分とは磁気的に明確に区別されることとなる。
【0025】
本発明の磁性インクが、透明又は紙媒体と類似の色を呈する場合、アモルファス磁性体粉末が固定された部分と、そのほかの紙媒体の部分とは色的には区別できない場合があり得るが、この場合、磁気的には明確に区別され得る。また、本発明の磁性インクが、紙媒体の色と識別可能な色を呈する場合、管理用マークは、磁気的にも、色的にも他の部分と明確に識別可能となる。
管理マークは、その目的・検出手段・検出装置等に基づき、紙媒体の一部又は全部に1種類の管理マークを付することができる。また同じ紙媒体に、異なる2種以上の管理マークを付することも可能である。これは、(1)識別検出可能な2種類のアモルファス磁性体を含む磁性インク、又はトナーを用いるか、(2)同じ種類のアモルファス磁性体を含む磁性インク、又はトナーを、異なる濃度で用いることで可能である。
管理用マークの一例を図2に示す。ここで機密文書200には、文字情報201とともに図形情報202が記録されている。図2では、本発明の管理用マーク203は、文字情報と重なる帯状の形状で付されている。また図2では、別の管理用マーク204が、別の円形状で、文書の角部分に付されている。
【0026】
管理用マーク204を付す紙媒体200は、紙媒体200がすでに機密情報201、202を記録されている場合でも、まだ記録されていない場合も含む。
【0027】
さらに、管理用マーク203は、複数の紙媒体(例えば複数頁からなる)につき、同一の管理用マーク203を付することもできるし、また各頁毎に相違する管理マーク203を付すことができる。言い換えると本発明の管理マーク203を付すことにより、複数の紙媒体を群として、又はそれぞれ別個に、磁気的に識別可能となる。
【0028】
紙媒体に、本発明の磁性インク又はトナーにより管理マークを付す方法・装置については特に制限はない。上で説明した通り、本発明の磁性インク又はトナーは、従来のインク又はトナーとほぼ同じか類似する性質を有するように調整可能なものであり、所定の紙媒体(紙材料の種類、サイズ、形状)に付すためには、通常の方法・装置が、そのまま又は最適化した後、好ましく適用可能である。
例えば、本発明の磁性インクを、通常のインクジェットプリンタ用のインクとして調製し、これを用いて、通常のインクジェットプリンタで、紙媒体上にインクジェット印刷することが可能である。この場合、管理マークの、紙媒体上での位置、形状、濃度については、パソコン等で容易に設計した後その印刷情報をインクジェットプリンタに送ることが可能である。さらに、磁気的に又は色的に相違する2種以上の磁性インクを、同じく通常のインクジェットプリンタ用のインクとして調製し、これを用いて、通常のインクジェットプリンタで、紙媒体上にインクジェット印刷することで、紙媒体上に、磁気的及び/又は色的に識別可能な2以上の管理用マークを付することが可能となる。
同様に、本発明の磁性インクを、通常のレーザープリンタ用のトナーとして調製し、これを用いて、通常のレーザープリンタで、紙媒体上に印刷することも可能である。
【0029】
さらに、紙媒体に管理マークを付する方法。装置として、複写方法・複写装置を適用することも可能である。複写元のマークを用いて、複写装置に本発明の磁性インク又はトナーを使用することで、紙媒体上に本発明の磁性インク又はトナーによる複写されたマークが付されることができる。上で説明したように、複写元のマークの形状、色に基づき、紙媒体上に磁気的及び/又は色的に識別可能な2以上の管理用マークを付することが可能となる。
【0030】
本発明において好ましい管理マークの一つとして、機密情報の全部又は一部として付されるものが挙げられる。これは、本発明の磁性インク又はトナーを用いて、機密情報の全部又は一部を紙媒体に付して印刷(記録)することで可能である。通常紙媒体に記録される機密情報は、目視で情報を取得するものであり、この場合、本発明の磁性インク又はトナーは目視可能な色を呈するように調製されている。この場合、管理マークは、色的には機密情報自体となり、目視での識別(管理マークか、情報か)ができないこととなる。一方、当然磁気的には明確に識別可能となり、このことは、管理マークを磁気的に管理することで、機密情報自体を管理することとなる。
【0031】
さらに、本発明において、紙媒体に付された管理用マークの検出は、上で説明した通り、特に本発明の磁性インク又はトナーが、アモルファス磁性体粉末を含むものであることから、磁気的検出において有利である。磁気的検出には、管理マーカ中のアモルファス磁性体粉末の(1)存在の有無による検出、(2)種類による検出、(3)量による検出、及び(4)形状による検出、さらにはこれらの組み合わせによる検出が可能である。また、紙媒体に付された管理用マークが目視可能な色を呈する場合、上の磁気的検出と、色的検出を組み表せて検出することも可能である。例えば、紙媒体の全部に色的に識別されると同時に、本発明の磁性インク又はトナーで、磁気的に管理マークが付されている場合である。
【0032】
磁気的検出する方法・装置については特に制限はなく、本発明による管理マークに含まれるアモルファス磁性体粉末の(1)存在の有無による検出、(2)種類による検出、(3)量による検出、及び(4)形状による検出、さらにはこれらの組み合わせによる検出が可能である、従来の方法・センサを含む装置を適宜採用することが可能である。
また、これらの2以上の検出方法・装置を組み合わせて使用することも可能である。検出方法には、検出装置(センサ)に接触させて検出する方法、非接触ではあるが近づけて検出する方法、又は遠隔検出する方法が可能である。検出目的、検出感度に鑑みて適宜選択することが可能である。例えば、機密文書の複写を管理する場合には、接触させて検出する方法が好ましく、また機密文書の持ち出し管理には、遠隔検出の方法が好ましい。
【0033】
上で挙げた、管理用マークが、機密情報の全部又は一部である場合、管理用マークの磁気検出により、機密情報自体の磁気的検出が可能となることを意味する。これは、何らかの理由で、一部欠落した場合や、分断された場合、折りたたまれた場合などのように、管理用マークが全体として検出できない場合に、機密情報自体の管理(特に、有無)に有効である。
【0034】
次に、本発明の機密文書管理システムの管理用情報について説明する。これは前記管理用マークの少なくとも一部に、磁気的に書き込まれる情報である(図1のステップ102)。
ここで、管理用情報とは、紙媒体に記録された機密情報を管理するための事項を意味する。特に本発明においては、係る管理情報には、ユーザ情報、機密情報の持出情報、機密情報の複製情報、機密情報の廃棄情報の、少なくとも1つの管理用情報を有することが好ましい。より具体的には、例えば次の事項を含む。(1)紙媒体自体のID、(2)アクセスしたユーザID、(3)アクセスされた日時履歴、(4)機密情報の処理ステータス、(5)機密情報の処理履歴等である。(1)の紙媒体自体のIDとは、機密情報とは関係なく、紙媒体自体の識別・管理目的である。(4)機密情報の処理ステータスとは、機密情報が、現時点で持ち出し可又は禁止状態かどうか、複製可か禁止状態かどうか、廃棄不可か可能状態かどうかなどの最新情報である。(5)は、機密情報が、複製されたかどうか、されたならその履歴、また廃棄された場合その日時などである。さらに、その他の管理上必要な情報も含むことができる。
【0035】
従って、管理用マークには、これらの管理用情報が、少なくとも、読み込み可能、書き込み可能、変更可能、消去可能なように書き込まれている必要がある。本発明においては、管理用マークが、磁気特性(特に優れた軟磁性特性)の優れたアモルファス磁性体粉末を含むものであることから、管理用マークを、磁性体磁化ヘッドにより走査して、管理用マーク内の特定部分のアモルファス磁性体粉末を磁化及び/又は非磁化することにより管理情報を書き込むことが好ましい。より具体的には、管理用マーク内の特定部分のアモルファス磁性体粉末を磁化(1とする)及び/又は非磁化(0とする)することにより、0と1とのバイナリデータ表現により書き込むことが好ましい。この方法は、従来から磁気記録媒体に対する磁気記録方法としてよく知られている。
【0036】
同様にしてこのようにして書き込まれた、管理用マーク内の特定部分のアモルファス磁性体粉末の磁化・非磁化(1か0)の磁性状態を、再び磁性体磁化ヘッドにより走査して、管理用マーク内の特定部分のアモルファス磁性体粉末を磁化及び/又は非磁化することにより管理情報を読み出したり、変更したり、消去したりすることが可能である。
【0037】
上で説明した、本発明の管理用マークが、紙媒体に記録された情報の一部と重なる態様の場合、管理用マークの管理用情報は、紙媒体の記録された情報に重ねて書き込まれることになる。このことは、紙媒体に記録された情報自体に、管理用情報(例えばユーザ情報等)が重ねられていることを意味する。また同様に、一度書き込まれた管理情報は、変更、消去が可能である。
【0038】
図3には、管理用マークに書き込まれた管理用情報の一例を示す。この例では、紙媒体300に、文字情報304及び302と、図形情報303が記録されている。さらに管理用マーク301,305,306がそれぞれ文書の異なる位置で異なる形状で付されている。これらの管理用マークには、管理用情報308がそれぞれ書き込まれている。図では縞模様に表現されている。これは、管理用マーク301,305,306内の特定部分を磁性体磁化ヘッドにより走査して書き込まれた、アモルファス磁性体粉末の磁化・非磁化(1か0)の磁性状態を模式的に示すものである。
【0039】
図4には、上例の管理用情報を、通常の磁性体磁化ヘッドにより書き込む方法を模式的に示した。図4では、紙媒体に、本発明の磁性インクを含むインクジェットプリンタにより、管理用マーク404を付するためのインクジェットプリントヘッド401とともに、印刷された管理用マーク404に管理用情報403を書き込むための磁性体磁化ヘッド402を続けて行えるように構成された例を示す。紙媒体400は、矢印の方向へ進行し、インクジェットプリントヘッド401を通過する。その際、あらかじめ決められた形状の管理用マーク404が、本発明の磁性インクを含むインクジェット用インクを用いて印刷される。印刷された管理用マーク404に含まれる磁性体粉末は通常は磁化されていないが、あらかじめ磁化されていてもよい。印刷された管理用マークは、矢印の方向に進行するに従い十分乾燥され、含まれる磁性体粉末は、管理用マークの形状内で固定される。
【0040】
次に紙媒体が矢印の方向へ進行すると、磁性体磁化ヘッド402を通過する。ここで、磁性体磁化ヘッド402は、あらかじめ決められた情報に基づき管理用マーク404の少なくとも一部を、磁化することで書き込んでいく。図4では、磁化された部分403を黒く塗りつぶし、磁化されていない部分404と区別して模式的に表した。
【0041】
管理用マークに書き込まれた管理用情報は、必要な場合、変更、消去することが可能である(図1のステップ103)。このため、すでに書き込まれた管理用情報をまず読み出す必要があるが、このためには通常の種々のタイプの磁気センサによる磁気記録読み取り方法・装置がそのまま又は最適化した上で使用可能である。係る読み込み(書き換え、消去)装置の例を図5に示す。図5には、管理情報を書き換える磁性体磁化ヘッド506も設けた例が示される。機密文書500(機密情報は図示されていない)にはすでに管理用マーク501が付され、さらに管理用情報504が書き込まれている。機密文書500は、矢印の方向に進行し、印刷された管理用情報を読み取るための磁気センサヘッド505を通過する。ここで読み取られた(読み込まれた)管理用情報は、例えば、接続ライン509で前記津族されているコンピュータ510に送られる。コンピュータ510では、あらかじめ決められた判断基準と処理手順に従い、管理用情報504の少なくとも一部を書き換えたり、削除したりするよう判断する。係る判断に基づいて、新たに書き込まれる内容の指示がコンピュータ510から、書き込み用の磁性体磁化ヘッド506へライン511を介して送られる。書き込み用の磁性体磁化ヘッド506は、上で説明した最初の書き込みと同様に、新たな管理用情報を、磁化/非磁化による方法で、書き換えられるべき位置で磁化された部分と磁化されていない部分を、502を書き換えて新たな情報507とする。
また、すでに書き込まれた管理情報を消去することも同様に可能である。すなわち、管理用マークに書き込まれたすべての情報を、書き込み用の磁性体磁化ヘッド506により、磁化又は非磁化することで消去できる。
【0042】
次に管理用マーク及び/又は管理用情報を、必要な際に必要な場所で検出する方法・装置につき説明する(図1のステップ104)。本発明の紙媒体に記録された機密情報の管理の特徴のひとつは、上で説明した本発明の磁性インク又はトナーで付された、管理用マーク及び/又は管理用マークに書き込まれた管理用情報の存在を磁気的に検出することである。特に本発明において係る検出方法は、(1)アモルファス磁性体の存在の有無を磁気的に検出する方法が好ましい。さらに本発明において係る検出方法は、(2)アモルファス磁性体粉末に書き込まれた管理用情報を、磁気的に読み取ることにより検出する方法が好ましい。またはこれらを組み合わせて検出する方法も可能である。従って、磁気的検出手段・装置については特に制限はなく、通常の種々の検出原理に基づく磁気センサ、それを用いた磁気記録読み取り方法・装置が好ましく適用可能である。またこれら公知の磁気センサ、磁気記録読み取り装置には、通常最適動作(例えば、検出時間、検出感度、分解能、検出距離等)があり、本発明の管理の目的に適合する磁気センサ、磁気記録読み取り装置を選択することが可能である。
【0043】
本発明においては、特に磁性特性に優れたアモルファス(軟)磁性体の粉末を用いるものであることから、高い感度で、且つ正確に、さらに遠隔距離での検出が可能となる。
【0044】
さらには、本発明においては、まず管理の具体的態様(例えば、持ち出し管理、複写管理、廃棄管理等)において検出に最適な、磁気センサ、磁気記録読み取り装置等を選択し、その作用効果の最大利用のために、本発明のアモルファス磁性体粉末を含むインク又はトナーを調製することも好ましい。具体的には、インク又はトナーに含まれる、アモルファス磁性体粉末の磁性体の種類、粉末の形状・サイズ、含有量、印刷量の調製が挙げられる。
【0045】
本発明の管理システムは、最終的に検出された管理情報に基づいて判断し、機密文書を判別処理する(図1のステップ105)を含むことができる。すなわち、上で説明されたように、管理用マーク及び/又は管理用情報を磁気的に検出・読み取った後、その読み取られた管理情報と、あらかじめ決められた処理手順とを比較して判別し、必要な場合次の処理手段を実行することを含む。係る比較、判別、次の処理手段を実行する手段・方法については特に制限はなく、手作業(マニュアル)で行う方法、又はコンピュータを用いて自動的に行うことも可能である。例えば、保管室からユーザによる持ち出し管理については、保管室の出口ゲートでの検出、さらに検出された管理用情報に基づく、比較、判断により、持ち出し禁止であるならゲートを閉じる、警告する等が挙げられる。又は複写管理については、複写装置による複写の前に、管理用情報を検出し、検出された管理用情報に基づく、比較、判断により、複写禁止であるなら複写装置を停止、又は警告する等が挙げられる。同様に、廃棄管理については、廃棄装置に通過させる前に、管理用情報を検出し、検出された管理用情報に基づく、比較、判断により、廃棄禁止であるなら廃棄装置を停止、又は警告する等が挙げられる。これらの種々の判別管理は、別々でもなされてもよく又はコンピュータによる総合的になされてもよい。
【0046】
また本発明において好ましくは、図1で説明された本発明の管理システムの各ステップ(すなわち上で別々に説明された、管理用マークの付与、管理用情報の書き込み、検出、判別管理)を、管理者による管理及び/又は自動的に実行可能なようにプログラムされたコンピュータを用いて集中的に管理することが可能である。
【0047】
次に本発明の機密文書管理装置につき、3つの態様につき別々に具体的に説明する。しかし、本発明の機密文書管理装置には、これらを組み合わせた装置も含むものである。さらにすべて又はいくつかを例えばコンピュータを用いて一括管理する装置も含まれる。
(機密文書管理装置1)
本発明の機密文書管理装置の1つは、紙媒体に記録された情報(機密情報、その他の情報を含む)を管理する装置に関し、紙媒体に記録された情報が、紙媒体と共に(例えば保管室)から無断で持ち出されることを防止する装置に関する。図6を用いて説明する。ここで、保管室600で管理される機密文書601は、上で説明した本発明のアモルファス磁性体粉末を含むインク又はトナーを用いて、管理用マーク602及び/又は管理用情報603を含むことを特徴とする。すなわち、機密情報が保管されている保管室600から、紙媒体に記録された機密情報601の持出しを管理する機密文書管理装置である。これは、機密情報を閲覧する(又は閲覧した)ユーザ604が、保管室600から、持ち出し禁止状態の機密情報(又はその一部)601を、不注意で又は意図的に保管室出入り口(又はゲートと記載する)605から持ち出すことを防止する、又は持ち出された機密情報を追跡可能とすることを目的とする装置である。
この目的は、上で説明した、本発明のアモルファス磁性体粉末を含む磁性インク又はトナーを用いることで初めて達成できる。すなわち機密文書管理装置は、前記紙媒体の少なくとも一部に、アモルファス磁性体粉末を含む磁性インク又はトナーを用いて、少なくとも、ユーザ情報及び前記機密情報の持出情報を含む管理用情報603を有する、管理用マーク602を付する装置606と、前記ユーザが、前記保管室600から出る際に、前記管理用マーク602(又は603)を検出する装置607と、前記管理用マークに付された管理用情報603に基づき、前記ユーザが、持ち出し可能かどうかを判別する装置608と、を有することを特徴とする。
【0048】
ここで、本発明の磁性体粉末を含む磁性インク又はトナーを用いて、管理すべき紙媒体に記録された情報に、管理用マーク及び/又は管理用情報を付し、書き込む装置606はすでに上で説明した。この管理用マーク及び/又は管理用情報は、ユーザ604の求めと関係なく、又はユーザ604の機密文書閲覧の求めに応じて、その都度保管室でID埋め込みされることもできる。ID埋め込みされた機密文書601は、保管室600内でユーザ604に渡され、ユーザは閲覧利用する。
【0049】
次に、本発明においては、ユーザ604により、又別の方法で、機密文書601が、保管室600からゲート605から持ち出される際、前記管理用マーク603及び/管理用情報を磁気的に検出する装置607が設けられていることを特徴とする。係る検出装置607は、保管室600内、保管室出口(又は保管室ゲート)605、または保管室外(図示されていない)のいずれにおいても設けることが可能である。検出装置607は、持ち出される又は持ち出された機密文書601の管理用マーク602及び/又は管理用情報603を、磁気的に検知及び/又は読み出す。検出装置607は、本発明の磁性体粉末を含む磁性インク又はトナーを検出できる従来の接触型(センサに接触)、非接触型(センサに接触しないが、センサに近接させて検出)又は遠隔検出型のいずれでも使用可能である。検出目的、検出場所、検出感度等から適宜選択することができる。例えば、保管室内で机上での検出の場合、接触型又は非接触型が好ましく使用できる。また保管室出口や、保管室外では、遠隔検出型が好ましく使用できる。
次に、上で検出され、読み出された管理用情報等に基づき、当該機密文書601が当該ユーザ604と共に保管室600から持ち出されることが可能かどうかが判別装置608又は集中管理装置609により判断される。判断は、検出装置607で検出され、読み出された管理用情報と、あらかじめ決められた規則とを比較することでなされる。ここであらかじめ決められた規則(例えば、持ち出し条件)とは、紙媒体自体、機密情報自体、機密情報が記録された紙媒体の少なくとも1つを、保管室1外に持ち出すための条件を意味する。係る条件には、例えば、ユーザ、期間等が含まれる。具体的には、あるユーザが、その機密情報又は機密情報の記載された紙媒体を、保管室から持ち出し可能かどうか、又は持ち出し可能ならばその期間等が挙げられる。この持ち出し条件についてもあらかじめ決められた規則は、検出装置607、判別装置608又集中管理装置609に記憶されていてよい。この規則が検出装置607に記憶されており、且つ判別された場合、その場ですぐに、そのユーザが、その機密情報又は機密情報の記載された紙媒体を、保管室から持ち出し可能かどうかが認識可能に表示される(ここで、表示には、文字による表示だけでなく、音、光、それらの混合による表示も含む)ことになる。
又、上の検出装置が、検知・読み出した情報を、判別装置608又は集中管理装置609にライン611にて送り、そこで判別がなされることも可能である。この場合には、上の規則が判別装置608又は集中管理装置609に記憶されており、そこで、管理者610により、又は判別装置608又は集中管理装置609に組み込まれた自動判別プログラムに沿ってに判断されることができる。判断結果は、管理者610のより又は自動的表示により、そのユーザが、その機密情報又は機密情報の記載された紙媒体を、保管室から持ち出し可能かどうかが示される。
ここで、集中管理装置609は、上で説明した検出装置607からの情報に基づいて、持ち出し可能かどうかの判断・表示だけでなく、ユーザ情報、機密文書情報、そのほか及び情報、規則等に基づき、管理用マーク及び/又は管理用情報を付し、書き込む装置606、必要ならば印刷装置(図示されず)、複写装置(図示されず)、廃棄装置(図示されず)なども一括して制御することができるようの設けられることができる。
【0050】
本発明においては、当該文書が持ち出し禁止であると判断された場合、ユーザにその旨を通知するか、保管室ゲートで持ち出し禁止の表示等が続いてなされてもよい。この目的で従来の警告システム、警告装置が好ましく適用できる。
【0051】
なお、上の例では、管理される文書が機密文書として説明したが、本発明の機密文書管理装置は文書に限定されるものではない。本発明の内容及び上で説明した実施態様に基づいて、当業者であれば、例えば持ち出し管理されるべき文書には、他の種々の形態である例えば商品に付された管理用情報(商品名、価格、在庫情報、販売店名、流通情報)が紙媒体に記録されているものであれば容易に適用可能であることが理解できる。
(機密文書管理装置2)
さらに本発明の機密文書管理装置の1つは、紙媒体に記録された情報(機密情報、その他の情報を含む)を管理する装置に関し、特に、紙媒体に記録された情報が、無断で複製されることを防止する装置に関する。具体的な実施態様のひとつを図7に基づき説明する。
ここで、管理される機密文書700は、上で説明した本発明のアモルファス磁性体粉末を含むインク又はトナーを用いて、管理用マーク701及び/又は管理用情報702を含むことを特徴とする。すなわち、紙媒体に記録された機密情報の無断での複写を管理する機密文書管理装置である。これは、機密情報を閲覧する(又は閲覧した)ユーザ703が、複製禁止状態の機密情報(又はその一部)を、不注意で又は意図的に複写装置704で複製することを防止する、又は複製された機密情報を追跡可能とすることを目的とする装置である。ここで複製された機密情報を追跡可能とするとは、複製された機密情報に、新たに「ID埋め込みをする」という意味である。ここで管理用情報701には、少なくとも、当文書の複製条件(ユーザ、複製枚数、新たなID埋め込み等)が書き込まれている。
前記ユーザ703が、機密文書700を複写装置704で複写しようとする際、前記管理用マーク701及び/管理用情報702を磁気的に検出する装置705が設けられていることを特徴とする。係る検出装置705は、好ましくは複写装置704の近くに設けることが可能である。又検出装置705は複写装置704と一体に設けられていてよい。検出装置705は、複写されようとする機密文書700の管理用マーク701及び/又は管理用情報702を、磁気的に検知及び/又は読み出す。検出装置705は、本発明の磁性体粉末を含む磁性インク又はトナーを検出できる従来の接触型(センサに接触)、非接触型(センサに接触しないが、センサに近接させて検出)又は遠隔検出型のいずれでも使用可能である。検出目的、検出場所、検出感度等から適宜選択することができる。例えば、複写装置704と一体で、又は連続して使用する場合、接触型又は非接触型が好ましく使用できる。また複写装置の離れた場所で検出する場合は、遠隔検出型が好ましく使用できる。
次に、上で検出され、読み出された管理用情報等(特に複製情報)に基づき、当該機密文書700が当該ユーザ703により複製されることが可能かどうかを判別装置706又は集中管理装置707により判別する。判別は、検出装置705で検出され、読み出された管理用情報と、あらかじめ決められた規則とを比較することでなされる。ここであらかじめ決められた規則(例えば、複製情報)とは、紙媒体自体、機密情報自体、機密情報が記録された紙媒体の少なくとも1つを、複製するための条件を意味する。係る条件には、例えば、ユーザ、枚数、期間等が含まれる。具体的には、あるユーザが、その機密情報又は機密情報の記載された紙媒体を、何枚複製可能か、又は複製可能な期間等が挙げられる。この複製条件についてもあらかじめ決められた規則は、検出装置705自体、判別装置706又集中管理装置707に記憶されていてよい。この規則が検出装置705に記憶されており、且つ判別された場合、その場ですぐに、そのユーザが、その機密情報又は機密情報の記載された紙媒体を、複製可能かどうかが表示される(ここで、表示には、文字による表示だけでなく、音、光、それらの混合による表示も含む)ことになる。
又、上の検出装置が、検知・読み出した情報を、判別装置706又は集中管理装置707にライン710で送り、そこで判別がなされることも可能である。この場合には、上の規則が判別装置706又は集中管理装置707に記憶されており、そこで、管理者708により、又は判別装置706又は集中管理装置707に組み込まれた自動判別プログラムに沿って判別されることができる。判別結果は、管理者708により又は自動的表示により、そのユーザ703が、その機密情報又は機密情報の記載された紙媒体を、複製可能かどうかが示される。
ここで、集中管理装置707は、上で説明した検出装置705からの情報に基づいて、複製可能かどうかの判断・表示だけでなく、新たに複製された機密文書に、新たな管理用マーク及び/又は管理用情報を付し・書き込み「ID埋め込み」を実施することも可能である。これにより、複製された機密文書の追跡管理が可能となる。
【0052】
本発明においては、当該文書が複製禁止であると判断された場合、ユーザ703にその旨を通知するか、複製装置704自体に信号を送り、複製処理を停止するようになされてもよい。この目的で従来の警告システム、警告装置が好ましく適用できる。
【0053】
なお、上の例では、管理される文書が機密文書として説明したが、本発明の機密文書管理装置は文書に限定されるものではない。本発明の内容及び上で説明した実施態様に基づいて、当業者であれば、例えば複製管理されるべき文書には、他の種々の形態である例えば商品に付された管理用情報(商品名、価格、在庫情報、販売店名、流通情報)が紙媒体に記録されているものであれば容易に適用可能であることが理解できる。
(機密文書管理装置3)
さらに本発明の機密文書管理装置の1つは、紙媒体に記録された情報(機密情報、その他の情報を含む)を管理する装置に関し、特に、紙媒体に記録された情報が、無断で廃棄されることを防止する装置に関する。具体的な実施態様のひとつを図8に基づき説明する。
ここで、管理される機密文書800は、上で説明した本発明のアモルファス磁性体粉末を含むインク又はトナーを用いて、管理用マーク801及び/又は管理用情報802を含むことを特徴とする。すなわち、紙媒体に記録された機密情報の無断での廃棄を管理する機密文書管理装置である。これは、機密情報を閲覧する(又は閲覧した)ユーザ803が、廃棄禁止状態の機密情報(又はその一部)を、不注意で又は意図的に廃棄装置804で廃棄することを防止する。廃棄装置804には特に制限はないが、紙媒体材料の性質等に照らして滴後選択することができる。例えば裁断、溶解等の方法である。
前記ユーザ803が、機密文書800を廃棄装置804で廃棄しようとする際、前記管理用マーク801及び/管理用情報802を磁気的に検出する装置805が設けられていることを特徴とする。係る検出装置805は、好ましくは廃棄装置704の近くに設けることが可能である。又検出装置805は廃棄装置804と一体に設けられていてよい。検出装置805は、廃棄されようとする機密文書800の管理用マーク801及び/又は管理用情報802を、磁気的に検知及び/又は読み出す。検出装置805は、本発明の磁性体粉末を含む磁性インク又はトナーを検出できる従来の接触型(センサに接触)、非接触型(センサに接触しないが、センサに近接させて検出)又は遠隔検出型のいずれでも使用可能である。検出目的、検出場所、検出感度等から適宜選択することができる。例えば、廃棄装置804と一体で、又は連続して使用する場合、接触型又は非接触型が好ましく使用できる。また廃棄装置の離れた場所で検出する場合は、遠隔検出型が好ましく使用できる。
次に、上で検出され、読み出された管理用情報等(特に廃棄情報)に基づき、当該機密文書800が当該ユーザ803により廃棄されることが可能かどうかが判別装置806又は集中管理装置807により判断される。判断は、検出装置805で検出され、読み出された管理用情報と、あらかじめ決められた規則とを比較することでなされる。ここであらかじめ決められた規則(例えば、廃棄情報)とは、紙媒体自体、機密情報自体、機密情報が記録された紙媒体の少なくとも1つを、廃棄するための条件を意味する。係る条件には、例えば、ユーザ、期間等が含まれる。具体的には、あるユーザが、その機密情報又は機密情報の記載された紙媒体を廃棄できるか、又廃棄できる期間等が挙げられる。この廃棄条件についてもあらかじめ決められた規則は、検出装置805自体、判別装置806又集中管理装置807に記憶されていてよい。この規則が検出装置805に記憶されており、且つ判別された場合、その場ですぐに、そのユーザが、その機密情報又は機密情報の記載された紙媒体を、廃棄可能かどうかが表示される(ここで、表示には、文字による表示だけでなく、及びと、光による表示も含む)ことになる。
又、上の検出装置が、検知・読み出した情報を、判別装置806又は集中管理装置807にライン810で送り、そこで判別がなされることも可能である。この場合には、上の規則が判別装置806又は集中管理装置807に記憶されており、そこで、管理者808により、又は判別装置806又は集中管理装置807に組み込まれた自動判別プログラムに沿ってに判断されることができる。判断結果は、管理者808により又は自動的表示により、そのユーザ803が、その機密情報又は機密情報の記載された紙媒体を廃棄可能かどうかが示される。
【0054】
本発明においては、当該文書が廃棄禁止であると判断された場合、ユーザ803にその旨を通知するか、廃棄装置804自体に信号を送り、廃棄処理を停止するようになされてもよい。この目的で従来の警告システム、警告装置が好ましく適用できる。
【0055】
なお、上の例では、管理される文書が機密文書として説明したが、本発明の機密文書管理装置は文書に限定されるものではない。本発明の内容及び上で説明した実施態様に基づいて、当業者であれば、例えば廃棄管理されるべき文書には、他の種々の形態である例えば商品に付された管理用情報(商品名、価格、在庫情報、販売店名、流通情報)が紙媒体に記録されているものであれば容易に適用可能であることが理解できる。
【産業上の利用可能性】
【0056】
本発明による磁性インク又はトナーは、特に機密文書管理システム及び機密文書管理装置の技術分野において利用可能である。
【符号の説明】
【0057】
101 管理用マークを付するステップ
102 管理用マークに管理用情報を書き込むステップ
103 管理用情報の書き換え、消去ステップ
104 管理用マーク及び/又は管理用情報を検出するステップ
105 判別処理ステップ
200、500、601、700、800 機密文書
203、204、301、305、306、404、501、602、603、701、801 管理用マーク
300、400 紙媒体
308、403、504、507、602、702、802 管理用情報
600 保管室
604、703、803 ユーザ
605 保管室出入り口
606 書き込み装置
607、705、805 検出装置
608、706、806 判別装置
609、707、807 集中管理装置
610、708、808 管理者
704 複写装置
707 集中管理装置
804 廃棄装置
807 集中管理装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
アモルファス磁性体粉末を含む、磁性インク又はトナー。
【請求項2】
前記磁性インクが、インクジェット用インクである、請求項1に記載の前記磁性インク。
【請求項3】
前記磁性トナーが、レーザープリンタ又複写機用トナーである、請求項1に記載の前記磁性インク。
【請求項4】
媒体に記録された機密情報を管理する機密文書管理システムにおいて、
前記媒体の少なくとも一部に、アモルファス磁性体粉末を含む磁性インク又はトナーを用いて、管理用マークを付する手段と、
前記管理用マークを検出することにより前記機密文書を検出する手段とを有する、システム。
【請求項5】
前記管理用マークが、媒体に記録された機密情報の少なくとも一部である、請求項4に記載のシステム。
【請求項6】
前記管理用マークを付する手段が、アモルファス磁性体粉末を含む磁性インク又はトナーを用いて、前記媒体に印刷されることを特徴とする、
請求項4又は5のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項7】
前記管理用マークが、ユーザ情報、前記機密情報の持出情報、前記機密情報の複製情報、前記機密情報の廃棄情報の、少なくとも1つの管理用情報を有することを特徴とする、請求項4〜6のいずれか1項に記載のシステム。
【請求項8】
前記管理用情報が、前記管理用マークの少なくとも一部を磁化及び/又は非磁化することにより、書込、変更、消去可能に付されることを特徴とする、請求項4に記載のシステム。
【請求項9】
前記媒体の少なくとも一部を、磁性体磁化ヘッドを通過させることにより、前記管理用マークの少なくとも一部を磁化及び/又は非磁化して、前記管理用情報を付することを特徴とする、請求項7記載のシステム。
【請求項10】
前記管理用マークの検出が、磁気センサによることを特徴とする、請求項4に記載のシステム。
【請求項11】
媒体に記録された機密情報の持出しを管理する機密文書管理装置において、
前記媒体の少なくとも一部に、アモルファス磁性体粉末を含む磁性インク又はトナーを用いて管理用マークを付す装置と、前記管理用マークに、少なくとも、ユーザ情報及び前記機密情報の持出情報とを含む管理用情報を書き込む装置と、
前記機密情報が、前記保管室から持ち出される際に、前記管理用情報を検出する装置と、
前記検出された管理用情報に基づき、前記機密情報が持ち出し可能かどうかを判別する装置とを有する、機密文書管理装置。
【請求項12】
媒体に記録された機密情報の複製を管理する機密文書管理装置において、
前記媒体の少なくとも一部に、アモルファス磁性体粉末を含む磁性インク又はトナーを用いて管理用マークを付す装置と、前記管理用マークに、少なくとも、ユーザ情報及び前記機密情報の複製情報を含む管理用情報を書き込む装置と、
前記ユーザが、前記媒体に記録された機密情報を複製する際に、前記管理用マークを検出する装置と、
前記管理用マークに付された管理用情報に基づき、前記ユーザが、複製可能かどうかを判別する装置とを有する、機密文書管理装置。
【請求項13】
媒体に記録された機密情報の廃棄を管理する機密文書管理装置において、
前記媒体の少なくとも一部に、アモルファス磁性体粉末を含む磁性インク又はトナーを用いて管理用マークを付す装置と、前記管理用マークに、少なくとも、ユーザ情報及び前記機密情報の廃棄情報を含む管理用情報を書き込む装置と、
前記ユーザが、前記媒体に記録された機密情報を廃棄する際に、前記管理用マークを検出する装置と、
前記管理用マークに付された管理用情報に基づき、前記ユーザが、廃棄可能かどうかを判別する装置とを有する、機密文書管理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−150348(P2012−150348A)
【公開日】平成24年8月9日(2012.8.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−9907(P2011−9907)
【出願日】平成23年1月20日(2011.1.20)
【出願人】(509129277)インフォプリント・ソリューションズ・カンパニー・エルエルシイ (26)
【Fターム(参考)】